(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-13
(54)【発明の名称】電気車の車体
(51)【国際特許分類】
B62D 25/20 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
B62D25/20 E
B62D25/20 C
B62D25/20 D
B62D25/20 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533700
(86)(22)【出願日】2021-11-16
(85)【翻訳文提出日】2023-07-11
(86)【国際出願番号】 KR2021016716
(87)【国際公開番号】W WO2022119176
(87)【国際公開日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】10-2020-0166765
(32)【優先日】2020-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522492576
【氏名又は名称】ポスコ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】イ、 ホン-ウ
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ジェヒュン
(72)【発明者】
【氏名】ソク、 ドン-ユン
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203AA31
3D203BB12
3D203BB14
3D203BB16
3D203BB17
3D203BB20
3D203BB22
3D203BB24
3D203BB25
3D203CA23
3D203CA26
3D203CA52
3D203DA22
3D203DB05
(57)【要約】
本発明は、前方または後方からの衝突時に乗客空間及びバッテリ空間に衝突荷重の浸透を最小化することができる電気車の車体に関するものであり、一側は前方バンパービームに結合され、他側は分岐して第1分岐部と第2分岐部を含むフロントサイドメンバ;上記第1分岐部及び上記第2分岐部と結合される第1フロントクロスメンバ;上記第2分岐部と結合されるサイドシール;上記フロントサイドメンバと結合されるフロントサブフレーム;及び上記車体の長さ方向に沿って延びる補強部材を含み、上記サイドシールと上記第1フロントクロスメンバに結合されるバッテリケースを含み、上記第1分岐部と上記第1フロントクロスメンバの結合位置及び上記第1分岐部と上記フロントサブフレームとの第1結合位置は、上記補強部材の断面が上記車体の長さ方向に延びた仮想断面に重なることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側は前方バンパービームに結合され、他側は分岐して形成された第1分岐部と第2分岐部を含むフロントサイドメンバ;
車体の幅方向に沿って延び、前記第1分岐部及び前記第2分岐部と結合される第1フロントクロスメンバ;
前記車体の長さ方向に沿って延び、前記第2分岐部と結合されるサイドシール;
前記フロントサイドメンバと結合されるフロントサブフレーム;及び
前記車体の長さ方向に沿って延びる補強部材を含み、前記第1フロントクロスメンバと前記サイドシールに結合されるバッテリケースを含み、
前記第1分岐部と前記第1フロントクロスメンバが結合された結合位置及び前記第1分岐部と前記フロントサブフレームが結合された第1結合位置は、前記補強部材の断面が前記車体の長さ方向に延びた仮想断面に重なる、電気車の車体。
【請求項2】
前記フロントサイドメンバは、線形に延び、一側が前記前方バンパービームと結合されるフロント部を含み、
前記第1分岐部と前記第2分岐部は、前記フロント部の他側から分岐した、請求項1に記載の電気車の車体。
【請求項3】
前記第1分岐部と前記第2分岐部は、前記フロント部よりも高い強度を有した材質で形成された、請求項2に記載の電気車の車体。
【請求項4】
前記第1分岐部と前記第2分岐部は、前記フロント部の厚さよりも厚く形成された、請求項2に記載の電気車の車体。
【請求項5】
前記車体の幅方向に沿って延び、前記フロントサイドメンバと結合される第2フロントクロスメンバをさらに含む、請求項1に記載の電気車の車体。
【請求項6】
前記第2フロントクロスメンバは、前記第1フロントクロスメンバよりも前方及び上部に位置し、前記第1分岐部に結合された、請求項5に記載の電気車の車体。
【請求項7】
前記第1フロントクロスメンバは、前記第2フロントクロスメンバの厚さよりも厚く形成された、請求項6に記載の電気車の車体。
【請求項8】
前記フロントサイドメンバは、前記車体の長さ方向に延びた中心線に対して所定の角度で傾斜して配置された、請求項1に記載の電気車の車体。
【請求項9】
前記フロントサイドメンバは、前記車体の幅方向である左右の両側にそれぞれ配置され、
2つの前記フロントサイドメンバは、前記車体の後方に行くほど互いに近づくように配置された、請求項8に記載の電気車の車体。
【請求項10】
前記第1分岐部は下方に折り曲げられて湾曲部が形成され、
前記湾曲部の端部は、一側面が前記第1フロントクロスメンバの前面と接触して固定された、請求項1に記載の電気車の車体。
【請求項11】
前記フロントサブフレームの後方の端部には、前記車体の長さ方向に延びた第1連結ブラケットが設けられ、
前記第1連結ブラケットと前記第1分岐部が前記第1結合位置を構成する、請求項10に記載の電気車の車体。
【請求項12】
前記第1連結ブラケットは、前記湾曲部の端部で底面に結合された、請求項11に記載の電気車の車体。
【請求項13】
前記第1結合位置は、前記第1分岐部と前記第1フロントクロスメンバとの結合位置よりも下方に位置した、請求項12に記載の電気車の車体。
【請求項14】
前記フロントサブフレームの後方の端部は、前記フロントサイドメンバに結合されて第2結合位置を構成し、
前記第2結合位置は、前記フロントサイドメンバにおいて、前記第1分岐部と前記第2分岐部が分岐する地点に対応するように位置する、請求項11に記載の電気車の車体。
【請求項15】
前記バッテリケースは、バッテリセルを収納するケース本体を含み、
前記ケース本体は、
複数の底板;
前記複数の底板を囲む側面フレーム;及び
前記複数の底板の間に配置され、長さ方向の両端部で前記側面フレームと結合する少なくとも2つの前記補強部材を含む、請求項11に記載の電気車の車体。
【請求項16】
前記補強部材は、
下部補強材、及び
前記下部補強材の上部に結合する上部補強材を含み、
前記下部補強材の端部と会う前記側面フレームの結合部位には、前記側面フレームの底面から高さ方向に凹みながら前記側面フレームの幅方向に貫通する結合溝が形成され、
前記下部補強材の端部は、前記結合溝を介して前記側面フレームを貫通して前記側面フレームから突出した突出部を形成する、請求項15に記載の電気車の車体。
【請求項17】
前記下部補強材の前方の突出部は、前記フロントサブフレームの第1連結ブラケットと離隔した、請求項16に記載の電気車の車体。
【請求項18】
前記第1結合位置は、前記下部補強材と対応する高さに位置した、請求項16に記載の電気車の車体。
【請求項19】
前記第1分岐部と前記第1フロントクロスメンバとの結合位置は、前記上部補強材と対応する高さに位置した、請求項16に記載の電気車の車体。
【請求項20】
前記第2分岐部と前記第1フロントクロスメンバとの結合位置は、前記車体の長さ方向に沿って延びる前記側面フレームの断面が前記車体の長さ方向に延びた仮想断面に重なる、請求項15に記載の電気車の車体。
【請求項21】
前記補強部材の長さ方向の軸線は、前記第1分岐部と前記第1フロントクロスメンバとの間の結合位置の高さ方向の中心線、及び前記第1結合位置の高さ方向の中心線が交差する、請求項1に記載の電気車の車体。
【請求項22】
一側が後方バンパービームに結合されるリアサイドメンバ;
車体の幅方向に沿って延び、前記リアサイドメンバと結合される第1リアクロスメンバ;
前記車体の長さ方向に沿って延び、前記リアサイドメンバと結合されるサイドシール;
一側では前記リアサイドメンバと結合され、他側では前記第1リアクロスメンバと結合されるリアサブフレーム;及び
前記車体の長さ方向に沿って延びる補強部材を含み、前記第1リアクロスメンバと前記サイドシールに結合されるバッテリケースを含み、
前記リアサブフレームと前記第1リアクロスメンバが結合された第4結合位置は、前記補強部材の断面が前記車体の長さ方向に延びた仮想断面に重なる、電気車の車体。
【請求項23】
前記リアサイドメンバの他側は下方に折り曲げられて傾斜部が形成され、
前記傾斜部は、一側面が前記サイドシールの側面と接触して固定された、請求項22に記載の電気車の車体。
【請求項24】
前記車体の幅方向に沿って延び、前記サイドシールと結合され、前記リアサイドメンバの端部と結合される第2リアクロスメンバをさらに含む、請求項23に記載の電気車の車体。
【請求項25】
前記第2リアクロスメンバは、前記第1リアクロスメンバよりも前方に位置し、前記バッテリケースの上部に位置した、請求項24に記載の電気車の車体。
