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特表2023-551985産業規模の飼育に適した、昆虫を飼育するためのトレー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-13
(54)【発明の名称】産業規模の飼育に適した、昆虫を飼育するためのトレー
(51)【国際特許分類】
   A01K 67/033 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
A01K67/033 502
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534311
(86)(22)【出願日】2021-12-03
(85)【翻訳文提出日】2023-06-16
(86)【国際出願番号】 FR2021052196
(87)【国際公開番号】W WO2022123153
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】2012795
(32)【優先日】2020-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517227839
【氏名又は名称】インセクト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ソレーヌ コンパラ
(72)【発明者】
【氏名】ティボー サルトン デュ ジョンシェ
(72)【発明者】
【氏名】ペドロ エスカランテ
(57)【要約】
本発明は、昆虫を飼育するためのトレーであって、実質的に水平な平面を画定する中実の底部(2)と、トレーの周囲のエンクロージャ(5)を画定する側壁(4)と、を備えるトレーに関する。底部(2)及び側壁(4)はトレー本体を画定する。トレーは、トレーの底部(2)からトレーのエンクロージャ(5)の上方に位置する高さまで鉛直に延びる複数の脚部(6)を備える。脚部は、同一の昆虫飼育トレーの底部(2)とトレーのエンクロージャ(5)との間に空間を残しつつ、飼育トレーの頂部の上に同一のトレーを積み重ねることを可能にする。トレーの周りを流れる空気層流が中断されるのを制限するために、トレーの本体は鋭い縁部を含んでいない。本発明は、このタイプの複数のトレーのスタックにも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昆虫を飼育するためのトレーであって、
実質的に水平な平面を画定する中実の底部(2)と、
前記トレーの周囲のエンクロージャ(5)を画定する側壁(4)であって、前記底部(2)及び前記側壁(4)がトレー本体を画定する、側壁(4)と、
前記トレーの前記底部(2)から前記トレーの前記エンクロージャ(5)の上方に位置する高さまで鉛直に延びる複数の脚部(6)と、
を含み、
前記脚部(6)は、前記トレーの頂部上に同一の昆虫を飼育するためのトレーを、前記同一のトレーと前記トレーの前記エンクロージャ(5)との間に空間を残しつつ、、積み重ねることを可能にするように構成され、前記脚部(6)は、前記同一のトレーの脚部(6)の下側支承面(8)と協働するように構成された上側支承面(7)を含む、
昆虫を飼育するためのトレーにおいて、
前記トレーの周りを流れる空気層流が中断されるのを制限するように、前記トレー本体が鋭い縁部を含んでいない、
昆虫を飼育するためのトレー。
【請求項2】
前記脚部(6)は鉛直方向の鋭い縁部を有していない、請求項1に記載の昆虫を飼育するためのトレー。
【請求項3】
前記トレー本体は、長さ(L)及び幅(l)に比べて高さ(h)が小さい、全体として直方体形状を有するとともに、丸みを帯びた鉛直縁を有する、請求項1又は2に記載の昆虫を飼育するためのトレー。
【請求項4】
前記トレーの底部(2)は、その長手方向端部の各々に、水平方向に対する隆起部分(15)を含む、請求項3に記載の昆虫を飼育するためのトレー。
【請求項5】
前記トレーは4つの脚部(6)を含み、前記4つの脚部(6)のうちの2つは前記トレーの長さ(L)に沿って延びる前記トレーの第1の長辺上に位置し、前記4つの脚部(6)のうちの2つは前記トレーの長さ(L)に沿って延びる前記トレーの第2の長辺上に位置し、前記4つの脚部(6)は前記トレーの幅に沿って延びる前記トレーの第1の短辺及び前記トレーの幅に沿って延びる前記トレーの第2の短辺から距離を置いて位置する、請求項3又は4に記載の昆虫を飼育するためのトレー。
【請求項6】
9つの脚部(6)、すなわち、
請求項5に規定される4つの脚部(6)と、
前記トレーの前記短辺から距離を置いて前記トレーの長手方向中央平面に位置する2つの脚部(6)と、
前記トレーの前記長辺上において前記トレーの横方向中央平面に位置する2つの脚部(6)と、
前記長手方向中央平面と前記横方向中央平面との交点に位置する、中央の脚部と、
を含む、請求項5に記載の昆虫を飼育するためのトレー。
【請求項7】
