(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-14
(54)【発明の名称】有機発光ダイオード表示パネル及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H10K 59/123 20230101AFI20231207BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20231207BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20231207BHJP
H10K 59/121 20230101ALI20231207BHJP
H10K 59/124 20230101ALI20231207BHJP
H10K 77/10 20230101ALI20231207BHJP
H10K 50/818 20230101ALI20231207BHJP
H10K 71/80 20230101ALI20231207BHJP
H10K 71/60 20230101ALI20231207BHJP
H10K 85/00 20230101ALI20231207BHJP
H10K 50/84 20230101ALI20231207BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20231207BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20231207BHJP
H10K 102/20 20230101ALN20231207BHJP
【FI】
H10K59/123
H01L29/78 619B
H01L29/78 612C
H10K59/121
H10K59/124
H10K77/10
H10K50/818
H10K71/80
H10K71/60
H10K85/00
H10K50/84
G09F9/30 365
G09F9/30 338
G09F9/00 338
H10K102:20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571678
(86)(22)【出願日】2021-11-30
(85)【翻訳文提出日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 CN2021134368
(87)【国際公開番号】W WO2023082370
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】202111347742.8
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515203228
【氏名又は名称】ティーシーエル チャイナスター オプトエレクトロニクス テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TCL China Star Optoelectronics Technology Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.9-2,Tangming Rd,Guangming New District,Shenzhen,Guangdong,China 518132
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】任 学超
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
5F110
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC41
3K107DD03
3K107DD11
3K107DD17
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3K107EE04
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3K107GG01
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3K107GG51
5C094AA43
5C094AA44
5C094BA03
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5F110QQ02
5G435AA17
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5G435KK05
(57)【要約】
有機発光ダイオード表示パネルは、薄膜トランジスタ基板、複数の薄膜トランジスタ及び複数の有機発光ダイオードを含む。複数の前記薄膜トランジスタは、前記薄膜トランジスタ基板の一側に設けられる。複数の前記有機発光ダイオードは、複数の前記薄膜トランジスタから離れる前記薄膜トランジスタ基板の一側に設けられる。複数の前記有機発光ダイオードは、平坦な表面に設けられ、複数の前記薄膜トランジスタとして生成された表面の凹凸の影響を受けない。したがって、複数の前記有機発光ダイオードは、空間を最大限に利用することにより、前記有機発光ダイオード表示パネルの画素密度を向上させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜トランジスタ基板と、
前記薄膜トランジスタ基板の一側に設けられた複数の薄膜トランジスタと、
複数の前記薄膜トランジスタから離れる前記薄膜トランジスタ基板の一側に設けられた複数の有機発光ダイオードと、を含む、
有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項2】
複数の前記薄膜トランジスタのそれぞれは、ゲート、ソース、ドレイン及び前記ソース及び前記ドレインに電気的に接続される半導体層を含み、
複数の前記有機発光ダイオードのそれぞれは、複数の前記薄膜トランジスタのそれぞれに対応し、かつ前記ソース又は前記ドレインに電気的に接続される第1電極、発光層及び第2電極を含み、
前記第1電極は、複数の前記薄膜トランジスタから離れる前記薄膜トランジスタ基板の前記一側に設けられ、
前記発光層は、前記薄膜トランジスタ基板から離れる前記第1電極の一側に設けられ、前記第2電極は、前記第1電極から離れる前記発光層の一側に設けられる、
請求項1に記載の有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項3】
前記第1電極は、面積が前記半導体層の面積以上であり、かつ前記半導体層への光の照射を遮断する、
請求項2に記載の有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項4】
前記第1電極の材料は、非透光性材料を含む、
請求項3に記載の有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項5】
前記ソース及び前記ドレインは、前記薄膜トランジスタ基板から離れる前記半導体層の一側に設けられ、
前記ゲートは、前記半導体層から離れる前記ソース及び前記ドレインの一側に設けられる、
