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  • 特表-外科用インプラントの流体圧式送達 図1
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  • 特表-外科用インプラントの流体圧式送達 図3B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-14
(54)【発明の名称】外科用インプラントの流体圧式送達
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/16 20060101AFI20231207BHJP
【FI】
A61F2/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528274
(86)(22)【出願日】2021-06-01
(85)【翻訳文提出日】2023-05-11
(86)【国際出願番号】 IB2021054814
(87)【国際公開番号】W WO2022101690
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】63/112,692
(32)【優先日】2020-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100165995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 寿人
(72)【発明者】
【氏名】トッド テイバー
(72)【発明者】
【氏名】キャスリン ジェンセン
(72)【発明者】
【氏名】ジェストウィン エドウィン リー ザ フォース
(72)【発明者】
【氏名】プラディープ マガダム
(72)【発明者】
【氏名】サウミャ ディリップ ヤダブ
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA25
4C097BB01
4C097BB04
4C097CC01
4C097CC16
4C097CC18
4C097MM10
4C097SA10
(57)【要約】
眼科手術用の装置は、送達ルーメンを有するノズルと、ノズルに結合されたインプラント区画と、インプラント区画内に配置されたインプラントと、インプラント区画に結合されたアクチュエータとを含み得る。アクチュエータは、ハウジングと、ハウジング内に配置されたプランジャと、プランジャを通るボアと、プランジャの第1の端部に近接する第1のカップリングと、ハウジングに一体化された第2のカップリングとを含み得る。ボアは、インプラント区画に流体的に結合され得る。第1のカップリングは、流体圧式ドライバを受け入れ、ボアに流体圧式ドライバ内の作動流体を流体的に結合するように構成され得る。プランジャの一部分は、第2のカップリング内に摺動的に配置され得る。いくつかの実施形態では、第2のカップリングは、流体圧式ドライバの駆動カップリングをハウジングに対して固定位置に保持するように構成され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科手術用の装置であって、
送達ルーメンを有するノズルと、
前記ノズルに結合されたインプラント区画と、
前記インプラント区画内に配置されたインプラントと、
前記インプラント区画に結合されたアクチュエータであって、前記アクチュエータは、
ハウジングと、
前記ハウジング内に配置されたプランジャであって、第1の端部と第2の端部とを有するプランジャと、
前記プランジャを通るボアと、
前記第1の端部に近接する第1のカップリングと、
前記ハウジングに一体化された第2のカップリングと、
を含み、
前記ボアは前記インプラント区画に流体的に結合されており、前記第1のカップリングは流体圧式ドライバを受け入れ、前記ボアに前記流体圧式ドライバ内の作動流体を流体的に結合するように構成されており、前記プランジャの一部分は前記第2のカップリング内に摺動的に配置されている、
アクチュエータと、
を含む、装置。
【請求項2】