【請求項26】
前記第2リアクロスメンバは、前記第1リアクロスメンバよりも高い強度を有した材質で形成された、請求項25に記載の電気車の車体。
【請求項27】
前記リアサイドメンバは、後方から一定長さだけ前記車体の長さ方向に延びた中心線に対して平行に延び、
前記リアサイドメンバは、前記車体の幅方向である左右の両側にそれぞれ配置され、
2つの前記リアサイドメンバは、前記車体の前方に向かうほど互いに離れるように配置された、請求項22に記載の電気車の車体。
【請求項28】
前記第1リアクロスメンバには、前記車体の長さ方向に延びた第2連結ブラケットが設けられ、
前記第2連結ブラケットと前記リアサブフレームにある前方側の横部材が前記第4結合位置を構成する、請求項22に記載の電気車の車体。
【請求項29】
前記バッテリケースは、バッテリセルを収納するケース本体を含み、
前記ケース本体は、
複数の底板;
前記複数の底板を囲む側面フレーム;及び
前記複数の底板の間に配置され、長さ方向の両端部で前記側面フレームと結合される少なくとも2つの前記補強部材を含む、請求項28に記載の電気車の車体。
【請求項30】
前記補強部材は、
下部補強材、及び
前記下部補強材の上部に結合する上部補強材を含み、
前記下部補強材の端部と会う前記側面フレームの結合部位には、前記側面フレームの底面から高さ方向に凹みながら前記側面フレームの幅方向に貫通する結合溝が形成され、
前記下部補強材の端部は、前記結合溝を介して前記側面フレームを貫通して前記側面フレームから突出した突出部を形成する、請求項29に記載の電気車の車体。
【請求項31】
前記下部補強材の後方の突出部は、前記第1リアクロスメンバの第2連結ブラケット及び前記リアサブフレームの前方側の横部材と離隔し、
前記側面フレームのうち後方側の側面フレームは、前記第1リアクロスメンバと離隔した、請求項30に記載の電気車の車体。
【請求項32】
前記第4結合位置は、前記上部補強材と対応する高さに位置した、請求項30に記載の電気車の車体。
【請求項33】
前記補強部材の長さ方向の軸線は、第4結合位置の高さ方向の中心線と交差する、請求項22に記載の電気車の車体。
【請求項34】
前記下部補強材は、逆U字状の断面形状を有し、
前記上部補強材は、U字状の断面を有し、
前記下部補強材の中空部が前記バッテリケースの外部に露出するように配置された、請求項16または30に記載の電気車の車体。
【請求項35】
前記ケース本体は、前記バッテリケースを車体に固定するためのマウンティングフレームをさらに含み、
前記マウンティングフレームは、前記側面フレームにおいて前記結合溝が形成された部位から外れて装着された、請求項16または30に記載の電気車の車体。
【請求項36】
前記下部補強材の端部は前記結合溝に挟まって形状が合わさり、
前記下部補強材の突出部と前記結合溝との間に溶接部が形成された、請求項16または30に記載の電気車の車体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前方または後方からの衝突に効率的に対応することができる電気車の車体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両は基本的に衝突時、前方または後方で衝突エネルギーを最大限吸収して、乗客が搭乗する空間あるいは電気車の場合にはバッテリが装着される空間に荷重が伝達されることを最小化する必要がある。
【0003】
このため、衝突荷重の浸透を抑制し、変形がないようにしなければならない車体の非浸透領域(Anti-Intrusion Zone)は強固に設計するが、電気車の場合にはバッテリ空間を囲む部材に非常に強く、厚さが厚い素材を適用する必要があり、これは車体の重量を増加させる要因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前方または後方からの衝突時に乗客空間とバッテリ空間への衝突荷重の浸透を最小限に抑えることができる電気車の車体を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施例による電気車の車体は、一側は前方バンパービームに結合され、他側は分岐して形成された第1分岐部と第2分岐部を含むフロントサイドメンバ;車体の幅方向に沿って延び、上記第1分岐部及び上記第2分岐部と結合される第1フロントクロスメンバ;上記車体の長さ方向に沿って延び、上記第2分岐部と結合されるサイドシール;上記フロントサイドメンバと結合されるフロントサブフレーム;及び上記車体の長さ方向に沿って延びる補強部材を含み、上記第1フロントクロスメンバと上記サイドシールに結合されるバッテリケースを含み、上記第1分岐部と上記第1プロントクロスメンバが結合された結合位置及び上記第1分岐部と上記フロントサブフレームが結合された第1係合位置は、上記補強部材の断面が上記車体の長さ方向に延びた仮想断面に重なることができる。
【0007】
本発明の他の実施例による電気車の車体は、一側が後方バンパービームに結合されるリアサイドメンバ;車体の幅方向に沿って延び、上記リアサイドメンバと結合される第1リアクロスメンバ;上記車体の長さ方向に沿って延び、上記リアサイドメンバと結合されるサイドシール;一側では上記リアサイドメンバと結合され、他側では上記第1リアクロスメンバと結合されるリアサブフレーム;及び上記車体の長さ方向に沿って延びる補強部材を含み、上記第1リアクロスメンバと上記サイドシールに結合されるバッテリケースを含み、上記リアサブフレームと上記第1リアクロスメンバが結合された第4結合位置は、上記補強部材の断面が上記車体の長さ方向に延びた仮想断面に重なることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、バッテリケースの補強部材が衝突荷重の経路及び直接的な荷重支持部材の役割を果たすように構成することで、前方または後方からの衝突時に車体で荷重を分散させて衝突荷重の浸透及び変形を効率的に抑制し、重量を減少させることができる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施例による電気車の車体を示した分離斜視図である。
【
図2】本発明の一実施例による電気車の車体を示した底面図であり、バッテリケースとサブフレームを付着する前の状態である。
【
図3】本発明の一実施例による電気車の車体を示した側面図であり、バッテリケースとサブフレームを付着する前の状態である。
【
図4】本発明の一実施例による電気車の車体を示した底面図であり、バッテリケースとサブフレームを付着した状態である。
【
図5】
図4のA-A線に沿った断面図であり、バッテリケースとサブフレームを付着した状態である。
【
図6】本発明の一実施例による電気車の車体のうち第1フロントクロスメンバとバッテリケースとの間の結合を示した拡大斜視図である。
【
図7】本発明の一実施例による電気車の車体のうち第1フロントクロスメンバとバッテリケースとの間の結合を示した拡大斜視図である。
【
図8】衝突荷重の経路を説明するための
図4の対応図である。
【
図9】衝突荷重の経路を説明するための
図5の対応図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
車体では、前方または後方からの衝突時に衝突エネルギーを最大限に吸収するエネルギー吸収領域(Energy Absorption Zone)と、乗客空間とバッテリ空間への衝突荷重の浸透を抑制し、変形が防止された非浸透領域が設計されることができる。
【0011】
エネルギー吸収領域は、比較的弱く設計されて変形を誘導することで、衝突荷重が非浸透領域に伝達されることを防止することができるようにする。一方、非浸透領域は比較的強く設計して、変形がないようにして乗客空間とバッテリ空間を保護しなければならない。
【0012】
このために最も効率的には荷重支持部材(Load Support Member)の個数を増加させて荷重を分散させることができるが、通常の電気車の場合に非浸透領域はバッテリを装着すべき空間であるため、荷重支持部材を構成することができず、バッテリ空間を囲む部材のみで変形を防止しなければならない。
【0013】
バッテリ空間を囲む部材が衝突荷重を支持して浸透を抑制するためには、上述したようにこれらの部材に非常に強く、厚さが厚い素材を適用する必要があり、これは車体の重量を増加させる要因となる。
【0014】
本発明では、上述した通常的な概念から外れて、保護しなければならないバッテリケースを荷重支持部材として活用することで、非浸透領域内に荷重支持部材を配置した構成と同等の効果を得ることができる方案を提案する。
【0015】
以下、本発明が例示的な図面を介して詳細に説明される。各図面の構成要素に参照符号を付加することにおいて、同一の構成要素については、他の図面上に表示されても可能な限り同一の符号を有することに留意する必要がある。
【0016】
以下の説明において、方向に関連して使用された用語「前方」、「フロント(front)」、「後方」、「リア(rear)」、「前後」、「上」、「下」、「左右」、「インナー(inner)」、「アウター(outer)」、「内側」、「外側」などは、車両または車体を基準として定義したものである。
【0017】
