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  • 特表-老化治療化合物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-13
(54)【発明の名称】老化治療化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 311/30 20060101AFI20231206BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20231206BHJP
   A61K 31/352 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231206BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 19/10 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 9/06 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 27/12 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20231206BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
C07D311/30 CSP
A61P3/00
A61K31/352
A61P43/00 121
A61K45/00
A61P11/00
A61P11/06
A61P13/12
A61P1/16
A61P29/00
A61P1/18
A61P25/28
A61P25/16
A61P25/00
A61P25/14
A61P31/18
A61P19/10
A61P19/02
A61P9/10
A61P9/00
A61P9/06
A61P9/12
A61P27/12
A61P17/00
A61P17/06
A61P27/06
A61P7/06
A61P17/14
A61P3/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534066
(86)(22)【出願日】2021-11-30
(85)【翻訳文提出日】2023-07-18
(86)【国際出願番号】 IB2021061106
(87)【国際公開番号】W WO2022118186
(87)【国際公開日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】102020000029225
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523205500
【氏名又は名称】ビオネクサ エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コレアーレ、マリオ
(72)【発明者】
【氏名】ガンベラ、ジョバンニ
(72)【発明者】
【氏名】ピタリ、ジョバンニ マリオ
(72)【発明者】
【氏名】ルッソ、ベネラ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084NA14
4C084ZA02
4C084ZA16
4C084ZA36
4C084ZA42
4C084ZA45
4C084ZA55
4C084ZA59
4C084ZA61
4C084ZA70
4C084ZA81
4C084ZA89
4C084ZA92
4C084ZA96
4C084ZB15
4C084ZB33
4C084ZC21
4C084ZC35
4C084ZC55
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BA08
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA16
4C086ZA36
4C086ZA42
4C086ZA45
4C086ZA55
4C086ZA59
4C086ZA61
4C086ZA70
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA92
4C086ZA96
4C086ZB15
4C086ZB33
4C086ZC21
4C086ZC35
4C086ZC55
4C086ZC75
(57)【要約】
以下に示す、式(I)によるフラボンの合成誘導体を含む老化治療化合物が提供され、(I)
【化1】
式中R2~R6の少なくとも2つがHであり、残りは個別にH、OH、R1、OR1、NO2、NH2、NHR1、F、Cl、Br、Iから選択され、R1はラジカルである。クラス:A61K31/00
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
(I)
【化1】
式中、R~Rの少なくとも2つがHであり、残りはH、OH、R、OR、NO、NH、NHR、F、Cl、Br、Iから個別に選択され、
R1はラジカルである、
によるフラボンの合成誘導体を含む、老化治療化合物。
【請求項2】
が、
H;
1~24アルキル又はヘテロアルキル、C1~24アルケニル又はヘテロアルケニル;C1~24アルキニル又はヘテロアルキニル
脂肪酸のアシル残基
から選択される、
請求項1に記載の老化治療化合物。
【請求項3】
、R、R、及びRがOHであり、
、R、RがHである、
請求項1に記載の老化治療化合物。
【請求項4】
が、
【化2】
である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の老化治療化合物。
【請求項5】
が、
【化3】
である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の老化治療化合物。
