(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-13
(54)【発明の名称】遠心分離機及び遠心分離機を動作させる方法
(51)【国際特許分類】
B04B 1/08 20060101AFI20231206BHJP
B04B 1/10 20060101ALI20231206BHJP
B04B 11/04 20060101ALI20231206BHJP
B63H 21/38 20060101ALN20231206BHJP
【FI】
B04B1/08
B04B1/10
B04B11/04
B63H21/38 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534399
(86)(22)【出願日】2021-11-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-07
(86)【国際出願番号】 EP2021081957
(87)【国際公開番号】W WO2022122326
(87)【国際公開日】2022-06-16
(32)【優先日】2020-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509005513
【氏名又は名称】アルファ-ラヴァル・コーポレート・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨウコ・ピトカマキ
【テーマコード(参考)】
4D057
【Fターム(参考)】
4D057AA00
4D057AB01
4D057AB03
4D057AC01
4D057AC06
4D057AD01
4D057AF07
4D057BA14
4D057BC05
4D057BC11
4D057CB01
(57)【要約】
本発明は、液体供給混合体から液体重相及び液体軽相を分離するための遠心分離機(1)であって、フレーム(2)と、駆動部材(3)と、回転部(4)とを含み、該駆動部材(3)は、回転軸(X)を中心として、該回転部(4)を該フレーム(2)に対して回転させるように構成されており、回転部(4)は、分離空間(9a)及び汚泥空間(9b)を包囲している遠心機ロータ(5)を含む、遠心分離機(1)を提供する。該分離空間(9)は、回転軸(X)を中心として同軸配置されている分離ディスク(10a)の積層体(10)を含み、汚泥空間(9b)は分離ディスク(10a)の積層体(10)の径方向外側に配置されている。遠心分離機(1)は、液体供給混合体を該遠心機ロータ(5)内へ受容するための入口(14)と、液体重相のための第1の出口(6)と、液体軽相のための第2の出口(7)とをさらに含む。さらに、遠心分離機(1)は、再循環された分離済み液体重相を液体供給混合体と混合することなく、第1の出口から遠心分離機の遠心機ロータ(5)内の汚泥空間(9b)へ排出される分離済み液体重相を再循環させるための導管システム(30)をさらに含む。遠心分離機は、液体供給混合体から分離された汚泥の排出のために、第1の出口及び第2の出口以外の、汚泥出口をさらに含む。また、本発明は、液体供給混合体から液体重相及び液体軽相を分離するための方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体供給混合体から液体重相及び液体軽相を分離するための遠心分離機(1)であって、フレーム(2)と駆動部材(3)と回転部(4)とを備えている前記遠心分離機(1)において、
前記駆動部材(3)は、回転軸(X)を中心として前記回転部(4)を前記フレーム(2)に対して回転させるように構成されており、
前記回転部(4)は、分離空間(9a)及び汚泥空間(9b)を包囲している遠心機ロータ(5)を備えており、
前記分離空間(9a)は、前記回転軸(X)を中心として同軸配置されている分離ディスク(10a)の積層体(10)を備えており、前記汚泥空間(9b)は、前記分離ディスク(10a)の前記積層体(10)の径方向外側に配置されており、
前記遠心分離機(1)は、前記液体供給混合体を前記遠心機ロータ(5)の内部に受容するための入口(14)と、前記液体重相のための第1の出口(6)と、前記液体軽相のための第2の出口(7)とを備えており、
前記遠心分離機(1)は、再循環された分離済の前記液体重相を前記液体供給混合体と混合することなく、前記第1の出口から前記遠心分離機の前記遠心機ロータ(5)の前記汚泥空間(9b)に排出される分離済の液体重相を再循環させるための導管システム(30)を備えており、
前記遠心分離機(1)は、前記液体供給混合体から分離済の汚泥を排出するための汚泥出口(17)を、前記第1の出口(6)及び前記第2の出口(7)以外に備えている、遠心分離機(1)。
【請求項2】
前記導管システム(30)は、分離済の前記液体重相を前記汚泥空間(9b)の径方向内側位置に再循環させるために配置されている、請求項1に記載の遠心分離機(1)。
【請求項3】
前記遠心分離機(1)は、前記液体供給混合体を前記入口(14)に導入するために配置されている入口管(14a)を備えており、
前記導管システム(30)は、前記入口管(14a)の内部に配置されている再循環入口管(31)を備えている、請求項1又は2に記載の遠心分離機(1)。
【請求項4】
前記汚泥出口(17)は、前記液体供給混合体から分離済の汚泥を断続的に排出するために配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の遠心分離機(1)。
【請求項5】
前記分離ディスク(10a)の前記積層体(10)は、分配器(13)の上に軸方向に配置されており、
前記導管システム(30)は、再循環された前記液体重相を前記汚泥空間(9b)に径方向外向きに案内するために、前記分配器(13)の軸方向下方に配置されている少なくとも1つのチャネル(32)を備えている、請求項1~4のいずれか一項に記載の遠心分離機(1)。
【請求項6】
前記再循環入口管(31)は、前記分配器(13)の軸方向下方に配置されている少なくとも1つの前記チャネル(32)に至るまで延在している、請求項5及び3に記載の遠心分離機(1)。
【請求項7】
前記遠心分離機(1)は、分離済の前記液体重相をスロットルで調整するために配置されている絞り弁(33)を備えており、