本明細書において、電気車は、バッテリから動力源を提供されて人や動物、物などの被輸送体を出発地から目的地に移動させる様々な車両を意味する。このような車両は、道路や線路を走行する車両にのみ限定されない。
【0018】
図1は、本発明の一実施例による電気車の車体を示した分離斜視図であり、
図2は、本発明の一実施例による電気車の車体を示した底面図であり、
図3は、側面図として、バッテリケースとサブフレームを付着する前の状態であり、
図4は、本発明の一実施例による電気車の車体を示した底面図であり、
図5は、
図4のA-A線に沿った断面図として、バッテリケースとサブフレームを付着した状態である。
【0019】
車体の骨格構造は、車両の長さ方向Xに延びて車体の側面を構成するサイドメンバと、車両の幅方向Yに延びて両側サイドメンバに結合される複数のクロスメンバから構成されることができる。
【0020】
複数のクロスメンバは、車体の前方の端部から後方の端部に至るまで互いに間隔を置いてサイドメンバに結合され、サイドメンバはクロスメンバが結合された位置またはフロアパネル(図示せず)に対する位置に応じてフロントサイドメンバ110、リアサイドメンバ210などと称することができる。一方、車両の側面には、側面衝突時に乗客空間を保護し、側面の外形をなすサイドシール300が備えられることができる。
【0021】
図1に示したように、本発明の一実施例による電気車の車体の中間にはバッテリケース400を装着することができ、このために電気車の車体にはバッテリケースが装着されるバッテリ空間40が設けられることができる。バッテリケースは、充放電が可能な複数のバッテリセル401を含んで形成されることができる。
【0022】
バッテリ空間40の上には、乗客が搭乗する乗客空間を区画するフロアパネルが設けられることができる。
【0023】
図2には、理解を助けるために、バッテリ空間40と乗客空間の非浸透領域10と、非浸透領域の前後に配置されたエネルギー吸収領域20、30が示されている。
【0024】
図2~
図5にさらに詳細に示したように、本発明の一実施例による電気車の車体は、フロントサイドメンバ110、第1フロントクロスメンバ120、サイドシール300、フロントサブフレーム150、バッテリケース400を含むことができる。
【0025】
フロントサイドメンバ110は一対で備えられ、車体の長さ方向Xに沿って延びながら、車体の幅方向Yである左右の両側にそれぞれ配置されることができる。
【0026】
例えば、フロントサイドメンバ110は、車体の長さ方向Xに延びた中心線Oに対して平行ではなく、斜めに角度をなすように傾斜して配置されることができる。より具体的には、2つのフロントサイドメンバ110は、後方に向かうほど互いに近づくように配置されることができる。
【0027】
フロントサイドメンバ110の傾斜した配置は、前方バンパービーム60(
図2参照)の両端が後方に向かって曲率を有しており、フロントサイドメンバに加えられる衝突荷重が斜めに入るためであり、このように衝突荷重の方向とほぼ平行にフロントサイドメンバの角度を設定することで、衝突荷重を可能な限り最大に伝達されることができる。
【0028】
また、フロントサイドメンバ110は、前方バンパービーム60に連結される一端、すなわち前方の端部の中心点が全体車幅の外側から内側に20%以上~30%未満の間に位置するように、前方バンパービームに連結されることができる。
【0029】
例えば、全体車幅の外側から内側に25%に該当する位置でフロントサイドメンバ110が前方バンパービーム60に連結されると、スモールオーバーラップ(Small Overlap)衝突(時速64kmの速度で車両の全幅の運転席あるいは助手席側の25%のみ障害物に衝突)時にフロントサイドメンバが衝突荷重に抵抗する役割を果たすことができる。
【0030】
フロントサイドメンバ110は、前方バンパービーム60からフロントサイドメンバに入る衝突荷重を第1フロントクロスメンバ120などを介して効果的に車体に伝達することができる。さらに、スモールオーバーラップ衝突において、フロントサイドメンバは、車両の幅方向Yの挙動を引き出すなどの役割を果たすことができる。
【0031】
以下では、便宜上2つのフロントサイドメンバ110のうち1つのみについて説明する。2つのフロントサイドメンバのうちもう一つは、説明されるフロントサイドメンバの構成が対称になるように含み、対称になるように配置されることができる。
【0032】
フロントサイドメンバ110は、フロント部111、フロント部から分岐した第1分岐部112及び第2分岐部113を含むことができる。
【0033】
フロント部111は、フロントサイドメンバ110の前方部分を構成し、直線状に延びた部材である。フロント部の一端、すなわち前方の端部は前方バンパービーム60と連結されることができ、他端、すなわち後方の端部は第1分岐部112や第2分岐部113、または第1分岐部及び第2分岐部に連結されることができる。
【0034】
このようなフロント部111は、例えば四角形などの断面形状を有した管状部材で形成されることができるが、必ずしもこれに限定されず、開放断面を有するように折り曲げられるか、湾曲した断面形状の単一板材からなる部材、または2つ以上の板材を接合した部材で形成されることができる。
【0035】
フロント部111は、例えば鋼材などの金属材質で作られることができ、プレスを用いたフォーミング(Forming)やスタンピング(Stamping)、ベンディング(Bending)、ロールフォーミング(Roll Forming)、またはこれらの組み合わせなどによって成形されることができる。
【0036】
より具体的には、フロント部111は、本出願人が生産する厚さ1.5mm~1.7mm程度の980 XF(EXtra Formability)鋼などの板材で作られることができる。ここで、980 XF鋼は、980MPa以上の引張強度及び600MPa以上の降伏強度を有しながら高い伸び率を示す鋼種である。
【0037】
第1分岐部112は、フロント部111の他端から第1方向に分岐する。第1分岐部はフロントサイドメンバ110のリアインナーメンバ(Rear Inner Member)を構成することができる。これにより、第1分岐部の一端、すなわち前方の端部はフロント部の他端に連結されることができる。
【0038】
このような第1分岐部112は、例えば四角形などの断面形状を有した管状部材で形成されることができるが、必ずしもこれに限定されず、開放断面を有するように折り曲げられるか、湾曲した断面形状を有した単一板材からなる部材、または2つ以上の板材を接合した部材で形成されることができる。
【0039】
第1分岐部112の他側は、車体の幅方向Yに延びた第1フロントクロスメンバ120の前面及びダッシュパネル130の前面と連結されることができる。
【0040】
また、第1分岐部112の他側は下方に折り曲げられることができ、これにより湾曲部114(
図5参照)が形成されることができる。湾曲部はダッシュパネル130の前面と接触され、湾曲部の端部は一側面が第1フロントクロスメンバ120の前面と面接触して、例えば溶接などで固定されることができる。
【0041】
本発明の一実施例による電気車の車体において、第1分岐部112と第1フロントクロスメンバ120との結合位置Pは、バッテリケース400内の空間の分割個数によって決定されることができる。
【0042】
例えば、バッテリケース400内の空間を3分割する場合に、バッテリケースの後述する側面フレーム420から幅方向Yの長さの1/3地点に対応するように第1分岐部112と第1フロントクロスメンバ120の結合位置Pが整列されることができる。バッテリケース内の空間を4分割する場合に、バッテリケースの側面フレームから幅方向Yの長さの1/4地点に対応するように第1分岐部と第1フロントクロスメンバの結合位置が整列されることができる。
【0043】
第1分岐部112は、フロント部111と連続及び一体に成形されて、フロント部に続いて線状に延びることができる。図面には、第1分岐部がフロント部から直線状に延びた例が示されているが、必ずしもこれに限定されものとではない。このように延びた構成のために、第1分岐部は、フロント部の断面形状に対応する断面形状を有することができる。
【0044】
第1分岐部112がフロント部111から線状に延びる場合に、第2分岐部113は、第1分岐部またはフロント部に、例えば溶接などで固定されることができる。
【0045】
第2分岐部113は、フロント部111の他端から、前記第1方向と異なる第2方向に分岐する。第2分岐部は、フロントサイドメンバ110のリアアウターメンバ(Rear Outer Member)を構成することができる。
【0046】
また、第2分岐部113は折り曲げられるか、または湾曲して、上から見たときに全体的に略L字状を有するように形成されることができる。
【0047】
これにより、第2分岐部113の一側端部は、その一側面が第1分岐部112の側面に、例えば溶接などで固定されることができ、第2分岐部の他側端部は車両の長さ方向Xに延びる車体のサイドシール300及び第1フロントクロスメンバ120と連結されることができる。
【0048】
