(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-13
(54)【発明の名称】RNA合成のための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/10 20060101AFI20231206BHJP
C12N 15/113 20100101ALI20231206BHJP
C12P 19/34 20060101ALI20231206BHJP
C12N 9/12 20060101ALI20231206BHJP
C12M 1/40 20060101ALI20231206BHJP
C40B 40/06 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
C12N15/10 Z ZNA
C12N15/10 110Z
C12N15/113 100Z
C12P19/34 Z
C12N9/12
C12M1/40 A
C40B40/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549149
(86)(22)【出願日】2021-10-22
(85)【翻訳文提出日】2023-06-21
(86)【国際出願番号】 IB2021000727
(87)【国際公開番号】W WO2022084748
(87)【国際公開日】2022-04-28
(32)【優先日】2020-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523151632
【氏名又は名称】スピンドル バイオテック インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チュン,ライ,イム
(72)【発明者】
【氏名】ハッセー,ブレンダン
【テーマコード(参考)】
4B029
4B064
【Fターム(参考)】
4B029AA23
4B029BB20
4B029CC03
4B064AF27
4B064CA21
4B064CC24
(57)【要約】
非常に正確で純粋なRNA合成のための組成物、方法、デバイス、およびシステムが本明細書に提供される。さらに、本明細書に開示されるデバイス、組成物、および方法の使用によって生成されたRNAを含む核酸ライブラリーが本明細書に提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RNAを合成するための方法であって、前記方法は、
表面上で固定されたRNAポリメラーゼを提供する工程と、
毎時少なくとも50ヌクレオチドの伸長速度で複数のRNAを合成する工程であって、前記複数のRNAのそれぞれはあらかじめ選択された配列を有しており、前記合成する工程は1つの伸長反応において一塩基ずつ伸長させることを含む、工程と
を含む、方法。
【請求項2】
前記複数のRNAのそれぞれは、ガイドRNA(gRNA)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のRNAのそれぞれは、メッセンジャーRNA(mRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、piwi相互作用RNA(piRNA)、RNAアプタマー、転移RNA(tRNA)、およびアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記合成する工程は、鋳型DNAを用いて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記鋳型DNAは前記表面上で固定される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記鋳型DNAは、リンカー、ビオチン、またはストレプトアビジンによって前記表面上で固定される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記鋳型DNAは一本鎖DNA(ssDNA)を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記鋳型DNAは二本鎖DNA(dsDNA)を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記鋳型DNAは二次構造を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記二次構造はヘアピンを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記鋳型DNAはプロモーター配列を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項12】
前記プロモーター配列は、トランケートされたプロモーター配列である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記伸長速度は、毎時少なくとも50ヌクレオチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記伸長速度は、毎秒少なくとも50ヌクレオチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記RNAポリメラーゼは、ファージRNAポリメラーゼ、細菌RNAポリメラーゼ、および真核生物RNAポリメラーゼからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記RNAポリメラーゼは、標準のN-ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHS)官能基を用いて前記表面を活性化することによって前記表面上で固定される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記RNAポリメラーゼは、無水トリフルオロ酢酸(TFAA)官能基を用いて前記表面を活性化することによって前記表面上で固定される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記RNAポリメラーゼは、無水グルタルアルデヒド(GA)官能基を用いて前記表面を活性化することによって前記表面上で固定される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記表面は固体表面である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記固体表面は、磁気ビーズ、アガロースビーズ、溶融石英、ゾル-ゲル、シリカポリマー、シリカモノリス、セルロース、寒天、アクリルアミド、金ビーズ、またはゲルマトリックスを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記複数のRNAのそれぞれは、あらかじめ選択された同じ配列を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記複数のRNAは、あらかじめ選択された異なる配列を含む少なくとも2つのRNAを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記複数のRNAは、少なくとも1つの化学修飾されたgRNAを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
RNAを合成するための方法であって、前記方法は、
融合RNAポリメラーゼ、またはその機能的断片あるいはバリアントを提供する工程と、
毎時少なくとも50のヌクレオチドの伸速度で複数のRNAを合成する工程であって、前記複数のRNAのそれぞれはあらかじめ選択された配列を有しており、前記合成する工程は1つの伸長反応において一塩基ずつ伸長させることを含む、工程と
を含む、方法。
【請求項25】
前記融合RNAポリメラーゼは、RNAポリメラーゼ、またはその機能的断片あるいはバリアント、およびDNA結合タンパク質、またはその機能的断片あるいはバリアントを含み、前記RNAポリメラーゼおよびDNA結合タンパク質は異種である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記融合RNAポリメラーゼはリンカーをさらに含む、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
前記RNAポリメラーゼは、ファージRNAポリメラーゼ、細菌RNAポリメラーゼ、および真核生物RNAポリメラーゼからなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記DNA結合タンパク質は、前記RNAポリメラーゼのN末端に融合される、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記DNA結合タンパク質は、前記RNAポリメラーゼのC末端に融合される、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記複数のRNAのそれぞれは、ガイドRNA(gRNA)を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記複数のRNAのそれぞれは、メッセンジャーRNA(mRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、piwi相互作用RNA(piRNA)、RNAアプタマー、転移RNA(tRNA)、およびアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)からなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
前記合成する工程は、鋳型DNAを用いて行われる、請求項24に記載の方法。
【請求項33】
前記鋳型DNAは一本鎖DNA(ssDNA)を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記鋳型DNAは二本鎖DNA(dsDNA)を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記鋳型DNAは二次構造を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記二次構造はヘアピンを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記鋳型DNAはプロモーター配列を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記プロモーター配列は、トランケートされたプロモーター配列である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記伸長速度は、毎時少なくとも50ヌクレオチドである、請求項24に記載の方法。
【請求項40】
前記伸長速度は、毎秒少なくとも50ヌクレオチドである、請求項24に記載の方法。
【請求項41】
前記複数のRNAのそれぞれは、あらかじめ選択された同じ配列を有する、請求項24に記載の方法。
【請求項42】
前記複数のRNAは、あらかじめ選択された異なる配列を含む少なくとも2つのRNAを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項43】
前記複数のRNAは、少なくとも1つの化学修飾されたgRNAを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項44】
核酸ライブラリーであって、
複数の精製されたガイドRNA(gRNA)および
トランケートされたRNAポリメラーゼプロモーター領域をコードする少なくとも1つの一本鎖DNA(ssDNA)
を含む、核酸ライブラリー。
【請求項45】
前記精製されたgRNAのそれぞれは、少なくとも20ヌクレオチド長の配列を含む、請求項44に記載の核酸ライブラリー。
【請求項46】
前記精製されたgRNAのそれぞれは、少なくとも80ヌクレオチド長の配列を含む、請求項44に記載の核酸ライブラリー。
【請求項47】
前記複数の精製されたgRNAは、少なくとも100,000個の精製されたgRNAを含む、請求項44に記載の核酸ライブラリー。
【請求項48】
前記トランケートされたRNAポリメラーゼプロモーター領域は、配列番号3~6からなる群から選択される配列を含む、請求項44に記載の核酸ライブラリー。
【請求項49】
前記複数の精製されたgRNAは、修飾されたヌクレオチドを含む、請求項44に記載の核酸ライブラリー。
【請求項50】
核酸ライブラリーであって、
少なくとも20ヌクレオチド長の複数の精製されたガイドRNA(gRNA)、および
2~10ヌクレオチド長の少なくとも1つのオリゴヌクレオチド
を含む、核酸ライブラリー。
【請求項51】
前記複数の精製されたガイドRNA(gRNA)は、少なくとも80ヌクレオチド長を含む、請求項50に記載の核酸ライブラリー。
【請求項52】
前記複数の精製されたgRNAは、少なくとも100,000個の精製されたgRNAを含む、請求項50に記載の核酸ライブラリー。
【請求項53】
前記少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチド長である、請求項50に記載の核酸ライブラリー。
【請求項54】
前記少なくとも1つのオリゴヌクレオチドはRNAを含む、請求項50に記載の核酸ライブラリー。
【請求項55】
前記少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、精製されたガイドRNAの5’末端の、または5’末端付近の2、3、4、5、6、7、8、9または10個の連続するヌクレオチドに対して100%同一である、請求項50に記載の核酸ライブラリー。
【請求項56】
前記少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、精製されたガイドRNAの3’末端の、または3’末端付近の2、3、4、5、6、7、8、9または10個の連続するヌクレオチドに対して100%同一である、請求項50に記載の核酸ライブラリー。
【請求項57】
前記複数の精製されたgRNAは、少なくとも1つの化学修飾されたgRNAを含む、請求項50に記載の核酸ライブラリー。
【請求項58】
少なくとも50個のガイドRNA(gRNA)を含む核酸ライブラリーを作製する方法であって、前記方法は、
RNAポリメラーゼを使用して少なくとも50個のgRNAを合成する工程であって、前記少なくとも50個のgRNAの少なくとも1つは標的遺伝子中の標的配列に相補的なスペーサー配列を含み、前記スペーサー配列の5’末端ヌクレオチドは前記標的配列の3’末端ヌクレオチドに相補的である、工程
を含む方法。
【請求項59】
前記少なくとも50個のgRNAのそれぞれは、標的遺伝子中の標的配列に相補的なスペーサー配列を含み、前記スペーサー配列の5’末端ヌクレオチド、前記標的配列の3’末端ヌクレオチドに相補的である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記RNAポリメラーゼは、ファージRNAポリメラーゼ、細菌RNAポリメラーゼ、および真核生物RNAポリメラーゼからなる群から選択される、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記RNAポリメラーゼは、T7 RNAポリメラーゼである、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記少なくとも50個のgRNAのそれぞれは、前記標的配列の3’末端ヌクレオチドに相補的でない5’末端ヌクレオチドを含むgRNAと比較して、前記標的配列の編集効率の増強を示す、請求項58に記載の方法。
【請求項63】
前記少なくとも50個のgRNAのそれぞれは、前記標的配列の3’末端ヌクレオチドに相補的でない5’末端ヌクレオチドを含むgRNAと比較して、前記標的配列のオフターゲット編集の減少を示す、請求項58に記載の方法。
【請求項64】
前記少なくとも50個のgRNAは、5’末端グアニン(G)ヌクレオチドを欠くgRNA配列を含み、前記gRNA配列は少なくとも40ヌクレオチド長を含み、前記gRNA配列の5’末端の少なくとも3つの連続するヌクレオチドは、ゲノム中の前記標的配列の3’末端に対して100%同一である、請求項58に記載の方法。
【請求項65】
前記少なくとも50個のgRNAは、5’末端Gヌクレオチドを含むgRNA配列を含むgRNAと比較して、前記標的配列と対になる増強された5’末端を示し、前記5’末端Gヌクレオチドはプロトスペーサー配列中に存在しない、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記少なくとも50個のgRNAのそれぞれは、スペーサー配列を含むgRNA配列を含むgRNAと比較して、標的配列の編集効率の増強を示し、前記gRNA配列は、前記スペーサー配列の5’末端に1つ以上のGヌクレオチドを含み、前記スペーサー配列の5’末端の前記1つ以上のGヌクレオチドは、ゲノム中の前記標的配列の3’末端の1つ以上のヌクレオチドに相補的でない、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
前記少なくとも50個のgRNAのそれぞれは、スペーサー配列を含むgRNA配列を含むgRNAと比較して、オフターゲット編集の減少を示し、前記gRNA配列は、前記スペーサー配列の5’末端に1つ以上のGヌクレオチドを含み、前記スペーサー配列の5’末端の前記1つ以上のGヌクレオチドは、ゲノム中の前記標的配列の3’末端の1つ以上のヌクレオチドに相補的でない、請求項64に記載の方法。
【請求項68】
前記少なくとも50個のgRNAは、5’末端コドン中でグアニン(G)ヌクレオチドを欠くgRNA配列を含み、前記gRNA配列は少なくとも40ヌクレオチド長を含み、前記gRNA配列の5’末端の少なくとも3つの連続するヌクレオチドは、ゲノム中の前記標的配列の3’末端に対して100%同一である、請求項58に記載の方法。
【請求項69】
前記少なくとも50個のgRNAのそれぞれは、5’末端コドン中にGヌクレオチドを含むgRNA配列を含むgRNAと比較して、前記標的配列と対になる増強された5’末端を示し、前記5’末端コドン中の前記Gヌクレオチドはプロトスペーサー配列の中に存在しない、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記少なくとも50個のgRNAのそれぞれは、スペーサー配列を含むgRNA配列を含むgRNAと比較して、標的配列の編集効率の増強を示し、前記gRNA配列は、前記スペーサー配列の5’末端に1つ以上のGヌクレオチドを含み、前記スペーサー配列の5’末端の前記1つ以上のGヌクレオチドは、ゲノム中の前記標的配列の3’末端の1つ以上のヌクレオチドに相補的でない、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
前記少なくとも50個のgRNAのそれぞれは、スペーサー配列を含むgRNA配列を含むgRNAと比較して、オフターゲット編集の減少を示し、前記gRNA配列は、前記スペーサー配列の5’末端に1つ以上のGヌクレオチドを含み、前記スペーサー配列の5’末端の前記1つ以上のGヌクレオチドは、ゲノム中の前記標的配列の3’末端の1つ以上のヌクレオチドに相補的でない、請求項68に記載の方法。
【請求項72】
前記少なくとも50個のgRNAは、少なくとも100,000個の精製されたgRNAを含む、請求項58~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
核酸ライブラリーであって、
5’末端グアニン(G)アナログを含むgRNA配列を含む少なくとも50個の精製されたガイドRNA(gRNA)
を含む、核酸ライブラリー。
【請求項74】
前記少なくとも50個の精製されたgRNAのそれぞれは、5’末端Gアナログを欠くgRNA配列を含むgRNAと比較して、標的配列の編集効率の増強を示す、請求項73に記載の核酸ライブラリー。
【請求項75】
前記少なくとも50個の精製されたgRNAのそれぞれは、5’末端Gアナログを欠くgRNA配列を含むgRNAと比較して、安定性の増強を示す、請求項73に記載の核酸ライブラリー。
【請求項76】
前記少なくとも50個の精製されたgRNAは、少なくとも100,000個の精製されたgRNAを含む、請求項73~75のいずれか一項に記載の核酸ライブラリー。
【請求項77】
核酸ライブラリーであって、前記核酸ライブラリーは、
少なくとも50個のRNAを含み、前記少なくとも50個のRNAのそれぞれは異なるガイドRNA(gRNA)配列をコードし、前記少なくとも50個のRNAの少なくとも約90%は、ライブラリー中の前記少なくとも50個のRNAについての平均頻度の1.5倍以内の量で前記核酸ライブラリー中にそれぞれ存在する、
核酸ライブラリー。
【請求項78】
前記少なくとも50個のRNAは、少なくとも100、少なくとも500、少なくとも1,000、少なくとも5,000、少なくとも10,000、少なくとも50,000、または少なくとも100,000個のRNAを含み、前記少なくとも100、少なくとも500、少なくとも1,000、少なくとも5,000、少なくとも10,000、少なくとも50,000、または少なくとも100,000個のRNAの少なくとも約90%は、ライブラリー中の前記少なくとも100、少なくとも500、少なくとも1,000、少なくとも5,000、少なくとも10,000、少なくとも50,000、または少なくとも100,000個のRNAについての平均頻度の1.5倍以内の量で前記核酸ライブラリー中にそれぞれ存在する、請求項77に記載の核酸ライブラリー。
【請求項79】
前記異なるgRNA配列は、少なくとも80ヌクレオチド長を含む、請求項77に記載の核酸ライブラリー。
【請求項80】
前記異なるgRNA配列は、少なくとも100個の異なるgRNA配列を含む、請求項77に記載の核酸ライブラリー。
【請求項81】
前記少なくとも50個のRNAの少なくとも約95%は、ライブラリー中のRNAのそれぞれについての平均頻度の1.5倍以内の量で前記核酸ライブラリー中にそれぞれ存在する、請求項77に記載の核酸ライブラリー。
【請求項82】
前記少なくとも50個のRNAの少なくとも約99%は、ライブラリー中のRNAのそれぞれについての平均頻度の1.5倍以内の量で前記核酸ライブラリー中にそれぞれ存在する、請求項77に記載の核酸ライブラリー。
【請求項83】
修飾されたポリペプチド組成物であって、前記修飾されたポリペプチド組成物は、
精製されたRNAポリメラーゼ、またはその機能的断片あるいはバリアントと、
精製された核酸結合タンパク質、任意選択で、タンパク質を含有するジンクフィンガー、またはその機能的断片あるいはバリアントとを含み、
前記精製されたRNAポリメラーゼおよび前記精製された核酸結合タンパク質は、異種であり、前記精製されたRNAポリメラーゼおよび精製された核酸結合タンパク質は連結される、
組成物。
【請求項84】
前記精製されたRNAポリメラーゼおよび精製された核酸結合タンパク質は、コンジュゲーションによって連結される、請求項83に記載の修飾されたポリペプチド組成物。
【請求項85】
前記精製されたRNAポリメラーゼおよび精製された核酸結合タンパク質は、融合によって連結される、請求項83に記載の修飾されたポリペプチド組成物。
【請求項86】
前記精製された核酸結合タンパク質は、前記精製されたRNAポリメラーゼのN末端に連結される、請求項83に記載の修飾されたポリペプチド組成物。
【請求項87】
前記精製された核酸結合タンパク質は、前記精製されたRNAポリメラーゼのC末端に連結される、請求項83に記載の修飾されたポリペプチド組成物。
【請求項88】
前記精製されたRNAポリメラーゼは、T7 RNAポリメラーゼである、請求項83に記載の修飾されたポリペプチド組成物。
【請求項89】
前記精製された核酸結合タンパク質は、ジンクフィンガードメイン、ロイシンジッパー、ヘリックスターンヘリックス(HTH)モチーフ、ヘリックスループヘリックス(HLH)モチーフ、ウィングドヘリックス(WH)、ウィングドHTH(WHTH)モチーフ、高移動度群(HMG)ボックス、白色不透明レギュレーター3(White-Opaque Regulator 3/Wor3)ドメイン、オリゴヌクレオチド/オリゴ糖結合(OB)フォールドドメイン、免疫グロブリンフォールド、B3ドメイン、転写アクチベーター様エフェクター(Transcription Activator-Like Effector/TALE)、TALE様タンパク質、またはクラスター化され規則的に間隔が空いた短い回文構造の繰り返し(CRISPR)関連Casタンパク質を含む、請求項83に記載の修飾されたポリペプチド組成物。
【請求項90】
前記精製された核酸結合タンパク質は、ジンクフィンガードメインを含む、請求項89に記載の修飾されたポリペプチド組成物。
【請求項91】
組成物であって、前記組成物は、
融合RNAポリメラーゼ、またはその機能的断片あるいはバリアントとDNAポリヌクレオチドとを含み、前記融合RNAポリメラーゼは、
(i)RNAポリメラーゼ、またはその機能的断片あるいはバリアント、および
(ii)DNA結合タンパク質、またはその機能的断片あるいはバリアントを含み、前記RNAポリメラーゼおよび前記DNA結合タンパク質は異種である、
組成物。
【請求項92】
前記DNAポリヌクレオチドは、一本鎖DNAポリヌクレオチドである、請求項91に記載の組成物。
【請求項93】
前記DNAポリヌクレオチドは3’の二次構造を含む、請求項91または92に記載の組成物。
【請求項94】
前記3’の二次構造はヘアピンを含む、請求項93に記載の組成物。
【請求項95】
修飾されたポリペプチドであって、前記修飾されたポリペプチドは、
バリアントT7 RNAポリメラーゼまたはその機能的断片を含み、前記バリアントT7 RNAポリメラーゼは、K172L、P266L、H772R、N748X、R756M、Q758X、およびE775Vからなる群から選択される少なくとも4つのバリエーションを含み、その位置は配列番号1とのアラインメントによって決定され、Xは野生型アミノ酸とは異なる任意のアミノ酸である、
修飾されたポリペプチド。
【請求項96】
修飾されたポリペプチドであって、前記修飾されたポリペプチドは、
バリアントT7 RNAポリメラーゼまたはその機能的断片を含み、前記バリアントT7 RNAポリメラーゼは、K172L、P266L、H772R、N748X、R756M、Q758X、およびE775Vからなる群から選択される少なくとも1つのバリエーションを含み、その位置は配列番号1とのアラインメントによって決定され、Xは、野生型アミノ酸とは異なる任意のアミノ酸であり、前記修飾されたポリペプチドは表面上で固定される、
修飾されたポリペプチド。
【請求項97】
前記バリアントT7 RNAポリメラーゼまたはその機能的断片は、DNA結合タンパク質に連結される、請求項95または96に記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項98】
前記バリアントT7 RNAポリメラーゼまたはその機能的断片は、融合によって前記DNA結合タンパク質に連結される、請求項97に記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項99】
前記バリアントT7 RNAポリメラーゼまたはその機能的断片は、コンジュゲーションによって前記DNA結合タンパク質に連結される、請求項97に記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項100】
前記DNA結合タンパク質は、T7 RNAポリメラーゼのN末端に連結される、請求項97に記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項101】
前記DNA結合タンパク質は、T7 RNAポリメラーゼのC末端に連結される、請求項97に記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項102】
前記バリアントT7 RNAポリメラーゼまたはその機能的断片は、配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項95または96に記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項103】
前記バリアントT7 RNAポリメラーゼまたはその機能的断片は、配列番号1に記載の配列を含むT7 RNAポリメラーゼと比較して、転写開始および/または伸長プロセス中の安定性の増加を示す、請求項95または96に記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項104】
