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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-14
(54)【発明の名称】液体シリコーン樹脂
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/04 20060101AFI20231207BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20231207BHJP
   C08K 5/06 20060101ALI20231207BHJP
   C08G 77/14 20060101ALI20231207BHJP
   C08G 77/46 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
C08L83/04
C08L71/02
C08K5/06
C08G77/14
C08G77/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023525015
(86)(22)【出願日】2021-10-29
(85)【翻訳文提出日】2023-06-07
(86)【国際出願番号】 US2021057200
(87)【国際公開番号】W WO2022094179
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】63/107,643
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 司
(72)【発明者】
【氏名】バリジェパリ、スダカル
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ウン シル
【テーマコード(参考)】
4J002
4J246
【Fターム(参考)】
4J002CH022
4J002CH052
4J002CP031
4J002CP141
4J002ED036
4J002EZ047
4J002FD157
4J246AA03
4J246AB02
4J246AB12
4J246BA29X
4J246BB021
4J246BB02X
4J246CA24X
4J246CA34X
4J246CA56M
4J246CA56X
4J246EA15
4J246EA17
4J246FA032
4J246FA452
4J246FC192
4J246GA04
4J246GB02
(57)【要約】
(A)ポリシロキサン、(B)ポリエーテルアルコール化合物、及び必要に応じて(C)アミノケイ素化合物を含有する液体シリコーン樹脂組成物。ポリシロキサン(A)は、ポリエーテルアルコール化合物(B)中に分散され、任意選択的にポリエーテルアルコール化合物(B)で官能化され、また任意選択的にアミノ官能基を有してもよいMQ樹脂を含む。液体シリコーン樹脂組成物は、25℃で100~800,000cpsの範囲であり得る調整可能な粘度を含む。液体シリコーン樹脂の製造方法は、固体シリコーン樹脂とポリエーテルアルコール化合物(B)とを組み合わせて、ポリシロキサン(A)とポリエーテルアルコール化合物(B)とを含む混合物を得、この混合物を液化することによって、液体シリコーン樹脂組成物を調製することを含む。本方法は、任意選択でアミノケイ素化合物(C)を含んでもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体シリコーン樹脂組成物であって、
(A)次式を有するポリシロキサンであって、
(R SiO1/2(R SiO2/2(R’RSiO2/2b’(RSiO3/2(R’SiO3/2c’(SiO4/2
添字a、b、b’、c、c’、及びdは、それぞれa+b+b’+c+c’+d=1となるモル分率であり、ただし、0<a<1、0≦b<0.2、0≦b’≦0.1、0<c<0.2、0≦c’≦0.1、0<d<1、及び0≦b’+c’≦0.1、及び添字aと添字dの比率が0.5~1.5(a:d)であり、各Rは、1~30個の炭素原子を有するヒドロカルビル基、-OH、及びHから独立して選択され、各Rは、R及び-OXから独立して選択され、ここで、各Xは、独立して、H、1~30個の炭素原子を有するヒドロカルビル基R、又は一般式-Y-R(-[Y]-Z)を有するポリエーテル部分であり、ここで、Rは、置換又は非置換炭化水素セグメントであり、各Yは、一般式(C2nO)の独立して選択されるオキシアルキレンセグメントであり、式中、添字mは、1~50であり、添字nは、添字mによって示される各部分において独立して2~4から選択され、各Zは、独立して、H又は樹脂状シリコーン部分であり、添字iは、0~8であり、添字jは、添字iによって示される各部分において独立して0又は1であり、各R’は、独立して選択されたアミノ基を含む、ポリシロキサンと、
(B)一般式HO-Y-R(-[Y]-H]を有するポリエーテルアルコール化合物であって、式中、各Y、R、添字i、及び添字jは、上で定義されたとおりである、ポリエーテルアルコール化合物と、を含む、液体シリコーン樹脂組成物。
【請求項2】
(i)添字dで示されるQシロキシ単位に対する添字aで示されるMシロキシ単位の比が0.7~1.2 a:dであり、(ii)添字aが、0.3~0.6であり、(iii)添字bとcの合計が0.2未満であり、(iv)添字dは、0.4~0.7であり、(v)前記ポリシロキサン(A)が、2000~30,000の重量平均分子量(Mw)を含み、又は(vi)(i)~(v)の任意の組み合わせである、請求項1に記載の液体シリコーン樹脂組成物。
【請求項3】
前記ポリシロキサン(A)において、(i)各Rは、独立して、添字cによって示される前記Tシロキシ単位において式-OXであり、(ii)Xは、式-OXの各Rの1~90モル%におけるポリエーテル部分であり、(iii)各Rは、独立して、1~30個の炭素原子を含有するアルキル基及びアリール基並びにHから選択され、又は(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせである、請求項1又は2に記載の液体シリコーン樹脂組成物。
【請求項4】
前記ポリシロキサン(A)において、(i)各Rは、独立して、R及び式-ORのヒドロカルビルオキシ基から選択され、(ii)各Rは、独立して、1~30個の炭素原子を含有するアルキル基及びアリール基、-OH、並びにHから選択され、(iii)各Rは、独立して、1~30個の炭素原子を含有するアルキル基及びアリール基から選択され、(iv)各R’は、独立して、式-(CHN(H)2-fであり、式中、各gは、独立して、1~30であり、fは、0、1、又は2であり、Rは、独立して、選択され、上で定義され、又は(v)(i)~(iv)の任意の組み合わせである、請求項1又は2に記載の液体シリコーン樹脂組成物。
【請求項5】
前記炭化水素セグメントRが、(i)3~30個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖炭化水素基と、(ii)芳香族基と、(iii)エーテル基と、(iv)アミン基と、又は(v)(i)~(iv)の任意の組み合わせを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の液体シリコーン樹脂組成物。
【請求項6】
(i)前記炭化水素セグメントRが、3~16個の炭素原子を有する分岐鎖炭化水素基を含み、(ii)添字iは1~8であり、(iii)添字jが、添字iによって示される各部分において、1であり、(iv)各オキシアルキレンセグメントYは独立して式(CO)(CO)(CO)を有し、式中、添字xが、1~50であり、添字yが、0~50であり、添字zが、0~50であり、添字x、y、及びzで示される単位が、前記オキシアルキレンセグメントでランダム化された若しくはブロック形態であり得る、又は(v)(i)~(iv)の任意の組み合わせである、請求項1~5のいずれか一項に記載の液体シリコーン樹脂組成物。
【請求項7】
(i)各添字iは0であり、各炭化水素セグメントRは独立して、3~30個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖炭化水素基を含み、(ii)各添字iは1であり、各炭化水素セグメントRは、独立して、3~30個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖炭化水素基、フェノール、テトラヒドロフラン、アルキルアミン、及びアルコキシ基から選択される少なくとも1つの基を含み、又は(iii)各添字iは少なくとも2であり、各炭化水素セグメントRは独立して、3~30個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖炭化水素基、アルキルアミン、ポリアミン、ポリアミド、ポリアジリジン、ポリフェノール、及びポリエステルから選択される少なくとも1つの基を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の液体シリコーン樹脂組成物。
【請求項8】
前記ポリエーテルアルコール化合物(B)が、(b-1)O-、N-、又はS-結合水素原子を有するアルコキシル化可能な基を含む有機化合物と、(b-2)アルキレンオキシド又はポリオキシアルキレン化合物とのアルコキシル化反応生成物を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の液体シリコーン樹脂組成物。
【請求項9】
(i)前記有機化合物(b-1)は、1~9個のヒドロキシル基を含むアルコール化合物として更に定義され、(ii)前記アルキレンオキシド又はポリオキシアルキレン化合物(b-2)が、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、それらの組み合わせ、又はそれらから形成されるポリオキシアルキレンから選択され、又は(iii)(i)及び(ii)の両方である、請求項8に記載の液体シリコーン樹脂組成物。
【請求項10】
前記ポリエーテルアルコール化合物(B)が、(i)1.15未満の多分散指数(PDI)と、(ii)5000未満の分子量(Mw)と、(iii)前記ポリエーテルアルコール化合物(B)の総重量に基づいて、2重量%未満の未反応アルコール化合物(b-1)と、又は(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせを含む、請求項8又は9に記載の液体シリコーン樹脂組成物。
【請求項11】
(i)前記組成物の総重量に基づいて、10重量%~80重量%の前記ポリシロキサン(A)と、(ii)前記組成物の総重量に基づいて10重量%~95重量%の前記ポリエーテルアルコール化合物(B)と、(iii)25℃で100~800,000cpsの粘度と、又は(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の液体シリコーン樹脂組成物。
【請求項12】
前記組成物は(i)スズを含まず、(ii)環状シロキサンを含まず、(iii)前記組成物の総重量に基づいて1重量%未満の溶媒を含み、又は(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせである、請求項1~11のいずれか一項に記載の液体シリコーン樹脂組成物。
【請求項13】
前記方法が、
前記ポリシロキサン(A)と前記ポリエーテルアルコール化合物(B)とを含む混合物を得るために、固体シリコーン樹脂と前記ポリエーテルアルコール化合物(B)とを一緒に組み合わせることであって、前記固体シリコーン樹脂が、以下の式を有し、
(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2
式中、各Rは、R及び-ORから独立して選択されるが、ただし、Rは、添字cによって示される少なくとも1つのTシロキシ単位中の-OH及び-ORから選択され、各R、R、並びに添字a、b、c、及びdは、上で定義されたとおりである、ことと、
前記混合物を液化することにより、前記液体シリコーン樹脂組成物を調製することと、を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の液体シリコーン樹脂組成物を調製する方法。
【請求項14】
前記固体シリコーン樹脂と前記ポリエーテルアルコール化合物(B)とを縮合反応させて、前記混合物中で前記ポリシロキサン(A)を調製することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
方法が、(C)アミノケイ素化合物を前記固体シリコーン樹脂及び前記ポリエーテルアルコール化合物(B)と組み合わせることを更に含み、及び/又は前記方法が、(C)アミノケイ素化合物を前記混合物を液化する前及び/又は後に前記混合物と組み合わせることを更に含む、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記アミノケイ素化合物(C)が、式R’R10 Si(OR103-hを有し、式中、R’がアミノ基を含み、各R10が独立して選択される1~18個の炭素原子を有するアルキル基であり、添字hが0又は1である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記固体シリコーン樹脂及び前記ポリエーテルアルコール化合物(B)は、溶媒の存在下で一緒に組み合わされ、前記方法は、前記固体シリコーン樹脂を前記溶媒に溶解してシリコーン樹脂溶液を得ることを更に含み、前記固体シリコーン樹脂と前記ポリエーテルアルコール化合物(B)とを組み合わせて前記混合物を形成することは、前記シリコーン樹脂溶液と前記ポリエーテルアルコール化合物(B)とを混合することとして更に定義される、請求項13~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記混合物を液化することが、前記固体シリコーン樹脂を前記溶媒から前記ポリエーテルアルコール化合物(B)に溶媒交換することを含み、前記溶媒交換が行われ、(i)60~150℃の温度で、(ii)減圧下で、(iii)蒸留条件下で溶媒を除去し、又は(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記溶媒が(i)キシレンと、(ii)ヘキサメチレンジシロキサンと、(iii)オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)と、(iv)デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)と、又は(v)(i)~(iv)の任意の組み合わせを含む、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記液体シリコーン樹脂組成物が、(i)スズを含まず、(ii)環状シロキサンを含まず、(iii)前記組成物の総重量に基づいて1重量%未満の溶媒を含み、又は(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせである、請求項13~19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年10月30日に出願された米国仮特許出願第63/107,643号の優先権及びすべての利点を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、全般的にはシリコーン組成物に関し、特に液体シリコーン樹脂組成物及びそれを調製する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