請求項2に記載の有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項6】
前記ゲートは、前記薄膜トランジスタ基板から離れる前記半導体層の一側に設けられ、
前記ソース及び前記ドレインは、前記半導体層から離れる前記ゲートの一側に設けられる、
請求項2に記載の有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項7】
前記ゲート、前記ソース及び前記ドレインは、前記半導体層への総投影面積が前記半導体層の面積以上であり、かつ前記半導体層への光の照射を遮断する、
請求項6に記載の有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項8】
前記薄膜トランジスタ基板は、貫通孔を含み、
前記第1電極は、前記貫通孔を介して前記薄膜トランジスタに電気的に接続される、
請求項2に記載の有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項9】
前記有機発光ダイオード表示パネルは、前記薄膜トランジスタ基板と複数の前記有機発光ダイオードとの間に設けられた剥離層をさらに含む、
請求項1に記載の有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項10】
前記剥離層の材料は、窒化ガリウムを含む、
請求項9に記載の有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項11】
剥離層を形成するステップS1と、
前記剥離層の一側に薄膜トランジスタ基板を形成するステップS2と、
前記剥離層から離れる前記薄膜トランジスタ基板の一側に複数の薄膜トランジスタを形成するステップS3と、
前記薄膜トランジスタ基板から離れる前記剥離層の一側に複数の有機発光ダイオードを形成するステップS4と、を含む、
有機発光ダイオード表示パネルの製造方法。
【請求項12】
前記ステップS3は、
前記剥離層から離れる前記薄膜トランジスタ基板の前記一側に半導体層を形成するステップS31と、
前記薄膜トランジスタ基板から離れる前記半導体層の一側にゲート絶縁層を形成するステップS32と、
前記半導体層から離れる前記ゲート絶縁層の一側にゲートを形成するステップS33と、
前記剥離層から離れる前記薄膜トランジスタ基板の前記一側に層間誘電体層を形成するステップS34と、
前記層間誘電体層、前記薄膜トランジスタ基板及び前記剥離層に貫通孔を形成するステップS35と、
前記薄膜トランジスタ基板から離れる前記層間誘電体層の一側にソース及びドレインを形成するステップS36と、を含む、
請求項11に記載の有機発光ダイオード表示パネルの製造方法。
【請求項13】
前記ゲート、前記ソース及び前記ドレインは、前記半導体層への総投影面積が前記半導体層の面積以上であり、かつ前記半導体層への光の照射を遮断する、
請求項12に記載の有機発光ダイオード表示パネルの製造方法。
【請求項14】
前記ステップS36は、
前記貫通孔に導電材料を充填するステップS361と、
前記ソースと前記貫通孔内の前記導電材料とを電気的に接続するステップS362、又は
前記ドレインと前記貫通孔内の前記導電材料とを電気的に接続するステップS362’と、を含む、
請求項12に記載の有機発光ダイオード表示パネルの製造方法。
【請求項15】
ステップS4は、
前記薄膜トランジスタ基板から離れる前記剥離層の前記一側に第1電極を形成するステップと、
前記剥離層から離れる前記第1電極の一側に発光層を形成するステップと、
前記第1電極から離れる前記発光層の一側に第2電極を形成するステップと、を含む、
請求項11に記載の有機発光ダイオード表示パネルの製造方法。
【請求項16】
前記第1電極は、面積が前記半導体層の面積以上であり、かつ前記半導体層への光の照射を遮断する、
請求項15に記載の有機発光ダイオード表示パネルの製造方法。
【請求項17】
前記第1電極の材料は、非透光性材料を含む、
請求項15に記載の有機発光ダイオード表示パネルの製造方法。
【請求項18】
ステップS1は、第1基板の一側に前記剥離層を形成するステップを含み、
ステップS4を実行する前に、前記第1基板と前記剥離層とを分離するステップを含む、
請求項11に記載の有機発光ダイオード表示パネルの製造方法。
【請求項19】
前記剥離層は、レーザーアブレーション法により前記第1基板から剥離される、
請求項18に記載の有機発光ダイオード表示パネルの製造方法。
【請求項20】
前記剥離層の材料は、窒化ガリウムを含む、
請求項11に記載の有機発光ダイオード表示パネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示技術の分野に関し、特に有機発光ダイオード表示パネル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード表示パネルは、広視野角、広色域などの利点があり、主流の表示パネルとして様々な表示装置のメーカーに注目され開発されている。現在、有機発光ダイオード表示パネルは、トップゲート構造を有する薄膜トランジスタ、すなわちトップゲート型薄膜トランジスタを用いることが多い。従来のボトムゲート構造を有する薄膜トランジスタに比べて、上記トップゲート型薄膜トランジスタは、上記有機発光ダイオード表示パネルの製造工程を減少させ、さらに製造コストを低減する。
【0003】
しかしながら、上記トップゲート型薄膜トランジスタにおいて、上記トップゲート型薄膜トランジスタの頂部の中間位置に位置するゲートは、常に上記トップゲート型薄膜トランジスタの表面に凹凸があることを引き起こすことにより、表面の平坦度が悪くなる。上記トップゲート型薄膜トランジスタの表面が平坦でない場合、後の上記トップゲート型薄膜トランジスタに設けられた複数の発光層の発光効果に影響を与える。
【0004】
従来技術では、上記トップゲート型薄膜トランジスタの表面平坦度を改善するために、一般的に上記トップゲート型薄膜トランジスタにレベリング層を増設する。上記レベリング層は、上記発光層を平坦な上記レベリング層の平面に設けることにより、上記発光層の上記発光効果を改善することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術の構造により上記トップゲート型薄膜トランジスタを用いる上記有機発光ダイオード表示パネルの表示効果を改善することができるが、上記有機発光ダイオード表示パネルの厚さを増加させ、上記有機発光ダイオード表示パネルの製造工程及び製造コストを増加させ、さらに上記有機発光ダイオード表示パネルの可撓性に影響を与える。
【0006】
したがって、従来技術は、上記有機発光ダイオード表示パネルの従来の利点を両立させ、かつ上記トップゲート型薄膜トランジスタの技術的課題を改善することができない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、有機発光ダイオード表示パネル及びその製造方法を提供し、従来技術におけるトップゲート型薄膜トランジスタを用いる有機発光ダイオード表示パネルが直面する問題を回避することができる。同時に、本発明は、さらに上記有機発光ダイオード表示パネルの製造工程を簡略化するとともに、上記有機発光ダイオード表示パネルの発光効果を強化し、上記有機発光ダイオード表示パネルの画素密度を向上させることにより、観賞者により高い観賞効果を与えることができる。
