(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-14
(54)【発明の名称】検査室システム内の電気モータを監視するための監視装置
(51)【国際特許分類】
H02P 29/024 20160101AFI20231207BHJP
G01R 31/34 20200101ALI20231207BHJP
【FI】
H02P29/024
G01R31/34 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023529129
(86)(22)【出願日】2021-11-15
(85)【翻訳文提出日】2023-05-22
(86)【国際出願番号】 EP2021081615
(87)【国際公開番号】W WO2022101460
(87)【国際公開日】2022-05-19
(32)【優先日】2020-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501205108
【氏名又は名称】エフ ホフマン-ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベルベリヒ、ヴァルター
【テーマコード(参考)】
2G116
5H501
【Fターム(参考)】
2G116BA03
2G116BB01
2G116BB02
2G116BB05
2G116BC05
5H501AA30
5H501CC06
5H501EE01
5H501FF02
5H501FF04
5H501HA01
5H501HA06
5H501HA20
5H501JJ03
5H501JJ26
5H501JJ30
5H501LL22
5H501LL23
5H501LL27
5H501LL53
5H501MM09
(57)【要約】
電気モータ(114)、具体的には検査室システム(110)を監視するための監視装置(112)が開示される。監視装置(112)は、A.電気モータ(114)を少なくとも1つの第1の運動状態から少なくとも1つの第2の運動状態に加速させるのに必要な少なくとも1つの加速エネルギー量に関する情報を受信するように構成された少なくとも1つの受信ユニット(116)と、B.加速エネルギー量に関する情報を評価し、電気モータ(114)の摩耗状態に関する少なくとも1つの情報項目を決定するように構成された少なくとも1つの評価ユニット(122)と、を備える。加速エネルギーは、電気モータ(114)を回転運動状態から静止状態に減速させるときに放散、回復、または解放のうちの少なくとも1つが行われる加速エネルギーを含む。さらに、検査室システム(110)、電気モータ(114)を監視する方法、検査室システム(110)を動作させる方法、コンピュータプログラムおよびコンピュータ可読記憶媒体が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気モータ(114)を監視するための監視装置(112)であって、
A.前記電気モータ(114)を少なくとも1つの第1の運動状態から少なくとも1つの第2の運動状態に加速させるのに必要な少なくとも1つの加速エネルギー量に関する情報を受信するように構成された少なくとも1つの受信ユニット(116)と、
B.前記加速エネルギー量に関する情報を評価し、前記電気モータ(114)の摩耗状態に関する少なくとも1つの情報項目を決定するように構成された少なくとも1つの評価ユニット(122)と、
を備え、
前記加速エネルギーが、前記電気モータ(114)を回転運動状態から静止状態に減速させるときに放散、回復、または解放のうちの少なくとも1つが行われる加速エネルギーを含む、監視装置(112)。
【請求項2】
前記受信ユニット(116)が、測定抵抗器(118)、測定コンデンサ、およびエネルギーバッファのうちの少なくとも1つを備え、前記受信ユニット(116)が、前記測定抵抗器(118)、前記測定コンデンサ、または前記エネルギーバッファのそれぞれにおける電圧、電流、または電力のうちの少なくとも1つを監視するように構成された少なくとも1つの測定装置(120)をさらに備える、請求項1に記載の監視装置(112)。
【請求項3】
前記測定装置(120)が、時間の関数として前記電圧、前記電流、または前記電力をそれぞれ示す少なくとも1つの測定信号(121)を生成するように構成され、前記監視装置(112)が、少なくとも1つのフィルタリング装置(124)をさらに備える、請求項2に記載の監視装置(112)。
【請求項4】
前記評価ユニット(122)が、前記摩耗状態に関する前記少なくとも1つの情報項目を決定するための少なくとも1つのプロセッサ(128)をさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の監視装置(112)。
【請求項5】
前記評価ユニット(122)が、前記摩耗状態に関する前記情報項目に基づいて少なくとも1つの推奨動作を決定するようにさらに構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の監視装置(112)。
【請求項6】
前記評価ユニット(122)が、前記摩耗状態に関する前記情報項目に基づいて、少なくとも1つの警告状態が与えられたかどうかを決定するようにさらに構成され、前記評価ユニット(122)が、前記警告状態が与えられた場合、警告を出力するように構成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の監視装置(112)。
【請求項7】
少なくとも1つの検査室タスクを実行するための検査室システム(110)であって、少なくとも1つの電気モータ(114)を備え、さらに、請求項1から6のいずれか一項に記載の監視装置(112)を少なくとも1つ備える、検査室システム(110)。
【請求項8】
前記検査室システム(110)が、少なくとも1つの電子スイッチング素子(130)をさらに備え、前記電子スイッチング素子(130)が、前記電気モータ(114)に印加される電圧の極性を反転させること、および前記電気モータ(114)を負に加速させることのうちの少なくとも一方のために構成されている、請求項7に記載の検査室システム(110)。
【請求項9】
前記電気モータ(114)の機能を制御するための少なくとも1つのコントローラ(136)をさらに備え、前記コントローラ(136)が、1つまたは複数のプロセッサ(128)を備える、請求項7または8に記載の検査室システム(110)。
【請求項10】
電気モータ(114)を監視する方法であって、
i)前記電気モータ(114)を少なくとも1つの第1の運動状態から少なくとも1つの第2の運動状態に加速させるのに必要な少なくとも1つの加速エネルギー量に関する情報を受信することと、
ii)前記加速エネルギー量に関する前記情報を評価し、前記電気モータ(114)の摩耗状態に関する少なくとも1つの情報項目を決定することと、
を含む、方法。
【請求項11】
前記方法が、少なくとも部分的にコンピュータ実装される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ステップii)が、前記加速エネルギー量を少なくとも1つの基準値と比較することを含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
ステップii)が、前記加速エネルギー量と前記基準値との商、または前記加速エネルギー量と前記基準値との差のうちの少なくとも1つを、少なくとも1つの閾値と比較することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つの検査室タスクを実行するための検査室システム(110)を動作させる方法であって、
I.電気モータ(114)を使用することによって少なくとも1つの物体を操作することと、
II.請求項10から13のいずれか一項に記載の方法を使用することによって前記電気モータ(114)を監視することと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気モータを監視するための監視装置、および少なくとも1つの検査室タスクを実行するための検査室システムに関する。さらに、本発明は、電気モータを監視する方法および検査室システムを動作させる方法に関する。さらに、電気モータを監視する方法を実行するためのコンピュータプログラムおよびコンピュータ可読記憶媒体、ならびに検査室システムを動作させる方法を実行するためのコンピュータプログラムおよびコンピュータ可読記憶媒体が提案される。装置、方法、コンピュータプログラムおよび記憶媒体は、具体的には、例えばハイスループットで生物学的サンプルを定性的または定量的に分析するためなど、分析、医学または化学検査室において使用されることができる。しかしながら、本発明の他の応用分野が可能である。
【背景技術】
【0002】
分析、医学または化学検査室の分野では、多数のサンプルをハイスループットで分析するために自動分析装置が頻繁に使用されている。自動分析装置の例示的な実施形態は、例えば国際公開第2015/011274号パンフレット、欧州特許出願公開第3056320号明細書または欧州特許出願公開第3412603号明細書に示されている。
【0003】
以下では検査室システムとも呼ばれる自動分析器は、代替の実施形態を排除することなく、具体的には、サンプル中の1つまたは複数の分析物を決定するために、および/または多数のサンプルの他の特徴的な特性を自動化された方法で、且つハイスループットで、具体的には人間の行動を伴わずに、または最小限に抑えて決定するために構成されることができる。例として、サンプルは、体液などの生物学的サンプルを含むことができる。検査室システムは、典型的には、サンプル移送装置などのサンプル操作のための1つまたは複数の装置を備える。一般に、自動分析器は、分析器の様々な機能を駆動するための複数の電気モータを備えることができる。しかしながら、一般に、電気モータの可動部品は摩耗や裂けの影響を受ける。多くの場合、電気モータの摩耗は、電気モータの寿命に影響を及ぼす制限要因の1つであり、したがって、検査室システムのメンテナンスを必要とする。
【0004】
一般に、電気モータの機能を監視するための装置および方法が知られている。例として、欧州特許出願公開第2375560号明細書は、ロータおよびステータを備えるモータと、モータを制御するためのモータコントローラとを有する装置を記載している。エンコーダおよび位置調整モジュールは、動作中に実際の信号を供給する。コントローラは、実際のモータ相電流をスリップ部分と全負荷部分とに分離する変換モジュールを有する。スリップおよび全負荷制御モジュールは、スリップ部分と基準値との間の差および全負荷部分と別の基準値との間の差が最小になるように、モータを整流するためのロータ相電流を提供する。さらに、モータを制御する方法も開示されている。
【0005】
中国実用新案第208046394号明細書は、直流モータのブラシ摩耗を直接監視するための監視システムを開示している。監視システムは、モータ整流子と、ブラシヨークと、ブラシホルダと、ブラシとを含み、ブラシホルダは、ブラシヨークに固定され、ブラシは、ブラシホルダ内に配置され、モータ整流子は、ブラシホルダの下方に配置され、ブラシは、モータ整流子と接触する。監視システムは、ブラシホルダの上側に配置される走行スイッチと、電源を含み、前記走行スイッチが直列に接続されている外部制御回路と、前記外部制御回路と直列に接続された警報装置と、をさらに含む。摩耗および引き裂きによるブラシの所定の高さに達すると、通常は開いている走行スイッチが閉じられて、外部制御回路が警報装置と通信し、オペレータにブラシを変更するように促す警告を送信することができる。
【0006】
中国特許第106443451号明細書は、直流モータの寿命をチェックするための方法を記載している。チェック方法は、以下のステップ、すなわち、ステップA:試験モータを取得し、試験モータを2つのグループに分割するステップと、ステップB:1つのグループに対して増加負荷試験を行い、負荷を増加させ、定格電流の1.2倍に基づいてシミュレーションを行い、このとき、モータが対応する電流に達するようにトルク調整ねじを調整する必要があり、それによってモータの過負荷状態によってモータの寿命に生じる影響のシミュレーションを実現するステップと、ステップC:別のモータ群の電圧を定格電圧の1.2倍に上昇させ、モータのRPMを上昇させて、モータの高速回転がモータの寿命に及ぼす影響をシミュレートするステップと、ステップD:ステップBおよびCの試験に合格したモータを分解し、モータの寿命が要件を満たすかどうかを決定するステップと、を含む。
【0007】
米国特許第6,559,571号明細書は、整流DCモータ用のブラシシステムを記載している。ブラシが摩耗すると、異なる位置で異なる断面形状が整流子と接触する。各断面形状の接触中心は異なっていてもよく、それによって摩耗が生じるにつれてブラシ角度が変化する。摩耗の結果として生じる他の影響を相殺するために、ブラシ角度の変化が望ましい場合がある。例えば、モータ速度は、ブラシの摩耗の結果として変化し得る。ブラシ角度を変更することにより、速度の変化を相殺することができる。
【0008】
国際公開第2011/117293号パンフレットおよび欧州特許第2550451号明細書は、風力または水力発電プラントのロータブレードピッチを調整するための緊急動作が可能なピッチ駆動装置を開示している。ピッチ駆動装置は、インバータ装置と、三相電流駆動モータとを備える。駆動モータは、三相IPM同期モータ(埋込磁石型)として実現される。直流蓄電装置は、有利には、少なくとも緊急動作のために、整流装置とインバータ装置との間の中間直流回路に実質的に直接接続されて、同期モータに少なくとも短時間電力を供給することができ、その結果、IPM同期モータは、中間回路電圧UZKが低下しているときに速度制御下で少なくとも短時間動作することができる。本発明は、緊急動作において中間回路電圧UZKが下降しているときに高トルクでピッチ駆動装置の速度制御緊急動作を可能にし、直流エネルギー貯蔵装置は、例えば、エネルギーバッファとしての効率を改善し、ロータスリップリングを介した電流伝達を低減することができる。
【0009】