より具体的には、第2分岐部113の他側端部は、サイドシール300の前面及び第1フロントクロスメンバ120の前面に、例えば溶接などで固定されてサイドシール及び第1フロントクロスメンバと同時に接触することができる。
【0049】
第2分岐部113の端部は、第1フロントクロスメンバ120の前面と下面に接触し、第2分岐部が少なくとも第1フロントクロスメンバに衝突荷重を確実に伝達することができる。
【0050】
また、第2分岐部113の端部は、サイドシール300の前面に接触してサイドシールの端部に固定され、第2分岐部はサイドシールにも衝突荷重を伝達することができる。
【0051】
本発明の一実施例による電気車の車体において、フロントサイドメンバ110は上述した構成に限定されるものではない。
【0052】
例えば、第2分岐部113がフロント部111と連続及び一体に成形されてフロント部に続いて線状に延びることができるとともに、第1分岐部112が第2分岐部またはフロント部の側面に、例えば溶接などによって固定されることができる。
【0053】
このように、フロント部111と連続及び一体に第1分岐部112を連結したり、第2分岐部113を連結することは、第1フロントクロスメンバ120あるいはサイドシール300のうちいずれかに衝突荷重をさらに多く伝達するかによって選択されることができる。
【0054】
あるいは、フロント部111、第1分岐部112、第2分岐部113をそれぞれ成形した後、例えば溶接などで互いに連結及び固定することで、フロントサイドメンバ110を製造することもできる。このような場合には、フロントサイドメンバを製造することにおいて、組み立て、寸法、材質などの自由度を拡張させることができる利点がある。
【0055】
第1分岐部112及び第2分岐部113は、例えば鋼材などの金属材質で作られることができ、フロント部111、第1分岐部112、第2分岐部113、一体となったフロント部及び第1分岐部、または一体となったフロント部及び第2分岐部は、例えばスタンピング、ロールフォーミングなどの機械加工を用いて形成されることができる。
【0056】
より具体的には、第1分岐部112と第2分岐部113は、本出願人が生産する厚さ1.7mm~2.0mm程度の1470 HPF(Hot Press Forming)鋼などの板材で作られることができる。ここで、1470 HPF鋼は、1,470MPa以上の引張強度を得ると同時に部品の形態を自由に作ることができる鋼種である。
【0057】
第1分岐部112及び第2分岐部113は、フロント部111の強度よりも高い強度を有した材質から形成されることができる。このように、フロントサイドメンバ110を形成する板材の強度の組み合わせにより、フロントサイドメンバの衝撃吸収能を最大化することができる。
【0058】
また、第1分岐部112及び第2分岐部113は、フロント部111の厚さよりも厚く形成されることができる。このように、フロント部よりも比較的厚い分岐部は、車両の前方衝突時のフロントサイドメンバ110自体の支持剛性を強化させることができる。これにより、第1分岐部及び第2分岐部は、フロントサイドメンバの衝撃吸収能を最大化することができる。
【0059】
第1フロントクロスメンバ120は、車両の幅方向Yに延びながらフロントサイドメンバ110の第1分岐部112及び第2分岐部113と連結されるとともに、車両の長さ方向Xに延びて車体の側面を構成する2つのサイドシール300を連結することができる。
【0060】
本発明の一実施例による電気車の車体は、車両の幅方向Yに延びて両側フロントサイドメンバ110を連結する第2フロントクロスメンバ140をさらに含むことができる。
【0061】
第2フロントクロスメンバ140は、第1フロントクロスメンバ120よりも前方及び上部に位置して、両側フロントサイドメンバ110の第1分岐部111に結合されることができる。
【0062】
第1及び第2フロントクロスメンバ120、140は、例えば内部が空の中空部を有し、四角形以上の多角形の断面形状を有した管状部材として提供されることができるが、必ずしもこれに限定されず、開放断面を有するように折り曲げられるか、または湾曲した断面形状を有した単一板材からなる部材、または2つ以上の板材を接合した部材で形成されることができる。
【0063】
第1及び第2フロントクロスメンバ120、140は、両側フロントサイドメンバ110と結合した後に車体の捻りや曲げ剛性は維持しながら軽量化が可能となる。
【0064】
第1及び第2フロントクロスメンバ120、140は、例えば980MPa級以上の超高強度鋼を採用することで、フロントクロスメンバの剛性付加とともに軽量化のための最適の組み合わせが行われる。
【0065】
より具体的には、第1及び第2フロントクロスメンバ120、140は、本出願人が生産する厚さ1.1mm~1.5mm程度の1470 MART(Martensitic)鋼などの板材で作られることができる。ここで、1470 MART鋼は、1,470MPa以上の引張強度及び1,050MPa以上の降伏強度を有して衝突安全性を向上させた鋼種である。
【0066】
また、第1フロントクロスメンバ120が第2フロントクロスメンバ140よりもさらに厚い厚さを有することができる。
【0067】
サイドシール300は、車体の左右の両側の下部において車両の長さ方向Xに沿って延びるように形成されて配置されることができる。
【0068】
例えば、サイドシール300は、サイドシールインナーパネルとサイドシールアウターパネルを含むことができ、サイドシールは、その下端部または上端部でサイドシールインナーパネルとサイドシールアウターパネルが溶接されることで一体に結合されることができる。フロアパネルにサイドシールインナーパネルを結合することで、サイドシールが車体に設けられることができる。
【0069】
サイドシール300は、例えば鋼材などの金属材質で作られることができ、プレスを用いたフォーミングやベンディング、ロールフォーミング、またはこれらの組み合わせなどによって成形されることができる。
【0070】
サイドシール300は、サイドシールを形成する板材の材質と、この材質が有する強度または厚さの調整によってサイドシールの衝突性能を確保することができる。例えば、980MPa級以上の超高強度鋼を採用することで、サイドシールの軽量化のための最適な組み合わせが行われることができる。
【0071】
より具体的には、サイドシール300は、本出願人が生産する厚さ1.1mm~1.3mm程度の1470 MART鋼などの板材で作られることができる。
【0072】
サイドシール300は、車両の前方、後方及び側方衝突の対応に重要な車体構造体として作用する。選択的に、サイドシールの内部が空になると、各種衝突条件で座屈が発生しやすくなるため、サイドシールの内部に様々な形態の補強手段が補完されることができる。
【0073】
フロントサブフレーム150は、車両の幅方向Yに延びるように形成された2つの横部材151の両端部が車両の長さ方向Xに延びるように形成された2つの縦部材152と連結されて略四角フレーム形状を成している。
【0074】
横部材151のうち1つにはステアリングギアボックスのための装着ブラケットが備えられることができ、その両端部にはサスペンションアームの一端を装着するための装着ブラケットが備えられることができる。
【0075】
縦部材152の後方の端部には、車両の長さ方向Xに延びた第1連結ブラケット153が設けられることができる。第1連結ブラケットにはボルト孔が形成されており、第1連結ブラケットはフロントサイドメンバ110にある第1分岐部112の端部にボルティングで結合することができる。
【0076】
具体的には、第1連結ブラケット153は、第1分岐部112にある湾曲部144の端部から底面にボルティングして結合されることができる。第1連結ブラケットと第1分岐部の端部が第1結合位置P1を構成する。
【0077】
第1分岐部112と第1フロントクロスメンバ120が結合されているため、第1連結ブラケット153と第1分岐部112の端部との間の第1結合位置P1は第1分岐部と第1フロントクロスメンバとの間の結合位置Pに隣接して位置する。
【0078】
さらに、縦部材152は、前方の端部及び後方の端部でそれぞれボルティングによってフロントサイドメンバ110に結合することができる。ここで、後方の端部との結合地点を第2結合位置P2とし、前方の端部との結合点を第3結合位置P3とする。
【0079】
選択的に、第2結合位置P2は、フロントサイドメンバ110の第1分岐部112と第2分岐部113が分岐する地点に対応して位置することができる。
【0080】
このように、フロントサブフレーム150が複数の結合位置P、P1、P2、すなわち6つの結合地点でフロントサイドメンバ110と結合されることで、結合部の剛性を増大させ、フロントサイドメンバに安定して装着されて支持されることができる。
【0081】
図6及び
図7は、本発明の一実施例による電気車の車体のうち第1フロントクロスメンバとバッテリケースとの間の結合を示した拡大斜視図である。
【0082】
バッテリケース400は略直方体の形状を有して、その内部には複数のバッテリセル401が収納されることができる。
【0083】
バッテリケース400は、ケース本体402とカバー(図示せず)を含むことができる。ケース本体とカバーは、内部に空間を形成するように互いに結合されることができる。
