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特表2023-552049シリコーン官能化ポリエチレン及び低密度ポリエチレンのブレンドを含む発泡体
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  • 特表-シリコーン官能化ポリエチレン及び低密度ポリエチレンのブレンドを含む発泡体 図1
  • 特表-シリコーン官能化ポリエチレン及び低密度ポリエチレンのブレンドを含む発泡体 図2A
  • 特表-シリコーン官能化ポリエチレン及び低密度ポリエチレンのブレンドを含む発泡体 図2B
  • 特表-シリコーン官能化ポリエチレン及び低密度ポリエチレンのブレンドを含む発泡体 図2C
  • 特表-シリコーン官能化ポリエチレン及び低密度ポリエチレンのブレンドを含む発泡体 図2D
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-14
(54)【発明の名称】シリコーン官能化ポリエチレン及び低密度ポリエチレンのブレンドを含む発泡体
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/04 20060101AFI20231207BHJP
   C08L 23/06 20060101ALI20231207BHJP
   C08L 23/26 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
C08J9/04 101
C08J9/04 CES
C08J9/04 CFH
C08L23/06
C08L23/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524871
(86)(22)【出願日】2021-10-29
(85)【翻訳文提出日】2023-04-24
(86)【国際出願番号】 US2021057321
(87)【国際公開番号】W WO2022094256
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】63/107,721
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ドーベル、ブライアン アール.
(72)【発明者】
【氏名】ハイチュ、アンドリュー ティ.
(72)【発明者】
【氏名】ウォン、アンソン ジー タット
(72)【発明者】
【氏名】コストー、ステファン
(72)【発明者】
【氏名】オズビー、ジョン オー.
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ジャン
【テーマコード(参考)】
4F074
4J002
【Fターム(参考)】
4F074AA20
4F074AA20B
4F074AA20D
4F074AA20E
4F074AA90B
4F074AA90D
4F074AA98
4F074BA32
4F074BA33
4F074BA37
4F074BA38
4F074BA39
4F074BA53
4F074CA29
4F074CC03X
4F074CC04X
4F074CC10X
4F074CC22X
4F074CC32X
4F074CC32Y
4F074CC34X
4F074CC34Y
4F074DA03
4F074DA32
4F074DA36
4F074DA57
4F074DA59
4J002BB031
4J002BB202
4J002DE016
4J002DF006
4J002EA016
4J002EB066
4J002FD326
4J002GA00
4J002GC00
4J002GG00
4J002GL00
4J002GQ00
(57)【要約】
様々な実施形態によれば、微孔質発泡体が提供され、微孔質発泡体は、ポリマーブレンドを含み、ポリマーブレンドは、70~95重量%の低密度ポリエチレン(LDPE)及び5~30重量%のポリジメチルシロキサングラフト化LDPE(PDMS-g-LDPE)を含み、微孔質発泡体が60μm未満の平均気泡サイズを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーブレンドを含む微孔質発泡体であって、
70~95重量%の低密度ポリエチレン(LDPE)及び
5~30重量%のポリジメチルシロキサングラフト化LDPE(PDMS-g-LDPE)を含み、
60μm未満の気泡サイズを有する、微孔質発泡体。
【請求項2】
前記微孔質発泡体が、80~90重量%のLDPE及び10~20重量%のPDMS-g-LDPEを含む、請求項1に記載の微孔質発泡体。
【請求項3】
前記LDPEが、0.916~0.935g/ccの密度及び0.5~10.0g/10分のメルトインデックス(I)を有する、請求項1又は2に記載の微孔質発泡体。
【請求項4】
前記PDMS-g-LDPEが、0.915~0.955g/ccの密度及び0.5~15.0g/10分のメルトインデックス(I)を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の微孔質発泡体。
【請求項5】
前記PDMS-g-LDPEが、前記PDMS-g-LDPEの重量に基づいて、1~40重量%のPDMSを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の微孔質発泡体。
【請求項6】
微孔質発泡体を製造する方法であって、
70~95重量%の低密度ポリエチレン(LDPE)と5~30重量%のポリジメチルシロキサングラフト化LDPE(PDMS-g-LDPE)とを混合することによってポリマーブレンドを製造することと、
前記ポリマーブレンドを、少なくとも75℃の温度及び少なくとも1000psigの圧力で、物理的発泡剤の存在下でバッチフォーマに導入することと、
浸漬された前記ポリマーブレンドを減圧して、5秒未満で60μm未満の気泡サイズを有する前記微孔質発泡体を製造することとを含む、方法。
【請求項7】