前記バリアントT7 RNAポリメラーゼまたはその機能的断片は、配列番号1に記載の配列を含むT7 RNAポリメラーゼと比較して、T7プロモーター配列に対する結合親和性の減少を示す、請求項95または96に記載の修飾されたポリペプチド。
【請求項105】
デバイスであって、前記デバイスは、
表面と、
T7 RNAポリメラーゼ、またはその機能的断片あるいはバリアントと、
DNA鋳型であって、前記DNA鋳型はトランケートされたT7プロモーター配列を含むDNA鋳型とを含み、
前記T7 RNAポリメラーゼ、その機能的断片またはバリアント、あるいはDNA鋳型は前記表面に連結される、
デバイス。
【請求項106】
前記表面に連結された核酸結合タンパク質、またはその機能的断片あるいはバリアントをさらに含む、請求項105に記載のデバイス。
【請求項107】
前記表面は固体表面である、請求項105または106に記載のデバイス。
【請求項108】
前記固体表面は、磁気ビーズ、アガロースビーズ、溶融石英、ゾル-ゲル、シリカポリマー、シリカモノリス、セルロース、寒天、アクリルアミド、または金ビーズを含む、請求項107に記載のデバイス。
【請求項109】
前記固体表面は、前記T7 RNAポリメラーゼ、前記DNA鋳型、または前記核酸結合タンパク質のカプセル化あるいは取り込みのためのゲルマトリックスを含む、請求項107に記載のデバイス。
【請求項110】
前記核酸結合タンパク質はストレプトアビジンタグを含む、請求項106に記載のデバイス。
【請求項111】
前記T7 RNAポリメラーゼは固定される、請求項105に記載のデバイス。
【請求項112】
前記DNA鋳型は固定される、請求項105に記載のデバイス。
【請求項113】
前記核酸結合タンパク質、またはその前記機能的断片あるいはバリアントは、ジンクフィンガードメイン、ロイシンジッパー、ヘリックスターンヘリックス(HTH)モチーフ、ヘリックスループヘリックス(HLH)モチーフ、ウィングドヘリックス(WH)、ウィングドHTH(WHTH)モチーフ、高移動度群(HMG)ボックス、白色不透明レギュレーター3(White-Opaque Regulator 3/Wor3)ドメイン、オリゴヌクレオチド/オリゴ糖結合(OB)フォールドドメイン、免疫グロブリンフォールド、B3ドメイン、転写アクチベーター様エフェクター(Transcription Activator-Like Effector/TALE)、TALE様タンパク質、またはクラスター化され規則的に間隔が空いた短い回文構造の繰り返し(CRISPR)関連Casタンパク質を含む、請求項105に記載のデバイス。
【請求項114】
前記核酸結合タンパク質、またはその機能的断片あるいはバリアントは、配列特異的結合によって核酸に結合する、請求項106に記載のデバイス。
【請求項115】
前記核酸結合タンパク質、またはその機能的断片あるいはバリアントは、核酸上の1つ以上の化学修飾を通じて核酸に結合する、請求項106に記載のデバイス。
【請求項116】
前記1つ以上の化学修飾は、ビオチンまたはアビジンを含む、請求項115に記載のデバイス。
【請求項117】
前記DNA結合タンパク質は、ジンクフィンガードメイン、ロイシンジッパー、ヘリックスターンヘリックス(HTH)モチーフ、ヘリックスループヘリックス(HLH)モチーフ、ウィングドヘリックス(WH)、ウィングドHTH(WHTH)モチーフ、高移動度群(HMG)ボックス、白色不透明レギュレーター3(White-Opaque Regulator 3/Wor3)ドメイン、オリゴヌクレオチド/オリゴ糖結合(OB)フォールドドメイン、免疫グロブリンフォールド、B3ドメイン、転写アクチベーター様エフェクター(Transcription Activator-Like Effector/TALE)、TALE様タンパク質、またはクラスター化され規則的に間隔が空いた短い回文構造の繰り返し(CRISPR)関連Casタンパク質を含む、請求項105に記載のデバイス。
【請求項118】
前記DNA鋳型は、配列番号7を含む配列を含む、請求項105に記載のデバイス。
【請求項119】
前記バリアントT7 RNAポリメラーゼまたはそのバリアントは、配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項105に記載のデバイス。
【請求項120】
圧電振動子、回転バルブ、ペルチェヒーター、電圧コントローラ、シリンジポンプ、紫外線LED、およびセンサーまたは真空ポンプをさらに含む、請求項105に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2020年10月23日に出願された、米国仮特許出願第63/104,735の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
RNA分子が細胞において重要かつ多様な役割を果たすことから、RNAに基づく療法は様々な疾患を処置するための魅力的な薬物分類である。対象の遺伝子のメッセンジャーRNA(mRNA)、またはマイクロRNA(miRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、およびアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)などの非コードRNAを送達することによって、遺伝子発現を調節するRNA療法は著しく進歩した。加えて、クラスター化され規則的に間隔が空いた短い回文構造の繰り返し(CRISPR)-CRISPR関連(Cas)タンパク質系のためのガイドRNA(gRNA)は、ゲノム編集のために標的部位にCRISPR-Cas系をガイドする際に必須の役割を果たす。プラスミドDNAの代わりに合成RNAを使用することによって、RNA分子の比較的短い半減期に起因して最小限のオフターゲット活性を用いた信頼できる手法が提供される。
【0003】
現在利用可能なRNA合成方法は、短鎖RNA分子に対する化学合成、およびin vitro転写(IVT)などの長鎖RNA分子に対する酵素的合成を含む。化学合成は、純粋かつ高品質のRNA分子を提供し、広範な種類の位置特異的なカスタム修飾を提示する一方で、スケールアップに要する高額な費用および低速度の問題が生じる。IVTによってそれほど高価でない溶液は得られるが、これはエラー率が高く、多くの人手を要する傾向があり、配列編集が制限される。速く、正確で、自動化された、スケーラブルな、かつ費用対効果の高いRNA合成プラットフォームを開発するニーズがある。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、RNAを合成するための方法が本明細書に提供され、上記方法は、表面上で固定されたRNAポリメラーゼを提供する工程と、毎時少なくとも50ヌクレオチドの伸長速度で複数のgRNAを合成する工程であって、gRNAのそれぞれはあらかじめ選択された配列を有しており、合成する工程は1つの伸長反応において一塩基ずつ伸長させることを含む工程とを含む。別の態様では、RNAを合成するための方法が本明細書に提供され、上記方法は、融合RNAポリメラーゼ、またはその機能的断片あるいはバリアントを提供する工程と、毎時少なくとも50ヌクレオチドの伸長速度で複数のgRNAを合成する工程であって、gRNAのそれぞれはあらかじめ選択された配列を有しており、合成する工程は1つの伸長反応において一塩基ずつ伸長させることを含む工程とを含む。いくつかの実施形態では、伸長速度は毎分少なくとも50ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、伸長速度は毎秒少なくとも50ヌクレオチドである。
【0005】
別の態様では、複数の精製されたRNAと、トランケートされたRNAポリメラーゼプロモーター領域をコードする少なくとも1つの一本鎖DNA(ssDNA)とを含む核酸ライブラリーが本明細書に提供される。さらに、少なくとも80ヌクレオチド長の複数の精製されたガイドRNA(gRNA)および2~10ヌクレオチド長の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む核酸ライブラリーが本明細書に提供される。いくつかの態様では、少なくとも50個のガイドRNA(gRNA)を含む核酸ライブラリーを作製する方法が本明細書に提供され、上記方法は、RNAポリメラーゼを使用して少なくとも50個のgRNAを合成する工程であって、少なくとも50個のgRNAのうちの少なくとも1つは標的遺伝子中の標的配列に相補的なスペーサー配列を含み、スペーサー配列の5’末端ヌクレオチドは標的配列の3’末端ヌクレオチドに相補的である工程を含む。いくつかの態様では、5’末端グアニン(G)アナログを含むgRNA配列を含む少なくとも50個の精製されたガイドRNA(gRNA)を含む核酸ライブラリーが本明細書に提供される。
【0006】
いくつかの態様では、核酸ライブラリーが本明細書に提供され、核酸ライブラリーは少なくとも50個のRNAを含み、少なくとも50個のRNAのそれぞれは異なるガイドRNA(gRNA)配列をコードし、少なくとも50個のRNAの少なくとも約90%は、ライブラリー中の少なくとも50個のRNAについての平均頻度の1.5倍以内の量で核酸ライブラリー中にそれぞれ存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも50個のRNAの少なくとも約95%は、ライブラリー中の少なくとも50個のRNAについての平均頻度の1.5倍以内の量で核酸ライブラリー中にそれぞれ存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも50個のRNAの少なくとも約99%は、ライブラリー中の少なくとも50個のRNAについての平均頻度の1.5倍以内の量で核酸ライブラリー中にそれぞれ存在する。
【0007】
一態様では、修飾されたポリペプチド組成物が本明細書に提供され、修飾されたポリペプチド組成物は、精製されたRNAポリメラーゼ、またはその機能的断片あるいはバリアントと、精製された核酸結合タンパク質、任意選択で、タンパク質を含有するジンクフィンガー、またはその機能的断片あるいはバリアントとを含み、精製されたRNAポリメラーゼおよび核酸結合タンパク質は異種であり、精製されたRNAポリメラーゼおよび精製された核酸結合タンパク質は連結される。別の態様では、融合RNAポリメラーゼ、またはその機能的断片あるいはバリアントとDNAポリヌクレオチドとを含む組成物が本明細書に提供され、融合RNAポリメラーゼは、(i)RNAポリメラーゼまたはその断片と、(ii)DNA結合タンパク質とを含み、RNAポリメラーゼおよびDNA結合タンパク質は異種である。
【0008】
一態様では、修飾されたポリペプチドが本明細書に提供され、バリアントT7 RNAポリメラーゼまたはその機能的断片を含み、バリアントT7 RNAポリメラーゼは、K172L、P266L、H772R、N748X、R756M、Q758X、およびE775Vからなる群から選択される少なくとも4つのバリエーションを含み、その位置は配列番号1とのアラインメントによって決定される。他の態様では、修飾されたポリペプチドが本明細書に提供され、バリアントT7 RNAポリメラーゼまたはその機能的断片を含み、バリアントT7 RNAポリメラーゼは、K172L、P266L、H772R、N748X、R756M、Q758X、およびE775Vからなる群から選択される少なくとも1つのバリエーションを含み、その位置は配列番号1とのアラインメントによって決定され、修飾されたポリペプチドは表面上で固定される。
【0009】
一態様では、デバイスであって、表面と、表面に連結された核酸結合タンパク質、またはその機能的断片あるいはバリアントと、DNA結合タンパク質に連結されたT7 RNAポリメラーゼまたはそのバリアントと、トランケートされたT7プロモーター配列を含むDNA鋳型とを含む、デバイスが本明細書に提供される。
【0010】
参照による援用
本明細書で言及されるすべての刊行物、特許、および特許出願は、あたかも個々の刊行物、特許、または特許出願がそれぞれ参照により本明細書に具体的かつ個別に援用されるのと同じ程度にまで、参照により本明細書に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示の特徴は、特に添付の特許請求の範囲に明記される。本開示の特徴と利点についてのよりよい理解は、本開示の原則が用いられている例証的な実施形態を説明する以下の詳細な記載と添付の図面とを参照することによって得られる。
【0012】
【
図1】マイクロ流体ポリヌクレオチド合成の例示的なワークフローの図を描く。
【
図2】マイクロ流体ポリヌクレオチド合成の表面機能化の例示的なプロセスの図を描く。
【
図3A】例示的なマイクロ流体ポリヌクレオチド合成の図を描く。
【
図3B】例示的なマイクロ流体ポリヌクレオチド合成の図を描く。
【
図4】RNA転写(上部)のためのDNA鋳型およびその予測された第2のヘアピン構造(下部)の略図を描く。VはRNA転写のための鋳型、WはDNA融解部位、Xはポリメラーゼプロモーター配列Zに逆相補的でありZとハイブリダイズする配列、YはXとZを接続するループ領域、およびZはXとハイブリダイズするポリメラーゼプロモーター配列を表す。
【
図5】標的DNA配列と一致しない付加的な5’グアニン(G)ヌクレオチドを含有している例示的なガイドRNA(gRNA)を描く。
【
図6】完全に標的DNA配列と一致する例示的なガイドRNA(gRNA)を描く。
【
図8】コンピュータシステムの構造を説明するブロック図である。
【
図9】複数のコンピュータシステム、複数の携帯電話、および個人用携帯情報端末、ならびにネットワーク接続ストレージ(NAS)を組み込むように構成されたネットワークを説明する図である。
【
図10】共有仮想アドレスメモリ空間を用いた、マルチプロセッサコンピュータシステムのブロック図である。
【
図11】ガイドRNA(gRNA)の純度を比較するプロットを描く。各グラフは、マイクロ流体ポリヌクレオチド合成方法によって産生されたgRNA(オレンジ色)、化学合成によって産生されたgRNA(青色)、またはin vitro転写によって産生されたgRNA(緑色)を表す。X軸は溶出時間であり、Y軸は規格化された蛍光単位である。
【
図12】gRNAの純度を比較するプロットを描く。各グラフは、マイクロ流体ポリヌクレオチド合成方法によって産生されたgRNA(青色)、または3つの異なるin vitro転写(IVT)キットによって産生されたgRNA(緑色、赤色、紫色)を表す。X軸は実行時間(秒)であり、Y軸は規格化された蛍光単位である。
【
図13】gRNAの純度を比較するプロットを描く。各グラフは、マイクロ流体ポリヌクレオチド合成方法によって産生された8つの異なるgRNA試料を表す。X軸は実行時間(秒)であり、Y軸は規格化された蛍光単位である。
【
図14】様々な時点での、CRISPR-Cas9による標的DNAの切断についてのin vitro切断アッセイのDNAアガロースゲル電気泳動分析を描く。レーン1:ラダー、レーン2:ブランク、レーン3:0分で得られた、ヘアピンDNA鋳型を使用してin vitro転写によって産生されたgRNA、レーン4:5分で得られた、市販のin vitro転写を行ったgRNA1、レーン5:5分で得られた、市販の化学合成を行ったgRNA2、レーン6:5分で得られた、ヘアピン一本鎖DNA鋳型を使用してin vitro転写によって産生されたgRNAである。
【
図15A】挿入および/または欠失(インデル)のスペクトルおよびそれらの頻度を示すシングルガイドRNA(sgRNA)の分解によるインデルのトラッキング(TIDE)分析を描く。X軸はインデルのスペクトルを示し、Y軸は配列の割合(%)である。左上隅に編集の総合効率(%)が示され、右上隅に決定係数(r2)が示される。
【
図15B】インデルのスペクトルおよびそれらの頻度を示すsgRNAの分解によるインデルのトラッキング(TIDE)分析を描く。X軸はインデルのスペクトルを示し、Y軸は配列の割合(%)である。左上隅に編集の総合効率(%)が示され、右上隅に決定係数(r
2)が示される。
【
図16A】RNAポリメラーゼドメインおよびDNA結合ドメインを含有している市販の酵素ならびに融合酵素の酵素活性を比較するリボヌクレオチドの転写産物の実時間測定のプロットを描く。X軸は時間を示し、Y軸は蛍光読取を相対蛍光単位(RFU)で示す。
【
図16B】リボヌクレオチドの転写産物の実時間測定のプロットを描く。X軸は時間を示し、Y軸は蛍光読取を相対蛍光単位(RFU)で示す。
【
図17A】リボヌクレオチドの転写産物の実時間測定のプロットを描く。X軸は時間を示し、Y軸は蛍光読取を相対蛍光単位(RFU)で示す。
【
図17B】トランケートされたプロモーターと従来のプロモーターとを比較するRNA収率の改善のプロットを描く。X軸はトランケートされたプロモーターの長さを示し、Y軸は倍数改善を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
迅速で、高効率的で、正確で、純粋なRNA産生ができるマイクロ流体ワークフローを使用して、ポリヌクレオチドを生成するための方法、組成物、およびデバイスが本明細書に提供される。本明細書に記載される方法、組成物、およびデバイスは、効率的なRNAポリメラーゼ酵素、マイクロ流体力学、増強された動態、減少したオフターゲット効果を使用して、ポリヌクレオチドを合成する手段を提供する。いくつかの態様では、本明細書に記載される方法、組成物、およびデバイスは、ポリヌクレオチド合成のための単一ユニットのカートリッジベースの携帯可能なシステムを提供する。
【0014】
定義
【0015】
本明細書と添付の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、別段明示されない限り、複数の指示物を含む。用語「または」は、その内容がそれ以外のものを明確に指示していない限り、「および/または」を含む意味で一般に用いられていることにも留意されたい。本明細書で使用されるとき「および/または」、「そのあらゆる組合せ」という用語およびそれらの文法の当量は、交換可能に使用することができる。これらの用語は、どの組合せも具体的に企図されると伝えることができる。単に例示の目的のために、「A、B、および/またはC」あるいは、「A、B、C、またはそのあらゆる組合せ」という句は、「A単独で、B単独で、C単独で、AおよびB、BおよびC、AおよびC、ならびにA、B、およびC」を意味することができる。用語「または」は、もし文脈が特に選言的な使用を具体的に言及していない限り、接続的にまたは選言的に使用することができる。
【0016】
「約(about)」または「およそ(approximately)」という用語は、当業者によって決定されるような特定の値の許容可能な誤差範囲内であることを意味することができ、これは、その値がどのように測定または決定されるか、つまり、測定系の制限に部分的に依存している。例えば、「約」とは、当該技術分野での実践につき1または1を超える標準偏差を意味し得る。代替的に、「約」とは所定の値の最大20%、最大10%、最大5%、または最大1%の範囲内を意味し得る。代替的に、とりわけ生体系または生物学的プロセスに関して、この用語はある値の1桁以内、5倍以内、より好ましくは2倍以内を意味することがある。特定の値が本出願と特許請求の範囲に記載されている場合、特段の定めのない限り、特定の値の許容可能な誤差範囲内を意味する「約」との用語が仮定されなければならない。
【0017】
本開示全体にわたって、数値的特徴は範囲形式で示される。範囲形式での記載は単に利便性と簡潔さのためのものに過ぎず、任意の実施形態の範囲に対する確固たる限定として解釈されてはならないということを理解されたい。これに応じて、範囲の記載は、文脈で別段の定めのない限り、すべての可能性のある下位範囲と、下限の単位の小数第2位までのその範囲内の個々の数値を具体的に開示していると考えられなければならない。例えば、1~6などの範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの下位範囲と、例えば、1.1、2、2.3、5、および5.9のその範囲内の個々の数値を具体的に開示していると考えられなければならない。これは、範囲の広さにかかわらず適用される。これらの介在する範囲の上限および下限は、より小さな範囲内に独立して含まれてもよく、また、定められた範囲内のあらゆる具体的に除外された限界に従って、本発明内に包含される。定められた範囲が上限および下限の1つまたはその両方を含む場合、これらの含まれた上限および下限のいずれかまたは両方を除く範囲も、文脈から明確に指示されない限り、本発明内に包含される。
【0018】
本明細書および特許請求の範囲で使用されるとき、単語「含んでいる(comprising)」(および「含む(comprise)」と「含む(comprises)」などの「含んでいる(comprising)」の語形)、「有している(having)」(および「有する(have)」と「有する(has)」などの「有している(having)」の語形)、「含んでいる(including)」(および「含む(includes)」と「含む(include)」などの「含んでいる(including)」の語形)、または「含んでいる(containing)」(および「含む(contains)」と「含む(contain)」などの「含んでいる(containing)」の語形)は、包括的または無制限であり、および追加の列挙されていない要素または方法工程を除外しない。本明細書で論じられるいかなる実施形態も、本開示の方法または組成物に関して実施することができ、逆もまた同様である。さらに、本開示の組成物は、本開示の方法を達成するために使用することができる。
【0019】
本明細書における「いくつかの実施形態」、「実施形態」、「一実施形態」または「他の実施形態」への言及は、実施形態と関連して記載される特定の特徴、構造または特性が、本発明の少なくともいくつかの実施形態に含まれるが、必ずしも本開示のすべての実施形態には含まれないことを意味する。本開示の理解を促すために、多くの用語や成句は以下のように定義される。
【0020】
本明細書で使用されるとき、「あらかじめ選択された配列(preselected sequence)、「あらかじめ定められた配列(predefined sequence)」、または「あらかじめ決定された配列(predetermined sequence)」という用語は、交換可能に使用される。用語は、ポリ核酸配列が、公知であり、ポリ核酸の合成または組立の前に選択されることを意味する。特に、本明細書に記載される本発明の様々な態様は、主に核酸分子の調製に関するものであり、ポリ核酸配列は、公知であり、核酸分子の合成または組立の前に選択される。
【0021】
ポリペプチドまたはタンパク質を記載するために使用された命名法は、各アミノ酸残基のアミノ基が左(アミノ-またはN末端)、およびカルボキシル基が右(カルボキシ-またはC末端)にある従来の実施に従っている。アミノ酸残基位置がポリペプチドまたはタンパク質中で参照される場合、それらはアミノからカルボキシルの方向へ番号を付けられ、1番目の位置は、その残基が一部分であり得るポリペプチドまたはタンパク質のアミノ末端にある残基である。本明細書に記載されるペプチドのアミノ酸配列は、標準の単一の文字シンボルを使用して通常指定される。(Aはアラニン、Cはシステイン、Dはアスパラギン酸、Eはグルタミン酸、Fはフェニルアラニン、Gはグリシン、Hはヒスチジン、Iはイソロイシン、Kはリシン、Lはロイシン、Mはメチオニン、Nはアスパラギン、Pはプロリン、Qはグルタミン、Rはアルギニン、Sはセリン、Tはトレオニン、Vはバリン、Wはトリプトファン、およびYはチロシンである)。
【0022】
この記載の特定の詳細は、様々な実施形態についての完全な理解を提供するために記載される。しかし、当業者はこれらの詳細がなくとも、本開示が実行され得ることが理解されよう。他の例では、実施形態の記載を不必要に不明瞭にしないように、周知の構造は詳細に描かれたり示されたりしていない。文脈が特別に必要としない限り、以下の明細書と請求項の全体にわたって、「含む(comprise)」という単語およびその変更形態(例えば、「含む(comprises)」または「含むこと(comprising)」)は、開かれた包括的な意味で、すなわち、「限定されないが、~を含む」という意味で解釈されるものとする。さらに、本明細書で提供される見出しは、便宜上のものであり、本開示の範囲や意味を解釈するものではない。
【0023】
他に特段の定義のない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語はすべて、本開示が属する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有している。本明細書に記載される方法および物質に類似したまたは同等の方法および物質は、本開示の実施または試験に使用され得るが、適切な方法および物質が以下に記載される。
【0024】
マイクロ流体ポリヌクレオチド合成、デバイス、およびシステム
【0025】
速く、純粋、かつ正確な方法でポリヌクレオチドを産生する方法、組成物、デバイス、およびシステムが本明細書に提供される。さらに、マイクロ流体力学、増強された動態、および減少したオフターゲット効果を用いて非常に正確で効率的なポリヌクレオチド合成ができる単一ユニットのカートリッジベースのシステムを使用して、ポリヌクレオチドを産生するためのデバイスおよびシステムが本明細書に提供される。オリゴヌクレオチド、オリゴ、およびポリヌクレオチドという用語は全体で同義であると定義される。本明細書に記載された核酸(例えば、DNAまたはRNA)のライブラリーは、コードまたは非コードのRNA配列を集団的にコードする複数のポリヌクレオチドを含み得る。いくつかの例では、コード配列はメッセンジャーRNA(mRNA)を含み得る。いくつかの例では、非コードの配列は、ガイドRNA(gRNA)、マイクロRNA(miRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、piwi相互作用RNA(piRNA)、RNAアプタマー、転移RNA(tRNA)、またはアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を含み得る。いくつかの例では、核酸ライブラリーは複数のポリヌクレオチドを含み、各ポリヌクレオチドは異なる配列をコードし得る。
【0026】
マイクロ流体ワークフローを使用した、ポリヌクレオチドの産生のための方法、組成物、デバイス、およびシステムが本明細書に提供される。マイクロ流体力学は、キャピラリー浸透が大量輸送を向ける小規模(10~100μm)に幾何学的に抑制されるチャネルのネットワーク中で、μLからpLへの範囲中で、流体を制御および操作する科学を利用する。マイクロ流体力学によって、試料および試薬の消費の減少、より短い実験時間、ならびに適用にかかる全体的なコストの削減を含む多くの利点が提示される。加えて、マイクロ流体力学によって、ポリヌクレオチド合成の自動化および小型化が可能になり、これにより合成の精密さと正確さを改善し、1つのマイクロ流体のチップまたはカートリッジ中の多数のチャンバを同時に作動することによって非常に迅速に合成を行うことができる。
【0027】
例示的なワークフローでは、本明細書に記載されたカートリッジ中のマイクロ流体ポリヌクレオチド合成は、表面の機能化、RNA合成、およびRNA精製と品質管理の3つのステージを含み得る(
図1)。ステージ1では、表面はマイクロ流体カートリッジ中で転写系をセットアップするために機能化される。表面は、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHS)官能基、無水トリフルオロ酢酸(TFAA)官能基、またはグルタルアルデヒド(GA)官能基を含むが、これらに限定されない官能基を用いた表面の活性化により機能化され得る。例えば、ポリヌクレオチドの付着と合成を支持するために、標準N-ヒドロキシ-スクシンイミド(NHS)官能基を用いて活性化される磁気ビーズまたはアガロースビーズなどの表面は、マイクロ流体カートリッジの各反応チャンバで提供される(
図1および
図2)。NHS官能基(201)は、標的タンパク質、例えば、ストレプトアビジン(strep)(202)などのDNA結合タンパク質またはその機能的断片上で第一級アミンと反応し得、安定したアミド結合を形成する(
図2のステップ1)。その後、マイクロ流体ポリヌクレオチド合成に要する他の必要な要素(例えば、転写タンパク質)が添加される前に、NHS反応はクエンチされることがある。この2段階反応により、NHS反応化学から、ポリメラーゼを含む他の転写複合タンパク質が防御され得る。結果として生じる固定されたタンパク質は、ビーズ(203)に共有結合でコンジュゲートされ、ビーズ表面からの浸出に高い耐性を示し得る。各ビーズは、
図2において1つの合成反応が発生し得る1つのチャンバを表すが、1つより多くのビーズが各チャンバで提供され得る。その後、転写複合体(204)が組み立てられる(
