IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッドの特許一覧

特表2023-551902p型ゲートを備えるノーマリーオン窒化ガリウムベースのトランジスタ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-13
(54)【発明の名称】p型ゲートを備えるノーマリーオン窒化ガリウムベースのトランジスタ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/337 20060101AFI20231206BHJP
   H01L 21/338 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
H01L29/80 C
H01L29/80 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533644
(86)(22)【出願日】2021-11-30
(85)【翻訳文提出日】2023-07-31
(86)【国際出願番号】 US2021061061
(87)【国際公開番号】W WO2022119787
(87)【国際公開日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】17/108,892
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】チャン ソー スー
(72)【発明者】
【氏名】ジュングウー ジョー
(72)【発明者】
【氏名】ドン セウプ リー
(72)【発明者】
【氏名】和田 彰二
(72)【発明者】
【氏名】カレン ハイデルガード ラルストン キルムス
【テーマコード(参考)】
5F102
【Fターム(参考)】
5F102GB01
5F102GC01
5F102GD04
5F102GJ02
5F102GJ03
5F102GJ10
5F102GK04
5F102GL04
5F102GM04
5F102GM08
5F102GQ01
5F102GR12
5F102GS09
5F102GV06
5F102GV07
5F102GV08
5F102HC01
5F102HC16
(57)【要約】
半導体デバイス(100)が、-10ボルト~-0.5ボルトの閾値電位を有する窒化ガリウムベースの低閾値デプリーションモードトランジスタ(GaN FET)(102)を含む。GaN FET(102)は、二次元電子ガス(2DEG)(114)を支持する、ガリウム及び窒素を含むIII-N半導体材料のチャネル層(108)を有する。GaN FET(102)は、チャネル層(108)の上にアルミニウム及び窒素を含むIII-N半導体材料の障壁層(112)を有する。GaN FET(102)はさらに、ガリウム及び窒素を含むIII-N半導体材料のp型ゲート(124)を有する。障壁層(112)に隣接するゲート(124)の底面(136)が、チャネル層(108)とは反対側に位置する障壁層(112)の頂部表面(138)を越えて延在しない。GaN FET(102)は、ゲート(124)と障壁層(112)との間に誘電体層がない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスであって、
デプリーションモード窒化ガリウム電界効果トランジスタ(GaN FET)を含み、前記GaN FETが、
III-N半導体材料のチャネル層であって、ガリウム及び窒素を含む前記チャネル層と、
前記チャネル層の上のIII-N半導体材料の障壁層であって、アルミニウム及び窒素を含む前記障壁層と、
前記障壁層の上のIII-N半導体材料のゲートであって、p型であり、ガリウム及び窒素を含む、前記ゲートと、
前記チャネル層に接するソースと、
前記チャネル層に接するドレインと、
を含み、
前記障壁層に隣接する前記ゲートの底部表面が、前記障壁層の頂部表面を越えて延在せず、前記頂部表面が前記チャネル層とは反対側に位置し、
前記GaN FETが前記ゲートと前記障壁層との間に誘電体層を含まず、
前記GaN FETが、-10ボルト~-0.5ボルトのゲートソース閾値電位を有する、
半導体デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体デバイスであって、前記障壁層が1ナノメートル~60ナノメートルの厚みを有する、半導体デバイス。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体デバイスであって、前記障壁層がガリウムを含む、半導体デバイス。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体デバイスであって、前記障壁層がインジウムを含む、半導体デバイス。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体デバイスであって、前記チャネル層が、3×1012cm-2~2×1013cm-2の自由電荷キャリア密度を有する二次元電子ガス(2DEG)を有する、半導体デバイス。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体デバイスであって、前記ゲートが5ナノメートル~500ナノメートルの厚みである、半導体デバイス。
【請求項7】
請求項1に記載の半導体デバイスであって、前記ゲートが1×1017cm-3~1×1020cm-3のマグネシウム濃度を有する、半導体デバイス。
