(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-13
(54)【発明の名称】バーナーのために燃焼空気を供給し排ガスを再循環させるための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
F23C 9/08 20060101AFI20231206BHJP
F23D 14/48 20060101ALI20231206BHJP
F23D 14/64 20060101ALI20231206BHJP
F23D 14/22 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
F23C9/08 403
F23D14/48 B
F23D14/64
F23D14/22 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533920
(86)(22)【出願日】2021-11-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-01
(86)【国際出願番号】 EP2021082000
(87)【国際公開番号】W WO2022117345
(87)【国際公開日】2022-06-09
(32)【優先日】2020-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509322247
【氏名又は名称】ベーエス-ベルメプロツェステクニーク ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム アー.ビュニング
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム ゲー.ビュニング
【テーマコード(参考)】
3K017
3K019
3K065
【Fターム(参考)】
3K017CA07
3K017CB09
3K017CD04
3K017CE03
3K019BB01
3K019BD09
3K065TB15
3K065TC03
3K065TE03
3K065TL03
(57)【要約】
本発明は、燃焼チャンバ(10)を含むバーナー(1)のために燃焼空気を供給し排ガスを再循環させるための装置(2)、及び方法、並びに燃焼空気を供給し排ガスを再循環させるための装置(2)を含むバーナー(1)に関する。燃焼チャンバ(10)から排ガスを吸い込むことにより、前記駆動ノズル(21)の下流側に配置された混合チャンバ(22)へ燃焼空気を供給するために、中心軸線(A)の周りに配置された複数の駆動ノズル(21)が使用される。前記駆動ノズル(21)から出た燃焼空気が、前記燃焼チャンバ(10)から流出して前記駆動ノズル(21)によってバックフラッシュされた排ガスと、燃焼空気/排ガス混合物を形成するように、混合チャンバ(22)内で混合され、そして前記燃焼空気/排ガス混合物が、前記混合チャンバ(22)の下流側で反応ゾーンへ供給される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼チャンバ(10)を有するバーナー(1)に燃焼空気を供給し排ガスを再循環させる装置であって、前記装置(2)が、中心軸線(A)の周りに配置されて燃焼空気供給部に流体接続された複数の駆動ノズル(21)を含むものにおいて、
前記駆動ノズル(21)の下流側に配置された混合チャンバ(22)が設けられており、前記駆動ノズル(21)と前記混合チャンバ(22)とが噴射ポンプを形成しており、そして前記混合チャンバ(22)内で、前記駆動ノズル(21)から出た燃焼空気が、前記燃焼チャンバ(10)から流出して前記駆動ノズル(21)によって吸い戻された排ガスと、燃焼空気/排ガス混合物を形成するように混合可能であり、前記燃焼空気/排ガス混合物が、前記混合チャンバ(22)の下流側で反応ゾーンへ供給可能である、ことを特徴とする、バーナー(1)に燃焼空気を供給し排ガスを再循環させるための装置。
【請求項2】
前記混合チャンバ(22)が環状断面を有していることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記中心軸線(A)の周りに均一に配置された8つ又は9つ以上の前記駆動ノズル(21)が設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記混合チャンバ(22)と前記駆動ノズル(21)との断面積比が20以下であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