前記第2のカップリングは、前記流体圧式ドライバの駆動カップリングを前記ハウジングに対して固定位置に保持するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第2のカップリングは、前記駆動カップリングに係合するように構成されたねじ捕捉部を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ねじ捕捉部は、前記駆動カップリング上の雄ねじを受け入れるように構成された雌ねじを含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ねじ捕捉部は歯を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記ねじ捕捉部はラチェットシステムを含む、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記プランジャの前記第2の端部に近接して配置されたノズルシールを更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記プランジャの前記第2の端部に結合されており、前記インプラントに係合するように構成されたインプラントインタフェースを更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記インプラントインタフェースは前記インプラント区画内に延びる、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
インプラント送達システム内でレンズを前進させるための装置であって、
インプラント区画に結合されるように構成されたハウジングと、
前記ハウジング内に配置されたプランジャであって、第1の端部と第2の端部とを有するプランジャと、
前記第1の端部から前記第2の端部まで前記プランジャを長手方向に貫通しているボアと、
前記第1の端部に近接する第1のカップリングと、
前記ハウジングに一体化された第2のカップリングと、
を含み、
前記ボアは前記インプラント区画に流体的に結合されるように構成されており、前記第1のカップリングは流体圧式ドライバを受け入れ、前記ボアに前記流体圧式ドライバ内の作動流体を流体的に結合するように構成されており、前記プランジャの一部分は前記第2のカップリング内に摺動的に配置されており、前記プランジャの前記第2の端部は前記レンズに係合するように構成されている、装置。
【請求項11】
前記第2のカップリングは、前記流体圧式ドライバの駆動カップリングを前記ハウジングに対して固定位置に保持するように構成されている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記第2のカップリングは、前記駆動カップリングに係合するように構成されたねじ捕捉部を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記ねじ捕捉部は、前記駆動カップリング上の雄ねじを受け入れるように構成された雌ねじを含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記ねじ捕捉部は歯を含む、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記ねじ捕捉部はラチェットシステムを含む、請求項12に記載の装置。
【請求項16】
前記プランジャの前記第2の端部に近接して配置されたノズルシールを更に含む、請求項10~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記プランジャの第2の端部に結合されており、前記レンズに係合するように構成されたインプラントインタフェースを更に含む、請求項10~16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記インプラントインタフェースは、前記インプラント区画内に延びるように構成されている、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
インプラント送達システムからレンズを排出する方法であって、
前記インプラント送達システムのインプラント区画内に前記レンズを用意することと、
前記インプラント送達システムの剛性プランジャに流体圧式ドライバを結合することと、
前記インプラント区画から前記インプラント送達システムの送達ルーメンに前記レンズを前進させるために前記流体圧式ドライバによって前記剛性プランジャを駆動することと、
前記流体圧式ドライブを前記インプラント送達システムに対して固定位置に保持することと、
前記流体圧式ドライバから作動流体を押し、前記作動流体を前記剛性プランジャ内のボアを通して前記送達ルーメンに移動させることと、
前記作動流体によって前記レンズを前記送達ルーメンを通して前進させることと、
を含む、方法。
【請求項20】
実質的に本明細書に記載されたシステム、装置、及び方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年11月12日に出願された「HYDRAULIC DELIVERY OF SURGICAL IMPLANTS」という名称の米国仮特許出願第63/112,692号明細書(その発明者は、Todd Taber、Kathryn Jensen、Jestwin Edwin Lee,IV、Pradeep Magadum、Saumya Dilip Yadavである)の優先権の利益を主張し、その内容全体を、本明細書で十分に且つ完全に説明されているかのように、参照により本明細書に組み込む。