【0084】
カバーは、重量減少及び原価節減を図りながら十分な強度を確保することができる高強度プラスチックや、アルミニウムなどの軽金属で形成されることができる。材質がプラスチックの場合には、カバーが射出成形や圧縮成形などによって形成されることができ、金属の場合には、カバーがプレス加工などによって所定の形状で形成されることができる。
【0085】
ケース本体402は、外部に直接露出することができ、外部の異物による破損及び損傷のおそれが大きいため、バッテリセル401をより効果的に保護することができるようにするために金属で形成されることができる。
【0086】
このような場合に、ケース本体402は、適度な強度を有した鋼材、例えば軽量化のために引張強度が約980MPa以上の超高強度の鋼材などの素材を機械加工して構成要素を準備した後、これらの構成要素を組み立てて結合することで作られることができる。
【0087】
以下では、便宜上、ケース本体402を中心としてバッテリケース400を説明する。
【0088】
ケース本体402は、複数の底板410と側面フレーム420及び少なくとも2つの補強部材430を含むことができる。
【0089】
底板410は、例えば鋼材などの金属で作られた平板である。ケース本体402において、底板はバッテリセル401を支持する部材として作用することができる。
【0090】
側面フレーム420は、ケース本体402に内蔵されるバッテリセル401の大きさに応じてその高さ寸法が連動して変更されることができる。また、側面フレームの上面には、カバーとの結合のための複数の締結孔421が形成されることができる。
【0091】
少なくとも4つの側面フレーム420が複数の底板410を囲むように設けられ、各側面フレームの両端部は、所定の角度(例えば、約45度)に傾斜して切断され、対応する他の側面フレームとそれぞれの両端部で接した後に、例えばアーク溶接、レーザ溶接などの溶接で接合されることができる。
【0092】
例えば、側面フレーム420は、鋼材などの金属を用いて全体的に四角形状の閉断面を有するように形成されることができる。ケース本体402において、側面フレームは側壁を構成することができる。
【0093】
このように側面フレーム420は、車体の非浸透領域を区画する「リング(Ring;切れることなく、連結が強く構成された形態)」を構成することになることで、バッテリケース400の内部への衝突荷重の浸透を防止する役割を果たすことができる。
【0094】
前方側及び後方側の側面フレーム420は、所定位置で底面から高さ方向Zに凹み、前方側及び後方側の側面フレームの幅方向(例えば、図面ではX方向)に横切って貫通する結合溝422が形成されることができる。
【0095】
結合溝422は、補強部材430の断面形状と対応する形状で形成されることができ、これによって補強部材の端部が結合溝に挟まれる際に互いに形状が合わさることができる。
【0096】
底板410と側面フレーム420は、例えばアーク溶接などの溶接によって互いに結合されることができる。底板は、側面フレームの底面に溶接されることができる。これにより、ケース本体402は、複数の底板の周囲に閉断面を形成する側面フレームによって内部空間を有することができる。
【0097】
バッテリケース400のケース本体402は、バッテリケースを車体に固定するために必要なマウンティングフレーム440が側面フレーム420でバッテリケースの外側面を構成する表面に結合されることができる。例えば、マウンティングフレームにフランジが形成され、マウンティングフレームのフランジが側面フレームの外側面にアーク溶接などで溶接されることができる。
【0098】
但し、マウンティングフレーム440は、前方側及び後方側の側面フレーム420において結合溝422が形成された部位から外れて装着されることができる。
【0099】
マウンティングフレーム440は、ボルティングなどにより、例えば車体の第1フロントクロスメンバ120、サイドシール300、後述する第1リアクロスメンバ220に固定されることができる。これにより、バッテリケース400が車体に固定されることができる。
【0100】
また、マウンティングフレーム440は、衝突時にバッテリケース400のうち最初に衝突に対応する部材として作用することができる。
【0101】
補強部材430は、下部補強材431と、下部補強材の上部に結合する上部補強材432を含むことができる。補強部材は、ケース本体402の長さ方向Xに沿って全体長さにわたって延びることができる。
【0102】
下部補強材431と上部補強材432は、例えば鋼材などの金属の単一板材を機械加工して形成されることができる。補強材は、ベンディングまたはロールフォーミングなどによって成形されることができる。
【0103】
例えば、補強材431、432をロールフォーミングで製作する場合、引張強度が約980MPa以上の超高強度の鋼材も無理なく成形が可能である。さらに、ロールフォーミングでは、プレス成形に比べてスプリングバックの補正が容易であり、補強部材のコーナー半径を小さくすることができるという利点がある。
【0104】
より具体的には、下部補強材431と上部補強材432は、本出願人が生産する厚さ0.9mm~1.1mm程度の1470 MART鋼などの板材で作られることができる。
【0105】
下部補強材431は、所定の幅と長さを有した単一板材を複数回折り曲げて、略帽子状の断面形状を有することができる。これにより、下部補強材は略逆U字状に形成されることができ、幅方向Yの両端部にフランジ433を備えることができる。
【0106】
下部補強材431は、複数の底板410の間に配置され、幅方向Yの両側に位置した底板と結合することができる。下部補強材のフランジと底板の端部は、例えばアーク溶接、レーザ溶接などの溶接によって互いに密に接合されることができる。
【0107】
下部補強材431の長さ方向Xの両端部は、前方側及び後方側の側面フレーム420と会って前方側及び後方側の側面フレームに結合することができる。上述したように、下部補強材の端部と会う前方側及び後方側の側面フレームの結合部位には結合溝422が形成されており、下部補強材の端部は結合溝に挟まれて形状が合わさることができる。
【0108】
ここで、前方側及び後方側の側面フレーム420は、下部補強材431のフランジ433上に安着することができる一方、下部補強材の端部は、前方側及び後方側の側面フレームを幅方向(例えば、図面ではX方向)に横切って貫通して前方側及び後方側の側面フレームから、すなわちバッテリケース400の外側面から突出することができる。
【0109】
下部補強材431の端部が前方側及び後方側の側面フレーム420の結合溝422を貫通して外側に突出した理由は、バッテリケース400の水密性を保障するために構成要素の全ての結合部に溶接が適用される必要があるが、このような溶接自体に加えて、溶接後に形成された溶接部が流れないように支持するための突出部434が必要であるためである。
【0110】
下部補強材431の両側の端部が前方側及び後方側の側面フレーム420を貫通して前方側及び後方側の側面フレームから下部補強材の長さ方向Xに突出した前方または後方の突出部434の長さは5~10mmの範囲になることができる。突出部の長さが5mm未満であれば、溶接し難く、10mmを超過すると周辺部品と干渉が生じて、バッテリケース400の装着が困難であることがある。
【0111】
このように下部補強材431の突出部434と前方側及び後方側の側面フレーム420の結合溝422との間は、例えばアーク溶接、レーザ溶接などの溶接により互いに接合され、溶接部が形成されることで下部補強材の端部と側面フレームとの間の水密性が保障されることができるようになる。
【0112】
水密性をさらに確保するために、ケース本体402を構成する構成要素の結合部、すなわち溶接部に、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などのプラスチック材質のコーティングがさらに適用されることができる。または、金属材質の部材が溶接部を囲むように覆って接合されることもできる。
【0113】
上部補強材432は、所定の幅と長さを有した単一板材を複数回折り曲げて、略帽子状の断面形状を有することができる。これにより、上部補強材は略U字状に形成されることができ、幅方向Yの両端部にフランジ433を備えることができる。
【0114】
上部補強材432は、下部補強材4310の上に配置されて、下部補強材と結合することができる。上部補強材と下部補強材は、例えばスポット溶接、レーザ溶接などの溶接によって互いに接合されることができる。
【0115】
上部補強材432の長さ方向Xの両端部は、前方側及び後方側の側面フレーム420と接触することができる。ここで、上部補強材の端部は、前方側及び後方側の側面フレームを貫通することなく、前方側及び後方側の側面フレームで終結されることができる。
【0116】
上部補強材432のフランジ433は、ケース本体402内に収納されるバッテリセル401の側方の上端を覆い、バッテリセルの配列を維持することができるように支持する。
【0117】
選択的に、上部補強材432は、所定の間隔を置いて配置されながら、車両の幅方向Yに延びて車体の両側サイドシール300を連結する複数の中間クロスメンバ160及び後述する第2リアクロスメンバ240と結合されることができる。これらの中間クロスメンバ及び第2リアクロスメンバはフロアパネルを支持することができる。
