IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クーパーヴィジョン インターナショナル リミテッドの特許一覧

特表2023-552051近視の発症または進行を予防または遅らせるのに使用するためのコンタクトレンズ及びそれに関連する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-14
(54)【発明の名称】近視の発症または進行を予防または遅らせるのに使用するためのコンタクトレンズ及びそれに関連する方法
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/04 20060101AFI20231207BHJP
   G02C 7/06 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
G02C7/04
G02C7/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524953
(86)(22)【出願日】2022-04-22
(85)【翻訳文提出日】2023-06-22
(86)【国際出願番号】 GB2022051022
(87)【国際公開番号】W WO2022229606
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】63/181,247
(32)【優先日】2021-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521013611
【氏名又は名称】クーパーヴィジョン インターナショナル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】チェンバレン ポール
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー アーサー
(72)【発明者】
【氏名】アルムガム バスカール
(72)【発明者】
【氏名】ウェーバー マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ハモンド デヴィッド エス
【テーマコード(参考)】
2H006
【Fターム(参考)】
2H006BC03
2H006BD01
(57)【要約】
近視の発症または進行を予防または遅らせるのに使用するためのコンタクトレンズ(101)、並びに、そのようなレンズ(101)の製造方法及び使用方法、が開示される。レンズ(101)は、光学ゾーン(102)と周辺ゾーン(104)とを備え、周辺ゾーン(104)は、当該レンズ(101)の回転を制御するように構成された厚さ変化を有している。光学ゾーン(102)は、中央領域(105)を有しており、当該中央領域(105)は、ベース屈折力を有し、当該ベース屈折力が、遠方の点源からの光を遠位焦点面に焦点合わせする一方で、当該光は近位焦点面を通過する時にはぼやけ円を形成する。中央領域(105)を取り囲む環状領域(103)が、環状領域の75%未満に広がって0.5D以上の追加屈折力を有する追加屈折力領域(107)を含む。追加屈折力領域(107)の曲率中心を規定する複数の点が、環のセグメントを形成する。追加屈折力領域(107)は遠方の点源からの光を焦点合わせして、近位焦点面において焦点合わせされた円弧を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近視の発症または進行を予防または遅らせるのに使用するためのコンタクトレンズであって、
光軸を有する光学ゾーンと、
前記光学ゾーンを取り囲む周辺ゾーンと、
を備え、
前記周辺ゾーンは、当該レンズの回転を制御するように構成された厚さ変化を有しており、
前記光学ゾーンは、中央領域と、前記中央領域を周状に取り囲む環状領域と、を有しており、
前記中央領域は、曲率を有する少なくとも1つの面によって提供されるベース屈折力を有し、それによって前記中央領域は遠方の点源からの光を遠位焦点面に焦点合わせする一方で、当該光は近位焦点面を通過する時にはぼやけ円またはぼやけ楕円を形成し、
前記環状領域は、曲率を有する少なくとも1つの面によって提供される追加屈折力を有する追加屈折力領域を含み、
前記追加屈折力領域は、0.5D以上であり、
前記追加屈折力領域の面積は、前記環状領域の面積の75%未満であり、
前記追加屈折力領域の曲率中心を規定する一連の点が、環のセグメントを形成し、それによって前記追加屈折力領域は遠方の点源からの光を焦点合わせして、前記近位焦点面において焦点合わせされた円弧を形成する
ことを特徴とするコンタクトレンズ。
【請求項2】
前記追加屈折力領域の面積は、前記環状領域の面積の25%未満である
ことを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項3】
前記周辺ゾーンの前記厚さ変化は、レンズ直径に関して対称であり、
前記レンズ直径は、前記環状領域を半分に2分割するものであり、
前記追加屈折力領域は、前記環状領域の一方の半分に制限されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載のコンタクトレンズ。
【請求項4】
前記環状領域の各半分が、上部象限及び下部象限に分割され、
前記追加屈折力領域は、単一の象限に制限されている
ことを特徴とする請求項3に記載のコンタクトレンズ。
【請求項5】
前記追加屈折力領域は、5.0D以上の追加屈折力を提供する曲率を有する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
【請求項6】
前記環状領域は、0Dと5.0Dとの間の追加屈折力を提供する曲率を有する低追加屈折力領域を更に含む
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
【請求項7】
前記環状領域は、前記ベース屈折力を提供し、前記中央領域の前記曲率中心を中心とした前記曲率を有する、ベース屈折力領域を更に含む
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
【請求項8】
前記環状領域の面積の少なくとも25%が、前記ベース屈折力を有する
ことを特徴とする請求項7に記載のコンタクトレンズ。
【請求項9】
前記追加屈折力領域は、前記環状領域の面積の約50%である面積を有する連続領域であり、
前記ベース屈折力領域は、前記環状領域の面積の約50%である面積を有する連続領域である
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
【請求項10】
前記追加屈折力領域は、非対称の屈折力プロファイルを有する
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
【請求項11】
前記低追加屈折力領域は、非対称の屈折力プロファイルを有する
ことを特徴とする請求項6に記載のコンタクトレンズ。
【請求項12】
前記環状領域は、実質的に円形の外周を有する
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
【請求項13】
前記環状領域は、実質的に楕円形の外周を有する
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
【請求項14】
前記曲率は、前記レンズの前面の曲率である
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
【請求項15】
前記中央領域は、形状が実質的に円形であり、2mmと7mmとの間の直径を有する
ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
【請求項16】
前記環状領域は、前記中央領域の周縁から半径方向外側に0.5mmと1.5mmとの間で延在する
ことを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
【請求項17】
前記ベース屈折力は、0.5Dと-15.0Dとの間である
ことを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
【請求項18】
当該レンズは、エラストマー材料、シリコーンエラストマー材料、ヒドロゲル材料、または、シリコーンヒドロゲル材料、あるいは、それらの混合物、を含む
ことを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
【請求項19】
当該レンズは、旋盤加工プロセスを使用して形成される
ことを特徴とする請求項1乃至18のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
【請求項20】
コンタクトレンズを製造する方法であって、
光学ゾーンと、前記光学ゾーンを取り囲む周辺ゾーンと、を含むコンタクトレンズを形成する工程
を備え、
前記周辺ゾーンは、当該レンズの回転を制御するように構成された厚さ変化を有しており、
前記光学ゾーンは、中央領域と、前記中央領域を周状に取り囲む環状領域と、を有しており、
前記中央領域は、曲率を有する少なくとも1つの面によって提供されるベース屈折力を有し、それによって前記中央領域は遠方の点源からの光を遠位焦点面に焦点合わせする一方で、当該光は近位焦点面を通過する時にはぼやけ円またはぼやけ楕円を形成し、
前記環状領域は、曲率を有する少なくとも1つの面によって提供される追加屈折力を有する追加屈折力領域を含み、
前記追加屈折力領域は、0.5D以上であり、
前記追加屈折力領域の面積は、前記環状領域の面積の75%未満であり、
前記追加屈折力領域の曲率中心を規定する一連の点が、環のセグメントを形成し、それによって前記追加屈折力領域は遠方の点源からの光を焦点合わせして、前記近位焦点面において焦点合わせされた円弧を形成する
ことを特徴とする方法。
【請求項21】
近視の進行を低減する方法であって、
請求項1乃至19のいずれかに記載のコンタクトレンズを、様々な近距離に順応可能な近視の人に提供する工程
