IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ケーティー・アンド・ジー・コーポレーションの特許一覧

特表2023-552016喫煙物品認識部を含む副流煙除去装置
<>
  • 特表-喫煙物品認識部を含む副流煙除去装置 図1
  • 特表-喫煙物品認識部を含む副流煙除去装置 図2
  • 特表-喫煙物品認識部を含む副流煙除去装置 図3
  • 特表-喫煙物品認識部を含む副流煙除去装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-14
(54)【発明の名称】喫煙物品認識部を含む副流煙除去装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 13/04 20060101AFI20231207BHJP
   A24F 13/06 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
A24F13/04 Z
A24F13/06 Z
A24F13/06 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574754
(86)(22)【出願日】2022-10-28
(85)【翻訳文提出日】2022-12-08
(86)【国際出願番号】 KR2022016666
(87)【国際公開番号】W WO2023080554
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】10-2021-0148385
(32)【優先日】2021-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アン、キ ジン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ハン ジン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨウン シン
(57)【要約】
内部に喫煙空間が形成されているハウジングと、前記ハウジングの一端に位置して、前記喫煙空間に喫煙物品が挿入されるための開口を形成している物品挿入部と、前記喫煙空間内に挿入された喫煙物品の上流末端と離隔した状態で位置して、喫煙物品から発生する副流煙を処理する副流煙処理部と、前記物品挿入部において喫煙物品に近接して位置して、物品挿入部に挿入された喫煙物品を認識する物品認識部とを含む副流煙除去装置が提供される。前記喫煙物品は、喫煙物質を取り囲む巻きタバコ紙の内部に低発火性コーティング部を含み、前記物品認識部は、喫煙物品の低発火性コーティング部を認識する。本発明の一具体例による副流煙除去装置は、喫煙物品認識部により挿入された喫煙物品を認識して、当該副流煙除去装置に適した喫煙物品が挿入された場合にのみ装置が作動して、装置の機能性を最大限に発揮できるだけでなく、装置の耐久性、ひいては装置の安定性の面でも優れた効果を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
副流煙除去装置であって、
前記副流煙除去装置は、
内部に喫煙空間が形成されているハウジングと、
前記ハウジングの一端に位置して、前記喫煙空間に喫煙物品が挿入されるための開口を形成している物品挿入部と、
前記喫煙空間内に挿入された喫煙物品の上流末端と離隔した状態で位置して、喫煙物品から発生する副流煙を処理する副流煙処理部と、
前記物品挿入部において喫煙物品に近接して位置して、物品挿入部に挿入された喫煙物品を認識する物品認識部とを含み、
前記喫煙物品は、喫煙物質を取り囲む巻きタバコ紙の内部に低発火性コーティング部を含み、
前記物品認識部は、喫煙物品の低発火性コーティング部を認識する副流煙除去装置。
【請求項2】
前記副流煙除去装置は、副流煙除去装置の動作を全般的に制御できる制御部をさらに含み、
前記物品認識部での物品認識の結果は、制御部に伝達される請求項1に記載の副流煙除去装置。
【請求項3】
前記喫煙物品の低発火性コーティング部は、アラビアガムを含有する請求項1に記載の副流煙除去装置。
【請求項4】
前記副流煙除去装置は、ハウジングの内部空間に位置し、前記喫煙空間内に挿入された喫煙物品を点火する点火部をさらに含み、
前記点火部は、物品認識部で副流煙除去装置に適した喫煙物品として認識された場合に、喫煙物品を点火する請求項1に記載の副流煙除去装置。
【請求項5】
前記副流煙処理部は、
副流煙を濾過するフィルタと、
前記副流煙がフィルタを通過して排気されるようにする排気ファンとを含み、
前記排気ファンは、喫煙物品から発生する副流煙を認識して作動する請求項1から4のいずれか一項に記載の副流煙除去装置。
【請求項6】
前記副流煙除去装置は、喫煙物品が物品挿入部を介して挿入されることにより、前記喫煙物品の上流末端を弾性的に支持するように配置された弾性支持部をさらに含み、
前記点火部は、弾性支持部と結合されており、喫煙物品が挿入されることにより、前記喫煙物品の上流末端と接するように配置され、
前記点火部が喫煙物品の上流末端と最初に接する時、物品挿入部の開口に喫煙物品の低発火性コーティング部が位置する請求項4に記載の副流煙除去装置。
【請求項7】
前記点火部が喫煙物品の上流末端と最初に接する時、物品認識部は、喫煙物品の近接した部分を認識する請求項6に記載の副流煙除去装置。
【請求項8】
前記喫煙物品は、喫煙物品の長手方向に互いに離隔して位置する第1低発火性コーティング部および第2低発火性コーティング部を含み、
前記副流煙除去装置は、第1物品認識部および第2物品認識部を含み、
前記第1物品認識部は、物品挿入部において喫煙物品に近接して位置し、前記第2物品認識部は、第1低発火性コーティング部と第2低発火性コーティング部とが離隔した距離だけ第1物品認識部から長手方向に離隔してハウジングの内部に位置する請求項1から4のいずれか一項に記載の副流煙除去装置。
【請求項9】
前記副流煙除去装置は、喫煙物品の挿入時、喫煙物品の第1低発火性コーティング部および第2低発火性コーティング部がそれぞれ第1物品認識部および第2物品認識部により同時に認識される時、副流煙除去装置に適した喫煙物品として認識する請求項8に記載の副流煙除去装置。
【請求項10】
前記副流煙除去装置において、第1物品認識部と第2物品認識部とは、長手方向に5mmから10mm離隔して位置する請求項8に記載の副流煙除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫煙物品認識部を含む副流煙除去装置に関する。具体的には、当該副流煙除去装置に適した喫煙物品を認識する喫煙物品認識部を含む副流煙除去装置に関する。
【0002】
本出願は、2021年11月2日付の韓国特許出願第10-2021-0148385号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容を本明細書の一部として含む。
【背景技術】
【0003】
喫煙により発生するタバコの煙は、タバコフィルタを通過して口に伝達される主流煙(main stream smoke)と、フィルタを通過せずに大気中に発生する副流煙(side stream smoke)とに区分することができる。