図2のステップ2)。ポリメラーゼの例として、T7 RNAポリメラーゼ(205)が、任意選択で、DNA結合タンパク質を融合パートナー1に連結し、かつポリメラーゼを融合パートナー2に連結するリンカーを用いて、安定した転写複合体(204)を形成するために、融合パートナー相互作用(206)(
図2のステップ2において青色の三角形および紫色の三角形)を通じてDNA結合タンパク質またはその機能的断片(例えば、strep、もしくはジンクフィンガーアレイタンパク質)に添加され、結合する。その後、DNA鋳型が、DNA結合タンパク質またはその機能的断片に添加され、結合する(
図2のステップ3)。例えば、DNA鋳型は、
図2に示されるようなstrepとの相互作用のためにビオチン化(207)され得る。別の例では、DNA鋳型は、ポリメラーゼと融合されたDNA結合タンパク質(例えば、ZFA)を通じてポリメラーゼとの相互作用のためのDNA結合標的配列(例えば、ジンクフィンガーアレイ(ZFA)結合配列)を含み得る。本明細書に記載されるようなDNA鋳型は、二本鎖DNA(dsDNA)、部分的二本鎖DNA、または一本鎖DNA(ssDNA)を含み得る。DNA鋳型は、二次構造、例えばヘアピンを含むssDNAであり得る(
図4)。本明細書に記載されるDNA鋳型は、RNAポリメラーゼが結合しRNA合成を開始するプロモーター領域を含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロモーター領域は、必須のプロモーター領域および/または非必須のプロモーター領域を含み得る。本明細書に記載されるRNAポリメラーゼは、バクテリオファージRNAポリメラーゼ、細菌RNAポリメラーゼ、または真核生物RNAポリメラーゼを含み得る。ファージRNAポリメラーゼの非限定的な例として、T3 RNAポリメラーゼ、T7 RNAポリメラーゼ、KP34 RNAポリメラーゼ、N4 RNAポリメラーゼ、およびSP6 RNAポリメラーゼが挙げられる。例えば、RNAポリメラーゼは、
図2に示されるようなT7 RNAポリメラーゼであり得る。本明細書に記載されるRNAポリメラーゼは、DNA認識、DNA結合親和性、ポリメラーゼ活性、またはポリメラーゼの安定性に影響し得る1つ以上のアミノ酸置換を含む野生型RNAポリメラーゼあるいはバリアントRNAポリメラーゼを含み得る。本明細書に記載されるように、RNAポリメラーゼは、
図2に示されるように、マイクロ流体RNA合成のためのDNA鋳型を認識し結合することができるRNAポリメラーゼ(例えば、T7 RNAポリメラーゼまたはそのバリアント)および異種のDNA結合タンパク質またはドメイン(例えば、strepまたはZFA)を含む融合タンパク質として提供され得る。いくつかの例では、ポリメラーゼは、カートリッジ中のバイオマトリックス中で乾燥され得る。この例では、ポリメラーゼは、カートリッジをマイクロ流体ポリヌクレオチド合成のために使用する前に再水和され得る。いくつかの例では、ポリメラーゼを含むカートリッジは、カートリッジ中のポリメラーゼを保存するためにドライアイス、氷、または室温中で輸送され得る。いくつかの例では、DNA鋳型は、ビーズなどの表面に直接連結され得る。いくつかの例では、表面は、磁気ビーズ、アガロースビーズ、溶融石英、ゾル-ゲル、シリカポリマー、シリカモノリス、セルロース、寒天、アクリルアミド、金ビーズ、またはゲルマトリックスを含み得る。いくつかの例では、固体表面は、RNAポリメラーゼ、DNA鋳型、または核酸結合タンパク質のカプセル化あるいは取り込み(entrapment)のためのゲルマトリックスを含むことがある。いくつかの例では、RNAポリメラーゼは、表面に連結されたDNA鋳型に結合し得る。
【0028】
ステージ2では、転写反応試薬(301)は、シリンジポンプによってマイクロ流体カートリッジに注入され、マイクロ流体RNA合成用に各反応チャンバに固定されたRNAポリメラーゼ(303)および固定されたDNA鋳型(304)を含む転写複合体(302)上に流される(
図3A)。転写反応試薬は、混合基、5’イニシエーターオリゴ、および3’ターミネーターオリゴを含むが、これらに限定されない。いくつかの例では、修飾された核酸塩基は、1つ以上の修飾を含むRNAを合成するために使用され得る。例えば、混合基は、天然のヌクレオシド、ヌクレオシドアナログ、化学的に修飾された塩基、生物学的に修飾された塩基、インターカレートされた塩基、修飾された糖類、および/または修飾されたリン酸基を含み得る。マイクロ流体RNA合成については、反応チャンバの温度を37℃に維持するために熱電ペルチェ素子ヒーター(305)が利用され得る(
図3B)。転写反応試薬が一方向へ各反応チャンバを通って流れるとともに、RNAは、産生され、流量によって制御されるため約数秒で反応チャンバから除去される(
図3B)。
【0029】
ステージ3では、新たに合成されたポリヌクレオチド(例えばRNA)はマイクロピラーアレイおよび/または等速電気泳動(ITP)精製プロセスあるいは当業者に知られている任意の既知の精製方法を使用して、抽出かつ精製され、その後、UV LEDおよびUV検出器を使用して、UVが分光学的に定量化される(
図1)。ITPは、強力な電場勾配を生成し、それらの電気泳動移動度に基づいた荷電種の選択的な集束および分離を可能にする、強固な電気泳動分離および予備濃縮技術である。ITP電解液の化学作用は、標的サイズ範囲内のRNAを精製するために制御され得る。代替的に、電荷とサイズに基づいて、電界における異なる移行速度によって荷電種が分離される分離技術である、キャピラリー電気泳動(CE)が精製に使用され得る。完成したポリヌクレオチド産物は保存され、核酸ライブラリーが合成され得る。合成されたポリヌクレオチドはマイクロピラーアレイを使用しても精製され得る。マイクロピラーのアレイによって、合成されたポリヌクレオチドを捕捉するまたは閉じ込めることができる一方で、マイクロ流体ポリヌクレオチド合成の他の成分は洗浄緩衝液中のマイクロピラーを通って継続的に流れている。マイクロピラー中で捕捉されたまたは閉じ込められたポリヌクレオチドは、溶出緩衝液を使用して抽出され得る。
【0030】
本明細書に記載されるマイクロ流体ポリヌクレオチド合成の方法、組成物、および/またはデバイスを使用して合成されたポリヌクレオチドを保存する方法が、本明細書に提供される。合成されたポリヌクレオチドは、合成直後に使用されるか、または後の使用のために保存され得る。いくつかの実施形態では、合成されたポリヌクレオチドは、冷蔵庫または冷凍庫に保存され得る。例えば、合成されたポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチド保存に適していると知られる任意の温度で保存され得る。いくつかの実施形態では、合成されたポリヌクレオチドは、4℃、-20℃、または-80℃で保存され得る。いくつかの実施形態では、合成されたポリヌクレオチドは、真空ポンプを使用して、バイオマトリックス中で乾燥され得る。この実施形態では、乾燥したポリヌクレオチド産物は、使用の前に再水和され得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、マイクロ流体ポリヌクレオチド合成用のデバイスは、圧電振動子、回転バルブ、ペルチェヒーター、電圧コントローラ、シリンジポンプ、UV LEDおよびセンサー、または真空ポンプをさらに含む。いくつかの実施形態では、圧電振動子は、転写反応試薬などのマイクロ流体ポリヌクレオチド合成用の混合成分を改良するために使用され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の回転バルブは、イニシエーターオリゴを選択するために使用され得る。いくつかの実施形態では、ペルチェヒーターは、マイクロ流体ポリヌクレオチド合成のための最適温度を維持するために使用され得る。いくつかの実施形態では、電圧コントローラは、ITP精製のための電圧を印加するために使用され得る。いくつかの実施形態では、UV LEDおよびセンサーは、合成されたポリヌクレオチドを検出し、定量化するために使用され得る。いくつかの実施形態では、真空ポンプは、合成されたポリヌクレオチドを乾燥するために使用され得る。
【0032】
RNAの迅速な合成を可能にする、RNAを合成するための組成物、方法、デバイス、およびシステムが本明細書に提供される。毎時少なくとも50ヌクレオチドの伸長速度で複数のRNAを合成する方法が本明細書に提供される。さらに、あらかじめ選択された配列を有するRNAを合成するための組成物、方法、デバイス、および系が本明細書に提供される。さらに、RNAを合成するための組成物、方法、デバイス、および系が本明細書に提供され、合成は1つの伸長反応において一塩基ずつ伸長させることを含む。本明細書に記載されるようなRNAとしては、ガイドRNA(gRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、piwi相互作用RNA(piRNA)、RNAアプタマー、転移RNA(tRNA)、またはアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)が挙げられ得る。
【0033】
毎時少なくとも50ヌクレオチドの伸長速度で複数のRNAを合成するための組成物、方法、デバイス、およびシステムが本明細書に提供される。例えば、伸長速度は、毎時少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3100、3200、3300、3400、3500、3600、3700、3800、3900、または4000ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、伸長速度は、毎分少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3100、3200、3300、3400、3500、3600、3700、3800、3900、または4000ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、伸長速度は、毎分少なくとも50ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、伸長速度は、毎分少なくとも3000ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、伸長速度は、毎秒少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、伸長速度は、毎秒少なくとも50ヌクレオチドである。
【0034】
改良された酵素反応動力学および正確さなどのポリヌクレオチド合成のための技術的な利点を用いたマイクロ流体ポリヌクレオチド合成のための複数の特徴を有する表面を有する、デバイスが本明細書に提供される。本明細書に提供されるデバイスは、プログラム可能な流体操作のための空圧かつ蠕動のポンプシステムを含み得る。蠕動ポンプシステムは連続的に作動するか、あるいは少量の流体を運ぶことがある。いくつかの例では、循環する流量を最小限に抑えることが所望される。いくつかの例では、蠕動ポンプシステムはマイクロポンプ構造をマイクロ流体回路に取り入れ得る。マイクロ流体カートリッジ、流入口、流出口、薄膜、空圧マイクロバルブ、空圧マイクロポンプ、または空圧マイクロバルブおよび空圧マイクロポンプ用の1つ以上の孔を含むデバイスが本明細書に提供される。本明細書に記載されたデバイス中のチャネルおよび孔は、レーザーアブレーション技術によって作られ得る。
【0035】
フローセルまたはチャンバを含むマイクロ流体カートリッジを含むデバイスがさらに本明細書に提供される。本明細書に記載されたマイクロ流体カートリッジは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または少なくとも10個のフローセルあるいはチャンバを含み得る。いくつかの例では、マイクロ流体カートリッジは、少なくとも3つのフローセルまたはチャンバを含み得る。いくつかの例では、マイクロ流体カートリッジは、反応チャンバ、収集チャンバ、またはITPチャンバを含み得る。いくつかの実施形態では、マイクロ流体カートリッジは、反応チャンバ、収集チャンバ、およびITPチャンバを含む。本明細書に記載された反応チャンバおよび収集チャンバは、ガラスウェハまたはシリコンウェハを利用し得る。いくつかの例では、反応チャンバおよび収集チャンバはガラスウェハおよびシリコンウェハを利用し得る。本明細書に記載されるようなITPチャンバは、ガラスウェハを利用し得る。いくつかの例では、ITPチャンバはITPのために印加された電圧によってのみガラスウェハを利用し得る。
【0036】
本明細書に記載されるように、シリコンウェハは、25~450mmの直径を有し得る。例えば、シリコンウェハは、25、30、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、または450mmの直径を有し得る。いくつかの実施形態では、シリコンウェハは200mmの直径を有し得る。本明細書に記載されるように、シリコンウェハは、100μm~15mmの厚さまたは高さを有し得る。例えば、シリコンウェハは、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、または1,000μmの厚さまたは高さを有し得る。いくつかの実施形態では、シリコンウェハは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15mmの厚さまたは高さを有し得る。
【0037】
本明細書に記載されるように、ガラスウェハは25~450mmの直径を有し得る。例えば、ガラスウェハは、25、30、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、または450mmの直径を有し得る。いくつかの実施形態では、ガラスウェハは200mmの直径を有し得る。本明細書に記載されるように、ガラスウェハは、0.1~1.3mmの厚さまたは高さを有し得る。例えば、ガラスウェハは、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、または1.3mmの厚さまたは高さを有し得る。
【0038】
本明細書に記載されるように、シリコンウェハまたはガラスウェハは、1つ以上のダイを含み得る。いくつかの例では、1つ以上のダイのそれぞれは、0.5~70mmの幅を有する。例えば、1つ以上のダイのそれぞれは、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70mmの幅を有し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のダイのそれぞれは、25mmの幅を有する。いくつかの例では、1つ以上のダイのそれぞれは、0.5~70mmの高さを有する。例えば、1つ以上のダイのそれぞれは、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70mmの高さを有し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のダイのそれぞれは、37mmの高さを有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のダイのそれぞれは、75mmの高さを有する。いくつかの例では、シリコンウェハまたはガラスウェハは、1つのウェハ当たりのダイ(DPW)の数が1~30であり得る。例えば、DPWの数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、または1000であり得る。いくつかの実施形態では、DPWの数は8である。いくつかの実施形態では、DPWの数は20である。
【0039】
複数のマイクロチャンバを含むデバイスが本明細書に提供され、チャンバの高さまたは深さは100nm~100μmである。例えば、チャンバの高さまたは深さは、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、または1,000nmであり得る。例えば、チャンバの高さまたは深さは、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100μmであり得る。複数のマイクロチャンバを含むデバイスがさらに本明細書に提供され、チャンバの幅は100nm~100μmである。例えば、チャンバの幅は、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、または1,000nmであり得る。例えば、チャンバの幅は、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100μmであり得る。
【0040】
1つ以上の反応チャンバを含むデバイスが本明細書に提供され、各反応チャンバは1つのDNA鋳型を含む。DNA鋳型は、マイクロ流体カートリッジの組立後に反応チャンバに添加され得る。いくつかの例では、マイクロ流体カートリッジは2つ以上の反応チャンバを含み得、2つ以上の反応チャンバのそれぞれは同じDNA鋳型を含むため、同じRNA配列を有する複数のRNA(例えば、gRNA、miRNA、siRNA、mRNAなど)を産生する。いくつかの例では、マイクロ流体カートリッジは2つ以上の反応チャンバを含み、2つ以上の反応チャンバのそれぞれは異なるDNA鋳型を含むため、2つ以上のRNAの群を複数産生し、2つ以上のRNAの群のそれぞれは、異なるRNA配列を含む。例えば、マイクロ流体カートリッジは3つの反応チャンバを含み得、3つの反応チャンバのそれぞれは異なるDNA鋳型を含むため、3つの様々な配列を有する複数のRNAを産生する。
【0041】
マイクロ流体ポリヌクレオチド合成のためのデバイスが本明細書に提供され、流体はマイクロ流体ポリヌクレオチド合成のための本明細書に記載されたデバイスの入口から出口へ流れ得る。入口から出口へ流体が流れるため、本明細書において様々な流量が、合成されたポリヌクレオチドのマイクロ流体ポリヌクレオチドの合成または精製用の転写反応試薬に使用される。いくつかの例では、流量は、約0.001~1000nL/秒(nL/s)である。いくつかの例では、流量は、約0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、5、10、15、20、50、75、100、125、150、200、250、300、350、400、500、800、または約1000nL/秒(nL/s)である。いくつかの例では、流量は、少なくとも0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、5、10、15、20、50、75、100、125、150、200、250、300、350、400、500、または少なくとも800nL/秒(nL/s)である。いくつかの例では、流量は、0.005、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、5、10、15、20、50、75、100、125、150、200、250、300、350、400、500、800以下、または1000nL/秒(nL/s)以下である。いくつかの例では、流量は、約1、5、10、15、20、50、75、100、125、150、200、250、300、350、400、または約500μL/秒(μL/s)である。いくつかの例では、流量は、少なくとも1、5、10、15、20、50、75、100、125、150、200、250、300、350、400、または少なくとも500μL/sである。いくつかの例では、流量は、5、10、15、20、50、75、100、125、150、200、250、300、350、400以下、または500μL/s以下である。いくつかの例では、流量は、約1~500μL/s、約5~500μL/s、約10~400μL/s、約20~300μL/s、約50~500μL/s、約50~400μL/s、約50~300μL/s、約75~300μL/s、約100~400μL/s、約200~500μL/s、または約40~350μL/sである。いくつかの例では、流量は約40~350μL/sである。いくつかの例では、流量は約75~250μL/sである。いくつかの例では、流量は約50~400μL/sである。
【0042】
マイクロ流体ポリヌクレオチド合成のためのデバイスが本明細書に提供され、デバイスは1μm~1cmの幅、高さ、または直径を有するチャネルを含み得る。例えば、マイクロ流体ポリヌクレオチド合成デバイス上のチャネルは、少なくとも1、5、10、15、20、50、75、100、125、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、または少なくとも950μmの幅、高さ、あるいは直径を有し得る。例えば、マイクロ流体ポリヌクレオチド合成デバイス上のチャネルは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800、810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990、または1000mmの幅、高さ、あるいは直径を有し得る。いくつかの実施形態では、マイクロ流体ポリヌクレオチド合成デバイス上のチャネルは、約1μL~100mLの全容量を有し得る。例えば、マイクロ流体ポリヌクレオチド合成デバイス上のチャネルは、少なくとも約1、5、10、15、20、50、75、100、125、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、または少なくとも約950μLの全容量を有し得る。いくつかの実施形態では、マイクロ流体ポリヌクレオチド合成機器上のチャネルは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100mLの全容量を有し得る。
【0043】
マイクロ流体ポリヌクレオチド合成のためのデバイスが本明細書に提供され、合成されたポリヌクレオチドは、ITP精製プロセスを使用して精製され得る。ITP精製プロセスに使用される電圧は、ITP精製プロセスに使用されるカラムまたはチャネルの長さに依存し得る。例えば、電圧は10~500Vであり得る。例えば、電圧は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、または500Vであり得る。
【0044】
マイクロ流体ポリヌクレオチド合成のためのデバイスが本明細書に提供され、合成されたポリヌクレオチドは、マイクロピラーのアレイを使用して精製され得る。マイクロピラーは、直径0.1~10.0μmであり得る。例えば、マイクロピラーは、直径0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、7.0、8.0、9.0、9.5、または10.0μmであり得る。いくつかの実施形態では、マイクロピラーの高さは10~50μmであり得る。例えば、マイクロピラーの高さは、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50μmであり得る。いくつかの実施形態では、マイクロピラーのアレイは、100~1500nm間隔のマイクロピラーを含み得る。例えば、マイクロピラーは、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100、1150、1200、1250、1300、1350、1400、1450、または1500nm間隔であり得る。
【0045】
マイクロ流体ポリヌクレオチド合成のためのデバイスが本明細書に提供され、マイクロ流体ポリヌクレオチド合成の界面化学および流体力学によって、酵素反応動力学を増加、純度を増強でき、5’末端、3’末端、および内部化学修飾を含むRNA修飾が可能になる。統合されたRNA精製および品質管理を可能にするマイクロ流体ポリヌクレオチド合成のためのデバイスが本明細書に提供され、これにより生産コストを下げることができる。
【0046】
DNA鋳型
【0047】
DNA鋳型を使用してポリヌクレオチドを産生するための方法、組成物、デバイス、およびシステムが本明細書に提供される。本明細書に記載されるDNA鋳型は、二本鎖DNA(dsDNA)、部分二本鎖DNA、または一本鎖DNA(ssDNA)であり得る。DNA鋳型としては、クローニング、例えば、プラスミドベクター、PCR産物、オリゴヌクレオチド、例えば、共にアニーリングされた2つの相補的なオリゴヌクレオチド、または第1の鎖および第2の鎖の合成によりRNA前駆体から生成された相補的DNA(cDNA)鋳型によって操作された、線形化されたプラスミド構築物が挙げられ得るが、これに限定されない。DNA鋳型は、RNAポリメラーゼがRNA合成に結合およびRNA合成を開始するプロモーター領域を含み得る。例えば、T7 RNAポリメラーゼは、転写を開始するためにdsDNAプロモーターを必要とする。二本鎖鋳型の巻戻プロセスが必要ではないため、ssDNAは必要とするエネルギーが少なく、鋳型から分離する可能性が低く、より速い開始が可能になり、伸長にはdsDNA鋳型を必要としないため、転写にはdsDNA鋳型よりもssDNA鋳型が望ましい。本明細書に記載されるssDNA鋳型は、RNAポリメラーゼによる認識のための部分二本鎖プロモーター領域を作るために二次構造を含み得る。二次構造の例としては、ステム、シュードノット、ヘアピンループ、内部ループ、マルチ分岐ループ、およびバルジループが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロモーター領域は、必須のプロモーター領域および/または非必須のプロモーター領域を含み得る。例示的なssDNA鋳型は、
図4に示され、5’から3’の方向に、RNA転写のための鋳型配列(401)、DNA融解領域(402)、プロモーター配列(403)、(403)と(405)とを接続するループ(404)、およびプロモーター配列の逆相補的な対応物(405)を含む。(405)が(403)にハイブリダイズすると、ssDNA鋳型は、二次構造、例えばヘアピンを形成し、RNAポリメラーゼによって認識され得る部分二本鎖領域が生じる。いくつかの実施形態では、二次構造はヘアピンを含む。いくつかの実施形態では、ヘアピン構造の例示的な配列は、配列番号7を含む配列を含み得る。
【0048】
本明細書に記載されるように、プロモーター配列を含む、マイクロ流体ポリヌクレオチド合成のためのDNA鋳型が本明細書に提供される。本明細書に記載されるDNA鋳型は、RNA合成のために選択されたRNAポリメラーゼに対応するプロモーター配列を含み得る。例えば、DNA鋳型は、RNA合成のためのRNAポリメラーゼの選択に応じて、ファージプロモーター配列、例えばT3プロモーター配列、T7プロモーター配列、KP34プロモーター配列、N4プロモーター配列、またはSP6プロモーター配列を含み得る。T7プロモーター配列を含むDNA鋳型が本明細書に提供される。本明細書に提供されるDNA鋳型は、必須のT7プロモーターおよび/または非必須のT7プロモーターを含み得る。いくつかの実施形態では、T7プロモーター配列は必須のT7プロモーター配列を含む。いくつかの実施形態では、T7プロモーター配列は非必須のT7プロモーター配列を含む。いくつかの実施形態では、T7プロモーター配列は必須のT7プロモーター配列および非必須のT7プロモーター配列を含む。いくつかの実施形態では、必須のT7プロモーター配列は、配列番号15を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、非必須のT7プロモーター配列は、配列番号16を含む配列を含む。トランケートされたプロモーター配列を含むDNA鋳型が、さらに本明細書に提供される。いくつかの例では、本明細書に記載されるDNA鋳型は、トランケートされたT7プロモーター配列を含み得る。一例では、トランケーションはT7プロモーター配列の5’末端上であり得る。別の例では、トランケーションはT7プロモーター配列の3’末端上であり得る。いくつかの実施形態では、T7プロモーター配列は、配列番号3を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、T7プロモーター配列は、配列番号4を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、T7プロモーター配列は、配列番号5を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、T7プロモーター配列は、配列番号6を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、トランケーションは非必須のT7プロモーター配列中であり得る。
【0049】