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項22】
前記追加屈折力領域が前記人の網膜の特定された標的領域に光を集束させるように前記レンズを方向付けるためにバラスト手段を使用する工程
を更に備えたことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、網膜の領域への標的療法によって近視の発症または進行を予防するまたは遅らせるように使用されるコンタクトレンズに関する。本開示はまた、そのようなレンズを製造する方法、及び、そのようなレンズを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近視は、子供と大人とを含む相当数の人々に影響を与えている。近視の目は、遠くの物体からの入射光を網膜の前方の位置に焦点合わせする。その結果、光は、網膜の前方の面に向かって集束してから、網膜に向かって発散し、網膜に到達する時には焦点が外れている。近視を矯正するための従来のレンズ(例えば、眼鏡レンズやコンタクトレンズ)は、輻輳を減少させるか(コンタクトレンズの場合)、あるいは、遠方の物体からの入射光が目に到達する前に当該入射光の発散をもたらし(眼鏡レンズの場合)、これにより、焦点の位置が網膜上に移動される。
【0003】
数十年前に、子供や若者の近視の進行は、過小矯正、すなわち、焦点を網膜に近づけるが完全に網膜上にまでは近づけない、によって、遅らせたり予防したりできることが提案された。しかしながら、当該アプローチは、必然的に、近視を完全に矯正するレンズで得られる視力と比較して、遠方視力の低下をもたらす。更に、近視の進行を制御するのに過小矯正が有効であるというのは、現在では疑わしいと見なされている。より最近のアプローチは、遠方視力の完全な矯正を提供する領域と、過小矯正すなわち意図的に近視性デフォーカスを誘導する領域と、の両方を有するレンズを提供することである。当該アプローチは、良好な遠方視力を提供しながら、子供や若者の近視の発症または進行を予防または遅らせることができる、と示唆されている。遠方視力の完全な矯正を提供する領域は、通常、ベース屈折力領域と呼ばれ、過小矯正を提供するかまたは意図的に近視性デフォーカスを誘導する領域は、通常、追加屈折力領域または近視性デフォーカス領域と呼ばれる(屈折力が、遠方領域の屈折力(視度)よりも、より正であるか、より少ない負である)。
【0004】
追加屈折力領域の表面(典型的には前面)は、遠方屈折力領域の曲率半径よりも小さい曲率半径を有し、従って、より正またはより少ない負の屈折力(度数)を目に提供する。追加屈折力領域は、入ってくる平行光(すなわち、遠くからの光)を網膜の前方(すなわち、水晶体により近い)の眼中に集束させるように設計される。遠方屈折力領域は、光を集束させて網膜に像を形成するように設計される(すなわち、水晶体からより通い)。
【0005】
二重焦点コンタクトレンズが、MISIGHT(CooperVision, Inc.)の名前で入手できる。これは、老眼の視力を改善するように構成された二焦点コンタクトレンズや多焦点コンタクトレンズとは異なり、遠くの物体と近くの物体との両方を見るために、遠方矯正(すなわち、ベース屈折力)の使用を提供できる所定の光学的寸法で構成される。追加屈折力を有する二重焦点レンズの治療ゾーンは、網膜の中心窩及び周辺領域の遠くと近くの両方の視距離で近視性デフォーカスな像を提供する。
【0006】
これらのレンズは、近視の発症または進行を予防または遅らせるのに有益であることが見出されているが、環状の追加屈折力領域は、不所望の視覚的副作用を引き起こし得る。網膜の前方に環状の追加屈折力領域によって集束される光は、焦点から発散して、網膜にデフォーカスされた(焦点がずれた)輪を形成する。従って、これらのレンズの着用者は、特に街灯や車のヘッドライトなどの小さくて明るい物体の場合、網膜上に形成される像の周囲にリングまたは「ハロー」が見える場合がある。また、近くの物体に焦点を合わせるために、目の自然な遠近調節(すなわち、焦点距離を変える目の自然な能力)を使用するのではなく、理論上、着用者は近くの物体に焦点を合わせるために環状の追加屈折力領域から生じる網膜の前方の追加の焦点を利用し得てしまう。これは、換言すれば、着用者が、老視矯正レンズが使用されるのと同じ態様でレンズを無意識に(気付かずに)使用し得ることになり、これは、若い対象者にとって望ましくない。
【0007】
近視の治療に使用され得て、MISIGHT(CooperVision,Inc.)レンズ及び前述の他の同様のレンズにおいて焦点距離画像の周りに観察されるハローを排除するように設計された、更なるレンズが開発された。当該レンズでは、環状の領域が、軸上画像が網膜の前方に形成されないように構成され、それにより、近くの目標に眼が順応する必要を避けるようにそのような画像が使用されてしまうことを防止する。むしろ、遠方の点光源が、環状の領域によって、近くの追加屈折力焦点面でリング状の焦線に結像され、遠方焦点面の網膜上で、周囲の「ハロー」効果なしに、小さなスポットサイズの光となる。
【0008】
本開示は、近視の悪化を防止または遅らせる、若い対象者に使用するための、改善されたレンズを提供する。
【発明の概要】
【0009】
本開示は、第1の態様によって、近視の発症または進行を予防または遅らせるのに使用するためのコンタクトレンズを提供する。当該レンズは、光学ゾーンと、当該光学ゾーンを取り囲む周辺ゾーンと、を備える。前記周辺ゾーンは、当該レンズの回転を制御するように構成された厚さ変化を有する。前記光学ゾーンは、中央領域を有しており、当該中央領域は、曲率を有する少なくとも1つの面によって提供されるベース屈折力を有している。それによって、前記中央領域は、遠方の点源からの光を遠位焦点面に焦点合わせする一方で、当該光は近位焦点面を通過する時にはぼやけ円またはぼやけ楕円を形成する。前記光学ゾーンは、前記中央領域を周状に取り囲む環状領域を有している。前記環状領域は、曲率を有する少なくとも1つの面によって提供される追加屈折力を有する追加屈折力領域を含む。前記追加屈折力領域は、0.5D以上であり、前記追加屈折力領域の面積は、前記環状領域の面積の75%未満である。前記追加屈折力領域の曲率中心を規定する一連の点が、環のセグメントを形成する。それによって、前記追加屈折力領域は、遠方の点源からの光を焦点合わせして、前記近位焦点面において焦点合わせされた円弧を形成する。
【0010】
本開示は、第2の態様によって、コンタクトレンズを製造する方法を提供する。当該方法は、コンタクトレンズを形成する工程を備える。当該コンタクトレンズは、光学ゾーンと、当該光学ゾーンを取り囲む周辺ゾーンと、を備える。前記周辺ゾーンは、当該レンズの回転を制御するように構成された厚さ変化を有する。前記光学ゾーンは、中央領域を有しており、当該中央領域は、曲率を有する少なくとも1つの面によって提供されるベース屈折力を有している。それによって、前記中央領域は、遠方の点源からの光を遠位焦点面に焦点合わせする一方で、当該光は近位焦点面を通過する時にはぼやけ円またはぼやけ楕円を形成する。前記光学ゾーンは、前記中央領域を周状に取り囲む環状領域を有している。前記環状領域は、曲率を有する少なくとも1つの面によって提供される追加屈折力を有する追加屈折力領域を含む。前記追加屈折力領域は、0.5D以上であり、前記追加屈折力領域の面積は、前記環状領域の面積の75%未満である。前記追加屈折力領域の曲率中心を規定する一連の点が、環のセグメントを形成する。それによって、前記追加屈折力領域は、遠方の点源からの光を焦点合わせして、前記近位焦点面において焦点合わせされた円弧を形成する。
【0011】
本開示は、第3の態様によって、近視の進行を低減する方法を提供する。当該方法は、第1の態様による多焦点の眼科用レンズを、様々な近距離に順応可能な近視の人に提供する工程を備える。
【0012】
もちろん、本開示の一態様に関連して説明される特徴が、本開示の他の態様に組み込まれ得ることが、理解されるであろう。例えば、本開示の方法は、本開示の装置を参照して説明された特徴を組み込み得るし、その逆もまた同様である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、4象限に分割された眼の視野を示す概略図である。
【0014】
図2a図2(a)乃至図2(c)は、レンズとレンズ着用者の瞳孔との間の視差の効果を示す概略図である。
図2b図2(a)乃至図2(c)は、レンズとレンズ着用者の瞳孔との間の視差の効果を示す概略図である。
図2c図2(a)乃至図2(c)は、レンズとレンズ着用者の瞳孔との間の視差の効果を示す概略図である。
【0015】
図3a図3(a)は、本開示の一実施形態による、環状領域を有するレンズの概略平面図であり、当該環状領域は、当該環状領域の面積の約50%である追加屈折力領域を含む。
【0016】
図3b図3(b)は、本開示の一実施形態による、環状領域を有するレンズの概略平面図であり、当該環状領域は、図3(a)のレンズと比較して、当該環状領域の反対の半部を占める追加屈折力領域を含む。
【0017】
図4図4は、A-A線に沿った図3(a)のレンズの概略断面図である。
【0018】
図5a図5(a)乃至図5(d)は、本開示の実施形態による、環状領域を有するレンズの概略平面図であり、当該環状領域は、当該環状領域の面積の約25%に広がる追加屈折力領域を含み、各レンズの追加屈折力領域は、異なる象限に広がっている。
図5b図5(a)乃至図5(d)は、本開示の実施形態による、環状領域を有するレンズの概略平面図であり、当該環状領域は、当該環状領域の面積の約25%に広がる追加屈折力領域を含み、各レンズの追加屈折力領域は、異なる象限に広がっている。
図5c図5(a)乃至図5(d)は、本開示の実施形態による、環状領域を有するレンズの概略平面図であり、当該環状領域は、当該環状領域の面積の約25%に広がる追加屈折力領域を含み、各レンズの追加屈折力領域は、異なる象限に広がっている。
図5d図5(a)乃至図5(d)は、本開示の実施形態による、環状領域を有するレンズの概略平面図であり、当該環状領域は、当該環状領域の面積の約25%に広がる追加屈折力領域を含み、各レンズの追加屈折力領域は、異なる象限に広がっている。