【0004】
副流煙除去装置は、指の匂い低減、副流煙(side stream smoke)除去(浄化)などを目的として考案された一種の喫煙補助器具である。前記副流煙除去装置は、通常、内部に密閉された喫煙空間と副流煙除去手段とを備えており、使用者は副流煙除去装置内部の喫煙空間に巻きタバコを挿入して喫煙することができる。
【0005】
前記副流煙除去装置の機能性を向上させるためには、当該副流煙除去装置に適した巻きタバコが挿入されることが重要であり、そうでない場合、副流煙除去装置の機能性を完全に発現できないだけでなく、予想せぬ状況による安全上の危険が発生することがある。そこで、発明者は副流煙除去装置に適した巻きタバコが挿入された場合にのみ副流煙除去装置が作動できるように副流煙除去装置における巻きタバコの認識に関する持続的な研究の末に、本発明を完成した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】大韓民国公開特許公報第2001-0031288号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特定の副流煙除去装置に適した喫煙物品を認識する喫煙物品認識部を含む副流煙除去装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1側面によれば、
内部に喫煙空間が形成されているハウジングと、前記ハウジングの一端に位置して、前記喫煙空間に喫煙物品が挿入されるための開口を形成している物品挿入部と、前記喫煙空間内に挿入された喫煙物品の上流末端と離隔した状態で位置して、喫煙物品から発生する副流煙を処理する副流煙処理部と、前記物品挿入部において喫煙物品に近接して位置して、物品挿入部に挿入された喫煙物品を認識する物品認識部とを含む副流煙除去装置が提供される。
【0009】
本発明の一具体例において、前記喫煙物品は、喫煙物質を取り囲む巻きタバコ紙の内部に低発火性コーティング部を含み、前記物品認識部は、喫煙物品の低発火性コーティング部を認識する。
【0010】
本発明の一具体例において、前記副流煙除去装置は、副流煙除去装置の動作を全般的に制御できる制御部をさらに含み、前記物品認識部での物品認識の結果は、制御部に伝達される。
【0011】
本発明の一具体例において、前記喫煙物品の低発火性コーティング部は、アラビアガムを含有する。
【0012】
本発明の一具体例において、前記副流煙除去装置は、ハウジングの内部空間に位置し、前記喫煙空間内に挿入された喫煙物品を点火する点火部をさらに含み、前記点火部は、物品認識部で副流煙除去装置に適した喫煙物品として認識された場合に、喫煙物品を点火する。
【0013】
本発明の一具体例において、前記副流煙処理部は、副流煙を濾過するフィルタと、前記副流煙がフィルタを通過して排気されるようにする排気ファンとを含み、前記排気ファンは、喫煙物品から発生する副流煙を認識して作動する。
【0014】
本発明の一具体例において、前記副流煙除去装置は、喫煙物品が物品挿入部を介して挿入されることにより、前記喫煙物品の上流末端を弾性的に支持するように配置された弾性支持部をさらに含み、前記点火部は、弾性支持部と結合されており、喫煙物品が挿入されることにより、前記喫煙物品の上流末端と接するように配置され、前記点火部が喫煙物品の上流末端と最初に接する時、物品挿入部の開口に喫煙物品の低発火性コーティング部が位置する。
【0015】
本発明の一具体例において、前記点火部が喫煙物品の上流末端と最初に接する時、物品認識部は、喫煙物品の近接した部分を認識する。
【0016】
本発明の一具体例において、前記喫煙物品は、喫煙物品の長手方向に互いに離隔して位置する第1低発火性コーティング部および第2低発火性コーティング部を含み、前記副流煙除去装置は、第1物品認識部および第2物品認識部を含み、前記第1物品認識部は、物品挿入部において喫煙物品に近接して位置し、前記第2物品認識部は、第1低発火性コーティング部と第2低発火性コーティング部とが離隔した距離だけ第1物品認識部から長手方向に離隔してハウジングの内部に位置する。
【0017】
本発明の一具体例において、前記副流煙除去装置は、喫煙物品の挿入時、喫煙物品の第1低発火性コーティング部および第2低発火性コーティング部がそれぞれ第1物品認識部および第2物品認識部により同時に認識される時、副流煙除去装置に適した喫煙物品として認識する。
【0018】
本発明の一具体例において、前記副流煙除去装置において、第1物品認識部と第2物品認識部とは、長手方向に5mm~10mm離隔して位置する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一具体例による副流煙除去装置は、喫煙物品認識部により挿入された喫煙物品を認識して、当該副流煙除去装置に適した喫煙物品が挿入された場合にのみ装置が作動して、装置の機能性を最大限に発揮できるだけではなく、装置の耐久性、ひいては装置の安定性の面でも優れた効果を示す。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一具体例による喫煙物品が適用された副流煙除去装置を概略的に示す図である。前記図1は、弾性支持部に結合された点火部と挿入された喫煙物品とが最初に接する時の、物品認識部と低発火性コーティング部との間の位置関係を示す。
図2】本発明の一具体例による喫煙物品が適用された副流煙除去装置を概略的に示す図である。前記図2は、弾性支持部が最大に収縮して喫煙物品が最大に収縮された時の、物品認識部と低発火性コーティング部との間の位置関係を示す。
図3】本発明の一具体例による低発火性コーティング部を含む喫煙物品を概略的に示す図である。
図4】本発明の一具体例による喫煙物品が適用された副流煙除去装置を概略的に示す図である。前記図4は、第1低発火性コーティング部を認識できる第1物品認識部と、第2低発火性コーティング部を認識できる第2物品認識部とを含む副流煙除去装置において、弾性支持部に結合された点火部と挿入された喫煙物品とが最初に接する時の、物品認識部と低発火性コーティング部との間の位置関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、具体例を例示的な図面を通じて詳細に説明する。各図面の構成要素に参照符号を付すにあたり、同一の構成要素については、たとえ他の図面上に表示されていてもできるだけ同一の符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、具体例を説明するにあたり、かかる公知の構成または機能に関する具体的な説明が具体例に対する理解を妨げると判断された場合、その詳細な説明は省略する。
【0022】
また、具体例の構成要素を説明するにあたり、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使うことができる。これらの用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語によって当該構成要素の本質や順番または順序などが限定されない。ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」または「接続」されると記載された場合、その構成要素はその他の構成要素に直接的に連結または接続されてもよいが、各構成要素の間にさらに他の構成要素が「連結」、「結合」または「接続」されてもよいことが理解されなければならない。
