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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-14
(54)【発明の名称】吸引力生成デバイス
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/88 20060101AFI20231207BHJP
   E02F 3/94 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
E02F3/88 A
E02F3/94 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023512781
(86)(22)【出願日】2021-10-15
(85)【翻訳文提出日】2023-04-19
(86)【国際出願番号】 NO2021050214
(87)【国際公開番号】W WO2022086338
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】20201145
(32)【優先日】2020-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523060932
【氏名又は名称】コントルヴィーエン 1 アーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ストルヴィク,ジェル
(57)【要約】
本開示は、没水表面から物質を除去するための吸引力生成デバイスであって、流体入口、吸引入口、排出出口を含む筐体であって、その中に空洞を画定する筐体を含み、流体入口は、流体の供給を空洞内に誘導し、及び流体入口から排出出口までの流路を確立するように構成可能であり、流路は、空洞を通して延在し、及び流路内の流体の流れは、吸引入口で圧力の低下を発生させて、吸引入口を通した及び流路内への流体の流れを発生させ、流体入口は、複数の入口流体ポートのアレイを含む、吸引力生成デバイスに関する。本開示は、吸引力生成デバイスのための操作装置及び没水表面から物質を除去する方法に更に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
没水表面から物質を除去するための吸引力生成デバイスであって、流体入口、吸引入口、排出出口を含む筐体を含み、及び前記筐体は、その中に空洞を画定し、前記流体入口は、流体の供給を前記空洞内に誘導し、及び前記流体入口から前記排出出口までの流路を確立するように構成可能であり、前記流路は、前記空洞を通して延在し、及び前記流路内の流体の流れは、前記吸引入口で圧力の低下を発生させて、前記吸引入口を通した及び前記流路内への流体の流れを発生させ、前記流体入口は、複数の入口流体ポートのアレイを含む、吸引力生成デバイス。
【請求項2】
前記複数の入口流体ポートの各々は、前記空洞内に流体を誘導するためのノズルを含む、請求項1に記載の吸引力生成デバイス。
【請求項3】
前記ノズルの各々は、前記空洞の内部に配置される、請求項2に記載の吸引力生成デバイス。
【請求項4】
前記入口流体ポートのアレイは、線形アレイである、請求項1~3のいずれか一項に記載の吸引力生成デバイス。
【請求項5】
前記入口流体ポートのアレイは、矩形アレイである、請求項1~4のいずれか一項に記載の吸引力生成デバイス。
【請求項6】
前記吸引入口は、細長い形状を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の吸引力生成デバイス。
【請求項7】
前記吸引入口は、矩形の形状を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の吸引力生成デバイス。
【請求項8】
前記流体入口は、前記筐体の第1の壁に配置されるか又はそれによって画定され、及び前記吸引入口は、前記筐体の第2の壁に配置されるか又はそれによって画定され、前記第1の壁は、前記第2の壁に対して直角又は斜めの角度で延在する、請求項1~7のいずれか一項に記載の吸引力生成デバイス。
【請求項9】
前記流体入口及び前記吸引入口は、前記筐体の第1の端部に配置され、及び前記排出出口は、前記筐体の第2の端部に配置される、請求項1~8のいずれか一項に記載の吸引力生成デバイス。
【請求項10】
前記第1の端部及び前記第2の端部は、前記筐体の反対側の端部である、請求項9に記載の吸引力生成デバイス。
【請求項11】