前記減圧が1秒未満で行われる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記減圧が、圧力を5psig未満に低下させる、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記物理的発泡剤が、イソブタン、窒素、二酸化炭素、n-ブタン、ペンタンの異性体、炭化水素、フルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、又はそれらの混合物を含む、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリマーブレンドが、少なくとも0.5時間にわたって前記バッチフォーマで維持される、請求項6~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記微孔質発泡体が、80~90重量%のLDPE及び5~20重量%のPDMS-g-LDPEを含む、請求項6~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記LDPEが、0.916~0.935g/ccの密度及び0.5~10.0g/10分のメルトインデックス(I)を有する、請求項6~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記PDMS-g-LDPEが、0.915~0.955g/ccの密度及び0.5~15.0g/10分のメルトインデックス(I)を有する、請求項6~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記PDMS-g-LDPEが、前記PDMS-g-LDPEの重量に基づいて、1~40重量%のPDMSを含む、請求項6~12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、エチレンポリマー発泡体に関し、より詳細には、シリコーン官能化ポリエチレン及び低密度ポリエチレンを使用して製造された発泡体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の熱可塑性発泡体は、良好な加工性並びに良好な機械的特性のために低密度ポリエチレン(LDPE)を利用する。とは言うものの、現在、機械的又は電気的特性を犠牲にすることなく、及び発泡プロセスの処理量を増加させることなく、より軽量の熱可塑性発泡体を製造する必要がある。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、ポリジメチルシロキサングラフト化LDPE(PDMS-g-LDPE)及びLDPEのポリマーブレンドを有する発泡体を製造することによってこの必要性を満たし、PDMSの組み込みは、改善された発泡体膨張比及び発泡体内のより小さい気泡サイズを提供する。改善された膨張比は、軽量化(すなわち、同じ厚さを得るために必要とされる材料がより少ない)をもたらすことができる一方、同様の発泡体密度におけるより小さい気泡サイズは、圧縮強度及び引張強度などの機械的特性を改善することができる。
【0004】
本開示の一実施形態によれば、微孔質発泡体が提供される。微孔質発泡体は、ポリマーブレンドを含み、ポリマーブレンドは、70~95重量%の低密度ポリエチレン(LDPE)及び5~30重量%のポリジメチルシロキサングラフト化LDPE(PDMS-g-LDPE)とを含み、微孔質発泡体は、60μm未満の気泡サイズを有する。
【0005】
本開示の別の実施形態によれば、微孔質発泡体を製造する方法が提供される。本方法は、70~95重量%の低密度ポリエチレン(LDPE)と5~30重量%のポリジメチルシロキサングラフト化LDPE(PDMS-g-LDPE)とを混合することとによってポリマーブレンドを製造することと、ポリマーブレンドを、少なくとも75℃の温度及び少なくとも1000psigの圧力で、物理的発泡剤の存在下でバッチ発泡ユニットに導入することと、浸漬されたポリマーブレンドを減圧して、60μm未満の平均気泡サイズを有する微孔質発泡体を製造することとを含む。
【0006】
これらの実施形態及び他の実施形態を、以下の発明を実施するための形態においてより詳しく記載する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本明細書に開示及び記載される実施形態による試料の溶融強度をグラフで示す。
図2A】本明細書に開示及び記載される実施形態による試料及び比較試料の気泡サイズを示す顕微鏡写真である。
図2B】本明細書に開示及び記載される実施形態による試料及び比較試料の気泡サイズを示す顕微鏡写真である。
図2C】本明細書に開示及び記載される実施形態による試料及び比較試料の気泡サイズを示す顕微鏡写真である。
図2D】本明細書に開示及び記載される実施形態による試料及び比較試料の気泡サイズを示す顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここで、本出願の特定の実施形態を説明する。しかしながら、本開示は、異なる形態で具体化されてもよく、本開示に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、この開示が、徹底的かつ完全なものとなり、本主題の範囲を当業者に十分に伝えるものとなるように提供される。
【0009】
定義
元素周期律表への言及はいずれも、国際純正・応用化学連合(International Union of Pure and Applied Chemistry、IUPAC)周期律表への言及である。
【0010】
本明細書に開示される数値範囲は、上限値及び下限値を含む、下限値から上限値までの全ての値を含む。明示的な値(例えば、1又は2、又は3~5、又は6、又は7)を含む範囲の場合、任意の2つの明示的な値の間のあらゆるサブ範囲が含まれる(例えば、上記の1~7の範囲は、1~2、2~6、5~7、3~75~6などのサブ範囲を含む)。
【0011】
相反する記載がない限り、文脈から黙示的でない限り、又は当該技術分野で慣習的でない限り、全ての部及びパーセントは重量に基づき、全ての試験方法は本開示の出願日時点で最新のものである。
【0012】
「組成物」という用語は、組成物を含む材料の混合物、並びに組成物の材料から形成された反応生成物及び分解生成物を指す。