【0002】
添付の特許請求の範囲に記載される本発明は、概して、眼科手術に関する。より詳細には、限定されないが、特許請求の対象は、眼にインプラントを挿入するためのシステム、装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
人間の眼は、軽度の劣化から視力の完全な喪失までを引き起こす多くの疾患に罹患する可能性がある。コンタクトレンズ及び眼鏡は一部の疾患を補うことができるが、他の場合には眼科手術が必要になることがある。場合によっては、インプラントが有益である又は望ましい場合がある。例えば、眼内レンズは、視力を改善するために、眼内の濁った天然水晶体に取って代わることができる。
【0004】
眼内レンズ及び他のインプラントの利点は既知であるが、送達システム、構成要素及びプロセスの改善は、結果を改善し、患者に利益をもたらすために継続されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
眼科手術のための新規且つ有用なシステム、装置及び方法が添付の特許請求の範囲に記載される。特許請求の対象を当業者が作製及び使用することを可能にするために、例示的な実施形態も提供される。
【0006】
例えば、いくつかの実施形態は、流体圧又は流体フローを使用して眼内レンズなどのインプラントを送達するための装置を含み得る又はそうした装置から本質的になり得る。本装置は、インプラントを格納する、前進させる、及び送達するための完全に使い捨てのシステムを提供するために、作動流体のバイアルなどの使い捨て流体圧式ドライバと組み合わされ得る。より具体的な例では、本装置は、第1の段階においてインプラントを密封位置に前進させるための剛性プランジャと、第2の段階において作動流体が流体圧によってインプラントを眼内に前進させることを可能にする剛性プランジャを通るボアとを含み得る。例えば、中空剛性プランジャを使用して、送達ルーメン内で眼内レンズの周りにシールが作成される地点まで眼内レンズを直線-直線構成で最初に前進させることができる。その後、レンズは、プランジャの中空ボアに作動流体を通すことにより、送達のために流体圧的に前進させることができる。いくつかの実施形態では、プランジャの先端は、インプラントインタフェースを有し得る。例えば、先端は、レンズの光学体の肩部に係合してレンズを送達ルーメンに前進させるための切欠部を有し得る。装置は、インプラントインタフェース又はプランジャの前進を停止させるように構成され得るプランジャ停止部を更に含み得る。
【0007】
他の更に特定の実施形態では、送達システム内で眼内レンズを前進させて送達するための流体圧式ドライバとして作動流体のバイアルが使用され得る。例えば、バイアルは、ルアーロックを介して送達システム内のプランジャの後部に接続し得る。送達システムは、前支持部などのレンズの1つ以上の支持部を真っすぐにし、レンズを前進のために準備することができる。バイアルを前進させ、それによりプランジャ及びレンズを、バイアルの端部が送達システムのカップリングに係合する第2の位置まで前進させることができる。カップリングにより、バイアルの外れを防ぐことができる。例えば、バイアルは雄ねじを有し得、カップリングはバイアルの雄ねじを受け入れるように構成された雌ねじを有し得る。バイアルは第2のプランジャを有し得る。第2のプランジャを押して、作動流体をバイアルから出し、送達システムのプランジャ内のボアを通して、レンズを送達システムから排出することができる。
【0008】
より一般には、インプラント送達システム内でインプラントを前進させるための装置は、ハウジングと、ハウジング内に配置されたプランジャと、第1の端部から第2の端部までプランジャを貫通するボアと、第1の端部に近接する第1のカップリングと、ハウジングに一体化された第2のカップリングとを含み得る。ボアは、インプラント区画に流体的に結合されるように構成され得る。第1のカップリングは、流体圧式ドライバを受け入れ、ボアに流体圧式ドライバ内の作動流体を流体的に結合するように構成され得る。プランジャの一部分は、第2のカップリング内に摺動的に配置することができ、プランジャの第2の端部は、インプラントに係合するように構成され得る。いくつかの実施形態では、第2のカップリングは、流体圧式ドライバの駆動カップリングをハウジングに対して固定位置に保持するように構成され得る。より具体的な実施形態では、第2のカップリングは、駆動カップリングに係合するように構成されたねじ捕捉部を含み得る又はこうしたねじ捕捉部から本質的になり得る。
【0009】