シリコーンは、主にそれらの有する利点がそれらの炭素系類似体に対して顕著であるため、多くの市販用途に使用されるポリマー材料である。より厳密には重合シロキサン又はポリシロキサンと呼ばれるシリコーンは、無機ケイ素-酸素主鎖(...-Si-O-Si-O-Si-O-...)を含み、有機側基がケイ素原子に結合している。有機側基を用いて、これらの主鎖のうちの2つ以上を一緒に連結することができる。-Si-O-鎖長、側基及び架橋を変化させることにより、多種多様な特性及び組成を有するシリコーンを合成することができ、シリコーン網目構造では、液体からゲル、ゴム、硬質プラスチックまで稠度が変化する。シリコーン及びシロキサン系材料は、多種多様な工業用、ホームケア、及びパーソナルケア配合物中の成分としてなど、無数の最終用途及び環境において利用されている。
【0004】
シリコーン及びシロキサン系材料は、当該技術分野において既知であり、無数の最終用途及び環境で利用される。最も一般的なシリコーン材料は、直鎖状有機ポリシロキサンポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane、PDMS)、シリコーン油に基づく。かかる有機ポリシロキサンは、多くの工業、ホームケア、及びパーソナルケア用配合物で使用される。シリコーン材料の2番目に大きな基は、分岐状及びかご状オリゴシロキサンによって形成されたシリコーン樹脂に基づくものである。残念ながら、有機ポリシロキサンの特定の固有の属性から利益を受け得る特定の用途でのシロキサン系材料の使用(例えば、低損失で安定した光伝送、熱的及び酸化的安定性など)は、官能化及び/又は更なる反応に適した従来のシリコーン網目の脆弱な機械的特性のために制限されたままであり、これは、低い引張強度、低い引裂き強度など、特性が不十分又は不適切な材料に現れ得る。更に、従来のシリコーン網目及び炭素系ポリマーは、多くの場合相溶性がなく、及び/又は互いに拮抗的な特性を有し、シリコーン樹脂などのシリコーンを効率的かつ効果的に官能化するための有用な方法を特定するには、更なる研究が必要である。
【0005】
例えば、多くの従来のシリコーン材料(例えば、シロキサン、シリコーン樹脂)は疎水性であり、したがって、広範囲の条件下で極性有機材料と混合することが困難である。したがって、これらのシリコーン材料は、典型的には、固体形態で利用されるか、又は溶液/分散液が必要な場合、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、及びキシレンなどの無極性有機(例えば、炭化水素)溶媒(すなわち、BTEX溶媒)と共に利用される。残念ながら、このような条件はまた、ある種の極性有機材料、並びにそれらの使用に必要なプロセス条件と適合しないことが多い。更に、BTEX溶媒の性質は、多くの環境及び健康関連の懸念を提示し、非伝統的な用途におけるシリコーン材料の安全かつ有効な使用のための更なる調査を必要とする。
【発明の概要】
【0006】
液体シリコーン樹脂組成物(「組成物」)が開示される。組成物は、(A)以下の一般式:
(R SiO1/2(R SiO2/2(R’RSiO2/2b’(RSiO3/2(R’SiO3/2c’(SiO4/2
を有するポリシロキサンを含み、
添字a、b、b’、c、c’、及びdは、それぞれa+b+b’+c+c’+d=1となるモル分率で、ただし0<a<1、0≦b<0.2、0≦b’≦0.1 0<c<0.2、0≦c’≦0.1、0<d<1、0≦b’+c’≦0.1、添字aの添字dに対する比は0.5~1.5(a:d)であり、各々のRは、1~30個の炭素原子を有する、ヒドロカルビル基、-OH及びHから独立して選択され、各Rは、R及び-OXから独立して選択され、ここで、各Xは、独立して、H、1~30個の炭素原子を有するヒドロカルビル基R、又は一般式-Y-R(-[Y]-Z)を有するポリエーテル部分であり、ここで、Rは、置換又は非置換炭化水素セグメントであり、各Yは、一般式(C2nO)の独立して選択されたオキシアルキレンセグメントであり、ここで、添字mは、1~50であり、添字nは、添字mによって示される各部分において独立して2~4から選択され、各Zは、独立して、H又は樹脂状シリコーン部分であり、添字iは、0~8であり、添字jは、添字iによって示される各部分において独立して0又は1であり、各R’は、独立して選択されたアミノ基を含む。組成物はまた、(B)一般式HO-Y-R(-[Y]-Z]を有するポリエーテルアルコール化合物を含み、式中、各Y、R、Z、添字j、及び添字iは、上で定義されたとおりである。
【0007】
液体シリコーン樹脂組成物の調製方法もまた、開示される。この方法は、(I)固体シリコーン樹脂とポリエーテルアルコール化合物(B)とを一緒に組み合わせて、ポリシロキサン(A)とポリエーテルアルコール化合物(B)とを含む混合物を得ることを含む。固体シリコーン樹脂の一般式は次のとおりであり、
(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2
式中、各Rは、R及び-ORから独立して選択されるが、ただし、Rは、添字cによって示される少なくとも1つのTシロキシ単位中の-OH及び-ORから選択され、各R、R、並びに添字a、b、c、及びdは、上で定義されたとおりである。方法はまた、(II)ポリシロキサン(A)とポリエーテルアルコール化合物(B)とを含む混合物を液化して液体シリコーン樹脂組成物を調製する工程を含む。この方法は、任意に(C)アミノケイ素化合物を利用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
液体シリコーン樹脂組成物(「組成物」)が、その調製方法と共に本明細書において提供される。本明細書の記載から理解されるように、組成物は、溶媒又は他の担体ビヒクルを必要とせずに、液体形態で、任意選択で1つ以上のポリエーテル含有部分でキャップされた官能性MQ樹脂を提供する。「液体」とは、組成物が流動性であり、25℃で測定することができる粘度を有することを意味する。利用される特定の材料及び条件は、高度に調整可能な液体粘度を有する組成物を提供し、それによって、硬化性組成物(例えば、1つ以上のシリコーンに基づくものなど)及びその様々な成分を調製することを含む、無数の組成物及び方法における多数の使用を組成物に提供する。更に、独特の構造的特徴により、液体組成物は、水、ポリオール、又は他の極性液体製剤(例えば、アニオン性及び/又は非イオン性界面活性剤を含有するもの)への分散に好適であり得る。
【0009】
組成物は、一般に、(A)ポリシロキサン、(B)ポリエーテルアルコール化合物、及び任意選択で(C)アミノケイ素化合物を含み、これらは、本明細書では集合的に組成物の「成分」(すなわち、それぞれ「成分(A)」、「成分(B)」など)、又は同様に「化合物(複数可)」及び/又は「試薬(複数可)」(A)及び/又は(B)などと呼ぶことができる、組成物中に存在し得る追加の化合物と共に、以下に順に記載される。
【0010】
当業者によって理解されるように、シロキサンは、その中の[M]、[D]、[T]、及び/又は[Q]単位/シロキシ基に関して特徴付けられ得る。より具体的には、これらの[M]、[D]、[T]及び[Q]シロキシ基はそれぞれ、オルガノシロキサン及びオルガノポリシロキサンなどのポリシロキサン中に存在する個々の官能基の構造単位を表す。より具体的には、[M]は、一般式R”SiO1/2の、単官能性単位を表し、[D]は、一般式R”SiO2/2の二官能性単位を表し、[T]は、一般式R”SiO3/2の三官能性単位を表し、及び[Q]は、一般式SiO4/2の四官能性単位を表し、以下の一般的な構造部分で示される。
【0011】
【化1】
【0012】
これらの一般的な構造部分において、各R”は、独立して、一価又は多価の置換基である。当技術分野で理解されるように、各R”に好適な具体的な置換基は、特に限定されるものではなく、単原子又は多原子、有機又は無機、線状又は分岐状、置換又は非置換、芳香族、脂肪族、飽和又は不飽和、及びそれらの組み合わせであり得る。典型的には、各R”は、独立して、ヒドロカルビル基、アルコキシ及び/又はアリールオキシ基、並びにシロキシ基、例えば、上記の[M]、[D]、[T]、及び/又は[Q]単位のいずれか1つ又は組み合わせによって表されるものから選択される。
【0013】
上で紹介したように、組成物はポリシロキサン(A)を含む。本明細書の記載を考慮して理解されるように、ポリシロキサン(A)は、MQ樹脂に分類され得るか、又はそうでなければMQ樹脂と称され得、ここで、上で導入されたように、Mは、単官能性シロキシ単位(すなわち、R”SiO1/2を示し、R”はケイ素結合置換基を表す)を示し、Qは、四官能性シロキシ単位(すなわち、SiO4/2)を示す。このようなMQ樹脂は、当該技術分野において、主にM単位及びQ単位、並びに任意選択的に限られた数のD単位及び/又はT単位(例えば、合計で≦20モル%)から構成される高分子ポリマーとして知られており、典型的には、溶媒中に配置されない限り、固体(例えば、粉末又はフレーク)形態で/として存在する。MQ樹脂は、多くの場合、一般式[M][Q][式中、添字xは、Qシロキシ単位のモル数が1に正規化された場合のMシロキシ単位のQシロキシ単位に対するモル比を指す]によって単純に指定される。そのような場合、xの値が大きいほど、MQ樹脂の架橋密度は低くなる。xの値が減少すると、Mシロキシ単位の数が減少し、したがって、Mシロキシ単位を末端とすることなく、より多くのQシロキシ単位が網目状になるため、逆も当てはまる。しかしながら、Qシロキシ単位の正規化された含有量は、MQ樹脂を1つのみのQ単位に暗示又は限定するものではないことが理解されよう。むしろ、MQ樹脂は、典型的には、以下の説明から理解されるように、一緒にクラスター化又は結合された複数のQシロキシ単位を含む。
【0014】
典型的には、ポリシロキサン(A)は、以下の一般式:
(R SiO1/2(R SiO2/2(R’RSiO2/2b’(RSiO3/2(R’SiO3/2c’(SiO4/2
を有し、
添字a、b、b’、c、c’、及びdは、それぞれ、a+b+b’+c+c’+d=1であるようなモル分率であり、ただし、0<a<1、0≦b<0.2、0≦b’≦0.1、0<c<0.2、0≦c’≦0.1であり、0<d<1、0≦b’+c’≦0.1であり、添字aと添字dとの比が0.5~1.5(a:d)であり、各々のRは、1~30個の炭素原子を有する、ヒドロカルビル基、-OH及びHから独立して選択され、各Rは、独立して、R及び-OXから選択され、ここで、各Xは、独立して、H、1~30個の炭素原子を有するヒドロカルビル基R、又は以下に記載されるポリエーテル部分であり、各R’は、独立して選択されるアミノ基を含む。
【0015】
上記ポリシロキサン(A)の一般式を参考にすると、Rに好適なヒドロカルビル基には、一価の炭化水素部分、並びにその誘導体及び修飾体が含まれ、これらは独立して、置換され又は非置換であり、直鎖、分岐鎖、環状、又はこれらの組み合わせであってもよく、かつ飽和又は不飽和であり得る。かかるヒドロカルビル基に関して、「非置換」という用語は、炭素及び水素原子から構成される、即ち、ヘテロ原子置換基を含まない炭化水素部分を表す。「置換」という用語は、少なくとも1つの水素原子が水素以外の原子若しくは基で置き換えられる(例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アミン基など)(即ち、ペンダント又は末端置換基として)、炭化水素の鎖/骨格内の炭素原子が炭素以外の原子で置き換えられる(例えば、酸素、硫黄、窒素などのヘテロ原子)(つまり、鎖/骨格の一部として)、又はその両方である炭化水素部分を表す。そのようなものとして、好適なヒドロカルビル基は、炭化水素部分がエーテル、エステルなどを含むか、又はそれであり得るように、その炭素鎖/骨格の中及び/又は上(即ち、付加及び/又は一体)に1つ以上の置換基を有する炭化水素部分を含むか、又はそれであり得る。直鎖状及び分岐状炭化水素基は、独立して、飽和又は不飽和であり得、不飽和の場合、共役又は非共役であり得る。環状ヒドロカルビル基は、独立して、単環式又は多環式であり得、シクロアルキル基、アリール基、及び複素環を含み、これらは、芳香族、飽和及び非芳香族及び/又は非共役などであり得る。直鎖状及び環状ヒドロカルビル基の組み合わせの例には、アルカリル基、アラルキル基などが含まれる。ヒドロカルビル基において又はそれとして使用するのに好適な炭化水素部分の一般的な例には、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ハロカーボン基など、並びにそれらの誘導体、修飾体、及び組み合わせが含まれる。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル(例えば、イソプロピル及び/又はn-プロピル)、ブチル(例えば、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、及び/又はsec-ブチル)、ペンチル(例えば、イソペンチル、ネオペンチル、及び/又はtert-ペンチル)、ヘキシルなど(即ち、他の直鎖状又は分岐状飽和炭化水素基、例えば、6個を超える炭素原子を有する)が含まれる。アリール基の例には、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル、ベンジル、ジメチルフェニルなど、並びにそれらの誘導体及び修飾体が含まれ、これらは、アルカリル基(例えば、ベンジル)及びアラルキル基(例えば、トリル、ジメチルフェニルなど)と重複し得る。アルケニル基の例には、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、ペンテニル、ヘプテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル基など、並びにそれらの誘導体及び修飾体が含まれる。ハロカーボン基の一般的な例としては、ハロゲン化アルキル基(例えば、1つ以上の水素原子がF又はClなどのハロゲン原子で置き換えられている上記のアルキル基のうちのいずれか)、アリール基(例えば、1つ以上の水素原子がF又はClなどのハロゲン原子で置き換えられている上記のアリール基のうちのいずれか)、及びそれらの組み合わせなどの上記の炭化水素部分のハロゲン化誘導体が含まれる。ハロゲン化アルキル基の例には、フルオロメチル、2-フルオロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチル、4,4,4,3,3-ペンタフルオロブチル、5,5,5,4,4,3,3-ヘプタフルオロペンチル、6,6,6,5,5,4,4,3,3-ノナフルオロヘキシル、及び8,8,8,7,7-ペンタフルオロオクチル、2,2-ジフルオロシクロプロピル、2,3-ジフルオロシクロブチル、3,4-ジフルオロシクロヘキシル、及び3,4-ジフルオロ-5-メチルシクロヘプチル、クロロメチル、クロロプロピル、2-ジクロロシクロプロピル、2,3-ジクロロシクロペンチルなど、並びにそれらの誘導体及び修飾体が含まれる。ハロゲン化アリール基の例には、クロロベンジル、ペンタフルオロフェニル、フルオロベンジル基など、並びにそれらの誘導体及び修飾体が含まれる。
