(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-13
(54)【発明の名称】接着コーティング部が付加されたリチウム二次電池用電極及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 4/13 20100101AFI20231206BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20231206BHJP
H01M 50/586 20210101ALI20231206BHJP
【FI】
H01M4/13
H01M4/139
H01M50/586
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534032
(86)(22)【出願日】2022-10-13
(85)【翻訳文提出日】2023-06-02
(86)【国際出願番号】 KR2022015466
(87)【国際公開番号】W WO2023063734
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0136064
(32)【優先日】2021-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジ・ス・イ
(72)【発明者】
【氏名】キョン・リュン・カ
(72)【発明者】
【氏名】イン・ヒュク・ソン
【テーマコード(参考)】
5H043
5H050
【Fターム(参考)】
5H043AA04
5H043BA19
5H043GA22
5H050AA15
5H050BA17
5H050DA09
5H050EA23
5H050GA02
5H050GA03
5H050GA22
(57)【要約】
本発明は、電極集電体の第1面及び第2面のうちの少なくとも一面に電極合剤層が形成されており、前記電極集電体は、前記電極合剤層が形成された部分以外の部分であって、前記電極合剤層の外周辺から延びた未コーティング部である電極タブを含み、前記電極タブの上面、及び前記電極合剤層の上面のうちの少なくとも一部に接着コーティング部が付加されているリチウム二次電池用電極に関するものであり、前記接着コーティング部によって電極と分離膜とが結合されることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極集電体の第1面及び第2面のうちの少なくとも一面に電極合剤層が形成されており、
前記電極集電体は、前記電極合剤層が形成された部分以外の部分であって前記電極合剤層の外周辺から延びた未コーティング部である電極タブを含み、
前記電極タブの上面と前記電極合剤層の上面とのうちの少なくとも一部に接着コーティング部が付加されている、リチウム二次電池用電極。
【請求項2】
前記接着コーティング部は、前記電極タブの上面の少なくとも一部に付加されている、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項3】
前記接着コーティング部は、前記電極合剤層の上面のうち前記電極タブに隣接した一側外周辺の上面に付加されている、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項4】
前記接着コーティング部は、前記電極合剤層の上面のうち前記電極タブが形成された一側外周辺の反対側外周辺の上面に付加されている、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項5】
前記接着コーティング部は、前記電極タブの上面と、前記電極合剤層の上面のうち電極タブに隣接した一側外周辺の上面とに付加されている、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項6】
前記接着コーティング部は、前記電極タブの上面と、前記電極合剤層の上面のうち電極タブに隣接した一側外周辺の上面と、前記電極合剤層の上面のうち前記一側外周辺の反対側外周辺の上面とに付加されている、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項7】
前記接着コーティング部は、非導電性接着剤を含む、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項8】
前記非導電性接着剤は、ガラス転移温度(Tg)が100℃以下の高分子材料からなる、請求項7に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項9】
前記第1面及び前記第2面のうちの少なくとも一方に前記接着コーティング部が付加され、
前記接着コーティング部が付加された前記第1面及び前記第2面のうちの少なくとも一方が前記接着コーティング部に付着された分離膜を含む、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法であって、
(a)電極集電体の少なくとも一面に電極合剤層を形成する段階と、
(b)前記電極合剤層の外周辺から延びた電極タブの上面と前記電極合剤層の上面とのうちの少なくとも一部に接着コーティング部を付加する段階と、
(c)前記電極合剤層及び前記接着コーティング部上に分離膜を配置する段階と、
(d)前記分離膜を押圧する段階と、
