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  • 特表-老化治療物質 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-13
(54)【発明の名称】老化治療物質
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/352 20060101AFI20231206BHJP
   A61K 31/375 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231206BHJP
   A61K 31/192 20060101ALI20231206BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20231206BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20231206BHJP
   A23L 33/12 20160101ALI20231206BHJP
   A61K 31/20 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
A61K31/352
A61K31/375
A61P43/00 121
A61P43/00 101
A61K31/192
A23L33/10
A23L33/105
A23L33/12
A61K31/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534059
(86)(22)【出願日】2021-11-30
(85)【翻訳文提出日】2023-07-19
(86)【国際出願番号】 IB2021061101
(87)【国際公開番号】W WO2022118183
(87)【国際公開日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】102020000029213
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523205500
【氏名又は名称】ビオネクサ エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルッソ、ベネラ
(72)【発明者】
【氏名】ピタリ、ジョバンニ マリオ
(72)【発明者】
【氏名】レオッタ、クラウディア ジョバンナ
(72)【発明者】
【氏名】コレアーレ、マリオ
(72)【発明者】
【氏名】コレアーレ、パオロ
【テーマコード(参考)】
4B018
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4B018MD07
4B018MD08
4B018MD10
4B018MD23
4B018MD25
4B018ME14
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4C086MA04
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4C086MA16
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4C086ZC75
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4C206MA36
4C206MA48
4C206MA54
4C206MA72
4C206MA76
4C206NA05
4C206ZC52
4C206ZC75
(57)【要約】
フラボノイド、脂肪酸、及び好ましくはフェノール酸及び/又はビタミン類を含むことを特徴とする老化治療物質が提供されている。クラス:A61K31/00
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラボノイド及び脂肪酸を含む老化治療物質。
【請求項2】
前記フラボノイドが1dg~1gの重量基準の量で存在する、請求項1に記載の老化治療物質。
【請求項3】
前記フラボノイドが、ケルセチン、フィセチン、アピゲニン、及びルテオリンのうちの1又は複数から選択される、請求項1または2に記載の老化治療物質。
【請求項4】
前記脂肪酸が、前記フラボノイドの重量基準の量に対して、1~10倍の範囲の重量基準の量で存在する、請求項1から3のいずれか一項に記載の老化治療物質。
【請求項5】
前記脂肪酸がパルミチン酸として存在する、請求項1から4のいずれか一項に記載の老化治療物質。
