IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシーの特許一覧 ▶ ダウ コーニング コーポレーションの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-14
(54)【発明の名称】農業製品用泡制御剤
(51)【国際特許分類】
   C09K 23/38 20220101AFI20231207BHJP
   B01D 19/04 20060101ALI20231207BHJP
   C05G 5/20 20200101ALI20231207BHJP
   A01N 25/00 20060101ALI20231207BHJP
   A01N 57/20 20060101ALI20231207BHJP
   A01P 13/00 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
C09K23/38
B01D19/04 B
C05G5/20
A01N25/00 101
A01N57/20 G
A01P13/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524704
(86)(22)【出願日】2021-10-21
(85)【翻訳文提出日】2023-06-07
(86)【国際出願番号】 US2021055936
(87)【国際公開番号】W WO2022093609
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】63/105,389
(32)【優先日】2020-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ロゴウ、ティモシー エイ.
(72)【発明者】
【氏名】チェン、シュエ
(72)【発明者】
【氏名】モーテン、ハシーブ
【テーマコード(参考)】
4D011
4D077
4H011
4H061
【Fターム(参考)】
4D011CB01
4D011CB02
4D011CB05
4D011CB06
4D011CB08
4D011CC01
4D011CC04
4D077AA10
4D077AB17
4D077AB20
4D077AC10
4D077BA03
4D077DC02X
4D077DC12X
4H011AB01
4H011BB17
4H011BC03
4H011BC16
4H011DA13
4H011DG09
4H061AA01
4H061AA10
4H061CC11
4H061EE24
4H061FF01
4H061GG41
4H061GG57
4H061HH50
(57)【要約】
泡制御剤、及び泡制御剤を使用して、農業製品のための泡を制御する方法に関し、泡制御剤は、少なくとも分岐アルコールを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
農業製品に好適な泡制御剤であって、以下の構造を有する分岐アルコールを含み、
【化1】

式中、xは2~8の整数であり、Rは1~8個の炭素原子を有するアルキル基である、泡制御剤。
【請求項2】
前記分岐アルコールの濃度は、前記泡制御剤の0.01~100重量%の範囲である、請求項1に記載の泡制御剤。
【請求項3】
前記分岐アルコールがゲルベアルコールである、請求項1に記載の泡制御剤。
【請求項4】
前記泡制御剤は、2-アルキル置換アルコールである、請求項1に記載の泡制御剤。
【請求項5】
泡制御剤の使用による農業製品のための泡を制御する方法であって、前記泡制御剤は、以下の構造を有する少なくとも分岐アルコールを含み、
【化2】

式中、xは2~8の整数であり、Rは1~8個の炭素原子を有するアルキル基である、方法。
【請求項6】
少なくとも1つの他の泡制御剤又は疎水性材料が添加される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記シリコーンも添加される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、農業製品に使用される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記農業製品が、液体肥料、微量栄養素又は殺虫剤である、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、泡制御剤、及び農業製品の泡を制御する方法に関し、泡制御剤は、分岐アルコールを少なくとも含む。