前記絞り弁(33)は、前記液体重相のための前記第1の出口の上流に配置されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の遠心分離機(1)。
【請求項8】
前記導管システム(30)は、再循環入口と、前記液体重相のための前記第1の出口(6)を前記再循環入口と接続する導管とを備えている、請求項1~7のいずれか一項に記載の遠心分離機(1)。
【請求項9】
前記液体重相のための前記第1の出口(6)を前記再循環入口と接続している前記導管は、前記再循環入口に再循環されるべき分離済の前記液体重相の量を決定するために配置されている弁手段を備えている、請求項8に記載の遠心分離機(1)。
【請求項10】
液体供給混合体から液体重相及び液体軽相を分離するための方法(100)であって、
a)前記液体供給混合体を請求項1~9のいずれか一項に記載の遠心分離機(1)に導入するステップ(101)と、
b)分離済の前記液体軽相を前記遠心分離機(1)から排出するステップ(102)と、
c)分離済の前記液体重相を前記遠心分離機(1)から排出するステップ(103)と、
d)再循環された分離済の前記液体重相を前記液体供給混合体と混合することなく、排出された分離済の前記液体重相の少なくとも一部分を前記汚泥空間(9b)に再循環させるステップ(104)と、
e)遠心機ロータ(5)の外周に配置されている一組の径方向出口(17)を通して、分離済み固体相を噴出するステップ(105b)と、
を備えている、方法(100)。
【請求項11】
前記遠心分離機(1)は、前記液体供給混合体を前記入口(14)へ導入するために配置されている入口管(14a)を備えており、
再循環は、前記入口管(14a)の内部に配置されている再循環入口管(31)によって実施される、請求項10に記載の方法(100)。
【請求項12】
分離ディスク(10a)の前記積層体(10)は、分配器(13)の上に軸方向に配置されており、
再循環は、再循環された前記液体重相を前記分配器(13)の下方で径方向外向きに案内することを含んでいる、請求項10又は11に記載の方法(100)。
【請求項13】
ステップd)は、前記分配器(13)の径方向外縁部である径方向位置において、分離済みの前記液体重相を前記汚泥空間(9b)に案内することを含んでいる、請求項12に記載の方法(100)。
【請求項14】
ステップe)は、前記遠心機ロータ(5)の前記外周に配置されている前記一組の径方向出口(17)を通して、分離済みの固体相を断続的に噴出すること(105b)を含んでいる、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項15】
ステップe)は、分離済みの前記固体相を噴出する前に、前記分離済み液体重相を再循環させるための前記導管システム(30)を介して、置換液(105a)を前記遠心機ロータに導入することを含んでいる、請求項14及び10に記載の方法(100)。
【請求項16】
前記液体供給混合体は、油性混合体であり、
前記液体重相は、水などの水相である、請求項10~15のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項17】
ステップd)は、分離済みの前記液体重相を前記汚泥空間(9b)の径方向内側位置に再循環させることを含んでいる、請求項10~16のいずれか一項に記載の方法(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遠心分離機の分野に関し、より詳細には、船用燃料油を浄化するための遠心分離機などの遠心分離機を動作させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
遠心分離機が、一般に、液体からの液体の分離及び/又は固体の分離のために使用される。動作中、分離される液体混合体が回転ボウル内へ導入され、重粒子又はより高密度の液体、通常は水、が回転ボウルの外周に蓄積する一方、より低密度の液体が中心回転軸に近接して蓄積する。これにより、例えば外周にかつ回転軸に近接して配置されている様々な出口それぞれにより、分離済の留分(fraction)の収集が可能になる。
【0003】
船舶に供給される燃料が、通常、触媒微粒子と呼ばれる、シリコン粒子及びアルミニウム化合物(例えば、細孔ケイ酸アルミニウム又はゼオライトとして知られているアルミノケイ酸塩)などの固体汚染物質、及び水などの液体汚染物質を除去するために、エンジン内での使用前に船舶上で処理される。船舶用ディーゼルエンジンが、通常、いくつかの種類の市販の燃料油が船舶上で適切に処理される限り、それらを受容する。さらに、エンジンのための潤滑油も、使用前に分離される必要がある、固体不純物及び水などの液体不純物の部分を含有する可能性がある。
【0004】
重相の再循環が、油分離における周知の技術であり、水などの分離済み重相が入口へ戻されて供給される。これは、液体軽相すなわち油の量を減少させるためであり、油は重相すなわち水と共に分離される。
【0005】
従って、水が遠心分離機の入口へ再循環されることが可能であり、この過程は、ある所定の時間中に又は分離室内である量の分離済み水が収集されるまでのいずれかで、進行しつづけるであろう。所定の時間が経過したら、いわゆる汚泥出口が、遠心機ロータ内で水と共に蓄積された分離済み固体が分離室から外へ捨てられるように、開かれ得る。
【0006】
しかし、依然として、当該技術分野では、燃料油又は潤滑油からの水の分離などの、油の改善された分離が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、先行技術の1つ又は複数の制限を少なくとも部分的に克服することである。詳細には、本発明の目的は、例えば水及び泥から油を分離する、向上した能力を有する、方法及び遠心分離機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様として、液体供給混合体から液体重相及び液体軽相を分離するための遠心分離機であって、
フレームと、駆動部材と、回転部と
を含み、
該駆動部材は、回転軸(X)を中心として、該回転部を該フレームに対して回転させるように構成されており、
該回転部は、分離空間及び汚泥空間を包囲している遠心機ロータを含み、