欧州特許出願公開第0025575号明細書は、DCモータによって駆動されるピストン-シリンダシステムを有するミリリットルおよびマイクロリットル範囲の少量の液体用の投与装置を記載している。ピストンストロークは、光路長測定システムを用いて測定される。この目的のために、規則的な格子を有する透明なパルスルーラがピストンに取り付けられる。光送信器からの光は、パルスルーラと、同じく規則的な格子を有する固定走査板とを通って受光器に当たる。受光器からのパルスは、パルス調製システムでデジタル化され、符号化スイッチを使用して事前設定することができるカウンタに供給される。カウンタステータスは、設定された目標速度に関係なく、終了値に近づくとモータ速度が低い値に低下するように、制動および速度制御に影響を与える。予め設定された量が投与され、カウンタが0に達するとすぐに、モータは、モータ制御ロジックを介してカウンタ電圧を使用して突然シャットダウンされる。シャットダウン中、モータの無負荷電圧は、ゼロ電圧比較器を用いて一定の間隔で測定される。ピストンストローク速度は、パルス監視の助けを借りて測定および制御され、機械的欠陥の場合にはモータもオフにされる。モータおよび電子機器は、電源ユニットを使用して充電することができるバッテリまたはアキュムレータによって給電される。
【0010】
特開昭56-125993号公報には、固有振動数が低く急激に変化する負荷を有する機械系に接続された直流モータの制御回路が記載されている。制御回路は、速度フィードバック検出器からの出力が提供される利得補償器を提供する。検出器からの出力は、速度制御系の比例補償器の次段に設けられた減算器に入力される。DCモータの速度が定格値よりも低い場合、補償器は出力を生成しない。定格値を超えると、超えた値に比例した出力となり、速度フィードバック量が大きくなる。これにより、負荷等の衝撃上昇時における直流モータの過速度状態を解消するために、自動速度制御システムの応答速度を等価的に上昇させる。
【0011】
米国特許第5,280,222号明細書は、電力段によって通電されるブラシレス直流モータを開示している。電力段のスイッチは、電子制御装置によって選択的に切り替えられる。ホール効果素子などのロータ位置インジケータを使用せずに、正しい整流パターンを決定するために、制御装置は、モータに供給される電力をサンプリングするように構成される。モータによって受信された試験信号または通常の通電パルスにそれぞれ応答するサンプルは、順序付きシーケンスで、パラメータが数学的解析によって決定され得るアナログ関数を定義する。サンプルに適用される解析は、モータの動作における可変インダクタンスに依存する関数に基づくベクトルまたは複素数加算を使用することによって、必要な整流情報および通電信号を迅速に導出する。
【0012】
独国特許出願公開第102019107876号明細書は、エンジンを始動するためのスタータ、スタータのモータ用の整流子、および整流子の表面上のグラファイトコーティング層の形成を記載している。
【0013】
国際公開第1993/018356号パンフレットは、空調システムの制御システムを記載している。冷却剤の過熱は、圧縮機が一定速度で動作しているときには第1の予め設定されたレベルに維持され、圧縮機が加速されるときには第2のより高い予め設定されたレベルに増加される。また、圧縮機に供給される電力と、圧縮機の冷却剤の温度または圧力の初期とその後の変化量とを測定し、比較することで、圧縮機の摩耗量を推定する。システムはまた、駆動部の摩耗を、圧力を生成するために使用される圧縮機の一部の摩耗から区別するためにも使用される。
【0014】
欧州特許出願公開第3681035号明細書は、AC電気モータ監視装置を開示している。監視装置は、駆動電源を用いて駆動される交流電気モータを監視する。前記交流電気モータの電流検出手段により検出された電流検出値を直流量に変換し、前記直流量に基づいて特徴量を出力することを特徴とする。
【0015】
特開第2011-151890号公報には、発電機のロータの回転数の加速度を検出する検出部と、前記回転数の加速度に基づいて、前記発電機の前記ブラシの摩耗量を算出する算出部と、前記摩耗量に基づいて前記摩耗状態を決定する決定部と、を備える、ブラシの摩耗を検出する装置および方法が記載されている。
【0016】
米国特許出願公開第2019/085924号明細書は、リニア電磁モータ用の機械式ブレーキの性能を監視するための方法を開示している。リニアモータは、直線的に移動可能な出力軸を有する。本方法は、機械的ブレーキの作動期間にわたって出力シャフトの移動を監視することと、前記移動を所定の移動閾値と比較することとを含む。
【0017】
米国特許出願公開第2017/257054号明細書は、回転電機、回転速度センサ、温度センサ、および回路を含む回転電機制御システムを記載している。回転電機は、回転子を備える。回転数センサは、ロータの回転数を検出するものである。温度センサは、回転電機の温度を検出するものである。回路は、回転速度センサによって検出された回転速度および温度センサによって検出された温度に基づいて、ロータが回転する動作時間を分類するように構成される。回路は、分類された動作時間に基づいてロータの疲労度を計算するように構成される。回路は、疲労度が閾値を超えると、ロータの回転速度を制限するか、またはユーザに信号を出力するように構成される。
【0018】
既知の方法および装置によって達成される利点にもかかわらず、いくつかの技術的課題が、特に検査室システム、特に自動分析装置の装置を駆動および操作するために使用される電気モータの分野に残っている。具体的には、電気モータのその場監視が必要であり、特に電気モータの構成要素の摩耗に関して、電気モータの状態の現在の評価を提供する。多くの場合、整流子および/またはブラシなどの電気モータの構成要素の摩耗状態、ならびに巻線の破損、巻線短絡および/または有害な動作条件などの故障を検出することは、技術的に困難である。
【0019】
さらに、既知の方法および装置のほとんどは、特定の試験を実行するために動作の中断を必要とするため、in situ測定には適していない。これらの試験は、典型的には、試験条件下での電気モータの動作を必要とし、典型的には、これらの試験条件を達成するために必要な駆動条件を監視する。したがって、上記で概説したように、国際公開第1993/018356号パンフレットは、特定の一定速度を達成するために、圧縮機に供給される電力の測定および比較を通じて圧縮機の摩耗度を推定する方法を記載している。これらの試験のために、典型的には、特にハイスループット検査室システムでは非常に望ましくないシステムの動作を中断しなければならない。
【0020】
具体的には、検査室システムでは、保守およびモータ故障によるダウンタイムが回避されるべきである。多くの保守手順は、事前計画ではなく単に反応的な性質のものである。したがって、モータの故障が発生すると、予備部品を注文しなければならず、検査室システム全体のダウンタイムにつながる。あるいは、ダウンタイムを短縮するために、様々なタイプの予備部品を検査室で在庫しておく必要があり、これは一般に、検査室を運用するためのコストを増加させる。
【0021】
[解決すべき課題]
したがって、特に検査室システムにおいて、電気モータを監視するという上述の技術的課題に少なくとも部分的に対処する装置および方法を提供することが望ましい。具体的には、電気モータの現在の状態を簡単且つ事前に計画する方法で監視することを可能にする装置および方法が提案される。
【発明の概要】
【0022】
この問題は、独立請求項の特徴を有する、電気モータを監視するための監視装置、監視装置を備える検査室システム、電気モータを監視する方法、検査室システムを動作させる方法によって対処される。さらに、本方法を実行するためのコンピュータプログラムおよびコンピュータ可読記憶媒体が提案される。単独で、または任意の組み合わせで実現されてもよい有利な実施形態は、従属請求項ならびに明細書全体に記載されている。
【0023】
以下で使用される場合、「有する(have)」、「備える(comprise)」、もしくは「含む(include)」という用語、またはそれらの任意の文法的変形は、包括的に使用される。したがって、これらの用語は、これらの用語によって導入される特徴に加えて、この文脈で説明されているエンティティにさらなる特徴が存在しない状況と、1つまたは複数の追加の特徴が存在する状況との双方を指す場合がある。例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」および「AはBを含む」という表現は、双方とも、B以外に、他の要素がAに存在しない状況(すなわち、Aが単独で、且つ排他的にBからなる状況)、および、B以外に、要素C、要素CおよびD、さらにはさらなる要素など、1つまたは複数のさらなる要素がエンティティAに存在する状況を指す場合がある。
【0024】
さらに、特徴または要素が1回または複数回存在してもよいことを示す「少なくとも1つ」、「1つまたは複数」という用語または同様の表現は、通常、それぞれの特徴または要素を導入するときに一度だけ使用されることに留意されたい。以下では、ほとんどの場合、それぞれの特徴または要素を指すとき、それぞれの特徴または要素が1回または1回を超えて存在してもよいという事実にもかかわらず、「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」という表現は繰り返されない。
【0025】
さらに、以下において使用される場合、用語「好ましくは」、「より好ましくは」、「特に」、「より特に」、「具体的に」、「より具体的に」または同様の用語は、代替の可能性を制限することなく、任意の特徴と併せて使用される。したがって、これらの用語により導入される特徴は、任意の特徴であり、特許請求の範囲を、いかなる方法によっても制約することを意図されていない。本発明は、当業者が認識するように、代替の特徴を使用することによって実行されてもよい。同様に、「本発明の実施形態において」または同様の表現によって導入される特徴は、本発明の代替の実施形態に関していかなる制限も伴わず、本発明の範囲に関していかなる制限も伴わず、そのようなやり方で導入される特徴を本発明の他の任意の特徴または任意ではない特徴と組み合わせる可能性に関していかなる制限も伴わない任意の特徴であるように意図される。
【0026】
本発明の第1の態様では、電気モータを監視するための、具体的には検査室システムの監視装置が開示される。監視装置は、
A.前記電気モータを少なくとも1つの第1の運動状態から少なくとも1つの第2の運動状態まで加速させるのに必要な少なくとも1つの加速エネルギー量に関する情報を受信するように構成された少なくとも1つの受信ユニットと、
B.前記加速エネルギー量に関する情報を評価し、前記電気モータの摩耗状態に関する少なくとも1項目の情報を決定するように構成された少なくとも1つの評価ユニットと、
を備える。
【0027】
本明細書で使用される「監視する」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、データ、具体的には装置またはシステムの状態を記述するデータを連続的に、不連続的に、または定期的に受信および/または取得するプロセス、具体的には自動化されたプロセスを指すことができるが、これに限定されない。この用語は、データから二次情報を導出することをさらに含むことができる。具体的には、監視のプロセスは、ユーザまたはオペレータの相互作用なしに実行されてもよい。この目的のために、監視は、1つまたは複数の測定信号を生成し、任意に評価することを含むことができ、そこから所望の情報を決定することができる。測定信号は、固定または可変の時間間隔内に、あるいは代替的または追加的に、少なくとも1つの所定の事象の発生時に記録されてもよい。
【0028】
本明細書で使用される「監視装置」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は具体的には、限定されないが、別の装置またはシステムのステータスを決定または監視するように構成された装置を指し得る。具体的には、監視装置は、他の装置またはシステム、具体的には電気モータの監視、制御、監視、試験、および検査からなる群から選択される少なくとも1つの機能を実行するように構成されてもよい。具体的には、装置は、複数の相互作用する構成要素を含むことができ、監視装置に含まれる1つまたは複数の構成要素は、少なくとも1つの機能を実行するために互いに相互作用することができる。監視装置の構成要素は、互いに独立して取り扱われてもよく、または結合もしくは接続可能であってもよい。監視装置、具体的には監視装置の構成要素のうちの1つまたは複数は、電気モータなどの監視対象の装置またはシステムから独立していてもよい。したがって、監視装置は、電気モータを監視するこの場合、一般に、電気モータから独立して取り扱われるように構成されるなど、電気モータとは別個の装置として具現化されてもよい。一例として、監視装置は、電気モータ自体および/またはモータ制御ユニットから分離されてもよい。しかしながら、監視装置を電気モータおよび/またはモータ制御ユニットに完全にまたは部分的に統合することなどによって、他の実施形態も実現可能である。
【0029】
電気モータの文脈において、電気モータの監視は、具体的には、電気モータの状態、具体的には現在の状態を記述する1つまたは複数のパラメータを監視することを含むことができる。この目的のために、監視は、データを取得すること、具体的には、電気モータの状態を記述する1つまたは複数のパラメータを表す測定信号、具体的には電気測定信号を生成することを含むことができる。以下でさらに詳細に説明するように、本明細書で提案するように、電気モータの監視は、加速エネルギー量に関するデータを受信することと、所望の情報を導出するために受信したデータを評価することとを含むことができる。
【0030】
本明細書で使用される「電気モータ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は具体的には、限定されないが、電気エネルギーを運動エネルギーに変換し、代替的にまたは追加的に、例えば回復によって運動エネルギーを電気エネルギーに変換するように構成された装置を指し得る。電気モータは、直流(DC)電気モータおよび/または交流(AC)電気モータであってもよい。一般に、様々なタイプの電気モータが本明細書で使用され得る。一例として、電気モータは、少なくとも1つの磁場を生成するように構成された少なくとも1つのステータを備えることができる。電気モータは、少なくとも1つのロータをさらに備えてもよく、ロータは、電流を流すための1つまたは複数の導体を備えてもよい。電気モータのロータは、少なくとも1つの整流子を備えてもよく、整流子は、1つまたは複数の導電性ブラシを介して電気エネルギー源に電気的に結合されてもよい。整流子は、固定子によって生成された磁界内で回転すると、回転子を流れる電流を反転させるように構成されてもよい。ブラシは、電気モータのステータに固定して配置されてもよい。しかしながら、ブラシレス電気モータ、外部整流電気モータなどの他のタイプの電気モータも実現可能であり得る。電気モータは、以下でさらに詳細に概説されるように、検査室システムの一部を形成することができる。