【請求項6】

【化4】
であり、
R'が、
H;
1~24アルキル又はヘテロアルキル、C1~24アルケニル又はヘテロアルケニル;C1~24アルキニル又はヘテロアルキニル
脂肪酸のアシル残基、
リンカL
から選択され、
a、b、cは各々0~12であり、
X、Y、及びZは各々、CH2、O、N(R1)、S、NH、SO、SO2、OC(O)、CO、NHC(O)、C(O)NH、NH-C(O)-NH、NH-C(S)-NHから個別に選択される、
請求項1から4のいずれか一項に記載の老化治療化合物。
【請求項7】
R'がリンカLであり、前記リンカが、
【表1】
という化合物から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の老化治療化合物。
【請求項8】
特発性肺線維症(IPF)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、嚢胞性線維症、肺気腫、気管支拡張症、加齢に関連する肺機能の低下;慢性腎疾患(CKD)、間質性腎炎、糸球体硬化症/糸球体腎炎、急性腎臓病(AKD)、腎不全;肝線維症、慢性肝炎、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD);膵線維症、慢性膵炎;心筋線維症、梗塞;口腔粘膜下層の線維症;神経変性疾患:アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、軽度認知障害、運動ニューロンの機能不全、ハンチントン病、認知症;神経精神障害;化学療法、放射線治療、HIV、幹細胞移植、その他の薬物などによって誘発される毒性又は炎症;骨粗鬆症、変形性関節症、炎症性腸疾患(IBD)、炎症性腸症候群(IBS)、関節リウマチ、口腔粘膜炎、後弯症、椎間板変性、椎間板ヘルニア;脂肪萎縮;サルコペニア、加齢に起因する筋肉/可動性の低下、筋肉疲労;アテローム性動脈硬化症、狭心症、不整脈、心筋症、心筋細胞肥大、うっ血性心不全、冠動脈疾患、頸動脈疾患、心内膜炎、冠動脈血栓症、心筋梗塞、高血圧、大動脈瘤、心臓拡張機能障害、高コレステロール血症、僧帽弁逸脱、末梢血管疾患、心臓ストレス耐性、心臓線維症、脳動脈瘤、及び脳卒中;加齢と老化に関連する希少疾患、例えば再生不良性貧血、先天性角化異常症、レベッツ症候群、ホイエラール-フライダルソン症候群、レビー小体型認知症(LBD)、アミロイドーシス、パジェット病、びまん性特発性骨格過骨症(DISH)、多系統萎縮症(MSA)など;糖尿病(2型、1型)、糖尿病性潰瘍、肥満、メタボリックシンドローム;創傷治癒;虚弱;緑内障、黄斑変性、白内障、老眼、及び視力喪失;難聴;加齢に起因する免疫機能の低下(免疫老化);脱毛症、抜け毛;肝斑、皮膚の変色、湿疹、乾癬、色素沈着過剰、母斑、発疹、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、光線過敏症又は光老化に関連する疾患及び障害、湿疹、そう痒症、感覚異常、湿疹性発疹、好酸球性皮膚症、反応性好中球性皮膚症、天疱瘡皮膚症、皮膚の線維組織細胞増殖、皮膚リンパ腫、及び皮膚狼瘡;腎臓、肝臓、肺、心臓、膵臓又は他の器官の移植
という障害のうちの1又は複数の治療のための、請求項1から7のいずれか一項に記載の老化治療化合物。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の老化治療化合物を含む、いずれかの先行請求項に記載のセノリティック化合物。
【請求項10】
老化治療薬を製造するための、セノリティクス、セノモルフィック、セノスタティック、老化治療、細胞老化促進剤、及び組織の完全性を保護する化合物から選択される型の他の公知の薬物を併用する、請求項8に記載の老化治療化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに規定されている型の老化治療化合物に関する。
【0002】
老化治療として公知のクラスの薬物が最近開発され、特にセノリティクス、またセノモルフィック及びセノスタティックの薬物を含む。
【0003】
セノリティクスは、使用者に摂取されるときに、ヒト又は動物の身体の老化細胞を選択的に殺傷する物質である。セノモルフィック及びセノスタティックは、老化細胞の分泌に作用し、老化の過程を抑制する。
【0004】
老化細胞は、もはや分化も増殖もできない細胞である。それらはまた、生理学的機能の喪失、アポトーシスへの耐性及び様々な細胞の変化にさらされる。
【0005】
さらに、老化細胞は、虚弱の症状、サルコペニア及び加齢に関連する疾患を含む加齢の表現型に寄与する。老化したアストロサイト及びミクログリアは、神経変性に寄与する。
【0006】
したがって、老化治療、特にセノリティクスの目標は、可能な限り選択的に、老化細胞を排除することで、加齢関連疾患を遅らせ、予防し、軽減し、又は逆行させることである。
【0007】
セノリティック化合物は、例えばMayo Foundation for Medical Education and Research(ミネソタ州、米国)により、例えば特許出願WO2015116735A1、WO2019183282A1、及びUS2015296755A1において研究されてきた。他のセノリティック化合物は、Unity Biotechnology社(カリフォルニア州、米国)により、例えば特許出願WO2019241567A1、US2019330199A1、及びCA3043103A1において開発されてきた。
【0008】
しかしながら、より正確で高性能、又はより安価な老化治療に対する需要が高まっている。
【0009】
この状況下で、本発明の基礎にある技術的課題は、前述の欠点の少なくとも一部を十分に回避することができる老化治療化合物を考案することである。
