(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-13
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/375 20210101AFI20231206BHJP
C08F 210/02 20060101ALI20231206BHJP
H01M 50/35 20210101ALI20231206BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20231206BHJP
H01M 50/193 20210101ALI20231206BHJP
H01M 50/178 20210101ALI20231206BHJP
H01M 50/186 20210101ALI20231206BHJP
H01M 50/198 20210101ALI20231206BHJP
【FI】
H01M50/375
C08F210/02
H01M50/35 101
H01M50/105
H01M50/193
H01M50/178
H01M50/186
H01M50/198
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534408
(86)(22)【出願日】2022-04-14
(85)【翻訳文提出日】2023-06-06
(86)【国際出願番号】 KR2022005442
(87)【国際公開番号】W WO2022220628
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0049378
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0150951
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】デ-ウォン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】サン-フン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ミン-ヒョン・カン
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン-キュン・ユ
(72)【発明者】
【氏名】フン-ヒ・イム
(72)【発明者】
【氏名】ス-ジ・ファン
【テーマコード(参考)】
4J100
5H011
5H012
【Fターム(参考)】
4J100AA02P
4J100AA15Q
4J100CA04
4J100DA04
4J100DA24
4J100FA10
4J100JA43
5H011AA13
5H011BB03
5H011HH02
5H011KK00
5H011KK02
5H011KK04
5H011KK05
5H012AA03
5H012BB04
5H012FF03
5H012JJ10
(57)【要約】
本発明の一実施形態による二次電池は、電極組立体と、前記電極組立体に取り付けられた電極リードと、内部に前記電極組立体を収容するケースと、前記電極リードの外面の一部を包み込むように形成され、前記電極リードと前記ケースとの間に介在するリードフィルムと、前記ケースの少なくとも一部に形成されたベント領域と、前記ベント領域に挿入され、炭素数6以上のコモノマー(comonomer)を有する線状低密度ポリエチレンを含むベント部材と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極組立体と、
前記電極組立体に取り付けられた電極リードと、
内部に前記電極組立体を収容するケースと、
前記ケースの少なくとも一部に形成されたベント領域と、
前記ベント領域に挿入され、炭素数6以上のコモノマー(comonomer)を有する線状低密度ポリエチレンを含むベント部材と、
を含む、二次電池。
【請求項2】
前記ベント部材は、炭素数6~8のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンを含む、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記ケースは、前記電極組立体を密封するために形成されたシール部を備え、
前記シール部は、シーラント樹脂を含み、
前記ベント部材の炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンは、前記シーラント樹脂よりも融点が低い、請求項1に記載の二次電池。
【請求項4】
前記ベント部材が、100℃~120℃において溶融されてガスをベントする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項5】
前記ベント部材が、1.5atm以上の圧力においてガスをベントする、請求項4に記載の二次電池。
【請求項6】
前記ベント部材は、100℃以上における最大シール強度が6kgf/15mm未満である、請求項1から4のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項7】
前記ベント部材は、100℃以上における平均シール強度が4.5kgf/15mm未満である、請求項1に記載の二次電池。
【請求項8】
前記ベント部材は、常温~60℃における最大シール強度が6kgf/15mm以上である、請求項1に記載の二次電池。
【請求項9】
前記ベント部材は、常温~60℃における平均シール強度が4.5kgf/15mm以上である、請求項1に記載の二次電池。
【請求項10】
前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンが、メタロセン触媒の存在下で重合されたものである、請求項1に記載の二次電池。
【請求項11】
前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレン100重量%を基準として、炭素数6以上のコモノマーの含量が15重量%以下である、請求項1に記載の二次電池。
【請求項12】
前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンが、4以下の多分散性指数(Poly Dispersity Index;PDI)を有する、請求項1に記載の二次電池。
【請求項13】
前記シーラント樹脂の結晶化温度と前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンの結晶化温度との差が10℃以下である、請求項3に記載の二次電池。
【請求項14】
前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンの結晶化温度が90℃~115℃である、請求項13に記載の二次電池。
【請求項15】
前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンが、100℃~130℃の融点を有する、請求項1に記載の二次電池。