他の実施形態では、眼科手術用の装置は、送達ルーメンを有するノズルと、ノズルに結合されたインプラント区画と、インプラント区画内に配置されたインプラントと、インプラント区画に結合されたアクチュエータとを含み得る。アクチュエータは、ハウジングと、ハウジング内に配置されたプランジャと、プランジャを通るボアと、プランジャの第1の端部に近接する第1のカップリングと、ハウジングに一体化された第2のカップリングとを含み得る。ボアは、インプラント区画に流体的に結合され得る。第1のカップリングは、流体圧式ドライバを受け入れ、ボアに流体圧式ドライバ内の作動流体を流体的に結合するように構成され得る。プランジャの一部分は、第2のカップリング内に摺動的に配置され得る。いくつかの実施形態では、第2のカップリングは、流体圧式ドライバの駆動カップリングをハウジングに対して固定位置に保持するように構成され得る。より具体的な実施形態では、第2のカップリングは、駆動カップリングに係合するように構成されたねじ捕捉部を含み得る又はこうしたねじ捕捉部から本質的になり得る。
【0010】
インプラント送達システムからインプラントを排出する方法は、インプラント区画内にインプラントを用意することを含み得る。いくつかの例では、インプラントは、眼内レンズなどのレンズであり得る。流体圧式ドライバは、インプラント送達システムの剛性プランジャに結合することができ、流体圧式ドライバは、インプラント区画からインプラント送達システムの送達ルーメンにインプラントを前進させるために剛性プランジャを駆動することができる。流体圧式ドライバは、インプラント送達システムに対して固定位置に保持され得る。流体圧式ドライバ内の作動流体を押し、作動流体を剛性プランジャ内のボアを通して送達ルーメンに移動させることができ、作動流体により、インプラントを送達ルーメンを通して前進させることができる。
【0011】
このような実施形態は、送達に独特の課題を呈することがある調節型レンズを含む眼内レンズの送達に特に有利であり得る。いくつかの実施形態は、許容できる程度に小さい切開を通して前進させるために比較的大きいレンズを圧縮し、圧縮中及びノズルから出す間の流体の移動により引き起こされる変形を管理し、予測可能且つ制御された手法で送達を実行するために、調節型レンズ内の流体を管理することができる。眼内レンズは、レンズを眼内に固定するために半径方向に拡張することができる1つ以上の支持部を更に含み得る。いくつかの実施形態は、支持部位置の一貫性を維持しながら、システムの複雑さ及び送達工程数を低減することができる。いくつかの実施形態は、送達のための作動流体の量も低減することができる。
【0012】
いくつかの実施形態に関連して記載される特徴、要素及び態様はまた、省略すること、組み合わせること、又は代替的な特徴に置換することができる。他の特徴、目的、利点、並びに特許請求の対象を作製及び使用する好ましい態様は、例示的な実施形態の添付図面を参照して以下により詳細に説明する。
【0013】
添付図面は、いくつかの目的、利点並びに特許請求の対象のいくつかの実施形態を作製及び使用する好ましい態様を示す。例において、同様の参照番号は同様の部品を表す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、眼にインプラントを挿入するための例示的なシステムの概略図である。
図2A図2Aは、図1の例示的なシステムの動作を示す概略図である。
図2B図2Bは、図1の例示的なシステムの動作を示す概略図である。
図2C図2Cは、図1の例示的なシステムの動作を示す概略図である。
図3A-3B】図3A-3Bは、眼にインプラントを挿入する図1のシステムの例示的な適用を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の例示的な実施形態の記載は、添付の特許請求の範囲に記載される対象を当業者が作製及び使用することを可能にする情報を提供するが、当技術分野で既に公知の特定の詳細は省略する場合がある。したがって、以下の詳細な説明は、例示的なものであり、限定的なものではないものと解釈される。
【0016】
例示的な実施形態は、添付図面に描かれた様々な要素間の空間的関係又は様々な要素の空間的方向を参照して本明細書に記載されることもある。一般に、そのような関係又は方向は、インプラントを受け入れる姿勢にある患者に一致する又はこれに対する座標系を想定する。しかしながら、当業者には理解されるように、この座標系は、厳密な規定ではなく、単に記述的な便宜上のものである。
【0017】
図1は、眼にインプラントを送達するために使用することができるシステム100の概略図である。例えば、図1に示されるように、システム100のいくつかの実施形態は、ノズル105と、ノズル105に結合され得るインプラント区画110と、インプラント区画110に結合され得るアクチュエータ115とを含み得る。
【0018】