【0010】
前記技術的課題の範囲で、本発明の重要な目的は、選択的に老化細胞又はその分泌物に対して機能する老化治療化合物を取得することである。
【0011】
別の重要な技術的課題は、その製造が経済的な老化治療化合物を作製することである。
【0012】
技術的課題及び規定されている目的は、添付の請求項1で特許請求されている老化治療化合物により達成される。
【0013】
好ましい実施形態の例が、従属請求項に記載されている。
【0014】
本発明の特徴及び利点は、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態の詳細な説明によって下記に明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】a:本発明に係る化合物によって取得された結果を示す第1のグラフを示す。 b:本発明に係る化合物によって取得された結果を示す第2のグラフを示す。
図2】a:本発明に係る化合物によって取得された結果を示す第3のグラフを示す。 b:本発明に係る化合物によって取得された結果を示す第4のグラフを示す。
【0016】
図3】a:本発明に係る化合物によって取得された結果を示す第5のグラフを示す。 b:本発明に係る化合物によって取得された結果を示す第6のグラフを示す。 c:本発明に係る化合物によって取得された結果を示す第7のグラフを示す。
【0017】
本文書において、測定値、値、形状及び幾何学的言及(例えば、垂直性及び平行性)は、「約」のような単語又は「おおよそ」もしくは「実質的に」などの他の類似の用語と関連付けられる場合、生産及び/又は製造誤差に起因した測定誤差又は不正確を除くと考えられるべきであり、とりわけ関連付けられる値、測定値、形状、又は幾何学的言及からの僅かな逸脱を除くと考えられるべきである。例えば、これらの用語は、値と関連付けられる場合、好ましくは値の10%以下の逸脱を示す。
【0018】
また、使用される場合、「第1」、「第2」、「より高い」、「より低い」、「主な」及び「二次的な」などの用語は、順序、関係又は相対位置の優先順位を必ずしも特定せず、それらの異なるコンポーネントを単に明確に区別するのに使用することができる。
【0019】
この本文で報告されている測定値及びデータは、特に示していない限り、ICAO International Standard Atmosphere(ISO 2533)で実行されているものとして検討されるべきである。
【0020】
本発明に係る老化治療化合物は、好ましくは可能な限り選択的な、老化細胞の治療の医療目的のための物質である。
【0021】
老化治療化合物は、好ましくは、セノリティックな作用を有し、したがってセノリティック化合物である。セノリティック化合物は、老化細胞を好ましくは選択的に排除するために使用される。
【0022】
代替的に、老化治療化合物は、セノスタティック作用、すなわち老化の過程を抑制する作用を有することができる。
【0023】
老化治療化合物は、代替的に、依然としてセノモルフィック作用、すなわち老化細胞の分泌に対する作用を有することができる。
【0024】
老化治療は、分子及び細胞内プロセス、及び放出された分泌物質を含む老化細胞を特異的に標的とする治療用薬剤及び方法である。老化細胞は、多くの生物学的ストレッサーの結果として生物(ヒトを含む)のすべての組織に生じる独自及び変性した細胞の表現型を示す。とりわけ、細胞老化は老化及び加齢関連疾患に関連付けることができる。
【0025】
老化治療は、さらに、少なくとも2つの主なカテゴリーに分類され得る。
【0026】
-セノリティクス:老化細胞を特異的に排除する薬剤。セノリティクスは、アポトーシス、オートファジー、ネクローシス、ネクロトーシス、又は他の形態の非アポトーシスプログラム細胞死(例えば、フェロトーシス、パイロトーシスなど)を含む特定の細胞死機構を誘導することにより、老化細胞を排除し得る。いくつかの構成では、セノリティクスは、老化細胞抗アポトーシス(SCAP)経路として知られている老化細胞の生存及び抗アポトーシス経路に標的化することができる。
【0027】
-セノモルフィック:必ずしも老化細胞を排除又は殺傷するわけではない老化細胞の表現型を特異的に抑圧する薬剤。セノモルフィックは、老化細胞の機能及び形態を調節し、したがって潜在的にその形成、蓄積、及び病理学的作用を遅らせる/予防する/阻害する。いくつかの構成では、セノモルフィックは、分泌に関連する老化表現型(SASP)の阻害剤及び細胞老化を特異的に予防する薬剤を含む。
【0028】
化合物は、以下にどの言語の当業者にとっても明らかである英語の科学用語で示す、以下のリストに示す分野において、より具体的な利点を有し、結果的に使用される可能性があり、より好ましくは、病理又は美的障害、又は好ましくは老化に関連するその他であり得る障害を治療する。
-特発性肺線維症(IPF)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、嚢胞性線維症、肺気腫、気管支拡張症、加齢に伴う肺機能の低下;
-慢性腎疾患(CKD)、間質性腎炎、糸球体硬化症/糸球体腎炎、急性腎臓病(AKD)、腎不全;
-肝線維症、慢性肝炎、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD);
-膵線維症、慢性膵炎;
-心筋線維症、梗塞;
-口腔粘膜下層の線維症;
-アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、軽度認知障害、運動ニューロンの機能不全、ハンチントン病、認知症などの神経変性疾患;
-神経精神障害;
-化学療法、放射線治療、又は治療、診断、美容目的などのその他いずれかの医療処置によって誘発される毒性又は炎症;