DNA結合タンパク質またはDNA結合ドメインによって認識されるDNA結合標的配列をさらに含む、マイクロ流体ポリヌクレオチド合成のためのDNA鋳型が本明細書に提供される。いくつかの例では、DNA結合タンパク質またはDNA結合ドメインによって認識されるDNA結合標的配列は、ジンクフィンガーアレイ(ZFA)結合配列を含み得る。いくつかの実施形態では、DNA鋳型は、ZFA結合配列の1つ以上のコピーを含み得る。例えば、DNA鋳型は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10、あるいはそれ以上のZFA結合配列のコピーを含み得る。本明細書に記載されるように、DNA鋳型は、ZFA結合配列の1つ以上のコピーを含み得、ZFA結合配列の1つ以上のコピーは、ZFA結合配列の1つ以上のコピーのそれぞれの間のヌクレオチドリンカーまたは挿入物と直列に配置することができる(例えば、5’-ZFA-ヌクレオチドリンカー-ZFA-ヌクレオチドリンカー-…-3’)。いくつかの例では、ヌクレオチドリンカーまたは挿入物は、2~30ヌクレオチド長を含み得る。例えば、ヌクレオチドリンカーまたは挿入物は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30ヌクレオチド長を含み得る。いくつかの実施形態では、ヌクレオチドリンカーまたは挿入物は、8、9、または10ヌクレオチド長を含む。プロモーター配列の上流または5’からプロモーター配列に1つ以上のZFA結合配列のコピーを含むDNAの鋳型が、本明細書に提供される(例えば、5’-(ZFA-ヌクレオチドリンカー)n-プロモーター配列-3’であって、nは1~10の整数である)。いくつかの実施形態では、プロモーター配列は、トランケートされたプロモーター配列である。
【0050】
1つ以上のDNA結合標的配列(例えば、ZFA結合配列の1つ以上のコピー)およびトランケートされたプロモーター配列を含む、プログラム可能なRNA合成のためのDNA鋳型が本明細書に提供される。本明細書に記載されるDNA鋳型は、DNA結合ドメイン(例えば、ZFA)およびRNAポリメラーゼ(例えば、T7 RNAポリメラーゼ)を含む融合タンパク質を利用するプログラム可能なRNA合成系の中で使用することができる。この系では、結合親和性はRNA転写に重要な要素であり、DNA鋳型に融合タンパク質の結合親和性を適合させるために、ZFA結合配列などのDNA結合標的配列のコピーを操作することによりRNA合成をプログラムできる。
【0051】
本明細書に記載されるように、DNA鋳型は様々な長さであり得る。例えば、DNA鋳型は、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも150、少なくとも200、または少なくとも300ヌクレオチド長を含み得る。いくつかの例では、DNA鋳型は、最大70、最大80、最大90、最大100、最大120、最大140、最大160、最大180、または最大200ヌクレオチド長を含む。いくつかの例では、DNA鋳型は、約40、約50、約60、約70、約80、約90、約100、約120、約140、約160、約180、約200、約250、または約300ヌクレオチド長を含む。いくつかの例では、DNA鋳型は少なくとも60ヌクレオチド長を含む。いくつかの実施形態では、DNA鋳型は少なくとも120ヌクレオチド長を含む。いくつかの実施形態では、DNA鋳型は最大80ヌクレオチド長を含む。
【0052】
本明細書に記載されるようなDNA鋳型は、コードRNAまたは非コードRNAを合成するための配列を含み得る。コードRNAの非限定的な例としてはmRNAが挙げられ、非コードRNAの非限定的な例としてはgRNA、miRNA、siRNA、shRNA、およびASOが挙げられる。例えば、DNA鋳型は、CRISPR-Cas9を介した遺伝子編集のために疾患または疾病に含まれる特定の遺伝子を標的化するのに使用できるgRNAを合成するための配列を含み得る。いくつかの例では、標的遺伝子は、癌に含まれる遺伝子、例えば、急性リンパ性癌、急性骨髄性白血病、胞巣状横紋筋肉腫、膀胱癌、骨癌、脳癌、乳癌、肛門、肛門管、直腸の癌、眼の癌、肝内胆管の癌、関節の癌、首、胆嚢、または胸膜の癌、鼻、鼻腔、または中耳の癌、口腔癌、外陰癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性癌、結腸癌、食道癌、子宮頚癌、線維肉腫、胃腸カルチノイド腫瘍、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、腎癌、喉頭癌、白血病、液性腫瘍、肝臓癌、肺癌、リンパ腫、悪性中皮腫、肥満細胞腫、黒色腫、多発性骨髄腫、鼻咽腔癌、非ホジキンリンパ腫、卵巣癌、膵臓癌、腹膜、網、および腸間膜の癌、咽頭癌、前立腺癌、直腸癌、腎癌、皮膚癌、小腸癌、軟組織癌、固形腫瘍、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、尿管癌、および/あるいは膀胱癌に含まれる遺伝子を含み得る。いくつかの例では、標的遺伝子はMAGE-1、MAGE-2、MAGE-3、CEA、チロシナーゼ、ミッドカイン、BAGE、CASP-8、β-カテニン、CA-125、CDK-1、ESO-1、gp75、gplOO、MART-1、MUC-1、MUM-1、p53、PAP、PSA、PSMA、ras、trp-1、HER-2、TRP-1、TRP-2、IL13Ralpha、IL13Ralpha2、AIM-2、AIM-3、NY-ESO-1、C9orfll2、SART1、SART2、SART3、BRAP、RTN4、GLEA2、T KS2、KIAA0376、ING4、HSPH1、C13orf24、REIC、RBPSUH、C6orfl53、KTR、NSEP1、U2AF1L、CY L2、TPR、SOX2、GOLGA、BMI1、COX-2、EGFRvIII、EZH2、LICAM、Livin、MRP-3、ネスチン、OLIG2、ART1、ART4、B-サイクリン、Glil、Cav-1、カテプシンB、CD74、e-カドヘリン、EphA2/Eck、Fra-l/Fosll、GAGE-1、ガングリオシド/GD2、GnT-V、β1,6-Ν、Ki67、Ku70/80、PROX1、PSCA、SOX10、SOX11、サバイビン、UPAR、メソテリン、WT-1、RET、ERBB2またはHER2、PDGF-Rβ、SRC、PRAD1/サイクリンD1、C-Myc、BCL2、ABL、MDM2、p110α、B-RAF、IDH1、IDH2、JAK2、KIT、MET、FLT-3、VEGF、VEGFR、SKY、p53、RB、BCL2、SWI/SNF、RAP1A、DCC、K-REV、WT1、TBR-11、INK4A/ARF、SMAD2、SMAD3、SMAD4/DPC4、e-カドヘリン、APC、VHL、PTEN/MMAC1、NF1、NF2、BRCA1、BRCA2、MSH2、MLH1、PMS1、PMS2、REIC、SDHB、SDHD、および/あるいはGP43/Merlinを含み得る。いくつかの例では、標的遺伝子は、免疫障害に含まれる遺伝子、例えば、PTPN22、TRAF1-C5、PADI4、STAT4、TNF、IL-1、IL-6、IL-4、IL-5、OPN、PRF1、IFIH1、TRAF3IP2、IL12A、IL12RB2、AIRE、Fas、FasL、カスパーゼ10、カスパーゼ8、PRKCD、NRAS、CTLA-4、FOXP3、LRBA、HLA-DQ8、INS、IL2RA、SH2B3、ERBB3、PTPN2、CLEC16A、IL18RAP、CTSH、CD226、IL2RA、PRKCQ、IL2、BACH2、UBASH3A、RGS1、IL17RA、CIQTNF6、TNFAIP3、TYK2、および/またはTAGAPを含み得る。いくつかの例では、標的遺伝子は、ノックダウン、ノックアウト、修飾、または編集を行う必要のある遺伝子を含み得る。いくつかの例では、標的遺伝子は、例えばアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションなど、転写的に調節する必要のある遺伝子を含み得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるDNA鋳型を使用して転写されたRNAの量は、従来のDNA鋳型、すなわち本明細書に記載される特徴のないDNA鋳型を使用して転写されたRNAの量と比較して、増加し得る。例えば、本明細書に記載されるDNA鋳型を使用して転写されたRNAの量は、従来のDNA鋳型、すなわち本明細書に記載される特徴のないDNA鋳型を使用して転写されたRNAの量と比較して、少なくとも1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2.0倍、2.1倍、2.2倍、2.3倍、2.4倍、2.5倍、2.6倍、2.7倍、2.8倍、2.9倍、3.0倍、3.1倍、3.2倍、3.3倍、3.4倍、3.5倍、4.0倍、4.5倍、5.0倍、5.5倍、6.0倍、7.0倍、8.0倍、9.0倍、9.5倍、10.0倍、10.5倍、11.0倍、11.5倍、12.0倍、12.5倍、13.0倍、14.5倍、15.0倍、15.5倍、16.0倍、16.5倍、17.0倍、17.5倍、18.0倍、18.5倍、19.0倍、19.5倍、20倍、21倍、22倍、23倍、24倍、25倍、26倍、27倍、28倍、29倍、30倍、31倍、32倍、33倍、34倍、35倍、36倍、37倍、38倍、39倍、40倍、41倍、42倍、43倍、44倍、45倍、46倍、47倍、48倍、49倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、110倍、120倍、130倍、140倍、150倍、160倍、170倍、180倍、190倍、200倍、210倍、220倍、230倍、240倍、250倍、260倍、270倍、280倍、290倍、300倍、310倍、320倍、330倍、340倍、350倍、360倍、370倍、380倍、390倍、400倍、410倍、420倍、430倍、440倍、450倍、460倍、470倍、480倍、490倍、500倍、610倍、620倍、630倍、640倍、650倍、660倍、670倍、680倍、690倍、700倍、710倍、720倍、730倍、740倍、750倍、760倍、770倍、780倍、790倍、800倍、810倍、820倍、830倍、840倍、850倍、860倍、870倍、880倍、890倍、900倍、910倍、920倍、930倍、940倍、950倍、960倍、970倍、980倍、990倍、1000倍、1100倍、1200倍、1300倍、1400倍、1500倍、1600倍、1700倍、1800倍、1900倍、2000倍、2100倍、2200倍、2300倍、2400倍、2500倍、2600倍、2700倍、2800倍、2900倍、3000倍、3100倍、3200倍、3300倍、3400倍、3500倍、3600倍、3700倍、3800倍、3900倍、4000倍、4100倍、4200倍、4300倍、4400倍、4500倍、4600倍、4700倍、4800倍、4900倍、5000倍、5100倍、5200倍、5300倍、5400倍、5500倍、5600倍、5700倍、5800倍、5900倍、6000倍、6100倍、6200倍、6300倍、6400倍、6500倍、6600倍、6700倍、6800倍、6900倍、7000倍、7100倍、7200倍、7300倍、7400倍、7500倍、7600倍、7700倍、7800倍、7900倍、8000倍、8100倍、8200倍、8300倍、8400倍、8500倍、8600倍、8700倍、8800倍、8900倍、9000倍、9100倍、9200倍、9300倍、9400倍、9500倍、9600倍、9700倍、9800倍、9900倍、または少なくとも10000倍、増加し得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるDNA鋳型を使用したRNA合成に要するDNA鋳型の量は、従来のDNA鋳型、すなわち本明細書に記載される特徴のないDNA鋳型を使用したRNA合成に要するDNA鋳型の量より少なくてよい。例えば、本明細書に記載されるDNA鋳型使用したRNA合成に要するDNA鋳型の量は、従来のDNA鋳型、すなわち本明細書に記載される特徴のないDNA鋳型を使用したRNA合成に要するDNA鋳型の量より、少なくとも1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2.0倍、2.1倍、2.2倍、2.3倍、2.4倍、2.5倍、2.6倍、2.7倍、2.8倍、2.9倍、3.0倍、3.1倍、3.2倍、3.3倍、3.4倍、3.5倍、4.0倍、4.5倍、5.0倍、5.5倍、6.0倍、6.5倍、7.0倍、8.0倍、9.0倍、9.5倍、または少なくとも10倍少なくてよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるDNA鋳型を使用したRNA合成に要するヌクレオシド三リン酸(NTP)の量は、従来のDNA鋳型、すなわち本明細書に記載される特徴のないDNA鋳型を使用したRNA合成に要するNTPの量より少なくてよい。例えば、本明細書に記載されるDNA鋳型使用したRNA合成に要するヌクレオシド三リン酸(NTP)の量は、従来のDNA鋳型、すなわち本明細書に記載される特徴のないDNA鋳型を使用したRNA合成に要するNTPの量より、少なくとも1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2.0倍、2.1倍、2.2倍、2.3倍、2.4倍、2.5倍、2.6倍、2.7倍、2.8倍、2.9倍、3.0倍、3.1倍、3.2倍、3.3倍、3.4倍、3.5倍、4.0倍、4.5倍、5.0倍、5.5倍、6.0倍、6.5倍、7.0倍、8.0倍、9.0倍、9.5倍、または少なくとも10倍少なくてよい。
【0056】
RNAポリメラーゼ
【0057】
マイクロ流体RNA合成のためのRNAポリメラーゼが本明細書に提供される。例えば、RNAポリメラーゼは、ファージRNAポリメラーゼ、細菌RNAポリメラーゼ、または真核生物RNAポリメラーゼを含み得る。いくつかの例では、細菌RNAポリメラーゼは、大腸菌を含むがこれに限定されない任意の細菌種のRNAポリメラーゼを含み得る。いくつかの例では、真核生物RNAポリメラーゼは、あらゆる真核生物のRNAポリメラーゼI、RNAポリメラーゼII、RNAポリメラーゼIII、RNAポリメラーゼIV、またはRNAポリメラーゼVを含み得る。ファージRNAポリメラーゼの非限定的な例として、T3 RNAポリメラーゼ、T7 RNAポリメラーゼ、KP34 RNAポリメラーゼ、N4 RNAポリメラーゼ、およびSP6 RNAポリメラーゼが挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるマイクロ流体RNA合成に使用されるRNAポリメラーゼは、T7 RNAポリメラーゼである。いくつかの実施形態では、T7 RNAポリメラーゼは、配列番号1を含む配列を含む。
【0058】
アミノ酸配列における1つ以上のバリエーションまたは置換、例えば、安定性、DNA認識、DNA結合親和性、および/またはRNAポリメラーゼ活性などの酵素活性に関連するバリエーションを含むRNAポリメラーゼがさらに本明細書に提供される。いくつかの例では、1つ以上のバリエーションは、1つ以上のバリエーションのないRNAポリメラーゼと比較して、転写開始および/または伸長プロセスの間にバリアントRNAポリメラーゼの安定性を増強し得る。いくつかの例では、1つ以上のバリエーションは、1つ以上のバリエーションのないRNAポリメラーゼと比較して、RNAポリメラーゼのDNA認識能力を増強し得る。いくつかの例では、1つ以上のバリエーションは、1つ以上のバリエーションのないRNAポリメラーゼと比較して、RNAポリメラーゼのDNA結合親和性を増強し得る。いくつかの例では、1つ以上のバリエーションは、1つ以上のバリエーションのないRNAポリメラーゼと比較して、RNAポリメラーゼのDNA結合親和性を低減し得る。いくつかの例では、1つ以上のバリエーションは、1つ以上のバリエーションのないRNAポリメラーゼと比較して、RNAポリメラーゼ活性を増強し得る。
【0059】
マイクロ流体RNA合成のためのT7 RNAポリメラーゼバリアントが、本明細書に提供される。T7 RNAポリメラーゼにおけるバリエーションまたはアミノ酸置換の非限定的な例として、I4M、I119V、N165S、K172L、G175R、E222K、G225S、Q239K、Q239R、Q239L、A255T、P266L、K333N、D366N、F400L、V426L、V426I、V426F、S430P、N433T、G542V、V574A、E593G、V625L、S633V、S633M、S633P、Y639F、Y639L、Y639V、E643K、V650L、T654L、S661G、G675R、V685A、A702V、R756C、Q758K、Q758R、V783I、V795I、H772R、N748X、R756M、Q758X、E775K、E775V、H784A、H784G、H784S、F849I、およびF880Yが挙げられ、その位置は配列番号1とのアラインメントによって決定され、Xは野生型アミノ酸とは異なる任意のアミノ酸である。マイクロ流体RNA合成のためのT7 RNAポリメラーゼバリアントが本明細書に提供され、T7 RNAポリメラーゼバリアントは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、40、または少なくとも41個のアミノ酸バリエーションまたはアミノ酸置換を含む。例えば、本明細書に記載されるT7 RNAポリメラーゼバリアントは、DNA認識または結合ドメイン(例えば、AT-認識ループ)において少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、40、または少なくとも41個のバリエーションまたはアミノ酸置換を含み得る。例えば、本明細書に記載されるT7 RNAポリメラーゼバリアントは、RNAポリメラーゼドメイン(例えば、サムサブドメイン、パームドメイン、またはフィンガーサブドメイン)において少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、40、または少なくとも41個のバリエーションあるいはアミノ酸置換を含み得る。例えば、本明細書に記載されるT7 RNAポリメラーゼバリアントは、特異性ループにおいて少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、40、または少なくとも41個のバリエーションまたはアミノ酸置換を含み得る。
【0060】
少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つ、あるいはそれ以上の本明細書に記載されるパリエーション、例えば、K172L、P266L、H772R、N748X、R756M、Q758X、およびE775Vを含むT7 RNAポリメラーゼバリアントが、本明細書に提供され、その位置は配列番号1とのアラインメントによって決定され、Xは野生型アミノ酸とは異なる任意のアミノ酸である。また、K172L、P266L、H772R、N748X、R756M、Q758X、およびE775Vからなる群から選択される少なくとも1つのバリエーションを含むT7 RNAポリメラーゼバリアントが本明細書に提供され、その位置は配列番号1とのアラインメントによって決定され、Xは野生型アミノ酸とは異なる任意のアミノ酸である。K172L、P266L、H772R、N748X、R756M、Q758X、およびE775Vからなる群から選択される少なくとも4つのバリエーションを含むT7 RNAポリメラーゼバリアントがさらに本明細書に提供され、その位置は配列番号1とのアラインメントによって決定され、Xは野生型アミノ酸とは異なる任意のアミノ酸である。いくつかの例では、バリアントT7 RNAポリメラーゼまたはその機能的断片は、配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つまたは少なくとも4つの本明細書に記載されるバリエーションを含むバリアントT7 RNAポリメラーゼは、少なくとも1つのバリエーションのないT7 RNAポリメラーゼ、例えば、配列番号1に記載の配列を含むT7 RNAポリメラーゼと比較して、転写開始および/または伸長プロセスの間に安定性の増加を示し得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つまたは少なくとも4つの本明細書に記載されるバリエーションを含むバリアントT7 RNAポリメラーゼは、少なくとも1つのバリエーションのないT7 RNAポリメラーゼ、例えば、配列番号1に記載の配列を含むT7 RNAポリメラーゼと比較して、転写開始および/または伸長プロセスの間にDNA結合親和性、例えば、T7プロモーター配列に対する結合親和性の減少を示し得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるRNAポリメラーゼ(例えば、修飾されたRNAポリメラーゼ)を使用して転写されたRNAの量は、従来のRNAポリメラーゼ、すなわち本明細書に記載される特徴または修飾のないRNAポリメラーゼを使用して転写されたRNAの量と比較して、増加し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるRNAポリメラーゼ(例えば、修飾されたRNAポリメラーゼ)を使用して転写されたRNAの量は、従来のRNAポリメラーゼ、すなわち本明細書に記載される特徴または修飾のないRNAポリメラーゼを使用して転写されたRNAの量と比較して、少なくとも1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2.0倍、2.1倍、2.2倍、2.3倍、2.4倍、2.5倍、2.6倍、2.7倍、2.8倍、2.9倍、3.0倍、3.1倍、3.2倍、3.3倍、3.4倍、3.5倍、4.0倍、4.5倍、5.0倍、5.5倍、6.0倍、7.0倍、8.0倍、9.0倍、9.5倍、10.0倍、10.5倍、11.0倍、11.5倍、12.0倍、12.5倍、13.0倍、14.5倍、15.0倍、15.5倍、16.0倍、16.5倍、17.0倍、17.5倍、18.0倍、18.5倍、19.0倍、19.5倍、20倍、21倍、22倍、23倍、24倍、25倍、26倍、27倍、28倍、29倍、30倍、31倍、32倍、33倍、34倍、35倍、36倍、37倍、38倍、39倍、40倍、41倍、42倍、43倍、44倍、45倍、46倍、47倍、48倍、49倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、110倍、120倍、130倍、140倍、150倍、160倍、170倍、180倍、190倍、200倍、210倍、220倍、230倍、240倍、250倍、260倍、270倍、280倍、290倍、300倍、310倍、320倍、330倍、340倍、350倍、360倍、370倍、380倍、390倍、400倍、410倍、420倍、430倍、440倍、450倍、460倍、470倍、480倍、490倍、500倍、610倍、620倍、630倍、640倍、650倍、660倍、670倍、680倍、690倍、700倍、710倍、720倍、730倍、740倍、750倍、760倍、770倍、780倍、790倍、800倍、810倍、820倍、830倍、840倍、850倍、860倍、870倍、880倍、890倍、900倍、910倍、920倍、930倍、940倍、950倍、960倍、970倍、980倍、990倍、1000倍、1100倍、1200倍、1300倍、1400倍、1500倍、1600倍、1700倍、1800倍、1900倍、2000倍、2100倍、2200倍、2300倍、2400倍、2500倍、2600倍、2700倍、2800倍、2900倍、3000倍、3100倍、3200倍、3300倍、3400倍、3500倍、3600倍、3700倍、3800倍、3900倍、4000倍、4100倍、4200倍、4300倍、4400倍、4500倍、4600倍、4700倍、4800倍、4900倍、5000倍、5100倍、5200倍、5300倍、5400倍、5500倍、5600倍、5700倍、5800倍、5900倍、6000倍、6100倍、6200倍、6300倍、6400倍、6500倍、6600倍、6700倍、6800倍、6900倍、7000倍、7100倍、7200倍、7300倍、7400倍、7500倍、7600倍、7700倍、7800倍、7900倍、8000倍、8100倍、8200倍、8300倍、8400倍、8500倍、8600倍、8700倍、8800倍、8900倍、9000倍、9100倍、9200倍、9300倍、9400倍、9500倍、9600倍、9700倍、9800倍、9900倍、または少なくとも10000倍増加し得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるRNAポリメラーゼ(例えば、修飾されたRNAポリメラーゼ)を使用したRNA合成に要するDNA鋳型の量は、従来のRNAポリメラーゼ、すなわち本明細書に記載される特徴または修飾のないRNAポリメラーゼを使用したRNAの合成に要するDNA鋳型の量より少なくてよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるRNAポリメラーゼ(例えば、修飾されたRNAポリメラーゼ)を使用したRNA合成に要するDNA鋳型の量は、従来のRNAポリメラーゼ、すなわち本明細書に記載される特徴または修飾のないRNAポリメラーゼを使用したRNA合成に要するDNA鋳型の量より、少なくとも1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2.0倍、2.1倍、2.2倍、2.3倍、2.4倍、2.5倍、2.6倍、2.7倍、2.8倍、2.9倍、3.0倍、3.1倍、3.2倍、3.3倍、3.4倍、3.5倍、4.0倍、4.5倍、5.0倍、5.5倍、6.0倍、7.0倍、8.0倍、9.0倍、9.5倍、または少なくとも10.0倍少なくてよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるRNAポリメラーゼ(例えば、修飾されたRNAポリメラーゼ)を使用したRNA合成に要するヌクレオシド三リン酸(NTP)の量は、従来のRNAポリメラーゼ、すなわち本明細書に記載される特徴または修飾のないRNAポリメラーゼを使用したRNAの合成に要するNTPの量より少なくてよい。例えば、本明細書に記載されるRNAポリメラーゼ(例えば、修飾されたRNAポリメラーゼ)を使用したRNA合成に要すヌクレオシド三リン酸(NTP)の量は、従来のRNAポリメラーゼ、すなわち本明細書に記載される特徴または修飾のないRNAポリメラーゼを使用したRNA合成に要するNTPの量より、少なくとも1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2.0倍、2.1倍、2.2倍、2.3倍、2.4倍、2.5倍、2.6倍、2.7倍、2.8倍、2.9倍、3.0倍、3.1倍、3.2倍、3.3倍、3.4倍、3.5倍、4.0倍、4.5倍、5.0倍、5.5倍、6.0倍、7.0倍、8.0倍、9.0倍、9.5倍、または少なくとも10.0倍少なくてよい。
【0064】
融合タンパク質
【0065】
本明細書に記載されるRNA合成で使用するためのRNAポリメラーゼまたはその機能的断片およびDNA結合ドメインを含む、融合タンパク質が本明細書に提供され、RNAポリメラーゼまたはその機能的断片およびDNA結合ドメインは、異種である。本明細書で使用されるとき、融合タンパク質または融合ポリペプチドは、本明細書に記載されるRNAポリメラーゼ、例えば、T7 RNAポリメラーゼもしくはそのバリアント、およびRNA合成のためのDNA鋳型を認識し結合できる異種のDNA結合ドメインを含み得る。
【0066】
例示的なDNA結合ドメインとして、ジンクフィンガードメイン、ロイシンジッパー、ヘリックスターンヘリックス(HTH)モチーフ、ヘリックスループヘリックス(HLH)モチーフ、ウィングドヘリックス(WH)、ウィングドHTH(WHTH)モチーフ、高移動度群(HMG)ボックス、白色不透明レギュレーター3(White-Opaque Regulator 3/Wor3)ドメイン、オリゴヌクレオチド/オリゴ糖結合(OB)フォールドドメイン、免疫グロブリンフォールド、B3ドメイン、転写アクチベーター様エフェクター(Transcription Activator-Like Effector/TALE)、TALE様タンパク質、およびクラスター化され規則的に間隔が空いた短い回文構造の繰り返し(CRISPR)関連(Cas)タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの例では、DNA結合ドメインはアビジンを含む。アビジンの非限定的な例として、ストレプトアビジン、リザビジン(rhizavidin)、およびExtravidin、NeutrAvidin、NeutraLiteなどのニュートラアビジンが挙げられる。いくつかの例では、本明細書に使用されるDNA結合ドメインは変異またはバリエーションを含まないことがある。いくつかの例では、DNA結合ドメインは変異またはバリエーションを含み得る。いくつかの例では、DNA結合ドメインはDNAメチルトランスフェラーゼを含む。いくつかの例では、DNAメチルトランスフェラーゼは、エジプトヘモフィルスのHaeIIIメチルトランスフェラーゼ(HaeIIIM)である。いくつかの実施形態では、DNAメチルトランスフェラーゼは、5-ブロモ-シチジン、5-ヨード-シチジン、5-フルオロ-シチジン、5-ブロモ-デオキシウラシル、5-ヨード-デオキシウラシル、または5-フルオロ-デオキシウラシルを含むが、これらに限定されない修飾塩基の存在下で、DNA、例えばDNA鋳型に共有結合で結合し得る。いくつかの例では、DNA結合ドメインはジンクフィンガードメインである。いくつかの実施形態では、ジンクフィンガードメインはジンクフィンガーアレイ(ZFA)を含む。いくつかの実施形態では、DNA結合ドメインは、配列番号8を含む配列を含む。いくつかの例では、DNA結合ドメインはロイシンジッパーである。いくつかの実施形態では、DNA結合ドメインはストレプトアビジンである。いくつかの実施形態では、DNA結合ドメインはモノマーストレプトアビジンである。いくつかの実施形態では、DNA結合ドメインはリザビジンである。いくつかの実施形態では、DNA結合ドメインは、配列番号9を含む配列を含む。