【0002】
序論
殺虫剤、除草剤、微量栄養素、及び殺菌剤などの農業製品は、一般に液体形態で見出される。これらの製品が液体として製造され、包装され、使用され、又は適用されるかどうかにかかわらず、泡の形成は一般的な問題である。これは、農業用液体が、通常、界面活性剤、分散剤、レオロジー調整剤、及び空気/水界面を安定化する固体などの成分を含有するためである。この空気/水界面の安定化は、泡の形成をもたらし得る。
【0003】
泡の形成は、液体農業製品の生産、包装、輸送、及び適用における課題を提示する。意図しない作業者及び環境への曝露、包装を充填することができないこと、液体を圧送することができないこと、及び不均一な適用率は、泡の存在が提示し得る課題の例である。
【0004】
これらの全ての理由などにより、泡制御剤及び農業製品の泡を制御する方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
実施形態は、泡制御剤、及び農業製品のための泡を制御する方法に関し、泡制御剤は、少なくとも分岐アルコールを含む。この有機脱泡剤はまた、シリコーン脱泡剤の性能を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示は、農業製品のための泡制御剤に関する。本開示は、予想外に、分岐アルコールが優れた泡制御性能を有することがどのように示されたかを詳述する。分岐アルコールは、2-アルキル-1-アルカノール(ゲルベアルコールとしても知られる)、好ましくは2-エチルヘキサノール(2-EH)及び2-プロピルヘプタノール(2-PH)であってもよい。これらのアルコールは、対応するアルデヒドのアルドール縮合を介して、又は第一級直鎖アルコールのゲルベ反応から合成することができる。他の製造方法も利用することができる。
【0007】
本発明において、C8~C12β-分岐アルコール(C 9~C12ゲルベアルコール)は、農業製品の様々な段階の間に泡を減少させるのに驚くほど有効であることが見出された。分岐アルコールの別の利点は、それらの非常に良好な生分解性である。
【0008】
現在開示されている消泡剤の一般構造は、以下の通りである。
【0009】
【化1】
【0010】
式中、xは2~8の整数であり、Rは1~8個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0011】
泡制御剤はまた、C8~C12の2-アルキル置換アルコールを含むものとして記載されてもよい。アルコールは、主に1つの異性体(>95重量%)であるか、又はアルデヒドの混合物のアルドール縮合によって生成され得るか、もしくはゲルベ反応を介してアルコールの混合物から生成され得るアルコールの混合物であり得る。
【0012】
2-エチルヘキサノール、2-ブチル-1-オクタノール、及び2-プロピルヘプタノールを含むC8~C32ゲルベアルコール、ならびにブチルアルデヒド及びバレルアルデヒドのアルドール縮合から生成されるC8、C9、及びC10アルコールの混合物が、いくつかの実施形態において好ましい。
【0013】
配合された泡制御剤中のゲルベアルコールの濃度は、消泡剤又は脱泡剤として使用される場合、0.01%~100%の範囲、好ましくは30%~100%の範囲である。ゲルベアルコールは、固体又は液体の形態であることができ、液体が好ましい。固体である場合、材料は、溶媒中に溶解又は分散され得る。当該泡制御剤は、水溶液又は有機溶媒ベースの溶液であり得る。
【0014】
他の泡制御剤(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシドから構成されるコポリマー、ランダム又はブロック)又はワックス、油又はシリカなどの他の疎水性材料も、分岐ゲルベアルコール(複数可)と共に添加されてもよい。シリコーン脱泡剤は、2-アルキルアルコールと共に使用することができる。界面活性剤、特にアルコールのアルコキシレートも使用することができる。泡制御剤としての分岐アルコールの使用は、水系又は油系であり得る。
【0015】
