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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-13
(54)【発明の名称】プラスチック廃材の解重合プロセス
(51)【国際特許分類】
   C10G 1/10 20060101AFI20231206BHJP
   C10B 53/07 20060101ALI20231206BHJP
   C08J 11/10 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
C10G1/10
C10B53/07
C08J11/10 ZAB
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533652
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(85)【翻訳文提出日】2023-06-01
(86)【国際出願番号】 EP2021086926
(87)【国際公開番号】W WO2022136333
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】20216344.0
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513076604
【氏名又は名称】バーゼル・ポリオレフィン・イタリア・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】アリチ デ フィネッティ、ニコロ
(72)【発明者】
【氏名】ブリタ、ディエゴ
(72)【発明者】
【氏名】マズッコ、アントニオ
【テーマコード(参考)】
4F401
4H012
4H129
【Fターム(参考)】
4F401AA27
4F401BA03
4F401CA58
4F401CA70
4F401CA75
4F401CA90
4F401CB14
4F401CB26
4F401DA15
4F401EA77
4F401FA01Z
4F401FA02Z
4H012HB03
4H012HB10
4H129AA01
4H129BA04
4H129BB03
4H129BB04
4H129BC03
4H129BC06
4H129BC12
4H129BC13
4H129BC14
4H129BC38
4H129KA17
4H129KB02
4H129KC15Y
4H129NA22
4H129NA23
4H129NA29
4H129NA43
4H129NA44
4H129NA45
(57)【要約】

廃プラスチック材料を解重合して熱分解油を生成するための熱触媒プロセスであって、2つの撹拌容器解重合反応器と、2つの凝縮部とを備えるプロセスが開示されている。この構成には、チャー取扱部も備えられる。このプロセスは、高効率および汎用性があり、様々な最終用途のための油の形態の熱分解生成物を生成することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃プラスチック材料を解重合して熱分解生成物を生成するプロセスであって、
(a) 廃プラスチック材料を含む混合物を、無酸素雰囲気下において、前記プラスチック材料の溶融温度で加熱される少なくとも1つのスクリュー押出機(1)を備える供給システムに供給するステップと、
(b) 前記押出機からの前記溶融プラスチック材料を、280~600℃の温度範囲に維持され、1~10bargの圧力範囲で作動する連続式撹拌槽反応器である第1の解重合反応器(2)に供給するステップであって、前記第1の解重合反応器において、解重合を進行させることで、ガス状流出物および液体流出物を形成させるステップと、
(c) 前記第1の反応器(2)内で生成された前記液体流出物の少なくとも一部をチャー取扱部(6)に導き、前記反応器(2)からのガス状流出物を、ガス流および液体流を生成する凝縮ユニット(3)に供給するステップと、
(d) 前記第1の凝縮ユニット(3)からの前記ガス流を前記第1の凝縮ユニットよりも低い温度で動作する第2の凝縮ユニット(5)に導き、前記凝縮ユニット(3)からの前記液体流を、280~600℃の温度範囲に維持され、1~10bargの圧力範囲で動作する連続式撹拌槽反応器である第2の解重合反応器(4)に導くステップであって、前記第2の解重合反応器(4)において、解重合を進行させることで、ガス状流出物および液体流出物を形成させるステップと、
(e) 前記解重合反応器(4)から前記ガス状流出物を抜き出して前記第2の凝縮ユニット(5)に供給し、前記解重合反応器(4)からの前記液体流出物の少なくとも一部を前記第1の解重合反応器(2)に再循環させるステップと、を含み、
さらに、凝縮ユニット(5)から熱分解生成物を回収することと、前記解重合反応器(2)および(4)の少なくとも一方が解重合触媒の存在下において作動することを特徴とするプロセス。
【請求項2】
前記プラスチック廃棄物は、ポリオレフィンが最もリッチな成分である廃棄物の混合物である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記解重合反応器(2)は、300~550℃、より好ましくは350~500℃の温度範囲、及び2.0~8bargの範囲、より好ましくは2.5~7bargの範囲に維持された圧力下で作動する撹拌容器である、請求項1~2のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項4】
反応器に入る廃プラスチックの溶融物質を、炭化水素油と予備混合する、請求項1~3のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記反応器の加熱は、300℃~570℃の温度範囲に加熱されて反応器ジャケット内を循環する溶融塩流による熱伝達によって行われる、請求項1~4のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記反応器(2)の底部から抜き出された液体スラリーの一部は、循環ポンプ(7)を介して前記反応器の頂部に再循環される、請求項1~5のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記凝縮器(3)は、前記反応器(2)よりも低い圧力で動作する、請求項1~6のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記凝縮器(3)は、重質炭化水素が凝縮され、軽質炭化水素がガス流として放出される洗浄塔である、請求項1~7のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記第2の解重合反応器(4)は、280~600℃の温度範囲、および前記第1の反応器よりも高い圧力、特に2~10bargの圧力範囲で作動する、請求項1~8のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項10】