【0013】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、及びそれらの派生語は、それが具体的に開示されているかどうかにかかわらず、いかなる追加の構成要素、工程、又は手順の存在も除外することを意図していない。対照的に、「~から本質的になる」という用語は、任意の後続の詳述の範囲から、操作性に必要不可欠ではないものを除き、任意の他の成分、工程、又は手順を除外する。「~からなる」という用語は、具体的に記述又は列挙されていない任意の構成要素、工程、又は手順を除外する。「又は」という用語は、別途明記しない限り、列挙された項目を個々に、並びに任意の組み合わせで指す。単数形の使用は、複数形の使用を含み、その逆もまた同様である。
【0014】
「ポリマー」という用語は、ポリマーを構成する複数の及び/若しくは繰り返しの「単位」を重合形態で提供する、同じタイプ又は異なるタイプのモノマーを重合することによって調製されるポリマー化合物を指す。したがって、ポリマーという総称は、1つの種類のモノマーのみから調製されたポリマーを指すために通常用いられる「ホモポリマー」という用語、同様に2つ以上の異なるモノマーから調製されたポリマーを指す「コポリマー」を包含する。ポリマーは、多くの場合、1つ以上の特定のモノマー「で作製され」、特定のモノマー又はモノマータイプに「基づいて」、特定のモノマー含量を「含む」などと称されるが、この文脈では、「モノマー」という用語は、特定のモノマーの重合残基を指すと理解されることに留意されたい。
【0015】
本明細書で使用される場合、「ブレンド」又は「ポリマーブレンド」という用語は、2つ以上のポリマーの混合物を指す。ブレンドは、混和性であっても混和性でなくてもよい(分子レベルで相分離していない)。ブレンドは、相分離していても、相分離していなくてもよい。ブレンドは、マクロレベル(例えば、溶融ブレンド樹脂若しくは配合)又はミクロレベル(例えば、同じ反応器内での同時成形)で2つ以上のポリマーを物理的に混合することによって達成され得る。
【0016】
「ポリエチレン」又は「エチレンポリマー」又は「エチレン系ポリマー」は、50モル%超のエチレンモノマーに由来している単位を含むポリマーを意味するものとする。これは、ポリエチレンホモポリマー又はコポリマー(2つ以上のコモノマーに由来する単位を意味する)を含む。当該技術分野において既知のポリエチレンの一般的な形態は、低密度ポリエチレン(Low Density Polyethylene、LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(Linear Low Density Polyethylene、LLDPE)、極低密度ポリエチレン(Ultra Low Density Polyethylene、ULDPE)、超低密度ポリエチレン(Very Low Density Polyethylene、VLDPE)、中密度ポリエチレン(Medium Density Polyethylene、MDPE)、並びに高密度ポリエチレン(High Density Polyethylene、HDPE)が挙げられる。
【0017】
「LDPE」という用語はまた、「高圧エチレンポリマー」又は「高度分岐ポリエチレン」と称されてもよく、ポリマーが、ペルオキシドなどのフリーラジカル開始剤を用いて、14,500psig(100MPa)超の圧力でオートクレーブ又は管型反応器中で部分的又は完全にホモポリマー化されるか、又はコポリマー化されることを意味するように定義される(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,599,392号を参照のこと)。LDPE樹脂は、典型的には、0.916~0.935g/ccの範囲の密度を有する。
【0018】
本明細書で使用される場合、用語「シロキサン」は、ポリシロキサン及びより低分子量のシロキサンを含む。実施形態において、シロキサンは、以下に記載される様々な末端基を有するポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane、PDMS)である。
【0019】
本明細書で使用される場合、「発泡体」及び「発泡体組成物」という用語は、ポリマーから構成された構造を指し、構造の表面から構造中に、及びそれを通って延在する複数のチャネルを含む。チャネルは、構造の長手方向延長部に対して方向性がない。チャネルは、外部雰囲気と流体連通している複数の発泡体気泡を含む。本明細書で使用するとき、「発泡体気泡」又は「気泡」という用語は、発泡体組成物内の別個の空間である。発泡体気泡は、発泡体組成物のポリマーを含む膜壁によって分離されるか、又は別様に定義される。
【0020】
本明細書で使用される場合、「物理的発泡剤」という用語は、それらの条件でポリマー組成物に十分に可溶性であることにより、押出条件下でポリマー組成物中に溶解され、(ii)発泡性組成物がダイを出るときに発泡体組成物の形成中に遭遇する条件下(温度、圧力)の下で溶液から出てくる化合物、又は組成物である。物理的発泡剤は、押出条件下でポリマーブレンドに添加されて、発泡性組成物を形成する。本明細書で使用される場合、「発泡性組成物」という用語は、押出条件下でのポリマーブレンドと物理的発泡剤との混合物である。
【0021】
本明細書で使用される場合、用語「微孔質発泡体」は、70μm未満の平均気泡サイズを有する発泡体を意味する。微孔質発泡体は、独立気泡発泡体又は連続気泡発泡体を包含し得る。
【0022】
「発泡温度」という用語は、発泡体押出機又は他の好適な熱交換器、冷却セクション、又は出口ダイのすぐ上流に位置する他の好適な熱交換器の冷却セクションにおける最終設定温度を指す。例えば、発泡温度は、発泡性組成物を冷却するために使用される押出機の最後のゾーンの設定温度であり得る。設定温度は、出口ダイで測定される押出物(発泡性組成物)溶融温度とは異なっていても、又は異なっていなくてもよい。
【0023】
