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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-14
(54)【発明の名称】チタン系化合物及びそれらの用途
(51)【国際特許分類】
   C08G 77/42 20060101AFI20231207BHJP
   C08G 79/00 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
C08G77/42
C08G79/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524716
(86)(22)【出願日】2021-11-16
(85)【翻訳文提出日】2023-04-21
(86)【国際出願番号】 US2021059443
(87)【国際公開番号】W WO2022108893
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】63/114,723
(32)【優先日】2020-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128761
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 恭子
(72)【発明者】
【氏名】グッベルス、フレデリック
【テーマコード(参考)】
4J030
4J246
【Fターム(参考)】
4J030CA01
4J030CA02
4J030CB03
4J030CC16
4J030CC21
4J030CD11
4J030CE02
4J030CG21
4J246AA03
4J246AB02
4J246AB11
4J246BA020
4J246BA02X
4J246BB020
4J246BB021
4J246BB02X
4J246BB030
4J246BB033
4J246BB03X
4J246CA120
4J246CA12E
4J246CA12U
4J246CA12X
4J246CA240
4J246CA24X
4J246FA132
4J246FA322
4J246FA342
4J246FC142
4J246FC143
4J246GA04
4J246GB02
4J246GC17
4J246HA56
4J246HA57
(57)【要約】
アルコキシチタン化合物と、典型的には1分子中に少なくとも2個のシラノール基を有するシラノール末端ポリジオルガノシロキサンとのチタン系反応生成物の調製プロセス。チタン系反応生成物は、縮合硬化性シリコーン組成物のための、水の存在下で改善された安定性を有する触媒としてのその使用も同様に記載される。チタン系反応生成物は更に、縮合硬化性シリコーン組成物中で使用される別個のポリマーの必要性に少なくとも部分的に取って代わり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタン系反応生成物の調製方法であって、
(i)第1の成分である、2~4個のアルコキシ基を有するアルコキシチタン化合物を、第2の成分である、1分子中に少なくとも2個の末端シラノール基を有し、25℃で30~300000mPa.sの粘度を有する直鎖又は分岐鎖ポリジオルガノシロキサンと混合する工程と、
(ii)前記第1の成分及び前記第2の成分を、真空下で撹拌することによって一緒に反応できるようにして、反応生成物を形成する工程と、
(iii)工程(ii)の前記反応生成物を回収する工程と、を含む、チタン系反応生成物の調製方法。
【請求項2】
前記第1の成分は、Ti(OR)、Ti(OR)、Ti(OR) 、又はキレート化アルコキシチタン分子であり、2個のアルコキシ(OR)基が存在し、キレートがチタン原子に2回結合しており、式中、Rは、1~20個の炭素を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、各Rは、同じか又は異なってもよく、それぞれの場合において最大10個の炭素を有するアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基から選択される、請求項1に記載のチタン系反応生成物の調製方法。
【請求項3】
前記第2の成分である1分子中に少なくとも2個の末端シラノール基を有する前記ポリジアルキルシロキサンは、ジアルキルシラノール末端ポリジメチルシロキサンである、請求項1又は2に記載のチタン系反応生成物の調製方法。
【請求項4】
前記第2の成分は、25℃で70~20,000mPa.sの粘度を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のチタン系反応生成物の調製方法。
【請求項5】
前記反応は真空下で行われて、前記反応中に生成されるアルコール性副生成物の総量の少なくとも50重量%が除去される、請求項1~4のいずれか一項に記載のチタン系反応生成物の調製方法。
【請求項6】
前記チタン系反応生成物は、500~1,000,000mPa.sの粘度を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のチタン系反応生成物の調製方法。
【請求項7】
第3の成分である、1分子中に1個の末端シラノール基を有するポリジアルキルシロキサンは、工程(i)で導入される、請求項1~6のいずれか一項に記載のチタン系反応生成物の調製方法。
【請求項8】
工程(i)において、前記第1の成分は前記第2の成分に添加される、請求項1~7のいずれか一項に記載のチタン系反応生成物の調製方法。
【請求項9】
工程(i)において、前記第2の成分は前記第1の成分に添加される、請求項1~7のいずれか一項に記載のチタン系反応生成物の調製方法。
【請求項10】
第1の成分がTi(OR)である場合の前記反応の主反応生成物は、
(RO)Ti((OSiR -OH)4-n (2)
の混合物であり、式中、Rは1~20個の炭素を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、nは0、1又は2であり、mは前記第2の成分の前記粘度を示す整数である、請求項1~9のいずれか一項に記載のチタン系反応生成物の調製方法。
【請求項11】
第1の成分が実質的にTi(OR)である場合の前記反応の主反応生成物は、
(RO)Ti((OSiR -OH)3-a (4)
の混合物であり、式中、Rは1~20個の炭素を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、各Rは、同じか又は異なってもよく、それぞれの場合において最大10個の炭素を有するアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基から選択され、aは0又は1であり、mは前記第2の成分の前記粘度を示す整数である、請求項1~10のいずれか一項に記載のチタン系反応生成物の調製方法。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法によって調製される、チタン系反応生成物。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法によって得られる又は得ることが可能である、チタン系反応生成物。
【請求項14】
縮合硬化性シリコーンエラストマー組成物のための触媒としての、請求項12又は13に記載のチタン系反応生成物の使用。
【請求項15】
縮合硬化性シリコーンエラストマー組成物中のシリコーンポリマー及び触媒としての、請求項12又は13に記載のチタン系反応生成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本案件は、アルコキシチタン化合物と、1分子中に少なくとも1個、典型的には少なくとも2個のシラノール基を有するシラノール末端ポリジオルガノシロキサンとのチタン系反応生成物の調製プロセスに関し、この反応生成物は、縮合硬化性シリコーン組成物のための、水の存在下で改善された安定性を有する触媒として使用されてもよく、更に、縮合硬化性シリコーン組成物において使用される別個のポリマーの必要性に少なくとも部分的に取って代わり得る。