【0031】
上述したように、監視装置は、電気モータを少なくとも1つの第1の運動状態から少なくとも1つの第2の運動状態に加速させるために必要な少なくとも1つの加速エネルギー量に関する情報を受信するように構成された少なくとも1つの受信ユニットを備える。情報は、少なくとも1つの測定信号および/または加速エネルギー量を記述するデータなどの少なくとも1つの情報項目を含むことができる。以下に例を示す。
【0032】
本明細書で使用される「受信ユニット」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。本明細書で使用される「受信する」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。「受信する」という用語は、具体的には、例えば、外部ソースからの取得、測定、決定、受信、インターフェースを介した受信などのうちの少なくとも1つによる情報を含む、対象物を直接的または間接的に占有する任意のタイプを含むことができる。「受信ユニット」という用語は、特に、限定はしないが、加速エネルギー量に関する情報またはその任意の指示を受信するように構成された少なくとも1つの電子装置を指すことができる。「情報を受信する」という用語は、測定などによって情報を取得するプロセス、および/またはインターフェースを介して、データ記憶装置などから、他のソースから情報を取得するプロセスを指すことができる。具体的には、受信ユニットは、1つの単一ユニットに組み合わされてもよく、または代替的にもしくは追加的に、複数のユニットで互いに分離されてもよい1つまたは複数の電子部品であってもよく、またはそれを含んでもよい。電子部品は、受信ユニットの少なくとも1つのタスクを実行するために互いに相互作用するように構成されてもよい。具体的には、受信ユニットは、加速エネルギー量を測定することなどによって、加速エネルギー量に関する情報を直接取得するように構成されてもよい。追加的または代替的に、受信ユニットは、インターフェースを介してもしくは別の装置から情報を受信することによって、および/または電圧、電流もしくは電力などの加速エネルギー量の指示、すなわちそこから加速エネルギー量を導出することを可能にする少なくとも1つの指示を決定することなどによって、加速エネルギー量に関する情報を間接的に受信するように構成されてもよい。
【0033】
その結果、要約すると、「少なくとも1つの加速エネルギー量に関する情報を受信する」という用語は、限定はしないが、具体的には、加速エネルギー量に関する情報を決定すること、加速エネルギー量を測定すること、加速エネルギー量に関する情報の項目を取得すること、または加速エネルギー量の指示を決定することのうちの1つまたは複数を指すことができる。具体的には、この文脈で使用される「受信する」という用語は、加速エネルギー量を定量的に決定および/または測定し、それによって加速エネルギーに関する情報を導出する能動的なプロセスを指すことができる。追加的または代替的に、「受信する」という用語は、例えば別の追加の装置から加速エネルギー量に関する少なくとも1項目の定量的情報を取得するなど、加速エネルギー量に関する少なくとも1項目の情報を取得する受動的プロセスを指すことができる。
【0034】
本明細書で使用される「加速エネルギー量に関する情報」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、限定するものではないが、電気モータの第1の運動状態と電気モータの第2の運動状態との間の運動エネルギーの差を記述する少なくとも1つの情報を特に指すことができる。情報の項目は、運動エネルギーの前記差を表すエネルギーであってもよく、もしくはこれを含んでもよく、または運動エネルギーの前記差がさらなるステップによって導出され得る任意の他の情報の項目であってもよく、もしくはこれを含んでもよく、例えば運動エネルギーの前記差を表す測定値上の少なくとも1つの測定信号、例えば適切なアルゴリズムによって運動エネルギーの差に変換され得るデジタルおよび/またはアナログ測定信号であってもよい。加速度は、一般に、正または負であってもよく、したがって、運動エネルギーの増加または減少を含んでもよい。したがって、加速エネルギー量は、第1の運動状態の運動エネルギーが第2の運動状態の運動エネルギーよりも高いかまたは低いかに応じて、運動エネルギーの正の差または運動エネルギーの負の差を含むことができる。加速エネルギー量は、電気モータを正方向に加速させるために、および/または電気モータを「減速させる」とも呼ばれる電気モータを負方向に加速させるために必要な加速エネルギーを含むことができる。
【0035】
本明細書で使用される「運動状態」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、限定はしないが、具体的には、運動中および/または動作中の電気モータの特性を指すことができる。電気モータの運動状態は、運動量の数値表示などによって定性的および/または定量的に説明することができる。具体的には、電気モータの運動状態は、回転速度、回転周波数、角度周波数、角運動量、トルクからなる群から選択される少なくとも1つの運動量によって特徴付けることができる。しかしながら、運動量は0の値をとることもあるので、運動状態は電気モータの静止状態を指すこともある。
【0036】
本明細書で使用される「加速させる」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、特に、力の作用によって誘発される運動状態の変化を指すことができるが、これに限定されない。具体的には、電気モータを加速させることにより、その運動状態を第1の運動状態から第2の運動状態に変化させることができる。「加速させる」という用語は、少なくとも1つの運動量の増加などの正の加速度、または代替的に、少なくとも1つの運動量の減少などの負の加速度を指すことができる。電気モータの正の加速は、電気モータの運動エネルギーを増加させることを含むことができ、負の加速は、電気モータの運動エネルギーを減少させることを含むことができる。
【0037】
「第1の運動状態」および「第2の運動状態」の文脈で使用される「第1の」および「第2の」という用語は、命名の目的のためにのみ使用され、これらの運動状態をランク付けまたは番号付けすることはなく、いかなる選好も与えない。しかしながら、「第1」および「第2」という用語は、電気モータの運動状態の特定の時系列を指すことができる。電気モータの第1の運動状態は、電気モータの第2の運動状態に先行する電気モータの運動状態であってもよい。第1の運動状態および第2の運動状態以外に、さらなる運動状態が存在してもよい。
【0038】
上記でさらに概説したように、監視装置は、加速エネルギー量に関する情報を評価し、電気モータの摩耗状態に関する少なくとも1項目の情報を決定するように構成された少なくとも1つの評価ユニットを備える。その中で、加速エネルギー量に関する情報の評価は、1つまたは複数のステップを含むことができる。したがって、加速エネルギー量に関する情報は、摩耗状態に関する情報の項目を決定するために直接使用されてもよく、または中間ステップが実施されてもよい。したがって、加速エネルギー量に関する情報は、上記で概説したように、加速エネルギーを直接示すことができる。しかしながら、代替的に、加速度エネルギーの量に関する情報は、一次または複数の情報を含むことができ、情報の評価は、生情報または一次情報から加速度エネルギーの実際の量を計算または決定することなどによって、その二次情報を導出することを含むことができる。一例として、加速度エネルギーの量に関する情報は、生情報として、少なくとも1つの測定信号を含むことができ、評価の前または評価中に、少なくとも1つの測定信号を実際の加速度エネルギーの量に変換することができる。
【0039】
本明細書で使用される「評価ユニット」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、少なくとも1つの加速度エネルギー量および/またはその任意の指示に関する情報を処理するように構成された少なくとも1つの電子装置を指すことができる。少なくとも1つの加速エネルギー量に関する情報は、上述したように、少なくとも1つの電子情報などの少なくとも1つの情報を含むことができる。一例として、情報は、少なくとも1つのアナログおよび/または少なくとも1つのデジタル電子信号などの電子情報の少なくとも1つのアナログおよび/または少なくとも1つのデジタル項目を含むことができる。具体的には、評価ユニットは、1つの単一ユニットに組み合わされてもよく、または代替的にもしくは追加的に、複数のユニットで互いに分離されてもよい1つまたは複数の電子部品であってもよく、またはそれを含んでもよい。電子部品は、少なくとも1つの加速度エネルギー量および/またはその任意の指示に関する情報の処理を実行するために、互いに相互作用するように構成されてもよい。具体的には、処理は、加速エネルギー量に関する情報を評価することと、摩耗状態に関する情報の項目を決定することとを含むことができる。評価ユニットは、示された処理動作のうちの1つまたは複数を実行するように構成された1つまたは複数のハードウェア要素を提供することができ、および/または処理ステップのうちの1つまたは複数を実行するためにその上で実行されるソフトウェアを1つまたは複数のプロセッサに提供することができる。例えば、評価ユニットは、少なくとも1つのプロセッサを備えることができる。評価ユニットは、加速エネルギー量に関する情報を処理するためのいくつかのコンピュータ命令を含むソフトウェアコードを格納することができる。
【0040】
本明細書で使用される「評価する」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、少なくとも1つの加速エネルギー量またはその任意の指示を検査、処理、評価、ランク付け、または分類することの1つまたは複数のプロセスを指すことができる。評価の結果は、一例として、数値結果および/または少なくとも1つのブール値などの少なくとも1つの数値を含むことができる。具体的には、少なくとも1つの加速エネルギー量に関する情報を評価することは、加速エネルギー量と少なくとも1つの基準値との比較を含むことができる。加速エネルギー量と基準値との比較の結果は、さらなる処理に使用することができる。具体的には、加速エネルギー量の評価は、電気モータの摩耗状態に関する情報の項目の決定の基礎を提供することができる。追加的または代替的に、「評価する」という用語は、加速エネルギー量を定量的に決定するために、加速エネルギー量に関する情報の分析を指すことができる。
【0041】
本明細書で使用される「少なくとも1つの情報」とも呼ばれる「情報」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、情報の項目によって記述される少なくとも1つのエンティティの少なくとも1つの特性、量、品質、特徴または特性を示す電子信号および/または1つまたは複数の数値などの1つまたは複数の信号を指すことができる。
【0042】
したがって、加速エネルギー量の文脈では、加速エネルギーに関する情報は、具体的には、加速エネルギー量が導出され得る、および/または少なくとも1つの加速エネルギー量の導出を直接的または間接的に可能にする少なくとも1つの信号および/または少なくとも1つの数値を含み得る。少なくとも1項目の情報は、絶対情報および/または相対情報であってもよく、または絶対情報および/または相対情報を含んでもよい。一例として、加速エネルギー量に関する相対情報は、加速エネルギー量と少なくとも1つの基準値との間の差、および/または加速エネルギー量と少なくとも1つの基準値との商の1つまたは複数であってもよく、またはそれを含んでもよい。
【0043】
本明細書で使用される「電気モータの摩耗状態」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、限定するものではないが、具体的には、その機能、具体的には適切な機能に関する電気モータの状態を指すことができる。具体的には、電気モータの摩耗状態は、整流子および/またはブラシの摩耗および/または引き裂きなどの電気モータの構成要素の1つまたは複数の摩耗および/または引き裂きを表すことができる。さらに、電気モータの摩耗状態はまた、例えば、導体の破損、導体の短絡、および/または他の有害な動作条件に起因する、電気モータの機能不良を示し得る。したがって、摩耗状態の文脈において、摩耗状態に関する少なくとも1項目の情報は、摩耗状態を直接的または間接的に記述する上記で定義された少なくとも1項目の情報を含むことができる。情報の項目は、上述したように、少なくとも1つの数値および/または少なくとも1つのブール値を含むことができる。一例として、数値は、所与のスケール、例えばパーセントのスケールなどにおける摩耗状態の程度を表すことができる。ブール値は、一例として、「順番通り」と「順番通りではない」、「交換されない」と「すぐに交換される」、「機能する」と「機能しない」などを単に区別することができる。
【0044】
評価ユニットの文脈で使用される「決定する」という用語は広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、加速エネルギー量に関する情報が、電気モータの摩耗状態に関する少なくとも1項目の情報を生成するために使用されるプロセスを指すことができる。一例として、少なくとも1つのアルゴリズムを加速エネルギー量に関する情報に適用することができ、その結果は摩耗状態に関する情報の項目を含む。そこでは、加速エネルギー量と1つまたは複数の基準値との単純な比較を含むアルゴリズム、分析的、経験的または半経験的変換を使用することによって加速エネルギー量を変換するアルゴリズム、ルックアップテーブルを使用するアルゴリズム、または人工知能に基づくアルゴリズム、例えば訓練されたモデルを含むアルゴリズムなど、様々なタイプのアルゴリズムを使用することができる。具体的には、摩耗状態に関する情報項目の決定は、加速エネルギー量と少なくとも1つの基準値との間の差を使用することを含むことができ、および/または加速エネルギー量と基準値との商を使用することを含むことができる。しかしながら、他の選択肢も実現可能である。