【0023】
いずれか1つの具体例に含まれた構成要素と、共通した機能を含む構成要素は、他の具体例において同一の名称を使って説明する。反対の記載がない以上、いずれか1つの具体例に記載した説明は他の実施例にも適用可能であり、重複する範囲で具体的な説明は省略する。
【0024】
本明細書において、用語「喫煙物品(smoking article)」とは、タバコ、タバコ派生物、膨化処理タバコ(expanded tobacco)、再生タバコ(reconstituted tobacco)またはタバコ代用物に基づいているかに関係なく、喫煙可能な任意の製品または喫煙体験を提供可能な任意の製品を意味する。例えば、前記喫煙物品は、巻きタバコ、葉巻(cigar)および小さい葉巻(cigarillo)などのような喫煙可能製品を含むことができる。
【0025】
本明細書において、用語「喫煙物質(smoking material)」とは、煙(smoke)および/またはエアロゾル(aerosol)を発生させたり、喫煙に用いられたりする物質を意味する。例えば、前記喫煙物質は、タバコ物質を含むことができる。前記タバコ物質は、例えば、タバコ葉片、タバコ茎またはこれらから加工された物質などを含むことができる。本発明の一具体例によれば、前記タバコ物質は、粉砕されたタバコの葉、粉砕された再生タバコ、膨化刻みタバコ、膨化主脈および板状葉などを含むことができる。しかし、これに限定されるものではない。
【0026】
本明細書において、用語「上流(upstream)」または「上流方向」は、使用者の口部から遠くなる方向を意味し、用語「下流(downstream)」または「下流方向」は、使用者の口部から近くなる方向を意味する。前記用語は、喫煙物品を構成する要素の相対的位置を説明するために使われる。例えば、図1による喫煙物品2において、フィルタ部は、喫煙物質部の下流または下流方向に位置し、喫煙物質部は、フィルタ部の上流または上流方向に位置する。
【0027】
本明細書において、用語「長手方向(longitudinal direction)」は、喫煙物品または副流煙除去装置の長手方向軸に相応する方向を意味し、用語「垂直方向(perpendicular direction)」は、喫煙物品または副流煙除去装置の長手方向軸に垂直な方向を意味する。
【0028】
本明細書において、用語「パフ(puff)」は、使用者の吸入(inhalation)を意味し、吸入とは、使用者の口や鼻を通して使用者の口腔内、鼻腔内または肺へ吸い込む状況を意味する。
【0029】
以下、本発明の多様な具体例について、添付した図面により詳しく説明する。
【0030】
本発明は、副流煙除去装置に関し、当該副流煙除去装置に適した喫煙物品を認識する喫煙物品認識部を含む副流煙除去装置を提供しようとする。これにより、本発明の一具体例による副流煙除去装置は、副流煙除去装置に適した喫煙物品が挿入された時のみ装置が作動して、装置の機能性を最大限に発揮できるだけでなく、装置の耐久性、ひいては装置の安定性の面でも優れた効果を示す。本明細書では、副流煙除去装置に対する理解のために、例示的な副流煙除去装置を概略的に示した図1および図2を提供する。本発明の一具体例によれば、前記副流煙除去装置1は、ハウジング11、物品挿入部12、副流煙処理部16、および物品認識部22を含む。前記副流煙除去装置1は、バックカバー13、断熱部14、点火部15、メッシュ網17、制御部18、ディスプレイ部19、温度センサ20、および弾性支持部21をさらに含むことができ、前記構成以外にも、当該技術分野における通常の技術者にとって汎用的な構成要素をさらに含むことができる。例えば、前記副流煙除去装置1は、電気的構成要素(例えば、制御部18、ディスプレイ部19など)に電力を供給するためのバッテリ(図示せず)をさらに含むことができる。また、図1に示された構成要素のうち一部は、副流煙除去装置1の必須の構成要素でなくてもよい。すなわち、副流煙除去装置1は、図示の構成要素のうち一部が省略された形態で実現されてもよい。例えば、副流煙除去装置1は、温度センサ20、ディスプレイ19などの構成要素が省略された形態で実現されてもよい。以下では、副流煙除去装置1の各構成要素について説明する。
【0031】
前記ハウジング11は、副流煙除去装置1の内部に喫煙空間を形成することができ、副流煙除去装置1の外観の少なくとも一部を形成することができる。図1は、ハウジング11が副流煙除去装置1の側壁を指すように示しているが、ハウジング11は、物品挿入部12、バックカバー13、および断熱部14を含む外観形成構造物全部を指すものであってもよい。前記副流煙除去装置1の耐久性を保障し、破損の危険性を最小化するために、ハウジング11は、強固な素材からなることが好ましい。
【0032】
本発明の一具体例によれば、喫煙空間内に外気が円滑に流入できるように、ハウジング11にベントホールAが形成されていてもよい。前記ベントホールAは、喫煙中に外気を流入させることで喫煙物品2の燃焼を促進することができるが、これによって副流煙除去装置1の喫煙機能が大きく向上できる。図1は、ハウジング11に1つのベントホールAが形成されていることを例として示しているが、ベントホールAの個数は、複数個であってもよい。また、前記ベントホールAの形成位置、大きさ、間隔なども多様に設計可能である。前記ベントホールAの開閉の有無および/または開閉の程度は、制御部18によって制御されてもよい。
【0033】
前記物品挿入部12は、ハウジング11の一端(例えば、下流側)に位置し、喫煙物品2が挿入されるための開口を形成することができる。使用者は、物品挿入部12を介して副流煙除去装置1内の喫煙空間に喫煙物品2を挿入することができる。喫煙空間内部の熱が外部に放出されることを遮断するために、物品挿入部12は、断熱性素材からなることが好ましい。また、挿入された喫煙物品2が揺れるのを防止するために、物品挿入部12は、喫煙物品2を支えられるホルダ構造からなることが好ましい。
【0034】
本発明の一具体例によれば、前記物品挿入部12が開口の大きさを調節可能な構造からなる。例えば、前記物品挿入部12は、手動操作によって開口を締めたり緩く拡張したりすることができる構造からなる。他の例として、前記物品挿入部12は、喫煙物品2に合わせて自動的に開口を締めるように構成されてもよい。より具体的な例として、前記物品挿入部12が制御部18によって制御され、制御部18がセンサにより喫煙物品2が挿入されることを検知したり、使用者の入力(例えば、ボタンプッシュ)が受信される時、物品挿入部12の開口を締めるように制御したりしてもよい。本発明の一具体例によれば、開口の大きさが喫煙物品2に合わせて調節されることにより、喫煙物品2の振れ現象が防止され、支持安定性が向上できる。さらに、多様な大きさの喫煙物品2が挿入可能になって、副流煙除去装置1の活用性も向上できる。
【0035】