バイパスダクト(23)が設けられており、前記バイパスダクトによって、前記駆動ノズル(21)を迂回しながら、前記燃焼空気を前記反応ゾーンへ供給することができ、好ましくは前記バイパスダクト(23)の出口端部に、ノズル開口(230)が設けられていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記バイパスダクト(23)内に、調節可能なバイパス弁(231)が設けられており、好ましくは前記バイパス弁(231)が連続的又は無段式に調節可能であることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記吸い戻された排ガスのための吸い込み開口(25)内に、調節可能な弁(27)が設けられており、好ましくは前記弁(27)が連続的又は無段式に調節可能であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
好ましくは燃料供給部(3)の出口開口の上流側に、酸素を測定するためにプローブ(5)が設けられ、及び/又は前記再循環させられた排ガスの温度を測定するために測定センサ(6)が設けられていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の装置と、燃料ランス(31)とを含むバーナーであって、前記燃料ランスが、前記中心軸線(A)に対して同軸的に配置され、出口開口(32)を有している、バーナー。
【請求項10】
炎管(12,112)が設けられており、前記炎管が、流れ方向に対して横方向に前記燃焼チャンバ(10)を仕切っていることを特徴とする、バーナー。
【請求項11】
燃料供給部(3)が点火手段(34)又はパイロットバーナーを含むことを特徴とする、請求項9又は10に記載のバーナー。
【請求項12】
燃焼チャンバ(10)を有するバーナー(1)に燃焼空気を供給し排ガスを再循環させる方法であって、前記燃焼チャンバ(10)から排ガスを吸い上げながら、前記燃焼空気が、中心軸線(A)の周りに配置された複数の駆動ノズルによって、前記駆動ノズル(21)の下流側に配置された混合チャンバ(22)へ供給され、前記混合チャンバ(22)内で、前記駆動ノズル(21)から出た前記燃焼空気が、前記燃焼チャンバ(10)から流出して前記駆動ノズル(21)によって吸い戻された排ガスと混合されて、燃焼空気/排ガス混合物を形成し、前記燃焼空気/排ガス混合物が、前記混合チャンバ(22)の下流側で反応ゾーンへ供給される、
燃焼チャンバ(10)を有するバーナー(1)のために燃焼空気を供給し排ガスを再循環させるための方法。
【請求項13】
前記燃焼空気が、選択的にバイパスダクト(23)を介して、前記駆動ノズル(21)を迂回しながら前記反応ゾーンへ供給されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
選択的に前記バイパスダクト(23)を介して供給された前記燃焼空気と、前記燃焼空気/排ガス混合物との混合物の酸素含量がモニタリングされ、前記バイパスダクト(23)を介して供給された燃焼空気の量が、所定の酸素含量を維持するように調節されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記再循環させられた排ガスの温度が検出され、バイパスダクト(23)を介して供給される前記燃焼空気の量が、前記検出された温度に応じて調節されることを特徴とする、請求項12から14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーナーのために燃焼空気を供給し排ガスを再循環させるための装置及び方法、並びに燃焼空気を供給し排ガスを再循環させるための装置を有するバーナーに関する。
【背景技術】
【0002】
再生可能エネルギー、例えば風力エネルギー、太陽光エネルギー、水力発電力から、又はバイオマスからの水分離によって得られる水素、具体的にはグリーン水素と呼ばれるものが、エネルギー源として、最初は天然ガスに付加されるものとして、そして後には純ガスとして重要性をますます増しつつある。水素は事実上いかなるエミッションもなしに燃焼しはするものの、酸素及び窒素は燃焼空気の成分であり、したがって水素の使用中でさえ窒素酸化物が形成され得る。高温において窒素酸化物の熱的形成が開始され、次いでこれは温度とともに指数関数的に増大する。水素の反応速度が速いことにより、窒素酸化物の熱的形成量は、純粋天然ガスの使用と比較して水素を使用することにより著しく増大する。例えば特別な手段が講じられなければ、天然ガス(CH4)を使用するバーナーの場合には、排ガス中の窒素酸化物はほぼ50ppmであり、そして水素を使用するバーナーの場合には、排ガス中の窒素酸化物は100ppmを上回る。