【0019】
図6a図6(a)は、本開示の実施形態による、環状領域を有するレンズの概略平面図であり、当該環状領域は、当該環状領域の面積の約25%に広がる追加屈折力領域を含み、当該追加屈折力領域は、非対称の屈折力プロファイルを有する。
【0020】
図6b図6(b)は、図6(a)のレンズの環状領域の非対称の屈折力プロファイルを示すグラフである。
【0021】
図7図7は、本開示の一実施形態による、環状領域を有するレンズの概略平面図であり、当該環状領域は、各々が当該環状領域の面積の約25%に広がって同一の追加屈折力を有する2つの追加屈折力領域を含む。
【0022】
図8図8は、B-B線に沿った図7のレンズの概略断面図である。
【0023】
図9図9は、C-C線に沿った図7のレンズの概略断面図である。
【0024】
図10図10は、本開示の一実施形態による、環状領域を有するレンズの概略平面図であり、当該環状領域は、各々が当該環状領域の面積の約25%に広がって異なる追加屈折力を有する2つの隣接する追加屈折力領域を含む。
【0025】
図11図11は、本開示の一実施形態による、環状領域を有するレンズの概略平面図であり、当該環状領域は、各々が当該環状領域の面積の約25%に広がって異なる追加屈折力を有する2つの非隣接の追加屈折力領域を含む。
【0026】
図12図12は、D-D線に沿った図11のレンズの概略断面図である。
【0027】
図13図13は、本開示の一実施形態による、環状領域を有するレンズの概略平面図であり、当該環状領域は、各々が当該環状領域の面積の約1/8に広がって異なる追加屈折力を有する隣接する追加屈折力領域を含む。
【0028】
図14図14は、本開示の一実施形態による、2つの同心の環状領域を有するレンズの概略平面図であり、各同心の環状領域が追加屈折力領域を含む。
【発明を実施するための形態】
【0029】
第1の態様によって、本開示は、近視の発症または進行を予防または遅らせるのに使用するためのコンタクトレンズを提供する。当該レンズは、光学ゾーンと、当該光学ゾーンを取り囲む周辺ゾーンと、を備える。前記周辺ゾーンは、当該レンズの回転を制御するように構成された厚さ変化を有する。前記光学ゾーンは、中央領域を有しており、当該中央領域は、曲率を有する少なくとも1つの面によって提供されるベース屈折力を有している。それによって、前記中央領域は、遠方の点源からの光を遠位焦点面に焦点合わせする一方で、当該光は近位焦点面を通過する時にはぼやけ円またはぼやけ楕円を形成する。前記光学ゾーンは、前記中央領域を周状に取り囲む環状領域を有している。前記環状領域は、曲率を有する少なくとも1つの面によって提供される追加屈折力を有する追加屈折力領域を含む。前記追加屈折力領域は、0.5D以上であり、前記追加屈折力領域の面積は、前記環状領域の面積の75%未満である。前記追加屈折力領域の曲率中心を規定する一連の点が、環のセグメントを形成する。それによって、前記追加屈折力領域は、遠方の点源からの光を焦点合わせして、前記近位焦点面において焦点合わせされた円弧を形成する。
【0030】
軸上画像が、追加屈折力領域を通過する光によって形成されないため、レンズの着用者は、近くの物体に焦点を合わせるために目の自然な遠近調節を使用する必要がある。
【0031】
眼の視野は、図1に示されるように、4象限に分けられ得る。これらの象限は、コンタクトレンズが眼上に置かれる時の象限を表すためにも使用され得る。目/レンズの上半分は、上半部1であり、下半分は、下半部3である。鼻に最も近い視野が、鼻側半部5であり、鼻から最も遠い視野が、側頭側半部7である。従って、4象限は、上鼻側象限9、上側頭側象限11、下鼻側象限13及び下側頭側象限15として定義され得る。以下の説明では、レンズが通常の使用状態にあって着用者によって着用されている時の、追加屈折力領域の位置と周辺領域の厚さの変化とを説明するために、これらの定義が使用される。
【0032】
本開示の実施形態においてレンズに入射する軸外光については、レンズ着用者の視野の各象限から網膜の反対の象限への光の近似マッピングが存在する。角膜の前面上に配置された時のレンズと着用者の瞳孔の位置との間の軸方向の分離が、視差を生じ、視野角の変化時に、あるいは、レンズの入射光の方向の変化時に、レンズと瞳孔との相対位置をシフトさせる。これは、一例として、図4(a)乃至図4(c)に示されている。これらは、本開示の一実施形態によるレンズ17を示しており、当該レンズ17は、環状領域の約半分(側頭側半部)に広がる追加屈折力領域19を有している。虹彩21は、角膜を通して見られるように、概略的に示されている。図4(b)に示されるように、追加屈折力領域19は、着用者の右視野から撮像されている光の経路を変更するが、図4(c)に示されるように、追加屈折力領域19は、着用者の左視野から撮像されている光には影響しない。追加屈折力領域19を通過した着用者の左視野からの光は、虹彩21によって遮られる。このレンズ17の場合、最初の近似として、追加屈折力領域19が、左網膜(右眼の鼻側網膜、左眼の側頭側網膜)に入射する光の焦点を変えるが、右網膜(右眼の側頭側網膜、左眼の鼻側網膜)に入射する光の焦点は変えない。追加屈折力領域が側頭側半部の代わりに鼻側半部に広がる場合、レンズは右(側頭側)網膜に入射する光の焦点を変えるが、左(鼻側)網膜に入射する光の焦点は変えない。追加屈折力領域17をレンズの環状領域に含めることによって、中心窩視力の乱れを最小限に抑えながら、コントラスト減衰が周辺網膜領域において標的とされ得る。
【0033】
網膜の特定の領域が、典型的に、多かれ少なかれ、遠視性焦点ぼけを経験する、ということが観察されている。これは、近視の進行または悪化につながる。幾つかの眼では、網膜の側頭側半部が、網膜の鼻側半部よりも、遠視性焦点ぼけが少ない。従って、網膜の特定の領域に向かって焦点合わせされる光線に影響を与えるターゲットを絞った追加屈折力を提供することが、有益であり得る。例えば、当該追加屈折力領域が網膜の鼻側半部に入射する光線の焦点を変えるというように、レンズの側頭側半部に広がる追加屈折力領域を有するレンズを提供することが有益であり得る。これは、レンズが、遠視性焦点ぼけをより多く経験する網膜の領域に向けて標的療法(ターゲットを絞った治療)を提供することを可能にし得る。右眼レンズの場合、レンズの側頭側半部は(着用者の視点から見て)レンズの右手側であり、左眼レンズの場合、レンズの側頭側半部は(着用者の視点から見て)レンズの左手側である、ということが理解されるであろう。従って、着用者の鼻側の網膜に向かってターゲットを絞った追加屈折力を提供するために、反対側の位置に追加屈折力領域を有する右眼レンズ及び左眼レンズを提供することが有益であり得る。
【0034】
本明細書で使用される場合、遠方の点源という用語は、当該点源からの光線がレンズに到達する時に平行であるように、レンズから十分に離れて位置するものを記述する時に使用される。
【0035】
本明細書で使用される場合、コンタクトレンズという用語は、眼の前面に配置され得る眼科用レンズを指す。そのようなコンタクトレンズは、臨床的に許容可能な眼上の(on-eye)動きを提供し、人の眼に結合しない、ことが理解されるであろう。コンタクトレンズは、角膜レンズ(例えば、眼の角膜上に載るレンズ)の形態であり得る。コンタクトレンズは、ヒドロゲルコンタクトレンズまたはシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズなどのソフトコンタクトレンズであり得る。
【0036】
本開示によるコンタクトレンズは、光学ゾーンを備える。光学ゾーンは、光学的機能を有するレンズ部分を包含する。光学ゾーンは、使用時に眼の瞳孔上に位置決めされるように構成される。本開示によるコンタクトレンズの場合、光学ゾーンは、中央領域と、中央領域を周状に取り囲む環状領域と、を含む。本開示の文脈において、環状領域は、光学ゾーンを取り囲む実質的に環状の領域である。それは、実質的に円形または実質的に楕円形を有し得る。それは、光学ゾーンを完全に取り囲み得る。それは、光学ゾーンを部分的に取り囲み得る。光学ゾーンは、周辺ゾーンによって取り囲まれている。縁部ゾーンが、周辺ゾーンを取り囲み得る。周辺ゾーンは、光学ゾーンの一部ではないが、レンズが着用される時に光学ゾーンの外側で虹彩の上方に位置し、例えば、レンズのサイズを増大して当該レンズをより扱いやすくしたり、レンズの回転を防止するためのバラストを提供したり、及び/または、レンズ着用者の快適性を改善する形状領域を提供したり、といった機械的機能を提供する。周辺ゾーンは、コンタクトレンズの縁部まで延在し得る。
【0037】
本開示の実施形態によるコンタクトレンズは、レンズの回転を制御するように構成された周辺ゾーンの厚さ変化を有する。周辺ゾーンの厚さにおける厚さ変化は、レンズを特定の方向に安定させるように構成され得る。周辺ゾーンの厚さにおける厚さ変化は、特定の方向へのレンズの回転を促進するように構成され得る。
【0038】
周辺ゾーンの様々な領域の厚さは、当業者に知られている通常の方法を用いて選択され得る。厚さと形態とが、コンタクトレンズの快適性やレンズ意識(レンズ自覚)を大幅に低下させることなく、眼上での任意の所望量のコンタクトレンズ回転を実現するべく、選択され得る。例えば、周辺ゾーンの設計において、コンタクトレンズは、特定の目標の設計及び厚さで製造され得て、人の眼上で臨床的に試験され得る。レンズ回転の量は、細隙灯または他の従来のツールを用いて眼科医によって観察され得る。典型的には、レンズの回転及びレンズの快適性を評価するために、異なる厚さプロファイルを有する複数のコンタクトレンズが製造され、多くの人(例えば、20人以上)の眼上で試験される。レンズの回転が小さすぎたり大きすぎたりする場合、あるいは、レンズの快適性が対照レンズと比較して大幅に低下する場合には、周辺ゾーンの厚さプロファイルが異なるレンズが製造されて試験される。
【0039】