概して、システム100の構成要素は、直接的又は間接的に結合され得る。例えば、ノズル105は、インプラント区画110に直接結合され得、インプラント区画110を通してアクチュエータ115に間接的に結合され得る。結合は、流体的、機械的、熱的、電気的若しくは化学的結合(化学的付着など)、又はいくつかの状況においては結合のいくつかの組み合わせを含み得る。例えば、アクチュエータ115はノズル105に機械的及び流体的に結合され得る。いくつかの実施形態では、構成要素は、物理的近接、単一構造体に対する一体化、又は同一材料片からの形成によっても結合され得る。
【0019】
ノズル105は、概して、切開を通した眼への挿入用に適合された先端を含む。先端の大きさは、必要に応じて、外科的要件及び技術に適合させることができる。例えば、治癒時間を短縮又は最小化するために、小さい切開が一般に好ましい。いくつかの例においては3ミリメートル未満の切開が好ましいことがあり、いくつかの実施形態においてはノズル105の先端は3ミリメートル未満の幅を有することがある。図1のノズル105は送達ルーメン120を有する。
【0020】
インプラント区画110は、概して、眼内への送達前にインプラントを格納するのに適した多様な装置を表す。図1では、例えば、インプラント125はインプラント区画110内に配置されている。
【0021】
図1のアクチュエータ115は、概して、ハウジング130と、ハウジング130内に配置されたプランジャ135と、プランジャ135内のボア140とを含む。プランジャ135は、概して、医療グレードのポリマー材料などの実質的に剛性の材料から構成される。ボア140は、概して、第1の端部145から第2の端部150までプランジャ135を長手方向に貫通する。アクチュエータ115は、プランジャ135の第1の端部145に近接する第1のカップリング155を更に含み得る。第2のカップリング160はハウジング130に一体化させることができ、プランジャ135の一部分は第2のカップリング160内に摺動的に配置され得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、アクチュエータ115はノズルシール165を更に含み得る。図1の例に示されるように、ノズルシール165は、プランジャ135の一部分の周りに周方向に配置されたOリングなどのリングシールであり得る。他の例では、アンブレラシールが適切な場合がある。より具体的な実施形態では、ノズルシール165は、プランジャ135の第2の端部150に近接して配置され得る。
【0023】
アクチュエータ115のいくつかの実施形態はインプラントインタフェース170も含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、図1のインプラントインタフェース170はプランジャ135の第2の端部150に結合され得る。
【0024】
システム100のいくつかの実施形態は、様々な人間工学的特徴を追加的に含み得る。例えば、図1のシステム100は、システム100の片手操作を容易にすることができる、アクチュエータ115に結合されたフィンガーフランジ175を有する。
【0025】
図2A図2Cは、図1のシステム100の動作を示す概略図である。初めに、システムの様々な構成要素は、必要に応じて組み立てられ得る。図2A図2Cの例では、ノズル105とインプラント区画110とアクチュエータ115とは互いに固定されて一体構造を形成している。他の実施形態では、システム100は2つ以上のモジュールを含み得、これらのモジュールは、保管、組み立て、使用及び廃棄のために適宜結合及び分離されるように構成することができる。
【0026】
図2Aに示されるように組み立てられた場合、インプラント区画110はボア140と送達ルーメン120との間に配置され得る。プランジャ135の一部分及びインプラントインタフェース170はインプラント区画110内に延びることができ、インプラントインタフェース170はインプラント125に係合するように構成され得る。
【0027】
図2Aの例では、システム100は、流体圧式ドライバ205を受け入れるように構成されている。図2Aの流体圧式ドライバ205は、概して、駆動カップリング210と、作動流体215と、駆動プランジャ220とを含む。いくつかの実施形態では、流体圧式ドライバ205は、作動流体のバイアルを含み得る又は作動流体のバイアルから本質的になり得る。適切な作動流体は、限定されないが、生理食塩水などの液体又は非ニュートン特性を有する粘性潤滑剤を含み得る。
【0028】
