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特表2023-551948シャフトに沿ってドローンを制御するための方法
<図1>
  • 特表-シャフトに沿ってドローンを制御するための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-13
(54)【発明の名称】シャフトに沿ってドローンを制御するための方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 5/00 20060101AFI20231206BHJP
   B64U 20/80 20230101ALI20231206BHJP
   B64U 10/13 20230101ALI20231206BHJP
【FI】
G08G5/00 A
B64U20/80
B64U10/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533913
(86)(22)【出願日】2021-11-24
(85)【翻訳文提出日】2023-07-12
(86)【国際出願番号】 EP2021082813
(87)【国際公開番号】W WO2022117411
(87)【国際公開日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】20211465.8
(32)【優先日】2020-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】390040729
【氏名又は名称】インベンテイオ・アクテイエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】INVENTIO AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビツィ,ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】スチューダー,クリスティアン
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA26
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF05
5H181FF21
5H181LL09
(57)【要約】
本発明は、シャフト(106)に沿ってドローン(104)を制御するための方法であって、シャフト(106)は、第1のシャフト壁(118)と、第1のシャフト壁(118)に隣接する第2のシャフト壁(120)とを少なくとも有し、ドローン(104)は、ドローン(104)の、環境および/または飛行の状態を検出するためのセンサシステム(108;210、212;300、302、304)と、ドローン(104)を制御するためのアクチュエータシステム(102)と、アクチュエータシステム(102)を制御するための制御デバイス(110)とを有する、方法に関する。方法は、以下のステップ:制御デバイス(110)において、センサシステム(108;210、212;300、302、304)により生成されたセンサデータ(112)を受信するステップと;センサデータ(112)を処理することにより、第1のシャフト壁(118)に、および、第2のシャフト壁(120)に対するドローン(104)の実際の距離
を決定するステップと;目標距離(l’、l’)からの実際の距離(l、l)のずれ、および、ドローン(104)がシャフト(106)における目標位置に達するまで進むことになる目標飛行ルート(s’)を基にして、ドローン(104)がシャフト(106)に沿って飛行するように、アクチュエータシステム(102)を作動させるための制御信号(128)を生成するステップとを含む。ドローン(104)の実際の飛行ルート(s)が、センサデータ(112)を処理することにより決定され、制御信号(128)は、目標飛行ルート(s’)からの実際の飛行ルート(s)のずれを基にして生成される。本発明によれば、シャフト(106)におけるドア領域(204)および/または高さマーキング(205)が、センサデータ(112)を処理することにより認識され、実際の飛行ルート(s)が、センサデータ(112)を処理することにより認識されたドア領域(204)および/または高さマーキング(205)を基にして決定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト(106)に沿ってドローン(104)を制御するための方法であって、シャフト(106)は、第1のシャフト壁(118)と、第1のシャフト壁(118)に隣接する第2のシャフト壁(120)とを少なくとも有し、ドローン(104)は、ドローン(104)の、環境および/または飛行の状態を検出するためのセンサシステム(108;210、212;300、302、304)と、ドローン(104)を制御するためのアクチュエータシステム(102)と、アクチュエータシステム(102)を制御するための制御デバイス(110)とを有し、方法は、
制御デバイス(110)において、センサシステム(108;210、212;300、302、304)により生成されたセンサデータ(112)を受信することと、
センサデータ(112)を処理することにより、第1のシャフト壁(118)に、および、第2のシャフト壁(120)に対するドローン(104)の実際の距離
【数1】
を決定することと、
目標距離(l’、l’)からの実際の距離(l、l)のずれ、および、ドローン(104)がシャフト(106)における目標位置に達するまで進むことになる目標飛行ルート(s’)を基にして、ドローン(104)がシャフト(106)に沿って飛行するように、アクチュエータシステム(102)を作動させるための制御信号(128)を生成すること
とを含み、
ドローン(104)の実際の飛行ルート(s)が、センサデータ(112)を処理することにより決定され、制御信号(128)は、目標飛行ルート(s’)からの実際の飛行ルート(s)のずれを基にして生成される、方法において、