現在開示されている新しい泡制御剤は、固体又は液体の形態であり得る。固体である場合、材料は、泡制御剤として使用する前に溶媒中に溶解又は分散され得る。現在開示されている薬剤は、全ての一般的に使用される農業製品の存在下で作用すると考えられる。
【0016】
化学剤は、消泡剤配合物又は脱泡剤配合物の両方で使用することができる。消泡剤配合物は、泡の形成を回避する気泡のガス-液体界面におけるポリグリコール、エステル、シリコーン、溶媒、水、及び他の化学物質の混合物によって得られる。ブロックコポリマー系の他の両親媒性化学物質も同様に使用することができる。脱泡配合物では、上記の生成物に加えて、植物油、鉱油、ワックス、及び他の油性剤を使用することができる。
【0017】
泡制御剤に含有される任意の界面活性剤又は乳化剤は、原料上の泡制御剤の相溶性を改善する、又は分岐アルコールの組成物でエマルジョンを形成するのに適するように選択される。任意の界面活性剤又は乳化剤は、分岐アルコールの組成物の0.1~30重量%の範囲の量を有する。
【0018】
任意の界面活性剤又は乳化剤は、アニオン性、カチオン性、又は非イオン性であってもよい。好適なアニオン性界面活性剤又は乳化剤の例は、アルカリ金属、アンモニウム及びアミン石鹸である。このような石鹸の脂肪酸部分は、好ましくは少なくとも10個の炭素原子を含む。石鹸は「その場で」形成することもできる。言い換えれば、脂肪酸を油相に添加し、アルカリ性材料を水相に添加してもよい。
【0019】
好適なアニオン性界面活性剤又は乳化剤の他の例は、アルキル-アリールスルホン酸のアルカリ金属塩、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、硫酸化又はスルホン化油、例えば、硫酸化ヒマシ油、スルホン化獣脂、及び短鎖石油スルホン酸のアルカリ塩である。
【0020】
好適なカチオン性界面活性剤又は乳化剤は、オレイルアミドアセテート、セチルアミンアセテート、乳酸ジドデシルアミン、アミノエチル-アミノエチルステアラミドのアセテート、ジラウロイルトリエチレンテトラミンジアセテート、1-アミノエチル-2-ヘプタデセニルイミダゾリンアセテートなどの長鎖第一級、第二級、又は第三級アミンの塩;ならびに臭化セチルピリジニウム、ヘキサデシルエチルモルホリニウムクロリド、及びジエチルジドデシルアンモニウムクロリドなどの第四級塩である。
【0021】
好適な非イオン性界面活性剤又は乳化剤の例は、高級脂肪アルコールとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えばオレイルアルコールと10個のエチレンオキシド単位との反応生成物である。アルキルフェノールとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えばイソオクチルフェノールと12個のエチレンオキシド単位との反応生成物。高級脂肪酸アミドと5個以上のエチレンオキシド単位との縮合生成物;モノパルミチン酸テトラエチレングリコール、モノラウリン酸ヘキサエチレングリコール、モノステアリン酸ノナエチレングリコール、ジオレイン酸ノナエチレングリコール、モノアラキジン酸トリデカエチレングリコール、モノベヘン酸トリコサエチレングリコール、ジベヘン酸トリコサエチレングリコール等の長鎖脂肪酸のポリエチレングリコールエステル類、トリステアリン酸ソルビタン等の多価アルコール部分高級脂肪酸エステル類、多価アルコール部分高級脂肪酸エステル類とそれらの分子内無水物(マンニトール無水物、マンニタンと呼ばれるもの、ソルビトール無水物、ソルビタンと呼ばれるもの)とのエチレンオキサイド縮合生成物、例えば、モノパルミチン酸グリセロールに10分子のエチレンオキサイドを反応させたもの、モノオレイン酸ペンタエリスリトールに12分子のエチレンオキサイドを反応させたもの、モノステアリン酸ソルビタンに10~15分子のエチレンオキサイドを反応させたもの、モノパルミチン酸マンニタンに10~15分子のエチレンオキサイドを反応させたもの等。メトキシポリエチレングリコール550モノステアレート(550はポリグリコールエーテルの平均分子量を意味する)などの、1つのヒドロキシル基が高級脂肪酸でエステル化され、他のヒドロキシル基が低分子量アルコールでエーテル化されている長鎖ポリグリコール。これらの界面活性剤の内の2つ以上の混合物を使用してよい。例えば、陽イオン界面活性剤を非イオン界面活性剤と混合してもよく、陰イオン界面活性剤を非イオン界面活性剤と混合してもよい。