アクチュエータ115の第1のカップリング155は、流体圧式ドライバ205を受け入れ、流体圧式ドライバ205内の作動流体215をボア140に流体的に結合するように構成され得る。例えば、駆動カップリング210は、アクチュエータ115の第1のカップリング155に結合されるように構成され得る。いくつかの実施形態では、第1のカップリング155は、ルアーロック、ルアースリップ、又は駆動カップリング210を受け入れるように構成された類似の取付具であり得る。例えば、第1のカップリング155は、少なくとも1つのロックタブ225を有する雄ルアーロックを含み得、駆動カップリング210は、第1のカップリング155のロックタブ225を受け入れるように構成された雌ルアーロックを含み得る。駆動カップリング210は、雄ねじ230を更に含み得る。
【0029】
図2Aの例に示されるように、インプラント125はインプラント区画110内に提供され得る。いくつかの実施形態では、インプラント125は、眼の天然水晶体の形状と同様の形状を有する眼内レンズを含み得、多数の材料から作られ得る。好適な材料の例としては、シリコーン、アクリル及びそのような好適な材料の組み合わせが挙げられ得る。場合によっては、インプラント125は、流体が充填された調節型眼内レンズなどの、流体が充填された眼内レンズを含み得る。インプラント125はまた、支持部などの、眼内で眼内レンズを位置決めするための1つ以上の特徴を含む眼内レンズを含み得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、インプラント区画110は、追加的に又は代替的に、送達のためにインプラント125を準備するように構成され得る。例えば、インプラント区画110のいくつかの実施形態は、アクチュエータ115のその後の動作による送達のためにインプラント125を準備するように、外科医又は他のオペレータによって作動されるように構成され得る。場合によっては、インプラント区画110は、インプラント125をノズル105内に前進させる前にインプラント125の特徴を能動的に変形、伸長、拡張、又は他の手法で操作するように構成され得る。例えば、インプラント区画110のいくつかの実施形態は、インプラントを方向付ける又は折り畳むように構成され得る。例えば、インプラント125は、送達のために方向付けられ得る1つ以上の支持部を含み得る。
【0031】
プランジャ135は、概して、インプラント区画110からノズル105の送達ルーメン120にインプラント125を前進させるように構成されている。例えば、駆動カップリング210が第1のカップリング155に結合されている場合、力を流体圧式ドライバ205に印加して、流体圧式ドライバ205及びハウジング130内のプランジャ135を図2Aの例に示される第1の構成から図2Bの例に示される第2の構成に移動させることができる。図2Aの実施形態では、例えば、流体圧式ドライバ205はフランジ250を含み、駆動プランジャ220と作動流体215の相対位置を維持しながら、フランジ250に圧力を印加し、流体圧式ドライバ205及びプランジャ135を第2の構成にしっかりと移動させることができる。図2Bの例に示されるように、インプラント125はまた、インプラントインタフェース170によってノズル105の送達ルーメン120内に前進させることができる。第2の構成では、ノズルシール165も送達ルーメン120内に前進させて、送達ルーメン120内のインプラント125の後方にシールを作成する。場合によっては、インプラント125は、送達ルーメン120ともシールを形成し得る。図2Bの構成では、ボア140は、流体圧式ドライバ205内の作動流体215を送達ルーメン120に流体的に結合し得る。
【0032】
駆動カップリング210は、駆動カップリング210をハウジング130に対して固定位置に保持するために、アクチュエータ115の第2のカップリング160に係合し得る。例えば、図2Cに示されるように、流体圧式ドライバ205に印加される更なる力に抗して駆動カップリング210を保持するために、駆動カップリング210は第2のカップリング160内に挿入され得る。いくつかの実施形態では、第2のカップリング160は、駆動カップリング210の更なる直線運動を阻止するために駆動カップリング210のねじ230に係合するように構成されたねじ捕捉部を含み得る。適切なねじ捕捉部は、第2のカップリング160へのねじ230の一方向の挿入を可能にし、第2のカップリング160内に一旦挿入されると駆動カップリング210の更なる直線運動を阻止するように構成されている雌ねじ、歯、又はラチェットシステムを含み得る。
【0033】
駆動カップリング210が保持された状態で、駆動プランジャ220を図2Cに示される第3の構成に前進させて、作動流体215をボア140を通してインプラント125の後方の送達ルーメン120内に押しやることができる。駆動プランジャ220による圧力下でのボア140から送達ルーメン120への作動流体215の移動により、インプラント125の後方の送達ルーメン120内の作動流体215の圧力及び流量を増加させることができ、これにより、インプラント125がノズル105から排出されるまでインプラント125を送達ルーメン120内で更に前進させることができる。