該分離空間は、回転軸(X)を中心として同軸配置されている、分離ディスクの積層体を含み、該汚泥空間は該分離ディスクの径方向外側に配置されており、
遠心分離機は、液体供給混合体を遠心機ロータ内へ受容するための入口、液体重相のための第1の出口、及び液体軽相のための第2の出口をさらに含み、
遠心分離機は、再循環された分離済み液体重相を液体供給混合体と混合することなく、第1の出口から遠心分離機の遠心機ロータ内の汚泥空間へ排出される分離済み液体重相を再循環させるための導管システムをさらに含む、
遠心分離機が提供されている。遠心分離機は、前記液体供給混合体から分離された汚泥の排出のために、第1の出口及び第2の出口以外の、汚泥出口をさらに含む。
【0009】
遠心分離機は液体供給混合体の分離のためのものである。該液体供給混合体は水性液体又は油性液体であり得る。例として、遠心分離機は、燃料油又は潤滑油などの油から、水及び/又は粒子などの不純物を分離するためのものである。従って、液体供給混合体は、少なくとも2つの相:液体軽相及び液体重相へ分離される。該液体重相は、軽相の密度よりも高い密度を有する。遠心分離機は、液体供給混合体を液体軽相、液体重相、及び固体相すなわち汚泥相へ分離するように配置され得る。
【0010】
分離済み液体重相は、液体の75重量%超、液体の90重量%超などの、液体の50重量%超を含み得る。同様に、汚泥相が少量の液体を含み得るが、固体の少なくとも50重量%、固体の75重量%超などである。
【0011】
遠心分離機のフレームは非回転部であり、回転部は、玉軸受を含み得る少なくとも1つの軸受デバイスによって、フレームによって、支持され得る。分離機の回転部は垂直回転軸を中心として回転するように配置され得る。すなわち回転軸(X)は垂直に伸びている。回転部は遠心機ロータを含む。該遠心機ロータは、通常、スピンドルすなわち回転シャフトによって支持され、従って、該スピンドルと共に回転するように取り付けられ得る。その結果として、回転部は、回転軸(X)を中心として回転可能なスピンドルを含み得る。遠心分離機は、遠心機ロータが、スピンドルの低端部又は上端部などの、その端部の一方においてスピンドルにより支持されるように配置され得る。
【0012】
分離器の回転部を回転させるための駆動部材は、ロータとステータとを有する電動機を含み得る。該ロータは、スピンドルなどの該回転部に固定接続されている。電動機のロータは、回転部のスピンドル上に設けられているか又はそれに固定されていることが有利である。あるいは、駆動部材はスピンドルの側に設けられ、ベルト又は歯車伝動装置などの適切な変速装置により、回転部を回転させる可能性がある。
【0013】
遠心機ロータは、ロータ壁により、分離空間及び汚泥空間を包囲している。流体混合体の分離が中で起こる該分離空間は、分離ディスクの積層体を含む。該分離ディスクは例えば金属であってもよい。さらに、分離ディスクは円錐台状の分離ディスクであってもよく、すなわち分離ディスクの円錐台部分を形成する分離面を有する。分離面の傾斜角度は、径方向に対して、30~50度、好ましくは約40度の範囲内であり得る。分離ディスクの積層体の径方向外側に汚泥空間が存在し、分離済の汚泥及び重相は動作中に収集される。汚泥空間は、従って、分離ディスクの積層体の外側部から遠心機ロータの内周面まで、径方向に延在している。
【0014】
分離ディスクは、各2つの隣接した分離ディスク間に通路を形成するように互いに少し離れて、回転軸(X)を中心として同軸配置されている。ディスクパッケージ内の該分離ディスクは、分離される液体混合体が積層体の各2つの隣接した分離ディスク間の通路内で径方向内向きに流動するように配置され得る。
【0015】
本明細書において用いられている「軸方向に」という用語は、回転軸(X)に平行な方向を示す。従って、「上方」、「上部」、「最上部」、「下方」、「下部」及び「最下部」などの相対用語が、回転軸(X)に沿った相対位置を指す。相応に、「径方向に」という用語は、回転軸(X)から径方向に伸びる方向を示す。従って、「径方向内側部分」は、「径方向外側位置」と比較して、回転軸(X)に近接した位置を指す。
【0016】
遠心分離機は、分離済み液体重相が分離空間の周囲に向かって移動し、かつ次いで、ディスクの積層体の上方で第1の出口へ案内されるように配置され得る。
【0017】
遠心分離機は、分離される液体混合体(液体供給混合体)のための入口も含む。この入口は液体供給混合体を受容するために配置され、遠心機ロータ内の中心に、従って回転軸(X)の所に、配置され得る。
【0018】
第1の出口及び第2の出口は液体出口である。液体軽相のための該第2の出口は第1の液体出口よりもより小さい半径で配置され得る。
【0019】
遠心分離機は、前記液体供給混合体から分離された汚泥の排出のために、第1の出口及び第2の出口以外に、汚泥出口をさらに含む。従って、分離機は、汚泥空間内に蓄積された汚泥及び液体重相を排出するための第3の組の出口をさらに含み得る。この目的のために、遠心機ロータは、例えば、断続的に開放可能な出口の形の一組の径方向汚泥出口を、その外周に含み得る。遠心機ロータは、代替案として、ある流量の汚泥及び/又は重相がそれを通して継続的に排出される開口弁を、その外周に含み得る。
【0020】
その結果として、遠心分離機は、重相のための第1の液体出口と、軽相のための第2の液体出口と、分離済み汚泥のための汚泥出口とを含み得る。
【0021】
実施形態において、汚泥出口は、液体供給混合体から分離された汚泥の断続的排出のために配置されている。従って、そのような実施形態では、遠心ボウルには、分離済み汚泥相の継続的排出のためのいかなる出口もない可能性がある。
【0022】
第1の出口及び/又は第2の出口は、分離ディスクの積層体の軸方向上方などの、遠心機ロータの上部に配置され得る。
【0023】
第1の液体出口及び第2の液体出口は、第1の出口室及び第2の出口室それぞれの中に配置され得る。これらの室は、分離済み液体相を排出するための固定ペアリングデバイス(stationary paring device)を含み得る。従って、第1の液体出口は、第1の出口室内に配置されている第1の固定ペアリングデバイスの形である可能性がある一方、第2の液体出口は、第2の出口室内に配置されている第2の固定ペアリングデバイスの形である可能性がある。