前記吸引入口は、流体の流れを前記空洞内に誘導するためのリップを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の吸引力生成デバイス。
【請求項12】
前記流体入口は、流体の供給を前記吸引入口から離れるように誘導する、請求項1~11のいずれか一項に記載の吸引力生成デバイス。
【請求項13】
操作装置への接続のための接続点を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の吸引力生成デバイス。
【請求項14】
請求項1に記載の吸引力生成デバイスのための操作装置であって、前記吸引力生成デバイスをそれに接続するための接続プロファイル、前記吸引力生成デバイスに流体を供給するための流体供給導管、没水表面に係合し、及び前記操作装置を前記没水表面に沿って推進させるための駆動機構を含み、前記吸引力生成デバイスは、前記操作装置に接続され、それにより、前記吸引入口は、前記没水表面に隣接して配置され、及び前記駆動機構が前記操作装置を前記没水表面に沿って推進させるとき、前記吸引入口を通して前記没水表面から物質を除去するように構成可能である、操作装置。
【請求項15】
前記駆動機構は、無端ベルトを含む、請求項14に記載の操作装置。
【請求項16】
前記吸引力生成デバイスの前記吸引入口は、前記没水表面と略平行であるように配置される、請求項14又は15に記載の操作装置。
【請求項17】
前記吸引入口は、前記操作装置の下側の没水表面に面する領域又はその上に配置される、請求項14~16のいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項18】
前記吸引力生成デバイスの前記流体入口を通して流体を駆動するためのポンプを含む、請求項14~17のいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項19】
前記駆動機構を駆動するためのモーターを含む、請求項14~18のいずれかに一項に記載の操作装置。
【請求項20】
遠隔操作可能である、請求項14~19のいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項21】
没水表面から物質を除去する方法であって、駆動機構を含む吸引力生成デバイスを没水表面に配置することであって、前記駆動機構は、前記没水表面に係合するように構成可能である、配置すること、前記没水表面に沿って前記吸引力生成デバイスを推進させること、前記没水表面から物質を分離及び除去するために、前記吸引力生成デバイスを介して吸引力を提供することを含む方法。
【請求項22】
前記吸引力生成デバイスを遠隔操作することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記吸引力生成デバイスに流体の流れを提供することを含む、請求項21又は22に記載に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、没水表面から物質を除去するための吸引力生成デバイス、吸引力生成デバイスのための操作装置及び没水表面から物質を除去する方法に関する。より具体的には、本開示は、請求項1、請求項14及び請求項21の導入部分で定義される、没水表面から物質を除去するための吸引力生成デバイス、吸引力生成デバイスのための操作装置及び没水表面から物質を除去する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
没水表面からの物質の回収は、多くの理由のために望まれる場合がある。例えば、海中環境等の自然環境では、ある領域で砂、シルト又は堆積物が積層することが望ましくない場合がある。他のいくつかのシナリオ、例えば環境保全に関する状況では、ウニ類又は他の水生害虫等、より大きい物質を没水表面又は位置から除去することが望ましい場合がある。
【0003】
海底開発(海底工事等)が必要である状況では、砂等の粒子状物質が大量に存在することで所望の開発の実行が一層困難になる場合がある。従って、粒子状物質を除去することが特に望ましい。
【0004】
水中の物質を除去する作業、すなわち浚渫は、任意の適当な手段によって実行され得る。例えば、浚渫の場合、粒子状物質は、開発を必要とする領域から物理的にすくい上げるか又は押し出すことができる。この種の方法では、粒子状物質のすくい上げ又は移動にクレーン及び/又は他の重機の使用が必要となる場合がある。このような方法は、対象の箇所から粒子状物質を移動させる目的を達成できるが、重機を必要とする結果、プロセスが極めて高価になる恐れがある。このような重機を高い精度で用いることは、より困難なため、対象の箇所から粒子状物質を十分に除去するまで、浚渫プロセスを複数回繰り返すことが必要になり得る。重機の使用は、周辺環境にも損傷を与え、以降の海底開発が更に困難になる恐れがあり、ユーザーが望んだとしても粒子状物質を回収できなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