【請求項16】
前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンの重量平均分子量が、10万g/mol~40万g/molである、請求項1に記載の二次電池。
【請求項17】
前記ベント領域が前記シール部に位置する、請求項3に記載の二次電池。
【請求項18】
前記ベント領域が前記ケースの角部側のシール部に位置する、請求項17に記載の二次電池。
【請求項19】
前記二次電池は、パウチ型二次電池である、請求項1に記載の二次電池。
【請求項20】
前記ベント部材は、100℃~120℃における最大シール強度が6kgf/15mm未満である、請求項1に記載の二次電池。
【請求項21】
前記ベント部材は、100℃~120℃における平均シール強度が4.5kgf/15mm未満である、請求項1に記載の二次電池。
【請求項22】
前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレン100重量%を基準として、炭素数6以上のコモノマーの含量が5重量%~15重量%である、請求項1に記載の二次電池。
【請求項23】
前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンが、1~4の多分散性指数(Poly Dispersity Index;PDI)を有する、請求項1に記載の二次電池。
【請求項24】
前記ベント部材は、120℃以上における最大シール強度が3kgf/15mm未満である、請求項1に記載の二次電池。
【請求項25】
前記ベント部材は、120℃以上における平均シール強度が2kgf/15mm未満である、請求項1に記載の二次電池。
【請求項26】
前記電極リードの外面の一部を包み込むように形成され、前記電極リードと前記ケースとの間に介在するリードフィルムをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年4月15日付け出願の韓国特許出願第10-2021-0049378号及び2021年11月4日付け出願の韓国特許出願第10-2021-0150951号に基づく優先権を主張する。
【0002】
本発明は、二次電池に関し、より詳細には、ベント部材を備えた二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
二次電池は、多種多様な製品に適用可能であり、しかも、高いエネルギー密度など電気的な特性に優れている。二次電池は、携帯型機器のみならず、電力によって駆動される電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)などにも多用されている。二次電池は、化石燃料の使用を格段に低減することができ、エネルギーの消費過程において副産物が生じないという点で、環境へのやさしさ及びエネルギー効率の向上のための新たなエネルギー源として注目を浴びている。
【0004】
現在汎用されている二次電池としてはリチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池などが挙げられる。
【0005】
二次電池は、一般に、正極/セパレーター/負極の構造を有する少なくとも1つの単位セルを含む電極組立体が、外層、金属バリア層、シーラント層がこの順に積層されたラミネートシートのケースに収容され、前記シーラント層のシーラント樹脂を融着して電極組立体が密封された構造を有する。
【0006】
従来の二次電池においては、二次電池の内部の短絡、過充電または過放電、温度調節など様々な原因により電池が発火することがある。このとき、二次電池の内部の温度が急激に昇温するとともに、隣のセルに熱が伝わる熱暴走現象(Thermal Propagation)が生じて炎がより一層大規模化する虞がある。
【0007】
熱暴走現象が生じるとき、すなわち、二次電池の内部の温度が昇温するとき、ガスによる電極のダメージを極力抑えるために、ガスを一方向に排出するディレクショナルベント(Directional Venting)特性が求められる。しかしながら、従来の二次電池は、特定の方向にガスの排出を誘導し難いという不都合がある。
【0008】
したがって、本発明は、特定の方向にガスの排出を誘導して安全性が向上した二次電池を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、特定の方向にガス排出を誘導することができて安全性が向上した二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明の一側面によれば、下記の態様の二次電池が提供される。
【0011】
第1態様は、
電極組立体と、
前記電極組立体に取り付けられた電極リードと、
内部に前記電極組立体を収容するケースと、
前記電極リードの外面の一部を包み込むように形成され、前記電極リードと前記ケースとの間に介在するリードフィルムと、
前記ケースの少なくとも一部に形成されたベント領域と、
前記ベント領域に挿入され、炭素数6以上のコモノマー(comonomer)を有する線状低密度ポリエチレンを含むベント部材と、
を含む、二次電池に関するものである。
【0012】
第2態様は、第1態様に記載の二次電池において、
前記ベント部材は、炭素数6~8のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンを含み得る。
【0013】
第3態様は、第1態様または第2態様に記載の二次電池において、
前記ケースは、前記電極組立体を密封するために形成されたシール部を備えていてもよく、
前記シール部は、シーラント樹脂を含んでいてもよく、
前記ベント部材の炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンは、前記シーラント樹脂よりも融点が低くてもよい。
【0014】
第4態様は、第1態様~第3態様のうちのいずれか一つの態様に記載の二次電池において、
前記ベント部材が、100℃~120℃において溶融されてガスをベントし得る。
【0015】
第5態様は、第4態様に記載の二次電池において、
前記ベント部材が1.5atm以上の圧力においてベントガスをベントし得る。
【0016】
第6態様は、第1態様~第5態様のうちのいずれか一つの態様に記載の二次電池において、
前記ベント部材は、100℃以上における最大シール強度が6kgf/15mm未満であり得る。
【0017】
第7態様は、第1態様~第6態様のうちのいずれか一つの態様に記載の二次電池において、
前記ベント部材は、100℃以上における平均シール強度が4.5kgf/15mm未満であり得る。
【0018】
第8態様は、第1態様~第7態様のうちのいずれか一つの態様に記載の二次電池において、
前記ベント部材は、常温~60℃における最大シール強度が6kgf/15mm以上であり得る。
【0019】
第9態様は、第1態様~第8態様のうちのいずれか一つの態様に記載の二次電池において、