【0045】
上記で概説したように、摩耗状態に関する少なくとも1項目の情報は、アナログおよび/またはデジタル値などの少なくとも1項目の情報であってもよく、またはそれを含んでもよい。しかしながら、他の選択肢も実現可能である。摩耗状態に関する情報は、具体的には、データ記憶装置に記憶されているか、別の装置に送信されているか、および/または表示または他の手段などによって監視装置のユーザに表示または注意喚起されているかのうちの1つまたは複数であってもよい。
【0046】
上記で概説したように、加速エネルギーは、より低い運動エネルギーの第1の運動状態からより高い運動エネルギーの第2の運動状態に電気モータを正方向に加速させるために必要な正の加速エネルギーと、より高い運動エネルギーの第1の運動状態からより低い運動エネルギーの第2の運動状態に電気モータを負方向に加速させるために必要な負の加速エネルギーと、からなる群から特に選択することができる。具体的には、より低い運動エネルギーの運動状態は、回転速度、回転周波数、角周波数、角運動量などの運動量が、より高い運動エネルギーの運動状態の対応する運動量よりも低い運動状態であってもよい。同様に、より高い運動エネルギーの運動状態は、より低い運動エネルギーの運動状態の対応する運動量を超える運動量を有する運動状態であり得る。加速エネルギーは、電気モータを回転運動状態から静止状態に減速させるときに放散、回復、または解放のうちの少なくとも1つである加速エネルギーを含むことができる。代替的または追加的に、加速エネルギーは、電気モータを静止状態から回転状態に加速させるために必要な加速エネルギーを含んでもよい。
【0047】
電気モータを回転運動状態から静止状態に減速させるときに放散、回復、または解放のうちの少なくとも1つである加速エネルギーを使用するという考えは、いくつかの利点を提供する。したがって、具体的には、電気モータを監視するために明確に定義された試験条件を確立する必要はない。したがって、電気モータの減速は、電気モータによって駆動される操作システムまたはコンベヤの動きを停止させるときなど、検査室システムの毎日の使用において、典型的には標準化された回転速度から0まで発生することが多い。したがって、例えば、監視装置は、電気モータが所定の回転運動状態から0、すなわち静止状態に減速される運動状態を待つように構成することができ、試験条件を提供する必要なしに、その減速中に放散、回復、または解放のうちの少なくとも1つである加速エネルギーを決定することができる。したがって、監視装置は、具体的には、特定の回転運動状態などの回転運動状態から静止状態への減速のための信号が提供されるかどうかを決定することなどによって、測定のための条件が満たされているかどうかを決定するように構成することができ、次いで、条件が満たされていることが判明すると、その減速中に放散、回復、または解放のうちの少なくとも1つである加速エネルギーの決定を開始することができる。したがって、監視装置は、専用の測定または監視条件を確立する必要なく、検査室システムの毎日の使用中に動作条件を利用することができる。
【0048】
さらに、受信ユニットは、測定抵抗器、測定コンデンサ、およびエネルギーバッファのうちの少なくとも1つを備えることができる。測定抵抗器および/または測定コンデンサは、電気モータを加速させるために必要な少なくとも1つの加速エネルギー量を決定および/または測定し、それによって加速エネルギーに関する情報を決定するために使用されるように構成することができる。エネルギーバッファは、電気モータを減速させるときに放散、回復、または解放される加速エネルギーなど、少なくとも1つの量の加速エネルギーを蓄積するように構成されてもよい。受信ユニットは、測定抵抗器、測定コンデンサ、またはエネルギーバッファのそれぞれにおける電圧、電流、または電力のうちの少なくとも1つを監視するように構成された少なくとも1つの測定装置をさらに備えることができる。測定装置によって監視される電圧、電流、および/または電力は、加速エネルギー量を示すことができ、したがって、加速エネルギー量に関する情報の項目として、および/または加速エネルギー量に関する情報を決定するために、直接的または間接的に使用することができる。
【0049】
測定装置は、時間の関数として電圧、電流または電力をそれぞれ示す少なくとも1つの測定信号を生成するように構成されてもよい。測定装置は、測定信号を評価ユニットに提供するように構成されてもよい。監視装置は、具体的には少なくとも1つの測定信号、具体的には少なくとも1つのローパスフィルタをフィルタリングするための少なくとも1つのフィルタリング装置をさらに備えることができる。フィルタリング装置は、測定装置と評価ユニットとの間に配置され、測定装置から評価ユニットに提供される測定信号をフィルタリングすることができる。測定信号は、直接的または間接的に、加速エネルギー量に関する少なくとも1項目の情報として用いられてもよい。例えば、加速エネルギー量に関する情報は、測定信号、具体的には、経時的に積分された電圧、電流または電力のうちの1つまたは複数を含むことができる。測定信号の積分は、計算によって実行されてもよく、あるいは、電子積分器またはコンデンサなどの適切な電子回路を使用して電子的に実行されてもよい。評価ユニットは、測定信号を評価し、それによって電気モータの摩耗状態に関する情報の項目を決定するように構成されてもよい。
【0050】
評価ユニットは、上述したように、摩耗状態に関する少なくとも1項目の情報を決定するための少なくとも1つのプロセッサを備えることができる。本明細書で使用される「プロセッサ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、コンピュータまたはシステムの基本的な動作を実行するように構成された任意の論理回路、および/または一般に、計算または論理動作を実行するように構成された装置を指すことができる。特に、プロセッサは、コンピュータまたはシステムを駆動する基本的な命令を処理するように構成されることができる。例として、プロセッサは、少なくとも1つの算術論理演算装置(ALU)、数値演算コプロセッサまたは数値コプロセッサなどの少なくとも1つの浮動小数点ユニット(FPU)、複数のレジスタ、具体的にはALUにオペランドを供給し、演算結果を記憶するように構成されるレジスタ、L1およびL2キャッシュメモリなどのメモリを含むことができる。特に、プロセッサは、マルチコアプロセッサとすることができる。具体的には、プロセッサは、中央処理装置(CPU)とすることができるか、またはそれを含むことができる。追加的または代替的に、プロセッサは、マイクロプロセッサとすることができるか、またはマイクロプロセッサを含むことができ、したがって、具体的には、プロセッサの要素は、1つの単一集積回路(IC)チップに含まれることができる。追加的または代替的に、プロセッサは、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)および/または1つまたは複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)および/または1つまたは複数のテンソル処理ユニット(TPU)および/または専用機械学習最適化チップなどの1つまたは複数のチップとすることができるか、またはそれを備えることができる。
【0051】
評価ユニットは、摩耗状態に関する少なくとも1項目の情報を決定するために、例えばプロセッサのソフトウェアプログラミングによるハードウェア構成および/またはハードウェアのソフトウェアプログラミングなどによって構成されることができる。評価ユニットは、摩耗状態に関する情報の項目に基づいて少なくとも1つの推奨行動を決定するようにさらに構成されてもよい。一例として、推奨動作は、操作個人および/または保守個人など、電気モータおよび/または検査室システムのユーザによって実行される動作であってもよい。一例として、推奨動作は、電気モータの摩耗状態に関する少なくとも1項目の情報を利用するアルゴリズムに基づいて決定されてもよい。簡単な例として、例えば、摩耗状態に関する情報を推奨動作に変換するために、ルックアップテーブルを使用することができる。評価ユニットは、推奨行動を出力するようにさらに構成されてもよい。少なくとも1つの推奨動作は、電気モータによる動作を継続することと、電気モータによる動作を中断することと、少なくとも1つのメンテナンスステップを実行することと、前記電気モータを交換することと、少なくとも1つの被駆動部、具体的には少なくとも1つの歯車または少なくとも1つの他の被駆動部を交換または維持することと、のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0052】
評価ユニットは、摩耗状態に関する情報の項目に基づいて、少なくとも1つの警告状態が与えられたかどうかを決定するようにさらに構成されてもよい。警告状態は、一例として、近い将来の即時の動作および/または動作を必要とする電気モータの実質的なおよび/または危険な摩耗状態を示すことができる。評価ユニットは、警告状態が与えられた場合、警告を出力するように構成されてもよい。具体的には、評価ユニットは、少なくとも1つのユーザインターフェースを介して警告を出力するように構成されてもよい。ユーザインターフェースは、少なくとも1つのディスプレイ、触覚手段および/または可聴手段などを介して、視覚的手段のうちの1つまたは複数によって、監視装置のユーザ、特に検査室システムのユーザに警告を提供するように構成されてもよい。
【0053】
本発明のさらなる態様では、少なくとも1つの検査室タスクを実行するための検査室システムが開示される。検査室システムは、上記で開示された実施形態のいずれか1つによる、および/または以下でさらに詳細に開示される実施形態のいずれか1つによるなど、本発明にかかる少なくとも1つの電気モータおよびさらに少なくとも1つの監視装置を含む。
【0054】
本明細書で使用される「検査室システム」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。本明細書で使用される「システム」という用語は、一般に、少なくとも1つの共通のタスクを実行するために相互作用するように構成された相互作用する構成要素の任意のセットを指すことができる。具体的には、検査室システムの構成要素は、少なくとも1つの検査室タスクを実行するために互いに相互作用することができる。少なくとも2つの構成要素は、独立して処理されてもよく、または結合もしくは接続可能であってもよい。検査室システムは、具体的には、複数のサンプル、具体的には多数のサンプルを自動的または半自動的に処理するように構成された自動化された検査室システムであってもよく、またはそれを含んでもよい。一例として、検査室システムは、自動化された検査室分析器であってもよく、または自動化された検査室分析器を含んでもよい。検査室システムは、具体的には、臨床検査室または法医学検査室などの医療検査室の分野、および/または分析検査室などの化学検査室の分野で使用することができる。
【0055】
本発明の文脈でも使用することができる検査室システムの例示的な実施形態については、本明細書で説明するように変更して、例えば国際公開第2015/011274号パンフレット、欧州特許出願公開第3056320号明細書または欧州特許出願公開第3412603号明細書を参照することができる。しかしながら、他の検査室システムが使用されても良い。
【0056】
本明細書で使用される「検査室タスク」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、特に、限定されないが、医学および/または化学検査室の分野で行われるタスクを指し得る。例えば、検査室タスクは、移動サンプル、サンプルの保管、サンプルの分析、分析用サンプルの調製、サンプルへの試薬の添加、サンプルへの溶媒の添加、サンプルの混合、サンプルの分配、サンプルの加熱、サンプルの冷却、およびサンプルの分割のうちの1つまたは複数を含み得る。サンプルは、生物学的サンプルおよび/または体液などの医療検査室で、および/または化学物質、化合物および/または試薬などの化学検査室で取り扱われる物質の少なくとも1つのアリコートを含み得る。さらに、検査室タスクは、検査室システムの異なる場所で実行されてもよい。したがって、検査室タスクはまた、1つまたは複数のサンプルを検査室システム内のある場所から検査室システム内の別の場所に移送、移動、転送および/または搬送することを含むことができる。検査室システムは、サンプルの搬送、移動、移送および/または搬送のために電気モータを使用することを特に含むことができる。
【0057】
したがって、少なくとも1つの電気モータおよび少なくとも1つの監視装置に加えて、検査室システムは、1つまたは複数のさらなる構成要素をさらに備えることができる。一例として、検査室システムは、サンプルを移動させること、サンプルを保存すること、サンプルを分析すること、分析のためのサンプルを調製すること、サンプルに試薬を添加すること、サンプルに溶媒を添加すること、サンプルを混合すること、サンプルを分配すること、加熱サンプル、冷却サンプル、サンプルを分割すること、サンプルを保存すること、サンプルを搬送すること、サンプルを移動させること、サンプルを移送すること、サンプルを搬送することのうちの少なくとも1つのために構成された1つまたは複数の装置を備えることができる。そのような目的のための装置は、一般に当業者に知られている。少なくとも1つの電気モータは、サンプルを搬送または移動させるための1つまたは複数の装置、例えば、1つまたは複数のサンプル移送ステージおよび/または1つまたは複数の回転ステージなどのこれらの装置のうちの1つまたは複数の一部を形成することができる。他の例も実現可能である。
【0058】
検査室システムのさらなる定義および選択肢については、上記の実施形態のうちの1つまたは複数、および/または以下にさらに詳細に説明する実施形態のうちのいずれか1つにかかる監視装置の説明を参照することができる。
【0059】