本開示の実施形態は、70~95重量%の低密度ポリエチレン(LDPE)及び5~30重量%のポリジメチルシロキサングラフト化LDPE(PDMS-g-LDPE)を含むポリマーブレンドを含む微孔質発泡体であって、60μm未満の平均気泡サイズを有する微孔質発泡体に関する。さらなる実施形態において、微孔質発泡体は、50μm未満の平均気泡サイズを有し得ることが企図される。言い換えれば、微孔質発泡体は、40μm~60μmの平均気泡サイズを有する。さらなる実施形態において、微孔質発泡体は、80~90重量%のLDPE及び10~20重量%のPDMS-g-LDPEを含む。
【0024】
1つ以上の実施形態では、ポリジメチルシロキサングラフト化LDPE(PDMS-g-LDPE)は、エチレン系ポリマー(例えば、LDPE)の一部が1つ以上のケイ素原子に結合している構造である。特定の実施形態において、少なくとも1つのLDPEは、ケイ素原子でシロキサンに結合している。PDMS-g-LDPEは、エチレンモノマーとPDMSとを反応させることによって、又はエチレンモノマーと1つ以上のポリジメチルシロキサンとを反応させることによって、高圧フリーラジカル重合によって形成され得る。一実施形態では、ポリジメチルシロキサングラフト化LDPEは、ラジカル化PDMS分子上へのLDPEのフリーラジカルグラフト化によって形成される。
【0025】
本明細書に記載される様々な実施形態において、ポリシロキサンは、1つ以上の官能基を含むポリジメチルシロキサン(PDMS)であり、したがって、官能化PDMS又はf-PDMSと称される。様々な実施形態では、f-PDMSは、(メタ)アクリレートエステル官能化PDMSであり、(メタ)アクリレートエステル基は、架橋基を介してPDMSに結合している。PDMSは、単官能性又は二官能性又は多官能性であってもよく、官能基(複数可)は、シロキサン上の末端又はペンダント位置で連結されてもよい。
【0026】
当業者によく知られているように、ポリジメチルシロキサンは、各ケイ素原子に結合した2つのメチル基を含む。好適なPDMS化合物及びPDMS-g-LDPE化合物としては、米国特許第8,691,923号に教示されているものが挙げられ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0027】
あるいは、PDMS-g-LDPEのPDMSは、LDPEとの反応プロセスの前に、又は別個に製造されてもよい。連鎖移動剤(chain transfer agent、CTA)は、典型的には、フリーラジカル重合プロセスでメルトインデックスを制御するために使用される。連鎖移動は、ポリマー鎖の成長の停止に関連し、したがって、ポリマー材料の最終的な分子量を制限する。連鎖移動剤は、典型的には、成長中のポリマー鎖と反応し、鎖の重合反応を停止させる水素原子ドナーである。高圧フリーラジカル重合の場合、これらの薬剤は、飽和炭化水素、不飽和炭化水素、アルデヒド、ケトン、又はアルコールなどの多くの異なるタイプのものであり得る。使用され得る典型的なCTAとしては、プロピレン、イソブタン、n-ブタン、1-ブテン、メチルエチルケトン、プロピオンアルデヒド、ISOPAR(エクソンモービルケミカル)、及びイソプロパノールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
一実施形態において、フリーラジカル開始剤が、PDMSから抽出可能な水素を抽出することによってPDMS上のグラフト部位を開始するプロセスにおいて使用され得る。フリーラジカル開始剤の例としては、過酸化物及びアゾ化合物などの前述のフリーラジカル開始剤が挙げられる。一実施形態では、電離放射線を使用して、抽出可能な水素を遊離させ、PDMS上にラジカル化部位を生成することもできる。誘起開始剤は、抽出可能な水素を抽出する、例えば、ジクミルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、t-ブチルペルベンゾエート、ベンゾイルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t-ブチルペルオクトエート、メチルエチルケトンペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、過酸化ラウリル、及び過酢酸tert-ブチル、t-ブチルα-クミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、ジ-t-アミルペルオキシド、t-アミルペルオキシベンゾエート、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、α-α’-ビス(t-ブチルペルオキシ)-1,3-ジイソプロピルベンゼン、α-α’-ビス(t-ブチルペルオキシ)-1,4-ジイソプロピルベンゼン、2,5-ビス(t-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、及び2,5-ビス(t-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチル-3-ヘキシンを使用するのに好適な手段である。好適なアゾ化合物はアゾビスイソブチルニトライトである。
【0029】
一実施形態では、PDMS-g-LDPEは、1つ以上の安定剤、例えば、酸化防止剤(IRGANOX1010及びIRGAFOS168(Ciba Specialty Chemicals、スイス、グラットブルグ)で処理され得る。一般に、ポリマーは、押出又は他の溶融プロセスの前に1つ以上の安定剤で処理される。一実施形態では、他の重合体の添加剤には、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、染料、核形成剤、充填剤、スリップ剤、難燃剤、可塑剤、加工助剤、潤滑剤、安定剤、煙抑制剤、粘度調整剤、及び粘着防止剤が挙げられるが、これらに限定されない。PDMS-g-LDPE組成物は、例えば、PDMS-g-LDPEの重量に基づいて、合計重量で10%未満の1つ以上の添加剤を含み得る。
【0030】