【0118】
補強部材430は少なくとも2つ以上備えられることができ、これによって底板410の個数を補強部材よりも1つ多く備えられることができる。これは、バッテリケース400の内部が幅方向Yに3分割以上分割できることを意味する。
【0119】
例えば、バッテリケース400内の空間を3分割する場合に、側面フレーム420からバッテリケースの幅方向Yの長さの1/3地点に補強部材430が位置することができ、合計2つの補強部材が備えられる。バッテリケース内の空間を4分割する場合に側面フレームからバッテリケースの幅方向Yの長さの1/4地点に補強部材が位置することができ、合計3つの補強部材が備えられることができ、中央の1/2地点に補強部材を配置することは選択的に決定されることができる。
【0120】
補強部材430の個数は、外部から加えられる衝突の大きさと底板410の個数に応じて決定されることができる。
【0121】
このように、本発明では、ケース本体402に折り曲げられた帽子状の断面の下部補強材431及び上部補強材432からなる補強部材430を配置し、補強部材がケース本体の底に沿って延びながら、ケース本体の内部空間に突出するようになることで、衝撃吸収のための折り曲げ部がケース本体の自体に形成されて、衝突荷重に対する高い変形抵抗が確保されることができる。
【0122】
このように構成されたケース本体402内にバッテリセル401を収納した後、カバーがケース本体と結合されることで、バッテリケース400が完成されることができる。続いて、バッテリケースは、マウンティングフレーム440を用いてボルティングなどによって、例えば車体の第1フロントクロスメンバ120、サイドシール300、第1リアクロスメンバ200に固定されて車体と結合されることができる。
【0123】
バッテリケース400の補強部材430において下部補強材431の前方の端部、すなわち前方の突出部434は、フロントサブフレーム150の第1連結ブラケット153と所定の間隙を置いて離隔することができる。また、バッテリケースの側面フレーム420のうち、前方側の側面フレームは、第1フロントクロスメンバ120と所定の間隙を置いて離隔することができる。
【0124】
本発明の一実施例による電気車の車体において、フロントサイドメンバ110の第1分岐部112と第1フロントクロスメンバ120との結合位置Pは、補強部材(上部補強材)の断面を車体の長さ方向Xに延びた仮想断面に重なることができる。フロントサイドメンバの第1分岐部と第1フロントクロスメンバとの結合位置は、バッテリケースの補強部材430のうち上部補強材432と対応する高さに位置することができる。
【0125】
また、フロントサブフレーム150の第1連結ブラケット153と第1分岐部112の端部が第1結合位置P1で結合されているため、第1結合位置も補強部材(下部補強材)の断面を車体の長さ方向Xに延びた仮想断面に重なることができる。フロントサブフレームの第1連結ブラケットと第1分岐部の端部との間の第1結合位置は、バッテリケースの補強部材430のうち下部補強材431と対応する高さに位置することができる。
【0126】
ここで、補強部材430の断面は、補強部材のYZ方向(車体の長さ方向Xと直交する方向)の面を意味する。また、仮想断面とは、実際に存在する補強部材の延長部または構造物ではなく、補強部材の断面形状をそのまま有して、補強部材の断面を車体の長さ方向Xに沿って延長した仮想の平面として、厚さが設定されない数学的意味の平面を意味する。
【0127】
例えば、補強部材430の長さ方向の軸線と、フロントサイドメンバ110の第1分岐部112と第1フロントクロスメンバ120との間の結合位置Pの高さ方向の中心線、そしてフロントサブフレーム150の第1連結ブラケット153と第1分岐部112の端部との間の第1結合位置P1の高さ方向の中心線が交差して会うように配置されることができるが、必ずしもこれに限定されない。
【0128】
このとき、第1結合位置P1は、第1分岐部と第1フロントクロスメンバとの結合位置Pよりも下方に位置する。
【0129】
本発明の一実施例による電気車の車体において、フロントサイドメンバ110の第1分岐部112と第1フロントクロスメンバ120が会う結合位置Pと、第1分岐部とフロントサブフレーム150の第1連結ブラケット153が会う第1結合位置P1を第1分岐部の端部に配置することで、車体の衝突荷重を伝達する荷重経路(Load Path)が一元化することができる。
【0130】
このような補強部材430と結合位置P、P1の整列により、バッテリケース400の補強部材がフロントサイドメンバ110から伝達される衝突荷重を支持する役割を果たすことができる。
【0131】
また、本発明の一実施例による電気車の車体では、フロントサイドメンバ110の第2分岐部113と第1フロントクロスメンバ120との結合位置Qは、車体の長さ方向Xに沿って延びる側面フレーム420の断面を車体の長さ方向Xに延びた仮想断面に重なることができる。
【0132】
ここで、側面フレーム420の断面は、側面フレームのYZ方向(車体の長さ方向Xと直交する方向)の面を意味する。また、仮想断面とは、実際に存在する側面フレームの延長部または構造物ではなく、側面フレームの断面形状をそのまま有して、側面フレームの断面を車体の長さ方向Xに沿って延びた仮想の平面として、厚さが設定されない数学的意味の平面を意味する。
【0133】
このような側面フレーム420と結合位置Qの整列によって、バッテリケース400の側面フレームもフロントサイドメンバ110から伝達される衝突荷重を支持する役割を果たすことができる。
【0134】
したがって、本発明の一実施例による電気車の車体では、補強部材430と側面フレーム420を備えたバッテリケース400が車体に固定されることで、車体の剛性と耐衝突特性が向上することができる。
【0135】
また、本発明の一実施例による電気車の車体では、ケース本体402の底部を複数の底板410に分割して、底板間に開断面の下部補強材431を配置し、下部補強材がケース本体の底部に沿って延びながら側面フレーム420を貫通すると同時にケース本体の外側に(すなわち、下方に)開放されて下部補強材の中空部がバッテリケース400の外部に露出するようになることで、下部補強材の中空部が車両の他の部品のための空間として活用できる利点がある。
【0136】
図8は、衝突荷重の経路を説明するための
図4の対応図であり、
図9は、衝突荷重の経路を説明するための
図5の対応図である。
【0137】
本発明の一実施例による電気車の車体において、フロントサイドメンバ110は、前方バンパービーム60からフロント部111に入る衝突エネルギーを直接的に吸収することができる。
【0138】
続いて、フロントサイドメンバ110は、それぞれ第1分岐部112が第1フロントクロスメンバ120に連結され、第2分岐部113はサイドシール300に連結されることで、フロント部111に入った超過された衝突荷重を第1分岐部と第2分岐部を介して第1フロントクロスメンバとサイドシールに分散させて車体に伝達することができる。
【0139】
換言すると、フロントサイドメンバ110の吸収能を超過する衝突荷重は、フロントサイドメンバと連結されながら、フロアパネルの下のバッテリ空間40を囲む部材に伝達されることができる。
【0140】
バッテリ空間40内に変形が最小化される必要があるため、荷重支持部材において衝突荷重の浸透を防止する必要がある。前方衝突においてサイドシール300は荷重支持部材としての役割を果たすことができるのに対し、第1フロントクロスメンバ120には荷重支持部材が存在しない。
【0141】
本発明の一実施例による電気車の車体では、第1フロントクロスメンバ120で衝突荷重が伝達される地点に対応してバッテリケース400の補強部材430が配置されることで、バッテリ空間40内に変形が発生することを防止することができる。
【0142】
より具体的には、フロントサイドメンバ110の吸収能を超過する衝突荷重が第1フロントクロスメンバ120に伝達されると、第1フロントクロスメンバが変形されながら所定の間隙を置いて離隔したバッテリケース400の前方側の側面フレーム420に接触するようになる。続いて、バッテリケースの前方側の側面フレームは、その内部にある補強部材430の上部補強材432によって支えられることができるため、バッテリ空間40内に衝突荷重が浸透することを防止することができる。
【0143】
さらに、前方衝突の場合には、フロントサブフレーム150でさらに衝突エネルギーを吸収することができる。
【0144】
続いて、フロントサブフレーム150は、第1連結ブラケット153を媒介として第1分岐部112の端部に連結されることで、フロントサブフレームの吸収能を超過する衝突荷重を第1分岐部を介して第1フロントクロスメンバ120及び車体に伝達することができる。
【0145】