前記トレーは、0.6mから3.6m、好ましくは2.4m、の長さと、0.4mから2.0m、好ましくは1.2m、の幅とを有する、請求項3から6のいずれか1に記載の昆虫を飼育するためのトレー。
【請求項8】
前記トレー本体は、30mmから200mmの高さを有する、請求項1から7のいずれか1に記載の昆虫を飼育するためのトレー。
【請求項9】
前記脚部(6)は、横長の断面、例えば、角が丸みを帯びた長方形の断面又は楕円形の断面、を有する、請求項1から8のいずれか1に記載の昆虫を飼育するためのトレー。
【請求項10】
各脚部(6)が、その上側支承面(7)上に、前記上側支承面(7)から突出するスタッド(16)を含む、請求項1から9のいずれか1に記載の昆虫を飼育するためのトレー。
【請求項11】
各脚部(6)に対し、取り付けられたインサート(18)を含み、前記インサート(18)は脚部の下側支承面(8)を形成し、前記インサート(18)は、機能的クリアランスを除いて、前記スタッド(16)の形状に対応する形状を有する凹部を有する、請求項11に記載の昆虫を飼育するためのトレー。
【請求項12】
前記トレーの前記エンクロージャ(5)は、前記トレーの前記底部(2)と実質的に平行に延び、各脚部(6)は、前記トレーの前記底部(2)と前記トレーの前記エンクロージャ(5)との間で測定される前記トレー本体の高さの20%から100%までの高さにわたって、前記トレーの前記エンクロージャ(5)の上方に延びる、請求項1から11のいずれか1に記載の昆虫を飼育するためのトレー。
【請求項13】
前記トレーの前記底部(2)が、前記トレーの底部(2)に形成された凸部(13)、又は、前記トレーの前記底部(2)に六角形又は三角形の幾何学的パターンを形成する高さが小さいリブ(22)、の形の補強パターンを有する、請求項1から12のいずれか1に記載の昆虫を飼育するためのトレー。
【請求項14】
少なくとも1つの鉛直隔壁によっていくつかの領域、例えば2から8つの領域(12)、例えば6つの領域(12)、に分割された内部容積を有する、請求項1から13のいずれか1に記載の昆虫を飼育するためのトレー。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1に記載の昆虫を飼育するためのトレーを複数積み重ねてなるスタックであって、前記スタックの下側のトレーが、前記トレーのスタックを持ち上げて移動するのを可能にする取り扱い支持体を形成している、スタック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昆虫を飼育又は養殖するためのトレーに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明によって優先的に標的とされる昆虫は例えば、鞘翅目、双翅目、鱗翅目、等翅目、直翅目、膜翅目、ゴキブリ目、半翅目、異翅目、蜉蝣目、長翅目、であり、好ましくは、鞘翅目、双翅目、直翅目、鱗翅目である。例えば、非網羅的には、本発明のトレー対象は、テネブリオン科、メロロンティ科、ダームス科、コクシネリ科、カミキリムシ科、オサムシ科、タマムシ科、セトニ科、ドリオフトリ科に属する甲虫をその発育の全段階において飼育することと、ズアブ科、イエバエ科、クロバエ科に属する双翅目をその発育の幼生段階において飼育ことと、に適してもよい。
【0003】
本発明のトレー対象は、以下の甲虫、すなわち、チャイロコメノゴミムシダマシ、ガイマイゴミムシダマシ、ゾフォバスモリオ、コメノゴミムシダマシ、コクヌストモドキ、ヤシオオオサゾウムシ、をその発育の幼生段階において飼育するのに適しており、極めて特に、チャイロコメノゴミムシダマシ(又はミールワーム)を飼育するのに適しており、また、以下の双翅目、すなわち、アメリカミズアブ、イエバエ、オビキンバエ、をそのその発育の幼生段階において飼育するのに適している。
【0004】
特に明記しない限り、「昆虫」という用語は、卵又は卵鞘から成虫までの発達の任意の段階を指すのに使用される。
【0005】
大規模な昆虫生産は、特に農産業において、多くの関心を有する。実際、食用昆虫のいくつかの種は、タンパク質が豊富であり、これらを特に動物飼料、魚類、甲殻類、及び特定の鳥類に使用することができる。大規模な昆虫飼育は、他の産業分野でも興味深い。例えば、昆虫の外骨格は主にキチンから構成され、その既知の誘導体はキトサンである。キチン及び/又はキトサンの用途は多数ある:化粧品(化粧品組成物)、医学品及び薬学品(医薬組成物、熱傷の治療、生体材料、角膜被覆材、外科用糸)、栄養学品及び食品、技術品(ろ過剤、テクスチャライザ、凝集剤又は吸着剤、特に水のろ過及び脱汚染のためのもの)など。
【0006】
特許文献1は、大規模、すなわち産業規模での昆虫の飼育に適した作業場を開示している。産業規模によって、例えば、年間数百トン又は数千トンの昆虫幼虫が製造されると理解されるべきである。飼育は、基本飼育ユニットを形成するために積み重ねられる飼育トレー(典型的にはトレー)(複数)を導入する。基本の飼育ユニットが第1の領域に保管され、飼育作業を実施すべきときに、トレーが、作業を実施するのに適した位置に運ばれ、基本の飼育ユニットにグループ化されるか又は個別に分離される。