【請求項6】
フェノール酸をさらに含む、請求項1に記載の老化治療物質。
【請求項7】
前記フェノール酸が、前記フラボノイドの重量基準の量に対して、30%~100%の範囲の重量基準の量で存在する、請求項6に記載の老化治療物質。
【請求項8】
前記フェノール酸が没食子酸として存在する、請求項6に記載の老化治療物質。
【請求項9】
ビタミンをさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の老化治療物質。
【請求項10】
固形又は液状の食品からなる、請求項1から9のいずれか一項に記載の老化治療物質。
【請求項11】
局所使用のための物質又はクリーム、又は吸入されるエアフォームからなる、請求項1から10のいずれか一項に記載の老化治療物質。
【請求項12】
以下の障害:特発性肺線維症(IPF)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、嚢胞性線維症、肺気腫、気管支拡張症、及び加齢に関連する肺機能の低下;慢性腎疾患(CKD)、間質性腎炎、糸球体硬化症/糸球体腎炎、急性腎臓病(AKD)、腎不全;肝線維症、慢性肝炎、非アルコール性脂肪肝疾患(NASH);膵線維症、慢性膵炎;心筋線維症、梗塞;口腔粘膜下層の線維症;神経変性疾患:アルツハイマー、パーキンソン、多発性硬化症、軽度認知障害、運動ニューロンの機能不全、ハンチントン病、認知症;神経精神障害;化学療法、放射線治療、又は治療、診断、美容目的などのその他いずれかの医療処置によって誘発される毒性又は炎症;例えば、HIV、COVID-19などの急性及び慢性のウイルス疾患;骨粗鬆症、変形性関節症、炎症性腸疾患(IBD)、炎症性腸症候群(IBS)、関節リウマチ、口腔粘膜炎、後弯症、椎間板変性、椎間板ヘルニア;脂肪萎縮;サルコペニア、加齢に起因する筋肉/可動性の低下、筋肉疲労;アテローム性動脈硬化症、狭心症、不整脈、心筋症、心筋細胞肥大、うっ血性心不全、冠動脈疾患、頸動脈疾患、心内膜炎、冠動脈血栓症、心筋梗塞、高血圧、大動脈瘤、心臓拡張機能障害、高コレステロール血症、高脂血症、僧帽弁逸脱、末梢血管疾患、心臓ストレス耐性、心臓線維症、脳動脈瘤、及び脳卒中;加齢と老化に関連する希少疾患、例えば再生不良性貧血、先天性角化異常症、レベッツ症候群、ホイエラール-フライダルソン症候群、レビー小体認知症(LBD)、アミロイドーシス、パジェット病、びまん性特発性骨格過骨症(DISH)、多系統萎縮症(MSA)など;糖尿病(2型、1型)、糖尿病性潰瘍、肥満、メタボリックシンドローム;創傷治癒;虚弱;緑内障、黄斑変性、白内障、老眼、及び視力喪失;難聴;加齢に起因する免疫機能の低下(免疫老化);脱毛症、抜け毛;肝斑、皮膚の変色、湿疹、乾癬、色素沈着過剰、母斑、発疹、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、光線過敏症又は光老化に関連する疾患及び障害、しわ、そう痒症、感覚異常、湿疹性発疹、好酸球性皮膚症、反応性好中球性皮膚症、天疱瘡、類天疱瘡、免疫水疱性皮膚炎、皮膚の線維組織細胞増殖、皮膚リンパ腫、及び皮膚狼瘡;腎臓、肝臓、肺、心臓、膵臓又は他の器官、及び幹細胞又は他の細胞の移植に関連する疾患又は病理学的変化又は灌流状態
のうちの1又は複数の治療のための、請求項1から11のいずれか一項に記載の老化治療物質。
【請求項13】
老化治療での使用のための薬剤を製造するための、請求項1から12のいずれか一項に記載の老化治療物質の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに規定されている型の老化治療物質に関する。
【0002】
特定の医療目的の物質、特に食品が、現在公知である。それらは、通常の食事だけに適合するわけではない栄養的必要性を有する疾患の食管理のために意図された、特異的に定式化された食品である。
【0003】
さらに老化細胞の存在、及び老化治療、特にセノリティック、又はセノスタティック、又はセノモルフィックとして公知のクラスの薬物の結果的な発展が、昨今見出されている。例えばセノリティクスは、使用者に摂取されるときに、ヒト又は動物の身体の老化細胞を選択的に殺傷する物質である。
【0004】
老化細胞は、もはや分化も増殖もできない細胞である。それらはまた、生理学的機能の喪失、アポトーシスへの耐性及び様々な細胞の変化にさらされる。
【0005】
さらに、老化細胞は、虚弱の症状、サルコペニア及び加齢に関連する疾患を含む加齢の表現型に寄与する。老化したアストロサイト及びミクログリアは、神経変性に寄与する。
【0006】