レンズは、単一または複数の安定化機構を含む。例えば、レンズは、ペリバラスト、プリズムバラスト、または、動的安定化機構(上半分と下半分とを分離する垂直子午線に沿って提供される2つの薄いゾーンなど)を含み得る。周辺ゾーンは、着用者の眼上に位置決めされる時にレンズを方向付けるためのバラストを含み得る。着用者の眼上に配置される時、レンズは、着用者の瞼の作用で、所定の安息角まで回転し得る。バラストは、楔であり得て、回転は、着用者の瞼によって当該楔上に与えられる回転力に起因し得る。プリズムバラストが、レンズの前面上に設けられ得る。プリズムバラストを有するコンタクトレンズは、周辺ゾーンを横切る水平帯内に延在する均一な厚さを有し得る。当該水平帯は、レンズの上部のより薄い厚さから進行して、レンズの下部において相対的により大きな厚さに漸進的に増大して、コンタクトレンズの下縁部に近づくほどより薄い厚さへと先細状である。基準フレームとして、1つの水平帯は、平面図で見て、レンズの上部が図の上側に位置する時、コンタクトレンズの中心を通る水平線に平行である。換言すれば、水平帯は、当業者によって理解されるように、コンタクトレンズの0度/180度子午線に平行である。コンタクトレンズが動的安定化機構を含む場合、コンタクトレンズは、当該コンタクトレンズの0度/180度子午線に沿った周辺ゾーンの厚さよりも相対的に薄い、周辺ゾーン内の上部及び下部を有し得る。一例として、安定化機構は、周辺ゾーンの上部領域で50~100μmの厚さを有し得て、当該厚さは、0度/180度子午線に向かって漸進的に増大し得る。安定化機能が二重の薄いゾーンを有する場合、最大厚さの領域は、0度/180度子午線の近傍であり得て、250~450μmの範囲であり得る。安定化機能がプリズムバラストである場合、周辺ゾーンの厚さは、周辺ゾーンの下部の最大厚さまで増大し続け得て、当該最大厚さは、約250~450μmであり得る。
【0040】
コンタクトレンズは、形状が実質的に円形であり得て、約4mm~約20mmの直径、好ましくは約13.0mm~15.0mmの間の直径、を有し得る。本明細書で使用される場合、直径への言及は、弦の直径への言及である。レンズの中心厚さは、約50μm~約300μmの間であり得る。レンズの周辺ゾーンは、約50μm~約450μmの間の厚さを有し得る。レンズの厚さは、従来技術及びレーザーゲージ等の器具を使用して測定され得る。光学ゾーンは、形状が実質的に円形であり得て、約2mm~約10mmの直径を有し得る。幾つかの実施形態では、コンタクトレンズは、13mm~15mmの直径を有し、光学ゾーンは、7mm~9mmまでの直径を有する。
【0041】
第1光軸は、レンズの中心線に沿って存在し得る。中央領域のベース屈折力は、光軸上に中心がある曲率を有する少なくとも1つの面によって提供され得る。中央領域は、遠方の点源(点物体)からの光を、光軸上で、遠位焦点面で光軸上のスポットに、焦点合わせ(集束)させ得る。本明細書で使用される場合、面という用語は、物理的な表面を指すのではなく、遠方の物体からの光が焦点合わせされる点を通って描かれ得る面を指す。このような面は、局所的に像面(曲面であり得る)またはイメージシェルとも呼ばれる。目は、曲がった網膜上に光を焦点合わせする。完全に焦点が合った目では、イメージシェルの曲率は、網膜の曲率と一致する。そうでありながら、当該技術分野では、網膜の曲面は、一般に(平)面と呼ばれる。
【0042】
環(状)の少なくとも1つの追加屈折力領域を通過する遠方の点源からの光線は、追加屈折力焦点面上で、光軸から離れて焦点合わせされ得る。中央領域を通過する光線は、追加屈折力焦点面で軸上のぼやけ円またはぼやけ楕円(トーリックレンズの場合)を形成し得る。追加屈折力領域を通過する遠方の点源からの光線は、当該ぼやけ円または当該ぼやけ楕円の外側に、焦点合わせされた円弧を形成するように、焦点合わせされ得る。
【0043】
少なくとも1つの追加屈折力領域は、当該追加屈折力領域の焦点面で、当該追加屈折力領域の任意のゾーン幾何形状を概ね複製する光分布を生成するように構成され得る。追加屈折力領域の焦点面は、追加屈折力領域を通過する光が焦点合わせされる点を通る面によって定義される。環の一部に広がる追加屈折力領域の場合、当該追加屈折力領域の焦点面で、焦点合わせされた円弧が生成され得る。治療部位の曲率は、光軸から約2μm~約700μmの間、好ましくは約20μm~約300μmの間、の距離であって光軸に垂直である治療部位焦点面に焦点合わせされる光を位置決めするように選択され得る。
【0044】
レンズの中央領域は、ベース屈折力を有する。環状領域の追加屈折力領域は、少なくとも0.5Dの追加屈折力を有し、当該追加屈折力領域の正味の近位用の屈折力は、ベース屈折力と追加屈折力との合計である。
【0045】
レンズのベース屈折力は、正であり得て、追加屈折力領域は、ベース屈折力よりも更に正である屈折力を有する。この場合、追加屈折力焦点面は、遠位焦点面よりもレンズに近くなる。軸上の像が、追加屈折力領域を通過する光によっては、形成されないであろう。追加屈折力領域によって集束される光線は、コンタクトレンズの第1光軸とまったく交差しないか、あるいは、追加屈折力焦点面を通過する後までは交差しない、という場合があり得る。
【0046】
正のベース屈折力を有するレンズの場合、追加屈折力領域は、ベース屈折力を提供する曲率よりも大きな曲率を有するであろう。この場合、追加屈折力領域の曲率半径は、中央領域の曲率半径よりも小さいであろう。追加屈折力領域の曲率中心は、中央領域の曲率中心よりもレンズに近い場合があり得る。
【0047】
レンズのベース屈折力は、負であり得て、少なくとも1つの追加屈折力領域は、ベース領域の屈折力より小さな負である屈折力を有し得るか、あるいは、当該追加屈折力領域は、正の屈折力を有し得る。角膜上に位置決めされるレンズを考えると、追加屈折力領域の屈折力がベース屈折力より小さな負である場合、追加屈折力焦点面は遠位焦点面よりも眼の前方になるであろう。角膜上に位置決めされない時のレンズを考えると、追加屈折力領域の屈折力が正である場合、追加屈折力焦点面は、遠位焦点面(それは、レンズの物体側の仮想焦点面であろう)とはレンズの反対側(像側)になるであろうし、追加屈折力領域の屈折力が負である場合(ただし、ベース屈折力よりも小さな負である)、仮想の最大追加屈折力焦点面は、仮想の遠位焦点面よりもレンズから遠くなるであろう。
【0048】
追加屈折力領域の面積は、環状領域の面積の75%未満である。環状領域の残部は、ベース屈折力を提供する曲率を有し得る。環状領域の残部を通過する光線は、遠位焦点面で焦点合わせされ得る。従って、環状領域は、レンズが着用者によって着用されている時、網膜の特定の領域に入射する光の焦点を変えることができる局所的な追加屈折力を提供する一方で、網膜の他の領域に入射する光には影響を与えない。レンズの回転を制御する周辺ゾーンの変化する厚さプロファイルと、局所的な追加屈折力領域との組み合わせが、レンズの使用時にターゲットを絞った追加屈折力を提供するために利用され得る。
【0049】
追加屈折力領域の面積は、環状領域の面積の50%未満であり得る。追加屈折力領域の面積は、環状領域の面積の25%未満であり得る。追加屈折力領域の面積は、環状領域の面積の15%未満であり得る。追加屈折力領域の面積は、環状領域の面積の10%未満であり得る。
【0050】
周辺ゾーンの厚さ変化は、レンズ直径に関して対称であり得る。レンズ直径が、環状領域を半分に2分割し、追加屈折力領域は、環状領域の一方の半分に制限されている。厚さ変化は、レンズ直径に沿って存在するように実質的に制限され得る。周辺ゾーンの厚さ変化が、レンズが着用者によって着用される時、着用者の網膜に対する追加屈折力領域の位置を制御するために利用され得る。
【0051】
周辺ゾーンの厚さ変化は、バラストを含み得て、当該バラストは、レンズの回転を制御し得る。レンズが使用される時、当該レンズは、バラストがレンズの底部すなわち下部においてまたはそこに向かうように存在しているように、回転し得る。レンズは、バラストがレンズの側頭側半部と鼻側半部とを分割する線に沿って存在するように、回転し得る。
【0052】
レンズ直径は、レンズの鼻側半部と側頭側半部とを分割する線に沿って存在し得る。追加屈折力領域は、レンズの鼻側半部またはレンズの側頭側半部に制限され得る。これらのケースの各々について、追加屈折力は、網膜の反対側の半部に向かってターゲットが絞り込まれるであろう。
【0053】
環状領域の各半分が、上部象限及び下部象限に分割され得る。追加屈折力領域は、単一の象限に制限され得る。追加屈折力領域は、周辺ゾーンの厚さ変化に対してレンズの反対側の半部に設けられ得る。追加屈折力領域は、周辺ゾーンの厚さ変化に対してレンズの同一側の半部に設けられ得る。周辺ゾーンの厚さ変化は、レンズの下半部に制限され得る。追加屈折力領域は、レンズの上側頭側象限、上鼻側象限、下側頭側象限及び下鼻側象限の任意の1つに制限され得る。これらのケースの各々について、追加屈折力は、網膜の反対側の象限に向かってターゲットが絞り込まれるであろう。
【0054】
追加屈折力領域は、5.0D以上の追加屈折力を提供する曲率を有し得る。環状領域は、0Dと5.0Dとの間の追加屈折力を提供する曲率を有する低追加屈折力領域を更に含み得る。追加屈折力領域の曲率中心を規定する一連の点が、光軸を取り囲む環のセグメントを形成し得て、当該セグメントは、光軸から第1距離である。一方、低追加屈折力領域の曲率中心を規定する一連の点が、光軸を取り囲むリング状環の更なるセグメントを形成し得て、当該セグメントは、光軸から異なる第2距離であり、第2距離は第1距離よりも小さい。
【0055】
少なくとも1つの低追加屈折力領域を通過する遠方の点源からの光線は、中間追加屈折力焦点面に焦点合わせされ得る。正のベース屈折力と、ベース屈折力よりも更に正である屈折力を有する少なくとも1つの低追加屈折力領域と、を有するレンズの場合、中間追加屈折力焦点面は遠位焦点面よりもレンズに近くなるが、追加屈折力焦点面よりはレンズから遠いであろう。また、軸上の像が、少なくとも1つの低追加屈折力領域を通過する光によっては、形成されないであろう。少なくとも1つの低追加屈折力領域によって集束される光線は、コンタクトレンズの第1光軸とまったく交差しないか、あるいは、中間及び追加屈折力焦点面を通過する後までは交差しない、という場合があり得る。角膜上に位置決めされるレンズを考えると、当該レンズが負のベース屈折力を有し、少なくとも1つの低追加屈折力領域がベース屈折力より小さな負の屈折力を有する場合、中間追加屈折力焦点面は遠位焦点面よりもレンズに近くなるが、追加屈折力焦点面よりは遠いであろう。角膜上に位置決めされないレンズを考えると、当該レンズが負のベース屈折力を有し、少なくとも1つの低追加屈折力領域がベース屈折力より小さな負の屈折力を有する場合、仮想の追加屈折力焦点面は、仮想の遠位焦点面よりもレンズから遠くなるが、仮想の追加屈折力焦点面よりは近いであろう。