【請求項8】
請求項1に記載の半導体デバイスであって、前記GaN FETが、前記チャネル層と前記障壁層との間に高バンドギャップサブ層をさらに含み、前記高バンドギャップサブ層が主にアルミニウム及び窒素を含み、前記高バンドギャップサブ層が0.5ナノメートル~3ナノメートルの厚みである、半導体デバイス。
【請求項9】
請求項1に記載の半導体デバイスであって、前記GaN FETが、前記障壁層と前記ゲートとの間にエッチ停止層をさらに含み、前記エッチ停止層が前記障壁層よりも高いアルミニウム含有量を有し、前記エッチ停止層が0.5ナノメートルから3ナノメートルの厚みである、半導体デバイス。
【請求項10】
請求項1に記載の半導体デバイスであって、前記GaN FETが、前記ゲートと前記ソースとの間、及び前記ゲートと前記ドレインとの間の前記障壁層の上の誘電体層をさらに含む、半導体デバイス。
【請求項11】
半導体デバイスを形成する方法であって、
デプリーションモード窒化ガリウム電界効果トランジスタ(GaN FET)のIII-N半導体材料のチャネル層を形成することであって、ガリウム及び窒素を含む前記チャネル層を形成することと、
前記チャネル層の上にIII-N半導体材料の障壁層を形成することであって、アルミニウムと窒素を含む前記障壁層を形成することと、
前記障壁層の上にIII-N半導体材料のゲート層を形成することであって、前記ゲート層がp型であり、前記ゲート層がガリウム及び窒素を含み、前記障壁層に隣接する前記ゲート層の底部表面が前記障壁層の頂部表面を越えて延在せず、前記頂部表面が前記チャネル層とは反対側に位置し、前記GaN FETが前記ゲート層と前記障壁層との間に誘電体層を含まない、前記ゲート層を形成することと、
前記ゲート層上に、前記GaN FETのゲートのためのエリアの上で前記ゲートエリアを覆うゲートマスクを形成することと、
前記ゲートを形成するため前記ゲートマスクによって露出された前記ゲート層を除去することと、
前記ゲートマスクを除去することと、
を含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記障壁層が1ナノメートル~60ナノメートルの厚みを有する、方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法であって、前記障壁層を形成することが、ガリウム含有ガス試薬を用いることを含み、そのため前記障壁層がガリウムを含む、方法。
【請求項14】
請求項11に記載の方法であって、前記障壁層を形成することが、インジウム含有ガス試薬を用いることを含み、そのため前記障壁層がインジウムを含む、方法。
【請求項15】
請求項11に記載の方法であって、前記ゲート層が5ナノメートル~500ナノメートルの厚みである、方法。
【請求項16】
請求項11に記載の方法であって、前記ゲート層を形成することが、マグネシウム含有ガス試薬を用いることを含み、そのため前記ゲートが、1×1017cm-3~1×1020cm-3のマグネシウム濃度を有する、方法。
【請求項17】
請求項11に記載の方法であって、前記ゲートマスクによって露出された前記ゲート層を除去することが、塩素イオン及びアルゴンイオンを用いた誘導結合プラズマ(ICP)プロセスを用いて行われる、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、前記ICPプロセスが酸素イオンを用いる、方法。
【請求項19】
請求項11に記載の方法であって、前記ゲート層を形成する前に、前記障壁層の上にエッチ停止層を形成することをさらに含み、前記エッチ停止層が前記障壁層よりも高いアルミニウム含有量を有し、前記エッチ停止層が0.5ナノメートル~3ナノメートルの厚みである、方法。
【請求項20】
請求項11に記載の方法であって、前記ゲートマスクを除去した後に、前記ゲートに隣接して、前記障壁層の前記頂部表面の上に誘電体層を形成することをさらに含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は、半導体デバイスの分野に関する。より詳細には、本記載は、半導体デバイスにおける窒化ガリウムトランジスタに関するが、これに限定されない。
【背景技術】
【0002】
ノーマリーオン窒化ガリウムベースの電界効果トランジスタ(GaN FET)は、電力スイッチング応用例のために用いられ得る。ノーマリーオンGaN FETは、デプリーションモードGaN FETとしても知られている。デプリーションモードGaN FETは一般に、ゲート漏れを低減し、製品信頼性を保証するために、ゲートと障壁層との間に、窒化ケイ素、二酸化ケイ素、及び/又は、酸化アルミニウムなどの誘電性材料のゲート絶縁膜を有する。電力スイッチング応用例では、エンハンスメントモード動作としても知られるノーマリオフ動作が望まれる。ノーマリーオフモードで動作するために、ノーマリーオンGaN FETをカスコード回路内の低電圧シリコントランジスタと対にすることができる。カスコード回路では、GaN FETとシリコントランジスタとが直列に接続されている。GaN FETをオンにするためのGaN FETの閾値電位(すなわち、ソースに対するゲート上のバイアス電位)は一般に、10ボルトを超える大きさの負電圧である。Siトランジスタのサイズは主に、ノーマリーオンGaN FETの閾値電圧の大きさによって決定され、より大きいの閾値電位はより大きいシリコントランジスタを必要とし、これは、より高いコスト、全体的なオン抵抗寄与の増大、並びに、所与のパッケージ内のGaNトランジスタのための利用可能空間の低減につながる。