したがって、老化治療、特にセノリティクスの目標は、可能な限り選択的に老化細胞を排除することで、加齢関連疾患を遅らせ、予防し、軽減し、又は逆行させることである。
【0007】
セノリティック化合物は、例えばMayo Foundation for Medical Education and Research(ミネソタ州、米国)により、例えば特許出願WO2015116735A1、WO2019183282A1、及びUS2015296755A1において研究されてきた。他のセノリティック化合物は、Unity Biotechnology社(カリフォルニア州、米国)により、例えば特許出願WO2019241567A1、US2019330199A1、及びCA3043103A1において開発されてきた。
【0008】
しかしながら、より正確で高性能、又はより安価な老化治療、特にセノリティクスに対する需要が、絶えずより高まっている。
【0009】
この状況下で、本発明の基礎にある技術的課題は、前述の欠点の少なくとも一部を十分に回避することができる老化治療物質を考案することである。
【0010】
前記技術的課題の範囲で、発明の重要な目的は、選択的に老化細胞に対して機能する老化治療物質を得ることである。
【0011】
別の重要な技術的課題は、その製造が経済的な老化治療物質を作製することである。
【0012】
技術的課題及び規定されている目的は、添付の請求項1で特許請求されている老化治療物質により達成される。
【0013】
好ましい実施形態の例が、従属請求項に記載されている。
【0014】
本発明の特徴及び利点は、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態の詳細な説明によって下記に明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】発明に係る物質によって取得された結果を示す第1のグラフを示す。
【0016】
本文書において、測定値、値、形状及び幾何学的言及(例えば、垂直性及び平行性)は、「約」のような単語又は「おおよそ」もしくは「実質的に」などの他の類似の用語と関連付けられる場合、生産及び/又は製造誤差に起因した測定誤差又は不正確を除くと考えられるべきであり、とりわけ関連付けられる値、測定値、形状、又は幾何学的言及からの僅かな逸脱を除くと考えられるべきである。例えば、これらの用語は、値と関連付けられる場合、好ましくは値の10%以下の逸脱を示す。
【0017】
また、使用される場合、「第1」、「第2」、「より高い」、「より低い」、「主な」及び「二次的な」などの用語は、順序、関係又は相対位置の優先順位を必ずしも特定せず、それらの異なる成分を単に明確に区別するのに使用することができる。
【0018】
この本文で報告されている測定値及びデータは、特に他に示していない限り、ICAO International Standard Atmosphere(ISO 2533)で実行されているものとして検討されるべきである。
【0019】
発明に係る老化治療物質は、好ましくは可能な限り選択的な、老化細胞の治療の医療目的のためのものである。
【0020】
老化治療物質は、好ましくは、セノリティックな作用を有し、したがってセノリティック食品である。セノリティック物質は、老化細胞を好ましくは選択的に排除するために使用される。
【0021】
代替的に、老化治療物質は、セノスタティック作用、すなわち老化の過程を抑制する作用を有することができる。
【0022】
老化治療物質は、さらに代替的に、セノモルフィック作用、すなわち老化細胞の分泌物に対する作用を有することができる。
【0023】
老化治療は、分子及び細胞内プロセス、及び放出された分泌物質を含む老化細胞を特異的に標的とする治療用薬剤及び方法である。老化細胞は、多くの生物学的ストレッサーの結果として生物(ヒトを含む)のすべての組織に生じる独自及び変性した細胞の表現型を示す。とりわけ、細胞老化は加齢及び加齢関連疾患に関連付けることができる。
【0024】
老化治療は、さらに、少なくとも2つの主なカテゴリーに分類され得る。
【0025】
-セノリティクス:老化細胞を特異的に排除する薬剤。セノリティクスは、アポトーシス、オートファジー、ネクローシス、ネクロトーシス、又は他の形態の非アポトーシスプログラム細胞死(例えば、フェロトーシス、パイロトーシスなど)を含む特定の細胞死機構を誘導することにより、老化細胞を排除し得る。いくつかの構成では、セノリティクスは、老化細胞抗アポトーシス(SCAP)経路として知られている老化細胞の生存及び抗アポトーシス経路に標的化することができる。
【0026】