を含む、リチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項11】
前記(d)の段階は、加熱する過程を含む、請求項10に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項12】
前記接着コーティング部は、正極及び負極のうちの少なくとも一方に形成される、請求項10に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項13】
請求項1から9のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用電極を含む電極組立体であって、
スタック型電極組立体、スタックフォルディング型電極組立体、ラミネーションスタック型電極組立体、またはゼリーロール型電極組立体を含む電極組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2021年10月13日付の韓国特許出願第2021-0136064号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容はこの明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は接着コーティング部が付加されたリチウム二次電池用電極及びその製造方法に関するものである。具体的には、電極と分離膜とが一体化して分離膜の折曲を防止することができるように接着コーティング部が付加されたリチウム二次電池用電極及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
反復的な充放電が可能であり、高エネルギー密度を有するリチウム二次電池は化石燃料の使用を画期的に減らすのみならず、エネルギーの使用による副産物が発生しないので、環境に優しい特性を有する新しいエネルギー源として注目されている。
【0004】
前記リチウム二次電池は、正極、負極及び分離膜を含む電極組立体を電解質とともに電池ケースに収容し、前記電池ケースを密封することで製造される。
【0005】
前記正極及び負極を含む電極は、電極集電体から電極タブを除いた部分に電極合剤層を塗布することで製造され、前記電極の外面に分離膜を配置した後、ラミネーションすることで、電極組立体を製造することができる。
【0006】
ラミネーションされた電極と分離膜との間の接着力が弱い場合には、電極組立体の移送過程、積層過程、及び組立過程で分離膜が電極から分離して折れたり曲がったりする現象が発生し得る。
【0007】
このように、分離膜の折曲などが発生すれば、正極と負極とが接触して内部短絡などの問題が発生し得る。
【0008】
一方、リチウム二次電池が高温に晒される場合や、内部短絡、外部短絡、過充電または過放電など異常作動する場合、発熱によって分離膜が収縮するのに伴って正極と負極とが互いに直接接触して短絡が発生する蓋然性が高くなる。
【0009】
したがって、内部短絡を防止して電池セルの安全性を確保するための研究が種々行われている。
【0010】
特許文献1では、ゼリーロール型電極組立体において正極の最外周部には電極ホイルの外側面に正極合剤層が形成されていない無地部があり、前記無地部の一部に粘着性テープが粘着され、前記粘着性テープは前記正極よりは上方及び下方に突出した分離膜とも粘着されている。
【0011】
すなわち、特許文献1では、粘着性テープが電極ホイルの一部と分離膜の一部とを連結するように付着されることで、分離膜の位置を固定している。このような電極組立体は分離膜周辺部の一部を正極に固定しているので、加熱の際に分離膜の収縮による内部短絡を防止することができる。
【0012】
しかし、特許文献1はゼリーロール型電極組立体の最外側部または最内側部に無地部が形成される構造を活用したものであり、スタック型電極組立体には適用しにくい。また、粘着性テープの融点以上では分離膜を固定することができないので、正極と負極とが接触して内部短絡が発生し得る。
【0013】
したがって、スタック型電極組立体で発生し得る分離膜の折曲を防止し、分離膜の収縮が発生しても短絡を防止することができる方案が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は前記のような問題を解決するためのものであり、電極の製造工程で電極と分離膜とが安定的に付着された状態を維持して正極と負極との間の絶縁性を確保することができるように接着コーティング部が付加されたリチウム二次電池用電極を提供することを目的とする。
【0016】
また、本発明は、前記リチウム二次電池用電極の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
このような目的を達成するための本発明によるリチウム二次電池用電極は、電極集電体の第1面及び第2面のうちの少なくとも一面に電極合剤層が形成されており、前記電極集電体は、前記電極合剤層が形成された部分以外の部分であって前記電極合剤層の外周辺から延びた未コーティング部である電極タブを含み、前記電極タブの上面と前記電極合剤層の上面とのうちの少なくとも一部に接着コーティング部が付加されている構成を有することができる。
【0018】
前記接着コーティング部は、前記電極タブの上面の少なくとも一部に付加されることができる。
【0019】