【0024】
従って、動作中、分離済み液体相が、出口室内で回転部と共に回転する液体を形成してもよく、出口室内に配置されている固定ペアリングデバイスが、遠心分離機から外へ液体相を排除する(paring)ために配置され得る。該固定ペアリングデバイスは、環状ペアリングディスクなどの、ペアリングディスクであってもよい。
【0025】
遠心分離機は、再循環された分離済み液体重相を液体供給混合体と混合することなく、分離済み液体重相を遠心分離機の遠心機ロータ内の汚泥空間へ再循環させるための導管システムをさらに含む。該導管システムは、遠心機ロータの内側と外側の両方に、管又はチャネルを含み得る。
【0026】
「再循環された分離済み液体重相を液体供給混合体と混合することなく」という表現は、従って、分離済み液体重相が汚泥空間の径方向内側部分内の又は径方向内側部分の位置へ供給される前に、それを液体供給物と混合することなく再循環させることに関する。従って、再循環された重相は、遠心分離機の入口などにおいて、汚泥空間の上流の液体供給混合体と混合されない。しかし、再循環された液体重相は、それが汚泥空間に供給されたら、汚泥空間の容積内で、液体供給混合体と混合される可能性がある。
【0027】
本発明の第1の態様は、再循環された重相が、供給混合体と混合されたときに分離することが困難な相を形成し得るという洞察に基づいている。例えば、潤滑油及び燃料油などの油からの水の分離中、重相(水)の従来の流入供給物への再循環時、水と油との間のエマルションが分離機ボウル内で形成される可能性がある。そのようなエマルションは、遠心分離機内で分離することがより困難である。しかし、本発明の第1の態様による遠心分離機を用いると、液体重相は、遠心機ロータの汚泥空間に到達する前に流入供給物と混合されることなく、再循環され得る。さらに、導管システムの構造により、再循環する水が、先行技術の再循環解決策と比較して、数回分離される必要がないので、液体重相の分離はより効率的になる。
【0028】
実施形態において、導管システムは、分離済み液体重相を汚泥空間の径方向内側位置へ再循環させるために配置されている。「径方向内側位置」は、汚泥空間の径方向内側半分内にある可能性がある。これは、ボウルの外周に配置されている開口弁を洗浄するために使用され得る管と対照的である。従って、導管システムは、分配器の径方向外縁部にある径方向位置で、分離済み液体重相を汚泥空間へ循環させるために配置され得る。該分配器は、分離ディスクを保持するためにかつ液体供給混合体を入口から分離空間へ案内するために使用され得る。
【0029】
遠心分離機は、液体供給混合体を入口へ移送するために遠心機ロータ内へ延在する入口管を含み得る。さらに、この入口管は、回転軸(X)と同軸配置され得る。本発明の第1の態様の実施形態では、遠心分離機は、液体供給混合体を入口へ導入するために配置されている入口管をさらに含み、導管システムは、入口管内に配置されている再循環入口管を含む。
【0030】
従って、分離済み重相の再循環が、供給混合体のための入口管の内径と比較してより小さい外径を有する再循環入口管を使用して、実施され得る。該入口管は固定入口管であり得る。さらに、再循環入口管は固定管であり得る。入口管と再循環入口管とは回転軸(X)を中心とした同心管であり得る。
【0031】
例として、入口管は、最上部から軸方向に、遠心機ロータ内へ延在し得る。従って、再循環入口管も、最上部から軸方向に、遠心機ロータ内へ延在し得る。
【0032】
本発明の第1の態様の実施形態では、分離ディスクの積層体は、分配器の上に軸方向に配置されており、導管システムは、循環させられた液体重相を径方向外向きに汚泥空間へ案内するために、分配器の軸方向下方に配置されている少なくとも1つのチャネルを含む。
【0033】
従って、分離ディスクの積層体は分配器によって支持され得る。入口管は、最上部から分配器を通って入口まで軸方向に延在し得る。
【0034】
分配器は、液体供給混合体を入口から分離空間へ案内するために配置されている。従って、該分配器は、液体供給混合体を案内するための一組のチャネルを含み得るか、又はそれらを形成し得る。これらのチャネルは、液体供給物を径方向外向きに案内するために配置され得る。
【0035】
分配器の軸方向下方のチャネルは、遠心機ロータの部分上に、溝部、陥凹部、チャネル、又は案内手段などの様々な部分を含み得る。
【0036】
再循環された液体重相を汚泥空間へ案内するために分配器の軸方向下方に配置されている少なくとも1つのチャネルは、再循環された液体重相を径方向外向きに案内するために配置され得る。該少なくとも1つのチャネルは、従って、再循環された液体重相が分配器の下の汚泥空間へ移送され、次いで分配器の外縁部にある径方向位置で汚泥空間へ解放されるように配置されている径方向外側出口を有し得る。
【0037】
従って、再循環された重相は、液体供給物が分離ディスクの積層体内へ導入される径方向位置よりも広い径方向位置で汚泥空間へ導入され得る。
【0038】
ディスク積層は、さらに、最上ディスクと分配器との間で軸方向に圧縮され得る。該最上ディスクは、分離済み重相を分離機空間から外へ、最上ディスクの軸方向上方に案内するために、ディスクの積層体の分離ディスクよりも大きい外径を有し得る。最上ディスクが、ディスクの積層体の分離ディスクと比較して、より厚い厚さをさらに有し得る。実施形態では、最上ディスクは遠心機ロータの壁と一体化されている。従って、最上ディスクは、例えば遠心機ロータの上部の内壁により、形成され得る。
【0039】
さらに、再循環入口管は、分配器の軸方向下方に配置されている少なくとも1つのチャネルまで延在し得る。従って、再循環入口管は分配器全体を貫通して延在してもよく、従って、再循環された液体重相のこれらチャネルへの送達のために、分配器の下にチャネルの近位に端部を有し得る。
【0040】
本発明の第1の態様の実施形態では、遠心分離機は、分離済み液体重相をスロットルで調整するために配置されている絞り弁をさらに含み、該絞り弁は、重相のための第1の出口の上流に配置されている。
【0041】