PDMS-g-LDPEがさらに配合されてもよい。1つのPDMS-g-LDPE組成物において、1つ以上の抗酸化剤が、ポリマー中にさらに配合され得、配合されたポリマーはペレット化される。エチレン系ポリマー組成物は、任意の量の1つ以上の酸化防止剤を含有し得る。例えば、エチレン系ポリマー組成物は、エチレン系ポリマー組成物100万部当たり、200~600部の1つ以上のフェノール系酸化防止剤を含み得る。加えて、エチレン系ポリマー組成物は、エチレン系ポリマー組成物100万部当たり、800~1200部のホスファイト系酸化防止剤を含み得る。配合ポリマーは、ポリマー100万部当たり300~1250部のステアリン酸カルシウムをさらに含み得る。
【0031】
PDMS-g-LDPE及びLDPEの特性
一実施形態では、PDMS-g-LDPEは、13C核磁気共鳴(NMR)によって決定される、1000個の炭素原子当たり少なくとも0.15、又は少なくとも0.5、又は少なくとも0.8単位のアミル基を含む。一実施形態では、PDMS-g-LDPEは、13C NMRによって決定される、少なくとも1、又は少なくとも1.2、又は少なくとも1.4単位のC+分岐を含む。
【0032】
一実施形態では、PDMS-g-LDPEは、13C NMRによって決定されるように、感知できるメチル分岐を含まない。一実施形態では、PDMS-g-LDPEは、13C NMRによって決定される、感知できるプロピル分岐を含まない。一実施形態では、PDMS-g-LDPEは、13C NMRによって決定される、1000個の炭素原子当たり5個以下、又は3個以下、又は2個以下のアミル基の単位を含む。
【0033】
一実施形態において、PDMS-g-LDPEは、少なくとも0.925g/cm、又は0.925~0.950g/cmの密度を有する。LDPEは、0.916~0.935g/cm又は0.916~0.925g/cmの密度を有し得る。LDPEは、0.15~10.0g/10分、又は0.5~3.0g/10分、又は1.5~2.5g/10分のメルトインデックス(I)を有し得る。
【0034】
さらに、PDMS-g-LDPEは、10未満、又は5未満、又は3未満のメルトインデックス(I)を有する。逆に、PDMS-g-LDPEは、0.5超又は1.0超のメルトインデックス(I)を有する。
【0035】
一実施形態では、PDMS-g-LDPEは、少なくとも13、又は少なくとも20、又は少なくとも40、又は少なくとも100、又は少なくとも200のメルトフロー比(I10/I)を有する。さらに、PDMS-g-LDPEは、0.5~15.0g/10分のメルトインデックス(I)を有し得る。別の実施形態において、PDMS-g-LDPEは、少なくとも100又は少なくとも200のメルトフロー比(I10/I2)を有する。一実施形態では、PDMS-g-LDPEは、5未満のI及び13超のI10/Iを有する。別の実施形態では、先行する実施形態のいずれかのPDMS-g-LDPEは、5未満又は3未満のI及び30超又は40超のI10/Iを有する。さらに別の実施形態では、前述の実施形態のいずれかのPDMS-g-LDPEは、20未満又は15未満のI及び12超のI10/Iを有する。別の実施形態では、PDMS-g-LDPEは、5~50、又は7.0~50.0、又は7~25、又は7~10、又は5~10の分子量分布(MWD=Mw/Mn)を有する。MWDは、以下に詳述されるようにゲル浸透クロマトグラフィを使用して決定される。さらに、PDMS-g-LDPEは、以下に定義される方法論によって測定されるように、少なくとも5cNの溶融強度を有する。
【0036】
一実施形態では、PDMS-g-LDPEは、PDMS-g-LDPEの重量に基づいて1~40重量パーセントのPDMS、又はPDMS-g-LDPEの重量に基づいて1~20重量%のPDMS、又はPDMS-g-LDPEの重量に基づいて1~15重量%のPDMSを含む。
【0037】
微孔質発泡体の作製方法
1つ以上の実施形態によれば、微孔質発泡体は、最初に、70~95重量%の低密度ポリエチレン(LDPE)と5~30重量%のポリジメチルシロキサングラフト化LDPE(PDMS-g-LDPE)とを混合することによってポリマーブレンドを生成することによって製造され得る。ブレンドは、当業者によく知られている様々な方法によって製造することができる。例えば、成分を押出機又はミキサー中でブレンド(例えば、溶融ブレンド)してもよい。次いで、ポリマーブレンドを、発泡剤の存在下、少なくとも75℃の温度及び少なくとも1000psigの圧力でバッチフォーマに通し、次いで、ポリマーブレンドを急速に減圧して、60μm未満の気泡サイズを有する微孔質発泡体を製造する。
【0038】
1つ以上の実施形態では、ポリマーブレンドは、少なくとも2時間、又は少なくとも4時間にわたってバッチフォーマ中に浸漬される。代替的な実施形態では、浸漬は、100℃以上、又は125℃以上の温度で行われ得る。さらに、浸漬工程は、1200psig以上の圧力で行うことができる。多くの実施形態が、バッチフォーマに適していると考えられる。これらのバッチフォーマユニットは、以下に詳述する押出機を含み得る。理論にしばられるものではないが、温度と圧力は、(i)発泡剤が押出機又は他の好適な溶融加工機器内のポリマー組成物及び/又は発泡性組成物の膨張を防止するために、かつ(ii)ポリマー組成物内の発泡剤の均質な分散を可能にするために、十分に高い圧力を含む。
【0039】
1つ以上の実施形態では、減圧は、30秒未満、又は5秒未満、又は1秒未満で起こり得る。一実施形態において、減圧は、圧力を1psig未満に低下させ得る。
【0040】
上記のように、PDMS-g-LDPEに加えて、発泡体が形成される組成物は、物理的発泡剤を含む。1つ以上の実施形態では、物理的発泡剤は、イソブタン、窒素、二酸化炭素、n-ブタン、ペンタンの異性体、炭化水素、フルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、若しくはこれらの混合物、若しくはこれらの混合物を含む。物理的発泡剤、(例えば、イソブタン又はCO)は、特定の実施形態に応じて、発泡性組成物の総重量に基づいて、0.5~30重量%、又は2~25重量%、又は5~20重量%、又は8~15重量%の量で存在し得る。実施形態では、PDMS-g-LDPEは、発泡性組成物中にPDMS-g-LDPEを含まない同様の発泡性組成物(例えば、LDPE及び発泡剤を含む組成物)と比較して物理的発泡剤の量を減少させることができるように、改善された発泡効率を示す。
【0041】