-セノモルフィック:老化細胞を必ずしも排除又は殺傷することなく、老化細胞の表現型を特異的に抑圧する薬剤。セノモルフィクスは、老化細胞の機能及び形態を調節し、したがって潜在的にその形成、蓄積、及び病理学的作用を遅らせる/予防する/阻害する。いくつかの構成では、セノモルフィックは、分泌に関連する老化表現型(secretory associated senescence phenotype:SASP)の阻害剤及び細胞老化を特異的に予防する薬剤を含む。
【0027】
物質は、以下にどの言語の当業者にとっても明らかである英語の科学用語で示す、以下のリストに示す分野において、より具体的な利点を有し、結果的に使用される可能性があり、より好ましくは、病理又は美容的障害、又は好ましくは老化に関連するその他であり得る障害を治療することができる。
-特発性肺線維症(Idiopathic pulmonary fibrosis:IPF)、慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)、喘息、嚢胞性線維症、肺気腫、気管支拡張症、及び加齢に関連する肺機能の低下;
-慢性腎疾患(chronic kidney disease:CKD)、間質性腎炎、糸球体硬化症/糸球体腎炎、急性腎臓病(acute kidney disease:AKD)、腎不全;
-肝線維症、慢性肝炎、非アルコール性脂肪肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease:NAFLD);
-膵線維症、慢性膵炎;
-心筋線維症、梗塞;
-口腔粘膜下層の線維症;
-例えば、アルツハイマー、パーキンソン、多発性硬化症、軽度認知障害、運動ニューロンの機能不全、ハンチントン病、認知症などの神経変性疾患;
-神経精神障害;
-化学療法、放射線治療、又は治療、診断、美容目的などのその他いずれかの医学的処置によって誘発される毒性又は炎症;
-例えば、HIV、COVID-19などの急性及び慢性のウイルス疾患;
-骨粗鬆症、変形性関節症、炎症性腸疾患(inflammatory bowel diseases:IBD)、炎症性腸症候群(inflammatory bowel syndrome:IBS)、関節リウマチ、口腔粘膜炎、後弯症、椎間板変性、椎間板ヘルニア;
-脂肪萎縮;
-サルコペニア、加齢に起因する筋肉/可動性の低下、筋肉疲労;
-アテローム性動脈硬化症、狭心症、不整脈、心筋症、心筋細胞肥大、うっ血性心不全、冠動脈疾患、頸動脈疾患、心内膜炎、冠動脈血栓症、心筋梗塞、高血圧、大動脈瘤、心臓拡張機能障害、高コレステロール血症、高脂血症、僧帽弁逸脱、末梢血管疾患、心臓ストレス耐性、心臓線維症、脳動脈瘤、及び脳卒中;
-加齢及び老化に関連する希少疾患、例えば再生不良性貧血、先天性角化異常症、レベッツ症候群、ホイエラール-フライダルソン症候群、レビー小体認知症(LBD)、アミロイドーシス、パジェット病、びまん性特発性骨格過骨症(diffuse idiopathic skeletal hyperostosis:DISH)、多系統萎縮症(MSA:multiple system atrophy)など;
-糖尿病(2型、1型)、糖尿病性潰瘍、肥満、メタボリックシンドローム;
-創傷治癒;
-虚弱;
-緑内障、黄斑変性、白内障、老眼、及び視力喪失;
-難聴;
-加齢に起因する免疫機能の低下(免疫老化);
-脱毛症、抜け毛;
-肝斑、皮膚の変色、湿疹、乾癬、色素沈着過剰、母斑、発疹、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、光線過敏症又は光老化に関連する疾患及び障害、しわ、そう痒症、感覚異常、湿疹性発疹、好酸球性皮膚症、反応性好中球性皮膚症、類天疱瘡皮膚症、皮膚の線維組織細胞増殖、皮膚リンパ腫、及び皮膚狼瘡;
-腎臓、肝臓、肺、心臓、膵臓又は他の器官、及び幹細胞又は他の細胞の移植に関連する疾患又は病理学的変化又は灌流状態。
【0028】
上記老化治療物質は、単独で使用されるか、又はセノリティクス、セノモルフィック、セノスタティック、老化治療、細胞老化促進剤、及び組織の完全性を保護する化合物から選択される型の他の公知の食品及び薬物を併用することができる。
【0029】
発明に係る老化治療物質は、好ましくは、フラボノイド、脂肪酸、及び任意選択でフェノール酸、及び/又はビタミンを含む。上記成分は、他の成分と共に存在していても、又は他の成分がなくてもよい。
【0030】
老化治療物質は、好ましくは、固形の食品又は液状の食品、又はやはり代替的に、局所使用での物質又はクリーム、及び吸入されるエアフォーム、又はその他(例えば、限定することなく、注射により投与される)からなる。