【0003】
燃焼プラントの排ガス中に窒素酸化物が熱的形成されることに対して、排ガスの再循環又は排ガスを戻すことが効果的な手段であることが知られている。排ガスを戻すことによって、酸素含量を低減し、ひいては火炎温度を低下させる。本願との関連において、排ガス返還比(EGR)は、再循環又は戻された排ガスと、供給された燃焼空気との質量流比(mA/mL)と定義される。排ガスは、燃焼排ガス又は燃焼ガスとも呼ばれる。
【0004】
通常、排ガスの外部再循環と内部再循環とが区別される。排ガスの内部再循環の場合、排ガスは燃焼チャンバから導出され、そして排ガス管内の排ガス部分流が、例えば煙突内で取り出され、そしてこれは燃焼空気又は燃料へ、燃焼チャンバ内への流入前又は流入中に加えられる。適宜のコントローラによって、EGRを所期の比になるように調節することができる。排ガスの外部再循環の実質的な欠点は、排ガス量が増大し、ひいては熱を抽出するための区域のサイズを相応に増大させなければならないことである。
【0005】
排ガスの内部再循環の場合、燃焼チャンバ内に存在する排ガス又は燃焼ガスは、燃焼空気のパルスによって反応ゾーン内へ再循環させられる。燃焼チャンバ内の温度が燃料の点火温度を上回る場合には、排ガス返還比を所望のように高めることができる。それというのも火炎安定性は重要でないからである。
【0006】
例えば、特許文献1に開示された、燃焼チャンバ内で燃料を燃焼させる方法及び装置の場合、リング状に配列された複数のノズルを有するノズル手段から出た燃焼空気を、燃焼チャンバ内で部分的に冷却された、吸い戻された排ガスと、少なくとも点火温度を有する燃焼空気/排ガス混合物を形成しながら、排ガス返還比EGR≧2で混合することができる。
【0007】
対照的に、燃焼チャンバ内の温度が点火温度を下回る場合には、火炎が消えるのを回避するために、排ガス返還比を制限しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0463218号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明により対処される課題は、具体的には低温プロセスのためのバーナーのために、定義された排ガス返還比で、燃焼空気を供給し排ガスを内部再循環させることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様によれば、燃焼チャンバを有するバーナーのために燃焼空気を供給し排ガスを再循環させるための装置が形成され、装置が、中心軸線の周りに配置されて燃焼空気供給部に流体接続された複数の駆動ノズルと、駆動ノズルの下流側に配置された混合チャンバとを含み、駆動ノズルと混合チャンバとが噴射ポンプを形成しており、そして混合チャンバ内で、駆動ノズルから出た燃焼空気が、燃焼チャンバから流出して駆動ノズルによって吸い戻された排ガスと、燃焼空気/排ガス混合物を形成するように混合可能であり、そして燃焼空気/排ガス混合物が、混合チャンバの下流側で反応ゾーンへ供給可能である。
【発明の効果】
【0011】
周囲から仕切られ、そして所定の断面を有し、また駆動ノズルと燃焼チャンバの反応ゾーンとの間に設けられたチャンバは混合チャンバと呼ばれる。混合チャンバの断面は、用途に応じて当業者によって適宜に選択することができる。有利な実施態様では、流れ方向における断面は不変であり、一実施態様では、入口領域及び/又は出口領域内に、流入又は流出を改善するための収束又は発散断面が設けられている。
【0012】
配置された駆動ノズルと混合チャンバとは噴射ポンプを形成しており、噴射ポンプを通して搬送された燃焼空気/排ガス混合物の排ガス返還比は、混合チャンバと駆動ノズルとの断面比、及び動作パラメータ、例えば再循環された排ガスの温度に依存する。排ガス返還比は、このように当業者により混合チャンバ及び駆動ノズルを例えば火炎の安定限界まで予め適宜に構成することによって、所定の動作パラメータに対応して確定することができる。換言すれば、混合チャンバの断面は、駆動ノズルの出口断面及び駆動ノズルの数と調和される。