シャフト(106)におけるドア領域(204)および/または高さマーキング(205)が、センサデータ(112)を処理することにより認識され、実際の飛行ルート(s)が、センサデータ(112)を処理することにより認識されたドア領域(204)および/または高さマーキング(205)を基にして決定されること
を特徴とする、方法。
【請求項2】
実際の距離
【数2】
が、第1の空間方向(x)における第1のシャフト壁(118)に対するドローン(104)の第1の実際の距離(l)と、第1の空間方向(x)に直交する第2の空間方向(y)における第2のシャフト壁(120)に対するドローン(104)の第2の実際の距離(l)とを含み、
制御信号(128)が、第1の目標距離(l’)からの第1の実際の距離(l)のずれ、および、第2の目標距離(l’)からの第2の実際の距離(l)のずれを基にして生成される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
実際の距離
【数3】
が、第1の空間方向(x)における第1のシャフト壁(118)に対するドローン(104)の追加的な第1の実際の距離
【数4】
を含み、第1の実際の距離(l)、および、追加的な第1の実際の距離
【数5】
が、第1のシャフト壁(118)の異なる点と関連付けられ、
ドローン(104)の実際の向きが、第1の実際の距離(l)、および、追加的な第1の実際の距離
【数6】
を基にして決定され、
制御信号(128)が、目標の向きからの実際の向きのずれを基にして、さらに生成される、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
さらに、シャフト(106)の天井(206)に対するドローン(104)の第3の実際の距離
【数7】
が、センサデータ(112)を処理することにより決定され、
制御信号(128)が、第3の目標距離
【数8】
からの第3の実際の距離
【数9】
のずれを基にして、さらに生成される、
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
さらに、シャフト(106)の床(208)に対するドローン(104)の第4の実際の距離
【数10】
が、センサデータ(112)を処理することにより決定され、
制御信号(128)が、第4の目標距離
【数11】
からの第4の実際の距離
【数12】
のずれを基にして、さらに生成される、
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
センサデータ(112)から、シャフト(106)の測定された幅、深さ、および/または長さを含む測定データ(132)を生成すること
をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
制御デバイス(110)から外部データ処理デバイス(136)に、センサデータ(112)、および/または、センサデータ(112)から生成されたデータ(132)を送信すること
をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法を遂行するように構成されるプロセッサ(116)を含む、制御デバイス(110)。
【請求項9】
ドローン(104)のアクチュエータシステム(102)を作動させるためのドローン制御システム(100)であって、
ドローン(104)の、環境および/または飛行の状態を検出するためのセンサシステム(108;210、212;300、302、304)と、
請求項8に記載の制御デバイス(110)と
を含む、ドローン制御システム(100)。
【請求項10】
センサシステム(108;210、212;300、302、304)が、ドローン(104)の環境を検出するための超音波センサシステム(212;300、302、304)および/またはレーザセンサシステム(210)を含み、ならびに/または、
センサシステム(108;210、212;300、302、304)が、ドローン(104)の飛行の状態を検出するための加速度センサシステムを含む、
請求項9に記載のドローン制御システム(100)。
【請求項11】
第1のシャフト壁(118)、および第1のシャフト壁(118)に隣接する第2のシャフト壁(120)を少なくとも有するエレベータシャフト(106)と、
エレベータシャフト(106)に沿って制御される少なくとも1つのドローン(104)であって、ドローン(104)を制御するためのアクチュエータシステム(102)、およびアクチュエータシステム(102)を作動させるための、請求項9または10に記載のドローン制御システム(100)を装備する、少なくとも1つのドローン(104)と を含む、エレベータ設備(200)。
【請求項12】
コンピュータプログラムがプロセッサ(116)により実行されるときに、プロセッサ(116)に、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法を遂行させるコマンドを含む、コンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータプログラムが記憶される、コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャフトに沿ってドローンを制御するための方法に関する。さらに、本発明は、述べられた方法を遂行するための制御デバイス、コンピュータプログラム、およびコンピュータ可読媒体に関する。さらに、本発明は、この種類の制御デバイスを含むドローン制御システム、および、そのようなドローン制御システムを装備する少なくとも1つのドローンを含むエレベータ設備に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばクアドロコプタの形態におけるドローンは、例えば、ドローンの部分的または完全に自動化された制御を可能にする、衛星ベースの航法システムを装備し得る。しかしながら、ある決まった状況のもとで、衛星信号の受信は、例えばドローンが建物の中で飛行しているときに、制限されることがある。建物内での使用に特に適しているインドアドローンは、それゆえに、それらのドローンの環境を検出するための画像センサシステムを装備し得る。しばしば、そのようなインドアドローンが飛行することになる環境は、前もって知られていない。航法のために、デジタルマップがそれゆえに、例えば、画像センサシステムの画像から生成され得る。この目的のために、相対的に複雑な画像処理アルゴリズムが、一般的には必要とされる。