本明細書では、副流煙除去装置に対する理解のために、例示的な喫煙物品を概略的に示した図3を提供する。前記喫煙物品2は、下流に位置したフィルタ部32と、フィルタ部の上流末端と接境する喫煙物質部33とで構成される。ただし、喫煙物品2の細部構造は、いくらでも変更可能である。前記フィルタ部32は、煙を濾過可能なフィルタ物質を含むことができ、前記喫煙物質部33は、喫煙物質を含むことができる。前記喫煙物品2の例としては、燃焼型巻きタバコが挙げられるが、これに限定されるものではなく、喫煙物品2は、喫煙時に副流煙が発生する任意の物品を含むことができる。前記フィルタ部32は、これを取り囲んでいるフィルタ巻紙34を含み、前記喫煙物質部33は、これを取り囲んでいる巻きタバコ紙35を含む。前記フィルタ部32と喫煙物質部33とは、チップペーパー36によって連結可能である。
【0036】
前記喫煙物品2は、喫煙物質を取り囲む巻きタバコ紙35の内部に1つ以上の低発火性コーティング部31を含むことができる。前記低発火性コーティング部31には所定のコーティング組成物が塗布されて、巻きタバコ紙35の気孔度を低下させることができる。これにより、喫煙物品2の燃焼が低発火性コーティング部31に到達すれば、喫煙物質部33に流入する酸素量が減少して喫煙物品2が自己消火可能である。
【0037】
図3には断面で示されたが、前記低発火性コーティング部31は、バンド形状を有することができるが、これに限定されるものではなく、前記低発火性コーティング部31の形状は具体例によって異なる。それだけでなく、前記低発火性コーティング部31の個数、厚さ、そして形状も多様に変形可能であり、複数の低発火性コーティング部31の間隔も多様に変形可能である。
【0038】
例えば、コーティング組成物を気孔度が10cu~100cuの巻きタバコ紙35に塗布して、喫煙物品2あたり2つの低発火性コーティング部31A、31Bを喫煙物質部33の末端から17mm、フィルタ部32から12mmの間に配置することができ、低発火性コーティング部31A、31B間の間隔は5mm~10mmの幅に設定可能である。塗布する、さらに例えば、前記巻きタバコ紙35の気孔度は10cu~100cuであってもよいし、低発火性コーティング部31の気孔度は3cu~20cuであってもよい。前記巻きタバコ紙35の基材紙の厚さは30μm~100μmであってもよいし、基材紙の坪量は15g/m~80g/mであってもよい。前記低発火性コーティング部31の厚さは10μm~50μmであってもよいし、前記低発火性コーティング部31の坪量は15g/m以下であってもよい。前記巻きタバコ紙35およびコーティング組成物の全体重量に対するコーティング組成物の重量比率は40重量%以下であってもよい。また、例えば、前記低発火性コーティング部31がバンド形状を有する場合、バンド1つあたりのコーティング組成物の質量は2.5mg以下であってもよい。
【0039】
本発明の一具体例によれば、図1図4に示されるように、巻きタバコ紙35には2つ以上の低発火性コーティング部31A、31Bが形成される。より具体的な例として、第1低発火性コーティング部31Aは、喫煙物質部33の第1セグメントに対応する巻きタバコ紙領域に形成され、第2低発火性コーティング部31Bは、喫煙物質部33の第2セグメントに対応する巻きタバコ紙領域に形成される。この時、第1セグメントは、喫煙物質部33の両端部のうちフィルタ部32側端部(すなわち、下流方向の端部)から一定距離以内に位置したセグメントであって、喫煙終了時に到達するセグメントであってもよい。そして、第2セグメントは、前記第1セグメントよりも遠い距離に位置したセグメントであって、喫煙物質が燃焼される喫煙セグメントであってもよい。この場合、第2低発火性コーティング部31Bは、喫煙物質部33の一部のみ燃焼された状態で喫煙物品2が捨てられた場合に火災の可能性を低下させる役割を担い、第1低発火性コーティング部31Aは、喫煙が終わった後の自己消火機能を保障する役割を担うことができる。ただし、場合によって、第2低発火性コーティング部31Bは、喫煙の途中に巻きタバコ紙35の気孔を遮断することにより、燃焼性とタバコの味を低下させることがある。
【0040】
このような問題を解決するために、本発明の一具体例によれば、第1低発火性コーティング部31Aおよび第2低発火性コーティング部31Bの坪量、厚さ、大きさ、個数、コーティング組成物の量およびコーティング組成物の粘度の少なくとも1つが互いに異なって設計可能である。例えば、第2低発火性コーティング部31Bの坪量がより低かったり、厚さがより薄かったり、大きさがより小さくてもよい。より具体的な例として、第1低発火性コーティング部31Aの坪量は2.6g/m~5.5g/mであってもよいし、第2低発火性コーティング部31Bの坪量は0.5g/m~2.5g/mであってもよい。ここで、前記低発火性コーティング部31の坪量は、コーティング組成物の塗布によって形成されたコーティング層のみの坪量で、コーティング層および基材紙の坪量とコーティング層が除外された基材紙の坪量の差に相当する値を意味することができる。他の例として、第2低発火性コーティング部31Bの個数(例えば、バンドの個数)が少なかったり、または第2低発火性コーティング部31Bに含まれたコーティング組成物の量がより少なかったりしてもよい。さらに他の例として、第2低発火性コーティング部31Bに含まれたコーティング組成物の粘度がより低くてもよい。コーティング組成物の粘度が低いほど、気孔を遮断する効果が弱くなりうるからである。
【0041】
前記第2低発火性コーティング部31Bが形成された巻きタバコ紙領域または前記第2セグメントに対応する巻きタバコ紙領域に燃焼促進剤が塗布される。そうすることで、第2低発火性コーティング部31Bの付近でも燃焼性が低下しないようにする。燃焼促進剤の例は、アルカリ金属塩、アルカリ土金属塩、およびこれらの混合物を含むことができるが、より具体的な例として、カルボン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、カーボン酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、グリコール酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、ニトロ酸塩、リン酸塩、およびこれらの混合物と、ポタシウムシトレート、ソジウムシトレート、ポタシウムスクシネート、ソジウムスクシネート、またはこれらの混合物を含むことができる。しかし、これに限定されるものではない。
【0042】
本発明の一具体例によれば、第2低発火性コーティング部31Bの低発火性能を低下させることにより、喫煙時の燃焼性とタバコの味が保障できる。それだけでなく、第1低発火性コーティング部31Aの低発火性能は強化させることにより、喫煙終了時点で自己消火が起こることが保障できる。
【0043】
本発明の一具体例によるコーティング組成物は、アラビアガム(arabic gum)、エタノール、水、およびフラクトオリゴ糖(fructo-oligosaccharide)を含むことができる。本発明の他の具体例によるコーティング組成物は、アラビアガム、エタノール、水、およびガラクトオリゴ糖(galacto-oligosaccharide)を含むことができる。本発明のさらに他の具体例によるコーティング組成物は、アラビアガム、エタノール、水、フラクトオリゴ糖、およびガラクトオリゴ糖を含むことができる。以下では、コーティング組成物を構成する各成分について説明する。