絞り弁は、第1の液体出口への分離済み液体重相の流動を制限するためのものである可能性があり、分離される対象の液体混合体のために特定の寸法に合わせられた開口部を有し得る。該絞り弁は、第1の液体出口、すなわち液体重相出口の半径位置よりも大きい半径の所に配置され得る。
【0042】
分離済み液体重相は、最上ディスクの軸方向上方で、遠心機ロータの上部内壁により範囲を定められているチャネルまで、案内され得る。絞り弁はそのようなチャネル内に配置され得る。
【0043】
本発明の第1の態様の実施形態では、導管システムは、再循環入口と、液体重相のための第1の出口を該再循環入口と接続する導管とをさらに含む。
【0044】
再循環入口は遠心分離機のフレーム内に配置され得る。例えば、該再循環入口は、再循環された液体重相を再循環入口管へ導入するための、前段で検討されている再循環入口管に接続され得る。
【0045】
例として、液体重相のための第1の出口を再循環入口と接続する導管は、再循環入口へ再循環されている分離済み液体重相の量を特定するために配置された弁手段を含む。
【0046】
弁手段は、導管システム内の再循環を完全に閉じるための逆止め弁であり得る。従って、動作中、液体重相は、逆止め弁が開かれるまで、遠心機ロータ内に蓄積され得る。弁手段はこのように、液体重相の再循環が起こるべきときを制御することを可能にする。
【0047】
第1の態様の構成として、液体供給混合体から液体重相及び液体軽相を分離するための遠心分離機であって、
フレームと、駆動部材と、回転部と
を含み、
該駆動部材は、回転軸(X)を中心として、該回転部を該フレームに対して回転させるように構成されており、
該回転部は、分離空間及び汚泥空間を包囲している遠心機ロータを含み、
該分離空間は、回転軸(X)を中心として同軸配置されている分離ディスクの積層体を含み、該汚泥空間は該分離ディスクの積層体の径方向外側に配置されており、
遠心分離機は、液体供給混合体を遠心機ロータ内へ受容するための入口、液体重相のための第1の出口、及び液体軽相のための第2の出口をさらに含み、
遠心分離機は、再循環された分離済み液体重相を液体供給混合体と混合することなく、第1の出口から遠心分離機の遠心機ロータ内の汚泥空間へ排出された分離済み液体重相を再循環させるための導管システムをさらに含む、
遠心分離機が提供されている。
【0048】
前段で第1の態様に関連して検討された実施形態が、第2の態様のこの構成と互換性がある。
【0049】
本発明の第2の態様として、液体供給混合体から液体重相及び液体軽相を分離するための遠心分離機であって、
フレームと、駆動部材と、回転部と
を含み、
該駆動部材は、回転軸(X)を中心として、該回転部を該フレームに対して回転させるように構成されており、
該回転部は、分離空間及び汚泥空間を包囲している遠心機ロータを含み、
該分離空間は、回転軸(X)を中心として同軸配置されている分離ディスクの積層体を含み、該汚泥空間は該分離ディスクの積層体の径方向外側に配置されており、
遠心分離機は、液体供給混合体を遠心機ロータ内へ受容するための入口、液体重相のための第1の出口、及び液体軽相のための第2の出口をさらに含み、
遠心分離機は、液体供給混合体を入口へ導入するために配置されている固定入口管、及び液体を遠心分離機の汚泥空間の径方向内側位置へ導入するための導管システムをさらに含み、該導管システムは、入口管内に配置されている固定再循環入口管を含む、
遠心分離機が提供されている。
【0050】
汚泥空間の径方向内側位置は、分配器の径方向外縁部の所などの、汚泥空間の径方向内側半分の所にあり得る。さらに、遠心分離機は、液体供給混合体から分離された汚泥の排出のために、第1の出口及び第2の出口以外の、汚泥出口を含み得る。該汚泥出口は汚泥の断続的排出のためのものであり得る。
【0051】
本態様は、一般に、以前の態様と同一の又はそれに相当する利点を示し得る。この第2の態様の効果及び特徴が、第1の態様に関連して前述されているものと大いに類似している。第1の態様に関連して述べられている実施形態が、第2の態様と大いに互換性がある。
【0052】
本発明の第3の態様として、液体供給混合体から液体重相及び液体軽相を分離する方法であって、
a) 前記液体供給混合体を、本発明の第1の態様による遠心分離機内へ導入するステップと、
b) 該遠心分離機から、分離済み液体軽相を排出するステップと、
c) 遠心分離機から、分離済み液体重相を排出するステップと、
d) 再循環された分離済み液体重相を液体供給混合体と混合することなく、排出された分離済み液体重相の少なくとも一部分を汚泥空間へ再循環させるステップと、
e) 遠心機ロータの外周に配置されている一組の径方向出口を通して、分離済み固体相を噴出するステップと
を含む、方法が提供されている。
【0053】
本態様は、一般に、以前の態様と同一の又はそれに相当する利点を示し得る。この第3の態様の効果及び特徴が、第1の態様及び第2の態様に関連して前述されているものと大いに類似している。第1の態様及び第2の態様に関連して述べられている実施形態が、第3の態様と大いに互換性がある。
【0054】
ステップd)は、分離済み液体重相を汚泥空間の径方向内側位置へ再循環させるステップを含み得る。従って、径方向内側位置が汚泥空間の径方向内側半分にあり得る。
【0055】
第3の態様の実施形態では、遠心分離機は、液体供給混合体を入口へ導入するために配置された入口管を含み、再循環は、入口管内に配置されている再循環入口管経由で実施される。
【0056】
前段で検討されているように、液体供給混合体のための入口管は、再循環された液体重相を導入するときに再循環入口管に適切な位置を提供する。
【0057】
例として、入口管は、最上部から軸方向に遠心機ロータ内へ延在し得る。
【0058】
本発明の第3の態様の実施形態では、分離ディスクの積層体は、分配器の上に軸方向に配置されており、再循環は、分配器の下で、再循環された液体重相を径方向外向きに案内することを含む。
【0059】
その結果として、再循環は、再循環された重相がそこから径方向外向きに案内される、遠心分離機の最上部から分配器の下まで下がって入口管内に延在する管により実施され得る。
【0060】
例として、ステップd)は、分配器の径方向外縁部にある径方向位置で、分離済み液体重相を汚泥空間へ案内するステップを含み得る。
【0061】