【発明の概要】
【0003】
本記載では、窒化ガリウムベースの低閾値デプリーションモードトランジスタであるGaN FETを含む半導体デバイスを紹介する。GaN FETは、一般に二次元電子ガス(2DEG)と呼ばれる二次元電子層を支持する、ガリウム及び窒素を含むIII-N半導体材料のチャネル層を有する。GaN FETは、チャネル層の上にアルミニウム及び窒素を含むIII-N半導体材料の障壁層を有する。GaN FETはさらに、ガリウム及び窒素を含むIII-N半導体材料のp型ゲートを有する。障壁層に隣接するゲートの底部表面は、チャネル層の反対側に位置する障壁層の頂部表面を越えて延在しない。GaN FETは、ゲートと障壁層との間に誘電体層がない。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1A】形成の或る段階で描かれている、低閾値デプリーションモード窒化ガリウム電界効果トランジスタを含む例示の半導体デバイスの断面図である。
図1B】形成の或る段階で描かれている、低閾値デプリーションモード窒化ガリウム電界効果トランジスタを含む例示の半導体デバイスの断面図である。
図1C】形成の或る段階で描かれている、低閾値デプリーションモード窒化ガリウム電界効果トランジスタを含む例示の半導体デバイスの断面図である。
図1D】形成の或る段階で描かれている、低閾値デプリーションモード窒化ガリウム電界効果トランジスタを含む例示の半導体デバイスの断面図である。
図1E】形成の或る段階で描かれている、低閾値デプリーションモード窒化ガリウム電界効果トランジスタを含む例示の半導体デバイスの断面図である。
図1F】形成の或る段階で描かれている、低閾値デプリーションモード窒化ガリウム電界効果トランジスタを含む例示の半導体デバイスの断面図である。
図1G】形成の或る段階で描かれている、低閾値デプリーションモード窒化ガリウム電界効果トランジスタを含む例示の半導体デバイスの断面図である。
図1H】形成の或る段階で描かれている、低閾値デプリーションモード窒化ガリウム電界効果トランジスタを含む例示の半導体デバイスの断面図である。
図1I】形成の或る段階で描かれている、低閾値デプリーションモード窒化ガリウム電界効果トランジスタを含む例示の半導体デバイスの断面図である。
図1J】形成の或る段階で描かれている、低閾値デプリーションモード窒化ガリウム電界効果トランジスタを含む例示の半導体デバイスの断面図である。
図1K】形成の或る段階で描かれている、低閾値デプリーションモード窒化ガリウム電界効果トランジスタを含む例示の半導体デバイスの断面図である。
【0005】
図2】低閾値デプリーションモード窒化ガリウム電界効果トランジスタと、シリコン金属酸化物半導体電界効果トランジスタとを含む、例示の半導体デバイスの上面図である。
【0006】
図3】低閾値デプリーションモード窒化ガリウム電界効果トランジスタと、シリコン金属酸化物半導体電界効果トランジスタとを含む、例示の半導体デバイスの回路概略である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本記載を添付の図面を参照して説明する。図は、一定の縮尺で描かれておらず、単に本記載を例示するために提供されるに過ぎない。本記載の幾つかの態様が、例示のための例示の応用例に関連して以下に記載される。多くの特定の詳細、関係、及び方法が、本記載の理解を助けるために記載されている。幾つかの行為が異なる順で及び/又は他の行為又は事象と同時に成され得るので、本記載は、図示される行為又は事象の順に限定されない。また、本記載に従った方法論を実装するために、図示されたすべての行為又は事象が必要とされるわけではない。
【0008】
また、本記載に示される実施例の幾つかは、深さ及び幅を有する様々な領域を有する二次元ビューで示されるが、これらの領域は実際には三次元構造であるデバイスの一部のみの例示である。従って、これらの領域は、実際のデバイス上に製造されるとき、長さ、幅、及び深さを含む3つの次元を有する。また、本発明は能動デバイスを対象とする実施例によって例示されるが、これらの例示は、本発明の範囲又は利用可能性に対する限定ではない。本発明の能動デバイスは、図示される物理的構造に限定されない。これらの構造は、現在好ましい実施例に対する本発明の有用性及び適用を実証するために含まれている。
【0009】
半導体デバイスが、窒化ガリウムベースの低閾値デプリーションモードトランジスタであるGaN FETを含む。GaN FETは、一般に二次元電子ガス(2DEG)と呼ばれる二次元電子層を支持する、ガリウム及び窒素を含むIII-N半導体材料のチャネル層を有する。GaN FETは、チャネル層の上にアルミニウム及び窒素を含むIII-N半導体材料の障壁層を有する。GaN FETはさらに、ガリウム及び窒素を含むIII-N半導体材料のp型ゲートを有する。障壁層に隣接するゲートの底部表面は、チャネル層の反対側に位置する障壁層の頂部表面を越えて延在しない。ゲートと障壁層との間に誘電体層は存在しない。GaN FETは、-10ボルト~-0.1ボルトのゲートソース閾値電位(本記載では閾値電位と呼ぶ)を有する。
【0010】