【0067】
DNA結合ドメインに連結されたRNAポリメラーゼまたはその機能的断片が、本明細書に提供される。DNA結合ドメインを有する例示的なRNAポリメラーゼ融合タンパク質の一般的な構造は、以下の構造:NH2-[DNA結合ドメイン]-[リンカー]-[RNAポリメラーゼ]-COOHを含み得、NH2は融合タンパク質のN末端であり、COOHは融合タンパク質のC末端である。いくつかの例では、RNAポリメラーゼまたはその機能的断片は、DNA結合ドメインに共有結合される。例えば、RNAポリメラーゼまたはその機能的断片は、リンカーを介してDNA結合ドメインに連結されることがある。リンカーの非限定的な例として、ペプチドリンカー、非ペプチドリンカー、ヌクレオチドリンカー、化学リンカー、およびフレキシブルリンカーが挙げられる。いくつかの実施形態では、リンカーはペプチドリンカーである。いくつかの実施形態では、リンカーは非ペプチドリンカーである。いくつかの実施形態では、リンカーは、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、または少なくとも40個のアミノ酸残基長を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、アミノ酸配列SGGSを含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、(SGGS)n、(GGGS)n、(GGGGS)n、(G)n、(EAAAK)n、(GGS)n、GS(GGGS)n、GS(GGGGS)n、または(XP)nモチーフ、あるいはこれらのいずれかの組合せを含み、nは、独立して1~30の整数であり、Xは任意のアミノ酸である。いくつかの実施形態では、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15である。ペプチドリンカーは、フレキシブルリンカーまたはリジッドリンカーであり得る。いくつかの実施形態では、リンカーは複数のプロリン残留物を含み、長さは5~21、5~14の、5~9、5~7アミノ酸であり、例えば、PAPAP、PAPAPA、PAPAPAP、PAPAPAPA、P(AP)nであり、nは1~10の整数である。そのようなプロリンリッチリンカーも「リジッド」リンカーと名付けられる。いくつかの実施形態では、リンカーはGS(GGGGS)nを含み、nは1~10の整数である。いくつかの実施形態では、リンカーは、配列番号10、配列番号11、または配列番号12を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、リンカーはXTENリンカーを含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、配列番号13を含む配列を含む。
【0068】
DNA結合タンパク質によって認識されたDNA結合標的配列に隣接して配置されると、動員依存性活性を示すトランケートされたRNAプロモーター(例えば、T7プロモーター)を含むDNA鋳型と共に、野生型またはバリアントRNAポリメラーゼ(例えば、T7 RNAポリメラーゼ)に融合または架橋されたカスタマイズ可能なDNA結合タンパク質(例えば、ZFA)を含む、プログラム可能なRNA合成系が本明細書に提供される。融合タンパク質のRNA転写活性は、開始および/または伸長の間にDNA鋳型またはDNA鋳型上の融合タンパク質の安定性に融合タンパク質の結合親和性を方向付けることにより、プログラムすることができる。例えば、融合タンパク質とDNA鋳型との間の結合親和性は、DNA結合ドメイン、RNAポリメラーゼ、DNA結合タンパク質によって認識されたDNA鋳型中のDNA結合標的配列、および/またはトランケートされたプロモーター配列などの系中の任意の要素を修飾することより調節できる。例えば、ZFAと結合したトランケートされたT7プロモーターに対して減少した結合親和性を有するバリアントT7 RNAポリメラーゼは、1つ以上のZFA結合配列のコピーおよびトランケートされたT7プロモーターを含むDNA鋳型を有する系の中で使用することができ、融合タンパク質の結合親和は、DNA鋳型中のZFA結合配列のコピーの数に依存し得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される融合タンパク質(例えば、RNAポリメラーゼまたはその機能的断片およびDNA結合ドメインを含む融合タンパク質)を使用して転写されたRNAの量は、従来のRNAポリメラーゼ、すなわち本明細書に記載される特徴または修飾のないRNAポリメラーゼを使用して転写されたRNAの量と比較して、増加し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される融合タンパク質(例えば、RNAポリメラーゼまたはその機能的断片およびDNA結合ドメインを含む融合タンパク質)を使用して転写されたRNAの量は、従来のRNAポリメラーゼ、すなわち本明細書に記載される特徴または修飾のないRNAポリメラーゼを使用して転写されたRNAの量と比較して、少なくとも1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2.0倍、2.1倍、2.2倍、2.3倍、2.4倍、2.5倍、2.6倍、2.7倍、2.8倍、2.9倍、3.0倍、3.1倍、3.2倍、3.3倍、3.4倍、3.5倍、4.0倍、4.5倍、5.0倍、5.5倍、6.0倍、7.0倍、8.0倍、9.0倍、9.5倍、10.0倍、10.5倍、11.0倍、11.5倍、12.0倍、12.5倍、13.0倍、14.5倍、15.0倍、15.5倍、16.0倍、16.5倍、17.0倍、17.5倍、18.0倍、18.5倍、19.0倍、19.5倍、20倍、21倍、22倍、23倍、24倍、25倍、26倍、27倍、28倍、29倍、30倍、31倍、32倍、33倍、34倍、35倍、36倍、37倍、38倍、39倍、40倍、41倍、42倍、43倍、44倍、45倍、46倍、47倍、48倍、49倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、110倍、120倍、130倍、140倍、150倍、160倍、170倍、180倍、190倍、200倍、210倍、220倍、230倍、240倍、250倍、260倍、270倍、280倍、290倍、300倍、310倍、320倍、330倍、340倍、350倍、360倍、370倍、380倍、390倍、400倍、410倍、420倍、430倍、440倍、450倍、460倍、470倍、480倍、490倍、500倍、610倍、620倍、630倍、640倍、650倍、660倍、670倍、680倍、690倍、700倍、710倍、720倍、730倍、740倍、750倍、760倍、770倍、780倍、790倍、800倍、810倍、820倍、830倍、840倍、850倍、860倍、870倍、880倍、890倍、900倍、910倍、920倍、930倍、940倍、950倍、960倍、970倍、980倍、990倍、1000倍、1100倍、1200倍、1300倍、1400倍、1500倍、1600倍、1700倍、1800倍、1900倍、2000倍、2100倍、2200倍、2300倍、2400倍、2500倍、2600倍、2700倍、2800倍、2900倍、3000倍、3100倍、3200倍、3300倍、3400倍、3500倍、3600倍、3700倍、3800倍、3900倍、4000倍、4100倍、4200倍、4300倍、4400倍、4500倍、4600倍、4700倍、4800倍、4900倍、5000倍、5100倍、5200倍、5300倍、5400倍、5500倍、5600倍、5700倍、5800倍、5900倍、6000倍、6100倍、6200倍、6300倍、6400倍、6500倍、6600倍、6700倍、6800倍、6900倍、7000倍、7100倍、7200倍、7300倍、7400倍、7500倍、7600倍、7700倍、7800倍、7900倍、8000倍、8100倍、8200倍、8300倍、8400倍、8500倍、8600倍、8700倍、8800倍、8900倍、9000倍、9100倍、9200倍、9300倍、9400倍、9500倍、9600倍、9700倍、9800倍、9900倍、または少なくとも10000倍増加し得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される融合タンパク質(例えば、RNAポリメラーゼまたはその機能的断片およびDNA結合ドメインを含む融合タンパク質)を使用したRNA合成に要するDNA鋳型の量は、従来のRNAポリメラーゼ、すなわち本明細書に記載される特徴または修飾のないRNAポリメラーゼを使用したRNA合成に要するDNA鋳型の量より、少なくてよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される融合タンパク質(例えば、RNAポリメラーゼまたはその機能的断片およびDNA結合ドメインを含む融合タンパク質)を使用したRNA合成に要するDNA鋳型の量は、従来のRNAポリメラーゼ、すなわち本明細書に記載される特徴または修飾のないRNAポリメラーゼを使用したRNA合成に要するDNA鋳型の量より、少なくとも1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2.0倍、2.1倍、2.2倍、2.3倍、2.4倍、2.5倍、2.6倍、2.7倍、2.8倍、2.9倍、3.0倍、3.1倍、3.2倍、3.3倍、3.4倍、3.5倍、4.0倍、4.5倍、5.0倍、5.5倍、6.0倍、7.0倍、8.0倍、9.0倍、9.5倍、または少なくとも10.0倍少なくてよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される融合タンパク質(例えば、RNAポリメラーゼまたはその機能的断片およびDNA結合ドメインを含む融合タンパク質)を使用したRNA合成に要するヌクレオシド三リン酸(NTP)の量は、従来のRNAポリメラーゼ、すなわち本明細書に記載される特徴または修飾のないRNAポリメラーゼを使用したRNA合成に要するNTPの量より、少なくてよい。例えば、本明細書に記載される融合タンパク質(例えば、RNAポリメラーゼまたはその機能的断片およびDNA結合ドメインを含む融合タンパク質)を使用したRNA合成に要するヌクレオシド三リン酸(NTP)の量は、従来のRNAポリメラーゼ、すなわち本明細書に記載される特徴または修飾のないRNAポリメラーゼを使用したRNA合成に要するNTPの量より、少なくとも1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2.0倍、2.1倍、2.2倍、2.3倍、2.4倍、2.5倍、2.6倍、2.7倍、2.8倍、2.9倍、3.0倍、3.1倍、3.2倍、3.3倍、3.4倍、3.5倍、4.0倍、4.5倍、5.0倍、5.5倍、6.0倍、7.0倍、8.0倍、9.0倍、9.5倍、または少なくとも10.0倍少なくてよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプロモーター(例えば、本明細書に記載されるDNA結合標的配列を有するDNA鋳型中のプロモーター)への、本明細書に記載される融合タンパク質(例えば、RNAポリメラーゼまたはその機能的断片およびDNA結合ドメインを含む融合タンパク質)の結合は、本明細書に記載される特徴もしくは修飾のない従来のプロモーターまたはDNA鋳型(例えば、DNA結合ドメインのないプロモーターまたはDNA鋳型)への、本明細書に記載される融合タンパク質(例えば、RNAポリメラーゼまたはその機能的断片およびDNA結合ドメインを含む融合タンパク質)の結合より、強力な場合がある。例えば、本明細書に記載されるプロモーター(例えば、本明細書に記載されるDNA結合標的配列を有するDNA鋳型中のプロモーター)への、本明細書に記載される融合タンパク質(例えば、RNAポリメラーゼまたはその機能的断片およびDNA結合ドメインを含む融合タンパク質)の結合は、本明細書に記載される特徴もしくは修飾のない従来のプロモーターまたはDNA鋳型(例えば、DNA結合ドメインのないプロモーターまたはDNA鋳型)への、本明細書に記載される融合タンパク質(例えば、RNAポリメラーゼまたはその機能的断片およびDNA結合ドメインを含む融合タンパク質)の結合より、少なくとも100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、600倍、700倍、800倍、900倍、1000倍、1100倍、1200倍、1300倍、1400倍、1500倍、1600倍、1700倍、1800倍、1900倍、2000倍、2100倍、2200倍、2300倍、2400倍、2500倍、2600倍、2700倍、2800倍、2900倍、3000倍、3100倍、3200倍、3300倍、3400倍、3500倍、3600倍、3700倍、3800倍、3900倍、4000倍、4100倍、4200倍、4300倍、4400倍、4500倍、4600倍、4700倍、4800倍、4900倍、5000倍、5100倍、5200倍、5300倍、5400倍、5500倍、5600倍、5700倍、5800倍、5900倍、6000倍、6100倍、6200倍、6300倍、6400倍、6500倍、6600倍、6700倍、6800倍、6900倍、7000倍、7100倍、7200倍、7300倍、7400倍、7500倍、7600倍、7700倍、7800倍、7900倍、8000倍、8100倍、8200倍、8300倍、8400倍、8500倍、8600倍、8700倍、8800倍、8900倍、9000倍、9100倍、9200倍、9300倍、9400倍、9500倍、9600倍、9700倍、9800倍、9900倍、または少なくとも10000倍強力な場合がある。
【0073】
合成されたRNA
【0074】
本明細書に記載されるマイクロ流体ポリヌクレオチド合成のための組成物、方法、デバイス、およびシステムによって合成されたRNAが本明細書に提供される。本明細書に提供される合成されたRNAは、コードRNAまたは非コードRNAを含む。一例では、コードRNAはメッセンジャーRNA(mRNA)を含み得る。別の例では、非コードRNAは、ガイドRNA(gRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、piwi相互作用RNA(piRNA)、RNAアプタマー、転移RNA(tRNA)、またはアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を含み得る。
【0075】
本明細書に記載されるマイクロ流体ポリヌクレオチド合成方法によって合成されたgRNAが、本明細書に提供される。gRNAは、遺伝子スクリーニング、標的化された転写調節、標的化されたノックイン、ならびに塩基編集、エピジェネティック編集、および相同組換えを介したヌクレオチド配列挿入のための二本鎖切断(DSB)の導入を含む標的化されたゲノム編集のために標的配列にCRISPR-Cas系をガイドする際に使用され得る。ゲノム編集は、遺伝子発現を変更するために、既存のDNA配列を添加すること、除去すること、置き換えること、または修飾すること、および染色体再配列を誘導することまたは転写調節因子を修飾すること(例えば、遺伝子のプロモーター配列のメチル化/脱メチル反応)を含むが、これらに限定されないDNA配列の標的化された修飾を指し得る。CRISPR-Cas系には、ゲノム中の標的DNA部位へCasタンパク質を位置付けることができるガイド系が必要とされる。いくつかの例では、ガイド系は、Casタンパク質(例えば、Cas9)によって認識された、標的DNA部位およびトランス活性化型crRNA(tracrRNA)スキャフォールドに相補的な17~20個のヌクレオチド配列を有するcrispr RNA(crRNA)を含む。標的DNA部位に相補的な17~20ヌクレオチド配列はスペーサーと呼ばれるが、17~20個のヌクレオチド標的DNA配列はプロトスペーサーと呼ばれる。crRNAおよびtracrRNAは2つの別個のRNA分子として自然に存在しているが、単一ガイドRNA(sgRNAまたはgRNA)は、1つの単一RNA分子へcrRNAおよびtracrRNAの要素を組み合わせて融合するように操作され得る。したがって、一実施形態では、gRNAは2つ以上のRNA、例えば、crRNAおよびtracrRNAを含む。別の実施形態では、gRNAは、ゲノム標的化のためのスペーサー配列およびCasタンパク質結合のためのスキャフォールド配列を含むsgRNAを含む。いくつかの例では、ガイド系は自然にsgRNAを含む。例えば、Cas12a/Cpf1は、tracrRNAを欠き、かつCas12a/Cpf1結合のためのスペーサー配列およびスキャフォールドを含有しているcrRNAのみを含む、ガイド系を利用する。スペーサー配列はゲノム中の標的部位に応じて変動し得るが、Casタンパク質結合のためのスキャフォールド配列はすべてのgRNAに対して同一であり得る。
【0076】
本明細書に記載されるCRISPR-Cas系は、様々なCRISPR酵素を含み得る。例えば、CRISPR-Cas系は、Cas9、Cas12a/Cpfl、Cas12b/C2cl、Cas12c/C2c3、Cas12d/CasY、Cas12e/CasX、Cas12g、Cas12h、またはCas12iを含み得る。Cas酵素の非限定的な例として、Cas1、Cas1B、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas5d、Cas5t、Cas5h、Cas5a、Cas6、Cas7、Cas8、Cas8a、Cas8b、Cas8c、Cas9(Csn1またはCsx12としても知られる)、Cas10、Cas10d、Cas12a/Cpfl、Cas12b/C2cl、Cas12c/C2c3、Cas12d/CasY、Cas12e/CasX、Cas12f/Cas14/C2c10、Cas12g、Cas12h、Cas12i、Cas12k/C2c5、Cas13a/C2c2、Cas13b、Cas13c、Cas13d、C2c4、C2c8、C2c9、Csy1、Csy2、Csy3、Csy4、Cse1、Cse2、Cse3、Cse4、Cse5e、Csc1、Csc2、Csa5、Csn1、Csn2、Csm1、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csx1、Csx1S、Csx11、Csf1、Csf2、CsO、Csf4、Csd1、Csd2、Cst1、Cst2、Csh1、Csh2、Csa1、Csa2、Csa3、Csa4、Csa5、GSU0054、タイプIIのCasエフェクタータンパク質、タイプVのCasエフェクタータンパク質、タイプVIのCasエフェクタータンパク質、CARF、DinG、それらのホモログ、あるいはdCas9(エンドヌクレアーゼ-不活性型Cas9)およびnCas9(不活性のDNA切断ドメインを有するCas9ニッカーゼ)などの修飾もしくは操作されたその変形が挙げられるが、これらに限定されない。場合によっては、本明細書に記載される組成物、方法、デバイス、およびシステムは、化膿連鎖球菌のCas9ヌクレアーゼを使用してもよく、そのアミノ酸配列と構造は当業者に周知である。
【0077】
Casタンパク質をその標的DNA配列(すなわち、標的dsDNA)に結合することは、Casタンパク質により標的とされ得るゲノム中の領域を制限する、非標的DNA鎖上にプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)、すなわちプロトスペーサーに隣接した短鎖配列の存在を必要とする。様々な細菌種のCasタンパク質は、様々なPAM配列を認識し、PAM配列の上流の3~4のヌクレオチド(例えば、Cas9)または下流の18~23のヌクレオチド(例えば、Cas12a/Cpf1)を切断する。例えば、化膿連鎖球菌のCas9は、PAM配列5’-NGG-3’(「N」は、あらゆるヌクレオチドであり得る)を認識し、PAM配列の上流の3つのヌクレオチドを切断する。別の例では、黄色ブドウ球菌のCas9は、PAM配列5’-NNGRRN-3’(「N」は、あらゆるヌクレオチドであり得る)を認識し、PAM配列の上流の4つのヌクレオチドを切断する。PAM配列はCasを介した切断には不可欠であるが、いくつかの例では、gRNA配列はPAM配列を含まない。
【0078】
ゲノム中の標的部位の配列に相補的なスペーサーを含む標的配列を含むgRNAが本明細書に提供される。本明細書に記載されるように、スペーサーは、約10~約25ヌクレオチド長を含み得る。例えば、ゲノム中の標的部位配列に相補的なスペーサー配列は、約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、23、24、25、26、27、27、28、30、またはそれより上のヌクレオチド長であり得る。本明細書に記載されるように、標的部位は、PAMの第1のヌクレオチドのすぐ上流または5’の約20ヌクレオチドの配列を含み得る。
【0079】
in vitro転写(IVT)によって現在生産されている市販のgRNAは、典型的にgRNA配列の5’末端に1~3つの付加的なグアニン(G)を含む(
図5)。最小化されたT7プロモーターを有するT7 RNAポリメラーゼは、gRNAのIVTに一般的に使用される。転写開始の最小規格は+1の位置に1つのGであるが、自然発生の転写開始配列はgRNAの5’末端から+1、+2、+3の位置に最大3つのGを有し得る。IVTで合成されたgRNA中のそのような付加的なGは、スペーサー配列の5’末端で余剰のGをもたらすことがあり、例えば、Cas9gRNAでは、gRNAとその標的配列との間に不対オーバーハングまたはミスマッチを引き起こす。この誤対合によって、標的化されたゲノム編集の効率が減少し得る(
図5)。標的部位DNA配列との5’末端対合を改良するために、スペーサーの5’末端にミスマッチのヌクレオチド含まないgRNAが本明細書に提供される。スペーサーの5’末端に付加的な1つ以上のGがないgRNAは、オフターゲット効果の減少によって非常に正確なゲノム編集を支持することができる(
図6)。gRNAであって、gRNA配列の5’末端の少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも3つの連続するヌクレオチドが、ゲノム中の標的配列の3’末端に対して100%同一であるgRNAが、本明細書に提供される。本明細書に記載される組成物、方法、デバイス、およびシステムによって合成されたgRNAは、プロトスペーサー配列中に存在しないかまたは標的配列の3’末端に相補的でない付加的な5’末端Gヌクレオチドを含むgRNAと比較して改良または増強された、標的遺伝子中の標的配列との相補的塩基対を介した標的配列との対合を示す。
【0080】
gRNAがCRISPR-Cas系(例えば、CRISPR-Cas9、CRISPR-Cas12a/Cpf1など)を有する複合体中の標的配列と接触した場合に標的配列の編集効率の増強を示すgRNAが本明細書に提供される。例えば、本明細書に提供されるgRNA(例えば、5’末端に1つ以上の付加的なGヌクレオチドを含まないgRNA、または5’末端コドン中にGヌクレオチドを含まないgRNA)は、1つ以上の付加的な5’末端Gヌクレオチドを含むgRNAと比較して、CRISPR-Cas系を有する複合体中にある場合に標的配列の編集効率の増強を示すことができ、1つ以上の付加的な5’末端Gヌクレオチドは、プロトスペーサー配列中に存在しないか、またはゲノム中の標的配列の3’末端の1つ以上のヌクレオチドに相補的ではない。本明細書で使用されるとき、用語「コドン」は概して3つの連続するヌクレオチドを指し、アミノ酸をコードする、またはコードしない場合がある。本明細書で使用されるとき、「編集の効率」または「編集効率」は、標的DNA配列を修飾するgRNA指向性エフェクタータンパク質(例えば、CRISPR-Casタンパク質)の能力を指し得る。標的配列の修飾の非限定的な例として、二本鎖切断を導入すること、核酸塩基を修飾すること、染色体再配列を誘導すること、および遺伝子のプロモーター配列のメチル化/脱メチル反応を修飾することが挙げられ得る。標的配列は、ゲノム中の遺伝子またはプロモーター領域に位置付けられてよい。エフェクタータンパク質は、gRNA指向性ヌクレアーゼ、例えば、Cas9または本明細書に記載された他のあらゆるCasタンパク質などのCasタンパク質であってよい。編集効率は、当業者に周知のあらゆる方法の使用によって測定することができる。例えば、ゲノム編集の効率または編集効率は、分解によるインデルのトラッキング(TIDE)分析、surveyorヌクレアーゼアッセイ、接合部のPCR、ドロップレットデジタルPCR(ddPCR)、変性高速液体クロマトグラフィー(DHPLC)、PCR一本鎖構造多型(SSCP)、高解像度融解曲線(HRM)、制限酵素消化が抑制されたPCR(RE-PCR)、操作されたヌクレアーゼ誘導性転座(ENIT)、制限酵素消化、サンガーDNAシーケンシング、次世代シーケンシング(NGS)などのディープシーケンシング、またはそれらのあらゆる組合せを使用することにより測定することができる。本明細書で使用されるとき、用語「インデル」は、核酸内のヌクレオチド塩基の挿入または欠失を指す。いくつかの実施形態では、ゲノム編集、例えば、二本鎖切断の生成の効率は、3つのステップによる方法であるTIDE分析によって測定することができ、それによってヌクレアーゼ(例えば、Cas9)により標的化された領域は、CRISPR-Cas系およびgRNAでトランスフェクトされた細胞から単離されたDNAからPCR増幅される。標的部位の周囲で生成された500~1500bpのアンプリコンは、従来のサンガーDNAシーケンシング、続いてウェブベースのTIDEソフトウェアを使用した分析にかけられる。ヌクレアーゼによって行われたいかなる配列修飾も、異常な塩基シグナルで配列のグラフ中に視覚化される。また、ソフトウェアは切断部位の正確な局在化、および各インデルの推定された統計的有意性を提供する。いくつかの実施形態では、編集効率、例えば意図した標的部位中でDNA切断を生成する効率は、少なくとも30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%である。
【0081】
gRNAが、CRISPR-Cas系(例えば、CRISPR-Cas9、CRISPR-Cas12a/Cpf1など)を有する複合体中の標的配列と接触した場合に、オフターゲット編集(例えば、非標的配列の編集)の減少を示すgRNAが、さらに本明細書に提供される。例えば、本明細書に提供されるgRNA(例えば、5’末端に1つ以上の付加的なGヌクレオチドを含まないgRNA、または5’末端コドン中にGヌクレオチドを含まないgRNA)は、1つ以上の付加的な5’末端Gヌクレオチドを含むgRNAと比較して、CRISPR-Cas系を有する複合体中にある場合に標的配列のオフターゲット編集の減少を示すことができ、1つ以上の付加的な5’末端Gヌクレオチドは、プロトスペーサー配列中に存在しないか、またはゲノム中の標的配列の3’末端の1つ以上のヌクレオチドに相補的ではない。いくつかの実施形態では、オフターゲット編集は、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%減少し得る。
【0082】
二次構造を含むgRNAが本明細書に提供される。例えば、Casタンパク質によって認識されたgRNAのスキャフォールド部位は、ステム、ヘアピン、および/またはループなどの二次構造を形成し得る。本明細書に記載されるステムまたはヘアピンは、約3~10ヌクレオチド長であり得る。ループは約6~20ヌクレオチド長であり得る。ステムは、1つ以上の1~10ヌクレオチド長の膨らみ部を含み得る。
【0083】