【0022】
泡制御剤は、1つ以上の添加剤を更に含んでもよい。添加剤の例としては、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー、ブチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー、エチレンオキシド/ブチレンオキシドブロックコポリマー、ワックス、又はシリコーンベースの物質が挙げられる。界面活性剤が製品中で発泡を引き起こす他の農業用途では、C32までの高級2-アルキル置換アルコールを使用することができる。
【0023】
ゲルベアルコール又はその配合物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、分散液、又は乾燥製品として存在してもよい。記載される泡制御剤(ゲルベアルコールを含有する)は、肥料、微量栄養素又は殺虫剤などの農業用途において利用され得るが、これらに限定されない。この薬剤が利用され得る配合物の型としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:懸濁液濃縮物(SC)、エマルジョン濃縮物(EC)、カプセル懸濁液(CS)、マイクロエマルジョン(ME)、エマルジョン:水中油型(EW)、サスポエマルジョン(SE)、可溶性濃縮物(SL)、水分散性顆粒(WG)、水溶性粉末(SP)、水和剤(WP)、及び油分散液(OD)。
【実施例
【0024】
本開示の泡制御剤などの有効性を試験するための実験は、以下のように行うことができる。
【0025】
材料
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
注:プロピレングリコール中の希釈は、適切な重量のプロピレングリコール及びACP-1400を秤量して50グラムのバッチを4オンスのガラスジャーに入れることによって完了した。ジャーに蓋をし、手で30秒間激しく振盪して混合した。
【0029】
試験方法
上記に列挙した様々な実施例について振盪試験を行った。当該試験に利用した装置は、8 oz(240mL)のフレンチスクエアボトルを収容するのに適したクランプを備えたBurrell WRIST-ACTION Model AAシェーカーであった (Burrell Corp., Pittsburgh, PA, Cat.No. 75-755-04)。シェーカーアームは、5-1/4+/-1/16インチ(13.34+/-0.16cm)であった。改変された方法は、9インチ+/-1.4インチの大きさのシェーカーアームを使用し得る。この長さは、シェーカーシャフトの中心からボトルの中心までの測定値である。より長いシャフト長さは、より多くの泡を生成する傾向があり、したがって、より困難な試験であることに留意されたい。アームは、ボトルを垂直位置に保持するために、静止位置において水平であるべきである。振盪弧は約16度、周波数は約350ストローク/分であるべきである。
【0030】
比較例1~2及び実施例1~3について、振盪試験を行い、ここで、振盪アームをシェーカーシャフトの中心からボトルの中心まで測定した9インチの半径で固定した。アームは静止位置では水平であり、ボトルを垂直位置に保持した。揺動弧は約16度であり、周波数は約350ストローク/分であった。
【0031】
各配合物を、8、32、48及び96秒の連続期間からなる4サイクル振盪した。各持続時間について、泡が崩壊するのに要した時間及び泡が破壊するのに要した時間を記録した。崩壊は、振盪を停止したときに所与の試験液体の表面の大部分にわたって泡が0.5cm未満に落ちる時間として定義される。泡が破壊されるまでの時間は、振盪を停止した後に泡を通して試験液体の表面上に透明な表面が現れるまでの時間として定義した。
【0032】
比較例3~4及び実施例4~7も、振盪試験を使用して試験した。この試験のために、シェーカーアームはシェーカーシャフトの中心からボトルの中心まで測定される約5インチであった。アームは静止位置では水平であり、ボトルを垂直位置に保持した。揺動弧は約16度であり、周波数は約350ストローク/分であった。各配合物を30秒間振盪した。振盪を停止した後、泡が崩壊する時間を記録した。各配合物を14サイクルの振盪及び泡崩壊に供した。サンプルが300秒未満で崩壊しなかった場合、試験を中止した。泡の崩壊は、泡の高さが表面の大部分にわたって0.5cm未満に落ちることとして定義された。