【0044】
前記アラビアガムは、アラビアゴムノキの樹液を乾燥、脱塩して製造できる。前記アラビアガムは、巻きタバコ紙35に含まれている気孔を塞いで酸素供給を遮断することにより、コーティング組成物の低発火性能を実現することができる。前記アラビアガムは、高濃度でも相対的に低い粘度(粘性)を有することができ、これによって低粘性状態での濃度の調節が容易になる。したがって、低粘度および高濃度特性を有するコーティング組成物が製造可能であり、コーティング組成物のコーティング濃度の調節により燃焼強度を容易に制御することができる。
【0045】
前記アラビアガムは、水に対して大きな溶解度を有することが可能で、コーティング組成物の分散安定性を向上させることができ、これによって均一な組成および濃度を有する低発火性コーティング部31が形成される。また、前記アラビアガムを含むコーティング組成物は、従来のコーティング組成物に比べて高温での乾燥速度が高くて、コーティング(塗布)工程の作業性を向上させることができる。前記アラビアガムは、老化現象を減少させることができ、これによって従来のアルファデンプンを含むコーティング組成物に比べてコーティング組成物の使用可能期間、保管期間、粘度維持期間、または寿命が延長できる。また、コーティングローラが動作する動的な状況での動的粘度維持率が向上でき、約2℃程度の低温環境で発生しうる粘度の変化が大きく減少できる。さらに、前記アラビアガムは、耐熱性に優れて、高温条件でも性能が維持され、乾燥工程での燃焼時の異臭発生が低減できる。
【0046】
本発明の一具体例によれば、前記アラビアガムは、コーティング組成物全体に対して、10重量%~30重量%含まれる。このような範囲内でコーティング組成物の分散安定性が向上し、乾燥速度が上昇してコーティング工程の作業性がさらに向上でき、低粘度維持期間が大きく延長可能であり、粘度維持率が著しく向上でき、老化現象が減少して寿命が延長可能である。
【0047】
前記フラクトオリゴ糖は、巻きタバコ紙35に含まれている気孔を塞いで酸素供給を遮断することにより、アラビアガムと同じく、コーティング組成物の低発火性能を向上させることができる。前記フラクトオリゴ糖の平均サイズはアラビアガムに比べて小さいため、前記フラクトオリゴ糖は、相対的に直径またはサイズの小さい微細気孔を遮断することにより、コーティング組成物の低発火性能を向上させることができる。それだけでなく、前記フラクトオリゴ糖は、分子量が小さくてコーティング組成物の分散性を向上させる効果があるが、これによってコーティング組成物が均一に巻きタバコ紙35に塗布可能で、コーティング工程の作業性が向上し、製造時間は短縮できる。
【0048】
前記フラクトオリゴ糖は、アラビアガムの老化速度を効果的に低下させることができ、コーティング組成物の老化速度を著しく遅延させることができる。したがって、従来のアルファデンプンを含むコーティング組成物に比べて粘度維持期間を延長させることができ、粘度維持率を向上させることができ、2℃程度の低温に露出した場合にも粘度の変化を最小化させることができる。また、前記フラクトオリゴ糖はエタノールに溶解でき、エタノールと共に使用される場合、コーティング組成物の粘度を低下させることができ、コーティング組成物の構成成分間の結合力を高めることができる。さらに、前記フラクトオリゴ糖を含むコーティング組成物は、従来のコーティング組成物に比べて高温での乾燥速度が高い。したがって、本発明の具体例によるコーティング組成物は、コーティング工程の作業性を向上させることができる。
【0049】
本発明の一具体例によれば、前記フラクトオリゴ糖は、コーティング組成物全体に対して5重量%~35重量%含まれる。このような範囲内で、低粘度維持期間が大きく延長可能であり、粘度維持率が著しく向上でき、老化現象が大きく減少して寿命が延長可能であり、コーティング工程の作業性が向上できる。
【0050】
前記ガラクトオリゴ糖も、フラクトオリゴ糖と類似の重量%で含まれ、フラクトオリゴ糖と類似の効果を創出できる。重複した説明を排除するために、ガラクトオリゴ糖に関する説明は省略する。
【0051】
前記エタノールは、コーティング組成物の固形分含有量を高めることができ、エタノールの含有量を調節してコーティング組成物の粘度を調節することができる。また、前記エタノールは、コーティング組成物の表面張力を低下させることにより、コーティング作業においてコーティングローラとコーティング組成物の親和力を高めることができ、これによりコーティング量が増加でき、コーティング量が一定に維持可能でコーティング作業性が向上でき、低発火性能が向上できる。さらに、前記エタノールは、コーティング組成物の乾燥性を向上させることができ、高温での乾燥速度を高めることができ、これによってコーティング工程の作業性を向上させることができ、巻きタバコ紙に水が吸収されて強度が低下する現象が防止できる。
【0052】
本発明の一具体例によれば、前記エタノールは、コーティング組成物全体に対して15重量%~30重量%含まれ、このような範囲内で、コーティング組成物の粘度が適切に維持でき、コーティング工程の作業性がさらに向上して喫煙物品の生産性が増大でき、喫煙物品の低発火性能がさらに向上できる。
【0053】
前記水は、コーティング組成物において他の構成成分の濃度またはコーティング組成物の濃度を調節するために使用できる。また、前記水は、巻きタバコ紙35のコーティング組成物に対する吸収性を向上させることができる。
【0054】
前記副流煙処理部16は、喫煙空間内に挿入された喫煙物品2の上流末端と離隔した状態で位置して、喫煙物品から発生する副流煙に対する各種処理を行うことができる。例えば、前記副流煙処理部16は、挿入された喫煙物品2とバックカバー13との間に位置して、副流煙に対する浄化機能を行うことができる。また、前記副流煙処理部16は、浄化された副流煙を外部によく排出させる排気機能をさらに行うこともできる。ただし、前記副流煙処理部16の細部構造および動作方式は多様に設計可能であり、これは具体例によって異なる。
【0055】
本発明の一具体例によれば、図1に示されるように、前記副流煙処理部16が、フィルタ16Aと排気ファン16Bとを含むように構成される。前記フィルタ16Aは、副流煙を濾過して副流煙に対する浄化機能を行い、前記排気ファン16Bは、副流煙に対する排気機能を行うことができる。例えば、前記排気ファン16Bは、回転により副流煙をフィルタ16A側に吸い寄せて、前記フィルタ16Aを通過した副流煙を外部に円滑に排出させることができる。前記排気ファン16Bの動作は、制御部18によって制御可能である。
【0056】
前記物品認識部22は、副流煙除去装置1の物品挿入部12を介して挿入された喫煙物品2を認識して、当該副流煙除去装置1に適した喫煙物品であるかを判断する。挿入された喫煙物品2を正確に認識するためには、物品認識部22は、副流煙除去装置1において喫煙物品2と近接して位置することができ、本発明の一具体例によれば、前記物品認識部22は、図1などのように、物品挿入部12において喫煙物品2に近接して位置することができる。
【0057】