検査室システムは、少なくとも1つの電子スイッチング素子、具体的には少なくとも1つのHブリッジをさらに備えてもよい。電子スイッチング素子は、電気モータに印加される電圧の極性を反転させること、および電気モータを負方向に加速させることの少なくとも一方のために構成されてもよい。本明細書で使用される「Hブリッジ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、限定するものではないが、負荷に印加される電圧の極性を反転させるように構成された電子回路を特に指すことができる。具体的には、Hブリッジは、電気モータに印加される電圧の極性を反転させるように構成されてもよい。Hブリッジは、1つの状態では電圧または電流などの電子信号の伝送を可能にし、別の状態では電子信号を遮断するように構成することができる1つまたは複数の電子スイッチ、トランジスタまたは任意の他の電子部品を備えることができる。具体的には、Hブリッジは、並列に接続された少なくとも2つの電気分岐を含むことができ、各分岐は、スイッチ間にノードを有する直列セットアップの少なくとも2つのスイッチを含み、電気モータは、分岐のノードをブリッジする接続部に配置される。したがって、電圧が分岐に印加されるときに電気モータに印加される電圧の極性は、少なくとも4つのスイッチのスイッチング状態の組み合わせに依存し得る。Hブリッジの1つまたは複数の電子部品は、それらの状態が変更可能であり得るように能動的および/または受動的に制御されるように構成され得る。Hブリッジは、少なくとも2つの構成状態を有し得る。例えば、第1の構成状態では、Hブリッジは、電気モータが正方向に加速されるように電気モータに電圧を印加することができる。電気モータに印加される電圧の極性は、Hブリッジに含まれる構成要素の状態を変更することによって反転することができる。第2の構成状態では、Hブリッジは、電気モータが負方向に加速されるように電気モータに電圧を印加することができる。
【0060】
さらに、検査室システムは、具体的には少なくとも1つの電子スイッチング素子を介して電気モータの機能を制御するための少なくとも1つのコントローラ、具体的には少なくとも1つのマイクロコントローラを備えることができる。本明細書で使用される「コントローラ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、電気モータの機能を制御するために、特にハードウェアおよび/またはソフトウェアプログラミングによって構成された電子装置を指し得る。コントローラは、具体的には、上述したような1つまたは複数のプロセッサを備えることができる。コントローラは、例えば監視装置の受信ユニットまたは評価ユニットの1つまたは複数から、他の構成要素から1つまたは複数の信号を受信することによって、および/または電子スイッチング素子、特にHブリッジなどの検査室システムの他の構成要素に1つまたは複数の信号を提供することによって、検査室システムの他の構成要素と相互作用するように構成されてもよい。コントローラは、電子スイッチング素子、具体的にはHブリッジを制御し、それによって電気モータに印加される電圧を制御するように構成されてもよい。監視装置の評価ユニットは、少なくとも部分的にコントローラに含まれてもよい。
【0061】
検査室システムは、電気モータに電気エネルギーを供給するための少なくとも1つのエネルギー源をさらに備えてもよい。一例として、エネルギー源は、外部電源に接続可能な電源であってもよく、またはそれを含んでもよく、および/または電池および/または蓄電池などの内部エネルギー源であってもよく、またはそれを含んでもよい。
【0062】
本発明のさらなる態様では、電気モータを監視する方法、具体的には検査室システムが開示される。本方法は、具体的には所与の順序で実行されることができる以下のステップを含む。しかしながら、異なる順序も可能であることに留意するものとする。さらに、方法ステップの1つまたは複数を1回または繰り返し実行することも可能である。さらに、方法ステップの2つ以上を同時にまたは適時に重複して実行することが可能である。本方法は、記載されていないさらなる方法ステップを含んでもよい。
【0063】
本方法は、
i)具体的には監視装置の少なくとも1つの受信ユニットにおいて、少なくとも1つの第1の運動状態から少なくとも1つの第2の運動状態まで電気モータを加速させるのに必要な少なくとも1つの加速エネルギー量に関する情報を受信することと、
ii)前記加速エネルギー量に関する前記情報を評価し、具体的には監視装置の少なくとも1つの評価ユニットにおいて、前記電気モータの摩耗状態に関する少なくとも1項目の情報を決定することと、
を含む。
【0064】
電気モータを監視する方法の定義および選択肢については、上記の実施形態のうちの1つまたは複数における、および/または以下でさらに詳細に説明される実施形態のうちのいずれか1つによる監視装置の説明を参照することができる。
【0065】
本方法は、少なくとも部分的にコンピュータ実装されてもよく、具体的には、ステップii)は、少なくとも部分的にコンピュータ実装されてもよい。本明細書で使用される「少なくとも部分的にコンピュータ実装される」という用語は、特に、限定するものではないが、方法が完全にコンピュータ実装もしくはコンピュータ制御される実施形態、または方法ステップの一部、特にステップii)で実行される動作の全てもしくはステップii)で実行される動作の一部がコンピュータ実装される実施形態を指すことができる。例えば、加速エネルギー量に関する情報を評価すること、および電気モータの摩耗状態に関する情報の項目を決定することの一方または両方がコンピュータ実装されてもよい。
【0066】
本方法は、上記で開示された実施形態のいずれか1つによる、および/または以下でさらに詳細に開示される実施形態のいずれか1つによるなど、本発明にかかる監視装置を使用することを特に含むことができる。
【0067】
さらに、方法のステップii)は、加速エネルギー量を少なくとも1つの基準値と比較することを含むことができる。具体的には、ステップii)は、加速エネルギー量と基準値との商、または加速エネルギー量と基準値との差のうちの少なくとも1つを少なくとも1つの閾値と比較することを含むことができる。閾値は、電気モータが新品であったときに少なくとも1つの第1の運動状態から少なくとも1つの初期運動状態まで電気モータを加速させるのに必要な初期加速エネルギー量の20%~90%の値、具体的には初期加速エネルギー量の50%~80%の値、より具体的には初期加速エネルギー量の70%の値であってもよい。したがって、一例として、最初に、加速エネルギーの初期量が決定されてもよく、または記憶されてもよい。さらに、後の時点で、加速エネルギーの現在値を決定することができる。電流値と初期値との商を形成し、それによって割合を導出することができ、一例として、摩耗状態に関する少なくとも1項目の情報を決定するために、割合を1つまたは複数の割合閾値と比較することができる。したがって、一例として、商が70%の値に達した場合、摩耗状態に関する情報は、電気モータがメンテナンスを必要とするか、または交換が必要であることを示す値に設定されてもよい。他の例も実現可能である。
【0068】
加速エネルギーの初期量は、第1の初期運動中に電気モータを加速させるために必要な加速エネルギー量であってもよい。例えば、電気モータが新たに設置された場合、電気モータは、第1の運動状態から最初の運動状態に加速されてもよい。あるいは、初期加速エネルギー量は、所定のランイン期間後に電気モータを加速させるために必要な加速エネルギー量であってもよい。加速エネルギーの初期量を決定するための初期時点を定義する他の例も可能である。したがって、一般に、初期運動状態は、電気モータの第1の初期運動の第2の運動状態を指すことができる。電気モータを最初に加速させるために必要な加速エネルギー量を決定し、加速エネルギーの初期量として使用することができる。
【0069】
基準値は、所定の基準値と、電気モータが新しいときに少なくとも1つの第1の運動状態から少なくとも1つの初期運動状態に電気モータを加速させるのに必要な加速エネルギーの初期量を使用して決定された基準値と、からなる群から選択される基準値であってもよい。具体的には、所定の基準値は、例えば電気モータのタイプおよび/または特性に応じて、固定の予め設定された基準値であってもよく、またはそれを含んでもよい。加速エネルギーの初期量を使用して決定される基準値は、電気モータについて個別に決定される基準値を含むことができる。
【0070】
さらに、上述したように、方法ステップii)は、加速エネルギー量に関する情報を評価し、それによって摩耗状態に関する少なくとも1項目の情報を決定するためのアルゴリズムを使用することを含むことができる。上記で概説したように、従来のアルゴリズム、ルックアップテーブルの使用、または人工知能の使用を含む、様々なタイプのアルゴリズムを使用することができる。具体的には、方法ステップii)は、訓練された状態の人工ニューラルネットワークなどの少なくとも1つの訓練されたモデルを使用することを含むことができる。本明細書で使用される「訓練済モデル」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は具体的には、限定はしないが、訓練データとも呼ばれる少なくとも1つの訓練データセットで訓練された電気モータのメンテナンスを予測するためのモデルを指すことができる。特に、訓練されたモデルは、専門家によって分類された訓練データセットで訓練することができる。例えば、電気モータを監視する方法を実行することによって、加速エネルギー量、電気モータの摩耗状態に関する情報の項目、閾値、および推奨動作のうちの1つまたは複数を記録することによってトレーニングデータを取得することができる。したがって、複数の電気モータについて、加速エネルギー量に関する情報の項目を決定することができ、さらに、電気モータの摩耗状態を、例えば目視検査および/または他の手段によって決定することができる。その結果、人工ニューラルネットワークなどのモデルを訓練するために使用することができる訓練データのセットを生成することができる。さらに、訓練データは、訓練データが記録された時点を識別するタイムスタンプを含むことができる。訓練されたモデルは、訓練データに基づいて、具体的にはタイムスタンプに基づいて、加速度エネルギーの量と基準値との商および/または差が閾値よりも低いと予想される将来の時点を予測するように構成され得る。したがって、トレーニング済みモデルは、電気モータの摩耗状態に関する情報の項目が、欠陥のある電気モータを示すと予想される将来の時点を予測するように構成することができる。さらに、専門家によってこれらの予測を、例えば正しいまたは誤っていると分類することが可能であり得る。訓練されたモデルは、専門家によって実行された分類にしたがって予測を適合させるように構成することができる。
【0071】
本発明のさらなる態様では、少なくとも1つの検査室タスクを実行するための検査室システムを動作させる方法が開示される。本方法は、具体的には所与の順序で実行されることができる以下のステップを含む。しかしながら、異なる順序も可能であることに留意されたい。さらに、方法ステップの1つまたは複数を1回または繰り返し実行することも可能である。さらに、方法ステップの2つ以上を同時にまたは適時に重複して実行することが可能である。本方法は、記載されていないさらなる方法ステップを含んでもよい。
【0072】
本方法は、
I.電気モータを用いて少なくとも1つの物体を操作することと、
II.上記で開示された実施形態のいずれか1つによる、および/または以下でさらに詳細に開示される実施形態のいずれか1つによるなど、本発明にかかる電気モータを監視する方法を使用することによって電気モータを監視することと、
を含む。
【0073】
ステップI.は、具体的には、検査室システムの日常動作の一部を形成することができる。追加的または代替的に、ステップI.はまた、電気モータを試験するための専用ルーチンなどの特定の保守または試験ルーチン中に実行されてもよい。したがって、ステップII.における電気モータの監視は、電気モータの日常動作中に実行されてもよく、および/または保守または試験ルーチンなどの別個のルーチン中に実行されてもよく、第1のケースでは、電気モータは検査室タスクのために使用されてもよく、第2のケースでは、電気モータは試験目的のために動作されてもよい。他の選択肢も実現可能である。
【0074】
電気モータによって操作される少なくとも1つの物体は、具体的には、少なくとも1つのサンプルおよび検査室システムの少なくとも1つの他の構成要素からなる群から選択されてもよい。したがって、一例として、電気モータによって操作される少なくとも1つの物体は、少なくとも1つのサンプル、例えばサンプルを収容する少なくとも1つのサンプル容器、例えば少なくとも1つのサンプル管であり得るか、またはそれを含み得る。追加的または代替的に、電気モータによって操作される少なくとも1つの物体はまた、少なくとも1つの直線ステージおよび/または少なくとも1つの回転ステージなどの検査室システムの別の構成要素を含んでもよい。他の目的も実現可能である。具体的には、方法全体または少なくともステップII.は、所定の期間内に少なくとも1回実行されてもよい。例えば、監視は、1日、1週間、1ヶ月、または任意の他の期間内など、所定のまたは可変の時間スパン内に連続的に、断続的に、または少なくとも1回実行されてもよい。
【0075】
さらなる態様では、上記に開示された実施形態のいずれか1つによる、および/または下記にさらに詳細に開示された実施形態のいずれか1つによるなど、本発明にかかる監視装置の評価ユニットによってプログラムが実行されると、上記に開示された実施形態のいずれか1つによる、および/または下記にさらに詳細に開示された実施形態のいずれか1つによるなど、本発明にかかる電気モータを監視する方法の少なくともステップii)を評価ユニットに実行させる命令を含むコンピュータプログラムが提案される。
【0076】
同様に、上記で開示された実施形態のいずれか1つによる、および/または以下でさらに詳細に開示される実施形態のいずれか1つによるなど、本発明にかかる監視装置の評価ユニットによってプログラムが実行されると、上記で開示された実施形態のいずれか1つによる、および/または以下でさらに詳細に開示される実施形態のいずれか1つによるなど、本発明にかかる電気モータを監視する方法の少なくともステップii)を評価ユニットに実行させる命令を含むコンピュータ可読記憶媒体が提案される。
【0077】
本明細書で使用される場合、「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、具体的には、コンピュータ実行可能命令が記憶されたハードウェア記憶媒体などの非一時的データ記憶手段を指すことができる。コンピュータ可読データキャリアまたは記憶媒体は、具体的には、ランダムアクセスメモリ(RAM)および/または読み出し専用メモリ(ROM)などの記憶媒体とすることができるか、またはそれを含むことができる。