【0003】
ドローンは、例えば、工業プラントまたはシャフトのカメラにより支援される検査のために使用され得る。シャフトを検査するためにカメラを装備するドローンの例が、EP3489184A1において説明されている。この場合、ドローンは、シャフトに沿って垂直に延在する機械的誘導デバイスにより、シャフトに沿って飛行するときに機械的に誘導される。
【0004】
特開2017-226259およびEP3739420A1は、ドローンがシャフト壁から規定可能な距離において飛行する、シャフトに沿ってドローンを制御するための方法を説明している。
【0005】
特開2017-128440は、エレベータシャフトを検査するために、エレベータシャフトに沿ってドローンを制御するための方法を説明している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3489184号明細書
【特許文献2】特開2017-226259号公報
【特許文献3】欧州特許出願公開第3739420号明細書
【特許文献4】特開2017-128440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
シャフトに沿ってドローンを制御するための方法であって、それによってドローンが、追加的な機械的誘導なしに、および/または、比較的単純な制御エレクトロニクスを使用して、シャフトに沿って部分的または完全に自動化された様式において制御され得る、方法に対する必要性が存在し得る。結果として、そのようなドローンを提供するためのコストは、著しく低減され得る。この方法において単純化される制御エレクトロニクスは、また、増大したロバストネスという利点を提供する。さらに、方法を遂行するための制御デバイス、コンピュータプログラム製品、およびコンピュータ可読媒体に対する、そのような制御デバイスによって構成されるドローン制御システムに対する、ならびに、そのようなドローン制御システムによって構成されるエレベータ設備に対する必要性が存在し得る。
【0008】
そのような必要性は、独立請求項のいずれかの主題により満たされ得る。有利な実施形態が、従属請求項において、および、以下の説明において定義される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、シャフトに沿ってドローンを制御するための方法に関する。シャフトは、第1のシャフト壁と、第1のシャフト壁に隣接する第2のシャフト壁とを少なくとも有する。ドローンは、ドローンの、環境および/または飛行の状態を検出するためのセンサシステムと、ドローンを制御するためのアクチュエータシステムと、アクチュエータシステムを制御するための制御デバイスとを有する。方法は、少なくとも、以下のステップ:制御デバイスにおいて、センサシステムにより生成されたセンサデータを受信するステップと;センサデータを処理することにより、第1のシャフト壁に、および、第2のシャフト壁に対するドローンの実際の距離を決定するステップと;目標距離からの実際の距離のずれ、および、ドローンがシャフトにおける目標位置に達するまで進むことになる目標飛行ルートを基にして、ドローンがシャフトに沿って飛行するように、アクチュエータシステムを作動させるための制御信号を生成するステップとを含む。ドローンの実際の飛行ルートが、センサデータを処理することにより決定される。制御信号は、目標飛行ルートからの実際の飛行ルートのずれを基にして生成される。
【0010】
本発明によれば、シャフトにおけるドア領域および/または高さマーキングが、センサデータを処理することにより認識される。実際の飛行ルートが、センサデータを処理することにより認識されたドア領域および/または高さマーキングを基にして決定される。
【0011】
ドア領域および/または高さマーキングは、例えば、センサシステムにより生成されたドローンの環境の画像データを処理することにより認識され得る。この実施形態によって、例えば、揺動する周囲圧力の場合でさえ、ドローンの実際の飛行高度を高い信頼性で検出することが可能となる。
【0012】
方法は、例えば、ドローンの制御デバイスのプロセッサにより自動的に実行され得る。
【0013】
ここおよび下記で述べられる制御デバイスのモジュールは、ソフトウェアおよび/またはハードウェアとして実装され得る。
【0014】
ドローンは、例えばマルチコプタの形態における、無人航空機を意味すると理解され得る。しかしながら、ドローンの他の設計が、また可能である。ドローンは、センサデータを基にしたアクチュエータシステムの部分的または完全に自動化された作動のための制御ソフトウェアを装備し得る。制御ソフトウェアは、制御デバイスのメモリに記憶され、制御デバイスのプロセッサにより実行され得る。
【0015】
シャフトは、例えば、エレベータシャフト、通気シャフト、またはケーブルシャフトであり得る。シャフトは、垂直に、水平に、および/または、斜めに延在し得る。センサシステムの構成または向きは、シャフトの進路に適合させられる。目標飛行ルートは、目標位置までドローンにより進行されるパスの長さを意味すると理解され得る。目標位置は、例えば、ドローンの動きの方向が、例えば初期位置に戻るようにドローンを動かすために反転させられることになる、反転位置であり得る。垂直シャフトの場合、目標飛行ルートは、例えば、ドローンが達することを意図される、最大値としての、または、マーキングに達する、目標飛行高度であり得る。
【0016】
第1のシャフト壁、および、第2のシャフト壁は、それらのそれぞれの長手縁部において一体となる、シャフトの細長い側壁とみなされ得る。例えば、第1のシャフト壁、および、第2のシャフト壁は、互いに直交して配向され得る。加えて、シャフトは、床、天井、第3のシャフト壁、および/または、第4のシャフト壁を有し得る。シャフト壁のうちの少なくとも1つが、1つ以上の開口部、例えば、通気もしくはドア開口部、または、他のアクセス開口部を有することが可能である。
【0017】