本発明の一具体例によれば、前記物品認識部22は、喫煙物品2の低発火性コーティング部31を認識する。前記低発火性コーティング部31は、上述のように別個の機能性を有し、特に喫煙物品2を認識するために導入された構成ではないながらも、喫煙物品2を区別するのに十分な構造または成分を有するという点から、物品認識対象として適切であり得る。具体的には、前記物品認識部22は、低発火性コーティング部の位置、厚さ、大きさ、坪量、気孔、熱伝導度、電気伝導度および化学成分などを評価できる、当該技術分野にて一般的に知られた物理的または化学的センサを含む。本発明の一具体例によれば、前記化学的センサとしてイオンセンサが用いられる。イオン選択性電極の電位をE、基準電極の電位をE、基準電極と試料溶液との接触部分の電位(液間の接触電位差)をEとすれば、Eは下記数式1で表すことができる。
【0058】
[数1]
E=E-E+E
【0059】
イオンセンサは、分析しようとする溶液中の特定イオンに対して選択的に感応し、その濃度(活動度)によって線形的な電位を発生させる電極である。固体状/液体状または液体状/液体状の境界面に発生する電位差を計測して試料溶液中のイオン濃度を求める。
【0060】
本発明の一具体例による副流煙除去装置1に適用されるのに適した喫煙物品2の低発火性コーティング部31は、特徴的にアラビアガムを含有する。これにより、前記物品認識部22がアラビアガムを含有する低発火性コーティング部31の物理的または化学的特性により喫煙物品2を認識すれば、より明確に当該副流煙除去装置1に適した喫煙物品2を区分することができる。喫煙物品2で低発火性コーティング部31の位置が常に一定に実現されれば、アラビアガムが塗布された位置、アラビアガムとコーティング部との境界面に発生する電位差を計測してセンシングする方法を含む。一般的なガム類は、5%以上の濃度では溶解しにくいが、アラビアガムは最高55%まで溶解が可能である。また、分子の形状が球状であるので、一般的に使用する直線状のガム類よりも粘度が低い。成分としては、枝の多いアラビノガラクタン(arabinogalactan)であって、β-D-ガラクトピラノース(β-D-galactopyranose)が1-3結合で連結されており、主鎖もβ-D-ガラクトピラノース1-3結合からなる側鎖が2~4個、1-6結合で連結されている。グアガムは、ガラクトマンナン(galactomannan)1-4結合で連結されたβ-D-マンノピラノース(β-D-mannopyranose)が主鎖であり、α-D-ガラクトース(α-D-galactose)単位1個が1-6結合で約56%主鎖構成単位に連結されている。したがって、ガムを構成する物質の差、粘度の差と均一な位置への塗布により当該物質をセンシングすることができる。
【0061】
アラビアガムを含有する低発火性コーティング部31の物理的または化学的特性は、糖タンパク質と多糖類の高分子混合物であるアラビアガムの成分的な特性だけでなく、アラビアガムを含むことにより、低発火性コーティング部31が有することとなる透過性、伝導性などの物理的特性を含むことができる。
【0062】
前記物品認識部22は、副流煙除去装置1で制御部18と連動して、物品認識部22の物品認識の結果に応じて関連構成を駆動することができる。本発明の一具体例によれば、前記点火部15は、前記物品認識部22で副流煙除去装置1に適した喫煙物品2として認識された場合、制御部18によって喫煙物品2を点火する。これに関連し、前記副流煙除去装置1は、前記点火部15によって喫煙物品2が点火されると、前記喫煙物品2から発生する副流煙を認識して、排気ファン16Bが作動するように制御できる。
【0063】
前記バックカバー13は、ハウジング11の他端(例えば、上流側)に位置して、副流煙除去装置1のカバーとして機能することができる。前記副流煙処理部16により処理された(浄化された)副流煙が外部に排出できるように、バックカバー13には気体排出通路が形成されていてもよい。例えば、前記バックカバー13には、微細ホールなどのような気体排出通路が形成されていてもよい。
【0064】
前記断熱部14は、熱伝導率が低い素材からなって、喫煙空間内部の熱が外部に放出されることを遮断することができる。前記断熱部14は、ハウジング11の外面に配置されることにより、使用者の身体が副流煙除去装置1に当たる時(例えば、喫煙のために装置1を把持する場合)、内部熱による火傷の危険を予め防止する役割を果たすことができる。
【0065】
前記温度センサ20は、喫煙空間内に配置されて、喫煙空間内に挿入された喫煙物品30の温度を測定することができる。前記温度センサ20の個数、形状、配置位置、配置間隔などは多様に設計可能であり、これは具体例によって異なる。
【0066】
本発明の一具体例によれば、図1に示されるように、前記温度センサ20が喫煙物質部の下流末端付近の温度を測定するように配置される。この場合、追加的なモニタリングモジュールなしに、温度センサ20のみを用いて喫煙終了の可否が正確に判断できるが、これは通常、喫煙物質部が完全に燃焼された場合に喫煙が終わるという点を利用したものと理解できる。例えば、前記制御部18は、温度センサ20の測定温度が基準値以上であるか(例えば、現在の喫煙位置が喫煙物質部の下流末端に到達した場合)、温度センサ20の測定温度が増加後に基準値以下に減少する場合(例えば、喫煙物質部の下流末端で燃焼力が弱くなる場合)に、喫煙が終わったと判断することができる。
【0067】
本発明の一具体例によれば、複数の温度センサ20が喫煙空間内に互いに異なる位置に配置される。前記複数の温度センサ20が喫煙物品30の長手方向に配置される。あるいは、前記複数の温度センサ20が互いに対向する位置に配置されてもよい。この時、温度センサ20の配置間隔は、同一でも異なっていてもよい。複数の温度センサ20が用いられると、喫煙進行状況(例えば、喫煙進行程度)がより正確にモニタリングされ、下記のように多様なモニタリング情報が取得できる。
【0068】
本発明の一具体例によれば、喫煙物質部の上流末端付近に配置された温度センサにより喫煙の開始が検知(判断)される。例えば、制御部18は、前記温度センサの測定温度が基準値以上の場合、喫煙が始まったと判断することができる。本発明の一具体例によれば、長手方向に配置された複数の温度センサの測定温度を比較して、喫煙物品2の喫煙進行程度(例えば、現在の喫煙(燃焼)位置)が判断できる。
【0069】
本発明の一具体例によれば、複数の温度センサ20が挿入された喫煙物品2を基準として互いに対向する位置に配置されるか、喫煙空間内で喫煙物品2の円周方向に配置(例えば、90度間隔で4つの温度センサ20が配置)される。この場合、複数の温度センサ20の測定温度を比較して、喫煙物品2の傾き(振れ)程度が判断できる。例えば、特定の温度センサの測定温度が他の温度センサより高い場合、制御部18は、前記特定の温度センサ方向に挿入された喫煙物品2が傾いていると判断することができる。あるいは、複数の温度センサ20の測定温度が基準値以上に変動する場合、制御部18は、挿入された喫煙物品2が揺れていると判断することができる。
【0070】