別の浚渫方法は、吸引力を利用して粒子状物質を除去することである。この方法は、一般に、容器に吸引管を取り付け、粒子状物質を含む流体を容器にポンプ動作で送り、流体と物質とを別々の場所に堆積させることを伴う。この方法は、強い吸引力を必要とするために不正確であり、及び周囲環境を損傷する恐れがある。この方法は、粒子状物質の除去及び回収を可能にする一方、大量の水及び粒子状物質が発生するため、これらを廃棄しなければならない。従って、重機を必要とすることなく、水中物質をより正確に除去し、任意選択的に回収することを可能にするデバイスが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
本開示の目的は、従来技術における上述の短所及び不利益の1つ以上を軽減、緩和又は除去して、少なくとも上述の問題を解決することである。第1の態様によれば、没水表面から物質を除去するための吸引力生成デバイスであって、流体入口、吸引入口、排出出口を含む筐体であって、その中に空洞を画定する筐体を含み、流体入口は、流体の供給を空洞内に誘導し、及び流体入口から排出出口までの流路を確立するように構成可能であり、流路は、空洞を通して延在し、及び流路内の流体の流れは、吸引入口で圧力の低下を発生させて、吸引入口を通した及び流路内への流体の流れを発生させ、流体入口は、複数の入口流体ポートのアレイを含む、吸引力生成デバイスが提供される。
【0007】
第2の例によれば、複数の入口流体ポートの各々は、空洞内に流体を誘導するためのノズルを含む。
【0008】
第3の例によれば、ノズルの各々は、空洞の内部に配置される。
【0009】
第4の例によれば、入口流体ポートのアレイは、線形アレイである。
【0010】
第5の例によれば、入口流体ポートのアレイは、矩形アレイである。
【0011】
第6の例によれば、吸引入口は、細長い形状を有する。
【0012】
第7の例によれば、吸引入口は、矩形の形状を有する。
【0013】
第8の例によれば、流体入口は、筐体の第1の壁に配置されるか又はそれによって画定され、及び吸引入口は、筐体の第2の壁に配置されるか又はそれによって画定され、第1の壁は、第2の壁に対して直角又は斜めの角度で延在する。
【0014】
第9の例によれば、流体入口及び吸引入口は、筐体の第1の端部に配置され、及び排出出口は、筐体の第2の端部に配置される。
【0015】
第10の例によれば、第1の端部及び第2の端部は、筐体の反対側の端部である。
【0016】
第11の例によれば、吸引入口は、流体の流れを空洞内に誘導するためのリップを含む。
【0017】
第12の例によれば、流体入口は、流体の供給を吸引入口から離れるように誘導する。
【0018】
第13の例によれば、操作装置への接続のための接続点を含む。
【0019】
第2の態様によれば、第1の態様の吸引力生成デバイスのための操作装置であって、吸引力生成デバイスをそれに接続するための接続プロファイル、吸引力生成デバイスに流体を供給するための流体供給導管、没水表面に係合し、及び操作装置を没水表面に沿って推進させるための駆動機構を含み、吸引力生成デバイスは、操作装置に接続され、それにより、吸引入口は、没水表面に隣接して配置され、及び駆動機構が操作装置を没水表面に沿って推進させるとき、吸引入口を通して没水表面から物質を除去するように構成可能である、操作装置が提供される。
【0020】
第2の態様の第1の例によれば、駆動機構は、無端ベルトを含む。
【0021】
第2の態様の第2の例によれば、吸引力生成デバイスの吸引入口は、没水表面と略平行であるように配置される。
【0022】
第2の態様の第3の例によれば、吸引入口は、操作装置の下側の没水表面に面する領域又はその上に配置される。
【0023】
第2の態様の第4の例によれば、操作装置は、吸引力生成デバイスの流体入口を通して流体を駆動するためのポンプを含む。
【0024】
第2の態様の第5の例によれば、操作装置は、駆動機構を駆動するためのモーターを含む。
【0025】
第2の態様の第6の例によれば、操作装置は、遠隔操作可能である。
【0026】