前記ベント部材は、常温~60℃における平均シール強度が4.5kgf/15mm以上であり得る。
【0020】
第10態様は、第1態様~第9態様のうちのいずれか一つの態様に記載の二次電池において、
前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンが、メタロセン触媒の存在下で重合されたものであり得る。
【0021】
第11態様は、第1態様~第10態様のうちのいずれか一つの態様に記載の二次電池において、
前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレン100重量%を基準として、炭素数6以上のコモノマーの含量が15重量%以下であり得る。
【0022】
第12態様は、第1態様~第11態様のうちのいずれか一つの態様に記載の二次電池において、
前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンが、4以下の多分散性指数(Poly Dispersity Index;PDI)を有し得る。
【0023】
第13態様は、第3態様~第12態様のうちのいずれか一つの態様に記載の二次電池において、
前記シーラント樹脂の結晶化温度と前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンの結晶化温度との差が10℃以下であり得る。
【0024】
第14態様は、第13態様に記載の二次電池において、
前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンの結晶化温度が90℃~115℃であり得る。
【0025】
第15態様は、第1態様~第14態様のうちのいずれか一つの態様に記載の二次電池において、
前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンが、100℃~130℃の融点を有し得る。
【0026】
第16態様は、第1態様~第15態様のうちのいずれか一つの態様に記載の二次電池において、
前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンの重量平均分子量が、10万g/mol~40万g/molであり得る。
【0027】
第17態様は、第3態様~第16態様のうちのいずれか一つの態様に記載の二次電池において、
前記ベント領域が前記シール部に位置し得る。
【0028】
第18態様は、第17態様に記載の二次電池において、
前記ベント領域が前記ケースの角部側のシール部に位置し得る。
【0029】
第19態様は、第1態様~第18態様のうちのいずれか一つの態様に記載の二次電池において、
前記二次電池は、パウチ型二次電池であり得る。
【0030】
第20態様は、第1態様~第19態様のうちのいずれか一つの態様に記載の二次電池において、
前記ベント部材は、100℃~120℃における最大シール強度が6kgf/15mm未満であり得る。
【0031】
第21態様は、第1態様~第20態様のうちのいずれか一つの態様に記載の二次電池において、
前記ベント部材は、100℃~120℃における平均シール強度が4.5kgf/15mm未満であり得る。
【0032】
第22態様は、第1態様~第21態様のうちのいずれか一つの態様に記載の二次電池において、
前記線状低密度ポリエチレン100重量%を基準として、炭素数6以上のコモノマーの含量が5重量%~15重量%であり得る。
【0033】
第23態様は、第1態様~第22態様のうちのいずれか一つの態様に記載の二次電池において、
前記線状低密度ポリエチレンが、1~4の多分散性指数(Poly Dispersity Index;PDI)を有し得る。
【0034】
第24態様は、第1態様~第23態様のうちのいずれか一つの態様に記載の二次電池において、
前記ベント部材は、120℃以上における最大シール強度が3kgf/15mm未満であり得る。
【0035】
第25態様は、第1態様~第24態様のうちのいずれか一つの態様に記載の二次電池において、
前記ベント部材は、120℃以上における平均シール強度が2kgf/15mm未満であり得る。
【発明の効果】
【0036】
本発明の一実施形態による二次電池は、炭素数6以上のコモノマー(comonomer)を有する線状低密度ポリエチレンを含むベント部材を備えることで、ベント領域にガスの排出を誘導することができる。これにより、電池の安全性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本明細書に添付される以下の図面は、本発明の好ましい実施形態を例示するものであり、後述する発明の詳細な説明とともに本発明の技術思想をさらに理解させる役割を果たすものであるため、本発明はそのような図面に記載された事項のみに限定されて解釈されてはいけない。
【0038】
【
図1】本発明の一実施形態による二次電池の分解斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態による二次電池を示す平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態による二次電池においてベントが生じる状態を示す図である。
【
図4】本発明の他の実施形態による二次電池を示す平面図である。
【
図5】本発明のさらに他の実施形態による二次電池を示す平面図である。
【
図6】本発明のさらに他の実施形態による二次電池を示す平面図である。
【
図7】本発明のさらに他の実施形態による二次電池を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲で使われる用語や単語は通常的または辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応じた意味及び概念で解釈されねばならない。
【0040】
したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明の最も好ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0041】
本発明の一側面による二次電池は、電極リードが取り付けられた電極組立体と、内部に前記電極組立体を収容するケースと、前記電極リードの外面の一部を包み込むように形成され、前記電極リードと前記ケースとの間に介在するリードフィルムと、前記ケースの少なくとも一部に形成されたベント領域と、前記ベント領域に挿入され、炭素数6以上のコモノマー(comonomer)を有する線状低密度ポリエチレンを含むベント部材と、を含む。
【0042】
図1及び
図2は、本発明の一実施形態による二次電池を示すものである。
【0043】
二次電池10は、電極リード11が取り付けられた電極組立体12、及びケース13を備える。
【0044】
前記電極組立体12は、正極板、負極板及びセパレーターを含む。電極組立体12は、セパレーターを間に挟んで正極板と負極板とがこの順に積層されてもよい。