【0007】
飼育作業は、非網羅的には、給餌、給水、昆虫のキャリブレーション、飼育用容器内への昆虫の追加、並びに、飼育中、進化の段階に従って昆虫を分離もしくは分類すること、又は、生きている昆虫を死んだ昆虫及び/又はそれらの飼育環境から分離すること等を可能にする多数の及び種々の選別作業に関連する。
【0008】
大規模かつ高度に自動化された方法で昆虫を飼育するには、複数の機能的基準、特に耐性、自動化された手段によって移動される能力、使用量、衛生的適合性、食料又は水供給の可能性に関する最適化、を満たす飼育容器が必要である。
【0009】
特許文献2は、大規模飼育での使用に適した昆虫飼育トレーを開示している。この文献で提案されるトレーはリブ上に積み重ね可能であり、これらリブは、積み重ねられたトレー同士の間に維持される広い開口部のおかげでトレーの良好な通気を可能にしながら、規則的で信頼性のある積み重ねを保証し、トレーは、自動化された手段によってトレーを把持するのに特に適した側部を含む。
【0010】
特許文献3は昆虫飼育作業場又はワークショップに関し、より詳細には、そのような作業場の少なくとも1つの領域の気候調節に関する。この文献は、昆虫の健康、福祉、及び急速な成長に有利な、昆虫飼育における制御された均質な環境条件を維持することの重要性を開示している。この文献は、作業場において、特に鉛直方向飼育の複雑な状況において、最適化された空気抽出を達成するのに最適化された空気流システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】仏国特許発明第3034622号明細書
【特許文献2】仏国特許発明第3046333号明細書
【特許文献3】仏国特許発明第3088519号明細書
【発明の概要】
【0012】
本発明の目的は、大規模の、特に鉛直方向の、飼育のための昆虫飼育トレーであって、多くの重要な飼育パラメータ、特に気候基準及び気象基準、に関して最適化された昆虫飼育トレーを提供することにある。
【0013】
したがって、本発明は、昆虫を飼育するためのトレーであって、実質的に水平な平面を画定する中実の底部と、トレーの周囲のエンクロージャを画定する側壁と、を備えるトレーに関する。底部及び側壁はトレー本体を画定する。トレーは、トレーの底部からトレーのエンクロージャの上方に位置する高さまで鉛直に延びる複数の脚部を含む。トレーの脚部は、同一の昆虫飼育トレーの底部とトレーのエンクロージャとの間に空間を残しつつ、飼育トレーの頂部の上に同一のトレーを積み重ねることを可能にするように構成される。この目的のために、脚部は、同一のトレーの脚部の下側支承面と協働するように構成された上側支承面を含む。トレーの本体は、トレーの周りを流れる空気層流が中断されるのを制限するように、鋭い縁部を含んでいない。
【0014】
更に、脚部は鉛直方向の鋭い縁部を有してなくてもよい。
【0015】
鋭い縁部がないことにより、空気流がトレーの周りを流れることが可能になり、このとき、この流れを乱しかつ/又はこの流れに局所的な不規則性を生ずるおそれのある局所的な乱れを生じない。トレーのエンクロージャから突出する脚部を使用することにより、トレー同士間に存在する開放面を最大化することが可能となり、これは、この目的のために昆虫飼育トレーの壁の上部に一般的に形成されるくぼみをはるかに上回る。このことにより、トレー同士間を空気が流れるのが容易になり、したがって、昆虫に利用可能な空気の所望の温度での更新及びメンテナンスが可能になる。2つの積み重ねられたトレーの間の同じ開放表面について、2つのトレーの底部同士間の距離は、より短くてもよく、このことにより、所与の積み重ね高さに対するトレーの数を最大化することが可能になる(このことにより、同じ高さにわたって、より多くの昆虫の飼育が可能になり、又は、機械的に望ましい、あらかじめ定められた数のトレーからなるスタックの重心を下げることが可能になる)。
【0016】
トレーの本体は、長さ及び幅に比べて高さが小さい、全体として直方体形状を有するとともに、丸みを帯びた鉛直縁を有する。トレーの底部は、その長手方向端部の各々に、水平方向に対する隆起部分を含む。
【0017】
したがって、飼育トレーの列を横切る空気流の空気力学的中断をさらに制限するのを可能にする特徴が提案される。
【0018】
提案された特徴はまた、空気流に対して所与の配向に従って使用されるトレーを事前に配置するという結果を有する。したがって、空気流は有利にはトレーの短辺のうちの1つを介して、理想的にはこれらの短辺に対して実質的に直角に、到達すべきである。トレーの丸みを帯びた縁部及び底部の隆起部分(これらは、他の平坦な底部のボート船体の形状と同様の形状を与える)により、トレーの抗力係数(しばしば、略語Cxによって示される)の低減が可能になる。
【0019】
特に、トレーは4つの脚部を含んでもよく、4つの脚部のうちの2つはトレーの長さに沿って延びるトレーの第1の長辺上に位置し、4つの脚部のうちの2つはトレーの長さに沿って延びるトレーの第2の長辺上に位置し、4つの脚部はトレーの幅に沿って延びるトレーの第1の短辺及びトレーの幅に沿って延びるトレーの第2の短辺から距離を置いて位置する。