【0056】
正のベース屈折力を有するレンズの場合、低追加屈折力領域は、追加屈折力領域の曲率と中央領域の曲率との間である曲率を有し得る。この場合、少なくとも1つの低追加屈折力領域の曲率半径は、中央領域の曲率半径よりも小さく、少なくとも1つの追加屈折力領域の曲率半径よりも大きいであろう。少なくとも1つの低追加屈折力領域の曲率中心は、中央領域の曲率中心よりもレンズに近いであろうが、レンズから少なくとも1つの追加屈折力領域の曲率中心までよりは遠いであろう。
【0057】
負のベース屈折力を有するレンズの場合、低追加屈折力領域は、ベース領域の屈折力よりも小さな負の屈折力を有し得るか、あるいは、当該低追加屈折力領域は、正の屈折力を有し得る。ただし、当該屈折力は、追加屈折力領域よりも小さな正または大きな負であろう。角膜上に位置決めされるレンズを考えると、低追加屈折力領域の屈折力がベース屈折力より小さな負である場合、追加屈折力焦点面は、遠位焦点面よりも眼の前方になり、追加屈折力焦点面よりは眼の前方ではないであろう。角膜上に位置決めされない時のレンズを考えると、低追加屈折力領域の屈折力が正である場合、低追加屈折力焦点面は、遠位焦点面(それは、レンズの物体側の仮想焦点面であろう)とはレンズの反対側(像側)になるであろうし、低追加屈折力領域の屈折力が負である場合(ただし、ベース屈折力よりも小さな負であって追加屈折力よりも大きな負である)、仮想の低追加屈折力焦点面は、仮想の遠位焦点面よりもレンズから遠くなり、仮想の追加屈折力焦点面よりはレンズに近いであろう。
【0058】
低追加屈折力領域は、環状領域の25%未満の面積を有し得る。低追加屈折力領域は、環状領域の10%未満の面積を有し得る。追加屈折力領域及び低追加屈折力領域は、レンズの同一側の半部に制限され得て、あるいは、レンズの反対側の半部に設けられ得る。追加屈折力領域及び低追加屈折力領域は、各々、環状領域の25%未満の面積を有し得る。追加屈折力領域及び低追加屈折力領域は、レンズの同一の象限に制限され得て、あるいは、レンズの異なる象限に設けられ得る。例えば、追加屈折力領域が上鼻側象限に設けられ、低追加屈折力領域が下側頭側象限に設けられ得る。追加屈折力領域は、4象限のいずれかに設けられ得て、低追加屈折力領域は、他の3象限のいずれか、あるいは、同一の象限に設けられ得る。低追加屈折力領域は、追加屈折力領域に隣接し得る。
【0059】
環状領域は、更に、ベース屈折力領域を有し得て、それは、ベース屈折力を提供し、中央領域の曲率中心を中心とした曲率を有する。ベース屈折力領域は、遠方の点物体からの光を、遠位面の第1光軸上のスポットに焦点合わせし得る。当該スポットは、中央領域を通過する光によって形成されるスポットと一致し得る。環状領域の面積の少なくとも25%が、ベース屈折力を有し得る。環状領域が追加屈折力領域と低追加屈折力領域とを含む実施形態では、これらの領域を分離するようなベース屈折力領域が設けられ得る。追加屈折力領域は、環状領域の面積の約50%である面積を有する連続領域であり得て、ベース屈折力領域は、環状領域の面積の約50%である面積を有する連続領域であり得る。追加屈折力領域は、レンズの下半部、上半部、側頭側半部または鼻側半部のいずれかに広がり得て、ベース屈折力領域は、残りの半部に広がり得る。
【0060】
ベース屈折力、追加屈折力、及び、(存在する場合の)低追加屈折力を提供する(それぞれの)曲率は、レンズの前面の曲率であり得る。ベース屈折力、追加屈折力、及び、(存在する場合の)低追加屈折力を提供する(それぞれの)曲率は、レンズの後面の曲率であり得る。ベース屈折力、追加屈折力、及び、(存在する場合の)低追加屈折力を提供する(それぞれの)曲率は、組み合わされた効果(複合効果)を提供するレンズの前面及び後面の曲率であり得る。
【0061】
環状領域の追加屈折力領域は、ある幅を有し、当該治療ゾーン領域の幅を途中で横切るように取られる追加屈折力領域の面に対する法線は、中央領域の中心で取られる法線と、中央領域の面の曲率中心で交差し得る。これにより、追加屈折力領域は、各遠方の点源からの光を焦点合わせし得て、近位焦点面に焦点合わせされた円弧を形成し得て、当該円弧は、中央領域によって焦点合わせさせる光によって形成されるぼかし円ないしぼかし楕円の外側にあってそれらを取り囲んでいる。追加屈折力領域の前記面は、前面であり得る。中央領域の前記面は、前面であり得る。追加屈折力領域の前記面は、追加屈折力を提供する曲率を有する面であり得る。中央領域の前記面は、ベース屈折力を提供する曲率を有する面であり得る。
【0062】
追加屈折力領域は、非対称の屈折力プロファイルを有し得る。低追加屈折力領域を有する実施形態では、当該低追加屈折力領域は、非対称の屈折力プロファイルを有し得る。
【0063】
環状領域は、実質的に円形の外周を有し得る。環状領域は、実質的に楕円形の外周を有し得る。中央領域は、形状が実質的に円形であり得て、約2mm~約9mmの間、好ましくは約2mm~約7mmの間、より好ましくは2mm~5mmの間、の直径を有し得る。中央領域は、形状が実質的に楕円形であってもよい。ベースカーブは、約8.0mm~約9.0mmの間の曲率半径を有し得る。環状領域は、中央領域の周縁から半径方向外側に約0.1mm~約4mmの間、好ましくは約0.5mm~約1.5mmの間、延在し得る。例えば、環状領域の半径方向幅は、約0.1mm~約4mm、好ましくは約0.5mm~約1.5mm、であり得る。中央領域の周縁は、中央領域と環状領域との間の境界を定義(画定)し得て、従って、環状領域は中央領域に隣接(adjacent)し得る。
【0064】
環状領域は、中央領域に隣接(abut)し得る。ブレンディング(混合)領域が、中央領域と環状領域との間に設けられてもよい。ブレンディング領域は、中央領域及び環状領域によって提供される光学系に実質的に影響を与えるべきではなく、当該ブレンディング領域は、0.05mm以下の半径方向幅を有し得る。もっとも、それは、幾つか実施形態では、0.2mm程度の幅であり得るし、あるいは、0.5mm程度の幅であり得る。
【0065】
環状領域は、周辺ゾーンに隣接するように半径方向外側に延在し得る。追加屈折力領域は、環状領域の半径方向幅に広がり得る。
【0066】
中央領域は、ベース屈折力を有する。それは、本開示の文脈では、中央領域の平均の絶対屈折力として定義される。任意のベース屈折力領域もまた、ベース屈折力を有するであろう。ベース屈折力は、コンタクトレンズのパッケージ上に提供されるようなコンタクトレンズのラベル付け屈折力(度数)に対応する(もっとも、実践上は、同一の値を有しない場合もある)。従って、本明細書で与えられるレンズ屈折力は、公称屈折力である。これらの値は、レンズの直接測定によって得られるレンズ屈折力の値とは異なる場合があるが、眼科治療で使用される時に、要求される処方箋の屈折力(度数)を提供するために使用されるレンズ屈折力(度数)を反映するものである。
【0067】
近視の治療に使用されるレンズの場合、ベース屈折力は、負であるか、あるいは、ゼロの近傍であって、中央領域が遠方視力を矯正する。ベース屈折力は、0.5ディオプトリ(D)と-15.0ディオプトリとの間であり得る。ベース屈折力は、-0.25D~-15.0Dであり得る。
【0068】
追加屈折力は、非ゼロであり、少なくとも0.5Dである。追加屈折力は、ベース屈折力と追加屈折力領域の屈折力との間の差として定義される。追加屈折力は、約+0.5~約+20.0Dの間、好ましくは約+0.5~約+10.0D、の間であり得る。正のベース屈折力を有するレンズの場合、追加屈折力領域の各々の屈折力は、ベース屈折力より大きな正であり得て、同様に、(存在する場合の)低追加屈折力領域の各々の屈折力は、ベース屈折力より大きな正であり得る。負のベース屈折力を有するレンズの場合、追加屈折力領域の各々の屈折力は、ベース屈折力より小さな負であり得るか、あるいは、追加屈折力領域の各々の屈折力は、正の屈折力であり得る。同様に、(存在する場合の)低追加屈折力領域の各々の屈折力は、ベース屈折力より小さな負であり得るか、あるいは、(存在する場合の)追加屈折力領域の各々の屈折力は、正の屈折力であり得る。追加屈折力領域における環状領域の正味の屈折力は、ベース屈折力と追加屈折力との合計になる。
【0069】
低追加屈折力領域を有する実施形態の場合、当該低追加屈折力領域は、中央領域のベース屈折力よりも大きい(すなわち、更に正であるか、あるいは、より小さな負である)レンズ屈折力を有し得る。低追加屈折力領域の屈折力は、低追加屈折力として説明され得て、これは、ベース屈折力と低追加屈折力領域の屈折力との間の差である。低追加屈折力は、約+0.1~約+5.0Dの間、好ましくは約+0.1~約+3.0Dの間、であり得る。低追加屈折力領域における環状領域の正味の屈折力は、ベース屈折力と低追加屈折力との合計になる。
【0070】
レンズは、少なくとも2つの同心の環状領域を含み得て、環状領域の各々が、0.5D以上の追加屈折力を提供する曲率を有する、少なくとも1つの追加屈折力領域を有し得る。追加屈折力領域の面積は、環状領域の面積の75%未満である。中央領域は、光軸上の点を中心とした曲率を有する面を有する。追加屈折力領域の各々の曲率中心を規定する一連の点は、光軸を取り囲む同心の円弧を形成する。
【0071】
環状領域の各々は、前述の特徴のいずれかを組み込んだ環状領域であり得る。レンズの周の位置を角度θで定義すると、θは0°~360°の間で変化し、各環状領域の追加屈折力領域は、当該環状領域の周に沿った同一のθ値に存在し得る。代替的に、環状領域の各々の追加屈折力領域は、周に沿った異なるθ値に存在してもよい。異なる同心の環状領域の追加屈折力領域は、同一の追加屈折力を有し得る。異なる同心の環状領域の追加屈折力領域は、異なる追加屈折力を有し得る。