-HIV、Covid-19などの急性及び慢性のウイルス疾患;
-骨粗鬆症、変形性関節症、炎症性腸疾患(IBD)、炎症性腸症候群(IBS)、関節リウマチ、口腔粘膜炎、後弯症、椎間板変性、椎間板ヘルニア;
-脂肪萎縮;
-サルコペニア、加齢による筋肉/可動性の低下、筋肉疲労;
-アテローム性動脈硬化症、狭心症、不整脈、心筋症、心筋細胞肥大、うっ血性心不全、冠動脈疾患、頸動脈疾患、心内膜炎、冠動脈血栓症、心筋梗塞、高血圧、大動脈瘤、心臓拡張機能障害、高コレステロール血症、高脂血症、僧帽弁逸脱、末梢血管疾患、心臓ストレス耐性、心臓線維症、脳動脈瘤、及び脳卒中;
-加齢と老化に関連する希少疾患、例えば再生不良性貧血、先天性角化異常症、レベッツ症候群、ホイエラール-フライダルソン症候群、レビー小体型認知症(LBD)、アミロイドーシス、パジェット病、びまん性特発性骨格過骨症(DISH)、多系統萎縮症(MSA)など;
-糖尿病(2型、1型)、糖尿病性潰瘍、肥満、メタボリックシンドローム;
-創傷治癒;
-虚弱;
-緑内障、黄斑変性、白内障、老眼、視力喪失;
-難聴;
-加齢による免疫機能の低下(免疫老化);
-脱毛症、抜け毛;
-肝斑、皮膚の変色、湿疹、乾癬、色素沈着過剰、母斑、発疹、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、光線過敏症又は光老化に関連する疾患及び障害、湿疹、そう痒症、感覚異常、湿疹性発疹、好酸球性皮膚症、反応性好中球性皮膚症、天疱瘡、類天疱瘡、免疫水疱性皮膚炎、皮膚の線維組織細胞増殖、皮膚リンパ腫、及び皮膚狼瘡;
-腎臓、肝臓、肺、心臓、膵臓又は他の器官、及び幹細胞又は他の細胞の移植に関連する疾患又は病理学的変化又は灌流状態。
【0029】
前記化合物は、単独、又はセノリティクス、セノモルフィック、セノスタティック、老化治療、細胞老化促進剤、及び組織の完全性を保護する化合物から選択される型の他の公知の薬物を併用して使用できる。
【0030】
本発明に係る化合物は、好ましくは、以下に示しているような式(I)によるフラボンの合成誘導体である。
【化1】
~Rの少なくとも2つはHであり、残りはH、OH、R、OR、NO、NH、NHR、F、Cl、Br、Iから個別に選択され、より好ましくは、R、R、RはHであり、R、R、R、及びRはOHであり、
はラジカルであり、好ましくは、
H;
1~24アルキル又はヘテロアルキル、C1~24アルケニル又はヘテロアルケニル;C1~24アルキニル又はヘテロアルキニル
脂肪酸のアシル残基、合成及び天然の両方の起源の、飽和、不飽和、多価不飽和であり得る脂肪酸
から選択される。
【0031】
より好ましくは、Rは、
【化2】
であり、
代替的に、Rは、
【化3】
であり、
さらに代替的に、Rは、
【化4】
であり、
は、Rが選択されるのと同じ化合物の中から選択され、
a、b、cは各々0~12の間で、
X、Y、及びZは各々CH2、O、N、(R1)、S、NH、SO、SO、OC(O)、CO、NHC(O)、C(O)NH、NH-C(O)-NH、NH-C(S)-NHから個別に選択される。
【0032】
はリンカLであり得、前記リンカは以下の化合物から選択される。
【表1】
記載されている化合物の好ましい合成プロセスは後続のものである。
【0033】
概して、錯体又は雑種の分子が合成され、それにおいて、ファーマコフォアの付属物が、以下に図示されている、スペーサ橋を介してケルセチンの3位の酸素に結合し、それにおいて一般的なファーマコフォアで3位が官能基化されたケルセチンの一般構造が示されている。
【化5】
インビトロの実験研究において有望な老化治療薬として、特にセノリティックにおいて選択された本発明に係る化合物である、ビフェニル誘導体の合成は元来、R1における芳香族部分の重要性を評価する目的で調製された。
【0034】
3位のヒドロキシが遊離しているケルセチンテトラベンジル化7は、2-[2-(Boc-アミノ)エトキシ]臭化エチル、末端アミノ基がブチルオキシ基カルボニル(boc)で保護されているエーテル性スペーサの臭化物と反応する。したがって、取得される化合物11bは、THF/HOのHClで処置されてboc除去され、次にパラジウム活性化された炭素(Pd-C)による接触水素化により脱ベンジルされてケルセチン27が得られる。この産物は、合成方策の中心点を表す、なぜならば、アミノ基のおかげで、これは例えばカルボキシル官能基を有する分子で容易に官能化してアミドを形成することができるからである。この方策に従い、ケルセチン27は、以前EDC・HCl及びHOBtと活性化したジフェニル酸28gと反応され、所望のアミド(29g;方式1)を取得する。
【化6】
方式1:29gの合成。
【0035】
このように取得される化合物29gは、ケルセチンの3位にアミノエーテルスペーサによって接続されているジフェニル系からなるセノリティックである。
【0036】
材料及び方法について、使用されているすべての化学的試薬は、分析的な性質を備えており、受領したまま使用される。
【0037】
1H及び13C-NMR実験が、重水素化溶媒中、Bruker Avance 400S(登録商標)分光計で示され、それぞれ400.13及び100.62MHzで記録された。結合定数はヘルツで報告され、0.1Hzに四捨五入されている。必要な場合、クロマトグラフィー精製が、規定されている溶離液を使用して、フラッシュクロマトグラフィー(70-230メッシュ)についてシリカゲルで実行された。
【0038】
規定されている場合、反応はCEM Discoverマイクロウェーブリアクターを使用して実行された。
【0039】
5,7-ビス(ベンジルオキシ)-2-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェニル)-3-ヒドロキシ-4H-クロメン-4-オン:7の合成は、好ましくは、以下に記載されているように生じる。