【0016】
特定の実施形態では、少なくとも1つのRは、1~30個の炭素原子を有する置換又は非置換ヒドロカルビル基である。例えば、ある特定の実施形態では、少なくとも1つのRは、1~24個、あるいは1~18個、あるいは1~16個、あるいは1~12個、あるいは1~10個、あるいは1個~8個、あるいは1~6個の炭素原子を有するアルキル基などの独立して選択された置換又は非置換アルキル基である。アルキル基の具体例は、メチル基、エチル基、プロピル基(例えば、n-プロピル及びイソ-プロピル基)、ブチル基(例えば、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、及びtert-ブチル基)、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基など、並びにそれらの誘導体及び/又は修飾体を含む。かかるアルキル基の誘導体及び/又は修飾体の例には、それらの置換バージョンが含まれる。例えば、Rは、ヒドロキシルエチル基を含み得るか、あるいはそれであり得、これは、上記に記載されるエチル基の誘導体及び/又は修飾体であることが理解されるであろう。同様に、Rは、2~6個の炭素原子、例えば2~5個、あるいは2~4個、あるいは2~3個の炭素原子を有する、独立して選択された置換又は非置換アルケニル基を含み得、あるいは、それであってもよい。特定の実施形態において、ポリシロキサン(A)は、アルケニル官能基を含む少なくとも2つのR基を含む(すなわち、少なくとも2つのRは、置換又は非置換アルケニル基から選択される)。これら又は他の実施形態では、各Rは、独立して、H、-OH、C1~C6アルキル基、アリール基、アルケニル基、フェニル基、ビニル基、及びこれらの組み合わせから選択される。特定の実施形態では、すべてのR基の少なくとも50モル%、あるいは少なくとも60モル%、あるいは少なくとも70モル%、あるいは少なくとも80モル%、あるいは少なくとも90モル%がヒドロカルビル基である。
【0017】
上記ポリシロキサン(A)の一般式を引き続き参照すると、各Rは独立してR及び-OXから選択され、ここで各Xは独立してHであり(すなわち、Rがヒドロキシ基であるように)、ヒドロカルビル基Rは1~30個の炭素原子を有する(すなわち、Rが式-ORのヒドロカルビルオキシ基であるように)か、又はポリエーテル部分である。Xがヒドロカルビルオキシ基である場合、ヒドロカルビル基Rは、上記の1~30個の炭素原子を有するヒドロカルビル基のいずれかから選択することができる。したがって、Xに適したヒドロカルビルオキシ基の例としては、アルコキシ基及びアリールオキシ基が挙げられる。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ベンジルオキシなど、並びにこれらの誘導体及びこれらの修飾体が挙げられる。アリールオキシ基の例には、フェノキシ、トリロキシ、ペンタフルオロフェノキシなど、並びにそれらの誘導体及び修飾体が含まれる。いくつかの実施形態において、各Rは、独立して、R及び-ORから選択され、ここで、各Rは、独立して、H、-OH、並びに1~30個の炭素原子を含有するアルキル及びアリール基から選択され、各Rは、独立して、1~30個の炭素原子を含有するアルキル及びアリール基から選択される。これら又は他の実施形態において、各Rは独立して-OH及び-ORから選択され、ここで各Rは独立して1~30個の炭素原子を含有するアルキル基及びアリール基から選択される。
【0018】
上記で紹介したように、特定の実施形態において、少なくとも1つのRは、式及び-OXのものであり、式中、Xは、ポリエーテル部分である。これらの実施形態では、ポリエーテル部分は特に限定されず、一般に、一般式(C2nO)のオキシアルキレンセグメントを含み、式中、添字mは1~50であり、添字nは、添字mによって表される各部分において独立して2、3、又は4である。特定の実施形態において、添字mは、1~45、例えば、1~40、あるいは1~30、あるいは1~25、あるいは1~20、あるいは1~15である。特定の実施形態において、添字mは少なくとも2であり、その結果、ポリオキシアルキレン部分は、オキシエチレン単位(例えば、-(CO)-、すなわち、添字nが2である)、オキシプロピレン単位(例えば、-(CO)-、すなわち、添字nが3である)、及びオキシブチレン単位(例えば、-(CO)-、すなわち、添字nが4である)から選択される1つ以上のオキシアルキレン単位を含み得る。オキシアルキレンセグメントが1種以上のオキシアルキレン単位を含む(すなわち、ポリオキシアルキレンである)場合、オキシアルキレン単位は、ブロック形態(例えば、秩序ブロック及び/又はランダムブロック)、ランダム化形態、又はこれらの組み合わせなどの任意の様式で配置されてもよい。特定の実施形態において、オキシアルキレンセグメントは、オキシエチレン単位とオキシプロピレン単位の両方を含む。いくつかのこのような実施形態において、オキシアルキレンセグメントは、オキシエチレン-オキシプロピレンブロックコポリマーである。
【0019】
ポリエーテル部分は、1つ以上のオキシアルキレンセグメントを含んでもよい。例えば、特定の実施形態において、Xは、一般式-Y-R(-[Y]-Z)を有するポリエーテル部分を含み、式中、Rは、置換又は非置換炭化水素セグメントであり、各Yは、上記のような一般式(C2nO)の独立して選択されるオキシアルキレンセグメントであり、Zは末端基であり、添字iは0~8であり、添字jは、添字iによって示される各部分において独立して0又は1である。これらの実施形態において、Rは、少なくとも二価の炭化水素結合基である。より具体的には、この文脈において本明細書で使用される場合、炭化水素セグメントRの原子価は、オキシアルキレンセグメントYに加えて、それに結合した部分式(-[Y]-Z)の置換基の数を指す。したがって、この文脈における炭化水素セグメントRの原子価は、添字i+1として記載され得る。
【0020】
典型的には、各炭化水素セグメントRは、独立して、1つ以上の置換又は非置換炭化水素基、すなわち、例えば、ペンダントアルコキシ、カルボニル、シロキシ、シリル、アミノ、アミド、アセトキシ、若しくはアミノキシ基及び/又は内部O、N、若しくはS原子(すなわち、骨格中)で任意に修飾又は置換された炭化水素基を含む。例えば、いくつかの実施形態では、ポリシロキサン(A)は、上記の一般的なポリエーテル部分の式に対応する少なくとも1つのXを含み、ここで、炭化水素セグメントRは、3~30個の炭素原子を有し、任意選択で1つ以上の芳香族基、エーテル基、アミン基、又はこれらの組み合わせを含む直鎖又は分岐鎖炭化水素基を含むか、あるいはそれである。いくつかのこのような実施形態において、炭化水素セグメントRは、C1~C20炭化水素基である。これら又は他の実施形態において、各炭化水素セグメントRは、独立して、芳香族基、エーテル基、アミン基、又はこれらの組み合わせを含む。本明細書中の記載から理解されるように、上記の炭化水素セグメントRのエーテル基及びアミン基は、内部(例えば、直鎖又は分枝鎖炭化水素基の骨格中にO原子又はN原子を含む)又はペンダント(例えば、直鎖又は分枝鎖炭化水素基の骨格に結合したアルコキシ基又はアミン基を含む)であり得る。
【0021】
各炭化水素セグメントRは、独立して直鎖又は分岐鎖であってもよい。より具体的には、本明細書の記載から理解されるように、Rは、典型的には、i個までの分岐(すなわち、0~8個の分岐)を含み、添字jは、Rから末端基Zへの各分岐について1である。特定の実施形態において、各炭化水素セグメントRは、3~16個の炭素原子を有する分岐鎖炭化水素基を含む。いくつかの実施形態において、各オキシアルキレンセグメントYは独立して、式(CO)(CO)(CO)を有し、式中、添字xは1~50であり、添字yは、0~50であり、添字zは、0~50であり、式中、添字x、y、及びzによって示される単位は、オキシアルキレンセグメントにおいてランダム化された形態又はブロック形態であり得る。
【0022】
いくつかの実施形態において、ポリシロキサン(A)は、上記の一般的なポリエーテル部分の式に対応する少なくとも1つのXを含み、式中、添字iは0であり、各炭化水素セグメントRは独立して、3~30個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖炭化水素基を含む。これら又は他の実施形態において、ポリシロキサン(A)は、添字iが1である少なくとも1つのXを含み、炭化水素セグメントRは、3~30個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖炭化水素基、フェノール、テトラヒドロフラン、及びアルキルアミンから選択される少なくとも1つの基を含み、それぞれ1つ以上のアルコキシ基で任意に置換されている。これら又は他の実施形態において、ポリシロキサン(A)は、添字iが少なくとも2である少なくとも1つのXを含み、炭化水素セグメントRは、3~30個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖炭化水素基、アルキルアミン、ポリアミン、ポリアミド、ポリアジリジン、ポリフェノール、及びポリエステルから選択される少なくとも1つの基を含む。
【0023】
典型的には、各末端基Zは、独立して、H(すなわち、ポリエーテル部分が末端ヒドロキシ官能性であるように)又は樹脂状シリコーン部分(すなわち、末端ヒドロキシ官能性とポリシロキサン(A)の縮合性ケイ素結合部分との縮合から)から選択される。例えば、添字iが少なくとも1である場合、末端基Zは、ポリシロキサン(A)の別のシラノール基への架橋を表し得る。同様に、i>1の場合、ポリシロキサン(A)は1つ以上の架橋を含んでもよい。当業者は、組成物中のポリシロキサン(A)中のそのような架橋の存在、並びにその架橋密度が、方法に関して以下に記載されるように、選択されたシリコーン樹脂のヒドロキシル(例えばシラノール)官能価、選択されたポリエーテルアルコール化合物(B)の官能価、組成物を調製するために利用されるシリコーン樹脂とポリエーテルアルコール化合物(B)との比、変換の程度などの多くの要因に依存することを理解するであろう。同様に、そのような架橋の存在は、当該技術分野において既知の方法によって、例えば、架橋に応答した平均分子量の増加によるゲル化点のレオロジー測定によって確認することができる(すなわち、ゲル化点は、無限大に向かって発散する重量平均分子量を示す)。例えば、レオメーター(例えば、平行板形状を使用するレオメトリックス機械分光計)を利用して、周波数掃引実験を実施し、組成物の調製中の動的貯蔵弾性率、平衡弾性率、及び弾性率の変化を決定することができる。末端基Zの全範囲、並びにポリシロキサン(A)の架橋の可能性は、本明細書に記載される方法を考慮するとより良く理解されるであろう。
【0024】
各R’は、独立して、アミノ基を含む。特定の実施形態において、各R’はアミノ基である。R’のアミノ基は、式-N(H)2-fのものであってもよく、式中、各Rは独立して選択され、上で定義されている、すなわち、各Rは独立して選択されたヒドロカルビル基であり、添字fは独立して0、1、又は2である。他の実施形態では、各R’は独立して、アミノ基で置換された炭化水素基を含む。好適な炭化水素基は上記のものである。特定の実施形態では、各R’は独立して、アミノ基で置換された脂肪族炭化水素基を含む。脂肪族炭化水素基は、直鎖状であっても環状であってもよく、典型的には飽和している。特定の実施形態では、各R’は、アルキルアミノ基を含む。例えば、各R’は、式-(CHN(H)2-fのものであり得、式中、各添字gは、独立して、1~30、あるいは1~25、あるいは1~20、あるいは1~15、あるいは1~10、あるいは1~8、あるいは1~6、あるいは1~4、あるいは2~4であり、R’及び添字fは、上で定義される。特定の実施形態において、各R’が式-(CHN(H)のものであるように、添字gは3であり、添字fは2である。
【0025】
上記ポリシロキサン(A)の一般式を引き続き参照すると、添字a、b、b’、c、c’、及びdはそれぞれ、a+b+b’+c+c’+d=1であるようなモル分率である。当業者によって理解されるように、添字a、b、c、d、及びeは、それぞれ、M、D、T、及びQシロキシ単位に対応する。上記一般式中の添字b及びb’両方は、Dシロキシ単位を示し、上記一般式における添字c及びc’の両方は、Tシロキシ単位を示すが、それぞれ異なるケイ素結合置換基を有する(R対R’)。一般に、各シロキシ単位の割合は、0<a<1、0≦b<0.2、0≦b’≦0.1、0<c<0.2、0≦c’≦0.1、0<d<1、及び0≦b’+c’≦0.1であるように選択され、すなわち、ポリシロキサン(A)は、任意にDシロキシ単位(添字b及び/又はb’で表されるものを含む)を含まず、添字c’で示されるTシロキシを任意に含まないが、少なくとも1つのM、T及びQシロキシ単位をそれぞれ含む(添字a、c、及びdで示される)。しかしながら、このような実施形態では、ポリシロキサン(A)は、一般に、添字cによって示され、その中に存在するTシロキシ単位の少なくとも1つ、あるいは大部分、あるいは実質的にすべてにおいて、Rが-OXであるように構成されることが理解されるであろう。同様に、ポリシロキサン(A)は、任意選択でDシロキシ単位を含まないが、限定された割合のDシロキシ単位を含んでもよい。しかしながら、典型的には、添字b及びcは、合わせて0.2未満である(すなわち、b+c≦0.2)。特定の実施形態において、添字aは、0.3~0.6であるように選択される。これら又は他の実施形態では、添字dは、0.4~0.7であるように選択される。特定の実施形態では、添字c’は、0である。他の実施形態では、添字c’は、0超~0.1、あるいは0超~0.05、あるいは0超~0.04、あるいは0.01~0.04である。他の特定の実施形態では、添字b’は、0である。更に他の実施形態では、添字b’は、0超~0.1、あるいは0超~0.05、あるいは0超~0.04、あるいは0.01~0.04である。更なる実施形態において、b’及びc’はそれぞれ、0である。他の実施形態では、(b’+c’)は、0超~0.1、あるいは0超~0.05、あるいは0超~0.04、あるいは0.01~0.04である。