本記載の目的のために、用語「III-N」は、III族元素(例えば、アルミニウム、ガリウム、及びインジウム、ならびに場合によってはホウ素)が半導体材料中の原子の一部を提供し、窒素原子が半導体材料中の原子の別の一部を提供する、半導体材料を指す。III-N半導体材料の例は、窒化ガリウム、窒化ホウ素ガリウム、窒化アルミニウムガリウム、窒化インジウム、及び窒化インジウムアルミニウムガリウムである。材料の組成式を記述する用語は、要素の特定の化学量論を示唆しない。例えば、窒化アルミニウムガリウムはAlGaNと表記することができ、AlGaNは、アルミニウムとガリウムとの或る範囲の相対比率を網羅する。
【0011】
頂部、底部、~の上、上方、及び下などの用語が、本記載において用いられ得ることに留意されたい。これらの用語は、或る構造又は要素の位置又は向きを限定するものではなく、構造又は要素間の空間的関係を提供する。用語「横方向」及び「横方向に」は、チャネル層の頂部表面の平面に平行な方向を指す。
【0012】
図1A図1Kは、この例ではGaN FET102と呼ばれる、低閾値デプリーションモード窒化ガリウム電界効果トランジスタ102を含む例示の半導体デバイス100の断面図であり、形成の種々の段階で示されている。図1Aを参照すると、半導体デバイス100は、シリコンウェハ、サファイアウェハ、又は炭化ケイ素ウェハなどの基板104上に形成され得る。
【0013】
III-N半導体材料の1つ又は複数の層のバッファ層106が、基板104上に形成され得る。基板104がシリコンウェハ又はサファイアウェハとして実装されるこの例のバージョンにおいて、バッファ層106は、基板104の格子定数に一致するように、アルミニウムを含む化学量論を有する核形成層を含み得る。バッファ層106は、アルミニウム含有量が減少したガリウムアルミニウム窒化物のサブ層をさらに含み得、その結果、意図せずにドープされた窒化ガリウム層が形成される。シリコン又はサファイア上のバッファ層106は、1ミクロン~数ミクロンの厚みとし得る。基板104がシリコンカーバイドウェハとして実装されるこの例のバージョンにおいて、バッファ層106は、窒化ガリウムとシリコンカーバイドとの間の格子定数の整合がより近いため、より薄くし得る。バッファ層106は、核形成層及びサブ層を形成するための幾つかの動作を伴うバッファ金属有機気相エピタキシ(MOVPE)プロセスによって形成され得る。バッファ層106は、GaN FET102のためのエリアと重なる。
【0014】
図1Bを参照すると、III-N半導体材料のチャネル層108がバッファ層106上に形成される。チャネル層108は、ガリウム及び窒素を含み、アルミニウム又はインジウムなどの任意の微量の他のIII族元素とともに、主に窒化ガリウムを含み得る。チャネル層108は、図1Bにおいて、それぞれ、「Ga試薬」及び「N試薬」と標示されるガリウム含有ガス試薬及び窒素含有ガス試薬を用いる、チャネルMOVPEプロセスによって形成され得る。基板104は、チャネルMOVPEプロセスの間、900℃~1100℃まで加熱され得る。ガリウム含有ガス試薬は、例えば、トリメチルガリウム又はトリエチルガリウムとして実装され得る。窒素含有ガス試薬は、例えば、アンモニア、ヒドラジン、又は1,1ジメチルヒドラジンとして実装され得る。チャネルMOVPEプロセスは、図1Bにおいて「Hキャリア」と標示されるキャリアガスを用いる。キャリアガスは、主に水素ガスを含み得、窒素等の別のガスと共に水素を含んでいてもよい。チャネル層108は、一例として、1ナノメートル~10ナノメートルの厚みとし得る。この例の代替バージョンにおいて、チャネル層108は、バッファ層106の最後の部分として形成され得る。GaN FET102の動作の間、チャネル層は2DEGを支持する。
【0015】
図1Cを参照すると、III-N半導体材料の任意の高バンドギャップサブ層110がチャネル層108上に形成され得る。高バンドギャップサブ層110は、図1Dに示されるように、後に形成される障壁層112よりも高いバンドギャップを提供するために、主にアルミニウム及び窒素を含む。この例の幾つかのバージョンにおいて、高バンドギャップサブ層110は、本質的にアルミニウム窒化物からなり、微量の他のIII族元素、例えばガリウムからなってもよい。
【0016】
高バンドギャップサブ層110は、図1Cにおいて、それぞれ、「Al試薬」及び「N試薬」と標示される、アルミニウム含有ガス試薬及び窒素含有ガス試薬を用いる、高バンドギャップMOVPEプロセスによって形成され得る。アルミニウム含有ガス試薬は、例えば、トリメチルアルミニウム又はトリエチルアルミニウムとして実装され得る。窒素含有ガス試薬は、チャネル層108の形成に関して説明したように、アンモニア、ヒドラジン、又は1,1ジメチルヒドラジンとして実装され得る。基板104は、高バンドギャップMOVPEプロセスの間、900℃~1100℃まで加熱され得る。高バンドギャップMOVPEプロセスは、図1Cにおいて「Hキャリア」と標示されるキャリアガスを用いる。キャリアガスは、主に水素ガスを含み得、又は、窒素等の他のガスと共に水素を含み得る。高バンドギャップサブ層110は、一例として、0.5ナノメートル~3ナノメートルの厚みとし得る。形成される場合、任意の高バンドギャップサブ層110は、チャネル層108内により深い量子ウェルを提供することによって、図1Dに示される、後に形成される2DEG114内の電荷閉じ込めを改善することができ、有利にも、2DEG114内の増加した自由電荷キャリア密度を提供する。
【0017】