【0040】
DMF(12ml)における2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-4,5-ジヒドロキシ-3-[3,4,5-トリヒドロキシ-6-[(3,4,5-トリヒドロキシ-6-メチル-オキサン-2-イル)オキシメチル]オキサン-2-イル]オキシ-クロメン-7-オン6(1g;1.6mmol)の溶液に、無水K2CO3(1.81g;13.1mmol)、及び臭化ベンジル(2.24g;13.1mmol)を順次加えた。反応混合物がアルゴン雰囲気及び室温で撹拌されて、残された。完了すると(おおよそ24時間)、反応混合物はEtOAc(40mL)で希釈され、H2O(2×30mL)で洗浄された。有機相が無水Na2SO4で乾燥され、濾過され、溶媒が減圧下で除去された。残留物は、HCl(37%)/MeOH=2/98v/vの混合物が加えられ、還流下(T°=65℃)で2時間加熱した。
【0041】
完了すると、混合物は、室温に冷却させ、次にブフナー漏斗で濾過し、最後にオレンジ色の固体を冷メタノールで洗浄した。したがって、取得される最終産物7は、さらなる最終的な精製を必要としていない(450mg;42.45%)。
【化7】
1H NMR(400 MHz, CDCl3):7.88(s, 1H), 7.75(d, 1H, J = 6.5 Hz), 7.65-7.25(m, 21H, Ph), 7.01(d, 2H), 6.56(s, 1H, J = 8.7 Hz), 6.45(s, 1H), 5.26(s, 2H, CH2Ph), 5.23(s, 2H, CH2Ph), 5.21(s, 2H, CH2Ph), 5.11(s, 2H, CH2Ph);13C NMR(100 MHz, CDCl3):171.70, 163.19, 159.33, 158.63, 150.14, 148.58, 141.83, 137.68, 137.13, 136.82, 136.15, 135.59, 128.74, 128.62, 128.53, 128.45, 127.89, 127.85, 127.77, 127.62, 127.53, 127.18, 126.63, 124.26, 121.20, 114.17, 106.68, 97.52, 93.66, 71.52, 70.93, 70.67, 70.53.
【0042】
化合物11bの合成は、好ましくは、以下の記載のように生じる。
【0043】
無水DMF(4ml)における5,7-ビス(ベンジルオキシ)-2-(3,4-ビス(ベンジルオキシ)フェニル)-3-ヒドロキシ-4H-クロメン-4-オン7(500mg;0.754mmol)の溶液に、2-[2-(Boc-アミノ)エトキシ]臭化エチル(404mg;1.508mmol)、無水K2CO3(250mg;1.810mmol)及びKI(36mg;0.226mmol)が順次加えられた。反応混合物は、65℃の温度で12時間撹拌させて残されている。完遂のため、混合物は、H2O(10mL)及びEtOAc(20mL)に仕切られた。有機相は、飽和NaCl水溶液で洗浄し、水相をEtOAc(20ml)で抽出した。結合された有機相は、無水Na2SO4で脱水させ、溶媒が減圧下で除去された。黄色い油として取得された残留物は、フラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO2;EtOAc/n-ヘキサン25%)で精製された。産物11bは、白色の油として単離された(460mg;72%)。
【化8】
1H NMR(400 MHz, DMSO-d6):7.83(bs, 1H), 7.63(d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.46-7.18(m, 21H), 6.95(d, 1H, J = 2.0 Hz), 6.76(bt, 1H, J = 8.0 Hz), 6.70(d, 1H, J = 2.0 Hz), 5.25(m, 8H), 4.12(m, 2H), 3.60(m, 2H), 3.32(m, 2H), 3.03(m, 2H), 1.35(s, 9H).13C NMR(100 MHz, DMSO-d6):173.2, 163.6, 159.0, 156.5, 152.5, 151.2, 148.6, 140.3, 138.1, 137.8, 137.7, 137.0, 129.5, 129.4, 129.3, 129.2, 129.0, 128.9, 128.8, 128.6, 128.5, 127.8, 123.9, 123.3, 115.1, 114.6, 109.8, 98.7, 95.1, 78.6, 71.6, 71.4, 71.0, 70.9, 70.3, 70.0, 29.1.
【0044】
化合物16の合成は、好ましくは、以下の記載のように生じる。
【0045】
4NのHCl(4ml)の水溶液が、THF(6ml)の11aの溶液(460mg;0.541mmol)に加えられた。反応混合物は、50℃の温度で6時間撹拌させて残されている。完了させるために、反応混合物は、減圧下で乾燥させ、残留物である白色固体を、さらにクロマトグラフィー精製することなく、16(定量的)で、次の反応に使用した。
【化9】
1H NMR(400 MHz, CD3OD):7.66-7.30(m, 22H), 7.05(d, 1H, J = 8.4 Hz), 6.57(d, 1H, J = 2.0 Hz), 6.51(d, 1H, J = 2.0 Hz), 5.27(s, 2H), 5.25(s, 2H), 5.17(s, 2H), 5.12(2H), 3.83-3.74(m, 2H, 3.72-3.64(m, 2H), 3.60-3.53(m, 2H), 3.22-3.12(m, 2H).