他の実施形態では、浸透性調整剤、気泡核形成剤、オレフィンポリマー、帯電防止剤、顔料、充填剤、又は当技術分野で公知であり使用されている他の添加剤などの1つ以上の追加の成分が、ポリマー組成物に添加され得る。
【0042】
気泡核形成剤は、押出物に添加されると、1つ以上の発泡体気泡の形成を促進し、より小さい気泡サイズ及びより高い気泡密度をもたらすことができる。1つ以上の実施形態では、気泡核形成剤は、タルク又は炭酸カルシウム又は化学的発泡剤であり得る。例えば、気泡核形成剤は、タルクコーティングとして押出物に添加されてもよい。含まれる場合、気泡核形成剤は、発泡性組成物の総重量に基づいて、0.01~10.0重量%の量で存在し得る。1つ以上の実施形態では、PDMS-g-LDPEは、成核剤としても作用することができる。
【0043】
さらに、1つ以上の帯電防止剤、顔料、充填剤、又は他の添加剤が組成物中に含まれてもよい。他の添加剤としては、例えば、酸化防止剤、酸捕捉剤、紫外線吸収剤、難燃剤、加工助剤、押出助剤などが挙げられるが、これらに限定されない。存在する場合、このような添加剤は、発泡性組成物の総重量に基づいて、0超~20重量%の量で存在し得る。
【0044】
物理的発泡剤の添加に続いて、ポリマーブレンド及び物理的発泡剤を含む組成物(本明細書において「発泡性組成物」と称される)は、発泡温度に冷却される。例えば、発泡性組成物は、冷却押出機中で冷却することができる。1つ以上の実施形態では、発泡温度は、約50℃~約180℃である。例えば、発泡温度は、70℃~160℃、90℃~140℃、100℃~130℃、100℃~120℃、100℃~110℃、105℃~110℃、又は105℃~118℃であってもよい。
【0045】
発泡温度まで冷却した後、実施形態において、発泡性組成物は、冷却押出機の端部にある出口ダイから推進され、硬化されて発泡体組成物を形成する。発泡は、発泡性組成物が押出機のダイを通って押出機内の圧力と比較してより低い圧力の領域に出るときに達成され、その結果、発泡性組成物は、押出機の出口ダイを出るときに圧力低下を受ける。圧力低下は、物理的発泡剤に発泡性組成物を膨張させ、それによって発泡をもたらす。
【0046】
用途
本明細書に記載の発泡体の実施形態は、押出シート、ロッド、厚板、フィルムなどを含むがこれらに限定されない任意の既知の物理的形態であってもよい。このような発泡体は、例えば、クッションパッケージング、運動及びレクリエーション製品、卵カートン、肉トレイ、建築構造、音響絶縁ライナー、パイプ断熱材、ガスケット、振動パッド、ラゲッジライナー、デスクパッド、靴穴、体操用マット、温室用断熱ブランケット、ケースインサート、吸収性発泡体(例えば、健康及び衛生用途などのための浄化するための)及びディスプレイ発泡体に使用され得る。冷蔵のための断熱、浮力用途、並びに花及び工芸用途などの他の用途が企図され、可能である。
【0047】
試験方法
試験方法は、以下を含む。
【0048】
メルトインデックス(I)及び(I10
メルトインデックス(I)及びメルトインデックス(I10)は、ASTM D-1238に従って190℃で、それぞれ、2.16kg及び10kg方法Bで測定される。値をg/10分(又はdg/分)で報告し、これは10分当たりに溶出したグラムに対応する。
【0049】
密度
ポリマーの密度は、25℃においてASTM D792-08方法Bに従って測定し、グラム/立方センチメートル(g/cc又はg/cm)で報告する。
【0050】
溶融強度
溶融強度測定は、Gottfert Rheotester 2000キャピラリーレオメーターに結合されたGottfert Rheotens 71.97(Gottfert Inc.;Rock Hill,S.C.)で行った。溶融試料(約25~30グラム)を、長さ30mm、直径2.0mm、及びアスペクト比(長さ/直径)15の平坦な入口角度(180度)を備えたGoettfert Rheotester 2000細管レオメーターで供給した。試料を190℃で10分間平衡化した後、ピストンを0.265mm/秒の一定のピストン速度で稼働した。標準試験温度は190℃であった。試料を、ダイの100mm下に位置する一組の加速ニップに対して、2.4mm/秒の加速度で、一軸延伸した。引張力を、ニップロールの巻取速度の関数として記録した。溶融強度は、ストランドが破断する前のピーク又は最大プラトー力(cN)として示した。次の条件を、溶融強度測定で使用した:プランジャ速度=0.265mm/秒、ホイール加速度=2.4mm/秒、キャピラリー直径=2.0mm、キャピラリー長=30mm、及びバレル直径=12mm。
【0051】
ゲル浸透クロマトグラフィ(Gel Permeation Chromatography、GPC)
GPC系は、内部IR5赤外検出器(IR5 infra-red detector、IR5)を備えたPolymerChar GPC-IR(Valencia、Spain)高温GPCクロマトグラフ、及びPrecision Detectors(現在は、Agilent Technologies、Amherst、MA)2角レーザ光散乱(light scattering、LS)検出器モデル2040に結合された4-キャピラリー粘度計(4-capillary solution viscometer、DV)からなる。最後の2つの独立した検出器と、少なくとも1つの最初の検出器と、を有するGPCは、時に「3D-GPC」と称されるが、用語「GPC」単独では一般に従来のGPCを指す。全ての絶対光散乱測定に関して、15度角が測定に使用された。オートサンプラのオーブンコンパートメントは、160℃に操作され、カラムコンパートメントは、150℃に操作された。使用したカラムは、4本のAgilent「Mixed A」30cm、20マイクロメートルの線形混床式カラムであった。使用されたクロマトグラフィ溶媒は、1,2,4-トリクロロベンゼンであり、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(butylated hydroxytoluene、BHT)を含有していた。溶媒源を窒素でスパージした。ポリエチレン試料を160℃で4時間穏やかに撹拌した。注入量は、200μLであった。GPCを通る流量を、1mL/分に設定した。