第3の態様によれば、没水表面から物質を除去する方法であって、駆動機構を含む吸引力生成デバイスを没水表面に配置することであって、駆動機構は、没水表面に係合するように構成可能である、配置すること、没水表面に沿って吸引力生成デバイスを推進させること、没水表面から物質を分離及び除去するために、吸引力生成デバイスを介して吸引力を提供することを含む方法が提供される。
【0027】
第3の態様の第1の例によれば、方法は、吸引力生成デバイスを遠隔操作することを含む。
【0028】
第3の態様の第2の例によれば、方法は、吸引力生成デバイスに流体の流れを提供することを含む。
【0029】
本開示は、以下に述べる詳細な説明から明らかになるであろう。詳細な説明及び具体例は、本開示の好適な実施形態を例示としてのみ開示する。当業者は、詳細な説明の記述から、本開示の範囲内で変更形態及び修正形態が可能であることを理解する。
【0030】
従って、デバイス及び方法は、変更され得るため、以下に開示される本開示は、記述するデバイスの特定の要素部分又は方法のステップに限定されないことを理解されたい。本明細書における用語は、特定の実施形態のみを説明する目的で用いられ、本発明を限定しないことも理解されたい。本明細書及び添付の請求項で用いる冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その」及び「前記」は、文脈から別途明示的に示されない限り、1つ以上の要素が存在し得ることを意図することに留意されたい。従って、例えば、「ユニット」又は「そのユニット」は、いくつかのデバイス等を含み得る。更に、「含む」、「包含する」、「含有する」及び類似の語句は、他の要素又はステップを排除しない。
【0031】
図面の簡単な説明
本開示の上述の目的及び追加的な目的、特徴及び利点は、添付の図面と合わせて、以下に示す本開示の実施形態例の例示的及び非限定的な詳細な説明を参照することによってより詳細に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】吸引力生成デバイスのいくつかの透視図である。
図2】吸引力生成デバイスを示すいくつかの断面図である。
図3図1及び2の吸引力生成デバイスが組み込まれた操作装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
詳細な説明
本明細書は、没水表面から物質を除去するための改良された吸引力生成デバイス、吸引力生成デバイスのための操作装置及び没水表面から物質を除去する方法を提供する。実施形態の一例によれば、没水表面から物質を除去するための吸引力生成デバイスであって、流体入口、吸引入口、排出出口を含む筐体であって、その中に空洞を画定する筐体を含み、流体入口は、流体の供給を空洞内に誘導し、及び流体入口から排出出口までの流路を確立するように構成可能であり、流路は、空洞を通して延在し、及び流路内の流体の流れは、吸引入口で圧力の低下を発生させて、吸引入口を通した及び流路内への流体の流れを発生させ、流体入口は、複数の入口流体ポートのアレイを含む、吸引力生成デバイスが提供される。
【0034】
使用中、吸引力生成デバイスは、流体入口で流体供給に接続されている間にある程度の吸引力を提供し得る。流体入口は、流体の供給を受け、供給された流体を排出出口に誘導することにより、流体入口と排出出口との間に流路を画定するように構成可能である。流路は、吸引入口を通して吸引入口で吸引力を生成することにより、吸引入口を通して流体を流路に引き込む。複数の流体ポートのアレイを有することにより、流路内での流体の流れを均一に分散させることを支援することにより、吸引入口の領域にわたって均等に分散した吸引力を提供する。吸引力生成デバイスは、没水表面又はその上方に配置され、流体が流体入口に供給されて吸引ポートで吸引力を生成することができる。吸引入口で生成された吸引力は、次いで、没水表面から物質を除去及び分離することができる。
【0035】
図1A~1Cは、吸引力生成デバイス10の一例の各種の透視図を示す。吸引力生成デバイス10は、複数の入口流体ポート12のアレイを含む流体入口及び吸引入口14を含む。吸引入口14は、筐体16によって画定され、流体ポート12のアレイは、筐体16の表面に配置される。筐体16は、その中に空洞18を含む。ここで、筐体は、外面と内面との両方を含み、内面は、筐体16の内部に配置された空洞18の形状を画定する。ここで、入口流体ポート12のアレイは、筐体の内面に配置される。入口流体ポート12のアレイが筐体の内面に配置されることにより、例えば没水表面から除去するように吸引力生成デバイス10が設計される粒子状物質により、入口流体ポート12のいずれかが塞がれる可能性を低減し得る。入口流体ポート12が筐体の内面に配置されることにより、入口流体ポート12のいずれかが、没水表面に近接している結果として衝撃によって損傷する可能性も低減することができる。これは、没水表面が不均一及び/又は鋭利な/硬い表面を含むシナリオに特に当てはまる。