センサシステムは、カメラ、ライダー、超音波、またはレーダセンサなどの少なくとも1つの環境センサ、および/または、例えば慣性測定ユニットの形態における、加速度または回転レートセンサなどの少なくとも1つの飛行動力学センサを有し得る。さらに、センサシステムは、高度測定のための空気圧力センサを含み得る。本発明による方法の実行のためには必要でないとしても、センサシステムは、加えて、GPS、GLONASS、または類するものなどの全地球航法衛星システムを使用してドローンの地理的位置を決定するためのロケーションセンサを有し得る。
【0018】
飛行動力学センサにより生成された飛行動力学データは、例えば、ドローンの飛行の状態を安定化するための安定性制御のための入力データとして使用され得る。ドローンの、距離ベースのまたは、飛行ルートベースの制御は、安定性制御によりオーバーレイされ得る。
【0019】
例えば、実際の距離を決定するためのセンサシステムは、ライダーセンサの形態における2D距離センサを含み得る。ライダーセンサは、例えば、ドローンの環境をスキャンするために約360度回転可能なレーザ光学部品を含み得る。この場合、レーザ光学部品の回転平面は、第1のシャフト壁および/または第2のシャフト壁の壁表面に対して、直角をなして、または、斜めに配向され得る。斜めの向きは、第1および第2のシャフト壁に対する実際の距離に加えて、シャフトの床および/または天井に対する実際の距離がセンサデータから決定されることが、複数のセンサがこの目的のために必要とされることなくできるという利点を有する。
【0020】
代替として、実際の距離を決定するためのセンサシステムは、例えば超音波センサまたはライダーセンサの形態における、複数の1D距離センサを含み得る。しかしながら、1つ以上の1D距離センサとの2D距離センサの組み合わせが、また可能である。
【0021】
目標距離は、例えば、シャフトの所与の幅および/または深さを考慮に入れて選択されていることがある。同じように、例えば、目標飛行ルートは、シャフトの所与の高さまたは長さを考慮に入れて選択されていることがある。目標距離または目標飛行ルートは、ドローンのユーザにより、対応するユーザインターフェースを介して、ドローンの制御ソフトウェア内へと入力されることが可能である。しかしながら、例えばドローンの地理的位置を基にした、目標距離または目標飛行ルートの自動的なセッティングが、また可能である。目標飛行ルートは、また、シャフトにおけるマーキングにより示され得るものであり、特に、述べられたマーキングは、目標または反転位置であり得る。マーキングは、例えば、センサシステムにより、光学的に認識され得る。
【0022】
例えば、目標距離または目標飛行ルートが、シャフトの所与のジオメトリ、例えば、そのシャフトの幅、深さ、および/または長さを規定するジオメトリデータを基にして決定されることが可能である。
【0023】
ジオメトリデータは、例えば、異なるシャフトに関する異なるジオメトリデータを記憶するための外部データ記憶デバイスから、制御デバイスにおいて受信され得る。外部データ記憶デバイスは、例えば、中央サーバ、PC、ラップトップ、スマートフォン、タブレット、または、別のモバイル端末であり得る。この場合、ジオメトリデータは、有線またはワイヤレスデータ接続を介して、例えば、WLAN、Bluetooth、またはモバイル無線接続を介して、制御デバイスに提供され得る。代替として、異なるジオメトリデータはまた、制御デバイスのメモリに記憶され得る。
【0024】
シャフトに沿ってドローンを制御するために、ドローンの実際の飛行ルート、例えば、実際の飛行高度を決定することは、絶対的に必要であるわけではないということが留意される。目標飛行ルートへの順守は、また、例えば、目標飛行ルートに応じて事前定義された速度プロファイルに従って、シャフトに沿ってドローンを制御することにより確実にされ得る。例えば、異なる目標飛行ルートについての異なる事前定義された速度プロファイルが、制御デバイスに記憶され得る。代替として、速度プロファイルは、対応する数学関数を使用して、目標飛行ルートに応じて算出され得る。ドローンが、ドローンの飛行高度、速度、および/または向きを調整する人間オペレータにより遠隔制御されること、ならびに、シャフト壁からの距離のみが自動的に設定されることが、また可能である。加えて、シャフトの床および天井との衝突が、自動的に防止され得る。このことは、半自動動作と呼称され得る。
【0025】
アクチュエータシステムは、3次元空間におけるドローンの位置および/または向きを変化させるように構成され得る。この目的のために、アクチュエータシステムは、1つ以上のロータと、1つまたは複数のロータを駆動するための1つ以上の駆動モータとを含み得る。加えて、アクチュエータシステムは、例えばロータの向きを変化させるための、1つ以上のサーボモータを含み得る。ロータは、例えば、同じ回転平面において配置され得る。しかしながら、他の駆動構成が、また可能である。
【0026】
実際の飛行ルートは、例えば、シャフトの床および/または天井に対するドローンの実際の距離を基にした実際の飛行高度として決定され得る。しかしながら、実際の飛行高度は、また、ドローンの空気圧力センサのセンサデータから決定され得る。この実施形態によって、また、ドローンが、シャフトに沿って飛行するときに目標位置を越えて飛行することを高い信頼性で防止することが可能となる。
【0027】
手短に言えば、ここで提示される手法によって、ドローンの所与の目標位置において、2つの隣り合うシャフト壁からのその距離のみが、検出および評価されることを必要とするということにおいて、最小限のハードウェアおよび/またはソフトウェアの複雑さを伴う、シャフトに沿ったドローンの制御が可能になる。飛行動作中のドローンの環境のデジタルマップの複雑な作成は、したがって不要にされ得るものであり、または、機上の測定システムにより完了され得る。大規模なセンサシステムおよび対応して複雑な制御エレクトロニクスを一般的には装備する、普通のインドアドローンとは対照的に、この方法において単純化されるドローンについてのコストは、著しく、より低くなり得る。