【0033】
結果
泡制御剤の泡制御性能を以下の表3~5に示す。
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
【表5】
【0037】
表3~5に示すように、実施例1(2-プロピルヘプタノール)は、驚くべきことに、農業用配合物中の唯一の脱泡剤として有効な泡制御を提供する。実施例2及び3はまた、シリコーン化合物添加剤と組み合わせた2-プロピルヘプタノールの驚くべき相乗的性能を示し、これは、長期せん断条件に対する崩壊時間を改善することができ、農業用配合物における泡破壊性能を改善するのに特に有効である。
【0038】
実施例4は、2-プロピルヘプタノールが、農業用途に一般的な界面活性剤系である非イオン性界面活性剤溶液中の唯一の脱泡剤として泡制御を提供することを示す。実施例5は、2-エチルヘキサノールも、農業用途に一般的な界面活性剤系である非イオン性界面活性剤溶液中の唯一の脱泡剤として泡制御を提供することを示している。実施例6は、シリコーン化合物添加剤と組み合わせた2-プロピルヘプタノールが、農業用途に一般的な界面活性剤系である非イオン性界面活性剤溶液における泡制御性能を改善することができることを示す。実施例7は、シリコーン化合物添加剤と組み合わせた2-エチルヘキサノールが、農業用途に一般的な界面活性剤系である非イオン性界面活性剤溶液における泡制御性能を改善することができることを示す。これらは全て驚くべき有用な結果であり、試験した比較例よりも明らかに優れた性能を示している。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
泡制御剤の使用による農産製品のための泡を制御する方法であって、前記泡制御剤は、以下の構造を有する分岐アルコールを少なくとも含み、
【化1】

式中、xは2~8の整数であり、Rは1~8個の炭素原子を有するアルキル基であり、前記アルコールは8~12個の炭素原子を有する、方法。
【請求項2】
少なくとも1つの他の泡制御剤又は疎水性材料が添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シリコーンも添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、農産製品に使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記農産製品が、液体肥料、微量栄養素又は殺虫剤である、請求項4に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、泡制御剤、及び農業製品の泡を制御する方法に関し、泡制御剤は、分岐アルコールを少なくとも含む。
【0002】
序論
殺虫剤、除草剤、微量栄養素、及び殺菌剤などの農業製品は、一般に液体形態で見出される。これらの製品が液体として製造され、包装され、使用され、又は適用されるかどうかにかかわらず、泡の形成は一般的な問題である。これは、農業用液体が、通常、界面活性剤、分散剤、レオロジー調整剤、及び空気/水界面を安定化する固体などの成分を含有するためである。この空気/水界面の安定化は、泡の形成をもたらし得る。
【0003】
泡の形成は、液体農業製品の生産、包装、輸送、及び適用における課題を提示する。意図しない作業者及び環境への曝露、包装を充填することができないこと、液体を圧送することができないこと、及び不均一な適用率は、泡の存在が提示し得る課題の例である。
【0004】
これらの全ての理由などにより、泡制御剤及び農業製品の泡を制御する方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
実施形態は、泡制御剤、及び農業製品のための泡を制御する方法に関し、泡制御剤は、少なくとも分岐アルコールを含む。この有機脱泡剤はまた、シリコーン脱泡剤の性能を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示は、農業製品のための泡制御剤に関する。本開示は、予想外に、分岐アルコールが優れた泡制御性能を有することがどのように示されたかを詳述する。分岐アルコールは、2-アルキル-1-アルカノール(ゲルベアルコールとしても知られる)、好ましくは2-エチルヘキサノール(2-EH)及び2-プロピルヘプタノール(2-PH)であってもよい。これらのアルコールは、対応するアルデヒドのアルドール縮合を介して、又は第一級直鎖アルコールのゲルベ反応から合成することができる。他の製造方法も利用することができる。