【0046】
化合物27の合成は、好ましくは、以下の記載のように生じる。
【0047】
EtOH/THF(1:2%v/v)混合物における16(0.01mmol)の溶液。混合物にPd/C触媒(10%)を添加した。反応混合物を3回真空にさらした。
-系から両方の空気を除去する窒素サイクル;最後にもう一度真空を施し、フラスコを圧力1.2バールまで水素で満たした。最後に、反応混合物は、所望の産物の脱ベンジル化の完了(約12時間)まで、室温で撹拌されて残された。完了するために、反応混合物から触媒を濾過により除去し、溶媒を減圧下で除去し、残留物をn-ヘキサン/Et2O 70:30の混合物(3×10ml)で洗浄した。
【0048】
産物27は、黄色の無定形の固体として単離された(74mg;95.0%)。
【化10】
1H NMR(400 MHz, CD3OD):7.67(d, 1H, J = 2.0 Hz), 7.52(dd, 1H, J1 = 8.4 Hz, J2 = 2.0 Hz), 6.39(d, 1H, J = 1.6 Hz ), 6.19(d, 1H, J = 2.0 Hz), 4.10-4.01(m, 2H), 3.83-3.75(2H, m), 3.74-3.67(2H, m), 3.19-3.10(2H, m); 13C NMR(100 MHz, CD3OD):179.9, 166.0, 163.0, 158.5, 158.4, 150.0, 146.3, 138.3, 122.8, 122.5, 117.0, 116.4, 105.8, 99.9, 94.8, 72.9, 71.2, 67.8, 40.6.
【0049】
化合物29gの合成は、好ましくは、以下の記載のように生じる。
【0050】
EDC・HCl(19.8mg;0.10mmol)が、酸28g(15.8mg;0.069mmol)の無水DMF(2ml)溶液に、アルゴン雰囲気下、磁気撹拌しながら加えられた。そして、30分後HOBt(11.2mg;0.083mmol)を加えた。さらに30分後、取得された溶液は、化合物27(32mg;0.063mmol)及びDIPEA(100μl;0.57mmol)の無水DMF(3ml)溶液に、シリンジを使用して5分間滴下して加え、撹拌しながら0℃、アルゴン雰囲気下で保持した。
【0051】
このようにして取得された反応物は、室温にして撹拌してアルゴン雰囲気で24時間保持させ、その後、反応物は、EtOAc(25ml)で希釈し、水(2回)及び飽和NaCl溶液(1回)で抽出した。有機相は、無水Na2SO4で脱水して、濾過して、真空下で濃縮乾燥して粗生成物を得、これをフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO2;DCM/MeOH=2→4%)で精製して、化合物29gを黄色固体として得た(9mg;22%)。
【化11】
【0052】
1H NMR(400 MHz, CD3OD):7.82-7.77(m, 2H), 7.68(d, 1H, J = 2.4 Hz), 7.59-7.47(m, 5H), 6.99-6.93(m, 2H), 6.89(d, 1H, J = 8.4 Hz), 6.34(d, 1H, J = 1.6Hz), 6.16(d, 1H, J = 1.6 Hz), 4.15-4.09(m, 2H), 3.81(s, 3H ), 3.79-3.73(m, 2H), 3.66-3.61(m, 2H), 3.61-3.55(m, 2H);13C NMR(100 MHz, CD3OD):179.9, 170.3, 165.8, 163.0, 161.2, 158.3, 158.0, 149.9, 146.3, 145.2, 138.3, 133.52, 133.48, 129.1, 128.8, 127.3, 123.0, 122.6, 117.0, 116.3, 115.3, 105.8, 99.8, 94.7, 72.8, 71.3, 70.6, 55.7, 41.1.