【0008】
本発明の上記有機発光ダイオード表示パネルは、薄膜トランジスタ基板、複数の薄膜トランジスタ及び複数の有機発光ダイオードを含む。複数の前記薄膜トランジスタは、前記薄膜トランジスタ基板の一側に設けられる。複数の前記有機発光ダイオードは、複数の前記薄膜トランジスタから離れる前記薄膜トランジスタ基板の一側に設けられる。
【0009】
一実施例では、複数の前記薄膜トランジスタのそれぞれは、ゲート、ソース、ドレイン及び前記ソース及び前記ドレインに電気的に接続される半導体層を含む。複数の前記有機発光ダイオードのそれぞれは、複数の前記薄膜トランジスタのそれぞれに対応し、かつ前記ソース又は前記ドレインに電気的に接続される第1電極、発光層及び第2電極を含む。前記第1電極は、複数の前記薄膜トランジスタから離れる前記薄膜トランジスタ基板の前記一側に設けられ、前記発光層は、前記薄膜トランジスタ基板から離れる前記第1電極の一側に設けられ、前記第2電極は、前記第1電極から離れる前記発光層の一側に設けられる。
【0010】
一実施例では、前記第1電極は、面積が前記半導体層の面積以上であり、かつ前記半導体層への光の照射を遮断する。
【0011】
一実施例では、前記第1電極の材料は、非透光性材料を含む。
【0012】
一実施例では、前記ソース及び前記ドレインは、前記薄膜トランジスタ基板から離れる前記半導体層の一側に設けられ、前記ゲートは、前記半導体層から離れる前記ソース及び前記ドレインの一側に設けられる。
【0013】
一実施例では、前記ゲートは、前記薄膜トランジスタ基板から離れる前記半導体層の一側に設けられ、前記ソース及び前記ドレインは、前記半導体層から離れる前記ゲートの一側に設けられる。
【0014】
一実施例では、前記ゲート、前記ソース及び前記ドレインは、前記半導体層への総投影面積が前記半導体層の面積以上であり、前記半導体層への光の照射を遮断する。
【0015】
一実施例では、前記薄膜トランジスタ基板は、貫通孔を含み、前記第1電極は、前記貫通孔を介して前記薄膜トランジスタに電気的に接続される。
【0016】
一実施例では、前記有機発光ダイオード表示パネルは、前記薄膜トランジスタ基板と複数の前記有機発光ダイオードとの間に設けられる剥離層をさらに含む。
【0017】
一実施例では、前記剥離層の材料は、窒化ガリウムを含む。
【0018】
本発明の前記有機発光ダイオード表示パネルの製造方法は、
剥離層を形成するステップS1と、
前記剥離層の一側に薄膜トランジスタ基板を形成するステップS2と、
前記剥離層から離れる前記薄膜トランジスタ基板の一側に複数の薄膜トランジスタを形成するステップS3と、
前記薄膜トランジスタ基板から離れる前記剥離層の一側に複数の有機発光ダイオードを形成するステップS4と、を含む。
【0019】
一実施例では、前記ステップS3は、
前記剥離層から離れる前記薄膜トランジスタ基板の前記一側に半導体層を形成するステップS31と、
前記薄膜トランジスタ基板から離れる前記半導体層の一側にゲート絶縁層を形成するステップS32と、
前記半導体層から離れる前記ゲート絶縁層の一側にゲートを形成するステップS33と、
前記剥離層から離れる前記薄膜トランジスタ基板の前記一側に層間誘電体層を形成するステップS34と、
前記層間誘電体層、前記薄膜トランジスタ基板及び前記剥離層に貫通孔を形成するステップS35と、
前記薄膜トランジスタ基板から離れる前記層間誘電体層の一側にソース及びドレインを形成するステップS36と、を含む。
【0020】
一実施例では、前記ゲート、前記ソース及び前記ドレインは、前記半導体層への総投影面積が前記半導体層の面積以上であり、かつ前記半導体層への光の照射を遮断する。
【0021】
一実施例では、前記ステップS36は、
前記貫通孔に導電材料を充填するステップS361と、
前記ソースと前記貫通孔内の前記導電材料とを電気的に接続するステップS362、又は
前記ドレインと前記貫通孔内の前記導電材料とを電気的に接続するステップS362’と、を含む。
【0022】
一実施例では、ステップS4は、前記薄膜トランジスタ基板から離れる前記剥離層の前記一側に第1電極を形成するステップと、前記剥離層から離れる前記第1電極の一側に発光層を形成するステップと、前記第1電極から離れる前記発光層の一側に第2電極を形成するステップと、を含む。
【0023】
一実施例では、前記第1電極は、面積が前記半導体層の面積以上であり、かつ前記半導体層への光の照射を遮断する。
【0024】
一実施例では、前記第1電極の材料は、非透光性材料を含む。
【0025】
一実施例では、ステップS1は、第1基板の一側に前記剥離層を形成するステップを含み、ステップS4を実行する前に、前記第1基板と前記剥離層とを分離するステップを含む。
【0026】
一実施例では、前記剥離層は、レーザーアブレーション法により前記第1基板から剥離される。
【0027】
一実施例では、前記剥離層の材料は、窒化ガリウムを含む。
【発明の効果】
【0028】
本発明の上記有機発光ダイオード表示パネル及び上記有機発光ダイオード表示パネルの製造方法において、複数の上記薄膜トランジスタに従来技術のレベリング層及び複数の上記有機発光ダイオード電極が設けられず、複数の上記薄膜トランジスタから離れる上記薄膜トランジスタ基板の上記一側に複数の上記有機発光ダイオードが設けられる。したがって、本発明の上記有機発光ダイオード表示パネルは、複数の上記有機発光ダイオードを平坦な表面に設けることにより、複数の上記薄膜トランジスタの上記ゲートとして生成された表面の凹凸の影響を受けない。複数の上記有機発光ダイオードを平坦な表面に設けることにより、上記発光層は、空間を最大限に利用することができ、さらに上記有機発光ダイオード表示パネルの画素密度を向上させる。同時に、複数の上記薄膜トランジスタのそれぞれの上下両側に設けられた上記ゲート、上記ソース、上記ドレイン及び上記第1電極は、複数の上記薄膜トランジスタのそれぞれにおける上記半導体層への光の照射を遮断するように、遮光層の役割を果たすことができ、これにより、上記有機発光ダイオード表示パネルの製造工程を簡略化するとともに、複数の上記薄膜トランジスタの表示効率を増加させ、上記有機発光ダイオード表示パネルの発光効果を強化することにより、観賞者に高い観賞効果を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの概略構成図である。
【
図2】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの製造方法のステップS1~S4のフローチャートである。
【
図3】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの製造方法のステップS31~S36のフローチャートである。
【
図4】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの製造方法のステップS361~S362/S362’のフローチャートである。
【
図5】本発明の上記有機発光ダイオード表示パネルの製造過程の概略構成図である。
【
図6】本発明の上記有機発光ダイオード表示パネルの製造過程の概略構成図である。
【