【0078】
さらなる態様では、上記で開示された実施形態のいずれか1つによる、および/または以下でさらに詳細に開示される実施形態のいずれか1つによるなど、本発明にかかる検査室システムによってプログラムが実行されると、上記で開示された実施形態のいずれか1つによる、および/または以下でさらに詳細に開示される実施形態のいずれか1つによるなど、本発明にかかる検査室システムを動作させる方法の少なくともステップII)を検査室システムに実行させる命令を含むコンピュータプログラムが提案される。
【0079】
同様に、上記で開示された実施形態のいずれか1つによる、および/または以下でさらに詳細に開示される実施形態のいずれか1つによるなど、本発明にかかる検査室システムによってプログラムが実行されると、上記で開示された実施形態のいずれか1つによる、および/または以下でさらに詳細に開示される実施形態のいずれか1つによるなど、本発明にかかる検査室システムを動作させる方法の少なくともステップII)を検査室システムに実行させる命令を含むコンピュータ可読記憶媒体が提案される。
【0080】
本発明にかかる装置、システム、および方法は、同様の種類の既知の方法および装置を超える多数の利点を提供する。具体的には、本発明にかかる装置および方法は、電気モータ、具体的には電気モータの動作状態を自動的に監視するための手段を提供することができる。したがって、巻線の破損、巻線短絡、および/または他の有害な動作条件による、整流子および/またはブラシなどの電気モータの構成要素の摩耗による電気モータの誤動作を検出することが可能であり得る。さらに、装置および方法は、特にオペレータまたはユーザが電気モータの摩耗状態を確認する必要なしに、電気モータの自動監視を可能にすることができる。
【0081】
さらに、本発明にかかる装置および方法は、電気モータの予測メンテナンスを可能にすることができる。例えば、電気モータを変更しなければならない将来の時点を評価することが可能であり得る。さらに、装置および方法は、監視装置が検査室システム内の電気モータとは別個に配置され得るので、電気モータの間接的な監視のための手段を提供することができる。したがって、本発明にかかる装置および方法を使用することにより、電気モータの摩耗状態をチェックするときに電気モータを分解する必要性を克服することができる。さらに、電気モータの監視は、検査室システムの動作中に実行されてもよい。追加的または代替的に、電気モータの監視は、定期的または不定期などのメンテナンスルーチン中に、メンテナンス担当者が摩耗状態をチェックすることなどによって、メンテナンス手順中に実行されてもよい。さらに追加的または代替的に、電気モータの監視は、検査室システムの誤動作が発生した場合などのトラブルシューティング工程中に実行されてもよい。
【0082】
本発明にかかる装置および方法は、電気モータ、特に検査室システムの監視を可能にすることができ、それによって、電気モータを利用する検査室システムのステージおよび/または推進システムなどの運動システムは、本質的にフェイルセーフの方法で動作され得る。一般に、既知の方法および装置は、電気モータを減速させるのに必要な加速エネルギー量を放散させる。逆に、本明細書に記載の装置および方法は、加速エネルギー量に関する情報を決定し、加速エネルギー量に関する情報を評価するために、この加速エネルギーを利用するように構成されてもよい。電気モータが検査室システムに新たに設置されると、電気モータは制御された方法で加速および減速され得る。この初期運動の加速エネルギー量を決定し、基準値として記憶することができる。測定信号は、ワットで測定された電気モータの運動の出力を含むことができる。しかしながら、加速度エネルギーの量は、時間の関数として測定信号を監視することによって、この測定値から決定されてもよい。加速エネルギーの初期量を基準値として決定した後、加速エネルギー量の受信は、1日、1週間、2週間および/または1ヶ月以内に少なくとも1回など、定期的に実行されてもよい。加速エネルギー量に関する情報を評価し、電気モータの摩耗状態に関する情報の項目を決定することは、電気モータの動作中、特に検査室システムの動作中に実行することができる。コントローラなどの検査室システムの中央演算装置は、電気モータを監視する方法を実行するタイミングを決定することができる。監視装置の評価ユニットは、摩耗の増加または性能の低下に起因して変更されるべきときを各電気モータについて個別に決定することができる。
【0083】
電気モータは、移動されるべき機構に作用するトルクを生成することができる。電気モータは、同じ動作パラメータで動作するときに等しいトルクを生成することができる。電気モータによって動かされる機構は、特定の質量を有することができる。生成されたトルクを機構に印加することにより、電気モータは、所定の時間間隔内に所与の運動状態まで機構を加速させることができる。電気モータが適切な状態にあるとき、運動状態は、反復加速時に同じであってもよい。電気モータを減速させることによって、加速エネルギー量を放散させることができ、監視装置によって決定することができる。電気モータが適切な状態にある場合、加速エネルギー量は基準値に等しくてもよい。加速エネルギーの初期量は、新しい電気モータに対して最大とすることができ、したがって、基準値として使用することができる。基準値は、検査室システムの電気モータを交換するときに再決定されてもよい。電気モータの監視方法は、運動軸の初期化後に行われてもよい。本方法は、所定のサイクルに基づいて繰り返し実行されてもよい。具体的には、1日、1週間、1ヶ月等の間に少なくとも1回繰り返してもよい。電気モータを監視する方法を用いて決定された加速エネルギー量は、例えば監視装置の評価ユニットに記憶されてもよく、基準値と比較されてもよい。電気モータが適切な状態にある場合、加速エネルギー量は基準値と異ならない場合がある。しかしながら、電気モータは、電気モータの構成要素の経年劣化および/または摩耗効果のために、その初期トルクを提供することができない場合がある。したがって、モータは、もはやその加速エネルギーの初期量を提供することができない可能性がある。これらの効果は、電気モータによって提供される加速エネルギー量を減少させることができる。監視装置は、加速エネルギー量が基準値よりも低いかどうか、例えば加速エネルギーの初期量の70%よりも低いかどうかを決定するように構成することができ、そうである場合には、推奨動作、例えば電気モータを変更または維持する必要があることを示す推奨動作を出力することができる。
【0084】
要約すると、さらに可能な実施形態を除外することなく、以下の実施形態が想定されることができる。
【0085】
実施形態1:電気モータ、具体的には検査室システムを監視するための監視装置であって、
A.前記電気モータを少なくとも1つの第1の運動状態から少なくとも1つの第2の運動状態まで加速させるのに必要な少なくとも1つの加速エネルギー量に関する情報を受信するように構成された少なくとも1つの受信ユニットと、
B.前記加速エネルギー量に関する情報を評価し、前記電気モータの摩耗状態に関する少なくとも1項目の情報を決定するように構成された少なくとも1つの評価ユニットと、
を備える。
【0086】
実施形態2:加速エネルギーは、より低い運動エネルギーの第1の運動状態からより高い運動エネルギーの第2の運動状態に電気モータを正方向に加速させるために必要な正の加速エネルギーと、より高い運動エネルギーの第1の運動状態からより低い運動エネルギーの第2の運動状態に電気モータを負方向に加速させるために必要な負の加速エネルギーと、からなる群から選択される、実施形態1に記載の監視装置。
【0087】
実施形態3:加速エネルギーは、電気モータを回転運動状態から静止状態に減速させるときに放散、回復、または解放のうちの少なくとも1つである加速エネルギーを含む、実施形態1または2に記載の監視装置。
【0088】
実施形態4:受信ユニットが、測定抵抗器、測定コンデンサ、およびエネルギーバッファのうちの少なくとも1つを備える、実施形態1~3のいずれか1つに記載の監視装置。
【0089】
実施形態5:受信ユニットが、測定抵抗器、測定コンデンサ、またはエネルギーバッファのそれぞれにおける電圧、電流、または電力のうちの少なくとも1つを監視するように構成された少なくとも1つの測定装置をさらに備える、実施形態4に記載の監視装置。
【0090】
実施形態6:測定装置は、時間の関数として電圧、電流、または電力をそれぞれ示す少なくとも1つの測定信号を生成するように構成される、実施形態5に記載の監視装置。
【0091】
実施形態7:監視装置は、具体的には少なくとも1つの測定信号をフィルタリングするための少なくとも1つのフィルタリング装置、具体的には少なくとも1つのローパスフィルタをさらに備える、実施形態6に記載の監視装置。
【0092】
実施形態8:前記評価ユニットが、前記摩耗状態に関する前記少なくとも1項目の情報を決定するための少なくとも1つのプロセッサをさらに備える、実施形態1~7のいずれか1つに記載の監視装置。
【0093】
実施形態9:前記評価ユニットは、前記摩耗状態に関する前記情報の項目に基づいて、少なくとも1つの推奨動作を決定するようにさらに構成される、実施形態1~8のいずれか1つに記載の監視装置。
【0094】
実施形態10:前記評価ユニットは、前記推奨行動を出力するようにさらに構成される、実施形態9に記載の監視装置。
【0095】
実施形態11:前記少なくとも1つの推奨動作は、前記電気モータによる動作を継続することと、前記電気モータによる動作を中断することと、少なくとも1つのメンテナンスステップを実行することと、前記電気モータを交換することと、少なくとも1つの被駆動部、具体的には少なくとも1つの歯車または少なくとも1つの他の被駆動部を交換または維持することと、のうちの少なくとも1つを含む、実施形態9または10に記載の監視装置。
【0096】
実施形態12:前記評価ユニットは、前記摩耗状態に関する前記情報の項目に基づいて、少なくとも1つの警告状態が与えられたかどうかを決定するようにさらに構成されている、実施形態1~11のいずれか1つに記載の監視装置。
【0097】
実施形態13:前記評価ユニットは、前記警告状態が与えられると、警告を出力するように構成される、実施形態12に記載の監視装置。
【0098】
実施形態14:少なくとも1つの電気モータを備え、さらに、先行する実施形態のいずれか1つに記載の監視装置を少なくとも1つ備える、少なくとも1つの検査室タスクを実行するための検査室システム。
【0099】
実施形態15:検査室システムは、少なくとも1つの電子スイッチング素子、具体的には少なくとも1つのHブリッジをさらに備え、電子スイッチング素子は、電気モータに印加される電圧の極性を反転させること、および電気モータを負方向に加速させることのうちの少なくとも1つのために構成される、実施形態14に記載の検査室システム。
【0100】
実施形態16:電気モータの機能を制御するための少なくとも1つのコントローラ、具体的には少なくとも1つのマイクロコントローラをさらに備える、実施形態14または15に記載の検査室システム。
【0101】
実施形態17:監視装置の評価ユニットが、少なくとも部分的にコントローラに含まれる、実施形態16に記載の検査室システム。
【0102】
実施形態18:電気モータに電気エネルギーを供給するための少なくとも1つのエネルギー源をさらに含む、実施形態14~17のいずれか1つに記載の検査室システム。
【0103】
実施形態19:特に検査室システムの電気モータを監視する方法であって、
i)具体的には監視装置の少なくとも1つの受信ユニットにおいて、少なくとも1つの第1の運動状態から少なくとも1つの第2の運動状態まで電気モータを加速させるのに必要な少なくとも1つの加速エネルギー量に関する情報を受信することと、
ii)前記加速エネルギー量に関する前記情報を評価し、具体的には監視装置の少なくとも1つの評価ユニットにおいて、前記電気モータの摩耗状態に関する少なくとも1項目の情報を決定することと、
を含む。
【0104】
実施形態20:方法が、少なくとも部分的にコンピュータ実装され、具体的には、ステップii)が、少なくとも部分的にコンピュータ実装される、実施形態19に記載の方法。
【0105】
実施形態21:監視装置を参照する前述の実施形態のいずれか1つによる監視装置を使用することを含む、実施形態19または20による方法。
【0106】
実施形態22:ステップii)が、加速エネルギー量を少なくとも1つの基準値と比較することを含む、実施形態19~21のいずれか1つに記載の方法。
【0107】
実施形態23:ステップii)が、加速エネルギー量と基準値との商、または加速エネルギー量と基準値との差のうちの少なくとも1つを少なくとも1つの閾値と比較することを含む、実施形態22に記載の方法。
【0108】
実施形態24:閾値が、電気モータが新品であったときに少なくとも1つの第1の運動状態から少なくとも1つの初期運動状態に電気モータを加速させるために必要な初期加速エネルギー量の20%から90%に相当する値、具体的には初期加速エネルギー量の50%から80%に相当する値、より具体的には初期加速エネルギー量の70%に相当する値である、実施形態23に記載の方法。
【0109】
実施形態25:基準値が、所定の基準値と、前記電気モータが新品であったときに前記電気モータを少なくとも1つの第1の運動状態から少なくとも1つの初期運動状態に加速させるのに必要な加速エネルギーの初期量を使用して決定された基準値と、からなる群から選択される基準値である、実施形態22~24のいずれか1つに記載の方法。
【0110】
実施形態26:ステップii)が、少なくとも1つの訓練されたモデルを使用することを含む、実施形態19~25のいずれか1つに記載の方法。
【0111】
実施形態27:少なくとも1つの検査室タスクを実行するための検査室システムを動作させる方法であって、
I.電気モータを用いて少なくとも1つの物体を操作することと、
II.前述の方法の実施形態のいずれか1つによる方法を用いて電気モータを監視することと、
を含む、方法。
【0112】
実施形態28:プログラムが、監視装置を参照する前述の実施形態のいずれか1つによる監視装置の評価ユニットによって実行されると、評価ユニットに、電気モータを監視する方法を参照する前述の実施形態のいずれか1つによる電気モータを監視する方法の少なくともステップii)を実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【0113】