【0002】
アルコキシチタン化合物、すなわちアルキルチタネートが一成分型水分硬化性シリコーン組成物に好適な触媒であることは、当業者に周知である(参考文献:Noll,W.;Chemistry and Technology of Silicones,Academic Press Inc.,New York,1968,p.399,及びMichael A.Brook,silicon in organic,organometallic and polymer chemistry,John Wiley&sons,Inc.(2000),p.285)。チタネート触媒は、スキン又は拡散硬化された1部型縮合硬化性シリコーンエラストマーの配合への使用について、広く記載されている。これらの配合物は、典型的には、15mmよりも薄い層に適用される1部型パッケージで入手可能である。15mmよりも厚い層は材料の深部において未硬化材料を生じることが知られており、これは、非常に深い部分では水分の拡散が非常に遅いためである。スキン又は拡散硬化(例えば、水分/縮合)が起こるのは、シーラント/封入材が基材表面に適用された後、組成物/空気界面での硬化スキンの形成によって初期硬化プロセスが起こるときである。表面スキンの形成の後、硬化速度は、シーラント/封入材と空気との界面からの内部(又はコア)への水分の拡散速度、並びに、材料の内部(又はコア)から外部(又は表面)への縮合反応副生成物/排出物の拡散及び時間の経過による外部/表面から内部/コアへの硬化スキンの漸進的増粘によって変動する。
【0003】
生成物のバルクで縮合硬化(バルク硬化)を活性化するように設計された多成分型組成物では、最近まで、硬化剤中に又は硬化剤としてチタン系触媒を使用していなかった。したがって、スズ系触媒又は亜鉛系触媒などの他の触媒、例えば、ジブチルスズジラウレート、スズオクトエート、及び/又は亜鉛オクトエートが一般に使用される(Noll,W.;Chemistry and Technology of Silicones,Academic Press Inc.,New York,1968,p.397)。使用前に2つ以上の部に保存されるシリコーン組成物において、一方の部は通常、充填剤を含有しており、この充填剤は、典型的には、生成物のバルクでの縮合硬化を活性化させるために必要な水分を含有する。前述の拡散硬化1部型系とは異なり、2部型縮合硬化系は、一緒に混合すると、深さが15mmより深い部分においてであってもバルク硬化を可能にする。この場合、組成物は、(混合後に)材料バルク全体にわたって硬化する。スキンが形成される場合、それは適用後の最初の数分のみである。その後すぐに、生成物は全体が固形となる。
【0004】
最近まで、チタネート触媒、すなわち、テトラアルキルチタネート(例えば、Ti(OR)で、式中、Rは、少なくとも1個の炭素を有するアルキル基である)及びキレート化チタネートは、それらがそれぞれ水又はアルコールの存在下で加水分解(例えば、水との反応による官能基中の結合の切断)又はアルコール分解に敏感であることが周知であったため、2部型縮合硬化性組成物を硬化させるために使用されなかった。残念ながら、このタイプのチタン化合物は急速に反応し、チタンに結合している対応するアルコールを遊離させる。例えば、水分の存在下で、テトラアルキルチタネート触媒は、完全に加水分解して、水酸化チタン(IV)(Ti(OH))を形成することができ、これは、シリコーン系組成物中の限られた溶解度しかない。重要なことに、水酸化チタン(IV)などの水酸化チタンの形成は、縮合硬化性シリコーン組成物を硬化させることに対するそれらの触媒効率に劇的に悪影響を及ぼす可能性があり、未硬化系又はせいぜい部分的な硬化系のみをもたらす。この問題は、スズ(IV)触媒では見られない。なぜなら、スズ(IV)触媒は、例えば、生成物の部分の1つに存在する充填剤に含まれる水による同様の影響を受けないからである。その結果、このような2部型縮合硬化性組成物はスズ触媒を必要とするという歴史的理解が得られた。
【0005】
最近、歴史的な予想に反して、場合によっては、チタン系触媒が、シリコーン系組成物の縮合「バルク硬化」のために設計された多部型、例えば2部型組成物の硬化剤として、又は硬化剤中で利用され得ることが見出された(例えば、国際公開第2016120270号、同第2018024858号及び同第2019027668号)。これは、スズ硬化縮合系が80℃を超える温度で元に戻る(すなわち、脱重合)ために、多くの使用者にとって有用であり、したがって、特に硬化エラストマーが熱に曝露されることになるいくつかの用途、例えば、電子機器用途では、スズ(IV)触媒の使用は望ましくない。多くの研究を経て、アルコキシ基を含有する架橋剤を有する2部型縮合硬化エラストマーを触媒するためにチタネートを使用する場合、満たさなければならない3つの特定の要件があると現在考えられている。
【0006】
スズ(iv)触媒の代わりにバルク硬化のために設計された(すなわち、生成物の厚い部分(>15mm)が必要とされる)2部型組成物を硬化させるために使用されるチタネート触媒については、組成物は、バルク硬化するように、すなわち、拡散硬化を実質的に回避し、2部型組成物の2つの部が一緒に混合されるときの即時ゲル化を回避し、チタン触媒が組成物中に存在する水(例えば、充填剤中に含有される水)と反応して水酸化チタン(IV)(Ti(OH))を形成しないことを確実にするように設計されなければならない。これらの要件は達成されているが、そうすることで、チタネート触媒を利用する2部型バルク硬化性シリコーンエラストマー組成物のゲル化時間は、2部型バルク硬化性シリコーンエラストマー組成物が使用され得る用途を制限しているスズ(iv)硬化系よりも遅い。
【0007】
したがって、改善された加水分解安定性を有し(すなわち、水及び/又はアルコールの存在下で失活しない)、チタン系触媒として使用され得る好適なチタン系反応生成物を特定する必要がある。
【0008】
チタン系反応生成物の調製方法であって、
(i)第1の成分である、2~4個のアルコキシ基を有するアルコキシチタン化合物を、第2の成分である、1分子中に少なくとも2個の末端シラノール基を有し、25℃で30~300000mPa.sの粘度を有する直鎖又は分岐鎖ポリジオルガノシロキサンと混合する工程と、
(ii)第1の成分及び第2の成分を、真空下で撹拌することによって一緒に反応できるようにして、反応生成物を形成する工程と、
(iii)工程(ii)の反応生成物を回収する工程と、を含む、方法が提供される。
【0009】
本明細書では、本明細書で前述した方法の反応生成物であるチタン系反応生成物も提供される。
【0010】
本明細書では、また、
(i)第1の成分である、2~4個のアルコキシ基を有するアルコキシチタン化合物を、第2の成分である、1分子中に少なくとも2個の末端シラノール基を有し、25℃で30~300000mPa.sの粘度を有する直鎖又は分岐鎖ポリジオルガノシロキサンと混合する工程と、
(ii)第1の成分及び第2の成分を、真空下で撹拌することによって一緒に反応できるようにして、反応生成物を形成する工程と、
(iii)工程(ii)の反応生成物を回収する工程と、を含む方法によって得られるか又は得ることが可能なチタン系反応生成物が提供される。
【0011】
本明細書では、縮合硬化性シリコーン組成物を硬化させるための触媒としての、上述のプロセスから得られるか又は得ることが可能なチタン系反応生成物の使用も提供される。
【0012】