図7】本発明の上記有機発光ダイオード表示パネルの製造過程の概略構成図である。
【
図8】本発明の上記有機発光ダイオード表示パネルの製造過程の概略構成図である。
【
図9】本発明の上記有機発光ダイオード表示パネルの製造過程の概略構成図である。
【
図10】本発明の上記有機発光ダイオード表示パネルの製造過程の概略構成図である。
【
図11】本発明の上記有機発光ダイオード表示パネルの製造過程の概略構成図である。
【
図12】本発明の上記有機発光ダイオード表示パネルの製造過程の概略構成図である。
【
図13】本発明の上記有機発光ダイオード表示パネルの製造過程の概略構成図である。
【
図14】本発明の上記有機発光ダイオード表示パネルの製造過程の概略構成図である。
【
図15】本発明の上記有機発光ダイオード表示パネルの製造過程の概略構成図である。
【
図16】本発明の上記有機発光ダイオード表示パネルの製造過程の概略構成図である。
【
図17】本発明の上記有機発光ダイオード表示パネルの製造過程の概略構成図である。
【
図18】本発明の上記有機発光ダイオード表示パネルの製造過程の概略構成図である。
【
図19】本発明の上記有機発光ダイオード表示パネルの製造過程の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の上記及び他の目的、特徴、利点をより明らかにするために、以下に本発明の好ましい実施例を挙げて、図面を参照しながら、以下のように詳細に説明する。
【0031】
本発明は、有機発光ダイオード表示パネルを提供する。
図1は、本発明の上記有機発光ダイオード表示パネルの概略構成図である。上記有機発光ダイオード表示パネルは、剥離層200、薄膜トランジスタ基板300、複数の薄膜トランジスタ400及び複数の有機発光ダイオード800を含む。
【0032】
上記剥離層は、半導体材料で製造され、有機半導体及び無機半導体を含む。一実施例では、本発明の上記剥離層200の材料は、無機半導体の窒化ガリウム(GaN)を含み、窒化ガリウムで製造された上記剥離層200は、レーザ照射された後、ガスを生成し、その表面に接続された素子を分離させることができる。本発明の上記有機発光ダイオード表示パネルの製造方法における上記剥離層200の応用は、後の実施例に説明される。
【0033】
図1に示すように、上記薄膜トランジスタ基板300は、上記剥離層200の一側に設けられ、複数の上記薄膜トランジスタ400は、上記剥離層200から離れる上記薄膜トランジスタ基板300の一側に設けられる。上記薄膜トランジスタ基板300は、上記剥離層200及び複数の上記薄膜トランジスタ400を遮断するため、上記剥離層200が複数の上記薄膜トランジスタ400に直接接触しないように確保することができ、複数の上記薄膜トランジスタ400の動作に影響を与えることを回避する。
【0034】
複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれは、複数の上記有機発光ダイオード800のそれぞれの駆動スイッチであり、半導体層410、ゲート絶縁層420、ゲート430、ソース440及びドレイン450を含む。一実施例では、上記ソース440及び上記ドレイン450は、上記薄膜トランジスタ基板300から離れる上記ゲート430の一側に設けられる。ゲート430の入力電圧を制御することにより、複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれは、上記ソース440及び上記ドレイン450の両端の電流のオンオフを制御することができる。
【0035】
本発明は、複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれがトップゲート型薄膜トランジスタを用いることを例として説明する。上記トップゲート型薄膜トランジスタは、上記有機発光ダイオード表示パネルの製造工程を減少させ、さらに製造コストを低減する。なお、本発明の複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれは、上記トップゲート型薄膜トランジスタに限定されず、ボトムゲート型薄膜トランジスタ又は他の構造の薄膜トランジスタであってもよい。
【0036】
図1に示すように、上記ゲート430は、上記薄膜トランジスタ基板300から離れる上記半導体層410の一側に設けられ、上記ソース及び上記ドレインは、上記半導体層410から離れる上記ゲート430の一側に設けられ、上記半導体層410は、上記薄膜トランジスタ基板300と上記ゲート430との間に設けられ、上記ゲート絶縁層420は、上記半導体層410と上記ゲート430との間に設けられ、上記ソース440及び上記ドレイン450は、上記半導体層410に電気的に接続される。
【0037】
上記半導体層が広いエネルギーギャップを有する金属酸化物を含むため、本発明の上記半導体層410は、上記ソース440と上記ドレイン450との接続チャネルを構築することができる。一実施例では、本発明の上記半導体層410は、インジウムガリウム亜鉛酸化物(indium gallium zinc oxide、IGZO)を含む。上記インジウムガリウム亜鉛酸化物の電子移動度は、従来の非晶質シリコン半導体の20~30倍であるため、複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれの充放電速度及び応答速度を顕著に向上させる。上記インジウムガリウム亜鉛酸化物を複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれのチャネルとすることにより、上記有機発光ダイオード表示パネルのより速いリフレッシュレートを実現することができる。同時に、上記インジウムガリウム亜鉛酸化物の駆動能力が高いため、複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれの駆動電力消費が低くなり、上記有機発光ダイオード表示パネルは、より省エネルギーで、省電力であり、上記有機発光ダイオード表示パネルの航続を大幅に増加させる。
【0038】
図1に示すように、上記有機発光ダイオード表示パネルは、層間誘電体層500をさらに含む。上記層間誘電体層500は、上記半導体層410、上記ゲート絶縁層420及び上記ゲート430を覆う。上記層間誘電体層500は、高誘電率を有し、上記ゲート430と上記ソース440と上記ドレイン450を遮断する。
【0039】
図1に示すように、上記有機発光ダイオード表示パネルは、上記薄膜トランジスタ基板300から離れる複数の上記薄膜トランジスタ400の上記一側に順に設けられたパッシベーション層600及び第1封止層710をさらに含む。上記パッシベーション層600は、複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれの上記ソース440及び上記ドレイン450を覆い、かつ上記層間誘電体層500を覆う。上記パッシベーション層600は、絶縁の効果を有するとともに、上記有機発光ダイオード表示パネルに屈曲時の靭性を与える。上記第1封止層710の設置により、上記有機発光ダイオード表示パネルの外側を封止することにより、上記有機発光ダイオード表示パネルを保護することができる。
【0040】