【0052】
実施例を実行する前に、少なくとも20個の狭い分子量分布のポリスチレン標準物質を実行することによって、GPCカラムセットを較正した。標準の分子量(MW)は、1モル当たり580~8,400,000グラム/モルの範囲であり、標準物質には、6つの「カクテル」混合物が含有された。各標準混合物は、個々の分子量間に少なくとも一桁の間隔を有した。標準物質混合物は、Agilent Technologiesから購入された。ポリスチレン標準物質を、1,000,000g/mol以上の分子量について50mLの溶媒中0.025g、及び1,000,000g/mol未満の分子量について50mLの溶媒中0.05gで調製した。ポリスチレン標準物質を、80℃で30分間穏やかに撹拌しながら溶解した。狭い標準混合物を最初に、かつ分解を最小限に抑えるために最高分子量成分を減少させる順序で行った。ポリスチレン標準ピーク分子量を、式2を使用してポリエチレン分子量に変換した(Williams and Ward,J.Polym.Sci.,Polym.Let.,6,621(1968)に記載のように):
polyethylene=A×(Mpolystyrene (式2)
式中、Mはポリエチレンの分子量であり(マークされたように)、Aは0.43の値を有し、Bは1.0に等しい。
【0053】
第3次と第5次との間の多項式を使用して、それぞれのポリエチレン同等較正点に当てはめた。GPCカラムセットの総プレートカウントは、(50mLのTCB中0.04gで調製され、穏やかに撹拌しながら20分間溶解された)Eicosaneを用いて実施した。プレート計数(式3)及び対称性(式4)を、200μL注入で以下の式に従って測定した:
【0054】
【数1】

式中、RVは、mLでの保持体積であり、ピーク幅は、mLであり、ピーク最大値は、ピークの最大高さであり、1/2高さは、ピーク最大値の1/2の高さである。
【0055】
【数2】

式中、RVは、mLでの保持体積であり、ピーク幅は、mLであり、ピーク最大値は、ピークの最大位置であり、1/10高さは、ピーク最大値の1/10の高さであり、後方ピークは、ピーク最大値よりも後の保持体積でのピークテールを指し、前方ピークは、ピーク最大値よりも前の保持体積でのピーク前方を指す。クロマトグラフィシステムのプレートカウントは、24,000超であるべきであり、対称性は、0.98~1.22であるべきである。
【0056】
試料を、PolymerChar「Instrument Control」ソフトウェアを用いて半自動様式で調製し、2mg/mLを試料の目標重量とし、PolymerChar高温オートサンプラを介して、予め窒素スパージされたセプタキャップ付きバイアルに溶媒(200ppmのBHTを含有)を添加した。試料を、「低速」振盪しながら2時間160℃で溶解した。
【0057】
Mn(GPC)、Mw(GPC)、及びMz(GPC)は、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアと、等間隔の各データ収集点(i)においてベースラインを差し引いたIRクロマトグラフと、等式2からの点(i)における狭い標準較正曲線から得られたポリエチレン等価分子量とを使用して、等式5~7に従うPolymerChar GPC-IRクロマトグラフの内部IR5検出器(測定チャネルを使用して、GPC結果に基づいて算出した。
【0058】
【数3】
【0059】
経時的な偏差を監視するために、PolymerChar GPC-IRシステムで制御されたマイクロポンプを介して各試料に流量マーカー(デカン)を導入した。この流量マーカー(flow rate marker、FM)は、試料(RV(FM試料))内のそれぞれのデカンピークのRVを、狭い標準較正(RV(FM較正済み))内のデカンピークのRVと一致させることによって、各試料のポンプ流量(流量(公称))を直線的に補正するために使用した。その後、デカンマーカーピークの時間におけるあらゆる変化は、実験全体における流量(流量(実効))の線形シフトに関連すると仮定した。流量マーカーピークのRV測定の最高精度を促進するために、流量マーカー濃度クロマトグラムのピークを二次方程式に当てはめる最小二乗適合ルーチンを使用する。次いで、二次方程式の一次導関数を使用して、真のピーク位置を解く。流量マーカーピークに基づいてシステムを較正した後、(狭標準較正に関して)実効流量を式8のように計算する。流量マーカーピークの処理は、PolymerChar社製のGPCOne(商標)ソフトウェアを介して行う。許容可能な流量補正は、有効流量が公称流量の+/-2%以内のものである。
【0060】
【数4】

PDIは、MwをMnで割ったもの(すなわち、Mw/Mn)として計算される。
【0061】
トリプル検出器GPC(3D-GPC)
クロマトグラフィシステム、分析条件、カラムセット、カラム較正及び従来の分子量モーメントの計算及び分布を、ゲル浸透クロマトグラフィ(Gel Permeation Chromatography、GPC)に記載されている方法に従って実施した。
【0062】
IR5検出器からの粘度計及び光散乱検出器オフセットの決定に関して、複数の検出器オフセットの決定のための体系的手法が、Balke,Moureyらによって公開されたもの(Mourey and Balke,Chromatography Polym.,Chapter 12,(1992))(Balke,Thitiratsakul,Lew,Cheung,Mourey,Chromatography Polym.,Chapter 13,(1992))と一致した様式で実行され、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアを使用して、広い単一重合体ポリエチレン標準(Mw/Mn>3)からのトリプル検出器ログ(M及び固有粘度)結果を、狭い標準較正曲線からの狭い標準カラム較正結果に対して最適化する。
【0063】