【0036】
本例では、吸引入口14は、細長い矩形の形状であり、筐体16の全長にわたって延在する。しかし、他の形状の吸引入口も可能であり、そのいくつかは、筐体16の全長にわたって延在しない場合もあることを理解されたい。例えば、吸引入口14は、細長い楕円形状であり得る。別の例では、吸引入口14は、筐体内の1つの連続した開口ではなく、不連続であり得る(例えば、複数の開口から形成される)。そのような複数の開口は、矩形、多角形又は円形/楕円形等、任意の所望の形状であり得る。
【0037】
吸引入口14は、本例では、筐体16の外面から突出するリップ28を追加的に含む。リップは、没水表面に配置された粒子状物質をかき混ぜるか又は分離することを支援し得るため、吸引力生成デバイス10が粒子状物質を表面から除去する能力を高めることができる。また、リップ28は、吸引力生成デバイス10の外の場所から流体を誘導する効果をもたらし得るため、表面から粒子状物質を除去するための吸引力生成デバイス10の能力を更に高めることができる。
【0038】
図1Aに明らかに示すように、空洞18の内部に複数の流体入口ポート12が配置され、その各々は、本例では、ノズルを含む。ノズルは、複数の入口ポート12の各々が流体の流れを空洞内に誘導できるようにして、各ノズルが噴射ノズルとして機能できるようにする。ノズルは、各々からの流体の流れが平行に誘導されるように入口ポート12の各々に配置される。各々が流体の平行な流れを誘導する複数の入口ポート12を有することで、吸引入口14における圧力低下を緩和することにより、ノズルの噴射効果を高めることができる。更に、複数の平行に方向付けられたノズルを有することは、シナジー効果をもたらし得るため、流体源をより効率的に用いて、吸引入口14における圧力を低下させることができる。
【0039】
図1Aの入口ポート12の各々は、等間隔に配置され、吸引入口14全体にわたって圧力を均一に低下させ得る。しかし、いくつかの例では、入口ポート12は、グループ化された配置(例えば、2、3、4つ又はそれを超えるポート12の等間隔に離間されたグループ)を有し得、吸引入口14が複数のポートから構成される場合、より望ましい圧力プロファイルが得られる。
【0040】
図1Aに示す入口ポート12は、線形アレイとして描かれており、これは、吸引入口14全体にわたって均一な圧力プロファイル(例えば、圧力の低下)を提供することを支援し得る。しかし、別の例では、入口ポート12は、矩形アレイの形式であり得、例えば図示する列に隣接して入口ポート12の第2の列が配置されて、入口ポート12の矩形アレイを形成することができる。いくつかの例では、入口ポート12の矩形アレイは、3つ以上の列を含み得る。入口ポートの矩形アレイを有することは、吸引入口14で生成され得る吸引力のレベルを高めることができ、更に吸引力生成デバイス10が個々の入口ポート12の閉塞に起因して動作不能になるリスクを低減することができる。
【0041】
入口ポート12に流体を流入させるために、吸引力生成デバイス10は、入口流コネクタ20を含む。いくつかの例では、入口流コネクタ20は、吸引力生成デバイス10の一部を形成すると考えられる。入口流コネクタ20は、流体を供給源から流体入口ポート12に誘導することを支援し得る。入口流コネクタ20は、各々の入口ポート12間で流れが均等に分散されるように、入口ポート12への流体の流れの誘導を支援し得る。入口流コネクタ20の少なくとも一部は、導管の形式であり得る。いくつかの例では、入口流コネクタ20は、一端で円形の断面を有し、他端で矩形の断面に遷移し得る。他の例では、入口流コネクタ20は、均一な円形断面を有し得る。本例では、入口流コネクタ20は、筐体16に結合される。いくつかの例では、入口流コネクタ20は、筐体16の1つ以上の表面(例えば、外面)に結合される。図1A~1Cに示す例では、入口流コネクタ20は、入口流コネクタ20を流体源に接続可能にする導管接続点22を含む。導管接続点22は、吸引力生成デバイス10の近位端24に又はそれに向かって配置されると考えられるのに対して、入口ポート12は、吸引力生成デバイス10の遠位端に向かって配置されると考えられる。本例では、入口流コネクタ20は、近位端26から遠位端まで延在して、遠位端で吸引力生成デバイス10に接続する。いくつかの例では、入口流コネクタ20は、流体ポート12が配置される吸引力生成デバイス10の外面に接続することができる。入口流コネクタ20は、吸引力生成デバイス10をより安定させるために、任意選択的に筐体16の更なる外面に接続することができる。