フロントサブフレーム150の吸収能を超過する衝突荷重が第1フロントクロスメンバ120に伝達されると、第1フロントクロスメンバが変形されながら、第1連結ブラケット153は所定の間隙を置いて離隔したバッテリケース400の下部補強材431の端部、すなわち前方の突出部434に接触する。続いて、第1連結ブラケット及びフロントサブフレームは、バッテリケースの前方側の側面フレーム420から突出した補強部材430の下部補強材によって支えられることができるため、バッテリ空間40内に衝突荷重が浸透することを防止することができる。
【0146】
すなわち、前方から来る荷重経路の一つをバッテリケース400の補強部材430で構成することで、バッテリケースの補強部材が直接的に荷重支持部材の役割を果たすことができる。
【0147】
以上のように、本発明の一実施例による電気車の車体は、バッテリ空間40を保護する役割だけでなく、荷重を支持する役割も果たすことができるように、フロントサイドメンバ110とフロントサブフレーム150、第1フロントクロスメンバ120及びバッテリケース400が互いに有機的に連結されて荷重経路を構成することができる。
【0148】
このように車両の前方で発生した衝突荷重を車体の後方に分散させて伝達することができるため、本発明の一実施例による車体が適用された電気車は衝突性能が向上することができる。
【0149】
このような電気車は、バッテリの搭載により車両の重量が増加し、車体の空間が縮小されたにも関わらず、衝突性能及び安全性を確保することができる利点がある。これは、車両の商品性の向上に繋がることができる。
【0150】
図2~
図5及び
図10を参照すると、本発明の一実施例による電気車の車体は、リアサイドメンバ210、第1リアクロスメンバ220、リアサブフレーム250を含むことができる。
【0151】
リアサイドメンバ210は一対で備えられ、車体の長さ方向Xに沿って延びながら車体の幅方向Yである左右の両側にそれぞれ配置されることができる。
【0152】
例えば、リアサイドメンバ210は、後方から一定長さだけ車体の長さ方向Xに延びた中心線Oに対して平行に延び、続いて2つのリアサイドメンバは前方に向かうほど互いに離れるように配置されることができる。
【0153】
リアサイドメンバ210は、後方バンパービーム70から入る衝突荷重をサイドシール300または第1リアクロスメンバ220などを介して効果的に車体に伝達することができる。
【0154】
以下では、便宜上、2つのリアサイドメンバ210のうち1つについてのみ説明される。2つのリアサイドメンバのうちもう一つは、説明されるリアサイドメンバの構成が対称になるように含み、対称になるように配置されることができる。
【0155】
リアサイドメンバ210の一端、すなわち後方の端部は後方バンパービーム70と連結されることができ、他端、すなわち前方の端部はサイドシール300の後方の一側面に連結されることができる。
【0156】
このようなリアサイドメンバ210は、例えば四角形などの断面形状を有した管状部材で形成されることができるが、必ずしもこれに限定されず、開放断面を有するように折り曲げられるか、湾曲した断面形状を有した単一板材からなる部材、または2つ以上の板材を接合した部材で形成されることができる。
【0157】
リアサイドメンバ210は、例えば鋼材などの金属材質で作られることができ、プレスを用いたフォーミングやスタンピング、ベンディング、ロールフォーミング、またはこれらの組み合わせなどによって成形されることができる。
【0158】
より具体的には、リアサイドメンバ210は、本出願人が生産する厚さ1.3mm~1.5mm程度の980 XF鋼などの板材で作られることができる。
【0159】
リアサイドメンバ210の前方側は、下方に折り曲げられることができ、これによって傾斜部214が形成されることができる。傾斜部の端部は、サイドシール300の内側の側面と面接触することができる。
【0160】
これにより、リアサイドメンバ210の前方側の端部は、その一側面が車両の長さ方向Xに延びた車体のサイドシール300の内側の側面に、例えば溶接などで固定されることができる。
【0161】
リアサイドメンバ210の前方側の端部の一側面がサイドシール300に固定されることで、リアサイドメンバはサイドシールに衝突荷重を伝達することができる。
【0162】
リアサイドメンバ210の構成及び配置などは、上述した例に限定されない。
【0163】
第1リアクロスメンバ220は、リアサイドメンバ210間を連結することができる。換言すると、第1リアクロスメンバはリアサイドメンバの内側の側面に連結されることができる。また、第1リアクロスメンバには後述するリアサブフレーム250が装着されることができる。
【0164】
本発明の一実施例による電気車の車体は、車両の幅方向Yに延び、両側サイドシール300を連結し、リアサイドメンバ210の前方側の端部と結合する第2リアクロスメンバ240をさらに含むことができる。
【0165】
第2リアクロスメンバ240は、第1リアクロスメンバ220よりも前方に位置し、リアサイドメンバ210の前方側の端部に結合されることができる。リアサイドメンバの端部は、第2リアクロスメンバの裏面に、例えば溶接などで固定され、サイドシール300及び第2リアクロスメンバと同時に接触することができる。
【0166】
リアサイドメンバ210の前方側の端部は第2リアクロスメンバ240の裏面に接触しており、リアサイドメンバが第2リアクロスメンバに衝突荷重を確実に伝達することができる。
【0167】
また、第2リアクロスメンバ210は、バッテリケース400の上部に位置し、補強部材430の上部補強材432と結合されることができる。第2リアクロスメンバは、フロアパネルを支持することができる。
【0168】
第1及び第2リアクロスメンバ220、240は、例えば内部が空の中空部を有し、四角形以上の多角形の断面形状を有した管状部材として提供されることができるが、必ずしもこれに限定されず、開放断面を有するように折り曲げられるか、湾曲した断面形状を有した単一板材からなる部材、または2つ以上の板材を接合した部材で形成されることができる。
【0169】
第1及び第2リアクロスメンバ220、240は、両側リアサイドメンバ210と結合された後に車体の捻りや曲げ剛性は維持しながら軽量化が可能となる。
【0170】
第1及び第2リアクロスメンバ220、240は、例えば、980MPa級以上の超高強度鋼を採用することにより、リアクロスメンバの剛性付加と共に軽量化のための最適な組み合わせが行われることができる。
【0171】
より具体的には、第1リアクロスメンバ220は、本出願人が生産する厚さ1.1mm~1.3mm程度の1180 TRIP(Transformation Induced Plasticity)鋼などの板材で作られることができる。ここで、1180 TRIP鋼は、1180MPa以上の引張強度及び850MPa以上の降伏強度を保証しながら伸び率が45%以上に向上した鋼種である。
【0172】
第2リアクロスメンバ240は、本出願人が生産する厚さ1.1mm~1.3mm程度の1470 MART鋼などの板材で作られることができる。
【0173】
また、第2リアクロスメンバ240が第1リアクロスメンバ220よりもさらに高い強度を有することができる。
【0174】
サイドシール300は、車体の左右の両側の下部で車両の長さ方向Xに沿って延びるように形成されて配置されることができ、第2リアクロスメンバ240の端部と結合されることができる。
【0175】
サイドシール300は、車両の前方、後方及び側方の衝突の対応に重要な車体構造体として作用する。
【0176】
リアサブフレーム250は、車両の幅方向Yに延びるように形成された2つの横部材251の両端部が車両の長さ方向Xに延びるように形成された2つの縦部材252と連結されて略四角フレーム形状を成している。
【0177】
リアサブフレーム250の底面には、サスペンションのスプリングリンクを固定するための装着ブラケットが備えられることができ、パワートレインを装着するためのマウントブッシュ用装着ブラケットが備えられることができる。
【0178】
一方、第1リアクロスメンバ220には、車両の長さ方向Xに延びた第2連結ブラケット223が設けられることができる。第2連結ブラケットにはボルト孔が形成されており、第2連結ブラケットはリアサブフレーム250にある前方側の横部材251にボルティングで結合することができる。第2連結ブラケットと前方側の横部材が第4結合位置P4を構成する。
【0179】
さらに、リアサブフレーム250の縦部材252は、後方の端部でボルティングによってリアサイドメンバ250の中央に結合されることができる。ここでは、後方の端部とリアサイドメンバの結合地点を第5結合位置P5とする。
【0180】
このように、リアサブフレーム250が複数の結合位置P4、P5、すなわち4つの結合地点でリアサイドメンバ250と結合されることで、結合部の剛性を増大させ、リアサイドメンバ及び第1リアクロスメンバ220に安定して装着されて支持されることができる。
【0181】
本発明の一実施例による電気車の車体において、第4結合位置P4を構成する第1リアクロスメンバ220上の第2連結ブラケット223の設置位置は、バッテリケース400内の空間の分割個数によって決定されることができる。
【0182】