【0026】
添字a及びdは一般にポリシロキサン(A)のMQ樹脂部分を指すため、添字a対添字dの比を使用してポリシロキサン(A)を特徴付けることができることが理解されるであろう。例えば、いくつかの実施形態では、添字dによって示されるQシロキシ単位に対する添字aによって示されるMシロキシ単位の比は、0.5~1.5(a:d)である。これら又は他の実施形態では、添字dで示されるQシロキシ単位に対する添字aで示されるMシロキシ単位の比は、0.7~1.2(a:d)である。
【0027】
更に以下の方法を考慮して理解されるように、ポリシロキサン(A)の特徴及び特性は、全体として液体シリコーン樹脂組成物を調製する際に利用される特定の成分によって選択及び制御される。
【0028】
上で紹介したように、組成物は、ポリエーテルアルコール化合物(B)も含む。典型的には、ポリエーテルアルコール化合物(B)は、一般式HO-Y-R(-[Y]-H)を有し、式中、各Y、R、添字i、及び添字jは、上で定義されたとおりである。より具体的には、Rは置換又は非置換炭化水素セグメントであり、各Yは独立して選択されるオキシアルキレンセグメントであり、添字iは0~8であり、添字jは、添字iによって示される各部分において独立して0又は1である。ポリエーテルアルコール化合物(B)の更なる説明及び例を以下に示す。しかしながら、本明細書に記載の方法を考慮して更に詳細に理解されるように、ポリエーテルアルコール化合物(B)の一般式中のY及びRによって示される基は、ポリシロキサン(A)のポリエーテル部分に関して上で示された同じ基と同じである(すなわち、範囲に関して)。したがって、各Y及びR、並びに添字j及びiによって示される部分の説明は、ポリシロキサン(A)のポリエーテル部分及びポリエーテルアルコール化合物(B)の両方の式の保存された部分に等しく適用される。
【0029】
一般に、ポリエーテルアルコール化合物(B)は、(b-1)少なくとも1つのアルコキシル化可能な基(例えば、-OH、-NH、又はSH基などの求核性O、N、又はS原子に結合した不安定な水素原子を含む官能基)を含む化合物(すなわち、アルコキシル化可能な化合物(b-1))と、(b-2)アルコキシル化剤(例えば、アルキレンオキシド、ポリオキシアルキレン化合物など)とのアルコキシル化反応生成物を含み、これらは以下に順に記載される。当業者によって理解されるように、アルコキシル化反応は限定されず、利用される特定のアルコキシル化可能な化合物(b-1)及びアルコキシル化剤(b-2)を考慮して選択される。
【0030】
典型的には、アルコキシル化可能な化合物(b-1)は、有機アルコール、すなわち、炭素骨格及び少なくとも1つのヒドロキシル(すなわち、-OH)基を含む有機化合物である。そのような実施形態では、アルコキシル化可能な化合物(b-1)は、より具体的にはアルコール化合物(b-1)と称され得る。以下の実施例及び説明を考慮して理解されるように、アルコール化合物(b-1)は、モノオール(すなわち、ヒドロキシル官能基を1つだけ含む)又はポリオール(すなわち、少なくとも2つのヒドロキシル基を含む)、例えばジオール、トリオールなどであり得る。アルコール化合物(b-1)の炭素骨格は、例えば、本明細書に記載の官能基のいずれかと置換されていても置換されていなくてもよい。置換されている場合、アルコール化合物(b-1)の炭素骨格は、ペンダント置換(すなわち、炭素骨格に結合している水素原子の代わりに)又は骨格自体内の炭素原子の置換(例えば、O、S、Nなどの他のヘテロ原子による)を含んでいてもよい。したがって、アルコール化合物(b-1)は、有機アルコールとして特徴付けられるか、又はそうでなければ言及されるが、存在する場合、追加の官能基を考慮して(例えば、アミノアルコールなどとして)代替的に又は更に定義され得ることが理解されるべきである。更に、炭素骨格は、直鎖又は分岐鎖であってもよく、したがって、直鎖、分岐鎖、及び/又は環状炭化水素セグメントを含んでもよい。
【0031】
本明細書の記載を考慮して理解されるように、アルコール化合物(b-1)は、典型的には、一般式HO-R(-OH)に対応し、式中、R及び添字iは、上で定義されたとおりである。より具体的には、Rは炭化水素セグメントであり、添字iは0~8である。そのような実施形態において、炭化水素セグメントRは、添字iによって示されるように、必要とされるヒドロキシル基に加えて0~8個のヒドロキシル基を含み得る、アルコール化合物(b-1)の炭素骨格を表すことが理解されるであろう。
【0032】
特定の実施形態において、添字iは0であり、その結果、アルコール化合物(b-1)は、一般式HO-Rのアルコールである。いくつかのそのような実施形態では、Rは、3~30個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖炭化水素基を含むか、あるいはそれである。例えば、いくつかの実施形態では、Rは、3~30個の炭素原子を有する分岐鎖炭化水素基である。いくつかのそのような実施形態において、アルコール化合物(b-1)は、以下の式を有し、
【0033】
【化2】

式中、R、R、及びRは、C1~C13アルキル基から独立して選択される。例えば、いくつかのそのような実施形態において、R及びRは、それぞれ独立して、C1~4アルキル基から選択され、Rは、H又はC1~C13アルキル基である。これらの実施形態のいくつかにおいて、Rは、合計で7~16個の炭素原子、例えば9~12個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態において、Rは、少なくとも3の分岐度を含む。これに関連して、本明細書で使用される「分岐度」という用語は、メチル(-CH)基の総数-1を意味する。例えば、4つのメチル基置換基を含むアルキル基を含むRは、3の分岐度を含む。いくつかの実施形態では、Rは、3~12個の炭素原子を含むアルキル基、例えばC3~C8アルキル基、あるいはC4~C6アルキル基である。このような実施形態では、Rは少なくとも2個のメチル基を含む。これら又は他の実施形態において、Rは、3~12個の炭素原子を含むアルキル基、例えば、C4~C10アルキル基、あるいはC6~C8アルキル基である。いくつかの実施形態では、Rは少なくとも2つのメチル基を含む。例えば、特定の実施形態では、RはC1~C3アルキル基である。他の実施形態では、RはHである。いくつかの実施形態では、RはCH(CHCH(CH)(CHCH(CH)であり、RはHであり、RはCHである。特定の実施形態において、アルコール化合物(b-1)は、(3-メチル-6-エチル)-2-ノナノールである。
【0034】
特定の実施形態において、添字iは1であり、その結果、アルコール化合物(b-1)は、一般式HO-R-OHのジオールであり、ここで、炭化水素セグメントは、二価連結基である。特定の実施形態では、例えば、Rは、アルキル基(すなわち、アルコール化合物(b-1)がグリコールであるようなもの)又は置換アルキル基(例えば、アルコール化合物(b-1)がジエタノールアミンであるようなジエチルアミノ基)、アリール基(例えば、フェニル、ベンジル、トリルなど)、テトラヒドロフラン基、又はエポキシ付加物若しくはアルコキシジオールの開環から誘導されるものなどの他の二官能性材料を含むか、あるいはそれらである。
【0035】
特定の実施形態では、添字iは≧2であり、したがって、アルコール化合物(b-1)は、トリオール、テトラオールなどのポリオールとして更に定義され得る。このような実施形態において、アルコール化合物(b-1)は、グリセロール、ペンタエリスリトール、糖アルコール(例えば、ソルビトール、キシリトール、マンニトールなど)などによって例示される。いくつかのそのような実施形態において、Rは、アルキルアミン、ポリアミン、ポリアミド、ポリアジリジン、ポリフェノール、及びポリエステルを含み、あるいはそれらから選択される。いくつかの実施形態において、例えば、Rは、フェノールホルムアルデヒド樹脂、グリシジルエーテルとポリオールとのエポキシ付加物、グリシジルエーテルとジアミン又はポリアミン(例えば、第二級ジアミンなど)とのエポキシ付加物を含むか、あるいはそれらである。このような実施形態のいずれかにおいて、アルコール化合物(b-1)が2~8個のヒドロキシル基、例えば3~8個、あるいは3~6個、あるいは3~5個のヒドロキシル基を含むように、添字iは2~8であってもよい。
【0036】
他のポリオール及びアルコールをアルコール化合物(b-1)として使用して、ポリエーテルアルコール化合物(B)を同様に調製することができることを理解すべきである。例えば、特定の実施形態において、アルコール化合物(b-1)は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、イソシアネートプレポリマー(例えば、2~8の官能価を有するものなど)から誘導されるポリオールなどから選択される。
【0037】
アルコキシル化剤(b-2)は限定されず、アルコキシル化可能な化合物(b-1)を置換して本明細書に記載されるポリエーテルアルコール化合物(B)を得るのに好適な任意のアルコキシル化化合物であってもよく、又はそれを含んでもよい。典型的には、アルコキシル化剤(b-2)は、アルキレンオキシド、ポリオキシアルキレン化合物、及びこれらの組み合わせから選択される。例えば、特定の実施形態では、アルコキシル化剤(b-2)は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、及びこれらの組み合わせから選択される。他の実施形態では、アルコキシル化剤(b-2)は、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、及びこれらの組み合わせ(例えば、ランダム又はブロックポリマーの形態)から選択される。当業者であれば、例えばポリエーテルアルコール化合物(B)の前駆体(b-1)及び(b-2)に関して本明細書で使用される「アルコキシル化」という用語は、機能的及び/又は記述的であるとみなすことができ、エーテル/エーテル化生成物も同様に含むことを理解するであろう。
【0038】
アルコキシル化可能な化合物(b-1)上に存在するヒドロキシル基の数が、ポリエーテルアルコール化合物(B)自体の全体構造に影響を及ぼすことは、当業者によって理解されるであろう。特に、ポリエーテルアルコール化合物(B)は、i=1までのポリオキシアルキレン基、すなわち、アルコキシル化剤(b-2)によるアルコール化合物(b-1)のアルコキシル化可能な基(複数可)のアルコキシル化からのポリオキシアルキレン基を含み得る。
【0039】
例えば、一般式HO-Y-R(-[Y]-H)に対応するポリエーテルアルコール化合物(B)自体に関して、各オキシアルキレンセグメントYは、独立して、式(CO)(CO)(CO)を有してもよく、式中、添字xは1~50であり、添字yは0~50であり、添字zは0~50であり、添字x、y及びzによって示される単位は、独立して、各オキシアルキレンセグメントにおいてランダム化形態又はブロック形態であってもよい。特定の実施形態では、各オキシアルキレンセグメントYにおいて、添字xは1~20であり、添字yは0~20であり、添字zは0~20である。一部のそのような実施形態では、x+y+z=1から50、例えば1から20、あるいは10から20である。特定の実施形態において、添字xは2~20であり、添字y及びzは両方とも0であり、その結果、ポリエーテルアルコール化合物(B)は、ポリオキシエチレンアルコールとして更に定義され得る。
【0040】
特定の実施形態では、ポリエーテルアルコール化合物(B)は非イオン性界面活性剤である。例えば、いくつかのこのような実施形態において、ポリエーテルアルコール化合物(B)は、直鎖直鎖エトキシレート、分岐エトキシレート(例えば、ポリエチレングリコールp-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェニルエーテル)、アミンエトキシレート(例えば、第三級アミンエトキシレート、脂肪アミンエトキシレート及び/又はプロポキシレート)、エトキシル化、プロポキシル化、及び/又はブトキシル化グリコールなどから選択され得る。
【0041】
上記の説明から、いくつかの実施形態では、ポリエーテルアルコール化合物(B)は、一般式HO-(CO)(CO)(CO)-CRを有することができ、式中、R、R、R、及び添字x、y、及びzは、上で定義されていることが理解される。いくつかのこのような実施形態において、例えば、添字xは、1~40であり、添字y及びzは、y+z=1~6であるように選択され、R及びRは、独立して選択されるC1~C4アルキル基であり、Rは、H又はC1~C13アルキルである。いくつかのそのような実施形態において、下位式-CRによって示される部分は、合計7~16個の炭素原子及び少なくとも3の分岐度を含む。
【0042】
一部の実施形態ではポリエーテルアルコール化合物(B)は、以下の式を有し、
【0043】
【化3】

式中、Rは、H又はイソプロピルであり、RがCH又はCHCHであり、添字y’は1から5、例えば1から4、あるいは2から4であり、添字xは、2から20、あるいは2から10、あるいは2から9、あるいは5から9など、2から30である。これらの実施形態のいくつかにおいて、RはHであり、RはCHであり、その結果、ポリエーテルアルコール化合物(B)は以下の式を有し、
【0044】
【化4】

式中、添字y’及びxは、上記で定義されるとおりである。他の実施形態では、Rはイソプロピルであり、その結果、ポリエーテルアルコール化合物(B)は次式を有し、
【0045】
【化5】

式中、添字y’及びxは、上記で定義されるとおりである。
【0046】
一般に、ポリエーテルアルコール化合物(B)は、多分散指数(PDI)(すなわち、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)、例えばゲル透過クロマトグラフィーによる測定)で表される狭い分子量分布を有するように調製され得るか、又はそうでなければ得られ得る。例えば、特定の実施形態において、ポリエーテルアルコール化合物(B)は、1.15以下、あるいは1.1以下のPDIを含む。特定の実施形態では、ポリエーテルアルコール化合物(B)は、5000未満の分子量(Mw)、例えば、10~5000未満、あるいは10~4500、あるいは50~4000、あるいは100~3000、あるいは100~2000のMwを有する。