本明細書に記載のプロセスの第1の成分は、2~4個のアルコキシ基を有するアルコキシチタン化合物、例えば、Ti(OR)、Ti(OR)、Ti(OR) 、又はキレート化アルコキシチタン分子であり、このとき、2個のアルコキシ(OR)基が存在し、キレートがチタン原子に2回結合しており、式中、Rは、1~20個の炭素、あるいは1~15個の炭素、あるいは1~10個の炭素、あるいは1~6個の炭素を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、存在する場合、Rは、1~10個の炭素原子を有するアルキル基、2~10個の炭素原子を有するアルケニル基、2~10個の炭素原子を有するアルキニル基、3~10個の炭素原子を有するシクロアルキル基、若しくは6~20個の炭素原子を有するフェニル基、又はこれらの混合物などの有機基である。
【0013】
各Rは、必要に応じて、例えば、塩素又はフッ素のような1個以上のハロゲン基との置換基を含み得る。Rの例としては、限定するものではないが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ビニル、シクロヘキシル、フェニル、トリル基、塩素若しくはフッ素で置換されたプロピル基(例えば、3,3,3-トリフルオロプロピル)、クロロフェニル、β-(ペルフルオロブチル)エチル又はクロロシクロヘキシル基が挙げられる。しかしながら、典型的には、各Rは、同じか又は異なってもよく、それぞれの場合において、1基当たり最大10個の炭素、あるいは最大6個の炭素を有するアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基、あるいはアルキル基、アルケニル基、あるいはアルキル基から選択される。
【0014】
上述のように、Rは、1~20個の炭素を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基であり、限定するものではないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、第三級ブチル分枝鎖第二級アルキル基(例えば、2,4-ジメチル-3-ペンチル)が挙げられる。Ti(OR)である場合の第1の成分の好適な例としては、例えば、テトラメチルチタネート、テトラエチルチタネート、テトラn-プロピルチタネート、テトラn-ブチルチタネート、テトラt-ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネートが挙げられる。第1の成分がTi(OR)である場合、Rは、典型的にはアルキル基であり、例としては、限定するものではないが、トリメトキシアルキルチタン、トリエトキシアルキルチタン、トリn-プロポキシアルキルチタン、トリn-ブトキシアルキルチタン、トリt-ブトキシアルキルチタン及びトリイソプロポキシアルキルチタネートが挙げられる。
【0015】
第1の成分、すなわち、2~4個のアルコキシ基を有するアルコキシチタン化合物は、第1の成分+第2の成分の総重量の0.01重量%~20重量%の量で存在してもよい。
【0016】
第2の成分は、1分子中に少なくとも2個の末端シラノール基を有する直鎖又は分岐鎖ポリジオルガノシロキサンである。第2の成分は、式(1)の複数のシロキサン単位を含むオリゴマー又はポリマーを含んでもよい。
-(R SiO(4-s)/2)- (1)
好ましくは、それぞれのRは独立して、1~10個の炭素原子を有するヒドロカルビル基などの有機基であり、必要に応じて、塩素又はフッ素などの1個以上のハロゲン基で置換されており、sは、0、1、又は2である。一代替形態では、sは2であり、したがって、直鎖又は分岐鎖ポリジオルガノシロキサンの主鎖は直鎖状であるが、sが1である基のわずかな割合が、分岐を可能にするために利用され得る。例えば、Rとしては、メチル、エチル、プロピル、ブチルなどのアルキル基、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル及び/又はヘキセニル基などのアルケニル基、シクロヘキシルなどのシクロアルキル基、並びにフェニル、トリル基などの芳香族基が挙げられ得る。一代替形態では、Rは、メチル、エチル、プロピル、ブチルなどのアルキル基、アルケニル基及び/又はフェニル基、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、及び/又はヘキセニル基などのアルケニル基、シクロヘキシルなどのシクロアルキル基、並びにフェニル、トリル基などの芳香族基を含み得る。好ましくは、ポリジオルガノシロキサン鎖は、ポリジアルキルシロキサン鎖、ポリアルキルアルケニルシロキサン鎖又はポリアルキルフェニルシロキサン鎖であるが、これらのいずれか2つ以上のコポリマーも有用であり得る。第2の成分がポリジアルキルシロキサン鎖、ポリアルキルアルケニルシロキサン鎖及び/又はポリアルキルフェニルシロキサン鎖を含有する場合、アルキル基は、通常1~6個の炭素を含み、あるいは、アルキル基は、メチル及び/又はエチル基であり、あるいは、アルキル基は、メチル基であり、アルケニル基は、通常、2~6個の炭素を含み、あるいは、アルケニル基は、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル及び/又はヘキセニル基、あるいはビニル、プロペニル及び/又はヘキセニル基であってもよい。一代替形態では、ポリジオルガノシロキサンは、ポリジメチルシロキサン鎖、ポリメチルビニルシロキサン鎖若しくはポリメチルフェニルシロキサン鎖、又はこれらの2つ若しくは全てのコポリマーである。
【0017】
誤解を避けるために、ポリジオルガノシロキサンポリマーは、高分子量の分子(一般に、10,000g/mol以上の数平均分子量を有し、ポリマー様特性を示す多数の-(R SiO(4-s)/2)-単位を含み、1つ又はいくつかの単位の付加又は除去が特性に対して無視できる効果を有する)から構成される物質を意味する。対照的に、ポリジオルガノシロキサンオリゴマーは、平均分子量が低すぎる規則的な繰り返し構造-(R SiO(4-s)/2)-単位を有する化合物であり、例えば、少数のモノマー単位からなる分子、例えば、二量体、三量体、及び四量体は、例えば、それぞれ2個、3個、及び4個のモノマーから構成されるオリゴマーである。
【0018】
直鎖状の場合、それぞれの末端基は1個のシラノール基を含有しなければならない。例えば、ポリジオルガノシロキサンは、ジアルキルシラノール末端、アルキルジシラノール末端又はトリシラノール末端であってもよいが、好ましくはジアルキルシラノール末端である。分岐している場合、第2の成分は、1分子中に少なくとも2個の末端シラノール(Si-OH)結合を有していなければならず、したがって、ジアルキルシラノール基、アルキルジシラノール基及び/又はトリシラノール基であるが、典型的にはジアルキルシラノール基である少なくとも2個の末端基を含む。
【0019】
典型的には、第2の成分は、30~300000mPa.s、あるいは25℃で50~100000mPa.s、あるいは25℃で70~75,000mPa.s、あるいは25℃で70~50,000mPa.s、あるいは25℃で70~20,000mPa.s、あるいは25℃で70~10,000mPa.s程度の粘度を有する。粘度は、任意の好適な手段、例えば、Anton Paar GmbH of Graz,Austria製のModular Compact Rheometer(MCR)302を使用して、該当する粘度に最も好適な設定及びプレートを使用して、例えば、1s-1のせん断速度で0.3mmの間隙を有する直径25mmの回転プレートを使用して測定され得る。
【0020】
シリコーンの数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、また、ポリスチレン較正標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定され得る。この技法は標準的技法であり、Mw(重量平均)、Mn(数平均)及び多分散指数(PI)[ここで、PI=Mw/Mn]の値が得られる。
【0021】
本出願で提供されるMn値は、GPCによって決定され、使用されるポリジオルガノシロキサンの典型値を表す。GPCによって提供されない場合、Mnはまた、上記ポリジオルガノシロキサンの動的粘度に基づく計算から得られ得る。
【0022】