【0042】
吸引力生成デバイス10の近位端に排出出口34が配置される。筐体16内では、流体入口ポート12と排出出口34との間に流路が画定される。使用時、流体は、流体入口ポート12及び吸引入口14から排出出口34の方向において流路に流入し得る。排出出口34は、筐体の壁によって画定される開口部を含む。いくつかの例では、排出出口34は、筐体16内に1つの開口部を含み得る一方、他の例では、排出出口は、複数の排出出口を含み得る。排出出口34は、粒子状物質を含有する、空洞18内の流路を通して流れた流体が吸引力生成デバイス10から流出できるようにする。いくつかの例では、流体は、単に吸引力生成デバイス10から流出し、その直後に堆積し得る。他の例では、接続導管等の接続機構が排出出口34に接続され得、排出出口から排出された流体は、例えば、沖合の容器にあり得る所望の場所に誘導され得る。排出出口の大きさは、回収される所望の物質の大きさに応じて異なり得る。例えば、回収される粒子状物質が砂などの粒状である場合、排出出口34は、他の状況、例えば回収される物質がウニ類又は他の海洋害虫である場合ほど広くなくてよい。
【0043】
吸引力生成デバイス10の遠位端26の内部の更なる詳細を図2A~2Cに示す。ここで、吸引力生成デバイス10の内部を更に詳細に示すことできるように、断面図を提供する。本例では、入口流コネクタ20は、均一な円形断面を含み、導管の断面の形式であると考えられる。入口流コネクタ20は、筐体16の外面(使用時には上部外面)への連結部30を含み、使用時に入口流コネクタ20を所望の位置に保持することを支援し得る。取入口マニホルド32が流体入口に配置され、筐体16によって画定される。本例では、取入口マニホルド32は、入口流コネクタ20と取入口マニホルド32との間の流体連通を可能にするために、入口流コネクタ20と係合するように構成される。動作中、取入口マニホルドは、入口流コネクタ20から流体の流れを受け入れ、流体の流れを入口流体ポート12に誘導する。いくつかの他の例では、入口流コネクタ20は、入口流体ポート12に直接接続され得るか、又は流体の流れを入口流体ポート12に分散するマニホルドをそれ自体含み得る。これらの例では、マニホルドは、吸引力生成デバイス10自体の筐体16に配置されなくてもよく、入口流コネクタ20に配置され得る。
【0044】
図2A~2Cの断面図の例では、空洞18の更なる詳細を視認することができる。視認できるように、空洞18の高さ及び断面積は、空洞の遠位端26から近位端24に向かって増大する。空洞18は、従って、流体が空洞の遠位端26から近位端24に移動するにつれて(流体が各流体入口ポート12のノズルによって遠位端から近位端に誘導されるにつれて)、流体の流れの圧力を増大させ、及び速度を低下させる形状であり得る。このように、空洞18の幾何学的形状は、吸引力生成デバイス10が操作されるつれて、吸引入口14における吸引力の効果を最大化させることを支援し得る。
【0045】
図2Cに最も分かり易く示すように、流体入口12は、デバイス10の遠位端26に配置された流体入口12から、デバイス10の近位端24に配置された排出出口34に向けて流体を誘導するように構成される。吸引入口14は、デバイス10の下面に配置され、すなわち本例では流体入口12が配置される表面に対して斜めに(例えば、90度~180度の角度で)配置される。各々の流体入口ポートに設けられたノズルは、流体の流れを吸引入口14から離れて空洞18内に誘導するように構成される。このように、ノズルから流れる流体は、斜めの角度で吸引入口14を通過して、吸引入口14から流出する流体入口12からの流体の流れを阻止又は制限しながら、吸引入口14で圧力を低下させることを支援する。
【0046】
実施形態の一例によれば、吸引力生成デバイスをそれに接続するための接続プロファイルと、吸引力生成デバイスに流体を供給するための流体供給導管と、没水表面に係合し、及び没水表面に沿って操作装置を推進させるための駆動機構とを含む、第1の態様の吸引力生成デバイスのための操作装置であって、吸引力生成デバイスは、吸引入口が没水表面に隣接して配置されるように操作装置に接続され、駆動機構が没水表面に沿って操作装置を推進させるにつれて、吸引入口を通して没水表面から物質を除去するように構成可能である、操作装置が提供される。
【0047】
図3は、吸引力生成デバイス110のための操作装置140の一例を示す。本例に関して記述するいくつかの特徴は、図1A~1C及び図2A~2Cの例に関して記述した特徴と同様である。このように、類似の特徴は、100ずつ増分させた類似参照番号を付与される。