実施形態29:監視装置を参照する前述の実施形態のいずれか1つによる監視装置の評価ユニットによってプログラムが実行されると、評価ユニットに、電気モータを監視する方法を参照する前述の実施形態のいずれか1つによる電気モータを監視する方法の少なくともステップii)を実行させる命令を含むコンピュータ可読記憶媒体。
【0114】
実施形態30:検査室システムを参照する前述の実施形態のいずれか1つによる検査室システムによってプログラムが実行されると、検査室システムを動作させる方法を参照する前述の実施形態のいずれか1つによる検査室システムを動作させる方法の少なくともステップII)を検査室システムに実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【0115】
実施形態31:検査室システムを参照する前述の実施形態のいずれか1つによる検査室システムによってプログラムが実行されると、検査室システムに、検査室システムを動作させる方法を参照する前述の実施形態のいずれか1つによる検査室システムを動作させる方法の少なくともステップII)を実行させる命令を含むコンピュータ可読記憶媒体。
【図面の簡単な説明】
【0116】
さらなる任意の特徴および実施形態は、好ましくは従属請求項と併せて、実施形態の後続の説明においてより詳細に開示される。ここで、それぞれの任意の特徴は、当業者が理解するように、独立した方式で、ならびに任意の実行可能な組み合わせで実現されてもよい。本発明の範囲は、好ましい実施形態によって限定されない。実施形態は、図に概略的に示されている。ここで、これらの図の同一の参照符号は、同一または機能的に匹敵する要素を指す。
図では以下のとおりである。
【0117】
【
図1】電気モータを監視するための検査室システムおよび監視装置の実施形態を概略図で示す。
【
図3】電気モータを監視する方法の一実施形態のフローチャートを示す。
【
図4】検査室システムを動作させる方法の一実施形態のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0118】
図1は、少なくとも1つの検査室タスクを実行するための検査室システム110、および電気モータ114を監視するための監視装置112の例示的な実施形態を概略図で示す。検査室システム110は、少なくとも1つの電気モータ114および少なくとも1つの監視装置112を備える。監視装置112は、検査室システム110の電気モータ114を監視するように特に構成することができる。しかしながら、監視装置112の他の適用分野も実現可能である。検査室システム110は、
図1には示されていない少なくとも1つの検査室タスクを実行するように構成された1つまたは複数の他の構成要素を含むことができる。例示的な実施形態については、上記の説明および従来技術を参照することができる。
【0119】
監視装置112は、電気モータ114を少なくとも1つの第1の運動状態から少なくとも1つの第2の運動状態まで加速させるのに必要な少なくとも1つの加速エネルギー量に関する情報を受信するように構成された少なくとも1つの受信ユニット116を含む。加速エネルギーは、具体的には、電気モータ114を回転運動状態から静止状態に減速させるときに放散、回復、または解放のうちの少なくとも一方である加速エネルギーを含むことができる。
【0120】
図1の例示的な実施形態では、受信ユニット116は、少なくとも1つの測定抵抗器118を備えることができる。測定抵抗器118は、電気モータ114を加速させるために必要な少なくとも1つの加速エネルギー量を決定および/または測定するために使用されるように構成することができる。しかしながら、測定キャパシタおよび/またはエネルギーバッファなど、加速エネルギー量を決定するための他の装置も実現可能である。受信ユニット116は、測定抵抗器118における電圧、電流、または電力のうちの少なくとも1つを監視するように構成された少なくとも1つの測定装置120をさらに備えることができる。測定装置120によって監視される電圧、電流および/または電力は、加速エネルギー量を示すことができる。
【0121】
測定装置120は、時間の関数として電圧、電流または電力をそれぞれ示す少なくとも1つの測定信号121を生成するように構成されてもよい。少なくとも1つの測定信号120は、加速エネルギー量に関する情報の少なくとも1項目として、および/または加速エネルギー量に関する情報を導出するために、直接的または間接的に使用されてもよい。測定信号121の例示的な実施形態を
図2に示す。したがって、
図2の説明を参照することができる。測定装置120は、測定信号121を評価ユニット122に提供するように構成されてもよい。監視装置112は、特に少なくとも1つの測定信号121をフィルタリングするための少なくとも1つのフィルタリング装置124をさらに備えることができる。したがって、上述したように、加速度エネルギーの量に関する情報の項目はまた、例えばフィルタリングによって測定信号から導出されてもよく、したがって加速度エネルギーの量に関する情報は、フィルタリングされた測定信号に含まれてもよく、またはフィルタリングされた測定信号から導出可能であってもよい。
図1に示すように、フィルタリング装置124は、少なくとも1つのローパスフィルタ126であってもよく、またはそれを含んでもよい。フィルタリング装置124は、測定装置120から評価ユニット122に提供される測定信号121をフィルタリングするために、測定装置120と評価ユニット122との間に配置されてもよい。
【0122】
監視装置112は、加速エネルギー量に関する情報の項目を評価し、電気モータ114の摩耗状態に関する少なくとも1項目の情報を決定するように構成された少なくとも1項目の評価ユニット122をさらに備える。評価ユニット122は、例えば測定信号121から加速エネルギー量の絶対値および/または相対値などのさらなる情報を導出することなどによって、探査エネルギーの量に関する項目をさらに処理するように構成することができる。
【0123】
評価ユニット122は、加速度エネルギーの量に関する情報、例えば測定信号121および/またはそれから導出された少なくとも1項目の情報を使用することによって、摩耗状態に関する少なくとも1項目の情報を決定するための少なくとも1項目のプロセッサ128を備えることができる。評価ユニット122は、例えば、プロセッサ128のソフトウェアプログラミングによって、電気モータ114の摩耗状態に関する少なくとも1項目の情報を決定するように構成される。評価122ユニットは、摩耗状態に関する情報の項目に基づいて少なくとも1つの推奨行動を決定するようにさらに構成することができる。評価ユニット122は、推奨行動を出力するようにさらに構成されてもよい。少なくとも1つの推奨動作は、電気モータ114による動作を継続することと、電気モータ114による動作を中断することと、少なくとも1つのメンテナンスステップを実行することと、電気モータ114を交換することと、少なくとも1つの被駆動部、具体的には少なくとも1つの歯車または少なくとも1つの他の被駆動部を交換または維持することと、のうちの少なくとも1つを含む。
【0124】
また、評価ユニット122は、摩耗状態に関する情報の項目に基づいて、少なくとも1つの警告状態が与えられたか否かを決定するように構成されていてもよい。警告状態は、電気モータ114の実質的なおよび/または危険な摩耗状態を示すことができる。評価ユニット122は、警告状態が与えられると、警告を出力するように構成されてもよい。具体的には、評価ユニット122は、
図1には示されていない少なくとも1つのユーザインターフェースを介して警告を出力するように構成されてもよい。ユーザインターフェースは、少なくとも1つのディスプレイ、触覚手段および/または可聴手段などの視覚的手段のうちの1つまたは複数によって、監視装置112のユーザ、特に検査室システム110のユーザに警告を提供するように構成することができる。
【0125】
図1の例示的な実施形態では、検査室システム110は、少なくとも1つの電子スイッチング素子130をさらに備えてもよい。例えば、電子スイッチング素子130は、少なくとも1つのHブリッジであってもよく、または少なくとも1つのHブリッジ132を含んでもよい。例えば、Hブリッジ132は、少なくとも4つのスイッチを備える電子回路を備えることができる。Hブリッジ132の電子回路は、並列に接続された少なくとも2つの電気分岐を備えてもよく、少なくとも2つのスイッチは、電気分岐の各々において直列に接続されてもよい。さらに、Hブリッジ132の電気回路は、少なくとも2つのスイッチの間にノードを備えてもよく、電気モータ114は、分岐のノードを架橋する接続部に配置されてもよい。したがって、電圧が分岐に印加されるときに電気モータ114に印加される電圧の極性は、少なくとも4つのスイッチのスイッチング状態の組み合わせに依存し得る。Hブリッジ132は、電子スイッチの構成の一状態において、電気モータ114に印加される電圧の極性を切り替えるように構成されてもよい。しかしながら、電子スイッチの構成の別の状態では、Hブリッジ132は、電気モータ114を負方向に加速させるように構成されてもよい。
【0126】
検査室システム110は、電気モータ114に電気エネルギーを供給するための少なくとも1つのエネルギー源134をさらに備えることができる。
図1に見られるように、電子スイッチング素子130は、エネルギー源134と電気モータ114との間に挿入されてもよい。電子スイッチング素子130は、電気モータ114に印加される電圧の極性を反転させること、および電気モータ114を負方向に加速させることの少なくとも一方のために構成されてもよい。
【0127】
さらに、検査室システム110は、少なくとも1つのコントローラ136を備えることができる。例えば、コントローラ136は、少なくとも1つのマイクロコントローラ138であってもよく、またはそれを備えてもよい。コントローラ136は、具体的には少なくとも1つの電子スイッチング素子130を介して、電気モータ114の機能を制御するように構成することができる。一般に、コントローラ136は、例えば、駆動信号、駆動コマンド、または電気制御信号のうちの1つまたは複数を電気モータ114に提供することによって、電気モータ114の動作の少なくとも1つのパラメータを調整および/または決定するように構成することができる。
図1の例示的な実施形態では、監視装置112の評価ユニット122は、検査室システム110のコントローラ136によって少なくとも部分的に構成されてもよい。評価ユニット122およびコントローラ136が完全にまたは部分的に分離されている他の選択肢も実現可能である。
【0128】
検査室システム110は、少なくとも1つの電子スイッチ140をさらに備えてもよい。例えば、電子スイッチ140は、少なくとも1つの切替スイッチ142を備えてもよい。電子スイッチ140は、検査室システム110の少なくとも1つのコントローラ136によって制御されてもよい。電子スイッチ140は、少なくとも2つの位置を含むことができ、第1の位置では、電子スイッチ140は電気モータ114を検査室システム110のエネルギー源134に接続することができ、第2の位置では、電子スイッチ140は電気モータ114を監視装置112、具体的には受信ユニット116、より具体的には測定抵抗器118に接続することができる。
【0129】
図2には、時間144の関数としての測定信号121の図が示されている。この図では、図の横軸に時間144がプロットされ、図の縦軸に測定装置120によって決定された電力146がプロットされている。
図2の参照符号148で示すように、測定信号121は、電気モータ114が正方向または負方向のいずれかで加速される時点で開始することができる。測定装置120は、加速されるときに電気モータ114によって生成される電力146を監視するように構成されてもよい。評価ユニット122は、測定信号121を評価するように構成されてもよい。具体的には、図の測定信号121によって囲まれた領域は、加速エネルギー量に対応することができる。電気モータ114が新しい場合、加速エネルギー量150は、電気モータ114が故障している状況と比較して大きくなり得る。この場合、加速エネルギー量152は、適切に機能する電気モータ114のための加速エネルギー量150よりも小さくてもよい。
【0130】
図3は、電気モータ114を監視する方法の例示的な実施形態のフローチャートを示す。本方法は、具体的には所与の順序で実行されることができる以下のステップを含む。さらに、異なる順序も可能とすることができる。2つ以上の方法ステップを完全にまたは部分的に同時に実行することができてもよい。さらに、1つ、2つ以上、または全ての方法ステップを1回または繰り返し実行することができてもよい。本方法は、記載されていない追加の方法ステップを含んでもよい。
【0131】
この方法は、具体的には、本発明にかかる、例えば
図1に記載された実施形態による監視装置112を使用することを含むことができる。しかしながら、監視装置112の他の実施形態も実現可能である。
【0132】
本方法は、ステップi)(参照符号154で示す)において、電気モータ114を少なくとも1つの第1の運動状態から少なくとも1つの第2の運動状態に加速させるために必要な少なくとも1つの加速エネルギー量に関する情報を受信すること156を含む。具体的には、ステップi)は、監視装置112の少なくとも1つの受信ユニット116において実行されてもよい。
【0133】
さらに、本方法は、ステップii)(参照符号158で示す)において、加速エネルギー量に関する情報を評価すること160と、電気モータ114の摩耗状態に関する少なくとも1項目の情報を決定すること162とを含む。具体的には、ステップii)は、監視装置112の少なくとも1つの評価ユニット122で実行されてもよい。
【0134】
本方法は、少なくとも部分的にコンピュータ実装されてもよく、具体的には、ステップii)は、少なくとも部分的にコンピュータ実装されてもよい。例えば、方法ステップii)は、評価ユニット122において、具体的には評価ユニット122の少なくとも1つのプロセッサ128において実行されてもよい。
【0135】