【0045】
正極板は、導電性に優れた金属薄板、例えば、アルミニウム(Al)箔(foil)からなる正極集電体と、その少なくとも片面にコーティングされた正極活物質層と、を含んでいてもよい。また、前記正極板は、一方の端部に金属材質、たとえばアルミニウム(Al)材質からなる正極タブを含んでいてもよい。前記正極タブは、正極板の一方の端部から突出してもよい。前記正極タブは、正極板の一方の端部に溶接されてもよく、導電性接着剤を用いて貼り合わせられてもよい。
【0046】
負極板は、導電性金属薄板、例えば、銅(Cu)箔からなる負極集電体と、その少なくとも片面にコーティングされた負極活物質層と、を含んでいてもよい。また、前記負極板は、一方の端部に金属材質、たとえばニッケル(Ni)材質から形成された負極タブを含んでいてもよい。前記負極タブは、負極板の一方の端部から突出してもよい。前記負極タブは、負極板の一方の端部に溶接されてもよく、導電性接着剤を用いて貼り合わせられてもよい。
【0047】
セパレーターは、正極板と負極板との間に位置して、正極板と負極板とを互いに電気的に絶縁させる。前記セパレーターは、正極板と負極板との間においてリチウムイオンが互いに通過できるように多孔性膜として形成されてもよい。前記セパレーターは、例えば、ポリエチレン(PE)、またはポリプロピレン(PP)、またはこれらの複合フィルムを用いた多孔性膜を含んでいてもよい。
【0048】
セパレーターの表面には、無機物コーティング層が設けられていてもよい。無機物コーティング層は、無機物粒子同士がバインダーによって結び付いて固定され、粒子間の間隙容量(interstitial volume)による気孔構造が形成された構造を有し得る。
【0049】
電極組立体12は、長尺シート状の正極板と負極板とをセパレーターが介在した状態で巻き取った構造のジェリーロール型(巻取型)電極組立体、所定の大きさの単位で切り取った多数枚の正極板と負極板とをセパレーターを介在させた状態でこの順に積層したスタック型(積層型)電極組立体、所定の単位の正極板と負極板とをセパレーターを介在させた状態で積層したバイセル(Bi-cell)またはフルセル(Full cell)を巻き取った構造のスタック/フォールディング型電極組立体などであってもよい。
【0050】
前記ケース13は、電極組立体12を収容する役割を果たす。
【0051】
本発明の一実施形態において、前記ケース13は、
図1に示すように、電極組立体12を収容する収容部13a、及び電極組立体12を密封するために形成されたシール部13bを備えていてもよい。
【0052】
前記シール部13bは、シーラント樹脂を含んでいてもよく、前記シーラント樹脂が前記収容部13aの外周面に沿って融着されて電極組立体12を密封することができる。
【0053】
本発明の一実施形態において、前記ケース13は、外部の衝撃からの保護のための外層、水分を遮断する金属バリア層、及びケースを密封するシーラント層の多層構造のフィルム状に提供されてもよい。
【0054】
前記外層は、ポリ(エチレンテレフタレート)(Poly(ethylene terephthalate);PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、共重合ポリエステル、ポリカーボネート、ナイロンなどを用いたポリエステル系のフィルムを含んでいてもよく、単層または多層に構成されてもよい。
【0055】
前記金属バリア層は、アルミニウム、銅などを含んでいてもよい。
【0056】
前記シーラント層は、シーラント樹脂を含んでいてもよく、単層または多層に構成されてもよい。
【0057】
前記シーラント樹脂は、ポリプロピレン(PP)、酸変性ポリプロピレン(Acid modified polypropylene;PPa)、ランダムポリプロピレン(random polypropylene)、エチレンプロピレン共重合体、またはこれらのうちの2種以上を含んでいてもよい。前記エチレンプロピレン共重合体は、エチレンプロピレンゴム(ethylene-propylene rubber)、エチレン-プロピレンブロック共重合体などを含んでいてもよいが、これらに限定されない。
【0058】
本発明の一実施形態において、前記ケース13は、パウチ状であってもよい。
【0059】
パウチ状のケース13は、上部パウチと下部パウチを含んでいてもよい。ケース13が上部パウチと下部パウチを含む場合、シーラント樹脂が対向するように上部パウチと下部パウチを配置した後、対向するシーラント樹脂が熱と圧力により互いに融着されることにより電池を密封する構造を有し得る。
【0060】
シール部13bの融着は、熱融着、超音波による融着などであり得るが、シール部13bを融着できるものである限り、特に制限されない。
【0061】
シール部13bは、一部の実施形態において、ケース13の周縁部において4面シールまたは3面シールされてもよい。3面シール構造において、上部パウチと下部パウチとが1枚のパウチシートでフォーミングされた後、上部パウチ及び下部パウチ間の境界面を折り曲げて上部パウチ及び下部パウチに形成された収容部13aが重なるようにした状態で、折曲部を除いた残りの3面の周縁部がシールされる。
【0062】
前記電極リード11は、
図1に示すように、電極リード11の一部が前記ケース13の外部に露出されるようにケース13に収容されてもよい。
【0063】
本発明の一実施形態による二次電池10は、リードフィルム14を備える。
【0064】
前記リードフィルム14は、前記電極リード11の外面の一部を包み込み、電極リード11とケース13との間に介在する。例えば、リードフィルム14が、電極リード11と、電極リード11がケース13から突出するかまたは延在する部分のケース13のシール部13bとの間に介在して、電極リード11と前記ケース13との結着を補助することができる。
【0065】
図1及び
図2を参照すると、本発明の一実施形態による二次電池10は、前記ケース13の少なくとも一部に形成されたベント領域(図示せず)を備え、前記ベント領域にベント部材15が挿入されてもよい。熱暴走現象が生じたとき、前記ベント部材15は、特定の方向にガスの排出を誘導して電池の安全性を向上させることができる。
【0066】
前記ベント部材15とケース13は、熱融着を用いて重ね合わせられてもよい。他の例において、前記ベント部材15とケース13は、グルーなどの接着剤を用いて重ね合わせられてもよい。さらに他の例において、前記ベント部材15とケース13は、クリップなどを用いて物理的に互いに結合されてもよい。さらに他の例において、ケース13を構成するフィルム、例えば、シーラント樹脂内にベント部材15の少なくとも一部が埋め込まれて(embedding)もよい。
【0067】