【0072】
好ましくは、単数または複数の環状領域は、レンズレット(コンタクトレンズの表面上に設けられ、当該コンタクトレンズの光学ゾーンの直径よりも小径である小レンズ)を含まない、すなわち、単数または複数の環状領域はレンズレットフリーである。
【0073】
コンタクトレンズは、トーリックコンタクトレンズであり得る。例えば、トーリックコンタクトレンズは、人の乱視を矯正するように成形された光学ゾーンを備え得る。
【0074】
コンタクトレンズは、エラストマー材料、シリコーンエラストマー材料、ヒドロゲル材料、または、シリコーンヒドロゲル材料、あるいは、それらの組み合わせ、を含み得る。コンタクトレンズの分野で理解されているように、ヒドロゲルは、水を平衡状態に保持し、シリコーン含有化合物を含まない材料である。シリコーンヒドロゲルは、シリコーン含有化合物を含むヒドロゲルである。本開示の文脈で説明されるように、ヒドロゲル材料及びシリコーンヒドロゲル材料は、少なくとも10%~約90%(wt/wt)の平衡含水率(EWC)を有する。幾つかの実施形態では、ヒドロゲル材料またはシリコーンヒドロゲル材料は、約30%~約70%(wt/wt)のEWCを有する。比較すると、本開示の文脈で説明されるように、シリコーンエラストマー材料は、約0%~10%未満(wt/wt)の含水率を有する。典型的には、本方法または本装置で使用されるシリコーンエラストマー材料は、0.1%~3%(wt/wt)の含水率を有する。好適なレンズ製剤(組成)の例は、以下の米国一般名(USAN)を有するものを含む:メタフィルコン(methafilcon)A、オキュフィルコン(ocufilcon)A、オキュフィルコン(ocufilcon)B、オキュフィルコン(ocufilcon)C、オキュフィルコン(ocufilcon)D、オマフィルコン(omafilcon)A、オマフィルコン(omafilcon)B、コムフィルコン(comfilcon)A、エンフィルコン(enfilcon)A、ステンフィルコン(stenfilcon)A、ファンフィルコン(fanfilcon)A、エタフィルコン(etafilcon)A、セノフィルコン(senofilcon)A、セノフィルコン(senofilcon)B、セノフィルコン(senofilcon)C、ナラフィルコン(narafilcon)A、ナラフィルコン(narafilcon)B、バラフィルコン(balafilcon)A、サムフィルコン(samfilcon)A、ロトラフィルコン(lotrafilcon)A、ロトラフィルコン(lotrafilcon)B、ソモフィルコン(somofilcon)A、リオフィルコン(riofilcon)A、デレフィルコン(delefilcon)A、ベロフィルコン(verofilcon)A、カリフィルコン(kalifilcon)A、等。
【0075】
代替的に、レンズは、シリコーンエラストマー材料を、含み得る、本質的にそれからなり得る、または、それからなり得る。例えば、レンズは、3~50のショアA硬度を有するシリコーンエラストマー材料を、含み得る、本質的にそれからなり得る、または、それからなり得る。ショアA硬度は、当業者によって理解されているように、従来方法を使用して(例えば、方法DIN53505を使用して)決定され得る。他のシリコーンエラストマー材料が、例えば、NuSil Technology、または、Dow Chemical Company、から取得され得る。
【0076】
第2の態様によって、本開示は、レンズを製造する方法を提供する。当該方法は、コンタクトレンズを形成する工程を備える。当該コンタクトレンズは、光学ゾーンと、当該光学ゾーンを取り囲む周辺ゾーンと、を備える。前記周辺ゾーンは、当該レンズの回転を制御するように構成された厚さ変化を有する。前記光学ゾーンは、中央領域を有しており、当該中央領域は、曲率を有する少なくとも1つの面によって提供されるベース屈折力を有している。それによって、前記中央領域は、遠方の点源からの光を遠位焦点面に焦点合わせする一方で、当該光は近位焦点面を通過する時にはぼやけ円またはぼやけ楕円を形成する。前記光学ゾーンは、前記中央領域を周状に取り囲む環状領域を有している。前記環状領域は、曲率を有する少なくとも1つの面によって提供される追加屈折力を有する追加屈折力領域を含む。前記追加屈折力領域は、0.5D以上であり、前記追加屈折力領域の面積は、前記環状領域の面積の75%未満である。前記追加屈折力領域の曲率中心を規定する一連の点が、環のセグメントを形成する。それによって、前記追加屈折力領域は、遠方の点源からの光を焦点合わせして、前記近位焦点面において焦点合わせされた円弧を形成する。
【0077】
レンズは、前述の特徴のいずれかを含み得る。
【0078】
当該製造方法は、凹レンズ形成面を有する雌型部材と、凸レンズ形成面を有する雄型部材と、を形成する工程を含み得る。当該方法は、雌型部材と雄型部材との間のギャップをバルクレンズ材料で充填する工程を含み得る。当該方法は、バルクレンズ材料を硬化させてレンズを形成する工程を更に含み得る。
【0079】
コンタクトレンズは、旋盤加工プロセスを使用して形成され得る。レンズは、キャスト成形プロセス、スピンキャスト成形プロセス、または、旋盤加工プロセス、あるいは、それらの組み合わせ、によって形成され得る。当業者によって理解されているように、キャスト成形とは、凹レンズ部材形成面を有する雌型成形部材と凸レンズ部材形成面を有する雄型成形部材との間にレンズ成形材料を入れることでレンズを成形する工程を指す。
【0080】
本開示の第3の態様では、本明細書に記載されたコンタクトレンズを使用する方法も提供される。当該方法は、近視の進行を低減(軽減)するなど、屈折異常の進行を低減するのに効果的であり得る。本レンズが近視の進行を低減するために使用される時、当該方法は、様々な近距離(例えば、約15cm~約40cmの範囲)に対して眼が順応可能である人にコンタクトレンズを提供する工程を備える。当該方法の幾つかの実施形態は、眼用レンズを、約5歳~約25歳である人に提供する工程を備える。当該提供は、眼鏡技師または検眼医などの眼科医によって実行され得る。代替的に、当該提供は、眼科用レンズをレンズ着用者に配送するように手配するレンズ販売業者によって実行され得る。
【0081】
図3(a)は、本開示の一実施形態による近視の進行を遅らせるために使用するためのレンズ101の概略平面図を示す(例えば、近視調整)。レンズ101は、概ね瞳孔を覆う光学ゾーン102と、虹彩の上方に位置する周辺ゾーン104と、を備える。周辺ゾーン104は、レンズのサイズを増大して当該レンズ101をより扱いやすくし、及び、レンズ101の着用者の快適性を改善する形状領域を提供する、といったことを含む機械的機能を提供する。周辺ゾーン104は、レンズの回転を制御するように構成されたバラスト109によって提供される厚さ変化を有し、その結果、レンズ101が着用されている時、レンズ101は、着用者の瞬きに起因する回転力に関わらず安定位置に留まる。光学ゾーン102は、レンズ101の光学機能を提供し、当該光学ゾーン102は、環状領域103及び中央領域105を含む。環状領域103は、0.5D以上の追加屈折力を有する追加屈折力領域107を含む。追加屈折力領域107は、環状領域103の面積の約50%に広がっており、この場合、レンズの側頭側半部に広がっている。このレンズ101は、正のベース屈折力を有し、中央領域105が、当該ベース屈折力を提供する曲率を有する。追加屈折力領域107の前面は、中央領域105の前面よりも大きな曲率を有し、従って、中央領域105のベース屈折力よりも大きな屈折力を提供する。追加屈折力領域107を含まない環状領域103の残部もまた、ベース屈折力を有する。図4は、A-A線に沿った図3(a)のレンズの断面の概略図を示す。中央領域105の前面は、第1光軸118上に中心を有するより大きな半径110の球の表面の一部を画定する。ベース屈折力を有する環状領域103の前面は、同一の球の表面の一部を画定する。追加屈折力領域107の前面は、より小さい半径106で光軸118から第1距離の中心を有する湾曲環状面を画定する。
【0082】
図4に示されるように、遠位焦点面117で、中央領域105と環状領域103の非追加屈折力領域とを通過する光線が焦点合わせ(集束)される。近位焦点面113には、単一の像は形成されない。近位焦点面113では、無限遠の点源に対して、中央領域105と環状領域103の非追加屈折力領域とを通過する光線は、ぼやけ(blur)円ないしぼやけ(blur)楕円を生成する。一方、追加屈折力領域107を通過する遠方の点源からの光線は、環のセグメントを生成し、これは、ぼやけ円ないしぼやけ楕円を取り囲んでいる。
【0083】
追加屈折力領域107が環状領域103の側頭側半部に広がる時、追加屈折力は、網膜の鼻側半部に入射する光の焦点を変えるであろう。着用されている時にレンズ101の回転を制御する周辺ゾーン上に設けられたバラスト109と、局所的な追加屈折力領域107との組み合わせが、網膜の特定の領域にターゲットを絞った追加屈折力を提供するために利用され得る。
【0084】
図3(b)は、本開示の一実施形態による、近視の進行を遅らせる(例えば、近視の制御)のに使用するためのレンズ201の概略平面図を示す。このレンズ201は、図3(a)のレンズ101と類似しているが、このレンズの場合、追加屈折力領域207は環状領域203の反対側の半部に広がっており、それは、この場合、環状領域の鼻側半部である。従って、追加屈折力は、網膜の側頭側半部に向かってターゲットを絞られる。
【0085】