【0048】
本例によれば、操作装置140は、ロボットデバイスの形式である。操作装置140は、駆動手段を含み、本例では無端ベルト144を駆動する駆動機構を伴うモーター142の形式である。駆動機構は、複数のローラー146を含み、操作装置140を没水表面に沿って推進するためにモーター142によって無端ベルト144が駆動されるときにそれを支持し得る。いくつかの例では、操作装置140は、例えば、無端ベルト144の各々が平行に延在するように(例えば、各無端ベルトが他の無端ベルトと平行に配置されるように)配置され得る無端ベルト144及び複数のローラー146の複数の組を含み得る。
【0049】
ローラー146は、それ自体駆動能力を有しない代わりに、モーター142によって駆動される無端ベルト144との接触によって移動する点において、簡単なローラーであり得る。他のいくつかの例では、ローラー146は、追加的な駆動能力又は制動能力を有し得る。図3に示すように、ローラーは、各々のローラーの外周が動作中に水平方向を向く平面であり得る略同一平面上に整列する。このように、駆動無端ベルト144がローラー146に接触した場合、ローラー146の最初のものと最後のものとの間(例えば、最初のローラーが図3の左端に、最後のローラーが図3の右端に配置され得る)だけでなく、各ローラー間にも平坦な面(例えば、平坦な水平面)が形成される。
【0050】
表面での把持性を向上させるために、無端ベルト144は、例えば、地面又は海底等の没水表面との接触を意図した表面のトレッドを含み得る。表面は、無端ベルト144の外面であると考えられる。
【0051】
ここで、モーター142、ローラー146及び無端ベルト144は、フレーム148によって支持される。フレームは、保護筐体150を更に支持する。保護筐体150は、装置140若しくはモーター142、フレーム又は無端ベルト144等の部品上に落下する恐れのある水中の異物から装置140を保護及び/又は遮蔽するように機能し得る。保護筐体150は、装置140の上部を覆うように配置され得る。装置140の下部であり得る部分は、保護筐体150で覆われないため、ローラー146又は少なくともその一部及び無端ベルト144の少なくとも一部は、筐体から延在して没水表面と接触し得る。
【0052】
操作装置140が使用時の向きにある状態で、ローラー146の各々は、無端ベルト144がローラー146の各々と没水表面との間で係合するように整列する。モーター142は、操作装置140がローラー146によって没水表面上で支持された状態で無端ベルト144に係合し、無端ベルト144を駆動して、操作装置140を没水表面に沿って推進するように構成可能である。無端ベルトを有することにより、操作装置140を、凹凸のある表面、不安定な表面、砂地又はシルト質の表面等、極めて広範な種類の表面上で推進可能にすることができる。
【0053】
上述の図に関して説明したように、吸引力生成デバイス110は、操作装置140に結合される。操作装置140の使用を意図した向きにおいて及び図3に示すように、吸引力生成デバイス110の吸引入口114は、吸引入口114の領域が、装置140が動作中に没水表面に(例えば、平行に又は90度未満の角度で)隣接するように構成されるように配置される。吸引入口114は、操作装置のいずれの部分も吸引入口114と没水表面との間に配置されないように配置され得る。例えば、吸引入口114は、無端ベルト144の位置調整が吸引力生成装置110の動作に干渉しないか又は干渉が最小限であるよう、に無端ベルト144からずれる(例えば、横方向にずれる)ように配置され得るか、又は吸引入口114は、吸引入口114が筐体150から突出し得ることにより、装置140がより効果的に吸引力を提供できるように、保護筐体150で覆われない装置140の部分(例えば、下部)に配置され得る。
【0054】
図示しないが、装置140は、排出出口134から生成される流体及びその流体に含まれ得るいかなる固体(例えば、粒子状物質)も回収する回収管又は容器を含み得る。図示しないが、装置140は、吸引力生成デバイス110が上述の図で説明したように機能し得るように、接続点122に取り付けられた水(例えば、海水、淡水等)の供給源等の流体供給源も含み得る。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3
【手続補正書】
【提出日】2022-08-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