【0020】
空気流を受けるように意図されたトレーの辺(一般に、トレーの最短の辺)から離れた脚部の位置により、トレーへのより良好な空気の進入が可能になる。一般に、このことにより、トレーのスタック全体にわたる空気の流れが改善される。また、この位置によって、本発明の別の態様に対応する大型トレーが、そのライフサイクルを通して、トレーの機械的強度を改善することが可能になる。
【0021】
トレーは、9つの脚部、すなわち、
上述のように規定される4つの脚部と、
トレーの短辺から距離を置いてトレーの長手方向中央平面に位置する2つの脚部と、
トレーの長辺上においてトレーの横方向中央平面に位置する2つの脚部と、
長手方向中央平面と横方向中央平面との交点に位置する、中央の脚部と、
を含んでもよい。
【0022】
トレーは、0.6mから3.6m、好ましくは2.4m、の長さと、0.4mから2.0m、好ましくは1.2m、の幅とを有してもよい。
【0023】
トレー本体は、30mmから200mmの高さを有してもよい。
【0024】
したがって、特に大型トレーのために、脚部の最適な分配が提案される。実際、トレーは、標準サイズのパレットの寸法に基づく寸法を有してもよい。特に、トレーは「ヨーロッパ」パレットの寸法、すなわち、1.20m×0.80m、又は、これらの寸法の倍数、例えば、2.40m(すなわち、0.80mの3倍)×1.20mを有してもよい。このことにより、その取り扱いが容易になり、トレー及びトレーのスタックをパレット輸送及び保管デバイス(パレットトラック、棚、又はパレット「ラック」)と互換性があるようになる。したがって、トレーのスタックの下側のトレーは、厳密に言えば、パレットがない場合、ある種のパレットを形成する取り扱い支持体として機能することができる。
【0025】
トレーの脚部は、横長の断面、例えば、角が丸みを帯びた長方形の断面又は楕円形の断面、を有してもよい。
【0026】
脚部の断面の細長い形状は、適切な向きとともに、かなりの鉛直力の吸収を保証しながら、空気流にさらされる前面領域を制限するのを可能にする。
【0027】
さらに、脚部の断面の細長い形状は、積み重ねられたトレー同士間に、荷重(上方のトレーの重量)を保持するのに十分な支承面を有するのを可能にする。実際、本発明によるトレーのスタックは例えば、1.5トンまでの重さであってよい。
【0028】
最後に、脚部の向きは、トレー内の有用な表面を最大化することを可能にする。
【0029】
各脚部は、その上側支承面上に、上側支承面から突出するスタッドを含んでもよい。トレーは、各脚部に対し、取り付けられたインサートを含んでもよく、インサートは脚部の下側支承面を形成し、インサートは、機能的クリアランスを除いて、スタッドの形状に対応する形状を有する凹部を有する。
【0030】
これらの特徴により、トレーを確実に積み重ねることが可能となり、したがって、トレーは、トレーの積み重ね中に互いに他に対して正確に位置決めされる。それらは、トレーのスタックに、自動化された手段によるその移動に適した結合を付与する。
【0031】
また、インサートにより、(本質的に中空であってよい)脚部の機械的補強が可能になる。
【0032】
トレーのエンクロージャは、トレーの底部と実質的に平行に延びてもよく、各脚部は、トレーの底部とトレーのエンクロージャとの間で測定されるトレー本体の高さの20%から100%までの高さにわたって、トレーのエンクロージャの上方に延びてもよい。
【0033】
このことにより、トレーの良好なエアレーションが保証される。
【0034】
トレーの底部は、トレーの底部に形成された凸部、又は、トレーの底部に六角形又は三角形の幾何学的パターンを形成する高さが小さいリブ、の形の補強パターンを有してもよい。
【0035】
そのような補強により、十分に剛性のある大型のトレーを得ることが可能になる。補強パターンは、トレーの目的に応じて適合されてもよく、例えば、昆虫の幼虫の飼育及びその成長のために意図されたトレーと、昆虫の繁殖及び産卵のために意図されたトレーとで、異なっていてもよい。
【0036】
トレーは、少なくとも1つの鉛直隔壁によっていくつかの領域、例えば2から8つの領域、例えば6つの領域、に分割された内部容積を有してもよい。
【0037】
このことは、トレーを屈曲及びねじれにおいて補強することを可能にする。また、このことは、それぞれが閉鎖表面を有する一体化領域上での飼育の実行を可能にし、その中での昆虫の飼育中における昆虫の挙動は、公知であり、飼育に適していると考えられている。
【0038】
本発明は、トレーのスタックにも関する。このスタックはいくつかの積み重ねられたトレーを含み、スタックの下側のトレーは、トレーのスタックを持ち上げて移動させるための取り扱い支持体を形成している。
【0039】
本発明の他の特定の特徴及び利点も、以下の説明において明らかになるであろう。
【0040】