【0028】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様の実施形態による方法を遂行するように構成されるプロセッサを有する、制御デバイスに関する。さらに上で述べられたように、制御デバイスは、ハードウェアおよび/またはソフトウェアモジュールを含み得る。プロセッサに加えて、制御デバイスは、メモリ、および、周辺デバイスとのデータ通信のためのデータ通信インターフェースを含み得る。本発明の第1の態様の実施形態による方法の特徴は、また、制御デバイスの特徴であり得るものであり、逆も然りである。
【0029】
本発明の第3の態様は、ドローンのアクチュエータシステムを作動させるためのドローン制御システムに関する。ドローン制御システムは、ドローンの、環境および/または飛行の状態を検出するためのセンサシステムと、本発明の第2の態様の実施形態による制御デバイスとを含む。本発明の第1の態様の実施形態による方法の特徴は、また、ドローン制御システムの特徴であり得るものであり、逆も然りである。
【0030】
本発明の第4の態様は、エレベータ設備、例えば、貨物または乗用エレベータに関する。エレベータ設備は、第1のシャフト壁、および第1のシャフト壁に隣接する第2のシャフト壁を少なくとも有する少なくとも1つのエレベータシャフトと、エレベータシャフトに沿って制御される少なくとも1つのドローンであって、ドローンを制御するためのアクチュエータシステム、および本発明の第3の態様の実施形態による、ドローンを作動させるためのドローン制御システムを装備する、少なくとも1つのドローンとを含む。1つまたは複数のドローンによって、例えば、特に、エレベータシャフトにおける、エレベータ設備の要素、例えば、ガイドレールまたはエレベータかごの設置の前に、エレベータシャフトを測定および/または検査することが可能である。さらに、1つまたは複数のドローンは、エレベータシャフトを通って荷物を運搬するように、例えば、エレベータシャフトにおいて、自動化された様式において、それらの荷物を受け取る、および/または、預けるように構成され得る。
【0031】
本発明の第5の態様は、コンピュータプログラムに関する。コンピュータプログラムは、コンピュータプログラムがプロセッサにより実行されるときに、プロセッサに、本発明の第1の態様の実施形態による方法を遂行させるコマンドを含む。
【0032】
本発明の第6の態様は、本発明の第5の態様の実施形態によるコンピュータプログラムが記憶される、コンピュータ可読媒体に関する。コンピュータ可読媒体は、揮発性または不揮発性データメモリであり得る。例えば、コンピュータ可読媒体は、ハードディスク、USBメモリデバイス、RAM、ROM、EPROM、またはフラッシュメモリであり得る。コンピュータ可読媒体は、また、インターネットまたはデータクラウドなどの、プログラムコードがダウンロードされることを可能にするデータ通信ネットワークであり得る。
【0033】
本発明の第1の態様の実施形態による方法の特徴は、また、コンピュータプログラムの、および/または、コンピュータ可読媒体の特徴であり得るものであり、逆も然りである。
【0034】
本発明の実施形態の可能な特徴および利点は、とりわけ、および、本発明を限定することなく、下記で説明される概念および所見に基づくと考えられ得る。
【0035】
1つの実施形態によれば、実際の距離が、第1の空間方向における第1のシャフト壁に対するドローンの第1の実際の距離と、第1の空間方向に直交する第2の空間方向における第2のシャフト壁に対するドローンの第2の実際の距離とを含む。この場合、制御信号が、第1の目標距離からの第1の実際の距離のずれ、および、第2の目標距離からの第2の実際の距離のずれを基にして生成される。
【0036】
第1の空間方向は、例えば、シャフトの幅方向に対応し得る。第2の空間方向は、例えば、シャフトの深さ方向に対応し得る。この場合、制御信号は、シャフトの垂直または長手方向においてドローンを制御するために生成され得る。第1の実際の距離、および、第2の実際の距離は、例えば、例えば超音波センサの形態における、1D距離センサにより検出されていることがある。しかしながら、すでに上で述べられたように、例えばライダーセンサの形態における、2D距離センサの使用が、また、第1および第2の実際の距離を検出するために可能である。制御信号は、目標距離からの実際の距離のずれが可能な限り小さい、および/または、実際の距離が可能な限り一定であるような方法で生成され得る。第1の目標距離、および、第2の目標距離は、同じであることがあり、または、異なることがある。この実施形態によって、単純な手段により、ドローンが、シャフトに沿って飛行するときにシャフト壁と接触することを防止することが可能である。例えば、第1の目標距離、および、第2の目標距離は、ドローンがシャフトにおいて可能な限り中央で飛行するように選択され得る。しかしながら、第1の目標距離、および、第2の目標距離は、また、所望される際に、異なって選択され得る。目標距離が、ドローンの飛行中に変化されることが、また可能である。このことは、例えば、飛行高度、シャフトにおけるマーキングの検出に応じて、または、人間オペレータにより手動で行われ得る。
【0037】
1つの実施形態によれば、実際の距離が、第1の空間方向における第1のシャフト壁に対するドローンの追加的な第1の実際の距離を含む。この場合、第1の実際の距離、および、追加的な第1の実際の距離が、第1のシャフト壁の異なる点と関連付けられる。第1の実際の距離、および、追加的な第1の実際の距離を基にして、ドローンの実際の向きが決定される。この場合、制御信号が、目標の向きからの実際の向きのずれを基にして、さらに生成される。例えば、第1の実際の距離、および、追加的な第1の実際の距離を検出するために、ドローンは、規定された間隔において互いの隣に配置される2つの1D距離センサを有し得る。この実施形態によって、ドローンの実際の向き、例えば、そのドローンのヨー角度が、第1の実際の距離と、追加的な第1の実際の距離との間の差を算出することにより、非常に容易に決定され得る。ドローンの実際の向きの説明された決定は、2Dセンサの測定データから類似的に決定され得る。
【0038】