前記ベント部材15は、炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンを含む。前記ベント部材15が炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンを含むことにより、正常の温度範囲、例えば、常温~60℃においては、ケース13の密封性に優れていながらも、高温、例えば、100℃以上においてベント部材15が挿入されたケースのシール強度を低下させてベントを実現したり誘発したりすることができる。
【0068】
図3は、本発明の一実施形態による二次電池においてベントが生じる状態を示す図である。詳しくは、
図3は、本発明の一実施形態による二次電池におけるベント部材を示す断面図である。
【0069】
図3を参照すると、電池が正常に作動する温度において、ベント部材は、ケースを外部から密封する役割を果たす。電池の非正常的な作動により電池の温度が過剰に昇温すれば、ベント部材が溶融されながら、ベント部材が挿入された部分のシール強度が低下する。したがって、この部分でガスが排出されることができる。例えば、電池の内部のガスの圧力がベント部材と電池ケースとの間の界面に加えられることにより、ベント部材と電池ケースとの間に隙間が形成されて、そこからガスが排出されることができる。
【0070】
本発明の一実施形態において、前記ベント部材15が炭素数6~8のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンを含んでいてもよい。
【0071】
本発明の一実施形態において、前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンは、前記シーラント樹脂よりも融点が低くてもよい。前記炭素数6以上のコポリマーを有する線状低密度ポリエチレンがシーラント樹脂よりも融点が低い場合、高温において線状低密度ポリエチレンがシーラント樹脂よりもさらに早く溶融されることが可能である。ベント部材15が挿入された部分のシール強度が他のシーラント樹脂を含むケース部分のシール強度よりもさらに低下することにより、ベント特性がより一層実現され易い。
【0072】
本発明の一実施形態において、前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンが100℃~130℃、または105℃~125℃、または110℃~120℃の融点を有してもよい。前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンの融点が前述した範囲を満たす場合、高温、例えば、100℃以上においてベント部材15が挿入されたケース13部分のシール強度が低下してベント特性がより一層実現され易い。
【0073】
前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンの融点は、示差走査熱量計(Differential scanning calorimeter;DSC)を用いて測定することができる。例えば、試料の温度を30℃から10℃/minにて280℃まで昇温させた後、280℃において10分間維持し、10℃/minにて30℃まで冷却させた後、30℃において10分間維持する。次いで、試料の温度を30℃から10℃/minにて280℃まで昇温させた後、280℃において10分間温度を維持して融点を測定することができる。
【0074】
本発明の一実施形態において、前記ベント部材15は、100℃~120℃においてベントされることができて、収容部から電池の外部へとガスを排出または排気することができる。特に、前記ベント部材15は、100℃~120℃において、かつ、1.5atm以上の圧力においてベントされることができる。前記ベント部材15が前述した温度範囲及び/又は前述した圧力条件下でベントされることにより、電池が正常に作動するときには、電池が密封可能であり、かつ、電池が異常作動をするときに限って、ガスの排出を誘導することができる。
【0075】
本発明の一実施形態において、前記ベント部材15は、100℃以上における最大シール強度が6kgf/15mm未満、または5kgf/15mm未満、または4.5kgf/15mm未満であってもよい。本発明の一実施形態において、前記ベント部材15は、100℃~120℃における最大シール強度が6kgf/15mm未満、または5kgf/15mm未満、または4.5kgf/15mm未満であってもよい。本発明の一実施形態において、前記ベント部材15は、120℃以上における最大シール強度が3kgf/15mm未満、または2kgf/15mm未満、または1kgf/15mm未満、または0.5kgf/15mm未満であってもよい。前記ベント部材15が前述した温度範囲において前述したシール強度を満たす場合、高温、例えば、100℃以上においてベント部材15が挿入されたケース13部分のシール強度が低下してベント特性がより一層実現され易い。
【0076】
また、本発明の一実施形態において、前記ベント部材15は、常温~60℃における最大シール強度が6kgf/15mm以上、または8kgf/15mm以上、または10kgf/15mm以上であってもよい。前記ベント部材15が前述した温度範囲において前述したシール強度を満たす場合、たとえベント部材15が挿入されているとしても、電池が正常に作動するときに、ケース13のベント部材15が挿入された部分が優れたシール強度を有して、電池の密封性を確保し易い。
【0077】
本発明の一実施形態において、前記ベント部材15は、100℃以上における最大シール強度が6kgf/15mm未満であり、前記ベント部材15は、常温~60℃における最大シール強度が6kgf/15mm以上であってもよい。前記ベント部材15が前述したシール強度を満たす場合、高温、例えば、100℃以上においてケース13のベント部材15が挿入された部分のシール強度が低下してベント特性がより一層実現され易い。なお、電池が正常に作動するときには、ケース13が優れたシール強度を有して、電池の密封性を確保し易い。
【0078】
本発明の一実施形態において、前記ベント部材15は、100℃以上における平均シール強度が4.5kgf/15mm未満、または3kgf/15mm未満であってもよい。本発明の一実施形態において、前記ベント部材15は、100℃~120℃における平均シール強度が4.5kgf/15mm未満、または3kgf/15mm未満であってもよい。本発明の一実施形態において、前記ベント部材15は、120℃以上における平均シール強度が2kgf/15mm未満、または1kgf/15mm未満、または0.5kgf/15mm未満であってもよい。前記ベント部材15が前述した温度範囲において前述したシール強度を満たす場合、高温、例えば、100℃以上においてケース13のベント部材15が挿入された部分のシール強度が低下してベント特性がより一層実現され易い。
【0079】
本発明の一実施形態において、前記ベント部材15は、常温~60℃における平均シール強度が4.5kgf/15mm以上、または5kgf/15mm以上、または6kgf/15mm以上、または7kgf/15mm以上であってもよい。前記ベント部材15が前述した温度範囲において前述したシール強度を満たす場合、たとえベント部材15が挿入されているとしても、電池が正常に作動するときに、ケース13のベント部材15が挿入された部分が優れたシール強度を有して電池の密封性を確保し易い。