【0034】
図3A図3Bは、眼300にインプラント125を送達するためのシステム100の例示的な使用を更に示す概略図である。示されるように、例えば外科医によって眼300内に切開305が作成され得る。場合によっては、切開305は、眼300の強膜310を通して作成され得る。他の例では、切開は、眼300の角膜315に形成され得る。切開305は、インプラント125を水晶体嚢320に送達するために、ノズル105の一部分の挿入を可能にするような大きさにされ得る。例えば、場合によっては、切開305の大きさは、約3000ミクロン(3ミリメートル)未満の長さを有し得る。他の例において、切開305は、約1000ミクロン~約1500ミクロン、約1500ミクロン~約2000ミクロン、約2000ミクロン~約2500ミクロン又は約2500ミクロン~約3000ミクロンの長さを有し得る。
【0035】
切開305の作成後、ノズル105は、切開305を通して眼300の内部部分325に挿入され得る。その後、システム100は、図2A図2Cを参照して実質的に上記したように、ノズル105を通して眼300の水晶体嚢320内にインプラント125を排出することができる。いくつかの用途では、インプラント125は折り畳まれた構成で送達されることがあり、図3Bに示されるように水晶体嚢320内で初期の展開された状態に戻すことができる。図3A及び図3Bの例では、インプラント125は、光学体330と、前支持部335と、後支持部340とを有する眼内レンズを例示する。例えば、インプラント125は、流体で満たされた光学体330、前支持部335、及び後支持部340の1つ以上を有する調節型眼内レンズの形態であり得る。水晶体嚢320は、光学体330が網膜(図示せず)に向けられた光を屈折するような眼300に対する関係性で眼300内にインプラント125を保持することができる。前支持部335及び後支持部340は水晶体嚢320に係合して、その中にインプラント125を固定することができる。インプラント125を水晶体嚢320内に提供した後、ノズル105は切開305を通して眼300から除去することができ、眼300は、一定期間かけて治癒され得る。
【0036】
本明細書に記載されるシステム、装置及び方法は、顕著な利点を提供し得る。例えば、いくつかの実施形態は、送達に独特の課題を呈することがある流体が充填された調節型レンズを含む眼内レンズの送達に特に有利であり得る。いくつかの実施形態は、許容できる程度に小さい切開を通り抜けるように比較的大きいレンズを圧縮し、圧縮中及びノズルから出す間の流体の移動により引き起こされる変形を管理し、予測可能且つ制御された手法で送達を実行することができる。更に、いくつかの実施形態は、支持部位置の一貫性を維持しながら、システムの複雑さ及び送達工程数を低減することができる。いくつかの実施形態は、送達のための作動流体の量も低減することができる。例えば、CELLUGEL OVDのバイアルなどの眼科用粘弾性デバイス(OVD)の単一バイアルが、システム100のいくつかの実施形態を駆動するために、及び送達のための作動流体を提供するために使用され得る。
【0037】
いくつかの例示的な実施形態に示されているが、当業者であれば、本明細書に記載されたシステム、装置及び方法は、添付の特許請求の範囲の範囲に入る様々な変更形態及び修正形態が可能であることを認識するであろう。更に、「又は」などの用語を用いた様々な代替形態の記載は、文脈によって明らかに要求されない限り、相互排他性を必要とせず、また不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、文脈によって明らかに要求されない限り、対象を単一の例に限定するものではない。販売、製造、組み立て又は使用を目的として、構成要素を様々な構成で組み合わせる又は排除することもできる。例えば、いくつかの構成では、ノズル105、インプラント区画110、及びアクチュエータ115は、それぞれ製造又は販売のために、互いに分離することができる又は様々な手法で組み合わせることができる。
【0038】
特許請求の範囲は、特に詳細に記載されていない追加の対象も包含することができる。例えば、特定の特徴、要素又は態様は、新規且つ発明的な特徴を当業者に既に周知のものと区別するために必要でない場合には、特許請求の範囲から省略されることがある。いくつかの実施形態に関連して記載される特徴、要素及び態様は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、省略すること、組み合わせること、又は同一の、同等な若しくは同様の目的を果たす代替の特徴によって置換することもできる。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
【国際調査報告】