新解重合触媒を前記反応器(4)に供給する、請求項1~9のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記凝縮ユニット(5)から回収された油の形態の熱分解生成物は、組成(ガスクロマトグラフィー測定)として、
滞留時間がn-ヘプタンの滞留時間以下である約10~約15重量%の部分と、
滞留時間がn-ヘプタンの滞留時間とn-ドデカンの滞留時間との間である約70~75重量%の部分と、
滞留時間がn-ドデカンの滞留時間よりも長いが、n-オクタデカンの滞留時間よりも短い約12~20重量%の生成物と、を有する、請求項1~10のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記第2の凝縮ユニットから回収された油の形態の熱分解生成物は、分解プラントで炭化水素供給原料として使用される、請求項1~11のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記第1の反応器(2)内で生成された前記液体流出物の少なくとも一部を、チャー取扱部に導き、前記チャー取扱部は、
- チャー含有スラリーを供給するための入口導管(6a-1)と、350~570℃の温度範囲で作動可能な撹拌システム(6b)とを備え、ガス状流出物を抜き出すための導管(6b-1)をさらに備えた第1のジャケット付きチャンバ(6a)と、
- 濃縮スラリーを前記チャンバー(6a)から抜き出し、第2のチャンバー(6d)に搬送し、前記スラリーを前記チャンバー(6a)と同じ温度範囲に維持可能で、かつガス状流出物を除去して、乾燥チャーを生成する脱気システムを備えた手段(6c)と、
- 撹拌システム(6d-1)と、チャー出口(6d-2)と、前記チャンバーの底部に位置するガス入口(6d-3)と、前記チャーからストリッピングされたガス状流出物を除去するためのガス出口(6d-4)とを備えた、乾燥チャーを受ける第2のストリッピングチャンバ(6d)と、
- 前記ストリッピングチャンバ(6d)の乾燥チャーを受け、第3の収集チャンバ(6f)に搬送し、前記チャーを60℃~100℃の温度範囲に維持可能な手段(6e)と、
- 撹拌システム(6f-1)と、バルブ(6f-2)によって操作されるチャー廃棄用の出口とを備えた、乾燥チャーを受ける第3の収集チャンバ(6f)とを備える、請求項1~12のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記第1の反応器(2)内で生成された液体流出物の少なくとも一部をチャー取扱部に導き、前記チャー取扱部は、
チャー含有スラリーを供給するための入口導管(17a、18a)と、350℃~570℃の温度範囲で作動可能な撹拌システム(17b、18b)とを備え、ガス状流出物を抜き出すための導管(17c、18c)と、搬送手段に送られる乾燥チャーを抜き出すための導管(17d、18d)とを備えた、2つ以上のジャケット付きチャンバ(17、18)と、
前記1対のジャケット付きチャンバ(17、18)を出たチャーの温度を下げることができる、収集チャンバ(21)にチャーを搬送するための手段(19、20)と、
撹拌システム(21a)と、チャー廃棄用の出口とを備えた、乾燥チャーを収集する収集チャンバ(21)とを備える、請求項1~12のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記第1の反応器(2)でスラリーの形態として生成され、チャー取扱部に導かれる液体流出物中のチャー含有量が、前記スラリーの総重量に対して10~50重量%、好ましくは20~40重量%の範囲である、請求項1~14のいずれか1項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラスチック廃棄物を解重合して、価値ある有用な特性を有する炭化水素油を含む新しい製品を生成する分野に関する。一態様では、本開示は、プラスチックを液体炭化水素、特に炭化水素の原料として使用される液体炭化水素に変換するプロセスに関する。
【技術背景】
【0002】
廃プラスチック材料が環境に悪影響を及ぼし、その結果、あらゆる形態の生命の健康に悪影響を及ぼすことがますます認識されるようになってきている。
【0003】
この影響を緩和する試みの1つは、家庭や産業廃棄物からプラスチック材料をリサイクルすることで、その一部を生産サイクルに再導入している。これは、プラスチック製品を製造するための化石炭化水素源の使用を削減するなど、さらなる積極的な成果につながる。
【0004】
しかし、この解決策だけでは持続可能性の目標を達成するには不十分であることは、さまざまな要因が示唆している。実際には、プラスチック材料の機械的なリサイクルは、一般的に低品質の物質を生成し、比較的高価で煩雑であり、プラスチックをさまざまな異なる材料に混ぜる一部の都市廃棄物には適していない。
【0005】
結果として、プラスチック廃棄物の大部分は、焼却炉等の工場の熱エネルギー源として利用されるか、単に埋立地に貯蔵されており、前述のように、COの増加による危険化学物質の排出・放出による地球環境の悪化を招くことになる。
【0006】
以記を考慮して、廃プラスチック原料を、特に燃料として価値のある有用な特性を有する液体炭化水素製品に効率的に再加工する試みがこれまでにも数多く行われてきた。
【0007】
熱触媒作用とは、無酸素条件下で熱分解および必要に応じて触媒分解の効果によってプラスチック廃材を液体燃料(熱分解生成物)に変換する基本的なプロセスである。プラスチック廃棄物は、通常、不活性パージガス(窒素ガスなど)の下でステンレス鋼チャンバー内で最初に溶融される。第1の熱ステップでは、このチャンバーは、溶融材料をガス状に加熱し、その後の熱触媒ステップでは、分解して可変長炭化水素鎖を形成する。