【0053】
本発明はまた、ケルセチンのエーテル1、2及び3の合成に関連し、その合成方策は、Rolando及び同僚(Tetrahedron Letters, 2011, 52, 4738)により報告されたようなケルセチンの直交する保護をもたらす。ケルセチンのエーテル1、2及び3の合成は、商業的ルーチンである6から開始され、遊離ヒドロキシル基の徹底的なベンジル化、続いて3位の二糖の選択的加水分解、その後の適切な臭化アルキルによるアルキル化、また最後にPd/Cの触媒による水素化によるベンジル基の除去が関与する。方策は、以下に簡素化される:
【化12】
さらに、本発明はまた、ケルセチンのエステル4及び5の合成に関し、D. Lambusta及び同僚により報告された酵素による方策により実行された(J. Mol. Catal. B-Enzymatic, 2003, 22, 271)。方策は、以下の方式に示すように、5つすべてのヒドロキシル基におけるケルセチン9のエステル化と、その結果として生じる、Candida antarctica(CAL)及び Mucor miehei(MML)リパーゼの適切な選択によって媒介される選択的アルコリシスに関与する。
【化13】
産物8の合成で記載したのと同様、本発明者らは、以下の方式に示すように、11シリーズの産物の合成を報告する。
【化14】
本発明に係る化合物はまた、以下に報告されているように、二量体、三量体、及び四量体分子を含み、ここで2つ又はそれより多いケルセチン単位が3位及びスペーサを介して適切な中央リンカ(足場)に結合している。
【化15】
スペーサ及び中央足場の選択は、ケルセチン単位間の柔軟性と距離に起因する効果を研究を試みることによって作成された。
【0054】
二量体分子の最初のグループは、以下の方式で報告される方策によって合成され、それにおいて中間体11aのエチルエステルは、THF/H2Oの中で水酸化ナトリウム及び対応するカルボン酸12で処置することによって加水分解され、EDC/HOBtで活性化され、それは適切なジアミン(H2N-リンカ-NH2)13と縮合される。最後に、最終産物15は、古典的な接触水素化によって実行される中間体14を徹底的に脱ベンジル化することによって取得される。
【化16】
本発明に係る化合物はまた、Vera Salus Ricerca Srlの名で2017年5月7日に出願された特許出願WO2019/008537A1の8ページ10行目から90ページの最終行に記載されている1又は複数のプロセスによって製造され得る。このような方法及び分子はまた、本文書の参照により含まれ、二次的な技術的問題の解決に寄与し、したがって本発明の一部に含まれる。
【0055】
前記化合物はまた、国立研究評議会及びRao FeliceのRao-Erbeの特許出願WO-A-99/66062の3ページ8行目から、9ページの22行目に記載されているプロセスによって製造することができ、これらは参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、他の類似の方法を使用し得る。
【0056】
したがって、本発明はまた、記載された物質、及び前述の問題を治療するための薬物又は化合物又は物質を製造するための新しいプロセスを採用することによって、老化細胞を排除するため、又は老化に関連する問題の解決のための新しいプロセスを定義する。
【0057】
出願人の実験によると、本発明に係る化合物は、様々な細胞モデルで、様々な器官のヒトの組織に対応する、老化治療活性、特に特定のセノリティック活性を有することを示している。アポトーシスを誘導しない濃度(100~200nM)のドキソルビシンで(24時間)処置することにより、インビトロでヒト細胞の老化を誘導し、その後10~12日間(最適な培地で、処置なしで)細胞を回復させた。老化細胞の表現型への成功裏の転換は、形態学的変化(平坦化及び細胞拡大)及びリソソームベータガラクトシダーゼ(β-GAL)陽性によって確認される。SA-β-GAL(老化関連β-GAL)老化アッセイが、SA-β-Gal Staining Kit(Cell Signaling Technology, Inc., Danvers、マサチューセッツ州)で実行された。簡潔に、20%ホルムアルデヒドで、室温で15分間固定した後、位相差顕微鏡EVOS XL Cell Imaging System(Thermo Fisher;レンズ40X)で1ウェルあたり200個以上の細胞を調べ、培養物に存在する SA-β-GAL陽性(青色に染色された)細胞の割合を計算することで老化細胞を定量化した。
【0058】
老化したヒトの細胞におけるセノリティック活性(96ウェルプレート)は、特定の処置(72時間)の後評価され、ビヒクル(DMSO;陰性対照)、ケルセチン(Que;陽性対照)、又はVera Salus Ricerca Srlの名のもと2017年5月7日に出願された特許出願WO2019/008537A1において91ページから106ページまで(図1図2図3)及び関連する図面にも十分に例示されている識別コードを有する、本発明に係る異なる化合物を含む。処置の終わりに、細胞の生存はクリスタルバイオレット染色により定量化された。簡潔には、細胞はPBSのパラホルムアルデヒド(4%)で20分間固定し、洗浄し(蒸留水で2回)、1%クリスタルバイオレットで染色した(20分間)。水(3回)でのさらなる洗浄後、100μlの酢酸(10%)をウェルごとに加え、吸光度(λ=590nm)をSynergy分光光度計(AHSI)で測定した。各実験が異なる3日に4回実行され、少なくとも3回繰り返された。セノリティック活性が対照条件(DMSO)に関して除去された老化細胞の割合として表された。結果は、平均値±SEM(平均値の標準誤差)として表示され、関連する分析はGraphPadPrism(登録商標)6.0ソフトウェア(カリフォルニア州、米国)を使用して実行された。