添付の図面は、非限定的な例により与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1図1は、本発明の実施形態による昆虫飼育トレーを、概略三次元図により表す。
【0042】
図2図2は、図1のトレーを、頂面図により表す。
【0043】
図3図3は、図1及び図2のトレーを、第1の部分断面図により表す。
【0044】
図4図4は、図1から3のトレーを、第2の部分断面図により表す。
【0045】
図5図5は、本発明において使用可能なインサートの一例を、概略三次元図により表す。
【0046】
図6図6は、本発明の別の実施形態によるトレーを、頂面図により表す。
【0047】
図7図7は、図6のトレーを、第1の部分断面図により表す。
【0048】
図8図8は、図6及び7のトレーを、第2の部分断面図により表す。
【0049】
図9図9は、本発明に対応しない、1組の積み重ねられたストレートサイドトレーのトレーにおける温度分布を図示するグラフを表す。
【0050】
図10図10は、本発明の実施形態による、1組の積み重ねられたトレーのトレーにおける温度分布を図示するグラフを表す。
【0051】
図11図11は、本発明に対応しない、積み重ねられたストレートサイドトレーの列の入口における空気速度を図示するグラフを表す。
【0052】
図12図12は、本発明の実施形態による、積み重ねられたトレーの列の入口における空気速度を図示するグラフを表す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1は、本発明の実施形態に従う昆虫飼育トレーを、概略三次元図により表している。
【0054】
トレー1は、中実な底部2と、反対側の開放面3と、を含む。トレー1は、卵、幼虫、又は若虫の段階で、クローリング(這う)昆虫もしくは本質的にクローリング昆虫、又は飛翔昆虫を飼育するのに適している。
【0055】
トレー1の底部2は、水平と考えられる一般的拡張平面に従って拡がる。実際、トレー内で昆虫を飼育するときに、トレーの底部は水平に配置されるよう構成される。
【0056】
トレーは複数の側壁4を含む。したがって、側壁は底部2とともにトレー本体を形成する。トレー本体は、昆虫の受け入れを可能にし、適切な場合、その飼育に有用な基板の受け入れを可能にする。飼育基板は、昆虫のための生活環境を作り出すのに使用される材料に対応し、任意選択で、その成長に必要な栄養要素を含む。
【0057】
トレーの側壁4は、前記側壁4の上側フランジによって形成されるトレーのエンクロージャ(囲い)5を画定する。トレーのエンクロージャ5はトレーの底部に平行に、すなわち水平に、拡がる。特に、トレーのエンクロージャ5は、トレー本体の全周にわたって水平に拡がる。
【0058】
トレー1は複数の脚部6を含む。
【0059】
脚部6はトレーの底部2から、すなわち底部2によって画定される水平面から、トレー1のエンクロージャ5を越えるまで、鉛直方向(水平に直角)に延びる。
【0060】
各脚部6は、上側支承面7及び下側支承面8を含む。
【0061】
したがって、トレー1は、同一のトレーの上又は下に積み重ねられるように構成される。したがって、トレー1のスタック(積み重ね)であって、スタックの最下トレーを除いて、各脚部の下側支承面8が、下に位置するトレーの対応する脚部の上側支承面7上に係止する、スタックが形成されてもよい。
【0062】
従来技術において知られているトレーと比較して、本発明の目的であるトレー1は、鋭い縁部を有していないという特殊性を有する。図示の例では、トレーは、実質的に平坦な平行六面体形状を有する(ただし、側壁4がトレー本体にわずかに広がった形状を与えることができることを除外しない)。したがって、トレー本体は、丸められたコーナを有する。トレー本体の及びトレー1のコーナは、トレーの2つの連続する側壁4の接合部に形成されたトレーの鉛直縁部9に対応するとともに、このレベルでトレーエンクロージャ5によって形成されたコーナフランジ10に対応する。
【0063】
一般に、トレー1の縁部は、トレーのスタックを横断してトレー内及びトレー周りに存在する空気を新しくするように生成された空気流に曝される可能性が高いトレー1の縁部は、これらがトレー本体の縁部であるか脚部であるかに関わらず、丸められる。
【0064】
トレー1は、トレーをいくつかの領域12に分割する複数の鉛直隔壁11を含む。鉛直隔壁11は、長手方向及び/又は横断方向にある。
【0065】
有利には、トレー1はプラスチック材料で作られる。有利には、食品グレードの材料が使用される。したがって、トレー1は特に、ポリプロピレン製であってもよい。トレー1を、射出成形プロセスを使用して作成してもよい。
【0066】
好ましくは、領域12は互いに同一又は類似の寸法を有する。
【0067】
図2は、図1のトレーを頂面図により示している。
【0068】
このトレーは、従来技術で知られている飼育用トレーと比較して、大きな寸法を有する。トレー本体はその長さL及びその幅lと比較して小さい高さhを有し、トレーは、飼育「トレー」という用語で呼ばれることもある。