1つの実施形態によれば、シャフトの天井に対するドローンの第3の実際の距離が、センサデータを処理することにより、さらに決定される。この場合、制御信号が、第3の目標距離からの第3の実際の距離のずれを基にして、さらに生成される。目標飛行ルートは、例えば、第3の目標距離により規定され得る。第3の実際の距離は、例えば、おそらくは天井に斜めに配向される、1D距離センサまたは2D距離センサによって検出され得る。単純な手段により、ドローンが目標位置を越えて飛行しないということを確実にすることが、したがって可能である。第3の目標距離は、ドローンが、天井と接触すること、または、天井にあまりにも近く接近することを防止されるように選択され得る。したがって、シャフトに沿って飛行する間のドローンへの損傷が回避され得る。
【0039】
1つの実施形態によれば、シャフトの床に対するドローンの第4の実際の距離が、センサデータを処理することにより、さらに決定される。この場合、制御信号が、第4の目標距離からの第4の実際の距離のずれを基にして、さらに生成される。目標飛行ルートは、例えば、第4の目標距離により規定され得る。第4の実際の距離は、例えば、おそらくは地面に斜めに配向される、1D距離センサまたは2D距離センサによって検出され得る。単純な手段により、ドローンが目標位置を越えて飛行しないということを確実にすることが、したがって可能である。シャフトの床上へのドローンの安全な着陸が、したがって、また確実にされ得る。
【0040】
ドローンは、例えば、初期位置において、シャフトの床上に位置し得る。例えば、ドローンは、シャフトの床上に、第1および第2のシャフト壁の間で中央に、または、第1および第2のシャフト壁の間で中央に対してオフセットされて、初期位置において置かれ得る。制御信号は、例えば、初期位置に位置するドローンが、シャフトの床から離昇し、目標位置まで飛行し、そこからシャフトの床に戻るように飛行し、最終的にシャフトの床上に着陸するような方法で生成され得る。シャフトの床上でのドローンの説明された位置決めによって、ドローンの、シャフト壁からの目標距離、および、目標の向きが、決定または固定される。
【0041】
1つの実施形態によれば、方法は、センサデータから、シャフトの測定された幅、深さ、および/または長さを含む測定データを生成するステップをさらに含む。この目的のために、センサデータは、制御デバイスにより、適した様式において、フィルタリングおよび/または変換され得る。測定データは、例えば、3次元座標系におけるシャフトのジオメトリをマッピングする、複数の測定点の座標を含み得る。この実施形態によって、したがって、シャフトの自動化された測定が可能になる。
【0042】
1つの実施形態によれば、方法は、制御デバイスから外部データ処理デバイスに、センサデータ、および/または、センサデータから生成されたデータを送信するステップをさらに含む。制御デバイスにより送信されたセンサデータは、例えば、シャフトの画像データを含み得る。センサデータから生成されたデータは、例えば、センサデータのフィルタリングおよび/または変換により生成されたデータ、例えば測定データであり得る。送信は、例えば、ドローンの飛行動作中に行われ得る。センサデータの、および/または、センサデータから生成されたデータの外部評価が、したがって可能とされる。このことは、制御ユニットのハードウェアおよび/またはソフトウェアが非常に単純に保たれ得るという利点を有する。例えば、外部データ処理デバイスは、センサデータ、および/または、センサデータから生成されたデータから、ジオメトリデータ(さらに上を確認されたい)を生成するように構成され得る。
【0043】
1つの実施形態によれば、センサシステムが、ドローンの環境を検出するための超音波センサシステムおよび/またはレーザセンサシステムを含む。加えて、または代替として、センサシステムが、ドローンの飛行の状態を検出するための加速度センサシステムを含み得る。加速度センサシステムは、例えば、慣性測定ユニットまたはジャイロスコープセンサを含み得る。例えば、ドローンの生産コストは、ドローンのカメラおよび衛星ベースのロケーティングの省略により、大幅に低減され得る。
【0044】
本発明の実施形態は、付随する図面を参照して、下記で説明されることになり、図面も説明も、本発明を限定すると解釈されることを意図されない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】シャフトにおける、本発明の実施形態によるドローン制御システムを含むドローンの概略図である。
図2】本発明の実施形態によるドローン制御システムの拡大概略図である。
図3】本発明の実施形態によるエレベータ設備の概略図である。
図4図3からのエレベータシャフトの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図面は、ただ単に概略的であり、一定の縮尺ではない。異なる図において、同一の参照符号は、同一または同様の特徴を指し示す。
【0047】
図1および図2は、ここではクアドロコプタの例として、ドローン104のアクチュエータシステム102を作動させるためのドローン制御システム100を示し、クアドロコプタのアクチュエータシステム102は、互いとは別々に作動させられ得る4つのプロペラユニットを含む。ドローン104は、シャフト106、例えば、エレベータ、通気、またはケーブルシャフトに位置する。ドローン制御システム100は、ドローン104が、シャフト106に沿って、すなわち、シャフト106の長手方向において飛行するように、アクチュエータシステム102を作動させるように構成される。
【0048】
この目的のために、ドローン制御システム100は、ドローン104の、環境および/または飛行の状態を検出するためのセンサシステム108と、ドローン104の、環境および/または飛行の状態の検出中にセンサシステム108により生成されたセンサデータ112を基にしてアクチュエータシステム102を作動させるための制御デバイス110とを含む。
【0049】
下記で説明される制御デバイス110のモジュールが、制御デバイス110のメモリ114に、対応するコンピュータプログラムの形態において記憶され、制御デバイス110のプロセッサ116によりコンピュータプログラムを実行することにより実行され得る(図1を確認されたい)。しかしながら、モジュールがハードウェアとして実装されることが、また可能である。
【0050】