従って、本方法は、再循環された液体重相を、ディスクの積層体の径方向外側に配置されている汚泥空間の、径方向最内位置へ導入するステップを含み得る。
【0062】
第3の態様の実施形態では、ステップe)は、遠心機ロータの外周に配置されている一組の径方向出口を通して、分離済み固体相を断続的に噴出するステップを含む。
【0063】
断続的な排出中、当該技術分野において知られている、遠心機ロータの周囲に蓄積されている、汚泥すなわち固体相が、遠心機ロータの外側の、フレームの下の空間へ噴出され得る。汚泥はいくらかの液体も含み得る。さらに、遠心機ロータ内に存在しているいくらかの液体重相も、該断続的な排出中に、噴出され得る。
【0064】
本方法は、遠心分離機へ導入される液体供給混合体の分離中、再循環流を停止させるステップをさらに含み得る。
【0065】
例として、ステップe)は、分離済み固体相を噴出する前に、置換液を、分離済み液体重相を再循環させるための導管システム経由で、遠心機ロータへ導入するステップをさらに含み得る。
【0066】
従って、液体重相を再循環させるための導管システムは、固体の噴出前に、置換液を導入するためにも使用され得る。当該技術分野において知られている、水などのいわゆる置換液は、通常、汚泥出口の各開放の直前に、遠心機ロータへ供給される。置換液の供給の目的は、そのような軽液体が、開いたときに汚泥出口を通って分離空間を離れないように、分離空間内の分離済み軽液体の量を減少させることである。分離される液体のよりも重いものが水である場合、水は、通常、置換液として使用される。
【0067】
また、再循環入口管などの導管システム経由で置換液を導入するステップは、それが遠心機ロータ内でのエマルションの形成を防止するという点において有利である。
【0068】
さらに、再循環流は、固体の断続的な排出のステップe)の間、停止させられる。
【0069】
第3の態様の実施形態では、本方法は、第1の時間間隔の間に、もっぱらステップa)及びb)を実施すること、及び第2の時間間隔の間に、ステップa)からd)までの全てを実施することを含んでいる。
【0070】
さらに、分離済み液体重相を排出するステップc)が、分離済み液体重相の多様な出口流を用いて実施され得る。従って、ステップc)は、最初に、第1の期間中、分離済み液体重相の流動なし又は第1の流動のみが排出されることを可能にすること、かつ次に、第2の期間中、該第1の流動よりも大きい、分離済み液体重相の第2の流動が排出されることを可能にすることにより実施され得る。
【0071】
その結果として、動作中、液体供給混合体は液体重相及び液体軽相へ分離され得る。該液体軽相は、分離機の第2の出口から、継続的に排出され得る一方、第1の液体出口経由の、分離済み液体重相の排出が、十分な液体重相が遠心機ロータ内で液体供給混合体から分離された場合、すなわち個別の期間中に、実施され得る。
【0072】
第3の態様の実施形態では、液体供給混合体が油性混合体であり、液体重相は水などの水相である。
【0073】
油性混合体は燃料油又は潤滑油であり得る。第3の態様の本方法は船舶上で実施され得る。
【0074】
上記の、追加の目的と同様に、本発明の概念の特徴及び利点は、次の例示的かつ非制限的な詳細な説明により、添付図面を参照して、よりよく理解されるであろう。図面において、同様の参照番号は、別段の記載がない限り、同様の要素に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【
図1】本発明の実施形態による遠心分離機の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0076】
本開示による遠心分離機及び方法は、添付図面を参照して、次の説明により、さらに説明される。
【0077】
図1は、液体供給混合体から重相及び軽相を分離するように構成されている遠心分離機1の実施形態の横断面図を示す。該遠心分離機1は、遠心機ロータ5と駆動スピンドル4aとを含む回転部4を有する。
【0078】
遠心分離機1は駆動モータ3をさらに設けられている。このモータ3は、例えば、固定要素と回転要素とを含んでいてもよく、該回転要素は、動作中、駆動トルクをスピンドル4a、及び従って遠心機ロータ5に伝達するように、スピンドル4aを取り巻きかつそれに接続されている。該駆動モータ3は電動機であり得る。あるいは、駆動モータ3は、伝達手段により、スピンドル4aに接続され得る。該伝達手段は、ピニオンと、駆動トルクを受容するためにスピンドル4aに接続されている要素とを含む、ウォーム歯車の形であり得る。伝達手段は、あるいは、プロペラシャフト、駆動ベルト等の形を取ることができ、駆動モータは、あるいは、スピンドル4aに直接接続される可能性がある。
【0079】
図2により詳細に示されている遠心機ロータ5は、スピンドル4aにより支持され、該スピンドルは、最下部軸受22及び最上部軸受21内で垂直回転軸(X)を中心として、フレーム2内に回転可能に配置されている。固定フレーム2は遠心機ロータ5を取り囲んでいる。
【0080】
また、最上部から軸方向に、遠心機ロータ5内へ延在している入口管14aが
図1に示されている。遠心機ロータ5内で分離が起こった後、分離済み液体重相が、固定出口管6aを通して排出される一方、分離済み液体軽相が、固定出口管7aを通して排出される。
【0081】
図2は、遠心分離機1の遠心機ロータ5のより詳細な図を示す。
【0082】
遠心機ロータ5はそれ自体の中に、分離空間9aと、該分離空間9aの径方向外側に配置されている汚泥空間9bとを形成している。該分離空間9a内で、分離ディスク10a積層体10が、回転軸(X)を中心としてかつ最上ディスク11の軸方向下方に、同軸配置されており、かつ従って、遠心機ロータ5と共に回転するように配置されている。分離ディスク10aは、液体混合体の少なくとも液体軽相及び液体重相への効率的な分離をもたらす。従って、分離空間9a内で、動作中、例えば液体供給混合体の遠心分離が起こる。
【0083】
積層体10は、分配器13により、その軸方向最下部分において支持されている。該分配器13は、分離空間9a内に、液体を遠心機ロータ5の中心部から所定の径方向高さへ導くように配置されている環状円錐ベース部分13aを含み、中心ネック部分13bがベース部分から上向きに延在している。
【0084】