上述の反応は、任意の好適な温度で行われてもよいが、典型的には室温で開始する。温度は、反応及び/又は撹拌中に上昇してもよく、所望であれば、反応中に成分が加熱されてもよい。
【0023】
反応は、反応中に生成されたアルコール性副生成物の総量の少なくとも50重量%、あるいは少なくとも75重量%以上、あるいは少なくとも90%を除去する目的で、真空下で行われる。上記は、いくつかの分析技術によって決定されてもよく、その最も単純なものは、チタン系反応生成物からの重量喪失の決定である。
【0024】
現在の理解に束縛されるものではないが、第1の成分がTi(OR)である場合の上記反応の主なチタン系反応生成物は、以下の混合物である。
(RO)Ti((OSiR -OH)4-n (2)
式中、nは0、1又は2、あるいは0又は1であるが、好ましくは、主生成物はnが0であり、すなわち以下となる。
Ti((OSiR -OH) (3)
式中、mは第2の成分の重合度であり、その粘度を示す(相応する)整数である。
【0025】
同様に、第1の成分が実質的にTi(OR)である場合、aが0又は1である場合の上記反応の主なチタン系反応生成物は、以下になると考えられる。
(RO)Ti((OSiR -OH)3-a (4)
しかし、好ましくは、主生成物は、aが0であり、すなわち以下となる。
Ti((OSiR -OH) (5)
式中、mは第2の成分の数平均重合度であり、第2の成分の粘度を示す(相応する)整数である。
【0026】
必要に応じて、第3の成分が存在してもよい。存在する場合、第3の成分は、直鎖又は分岐鎖ポリジオルガノシロキサンであり、第2の成分について記載したようなオリゴマー又はポリマーであってもよい。しかしながら、第3の成分は、第1の成分とSi-O-Ti結合を形成するための上述の反応において使用するために、1分子中に1個の末端シラノール基のみを有する。第3の成分の他の末端基はシラノール基を含有しない。シラノール基を含有しない末端基は、上で定義されたR基、あるいはアルキル及びアルケニルR基の混合物、あるいはアルキルR基を含んでもよい。例としては、トリアルキル末端、例えば、トリメチル若しくはトリエチル末端、又はジアルキルアルケニル末端、例えば、ジメチルビニル若しくはジエチルビニル若しくはメチルエチルビニル末端などが挙げられる。
【0027】
典型的には、第3の成分はまた、第2の成分の粘度と類似の、30~300000mPa.s、あるいは25℃で50~100000mPa.s、あるいは25℃で70~75,000mPa.s、あるいは25℃で70~50,000mPa.s、あるいは25℃で70~20,000mPa.s、あるいは25℃で70~10,000mPa.s程度の粘度を有する。粘度は、任意の好適な手段、例えば、Anton Paar GmbH of Graz,Austria製のModular Compact Rheometer(MCR)302を使用して、該当する粘度に最も好適な設定及びプレートを使用して、例えば、1s-1のせん断速度で0.3mmの間隙を有する直径25mmの回転プレートを使用して測定され得る。
【0028】
第3の成分は、第1、第2及び第3の成分の重量の組合せの最大75重量%の量で存在してもよく、それによって第3の成分が第2の成分の当量比を置き換える。しかしながら、好ましくは、第3の成分は、存在する場合、第1の成分、第2の成分、及び存在する場合には第3の成分の50%以下、あるいは25%以下の量で存在する。第3の成分が存在する場合、構造(2)、(3)、(4)又は(5)中の1個以上のシラノール基は、R基、あるいはアルキル基又はアルケニル基、あるいはアルキル基によって置き換えられてもよい。例えば、構造(2)の場合、チタン系反応生成物は、以下の構造(2a)に示すものであってもよい。
(RO)Ti((OSiR -R((OSiR -OH)4-n-p (2a)
nが0、1又は2、あるいは0又は1である場合、pは0、1又は2、あるいは0又は1であり、n+pは4以下であり、mは上で定義したとおりである。
【0029】
本プロセスでは、構造(2)、(3)、(4)又は(5)に示されるタイプの触媒が存在する場合、末端シラノール基は、硬化シリコーンネットワークの形成に関与するために潜在的に利用可能であり、完全に配合されたエラストマーにおいてそれらを有用にするので、本プロセスのための反応物として第3の成分を含まないことが好ましい。このことは、本明細書の触媒を作製するプロセスにおいて、多量の第3の成分が出発成分として使用される場合、明らかに起こりにくくなる。しかしながら、出発材料中の第3の成分のいくらかの存在は、本明細書に記載のプロセスの生成物を使用して硬化されたエラストマーの必要な弾性率を得る際の助けとして有用であり得る。
【0030】
本プロセスにおける出発成分が第1の成分及び第2の成分である場合、シラノール基:チタンのモル比は、2:1以上の任意の好適な比であってよい。しかしながら、この比は、5:1~15:1、あるいは7:1~15:1、あるいは少なくとも8:1~11:1の範囲内であることが好ましい。比が低いと、より粘性の高いチタン系反応生成物が存在し、第1の成分の存在量が少なくなり、その結果、ゲル化時間が遅くなるようである。
【0031】
合計のシラノールモル含有量は、第1の成分及び第2の成分100gに対して計算される。第2の成分に対するシラノールモル含有量は、第1の成分及び第2の成分100g中のシラノール含有ポリマーの量(グラム(g)単位)を、第2の成分の数平均分子量で除算し、第2の成分中に存在するシラノール官能基の平均数(典型的には2)を乗じた値に等しい。出発成分中にいくつかのシラノール官能性直鎖又は分岐鎖ポリジオルガノシロキサンが存在する場合、それぞれのポリマーのモル含有量の合計を決定し、次いで全ての直鎖又は分岐鎖ポリジオルガノシロキサンシスからの累積合計を足し合わせ、配合物中の全シラノールのモル含有量とする。
【0032】
任意の出発成分のモル量を、以下の計算を用いて求めた。
【0033】
[成分の重量部×100]
[出発成分の全ての部分の合計×成分のMW]
したがって、単に例として、成分1がテトラn-ブチルチタネート(TnBT)であるとき、成分1及び成分2が10:1の重量比で混合された場合、すなわち、TnBTの分子量が340であると仮定すると、成分1の1重量部毎に成分2の10重量部が混合された場合、計算は、以下になる。
【0034】
[TnBTの重量部(1)×100]
[出発成分の全ての部の合計(11)×340]
=組成物100g当たり0.0267モルの触媒。
一実施形態において、第1の成分は第2の成分に添加されるか、又は第3の成分が存在する場合、第1の成分は第2の成分及び第3の成分の混合物に添加される。
【0035】
別の実施形態では、第2の成分が第1の成分に導入されてもよい。この実施形態は、揮発性アルコール(R-OH)が以下の化学反応(6)に従って生成される第1の成分として使用されるタイプのチタネートが、実質的に常にいくらかのアルコール残留物を含有するので、環境からの水分に起因して一般に可燃性であるため、上記よりも不便である。チタン触媒の引火点は、アルコール燃焼性に依存する。
Ti-OR+HO(空気からの水分)→Ti-OH+R-OH
Ti-OR+Si-OH→Ti-O-Si+R-OH (6)
したがって、この方法は、防爆製造プロセスを必要とし、第2の成分は、徐々に計量された方法で第1の成分に導入される。この経路は、少なくとも最初は、第2の成分の含有量が徐々に増加するまで、より濃縮された触媒をもたらす可能性が高い。この実施形態はまた、アルコール性副生成物を首尾よく除去することがより困難であり、第2の成分の含有量が一般に第1の成分よりも重量及び体積ではるかに多いため、あまり好ましくない。
【0036】