この例において、シャフト106は、第1のシャフト壁118、および、第2のシャフト壁120の形態における2つの側壁を含み、それらは、それらの側壁の長手縁部において互いに隣接する。ここでは、第1のシャフト壁118、および、第2のシャフト壁120は、例として、互いに直角をなして配向される。シャフト106が、さらなる側壁、床、および/または天井を含むことが可能である(さらには図3および図4を確認されたい)。
【0051】
シャフト106に沿ってドローン104を制御するために、センサデータ112は、制御デバイス110の距離決定モジュール122(図2を確認されたい)内へと入力され、距離決定モジュール122は、センサデータ112から、第1のシャフト壁118に、および、第2のシャフト壁120に対するドローン104の実際の距離を決定するように構成される。この例において、距離決定モジュール122は、3次元x、y、z座標系124における実際の距離を決定する。この場合、座標系124のx軸の方向における第1のシャフト壁118に対する第1の実際の距離l、および、座標系124のy軸の方向における第2のシャフト壁120に対する第2の実際の距離lが決定される。
【0052】
実際の距離l、lは、続いて、制御デバイス110の制御信号生成モジュール126内へと入力され、制御信号生成モジュール126は、実際の距離l、l、実際の距離l、lと関連付けられる目標距離l’、l’、および、目標位置に達するまでシャフト106に沿ってすなわちz方向において飛行する間にドローン104が進行することを意図される目標飛行ルートs’から、アクチュエータシステム102を作動させるための制御信号128を生成するように構成される。制御信号128は、アクチュエータシステム102に、目標飛行ルートs’および目標距離l’、l’を考慮に入れて、ドローン104を、それがシャフト106においてz方向において動くような方法で制御させる。この目的のために、制御信号生成モジュール126は、第1の目標距離l’からの第1の実際の距離lのずれ、および、第2の目標距離l’からの第2の実際の距離lのずれを決定し、これらのずれを基にして制御信号128を生成する。
【0053】
加えて、距離決定モジュール122は、センサデータ112を処理することにより、座標系124のz軸の方向における、シャフト106の天井206(図3を確認されたい)に対する第3の実際の距離
【数1】
、および/または、シャフト106の床208(図3および図4を確認されたい)に対する第4の実際の距離
【数2】
を決定するように構成され得る。よって、制御信号生成モジュール126は、第3の実際の距離
【数3】
、および/または、第4の実際の距離
【数4】
を基にして、例えば、第3の目標距離
【数5】
からの第3の実際の距離
【数6】
のずれ、および/または、第4の目標距離
【数7】
からの第4の実際の距離
【数8】
のずれを基にして、制御信号128を追加的に生成するように構成され得る。
【0054】
例えば、距離決定モジュール122においてセンサデータ112を処理することにより、シャフト106における、ドローン104の実際の飛行ルートs、すなわち、z方向においてドローン104により進行されるパス、または、ドローン104の現在の高度が決定されるということが、また可能である。この場合、制御信号生成モジュール126は、実際の飛行ルートsを基にして、より正確には、目標飛行ルートs’からの実際の飛行ルートsのずれを基にして、制御信号128を追加的に生成するように構成され得る。
【0055】
加えて、制御デバイス110は、例えばセンサデータ112の対応するフィルタリングおよび/または変換によって、センサデータ112を測定データ132へと変えるための測定モジュール130を含み得る。測定データ132は、座標系124におけるシャフト106の測定されたジオメトリ、例えば、その幅、深さ、および/または、長さもしくは高さを示し得る。
【0056】
センサデータ112、および/または、測定データ132などの、センサデータ112から生成されたデータは、外部記憶および/またはさらなる処理のために、制御デバイス110の通信モジュール134を介して、ここでは例として、WLAN、Bluetooth、モバイル無線、または類するものなどのワイヤレスデータ通信接続を介して、外部データ処理デバイス136に送出されるということが、さらに可能である。外部データ処理デバイス136は、例えば、サーバ、PC、ラップトップ、スマートフォン、タブレット、または類するものであり得る。
【0057】
代替として、または加えて、通信モジュール134が外部データ処理デバイス136からデータを受信することが可能である。前記データは、例えば、目標距離l’、l’、
【数9】
、および/もしくは
【数10】
、ならびに/または目標飛行ルートs’についての値、あるいは、シャフト106に関するジオメトリデータであって、、ジオメトリデータであり得る。
【0058】
図3は、エレベータ設備200の部分を示す。この例において、シャフト106は、エレベータ設備200の垂直エレベータシャフト106である。この場合、第2のシャフト壁120と反対側の、エレベータシャフト106の第3のシャフト壁202が、ドア開口部を各々が有する複数のドア領域204を有し、ドア開口部を介して、エレベータシャフト106は、外側から、例えば、建物の異なる階からアクセス可能である。例えば、距離決定モジュール122は、センサデータ112においてドア領域204を認識することにより、ここではドローン104の実際の飛行高度に対応する実際の飛行ルートsを決定するように構成され得る。エレベータシャフト106の天井206および床208が、さらには示される。
【0059】
エレベータシャフト106における規定された位置または高さを示す高さマーキング205が、エレベータシャフト106内または上に配置され得る。これらは、例えば、カッティングチェックとして知られているものであり得る。例えば、距離決定モジュール122は、センサデータ112において高さマーキング205を認識することにより、ここではドローン104の実際の飛行高度に対応する実際の飛行ルートsを決定するように構成され得る。
【0060】