【0069】
本開示で示される例では、トレー1は、2.40mの長さ及び1.20mの幅を有する。
【0070】
したがって、各領域12は、約80cmの長さ及び約60cmの幅を有する。これは、昆虫の特に幼虫段階での飼育に対する良好な適合性が検証されたトレーの寸法に対応する。
【0071】
トレーの底部2を補強するために(このことは、特にその寸法が大きいという理由から、必要であり又は好ましい)、トレーの底部は補強パターンを有する。補強パターンは、図示の例では、トレー1の横方向に(幅方向に沿って)延びる一連の凸部13(トレーの内側から見て)を含む。
【0072】
図1及び図2はまた、脚部の好ましい配置を示す。特に、トレー1のコーナに近接して配置された4つの脚部は、トレーの長辺(トレー1の長さに沿って延びる辺)に位置するが、トレーの短辺(トレー1の幅に沿って延びる辺)から距離を置いて位置する。特に、これらの4つの脚部を、最も近い短辺から10cmから50cmの距離、例えば、この短辺から約20cm、30cm、又は40cmの距離、に配置してもよい。トレーの短辺に近接してトレーの長辺に位置する2つの脚部のグループそれぞれに対し横方向に整列されながら、トレーの中央にも、1つの脚部6が位置する。
【0073】
また、トレーの長手方向の中心線に従って3つの脚部が配置され、トレーの長辺のそれぞれ上に1つの脚部6が位置し、トレーの横方向の中央に1つの脚部6が位置する。
【0074】
屈曲及びねじりに関してトレー1をさらに強化するために、横方向に整列された脚部6が、トレー1の底部2上に形成されたリブ14によって互いに連結される。リブ14は、トレー本体の高さhと比較して小さい高さを有し、領域12に仕切りを形成しない。
【0075】
したがって、トレーは、機械的特性、特に剛性及び荷重に対する抵抗、を有するように構成され、トレーのスタックの、より下側のトレーがトレーの完全なスタックの輸送のための取り扱い支持体として機能することを可能にする。
【0076】
図3図1及び図2のトレーを、図2に示す断面A-Aによる第1の部分断面図によって示している。この部分断面図は、トレー1の長手方向端部を示している。
【0077】
したがって、トレーは、その長手方向端部(この場合、その長手方向端部のそれぞれ)において、隆起部分15を備える。隆起部分は、底部2の全体的な拡張平面によって実現される水平に対して、進展するか又は進展しない、角度及び/又は曲率を形成する。
【0078】
本開示で示される例では、隆起部分15は長手方向に約50mmにわたって拡がる。例えば、隆起部分は本発明の様々な実施形態によれば、20mmから150mmにわたって拡がってもよい。本開示の隆起部分は、一方ではトレーの底部2に、他方ではトレーの短辺の側壁4に、漸進的に接続する傾斜部分を含む。
【0079】
隆起部分15は、トレー1に、特にトレー本体に、ボート又は平底ボート船体の形状に匹敵する形状を与える。これは、空気流Fに対するトレーの抗力係数を低減することによって、トレーの空気力学を大幅に改善する。空気流Fの方向は図1の二重矢印によって表される。
【0080】
したがって、トレー1は、昆虫の飼育中にトレーのスタックを横切る主空気流に対して特定の向きに従って使用することが意図されている。
【0081】
脚部6に関して、特に図1から図4に示されるように、これらもトレー1の使用の向きに従って構成される。したがって、脚部6は細長い長円形の断面を有し、脚部の断面の最大寸法は、空気流に対する各脚部の前面を最小限に抑えるように、空気流に従って(すなわち、示された例では、長手方向に従って)配向される。
【0082】
したがって、各脚部6は、楕円形、長方形の断面(丸みを帯びたコーナを有する)、又は、例えば、長方形の中央部分とこの中央部分の両側の2つの半円とを含む、任意の他の長円形、の断面を有してもよい。
【0083】
図3はまた、トレー本体の高さhと比較して、示されたトレーの例における脚部の寸法の評価を可能にする。
【0084】
図示の例では、トレー本体は、90mmの範囲の高さhを有する。様々な態様によれば、高さhは例えば、40mmから120mmであってもよい。次に、脚部6の上側支承面7は、トレー1のエンクロージャ5の約40mm上方に配置される。言い換えれば、脚部は、この実施形態では、その下側支承面8とその上側支承面7との間の全高が130mmの範囲内にある(脚部の下側支承面は底部2と同じ平面内に、又は実質的に同じ平面内に、位置する)。様々な態様によれば、脚部の上側支承面は例えば、トレーのエンクロージャの10mmから120mm上方に配置されてもよい。トレー1の上に同一のトレーを積み重ねると、前記同一のトレーの各脚部の下側支承面は、前記トレー1の対応する脚部の上側支承面7上に係止する。
【0085】
したがって、トレーの開放面3を画定するトレーのエンクロージャ5と前記同一のトレーの底部との間における空気の循環のための空間が提供される。脚部がトレーの短辺に対しセットバックして位置決めされたことにより、この空間は、前記短辺におけるトレー同士間の空気の進入に関して完全に自由である。