【0008】
次いで、熱分解ガスを1つまたは複数の凝縮器で凝縮させて、直鎖状および分岐状の脂肪族炭化水素、環状脂肪族炭化水素および芳香族炭化水素を含む炭化水素留出物(熱分解油)を生成する。得られた混合物は、組成に応じて様々な用途に使用されるが、いずれの場合も、製品の一貫性と品質の要件を満たさなければならない。また、プラスチック廃棄物原料の組成が不安定であるため、回収油の品質の一貫性を満足させることが困難である。
【0009】
1つまたは複数の接触分解段階の使用は、作動分解温度の低下に寄与し、生成物組成を所望の目的に向けてもよい。米国特許第5,608,136号によれば、使用される触媒の量は、プラスチックの処理量に対して10重量%~200重量%の範囲である。これは、回収油の単位当たりのコストに大きく影響し、コストを持続可能にするために、実際には、プラントに別の触媒回収部を設けることが必須となる。
【0010】
工業用熱分解プラントまたは熱触媒プラントは、ツインチャンバーシステムとして知られており、ほぼ等しい速度で並行して動作する2つの熱分解室を有し、2つの熱分解室を有してもよい。2つのチャンバーが同時に廃棄物の熱分解を完了すると、各チャンバーの内部底部から不要な炭素質チャーを除去する前に、各チャンバーが冷却されるのを待つ必要がある。1つの変形例では、チャンバーは、一方のチャンバーが洗浄処理下中に、他方のチャンバーが動作するように、交互モードで動作してもよい。しかし、この方法では、単位時間当たりのプラスチック処理量が減少してしまう。
【0011】
上記を考慮して、本開示の目的は、高い生産性、同時に安定した品質、熱分解生成物としての液体炭化水素の高スループットを有し、滑らかで連続的かつ経済的な操作性と、触媒の消費量を少なくして操作できる可能性がある、プラスチック廃棄物の熱触媒分解プロセスを提供することである。
【発明の概要】
【0012】
したがって、本開示の一態様は、廃プラスチック材料を解重合して熱分解生成物を生成するプロセスであって、
(a) 廃プラスチック材料を含む混合物を、無酸素雰囲気下において、前記プラスチック材料の溶融温度で加熱される少なくとも1つのスクリュー押出機(1)を備える供給システムに供給するステップと、
(b) 前記押出機からの前記溶融プラスチック材料を、280~600℃の温度範囲に維持され、1~10bargの圧力範囲で作動する連続式撹拌槽反応器である第1の解重合反応器(2)に供給するステップであって、前記第1の解重合反応器において、解重合を進行させることで、ガス状流出物および液体流出物を形成させるステップと、
(c) 前記第1の反応器(2)内で生成された前記液体流出物の少なくとも一部をチャー取扱部(6)に導き、前記反応器(2)からのガス状流出物を、ガス流および液体流を生成する凝縮ユニット(3)に供給するステップと、
(d) 前記第1の凝縮ユニット(3)からの前記ガス流を前記第1の凝縮ユニットよりも低い温度で動作する第2の凝縮ユニット(5)に導き、前記凝縮ユニット(3)からの前記液体流を、280~600℃の温度範囲に維持され、1~10bargの圧力範囲で動作する連続式撹拌槽反応器である第2の解重合反応器(4)に導くステップであって、前記第2の解重合反応器(4)において、解重合を進行させることで、ガス状流出物および液体流出物を形成させるステップと、
(e) 前記解重合反応器(4)から前記ガス状流出物を抜き出して前記第2の凝縮ユニット(5)に供給し、前記解重合反応器(4)からの前記液体流出物の少なくとも一部を前記第1の解重合反応器(2)に再循環させるステップと、を含み、
さらに、凝縮ユニット(5)から熱分解生成物を回収することと、前記解重合反応器(2)および(4)の少なくとも一方が解重合触媒の存在下において作動することを特徴とするプロセスである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】熱触媒プロセスプラントの概略図である。
図2】第1のタイプの取扱部の概略図である。
図3】第2のタイプの取扱部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示のプロセスは、連続モードで行うことが好ましい。
【0015】
段階(a)において、充填システムは、供給される廃プラスチック材料を好ましくは連続モードで反応器(2)に充填することを可能にする。酸素含有雰囲気をシステム内に導入しないように注意する必要がある。潜在的な酸素含有雰囲気に対するバリアは、例えば、窒素ブランケットまたは押出機のバレルに接続される真空システムなどの様々な手段によって得ることができる。
【0016】
より具体的には、プラスチック混合廃棄物は、1つまたは2つ以上の並列接続されるホッパーを用いて解重合反応器(2)の供給システム内に充填され、プラスチック廃棄物の雰囲気中に存在する酸素は、ホッパー(複数可)内で実質的に除去される。
【0017】
本開示に係るプロセスは、非常に柔軟であり、様々なプラスチック廃棄物組成物、例えばポリオレフィンが最も豊富な成分であるが、さらなる選別工程を追加すれば、経済的でない廃プラスチック材料のヘテロ混合物(イタリアではPlasmixと呼ばれる)などを供給することができる。特に、熱分解生成物を分解/精製装置に再循環させる場合には、ポリオレフィン(PEおよびPP)の含有量が70重量%以上であるプラスチック混合廃棄物を解重合することが好ましい。
【0018】
廃プラスチック材料は、前処理段階を経ることが好ましい。前処理段階において、廃プラスチック材料は熱によって溶融され、アルカリ性材料であり得る添加剤と混合される場合がある。溶融前処理により、異なる種類の廃プラスチックの不均一な混合物は、均一なプラスチック複合材料の物質に変換することができる。それゆら、この前処理は、添加剤を使用せずに熱分解する場合においても好ましい。
【0019】
前処理段階における加熱温度は、被処理プラスチック材料の熱分解が抑制されるように、廃プラスチック材料に含まれるプラスチックの種類や含有量に応じて適切に設定される。このような温度は、一般に100℃~300℃の範囲であり、好ましくは150℃~250℃の範囲である。300℃付近またはそれ以上の温度では、HClが存在し得るPVC樹脂から除去される。
【0020】