図5(a)は、本開示の一実施形態による、近視の進行を遅らせる(例えば、近視の制御)のに使用するためのレンズ301の概略平面図を示す。このレンズ301は、図3(a)及び図3(b)のレンズ101と類似しているが、このレンズの場合、追加屈折力領域307は環状領域303の約25%に広がっており、それは、1つの象限に制限されている。図5(b)乃至図5(d)は、3つの類似のレンズ301’、301”、301”’を示しており、これらは追加屈折力領域を有しており、それらは各々環状領域の約25%に広がっている。これらのレンズ301’、301”、301”’の各々について、追加屈折力領域307’、307”、307”’は、バラスト309’、309”、309”’に対して異なる象限に広がっている。図5(a)のレンズの場合、追加屈折力領域はレンズの上側頭側象限に広がっており、追加屈折力は網膜の下鼻側象限に向かってターゲットを絞られている。図5(b)のレンズの場合、追加屈折力領域はレンズの上鼻側象限に広がっており、追加屈折力は網膜の下側頭側象限に向かってターゲットを絞られている。図5(c)のレンズの場合、追加屈折力領域はレンズの下鼻側象限に広がっており、追加屈折力は網膜の上側頭側象限に向かってターゲットを絞られている。図5(d)のレンズの場合、追加屈折力領域はレンズの下側頭側象限に広がっており、追加屈折力は網膜の上鼻側象限に向かってターゲットを絞られている。
【0086】
図6(a)は、本開示の一実施形態による、近視の進行を遅らせる(例えば、近視の制御)のに使用するためのレンズ401の概略平面図を示す。このレンズ401は、図5(a)のレンズと類似しており、追加屈折力領域407は環状領域403の約25%に広がっている。追加屈折力領域407におけるレンズの前面の曲率は、ベース屈折力に対して0D~2.5Dの間で変化し、追加屈折力領域407の追加屈折力は、環状領域403周りで変化する。レンズの周の位置を角度θで定義すると、θは0°~360°の間で変化し(図6(a)に示されるように)、これが、図6(b)に示されるように、追加屈折力に非対称のピークプロファイルをもたらす。
【0087】
図7(a)は、本開示の一実施形態による、近視の進行を遅らせる(例えば、近視の制御)のに使用するためのレンズ601の概略平面図を示す。このレンズ601は、図3(a)のレンズ及び図5(a)のレンズと類似しているが、環状領域603は、第1追加屈折力領域607aと第2追加屈折力領域607bとを有している。各追加屈折力領域607a、607bは、環状領域603の約25%に広がっており、2つの追加屈折力領域607a、607bは、環状領域603の反対側の象限に広がっている。第1追加屈折力領域607aは、レンズの上側頭側象限に広がっており、第2追加屈折力領域607aは、レンズの下鼻側象限に広がっている。追加屈折力領域607a、607bは、同一の追加屈折力を有している。追加屈折力領域607a、607bは、網膜の2つの異なる領域に向けて追加屈折力のターゲットを絞るように利用され得る。第1追加屈折力領域607aは、網膜の下鼻側象限にターゲットを絞り込み、第2追加屈折力領域607bは、網膜の上側頭側象限にターゲットを絞り込む。レンズ601は、正のベース屈折力を有しており、中央領域605が、当該ベース屈折力を提供する曲率を有している。追加屈折力領域607a、607bの前面は、同一の曲率を有しており、中央領域605の前面よりも大きな曲率を有している。従って、追加屈折力領域607a、607bは、中央領域605のベース屈折力よりも大きな屈折力を提供する。2つの追加屈折力領域607a、607bが広がっていない環状領域603の残部は、ベース屈折力を有している。
【0088】
図8は、B-B線に沿った図7のレンズ601の断面の概略図を示す。中央領域605の前面は、第1光軸118上に中心を有するより大きな半径610(一点鎖線の円によって示されている)の球の表面の一部を画定する。追加屈折力領域607a、607bの前面は、同一の大きさのより小さい半径606a、606b(破線の円によって示されている)で共に光軸618から同一の第1距離にある中心を有する湾曲環状面を画定する。
【0089】
図8に示されるように、遠位焦点面617で、中央領域605を通過する光線が焦点合わせ(集束)される。近位焦点面613には、単一の像は形成されない。近位焦点面613では、無限遠の点源に対して、中央領域105を通過する光線は、ぼやけ(blur)円128を生成する。一方、追加屈折力領域607a、607bを通過する遠方の点源からの光線は、環の焦点合わせされた円弧を生成し、これは、ぼやけ円128取り囲んでいる。遠位焦点面617で、中央領域605を通過する光線が焦点合わせ(集束)される。C-C線(図7に示される)に沿って、環状領域603は、中央領域605と同一のベース屈折力を提供する曲率を有する。中央領域605の前面及び環状領域603の前面は、図9に示されるように、光軸618上に中心を有する単一の球の表面の一部を画定する。
【0090】
図10は、本開示の一実施形態による、近視の進行を遅らせる(例えば、近視の制御)のに使用するためのレンズ701の概略平面図を示す。このレンズ701は、図3(a)及び図3(b)のレンズと類似しているが、環状領域703は、中央領域705のベース屈折力に対して異なる追加屈折力を有する2つの追加屈折力領域707a、707bを有している。2つの追加屈折力領域707a、707bの各々は、環状領域703の約25%に広がっている。2つの追加屈折力領域707a、707bは、環状領域703の隣接する象限に広がっており、追加屈折力は、環状領域703の一方の半部に制限されている。環状領域703の残りの半部は、ベース屈折力を有している。2つの追加屈折力領域707a、707bは、網膜の2つの異なる領域に向けて異なる追加屈折力のターゲットを絞るように利用され得る。この場合、追加屈折力領域707a、707bは、それぞれ、レンズの上側頭側象限及び下側頭側象限に広がっており、従って、それぞれ、網膜の下鼻側象限及び上鼻側象限に追加屈折力のターゲットを絞り込む。レンズ701は、正のベース屈折力を有しており、中央領域705が、当該ベース屈折力を提供する曲率を有している。追加屈折力領域707a、707bの前面は、異なる曲率を有しているが、それらは両方とも中央領域705の前面よりも大きな曲率を有している。従って、追加屈折力領域707a、707bは、両方とも、中央領域705のベース屈折力よりも大きな屈折力を提供する。2つの追加屈折力領域707a、707bが広がっていない環状領域703の残りの半部は、ベース屈折力を有している。
【0091】
図11は、本開示の一実施形態による、近視の進行を遅らせる(例えば、近視の制御)のに使用するためのレンズ801の概略平面図を示す。このレンズ801は、図10のレンズと類似しているが、2つの追加屈折力領域807a、807bは、環状領域803の反対側の非隣接の象限に広がっている。環状領域803の2つの残りの象限は、ベース屈折力を有しており、追加屈折力領域807を分離している。2つの追加屈折力領域807a、807bは、網膜の異なる領域に向けて異なる追加屈折力のターゲットを絞るように利用され得る。この場合、追加屈折力領域807a、807bは、それぞれ、レンズの上側頭側象限及び下鼻側象限に広がっており、従って、それぞれ、網膜の下鼻側象限及び上側頭側象限に追加屈折力のターゲットを絞り込むであろう。レンズ801は、正のベース屈折力を有しており、中央領域805が、当該ベース屈折力を提供する曲率を有している。追加屈折力領域807a、807bの前面は、異なる曲率を有しているが、それらは両方とも中央領域805の前面よりも大きな曲率を有している。従って、追加屈折力領域807a、807bは、両方とも、中央領域805のベース屈折力よりも大きな屈折力を提供する。
【0092】
図12は、D-D線に沿った図11のレンズ801の断面の概略図を示す。中央領域805の前面は、第1光軸818上に中心を有するより大きな半径810の球の表面の一部を画定する。追加屈折力領域807a、807bの前面は、異なる湾曲環状面を画定する。第1追加屈折力領域807aの前面は、中央領域805の前面の曲率半径810(一点鎖線の円によって示されている)より小さい曲率半径806a(破線の円によって示されている)を有している。第2追加屈折力領域807bの前面は、中央領域805の前面の曲率半径810及び第1追加屈折力領域807aの前面の曲率半径806aより小さい曲率半径806b(点線の円によって示されている)を有している。第1追加屈折力領域807aは、光軸818から第1距離にある曲率中心を有し、第2追加屈折力領域807bは、光軸818から異なる第2距離にある曲率中心を有する。
【0093】
図12に示されるように、遠位焦点面817で、中央領域805を通過する光線が焦点合わせ(集束)される。第1追加屈折力領域807aに関連する第1近位焦点面813にも、第2追加屈折力領域807bに関連する第2近位焦点面814にも、単一の像は形成されない。第1近位焦点面813及び第2近位焦点面814では、無限遠の点源に対して、中央領域805を通過する光線は、ぼやけ(blur)円を生成する。一方、追加屈折力領域807a、807bを通過する遠方の点源からの光線は、それぞれ、第1近位焦点面813及び第2近位焦点面814において、環の焦点合わせされた円弧を生成し、これは、それぞれのぼやけ円取り囲んでいる。遠位焦点面817で、中央領域805を通過する光線が焦点合わせ(集束)される。
【0094】
図13は、本開示の一実施形態による、近視の進行を遅らせる(例えば、近視の制御)のに使用するためのレンズ901の概略平面図を示す。このレンズ901は、図10のレンズと類似しているが、2つの追加屈折力領域907a、907bは、各々、環状領域803の約1/8の面積に広がっている。2つの追加屈折力領域907a、907bは、環状領域803の隣接する面積に広がっており、当該追加屈折力領域907は、環状領域903の1つの象限に制限されており、この場合、レンズの上側頭側象限に制限されている。環状領域903の残りの3つの象限は、ベース屈折力を有している。2つの追加屈折力領域907a、907bは、異なる追加屈折力を有している。2つの追加屈折力領域907a、907bは、網膜の下鼻側象限内の、網膜の異なる領域に向けて異なる追加屈折力のターゲットを絞るように利用され得る。レンズ901は、正のベース屈折力を有しており、中央領域905が、当該ベース屈折力を提供する曲率を有している。追加屈折力領域907a、907bの前面は、異なる曲率を有しているが、それらは両方とも中央領域905の前面よりも大きな曲率を有している。従って、追加屈折力領域907a、907bは、両方とも、中央領域905のベース屈折力よりも大きな屈折力を提供する。
【0095】