【0059】
最初の段階で、本発明に係る化合物のセノリティック活性が、ヒトWS1線維芽細胞(皮膚由来の正常線維芽細胞、ATCC(登録商標)CRL-1502(商標))で調査された。
WS1細胞老化が100nMのドキソルビシン(24時間)で誘導され、12日間回復させながら、セノリティック活性が、ビヒクル(DMSO)、ケルセチン(Que、20μM)、ケルセチン(20μM)及びダサチニブ(DAS、200nM;他の陽性対照)、又は20μMの濃度で使用された本発明に係る18の異なる化合物の、単独(図1のa)又は200nMのダサチニブの存在下(図1のb)での処置の後に定量化された。
【0060】
本発明に係る、調べられた概ねすべての化合物は、WS1ヒト老化細胞に対する阻害活性を示す(図1のa、b)。ケルセチン、又はケルセチン及びダサチニブの組み合わせ(既知のヒトの選択的セノリティクス)と比較した場合、本発明に係る化合物の大部分は、同様又は優れたセノリティック効果を有することが示されている(図1のa、b)。ケルセチンと比較して、実際、本発明に係るテストされた化合物のほぼすべては、より高い阻害活性を示し、多くの場合で2倍を超えるセノリティック効果がある(図1のa)。しかしながら、ケルセチン及びダサチニブの組み合わせと比較すると、調べた化合物の多くは老化したWS1線維芽細胞に対して同様のセノリティック作用を発揮し、化合物(29g、図ではVSR-017として示されている)の方が効果的であった(図1のb)。留意されたいことに、本発明29gに係る化合物は、単独で使用すると、単独(図1のa)及びダサチニブとの併用(図1のb)の両方での他のすべての化合物よりも高いセノリティック効果を示した。特に、29g(約60%)のセノリティックな作用は、ケルセチンの約3倍大きく(図1a)、またケルセチン及びダサチニブの組み合わせよりも大きかった(図1のb)。
【0061】
後続的に、本発明に係る化合物のセノリティック活性が、他の細胞モデルで調ベられ、ヒト腸上皮細胞HCT116(結腸直腸腺癌細胞、ATCC(登録商標)CCL-247)、ヒト腎上皮細胞786-O(腎腺癌細胞、ATCC(登録商標)CRL-1932)、ヒト膵臓上皮細胞PANC-1(膵臓癌細胞、ATCC(登録商標))CRL-1469)、ヒト肝上皮細胞HepG2(肝細胞癌細胞、ATCC(登録商標)HB-8065)、及びヒト肺上皮細胞A549(肺腺癌細胞、ATCC(登録商標)CCL-185)を含む。これらの細胞において、老化は、200nmのドキソルビシン(24時間)、10(HCT116及びA549について)又は12(786-O、PANC-1、及びHepG2について)日の回復が誘発されたが、セノリティック活性が、ビヒクル(DMSO)又はスカラー濃度(範囲、1~60μM)のケルセチン(Que;陽性対照)又は本発明に係る調査した化合物のそれぞれでの処置後に定量化された(図2a~図3c)。
【0062】
本発明に係るすべての化合物が、調べられたヒト老化細胞の5つの組織の型のそれぞれでセノリティック活性を示し、効果は、10μM以上の濃度の特定の化合物により誘発されたケルセチンよりも大幅に高かった(図2a~図3c)。この状況で、本発明に係る以下の化合物(別個の科学的クラスに属する)は、以下のヒト細胞株においてケルセチンよりも有意に高いセノリティック活性を示した:老化腸細胞HCT116における化合物29g、15c及び19b(図2a);老化腎臓細胞786-O(図2b)及び老化膵臓細胞PANC-1(図3a)における化合物29g及び15c;老化肝細胞HepG2の化合物29g及び3(図3b)、及び老化肺細胞A549の化合物29g、15c、3及び31(図3c)。留意されたいことに、本発明29gによる化合物は、調べたすべての細胞株で最大のセノリティック効果を示し(図1図3)、組織に関係なく、調べた他のすべての治療法と比較して、この化合物が有する特異性及び優れたセノリティック効力を示している。老化細胞(パンセノリティック活性)の起源。化合物15cはまた、老化肝臓細胞を例外として(図3b)、有効なパンセノリティックを証明した(図1図3)。さらに、本発明に係るいくつかの化合物は、選択的なセノリティックな効果を有することが示され、特定の組織の状況における高度な老化細胞に対する阻害効力を特徴とし、例えば、腸細胞における化合物19b(図2、左側のグラフ)、肺細胞における化合物31(図3のc)、及び肝臓細胞(図3のb)及び肺細胞における化合物3(図3のc)である。
【0063】
これらの結果は、本発明に係る化合物が非常に有望な特異的、上昇、及び/又は選択的なセノリティック活性を示すことを証明し、それらが新たな老化治療薬として、また加齢に関連するヒトの病理の予防又は治療のための特定の用途に開発される可能性があることを示している。
【0064】
したがって、これらの結果は、本発明に係る化合物が特異的で、重要な、非常に有望である老化治療、特にセノリティック活性を示すことを証明し、それらが人間用の新しい老化治療の薬物として開発され得ることを示している。
図1
図2
図3
【国際調査報告】