図1Dを参照すると、III-N半導体材料の障壁層112は、チャネル層108の上に、存在する場合は任意の高バンドギャップサブ層110上に、形成される。障壁層112はアルミニウム及び窒素を含む。この例の1つのバージョンにおいて、障壁層112は、アルミニウムよりも低い原子百分率でガリウムを含み得る。この例の別のバージョンにおいて、障壁層112は、数原子%以内で、Al.83In.17Nの化学量論を有し得、窒化ガリウムに近い格子整合を提供する。更なるバージョンにおいて、障壁層112はガリウム及びインジウムを含み得、ガリウムは、障壁層112中のインジウムの均一性を改善することができる。障壁層112は、1ナノメートル~60ナノメートルの厚みを有し得る。
【0018】
障壁層112は、図1Dにおいて、それぞれ、「Al試薬」及び「N試薬」と標示されるアルミニウム含有ガス試薬及び窒素含有ガス試薬を用いる、障壁MOVPEプロセスによって形成され得る。アルミニウム含有ガス試薬は、例えば、トリメチルアルミニウム又はトリエチルアルミニウムとして実装され得る。窒素含有ガス試薬は、チャネル層108の形成に関して説明したように、アンモニア、ヒドラジン、又は1,1ジメチルヒドラジンとして実装され得る。
【0019】
障壁層112がガリウムを含むこの例のバージョンにおいて、障壁MOVPEプロセスは、図1Dに「Ga試薬」と標示されるガリウム含有ガス試薬を用いる。ガリウム含有ガス試薬は、チャネル層108の形成に関して説明したように、トリメチルガリウム又はトリエチルガリウムとして実装され得る。障壁層112がインジウムを含むこの例のバージョンにおいて、障壁MOVPEプロセスは、図1Dにおいて、「In試薬」と標示されるインジウム含有ガス試薬を用いる。インジウム含有ガス試薬は、例えば、トリメチルインジウム又はトリエチルインジウムとして実装され得る。障壁MOVPEプロセスは、図1Dに「Hキャリア」と標示されるキャリアガスを用いる。キャリアガスは、主に水素ガスを含み得、又は、窒素等の他のガスと共に水素を含み得る。基板104は、障壁MOVPEプロセスの間、900℃~1100℃まで加熱され得る。
【0020】
障壁層112は、障壁層112に隣接するチャネル層108内に2DEG114を誘起する。障壁層112の化学量論及び厚みは、GaN FET102のための所望のオン状態抵抗を提供するために、3×1012cm-2~2×1013cm-2の自由電荷キャリア密度を提供し得る。
【0021】
図1Eを参照すると、任意のエッチ停止層116が障壁層112上に形成され得る。エッチ停止層116は、障壁層112よりも高いアルミニウム含有量を有する。エッチ停止層116は、主にアルミニウム窒化物を含み得る。エッチ停止層116は、0.5ナノメートル~3ナノメートルの厚みとし得、高バンドギャップサブ層110を形成するために用いられる高バンドギャップMOVPEプロセスと同様のエッチ停止MOVPEプロセスによって形成され得る。エッチ停止層116は、後続のゲートエッチングプロセスの間の障壁層112のエッチングを有利に低減するか又はなくすことができる。
【0022】
図1Fを参照すると、p型III-N半導体材料のゲート層118が、障壁層112の上に、存在する場合には任意のエッチ停止層116上に、形成される。ゲート層118は、p型導電性を提供するためのマグネシウムドーパントと共に、主に窒化ガリウムを含み得る。この例の幾つかのバージョンにおいて、ゲート層118は、アルミニウム又はインジウムなどの他のIII族元素を10原子百分率未満で含み得る。
【0023】
ゲート層118は、図1Fにおいて、それぞれ「Ga試薬」、「N試薬」、及び「Mg試薬」と標示されている、ガリウム含有ガス試薬、窒素含有ガス試薬、及びp型ドーパントガス試薬を用いる、ゲートMOVPEプロセスによって形成され得る。ガリウム含有ガス試薬は、例えば、トリメチルガリウム又はトリエチルガリウムとして実装され得る。窒素含有ガス試薬は、チャネル層108の形成に関して説明したように、アンモニア、ヒドラジン、又は1,1ジメチルヒドラジンとして実装され得る。p型ドーパントガス試薬は、例えば、ビス(シクロペンタジエニル)マグネシウムとして実装され得る。マグネシウム含有ガス試薬の他の供給源も本例の範囲内である。また、マグネシウム以外のp型ドーパントを提供するためのp型ドーパントガスの他の実装も本例の範囲内である。p型ドーパントがマグネシウムとして実装されるこの例のバージョンにおいて、ゲート層118中のマグネシウム濃度は、GaN FET102のための所望の閾値電位を提供するために、1×1017cm-3~1×1020cm-3とし得る。
【0024】
ゲート層118がアルミニウムを含むこの例のバージョンにおいて、ゲートMOVPEプロセスは、図1Fにおいて「Al試薬」と標示されるアルミニウム含有ガス試薬を用いる。アルミニウム含有ガス試薬は、障壁層112の形成に関して説明したように、トリメチルアルミニウム又はトリエチルアルミニウムとして実装され得る。ゲート層118がインジウムを含むこの例のバージョンにおいて、ゲートMOVPEプロセスは、図1Fにおいて「In試薬」と標示されるインジウム含有ガス試薬を用いる。インジウム含有ガス試薬は、障壁層112の形成に関して説明したように、トリメチルインジウム又はトリエチルインジウムとして実装され得る。障壁MOVPEプロセスは、図1Fにおいて「Hキャリア」と標示されるキャリアガスを用いる。キャリアガスは、主に水素ガスを含み得、又は窒素等の他のガスと共に水素を含み得る。基板104は、ゲートMOVPEプロセスの間、900℃~1100℃まで加熱され得る。
【0025】