【0031】
好ましくは、フラボノイドはフラボンとして存在し、より好ましくは、ケルセチン、フィセチン、アピゲニン、及びルテオリンのうちの1又は複数から選択される。類似した物質が、例えば047268ケルセチンの商標で、Fluorochem Ltd(英国)で販売されている。
【0032】
さらに、フラボノイドは、以下の物質:ルチン、イソケルセチン、クエルシトリン、スピレオサイド、ヘスペリジン、ヘスペリチン、ジオスミン、レスベラトロール、ヒドロキシチロソール、チロソール、カテキン、エピカテキン、ミリセチン、エピガロカテキンガレート、エラグ酸、クルクミン、シリステイン、ルテイン、ピペロングミン、イウグラニン、ロリオリド、ブロムヘオリン、パパイン、アリシン、リコピン、ケムフェロール、ナリンギン、セサミン、タクシフォリン、ヒペロシドのうちの1又は複数を含み得る。
【0033】
フラボノイドは、好ましくは、重量基準で1dg~1g、より好ましくは2dg~6dg含まれる量で存在する。これらの量は、好ましくは、摂取すべき1日の量に対応する。
【0034】
脂肪酸は、好ましくは、フラボノイドの重量基準での量に対して1/50~25倍含まれる重量基準の量で存在し、より好ましくは、前記量は、1~10倍、より好ましくは3~8倍含まれる。
【0035】
好ましくは、脂肪酸は2cg~5g、より好ましくは1dg~10dgの範囲の量で存在する。これらの量は、好ましくは、摂取すべき1日の量に対応する。
【0036】
好ましくは、脂肪酸はパルミチン酸として存在している。代替的に、又はさらに、それらはアシルエタノールアミニド、オキシリピン、リポキシン、及びそれらの様々な技術的製剤のうちの1又は複数から選択され得る。好ましいが、ただし網羅してはいない例は、オレイン酸、リノレン酸、共役リノレン酸、リノール酸、共役リノール酸、カンナビノイド、パルミトイルエタノールアミド(PEA)、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ドコサン酸、リポ酸を含む。類似した物質は、例えばP0002 Palmitic Acidの商標で、TCI Europe NVにより販売されている。
【0037】
フェノール酸は、好ましくは、フラボノイドの重量基準での量に対して1/100~4倍含まれる重量基準の量で存在し、より好ましくは、前記量は、30%~100%、より好ましくは40%~80%含まれる。
【0038】
好ましくは、フェノール酸は1cg~8g、より好ましくは1dg~5dgの範囲の量で存在する。これらの量は、好ましくは、摂取すべき1日の量に対応する。
【0039】
好ましくは、フェノール酸は没食子酸として存在している。代替的に、又はさらに、それらはバニリン酸、ヒドロキシ安息香酸、クマリン酸、フェルラ酸、カフェ酸、ヒドロキシ桂皮酸のうちの1又は複数から選択され得る。類似した物質は、例えばG0011 Gallic Acid Hydrateの商標で、TCI Europe NVにより販売されている。
【0040】
ビタミンは、好ましくは、フラボノイドの重量基準での量に対して1/20~5倍含まれる重量基準の量で存在し、より好ましくは、前記量は、50%~150%、より好ましくは依然80%~120%含まれる。
【0041】
好ましくは、ビタミンは1cg~1g、より好ましくは5cg~5dgの範囲の量で存在する。これらの量は、好ましくは、摂取すべき1日の量に対応する。
【0042】
好ましくは、ビタミンはビタミンCとして存在している。代替的に、又はさらに、これらはビタミンD、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンEのうちの1又は複数から選択され得る。類似した物質は、例えば、A0537 L-Ascorbic Acidの商標で、TCI Europe NVにより販売されている。
【0043】
開示されている老化治療物質は単独又は他の栄養補助食品、局所でのクリーム、吸入されるエアフォーム、特別な医療目的の食品、必須栄養素、必須ミネラル、又は公知の食品抗酸化物質と併用して使用することができる。網羅してはいないそれらの例は、カルノシン、キネチン、GAL-デュオカルミシン、スペルミン、スペルミジン、ゼアキサンチン、ジゴキシン、ウアバイン、アベナントラミドC、ウロリチン、グルコサミン、カルニチン、ブロメライン、パパイン、フコイダン、亜鉛、リチウム、マンガン、マグネシウム、鉄、カルシウム、セレン、クロム、リンである。
【0044】
説明されている老化治療物質はまた、単独で使用されるか、又はセノリティクス、セノモルフィック、セノスタティック、老化治療、細胞老化促進剤、及び組織の完全性を保護する化合物から選択される型の他の公知の薬物を併用することができる。