【0007】
本発明において、C8~C12β-分岐アルコール(C 9~C12ゲルベアルコール)は、農業製品の様々な段階の間に泡を減少させるのに驚くほど有効であることが見出された。分岐アルコールの別の利点は、それらの非常に良好な生分解性である。
【0008】
現在開示されている消泡剤の一般構造は、以下の通りである。
【0009】
【化1】
【0010】
式中、xは2~8の整数であり、Rは1~8個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0011】
泡制御剤はまた、C8~C12の2-アルキル置換アルコールを含むものとして記載されてもよい。アルコールは、主に1つの異性体(>95重量%)であるか、又はアルデヒドの混合物のアルドール縮合によって生成され得るか、もしくはゲルベ反応を介してアルコールの混合物から生成され得るアルコールの混合物であり得る。
【0012】
2-エチルヘキサノール、2-ブチル-1-オクタノール、及び2-プロピルヘプタノールを含むC8~C32ゲルベアルコール、ならびにブチルアルデヒド及びバレルアルデヒドのアルドール縮合から生成されるC8、C9、及びC10アルコールの混合物が、いくつかの実施形態において好ましい。
【0013】
配合された泡制御剤中のゲルベアルコールの濃度は、消泡剤又は脱泡剤として使用される場合、0.01%~100%の範囲、好ましくは30%~100%の範囲である。ゲルベアルコールは、固体又は液体の形態であることができ、液体が好ましい。固体である場合、材料は、溶媒中に溶解又は分散され得る。当該泡制御剤は、水溶液又は有機溶媒ベースの溶液であり得る。
【0014】
他の泡制御剤(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシドから構成されるコポリマー、ランダム又はブロック)又はワックス、油又はシリカなどの他の疎水性材料も、分岐ゲルベアルコール(複数可)と共に添加されてもよい。シリコーン脱泡剤は、2-アルキルアルコールと共に使用することができる。界面活性剤、特にアルコールのアルコキシレートも使用することができる。泡制御剤としての分岐アルコールの使用は、水系又は油系であり得る。
【0015】
現在開示されている新しい泡制御剤は、固体又は液体の形態であり得る。固体である場合、材料は、泡制御剤として使用する前に溶媒中に溶解又は分散され得る。現在開示されている薬剤は、全ての一般的に使用される農業製品の存在下で作用すると考えられる。
【0016】
化学剤は、消泡剤配合物又は脱泡剤配合物の両方で使用することができる。消泡剤配合物は、泡の形成を回避する気泡のガス-液体界面におけるポリグリコール、エステル、シリコーン、溶媒、水、及び他の化学物質の混合物によって得られる。ブロックコポリマー系の他の両親媒性化学物質も同様に使用することができる。脱泡配合物では、上記の生成物に加えて、植物油、鉱油、ワックス、及び他の油性剤を使用することができる。
【0017】
泡制御剤に含有される任意の界面活性剤又は乳化剤は、原料上の泡制御剤の相溶性を改善する、又は分岐アルコールの組成物でエマルジョンを形成するのに適するように選択される。任意の界面活性剤又は乳化剤は、分岐アルコールの組成物の0.1~30重量%の範囲の量を有する。
【0018】
任意の界面活性剤又は乳化剤は、アニオン性、カチオン性、又は非イオン性であってもよい。好適なアニオン性界面活性剤又は乳化剤の例は、アルカリ金属、アンモニウム及びアミン石鹸である。このような石鹸の脂肪酸部分は、好ましくは少なくとも10個の炭素原子を含む。石鹸は「その場で」形成することもできる。言い換えれば、脂肪酸を油相に添加し、アルカリ性材料を水相に添加してもよい。
【0019】
好適なアニオン性界面活性剤又は乳化剤の他の例は、アルキル-アリールスルホン酸のアルカリ金属塩、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、硫酸化又はスルホン化油、例えば、硫酸化ヒマシ油、スルホン化獣脂、及び短鎖石油スルホン酸のアルカリ塩である。