前記接着コーティング部は、前記電極合剤層の上面のうち前記電極タブに隣接した一側外周辺の上面に付加されることができる。
【0020】
前記接着コーティング部は、前記電極合剤層の上面のうち前記電極タブが形成された一側外周辺の反対側外周辺の上面に付加されることができる。
【0021】
前記接着コーティング部は、前記電極タブの上面と、前記電極合剤層の上面のうち電極タブに隣接した一側外周辺の上面とに付加されることができる。
【0022】
前記接着コーティング部は、前記電極タブの上面と、前記電極合剤層の上面のうち電極タブに隣接した一側外周辺の上面と、前記電極合剤層の上面のうち前記一側外周辺の反対側外周辺の上面とに付加されることができる。
【0023】
前記接着コーティング部は、非導電性接着剤を含むことができる。
【0024】
前記非導電性接着剤は、ガラス転移温度(Tg)が100℃以下の高分子材料からなることができる。
【0025】
前記第1面及び第2面のうちの少なくとも一方に前記接着コーティング部が付加され、前記接着コーティング部が付加された第1面及び第2面のうちの少なくとも一方が前記接着コーティング部に付着された分離膜を含むことができる。
【0026】
本発明は、前記リチウム二次電池用電極の製造方法を提供する。具体的には、(a)電極集電体の少なくとも一面に電極合剤層を形成する段階と、(b)前記電極合剤層の外周辺から延びた電極タブの上面と前記電極合剤層の上面とのうちの少なくとも一部に接着コーティング部を付加する段階と、(c)前記(b)の段階の電極合剤層及び接着コーティング部上に分離膜を配置する段階と、(d)前記分離膜を押圧する段階とを含むことができる。
【0027】
前記(d)の段階は、加熱する過程を含むことができる。
【0028】
前記接着コーティング部は、正極及び負極のうちの少なくとも一方に形成されることができる。
【0029】
本発明は、前記リチウム二次電池用電極を含む電極組立体であって、スタック型電極組立体、スタックフォルディング型電極組立体、ラミネーションスタック型電極組立体、またはゼリーロール型電極組立体を含むことができる。
【0030】
また、本発明は、前記課題の解決手段を多様に組み合わせた形態としても提供することが可能である。
【発明の効果】
【0031】
以上で説明したように、本発明によるリチウム二次電池用電極は接着コーティング部の付加によって電極と分離膜との接着力を確保することができるので、分離膜の折曲を防止することができる。よって、正極と負極との間の絶縁性を確保してリチウム二次電池の安全性を向上させることができる。
【0032】
また、接着コーティング部を構成する接着剤のガラス転移温度、コーティング面積、及び加熱工程の温度及び/または時間を調節して接着力を調節することができる。
【0033】
また、高温でも分離膜の収縮を抑制することができるので、電池セルが高温に晒されたときに、正極と負極との間の接触領域が生ずることを防止することができる。
【0034】
一方、接着コーティング部が電極合剤層及び電極タブにわたって塗布される場合には、負極の外周辺末端が正極の外周辺末端より短く形成されてもリチウム析出物が生ずることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】第1実施形態による電極の平面図及び部分拡大断面図である。
【
図2】第2実施形態による電極の平面図及び部分拡大断面図である。
【
図3】第3実施形態による電極の平面図及び部分拡大断面図である。
【
図4】第4実施形態による電極の平面図及び部分拡大断面図である。
【
図5】第5実施形態による電極の平面図及び部分拡大断面図である。
【
図6】第6実施形態による電極の平面図及び部分拡大断面図である。
【
図7】第7実施形態及び第8実施形態による電極の部分斜視図である。
【
図8】リチウム二次電池用電極の製造過程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付図面を参照して本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が本発明を容易に実施することができる実施形態を詳細に説明する。ただし、本発明の好適な実施形態に対する動作原理を詳細に説明するにあたり、関連した公知の機能または構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要にあいまいにする可能性があると判断される場合にはその詳細な説明を省略する。
【0037】
また、図面全般にわたって類似の機能及び作用をする部分に対しては同じ図面符号を使う。明細書全般で、ある部分が他の部分と連結されていると言うとき、これは直接的に連結されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで間接的に連結されている場合も含む。また、ある構成要素を含むというのは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0038】
また、構成要素を限定するか付け加えて具体化する説明は、特別な制限がない限り、すべての発明に適用可能であり、特定の発明に限定されない。
【0039】
また、本発明の説明及び特許請求の範囲全般にわたって単数で表示したものは、別に言及しない限り、複数の場合も含む。
【0040】