しかしながら、チタン系反応生成物は、縮合硬化性2部型シリコーンエラストマー組成物用の触媒として分離することなく非常に良好に機能するので、特定のチタン種を単離するために複雑な分離技術を使用する必要がないことが見出された。結果として、分析は、本明細書のチタン系反応生成物が、単一化合物ではなく、いくつかの化合物の混合物であることを示す。典型的には、チタン系反応生成物の粘度は、500~1,000,000mPa.s、あるいは500~750,000mPa.s、あるいは500~500,000mPa.s、あるいは500~300,000mPa.sの範囲である。粘度は、任意の好適な手段、例えば、Anton Paar GmbH of Graz,Austria製のModular Compact Rheometer(MCR)302を使用して、該当する粘度に最も好適な設定及びプレートを使用して、例えば、1s-1のせん断速度で0.3mmの間隙を有する直径25mmの回転プレートを使用して測定され得る。
【0037】
通常、同等のジルコニウム化合物も縮合硬化性シリコーンエラストマー組成物用の触媒として機能するが、この場合、驚くべきことに、同等のジルコニウム生成物は、縮合硬化性シリコーンエラストマー組成物、特に2部型シリコーンエラストマー組成物用の触媒と同様に機能しないことが確認された。
【0038】
本明細書に記載のプロセスから得られるチタン系反応生成物の主な利点は、著しく改善された加水分解安定性を有すること、すなわち、周囲空気に曝露された場合に、標準的な気密包装において数ヶ月間、更には数週間にわたって貯蔵安定性であることである。比較すると、上述の第1の成分のような標準的なチタネート触媒は、液体形態で大気水分に曝露されると、曝露から数時間以内に徐々に固体樹脂材料に変化する。更に、2部型シリコーンシーラント組成物用の硬化剤中で又は硬化剤として使用する場合、水を含有するシーラント組成物成分と混合すると、本明細書のチタン系反応生成物は、数ヶ月間安定したままである。
【0039】
したがって、本開示は、縮合硬化性シリコーンエラストマー組成物のための触媒としての上述のチタン系反応生成物の使用、並びに、シリコーンポリマー及び触媒としての、例えば、縮合硬化性シリコーンエラストマー組成物中の硬化剤中での又は硬化剤としての上述のチタン系反応生成物の使用を更に教示する。これは、以下の実施例から理解されるであろう。
【0040】
縮合硬化性シリコーン組成物は一般に、最低3つの成分を含む。
(i)シリコーンポリマー、典型的には例えば、本明細書に記載の第2の成分に類似した分子、
(ii)硬化プロセス中にポリマーを架橋して架橋ネットワークを形成し、硬化したゲル状及び/又はエラストマー材料を生成するように設計された架橋剤分子
(iii)触媒、例えば、本明細書において成分(i)として定義されるスズ(iv)化合物又はチタネート。
意図される最終用途に応じて、このような組成物は、存在する場合に硬化材料の特性を調整し得る多種多様な添加剤を含んでもよい。
【0041】
本明細書のチタン系反応生成物は、チタン分子の触媒特性を加水分解に対してより安定(水に対して安定)にするように見えるだけでなく、出発成分が一般に1分子中に少なくとも2個のシラノール基を有するので、チタン系反応生成物は、硬化生成物への反応に利用可能なSi-O-Ti又はシラノール基(Si-OH)を有することも理解されたい。したがって、縮合硬化性シリコーン組成物を硬化させるための触媒として利用される場合、本明細書のプロセスの反応生成物は、以下の実施例のいくつかにおいて特定されるように、触媒剤及びポリマーの両方として機能し得る。
【実施例
【0042】
全ての粘度測定は、Anton Paar GmbH of Graz,Austria製のModular Compact Rheometer(MCR)302を使用して、1s-1のせん断速度で0.3mmの間隙を有する直径25mmの回転プレートを使用して行った。全ての粘度は、別途記載のない限り25℃で測定された。与えられたシラノール(Si-OH)/Tiモル比の値は、上述の方法を用いて計算した。プロセス中に真空を適用したとき、約160mbar(16kPa)の真空を適用した。適切な場合、揮発性化合物が混合物から出るのを助けるために、ミキサーの蓋に5つの小さな穴を開けた。
【0043】
実施例1:
25℃で2,163mPa.sの粘度を有する200gのジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサンを、Hauschild製のDAC 600 FVZ/VAC-P型SpeedMixer(商標)のプラスチック容器に導入した。
次いで、0.497gのテトライソプロポキシチタンをジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサンに添加した。容器に蓋をして、成分の初期重量、容器及び蓋を一緒に秤量した。
【0044】
次いで、成分を、Hauschild製のDAC 600 FVZ/VAC-P型SpeedMixer(商標)内で以下のとおり混合した。
大気圧2350rpmで2分間、次いで
真空下2350rpmで2分間、次いで
混合せずに真空下で6分間放置した。
この手順を繰り返した。すなわち、成分を
大気圧2350rpmで更に2分間、次いで真空下2350rpmで更に2分間再び混合し、最後に混合せずに真空下で更に6分間放置した。
【0045】
上記混合レジームの完了後、容器、蓋及び得られた反応生成物を再秤量して、揮発性アルコールの抽出による重量喪失を決定した。
初期重量は277.005gであった。
最終重量は276.576gであった。
重量喪失=0.429g
得られた重量喪失0.429gは、テトライソプロポキシチタン(第1の成分)とジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサン(第2の成分)との間の反応の副生成物として抽出可能なアルコール含有量の約100%を占める。計算されたSi-OH/Tiモル比は、ポリマーの数平均分子量を約22,000g/モルと仮定して、約10.4であった。
【0046】
上記プロセスを介して生成されたチタン系反応生成物の粘度は、1s-1のせん断速度で0.3mmの間隙を有する直径25mmの回転プレートを備えたAnton Paar GmbH of Graz,Austria製のModular Compact Rheometer(MCR)302を使用して47,338mPa.sであると決定された。
【0047】
次いで、チタン系反応生成物を室温でガラス瓶中に28日間貯蔵した後、粘度を同じ試験プロトコルを使用して再測定したところ、48,856mPa.sへのわずかな増加を伴ってかなり一定のままであることが分かった。
【0048】
実施例2:
25℃で2,163mPa.sの粘度を有する200gのジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサンを、Hauschild製のDAC 600 FVZ/VAC-P型SpeedMixer(商標)のプラスチック容器に導入した。
次いで、0.592gのテトライソプロポキシチタンをジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサンに添加した。容器に蓋をして、成分の初期重量、容器及び蓋を一緒に秤量した。
【0049】
次いで、成分を、Hauschild製のDAC 600 FVZ/VAC-P型SpeedMixer(商標)内で以下のとおり混合した。
大気圧2350rpmで2分間、次いで
真空下2350rpmで2分間、次いで
混合せずに真空下で6分間放置した。
この手順を繰り返した。すなわち、成分を
大気圧2350rpmで更に2分間、次いで真空下2350rpmで更に2分間再び混合し、最後に混合せずに真空下で更に6分間放置した。
【0050】
上記混合レジームの完了後、容器、蓋及び得られた反応生成物を再秤量して、揮発性アルコールの抽出による重量喪失を決定した。
初期重量は277.058gであった。
最終重量は276.589gであった。
重量喪失=0.469g
得られた重量喪失0.469gは、テトライソプロポキシチタン(第1の成分)とジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサン(第2の成分)との間の反応の副生成物として抽出可能なアルコール含有量の約94%を占める。計算されたSi-OH/Tiモル比は、ポリマーの数平均分子量を約22,000と仮定して、約8.7:1であった。