本発明の一具体例によれば、細長状のボディを有する温度センサ20が喫煙空間内に配置される。例えば、細長状の温度センサ20が喫煙物品2の長手方向に配置される。本発明の一具体例による温度センサ20は、細長状のボディの第1部分が、喫煙物品2を構成する喫煙物質部の第1対応部位の温度を測定することができ、第2部分が、喫煙物質部の第2対応部位の温度を測定できるように実現されたものであってもよい。具体的な実現方式は、いかなる方式でも構わない。この場合、前記細長状のボディの特定部分の測定温度に基づいて喫煙進行状況がモニタリングされる。例えば、制御部18は、前記細長状のボディの各部分の測定温度を比較して、喫煙物品2の喫煙進行程度を判断することができる。
【0071】
本発明の一具体例によれば、前述した具体例の組み合わせに基づいて温度センサ20が配置されてもよい。
【0072】
前記点火部15は、喫煙空間内に配置されて、喫煙空間内に挿入された喫煙物品2を点火することができる。前記点火部15は、制御部18によって制御され、使用者の手動操作によって点火機能を行ってもよい。前記点火部15の個数、形状、配置形態などは多様に設計可能であり、これは実施例によって異なる。
【0073】
本発明の一具体例によれば、前記点火部15は、固定された位置に配置される。具体的には、前記点火部15は、挿入された喫煙物品2の上流末端付近を点火できるように配置される。この場合、副流煙除去装置1の構造が簡素化されて、製造時の不良率が最小化できる。
【0074】
本発明の一具体例によれば、前記点火部15は、移動可能に設計および実現できる。具体的な実現方式は、いかなるものでも構わない。例えば、前記点火部15は、使用者の手動操作または制御部18の制御によって長手方向に移動するように実現できる。本発明の一具体例では、制御部18が喫煙物品2の挿入を検知したことに応答して、点火部15を喫煙物品2の上流末端に移動させてもよい。この場合、前記副流煙除去装置1が多様な長さの喫煙物品2に普遍的に適用可能になって、副流煙除去装置1の活用性が大きく向上できる。
【0075】
前記弾性支持部21は、図1などのように、挿入された喫煙物品2の上流末端を弾性的に支持するように配置される。前記弾性支持部21は、スプリングなどのように伸長および収縮可能な弾性体を含むことができ、喫煙物品2が挿入されたことで挿入方向に収縮されるように配置される。例えば、弾性支持部21は、喫煙空間内に長手方向に配置されて、喫煙物品2の挿入力によって収縮されることにより、喫煙物品30を支持することができる。これにより、喫煙物品2の支持安定性と点火安定性は向上できる。
【0076】
前記点火部15と弾性支持部21との結合の有無および/または配置形態は多様に設計可能である。本発明の一具体例によれば、図1のように、前記点火部15が弾性支持部21と結合されており、喫煙物品2が挿入されることにより、点火部15が喫煙物品2の上流末端と密着するように配置される。この場合、前記点火部15が、弾性支持部21と共に喫煙物品2の上流末端を支持しながら点火機能を行うため、点火安定性がさらに向上できる。さらに、前記点火部15が喫煙物品2の上流末端に密着した状態で点火が行われるため、点火性能も向上できる。
【0077】
前記喫煙物品2の上流末端と密着する点火部15の部分は、尖って突出した形状(例えば、針形状)からなってもよい。この場合、喫煙物品2が挿入されたことで点火部15が喫煙物品2の上流末端を貫通することとなるため、点火時に喫煙物品2がより強く支持できる。もちろん、これによって副流煙除去装置1の支持安定性と点火安定性がさらに向上できる。本発明の他の具体例では、前記点火部15が弾性支持部21と異なる位置に配置され、点火部15が移動可能に実現できる。この場合、弾性支持部21を介して喫煙物品2が支持され、点火部15は、手動または自動で喫煙物品30の上流末端付近に移動して点火機能を行うことができる。
【0078】
一方、本明細書に図示しないが、喫煙物品2の挿入によって弾性支持部21が収縮された後、弾性力によって弾性支持部21が再度伸長するのを防ぐための構造が副流煙除去装置1に導入されていてもよいし、このような構造は、いかなる方式で実現されても構わない。
【0079】
前記弾性支持部21は、副流煙除去装置1に挿入される喫煙物品2の位置を決定できるという点から、物品認識部22に関連して構成可能である。前記喫煙物品2が副流煙除去装置1に挿入される時、喫煙物品2が、図1のように、弾性支持部21と結合された点火部15と接することができ、以後、喫煙物品2を追加的に挿入すれば、弾性支持部21が収縮する。本発明の一具体例によれば、前記点火部15が喫煙物品2の上流末端と最初に接する時、物品挿入部12の開口に喫煙物品2の低発火性コーティング部31が位置するように副流煙除去装置1が設計可能である。このように副流煙除去装置1を設計する場合、前記物品認識部22が認識対象になる低発火性コーティング部31の位置を明確に特定した状態で喫煙物品を認識することができ、喫煙物品2が点火部15と接した瞬間、一瞬停止できるという点から、物品認識部22の機能性を向上させることができる。本発明の一具体例によれば、前記点火部15が喫煙物品2の上流末端と最初に接する時、物品認識部22は、喫煙物品2の近接した部分を認識する。この場合、物品認識部22の駆動時点を明確に特定可能で、物品認識部22の信頼性を高めることができる。
【0080】
上述のように、前記低発火性コーティング部31は、図1図4のように、喫煙物品2の長手方向に互いに離隔して位置する第1低発火性コーティング部31Aおよび第2低発火性コーティング部31Bを含むことができ、本発明の一具体例による副流煙除去装置1は、喫煙物品2の第1低発火性コーティング部31Aおよび第2低発火性コーティング部31Bそれぞれに対応できる第1物品認識部22Aおよび第2物品認識部22Bを含む。前記第1物品認識部は、物品挿入部において喫煙物品に近接して位置し、前記第2物品認識部は、第1低発火性コーティング部と第2低発火性コーティング部とが離隔した距離だけ第1物品認識部から長手方向に離隔してハウジングの内部に位置することができる。本発明の一具体例によれば、前記副流煙除去装置において、第1物品認識部と第2物品認識部とは、長手方向に5mm~10mm離隔して位置することができる。
【0081】
本発明の一具体例によれば、前記副流煙除去装置は、喫煙物品の挿入時、喫煙物品の第1低発火性コーティング部および第2低発火性コーティング部がそれぞれ第1物品認識部および第2物品認識部により同時に認識される時、副流煙除去装置に適した喫煙物品として認識することができる。第1低発火性コーティング部31Aを認識できる第1物品認識部22Aと、第2低発火性コーティング部31Bを認識できる第2物品認識部22Bとを同時に含む場合、認識可能なパラメータを1つ以上さらに含ませることができるという点から、物品認識部22の信頼度を向上させることができる。2以上の物品認識部22を含むことにより、物品認識部22の信頼度を高めることができるため、物品認識部22の信頼度を高めるための手段としての弾性支持部21は別途に必要としない。
【0082】
本明細書では、副流煙除去装置1の物品認識部22と喫煙物品2の低発火性コーティング部31との間の位置関係に対する理解のために、喫煙物品2が挿入された副流煙除去装置1を概略的に示した図1図2および図4を提供する。前記図1は、弾性支持部21に結合された点火部15と挿入された喫煙物品2とが最初に接する時の、物品認識部22と低発火性コーティング部31との間の位置関係を示す。前記図2は、弾性支持部21が最大に収縮して喫煙物品2が最大に収縮された時の、物品認識部22と低発火性コーティング部31との間の位置関係を示す。前記図4は、第1低発火性コーティング部31Aを認識できる第1物品認識部22Aと、第2低発火性コーティング部31Bを認識できる第2物品認識部22Bとを含む副流煙除去装置において、弾性支持部21に結合された点火部15と挿入された喫煙物品2とが最初に接する時の、物品認識部22と低発火性コーティング部31との間の位置関係を示す。