【0086】
図3及び図4に示されるように、各脚部はその上側支承面において、上側支承面7から突出するスタッド16を含む。例えば、スタッド16は、20mmの範囲の高さを有してもよい。このスタッドは、機能的クリアランスを除いて、下側支承面8に形成された凹部と一致する形状を有するように成形される。
【0087】
図4は、図2に示す断面B-Bによるトレー1の部分断面図である。図4は、脚部の構造の多くの特徴を示している。例えば、本開示の実施形態では、各脚部6は中空である。下側支承面8は、追加されたインサート18によって形成される。
【0088】
インサート18は、脚部6の壁によって画定される容積内にリベット留めによって強制的に嵌合及び/又は固定され(又は、任意の他の適切な手段、例えば溶接又は接着、によって固定され)るように、かつ、この壁によって形成される座部19上に支持されるように、構成される。
【0089】
インサートを、特に射出成形プロセスに従って、プラスチック材料、例えばポリプロピレンから、作製してもよい。
【0090】
このようなインサート18は、図5に三次元図でもって詳細に示されている。したがって、インサート18は、脚部の座部19上に係止するように意図された支承側部20を含む。インサート18はまた、複数のフィン21を含み、これらフィンは、(中空である)脚部6の複数の内壁上に係止し、それを機械的に補強する。
【0091】
図6から図8は、本発明の別の実施形態によるトレーを表す。図6は頂面図であり、図7図6に示す断面CCに係る部分断面図であり、図8図6に示す断面DDに係る部分断面図である。
【0092】
図6の昆虫飼育トレーは、図1から図4のトレーと同じ概略構成を有する。特に、トレー1の長さL及び幅lは図1から図4のトレーの長さL及び幅lと同一であってもよい(例えば、L=2.40m及びl=1.20m)。脚部6は、図1から図4のトレーと同じ構成を有してもよい。それらは、同じ断面を有してもよい。脚部のスタッド16及び凹部17も同一であってよい。
【0093】
したがって、図1から図4のトレーと図6から図8のトレーとを、一緒に積み重ねることができる。
【0094】
このように図1から図4のトレーについての前述の説明は図6から図8のトレーに適用されるが、後者はそれにもかかわらず、以下の特有の特徴を有する。
【0095】
図6から図8のトレーはその底部2に、六角形として配置された、高さが小さいリブ22からなる補強パターンを有する。このようなパターンで得られる機械的補強は、特に全方向の剛性に関して、図1から図4のトレーの凹部で得られる補強よりも大きい。とはいえ、このパターンは製造するのが、より複雑である。
【0096】
また、図6から図8のトレーは、図1から図4のトレーよりも小さい高さを有する。本開示の例では、トレー本体が60mmの範囲の高さhを有する。次に、脚部6の上側支承面7は、トレー1のエンクロージャ5の約20mm上方に配置される。換言すれば、脚部は、この実施形態では、その下側支承面8とその上側支承面7との間の全高であって、80mmの範囲の全高を有する。
【0097】
この実施形態では、トレーの隆起部分15は、30mmの範囲の長さを有する。
【0098】
上述の図6から図8のトレーの特有の特徴を、本発明の様々な実施形態に従って、個々に又は組み合わせて、適用してもよい。
【0099】
図1から図3のトレーは昆虫の幼虫の飼育及びその成長に特によく適しているのに対し、図6から図8のトレーは昆虫の繁殖及び産卵に特によく適している。
【0100】
したがって、例えば、図1から3のトレーを使用して、15から20個のトレー、例えば18個のトレー、のスタックを形成することができる。
【0101】
例えば、図6から図8のトレーを使用して、25から40個のトレー、例えば32個のトレー、のスタックを形成することができる。
【0102】
これらのスタックを、スタックの底部トレーを取り扱い支持体として使用する(特に、取り扱い支持体としてのパレットの使用を除く)自動手段によって、移動させることができる。
【0103】
図9及び図10は、本発明による飼育用トレーの空気力学のおかげで得られる第1の主要な利点を示す。
【0104】
図9及び図10は、図9及び図10の両方に対し同一である所与の熱負荷及び換気条件について、いくつかの組の積み重ねられたトレーのうちの様々なレベルに位置するトレー内のモデル化された温度を表す。特に、大規模な昆虫飼育場に存在し、飼育場内の空気循環を確実にする熱調節装置を有する、複数組の18個の積み重ねられたトレーが、検討される。検討される昆虫飼育場は特に、国際公開第2020104751号公報に記載されているタイプの飼育場に対応する。これらの組のトレー内の温度分布が示される。特に、図9及び図10には、
-P1で表される、(スタックの頂部に位置する)第1のトレー、
-P10で表される、頂部から始まって、スタックの第10のトレー、
-P18で表される、スタック内の最後の(スタックの底部に位置する)トレー、