没水表面から物質を除去するための吸引力生成デバイス(10)であって、
- 複数の流体入口ポート(12)のアレイ、吸引入口(14)、排出出口(34)を含む筐体(16)、
- 前記筐体が、その中に空洞(18)の形状を画定する内面を有すること、
- 前記複数の流体入口ポート(12)が前記筐体の前記内面に配置され、及び流体の供給を前記空洞(18)内に誘導すると共に、前記流体入口ポート(12)から前記排出出口(34)までの流路を確立するように構成可能であること、
- 前記流路が前記空洞(18)を通して延在し、及び前記流路内の流体の流れが前記吸引入口で圧力の低下を発生させて、前記吸引入口を通した及び前記流路内への流体の流れを発生させること
によって特徴付けられる吸引力生成デバイス(10)。
【請求項2】
前記複数の入口流体ポート(12)の各々は、前記空洞(18)内に流体を誘導するためのノズルを含む、請求項1に記載の吸引力生成デバイス。
【請求項3】
前記入口流体ポートのアレイは、線形アレイである、請求項1又は2に記載の吸引力生成デバイス。
【請求項4】
前記入口流体ポートのアレイは、矩形アレイである、請求項1~3のいずれか一項に記載の吸引力生成デバイス。
【請求項5】
前記吸引入口は、細長い形状を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の吸引力生成デバイス。
【請求項6】
前記吸引入口は、矩形の形状を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の吸引力生成デバイス。
【請求項7】
前記流体入口ポート(12)は、前記筐体の第1の壁に配置されるか又はそれによって画定され、及び前記吸引入口(14)は、前記筐体の第2の壁に配置されるか又はそれによって画定され、前記第1の壁は、前記第2の壁に対して直角又は斜めの角度で延在する、請求項1~6のいずれか一項に記載の吸引力生成デバイス。
【請求項8】
前記流体入口及び前記吸引入口は、前記筐体の第1の端部に配置され、及び前記排出出口は、前記筐体の第2の端部に配置される、請求項1~7のいずれか一項に記載の吸引力生成デバイス。
【請求項9】
前記第1の端部及び前記第2の端部は、前記筐体の反対側の端部である、請求項8に記載の吸引力生成デバイス。
【請求項10】
前記吸引入口は、流体の流れを前記空洞内に誘導するためのリップを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の吸引力生成デバイス。
【請求項11】
前記流体入口は、流体の供給を前記吸引入口から離れるように誘導する、請求項1~10のいずれか一項に記載の吸引力生成デバイス。
【請求項12】
操作装置への接続のための接続点を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の吸引力生成デバイス。
【請求項13】
請求項1に記載の吸引力生成デバイス(10;110)を含む操作装置(140)であって、
- 前記吸引力生成デバイスをそれに接続するための接続プロファイル、
- 前記吸引力生成デバイスに流体を供給するための流体供給導管、
- 没水表面に係合し、及び前記操作装置を前記没水表面に沿って推進させるための駆動機構(142、144;146)
を更に含み、
- 前記吸引力生成デバイスは、前記操作装置に接続され、それにより、前記吸引入口は、前記没水表面に隣接して配置され、及び前記駆動機構が前記操作装置を前記没水表面に沿って推進させるとき、前記吸引入口を通して前記没水表面から物質を除去するように構成可能である、操作装置(140)。
【請求項14】
前記駆動機構は、無端ベルト(144)を含む、請求項13に記載の操作装置。
【請求項15】
前記吸引力生成デバイスの前記吸引入口(114)は、前記没水表面と略平行であるように配置される、請求項13又は14に記載の操作装置。
【請求項16】
前記吸引入口は、前記操作装置の下側の没水表面に面する領域又はその上に配置される、請求項13~15のいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項17】
前記吸引力生成デバイスの前記流体入口を通して流体を駆動するためのポンプを含む、請求項13~16のいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項18】
前記駆動機構を駆動するためのモーターを含む、請求項13~17のいずれかに一項に記載の操作装置。
【請求項19】
遠隔操作可能である、請求項13~18のいずれか一項に記載の操作装置。
【国際調査報告】