1つ以上のミスマッチのヌクレオチドを含む標的配列を含むgRNAがさらに本明細書に提供され、すなわち、スペーサー配列は、ゲノム中の標的部位配列に相補的でない1つ以上のヌクレオチドを含み得る。本明細書に記載されるスペーサーは、様々な数のミスマッチ、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個のミスマッチを有し得る。いくつかの実施形態では、スペーサーは、最大1、2、3、4、または5つのミスマッチを含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、標的部位のプロトスペーサー配列と比較していずれのミスマッチも含まず、すなわち、スペーサーは100%で標的配列とハイブリダイズする。本明細書に記載されるスペーサーは、少なくとも1つ~少なくとも5つのミスマッチのヌクレオチドを含み得る。例えば、スペーサーは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つのミスマッチのヌクレオチドを含み得る。いくつかの実施形態では、スペーサーは、最大3つ、最大4つ、最大5つ、最大6つ、または最大7つのミスマッチのヌクレオチドを含み得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のミスマッチのヌクレオチドは、スペーサー配列の5’末端に位置付けられてよい。いくつかの実施形態では、1つ以上のミスマッチのヌクレオチドは、スペーサー配列の3’末端に位置付けられてよい。いくつかの実施形態では、1つ以上のミスマッチのヌクレオチドは、スペーサー配列内部に位置付けられてよい。
【0084】
配列伸長を含むgRNAが本明細書に提供される。配列伸長は5’末端または3’末端上にあり得る、あるいは内部に添加され得る。例えば、gRNA Cas12a/Cpf1(例えば、crRNA)の5’末端は、2~59ヌクレオチドによって伸長することができる。Cas12a/Cpf1 gRNAの5’末端の伸長は、5’末端上のCas12a/Cpf1結合のためのスキャフォールド配列および3’末端上の標的配列を含み、伸長によってin vitroおよびin vivoでCas12a/Cpf1の編集効率ならびに送達を増加することができる。さらに、化学修飾に対するgRNAの耐性を増加させることができ、gRNAの安定性の増強をもたらす。別の例では、ステムループ構造のステム領域を伸長するための2~10ヌクレオチドの内部伸長を含むCas9のgRNAは、CRISPR-Cas9を介したゲノム編集における遺伝子ノックアウト効率を増加させることができる。いくつかの例では、gRNAは、2つ以上のcrRNA配列およびtracrRNA配列を含み得、ゲノム中の2つ以上の明確な領域で、2つ以上のCasタンパク質および標的DNA部位を結合し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されたgRNAは、5’配列伸長を含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されたgRNAは、3’配列伸長を含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されたgRNAは、内部配列伸長を含み得る。いくつかの実施形態では、配列伸長は、少なくとも約1~少なくとも70ヌクレオチドを含み得る。いくつかの実施形態では、配列伸長は、少なくとも1、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、または少なくとも70ヌクレオチドを含み得る。
【0085】
ヌクレオチドアナログ、例えば、グアニン(G)アナログを含むgRNAが本明細書に提供される。ヌクレオチドアナログは、リン酸骨格、糖、および/または核酸塩基の変質を含む。ヌクレオチドアナログの非限定的な例として、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロロ-ピリミジン、3-メチルアデノシン、5-メチルシチジン、2-アミノアデノシン、C5-ブロモウリジン、C5-フルオロウリジン、C5-ヨードウリジン、C5-プロピニル-ウリジン、C5-プロピニル-シチジン、C5-メチルシチジン、2-アミノアデノシン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、O(6)-メチルグアニン、2-チオシチジン、2’-フルオロリボース、リボース、2’-デオキシリボース、アラビノース、ヘキソース、ホスホロチオエート結合、5’-N-ホスホラミダイト結合、インターカレート塩基、および/または化学的に修飾された塩基が挙げられる。5’末端Gアナログを欠いたgRNAと比較して、CRISPR-Cas系を有する複合体中にある場合に標的配列の編集効率の増強を示し得る5’末端Gアナログを含むgRNAが、本明細書に提供される。
【0086】
10~100ヌクレオチド長を含むRNAがさらに本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、合成されたRNAは、10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100ヌクレオチド長を含む。いくつかの実施形態では、合成されたRNAは、10~20ヌクレオチド、10~30ヌクレオチド、10~40ヌクレオチド、10~50ヌクレオチド、10~60ヌクレオチド、10~70ヌクレオチド、10~80ヌクレオチド、10~90ヌクレオチド、10~100ヌクレオチド、20~30ヌクレオチド、20~40ヌクレオチド、20~50ヌクレオチド、20~60ヌクレオチド、20~70ヌクレオチド、20~80ヌクレオチド、20~90ヌクレオチド、20~100ヌクレオチド、30~40ヌクレオチド、30~50ヌクレオチド、30~60ヌクレオチド、30~70ヌクレオチド、30~80ヌクレオチド、30~90ヌクレオチド、30~100ヌクレオチド、40~50ヌクレオチド、40~60ヌクレオチド、40~70ヌクレオチド、40~80ヌクレオチド、40~90ヌクレオチド、40~100ヌクレオチド、50~60ヌクレオチド、50~70ヌクレオチド、50~80ヌクレオチド、50~90ヌクレオチド、50~100ヌクレオチド、60~70ヌクレオチド、60~80ヌクレオチド、60~90ヌクレオチド、60~100ヌクレオチド、70~80ヌクレオチド、70~90ヌクレオチド、70~100ヌクレオチド、80~90ヌクレオチド、80~100ヌクレオチド、または90~100ヌクレオチド長を含む。いくつかの実施形態では、合成されたRNAは、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、または少なくとも90ヌクレオチド長を含む。いくつかの実施形態では、合成されたRNAは、最大20、最大30、最大40、最大50、最大60、最大70、最大80、最大90、または最大100ヌクレオチド長を含む。いくつかの実施形態では、合成されたRNAは少なくとも20ヌクレオチド長を含む。いくつかの実施形態では、合成されたRNAは少なくとも80ヌクレオチド長を含む。いくつかの実施形態では、合成されたRNAは最大30ヌクレオチド長を含む。
【0087】
合成されたRNAは、本明細書に記載されるように、1つ以上の修飾を含み得る。例えば、合成されたRNAは、合成ヌクレオチド、合成ヌクレオチドアナログ、ヌクレオチド誘導体、および/または修飾ヌクレオチドを含み得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の修飾は、合成されたRNAの安定性を増加させることができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の修飾は、合成されたRNAの生物学的活性を増強することができる。いくつかの実施形態では、ホスホロチオエート(PS)結合代用物を使用したヌクレオチド間の結合の修飾は、RNAのエキソヌクレアーゼを介した分解を阻害するために導入され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の修飾は、合成されたRNAの任意の位置で起こり得る。合成されたRNAは、本明細書に記載されるように、天然のヌクレオシド(例えば、アデノシン、グアノシン、シチジン、およびウリジン)、ヌクレオシドアナログ(例えば、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロロ-ピリミジン、3-メチルアデノシン、5-メチルシチジン、2-アミノアデノシン、C5-ブロモウリジン、C5-フルオロウリジン、C5-ヨードウリジン、C5-プロピニル-ウリジン、C5-プロピニル-シチジン、C5-メチルシチジン、2-アミノアデノシン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、O(6)-メチルグアニン、および2-チオシチジン)、化学的に修飾された塩基、生物学的に修飾された塩基(例えば、メチル化された塩基)、インターカレートされた塩基、修飾された糖(例えば、2’-フルオロリボース、リボース、2’-デオキシリボース、アラビノース、およびヘキソース)、および/または修飾されたリン酸基(例えば、ホスホロチオエート結合および5’-N-ホスホラミダイト結合)を含み得る。
【0088】
化学修飾を含むRNAが本明細書に提供される。本明細書に記載されるような化学修飾は、5’三リン酸、5’二リン酸、5’一リン酸、および5’ヒドロキシルからなる群から選択される1つ以上の5’修飾を含み得る。別の実施形態では、化学修飾は、2’-Oメチル化(2’OMe)、2’-O-メトキシ-エチル(2’-MOE)、2’-フルオロ(2’F)、2-デオキシ-2’-チオ、および2’-アジドからなる群から選択される1つ以上のリボース修飾を含む。いくつかの実施形態では、化学的修飾は、ホスホロチオエート、メチルホスホナート、ホスホノカルボキシラート、ホスホノチオカルボキシラート、ボラノホスホネート、アルキルホスホナート、およびアルキルホスホナートからなる群から選択される1つ以上のヌクレオチド間の結合修飾を含む。
【0089】
化学修飾は、2,6-ジアミノプリン、2-アミノプリン、イノシン、2-アミノアデノシン、N6-メチルアデノシン、N6、2’-O-ジメチルアデノシン、N1-メチルアデノシン、2-アミノ-6-クロロプリンリボシド、5-メチルシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、8-オキソ-7,8-ジヒドログアノシン、プソイドウリジン、N4-アセチルシチジン、5-ブロモ-ウリジン、5-メチルウリジン、および5-ニトロインドールからなる群から選択される1つ以上の複素環式修飾を含む修飾ヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態では、化学修飾は、GpppG、7-メチルグアニレート(m7GpppG)、m2,2,7GpppG、およびm7-3’-OGpppG(ARCA)からなる群から選択される1つ以上の5’キャップ修飾を含む修飾ヌクレオチドを含むが、これらに限定されない。
【0090】
いくつかの例では、化学修飾は、付着化学(例えば、ビオチン)、色素、細胞標的化部分、活性化学、およびアミノ修飾剤からなる群から選択される1つ以上の5’キャップ修飾を含む修飾ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、付着化学はビオチンを含み得る。いくつかの実施形態では、色素はフルオレセインを含む。いくつかの実施形態では、細胞標的化部分はジゴキシゲニンを含む。いくつかの実施形態では、活性化学は、アジド、アクリダイト(acrydite)、チオール、またはアルキンを含む。いくつかの実施形態では、アミノ修飾剤はアミノアリルを含む。
【0091】
核酸ライブラリー
【0092】
本明細書に記載されるマイクロ流体ポリヌクレオチド合成を使用して合成された、精製されたRNAを含む、核酸ライブラリーが本明細書に提供される。本明細書に提供される核酸ライブラリーは、高純度かつ均一のRNA分子を含む。精製されたRNAは、本明細書に記載されるように、ガイドRNA(gRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、piwi相互作用RNA(piRNA)、RNAアプタマー、転移RNA(tRNA)、またはアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を含み得る。本明細書に記載されるように、RNAの純度は、等速電気泳動(ITP)、キャピラリー電気泳動(CE)、および/またはマイクロチップベースCEと結合したITPを含むが、これらに限定されない方法を使用して測定および分析できる。DNA鋳型によってコードされたあらかじめ決定されたRNA配列と比較して、非常に正確な配列を有するRNAを含む核酸ライブラリーがさらに本明細書に提供される。いくつかの例では、各RNAが少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、100ヌクレオチドを含む核酸ライブラリーについて、完全長の配列の割合は、少なくとも40%、45%、50%、52%、55%、58%、60%、62%、65%、68%、70%、72%、75%、78%、80%、82%、85%、88%、90%、または95%である。いくつかの例では、核酸ライブラリー中の少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、またはそれ以上のRNAは、配列中のエラー、例えば、ヌクレオチド変化を有していない。いくつかの例では、核酸ライブラリー中の少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、またはそれ以上のRNAは、配列中の挿入または欠失(インデル)を有している。いくつかの例では、本明細書に記載された核酸ライブラリーは、DNA鋳型によってコードされたあらかじめ決定されたRNA配列と比較して、1:100、1:500、1:1000、1:1500、1:2000、1:3000、1:5000、1:10,000未満、またはそれ以下のエラー率を有する。
【0093】
本明細書に記載された核酸ライブラリーは、RNA種表現の尺度である、均一性の点から測定され得る。均一性は、クラスター当たりおよびデバイスベース当たりの両方で測定され得る。いくつかの例では、99%のRNAは、約0.05、0.1、0.2、0.5、0.7、1、1.2、1.5、1.7倍以内、または平均存在量の約2倍以内の存在量を有する。いくつかの例では、97%のポリヌクレオチドは、約0.05、0.1、0.2、0.5、0.7、1、1.2、1.5、1.7倍以内、または平均存在量の約2倍以内の存在量を有する。いくつかの例では、60%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%の配列は、平均の2倍以内の存在量を有している。いくつかの例では、60%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%の配列は、平均の1.5倍以内の存在量を有している。いくつかの例では、60%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%の配列は、平均の1倍以内の存在量を有している。
【0094】
マイクロ流体ポリヌクレオチド合成後に高い均一性を有するRNA分子を含む核酸ライブラリーが本明細書に提供される。例えば、本明細書に記載される核酸ライブラリー中のRNAの少なくとも約60%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%は、全ライブラリーについての平均頻度の1.5倍以内で表され得る。いくつかの実施形態では、核酸ライブラリーは少なくとも50個のRNAを含み、少なくとも50個のRNAのそれぞれは異なるガイドRNA(gRNA)配列をコードし、少なくとも50個のRNAの少なくとも約90%は、ライブラリー中の少なくとも50個のRNAについての平均頻度の1.5倍以内の量で核酸ライブラリー中にそれぞれ存在する、核酸ライブラリーが本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、核酸ライブラリーは少なくとも50個のRNAを含み、少なくとも50個のRNAのそれぞれは異なるガイドRNA(gRNA)配列をコードし、少なくとも50個のRNAの少なくとも約95%は、ライブラリー中の少なくとも50個のRNAについての平均頻度の1.5倍以内の量で核酸ライブラリー中にそれぞれ存在する。いくつかの実施形態では、核酸ライブラリーは少なくとも50個のRNAを含み、少なくとも50個のRNAのそれぞれは異なるガイドRNA(gRNA)配列をコードし、少なくとも50個のRNAの少なくとも約99%は、ライブラリー中の少なくとも50個のRNAについての平均頻度の1.5倍以内の量で核酸ライブラリー中にそれぞれ存在する。
【0095】
少なくとも100,000の個の精製されたRNAを含む核酸ライブラリーが本明細書に提供される。例えば、核酸ライブラリーは、少なくとも100,000、150,000、200,000、250,000、300,000、350,000、400,000、450,000、500,000、550,000、600,000、650,000、700,000、750,000、800,000、850,000、900,000、950,000、または1000,000個の精製されたRNAを含み得る。いくつかの例では、精製されたRNAはRNA配列を含み、RNA配列のそれぞれは、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、または少なくとも100ヌクレオチド長を含む。いくつかの実施形態では、RNA配列のそれぞれは、10~20ヌクレオチド、10~30ヌクレオチド、10~40ヌクレオチド、10~50ヌクレオチド、10~60ヌクレオチド、10~70ヌクレオチド、10~80ヌクレオチド、10~90ヌクレオチド、10~100ヌクレオチド、20~30ヌクレオチド、20~40ヌクレオチド、20~50ヌクレオチド、20~60ヌクレオチド、20~70ヌクレオチド、20~80ヌクレオチド、20~90ヌクレオチド、20~100ヌクレオチド、30~40ヌクレオチド、30~50ヌクレオチド、30~60ヌクレオチド、30~70ヌクレオチド、30~80ヌクレオチド、30~90ヌクレオチド、30~100ヌクレオチド、40~50ヌクレオチド、40~60ヌクレオチド、40~70ヌクレオチド、40~80ヌクレオチド、40~90ヌクレオチド、40~100ヌクレオチド、50~60ヌクレオチド、50~70ヌクレオチド、50~80ヌクレオチド、50~90ヌクレオチド、50~100ヌクレオチド、60~70ヌクレオチド、60~80ヌクレオチド、60~90ヌクレオチド、60~100ヌクレオチド、70~80ヌクレオチド、70~90ヌクレオチド、70~100ヌクレオチド、80~90ヌクレオチド、80~100ヌクレオチド、または90~100ヌクレオチド長を含む。いくつかの実施形態では、RNA配列のそれぞれは、最大20、最大30、最大40、最大50、最大60、最大70、最大80、最大90、または最大100ヌクレオチド長を含む。いくつかの実施形態では、RNAのそれぞれは、少なくとも20ヌクレオチド長を含む。いくつかの実施形態では、RNAのそれぞれは、少なくとも80ヌクレオチド長を含む。いくつかの実施形態では、RNAのそれぞれは、最大30ヌクレオチド長を含む。
【0096】
複数のRNAを含む核酸ライブラリーがさらに本明細書に提供され、RNAのそれぞれは、同じRNA(例えば、gRNA、miRNA、siRNA、mRNA、piRNA、shRNA、tRNA、RNAアプタマー、またはASO)配列を含む。いくつかの例では、核酸ライブラリーは、RNAの2つ以上の群を含み、RNAの2つ以上の群のそれぞれは、異なるRNA配列を含み、RNAの2つ以上の群またはそのそれぞれは、複数のRNAを含む。いくつかの例では、核酸ライブラリーは、それぞれは異なるRNA配列を含む少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400、または少なくとも500個の異なるRNAの群を含む。いくつかの実施形態では、核酸ライブラリーは、それぞれ異なるRNA配列を含む少なくとも200個のRNAの群を含む。例えば、核酸ライブラリーは、200個のRNAの群を含み得、200個のRNAの群のそれぞれは複数のRNA分子を含み、また200個のRNAの群のそれぞれは異なるRNA配列を含み、したがって、核酸ライブラリーは、200個の異なるRNA配列を有する複数のRNAを含み得る。
【0097】
本明細書に記載される核酸ライブラリーは、付加的な成分をさらに含み得る。付加的な成分は、本明細書に記載されるマイクロ流体ポリヌクレオチド合成に含まれるあらゆる要素、例えば、NHSエステル反応産物、解離した転写複合体もしくは断片、転写反応成分、ヌクレオチド因子、ITPおよび/もしくはCE緩衝液、マイクロ流体コーティングポリマー、ならびにUV補助剤(UV adjuncts)を含み得る。例えば、核酸ライブラリーは、マイクロ流体ポリヌクレオチド合成に使用される鋳型としてトランケートされたRNAポリメラーゼプロモーターをコードする少なくとも1つの一本鎖DNA(ssDNA)を含み得る。付加的な成分は、RNAポリメラーゼ、またはその機能的断片あるいはバリアント、RNAポリメラーゼ、またはその機能的断片あるいはバリアントおよびDNA結合タンパク質、またはその機能的断片あるいはバリアントを含む融合タンパク質、複数のオリゴヌクレオチド、複数の単一ヌクレオチド、Tris-HCL、MgCl2、Mn2+、スペルミジン、ジチオトレイトール、DNA鋳型、NaCl、ベータメルカプトエタノール(β-ME)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、グリセロール、ピロホスファターゼ、Triton X-100、Tween-20、グルタミン酸カリウム、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、ウシ血清アルブミン(BSA)、ポリエチレングリコール(PEG)8000、ならびに酢酸塩を含み得るが、これらに限定されない。
【0098】
少なくとも1つのオリゴヌクレオチドをさらに含む核酸ライブラリーが本明細書に提供される。例えば、オリゴヌクレオチドは、イニシエーターオリゴまたはターミネーターオリゴなどのRNAプライマーであり得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、2~10ヌクレオチド長を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチド長を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドはRNAを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドはDNAを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、精製されたRNA、例えば、gRNA、miRNA、siRNA、またはmRNAの5’末端の、もしくは5’末端付近の2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の連続するヌクレオチドに対して80%、85%、90%、95%、あるいは100%同一である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、精製されたRNA、例えば、gRNA、miRNA、siRNA、またはmRNAの3’末端の、もしくは3’末端付近の2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の連続するヌクレオチドに対して80%、85%、90%、95%、あるいは100%同一である。好ましい実施形態では、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、精製されたgRNAの5’末端の、または5’末端付近の2、3、4、5、6、7、8、9または10個の連続するヌクレオチドに対して100%同一である。別の実施形態では、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、精製されたgRNAの3’末端の、または3’末端付近の2、3、4、5、6、7、8、9または10個の連続するヌクレオチドに対して100%同一である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、本明細書に記載される化学修飾(例えば、段落[0107]~[0110]を参照)を含み得る。イニシエーターオリゴの非限定的な例として、ApA、ApU、ApG、ApC、UpA、UpU、UpG、UpC、GpA、GpU、GpG、GpC、CpA、CpU、CpG、CpCが挙げられ、pはリン酸ジエステル結合および残りの5’リン酸基を示す。
【0099】
本明細書に記載される付加的な成分を含む核酸ライブラリーが本明細書に提供され、付加的な成分は、10pM、9pM、8pM、7pM、6pM、5pM、4pM、3pM、2pM、1pM、0.5pM、0.1pM、0.05pM未満、または0.01pM未満の量で核酸ライブラリー中に存在し得る。本明細書に記載される付加的な成分を含む核酸ライブラリーがさらに本明細書に提供され、付加的な成分は、少なくとも0.01pM、0.05pM、0.1pM、0.5pM、1pM、2pM、3pM、4pM、5pM、6pM、7pM、8pM、9pM、または少なくとも10pMの量で核酸ライブラリー中に存在し得る。本明細書に記載される付加的な成分を含む核酸ライブラリーがさらに本明細書に提供され、付加的な成分は、最大20pM、15pM、10pM、9pM、8pM、7pM、6pM、5pM、4pM、3pM、2pM、1pM、0.5pM、0.1pM、0.05pM、または最大0.01pMの量で核酸ライブラリー中に存在し得る。例えば、複数の精製されたRNAを含む核酸ライブラリーは、少なくとも1pMのマイクロ流体コーティングポリマーをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1pMのマイクロ流体コーティングポリマーは、最大10pMのマイクロ流体コーティングポリマーを含む。例えば、複数の精製されたRNAを含む核酸ライブラリーは、少なくとも1pMのUV補助剤をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1pMのUV補助剤は、最大10pMのUV補助剤を含む。
【0100】
コンピュータシステム
【0101】
本明細書に記載の任意のシステムは、コンピュータに操作可能に連結され得、コンピュータを介して局所的にまたは遠隔で自動操作され得る。様々な例では、本発明の方法およびシステムは、コンピュータシステム上のソフトウェアプログラム、およびその使用をさらに含んでもよい。したがって、材料堆積装置の動作、分配行為、ならびに減圧の作動を編成および同期するなど、機能の分配/減圧/再充填の同期のためのコンピュータ制御は、本発明の範囲内にある。コンピュータシステムは、表面の指定された領域に正しい試薬を送達するために、ユーザーに指定された鋳型配列と材料堆積デバイスの位置との間に干渉するようにプログラムされる。
【0102】
図7に例示されるコンピュータシステム(700)は、媒体(711)、および/または固定された媒体(712)を有するサーバー(709)に任意選択で接続され得るネットワークポート(705)から命令を読み出すことができる論理装置として理解され得る。
図7に示されるものなどのシステムは、CPU(701)、ディスクドライブ(703)、キーボード(715)および/またはマウス(716)などの任意選択の入力デバイス、ならびに任意選択のモニター(707)を含み得る。データ通信は指示された通信媒体を介して局所位置または遠隔位置のサーバーまで達成され得る。通信媒体は、データを送信および/または受信する任意の手段を含むことができる。例えば、通信媒体は、ネットワーク接続、無線接続、またはインターネット接続であり得る。そのような接続は、ワールド・ワイド・ウェブ(World Wide Web)上での通信を提供することができる。本開示に関するデータは、
図7に例示されるように当事者(722)による受領および/または検討のためにそのようなネットワークまたは接続によって伝達され得ることが想定される。
【0103】
図8に示されるように、本発明の例に関連して使用され得るコンピューターシステム(800)の第1の例となるアーキテクチャを例示するブロック図が本明細書に提供される。