汚泥空間9bは、本実施形態において、遠心機ロータ5の上部28と軸方向に可動の動作スライド18との間に範囲を制限されている。
【0085】
遠心分離機1は、分離される液体供給混合体を供給するために固定入口管14aが中へ延在している分配器13内に又はその下に形成されている中心入口室の形の入口14をさらに含む。入口14は、分配器13のベース部分13a内に形成されている通路20を介して分離空間9と連通している。該通路は、液体混合体が径方向高さR1へ移送されるように配置されており、該高さは、分離ディスクの積層体の外側部分の径方向高さに相当する。例えば、径方向高さR1は、分離ディスク10aに設けられている複数の切取り部の径方向高さの所であり得る。該切取り部は、例えば、分離ディスク10aの径方向外側部分に設けられている切込みの形であってもよく、該切込みは、分離ディスク10aの外半径に向かって開いている。そのような切込みは、例えば、液体供給混合体が油である場合、分離ディスクに設けられ得る。
【0086】
最上ディスク11及び遠心機ロータ5の上部内側壁部28は、汚泥空間9bの径方向内側部分から遠心機ロータ5の中心部分に向かって延在している少なくとも1つのチャネル25の範囲を定める。第1の液体出口6は、分離済み液体重相の排出のために少なくとも1つのチャネル25と流体連通している第1の出口室15内に配置されている。第1の液体出口6は、重相を出口管6a内へ排出するための、分離済み重相のための出口室15内に配置されている固定ペアリングディスクの形である。
【0087】
ディスク積層体10の径方向内側部分は、液体供給混合体の分離済み軽相のための第2の出口7と連通している。該第2の出口7は第2の出口室8内に配置されている。第2の出口7は、軽相を出口管7a内へ排出するための固定ペアリングディスクの形である。ペアリングディスク12は、固定入口管14aにより、第2の出口室8内に支持されている。
【0088】
遠心機ロータ5は、汚泥空間9bの径方向外周の所に出口17をさらに設けられている。これらの出口17はロータ軸(X)を中心として均一に分配されており、液体供給混合体の汚泥成分の断続的な排出のために配置されている。該汚泥成分は汚泥相を形成するより高密度の粒子を含む。出口17の開口部は、当該技術分野において知られているように、チャネル19内の作動水によって作動される動作スライド18により制御される。図面に示されているその位置において、動作スライド18は、その周囲において遠心機ロータ5の上部28に密封当接し、それにより、遠心機ロータ5を貫通して延在する出口17との接続から汚泥空間9bを閉鎖する。
【0089】
しかし、また、遠心分離機1はソリッドウォールボウル遠心分離機、すなわち遠心機ロータ5の周囲に出口を欠く遠心分離機であり得る。
【0090】
図2に示されているように、遠心分離機1は、再循環された分離済み液体重相を液体供給混合体と混合することなく、分離済み液体重相を遠心機ロータ5内の汚泥空間9bへ再循環させるための導管システム30も含む。これは、液体供給混合体のための固定入口管14a内に配置されている固定再循環入口管31により達成される。該再循環入口管31は、分離機の最上部で再循環入口31aに接続されており、最上部から下がり、入口管14a及び入口14を通って、分配器13の軸方向下方の位置へ、次いで回転軸Xと同軸上に延在する。再循環入口管の寸法は、要求されている再循環流速に基づいて選択され得る。例として、導管システム30は、液体重相を、再循環入口管14a内で、20m/s未満の流速で再循環させるために配置され得る。
【0091】
再循環入口31aは、液体重相のための固定出口管6aへの導管34と接続されている。この導管は、分離器から解放される液体重相が導管34経由で再循環入口31aへ再循環されるべきか又は解放されて導管44経由で排水するかどうかを判定するための調整弁35も含む。また、該調整弁35は、分離済み液体重相の排出を完全に停止させるために使用され得る。
【0092】
さらに、また、再循環入口31aは液体源42に接続されている。この液体は、汚泥出口17経由で汚泥を噴出する前に、再循環入口経由で、遠心機ロータ5へ導入され得る置換液であり得る。弁41が、置換液が遠心機ロータ内へ導入されるべきであるかどうかを制御するために使用され得る。液体源42が、例えば、船舶上の給水系統の一部であり得る。
【0093】
さらに、液体重相のための第1の出口6の上流に配置されている絞り弁33が存在する。この絞り弁33は、第1の出口6経由で排出される液体重相をスロットルで調整するために配置されている。絞り弁33の寸法は、分離される液体供給混合体中に存在する重相の予想量に基づいて選択され得る。
【0094】
導管システム30は、再循環された液体重相を汚泥空間9bへ案内するために、分配器13の軸方向下に配置されている少なくとも1つのチャネル32をさらに含む。分配器13の下のこれらのチャネル32は、本実施形態では、遠心機ロータ5をスピンドル4aに固定する円錐状物40内にチャネルとして形成されている径方向内側部分32bを含む。分配器13の下の該チャネルは、分配器の径方向外側縁部又は部分の真下で、この場合、分配器のベース部分13aの径方向縁部の真下で、再循環された重相を汚泥空間内へ案内するために配置されている分配器の径方向外側部分32aをさらに含む。従って、分配器13の下の少なくとも1つのチャネル32は、前段で検討されている径方向位置R1よりも大きい径方向位置R2において、再循環された液体重相を汚泥空間へ案内するか又は解放するために配置されている。
【0095】
図1及び
図2に示されている分離機の動作中、遠心機ロータ5は駆動モータ3により回転させられる。入口管14a経由で、分離される液体供給混合体が、分離空間9a内へ持って来られる。密度に応じて、液体供給混合体中の様々な相が、積層体10の分離ディスク10a間で分離される。水相及び汚泥相などのより重い成分が、分離ディスク10aと汚泥空間9bとの間で、径方向外向きに移動する一方、油相などの最低密度の相は、分離ディスク10a間で、径方向内向きに移動し、第2の液体出口室8内に配置されている第2の出口7を通過させられる。より高密度の液体は、代わりに、最上ディスク上の通路25を通して、軽相のための出口7の径方向高さよりも大きい径方向距離に配置されている重相のための液体出口6へ押し出される。絞り弁33は、第1の出口6へ向かう分離済み液体重相の流量を決定するのに使用される。しかし、第1の液体出口6の下流にある弁35は、十分な液体重相が液体供給混合体から外へ分離されるまで、閉じられ得る。従って、弁35の開口部が、第1の液体出口6経由で液体重相の排出を可能にする。