エレベータ設備200は、ドローン制御システム100およびアクチュエータシステム102を装備する、ドローン104、または、その複数もまたさらに含む。例えば、ドローン104は、すでにさらに上で述べられたように、エレベータシャフト106の内部を検査するために、および/または、エレベータシャフト106の自動化された測定を遂行するために、エレベータシャフト106に沿って上および下に動かされ得る。
【0061】
加えて、図3は、例として、ドローン104の環境を検出するためのセンサシステム108の2つの構成を示す。
【0062】
2つの構成のうちの上側のものは、2D距離センサとしてのライダーセンサシステム210を含む。ライダーセンサシステム210は、この例において、1つ以上の斜め平面において距離を検出するように構成される。この場合、「斜め平面」は、座標系124のすべての3つの平面と交差する平面を意味する。例えば、ライダーセンサシステム210は、ドローン104の飛行動作中に、そのライダーセンサシステム210が、垂直線に対して、この場合はz軸に対して、傾いて配向されるような方法で、ドローン104上で配置され得る。ライダーセンサシステム210の検出角度は、例えば、90度から360度の間であり得る。シャフト壁118、120、202からの、天井206までの、および、床208までの距離を同時に検出することが、したがって可能である。
【0063】
2つの構成のうちの下側のものは、2D距離センサとしてのライダーセンサシステム210に加えて、天井206からのまたは床208からの距離を検出するために、反対の方向を向く2つの1D距離センサを有する超音波センサシステム212を含む。この構成において、ライダーセンサシステム210は、x、y平面と平行の1つ以上の平面における距離を検出するように構成される。
【0064】
超音波センサシステム212の別の可能な構成が、図4において示される。この例において、超音波センサシステム212は、第1の実際の距離lを検出するための第1の1D距離センサ300と、x方向における第1のシャフト壁118に対する、追加的な第1の実際の距離
【数11】
を検出するための第2の1D距離センサ302と、第2の実際の距離lを検出するための第3の1D距離センサ304とを含む。図4において確認され得るように、第1の実際の距離l、および、追加的な第1の実際の距離
【数12】
は、第1のシャフト壁118の異なる点と関連付けられる。よって、制御信号生成モジュール126は、第1の実際の距離l、および、追加的な第1の実際の距離
【数13】
を基にして、z軸に関するヨー角度などの、ドローン104の実際の向きを決定するように、ならびに、対応する目標の向きからの実際の向きのずれを基にして、制御信号128を生成するように構成され得る。
【0065】
エレベータシャフト106においてドローン104を制御するために、制御デバイス110は、例えば、2つのシャフト壁118、120からのドローン104の距離を制御するための水平コントローラと、目標飛行ルートs’を考慮に入れてドローン104の垂直速度を制御するための速度コントローラとを含み得る。この場合、垂直速度は、初期には一定に保たれ得るものであり、目標位置に達する少し前に、すなわち、エレベータシャフト106の端部に達する少し前に低減され得る。
【0066】
垂直速度は、例えば、固定された前進と定義され得る。ドローン104の実際の速度は、例えば、加速度センサシステムの加速度値を積分することにより、例えば空気圧力センサの形態における高度センサの高度値を導出することにより、または、付加的に、センサデータ112に含まれるカメラ画像を評価することにより、決定され得る。
【0067】
例として、ドローン104の飛行操縦のシーケンスが、下記で説明される。
1.ドローン104が、床208上で位置決めされおよび配向される。
2.水平コントローラが、ゼロにリセットされ、または初期化される。
3.ドローン104は、一定の垂直速度で、エレベータシャフト106に沿って、上方に、すなわち、天井206の方向において飛行する。
4.天井206が、センサシステム108により検出される。よって、垂直速度が、ドローン104が空中での静止に達するまで低減される。続いて、ドローン104は、床208の方向において戻るように飛行する。
5.床208が、センサシステム108により検出される。よって、垂直速度が、空中でのドローン104の静止まで低減され、または、少なくとも、ドローン104が床208へと非常に低速で動くような程度に低減される。続いて、ドローン104は、床208上に穏やかに着陸する。
【0068】
距離測定のために、ステレオカメラ、深度カメラ、追跡センサ、および/または飛行時間センサが、代替として、または加えて使用され得る。
【0069】
エレベータシャフト106におけるドローン104の位置が、任意選択で慣性測定ユニットにより支援される、ビジュアルオドメトリを基にして決定されることが可能である。ドローン104の基準位置、例えば、床208上でのその初期位置に関する、位置における変化が、次いで、センサデータ112において認識された特徴、例えばエレベータシャフト106におけるドア領域204もしくは特殊な高さマーキング205の時間的追跡によって、または、オプティカルフローを基にして算出され得る。
【0070】
ドローン104の(自動化された)制御について図1図2図3、および図4を参照して説明された方法に加えて、または、その方法に対する代替として、ドローン104は、人間オペレータにより遠隔制御可能であり得る。この場合、人間オペレータは、ドローンの飛行高度、速度、および/または向きを調整し、シャフト壁までの距離は、自動的に設定される。加えて、シャフトの床および天井との衝突が、自動的に防止され得る。このことは、半自動動作と呼称され得る。
【0071】
終わりにあたって、「含む」、「備える」、その他などの用語は、他の要素またはステップを排除せず、「1つ(a)」または「1つ(an)」などの用語は、複数を排除しないということが留意されるべきである。さらに、上記の実施形態のうちの1つを参照して説明された特徴またはステップは、また、上記で説明された他の実施形態の他の特徴またはステップと組み合わせて使用され得るということが留意されるべきである。特許請求の範囲における参照符号は、限定的であると考えられるべきではない。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】