【0045】
したがって、発明はまた、説明されている食品又は物質を想定することにより、老化細胞を排除するか又は老化に関連する問題を解決させるための新しいプロセス、及び前述の問題を治癒するための物質又は食品を作るための新しいプロセスを定義する。
【0046】
出願人の以下の実験において、老化治療物質は、上で示された様々な成分の重量基準での量を含み、患者由来の細胞に投与され、重要なセノリティック活性が認められた。
【0047】
特に、実現された発明に係る老化治療物質は、ヒトの乳房の老化上皮細胞における顕著なセノリティック活性を示し、3つのフラボノイド(フィセチン、ルテオリン、及びアピゲニン)、ビタミンC、及びパルミチン酸を含む(図1)。簡潔に言うと、MCF7ヒト乳房上皮細胞(ヒト乳腺癌細胞、ATCC(登録商標)HTB-22(商標))の老化がドキソルビシンでの処置(24時間)により、アポトーシスをもたらさない濃度(200nM)で、インビトロで誘導され、後続的に細胞を10日間回復(最適な培地で、処置なし)させた。 老化細胞の表現型への成功裏の転換は、形態学的変化(平坦化及び細胞の拡大)及びリソソームベータガラクトシダーゼ(β-GAL)陽性によって確認される。SA-β-GAL(老化関連β-GAL)老化アッセイが、SA-β-Gal Staining Kit(Cell Signaling Technology, Inc、Danvers、マサチューセッツ州)で実行された。この場合、20%ホルムアルデヒドで、室温で15分間固定した後、位相差顕微鏡EVOS XL Cell Imaging System(Thermo Fisher;レンズ40X)で1ウェルあたり200個以上の細胞を調べ、培養物に存在するSA-β-GAL陽性(青色に染色された)細胞の割合を計算することで老化細胞を定量化した。
【0048】
次いで、老化MCF7細胞(96ウェルプレート)におけるセノリティック活性(図1)が、ビヒクル(DMSO;陰性対照)、ケルセチン(Q、5μM;陽性対照)、又はフィセチン(F、5μM)+ルテオリン(L、5μM)+アピゲニン(A、5μM)の組み合わせを含む発明に係る老化治療物質による、単独、又はパルミチン酸(AP、3つの異なる濃度、すなわち低10μM;中30μM、及び高60μMで使用される)及び/又はビタミンC(VC、5μM)の存在下での処置(72時間)の後に評価された。処置の終わりに、細胞の生存はクリスタルバイオレット染色により定量化された。この場合、細胞はPBSのパラホルムアルデヒド(4%)で20分間固定し、洗浄し(蒸留水で2回)、1%クリスタルバイオレットで染色した(20分間)。水(3回)でのさらなる洗浄後、100μlの酢酸(10%)を各ウェルに加え、吸光度(λ=590nm)をSynergy分光光度計(AHSI)で測定した。実験が異なる3日に4回実行され、3回繰り返された。セノリティック活性が、対照条件(DMSO)に対する、排除された老化細胞の割合として表された。結果は、平均値±SEM(平均値の標準誤差)として表示され、関連する分析はGraphPadPrism(登録商標)6.0ソフトウェア(カリフォルニア州、米国)を使用して実行された。
【0049】
調べられた発明に係るすべての老化治療薬の組み合わせは、ケルセチンと比較して、ヒトMCF7老化細胞に対する有意に高い阻害活性を示した(図1)。実際、フィセチン-ルテオリン-アピゲニンの組み合わせは、単独、又はビタミンCの存在下で、ケルセチンよりも高いセノリティック効果(≧100%)を有することを示し、有意差がスチューデントのt検定(*、p<0.05)で確認された(図1)。留意されたいことに、老化治療物の組み合わせにパルミチン酸を加えることは、ケルセチン(**、p<0.01、及び***、p<0.001、スチューデントのt検定による)よりも有意に高い用量依存的な相乗効果を伴って、また30μM以上の濃度での最大強度(約80%のセノリシス)で、発明に係る物質のセノリティック効果をさらに高めた(図1)。これらの研究に記載の発明に係る老化治療物質を構成する化学的成分(フィセチン+ルテオリン+アピゲニン+ビタミンC+パルミチン酸)の生物学的相乗作用は、単独で(調査と同じ用量で)投与されたビタミンC及びパルミチン酸では有意なセノリティック効果が得られないことにより証明される。したがって、これらの結果は、老化治療食品が特定の重要で非常に有望なセノリティック活性を有していることを証明し、それらがヒト用の新規の老化治療物質、特にセノリティックを開発できるということを示している。
図1
【国際調査報告】