【0080】
本発明の一実施形態において、前記ベント部材15が、100℃以上における平均シール強度が4.5kgf/15mm未満であり、常温~60℃における平均シール強度が4.5kgf/15mm以上であってもよい。前記ベント部材15が前述した温度範囲において前述したシール強度を有する場合、高温、例えば、100℃以上においてケース13のベント部材15が挿入された部分のシール強度が低下してベント特性が実現され易い。なお、電池が正常に作動するときに、優れたシール強度を有して、電池の密封性を確保し易い。
【0081】
温度に応じたベント部材15のシール強度は、ベント部材15が挿入された部分のケース13を幅15mm、長さ5cmnに裁断した後、両端を180°に広げて万能試験機(UTM:Universal Testing Machine)治具を使用して把持した後、5mm/minの速度で引張テストを行って測定することができる。
【0082】
このとき、最大シール強度は、ケース13が破綻されるときの最大値を意味し、平均シール強度は、最大シール強度が4.5kgf/15mm以上である場合には、4.5kgf/15mmにおいてケース13が8mm分だけ伸びたときの平均値を意味し、最大シール強度が4.5kgf/15mm未満である場合には、最大シール強度においてケース13が8mm分だけ伸びたときの平均値を意味する。
【0083】
本発明の一実施形態において、前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンが、メタロセン触媒の存在下で重合されたものであってもよい。前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンがメタロセン触媒の存在下で重合されたものである場合、チーグラー・ナッタ触媒の存在下で重合された場合よりも、シール強度及び物性の側面からみてより一層有利であり得る。
【0084】
本発明の一実施形態において、前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンにおける前記炭素数6以上のコモノマーの含量が、前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレン100重量%に基づいて、15重量%以下、または12重量%以下、または11.8重量%以下、または10重量%以下、または9重量%以下、または8重量%以下、または7.6重量%以下であってもよい。これと同時に、前記炭素数6以上のコモノマーの含量が、前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレン100重量%に基づいて、5重量%以上、または7.6重量%以上、または8重量%以上、または9.0重量%以上、または10重量%以上、または11.8重量%以上、または12重量%以上であってもよい。炭素数6以上のコモノマーの含量が前述した範囲を満たす場合、分子間のパッキング密度が減って、電池が正常に作動するときにシール強度が低くなるという問題を防ぎやすい。
【0085】
前記炭素数6以上のコモノマーの含量は、H-NMRにより測定することができる。例えば、試料約10mgをトリクロロエチレン溶媒約0.6mLにヒートガン(heat gun)を用いて完全に溶かした後、核磁気共鳴(NMR:Nuclear Magnetic Resonance)管にサンプリングし、H-NMRを用いて測定することができる。
【0086】
本発明の一実施形態において、前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンの重量平均分子量が、10万g/mol~40万g/mol、または20万g/mol~35万g/mol、または23万g/mol~30万g/molであってもよい。前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンの重量平均分子量が前述した範囲を満たす場合、電池が正常に作動するときにシール強度をより一層向上させることができる。
【0087】
本発明の一実施形態において、前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンの多分散性指数(Poly Dispersity Index;PDI)が4以下、または3.8以下、または3.796以下、または3.5以下、または3.023以下、または3以下、または2.7以下、または2.674以下であってもよい。また、多分散性指数(Poly Dispersity Index;PDI)が1.0以上であってもよい。前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンの多分散性指数が前述した範囲を満たす場合、分子量の分布が狭くて、電池が正常に作動するときのシール強度及び物性がより一層優れたものになる。
【0088】
炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンの重量平均分子量及び多分散性指数は、ゲル透過クロマトグラフィ(GPC:gel permeation chromatography)にて下記の条件下で測定したものであってもよい。
【0089】
-カラム:東ソー株式会社製のHLC-8321 GPC/HT
-溶媒:トリクロロベンゼン(TCB:Trichlorobenzene)+0.04% ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)(0.1% CaCl2にて乾燥させたもの)
-流速:1.0ml/min
-試料の濃度:1.5mg/ml
-注入量:300μl
-カラムの温度:160℃
-検出器:示差屈折率(RI)検出器
-スタンダード:ポリスチレン(3次関数に補正)
【0090】
本発明の一実施形態において、前記シーラント樹脂の結晶化温度と前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンの結晶化温度とが略同じであってもよい。例えば、前記シーラント樹脂の結晶化温度と前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンの結晶化温度との差が10℃以下、または5℃以下であってもよい。また、前記シーラント樹脂の結晶化温度と前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンの結晶化温度との差が0.1℃以上であってもよい。前記シーラント樹脂の結晶化温度と前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンの結晶化温度との差が前述した範囲を満たす場合、前記シーラント樹脂と炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンの電池の正常作動時における融着特性がより一層優れたものになる。