【0020】
好適なカチオン性界面活性剤又は乳化剤は、オレイルアミドアセテート、セチルアミンアセテート、乳酸ジドデシルアミン、アミノエチル-アミノエチルステアラミドのアセテート、ジラウロイルトリエチレンテトラミンジアセテート、1-アミノエチル-2-ヘプタデセニルイミダゾリンアセテートなどの長鎖第一級、第二級、又は第三級アミンの塩;ならびに臭化セチルピリジニウム、ヘキサデシルエチルモルホリニウムクロリド、及びジエチルジドデシルアンモニウムクロリドなどの第四級塩である。
【0021】
好適な非イオン性界面活性剤又は乳化剤の例は、高級脂肪アルコールとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えばオレイルアルコールと10個のエチレンオキシド単位との反応生成物である。アルキルフェノールとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えばイソオクチルフェノールと12個のエチレンオキシド単位との反応生成物。高級脂肪酸アミドと5個以上のエチレンオキシド単位との縮合生成物;モノパルミチン酸テトラエチレングリコール、モノラウリン酸ヘキサエチレングリコール、モノステアリン酸ノナエチレングリコール、ジオレイン酸ノナエチレングリコール、モノアラキジン酸トリデカエチレングリコール、モノベヘン酸トリコサエチレングリコール、ジベヘン酸トリコサエチレングリコール等の長鎖脂肪酸のポリエチレングリコールエステル類、トリステアリン酸ソルビタン等の多価アルコール部分高級脂肪酸エステル類、多価アルコール部分高級脂肪酸エステル類とそれらの分子内無水物(マンニトール無水物、マンニタンと呼ばれるもの、ソルビトール無水物、ソルビタンと呼ばれるもの)とのエチレンオキサイド縮合生成物、例えば、モノパルミチン酸グリセロールに10分子のエチレンオキサイドを反応させたもの、モノオレイン酸ペンタエリスリトールに12分子のエチレンオキサイドを反応させたもの、モノステアリン酸ソルビタンに10~15分子のエチレンオキサイドを反応させたもの、モノパルミチン酸マンニタンに10~15分子のエチレンオキサイドを反応させたもの等。メトキシポリエチレングリコール550モノステアレート(550はポリグリコールエーテルの平均分子量を意味する)などの、1つのヒドロキシル基が高級脂肪酸でエステル化され、他のヒドロキシル基が低分子量アルコールでエーテル化されている長鎖ポリグリコール。これらの界面活性剤の内の2つ以上の混合物を使用してよい。例えば、陽イオン界面活性剤を非イオン界面活性剤と混合してもよく、陰イオン界面活性剤を非イオン界面活性剤と混合してもよい。
【0022】
泡制御剤は、1つ以上の添加剤を更に含んでもよい。添加剤の例としては、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー、ブチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー、エチレンオキシド/ブチレンオキシドブロックコポリマー、ワックス、又はシリコーンベースの物質が挙げられる。界面活性剤が製品中で発泡を引き起こす他の農業用途では、C32までの高級2-アルキル置換アルコールを使用することができる。
【0023】
ゲルベアルコール又はその配合物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、分散液、又は乾燥製品として存在してもよい。記載される泡制御剤(ゲルベアルコールを含有する)は、肥料、微量栄養素又は殺虫剤などの農業用途において利用され得るが、これらに限定されない。この薬剤が利用され得る配合物の型としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:懸濁液濃縮物(SC)、エマルジョン濃縮物(EC)、カプセル懸濁液(CS)、マイクロエマルジョン(ME)、エマルジョン:水中油型(EW)、サスポエマルジョン(SE)、可溶性濃縮物(SL)、水分散性顆粒(WG)、水溶性粉末(SP)、水和剤(WP)、及び油分散液(OD)。
【実施例
【0024】
本開示の泡制御剤などの有効性を試験するための実験は、以下のように行うことができる。
【0025】
材料