溶融/混練前処理中において廃プラスチック材料がアルカリ性材料と混合されている場合、HCl形成ガスは、排気系を介して除去されて中和されてもよく、トラップされてもよい。溶融操作を行うには、一般的なニーダー、スクリュー付き押出機などが使用できる。プラスチック廃棄物は、好ましくは押出機によって解重合反応器に供給される。
【0021】
押出機は、プラスチック廃材を溶融し、それを高温(250~350℃)に保持し、第1の解重合反応器(2)内に注入する。押出機は、供給ホッパーに小片に切断されたプラスチック廃材を受け取り、溶融部で流れを搬送し、混合エネルギーとバレルヒータによって供給される熱との複合作用によってポリマーを加熱してもよい。
【0022】
添加剤は、受け取ったプラスチック廃材の腐食性を低下させるか、または反応部での変換プロセスを改善するために、任意に溶融物に配合されてもよい。
【0023】
押出し時に、製品中に存在する残留湿気を除去するために、1つ以上の脱気ステップを予見することができる。
【0024】
溶融物の流れは、反応器(2)に供給される前に、プラスチック廃棄物中に存在する固体不純物を除去するために濾過されてもよい。
【0025】
固体不純物の量や粒径に応じて、いくつかの設計で製造される溶融濾過ユニットを適用することができる。
【0026】
手動で濾過素子を交換することなく長時間(数日)作動することができる自己浄化型溶融フィルターを使用することが好ましい。
【0027】
溶融フィルターの好ましい設計の1つは、溶融濾過素子としての円形多孔板、固体汚染物質が蓄積される穴(レーザーによって形成されるか、または開口部に応じて機械加工によって形成される)に基づくものである。不純物が蓄積すると、溶融フィルター上の差圧が増加する可能性がある。濾過素子のインライン洗浄を行うために、回転スクレーパは蓄積された不純物を除去して排出口に導き、排出口は短時間開いてプロセスにおい生じる汚染物質を取り除く。
【0028】
このサイクルは、手動で操作したり、濾過素子を交換するのに必要な時間だけ生産を停止したりする必要はなく、数回(数日間の操作時間まで)繰り返すことができる。
【0029】
別の選択肢としての自己浄化型溶融フィルターは、高分子流が通過する連続式濾過金属バンドの適用に基づくものである。不純物が金属フィルター上に蓄積され、圧力が上昇する。これにより、詰まったろ過バンド部分はポリマー流路から押し出された後、洗浄部が挿入される。
【0030】
このプロセスは自動的であり、手動で操作したり、濾過素子を交換するのに必要な時間だけ生産を停止したりする必要はなく、長時間(数日まで)繰り返すことができる。
【0031】
一軸押出機、二軸押出機、ギアポンプ付き二軸押出機、またはこれらの組み合わせなどの任意の押出システムが使用できる。
【0032】
ステップ(b)において、解重合反応器(2)は、300~550℃、より好ましくは350~500℃の温度範囲で作動する攪拌容器であることが好ましい。
【0033】
作動圧力は、好ましくは2.0~8bargの範囲、より好ましくは2.5~7bargの範囲に保持される。
【0034】
物質の流動性を改善するために、以下のように好ましい実施形態を構成する。すなわち、反応器に入る廃プラスチックの溶融物湿を、炭化水素油、好ましくは第1の凝縮ユニットからの再循環油と予備混合して、解重合反応器での溶融物の溶解を促進する。この場合、油/溶融物質の体積比は、0.1:1~1:1の範囲とすることができる。
【0035】
解重合反応器(2)は、断面が円筒形であることが好ましく、底部が円形であることが好ましい。
【0036】
好ましくは、反応器は、その垂直軸に取り付けられたミキサを有し、ミキサのブレードを回転させてシステムを撹拌状態に維持することを可能にするギヤードモータを備える。ミキサの設計やモータのパワーは、反応器の含有量、体積および形状に応じて変化してもよい。しかしながら、非限定的な例として、0.2~4kW/m、好ましくは0.2~2kW/m、より好ましくは0.3~1.5kW/mのパワー入力で反応器を作動させることが好ましい。
【0037】
反応器の加熱は、300~570℃の温度範囲に加熱された溶融塩流による熱伝達によって行われる。
【0038】
溶融塩の供給回路(図示せず)は、溶融塩の漏出を防止するように構成されている。溶融塩は、好ましくは、硝酸ナトリウムと硝酸カリウムとの混合物からなる溶融天日塩であり、より好ましくは、2:3~3:2の重量比で混合した天日塩である。天日塩は、電気式または燃料が供給された専用の炉から順次熱を受ける。後者の場合、凝縮ユニット(5)からの回収油の一部は、<の炉に供給するために用いられてもよい。代替または組み合わせとして、熱は、ガス状炭化水素または液体炭化水素を燃焼させるによって生成してもよい。ガス状炭化水素を使用することが好ましい。
【0039】
溶融塩に伴う熱は、反応器全体を取り囲むジャケットを通して循環させることにより、および/または後述する外部熱交換器に溶融塩を供給することにより、解重合反応器に伝達されることが好ましい。
【0040】
いずれの場合においても、塩は循環ポンプを使用して循環させる。一連のフィンは、ジャケット内の溶融塩の流れの均一な分布と熱交換係数の最大化を確保する。
【0041】
反応器内で行われる解重合プロセスにおいて、鎖長が短縮され、沸点が低い分子を生成する。この連続的に進行する鎖切断機構、特に反応器の壁に近接する鎖切断機構は、徐々に小さくなる分子を生成し、これらの分子の一部は作動温度および圧力でガス状のものである。
【0042】
その結果、反応器内の組成物は、メタンから比較的重い生成物まで幅広い炭化水素をカバーし、これらは直鎖または高分岐構造を有する、飽和炭化水素およびオレフィンの両方を含む。いくつかの芳香族生成物や縮合環構造が存在してもよい。
【0043】
作動条件下において液体のままである物質は、液体物質の粘度を低下させるのに役立つ。解重合プロセスおよび供給物の組成により、反応器(2)の内容物は、液体スラリー相(固体、特に炭素物質および無機物質が液体炭化水素混合物中に分散している)と気相との共存として定義することができる。
【0044】
液体スラリー相の少なくとも一部は、反応器、好ましくは反応器の底部から抜き出され、以降にさらに詳述されるチャー取扱部(6)に送られる液体流出物を構成する。
【0045】