【0047】
これら又は他の実施形態において、ポリエーテルアルコール化合物(B)は、低レベルの残留未反応アルコキシル化可能化合物(b-1)、例えばアルコール化合物(b-1)(すなわち、非アルコキシル化アルコール)を含む。例えば、いくつかの実施形態において、ポリエーテルアルコール化合物(B)は、3重量%未満、あるいは2重量%未満、以下、あるいは1重量%以下、あるいは0.5重量%の残留/未反応アルコール化合物(b-1)を含有する。特定の実施形態では、組成物は、1つ以上のポリエーテルアルコール化合物(B)、例えば、独立して選択される2つ、3つ、4つ、5つ以上の個々のポリエーテルアルコール化合物(B)の混合物を含む。
【0048】
組成物中の構成成分(A)及び(B)の量は、変更してもよい。いくつかの実施形態では、例えば、組成物は、組成物の総重量に基づいて、10~80重量%のポリシロキサン(A)を含む。同様に、これら又は他の実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、10~95重量%のポリエーテルアルコール化合物(B)を含む。特定の実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、10から80、あるいは20から80、あるいは20から70、あるいは30から70重量%のポリシロキサン(A)を含む。これらの実施形態では、組成物の残部は、ポリエーテルアルコール化合物(B)のみを含んでもよく、あるいは、ポリエーテルアルコール化合物(B)と組成物の1つ以上の追加成分との組み合わせを含んでもよい。例えば、以下に記載される方法を考慮してより良く理解されるように、組成物は、触媒、又は溶媒若しくは担体ビヒクルを含み得る。しかしながら、いくつかの実施形態において、組成物は、触媒を含まないか、あるいは実質的に含まない。これら又は他の実施形態において、組成物は、環状シロキサンを含まないか、あるいは実質的に含まない。これら又は他の実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて1重量%未満の溶媒を含む。他の実施形態では、組成物は、溶媒又は担体ビヒクル(すなわち、成分(B)自体は別として)を含まない、あるいは実質的に含まない。
【0049】
特定の実施形態では、組成物は、(C)アミノケイ素化合物を更に含む。一般に、アミノケイ素化合物(C)は、組成物の調製方法に関して以下に記載されるように、ポリシロキサン(A)中に、存在する場合には添字bによって示されるDシロキシ単位、及び/又は存在する場合、添字c’によって示されるTシロキシ単位を付与するために利用される。ポリシロキサン(A)及び/又は組成物を調製する際のアミノケイ素化合物(C)の使用は任意である。使用される場合、アミノケイ素化合物(C)のいくらかの残留量が組成物中に存在してもよく、すなわち、アミノケイ素化合物(C)は、ポリシロキサン(A)及び/又は組成物を調製する際に完全に消費されなくてもよい。
【0050】
アミノケイ素化合物(C)は、存在する場合、ポリシロキサン(A)中のR’で示される置換基になり得るアミノ基を含むケイ素結合置換基を含む。典型的には、アミノケイ素化合物(C)はまた、ケイ素結合ヒドロキシル基及び/又は加水分解性基、例えばアルコキシ基を含む。
【0051】
特定の実施形態では、アミノケイ素化合物(C)は、アミノシラン、例えば、式R’R10 Si(OR103-hのアミノシランを含み、あるいはそれであり、式中、添字hは0又は1であり、R’は上で定義され、各R10は、1~18個、あるいは1~16個、あるいは1~14個、あるいは1~12個、あるいは1~10個、あるいは1~8個、あるいは1~6個、あるいは1~4個の炭素原子を有する独立して選択されるアルキル基である。一実施形態では、添字hは0であり、アミノケイ素化合物(C)は式R’Si(OR10のものである。このようなアミノシランの1つの具体例は、3-プロピルアミノトリエトキシシランである。別の実施形態において、添字hは1であり、アミノケイ素化合物(C)は、式R’R10Si(OR10のものである。このようなアミノシランの1つの具体例は、3-プロピルアミノ(ジエトキシ)メチルシランである。
【0052】
アミノケイ素化合物(C)が使用され、式R’Si(OR10のものである場合、使用されるアミノケイ素化合物(C)の少なくとも一部は、一般に加水分解及び縮合して、添字c’で示されるポリシロキサン(A)中のTシロキシ単位、すなわち式R’SiO3/2を与える。典型的には、アミノケイ素化合物(C)の各アルコキシ基は完全に加水分解及び縮合して、ポリシロキサン(A)中にそのようなTシロキシ単位を与える。ポリシロキサン(A)を調製する際に、アミノケイ素化合物(C)を使用すると、ポリシロキサン(A)の反応中間体中に部分縮合物が生成する場合がある。アミノケイ素化合物(C)が利用され、式R’Si(OR10のものである場合、部分縮合物生成物は、式(R’(OZ)SiO3-q/2)のものであり、式中、添字qは独立して0、1、又は2であり、各Zは独立してH又はR10である。
【0053】
アミノケイ素化合物(C)が使用され、式R’R10Si(OR10のものである場合、使用されるアミノケイ素化合物(C)の少なくとも一部は、一般に加水分解及び縮合して、添字b’で示されるポリシロキサン(A)中のDシロキシ単位、すなわち式R’RSiO2/2を与える。典型的には、アミノケイ素化合物(C)の各アルコキシ基は完全に加水分解及び縮合して、ポリシロキサン(A)中にそのようなDシロキシ単位を与える。ポリシロキサン(A)を調製する際に、アミノケイ素化合物を使用する場合には、ポリシロキサン(A)の反応中間体中に部分縮合物が生成する場合がある。アミノケイ素化合物(C)が利用され、式R’R10Si(OR10のものである場合、部分縮合物生成物は式R’R10(OZ)rSiO2-r/2のものであり、式中、添字rは独立して0又は1であり、各Zは独立してH又はR10である。
【0054】
異なるアミノケイ素化合物の組み合わせを、アミノケイ素化合物(C)として一緒に利用してもよい。
【0055】
アミノケイ素化合物(C)は、典型的に、組成物の総重量に基づいて、0~25重量%、あるいは0~20重量%、あるいは0~15重量%の量で組成物中に存在する。
【0056】
上記で紹介したように、組成物は調整可能な液体粘度を含む。特に、組成物は一般に、25℃で100~800,000cpsの粘度を含む。例えば、特定の実施形態では、組成物は、185cpsから700,000cpsの粘度を含み、例えば選択した特定のポリエーテルアルコール化合物(B)、使用するポリエーテルアルコール化合物(B)に対するポリシロキサン(A)の比率、アミノケイ素化合物(C)の有無などによる。更に、以下の方法から理解されるように、ポリシロキサン(A)内の-OX=ポリエーテル部分と-OX=Hとの比(すなわち、キャッピング比)も独立して選択及び制御して、液体形態の組成物を提供することができる。組成物は調整可能な液体粘度を有するので、粘度は、所望の最終用途及びその特性に基づいて選択的に制御することができる。
【0057】
液体シリコーン樹脂組成物の調製方法もまた開示される。この方法は、(I)固体シリコーン樹脂、ポリエーテルアルコール化合物(B)、及び任意にアミノケイ素化合物(C)を一緒に組み合わせて、ポリシロキサン(A)、ポリエーテルアルコール化合物(B)、及び任意にアミノケイ素化合物(C)を含む混合物を得ることを含む。この方法はまた、(II)ポリシロキサン(A)及びポリエーテルアルコール化合物(B)を含む混合物を液化し、それによって液体シリコーン樹脂組成物を調製することを含む。以下に記載されるように、アミノケイ素化合物(C)を利用する特定の実施形態において、アミノケイ素化合物(C)は、混合物を液化する工程の間及び/又は後に組み込まれる。
【0058】
本明細書の記載から理解されるように、ポリエーテルアルコール化合物(B)は、任意選択で固体シリコーン樹脂と反応することなく、固体シリコーン樹脂を液化することができる。したがって、固体シリコーン樹脂は、以下に記載されるように、任意選択的に担体ビヒクルの存在下で、ポリエーテルアルコール化合物(B)と組み合わされるとき、典型的には固体である。「固体」という用語は、室温でシリコーン樹脂が固体又は実質的に固体であるように、室温より高い軟化点及び/又は融点を有するようなシリコーンを説明するために、固体シリコーン樹脂に関して本明細書で使用される。
【0059】
以下の一般式を有する固体シリコーン樹脂であって、
(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2
式中、各Rは、R及び-ORから独立して選択されるが、ただし、Rは、添字cによって示される少なくとも1つのTシロキシ単位中の-OH及び-ORから選択され、各R、R、並びに添字a、b、c、及びdは、上で定義されたとおりである。
【0060】
前述の式に関して、本明細書の説明を考慮して当業者によって理解されるように、本方法において利用される固体シリコーン樹脂は、ポリシロキサン(A)のシロキサン主鎖を形成する。したがって、ポリシロキサン(A)の添字a、b、c、及びdによってそれぞれ示されるM、D、T、及びQシロキシ単位に関する上記の説明は、本方法の固体シリコーン樹脂に等しく適用される。例えば、特定の実施形態では、固体シリコーン樹脂は、0.5~1.5のMQ比、すなわち、添字dによって示されるQシロキシ単位に対する添字aによって示されるMシロキシ単位の比(a:d)を含む。これら又は他の実施形態では、固体シリコーン樹脂中に添字dで示されるQシロキシ単位に対する添字aで示されるMシロキシ単位の比は、0.7~1.2(a:d)である。しかしながら、当該技術分野において容易に理解されるように、添字a、b、c、及びdの範囲は、固体シリコーン樹脂及びポリシロキサン(A)の両方に適用可能であるが、添字a、b、c、及びdの各々は、固体シリコーン樹脂とポリシロキサン(A)との間で独立して異なり得る。例えば、組成物を調製する方法が液化を含む場合、特定のシロキサン結合を切断してSiOZ部分(式中、Zは独立してH又はアルキルである)を得ることができる。そのために、ポリシロキサン(A)は、例えば、モル分率基準で固体シリコーン樹脂よりも少ないQシロキシ単位を有してもよい。例えば、固体シリコーン樹脂中のQシロキシ単位は、1つのシロキサン結合を切断することから、ポリシロキサン(A)中のT(OZ)シロキシ単位(すなわち、3つのシロキサン結合及びSiOZ基を有するTシロキシ単位)をもたらし得る。SiOZ基は、ポリシロキサン(A)中に残存していてもよいし、使用される場合、ポリエーテルアルコール化合物(B)及び/又はアミノケイ素化合物(C)と縮合してポリシロキサン(A)中に官能基(ポリエーテル基及び/又はアミノ基)を形成してもよい。特定の実施形態では、固体シリコーン樹脂は、0超~10重量%、あるいは0超~8重量%、あるいは0超~6重量%、あるいは0.5~4重量%のSiOZ基のSiOZ含有量を有する。
【0061】
典型的には、固体シリコーン樹脂は、2,000~30,000、例えば3,000~30,000、あるいは4,000~30,000、あるいは4,000~25,000、あるいは5,000~25,000、あるいは5,000~20,000、あるいは6,000~20,000の重量平均分子量を有する。当業者によって理解されるように、重量平均分子量は、ポリスチレン標準に対する三重検出器ゲル浸透クロマトグラフィー(例えば、光散乱、屈折率及び粘度検出器を伴う)を使用して、ダルトンで容易に決定され得る。
【0062】
本方法において(例えば、ポリシロキサン(A)をキャッピング及び/又は液化するために)利用されるポリエーテルアルコール化合物(B)は、組成物のポリエーテルアルコール化合物(B)に関して上述したものと同じ成分であることが理解されるであろう。したがって、ポリエーテルアルコール化合物(B)及びその様々な部分に関する上記の説明は、本方法にも等しく適用される。
【0063】
上で紹介したように、液体シリコーン樹脂組成物を調製する方法は、固体シリコーン樹脂とポリエーテルアルコール化合物(B)と、任意選択で、利用される任意の他の成分(まとめて「方法成分」)とを組み合わせて、それらとの混合物を調製することを含む。当業者によって理解されるように、一般に、反応成分を一緒に合わせること以外に必要とされる事前の工程はないが、以下に記載される特定のプロセスが使用され得る。更に、本方法の一態様は、固体シリコーン樹脂とポリエーテルアルコール化合物(B)とを反応させて(例えば、縮合反応によって)ポリシロキサン(A)を調製し、それによって組成物を得ることを含むが、別の態様では、本方法は、ポリシロキサン(A)をポリエーテルアルコール化合物(B)の存在下で、ポリシロキサン(A)を反応/キャッピングすることなく単に液化することによって組成物を調製するために利用され得ることが理解されるべきである。
【0064】
更に、上述したように、アミノケイ素化合物(C)は、本方法において任意に利用されてもよい。使用する場合、アミノケイ素化合物(C)は、組成物の調製方法の任意の時点で組み込むことができる。例えば、一実施形態において、アミノケイ素化合物(C)は、アミノケイ素化合物(C)が混合物中に存在するように、固体シリコーン樹脂及びポリエーテルアルコール化合物(B)と組み合わされる。あるいは、又は加えて、アミノケイ素化合物(C)は、その形成後に混合物と組み合わせることができる。更に、アミノケイ素化合物(C)は、以下に記載されるように、混合物の液化中及び/又は液化後に組み合わせることができる。
【0065】
方法成分に関して、固体シリコーン樹脂は、調製されてもよく、又は他の方法で、すなわち調製樹脂として得られてもよい。固体シリコーン樹脂などのMQ樹脂の調製方法は、当該技術分野で既知であり、適切な前駆体と及び好適な出発材料は様々な供給業者から市販されている。固体シリコーン樹脂の調製は、本方法の一部である場合、典型的には、固体シリコーン樹脂をポリエーテルアルコール化合物(B)と組み合わせる前に行われる。ポリエーテルアルコール化合物(B)はまた、本方法の一部として調製されてもよく、又は他の方法で本方法における使用のために得られてもよい。特定の実施形態において、ポリエーテルアルコール化合物(B)は、アルコキシル化可能な化合物(b-1)をアルコキシル化剤(b-2)と反応させる(例えば、アルコキシル化する)ことによって調製される。アルコキシル化剤(b-2)を選択する場合、例えばアルキレンオキシドが利用される場合、当業者は、プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドを使用して、本方法のアルコキシル化及び/又は縮合反応の生成物の可撓性を増加させ、それによってポリエーテルアルコール化合物(B)及び任意選択でそれを用いて調製されるポリシロキサン(A)の流動性を増加させることによって粘度を変化させ得ることを理解するであろう。