【0013】
一実施態様では、混合チャンバの、駆動ノズルに向いた端部は、流れ方向において、駆動ノズルが配置された壁から少なくとも部分的に離隔して、環状の又は断続的な間隙が形成され、この間隙は噴射ポンプの吸い込み開口として機能し、その吸い込み開口を介して排ガスを吸い戻し且つ混合チャンバ内へ移送できる。別の実施態様では、混合チャンバの上流側には、排ガスを吸い上げるための開口を有する吸い込みチャンバが設けられている。使用中、混合チャンバの、燃焼チャンバに向いた端部は、燃料供給部の出口開口の上流側に配置されている。間隔は、用途に応じて当業者によって適宜に選択することができる。
【0014】
燃焼空気と排ガスとは、外部排ガスの再循環と同様に、燃料との混合前に、動作パラメータに依存し得る規定された排ガス返還比で混合される。ここでは外部排ガスが再循環される場合のように排ガス管内の排ガス量を増大させずにすむ。
【0015】
排ガス再循環によって火炎温度が低下する。コンベンショナルな燃料の火炎温度ほぼ2000℃における窒素酸化物の形成速度は、ほぼ104ppm/sであり、1500℃でほぼ10ppm/sまで低下する。低い火炎温度及び10分の数秒の範囲の滞留時間では、このように、排ガス中に得られる窒素酸化物値は1桁である。
【0016】
駆動ノズルの、中心軸線の周りに配置された配列は、本願との関連において、リング状配列とも呼ばれる。一実施形態では、駆動ノズルは平行に配列されている。他の実施態様では、駆動ノズルの軸線は中心軸線に対して傾斜している。中心軸線の周りに配置された複数の駆動ノズルと、前記駆動ノズルの下流側に配置された混合チャンバとを有する噴射ポンプの構成により、小型噴射ポンプが形成される。この小型噴射ポンプは、従来の寸法を有する既存のバーナー内に組み込むことができる。したがって、前記装置はまた既存のプラントを改良するのに適している。
【0017】
混合チャンバと駆動ノズルとによって形成された噴射ポンプを有する装置は、数kWの出力範囲のバーナーにも、MW出力範囲のバーナーにも適している。
【0018】
一実施形態では、混合チャンバは環状断面を備えている。混合チャンバの内径はここでは、使用中に、中心軸線に対して同軸的に設けられた燃料ランスの周りに混合チャンバを配置し得るように選択されている。
【0019】
駆動ノズルの数は用途及びバーナーの数に応じて、当業者によって適宜に決定することができる。一実施形態では、中心軸線の周りに均一に配置された8つ又は9つ以上の駆動ノズルが設けられている。このことは、特に環状の間隙の形態を成す供給開口を有する混合チャンバのために、良好な吸い込み効果をもたらす。
【0020】
噴射ポンプの混合チャンバと駆動ノズルとの断面比は、所定の排ガス返還比EGRを得るように構成されており、すべての駆動ノズルの結果として生じる断面が、駆動ノズルの断面と呼ばれる。一実施形態では、混合チャンバと駆動ノズルとの断面積比は20以下である。
【0021】
上述のように、汚染物質を回避するのに最適な排ガス返還比EGRはまた、動作パラメータにも依存する。例えば、再循環された排ガスの温度に応じて、火炎温度を1500℃まで低下させるためには、排ガス返還比EGRが1~1.5であるとともに燃焼空気/排ガス混合物の酸素含量がほぼ10%~ほぼ12%であることが必要とされる。
【0022】
一実施形態では、したがってバイパスダクトが設けられている。バイパスダクトによって、駆動ノズルを迂回しながら、燃焼空気を前記反応ゾーンへ供給することができる。結果として、例えば燃焼空気のいくらかを、バイパスダクトを介して駆動ノズルを通るように案内することにより、火炎安定性のためにEGRを低減することができる。一実施形態では、バイパスダクトは環状の間隙ダクトとして構成されており、環状の間隙ダクトは、使用中には、燃料ランスの周りに配置され、混合チャンバと燃料ランスとの間に部分的に延びている。一実施形態では、バイパスダクトを介して供給された燃焼空気を、噴射ポンプの燃焼空気/排ガス混合物と迅速且つ完全に混合するために、バイパスダクトの出口端部に、ノズル開口が設けられている。
【0023】