【0051】
上記プロセスを介して生成されたチタン系反応生成物の粘度は、1s-1のせん断速度で0.3mmの間隙を有する直径25mmの回転プレートを備えたAnton Paar GmbH Graz,Austria製のModular Compact Rheometer(MCR)302を使用して211,700mPa.sであると決定された。
【0052】
次いで、チタン系反応生成物を室温でガラス瓶中に28日間貯蔵した後、粘度を同じ試験プロトコルを使用して再測定したところ、208,190mPa.sへのわずかな増加を伴ってかなり一定のままであることが分かった。
【0053】
実施例2は、10未満のSi-OH/Ti比で、混合物の粘度はより大きいが、チタン系反応生成物を調製するのに問題がないことを示している。
【0054】
実施例3:
25℃で70mPa.sの粘度を有する200gのジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサンを、Hauschild製のDAC 600 FVZ/VAC-P型SpeedMixer(商標)のプラスチック容器に導入した。
次いで、3.5gのテトライソプロポキシチタンをジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサンに添加した。容器に蓋をして、成分の初期重量、容器及び蓋を一緒に秤量した。
【0055】
次いで、成分を、Hauschild製のDAC 600 FVZ/VAC-P型SpeedMixer(商標)内で、真空下2350rpmで10分間混合し、次いで、この混合工程を更に7回行った。
【0056】
上記混合レジームの完了後、得られた反応生成物、容器及び蓋を再秤量して、揮発性アルコールの抽出による重量喪失を決定した。
初期重量は280.082gであった。
最終重量は277.481gであった。
重量喪失=2.601g
得られた重量喪失2.601gは、再び、テトライソプロポキシチタン(第1の成分)とジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサン(第2の成分)との間の反応の副生成物として抽出可能なアルコール含有量の約88%を占める。計算されたSi-OH/Tiモル比は、ポリマーの数平均分子量を約3,168と仮定して、約10.3:1である。
【0057】
上記プロセスを介して生成されたチタン系反応生成物の粘度は、1s-1のせん断速度で0.3mmの間隙を有する直径25mmの回転プレートを備えたAnton Paar GmbH of Graz,Austria製のModular Compact Rheometer(MCR)302を使用して617mPa.sであると決定された。
【0058】
次いで、チタン系反応生成物を室温でガラス瓶中に28日間貯蔵した後、粘度を同じ試験プロトコルを使用して再測定したところ、597mPa.sでかなり一定のままであることが分かった。
【0059】
実施例3は、より低い粘度の第2の成分は、首尾よく使用することが可能であり、より低い粘度の反応生成物をもたらし、これは容易な分配に有用であり得ることを示している。
【0060】
実施例4:
25℃で803mPa.sの平均粘度を有する200gのジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサンを、Hauschild製のDAC 600 FVZ/VAC-P型SpeedMixer(商標)のプラスチック容器に導入した。
次いで、0.8gのテトライソプロポキシチタンをジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサンに添加した。容器に蓋をして、成分の初期重量、容器及び蓋を一緒に秤量した。
【0061】
次いで、成分を、Hauschild製のDAC 600 FVZ/VAC-P型SpeedMixer(商標)内で以下のとおり混合した。
真空下2350rpmで6分間撹拌した後、この混合工程を更に4回行った。
【0062】
上記混合レジームの完了後、得られた反応生成物、容器及び蓋を再秤量して、揮発性アルコールの抽出による重量喪失を決定した。
初期重量は277.179gであった。
最終重量は276.604gであった。
重量喪失=0.575g
得られた重量喪失0.575gは、再び、チタネート触媒(第1の成分)と直鎖又は分岐鎖ポリジオルガノシロキサン(第2の成分)との間の反応の副生成物として抽出可能なアルコール含有量の約85%を占める。計算されたSi-OH/Tiモル比は、ポリマーの平均分子量を約14,800と仮定して、約9.6:1である。
【0063】
上記プロセスを介して生成されたチタン系反応生成物の粘度は、1s-1のせん断速度で0.3mmの間隙を有する直径25mmの回転プレートを備えたAnton Paar GmbH of Graz,Austria製のModular Compact Rheometer(MCR)302を使用して20,237mPa.sであると決定された。
【0064】
次いで、チタン系反応生成物を室温でガラス瓶中に28日間貯蔵した後、粘度を同じ試験プロトコルを使用して再測定したところ、24,505mPa.sへのわずかな増加を伴ってかなり一定のままであることが分かった。
【0065】
実施例5
25℃で2,163mPa.sの粘度を有する200gのジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサンを、Hauschild製のDAC 600 FVZ/VAC-P型SpeedMixer(商標)のプラスチック容器に導入した。
次いで、0.51gのテトラn-ブトキシチタンをジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサンに添加した。容器に蓋をして、成分の初期重量、容器及び蓋を一緒に秤量した。
【0066】
次いで、成分を、Hauschild製のDAC 600 FVZ/VAC-P型SpeedMixer(商標)内で以下のとおり混合した。
大気圧2350rpmで2分間、次いで
真空下2350rpmで2分間、次いで
混合せずに真空下で6分間放置した。
この手順を4回繰り返した。すなわち、成分を
大気圧2350rpmで更に2分間、次いで真空下2350rpmで更に2分間再び混合し、最後に混合せずに真空下で更に6分間放置した。
【0067】
上記混合レジームの完了後、得られた反応生成物、容器及び蓋を再秤量して、揮発性アルコールの抽出による重量喪失を決定した。
初期重量は277.01gであった。
最終重量は276.6gであった。
重量喪失=0.41g
得られた重量喪失0.41gは、再び、チタネート触媒(第1の成分)と直鎖又は分岐鎖ポリジオルガノシロキサン(第2の成分)との間の反応の副生成物として抽出可能なアルコール含有量の約95.2%を占める。
【0068】
上記プロセスを介して生成されたチタン系反応生成物の粘度は、1s-1のせん断速度で0.3mmの間隙を有する直径25mmの回転プレートを備えたAnton Paar GmbH Graz,Austria製のModular Compact Rheometer(MCR)302を使用して54245mPa.sであると決定された。
【0069】
次いで、チタン系反応生成物を室温でガラス瓶中に28日間貯蔵した後、粘度を同じ試験プロトコルを使用して再測定したところ、67132mPa.sまで増加していることが分かった。
【0070】
実施例6
この実施例では、第2の成分を第1の成分に導入するというあまり好ましくない選択肢を使用して、チタン系反応生成物を首尾よく調製した。
【0071】
59.088gのテトラnブトキシチタンを、Hauschild製のDAC 600 FVZ/VAC-P型SpeedMixer(商標)のプラスチック容器に導入した。次いで、267.339gのOH末端ポリジメチルシロキサン(25℃で70mPa.sの粘度)を添加し、真空下2300rpmで2分間、3回混合した。