図1に示すように、複数の上記有機発光ダイオード800は、複数の上記薄膜トランジスタ400から離れる上記薄膜トランジスタ基板300の一側に設けられる。複数の上記有機発光ダイオード800のそれぞれは、複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれに対応する。複数の上記有機発光ダイオード800のそれぞれは、第1電極810、発光層820及び第2電極840を含む。
【0041】
一実施例では、上記第1電極810は、上記薄膜トランジスタ基板300から離れる上記剥離層200の一側に設けられる。上記第1電極810は、複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれに対応する。上記第1電極810が上記剥離層200の平坦な表面に設けられる場合、上記発光層820は、最適な空間利用効率を取得し、上記有機発光ダイオード表示パネルの画素密度を向上させることができる。
【0042】
一実施例では、複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれの上記ソース440は、上記第1電極810に電気的に接続される。別の実施例では、複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれの上記ドレイン450は、上記第1電極810に電気的に接続される。上記ソース440又は上記ドレイン450が複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれにおいて実行する動作が単に電流を入力又は出力させるための動作であり、本発明は、上記ソース440又は上記ドレイン450が上記第1電極810に電気的に接続されることを限定しない。
【0043】
図1に示すように、上記発光層820は、上記剥離層200から離れる上記第1電極810の一側に設けられる。本発明は、インクジェット印刷プロセスにより上記第1電極810の表面に上記発光層820を設けることである。同時に、上記発光層820の間に画素スペーサ830を充填することにより、上記発光層820が上記有機発光ダイオード表示パネルの画素を形成する。
【0044】
上記第2電極840は、上記第1電極810から離れる上記発光層820の一側に設けられる。上記第2電極840は、上記発光層820及び上記画素スペーサ830を覆い、かつ共通電極として上記第1電極810と共に動作し、上記発光層820が発光するように駆動する。
【0045】
なお、複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれの上記半導体層410は、光に敏感であり、光が上記半導体層410に照射される場合、電気的ドリフトが発生しやすく複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれの駆動効果に影響を与えることに注意すべきである。したがって、従来技術は、一般的に複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれの上記半導体層410の上下両側に遮光層を追加的に設ける必要がある。
【0046】
しかしながら、本発明において、上記ゲート430、上記ソース440、上記ドレイン450及び上記第1電極810は、さらに上記半導体層410に対して遮光作用を発揮し、上記半導体層410への光の照射を遮断することができる。同時に、上記ゲート430、上記ソース440及び上記ドレイン450が上記半導体層410の一側に設けられ、上記第1電極810が上記ゲート430、上記ソース440及び上記ドレイン450から離れる上記半導体層410の一側に設けられるため、上記ゲート430、上記ソース440、上記ドレイン450及び上記第1電極810は、従来技術における上記遮光層の遮光効果を達成することができるため、本発明は、上記有機発光ダイオード表示パネルの構造をさらに簡略化することができる。
【0047】
上記目的を達成するために、本発明の一実施例では、上記ゲート430、上記ソース440及び上記ドレイン450の上記半導体層410への総投影面積は、上記半導体層410の面積以上であり、上記第1電極810の面積は、複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれの上記半導体層410の面積以上に設定される。また、上記第1電極810の材料は、非透光性導電材料、例えば、銀(Ag)、酸化インジウムスズ/銀/酸化インジウムスズ(ITO/Ag/ITO)複合層、酸化インジウム亜鉛/銀/酸化インジウム亜鉛(IZO/Ag/IZO)複合層、酸化インジウムスズ/銀パラジウム銅合金/酸化インジウムスズ(ITO/APC/ITO)複合層、又は酸化インジウム亜鉛/銀パラジウム銅合金/酸化インジウム亜鉛(IZO/APC/IZO)複合層である。
【0048】
図1に示すように、本発明の上記有機発光ダイオード表示パネルは、上記第2電極840の表面に設けられた第2封止層720をさらに含む。上記第2封止層720の設置により、上記有機発光ダイオード表示パネルの下側を封止することにより、上記有機発光ダイオード表示パネルを保護することがきる。
【0049】
本発明の上記有機発光ダイオード表示パネルにおいて、複数の上記薄膜トランジスタ400に従来技術のレベリング層及び複数の上記有機発光ダイオード800が設けられないが、複数の上記薄膜トランジスタ400から離れる上記薄膜トランジスタ基板300の上記一側に複数の上記有機発光ダイオード800が設けられる。したがって、本発明の上記有機発光ダイオード表示パネルは、複数の上記有機発光ダイオード800を平坦な表面に設けることにより、複数の上記薄膜トランジスタ400の上記ゲート430として生成された表面の凹凸の影響を受けない。複数の上記有機発光ダイオード800が平坦な表面に設けることができるため、上記発光層820は、空間を最大限に利用することができ、さらに上記有機発光ダイオード表示パネルの画素密度を向上させる。同時に、複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれの上下両側に設けられた上記ゲート430、上記ソース440、上記ドレイン450及び上記第1電極810は、複数の上記薄膜トランジスタのそれぞれにおける上記半導体層410への光の照射を遮断するように、遮光層の役割を果たすことができ、これにより、上記有機発光ダイオード表示パネルの製造工程を簡略化するとともに、複数の上記薄膜トランジスタ400の表示効率を増加させ、上記有機発光ダイオード表示パネルの発光効果を強化することにより、観賞者に高い観賞効果を与えることができる。
【0050】
本発明は、上述したような有機発光ダイオード表示パネルの製造方法をさらに提供する。
図2は、本発明の上記有機発光ダイオード表示パネルの製造方法のステップS1~S4のフローチャートである。本発明の、
図1に示す上記有機発光ダイオード表示パネルを製造する製造方法は、主に以下のステップS1~S4を含む。
【0051】
ステップS1では、剥離層200を形成する。
【0052】
ステップS2では、上記剥離層200の一側に薄膜トランジスタ基板300を形成する。
【0053】
ステップS3では、上記剥離層200から離れる上記薄膜トランジスタ基板300の一側に複数の薄膜トランジスタ400を形成する。