【0091】
本発明の一実施形態において、前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンの結晶化温度が、90℃~115℃、または95℃~110℃、または100℃~110℃、または105℃~110℃であってもよい。前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンの結晶化温度が前述した範囲を満たす場合、前記シーラント樹脂と前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンの融着特性がより一層優れたものになる。
【0092】
本発明の一実施形態において、前記シーラント樹脂の結晶化温度と前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンの結晶化温度との差が10℃以下であり、前記炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンの結晶化温度が90℃~115℃であってもよい。
【0093】
前記結晶化温度は、示差走査熱量計(Differential scanning calorimeter;DSC)を用いて測定することができる。例えば、試料の温度を30℃から10℃/minにて280℃まで昇温させた後、280℃において10分間維持し、10℃/minにて30℃まで冷却させた後、30℃において10分間維持し得る。次いで、試料の温度を30℃から10℃/minにて280℃まで昇温させた後、温度を280℃において10分間維持して結晶化温度を測定することができる。
【0094】
本発明の一実施形態において、前記ベント部材15は、ガスがベント領域に向かい易いように様々な形状を呈していてもよい。例えば、ベント部材15がフィルム状を呈していてもよい。
【0095】
前記ベント部材15は、既に設定されたサイズの所定の厚さを有するように形成されてもよい。
【0096】
本発明の一実施形態において、
図1及び
図2に示すように、ベント部材15がシール部に位置してもよい。
【0097】
図2を参照すると、ベント部材15は、ケースの角部側のシール部に位置してもよい。例えば、ベント部材15は、電極リード11が外部に露出されるシール部の角部側に位置してもよい。具体的には、ベント部材15は、電極リード11間の領域を除いた、電極リード11の隣のシール部に位置してもよい。電極リード11が外部に露出されるシール部の角部側にベント部材15が位置する場合、電極リード11に向かって排出されるガスの量を最小限に抑えることができ、電池の安全性をより一層向上させることができる。
【0098】
本発明の一実施形態において、シール部13bが3面において密封される場合、ケースの折り曲げられた側面とベント部材15の一方の端とが近接し得る。
【0099】
また、ベント部材15は、設計に応じて、挿入長さを異ならせて、あるいは、ベント圧力及び位置が制御可能なようにケース13に挿入されてもよい。ここで、ベント部材の挿入長さは、電極リードの突出方向を基準として、ベント部材の一方の端と他方の端との間の距離の最大値を意味する。
【0100】
例えば、
図4に示すように、ベント部材15の挿入長さは、シール部13bの幅よりも小さくてもよい。例えば、ベント部材15の挿入長さは、シール部13bの幅の約50%未満であってもよい。ここで、シール部13bの幅は、電極リード11の突出方向を基準として、シール部13bの一方の端と他方の端との間の距離の最大値を意味する。
【0101】
あるいは、
図5に示すように、ベント部材15の挿入長さは、シール部13bの幅よりも大きくてもよい。例えば、ベント部材15は、収容部13aを経てケース13の外部に露出されるように挿入されてもよい。
【0102】
本発明の一実施形態において、ベント部材15は、より一層円滑な配置のために接着層をさらに含んでいてもよい。
【0103】
図6は、本発明のさらに他の実施形態による二次電池を示す平面図である。
【0104】
図6を参照すると、ベント部材15は、電極リード11が外部に露出されるシール部を除いたシール部に位置してもよい。
【0105】
図7は、本発明のさらに他の実施形態による二次電池を示す平面図である。
【0106】
図7を参照すると、ベント部材15は、電極リード11が外部に露出されるシール部に位置してもよい。例えば、ベント部材15は、電極リード11と電極リード11との間のシール部に位置してもよい。
【0107】
本発明の一実施形態による二次電池は、炭素数6以上のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンを含むベント部材を備えて、高温においてシール強度を低下させて特定の方向にガスを排出できるディレクショナルベントをより一層円滑にかつ速やかに実現することができて、熱暴走現象が生じるとき、すなわち、二次電池の内部の温度が昇温するとき、ガスによる電極のダメージを極力抑えることができる。
【0108】
本発明の一実施形態において、前記二次電池は、円筒型、角型、またはパウチ型の二次電池であってもよい。中でも、前記二次電池がパウチ型二次電池であってもよい。
【0109】
以下、本発明の理解への一助となるために実施例を挙げて本発明についてさらに詳しく説明する。しかしながら、本発明による実施例は色々な他の形態に変形可能であり、本発明の範囲が下記の実施例に限定されると解釈されてはいけない。本発明の実施例は、当業界において平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0110】
実施例1
【0111】
ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)/アルミニウム箔/ポリプロピレン樹脂がこの順に積層された上部パウチと下部パウチをポリプロピレン樹脂が対向するように配置した後、正極/セパレーター/負極がこの順に積層された電極組立体を収容した。
【0112】
次いで、前記ポリプロピレン樹脂の間にメタロセン触媒の存在下で重合された炭素数6のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレン(エクソン・モービル社製、ExceedTM 1018)を含むベント部材を挿入した後、熱融着させて二次電池を製造した。
【0113】
実施例2
【0114】
メタロセン触媒の存在下で重合された炭素数6のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレン(LG化学社製、LuceneTM SP311)を含むベント部材をポリプロピレン樹脂の間に挿入したことを除いては、実施例1の方法と同様にして二次電池を製造した。
【0115】
実施例3
【0116】