【0066】
典型的には、方法成分を容器又は反応器内で組み合わせて、組成物を調製する。方法成分は、以下に例示するように、容器に一緒に若しくは別々に供給されてもよく、又は任意の順番で、及び任意の組み合わせで容器内に配給されてもよい。本方法は、例えば、組み合わされたときに方法成分の混合及び接触を促進するために、混合物を撹拌することを更に含んでもよい。そのような接触は、独立して、撹拌と共に(例えば、同時に又は連続して)又は撹拌なしで(すなわち、撹拌から独立して、あるいは撹拌の代わりに)他の条件を使用してもよく、典型的には、混合物中のポリシロキサン(A)の調製及び/又は混合物の液化を助けるために実施される。他の条件が、本明細書に記載される条件に加えて、又はその代わりに利用されてもよく、本方法の過程において、凝縮、液化などを促進するための結果として有効な条件であってもよい。
【0067】
本方法は、任意の量の方法成分を利用することができ、より具体的には、固体シリコーン樹脂、ポリエーテルアルコール化合物(B)、及び任意選択的にアミノケイ素化合物(C)を、得られる組成物の所望の特性及び/又は使用される出発材料の特徴に応じて様々な量又は比率で組み合わせることを含むことができる。例えば、固体シリコーン樹脂及びポリエーテルアルコール化合物(B)は、それを用いて調製されるポリシロキサン(A)の特定のキャップ比(すなわち、MQ樹脂のシラノール官能基対ポリエーテルアルコール化合物(B)のヒドロキシル官能基のモル比)(例えば、0.25~1.0、例えば0.5~0.75などのキャップ比)を提供するように構成された量で利用され得る。したがって、当業者によって理解されるように、固体シリコーン樹脂及びポリエーテルアルコール化合物(B)は、いずれかの成分に有利な、1:≧1のモル比で使用できる。例えば、固体シリコーン樹脂及びポリエーテルアルコール化合物(B)は、1:10~10:1、あるいは1:5~5:1、あるいは1:2~2:1、あるいは1:1.1~1.1:1のモル比で利用され得る。示されるように、いずれかの成分の過剰(例えば、わずかな過剰、中程度の過剰、又は全体的な過剰)もまた利用され得る。
【0068】
固体シリコーン樹脂、ポリエーテルアルコール化合物(B)、及び任意選択でアミノケイ素化合物(C)は、任意選択で剪断又は混合下で、任意の順序で組み合わせることができる。例えば、いくつかの実施形態では、混合物は、固体シリコーン樹脂とポリエーテルアルコール化合物(B)とを一緒に組み合わせることによって調製され、任意選択で、任意の追加成分、例えばアミノケイ素化合物(C)が利用される。成分は、任意の順序で、同時に、又はそれらの任意の組み合わせで(例えば、最終的に互いに組み合わされる様々な多部分組成物において)組み合わされ得る。同様に、混合物は、本明細書で特に断りのない限り、バッチ、半バッチ、半連続、又は連続プロセスで調製され得る。典型的には、組み合わされると、混合物の成分は、例えば、混合を介して均質化され、これは、混合に好適な任意の機器を使用して当技術分野で知られている様々な技術のいずれかによって実施され得る。好適な混合技術の例には、一般に、超音波処理、分散混合、遊星混合、3ロール式砕などが含まれる。混合機器の例には、比較的高い流動性(低動的粘度)組成物用の攪拌バッチケトル、リボンブレンダー、溶液ブレンダ、コニーダ、ツインロータミキサ、Banbury型ミキサ、粉砕機、押出機などが含まれ、これは、バッチタイプ又は連続配合タイプの機器であり得、単独で、又は同じ若しくは異なる種類の1つ以上のミキサと組み合わせて利用される。
【0069】
いくつかの実施形態では、固体シリコーン樹脂、ポリエーテルアルコール化合物(B)、及び任意選択的にアミノケイ素化合物(C)は、担体ビヒクルの存在下で組み合わされる。担体ビヒクルは、限定されず、典型的には、使用される特定の固体シリコーン樹脂及び/又はポリエーテルアルコール化合物(B)、組成物の所望の最終用途などに基づいて選択される。概して、担体ビヒクルは、溶媒、流体、油(例えば、有機油及び/又はシリコーン油)など、又はそれらの組み合わせを含む、あるいはそれである。
【0070】
いくつかの実施形態では、担体ビヒクルは、シリコーン流体を含む。シリコーン流体は、典型的には、低粘度及び/又は揮発性シロキサンである。いくつかの実施形態では、シリコーン流体は、低粘度オルガノポリシロキサン、揮発性メチルシロキサン、揮発性エチルシロキサン、揮発性メチルエチルシロキサンなど、又はこれらの組み合わせである。典型的には、シリコーン流体は、25℃で1~1,000mm/秒の範囲の粘度を有する。好適なシリコーン流体の具体例としては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデメチルヘプタシロキサン、ヘプタメチル-3-{(トリメチルシリル)オキシ)}トリシロキサン、ヘキサメチル-3,3、ビス{(トリメチルシリル)オキシ}トリシロキサンペンタメチル{(トリメチルシリル)オキシ}シクロトリシロキサン、並びにポリジメチルシロキサン、ポリエチルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、カプリリルメチコン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキシルトリメチコンなど、並びにそれらの誘導体、修飾体、及びそれらの組み合わせが挙げられる。好適なシリコーン流体の更なる例としては、5×10-7~1.5×10-6/秒などの好適な蒸気圧を有するポリオルガノシロキサンが挙げられる。
【0071】
特定の実施形態では、担体ビヒクルは、揮発性及び/又は半揮発性炭化水素、エステル、及び/又はエーテルを含む有機油を典型的に含む有機流体を含む。かかる有機流体の一般的な例には、C~C16アルカン、C~C16イソアルカン(例えば、イソデカン、イソドデカン、イソヘキサデカンなど)、C~C16分岐状エステル(例えば、イソヘキシルネオペンタノエート、イソデシルネオペンタノエートなど)などの揮発性炭化水素油、並びに誘導体、修飾体、及びそれらの組み合わせが含まれる。好適な有機流体の追加の例としては、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、4個以上の炭素原子を有するアルコール、アルデヒド、ケトン、アミン、エステル、エーテル、グリコール、グリコールエーテル、ハロゲン化アルキル、芳香族ハロゲン化物、及びこれらの組み合わせが挙げられる。炭化水素としては、イソドデカン、イソヘキサデカン、Isopar L(C11~C13)、Isopar H(C11~C12)、水素化ポリデセンが挙げられる。エーテル及びエステルには、イソデシルネオペンタノエート、ネオペンチルグリコールヘプタノエート、グリコールジステアレート、ジカプリリルカーボネート、ジエチルヘキシルカーボネート、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、エチル-3エトキシプロピオネート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、トリデシルネオペンタノエート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、オクチルドデシルネオペンタノエート、ジイソブチルアジペート、ジイソプロピルアジペート、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、オクチルエーテル、オクチルパルミテート、及びそれらの組み合わせが含まれる。上記の有機流体(例えば、グリコールエーテル)のいくつかの例は、それ自体が担体ビヒクルとして、又は本明細書に記載される別の担体ビヒクルと組み合わせて利用され得るポリエーテルアルコール化合物(B)と説明が重複し得ることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、本方法は、ポリエーテルアルコール化合物(B)の説明を満たす有機流体(すなわち、ポリエーテルアルコール化合物(B)自体以外)を含まずに、あるいは実質的に含まずに実施される。
【0072】
いくつかの実施形態では、担体ビヒクルは、有機溶媒を含む。有機溶媒の例には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、及びn-プロパノールなどのアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、又はメチルイソブチルケトンなどのケトン;ベンゼン、トルエン、及びキシレンなどの芳香族炭化水素;ヘプタン、ヘキサン、及びオクタンなどの脂肪族炭化水素;ジクロロメタン、1,1,1-トリクロロエタン、及びクロロホルムなどのハロゲン化炭化水素;ジメチルスルホキシド;ジメチルホルムアミド、アセトニトリル;テトラヒドロフラン、ホワイトスピリット;ミネラルスピリット、ナフサ;n-メチルピロリドンなど、並びにこれらの誘導体、修飾体、及び組み合わせを含むものが含まれる。特定の実施形態では、担体ビヒクルは、水と相溶性のある溶媒などの極性有機溶媒を含む。特定の実施形態で利用されるそのような極性有機溶媒の特定の例としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、2-メチル-2-プロパノール、2-ブタノン、テトラヒドロフラン、アセトン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。他の担体ビヒクルもまた、本明細書に記載されるものの代わりに、それに加えて、又はそれと組み合わせて利用され得る。特定の実施形態では、担体ビヒクルは、キシレンなどの脂肪族及び/又は芳香族炭化水素溶媒、ヘキサメチレンジシロキサン(HMDSO)などのシロキサン溶媒、D4若しくはD5環状物若しくは他のそのようなシロキサン、又はそれらの組み合わせを含むか、あるいはそれらである。他の実施形態において、本方法は、特定の溶媒を実質的に含まずに実施される。例えば、いくつかの実施形態において、本方法は、ヘキサメチレンジシロキサン(HMDSO)、D4環状体、及び/又はD5環状体を含まずに、あるいは実質的に含まずに実施される。これら又は他の実施形態において、本方法は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、及びキシレン(すなわち、BTEX溶媒)を含まずに、あるいは実質的に含まずに実施される。これら又は他の実施形態において、本方法は、芳香族溶媒を含まずに、あるいは実質的に含まずに実施される。
【0073】
特定の実施形態では、固体シリコーン樹脂は、ポリエーテルアルコール化合物(B)及び任意選択的にアミノケイ素化合物(C)と組み合わされる前に担体ビヒクルと組み合わされる。しかしながら、他の実施形態では、ポリエーテルアルコール化合物(B)は、固体シリコーン樹脂(及び任意選択でアミノケイ素化合物(C))と組み合わされる前に担体ビヒクルと組み合わされるか、あるいは、成分は実質的に同時に組み合わされて混合物を与える。これらの成分が組み合わされる条件に関連するパラメータ(例えば、温度、圧力など)も制御され得る。しかしながら、本方法は周囲条件で実施してもよい。典型的には、固体シリコーン樹脂、ポリエーテルアルコール化合物(B)、任意選択的にアミノケイ素化合物(C)、及び担体ビヒクルは、45℃未満の温度で一緒に組み合わされて(すなわち、低温処理されて)、混合物を与える。しかしながら、いくつかの実施形態では、固体シリコーン樹脂、ポリエーテルアルコール化合物(B)、任意選択的にアミノケイ素化合物(C)、及び担体ビヒクルは、40℃未満、あるいは35℃未満、あるいは30℃未満、あるいは周囲温度付近の温度で一緒に組み合わされる。
【0074】
いくつかの実施形態において、本方法は、固体シリコーン樹脂とポリエーテルアルコール化合物(B)とを反応させて、混合物中のポリシロキサン(A)を調製することを含む。これらの又は他の実施形態において、アミノケイ素化合物(C)を利用する方法では、本方法は、固体シリコーン樹脂又は固体シリコーン樹脂とポリエーテルアルコール化合物(B)とを反応させることによって形成される反応中間体をアミノケイ素化合物(C)と反応させてポリシロキサン(A)を調製することを更に含んでもよい。一般に、アミノケイ素化合物(C)は加水分解及び縮合してポリシロキサン(A)中にアミノ官能基を有するTシロキシ単位を与える。上記で紹介したように、本方法の反応は、縮合反応として一般的に定義され得るか、又は別様に特徴付けられ得、反応のあるパラメータ及び条件は、利用される特定の成分を考慮して、当業者によって選択され得る。例えば、いくつかのそのような実施形態では、方法は、触媒(すなわち、縮合触媒)を混合物中に配置することを含む。スズ(例えば、オクタン酸Sn)又は塩基(例えば、NaOAc、KOHなど)に基づくものなどの縮合触媒は、当技術分野において公知であり、利用される方法成分に基づいて選択される。しかしながら、他の実施形態において、本方法は、例えば、スズを含まない生成物として組成物を提供し、それによって最終組成物中に持ち込まれるスズに関連する制限を回避するために、任意のスズ触媒の非存在下で実施される。
【0075】
本方法において実施される場合、触媒は任意の量で利用することができ、これは当業者によって選択され、例えば選択した特定の触媒、その活性触媒種の濃度/量、選択した固体シリコーン樹脂及び/又はポリエーテルアルコール化合物(B)の性質/種類、使用した反応パラメータ、反応の規模(例えば、総量利用された方法成分など)など基づく。方法成分に対する触媒のモル比は、混合物中のポリシロキサン(A)を調製するための縮合の速度及び/又は量に影響を与える可能性がある。したがって、方法成分と比較した触媒の量、及びそれらの間のモル比は、変動し得る。典型的には、これらの相対量及びモル比は、(例えば、反応の経済的効率の増加、形成される反応生成物の精製の簡易性の増加などのために)触媒の負荷を最小限に抑えながら、方法成分の反応を最大化するように選択される。
【0076】
特定の実施形態では、触媒は、利用される固体シリコーン樹脂の総量に基づいて、0.000001~50重量%の量(すなわち、重量/重量)で反応に利用される。例えば、触媒は、利用される固体シリコーン樹脂の総量に基づいて、0.000001~25、あるいは0.00001~10、あるいは0.0001~5重量%の量で使用され得る。いくつかの実施形態では、触媒は、1:10から1:1,000,000、あるいは1:50から1:1,000まで、代わりに1:100から1:500までの固体シリコーン樹脂化合物の加水分解性基に対する触媒スズの比率を提供するのに十分な量で利用される。そのような比は、重量比(すなわち、重量/重量)であってもよく、あるいは成分間のモル比であってもよい。上に列挙された範囲外の量及び比も同様に利用され得ることが理解されるであろう。例えば、触媒は、化学量論量(すなわち、超触媒量)で利用することができ、例えば混合物中で使用されるポリエーテルアルコール化合物(B)の総量に基づく。