について、24℃から44℃の間の1℃の各範囲(横軸)に関し、温度範囲(縦軸)におけるトレーの割合が示される。
【0105】
図9は、複数のトレーであって、厳密に直方体のトレー本体を有し、鋭い縁部(丸みを帯びていない)を有し、以下では「ストレートサイドトレー(側部が直線状になっているトレー)」と称されるトレー、を有するモデルに対応する。
【0106】
図10は、本発明の一実施形態によるトレー、すなわち、図1のトレーに対応するトレー、を有するモデルに対応する。
【0107】
示された例において、図9図10との比較から、本発明によるトレーのおかげによる、はるかに良好な温度均一性がわかる。さらに、ある温度、この例では34℃、をはるかに越えるトレーの数が、かなり大幅に低減される。
【0108】
このことにより、ストレートサイドトレーが使用される飼育場と比較して、飼育場内の昆虫のうち、より高い割合、さらにはほぼすべて、を飼育するのに最適な温度を得るのが促進される。
【0109】
図9及び図10に示される条件下において、複数組の積み重ねられたトレーを形成するトレー(複数)が直線状側部(ストレートサイド)を有していると、複数組の積み重ねられたトレーが、平均的に、より高温であることに気付くことができる。それでもなお、昆虫によって生成される熱の排出は、大規模な昆虫飼育において主要な問題である。複数組の積み重ねられたトレーにおける平均温度差であって、飼育場内のこれらの組の位置に応じた平均温度差は、ストレートサイドトレーと本発明によるトレーとの間で、0.35℃と0.9℃の間にある。
【0110】
図1に示される実施形態による本発明に従ったトレーと同じ平均温度をストレートサイドトレーにおいて得るためには、約10%高い換気流量が必要であると推定される。これは、大規模な飼育においてエネルギにかなりの影響を与える。
【0111】
また、トレーがストレートサイドトレーであるか本発明に従って最適化されたものであるかに応じて、一組の積み重ねられたトレーのトレー同士間を流れる空気流が非常に異なることが分かる。
【0112】
図11及び図12に示されるように、トレーの形状を最適化することにより、空気流がトレー同士間をより良好に浸透することが可能となり、したがって複数組の積み重ねられたトレーを横切る流れが増加するのが可能になり、これによって、トレーの冷却、より一般的にはトレー内の空気の更新、が促進される。
【0113】
したがって、図11及び図12の各々は、それぞれE1、E2及びE3で表される、3組の積み重ねられたトレーの入口においてモデル化された空気速度を表す。
【0114】
空気誘導ダクトは、第1の組E1と第2の組E2との間で、前記組のトレーに対向して配置される。空気の導入は図11図12で同じである。
【0115】
図11及び図12において、空気速度が最も高い領域は最も暗い領域に対応し、より明るい領域は空気が最も遅く循環する領域に対応する。
【0116】
空気が最高速度で循環する領域は、当然、空気誘導ダクトに対向して位置する。
【0117】
図11図12とを比較すると、空気がかなりの速度で流れる領域が、本発明によるトレーを有する第1の組E1及び第2の組E2(図12)の幅に沿って、ストレートサイドトレーを有する(図11)よりも、大きく拡がっていることが示される。特に、図示の例では、本発明によるトレーを有する第2の組E2のトレーの全幅にわたって空気流が適切に確立されているが、これはストレートサイドトレーの場合にはないことに気付くことができる。最後に、第3の組E3に関して、空気循環が、ストレートサイドトレーでは非常に低い速度で行われるが、本発明によるトレーにより実質的に改善された空気循環が可能となり、空気流はかなりの速度で流れる。
【0118】
最後に、本出願人は、ストレートサイドトレーでは、トレー同士間の入口が、「死」領域、すなわち空気が流れないか又はほとんど流れない領域、となることを確認している。本発明によるトレーの使用のおかげで、これらの領域が減少され、排除さえされる。
【0119】
このように本発明において提案される昆虫飼育トレーは、従来技術において知られているトレーと比較して多くの利点を有する。第1に、本トレーは、少なくとも1つの方向に従って、いくつかのトレーのスタックにおいて空気流をできるだけ少なく妨げるように最適化される。トレーのこの空気力学的構造により、それぞれのトレーにおける所望の環境パラメータ(温度、CO2レベル、など)を良好に維持することが可能になる。飼育工場の規模では、このことにより、使用される加圧空気によるエネルギ伝達システムにおける相当なエネルギ(したがって、経済的な)節約も可能になる。より強力でない空気流を使用することができ、これは昆虫の成長をあまり妨害せず、及び/又は、トレーのより多数のスタックを所与の電力の空気流が横断することができる。
【0120】
いくつかの実施形態では、大型のストレージ構造内においてトレーを移動させるための自動化された手段及び縦型ストレージを使用する飼育に、大型のトレーが特によく適している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】