ゲート層118は、GaN FET102に対して所望の閾値電位を提供するために、5ナノメートルから500ナノメートルの厚みとし得る。ゲート層118は、ゲート層118の仕事関数がチャネル層108内の量子ウェルを低減させる結果として、2DEG114内の自由電荷キャリア密度を25パーセント~99パーセント低減させる。2DEG114は、ゲート層118が形成された後、電子の有限の自由電荷キャリア密度を保持する。
【0026】
図1Gを参照すると、ゲート層118上にゲートマスク120が形成されている。ゲートマスクは、図1Hに示されるように、後に形成されるゲート124のためのゲート層118のエリアを覆う。この例の1つのバージョンにおいて、ゲートマスク120は、フォトリソグラフィプロセスによって直接形成されたフォトレジストを含み得る。ゲートマスク120は、フォトレジストの下に底部反射防止膜(BARC)層などの有機反射防止材料を含み得る。BARC層は、フォトリソグラフィプロセスが完了した後にパターニングされ得る。この例の別のバージョンにおいて、ゲートマスク120は、二酸化ケイ素又は窒化ケイ素などの無機ハードマスク材料を含み得る。更なるバージョンにおいて、ゲートマスク120は、ニッケルなどの金属ハードマスク材料を含み得る。ハードマスク材料、無機物、又は金属は、ハードマスク材料の上にフォトレジストパターンを形成すること、それに続いて、フッ素ラジカルを用いる反応性イオンエッチング(RTE)プロセス又はイオンミリングプロセスを使用してハードマスク材料をエッチングすることによって、パターン化され得る。ゲートマスク120内のハードマスク材料は、ゲート124の横方向寸法の改善された制御を提供し得る。
【0027】
図1Hを参照すると、ゲートエッチングプロセス122が、ゲートマスク120により露出されたゲート層118を除去し、ゲートマスク120の下にゲート層118を残してゲート124を形成する。ゲートエッチングプロセス122は、化学的に反応性の中性種、イオン、及び電子を含有するプラズマを生成する、誘導結合プラズマ(ICP)エッチング装置において成され得る。ゲートエッチングプロセス122は、化学エッチャント種、物理的エッチャント種、及びアルミニウム不活性化種を含む。化学エッチャント種は、例えば、図1Hにおいて「Cl」と標示される塩素ラジカル、又は臭素ラジカルとして実装され得る。塩素ラジカルは、塩素ガス、四塩化ケイ素、三塩化ホウ素、又はそれらの組み合わせによって提供され得る。臭素ラジカルは、例えば、三臭化ホウ素によって提供され得る。
【0028】
物理的エッチャント種は、1つ又はそれ以上のイオン種によって実装され得る。物理エッチャント種の例には、フッ素イオン、アルゴンイオン、ヘリウムイオン等の希ガスイオン、及び酸素イオン等が挙げられる。物理的エッチャント種中の他のイオン種もこの例の場合、範囲内である。フッ素イオンは、例えば、六フッ化ケイ素、四フッ化炭素、又は三フッ化窒素によって提供され得る。希ガスイオンは、アルゴンガス又はヘリウムガスによって提供され得る。酸素イオンは、例えば、酸素ガス又は一酸化炭素ガスによって提供され得る。物理エッチャント種は、物理エッチャント種を示すために図1Hにおいて「P」と標示され、複数のイオン種を含み得る。
【0029】
アルミニウム不活性化種は、図1Hにおいて「O」と標示される酸素ラジカル、又はフッ素ラジカルとして実装され得る。酸素ラジカルは、酸素ガスによって提供され得る。フッ素ラジカルは、例えば、六フッ化ケイ素、四フッ化炭素、又は三フッ化窒素によって提供され得る。
【0030】
化学エッチャント種は、ゲート層118内のガリウム原子及び窒素原子に結合する。物理エッチャント種は、ゲート層118に衝突し、ゲート層118から化学エッチャント種に結合されているガリウム原子及び窒素原子の分離を容易にするのに充分なエネルギーを与える。ゲート層118から分離されたガリウム原子及び窒素原子は、ICPエッチング装置によって除去される。ICPエッチング装置は、化学的エッチャント種、物理的エッチャント種、及びアルミニウム不活性化種を生成するプラズマを形成するための第1の電源と、プラズマと基板104との間の電位差を独立して制御するための第2の電源とを有する。第1の電源は、例として、150ミリメートルのウェハに対して、250ワットから500ワットの電力で動作され得る。第2の電源は、最初は20ワット~100ワットで動作するように調整されて、ゲート層118からのガリウム原子及び窒素原子の分離を促進するのに充分な物理的エッチャント種の衝撃エネルギーを提供し得る。ゲートエッチングプロセス122が完了に近づくにつれて、第2の電源の電力レベルは、化学反応のために電源を低減するために20ワット~50ワットまで低減され得、これは、ガリウムの除去よりも著しくアルミニウムの除去を低減し、それゆえエッチング選択性を提供する。このように、第2の電源の電力レベルの低減は、ゲート層118がエッチ停止層116及び障壁層112よりも多くのガリウム及び少ないアルミニウムを含むので、存在する場合はエッチ停止層116の、又はエッチ停止層116が存在しない場合は障壁層112のエッチングレートをゲート層118に対して低減し得る。
【0031】
ゲートエッチングプロセス122は、エッチング選択比を改善するために、10ミリトール~50ミリトールの圧力で実施され得る。アルミニウム不活性化種は、存在する場合はエッチ停止層116において、又は、エッチ停止層116が存在しない場合は障壁層112において、優先的にアルミニウムと組み合わせることによってエッチング選択比をさらに改善し、化学エッチャント種がガリウム及び窒素と反応するために利用可能なサイトを最小限にする。従って、ゲートエッチングプロセス122は、かなりの量のエッチ停止層116又は障壁層112を除去することなく、ゲートマスク120によって露出された場所でゲート層118を完全に除去し得る。図1Hは、完了までの途中のゲートエッチングプロセス122を示す。