操作上の観点から、反応器の底部からのスラリー相の抜き出しは、液体スラリーの密度が所定値に達したことを検出する密度センサによってトリガーされることが好ましい。
【0046】
特定の好ましい実施形態では、反応器(2)から抜き出された液体スラリーの一部は、循環ポンプ(7)を介して再循環され、必要に応じて外部ヒータ(8)によって反応器の頂部に戻される。上述したように、外部ヒータに伝達される熱は、溶融塩によって供給されることが好ましい。本実施形態は、反応器内容物の均質性および反応器加熱の両方を改善させることができる。
【0047】
好ましい実施形態によれば、反応器に再循環される液体スラリー部分は、チャー取扱部に送られる液体スラリー部分を抜き出すポイントとは異なるポイントから抜き出される。
【0048】
別の好ましい実施形態によれば、反応器に再循環される液体スラリー部分とチャー取扱部に送られる液体スラリー部分の両方は、同一のポイントから抜き出された後、順次分割される。
【0049】
チャー取扱部に送られる液体スラリー部分と反応器に再循環される液体スラリー部分との間の分割は、再循環ポンプ(7)の前方または後方のいずれかで行うことができる。後者の実施形態では、液体スラリーは、最初に、下側出口ポイントと上側出口ポイントとを備えた専用容器に供給される。チャー取扱部(6)に導かれた液体部分は、濃縮された形態で下側出口ポイントから抜き出され、反応器(2)に再循環される液体部分は、上側出口ポイントから抜き出される。
【0050】
反応器(2)の気相は、さらなる処理のために凝縮ユニット(3)に送られるガス状流出物を構成する。
【0051】
ガス状流出物は、軽質炭化水素の混合物を含み、いくつかの重質炭化水素および巻き込まれたチャー粒子をさらに含んでいてもよい。ガス状流出物は、反応器の上部から、好ましくは反応器の圧力よりもわずかに低い圧力で作動する凝縮ユニット(3)へ搬送される。
【0052】
凝縮ユニット(3)は、巻き込まれたチャーを抑制するために、洗浄塔として設計されることがより好ましい。凝縮器の温度は、重質炭化水素が凝縮され、軽質炭化水素がガス流として放出されるように選択される。ガス流(Hおよび軽質炭化水素)は、油を回収する凝縮ユニット(3)よりも低い温度で作動する別の凝縮ユニット(5)に搬送される。
【0053】
凝縮ユニット(3)の作動温度は、作動圧力に応じて広い範囲で変化してもよい。大気圧を基準とする温度は、20~200℃であってもよく、より好ましくは50~200℃、特に好ましくは60~180℃であってもよい。より高い作動圧力が選択される場合、温度範囲をもちろん変更させてもよい。
【0054】
特定の実施形態では、凝縮器ユニット(3)は約80℃で作動し、凝縮液体は採取され、GC分析によって分析される。
【0055】
化合物の数は非常に多いため、分析結果は、特定の炭化水素を内部滞留時間の基準として、滞留時間に応じて得られた化合物をグループ化することにより報告される。結果より、滞留時間がn-ヘプタンの滞留時間以下である約2重量%以上の化合物、滞留時間がn-ヘプタンの滞留時間とn-ドデカンの滞留時間との間である約25重量%以上の化合物、および滞留時間がn-ドデカンの滞留時間よりも高いがn-オクタコサンの滞留時間よりも低い、より豊富な化合物部分(70重量%以下)が存在し、滞留時間がより高い部分が少量に存在する可能性があることを示す。
【0056】
凝縮ユニット(3)の好ましい構成において、デフレグメーター(部分凝縮器)はスクラバーの上部に取り付けられ、塔内の温度よりも低い温度で作動する。凝縮液は、重力によってスクラバーの還流液として流下する。デフレグメータは、別個の装置として取り付けられてもよく、スクラバー内に取り付けられてもよい。
【0057】
別の好ましい構成において、ポンプは、スクラバーの底部に収集された液体を塔の頂部に再循環させる。再循環された液体は、還流液としてスクラバーの頂部に注入される前に、専用の熱交換器で冷却される。
【0058】
好ましくはC7の炭素原子よりも多い炭素原子を有する炭化水素凝縮物は、ポンプによって第2の解重合反応器(4)に搬送される液体流を構成する。
【0059】
第2の解重合反応器(4)は、好ましくは第1の解重合反応器と同じタイプであり、より好ましくは連続式攪拌槽型反応器である。
【0060】
解重合は同じ温度範囲で行われるが、重質炭化水素の揮発性を制限するために、好ましくは第1の反応器よりも高い圧力で行われ、具体的には、2~10barg、好ましくは3~9barg、より好ましくは3~8bargの範囲で行われる。
【0061】
反応器(4)には、反応器(2)からの凝縮流出物が供給されるため、より少量の不純物を含有し、より少量のチャーを生成する。新触媒は導管(15)を介して反応器(4)へ供給されることが好ましい。
【0062】
本開示によれば、触媒は、熱触媒プロセスにおいて解重合/分解触媒として作用する活性触媒から選択されてもよい。特に、金属酸化物、ヘテロポリ酸、メソポーラスシリカ、アルミノケイ酸触媒(例えば、ハロイサイト、カオリナイトなど)、好ましくはゼオライトから選択されてもよい。中でも、特に好ましいゼオライトは、合成Y型ゼオライトおよびZSM-5である。
【0063】
特に好ましい実施形態では、触媒の供給量は、プラスチック廃棄物の供給量に対して10重量%以下、好ましくは5%以下、特に2重量%以下である。
【0064】
好ましい実施形態では、触媒は、炭化水素油、好ましくは凝縮ユニット(3)または(5)から得られた液体熱分解生成物(油)、好ましくは凝縮ユニット(3)から得られた液体熱分解生成物(油)中に分散した粉末として第2の反応器に注入される。
【0065】
触媒スラリーは、スラリー中の触媒の濃度を一定に保つために、専用サイロから触媒を注入したポット(連続攪拌槽)内で調製されることが好ましい。
【0066】
触媒を分散させた熱分解油は、ポット内のスラリーのレベルを一定に保つために、凝縮ユニット(3)から抜き出されることが好ましい。準備ができる次第、触媒スラリーを、好ましくは第2の反応器に注入できるようになり、好ましくはプログレッシブキャビティポンプによってそのレベルを一定に保つように注入できるようになる。
【0067】
反応器(4)からの液体流出物は、好ましくは解重合触媒を含有する高濃度の炭化水素スラリーであることが好ましい。この液体流出物は、第2の反応器から排出され、導管(16)を介して第1の反応器に戻される。スラリーを抜き出すために反応器(4)において行われる同様の濃度制御は、好ましくは反応器(2)にも適用する。