絶対分子量データは、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアを使用して、Zimm(Zimm,B.H.,J.Chem.Phys.,16,1099(1948))及びKratochvil(Kratochvil,P.,Classical Light Scattering from Polymer Solutions,Elsevier,Oxford,NY(1987))によって公開されたものと合致する様式で得られた。分子量の決定において使用される総注入濃度を、好適な直鎖状ポリエチレンホモポリマー、又は既知の重量平均分子量のポリエチレン標準物質のうちの1つから導き出した、質量検出器面積及び質量検出器定数から得た。(GPCOne(商標)を使用して)算出される分子量は、述べるポリエチレン標準物のうちの1つ以上に由来する、光散乱定数、及び0.104の屈折率濃度係数、dn/dcを使用して得られる。一般に、(GPCOne(商標)を用いて決定される)質量検出器応答(IR5)及び光散乱定数は、約50,000g/molを超える分子量を有する直鎖状標準物質から決定されるべきである。粘度計の較正(GPCOne(商標)を使用して決定された)は、製造業者によって記載された方法を使用して、又は代替として、標準参照材料(Standard Reference Material、SRM)1475a(国立標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology、NIST)から入手可能)などの好適な直鎖状標準物質の公開された値を使用することによって、達成することができる。較正標準についての特定の粘度面積(DV)及び注入された質量を、その固有粘度に関連付ける(GPCOne(商標)を使用して得られる)粘度計定数を計算する。クロマトグラフィ濃度は、第2のバイラル係数効果(分子量に対する濃度効果)の考慮を排除するのに十分に低いと仮定される。
【0064】
絶対重量平均分子量(Mw(Abs))は、(GPCOne(商標)を使用して)光散乱(LS)面積統合クロマトグラム(光散乱定数で因数分解)を質量定数から回収された質量及び質量検出器(IR5)面積で除算し、得られる。分子量及び固有粘度応答は、信号対雑音が低くなるクロマトグラフィの端部で線形に外挿される(GPCOne(商標)を使用して)。他のそれぞれのモーメントMn(Abs)及びMz(Abs)は、以下の通り式9~10に従って計算する。
【0065】
【数5】

PDIは、MwをMnで割ったもの(すなわち、Mw/Mn)として計算される。
【実施例
【0066】
以下の実施例は、本開示の特徴を例示するものであるが、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【0067】
以下の実施例において、発泡体は、PDMS-g-LDPE、AGILITY(商標)1021 LDPE、及び両方のブレンドから製造された。
【0068】
Dow Inc,Midland,MIによって製造されているAGILITY(商標)1021は、0.919g/ccの密度及び1.9g/10分のIを有するLDPEである。
【0069】
PDMS-g-LDPEは、1925バール(27,920psig)で54mLの体積を有する連続撹拌タンク反応器(CSTR)内で製造された。反応温度は240℃であった。CSTRは外部加熱ジャケットを装備した。撹拌器速度は、1600回転/分(revolutions per minute、rpm)であった。エチレン流量は5450グラム/時間であった。ポリジメチルシロキサン(PDMS)(Dow Corning PMX-200 Fluid 12,500 CST)を40重量%基準で酢酸エチルに溶解した。エチレン重合がPDMSの存在下で起こるように、PDMS溶液を93.1mL/時間の流量(純粋なPDMSの34.4グラム/時間)でCSTRに注入した。プロピレンを連鎖移動剤(CTA)として使用した。開始剤は、2172mLのIsopar Eに溶解された96.4gのtert-ブチルペルオキシアセテートから構成され、36.2mL/時間の流量でCSTRに注入された。5重量%のPDMSを含むPDMS-g-LPDEを通気ポリエチレンボトルに回収し、過剰なガスを排気した。その後の工程を使用して、ブレンド前にPDMS-g-LDPEをペレット化した。PDMS-g-LPDEの結果を表1に示す。図1は、種々の試料の溶融強度をグラフで示す。
【0070】
【表1】
【0071】
180℃の温度、60rpmのロータ速度、及び10分の混合時間で、Haake混合機中でブレンドを製造した。混合後、ブレンドを圧縮成形して、長さ1/4インチ(0.64cm)、幅1/4インチ(0.64cm)、厚さ1/16インチ(0.16cm)のプラークを得た。プラーク試料を、発泡剤としてCOを利用した1000mLバッチフォーマに供給した。試料を、4時間の浸漬時間にわたって、100℃の温度及び1200psigの圧力でバッチフォーマ中に保持した。次いで、試料を1秒未満で約0psigまで減圧した。この急速な減圧は、表2に列挙された発泡体の気泡サイズを製造する役割を果たした。減圧後、発泡体の断面をスライスし、走査型電子顕微鏡(SEM)によって気泡サイズを評価した。
【0072】
【表2】
【0073】
示されるように、LDPE及びPDMS-g-LDPEのブレンドである本発明の実施例1及び2は、60μm未満の発泡体平均気泡サイズを達成した。対照的に、比較例Bの全LDPEは、92μmのはるかに大きい発泡体平均気泡サイズを達成し、これは、本発明の実施例1及び3の発泡体気泡サイズよりもはるかに大きい。さらに、比較例Aの全PDMS-g-LDPEは、60μm未満の平均気泡サイズを達成した。しかしながら、発泡体中に大きなガスポケットが形成され、これは発泡体の機械的強度特性にとって問題である。本発明の実施例のみが、より小さい平均気泡サイズと適切な強度とのバランスを達成した。気泡サイズは、図2A図2Dの顕微鏡写真画像に示される。
【0074】
添付の特許請求の範囲で定義される本開示の範囲から逸脱することなく、修正及び変更が可能であることは明らかであろう。より具体的には、本開示のいくつかの態様は、本明細書において、好ましいか、又は特に有利なものとして特定されるが、本開示は、必ずしもこれらの態様に限定されないことが企図される。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
【国際調査報告】