図8に表されるように、例示的なコンピュータシステムは、命令を処理するためのプロセッサ(802)を含んでもよい。プロセッサの非限定的な例として、Intel Xeon(商標)プロセッサ、AMD Opteron(商標)プロセッサ、Samsung 8-bit RISC ARM 1176JZ(F)-S v1.0(商標)プロセッサ、ARM Cortex-A8 Samsung S5PC100(商標)プロセッサ、ARM Cortex-A8 Apple A4(商標)プロセッサ、Marvell PXA 930(商標)プロセッサ、または機能的に同等なプロセッサが挙げられる。実行の複数のスレッドが並列処理に使用可能である。いくつかの例では、複数のプロセッサ、または複数のコアを持つプロセッサも、単一のコンピュータシステム中であろうと、クラスターの中であろうと、または、複数のコンピュータ、携帯電話、および/または個人用携帯情報端末デバイスを含むネットワーク上のシステムにわたって分布されていても、使用可能である。
【0104】
図8に例示されるように、高速キャッシュ(804)は、プロセッサ(802)に接続するか、または組み込まれることで、プロセッサ(802)により近年使用されてきたまたは頻繁に使用されている命令またはデータのための高速メモリを提供することができる。プロセッサ(802)は、プロセッサバス(808)によりノースブリッジ(806)に接続される。ノースブリッジ(806)は、メモリバス(812)によりランダムアクセスメモリ(RAM)(810)に接続され、プロセッサ(802)によりRAM(810)へのアクセスを管理する。ノースブリッジ(806)は、チップセットバス(816)によりサウスブリッジ(88)にも接続される。サウスブリッジ(814)は次に、ペリフェラルバス(818)に接続される。ペリフェラルバスは、例えば、PCI、PCI-X、PCI Express、または他のペリフェラルバスであってもよい。ノースブリッジおよびサウスブリッジはしばしば、プロセッサチップセットと称され、ペリフェラルバス(818)上でプロセッサと、RAMと、周辺コンポーネントとの間のデータ転送を管理する。いくつかの代替的なアーキテクチャでは、ノースブリッジの機能性は、別のノースブリッジチップを使用する代わりにプロセッサに組み込まれ得る。いくつかの例では、システム(800)は、ペリフェラルバス(818)に取り付けられたアクセラレータカード(822)を含むことができる。アクセラレータは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または特定の処理を促進するための他のハードウェアを含んでもよい。例えば、アクセラレータは、適応データの再構成のために、または拡張された設定処理に使用される代数式を評価するために使用され得る。
【0105】
ソフトウェアとデータは、外部ストレージ(824)に記憶され、プロセッサにより使用されるRAM(810)および/またはキャッシュ(804)へとロードすることができる。システム(800)は、システムリソースの管理のためのオペレーティングシステムを含み、オペレーティングシステムの非限定的な例として、Linux、Windows(商標)、MACOS(商標)、BlackBerry OS(商標)、iOS(商標)、及び他の機能的に同等なOS、同様に、本発明の例に従ってデータの記憶と最適化を管理するためのオペレーティングシステム上で実行するアプリケーションソフトウェアが挙げられる。この例では、システム(800)は、ネットワーク接続ストレージ(NAS)などの外部記憶装置、および分散並列処理に使用することができる他のコンピュータシステムにネットワークインターフェースを提供するために、周辺バスに接続されるネットワークインターフェースカード(NIC)(820)および(821)をさらに含む。
【0106】
図9に示されるように、複数のコンピュータシステム(902a)および(902b)、複数の携帯電話および個人用携帯情報端末(902c)、ならびにネットワーク接続ストレージ(NAS)(904a)および(904b)を備えたネットワーク(900)を示す略図が本明細書に提供される。例では、システム(902a)、(902b)、および(902c)は、データ記憶を管理し、ネットワーク接続ストレージ(NAS)(904a)および(904b)に記憶されたデータに対するデータアクセスを最適化することができる。数学モデルがこのデータに対して使用可能であり、コンピュータシステム(902a)および(902b)、ならびに携帯電話および個人用携帯情報端末システム(902c)にわたって分散並列処理を使用して評価可能である。コンピュータシステム(902a)および(902b)、ならびに携帯電話および個人用携帯情報端末システム(902c)は、ネットワーク接続ストレージ(NAS)(904a)および(904b)に記憶されたデータの適応データ再構築に対して並列処理を提供することもできる。
図9は一例のみを示しており、様々な他のコンピュータのアーキテクチャおよびシステムは、本発明の様々な例と共に使用され得る。例えば、ブレードサーバーは並列処理を提供するために使用することができる。プロセッサブレードは、並列処理を提供するためにバックプレーンを介して接続可能である。ストレージも、バックプレーンに接続することができるか、または別のネットワークインターフェースを介してネットワーク接続ストレージ(NAS)として接続可能である。
【0107】
いくつかの例では、プロセッサは、別のメモリ空間を維持し、ネットワークインターフェース、バックプレーン、または他のプロセッサによる並列処理のための他のコネクターを介してデータを伝達することができる。他の例では、プロセッサのいくつかまたはすべてが、共有仮想アドレスメモリ空間を使用することができる。
【0108】
実施形態の一例による、
図10に例示されるような共有の仮想アドレスメモリ空間を使用した、マルチプロセッサコンピュータシステム(1000)のブロック図が本明細書に提供される。上記システムは、共有メモリサブシステム(1004)にアクセス可能な複数のプロセッサ(1002a~1002f)を含むプロセッサ(1002)を含む。上記システムは、メモリサブシステム(1004)に複数のプログラム可能なハードウェアメモリアルゴリズムプロセッサ(MAP)(1006a~1006f)を組み込む。各MAP(1006a~1006f)は、メモリ(1008a~1008f)および1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)(1010a~1010f)を含み得る。MAPは構成可能な機能ユニットを提供し、特定のアルゴリズムまたはアルゴリズムの一部は、それぞれのプロセッサと密接に協働して処理するためのFPGA(1010a~1010f)に提供され得る。例えば、MAPは、データモデルに関する代数式を評価し、かつ例における適応データの再構築を行なうために使用することができる。この例では、各MAPは、このような目的のためにプロセッサすべてによって世界中からアクセス可能である。1つの構成では、各MAPは、関連するメモリ(1008a~1008f)にアクセスするためにダイレクトメモリアクセス(DMA)を使用することができ、それにより、それぞれのマイクロプロセッサ(1002a~1002f)から独立して、かつこれらから非同期的に、タスクを実行することができる。この構成では、MAPは、アルゴリズムのパイプライン処理(pipelining)および並列実行のために別のMAPに直接結果を供給することができる。
【0109】
上記のコンピューターアーのキテクチャーおよびシステムは、単に例であり、一般的なプロセッサ、コプロセッサ、FPGAおよび他のプログラマブルロジックデバイス、システムオンチップ(SOC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、ならびに他の処理素子および論理素子のあらゆる組合せを使用したシステムを含む、様々な他のコンピュータ、携帯電話、パーソナルデータアシスタントのアーキテクチャおよびシステムが、例に関連して使用され得る。いくつかの例では、コンピュータシステムのすべてまたは一部は、ソフトウェアまたはハードウェアに実装することができる。様々なデータ記憶媒体が、ランダムアクセスメモリ、ハードドライブ、フラッシュメモリ、テープドライブ、ディスクアレイ、ネットワーク接続ストレージ(NAS)、および他のローカルまたは分散データ記憶装置およびシステムを含む例と共に使用することができる。
【0110】
例では、コンピュータシステムは、上記のまたは他のコンピュータのアーキテクチャおよびシステムのいずれかで実行されるソフトウェアモジュールを使用して実施され得る。他の例では、システムの機能は、ファームウェア、
図10で参照されるようなフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などのプログラマブルロジックデバイス、システムオンチップ(SOC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、または他の処理要素および論理素子において部分的または完全に実装することができる。例えば、セットプロセッサおよびオプティマイザは、
図7に例示されるアクセラレータカード(722)などのハードウェアアクセラレータカードの使用によってハードウェアアクセラレーションで実施され得る。
【0111】
他の実施形態
【0112】
いくつかの態様では、RNAを合成するための方法が本明細書に提供され、上記方法は、表面上で固定されたRNAポリメラーゼを提供する工程と、毎時少なくとも50ヌクレオチドの伸長速度で複数のRNAを合成する工程であって、複数のRNAのそれぞれはあらかじめ選択された配列を有しており、合成する工程は1つの伸長反応において一塩基ずつ伸長させることを含む、工程とを含む。いくつかの実施形態では、複数のRNAのそれぞれは、ガイドRNA(gRNA)を含む。いくつかの実施形態では、複数のRNAのそれぞれは、メッセンジャーRNA(mRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、piwi相互作用RNA(piRNA)、RNAアプタマー、転移RNA(tRNA)、およびアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、合成は鋳型DNAを用いて実行される。いくつかの実施形態では、鋳型DNAは表面上で固定される。いくつかの実施形態では、鋳型DNAは、リンカー、ビオチンまたはストレプトアビジンによって表面上で固定される。いくつかの実施形態では、鋳型DNAは一本鎖DNA(ssDNA)を含む。いくつかの実施形態では、鋳型DNAは二本鎖DNA(dsDNA)を含む。いくつかの実施形態では、鋳型DNAは二次構造を含む。いくつかの実施形態では、二次構造はヘアピンを含む。いくつかの実施形態では、鋳型DNAはプロモーター配列を含む。いくつかの実施形態では、プロモーター配列は、トランケートされたプロモーター配列である。いくつかの実施形態では、伸長速度は毎分少なくとも50ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、伸長速度は毎秒少なくとも50ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、RNAポリメラーゼは、ファージRNAポリメラーゼ、細菌RNAポリメラーゼ、および真核生物RNAポリメラーゼからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、RNAポリメラーゼは、標準のN-ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHS)官能基を用いて表面を活性化することによって表面上で固定される。いくつかの実施形態では、RNAポリメラーゼは無水トリフルオロ酢酸(TFAA)官能基を用いて表面を活性化することによって表面上で固定される。いくつかの実施形態では、RNAポリメラーゼはグルタルアルデヒド(GA)官能基を用いて表面を活性化することによって表面上で固定される。いくつかの実施形態では、RNAポリメラーゼは、リンカー、ビオチンまたはストレプトアビジンによって表面上で固定される。いくつかの実施形態では、表面は固体表面である。いくつかの実施形態では、表面は、磁気ビーズ、アガロースビーズ、溶融石英、ゾル-ゲル、シリカポリマー、シリカモノリス、セルロース、寒天、アクリルアミド、金ビーズ、またはゲルマトリックスを含む。いくつかの実施形態では、複数のRNAのそれぞれは、あらかじめ選択された同じ配列を有する。いくつかの実施形態では、複数のRNAは、あらかじめ選択された異なる配列を含む少なくとも2つのRNAを含む。いくつかの実施形態では、複数のRNAは、少なくとも1つの化学修飾されたgRNAを含む。
【0113】
いくつかの態様では、RNAを合成するための方法が本明細書に提供され、上記方法は、融合RNAポリメラーゼ、またはその機能的断片あるいはバリアントを提供する工程と、毎時少なくとも50ヌクレオチドの伸長速度で複数のRNAを合成する工程であって、複数のRNAのそれぞれはあらかじめ選択された配列を有しており、合成する工程は1つの伸長反応において一塩基ずつ伸長させることを含む工程とを含む。いくつかの実施形態では、融合RNAポリメラーゼは、RNAポリメラーゼ、またはその機能的断片あるいはバリアント、ならびにDNA結合タンパク質、またはその機能的断片あるいはバリアントを含み、RNAポリメラーゼおよびDNA結合タンパク質は異種である。いくつかの実施形態では、融合RNAポリメラーゼはリンカーをさらに含む。いくつかの実施形態では、RNAポリメラーゼは、ファージRNAポリメラーゼ、細菌RNAポリメラーゼ、および真核生物RNAポリメラーゼからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、DNA結合タンパク質は、RNAポリメラーゼのN末端に融合される。いくつかの実施形態では、DNA結合タンパク質は、RNAポリメラーゼのC末端に融合される。いくつかの実施形態では、複数のRNAのそれぞれは、ガイドRNA(gRNA)を含む。いくつかの実施形態では、複数のRNAのそれぞれは、メッセンジャーRNA(mRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、piwi相互作用RNA(piRNA)、RNAアプタマー、転移RNA(tRNA)、およびアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、合成する工程は鋳型DNAを用いて実行される。いくつかの実施形態では、鋳型DNAは一本鎖DNA(ssDNA)を含む。いくつかの実施形態では、鋳型DNAは二本鎖DNA(dsDNA)を含む。いくつかの実施形態では、鋳型DNAは二次構造を含む。いくつかの実施形態では、二次構造はヘアピンを含む。いくつかの実施形態では、鋳型DNAはプロモーター配列を含む。いくつかの実施形態では、プロモーター配列は、トランケートされたプロモーター配列である。いくつかの実施形態では、伸長速度は毎分少なくとも50ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、伸長速度は毎秒少なくとも50ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、複数のRNAのそれぞれは、同じあらかじめ選択された配列を有する。いくつかの実施形態では、複数のRNAは、異なるあらかじめ選択された配列を含む少なくとも2つのRNAを含む。いくつかの実施形態では、複数のRNAは、少なくとも1つの化学修飾されたgRNAを含む。
【0114】
いくつかの態様では、複数の精製されたガイドRNA(gRNA)と、トランケートされたRNAポリメラーゼプロモーター領域をコードする少なくとも1つの一本鎖DNA(ssDNA)分子とを含む核酸ライブラリーが本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、精製されたgRNAのそれぞれは、少なくとも20ヌクレオチド長の配列を含む。いくつかの実施形態では、精製されたgRNAのそれぞれは、少なくとも80ヌクレオチド長の配列を含む。いくつかの実施形態では、複数の精製されたgRNAは、少なくとも100,000個の精製されたgRNAを含む。いくつかの実施形態では、トランケートされたRNAポリメラーゼプロモーター領域は、配列番号3~6からなる群から選択された配列を含む。いくつかの実施形態では、複数の精製されたgRNAは、修飾されたヌクレオチドを含む。
【0115】
いくつかの態様では、少なくとも20ヌクレオチド長の複数の精製されたガイドRNA(gRNA)、および2~10ヌクレオチド長の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む核酸ライブラリーが本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、複数の精製されたガイドRNA(gRNA)は、少なくとも80ヌクレオチド長を含む。いくつかの実施形態では、複数の精製されたgRNAは、少なくとも100,000個の精製されたgRNAを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのオリゴヌクレオチド長は、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドはRNAを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、精製されたガイドRNAの5’末端の、または5’末端付近の2、3、4、5、6、7、8、9または10個の連続するヌクレオチドに対して100%同一である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、精製されたガイドRNAの3’末端の、または3’末端付近の2、3、4、5、6、7、8、9または10個の連続するヌクレオチドに対して100%同一である。
【0116】
いくつかの実施形態では、複数の精製されたgRNAは、少なくとも1つの化学修飾されたgRNAを含む。いくつかの実施形態では、化学修飾は、5’三リン酸、5’二リン酸、5’一リン酸、および5’ヒドロキシルからなる群から選択される1つ以上の5’修飾を含む。いくつかの実施形態では、化学修飾は、2’-O-メチル化(2’OMe)、2’-O-メトキシ-エチル(2’-MOE)、2’-フルオロ(2’F)、2-デオキシ-2’-チオ、および2’-アジドからなる群から選択される1つ以上のリボース修飾を含む。いくつかの実施形態では、化学修飾は、ホスホロチオエート、メチルホスホナート、ホスホノカルボキシラート、ホスホノチオカルボキシラート、ボラノホスホネート、アルキルホスホナート、およびアルキルホスホナートからなる群から選択される1つ以上のヌクレオチド間結合修飾を含む。いくつかの実施形態では、化学修飾は、2,6-ジアミノプリン、2-アミノプリン、イノシン、2-アミノアデノシン、N6-メチルアデノシン、N6、2’-O-ジメチルアデノシン、N1-メチルアデノシン、2-アミノ-6-クロロプリンリボシド、5-メチルシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、8-オキソ-7,8-ジヒドログアノシン、プソイドウリジン、N4-アセチルシチジン、5-ブロモ-ウリジン、5-メチルウリジン、および5-ニトロインドールからなる群から選択される1つ以上の複素環式修飾を含む修飾ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、化学修飾は、GpppG、7-メチルグアニレート(m7GpppG)、m2,2,7GpppG、およびm7-3’-OGpppG(ARCA)からなる群から選択される1つ以上の5’キャップ修飾を含む修飾ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、化学修飾は、付着化学、色素、細胞標的化部分、活性化学、およびアミノ修飾剤からなる群から選択される1つ以上の5’キャップ修飾を含む修飾ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、付着化学はビオチンを含む。いくつかの実施形態では、色素はフルオレセインを含む。いくつかの実施形態では、細胞標的化部分はジゴキシゲニンを含む。いくつかの実施形態では、活性化学は、アジド、アクリダイト(acrydite)、チオール、またはアルキンを含む。いくつかの実施形態では、アミノ修飾剤はアミノアリルを含む。
【0117】
いくつかの態様では、少なくとも50個のガイドRNA(gRNA)を含む核酸ライブラリーを作製する方法が本明細書に提供され、上記方法は、RNAポリメラーゼを使用して少なくとも50個のgRNAを合成する工程を含み、少なくとも50個のgRNAのうちの少なくとも1つは標的遺伝子中の標的配列に相補的なスペーサー配列を含み、スペーサー配列の5’末端ヌクレオチドは標的配列の3’末端ヌクレオチドに相補的である。いくつかの実施形態では、少なくとも50個のgRNAのそれぞれは、標的遺伝子中の標的配列に相補的なスペーサー配列を含み、スペーサー配列の5’末端ヌクレオチドは、標的配列の3’末端ヌクレオチドに相補的である。いくつかの実施形態では、RNAポリメラーゼは、ファージRNAポリメラーゼ、細菌RNAポリメラーゼ、および真核生物RNAポリメラーゼからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、RNAポリメラーゼは、T7 RNAポリメラーゼである。いくつかの実施形態では、少なくとも50個のgRNAのそれぞれは、標的配列の3’末端ヌクレオチドに相補的でない5’末端ヌクレオチドを含むgRNAと比較して、標的配列の編集効率の増強を示す。いくつかの実施形態では、少なくとも50個のgRNAのそれぞれは、標的配列の3’末端ヌクレオチドに相補的でない5’末端ヌクレオチドを含むgRNAと比較して、オフターゲット編集の減少を示す。いくつかの実施形態では、少なくとも50個のgRNAは、5’末端グアニン(G)ヌクレオチドを欠くgRNA配列を含み、gRNA配列は少なくとも40ヌクレオチド長を含み、gRNA配列の5’末端の少なくとも3つの連続するヌクレオチドは、ゲノム中の標的配列の3’末端に対して100%同一である。いくつかの実施形態では、少なくとも50個のgRNAのそれぞれは、5’末端Gヌクレオチドを含むgRNA配列を含むgRNAと比較して、標的配列と対になる増強された5’末端を示し、5’末端Gヌクレオチドはプロトスペーサー配列中に存在しない。いくつかの実施形態では、少なくとも50個のgRNAのそれぞれは、スペーサー配列を含むgRNA配列を含むgRNAと比較して、標的配列の編集効率の増強を示し、gRNA配列は、スペーサー配列の5’末端に1つ以上のGヌクレオチドを含み、スペーサー配列の5’末端の1つ以上のGヌクレオチドは、ゲノム中の標的配列の3’末端の1つ以上のヌクレオチドに相補的でない。いくつかの実施形態では、少なくとも50個のgRNAのそれぞれは、スペーサー配列を含むgRNA配列を含むgRNAと比較して、オフターゲット編集の減少を示し、gRNA配列は、スペーサー配列の5’末端に1つ以上のGヌクレオチドを含み、スペーサー配列の5’末端の1つ以上のGヌクレオチドは、ゲノム中の標的配列の3’末端の1つ以上のヌクレオチドに相補的でない。いくつかの実施形態では、少なくとも50個のgRNAは、5’末端コドン中でグアニン(G)ヌクレオチドを欠くgRNA配列を含み、gRNA配列は少なくとも40ヌクレオチド長を含み、gRNA配列の5’末端の少なくとも3つの連続するヌクレオチドは、ゲノム中の標的配列の3’末端に対して100%同一である。いくつかの実施形態では、少なくとも50個のgRNAは、5’末端コドン中にグアニン(G)ヌクレオチドを含むgRNA配列を含むgRNAと比較して、標的配列と対になる増強された5’末端を示し、5’末端コドン中のGヌクレオチドはプロトスペーサー配列中に存在しない。いくつかの実施形態では、少なくとも50個のgRNAのそれぞれは、スペーサー配列を含むgRNA配列を含むgRNAと比較して、標的配列の編集効率の増強を示し、gRNA配列は、スペーサー配列の5’末端に1つ以上のGヌクレオチドを含み、スペーサー配列の5’末端の1つ以上のGヌクレオチドは、ゲノム中の標的配列の3’末端の1つ以上のヌクレオチドに相補的でない。いくつかの実施形態では、少なくとも50個のgRNAのそれぞれは、スペーサー配列を含むgRNA配列を含むgRNAと比較して、オフターゲット編集の減少を示し、gRNA配列は、スペーサー配列の5’末端に1つ以上のGヌクレオチドを含み、スペーサー配列の5’末端の1つ以上のGヌクレオチドは、ゲノム中の標的配列の3’末端の1つ以上のヌクレオチドに相補的でない。いくつかの実施形態では、少なくとも50個のgRNAは、少なくとも100,000個の精製されたgRNAを含む。
【0118】
いくつかの態様では、少なくとも50個の精製されたgRNA(gRNA)を含む核酸ライブラリーが本明細書に提供され、少なくとも50個の精製されたgRNAは、5’末端グアニン(G)アナログを含むgRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも50個の精製されたgRNAのそれぞれは、5’末端Gアナログを欠くgRNA配列を含むgRNAと比較して、標的配列の編集効率の増強を示す。いくつかの実施形態では、少なくとも50個の精製されたgRNAのそれぞれは、5’末端Gアナログを欠くgRNA配列を含むgRNAと比較して、安定性の増強を示す。いくつかの実施形態では、少なくとも50個の精製されたgRNAは、少なくとも100,000個の精製されたgRNAを含む。
【0119】
いくつかの態様では、核酸ライブラリーであって、核酸ライブラリーは少なくとも50個のRNAを含み、少なくとも50個のRNAのそれぞれは異なるガイドRNA(gRNA)配列をコードし、少なくとも50個のRNAの少なくとも約90%は、ライブラリー中の少なくとも50個のRNAについての平均頻度の1.5倍以内の量で核酸ライブラリー中にそれぞれ存在する、核酸ライブラリーが本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、核酸ライブラリーは、少なくとも100、少なくとも500、少なくとも1,000、少なくとも5,000、少なくとも10,000、少なくとも50,000、または少なくとも100,000個のRNAを含み、少なくとも100、少なくとも500、少なくとも1,000、少なくとも5,000、少なくとも10,000、少なくとも50,000、または少なくとも100,000個のRNAの少なくとも約90%は、ライブラリー中の少なくとも100、少なくとも500、少なくとも1,000、少なくとも5,000、少なくとも10,000、少なくとも50,000、または少なくとも100,000個のRNAについての平均頻度の1.5倍以内の量で核酸ライブラリー中にそれぞれ存在する。いくつかの実施形態では、異なるgRNA配列は少なくとも80ヌクレオチド長を含む。いくつかの実施形態では、異なるgRNA配列は少なくとも100個の異なるgRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも50個のRNAの少なくとも約95%は、ライブラリー中のRNAのそれぞれについての平均頻度の1.5倍以内の量で核酸ライブラリー中にそれぞれ存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも50個のRNAの少なくとも約99%は、ライブラリー中のRNAのそれぞれについての平均頻度の1.5倍以内の量で核酸ライブラリー中にそれぞれ存在する。
【0120】
いくつかの態様では、修飾されたポリペプチド組成物が本明細書に提供され、修飾されたポリペプチド組成物は、精製されたRNAポリメラーゼ、またはその機能的断片あるいはバリアントと、精製された核酸結合タンパク質、任意選択で、タンパク質を含有するジンクフィンガー、またはその機能的断片あるいはバリアントとを含み、精製されたRNAポリメラーゼおよび精製された核酸結合タンパク質は異種であり、精製されたRNAポリメラーゼおよび精製された核酸結合タンパク質は連結される。いくつかの実施形態では、精製されたRNAポリメラーゼおよび精製された核酸結合タンパク質は、コンジュゲーションによって連結される。いくつかの実施形態では、精製されたRNAポリメラーゼおよび精製された核酸結合タンパク質は、融合によって連結される。いくつかの実施形態では、精製された核酸結合タンパク質は、精製されたRNAポリメラーゼのN末端に連結される。いくつかの実施形態では、精製された核酸結合タンパク質は、精製されたRNAポリメラーゼのC末端に連結される。いくつかの実施形態では、精製されたRNAポリメラーゼは、T7 RNAポリメラーゼである。いくつかの実施形態では、精製された核酸結合タンパク質は、ジンクフィンガードメイン、ロイシンジッパー、ヘリックスターンヘリックス(HTH)モチーフ、ヘリックスループヘリックス(HLH)モチーフ、ウィングドヘリックス(WH)、ウィングドHTH(WHTH)モチーフ、高移動度群(HMG)ボックス、白色不透明レギュレーター3(White-Opaque Regulator 3/Wor3)ドメイン、オリゴヌクレオチド/オリゴ糖結合(OB)フォールドドメイン、免疫グロブリンフォールド、B3ドメイン、転写アクチベーター様エフェクター(Transcription Activator-Like Effector/TALE)、TALE様タンパク質、またはクラスター化され規則的に間隔が空いた短い回文構造の繰り返し(CRISPR)関連Casタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、精製された核酸結合タンパク質は、ジンクフィンガードメインを含む。