【0032】
2DEG114は、ゲート124の下にチャネル領域126を含む。ゲート層118の厚みはゲート124内で一定のままであるので、ゲート層118が除去されると、チャネル領域内の自由電荷キャリア密度は、図1Fを参照して説明した低い値のままである。
【0033】
2DEG114は、チャネル領域126に隣接するアクセス領域128を含む。ゲート層118の厚みはゲート124の外側で減少するので、ゲート層118が除去されると、2DEG114の自由電荷キャリア密度はアクセス領域128で増加する。
【0034】
2DEG114は、GaN FET102のソースのためのエリアにソース領域130を含む。ソース領域130は、アクセス領域128のうちの1つによってチャネル領域126から横方向に分離される。2DEG114は、GaN FET102のドレインのためのエリアにドレイン領域132を含む。ドレイン領域132は、アクセス領域128のうちの別のものによってチャネル領域126から横方向に分離され、ソース領域130とは反対側に位置する。
【0035】
図1Iを参照すると、ゲートエッチングプロセス122は、ゲート層118がゲート124の外側で除去された後、オーバーエッチ工程において継続され得る。第2の電源の電力レベルを低減し、アルミニウム不活性化種を提供することは、有利にも、基板104を横切るゲート層118の厚みの変動にもかかわらず、エッチ停止層116又は障壁層112のかなりの量を除去することなく、基板104を横切るゲート層118を完全になくすことを可能にする。
【0036】
アクセス領域128内の2DEG114の自由電荷キャリア密度は、ゲート層118が形成される前の自由電荷キャリア密度に匹敵する値まで増加し得る。アクセス領域128内の2DEG114の自由電荷キャリア密度は、3×1012cm-2~2×1013cm-2とし得、GaN FET102のための所望のオン状態抵抗を提供する。2DEG114のチャネル領域126は、アクセス領域128内の2DEG114の自由電荷キャリア密度の1パーセントから75パーセントの非ゼロ電子密度を保持する。
【0037】
その後、ゲートマスク120が除去される。ゲートマスク120内のフォトレジスト及び他の有機材料が、酸素プラズマプロセス、ウェットエッチングプロセス、又はそれら両方の組合せによって除去され得る。ゲートマスク120内の無機ハードマスク材料が、例えば、フッ化水素酸の水溶液を用いて、フッ素ラジカルを用いる、RIEプロセス又はウェットエッチングプロセスによって除去され得る。ゲートマスク120内の金属が、硝酸、酢酸、及び硫酸の組み合わせ、又は塩化第二鉄の溶液を用いる、ウェットエッチングプロセスによって除去され得る。
【0038】
ゲートエッチングプロセス122、及びゲートマスク120の除去は、ゲート層118からゲート124からわずかな量を除去してもよく、又はゲート124からゲート層118を除去しなくてもよく、その結果、ゲート124は5ナノメートル~500ナノメートルの厚みとし得る。
【0039】
図1Jを参照すると、ゲート124に隣接する障壁層112の上に誘電体層134が形成され得る。誘電体層134は、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、又はそれらの任意の組合せの1つ又は複数のサブ層を含み得る。誘電体膜134は、例えば、1つ又はそれ以上の低圧化学気相成長(LPCVD)プロセス、プラズマエンハンストケミカル蒸着(PECVD)プロセス、高密度プラズマ(HDP)プロセス、又は原子層堆積(ALD)プロセスによって形成され得る。誘電体層134は、有利にも、物理的又は化学的劣化から障壁層112を保護し得る。誘電体層134は、図1Jに示されるように、ゲート124の上に延在してもよい。
【0040】
障壁層112に隣接するゲート124の底部表面136が、チャネル層108とは反対側に位置する障壁層112の頂部表面138を越えて延在せず、有利にも、製造コスト及び複雑さを増加させるゲート窪みエッチングなしにGaN FET102を形成することを可能にする。GaN FETは、ゲート124と障壁層112との間にいかなる誘電性材料も含まず、同じく製造コスト及び複雑さを増加させるゲート誘電体層を形成することなくGaN FET102を形成することを有利に可能にする。GaN FETは、ゲート124に隣接するIII-N半導体材料を含まず、ゲート124の底部表面136の上に延在し、有利にも、製造コスト及び複雑さをさらに増加させる障壁再成長層を形成することなくGaN FET102を形成することを可能にする。
【0041】
図1Kを参照すると、ゲートコンタクト140が、誘電体層134を介し、ゲート124に接して形成される。ゲートコンタクト140は、図1Kに示されるように誘電体層134を介して開口と整合されてもよく、又は開口の周りで誘電体層134の上の途中まで延在してもよい。ソースコンタクト142が、誘電体層134及び障壁層112を介して形成され、ソース領域130において2DEG114と接する。ドレインコンタクト144が、誘電体層134及び障壁層112を介して形成され、ドレイン領域132において2DEG114と接する。ゲートコンタクト140、ソースコンタクト142、及びドレインコンタクト144は、導電性であり、チタン、タングステン、又はアルミニウムなどの1つ又は複数の金属を含み得、或いは、カーボンナノチューブ又はグラフェンなどの他の導電性材料を含み得る。