メタロセン触媒の存在下で重合された炭素数8のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレン(ダウ社製、EliteTM 5401GT)を含むベント部材をポリプロピレン樹脂の間に挿入したことを除いては、実施例1の方法と同様にして二次電池を製造した。
【0117】
比較例1
【0118】
ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)/アルミニウム箔/ポリプロピレン樹脂がこの順に積層された上部パウチと下部パウチをポリプロピレン樹脂が対向するように配置した後、正極/セパレーター/負極がこの順に積層された電極組立体を収容した。
【0119】
次いで、前記ポリプロピレン樹脂を熱融着させて二次電池を製造した。
【0120】
比較例2
【0121】
チーグラー・ナッタ触媒の存在下で重合された炭素数4のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンを含むベント部材をポリプロピレン樹脂の間に挿入したことを除いては、実施例1の方法と同様にして二次電池を製造した。
【0122】
比較例3
【0123】
高密度ポリエチレン(SABIC HDPEF04660)を含むベント部材をポリプロピレン樹脂の間に挿入したことを除いては、実施例1の方法と同様にして二次電池を製造した。
【0124】
評価例1:ベント部材に用いられた樹脂の物性評価
【0125】
実施例1~3及び比較例2のベント部材に用いられた樹脂(本明細書において、「ベント樹脂」と称する。)と比較例1において用いられたシーラント樹脂の融点、コモノマーの含量、重量平均分子量、多分散性指数、及び結晶化温度を測定して下記表1に示す。
【0126】
(1)融点及び結晶化温度の測定
【0127】
比較例1において用いられたシーラント樹脂と、実施例1~3及び比較例2のベント部材に用いられたベント樹脂の融点及び結晶化温度を下記のような方法により測定した。
【0128】
示差走査熱量計(Differential scanning calorimeter;DSC)を用いて試料の温度を30℃から10℃/minにて280℃まで昇温させた後、280℃において10分間維持し、10℃/minにて30℃まで冷却させた後、30℃において10分間維持した。次いで、試料の温度を30℃から10℃/minにて280℃まで昇温させた後、280℃において10分間維持して融点及び結晶化温度を測定した。
【0129】
(2)コモノマーの含量の測定
【0130】
比較例1において用いられたシーラント樹脂と、実施例1~3及び比較例2のベント部材に用いられたベント樹脂のコモノマーの含量をH-NMRを用いて測定した。
【0131】
試料約10mgをトリクロロエチレン溶媒約0.6mLにヒートガン(heat gun)を用いて完全に溶かした後、NMR管にサンプリングし、H-NMRを用いて測定した。
【0132】
(3)重量平均分子量及び多分散性指数の測定
【0133】
比較例1において用いられたシーラント樹脂と、実施例1~3及び比較例2のベント部材に用いられたベント樹脂の重量平均分子量及び多分散性指数をゲル透過クロマトグラフィ(GPC:gel permeation chromatography)を用いて下記の条件下で測定した。
【0134】
-カラム:東ソー株式会社製のHLC-8321 GPC/HT
-溶媒:トリクロロベンゼン(TCB:Trichlorobenzene)+0.04% ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)(0.1% CaCl2にて乾燥させたもの)
-流速:1.0ml/min
-試料の濃度:1.5mg/ml
-注入量:300μl
-カラムの温度:160℃
-検出器:示差屈折率(RI)検出器
-スタンダード:ポリスチレン(3次関数に補正)
【0135】
【0136】
評価例2:温度に応じたシール強度の測定
【0137】
実施例1~3及び比較例2~3において製造した二次電池において、下記の温度においてベント部材が挿入された部分のケースを幅15mm、長さ5cmに裁断した後、両端を180°に広げてUTM治具を使用して把持した後、5mm/minの速度で引張テストを行った。このときのケースのシール強度を下記表2に示す。
【0138】
比較例1において製造した二次電池において、シール部のケースを下記の温度において幅15mm、長さ5cmに裁断した後、両端を180°に広げてUTM治具を使用して把持した後、5mm/minの速度で引張テストを行った。このときのケースのシール強度を下記表2に示す。
【0139】
このとき、最大シール強度は、ケースが破綻されるときの最大値を意味し、平均シール強度は、最大シール強度が4.5kgf/15mm以上である場合には、4.5kgf/15mmにおいてケースが8mm分だけ伸びたときの平均値を意味し、最大強度が4.5kgf/15mm未満である場合には、最大シール強度においてケースが8mm分だけ伸びたときの平均値を意味する。
【0140】
【0141】
上記表2から明らかなように、実施例1~3において製造した二次電池は、ベント部材が挿入されたケース部分の常温~60℃における最大シール強度及び平均シール強度が、比較例1において製造した二次電池のケースの常温~60℃における最大シール強度及び平均シール強度と略同じレベルであることを確認することができた。また、実施例1~3において製造した二次電池は、ベント部材が挿入されたケース部分の100℃以上における最大シール強度及び平均シール強度が、比較例1において製造した二次電池のケースの100℃以上における最大シール強度及び平均シール強度に比べて格段に低いレベルであることを確認することができた。
【0142】
このように、実施例1~3において製造したベント部材を備えた二次電池は、電池が正常に作動するときには適度なシール強度を確保することができながらも、異常現象により電池が高温になる場合には、シール強度が弱くなったベント部材を介してガスを排出することができる。これに対し、比較例1において製造した二次電池は、電池が正常に作動するときには適度なシール強度を確保することができるものの、異常現象により電池が高温になる場合に、ガスが不特定の方向に排出されて電池の連鎖発火が起こることがある。
【0143】
比較例2及び3において製造した二次電池におけるベント部材が挿入されたケース部分の常温~60℃における最大シール強度及び平均シール強度は、実施例1~3において製造した二次電池におけるベント部材が挿入されたケース部分の常温~60℃における最大シール強度及び平均シール強度よりも格段に低く、100℃以上においてはシール強度が低すぎて測定することができなかった。このことから、比較例2及び3において製造した二次電池は、電池が正常に作動するときに適度なシール強度を確保することができないということを確認することができた。
【符号の説明】
【0144】
10 二次電池
11 電極リード
12 電極組立体
13 ケース
13a 収容部
13b シール部
14 リードフィルム
15 ベント部材
【国際調査報告】