【0068】
スラリーの濃度は、γ線測定やコリオリ密度計などの利用可能な方法によって制御することができる。第1の反応器の作動圧力が第2の反応器の作動圧力よりも低い場合、第1の反応器に入るスラリーの軽質炭化水素は蒸発し、反応器(2)で生成されたガス状流出物とともに抽出されることが予想される。
【0069】
第1の反応器に再循環されるスラリーの量は、第2の反応器内容物の5~40体積%、より好ましくは10~30体積%であることが好ましい。
【0070】
また、反応器(4)において、以下のように好ましい実施形態を構成する。すなわち、反応器(4)の底部から抜き出された液体スラリーの一部が循環ポンプ(12)を介して再循環され、外部加熱器(13)によって反応器の頂部に戻される。
【0071】
反応器(4)から生成されたガス状流出物は、油の形態の熱分解生成物を回収するために凝縮ユニット(5)に搬送される。
【0072】
凝縮ユニット(5)は、凝縮ユニット(3)と同様の構成を有することが好ましい。
【0073】
凝縮ユニット(5)の作動条件は、凝縮ユニット(5)が凝縮ユニット(3)に対してより低い作動温度および圧力で作動するように選択されることが好ましい。
【0074】
特に、温度は20~80℃、好ましくは30~70℃の範囲とすることができる。圧力値は、凝縮ユニット(3)からの不凝縮性ガスが、さらに加圧されることなく、凝縮ユニット(5)に入ることを可能にするために、凝縮ユニット(3)の圧力値よりも低くすることが好ましい。凝縮ユニット5から回収される油は、通常、第1の凝縮ユニットから回収される油よりも軽量であり、特に以下の組成(GC測定)を有してもよい。
滞留時間がn-ヘプタンの滞留時間以下である約10~15%重量%の部分
滞留時間がn-ヘプタンの滞留時間とn-ドデカンの滞留時間との間である約70~75重量%の部分、
滞留時間がn-ドデカンの滞留時間よりも高いがn-オクタコサンの滞留時間よりも低い、約12~20重量%の生成物、
滞留時間がより長い極微量の化合物。
【0075】
上述したように、熱分解反応器(2)から排出され、チャー取扱部に送られる液体流出物は、反応器の下部から抜き出されたスラリーの形態で濃縮され、好ましくは連続して排出される。加圧反応器を操作することにより、追加の抜出装置を使用することなく、濃縮スラリーを低圧装置に容易に排出することができる。上述したように、スラリーは、反応器の底部から排出されてもよく、あるいは存在する場合には、循環ポンプ(7)の後方のラインまたは容器から排出されてもよい。
【0076】
プロセス設定の観点から、スラリー流の流れは連続的であることが好ましい。スラリー中のチャー含有量は10~50%、好ましくは20~40重量%の範囲とすることができる。
【0077】
好ましいチャー取扱部は、
チャー含有スラリーを供給するための入口導管(6a-1)と、350~570℃の温度範囲で作動可能な撹拌システム(6b)とを備え、ガス状流出物を抜き出すための導管(6b-1)をさらに備えた第1のジャケット付きチャンバ(6a)と、
濃縮スラリーを前記チャンバー(6a)から抜き出し、第2のチャンバー(6d)に搬送し、前記スラリーを前記チャンバー(6a)と同じ温度範囲に維持可能で、かつガス状流出物を除去して、乾燥チャーを生成する脱気システムを備えた手段(6c)と、
撹拌システム(6d-1)と、チャー出口(6d-2)と、前記チャンバーの底部に位置するガス入口(6d-3)と、前記チャーからストリッピングされたガス状流出物を除去するためのガス出口(6d-4)とを備えた、乾燥チャーを受ける第2のストリッピングチャンバ(6d)と、
前記ストリッピングチャンバ(6d)の乾燥チャーを受け、第3の収集チャンバ(6f)に搬送し、前記チャーを60℃~100℃の温度範囲に維持可能な手段(6e)と、
撹拌システム(6f-1)と、バルブ(6f-2)によって操作されるチャー廃棄用の出口とを備えた、乾燥チャーを受ける第3の収集チャンバ(6f)とを備える。
【0078】
チャー取扱プロセスの目的は、プラスチック供給物中の解重合できない固形分を分離して廃棄することである。
【0079】
好ましい実施形態では、反応器(2)から抜き出された高温スラリーは、350~570℃の温度範囲で作動するジャケット付きチャンバ(6a)に送られ、高温ジャケットによって伝達される熱の効果により、回転翼(6b)による攪拌下にて解重合プロセスを行うことができる。生成されたガス状流出物は、チャンバ(6a)を出て、好ましくは凝縮ユニット(3)に送られ、第1の反応器(2)のガス状流出物とともに処理される。濾過手段は、巻き込まれたチャー粒子を遮断するために、ガス出口導管に取り付けられることが好ましい。特定の実施形態では、ガス状流出物は、最初に専用ユニットで凝縮され、そしてポンプユニットによって凝縮ユニット(3)に送り返される。
【0080】
濃縮スラリー(泥)は形成され、スクリュー(高温)コンベア(6c)によってチャンバ(6a)の底部から抜き出され、チャンバ(6d)へ搬送される。スクリューコンベア(6c)は、チャンバ(6a)と同じ温度範囲内で動作できるようにジャケット付きのものであることが好ましい。より好ましい実施形態では、溶融した天日塩は、チャンバー(6a)およびスクリューコンベア(6c)のジャケット内を循環する。
【0081】
スクリューコンベヤ(6c)は、互いに接続される2つの異なるコンベヤにより構成されることが好ましい。好ましくは泥の形態の濃縮スラリーは、第1の昇降スクリューコンベア(6c-1)によってチャンバ(6a)の底部から抜き出されることが好ましい。第1の昇降スクリューコンベア(6c-1)は、下端がチャンバ(6a)の底部と一体化され、上端が下端よりも高い位置にあり、かつ第2のスクリューコンベア(6c-2)の一端に接続され、第2のスクリューコンベアの他端が、スラリーを供給するようにストリッピングチャンバ(6d)の上部に接続される。両方のコンベヤは、ジャケット付きのものであり、チャンバ(6a)と同じ温度範囲で動作する。
【0082】
泥は、チャンバ(6a)の底部から持ち上げられ、第2のコンベヤによってストリッピングチャンバ(6d)に搬送されるとき、液体の一部がチャンバー(6a)内に逆流し、一部が除去されるガス状流出物に変換されるため、徐々に排出される。
【0083】