【0054】
ステップS4では、上記薄膜トランジスタ基板300から離れる上記剥離層200の一側に複数の有機発光ダイオード800を形成する。
【0055】
以下に
図5~19に示す上記有機発光ダイオード表示パネルの製造過程の概略構成図を参照して本発明の技術手段を説明する。
【0056】
図5を参照すると、
図2のステップS1では、剥離層200を形成する。上記剥離層は、半導体材料で製造され、有機半導体及び無機半導体を含む。一実施例では、本発明の上記剥離層200の材料は、無機半導体の窒化ガリウム(GaN)を含む。
【0057】
一実施例では、ステップS1は、第1基板110の一側に上記剥離層200を形成することを含む。
図5に示すように、上記第1基板110は、表示パネル産業に使用されるガラス基板であってもよいため、本発明の上記有機発光ダイオード表示パネルの製造方法が簡単で便利な初期工程を提供する。
【0058】
図6を参照すると、
図2のステップS2では、上記第1基板110から離れる上記剥離層200の一側に薄膜トランジスタ基板300を形成する。
図1に示すように、上記薄膜トランジスタ基板300は、上記剥離層200及び複数の上記薄膜トランジスタ400を遮断するため、上記剥離層200が後のステップS3で形成される複数の上記薄膜トランジスタ400に直接接触しないように確保することができ、複数の上記薄膜トランジスタ400の動作に影響を与えることを回避する。
【0059】
図2のステップS3では、上記剥離層200から離れる上記薄膜トランジスタ基板300の一側に、
図1に示す複数の上記薄膜トランジスタ400を形成する。
【0060】
図3は、本発明の有機発光ダイオード表示パネルの製造方法のステップS31~S36のフローチャートである。一実施例では、ステップS3は、
図1に示す複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれを形成するために以下のステップS31~S36を含む。
【0061】
ステップS31では、上記剥離層200から離れる上記薄膜トランジスタ基板300の上記一側に半導体層410を形成する。
【0062】
ステップS32では、上記薄膜トランジスタ基板300から離れる上記半導体層410の一側にゲート絶縁層420を形成する。
【0063】
ステップS33では、上記ゲート絶縁層420の上記半導体層410から離れる一側にゲート430を形成する。
【0064】
ステップS34では、上記剥離層200から離れる上記薄膜トランジスタ基板300の上記一側に層間誘電体層500を形成する。
【0065】
ステップS35では、上記層間誘電体層500、上記薄膜トランジスタ基板300及び上記剥離層200に複数の貫通孔510を形成する。
【0066】
ステップS36では、上記薄膜トランジスタ基板300から離れる上記層間誘電体層500の一側にソース440及びドレイン450を形成する。
【0067】
図7を参照すると、ステップS31では、フォトリソグラフィプロセスにより、上記剥離層200から離れる上記薄膜トランジスタ基板300の上記一側に上記半導体層410を形成する。上記半導体層が広いエネルギーギャップを有する金属酸化物を含むため、本発明の上記半導体層410は、後のステップS36で、
図1に示す上記ソース440と上記ドレイン450との接続チャネルを構築することができる。一実施例では、本発明の上記半導体層410は、インジウムガリウム亜鉛酸化物(indium gallium zinc oxide、IGZO)を含む。上記インジウムガリウム亜鉛酸化物の電子移動度は、従来の非晶質シリコン半導体の20~30倍であるため、
図1に示す複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれの充放電速度及び応答速度を顕著に向上させる。上記インジウムガリウム亜鉛酸化物を複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれのチャネルとして、上記有機発光ダイオード表示パネルのより速いリフレッシュレートを実現することができる。同時に、上記インジウムガリウム亜鉛酸化物の駆動能力が高いため、複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれの駆動電力消費が低くなり、上記有機発光ダイオード表示パネルは、より省エネルギーで、省電力であり、上記有機発光ダイオード表示パネルの航続を大幅に増加させる。
【0068】
図8を参照すると、ステップS32では、上記フォトリソグラフィプロセスにより、上記薄膜トランジスタ基板300から離れる上記半導体層410の上記一側に上記ゲート絶縁層420を形成する。
図1に示すように、上記ゲート絶縁層420は、上記半導体層410と後のステップS33で形成される上記ゲート430との接触を遮断する。一実施例では、上記ゲート絶縁層420は、上記半導体層410に設けられ、かつ上記ゲート絶縁層420の縁部は、上記半導体層410の縁部より後退する。すなわち、上記ゲート絶縁層420の下表面積は、上記半導体層410の上表面積より小さい。これは、上記半導体層410の左右両側の位置を保留して、後のステップS36で形成される上記ソース440及び上記ドレイン450の接続を容易にするためである。
【0069】
図9を参照すると、ステップS33では、上記フォトリソグラフィプロセスにより、上記半導体層410から離れる上記ゲート絶縁層420の上記一側に上記ゲート430を形成する。一実施例では、上記ゲート430は、上記ゲート絶縁層420に設けられ、かつ上記ゲート430の縁部は、上記ゲート絶縁層420の縁部より後退する。即ち、上記ゲート430の下表面積は、上記ゲート絶縁層420の上表面積より小さい。これは、上記ゲート430が上記ゲート絶縁層420の縁部を超えないようにし、かつ上記半導体層410の左右両側の位置を保留することにより、後のステップS36で形成される
図1に示す上記ソース440及び上記ドレイン450の接続を容易にするためである。
【0070】
図10を参照すると、ステップS34では、コーティングプロセスにより、上記剥離層200から離れる上記薄膜トランジスタ基板300の上記一側に上記層間誘電体層500を形成する。上記層間誘電体層500は、上記薄膜トランジスタ基板300に塗布された後、上記半導体層410、上記ゲート絶縁層420及び上記ゲート430を覆う。上記層間誘電体層500は、高誘電率を有し、上記ゲート430と後のステップS36で形成される
図1に示す上記ソース440及び上記ドレイン450を遮断する。
【0071】
図11を参照すると、ステップS35では、ハーフトーンマスク(halftone mask)により上記層間誘電体層500、上記薄膜トランジスタ基板300及び上記剥離層200に対して異なる深さのエッチングを行って、上記層間誘電体層500、上記薄膜トランジスタ基板300及び上記剥離層200に複数の貫通孔510を形成する。上記半導体層410、上記ゲート絶縁層420及び上記ゲート430が上記層間誘電体層500により覆われるため、後のステップS36で形成される