図14は、本開示の一実施形態による、近視の進行を遅らせる(例えば、近視の制御)のに使用するためのレンズ1001の概略平面図を示す。このレンズ1001は、図5(a)のレンズと類似しており、環状領域1003の面積の約25%に広がっていて単一の象限に制限されている追加屈折力領域1007を有している。一方、光学ゾーン1002は、第2の同心の環状領域1003’をも含む。第2の環状領域1003’は、図5(b)の追加屈折力領域に類似して第1の環状領域1003とは異なる象限に広がっている、第2の追加屈折力領域1007’を含む。第2の追加屈折力領域1007’の追加屈折力は、第1の追加屈折力領域1007の追加屈折力と同一である。同心の環状領域1003、1003’は、ベース屈折力を有する光学ゾーンのある面積(領域)によって分離されている。
【0096】
本開示の実施形態(図示せず)では、光学ゾーンは、複数の同心の環状領域を含み得て、各環状領域は、追加屈折力領域を有し得て、各追加屈折力領域は、環状領域の同一の象限または同一の半部に制限され得る。本開示の実施形態では、同心の環状領域の追加屈折力領域は、異なる追加屈折力を有し得る。
【0097】
着用者は、右眼用レンズと左眼用レンズとを同時に着用し得ることが、理解されるであろう。装用者の網膜の特定の領域に入射する光に影響を与える追加屈折力を提供するために、着用者が左眼と右眼とにそれぞれ反対の追加屈折力領域を有する2つの異なるレンズを同時に着用することが有益であり得る。例えば、着用者の網膜の鼻側半部に入射する光に影響を与える追加屈折力を提供することが望ましい場合がある。着用者の右眼の鼻側の網膜は、網膜の左側(着用者の視点から)であり、着用者の左眼の鼻側の網膜は、網膜の右側(着用者の視点から)である。両方の鼻側の網膜に入射する光の焦点を変える追加屈折力を提供するために、右眼のレンズは、側頭側半部(着用者の視点から見てレンズの右側)に広がる追加屈折力領域を有することが必要であろうし、左眼用レンズは、側頭側半部(装用者から見てレンズの左側)に広がる追加屈折力領域を有することが必要であろう。着用者の脳は、両眼と網膜の両領域とから信号を受信するが、大脳皮質において支配的な両眼のニューラル画像(神経画像)は、追加屈折力領域による影響を受けていない光線から形成される画像であろう。従って、通常の両眼視の間、知覚のレベルでは、画像の劣化が回避され得る。
【0098】
前述の説明では、既知の自明または予測可能な等価物を有する完全体(integer)または要素が言及されているが、そのような等価物は、本明細書に個別に記載されているかの如く、本明細書に組み込まれているものである。本開示の真の範囲を決定するためには、特許請求の範囲への参照がなされるべきである。特許請求の範囲は、あらゆるそのような等価物を包含するものと解釈されるべきである。また、有利であったり便利であったり等と説明されている本開示の完全体または特徴が、選択的なものであって、独立請求項の範囲を限定するものではないことも、読者には理解されるであろう。更に、そのような選択的な完全体または特徴は、本開示の幾つかの実施形態では有益である可能性があるが、他の実施形態では望ましくない場合があり得て、従って、他の実施形態では存在しない場合がある、ことが理解されるべきである。
図1
図2a
図2b
図2c
図3(a)】
図3(b)】
図4
図5(a)】
図5(b)】
図5(c)】
図5(d)】
図6a
図6b
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2023-06-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近視の発症または進行を予防または遅らせるのに使用するためのコンタクトレンズであって、
光軸を有する光学ゾーンと、
前記光学ゾーンを取り囲む周辺ゾーンと、
を備え、
前記周辺ゾーンは、当該レンズの回転を制御するように構成された厚さ変化を有しており、
前記光学ゾーンは、中央領域と、前記中央領域を周状に取り囲む環状領域と、を有しており、
前記中央領域は、曲率を有する少なくとも1つの面によって提供されるベース屈折力を有し、それによって前記中央領域は遠方の点源からの光を遠位焦点面に焦点合わせする一方で、当該光は近位焦点面を通過する時にはぼやけ円またはぼやけ楕円を形成し、
前記環状領域は、曲率を有する少なくとも1つの面によって提供される追加屈折力を有する追加屈折力領域を含み、
前記追加屈折力領域は、0.5D以上であり、
前記追加屈折力領域の面積は、前記環状領域の面積の75%未満であり、
前記追加屈折力領域の曲率中心を規定する一連の点が、環のセグメントを形成し、それによって前記追加屈折力領域は遠方の点源からの光を焦点合わせして、前記近位焦点面において焦点合わせされた円弧を形成する
ことを特徴とするコンタクトレンズ。
【請求項2】
前記追加屈折力領域の面積は、前記環状領域の面積の25%未満である
ことを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項3】
前記周辺ゾーンの前記厚さ変化は、レンズ直径に関して対称であり、
前記レンズ直径は、前記環状領域を半分に2分割するものであり、
前記追加屈折力領域は、前記環状領域の一方の半分に制限されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載のコンタクトレンズ。
【請求項4】
前記環状領域の各半分が、上部象限及び下部象限に分割され、
前記追加屈折力領域は、単一の象限に制限されている
ことを特徴とする請求項3に記載のコンタクトレンズ。
【請求項5】
前記追加屈折力領域は、5.0D以上の追加屈折力を提供する曲率を有する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
【請求項6】
前記環状領域は、0Dと5.0Dとの間の追加屈折力を提供する曲率を有する低追加屈折力領域を更に含む
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
【請求項7】
前記環状領域は、前記ベース屈折力を提供し、前記中央領域の前記曲率中心を中心とした前記曲率を有する、ベース屈折力領域を更に含む
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
【請求項8】
前記環状領域の面積の少なくとも25%が、前記ベース屈折力を有する
ことを特徴とする請求項7に記載のコンタクトレンズ。
【請求項9】
前記追加屈折力領域は、前記環状領域の面積の約50%である面積を有する連続領域であり、
前記ベース屈折力領域は、前記環状領域の面積の約50%である面積を有する連続領域である
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
【請求項10】
前記追加屈折力領域は、非対称の屈折力プロファイルを有する
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
【請求項11】
前記低追加屈折力領域は、非対称の屈折力プロファイルを有する
ことを特徴とする請求項6に記載のコンタクトレンズ。
【請求項12】
前記環状領域は、実質的に円形の外周を有する
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
【請求項13】
前記環状領域は、実質的に楕円形の外周を有する
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
【請求項14】
前記曲率は、前記レンズの前面の曲率である
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
【請求項15】
前記中央領域は、形状が実質的に円形であり、2mmと7mmとの間の直径を有する
ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
【請求項16】
前記環状領域は、前記中央領域の周縁から半径方向外側に0.5mmと1.5mmとの間で延在する
ことを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
【請求項17】
前記ベース屈折力は、0.5Dと-15.0Dとの間である
ことを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
【請求項18】
当該レンズは、エラストマー材料、シリコーンエラストマー材料、ヒドロゲル材料、または、シリコーンヒドロゲル材料、あるいは、それらの混合物、を含む
ことを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
【請求項19】
当該レンズは、旋盤加工プロセスを使用して形成される
ことを特徴とする請求項1乃至18のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
【請求項20】
コンタクトレンズを製造する方法であって、
光学ゾーンと、前記光学ゾーンを取り囲む周辺ゾーンと、を含むコンタクトレンズを形成する工程
を備え、
前記周辺ゾーンは、当該レンズの回転を制御するように構成された厚さ変化を有しており、
前記光学ゾーンは、中央領域と、前記中央領域を周状に取り囲む環状領域と、を有しており、
前記中央領域は、曲率を有する少なくとも1つの面によって提供されるベース屈折力を有し、それによって前記中央領域は遠方の点源からの光を遠位焦点面に焦点合わせする一方で、当該光は近位焦点面を通過する時にはぼやけ円またはぼやけ楕円を形成し、
前記環状領域は、曲率を有する少なくとも1つの面によって提供される追加屈折力を有する追加屈折力領域を含み、
前記追加屈折力領域は、0.5D以上であり、
前記追加屈折力領域の面積は、前記環状領域の面積の75%未満であり、
前記追加屈折力領域の曲率中心を規定する一連の点が、環のセグメントを形成し、それによって前記追加屈折力領域は遠方の点源からの光を焦点合わせして、前記近位焦点面において焦点合わせされた円弧を形成する
ことを特徴とする方法。
【国際調査報告】