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
注:プロピレングリコール中の希釈は、適切な重量のプロピレングリコール及びACP-1400を秤量して50グラムのバッチを4オンスのガラスジャーに入れることによって完了した。ジャーに蓋をし、手で30秒間激しく振盪して混合した。
【0029】
試験方法
上記に列挙した様々な実施例について振盪試験を行った。当該試験に利用した装置は、8 oz(240mL)のフレンチスクエアボトルを収容するのに適したクランプを備えたBurrell WRIST-ACTION Model AAシェーカーであった (Burrell Corp., Pittsburgh, PA, Cat.No. 75-755-04)。シェーカーアームは、5-1/4+/-1/16インチ(13.34+/-0.16cm)であった。改変された方法は、9インチ+/-1.4インチの大きさのシェーカーアームを使用し得る。この長さは、シェーカーシャフトの中心からボトルの中心までの測定値である。より長いシャフト長さは、より多くの泡を生成する傾向があり、したがって、より困難な試験であることに留意されたい。アームは、ボトルを垂直位置に保持するために、静止位置において水平であるべきである。振盪弧は約16度、周波数は約350ストローク/分であるべきである。
【0030】
比較例1~2及び実施例1~3について、振盪試験を行い、ここで、振盪アームをシェーカーシャフトの中心からボトルの中心まで測定した9インチの半径で固定した。アームは静止位置では水平であり、ボトルを垂直位置に保持した。揺動弧は約16度であり、周波数は約350ストローク/分であった。
【0031】
各配合物を、8、32、48及び96秒の連続期間からなる4サイクル振盪した。各持続時間について、泡が崩壊するのに要した時間及び泡が破壊するのに要した時間を記録した。崩壊は、振盪を停止したときに所与の試験液体の表面の大部分にわたって泡が0.5cm未満に落ちる時間として定義される。泡が破壊されるまでの時間は、振盪を停止した後に泡を通して試験液体の表面上に透明な表面が現れるまでの時間として定義した。
【0032】
比較例3~4及び実施例4~7も、振盪試験を使用して試験した。この試験のために、シェーカーアームはシェーカーシャフトの中心からボトルの中心まで測定される約5インチであった。アームは静止位置では水平であり、ボトルを垂直位置に保持した。揺動弧は約16度であり、周波数は約350ストローク/分であった。各配合物を30秒間振盪した。振盪を停止した後、泡が崩壊する時間を記録した。各配合物を14サイクルの振盪及び泡崩壊に供した。サンプルが300秒未満で崩壊しなかった場合、試験を中止した。泡の崩壊は、泡の高さが表面の大部分にわたって0.5cm未満に落ちることとして定義された。
【0033】
結果
泡制御剤の泡制御性能を以下の表3~5に示す。
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
【表5】
【0037】
表3~5に示すように、実施例1(2-プロピルヘプタノール)は、驚くべきことに、農業用配合物中の唯一の脱泡剤として有効な泡制御を提供する。実施例2及び3はまた、シリコーン化合物添加剤と組み合わせた2-プロピルヘプタノールの驚くべき相乗的性能を示し、これは、長期せん断条件に対する崩壊時間を改善することができ、農業用配合物における泡破壊性能を改善するのに特に有効である。
【0038】
実施例4は、2-プロピルヘプタノールが、農業用途に一般的な界面活性剤系である非イオン性界面活性剤溶液中の唯一の脱泡剤として泡制御を提供することを示す。実施例5は、2-エチルヘキサノールも、農業用途に一般的な界面活性剤系である非イオン性界面活性剤溶液中の唯一の脱泡剤として泡制御を提供することを示している。実施例6は、シリコーン化合物添加剤と組み合わせた2-プロピルヘプタノールが、農業用途に一般的な界面活性剤系である非イオン性界面活性剤溶液における泡制御性能を改善することができることを示す。実施例7は、シリコーン化合物添加剤と組み合わせた2-エチルヘキサノールが、農業用途に一般的な界面活性剤系である非イオン性界面活性剤溶液における泡制御性能を改善することができることを示す。これらは全て驚くべき有用な結果であり、試験した比較例よりも明らかに優れた性能を示している。
【国際調査報告】