【0042】
GaN FET102の動作の間、正電圧バイアスがソースコンタクト142に対してドレインコンタクト144に印加され、一方、負電圧バイアスがソースコンタクト142に対してゲートコンタクト140に印加される。ゲートコンタクト140に印加される負電圧バイアスは、2DEG114のチャネル領域126内の電子の自由電荷キャリア密度が本質的にゼロであるように、充分に負である。例えば、チャネル領域126内の電子の自由電荷キャリア密度は、2DEG114のアクセス領域128内の電子の自由電荷キャリア密度よりも少なくとも4桁小さい。ゲート124は、閾値未満にバイアスされていると言われる。チャネル領域126内の電子の自由電荷キャリア密度は本質的にゼロであるので、ドレインコンタクト144からGaN FET102を介してソースコンタクト142に流れる電流は本質的にない(例えば、チャネル領域126の幅のミクロン当たり10マイクロアンペア未満)。GaN FET102は、ゲート124が閾値未満にバイアスされているとき、オフ状態にある。
【0043】
GaN FET102の動作の間、ゲートコンタクト140に印加される電圧バイアスは、-10ボルト~-0.1ボルトである閾値電位を超えて増加し、チャネル領域126に電子を蓄積させる。ゲート124は、閾値を超えてバイアスされていると言われる。ソースコンタクト142に対してドレインコンタクト144に正電圧バイアスを印加し、一方、ゲート124が閾値を上回ってバイアスされると、ドレインコンタクト144からGaN FET102を介してソースコンタクト142に流れる電流となる。GaN FET102は、ゲート124が閾値を上回ってバイアスされているとき、オン状態にある。-10ボルト~-0.1ボルトの閾値電位を有することは、有利にも、例えば、-50ボルト~-20ボルトの閾値電位を有するGaN FETに必要とされるドライバと比較して、ゲートコンタクト140にバイアス電圧を印加するためにより小さいドライバを使用することが可能になり得る。
【0044】
図2は上面図であり、図3は、例示の半導体デバイス200の回路図であり、これは、本例ではGaN FET202と呼ばれる、低閾値デプリーションモード窒化ガリウム電界効果トランジスタ202と、GaN FET202に直列に接続されたシリコン金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)246とを含む。半導体デバイス200は、任意選択で、GaN FET202及びMOSFET246に接続されるドライバ集積回路(IC)248を含み得る。図2に示されるように、半導体デバイス200は、クワッドフラットパックノーリード(QFN)パッケージ内にあってもよく、又は別のパッケージタイプでパッケージされてもよい。封止材250は、図3において、GaN FET202、MOSFET246、及びドライバICの上から取り除かれる。半導体デバイス200は、図示しない外部構成要素への接続を提供する外部リード252を有する。GaN FET202のドレインコンタクト244が、ワイヤボンド254によって外部リード252のドレインリード252aに接続される。GaN FET202のソースコンタクト242が、付加的なワイヤボンド254によって、MOSFET246のドレイン端子256に接続される。MOSFET246のソース端子258が、更なるワイヤボンド254によって、外部リード252のソースリード252bに接続される。この例では、ドライバIC248は、GaN FET202のゲートコンタクト240に及びMOSFET246のゲート端子260に接続され得る。代替として、MOSFET246のゲート端子260は、外部リード252のうちの1つに接続されてもよい。ドライバIC248の入力端子262が、更なるワイヤボンド254によって、外部リード252の制御リード252cに接続される。
【0045】
GaN FET202は、図1Kに示されるような構造を有し、-10ボルト~-0.5ボルトの閾値電位を有する。半導体デバイス200の動作の間、MOSFET246は、GaN FET202の閾値電位の大きさに対応するドレイン・ソース電位差で動作する。-10ボルト~-0.5ボルトの閾値電位を有することで、-50ボルト~-20ボルトの閾値電位を有するGaN FETを有する同等の半導体デバイスと比較して、MOSFET246のサイズを小さくすることが可能となる。一例として、MOSFET246は、-30ボルトの閾値電位を有するGaN FETに必要とされるMOSFETよりも2~5倍小さくし得る。MOSFET246のサイズを小さくすることは、有利にも半導体デバイス200のコストを低くし得る。
【0046】
本記載の種々の実施例を上述してきたが、それらは単に例として提示したものであり、限定ではない。本記載の精神又は範囲から逸脱することなく、記載された実施例に対する多数の変更を本記載の記載に従って行うことができる。従って、本発明の幅及び範囲は、上述の実施例のいずれによっても限定されない。むしろ、説明の範囲は、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物に従って定義される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図1J
図1K
図2
図3
【国際調査報告】