また、本発明の説明及び特許請求の範囲全般にわたって「または」は、別に言及しない限り、「及び」を含むものである。したがって、「AまたはBを含む」はAを含むか、Bを含むか、またはA及びBの両者を含む3種の場合を意味する。
【0041】
本発明を図面に基づいて詳細な実施形態で説明する。
【0042】
本発明による電極は、平面視で長方形の電極集電体の一側外周辺から電極タブが突出し、前記電極集電体に電極合剤層が形成された形態を有することができる。また、本発明による電極は、長いシート状の電極集電体に電極タブが付着され、前記電極集電体に電極合剤層が形成された形態を有することができる。
【0043】
前記電極集電体は、上面である第1面及び下面である第2面のうち少なくとも一面に電極合剤層が形成されている。
【0044】
電極集電体は、電極合剤層が形成された部分以外の部分であって電極合剤層の外周辺から延びた未コーティング部である電極タブを含み、前記電極タブの上面と前記電極合剤層の上面とのうちの少なくとも一部に接着コーティング部が付加されている。前記未コーティング部は電極合剤層が形成されていない部分を意味する。
【0045】
前記接着コーティング部は分離膜が接着される機能を発揮するだけでなく、絶縁性を有する材料から構成される。よって、接着コーティング部が接着機能を喪失する温度になり分離膜が収縮しても、前記接着コーティング部が付加されている状態であるので、互いに異なる電極間の接触を防止することができる。
【0046】
図1は第1実施形態による電極の平面図及び部分拡大断面図である。
【0047】
図1を参照すると、電極集電体110は、電極合剤層120が形成された電極本体101と、電極合剤層120の外周辺から延びた未コーティング部である電極タブ130とを含む。
【0048】
電極タブ130の上面の一部において、電極合剤層120に隣接した位置に接着コーティング部140が付加されている。
【0049】
接着コーティング部140を介して分離膜と電極との接着力が向上することができるので、電極と分離膜との間の結合力が高くなることができ、電極と分離膜とが一体型に結合した形態を有することができる。
【0050】
正極と負極との間の内部短絡が発生し得る場合として、正極合剤層と負極合剤層との間の接触、正極合剤層と負極集電体との間の接触、正極集電体と負極合剤層との間の接触、及び正極集電体と負極集電体との間の接触がある。ここで、正極集電体(正極タブ)と負極合剤層とが接触する場合、最大の熱が発生することになる。
【0051】
図1のように、電極タブの上面に接着コーティング部140が付加される場合、電極タブと分離膜との間の接着力を確保することができる。また、接着コーティング部140が接着機能を失うことになる温度に上昇しても、電極タブの外面に接着コーティング部140が付加された状態であるので、正極タブと負極合剤層とが接触することを防止することができる。
【0052】
電極タブ130は電極リードと連結されてから電池ケースの外部に延びて電極端子として用いることができる。
【0053】
したがって、電極タブ130において電極合剤層120に隣接した部分には接着コーティング部140が付加されるが、電極タブ130において電極合剤層120と反対側の端部は電極リードと結合するために未コーティング部が露出される形態を有する。
【0054】
接着コーティング部と分離膜とが互いに容易に付着されるように、接着コーティング部140の厚さH2は電極合剤層120の厚さH1と同じかそれより厚い形態を有することができる。
【0055】
もしくは、ラミネーションするプレスロールの形態を変更するかまたは押圧方法を調節する場合には、接着コーティング部の厚さH2が電極合剤層の厚さH1より薄い場合にもラミネーションが可能であり得る。
【0056】
図2は第2実施形態による電極の平面図及び部分拡大断面図である。
【0057】
図2を参照すると、電極集電体210は、電極合剤層220が形成された電極本体201と、電極合剤層220の外周辺から延びた未コーティング部である電極タブ230とを含む。
【0058】
電極タブ230は電極本体201の外周辺のうちの一側外周辺の一部が外側にさらに延びた形態を有し、電極リードと結合する。
【0059】
接着コーティング部240は、電極タブ230の上面と、電極合剤層220の上面のうち電極タブ230に隣接した一側外周辺の上面とに付加される。このように、電極合剤層の一側外周辺に沿って接着コーティング部が付加される場合、分離膜と接着コーティング部との間の接着面をさらに広く確保することができる。
【0060】
電極タブの外側末端を除いた残りの部分にのみ接着コーティング部240が付加され、電極タブ230の末端において電極タブとして機能する部分は接着コーティング部240が塗布されず、電極リードと結合するための溶接部が構成される。
【0061】
一方、一般的に、電極組立体の製造の際、負極の面積を正極の面積より大きく製造することになる。ここで、ラミネーション過程で正極と負極との整列不良が発生することにより、正極の対向面に負極がない状態でラミネーションされることがある。
【0062】
このような場合、負極の末端領域が過充電されることで、析出してリチウムデンドライトとして成長し得る。これは、離膜を通して正極側に成長して内部短絡を発生させる原因になることがある。よって、本発明の