図1に示す上記ソース440及び上記ドレイン450は、上記半導体層410に電気的に接続することができない。したがって、複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれを形成する場合、エッチングにより、電気的に接続されたチャネルを形成する必要がある。複数の上記貫通孔510は、ソース用貫通孔511及びドレイン用貫通孔512を含む。上記ソース用貫通孔511及び上記ドレイン用貫通孔512は、上記層間誘電体層500を貫通し、かつ上記半導体層410を露出させる。一実施例では、複数の上記貫通孔510は、第1電極用貫通孔513をさらに含む。上記第1電極用貫通孔513は、上記層間誘電体層500、上記薄膜トランジスタ基板300及び上記剥離層200を貫通し、かつ上記第1基板110を露出させる。
【0072】
図12を参照すると、ステップS36では、上記フォトリソグラフィプロセスにより、上記薄膜トランジスタ基板300から離れる上記層間誘電体層500の上記一側に上記ソース440及び上記ドレイン450を形成する。本発明のステップS3で形成された複数の上記薄膜トランジスタ400は、トップゲート型薄膜トランジスタである。
【0073】
図12に示すように、本発明において、複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれは、複数の上記有機発光ダイオード800のそれぞれの駆動スイッチであり、ゲート430、ソース440及びドレイン450を含む。ゲート430の入力電圧を制御することにより、複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれは、上記ソース440及び上記ドレイン450の両端の電流のオンオフを制御することができる。
【0074】
本発明は、複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれがトップゲート型薄膜トランジスタを用いることを例として説明する。上記トップゲート型薄膜トランジスタは、上記有機発光ダイオード表示パネルの製造工程を減少させ、さらに製造コストを低減する。しかしながら、本発明の複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれは、上記トップゲート型薄膜トランジスタに限定されず、さらにボトムゲート型薄膜トランジスタ又は他の構造の薄膜トランジスタであってもよい。
【0075】
図4は、本発明の有機発光ダイオード表示パネルの製造方法のステップS361~S362/S362’のフローチャートである。一実施例では、ステップS36は、
図1に示す上記ソース440及び上記ドレイン450を形成するために以下のステップS361~S362/S362’を含む。
【0076】
ステップS361では、複数の上記貫通孔510に導電材料を充填する。
【0077】
ステップS362では、上記ソース440と上記第1電極用貫通孔513内の上記導電材料とを電気的に接続する。
【0078】
または、ステップS362’では、上記ドレイン450と上記第1電極用貫通孔513内の上記導電材料とを電気的に接続する。
【0079】
図12に示すように、ステップS361では、複数の上記貫通孔510を形成した後、複数の上記貫通孔510に上記導電材料を充填する。上記ソース440及び上記ドレイン450が複数の上記貫通孔510に形成される場合、複数の上記貫通孔510内の上記導電材料に電気的に接続される。したがって、複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれにおいて、上記ソース440は、上記ソース用貫通孔511内の上記導電材料により上記半導体層410に電気的に接続され、かつ上記ドレイン450は、上記ドレイン用貫通孔512内の上記導電材料により上記半導体層410に電気的に接続される。
【0080】
複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれを形成する製造工程において、上記第1電極用貫通孔513を設ける目的は、複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれの上記ソース440又は上記ドレイン450を後のステップS4で形成される
図1に示す上記第1電極810に電気的に接続することである。したがって、
図12に示すように、本発明の一実施例では、ステップS362を用い、すなわち、上記ソース440を上記第1電極用貫通孔513における上記導電材料に電気的に接続することを意味する。別の実施例では、複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれを形成するプロセスにおいて、ステップS362’を用いてもよく、すなわち、上記ドレイン450を上記第1電極用貫通孔513における上記導電材料に電気的に接続することを意味する。上記ソース440又は上記ドレイン450が複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれにおいて実行する動作が単に電流を入力又は出力させるための動作であり、本発明は、上記ソース440又は上記ドレイン450が上記第1電極用貫通孔513により
図1に示す上記第1電極810に電気的に接続されることを限定しない。
【0081】
図13を参照すると、
図2のステップS3が完了した後、上記薄膜トランジスタ基板300から離れる複数の上記薄膜トランジスタ400の一側にパッシベーション層600及び第1封止層710を順に形成する。上記パッシベーション層600は、複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれの上記ソース440及び上記ドレイン450を覆い、かつ上記層間誘電体層500を覆う。上記パッシベーション層600は、絶縁の効果を有するとともに、上記有機発光ダイオード表示パネルに屈曲時の靭性を与える。また、上記第1封止層710により、ステップS1~S3で形成された上記有機発光ダイオード表示パネルの半製品を上記第2基板120と貼り合わせることにより、後の製造工程の進行に役立つ。
【0082】
図2のステップS4を実行する前に、本発明の上記有機発光ダイオード表示パネルの製造方法は、上記第1基板110と上記剥離層200とを分離することをさらに含む。本発明の上記有機発光ダイオード表示パネルの製造方法がステップS4に進む前に、前のステップで形成された上記有機発光ダイオード表示パネルの半製品における上記第1基板110を除去する。
【0083】
図14は、上下反転した上記有機発光ダイオード表示パネルの半製品を示す。上記第1基板110を除去するために、本発明は、製造工程において上記有機発光ダイオード表示パネルの半製品を反転し、かつレーザーアブレーション法を用いて、上記第1基板110を上記剥離層200から剥離する。高出力のナノ秒-フェムト秒レベルのパルスレーザを上記剥離層200と上記第1基板110との間の境界面に合焦することにより、窒化ガリウムで製造された上記剥離層200がレーザで照射された後、ガスを生成し、上記境界面の間の結合を消失させる。上記第1基板110と上記剥離層200との間に結合力が存在しない場合、後の製造工程を容易にするために、上記第1基板110を上記有機発光ダイオード表示パネルの半製品から除去する。
【0084】
図15は、上下反転した上記有機発光ダイオード表示パネルの半製品を示す。