【0083】
前記メッシュ網17は、副流煙処理部16とバックカバー13との間に配置されて、安全網の役割を果たすことができる。例えば、前記メッシュ網17は、喫煙空間内部の特定物体(例えば、フィルタ16Aの一部片など)がバックカバー13方向に離脱するのを防止することができる。
【0084】
前記ディスプレイ部19は、ハウジング11の外面に位置して、制御部18の制御によって各種情報をディスプレイすることができる。例えば、前記ディスプレイ部19は、喫煙進行状況に関する情報、装置情報、喫煙履歴情報、使用者情報などをディスプレイすることができる。ここで、前記喫煙進行状況に関する情報は、例えば、喫煙進行情報(例えば、喫煙進行程度、現在の喫煙位置、残留パフ回数、喫煙時間、残留喫煙時間などといった喫煙進行に関連するすべての情報)、パフ情報(例えば、パフ回数、パフ長さ、パフ間隔、パフ強度、パフ中か否かなどといったパフイベントに関連するすべての情報)などを含むことができるが、これに限定されるものではない。前記装置情報は、例えば、電源状態、故障の有無、バッテリ状態(例えば、バッテリ残量、充電の必要の有無など)などのような情報を含むことができるが、これに限定されるものではない。前記喫煙履歴情報は、累積喫煙回数などを含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0085】
前記ディスプレイ部19は、LEDディスプレイのように視覚的なディスプレイ手段を備えることにより、前記各種情報を視覚的にディスプレイすることができる。ただし、その具体的なディスプレイ手段は、いくらでも変更可能である。
【0086】
前記制御部18は、副流煙除去装置1の動作を全般的に制御することができる。例えば、前記制御部18は、排気ファン16Bの動作を制御することができ、ディスプレイ部19の動作を制御することもでき、副流煙除去装置1に含まれた他の構成要素の動作も制御可能である。また、前記制御部18は、喫煙物品2に対する喫煙進行状況を判断することができ、副流煙除去装置1の構成それぞれの状態を確認して、副流煙除去装置1が動作可能な状態か否かを判断することもできる。
【0087】
前記制御部18は、少なくとも1つのプロセッサ(processor)によって実現できる。前記プロセッサは、多数の論理ゲートのアレイで実現されてもよく、汎用的なマイクロプロセッサと該マイクロプロセッサで実行可能なプログラムが格納されたメモリとの組み合わせで実現されてもよい。また、当該技術分野における通常の技術者であれば、前記制御部18が他の形態のハードウェアで実現されてもよいことを自明に理解することができる。
【0088】
図1は、制御部18が副流煙除去装置1のハウジング11の外部に位置したように示しているが、これは理解の便宜のためのものに過ぎず、制御部18の配置位置は、いくらでも変更可能である。例えば、外部衝撃による故障を防止するために、前記制御部18は、ハウジング11内の特定位置に配置されてもよい。
【0089】
一方、本発明の一具体例では、前記副流煙除去装置1が聴覚的および/または触覚的な出力を提供するモジュールをさらに含むことができる。例えば、前記副流煙除去装置1がスピーカ、振動モジュールなどをさらに含むことができる。この場合、前記制御部18は、前記例示されたモジュールをさらに用いて各種情報を使用者に提供することができる。
【0090】
また、本発明の一具体例では、喫煙空間内に切断部がさらに配置される。前記切断部は、燃焼中の喫煙物品2を切断して追加的な燃焼を防止することにより、使用者の希望する時点で安全な消火機能を提供することができ、使用者の不注意によって発生しうる火傷の危険性(例えば、直接消火時の不注意による火傷の危険性)と火災の危険性を最小化することができる。ただし、切断部の実現方式は多様に設計可能である。
【0091】
本発明の一具体例によれば、前記切断部は、固定された位置に配置されて、挿入された喫煙物品2の特定部位を切断するように構成される。例えば、前記切断部は、フィルタ16Aと喫煙物質部との間を切断できる位置に固定的に配置される。この場合、前記喫煙物品2の現在の喫煙(燃焼)位置に関係なく安全な消火機能を保障することができ、副流煙除去装置1の構造が簡素化できる。
【0092】
本発明の一具体例によれば、前記切断部は、移動可能に構成される。例えば、前記切断部は、使用者の外力(手動操作)によって移動するように構成され、制御部18の制御によって移動するように構成されてもよい。より具体的な例として、前記切断部は、制御部18によって喫煙物品2の現在の喫煙(燃焼)位置付近に自動的に移動してもよい。
【0093】
本発明の一具体例によれば、前記切断部は、使用者がハウジング11の外面に備えられたプッシュ型ボタンを押す動作、ハウジング11をねじる動作、ハウジング11を長手方向に伸長または収縮させる動作などによって作動できる。前記切断部は、前記例示された動作によって作動するようにハウジング11と機械的に連動する構造からなり、前記例示された動作によって制御部18が切断部を作動させるように実現されてもよい。
【0094】
本発明の一具体例によれば、前記副流煙除去装置1は、副流煙除去装置1に導入された喫煙物品2が安定して支持できるように、挿入された喫煙物品2の側面を支持可能な1つ以上の支持部を含むことができる。
【0095】
以上、添付した図面を参照して本発明の具体例を説明したが、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者はその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、本発明が他の具体的な形態でも実施できることを理解するであろう。そのため、以上に記述した具体例はあらゆる面で例示的であり、限定的ではないと理解しなければならない。本発明の保護範囲は以下の特許請求の範囲によって解釈されなければならず、それと同等範囲内にあるすべての技術思想は、本発明によって定義される技術的思想の権利範囲に含まれると解釈されなければならない。
【符号の説明】
【0096】
1:副流煙除去装置
2:喫煙物品
11:ハウジング
12:物品挿入部
13:バックカバー
14:断熱部
15:点火部
16:副流煙処理部
16A:フィルタ
16B:排気ファン
17:メッシュ網
18:制御部
19:ディスプレイ部
20:温度センサ
21:弾性支持部
22:物品認識部
22A:第1物品認識部
22B:第2物品認識部
31:低発火性コーティング部
31A:第1低発火性コーティング部
31B:第2低発火性コーティング部
32:フィルタ部
33:喫煙物質部
34:フィルタ巻紙
35:巻きタバコ紙
36:チップペーパー
A:ベントホール
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】