一実施形態では、バイパスダクト内に、調節可能なバイパス弁が設けられている。一実施形態では、バイパス弁は開位置と閉位置との間でだけ調節可能である。他の実施態様では、連続的又は無段式に調節可能であるバイパス弁が設けられている。実施態様において、バイパス弁は、制御可能又は調節可能な作動手段によって調節され、実施態様に応じて、バイパス弁は開閉され、又は通路が調節又は制御介入によって変化させられる。火炎安定性のために、燃焼のための燃焼空気/排ガス混合物の酸素含量を、バイパス弁によって付加的な燃焼空気を可変供給することにより変化させ、そして特に規定された範囲内に維持することができる。
【0024】
バイパスダクトの代わりに、又はバイパスダクトに加えて、一実施形態では、吸い戻された排ガスのための吸い込み開口内に、調節可能な弁が設けられている。弁は好ましくは連続的又は無段式に調節可能である。火炎安定性のために、燃焼のための燃焼空気/排ガス混合物の酸素含量を、吸い戻された排ガスのための吸い込み開口内に設けられた弁によって排ガスを可変供給することにより変化させ、そして特に定義された範囲内に維持することができる。
【0025】
一実施形態では、酸素を測定するためにプローブが設けられている。プローブは好ましくは燃料供給部の出口開口の上流側に、ひいては火炎の上流側に設けられている。噴射ポンプによって供給された燃焼空気/排ガス混合物と、場合によっては、バイパスダクトを介して供給された燃焼空気との混合物の酸素含量は、プローブによって判定され、バイパス弁及び/又は吸い戻された排ガスのための吸い込み開口内に設けられた弁において調節又は制御介入することにより、決定し、変化させることができる。
【0026】
この代わりに又はこれに加えて、一実施形態では、再循環させられた排ガスの温度を測定するために測定センサが設けられている。排ガスの温度に関して最適化された排ガス返還比を判定し、そして好ましくは酸素含量を測定しながら、バイパス弁及び/又は吸い込み開口内に設けられた弁において調節又は制御介入することにより、この排ガス返還比を調節することができる。
【0027】
第2の態様によれば、噴射ポンプを備えた、燃焼空気を供給し排ガスを再循環させるための装置を含むバーナーが設けられており、噴射ポンプが好ましくは環状の間隙状の混合チャンバと、中心軸線の周りにリング状に配列された複数の駆動ノズルと、中心軸線に対して同軸的に配置されて出口開口を有する燃料ランスとを有している。出口開口は混合チャンバの出口開口の下流側に配置されている。間隔は当業者によって適宜に選択することができる。一実施形態では、火炎安定性を改善するために、燃料ランスの出口開口の上流側にバッフルが設けられている。こうして設けられたバーナーは従来のチャンバ内に取り付けることができる。
【0028】
一改変実施態様では、炎管が設けられており、炎管は、流れ方向に対して横方向に前記反応ゾーンを仕切っている。排ガスは、チャンバの壁と炎管との間の環状の間隙内で、噴射ポンプへ及び/又は排ガス出口へ流れることができる。一実施形態では、炎管は混合チャンバと直接に隣接して配置されている。炎管の長さは、燃料に応じて当業者によって適宜に選択することができる。一実施形態では、反応速度が低い燃料、例えば天然ガスを用いる操作に際しては、燃焼を確実にするように、滞留時間を長くするために延長された炎管が選択される。しかしながら滞留時間は窒素酸化物の形成にも影響を及ぼすので、他の実施態様では短い炎管が設けられる。
【0029】
一実施形態では、燃料ランスが点火手段又はパイロットバーナーを含む。点火手段又はパイロットバーナーの出口開口は、正常動作のために燃料ランスの出口開口に対して好ましくはオフセットされている。
【0030】
第3の態様によれば、燃焼チャンバを有するバーナーのために燃焼空気を供給し排ガスを再循環させるための方法であって、燃焼空気が中心軸線の周りに配置された複数の駆動ノズルによって、前記燃焼チャンバから排ガスを吸い上げながら、前記駆動ノズルの下流側に配置された混合チャンバへ供給され、そして、前記混合チャンバ内で、前記駆動ノズルから出た燃焼空気が、前記燃焼チャンバから流出して前記駆動ノズルによって吸い戻された排ガスと、燃焼空気/排ガス混合物を形成するように混合され、そして前記燃焼空気/排ガス混合物が、前記混合チャンバの下流側で反応ゾーンへ供給される、方法が提供される。
【0031】
駆動ノズルと混合チャンバとは噴射ポンプを形成し、前記噴射ポンプによって、規定されたEGRを有する燃焼空気/排ガス混合物を、所定の動作パラメータに応じて反応ゾーンへ供給することができる。
【0032】