さらに、方法のステップii)は、加速エネルギー量、例えば加速エネルギー量に関する情報またはそれから導出された二次情報を、少なくとも1つの基準値(基準値164によって示される)と比較することを含むことができる。具体的には、ステップii)は、加速エネルギー量と基準値との商、または加速エネルギー量と基準値との差のうちの少なくとも1つを少なくとも1つの閾値と比較することを含むことができる。閾値は、電気モータ114が新品のときに少なくとも1つの第1の運動状態から少なくとも1つの初期運動状態まで電気モータ114を加速させるのに必要な初期加速エネルギー量の20%~90%の値、具体的には初期加速エネルギー量の50%~80%の値、より具体的には初期加速エネルギー量の70%の値であってもよい。加速エネルギーの初期量は、具体的には、最初の初期運動中に電気モータ114を加速させるために必要な加速エネルギー量であってもよい。さらに、基準値は、所定の基準値と、電気モータ114が新品であったときに少なくとも1つの第1の運動状態から少なくとも1つの初期運動状態まで電気モータ114を加速させるのに必要な加速エネルギーの初期量を用いて決定された基準値と、からなる群から選択される基準値であってもよい。
【0136】
さらに、本方法は、具体的には、ステップii)において、摩耗状態に関する情報の項目に基づいて少なくとも1つの推奨行動を決定し、推奨行動(参照符号166で示す)を出力することを含むことができる。これに加えて、またはこれに代えて、本方法は、具体的には、ステップii)において、摩耗状態に関する情報の項目に基づいて、警告状態が与えられたか否かを判断することと、警告状態が与えられた場合に、警告を出力すること(参照符号168で示す)とを含むことができる。
【0137】
図4は、検査室システム110を動作させる方法の例示的な実施形態のフローチャートを示す。本方法は、具体的には所与の順序で実行されることができる以下のステップを含む。さらに、異なる順序も可能とすることができる。2つ以上の方法ステップを完全にまたは部分的に同時に実行することができてもよい。さらに、1つ、2つ以上、または全ての方法ステップを1回または繰り返し実行することができてもよい。本方法は、記載されていない追加の方法ステップを含んでもよい。
【0138】
本方法は、
I.(参照符号170で示す)電気モータ114を使用して少なくとも1つの物体を操作することと、
II.(参照符号172で示す)本発明にかかる、例えば
図3の実施形態による、電気モータ114を監視する方法を使用して電気モータ114を監視することと、
を含む。
【0139】
ステップI.は、具体的には、検査室システム110の日常動作の一部を形成することができる。追加的または代替的に、ステップI.はまた、電気モータ114を試験するための専用ルーチンなどの特定の保守または試験ルーチン中に実行されてもよい。したがって、ステップII.における電気モータ114の監視は、電気モータ114の日常動作中に実行されてもよく、および/または保守または試験ルーチンなどの別個のルーチン中に実行されてもよく、第1のケースでは、電気モータ114は検査室作業に使用されてもよく、第2のケースでは、電気モータ114は試験目的で動作されてもよい。他の選択肢も実現可能である。
【0140】
電気モータ114によって操作される少なくとも1つの物体は、具体的には、少なくとも1つのサンプルおよび検査室システム110の少なくとも1つの他の構成要素からなる群から選択されてもよい。したがって、一例として、電気モータ114によって操作される少なくとも1つの物体は、少なくとも1つのサンプル、例えばサンプルを収容する少なくとも1つのサンプル容器、例えば少なくとも1つのサンプル管であってもよく、またはそれを含んでもよい。追加的または代替的に、電気モータ114によって操作される少なくとも1つの物体はまた、少なくとも1つの直線ステージおよび/または少なくとも1つの回転ステージなどの検査室システム110の別の構成要素を含んでもよい。他の目的も実現可能である。具体的には、方法全体または少なくともステップII.は、所定の期間内に少なくとも1回実行されてもよい。例えば、監視は、1日、1週間、1ヶ月、または任意の他の期間内など、所定のまたは可変の時間スパン内に連続的に、断続的に、または少なくとも1回実行されてもよい。
【0141】
図5は、電気モータ114の動作モードの図を示す。
図5の図は、図のx軸上に電気モータ114に加えられるトルク174を示し、y軸上に電気モータ114の回転速度176を示す。Danfoss(登録商標)によって出版されたVLT(登録商標)可変周波数ドライブに関するハンドブックである「Wissenswertes uber Frequenzumricter」の第3.5章に概説されているように、電気モータ114は、一般に、第1の動作モード178、第2の動作モード180、第3の動作モード182、および第4の動作モード184のうちの少なくとも1つで動作してもよい。
図5に示すように、第1の動作モード178では、電気モータ114のトルク174および回転速度176は正であってもよく、電気モータ114は時計回り方向に作動してもよい。したがって、電気モータ114は、第1の動作モード178で加速されてもよい。第2の動作モード180では、電気モータ114の回転速度176は依然として正であってもよい。しかしながら、電気モータ114に加えられるトルク174は負であってもよく、したがって、回転速度176とは反対であってもよい。第2の動作モード180の電気モータ114は、依然として時計回り方向に作動していてもよいが、減速されてもよい。第3の動作モード182では、電気モータ114のトルク174および回転速度176の両方が負であってもよい。電気モータ114は、第3の動作モード182において反時計回り方向に加速されてもよい。第4の動作モード184では、電気モータ114に加えられるトルク174は正であってもよく、回転速度176は負であってもよい。電気モータ114は、反時計回り方向に作動していてもよく、回転速度176とは反対のトルク174によって減速されてもよい。監視装置112は、第2の動作モード180および/または第4の動作モード184、すなわち電気モータ114が減速される動作モードで電気モータ114を監視するように特に構成することができる。監視装置112、具体的には受信ユニット116は、電気モータ114を回転運動状態から静止状態に減速させるときに放散、回復、または解放の少なくとも一方である加速エネルギー量を受信するように構成することができる。
【0142】
図6は、受信ユニット116の例示的な実施形態を示す。この例では、受信ユニット116は、少なくとも1つのブレーキチョッパ186を備えることができる。ブレーキチョッパは、少なくとも1つのトランジスタ188、例えば絶縁ゲートバイポーラトランジスタと、ブレーキチョッパ186の機能を制御するための少なくとも1つの制御ユニット190とを備えることができる。制御ユニット188は、ブレーキチョッパ186に印加される電圧および/または電流のチョッピングを制御するように構成されてもよい。チョップされた電圧および/または電流は、ブレーキチョッパ186に含まれる少なくとも1つの抵抗器192に流れることができる。
図6の例では、抵抗器192は測定抵抗器118であってもよく、測定装置120は、測定抵抗器118における電圧、電流、または電力のうちの少なくとも1つを監視するように構成されてもよい。さらに、
図6に示すように、受信ユニット116は、入力AC電圧をDC電圧に変換するための少なくとも1つの整流器194と、DC電圧を出力AC電圧に変換するための少なくとも1つのインバータ196とを備えることができる。
【符号の説明】
【0143】
110 検査室システム
112 監視装置
114 電気モータ
116 受信ユニット
118 測定抵抗器
120 測定装置
121 測定信号
122 評価ユニット
124 フィルタリング装置
126 ローパスフィルタ
128 プロセッサ
130 電子スイッチング素子
132 Hブリッジ
134 エネルギー源
136 コントローラ
138 マイクロコントローラ
140 電子スイッチ
142 切替スイッチ
144 時間
146 電力
148 加速の開始点
150 適切に機能する電気モータのための加速エネルギー量
152 故障した電気モータの加速エネルギー量
154 ステップi)
156 加速エネルギー量に関する情報を受信すること
158 ステップii)
160 加速エネルギー量に関する情報を評価すること
162 電気モータの摩耗状態に関する情報の項目を決定すること
164 加速エネルギー量を少なくとも1つの基準値と比較すること
166 推奨行動を決定して出力すること
168 警告を決定して出力すること
170 物体を操作すること
172 電気モータを監視すること
174 トルク
176 回転速度
178 第1の動作モード
180 第2の動作モード
182 第3の動作モード
184 第4の動作モード
186 ブレーキチョッパ
188 トランジスタ
190 制御ユニット
192 抵抗
194 整流器
196 インバータ
【手続補正書】
【提出日】2022-04-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気モータ(114)を監視するための監視装置(112)であって、
A.前記電気モータ(114)を少なくとも1つの第1の運動状態から少なくとも1つの第2の運動状態に加速させるのに必要な少なくとも1つの加速エネルギー量に関する情報を受信するように構成された少なくとも1つの受信ユニット(116)
であって、前記加速エネルギー量が、前記電気モータ(114)を減速させるのに必要な加速エネルギーを含み、前記加速エネルギーが、前記電気モータ(114)を回転運動状態から静止状態に減速させるときに放散、回復、または解放のうちの少なくとも1つが行われる加速エネルギーを含む、少なくとも1つの受信ユニットと、
B.前記加速エネルギー量に関する情報を評価し、前記電気モータ(114)の摩耗状態に関する少なくとも1つの情報項目を決定するように構成された少なくとも1つの評価ユニット(122)と、
を備え
る、監視装置(112)。
【請求項2】
前記受信ユニット(116)が、測定抵抗器(118)、測定コンデンサ、およびエネルギーバッファのうちの少なくとも1つを備え、前記受信ユニット(116)が、前記測定抵抗器(118)、前記測定コンデンサ、または前記エネルギーバッファのそれぞれにおける電圧、電流、または電力のうちの少なくとも1つを監視するように構成された少なくとも1つの測定装置(120)をさらに備える、請求項1に記載の監視装置(112)。
【請求項3】
前記測定装置(120)が、時間の関数として前記電圧、前記電流、または前記電力をそれぞれ示す少なくとも1つの測定信号(121)を生成するように構成され、前記監視装置(112)が、少なくとも1つのフィルタリング装置(124)をさらに備える、請求項2に記載の監視装置(112)。
【請求項4】
前記評価ユニット(122)が、前記摩耗状態に関する前記少なくとも1つの情報項目を決定するための少なくとも1つのプロセッサ(128)をさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の監視装置(112)。
【請求項5】
前記評価ユニット(122)が、前記摩耗状態に関する前記情報項目に基づいて少なくとも1つの推奨動作を決定するようにさらに構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の監視装置(112)。
【請求項6】
前記評価ユニット(122)が、前記摩耗状態に関する前記情報項目に基づいて、少なくとも1つの警告状態が与えられたかどうかを決定するようにさらに構成され、前記評価ユニット(122)が、前記警告状態が与えられた場合、警告を出力するように構成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の監視装置(112)。
【請求項7】
少なくとも1つの検査室タスクを実行するための検査室システム(110)であって、少なくとも1つの電気モータ(114)を備え、さらに、請求項1から6のいずれか一項に記載の監視装置(112)を少なくとも1つ備える、検査室システム(110)。
【請求項8】
前記検査室システム(110)が、少なくとも1つの電子スイッチング素子(130)をさらに備え、前記電子スイッチング素子(130)が、前記電気モータ(114)に印加される電圧の極性を反転させること、および前記電気モータ(114)を負に加速させることのうちの少なくとも一方のために構成されている、請求項7に記載の検査室システム(110)。
【請求項9】
前記電気モータ(114)の機能を制御するための少なくとも1つのコントローラ(136)をさらに備え、前記コントローラ(136)が、1つまたは複数のプロセッサ(128)を備える、請求項7または8に記載の検査室システム(110)。
【請求項10】
電気モータ(114)を監視する方法であって、
i)前記電気モータ(114)を少なくとも1つの第1の運動状態から少なくとも1つの第2の運動状態に加速させるのに必要な少なくとも1つの加速エネルギー量に関する情報を受信することと、
ii)前記加速エネルギー量に関する前記情報を評価し、前記電気モータ(114)の摩耗状態に関する少なくとも1つの情報項目を決定することと、
を含
み、
前記加速エネルギー量が、前記電気モータ(114)を減速させるのに必要な加速エネルギーを含み、前記加速エネルギーが、前記電気モータ(114)を回転運動状態から静止状態に減速させるときに放散、回復、または解放のうちの少なくとも1つが行われる加速エネルギーを含んでいる、方法。
【請求項11】
前記方法が、少なくとも部分的にコンピュータ実装される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ステップii)が、前記加速エネルギー量を少なくとも1つの基準値と比較することを含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
ステップii)が、前記加速エネルギー量と前記基準値との商、または前記加速エネルギー量と前記基準値との差のうちの少なくとも1つを、少なくとも1つの閾値と比較することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つの検査室タスクを実行するための検査室システム(110)を動作させる方法であって、
I.電気モータ(114)を使用することによって少なくとも1つの物体を操作することと、
II.請求項10から13のいずれか一項に記載の方法を使用することによって前記電気モータ(114)を監視することと、
を含む、方法。
【国際調査報告】