【0077】
触媒は、調製又は別様に得られる(すなわち、調製された化合物として)。様々な供給業者から市販されている化合物を使用して、縮合触媒(例えば、スズ触媒、アセテート触媒など)を調製する方法は、当技術分野で知られている。したがって、触媒は、固体シリコーン樹脂とポリエーテルアルコール化合物(B)(及び任意選択でアミノケイ素化合物(C))との反応前に、又はin situで(すなわち、これらの成分の反応中に、例えば、触媒の成分を固体シリコーン樹脂及びポリエーテルアルコール化合物(B)を含む混合物と組み合わせることによって)調製することができる。そのようなものとして、特定の実施形態では、触媒は、調製方法の一部として調製され、すなわち、調製方法は、触媒を調製することを含む。
【0078】
縮合反応が所望される場合、この方法は、典型的には、混合物を1つ以上の縮合条件(例えば、高温、減圧、還流など)に曝露する工程を更に包含する。そのようなものとして、容器又は反応器は、任意の適切な様式で(例えば、ジャケット、マントル、交換器、浴、コイルなどを介して)加熱又は冷却され得、その結果、反応が、以下に記載されるように、上昇又は低下した温度、圧力などで行われることを可能にする。例えば、縮合反応の性質に基づいて、縮合条件は、例えば、ポリエーテルアルコール化合物(B)及び固体シリコーン樹脂(及び任意選択的にアミノケイ素化合物(C))の縮合を促進するために、混合物を100℃などの高温に加熱することを含み得る。同様に、縮合条件は、混合物を減圧(例えば、35~300mbar)に供するために利用される反応器を真空に引くことを含んでもよい。組み合わせて、減圧及び高温は、反応から水を蒸留するために利用されてもよく、それによって、逆反応を防止することによって縮合を完了に向けて駆動する。当業者は、利用される特定の温度及び圧力が、例えば、混合物を過熱することなく効率的な還流条件を提供するために、混合物中に存在する方法成分及び担体ビヒクルに基づいて選択されることを理解する。例えば、様々な実施形態において、反応は、23~200℃の反応/縮合温度で実施され、例えば、周囲温度よりも高い温度(例えば、25℃を超える温度)から200℃まで、あるいは25超~180、あるいは25超~165、あるいは25超~150、あるいは30~150、あるいは50~150、あるいは70から150、あるいは60から150、あるいは85から150、あるいは100から150、あるいは110から150℃である。特定の実施形態では、反応温度は、還流条件を利用する場合など、任意の1つの溶媒若しくは揮発性希釈剤の沸点に基づいて選択及び/又は制御される。更に、トルエンなどの共溶媒を用いて、混合物から水を共沸させてもよい。
【0079】
一般に、混合物中の成分の反応速度(すなわち、ポリエーテルアルコール化合物(B)及び固体シリコーン樹脂、並びに必要に応じてアミノケイ素化合物(C)の縮合)は、i)反応温度が上昇するにつれて、及びii)反応系から水が除去されるにつれて増加する。したがって、必要な反応時間は、反応させる混合物の詳細を考慮して選択される。例示的な実施形態では、反応時間(すなわち、目視検査、分光法(例えば、NMR、FT-IRなど)、又は当技術分野で公知の他の方法によって監視され得る縮合/キャッピング時間)は、1~10時間、あるいは2~10、あるいは3~10、あるいは4~10、あるいは4~8、あるいは4~6時間など、1~数時間程度であり得る。しかしながら、より長い反応時間及びより短い反応時間の両方が、例えば、反応の規模及び混合物中で利用される任意の特定の成分を考慮して選択され得る。
【0080】
特定の実施形態では、本方法は、固体シリコーン樹脂を担体ビヒクル(すなわち、溶媒)に溶解してシリコーン樹脂溶液を得ることと、シリコーン樹脂溶液とポリエーテルアルコール化合物(B)とを組み合わせて混合物を形成することとを含む。上記で紹介したように、本方法がアミノケイ素化合物(C)を利用する場合、アミノケイ素化合物(C)は、シリコーン樹脂及び/又は混合物と組み合わせることができる。これらの実施形態では、例えば担体ビヒクルが利用される場合、本方法は、典型的には、ポリシロキサン(A)がその中で調製されたら、担体ビヒクルを混合物から除去することを更に含む。より具体的には、このような実施形態において、混合物を液化することは、固体シリコーン樹脂を溶媒/担体ビヒクルからポリエーテルアルコール化合物(B)に溶媒交換し、それによって組成物を調製することを含む。溶媒交換は特に限定されず、単に担体ビヒクルを反応器から(例えば蒸留によって)除去することを含んでもよい。例えば、特定の実施形態において、本方法は、混合物を減圧下(すなわち、約35mbar)で60~150℃の温度に加熱して溶媒を除去し、組成物を得ることを含む。
【0081】
上記の説明及び本明細書の実施例から理解されるように、本方法によって調製された組成物は、ポリシロキサン(A)及びポリエーテルアルコール化合物(B)、並びに利用され、完全に消費されない場合、任意選択的に残留アミノケイ素化合物(C)の液化された組み合わせを提供する。ポリシロキサン(A)は、固体シリコーン樹脂とポリエーテルアルコール化合物(B)(及び任意にアミノケイ素化合物)との縮合反応生成物を含んでもよく、あるいは、単に固体シリコーン樹脂の液化形態(例えば、ポリエーテルアルコール化合物(B)によるキャッピング/縮合が行われない場合)であってもよい。
【0082】
本開示の実施形態を示す以下の実施例は、本発明を説明することを意図するものであり、本発明を限定するものではない。特に明記しない限り、すべての反応は、空気下で実行され、すべての溶媒、基質、及び試薬は、様々な商業的供給業者(例えば、Gelest,Acros,Sigma-Aldrich)から購入されるか、そうでなければ得られ、受け取ったままの状態で利用される。
【0083】
機器及び特性評価パラメータ
以下の機器及び特性評価手順/パラメータを使用して、以下の実施例で調製された化合物及び組成物の様々な物理的特性を評価する。
【0084】
ゲル浸透及びサイズ排除クロマトグラフィー(GPC/SEC)
SEC計装
SECは、Waters 2695 LCポンプ及びオートサンプラーで、流速を1mL/分に設定し、注入量を100μLに設定して実施する。SEC分離は、Shodex RI-201示差屈折率検出器を使用して2つのAgilent Plgel Mixed-Dカラム上で行い、それぞれ35℃に保持する。
【0085】
試料の調製
試料を、THF溶出液中で約5mg/mLポリマー/樹脂の濃度に調製する。溶液を平床シェーカーで周囲温度で約2時間振盪し、次いで注入前に0.45μm PTFEシリンジフィルターを通してろ過する。
【0086】
データの処理
Agilent GPCソフトウェアCirrusバージョン3.3を、データ収集及びデータ整理に使用する。3752~0.58kg/molのMp値を有するAgilent製の合計16個のポリスチレン(PS)線状狭分子量標準を分子量較正に使用する。3次多項式を検量線フィッティングに使用し、すべての分子量平均、分布、及び分子量への参照をPS等価値として提供する。
【0087】
FT-IR分析
FT-IR計装の詳細を以下の表1に示す。
【0088】
【表1】
【0089】
試料の調製
試料スペクトル:試料を、栓付きの1cm IR石英キュベット中に秤量する。特定量のCClをキュベットに添加し、試料を振盪により完全に混合する。次いで、試料を、以下に列挙するスペクトルパラメータを使用してIRによって測定する。
【0090】
基準スペクトル:試料測定に続いて、約0.5mLのDOをキュベットに加え、試料を約30秒間激しく混合した後、相分離させる。上部DO層を除去し、添加/混合手順を繰り返して、完全なDO交換を確実にする。試料を再び相分離させ、DOをその場に残す。次いで、試料を再びIRによって測定する(重水素化試料)。
【0091】
データの処理
スペクトル減算:重水素化試料スペクトルを元の試料スペクトルから減算して、不変特徴を除去する。減算結果が、3610cm-1での水信号の識別可能な干渉を示した場合(すなわち、-COHがほとんど又は全く存在しない場合)、CCl中の水のスペクトルは、元の減算から減算される。
【0092】
減算後、3690cm-1バンドの最大ピーク高さを測定し、その結果を以下の計算に用いてシラノールシグナルのppm OHを決定する。
【0093】
【数1】
【0094】
粘度測定
ブルックフィールド計装
水再循環によって25℃に維持されたBrookfield DV3Tコーン/プレートレオメーターを、CPA-40Zスピンドル及び測定のための0.50mL材料体積と共に利用する。
【0095】
試料の調製と手順
ASTM D 4287に基づく方法を水平粘度計を用いて利用する。試料の各シリーズについて、デジタル粘度計に必要なパラメータを入力し、試料カップの位置を、必要なクリアランスを維持するために、製造者によって指定されるようにスピンドル(コーン)に対して調整する。試料カップを取り出し、すべての気泡が材料から排除されるように、1mLシリンジを使用して0.5mLの試料をカップの中心に加える。試料を25+/-0.1℃で均衡化させた。モーターを特定の速度で始動させ、粘度のデジタル読み出しを記録する。試料を採取する前に、Standard 200 Fluid(可能であれば試料に近い粘度)を対照として用いて機器を較正する。
【0096】
29Si NMR
29Si NMRのために、以下で調製した各生成物2.5~3g及び溶媒(CDCl+Cr(acac))約5gを、16mmシリコンフリーNMRチューブに充填し、以下の表2の条件及び機器に従ってスペクトルを得た。
【0097】
【表2】
【0098】
材料
以下の表3に簡単な要約を示し、特定の略語、簡略表記、及び実施例で使用される構成要素に関する情報を記載する。
【0099】
【表3】
【0100】
実施例1
246.7gのシリコーン樹脂1及び79.93gのポリエーテルアルコール1を1000mLの4つ口フラスコに入れた。0.15gの縮合触媒1を添加し、キシレン(総重量=506.7g)の添加によって内容物を50重量%固形分(SR+PA)に調整した。フラスコをオーバーヘッドスターラーで200rpmで混合し、次いで80℃に15分間加熱した。ディーンスタークトラップをフラスコに取り付け、内容物を140℃で4時間還流し、反応水を回収した。フラスコを室温に冷却し、真空下、100℃で回転蒸発させてキシレンを除去した。得られた生成物は透明であり、1800cpsのブルックフィールド粘度を有していた。試料をGPC、Si NMR、及びFT-IRによって分析した。得られた生成物は約68%の樹脂含量を有していた。
【0101】
実施例2
226.0gのシリコーン樹脂1及び93.75gのポリエーテルアルコール2を1000mLの4つ口フラスコに入れた。0.15gの縮合触媒1を添加し、キシレン(総重量=506.1g)の添加によって内容物を50重量%固形分(SR+PA)に調整した。フラスコをオーバーヘッドスターラーで200rpmで混合し、次いで80℃に15分間加熱した。ディーンスタークトラップをフラスコに取り付け、内容物を140℃で4時間還流し、反応水を回収した。フラスコを室温に冷却し、真空下、100℃で回転蒸発させてキシレンを除去した。得られた生成物は透明であり、1386cpsのブルックフィールド粘度を有していた。試料をGPC、Si NMR、及びFT-IRによって分析した。得られた生成物は、約63%の樹脂含量を有していた。
【0102】
実施例3
760.5gのシリコーン樹脂2及び223.7gのポリエーテルアルコール1を1500mLの4つ口フラスコに入れた。0.3gの縮合触媒1を添加し、キシレン(総重量=1018.5g)の添加によって内容物を75重量%固形分(SR+PA)に調整した。フラスコをオーバーヘッドスターラーで200rpmで混合し、次いで80℃に15分間加熱した。ディーンスタークトラップをフラスコに取り付け、内容物を140℃で4時間還流し、反応水を回収した。フラスコを室温に冷却し、真空下、100℃で回転蒸発させてキシレンを除去した。得られた生成物は透明であり、63,500cpsのブルックフィールド粘度を有していた。試料をGPC、Si NMR、及びFT-IRによって分析した。得られた生成物は約70%の樹脂含量を有していた。
【0103】
実施例4
702.5gのシリコーン樹脂2及び263.8gのポリエーテルアルコール2を1500mLの4つ口フラスコに入れた。0.3gの縮合触媒1を添加し、キシレン(総重量=1017.1g)の添加によって内容物を75重量%固形分(SR+PA)に調整した。フラスコをオーバーヘッドスターラーで200rpmで混合し、次いで80℃に15分間加熱した。ディーンスタークトラップをフラスコに取り付け、内容物を140℃で4時間還流し、反応水を回収した。フラスコを室温に冷却し、真空下、100℃で回転蒸発させてキシレンを除去した。得られた生成物は透明であり、15,600cpsのブルックフィールド粘度を有していた。試料をGPC、Si NMR、及びFT-IRによって分析した。得られた生成物は約65%の樹脂含量を有していた。
【0104】
実施例5
330.5gのシリコーン樹脂1及び122.2gのポリエーテルアルコール4を1000mLの4つ口フラスコに入れた。0.15gの縮合触媒1を添加し、キシレン(総重量=508.9g)の添加によって内容物を70重量%固形分(SR+PA)に調整した。フラスコをオーバーヘッドスターラーで200rpmで混合し、次いで80℃に15分間加熱した。ディーンスタークトラップをフラスコに取り付け、内容物を140℃で4時間還流し、反応水を回収した。フラスコを室温に冷却し、真空下、100℃で回転蒸発させてキシレンを除去した。得られた生成物は透明であり、1762cpsのブルックフィールド粘度を有していた。試料をGPC、Si NMR、及びFT-IRによって分析した。得られた生成物は約65%の樹脂含量を有していた。
【0105】
実施例6
322.7gのシリコーン樹脂1及び127.3gのポリエーテルアルコール5を1000mLの4つ口フラスコに入れた。0.15gの縮合触媒1を添加し、キシレン(総重量=508.8g)の添加によって内容物を70重量%固形分(SR+PA)に調整した。フラスコをオーバーヘッドスターラーで200rpmで混合し、次いで80℃に15分間加熱した。ディーンスタークトラップをフラスコに取り付け、内容物を140℃で4時間還流し、反応水を回収した。フラスコを室温に冷却し、真空下、100℃で回転蒸発させてキシレンを除去した。得られた生成物は透明であり、46,400cpsのブルックフィールド粘度を有していた。試料をGPC、Si NMR、及びFT-IRによって分析した。得られた生成物は、約64%の樹脂含量を有していた。
【0106】
実施例7