一実施形態では、選択的に燃焼空気がバイパスダクトを介して、駆動ノズルを迂回しながら反応ゾーンへ供給される。バイパスダクトを介して供給された燃焼空気の含量は、所定の動作パラメータに応じて調節を行うために、好ましくは可変である。
【0033】
これを目的として、一実施形態では、前記バイパスダクトを介して供給された燃焼空気と、前記燃焼空気/排ガス混合物との混合物の酸素含量がモニタリングされ、そして前記バイパスダクトを介して供給された燃焼空気の量が、所定の酸素含量を維持するように調節される。
【0034】
この代わりに又はこれに加えて、別の実施態様では、前記再循環させられた排ガスの温度が検出され、そして前記バイパスダクトを介して供給される燃焼空気の量が、前記検出された温度に応じて調節される。
【0035】
請求項から、そして図面を参照しながら以下に説明する本発明の実施態様の説明から、本発明のさらなる利点及び特徴が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】
図1は、燃焼空気を供給し排ガスを再循環させるための装置を有するバーナーを示す側方断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に基づくバーナーを、
図1の符号II-IIに沿って示す上方断面図である。
【
図3】
図3は、燃焼空気を供給し排ガスを再循環させるための装置を有する、
図1と類似のバーナーを示す側方断面図である。
【
図4】
図4は、
図3に基づくバーナーを、
図3の符号IV-IVに沿って示す上方断面図である。
【
図5】
図5は、チャンバを有する、
図1と類似のバーナーを示す側方断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1及び2は、燃焼チャンバ10を有し、そして燃焼空気を供給し排ガスを再循環させるための装置2を有するバーナー1を示す側方断面図、又は
図1の符号II-IIに沿って示す上方断面図である。
【0038】
図示されたバーナー1は、供給ノズル30を備えた燃料供給部3と、中心軸線Aに対して同軸的に延びる燃料ランス31と、出口ノズル32とを有している。図示された例示的実施態様では、出口ノズル31の上流側に、火炎前面を安定化するための火炎ホルダ4が設けられている。図示された燃料供給部3は、内部パイロットバーナー又は点火手段34をさらに含む。点火手段34は管35内に配置されており、この管35は、燃料供給部の燃料ランス31内に燃料を供給するためのダクトを仕切っている。燃焼チャンバ10は、炎管12によって流れ方向に対して横方向に仕切られている。
【0039】
装置2は、供給ノズル20を備えた燃焼空気供給部と、複数の、図示の例示的実施態様では16個の駆動ノズル21とを含んでおり、これらの駆動ノズルは燃焼空気供給部に流体接続され、中心軸線Aの周り及び燃料ランス31の周りに配置され、そして駆動ノズル21の下流側には混合チャンバ22が配置されている。駆動ノズル21と混合チャンバ22とは噴射ポンプを形成している。駆動ノズル21によって供給された燃焼空気はここでは、ポンプ作用を発生する駆動媒体として使用され、燃焼チャンバ10から流出した排ガスは、駆動ノズル21と混合チャンバ22との間に設けられた吸い込み開口25を介して吸い上げられる。混合チャンバ22内では、駆動ノズル21から出た燃焼空気は、燃焼チャンバ10から流出して前記駆動ノズル21によって吸い戻された排ガスと、燃焼空気/排ガス混合物を形成するように混合され、そして燃焼空気/排ガス混合物は、混合チャンバ22の下流側で、燃焼チャンバ10内の反応ゾーンへ供給される。
【0040】
図示の装置2の混合チャンバ22は環状断面を有しており、燃料ランス31を取り囲んでいる。炎管12は混合チャンバ22に隣接している。図示の例示的実施態様では、炎管12と混合チャンバ22とは共通の構成部分によって実現されている。他の実施態様では、別々の構成部分が設けられている。
【0041】
図1及び2に示された装置2はバイパスダクト23をさらに有しており、バイパスダクトによって、駆動ノズル21を迂回しながら、燃焼空気を反応ゾーンへ供給することができる。図示の例示的実施態様では、バイパスダクト23は、燃料ランス31と混合チャンバ22との間で中心軸線Aに対して同軸的に延びる環状ダクトとして構成されている。バイパスダクト23は、混合チャンバ22の下流側、及び火炎ホルダ4の上流側で終わっている。バイパスダクト23を介して供給された燃焼空気を、混合チャンバ22から来た燃焼空気/排ガス混合物と迅速且つ完全に混合するために、図示された例示的実施態様では、バイパスダクト23の出口に、ノズル開口230が設けられている。図示された例示的実施態様では、バイパスダクト23内に、連続的又は無段式に調節可能であるバイパス弁232が設けられている。