上述したシステムは、限られた量の液体を含有し、好ましくは部分的に乾燥させるチャー材料をストリッピングチャンバ(6d)に供給することを可能にする。
【0084】
ストリッピングチャンバ(6d)では、揮発性炭化水素生成物を除去するために、窒素をストリッピングチャンバの底部に注入することが好ましい。ガスはストリッピングチャンバ(6d)の上部から抜き出され、凝縮ユニット(3)に送られ、乾燥チャーは、好ましくはボールバルブを介してチャンバーの底部から排出され、60~100℃の温度範囲に維持される別のジャケット付きスクリューコンベア(6e)に入り、このコンベアは、好ましくは略大気圧および60~100℃の温度範囲で作動する第3の収集チャンバ(6f)にチャーを直接搬送する。収集チャンバーでは、窒素ガスの循環は、ガス入口(6f-3)およびガス出口(6f-4)によって維持される事がより好ましい。最終的に、乾燥チャーは、バルブ(6f-2)を介して排出され、好ましくは移動容器(6g)に排出され、取り扱われる。
【0085】
上記に開示されたチャーの除去処理および取り扱いのためのプロセスおよび装置は、非常に柔軟性があり、反応器(2)内の解重合を停止させることなく連続モードで作動することができる。また、反応器を並行して動作させて、連続的に作業する解重合プロセスを実行する必要がなくなるため、より軽量な解重合プラントを設置することも可能となる。
【0086】
チャー取扱プロセスは、また、約20重量%の排出触媒、50重量%の無機物、および約30重量%の炭素の典型的な組成を有する乾燥チャーを放出するのに非常に効率的である。
【0087】
別の実施形態では、図3によれば、チャー取扱部は、チャー含有スラリーを供給するための入口導管(17a、18a)と、350℃~570℃の温度範囲で作動可能な撹拌システム(17b、18b)とを備え、ガス状流出物を抜き出すための導管(17c、18c)と、搬送手段に送られる乾燥チャーを抜き出すための導管(17d、18d)とを備えた、2つ以上のジャケット付きチャンバ(17、18)と、
1対のジャケット付きチャンバ(17、18)を出たチャーの温度を下げることができる、収集チャンバ(21)にチャーを搬送するための手段(19、20)と、
撹拌システム(21a)と、チャー廃棄用の出口とを備えた、乾燥チャーを収集する収集チャンバ(21)とを備える。
【0088】
排出されたスラリーは、好ましくは2つのツイン脱揮チャンバー内で搬送される。
【0089】
各脱揮チャンバーは、好ましくは、交互モードおよび反対モードで動作する。第1のモード(蓄積)では、チャンバーは、排出されたスラリーを受けて収集する。第2のモード(乾燥)では、チャンバーは、熱処理の滞留時間を提供し、その間に重油が蒸発するか、軽油中でさらに熱分解される。
【0090】
好ましくは、一方の脱揮チャンバーが蓄積モードで動作している間、他方の脱揮チャンバーが乾燥モードで動作している。好ましくは、それらは、実質的に同時に1つのモードを完了し、他のモードに切り替えることができるように同期される。これにより、時間の経過とともに乾燥したチャーの一定の出力が保証される。
【0091】
熱処理の終了時に、チャーは実質的に乾燥していることが好ましい。
【0092】
脱揮チャンバーから放出された熱分解ガスは、凝縮部(3)と同様に動作する専用凝縮部(22)に送られる。
【0093】
好ましくは、熱分解蒸気は80~100℃で抑制、凝縮される。凝縮温度は、ワックスの形成を避けるために選択される。凝縮水は、導管(22a)を介して解重合反応器(2)に再循環されることが好ましい。
【0094】
非凝縮性画分は、窒素を主成分とし、炭化水素を微量同伴しており、導管22bを介して排出される排気ガスと考えられる。
【0095】
脱揮チャンバーは、ジャケット付き撹拌容器である。好ましくは、熱伝達流体は、高い作動温度(500~550℃)を達成できる天日塩である。
【0096】
脱揮チャンバーからの熱分解蒸気の除去は、ストリッピング窒素をフラッシュすることによって促進されることが好ましい。
【0097】
好ましくは、脱揮チャンバーと専用凝縮部とが連結され、1~3.0bargの圧力範囲で作動する。
【0098】
チャーが完全に乾燥した後、チャーを冷却するために特別に設計されたジャケット付きスクリューコンベヤ(19、20)に排出される。
【0099】
スクリューコンベアは、乾燥チャーを冷却する。カーボン顕熱は、本体ジャケット、ねじ軸、ねじ山(中空ねじ山)の1つまたは複数を流れる冷水により除去することが好ましい。
【0100】
乾燥された冷却チャーは、廃棄のために排出される前にプレチャンバー(21)に収集される。
【0101】
プレチャンバーはジャケット(冷水)と、撹拌機(21a)と、粉体の巻き込みを防止するバグフィルタ(21b)とを備えている。濾過された窒素ガスは排気ガスと考えられる。
【0102】
このように設計された解重合プロセスは、約10重量%の熱分解ガス、約80重量%の熱分解油、および約10重量%のチャーを生成することができるので、非常に効率的である。
【0103】
前述のように、本開示の熱分解プロセスの主要生成物の好適な使用は、分解プラント内で部分的に油原料を置換する炭化水素原料としてである。ただし、燃料など他の用途も考慮されている。
実施例
【0104】
実施例1
以下の実験ステップは、機械的撹拌容器(および加熱用ジャケット)からなる2つの反応器を直列に接続した解重合装置で実施された。第1の反応器は、押出機から供給されるプラスチック廃棄物の入口と、生成されたガスの出口とを有する。反応器から抜き出されたガスを凝縮器に送り、そこから、非凝縮ガスと熱分解油とを得た。温度を監視および記録するために、熱電対は反応器内に配置されている。凝縮ユニットから収集された油を、触媒供給用の入口をさらに備えた第2の解重合反応器に供給した。触媒を、凝縮部からの同一油の一部と混合することにより、固体スラリーとして反応器に供給した。
【0105】
第2の反応器はまた、反応器内容物の一部を第1の解重合反応器に再循環させるための出口ラインを備える。
【0106】
プラスチック廃棄物の供給原料を分析して、ポリオレフィン含有量(97重量%)、他の一般的な重合体(PET、PS、PA、PU)および無機汚染物質を微量に含む残留物を調べた。
【0107】