58.5gのシリコーン樹脂1、57.4gのポリエーテルアルコール3、及び25.6gのポリエーテルアルコール6を500mLの4つ口フラスコに入れた。0.19gの縮合触媒1を添加し、キシレン(総重量=141.8g)の添加によって内容物を70重量%固形分(SR+PA)に調整した。フラスコをオーバーヘッドスターラーで200rpmで混合し、次いで80℃に15分間加熱した。ディーンスタークトラップをフラスコに取り付け、内容物を140℃で4時間還流し、反応水を回収した。フラスコを室温に冷却し、真空下、100℃で回転蒸発させてキシレンを除去した。得られた生成物は透明であり、185cpsのブルックフィールド粘度を有していた。試料をGPC、Si NMR、及びFT-IRによって分析した。得られた生成物は、約41%の樹脂含量を有していた。
【0107】
実施例8
436gのシリコーン樹脂1及び2574.9gのポリエーテルアルコール7を5000mLの4つ口フラスコに入れた。0.9gの縮合触媒1を添加し、キシレン(総重量=3013.5g)の添加によって内容物を45重量%固形分(SR+PA)に調整した。フラスコをオーバーヘッドスターラーで200rpmで混合し、次いで80℃に15分間加熱した。ディーンスタークトラップをフラスコに取り付け、内容物を140℃で4時間還流し、反応水を回収した。フラスコを室温に冷却し、真空下、100℃で回転蒸発させてキシレンを除去した。得られた生成物は透明から曇っており、185cpsのブルックフィールド粘度を有していた。試料をGPC、Si NMR、及びFT-IRによって分析した。得られた生成物は約10%の樹脂含量を有していた。
【0108】
実施例9
291gのシリコーン樹脂1及び716.6gのポリエーテルアルコール7を2000mLの4つ口フラスコに入れた。縮合触媒は添加しなかった。内容物を、キシレン(総重量=1007.6g)の添加によって90重量%固形分(SR+PA)に調整した。フラスコをオーバーヘッドスターラーを用いて200rpmで混合し、次いで60℃に15分間加熱した。フラスコを室温に冷却し、真空下100℃で回転蒸発させてキシレンを除去した。得られた生成物は透明であり、185cpsのブルックフィールド粘度を有していた。試料をGPC、Si NMR、及びFT-IRによって分析した。得られた生成物は、約20%の樹脂含量を有していた。
【0109】
実施例10
246.8gのシリコーン樹脂1及び704.1gのポリエーテルアルコール8を2000mLの4つ口フラスコに入れた。縮合触媒は添加しなかった。内容物を、キシレン(総重量=950.8g)の添加によって90重量%固形分(SR+PA)に調整した。フラスコをオーバーヘッドスターラーを用いて200rpmで混合し、次いで60℃に15分間加熱した。フラスコを室温に冷却し、真空下100℃で回転蒸発させてキシレンを除去した。得られた生成物は透明であり、185cpsのブルックフィールド粘度を有していた。試料をGPC、Si NMR、及びFT-IRによって分析した。得られた生成物は、約20%の樹脂含量を有していた。
【0110】
実施例1~10のGPC及びFT-IR分析。
初期MQ樹脂及び実施例1~10で得られた組成物についてのGPC及びFT-IR分析の結果を以下の表4~6に示す。
【0111】
GPC組成物は、GPCスペクトルのデコンボリューション並びに遊離MQ樹脂(SR)及び遊離アルコール化合物(PA)の較正によって得た。
【0112】
計算された遊離アルコール(PA)の量に基づいて、残りのアルコールは、MQ樹脂(SR)上に反応する(キャッピングされる)と仮定され、MQ-ORは、MQ樹脂上へのモルキャッピングを仮定して推定される。FTIRの結果については、Si-OH還元がアルコールのキャッピングによるものであると仮定すると、MQ-ORはGPCと比較して過大評価される。この仮定に基づいて、スペクトルからのSiOH ppmを、各場合において初期MQ樹脂SiOHシグナルに対して正規化して、アルコール化合物との反応に対するSiOHシグナルの減少を推定する。
【0113】
【表4】
【0114】
【表5】
【0115】
【表6】
【0116】
上記の表4~6を参照すると、すべての組成物は、液体シリコーン樹脂組成物を与えるためにアルコール/キャッピング剤(PA)で可溶化又は部分的にグラフト化(キャップ化)されたMQ樹脂(SR)を>10~70重量%有する。
【0117】
実施例11~13
シリコーン樹脂2及び様々なアルコール/キャッピング剤(PA)を使用して、上記の実施例1~10の手順に従って3つの組成物を調製して、実施例11~13を調製し、その詳細を、得られた組成物のブルックフィールド粘度と共に以下の表7に記載する。
【0118】
【表7】
【0119】
組成物を29Si NMRによってキャッピング%について分析し、その結果を以下の表8に示す。表中、「I」は初期試料を示し、「F」は調製された最終組成物を示す。表8において、MはMシロキシ単位を示す。Dは、Dシロキシ単位を示し、Tは、Tシロキシ単位を示し、QはQシロキシ単位を示し、Zは独立してH又はアルキルである。OZは、シロキサン結合の代わりにSiOZ基を示す。
【0120】
【表8】
【0121】
実施例11~13の組成物は、ポリスチレン標準に対するGPCによっても分析され、その結果は以下の表9に示され、ここで「I」は初期試料を示し、「F」は調製された最終組成物を示す。
【0122】
【表9】
【0123】
実施例14~18
実施例14~18を調製するために様々なMQ樹脂(SR)及びキャッピング剤(PA)を使用して、上記の実施例1~10の手順に従って5つの組成物を調製し、その詳細を、得られた組成物の粘度と共に、以下の表10に記載する。
【0124】
【表10】
【0125】
実施例19
291.7gのシリコーン樹脂2及び140gのポリエーテルアルコール9を2000mLの4つ口フラスコに入れた。縮合触媒は添加しなかった。フラスコを60℃で2~5mmHgの真空下で回転蒸発させて81.68gのキシレンを除去した。得られた生成物は透明であり、1230cpsのブルックフィールド粘度を有していた。試料をGPC、Si NMR、及びFT-IRによって分析した。得られた生成物は、約60%の樹脂含量を有していた。
【0126】
実施例20
100gの実施例19で形成された生成物と6gのアミノケイ素化合物とを、室温で毎分60回転(rpm)で3時間低温ブレンドして、実施例19で形成された生成物の樹脂含有量に基づいて10%のアミノケイ素化合物を充填した。
【0127】
実施例21
100gの実施例19で形成された生成物及び6gのアミノケイ素化合物を60rpmで3時間ブレンドし、300mmHgの真空でロータリーエバポレーター中で80℃で加熱した。
【0128】
実施例22
100gの実施例19で形成された生成物及び12gのアミノケイ素化合物を60rpmで3時間ブレンドし、300mmHgの真空でロータリーエバポレーター中で80℃で加熱した。
【0129】
実施例19~22で得られた生成物組成物についてのGPC及びFT-IR分析の結果を以下の表11に示す。
【0130】
【表11】
【0131】
実施例19~22の生成物を、29Si NMRによってシロキシ単位含有量について分析し、その結果を以下の表12に示す。表12において、ZはH又はアルキルである。Meはメチルであり、ネオペンチルは、(CHCCHであり、A.S.C.はアミノケイ素化合物を示す。Xは、独立して、H、1~30個の炭素原子を有するヒドロカルビル基R、又はポリエーテルアルコール9によって形成されるポリエーテル部分であり、T’は、HNCHCHCHSiO3/2シロキシ単位を示す。表12の値は、モル分率である。
【0132】
【表12】
【0133】
本発明は例示的な様式で記載されており、使用されている用語は、限定というよりむしろ説明語の性質であるように意図されることを理解されたい。明らかに、本発明の多くの修正及び変更が上記教示から可能である。本発明は、具体的に記載した方法のとおり以外の方法でも実施され得る。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体シリコーン樹脂組成物であって、
(A)次式を有するポリシロキサンであって、
(R SiO1/2(R SiO2/2(R’RSiO2/2b’(RSiO3/2(R’SiO3/2c’(SiO4/2
添字a、b、b’、c、c’、及びdは、それぞれa+b+b’+c+c’+d=1となるモル分率であり、ただし、0<a<1、0≦b<0.2、0≦b’≦0.1、0<c<0.2、0≦c’≦0.1、0<d<1、及び0≦b’+c’≦0.1、及び添字aと添字dの比率が0.5~1.5(a:d)であり、各Rは、1~30個の炭素原子を有するヒドロカルビル基、-OH、及びHから独立して選択され、各Rは、R及び-OXから独立して選択され、ここで、各Xは、独立して、H、1~30個の炭素原子を有するヒドロカルビル基R、又は一般式-Y-R(-[Y]-Z)を有するポリエーテル部分であり、ここで、Rは、置換又は非置換炭化水素セグメントであり、各Yは、一般式(C2nO)の独立して選択されるオキシアルキレンセグメントであり、式中、添字mは、1~50であり、添字nは、添字mによって示される各部分において独立して2~4から選択され、各Zは、独立して、H又は樹脂状シリコーン部分であり、添字iは、0~8であり、添字jは、添字iによって示される各部分において独立して0又は1であり、各R’は、独立して選択されたアミノ基を含む、ポリシロキサンと、
(B)一般式HO-Y-R(-[Y]-H]を有するポリエーテルアルコール化合物であって、式中、各Y、R、添字i、及び添字jは、上で定義されたとおりである、ポリエーテルアルコール化合物と、を含む、液体シリコーン樹脂組成物。
【請求項2】
(i)添字dで示されるQシロキシ単位に対する添字aで示されるMシロキシ単位の比が0.7~1.2 a:dであり、(ii)添字aが、0.3~0.6であり、(iii)添字bとcの合計が0.2未満であり、(iv)添字dは、0.4~0.7であり、(v)前記ポリシロキサン(A)が、2000~30,000の重量平均分子量(Mw)を含み、又は(vi)(i)~(v)の任意の組み合わせである、請求項1に記載の液体シリコーン樹脂組成物。
【請求項3】
前記ポリシロキサン(A)において、(i)各Rは、独立して、添字cによって示される前記Tシロキシ単位において式-OXであり、(ii)Xは、式-OXの各Rの1~90モル%におけるポリエーテル部分であり、(iii)各Rは、独立して、1~30個の炭素原子を含有するアルキル基及びアリール基並びにHから選択され、又は(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせである、請求項1又は2に記載の液体シリコーン樹脂組成物。
【請求項4】
前記ポリシロキサン(A)において、(i)各Rは、独立して、R及び式-ORのヒドロカルビルオキシ基から選択され、(ii)各Rは、独立して、1~30個の炭素原子を含有するアルキル基及びアリール基、-OH、並びにHから選択され、(iii)各Rは、独立して、1~30個の炭素原子を含有するアルキル基及びアリール基から選択され、(iv)各R’は、独立して、式-(CHN(H)2-fであり、式中、各gは、独立して、1~30であり、fは、0、1、又は2であり、Rは、独立して、選択され、上で定義され、又は(v)(i)~(iv)の任意の組み合わせである、請求項1又は2に記載の液体シリコーン樹脂組成物。
【請求項5】
(i)前記炭化水素セグメントRが、3~16個の炭素原子を有する分岐鎖炭化水素基を含み、(ii)添字iは1~8であり、(iii)添字jが、添字iによって示される各部分において1であり、(iv)各オキシアルキレンセグメントYは独立して式(CO)(CO)(CO)を有し、式中、添字xが、1~50であり、添字yが、0~50であり、添字zが、0~50であり、添字x、y、及びzで示される単位が、前記オキシアルキレンセグメントでランダム化された若しくはブロック形態であり得る、又は(v)(i)~(iv)の任意の組み合わせである、請求項1又は2に記載の液体シリコーン樹脂組成物。
【請求項6】
(i)各添字iは0であり、各炭化水素セグメントRは独立して、3~30個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖炭化水素基を含み、(ii)各添字iは1であり、各炭化水素セグメントRは、独立して、3~30個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖炭化水素基、フェノール、テトラヒドロフラン、アルキルアミン、及びアルコキシ基から選択される少なくとも1つの基を含み、又は(iii)各添字iは少なくとも2であり、各炭化水素セグメントRは独立して、3~30個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖炭化水素基、アルキルアミン、ポリアミン、ポリアミド、ポリアジリジン、ポリフェノール、及びポリエステルから選択される少なくとも1つの基を含む、請求項1又は2に記載の液体シリコーン樹脂組成物。
【請求項7】
前記ポリシロキサン(A)と前記ポリエーテルアルコール化合物(B)とを含む混合物を得るために、固体シリコーン樹脂と前記ポリエーテルアルコール化合物(B)とを一緒に組み合わせることであって、前記固体シリコーン樹脂が、以下の式を有し、
(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2
式中、各Rは、R及び-ORから独立して選択されるが、ただし、Rは、添字cによって示される少なくとも1つのTシロキシ単位中の-OH及び-ORから選択され、各R、R、並びに添字a、b、c、及びdは、上で定義されたとおりである、ことと、
前記混合物を液化することにより、前記液体シリコーン樹脂組成物を調製することと、を含む、請求項1又は2に記載の液体シリコーン樹脂組成物を調製する方法。
【請求項8】
前記固体シリコーン樹脂と前記ポリエーテルアルコール化合物(B)とを縮合反応させて、前記混合物中で前記ポリシロキサン(A)を調製することを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
方法が、(C)アミノケイ素化合物を前記固体シリコーン樹脂及び前記ポリエーテルアルコール化合物(B)と組み合わせることを更に含み、及び/又は前記方法が、(C)アミノケイ素化合物を前記混合物を液化する前及び/又は後に前記混合物と組み合わせることを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記液体シリコーン樹脂組成物が、(i)スズを含まず、(ii)環状シロキサンを含まず、(iii)前記組成物の総重量に基づいて1重量%未満の溶媒を含み、又は(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせである、請求項7に記載の方法。
【国際調査報告】