15gの上記生成物を、15gのトリメトキシシリル末端ポリジメチルシロキサン(25℃で約2,000mPa.sの粘度)と、歯科用ミキサーにおいて3500rpmで30秒間混合し、約30分でゲル化材料を得た。
【0072】
実施例7
25℃で803mPa.sの粘度を有する199.961gのジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサンを、Hauschild製のDAC 600 FVZ/VAC-P型SpeedMixer(商標)のプラスチック容器に導入した。
次いで、1.290gのテトラt-ブトキシチタンをジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサンに添加した。容器に蓋をして、成分の初期重量、容器及び蓋を一緒に秤量した。
【0073】
次いで、成分を、Hauschild製のDAC 600 FVZ/VAC-P型SpeedMixer(商標)内で、真空なし2350rpmで2分間、次いで真空下2350rpmで2分間、及び撹拌せずに真空下で6分間混合した。この混合レジームを更に4回繰り返した。
【0074】
混合レジームの完了後、容器、蓋及び得られた反応生成物を再秤量して、揮発性アルコールの抽出による重量喪失を決定した。
初期重量は277.524gであった。
最終重量は276.470gであった。
重量喪失=1.054g
得られた重量喪失1.054gは、再び、チタネート触媒(成分1)とポリマー(成分2)との間の反応の副生成物として抽出可能なアルコール含有量の約93.8%を占める。計算されたSi-OH/Tiモル比は、ポリマーの平均分子量を約14,800と仮定して、約7.1:1であった。
【0075】
実施例8:部分的トリメチルシリル末端OH末端PDMS
この実施例では、成分(a)を第1の成分、第2の成分及び第3の成分を用いて調製した。12.5モル%のトリメチルシリル末端基及び87.5モル%のジメチルシラノール末端基を有する200gのポリジメチルシロキサン(25℃で12,225mPa.sの粘度)と、0.217gのテトライソプロポキシチタンとを、Hauschild製のDAC 600 FVZ/VAC-P型SpeedMixer(商標)のプラスチック容器に導入した。容器に蓋をして、成分の初期重量、容器及び蓋を一緒に秤量した。混合物を、真空下2350rpmで4分間、スピードミキサーで混合し、次いで、混合せずに真空下で6分間放置した。この混合手順を2回繰り返した。
【0076】
上記混合レジームの完了後、得られた反応生成物、容器及び蓋を再秤量して、揮発性アルコールの抽出による重量喪失を決定した。重量喪失は=0.242gであると決定された。得られた重量喪失0.41gは、チタネート触媒(第1の成分)とポリマー(第2の成分)との間の反応の副生成物として抽出可能なアルコール含有量の約100%を占める。
【0077】
上記プロセスを介して生成された反応生成物の粘度は、Anton Paar MCR 302レオメーターを用いて、回転25mmプレートプローブを使用して、25℃及び1s-1のせん断速度で、69,545mPa.sであると決定された。
【0078】
30gの上記調製生成物を使用して、3500rpmで30秒間、歯科用ミキサーを使用して、以下の表に記載されている水部を添加して、実施例8aのA部を作製した。15gの調製物を15gのB部と、歯科用ミキサーにおいて3500rpmで30秒間混合した。先に記載したのと同じ方法を用いたゲル化時間は19分であり、これは先に記載した比較例よりもはるかに速い。
【0079】
比較実施例1
通常、ジルコネートはチタネートと非常に類似して機能するが、この場合、予想外に、ジルコネートを用いて本明細書のプロセスを繰り返しても、類似のジルコニウム反応生成物を生成することができなかった。
25℃で803mPa.sの粘度を有する200.13 gのジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサンを、Hauschild製のDAC 600 FVZ/VAC-P型SpeedMixer(商標)のプラスチック容器に導入した。
次いで、ブタノール中80%のジルコニウム(IV)n-ブトキシド1.345gを、ジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサンに添加した。容器に蓋をして、成分の初期重量、容器及び蓋を一緒に秤量した。
【0080】
次いで、成分を、Hauschild製のDAC 600 FVZ/VAC-P型SpeedMixer(商標)内で、真空下2350rpmで6分間混合した。この混合手順を4回繰り返した。
【0081】
上記混合レジームの完了後、容器、蓋及び得られた反応生成物を再秤量して、揮発性アルコールの抽出による重量喪失を決定した。
初期重量は277.744g gであった。
最終重量は277.567gであった。
重量喪失=0.177g
得られた喪失0.177gは、ジルコニウム触媒からのブタノール溶媒に起因する。材料の初期粘度は、Anton Paar GmbH Graz,Austria製のModular Compact Rheometer(MCR)302を使用して、0.3mmの間隙を有する直径25mmの回転プレートを用いて、1s-1のせん断速度で測定して、1050mPa.sであると決定された。
この粘度は、直鎖又は分岐鎖ポリジオルガノシロキサンの初期粘度よりわずかに高いだけであり、反応が起こらなかったことを示している。
【0082】
上記実施例1で作製されたチタン系反応生成物を触媒及びポリマーとして使用する硬化シリコーン組成物
先に示したように、本明細書に記載されるチタン系反応生成物は、縮合硬化性シリコーン組成物を硬化させるための硬化剤中の触媒として、又は硬化剤として機能し、更に、チタン系反応生成物は、末端位置上の化学的に利用可能なシラノール基(Si-OH)が、本明細書のチタン系反応生成物がシリコーン組成物の硬化プロセスに関与できるようにすることを考慮すると、そのような組成物中で利用される一部又は更には全ての標準的なシリコーンポリマーを追加的に置き換え得る。以下の表は、触媒及びポリマーとして上記実施例のチタン系反応生成物を使用して調製された一連の組成物の詳細を提供する。これらは、単に、本明細書に開示されるチタン系反応生成物がこれらの役割に成功することの適合性の証拠として提供される。上記実施例のチタン系反応生成物が以下の表の組成物を硬化させる能力は、与えられたゲル化時間又は非流動時間から分かる。それぞれの成分の量は、別途記載のない限り、それぞれの実施例において重量部で提供される。
【0083】
混合方法
Hauschild&Co.KG Germany製のSpeedMixer(商標)DAC 150 FVを使用して、混合物を調製した。本明細書でA部及びB部と称される2部型組成物のうちの2つの部を、表1に従って別々に調製した。A部は、上記実施例1で調製されたチタン系反応生成物であり、部毎のそれぞれの成分を、プロセスの最後に合計30gに達するように添加し、次いで3500回転/分(rpm)で30秒間混合した。次に、A部とB部を1:1の重量比で、3500rpmで更に30秒間混合し、その後、調製したサンプル毎の非流動時間を以下の手順を用いて決定した。
【0084】
非流動時間
これらの実施例の目的のために、非流動時間は、23~25℃の室温及び50%相対湿度(RH)での手動評価プロセスであった。表1に示した値は、容器を90°(すなわち、垂直に)傾斜させたときに目視検査によって材料が流動を停止する時点であった。
【0085】
【表1】
【0086】
架橋剤1(重量%)は、トリメトキシシリル末端ポリジメチルシロキサン(粘度約2,000mPa.s)である。
【0087】
以下の場合では、組成物は、30gのA部を以下の表に記載されるようなそれぞれの重量のB部と混合することによって作製された。A部及びB部を歯科用ミキサーにて3500rpmで30秒間混合し、ゲル化時間を本明細書に記載されるように測定した。