図2のステップS4では、上記フォトリソグラフィプロセスにより、上記薄膜トランジスタ基板300から離れる上記剥離層200の上記一側に複数の上記有機発光ダイオード800を形成する。複数の上記有機発光ダイオード800のそれぞれは、複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれに対応する。複数の上記有機発光ダイオード800のそれぞれは、第1電極810、発光層820及び第2電極840を含む。複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれの上記ソース440又は上記ドレイン450は、上記第1電極810に電気的に接続される。後の製造工程がいずれも上記薄膜トランジスタ基板300から離れる上記剥離層200の上記一側に行われるため、上記第1電極810が上記剥離層200の平坦な表面に形成される場合、
図1に示す上記発光層820は、最適な空間利用効率を得て、上記有機発光ダイオード表示パネルの画素密度を向上させることができる。
【0085】
なお、複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれの上記半導体層410は、光に敏感であり、光が上記半導体層410に照射される場合、電気的ドリフトが発生しやすく複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれの駆動効果に影響を与えることに注意すべきである。したがって、従来技術は、一般的に複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれの上記半導体層410の上下両側に遮光層を追加的に設ける必要がある。
【0086】
しかしながら、本発明において、上記ゲート430、上記ソース440、上記ドレイン450及び上記第1電極810は、さらに上記半導体層410に対して遮光作用を発揮し、上記半導体層410への光の照射を遮断することができる。同時に、上記ゲート430、上記ソース440及び上記ドレイン450が上記半導体層410の一側に形成され、上記第1電極810が上記ゲート430、上記ソース440及び上記ドレイン450から離れる上記半導体層410の一側に設けられるため、上記ゲート430、上記ソース440、上記ドレイン450及び上記第1電極810は、従来技術における上記遮光層の遮光効果を達成することができるため、本発明は、上記有機発光ダイオード表示パネルの上記製造工程をさらに簡略化することができる。
【0087】
上記目的を達成するために、本発明の一実施例では、上記ゲート430、上記ソース440及び上記ドレイン450の上記半導体層410への総投影面積は、上記半導体層410の面積以上であり、上記第1電極810の面積は、複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれの上記半導体層410の面積以上に設定される。また、上記第1電極810の材料は、非透光性導電材料、例えば、銀(Ag)、酸化インジウムスズ/銀/酸化インジウムスズ(ITO/Ag/ITO)複合層、酸化インジウム亜鉛/銀/酸化インジウム亜鉛(IZO/Ag/IZO)複合層、酸化インジウムスズ/銀パラジウム銅合金/酸化インジウムスズ(ITO/APC/ITO)複合層、又は酸化インジウム亜鉛/銀パラジウム銅合金/酸化インジウム亜鉛(IZO/APC/IZO)複合層である。
【0088】
図16は、上下反転した上記有機発光ダイオード表示パネルの半製品を示す。
図2のステップS4では、本発明は、インクジェット印刷プロセスにより、上記剥離層200から離れる上記第1電極810の上記一側に上記発光層820を形成する。同時に、上記発光層820の間に画素スペーサ830を充填することにより、上記発光層820が上記有機発光ダイオード表示パネルの画素を形成する。
【0089】
図17は、上下反転した上記有機発光ダイオード表示パネルの半製品を示す。本発明は、上記第1電極810から離れる上記発光層820の上記一側に上記第2電極840を形成する。上記第2電極840は、上記発光層820及び上記画素スペーサ830を覆い、かつ共通電極として上記第1電極810と共に動作し、上記発光層820が発光するように駆動する。
【0090】
図18を参照すると、
図2のステップS4が完了した後、本発明は、上記発光層820から離れる上記第2電極840の一側に第2封止層720を形成する。上記第2封止層720により、ステップS1~S4で形成された上記有機発光ダイオード表示パネルの半製品を封止することにより、上記有機発光ダイオード表示パネルを保護する。
【0091】
最後に、
図19を参照すると、本発明において、上記レーザーアブレーション法により、上記第2基板120を上記第1封止層710から剥離する。上記第2基板120を除去するために、本発明は、製造工程において上記有機発光ダイオード表示パネルの半製品を再度反転し、かつ高出力のナノ秒-フェムト秒レベルのパルスレーザを上記第1封止層710と上記第2基板120との間の境界面に合焦することにより、窒化ガリウムで製造された上記剥離層200がレーザで照射された後、ガスを生成し、上記境界面の間の結合を消失させる。上記第2基板120と上記第1封止層710との間に結合力が存在しない場合、上記第2基板120は、上記有機発光ダイオード表示パネルの半製品から除去される。ここまでのステップでは、本発明の有機発光ダイオード表示パネルが剛性の上記第1基板又は上記第2基板を有さないため、柔軟性、可撓性を有する上記有機発光ダイオード表示パネルを実現することができる。
【0092】
本発明の上記有機発光ダイオード表示パネルの製造方法において、複数の上記薄膜トランジスタ400の製造工程が完了した後、複数の上記薄膜トランジスタ400に従来技術のレベリング層及び複数の上記有機発光ダイオード800を形成し続けるのではなく、複数の上記薄膜トランジスタ400から離れる上記薄膜トランジスタ基板300の上記一側に複数の上記有機発光ダイオード800を形成する。したがって、本発明の上記有機発光ダイオード表示パネルは、複数の上記有機発光ダイオード800を平坦な表面に形成して、複数の上記薄膜トランジスタ400の上記ゲート430として生成された表面の凹凸の影響を受けない。複数の上記有機発光ダイオード800が平坦な表面に形成することができるため、上記発光層820は、空間を最大限に利用することができ、さらに上記有機発光ダイオード表示パネルの画素密度を向上させる。同時に、複数の上記薄膜トランジスタ400のそれぞれの上記半導体層410の上下両側に設けられた上記ゲート430、上記ソース440、上記ドレイン450及び上記第1電極810は、複数の上記薄膜トランジスタのそれぞれにおける上記半導体層410への光の照射を遮断するように、遮光層の役割を果たすことができ、これにより、上記有機発光ダイオード表示パネルの製造工程を簡略化するとともに、複数の上記薄膜トランジスタ400の表示効率を増加させ、上記有機発光ダイオード表示パネルの発光効果を強化することにより、観賞者に高い観賞効果を与えることができる。
【0093】
以上の説明は、本発明の好ましい実施形態に過ぎず、説明すべきこととして、当業者にとって、本発明の原理から逸脱することなく、さらに複数の改善及び修正を行うことができ、これらの改善及び修正も本発明の保護範囲と見なされるべきである。
【国際調査報告】