【0042】
混合チャンバ22の下流側には、酸素を測定するためのプローブ5が設けられており、プローブ5は、図示された例示的実施態様では、バイパスダクト23の出口端部の下流側、且つ火炎ホルダ4及び燃料供給部3の出口ノズル32の上流側に設けられている。
【0043】
さらに、再循環された排ガスの温度を測定するための測定センサ6が設けられている。図示された例示的実施態様では、測定センサ6は、混合チャンバ22と駆動ノズル21とによって形成された噴射ポンプの吸い込み開口25の領域内に配置されている。
【0044】
噴射ポンプによって搬送される燃焼空気/排ガス混合物の排ガス返還比は、混合チャンバ22と駆動ノズル21との断面比に依存し、そして動作パラメータ、例えば再循環された排ガスの温度にも依存する。
【0045】
火炎温度を1500℃まで低下させるために、返還された排ガスの温度に応じて、1~1.5の排ガス返還比が必要とされる。返還される排ガスの温度範囲のために、混合チャンバ22と駆動ノズル21との断面比が当業者によって相応に適宜に構成される。図示された例示的実施態様では、断面比は20未満であるように選択される。図示された混合チャンバ22は、漏斗状の流入領域及び流出領域を有する。混合チャンバ22の断面は、一定の断面を有する、中間に配置された区分内で判定される。
【0046】
例えば返還された排ガスの温度が逸脱しているという理由から、火炎安定性を得るために、排ガス返還比を動作中に低減しなければならない場合、図示された例示的実施態様では、燃焼空気のいくらかを、バイパスダクト23を介して供給することができる。プローブ5を使用して酸素含量を検出し、そしてバイパス弁232を使用して酸素含量を所定の値に調節することができる。
【0047】
図3及び4は、燃焼チャンバ10を有し、そして燃焼空気を供給し排ガスを再循環させるための装置2を有するバーナー1を示す側方断面図、又は
図1の符号II-IIに沿って示す上方断面図である。
図3及び4に基づくバーナー1は、
図1及び2に基づくバーナー1と類似しており、同一の構成部分に対しては、同一の符号が使用される。すでに説明した構成部分の詳細な説明は省く。
【0048】
図1及び2に基づく例示的実施態様とは対照的に、
図3及び4に基づく装置2は、バイパスダクト23を有していない。その代わりに、吸い戻された排ガスのための吸い込み開口25内に、連続的又は無段式に調節可能な弁27が設けられている。火炎安定性を得るために、動作中に排ガス返還比を低減しなければならない場合、
図3及び4に基づく例示的実施態様では、弁27によって排ガスの返還量を低減することができる。この事例では、
図1及び2に基づく例示的実施態様と同様に、プローブ5を使用して、燃料供給部の出口ノズル32の上流側で燃焼空気/排ガス混合物の酸素含量を検出し、そして
図1及び2に基づく例示的実施態様とは対照的に、弁27によって酸素含量を所定の値に調節することができる。図示された例示的実施態様では、燃料供給部3の燃料ランス31と混合チャンバ22との間には、環状キャビティが残っており、例えばプローブ5の配線のために使用することができる。他の実施態様では、環状混合チャンバ22の内径が、ダクト31の外径と同一であり、ひいてはキャビティを残さない。
【0049】
図5は、
図1に基づくバーナー1と、ハウジング70によって仕切られた加熱チャンバ7とを示している。図示された例示的実施態様では、二重壁ハウジング70が設けられている。二重壁ハウジング70内にはチューブコイル71が配置されている。チューブコイルを通って、被加熱媒体が案内される。排ガス又は燃焼ガスは、二重壁ハウジング70を通って出口72に案内され、そしてプロセス中、チューブコイル内を案内される媒体を加熱する。加えて、窒素酸化物の熱的形成を回避するために、駆動ノズル21と混合チャンバ22とによって形成された噴射ポンプによって、排ガスが吸い上げられ、そして排ガスは燃焼空気と混合される。
【0050】
図1及び2に基づく実施態様とは対照的に、
図5に基づく実施態様では、反応速度が低い燃料、例えば天然ガスによる動作のために、バーンアウトを保証するように、延長された滞留時間のために延長された炎管112が設けられている。
【国際調査報告】