原料をホッパーに充填する前に、原料を均質化して造粒した。ホッパーは、290℃の温度で作動し、4kg/hの速度で連続的に解重合反応器に排出される押出機に供給する必要がある。第1の解重合反応器は、3bargの圧力と約408℃の温度の範囲で、平均滞留時間は約3時間である。80℃で作動する冷却/洗浄塔と25℃で作動するデフレグメータで形成された凝縮ユニットに反応器の気相を送った。次に、398℃、5 bargで作動する第2の容器に油流を加えた。この場合の平均滞留時間は約105分であった。第2の反応器では、サンプルのH-USYゼオライト型(CBV 400-CAS番号1318-02-1、Zeolyst International社製)を試験した。反応相の質量に対して6重量%の割合となるような量で、触媒を熱分解器に供給した。
【0108】
上記のように、反応器内容物の約10体積%を第1の反応器に循環させ、第2反応器からのガス出口を、同じく25℃に保持された第2凝縮器に送り、そこで熱分解油を凝縮させた。凝縮しないガス流を排気口に送った。
【0109】
凝縮油をGC-FIDで分析した。
【0110】
化合物の数は非常に多いので、特定の炭化水素を内部滞留時間基準とし、得られた化合物を滞留時間に応じてグループ化し、分析結果を報告した。結果を表1に示す。
【0111】
実施例2
反応器圧力は6bargに維持された以外、実施例1で報告されているプロセス設定と同様であった。第2の反応器での平均滞留時間は約150分であった。結果を表1に示す。
【0112】
比較例3
第1の反応器からのガス流は、同じように動作する最終凝縮ユニットに直接送られた以外、実施例1で説明したように同様の試験が行われた。また、表1の結果によれば、油組成物の品質が劣化している。
【0113】
比較例4
第2の反応器の内容物を第1の反応器に循環させない以外、実施例1で報告した条件で作動した。分解油の品質を同レベルに維持するために、第1の反応器内の滞留時間を3.2時間し、原料の供給量を3.3kg/hに減らした。
【0114】
【表1】

図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-06-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃プラスチック材料を解重合して熱分解生成物を生成するプロセスであって、
(a) 廃プラスチック材料を含む混合物を、無酸素雰囲気下において、前記プラスチック材料の溶融温度で加熱される少なくとも1つのスクリュー押出機(1)を備える供給システムに供給するステップと、
(b) 前記押出機からの前記溶融プラスチック材料を、280~600℃の温度範囲に維持され、1~10bargの圧力範囲で作動する連続式撹拌槽反応器である第1の解重合反応器(2)に供給するステップであって、前記第1の解重合反応器において、解重合を進行させることで、ガス状流出物および液体流出物を形成させるステップと、
(c) 前記第1の反応器(2)内で生成された前記液体流出物の少なくとも一部をチャー取扱部(6)に導き、前記反応器(2)からのガス状流出物を、ガス流および液体流を生成する凝縮ユニット(3)に供給するステップと、
(d) 前記第1の凝縮ユニット(3)からの前記ガス流を前記第1の凝縮ユニットよりも低い温度で動作する第2の凝縮ユニット(5)に導き、前記凝縮ユニット(3)からの前記液体流を、280~600℃の温度範囲に維持され、1~10bargの圧力範囲で動作する連続式撹拌槽反応器である第2の解重合反応器(4)に導くステップであって、前記第2の解重合反応器(4)において、解重合を進行させることで、ガス状流出物および液体流出物を形成させるステップと、
(e) 前記解重合反応器(4)から前記ガス状流出物を抜き出して前記第2の凝縮ユニット(5)に供給し、前記解重合反応器(4)からの前記液体流出物の少なくとも一部を前記第1の解重合反応器(2)に再循環させるステップと、を含み、
さらに、凝縮ユニット(5)から熱分解生成物を回収することと、前記解重合反応器(2)および(4)の少なくとも一方が解重合触媒の存在下において作動することを特徴とするプロセス。
【請求項2】
前記解重合反応器(2)は、300~550℃、より好ましくは350~500℃の温度範囲、及び2.0~8bargの範囲、より好ましくは2.5~7bargの範囲に維持された圧力下で作動する撹拌容器である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記反応器の加熱は、300℃~570℃の温度範囲に加熱されて反応器ジャケット内を循環する溶融塩流による熱伝達によって行われる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記反応器(2)の底部から抜き出された液体スラリーの一部は、循環ポンプ(7)を介して前記反応器の頂部に再循環される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記凝縮器(3)は、重質炭化水素が凝縮され、軽質炭化水素がガス流として放出される洗浄塔である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記第2の解重合反応器(4)は、280~600℃の温度範囲および前記第1の反応器よりも高い圧力、特に2~10bargの圧力範囲で作動する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
新解重合触媒を前記反応器(4)に供給する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記第1の反応器(2)内で生成された液体流出物の少なくとも一部を、チャー取扱部に導き、前記チャー取扱部は、
チャー含有スラリーを供給するための入口導管(17a、18a)と、350℃~570℃の温度範囲で作動可能な撹拌システム(17b、18b)とを備え、ガス状流出物を抜き出すための導管(17c、18c)と、搬送手段に送られる乾燥チャーを抜き出すための導管(17d、18d)とを備えた、2つ以上のジャケット付きチャンバ(17、18)と、
前記1対のジャケット付きチャンバ(17、18)を出たチャーの温度を下げることができる、収集チャンバ(21)にチャーを搬送するための手段(19、20)と、
撹拌システム(21a)と、チャー廃棄用の出口とを備えた、乾燥チャーを収集する収集チャンバ(21)とを備える、請求項1に記載のプロセス。

【国際調査報告】