【0121】
いくつかの態様では、融合RNAポリメラーゼ、またはその機能的断片あるいはバリアントと、DNAポリヌクレオチドとを含む組成物であって、融合RNAポリメラーゼは、(i)RNAポリメラーゼ、またはその機能的断片あるいはバリアントと、(ii)DNA結合タンパク質、またはその機能的断片あるいはバリアントとを含み、RNAポリメラーゼおよびDNA結合タンパク質は異種である、組成物が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、DNAポリヌクレオチドは一本鎖DNAポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、DNAポリヌクレオチドは3’二次構造を含む。いくつかの実施形態では、3’二次構造はヘアピンを含む。
【0122】
いくつかの態様では、修飾されたポリペプチドが本明細書に提供され、バリアントT7 RNAポリメラーゼまたはその機能的断片を含み、バリアントT7 RNAポリメラーゼは、K172L、P266L、H772R、N748X、R756M、Q758X、およびE775Vからなる群から選択される少なくとも4つのバリエーションを含み、その位置は配列番号1とのアラインメントによって決定され、Xは野生型アミノ酸とは異なる任意のアミノ酸である。いくつかの態様では、バリアントT7 RNAポリメラーゼまたはその機能的断片を含む修飾されたポリペプチドが本明細書に提供され、バリアントT7 RNAポリメラーゼは、K172L、P266L、H772R、N748X、R756M、Q758X、およびE775Vからなる群から選択される少なくとも1つのバリエーションを含み、その位置は配列番号1とのアラインメントによって決定され、Xは野生型アミノ酸とは異なる任意のアミノ酸であり、修飾されたポリペプチドは表面上で固定される。
【0123】
いくつかの実施形態では、バリアントT7 RNAポリメラーゼまたはその機能断片は、DNA結合タンパク質に連結される。いくつかの実施形態では、バリアントT7 RNAポリメラーゼまたはその機能断片は、融合によってDNA結合タンパク質に連結される。いくつかの実施形態では、バリアントT7 RNAポリメラーゼまたはその機能断片は、コンジュゲーションによってDNA結合タンパク質に連結される。いくつかの実施形態では、DNA結合タンパク質は、T7 RNAポリメラーゼのN末端に連結される。いくつかの実施形態では、DNA結合タンパク質は、T7 RNAポリメラーゼのC末端に連結される。いくつかの実施形態では、バリアントT7 RNAポリメラーゼまたはその機能的断片は、配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、バリアントT7 RNAポリメラーゼまたはその機能的断片は、配列番号1に記載の配列を含むT7 RNAポリメラーゼと比較して、転写開始および/または伸長プロセス中に増加した安定性を示す。いくつかの実施形態では、バリアントT7 RNAポリメラーゼまたはその機能的断片は、配列番号1に記載の配列を含むT7 RNAポリメラーゼと比較して、T7プロモーター配列に対する結合親和性の減少を示す。
【0124】
いくつかの態様では、デバイスが本明細書に提供され、表面と、T7 RNAポリメラーゼ、またはその機能的断片あるいはバリアントと、DNA鋳型であって、DNA鋳型はトランケーションされたT7プロモーター配列を含むDNA鋳型とを含み、T7 RNAポリメラーゼ、機能的断片またはそのバリアント、あるいはDNA鋳型は表面に連結される。いくつかの実施形態では、デバイスは、表面に連結された核酸結合タンパク質、またはその機能的断片あるいはバリアントをさらに含む。いくつかの実施形態では、表面は固体表面である。いくつかの実施形態では、表面は、磁気ビーズ、アガロースビーズ、溶融石英、ゾル-ゲル、シリカポリマー、シリカモノリス、セルロース、寒天、アクリルアミド、または金ビーズを含む。いくつかの実施形態では、固体表面は、T7 RNAポリメラーゼ、DNA鋳型、または核酸結合タンパク質のカプセル化あるいは取り込みのためのゲルマトリックスを含む。いくつかの実施形態では、核酸結合タンパク質は、ストレプトアビジンタグを含む。いくつかの実施形態では、T7 RNAポリメラーゼは固定される。いくつかの実施形態では、DNA鋳型は固定される。いくつかの実施形態では、核酸結合タンパク質、またはその機能的断片あるいはバリアントは、ジンクフィンガードメイン、ロイシンジッパー、ヘリックスターンヘリックス(HTH)モチーフ、ヘリックスループヘリックス(HLH)モチーフ、ウィングドヘリックス(WH)、ウィングドHTH(WHTH)モチーフ、高移動度群(HMG)ボックス、白色不透明レギュレーター3(White-Opaque Regulator 3/Wor3)ドメイン、オリゴヌクレオチド/オリゴ糖結合(OB)フォールドドメイン、免疫グロブリンフォールド、B3ドメイン、転写アクチベーター様エフェクター(Transcription Activator-Like Effector/TALE)、TALE様タンパク質、またはクラスター化され規則的に間隔が空いた短い回文構造の繰り返し(CRISPR)関連Casタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、核酸結合タンパク質、またはその機能的断片あるいはバリアントは、配列特異的結合によって核酸に結合する。いくつかの実施形態では、核酸結合タンパク質、またはその機能的断片あるいはバリアントは、核酸上の1つ以上の化学修飾を通じて核酸に結合する。いくつかの実施形態では、1つ以上の化学修飾は、ビオチンまたはアビジンを含む。いくつかの実施形態では、DNA結合タンパク質は、ジンクフィンガードメイン、ロイシンジッパー、ヘリックスターンヘリックス(HTH)モチーフ、ヘリックスループヘリックス(HLH)モチーフ、ウィングドヘリックス(WH)、ウィングドHTH(WHTH)モチーフ、高移動度群(HMG)ボックス、白色不透明レギュレーター3(White-Opaque Regulator 3/Wor3)ドメイン、オリゴヌクレオチド/オリゴ糖結合(OB)フォールドドメイン、免疫グロブリンフォールド、B3ドメイン、転写アクチベーター様エフェクター(Transcription Activator-Like Effector/TALE)、TALE様タンパク質、またはクラスター化され規則的に間隔が空いた短い回文構造の繰り返し(CRISPR)関連Casタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、DNA鋳型は、配列番号7を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、T7 RNAポリメラーゼまたはそのバリアントは、配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、デバイスは、圧電振動子、回転バルブ、ペルチェヒーター、電圧コントローラ、シリンジポンプ、UV LED、およびセンサーまたは真空ポンプをさらに含む。
【0125】
配列
【0126】
配列番号1(WT T7 RNAポリメラーゼタンパク質配列)
MNTINIAKNDFSDIELAAIPFNTLADHYGERLAREQLALEHESYEMGEARFRKMFERQLKAGEVADNAAAKPLITTLLPKMIARINDWFEEVKAKRGKRPTAFQFLQEIKPEAVAYITIKTTLACLTSADNTTVQAVASAIGRAIEDEARFGRIRDLEAKHFKKNVEEQLNKRVGHVYKKAFMQVVEADMLSKGLLGGEAWSSWHKEDSIHVGVRCIEMLIESTGMVSLHRQNAGVVGQDSETIELAPEYAEAIATRAGALAGISPMFQPCVVPPKPWTGITGGGYWANGRRPLALVRTHSKKALMRYEDVYMPEVYKAINIAQNTAWKINKKVLAVANVITKWKHCPVEDIPAIEREELPMKPEDIDMNPEALTAWKRAAAAVYRKDKARKSRRISLEFMLEQANKFANHKAIWFPYNMDWRGRVYAVSMFNPQGNDMTKGLLTLAKGKPIGKEGYYWLKIHGANCAGVDKVPFPERIKFIEENHENIMACAKSPLENTWWAEQDSPFCFLAFCFEYAGVQHHGLSYNCSLPLAFDGSCSGIQHFSAMLRDEVGGRAVNLLPSETVQDIYGIVAKKVNEILQADAINGTDNEVVTVTDENTGEISEKVKLGTKALAGQWLAYGVTRSVTKRSVMTLAYGSKEFGFRQQVLEDTIQPAIDSGKGLMFTQPNQAAGYMAKLIWESVSVTVVAAVEAMNWLKSAAKLLAAEVKDKKTGEILRKRCAVHWVTPDGFPVWQEYKKPIQTRLNLMFLGQFRLQPTINTNKDSEIDAHKQESGIAPNFVHSQDGSHLRKTVVWAHEKYGIESFALIHDSFGTIPADAANLFKAVRETMVDTYESCDVLADFYDQFADQLHESQLDKMPALPAKGNLNLRDILESDFAFA
【0127】
配列番号2(WT T7 RNAポリメラーゼDNA配列)
ATGAACACGATTAACATCGCTAAGAACGACTTCTCTGACATCGAACTGGCTGCTATCCCGTTCAACACTCTGGCTGACCATTACGGTGAGCGTTTAGCTCGCGAACAGTTGGCCCTTGAGCATGAGTCTTACGAGATGGGTGAAGCACGCTTCCGCAAGATGTTTGAGCGTCAACTTAAAGCTGGTGAGGTTGCGGATAACGCTGCCGCCAAGCCTCTCATCACTACCCTACTCCCTAAGATGATTGCACGCATCAACGACTGGTTTGAGGAAGTGAAAGCTAAGCGCGGCAAGCGCCCGACAGCCTTCCAGTTCCTGCAAGAAATCAAGCCGGAAGCCGTAGCGTACATCACCATTAAGACCACTCTGGCTTGCCTAACCAGTGCTGACAATACAACCGTTCAGGCTGTAGCAAGCGCAATCGGTCGGGCCATTGAGGACGAGGCTCGCTTCGGTCGTATCCGTGACCTTGAAGCTAAGCACTTCAAGAAAAACGTTGAGGAACAACTCAACAAGCGCGTAGGGCACGTCTACAAGAAAGCATTTATGCAAGTTGTCGAGGCTGACATGCTCTCTAAGGGTCTACTCGGTGGCGAGGCGTGGTCTTCGTGGCATAAGGAAGACTCTATTCATGTAGGAGTACGCTGCATCGAGATGCTCATTGAGTCAACCGGAATGGTTAGCTTACACCGCCAAAATGCTGGCGTAGTAGGTCAAGACTCTGAGACTATCGAACTCGCACCTGAATACGCTGAGGCTATCGCAACCCGTGCAGGTGCGCTGGCTGGCATCTCTCCGATGTTCCAACCTTGCGTAGTTCCTCCTAAGCCGTGGACTGGCATTACTGGTGGTGGCTATTGGGCTAACGGTCGTCGTCCTCTGGCGCTGGTGCGTACTCACAGTAAGAAAGCACTGATGCGCTACGAAGACGTTTACATGCCTGAGGTGTACAAAGCGATTAACATTGCGCAAAACACCGCATGGAAAATCAACAAGAAAGTCCTAGCGGTCGCCAACGTAATCACCAAGTGGAAGCATTGTCCGGTCGAGGACATCCCTGCGATTGAGCGTGAAGAACTCCCGATGAAACCGGAAGACATCGACATGAATCCTGAGGCTCTCACCGCGTGGAAACGTGCTGCCGCTGCTGTGTACCGCAAGGACAAGGCTCGCAAGTCTCGCCGTATCAGCCTTGAGTTCATGCTTGAGCAAGCCAATAAGTTTGCTAACCATAAGGCCATCTGGTTCCCTTACAACATGGACTGGCGCGGTCGTGTTTACGCTGTGTCAATGTTCAACCCGCAAGGTAACGATATGACCAAAGGACTGCTTACGCTGGCGAAAGGTAAACCAATCGGTAAGGAAGGTTACTACTGGCTGAAAATCCACGGTGCAAACTGTGCGGGTGTCGATAAGGTTCCGTTCCCTGAGCGCATCAAGTTCATTGAGGAAAACCACGAGAACATCATGGCTTGCGCTAAGTCTCCACTGGAGAACACTTGGTGGGCTGAGCAAGATTCTCCGTTCTGCTTCCTTGCGTTCTGCTTTGAGTACGCTGGGGTACAGCACCACGGCCTGAGCTATAACTGCTCCCTTCCGCTGGCGTTTGACGGGTCTTGCTCTGGCATCCAGCACTTCTCCGCGATGCTCCGAGATGAGGTAGGTGGTCGCGCGGTTAACTTGCTTCCTAGTGAAACCGTTCAGGACATCTACGGGATTGTTGCTAAGAAAGTCAACGAGATTCTACAAGCAGACGCAATCAATGGGACCGATAACGAAGTAGTTACCGTGACCGATGAGAACACTGGTGAAATCTCTGAGAAAGTCAAGCTGGGCACTAAGGCACTGGCTGGTCAATGGCTGGCTTACGGTGTTACTCGCAGTGTGACTAAGCGTTCAGTCATGACGCTGGCTTACGGGTCCAAAGAGTTCGGCTTCCGTCAACAAGTGCTGGAAGATACCATTCAGCCAGCTATTGATTCCGGCAAGGGTCTGATGTTCACTCAGCCGAATCAGGCTGCTGGATACATGGCTAAGCTGATTTGGGAATCTGTGAGCGTGACGGTGGTAGCTGCGGTTGAAGCAATGAACTGGCTTAAGTCTGCTGCTAAGCTGCTGGCTGCTGAGGTCAAAGATAAGAAGACTGGAGAGATTCTTCGCAAGCGTTGCGCTGTGCATTGGGTAACTCCTGATGGTTTCCCTGTGTGGCAGGAATACAAGAAGCCTATTCAGACGCGCTTGAACCTGATGTTCCTCGGTCAGTTCCGCTTACAGCCTACCATTAACACCAACAAAGATAGCGAGATTGATGCACACAAACAGGAGTCTGGTATCGCTCCTAACTTTGTACACAGCCAAGACGGTAGCCACCTTCGTAAGACTGTAGTGTGGGCACACGAGAAGTACGGAATCGAATCTTTTGCACTGATTCACGACTCCTTCGGTACCATTCCGGCTGACGCTGCGAACCTGTTCAAAGCAGTGCGCGAAACTATGGTTGACACATATGAGTCTTGTGATGTACTGGCTGATTTCTACGACCAGTTCGCTGACCAGTTGCACGAGTCTCAATTGGACAAAATGCCAGCACTTCCGGCTAAAGGTAACTTGAACCTCCGTGACATCTTAGAGTCGGACTTCGCGTTCGCG
【0128】
配列番号3(T7 RNAポリメラーゼプロモーター配列)
TTAAATTAATACGACTCACTATATATA
【0129】
配列番号4(トランケートされたT7 RNAポリメラーゼプロモーター配列)
TACGACTCACTATA
【0130】
配列番号5(トランケートされたT7 RNAポリメラーゼプロモーター配列)
AATACGACTCACTATA
【0131】
配列番号6(トランケートされたT7 RNAポリメラーゼプロモーター配列)
TTAATACGACTCACTATA
【0132】
配列番号7(ヘアピン、完全長(5’-3’)鋳型)
TATAGTGAGTCGTATTAATTTACAACAAAATTAATACGACTCA
【0133】
配列番号8(ZFA)
NLISLFSGAGGLDLGFQKAGFRIICANEYDKSIWKTYESNHSAKLIKGDISKISSDEFPKCDGIIGGPPCQSWSEGGSLRGIDDPRGKLFYEYIRILKQKKPIFFLAENVKGMMAQRHNKAVQEFIQEFDNAGYDVHIILLNANDYGVAQDRKRVFYIGFRKELNINYLPPIPHLIKPTFKDVIWDLKDNPIPALDKNKTNGNKCIYPNHEYFIGSYSTIFMSRNRVRQWNEPAFTVQASGRQCQLHPQAPVMLKVSKNLNKFVEGKEHLYRRLTVRECARVQGFPDDFIFHYESLNDGYKMIGNAVPVNLA、YEIAKTIKSALEICKGN
【0134】
配列番号9(リザビジン、単量体ストレプトアビジン)
FDASNFKDFSSIASASSSWQNQHGSTMIIQVDSFGNVSGQYVNRAEGTGCQNSPYPLTGRVNGTFIDFSVKWNNSTENCNSNTQWTGYAQVNGNNTEIVTRWNLKYEGGSGPAIWQGQDTFQYVPTTE
【0135】
配列番号10(リンカー1)
GSGGGGSGGGGSGGGGS
【0136】
配列番号11(リンカー2)
GSGGGGSGGGGS
【0137】
配列番号12(リンカー3)
GSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS
【0138】
配列番号13(XTENリンカー)
SGSETPGTSESATPES
【実施例】
【0139】
これらの実施例は例示目的のために提供されるにすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。
【0140】
実施例1:キャピラリー電気泳動を使用したRNA精製
【0141】
ヘアピン一本鎖DNA(ssDNA)鋳型を使用して、in vitro転写によってgRNAを産生し、キャピラリー電気泳動(CE)を使用して、純度を評価した。標準プロトコル(小分子RNAアッセイ・ユーザガイド、2020年、PerkinElmer)に従って、マイクロ流体LabChip(登録商標)キャピラリー電気泳動技術(PerkinElmer)を使用した。CE分析を使用して、in vitro転写されたgRNA(緑色)、化学的に合成されたgRNA(青色)、およびマイクロ流体ポリヌクレオチド合成方法を使用して合成されたgRNA(オレンジ)の品質を比較した(
図11を参照)。ピーク振幅は名目上の有意性を表し、および容易に分離された単一のピーク、わずかなピークブロードニングを有するピークはgRNAの純度(
図11、オレンジ色)を示す。より広いスペクトルテールまたは複数のピークは、gRNAの不純物(例えば、様々なサイズの複数のgRNA産物)および低品質のgRNA(
図11、緑色および青色)を示す。様々なin vitro転写方法によって合成されたgRNA(緑色、赤色、および紫色)の品質と、マイクロ流体ポリヌクレオチド合成方法を使用して合成されたgRNA(青色)の品質を比較したCE分析の結果が、
図12に示される。加えて、CE分析を使用して、8つの異なるgRNA試料の品質を比較する(表1および
図13)ことにより、高純度を再現できることを実証した。表1から分かるように、例えば、CEによって分析された約100ヌクレオチド長のgRNAは100%の純度を有する。
【0142】
【0143】
実施例2:gRNA編集効率
【0144】
切断アッセイ
【0145】
in vitro切断アッセイを実行して、別々に供給されたgRNAを使用して、標的配列を含むDNA基質に対する化膿連鎖球菌(S.pyogenes)Cas9のヌクレアーゼ活性を比較した。反応混合物を、ヌクレアーゼフリー水、緩衝液、300nMのgRNA、および1μMのCas9を混合することによって調製した。30nMの基質DNAを反応混合物に添加し、その後、混合し、微量遠心機中でパルス回転させた。試料を0分間取り出し(
図14、レーン3)、残りの反応混合物を37℃で5分間インキュベートした(
図14、レーン4~6)。1μlのプロテイナーゼKを各試料に添加し、徹底的に混合した。微量遠心機中で試料をパルス回転させ、フラグメント解析に移る前に室温で10分間インキュベートした。
図14に示されるように、1kbの標的DNA配列を、市販のin vitro転写されたgRNAまたは化学的に合成されたgRNA(それぞれレーン4および5)、およびヘアピンssDNA鋳型を使用してin vitro合成されたgRNA(レーン6)を有するCas9によって2つの小さな(約500bp)断片へ切断した。
【0146】
in vivoヌクレアーゼ活性
【0147】
標準プロトコル(Integrated DNA Technologies社のユーザガイド、Alt-R CRISPR-Cas9系:哺乳動物細胞へのCRISPRリボ核タンパク複合体のカチオン性脂質送達、バージョン4、2018年、およびIntegrated DNA Technologies社のユーザガイド、Alt-R CRISPR-Cas9系:Amaxa(登録商標)Nucleofector(登録商標)システムを使用したHEK-293細胞へのリボ核タンパク複合体の送達、バージョン3.1、2019年)に従ってin vivo CRISPR-Cas9を介したヌクレアーゼアッセイを実施し、2つの異なるシングルガイドRNA(sgRNA)を使用して、標的DNAに対するCas9ヌクレアーゼ活性のgRNAの有効性を測定した。簡潔に言えば、HEK-293細胞を新たに解凍し、培養密度を90%以下で維持しながら、エレクトロポレーションの前に最低2~3日間で継代培養した。Cas9およびsgRNAをPBS中で希釈し、リボ核タンパク(RNP)複合体形成のために室温で10~20分間インキュベートした。RNP複合体を、HEK-293細胞にエレクトロポレーションした。有効性および変異スペクトルを、分解によるインデル(挿入および欠失)のトラッキング(TIDE)分析を使用して分析し、これにより細胞の標的化された集団中の優勢なタイプのインデルを同時に同定しながら、編集有効性を定量化した。TIDE分析は、標準分子生物学試薬をPCR反応1に使用した単純な3つのステップを含んでいる。1:1組の標準のPCR反応、2:1組の標準のキャピラリー(「サンガー」)シーケンシング反応、および3:TIDEウェブツールを使用した、結果として生じる2つの生のシーケンシングファイルの分析。TIDEウェブツールは、アルゴリズムを使用して、配列トレースからのインデルのスペクトルを正確に再構成し、検出されたインデルおよびその頻度の同一性を報告する。
図15Aおよび
図15B(左上隅)に示されるように、試験したsgRNAの両方は、80%より高い編集効率を示した。
【0148】
実施例3:RNA合成のマイクロ流体力学インテグレーション
【0149】
マイクロ流体カートリッジは、ガイドRNA(gRNA)の合成および精製を実行するように設計される。各マイクロ流体カートリッジは複数の反応チャンバを含有し、各反応チャンバは同じ配列または異なる配列を有するgRNAを産生することができる。DNA鋳型およびRNAポリメラーゼ酵素を含む転写複合体を、界面化学を使用して、反応チャンバの内部のビーズなどの表面上で固定する。RNAの付着と合成を支持するために、各反応チャンバの表面(例えば、磁気ビーズなどのビーズ)を、標準のN-ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHS)反応化学を使用して機能化する。DNA結合タンパク質(例えば、strepなど)を添加し、その後NHS反応をクエンチさせた。T7 RNAポリメラーゼを添加して、DNA結合タンパク質を結合し、安定した複合体を形成する。DNA鋳型を添加して、DNA結合タンパク質に結合させることによって複合体に結合させる。
【0150】
空圧かつ蠕動のポンプシステムは、プログラム可能な流体操作に利用され得る。流入口を通じて、混合基および他の転写試薬を反応チャンバへ導入する。酵素が反応を触媒し、高純度RNA産物が産生される。
【0151】
実施例4:RNA合成
【0152】
一本鎖DNA(ssDNA)などのDNA鋳型を、マイクロ流体カートリッジの各反応チャンバに添加する。混合したRNA塩基を含む転写反応試薬、ならびに任意選択でイニシエーターオリゴヌクレオチドおよび/またはターミネーターオリゴヌクレオチドを、その後流入口を通じて反応チャンバに注入し、表面上で固定された転写複合体上に流した。熱電ペルチェ素子ヒーターを利用して、反応チャンバの温度を37℃で維持する。RNAが産生されると、流量により制御されるため約数秒で反応チャンバから除去される。
【0153】
実施例5:等速電気泳動を使用したRNA精製
【0154】
Han et al.(Lab Chip、2019年、19、2741~2749)によれば、等速電気泳動(ITP)をRNA精製に使用することができる。ITPは、強力な電場勾配を生成し、それらの電気泳動移動度に基づいた荷電種の選択的な集束および分離を可能にする、強固な電気泳動の分離および予備濃縮技術である。ITP電解液の化学作用は、標的サイズ範囲内のRNAを精製するために制御され得る。
【0155】
実施例6:融合酵素および酵素結合ドメインを有するプロモーターによるRNA生成
【0156】
DNA転写されたRNA産物およびBroccoli-DFHBI-1Tなどのその蛍光性アプタマーの複合体形成に基づいて、T7 RNA重合活性アッセイを発展させた。蛍光定量的な性質に起因して、このアッセイによって実時間方式でRNA転写産物の測定が可能になる。等しいモル量の鋳型鎖および非鋳型鎖をサーモサイクラー中で、94℃で2分間、混合かつ加熱してから、混合物を冷却するアニーリングプロトコルを使用して、二本鎖DNA(dsDNA)基質を産生した。T7 RNAポリメラーゼ酵素を、100μMのDFHBI-1T、400nMのdsDNA Broccoli鋳型(蛍光用)、4mMのNTP、0.1Uの無機ピロホスファターゼ、および1倍の転写緩衝液を含有している20μlの反応混合物に添加することによって、連続的なアッセイを開始した。反応混合物を、37℃で最大1時間インキュベートしながら、Cytation5イメージングリーダー(Biotek)を使用して、酵素活性を、蛍光読取(469nmの励起波長および501nmの発光波長)によって37℃で測定した。市販のT7 RNAポリメラーゼを、RNAポリメラーゼおよび本明細書に記載されたDNA結合ドメイン(例えば、リザビジン)を含有している融合酵素と置き換えて、RNA産生活動を比較した(
図16A)。加えて、酵素結合ドメインを有するプロモーター構造を試験して、RNA産生活性を、酵素結合ドメインのない従来のプロモーターと比較した(
図16B)。
【0157】
実施例7:市販のRNAポリメラーゼと比較してより強力なプロモーター結合
【0158】
T7プロモーター配列がどのようにRNA重合活性に影響するかを調べるために、一連のBroccoli dsDNA基質を、非必須のプロモーター領域の0~10の上流配列欠失により合成した。T7 RNAポリメラーゼ酵素に結合する付加的な基質が、RNA合成を促進すると同様にプロモーターの相乗効果を生むかどうかさらに分析するために、各対中の非鋳型鎖の5’のビオチンとコンジュゲートしたDNA基質を調製した。RNAポリメラーゼおよび本明細書に記載されたDNA結合ドメイン(例えば、リザビジン)を含有している融合酵素を、100μMのDFHBI-1T、400nMのトランケートされたdsDNABroccoli鋳型、4mMのNTP、0.1Uの無機ピロホスファターゼ、および1倍の転写緩衝液を含有している20μlの反応混合物に添加することによって、リアルタイムRNA重合アッセイを開始した。反応混合物を、37℃で最大1時間インキュベートして、酵素活性を、実施例6に記載されたものと同じ方法によって測定した。Broccoli、必須のT7プロモーター、および非必須のT7プロモーターの配列は、以下に示される。
【0159】
配列番号14(Broccoli配列)
GAGCCCACACTCTACTCGACAGATACGAATATCTGGACCCGACCGTCTC
【0160】
配列番号15(必須のT7プロモーター)
TATAGTGAGTC
【0161】
配列番号16(非必須のT7プロモーター)
GTATTAATTT
【0162】
DNA鋳型の配列は、表2に示される。結果は、
図17A~17Bに示される。
【0163】
【0164】
本明細書に記載される実施例と実施形態は説明目的のためのものに過ぎず、当業者に示唆される様々な変形または変化は、本明細書の精神と範囲、および添付の特許請求の範囲内に含まれるものとする。
【配列表】
【国際調査報告】