【0088】
表1bに示される配合物において、2つの水源が存在し、水はB部組成物中に添加されるが、水は、組成物中に導入されるときの充填剤中にも存在する。
【0089】
【表2】
【0090】
Aerosil(商標)R 974は、Evonikから市販されている200m/gの比表面積を有する親水性ヒュームドシリカをベースとする、ジメチルジクロロシランで処理された疎水性ヒュームドシリカである。WINNOFIL(商標)SPMは、Imerysから市販されている超微細被覆沈降式炭酸カルシウムである。CAB-O-SIL(商標)LM-150は、Cabot Corporationから市販されている未処理の低表面積親水性ヒュームドシリカである。
【0091】
上記実施例1で作製されたチタン系反応生成物を触媒及びポリマーとして使用する硬化シリコーン組成物
これらの実施例では、上記実施例2のチタン系反応生成物を触媒/直鎖又は分岐鎖ポリジオルガノシロキサンとして使用し、標準シラン架橋剤と混合したが、架橋剤に関係なく短いゲル化時間が達成されたことが分かり得る。
【0092】
ゲル化時間
ゲル化時間は、貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G’’が一致する時間として定義される。G’’/G’の値は、時にはtanδと呼ばれ、ゲル化点は、tanδ=G’’/G’=1のときであると理解されるべきである。G’及びG’’の測定は、前述のAnton Paar GmbH of Graz,Austria製のModular Compact Rheometer(MCR)302を使用して、0.3mmの間隙を有する直径25mmの回転プレートを使用して行った。
tanδ=G’’/G’が1に等しくなると(又は1未満になる)とすぐに、硬化材料はゲル化したと見なされる。別途記載のない限り、これらの試験は25℃の温度で行われた。
【0093】
未硬化材料は、Modular Compact Rheometer内で、0.3mmの間隙で分離された2枚のプレートの間に配置される。上部プレートは典型的には直径25mmであり、過剰な材料はティッシュ又はスパチュラで除去される。回転振動は、10rad/sの角周波数及び1%のせん断ひずみで行われる。測定は、最初に下降対数ランプで30秒毎に行われる。例えば、1500点の後、測定は17.5分毎に行われる。ゲル化時間は、生成物が混合されたときと、貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G’’が一致するとき、すなわち、tanδがレオメーター上で1以下(≦)であるときとの間の時間間隔として定義される。この時間は、試験下の材料が自由に流れなくなる時間にほぼ等しい。
【0094】
【表3】
【0095】
表3aにおいて、上記実施例4のチタン系反応生成物は、触媒として使用され、ポリマーの必要性に取って代わる。
【0096】
【表4】
【0097】
実施例4の反応生成物(すなわち、A部)を室温及び50%相対湿度(RH)曝露で28日間エージングした後に、A部及びB部を混合した。
【0098】
表の成分を、それを高速ミキサーに添加した直後に2300rpmで30秒間、段階的に混合することによって、部Bを調製した。
【0099】
以下の実施例で使用される組成物は、部Aと部Bとを共に高速ミキサーで混合することによって製造した。部Aと部Bとを高速ミキサーに導入し、次いで、毎分2300回転(rpm)の速度で30秒間、4回混合した。得られた混合物をアルミニウムカップ内及びガラス基材表面上に注ぎ、室温にて7日間放置して硬化させた。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタン系反応生成物の調製方法であって、
(i)第1の成分である、2~4個のアルコキシ基を有するアルコキシチタン化合物を、第2の成分である、1分子中に少なくとも2個の末端シラノール基を有し、25℃で30~300000mPa.sの粘度を有する直鎖又は分岐鎖ポリジオルガノシロキサンと混合する工程と、
(ii)前記第1の成分及び前記第2の成分を、真空下で撹拌することによって一緒に反応できるようにして、反応生成物を形成する工程と、
(iii)工程(ii)の前記反応生成物を回収する工程と、を含む、チタン系反応生成物の調製方法。
【請求項2】
前記第1の成分は、Ti(OR)、Ti(OR)、Ti(OR) 、又はキレート化アルコキシチタン分子であり、2個のアルコキシ(OR)基が存在し、キレートがチタン原子に2回結合しており、式中、Rは、1~20個の炭素を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、各Rは、同じか又は異なってもよく、それぞれの場合において最大10個の炭素を有するアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基から選択される、請求項1に記載のチタン系反応生成物の調製方法。
【請求項3】
前記第2の成分である1分子中に少なくとも2個の末端シラノール基を有する前記ポリジアルキルシロキサンは、ジアルキルシラノール末端ポリジメチルシロキサンである、請求項1又は2に記載のチタン系反応生成物の調製方法。
【請求項4】
前記第2の成分は、25℃で70~20,000mPa.sの粘度を有する、請求項1又は2に記載のチタン系反応生成物の調製方法。
【請求項5】
前記反応は真空下で行われて、前記反応中に生成されるアルコール性副生成物の総量の少なくとも50重量%が除去される、請求項1又は2に記載のチタン系反応生成物の調製方法。
【請求項6】
前記チタン系反応生成物は、25℃で500~1,000,000mPa.sの粘度を有する、請求項1又は2に記載のチタン系反応生成物の調製方法。
【請求項7】
第3の成分である、1分子中に1個の末端シラノール基を有するポリジアルキルシロキサンは、工程(i)で導入される、請求項1又は2に記載のチタン系反応生成物の調製方法。
【請求項8】
工程(i)において、前記第1の成分は前記第2の成分に添加される、請求項1又は2に記載のチタン系反応生成物の調製方法。
【請求項9】
工程(i)において、前記第2の成分は前記第1の成分に添加される、請求項1又は2に記載のチタン系反応生成物の調製方法。
【請求項10】
第1の成分がTi(OR)である場合の前記反応の主反応生成物は、
(RO)Ti((OSiR -OH)4-n (2)
の混合物であり、式中、Rは1~20個の炭素を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、nは0、1又は2であり、mは前記第2の成分の前記粘度を示す整数である、請求項1又は2に記載のチタン系反応生成物の調製方法。
【請求項11】
第1の成分が実質的にTi(OR)である場合の前記反応の主反応生成物は、
(RO)Ti((OSiR -OH)3-a (4)
の混合物であり、式中、Rは1~20個の炭素を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、それぞれのRは、同じか又は異なってもよく、それぞれの場合において最大10個の炭素を有するアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基から選択され、aは0又は1であり、mは前記第2の成分の前記粘度を示す整数である、請求項1又は2に記載のチタン系反応生成物の調製方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法によって調製される、チタン系反応生成物。
【請求項13】
請求項1に記載の方法によって得られる又は得ることが可能である、チタン系反応生成物。
【請求項14】
縮合硬化性シリコーンエラストマー組成物のための触媒としての、請求項12又は13に記載のチタン系反応生成物の使用。
【請求項15】
縮合硬化性シリコーンエラストマー組成物中のシリコーンポリマー及び触媒としての、請求項12又は13に記載のチタン系反応生成物の使用。
【国際調査報告】