図2に示すように、正極において正極合剤層の外周辺から正極タブの方向にさらに延びるように接着コーティング部が形成される場合には、正極側に成長したリチウムデンドライトが正極タブと接触して短絡が発生することを防止することができる。
【0063】
図3は第3実施形態による電極の平面図及び部分拡大断面図である。
【0064】
図3を参照すると、電極300において電極集電体310に形成された電極合剤層320及び電極タブ330の構造は
図1及び
図2に示した電極と同様である。
【0065】
接着コーティング部340は電極合剤層320の上面にのみ形成され、具体的には、電極合剤層320の上面のうち電極タブ330に隣接した一側外周辺の上面にのみ形成されている。
【0066】
したがって、電極タブに隣接した電極合剤層の一側外周辺では、前記接着コーティング部を介して分離膜と電極とが安定的に結合した状態になることができる。
【0067】
図4は第4実施形態による電極の平面図及び部分拡大断面図である。
【0068】
図4を参照すると、電極400において電極集電体410に形成された電極合剤層420及び電極タブ430の構造は
図1~
図3に示した電極と同様である。
【0069】
接着コーティング部440は電極合剤層420の上面のうち電極タブ430が形成された一側外周辺の反対側外周辺の上面に形成されている。
【0070】
図5は第5実施形態による電極の平面図及び部分拡大断面図である。
【0071】
図5を参照すると、電極500において電極集電体510に形成された電極合剤層520及び電極タブ530の構造は
図1~
図4に示した電極と同様である。
【0072】
接着コーティング部540は電極タブ530の上面、電極合剤層520の上面のうち電極タブ530に隣接した一側外周辺の上面、及び電極合剤層520の上面のうち前記一側外周辺の反対側外周辺の上面に形成されている。
【0073】
図5の電極500は接着コーティング部540が電極合剤層の全幅方向Wの両側外周辺上に形成されたものを開示しているが、これとは違い、接着コーティング部が電極合剤層の全長方向Lの両側外周辺上に形成された形態を有することができる。また、本発明は接着コーティング部が電極合剤層の全長方向Lの両側外周辺及び電極タブの上面に形成されたものを含む。
【0074】
図6は第6実施形態による電極の平面図及び部分拡大断面図である。
【0075】
図6を参照すると、電極600において電極集電体に形成された電極合剤層620及び電極タブ630の構造は
図1~
図5に示した電極と同様である。
【0076】
接着コーティング部640は平面視で長方形の電極合剤層620の上面のうち外周辺全体にわたって形成されている。もしくは、追加的に、電極合剤層の上面のうち外周辺全体及び電極タブ630の上面に形成されることができる。
【0077】
このような形態の接着コーティング部が付加された電極600は、接着コーティング部640と分離膜との接着面が広く形成されるので、分離膜と電極とが安定的に結合した状態になることができる。
【0078】
図7は第7実施形態及び第8実施形態による電極の部分斜視図である。
【0079】
図7を参照すると、電極700は第7実施形態による電極であり、電極800は第8実施形態による電極である。
【0080】
図7に示した電極は、電極合剤層720、820の外周辺のうち電極タブ730、830と会う外周辺は、厚さ方向の外面が傾いた形態を有する傾斜部722、822を含む。接着コーティング部740は電極合剤層720の傾斜部722の上面のうち電極タブ730に隣接した部分にのみ塗布される形態として示されているが、これとは違い、接着コーティング部は電極タブ730の上部まで延びた形態として付加されることができる。
【0081】
したがって、熱が一番ひどく発生する電極タブの隣接部位で前記接着コーティング部を介して分離膜と電極との接着力を確保することができる。
【0082】
図7の接着コーティング部840は電極合剤層820の傾斜部822の上面のうち電極タブ830に隣接した外周辺に沿って塗布される形態として示されているが、これとは違い、接着コーティング部840は電極タブ830の上部まで延びた形態として付加されることができる。
【0083】
したがって、電極タブ830に隣接した電極合剤層820の外周辺で前記接着コーティング部を介して分離膜と電極との接着力を確保することができる。
【0084】
傾斜部722、822に付加された接着コーティング部740、840の厚さは電極合剤層720、820の外周辺に行くほど増加する形態として付加されるので、接着コーティング部740、840の最大厚さは電極合剤層720、820の厚さと同じかそれより大きく形成される。したがって、電極と分離膜とを押圧して付着する過程で分離膜と接着コーティング部とが密着して付着することができる。
【0085】
もしくは、接着コーティング部740、840の最大厚さは電極合剤層720、820の厚さより小さく形成されることができる。このような場合にも、ラミネーションによって接着コーティング部と分離膜とが付着された形態を具現することができる。
【0086】
本発明で、第1実施形態~第8実施形態による電極は、電極集電体の第1面及び第2面のうちの少なくとも一方に接着コーティング部が付加され、前記接着コーティング部が付加された電極集電体の第1面及び第2面のうちの少なくとも一方が前記接着コーティング部に付着された分離膜を含むことができる。
【0087】