【0096】
従って、分離中、より低密度の液体とより高密度の液体との間の界面が、分離ディスクの積層体内で径方向になど、遠心機ロータ5内に形成される。固体又は汚泥が、汚泥空間内に、汚泥空間9bの周囲に蓄積し、汚泥及びある量の流体が遠心力により分離空間9aから排出されるとすぐ、開放されている汚泥出口17により、遠心機ロータ内から断続的に空にされる。しかし、また、汚泥の排出は継続的に起こる可能性があり、その場合、汚泥出口17は、開放ノズルの形を取り、ある流量の汚泥及び/又は重相が、遠心力により、継続的に排出される。
【0097】
排出された液体重相が、再循環入口管31、及び分配器の軸方向下方に配置されている通路32経由で再循環され、汚泥空間へ戻される。このようにして、水などの再循環された重相が、入口の所で、油などの液体供給混合体と混合されることを防止される。
【0098】
図3は、液体供給混合体から液体重相及び液体軽相を分離する方法100を示す。該方法100は、
a) 液体供給混合体を遠心分離機1内へ導入するステップ101と、
b) 該遠心分離機1から、分離済み液体軽相を排出するステップ102と、
c) 遠心分離機1から、分離済み液体重相を排出するステップ103と、
d) 再循環された分離済み液体重相を液体供給混合体と混合することなく、排出された分離済み液体重相の少なくとも一部分を汚泥空間9bへ再循環させるステップ104と
を含む。
【0099】
遠心分離機は、前段で
図1及び
図2に関連して検討されたようなものであり得る。
【0100】
本方法は、遠心分離機1が、液体供給混合体を入口14へ導入するために配置されている入口管14aを含む場合に用いられることが好ましく、該入口管14a内に配置されている再循環入口管31経由で再循環が実施される。前段で検討されているように、分離ディスク10a積層体10は、分配器13の上に軸方向に配置されていてもよく、ステップd)の再循環は、再循環された液体重相を分配器13の下で径方向外向きに案内するステップを含み得る。
【0101】
さらに、ステップd)は、分配器13の径方向外縁部の所の径方向位置において、分離済み液体重相を汚泥空間9bへ案内するステップを含み得る。従って、ステップd)は、汚泥空間の径方向内側部分において、再循環された液体重相を汚泥空間へ解放するステップを含み得る。
【0102】
本方法は、遠心機ロータ5の外周に配置されている一組の径方向出口17を通して、分離済み固体相を断続的に噴出する105bステップe)をさらに含み得る。このステップe)は、分離済み固体相を噴出する前に、置換液105aを遠心機ロータへ導入するステップをさらに含み得る。この置換液は、例えば分離済み液体重相を再循環させるための導管システム30経由で、供給され得る。
【0103】
液体供給混合体は油性混合体であってもよく、液体重相は水などの水相であり得る。その結果として、本方法は、例えば船舶上で、燃料油又は潤滑油を浄化するために使用され得る。
図1及び
図2に示されているような分離機内での油のそのような浄化の間に、油供給物が、入口管14aを通して継続的に供給される。分離動作が一時期続いた後、浄化済の油が、第2の液体出口7を通って、遠心機ロータ5を継続して離れる。この期間中、ある量の固体及びある量の水が、分離ディスク10a積層体10を通って流動する油から分離され、油と水との間の界面層が積層内である径方向高さに形成され得る。第1の液体出口6経由で排出される全ての水が、汚泥空間9bへ戻される。汚泥相すなわち分離済み固体を噴出する前、例えば排出された水を案内して導管44経由で排水することにより、再循環が停止され、代わりに、置換液が導管システム30経由で導入され、油を遠心機ロータの外へ押し出し、後続の断続的な排出中に油の損失を防止する。汚泥出口17の開放時間は、分離済み固体及び置換液の全てが遠心機ロータから外へ処分されるように十分に長いが、油の損失を防止するように十分に短い。断続的排出後、新しい分離期間が開始され、油供給物が分離機1へ再度供給される。
【0104】
本発明は、開示されている実施形態に限定されないが、後述されている特許請求の範囲の範囲内で変更され、修正される可能性がある。本発明は、図に開示されている、回転軸(X)の配向に限定されない。「遠心分離機」という用語は、実質的に水平に配向された回転軸を備えた遠心分離機も含む。上記において、本発明の概念を、主に、限られた数の例を参照して説明した。しかし、当業者には容易に理解されるように、前段で開示されているもの以外の例が、添付の特許請求の範囲により定められている本発明の概念の範囲内で、同様に可能である。
【符号の説明】
【0105】
1 遠心分離機
2 フレーム、固定フレーム
3 駆動モータ
4 回転部
4a 駆動スピンドル
5 遠心機ロータ
6 (液体重相のための)第1の液体出口、第1の出口
6a (液体重相のための)固定出口管
7 (液体軽相のための)第2の液体出口
7a (液体軽相のための)固定出口管
8 第2の液体出口室
9a 分離空間
9b 汚泥空間
10 積層、ディスク積層
10a 分離ディスク
11 最上ディスク
12 ペアリングディスク
13 分配器
13a 環状円錐ベース部分
13b 中心ネック部分
14 入口
14a 入口管、固定入口管
15 第1の出口室
17 出口、汚泥出口、径方向出口
18 動作スライド
19 チャネル
20 通路
21 最上部軸受
22 最下部軸受
25、32 通路、チャネル
28 (遠心機ロータの)上部、上部内側壁部
30 導管システム
31 固定再循環入口管
31a 再循環入口
32a (チャネル32の)径方向外側部分
32b (チャネル32の)径方向内側部分
33 絞り弁
34、44 導管
35 調整弁
40 円錐状物
41 弁
42 液体源
100 方法
105a 置換液
R1 (分離ディスクの積層体の外側部分の)径方向高さ、径方向位置
R2 (チャネル32の)径方向位置
X 垂直回転軸、回転軸、ロータ軸
【国際調査報告】