例えば、バッテリケース内の空間を3分割する場合に、バッテリケース400の側面フレーム420から幅方向Yの長さの1/3地点に対応するように第1リアクロスメンバ220の第2連結ブラケット223にある第4結合位置P4が整列されることができる。バッテリケース内の空間を4分割する場合に、バッテリケースの側面フレームから幅方向Yの長さの1/4地点に対応するように第1リアクロスメンバの第2連結ブラケットにある第4結合位置が整列されることができる。
【0183】
また、バッテリケース400の補強部材430において下部補強材431の後方の端部、すなわち後方の突出部434は、第1リアクロスメンバ220の第2連結ブラケット223及びリアサブフレーム250の前方側の横部材251と所定の間隙を置いて離隔することができる。また、バッテリケースの側面フレーム420のうち、後方側の側面フレームは、第1リアクロスメンバと所定の間隙を置いて離隔することができる。
【0184】
本発明の一実施例による電気車の車体では、第1リアクロスメンバ220の第2連結ブラケット223とリアサブフレーム250の前方側の横部材251との間の第4結合位置P4は、補強部材(上部補強材)の断面を車体の長さ方向Xに延びた仮想断面に重なることができる。第1リアクロスメンバの第連結ブラケットとリアサブフレームの前方側の横部材との間の第4結合位置は、バッテリケースの補強部材430のうち上部補強材432と対応する高さに位置することができる。
【0185】
例えば、補強部材430の長さ方向の軸線と、第1リアクロスメンバ220の第2連結ブラケット223とリアサブフレーム250の前方側の横部材251との間の第4結合位置P4の高さ方向の中心線が交差して会うように配置されることができるが、必ずしもこれに限定されない。
【0186】
このような補強部材430と結合位置P4、P5の整列によって、バッテリケース400の補強部材がリアサブフレーム250から伝達される衝突荷重を支持する役割を果たすことができる。
【0187】
したがって、本発明の一実施例による電気車の車体では、補強部材430を備えたバッテリケース400が車体に固定されることで、車体の剛性と耐衝突特性が向上するようになる。
【0188】
図8~
図10を参照すると、本発明の一実施例による電気車の車体において、リアサイドメンバ210は後方バンパービーム70から入る衝突エネルギーを直接的に吸収することができる。
【0189】
続いて、リアサイドメンバ210は、側面がサイドシール300に連結され、端部が第2リアクロスメンバ240に連結されることで、リアサイドメンバに入った超過された衝突荷重をサイドシールと第2リアクロスメンバに分散させて車体に伝達することができる。
【0190】
換言すると、リアサイドメンバ210の吸収能を超過する衝突荷重は、リアサイドメンバと連結されながら、フロアパネルの下のバッテリ空間40を囲む一部の部材に伝達されることができる。
【0191】
バッテリ空間40内に変形が最小化する必要があるため、荷重支持部材において衝突荷重の浸透を防止する必要がある。後方からの衝突において、サイドシール300は荷重支持部材としての役割を果たすことができるのに対し、第1リアクロスメンバ220には荷重支持部材が存在しない。
【0192】
本発明の一実施例による電気車の車体では、第1リアクロスメンバ220で衝突荷重が伝達される地点に対応するようにバッテリケース400の補強部材430が配置されることで、バッテリ空間40内に変形が発生することを防止することができる。
【0193】
より具体的には、リアサブフレーム250は、縦部材252の後方の端部、すなわち第5結合位置P5でリアサイドメンバ210と結合されているため、後方衝突の場合にリアサブフレームは衝突エネルギーの一部を伝達することができる。
【0194】
リアサブフレーム250が第2連結ブラケット223を媒介として第1リアクロスメンバ220に連結されることで、リアサイドメンバ210の吸収能を超過する衝突荷重の一部がリアサブフレームを介して第1リアクロスメンバ220及び車体に伝達されることができる。
【0195】
リアサブフレーム250によって衝突荷重が第1リアクロスメンバ220に伝達されると、第1リアクロスメンバが変形されながら、リアサブフレームの前方側の横部材251は所定の間隙を置いて離隔したバッテリケース400の後方側の側面フレーム420または下部補強材431の端部、すなわち後方の突出部434に接触するようになる。続いて、バッテリケースの後方側の側面フレームは、その内部にある補強部材430の上部補強材432によって支えられることができるため、バッテリ空間40内に衝突荷重が浸透することを防止することができる。
【0196】
あるいは、リアサブフレーム250は、バッテリケース400の後方側の側面フレーム420から突出した補強部材430の下部補強材431によって支えられることができるため、バッテリ空間40内に衝突荷重が浸透することを防ぐことができる。
【0197】
すなわち、後方から来る荷重経路のうち一つをバッテリケース400の補強部材430で構成することで、バッテリケースの補強部材が直接的に荷重支持部材の役割を果たすことができる。
【0198】
但し、前方のフロントサイドメンバ110とは異なり、リアサイドメンバ210は、リアサブフレーム250を介してバッテリケース400の補強部材430に一部衝突荷重を伝達する。
【0199】
以上のように、本発明の一実施例による電気車の車体は、バッテリ空間40を保護する役割だけでなく荷重を支持する役割も果たすことができるように、リアサイドメンバ210とリアサブフレーム250、第1リアクロスメンバ220及びバッテリケース400が互いに有機的に連結されて荷重経路を構成することができる。
【0200】
このように車両の後方で発生した衝突荷重を車体の前方に分散させて伝達することができるため、本発明の一実施例による車体が適用された電気車は衝突性能が向上することができる。
【0201】
このような電気車は、バッテリの搭載により車両の重量が増加し、車体の空間が縮小されたにも関わらず、衝突性能及び安全性を確保することができる利点を有することができる。これは、車両の商品性の向上に繋がることができる。
【0202】
以上のように本発明によると、バッテリケースの補強部材が衝突荷重の経路及び直接的な荷重支持部材の役割を果たすように構成することで、前方又は後方からの衝突時に車体で荷重を分散させて衝突荷重の浸透及び変形を効率的に抑制し、重量を減少させることができる効果が得られる。
【0203】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で様々な修正及び変形が可能である。
【0204】
したがって、本発明に開示された実施例は、本発明の技術思想を限定するものではなく説明するためのものであり、このような実施例によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は以下の特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等の範囲内にあるすべての技術思想は本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0205】
10 非浸透領域
20、30 エネルギー吸収領域
40 バッテリ空間
60 前方バンパービーム
70 後方バンパービーム
110 フロントサイドメンバ
111 フロント部
112 第1分岐部
113 第2分岐部
120 第1フロントクロスメンバ
130 ダッシュパネル
140 第2フロントクロスメンバ
150 フロントサブフレーム
151、251 横部材
152、252 縦部材
153 第1連結ブラケット
160 中間クロスメンバ
210 リアサイドメンバ
220 第1リアクロスメンバ
223 第2連結ブラケット
240 第2リアクロスメンバ
250 リアサブフレーム
300 サイドシール
400 バッテリケース
401 バッテリセル
402 ケース本体
410 底板
420 側面フレーム
430 補強部材
431 下部補強材
432 上部補強材
434 突出部
440 マウンティングフレーム
【手続補正書】
【提出日】2023-07-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0114
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0114】
上部補強材432は、下部補強材431の上に配置されて、下部補強材と結合することができる。上部補強材と下部補強材は、例えばスポット溶接、レーザ溶接などの溶接によって互いに接合されることができる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0184
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0184】
本発明の一実施例による電気車の車体では、第1リアクロスメンバ220の第2連結ブラケット223とリアサブフレーム250の前方側の横部材251との間の第4結合位置P4は、補強部材(上部補強材)の断面を車体の長さ方向Xに延びた仮想断面に重なることができる。第1リアクロスメンバの第2連結ブラケットとリアサブフレームの前方側の横部材との間の第4結合位置は、バッテリケースの補強部材430のうち上部補強材432と対応する高さに位置することができる。
【国際調査報告】