前記電極は正極及び/または負極であり得る。正極の外面のうち接着コーティング部が付加された外面に分離膜が付着されることができ、負極の外面のうち接着コーティング部が付加された外面に分離膜が付着されることができ、正極及び負極の外面のうち接着コーティング部が付加された外面に分離膜が付着されることができる。
【0088】
このように、接着コーティング部によって電極と分離膜とが結合した一体型構造を形成するので、電極から分離膜が分離され、分離膜が折られるか曲がることを防止することができる。
【0089】
前記接着コーティング部は接着剤を含む。
【0090】
前記接着剤は、ガラス転移温度(Tg)が100℃以下の高分子材料を含むことができる。例えば、前記接着剤は、ポリアクリレート、ポリアクリル酸、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニリデンフルオライド‐ヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレンブタジエンゴム、ポリビニルアセテート、ポリエステル、ポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセタール、ポリビニルプロピオネート、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリペルフルオロプロピレン、天然ゴムまたはこれらの誘導体または共重合体であり得る。
【0091】
前記接着コーティング部は分離膜と接着される部分であり、互いに異なる電極の間の絶縁性を確保するために、前記接着コーティング部に含まれる接着剤は非導電性接着剤であり得る。
【0092】
本発明は、前記接着コーティング部に含まれる接着剤の種類及び前記接着剤の組成比を調節することで、接着剤のガラス転移温度を調節することができる。また、接着コーティング部の面積または分離膜を付着するために押圧する時間及び温度を調節することができる。このように、接着コーティング部の組成及び面積と押圧時間及び温度を調節することで、接着コーティング部の接着力を調節することができる。
【0093】
図8はリチウム二次電池用電極の製造過程を示す図である。
【0094】
電極集電体210の少なくとも一面に電極合剤層220を形成する。ただ、
図8に示したものとは違い、電極集電体210の両面に電極合剤層220を形成することも勿論できる。また、電極合剤層220は全体的に均一な厚さを有する形態に形成されることができ、または
図7に示した電極合剤層720、820のように、電極タブ230に隣接した外周辺で厚さ方向の外面が傾いた形態の傾斜部を含むことができる。
【0095】
接着コーティング部240は、電極タブ230の上面の一部と、電極合剤層220の上面のうち電極タブ230に隣接した電極合剤層220の一側外周辺の上面とに付加される。
【0096】
接着コーティング部240は電極タブの外側末端を除いた残りの部分にのみ付加され、接着コーティング部が付加されていない電極タブの外側末端は電極リードと結合して電気的連結をなすことができる。
【0097】
電極合剤層220及び接着コーティング部240の上部に分離膜910が配置される。分離膜910の左側末端は電極合剤層220よりも延びる。分離膜910の右側末端は接着コーティング部240の外側末端まで延びるか、または接着コーティング部240の外側末端よりも延びるサイズを有する。
【0098】
このように、電極と分離膜とが重畳するように配置された状態で、これらの上部及び下部のそれぞれに配置される一対のプレスロール900で前記電極と前記分離膜とを押圧して付着させる。
【0099】
前記接着コーティング部はガラス転移温度(Tg)が100℃以下の高分子材料からなる非導電性接着剤を含んでいるので、プレスロール900の温度を前記非導電性接着剤のガラス転移温度よりも高い温度に加熱して押圧することで、接着コーティング部240と分離膜910との結合力を確保することができる。
【0100】
このような方法で製造された電極は分離膜と一体型の構造を有するので、分離膜が電極から分離されて折られるか曲がることを防止することができ、正極と負極との絶縁性を確保することができる。
【0101】
前記のように製造された電極はリチウム二次電池用電極として使うことができ、スタック型電極組立体、スタック-フォルディング型電極組立体、ラミネーション-スタック型電極組立体、またはゼリーロール型電極組立体を構成することができる。
【0102】
また、前記のような電極組立体を電池ケースに収容して単位電池を構成し、前記単位電池を含む電池モジュール及び電池パックを提供することができる。
【0103】
本発明が属する分野で通常の知識を有する者であれば前記内容に基づいて本発明の範疇内で多様な応用及び変形をなすことが可能であろう。
【符号の説明】
【0104】
101、201 電極本体
110、210、310、410、510 電極集電体
120、220、320、420、520、620、720、820 電極合剤層
130、230、330、430、530、630、730、830 電極タブ
140、240、340、440、540、640、740、840 接着コーティング部
722、822 傾斜部
300、400、500、600、700、800 電極
900 プレスロール
910 分離膜
H1 電極合剤層の厚さ
H2 接着コーティング部の厚さ
L 全長方向
W 全幅方向
【国際調査報告】