(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-14
(54)【発明の名称】最終充填アセンブリおよび完全性試験の方法
(51)【国際特許分類】
B01D 61/20 20060101AFI20231207BHJP
B01D 65/10 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
B01D61/20
B01D65/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530190
(86)(22)【出願日】2021-11-18
(85)【翻訳文提出日】2023-07-14
(86)【国際出願番号】 US2021059907
(87)【国際公開番号】W WO2022109145
(87)【国際公開日】2022-05-27
(32)【優先日】2020-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504115013
【氏名又は名称】イー・エム・デイー・ミリポア・コーポレイシヨン
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラハーン,サントーシュ
(72)【発明者】
【氏名】レイ,チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】リォン,アン・ソン
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA07
4D006KA52
4D006KA55
4D006KA56
4D006KA64
4D006LA06
4D006MA03
4D006PA01
4D006PA02
4D006PB20
4D006PB52
4D006PB55
4D006PC41
(57)【要約】
多目的ベントポートを備えるフィルタを含む冗長濾過アセンブリのための装置および方法が開示され、冗長濾過アセンブリは、アセンブリの部品点数および全体的なサイズを低減し、製品損失の最小化を促進する。使用前滅菌後の完全性試験(PUPSIT)を行う(1つまたは複数の)方法もまた開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
能率化冗長濾過アセンブリであって、
生物学的製品を送達するための主導管を備え、主導管は、
主導管内に設けられた一次最終充填フィルタと、
主導管の終端部にある第1のコネクタおよび第2のコネクタと、
第1のコネクタの下流で主導管内に設けられるクランプと、
主導管内に設けられた冗長最終充填フィルタと、
冗長最終充填フィルタと流体連通する空気ラインであって、主導管に接合され、遠位端に完全性試験接続部と、
空気ラインに接続された排出口と、
冗長最終充填フィルタと流体連通する少なくとも1つのベントバッグと、
冗長最終充填フィルタの下流に設けられた2つのクランプであって、ピンチクランプがこれらの間に設けられた2つのクランプと、
をさらに備え、
2つのベントバッグ、空気ライン、ならびに任意選択的なクランプおよびガスフィルタは一次フィルタと流体連通し、
クランプは一次フィルタの下流の主導管内に設けられ、
二次導管は主導管に接合され、二次導管はバリアフィルタをさらに備え、バリアフィルタおよび二次導管は主導管と合流され、ピンチクランプは主導管内に設けられ、主導管は第2のコネクタで終端する、能率化冗長濾過アセンブリ。
【請求項2】
完全性試験接続部は空気供給源に接続されている、請求項1に記載の冗長濾過アセンブリ。
【請求項3】
ガスフィルタは完全性試験接続部の下流にある、請求項1および請求項2のいずれか一項に記載の冗長濾過アセンブリ。
【請求項4】
2つのベントバッグがある、請求項1~3のいずれか一項に記載の冗長濾過アセンブリ。
【請求項5】
サンプリングバッグをさらに備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の冗長濾過アセンブリ。
【請求項6】
2つのベントバッグの間の空気ライン上に設けられたクランプまたは弁をさらに備える、請求項4および請求項5のいずれか一項に記載の冗長濾過アセンブリ。
【請求項7】
排出口は無菌多目的ポート(AMPP)である、請求項1~5のいずれか一項に記載の冗長濾過アセンブリ。
【請求項8】
導管の第1の端部で完全性試験接続部に接続された導管を有する蠕動ポンプをさらに備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の冗長濾過アセンブリ。
【請求項9】
2つ以上の完全性試験接続部をさらに備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の冗長濾過アセンブリ。
【請求項10】
導管の第2の端部は、導管の第1の端部とは異なる完全性試験接続部に接続されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の冗長濾過アセンブリ。
【請求項11】
再循環容器をさらに備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の冗長濾過アセンブリ。
【請求項12】
データ取得システムをさらに備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の冗長濾過アセンブリ。
【請求項13】
使い捨て型である、請求項1~12のいずれか一項に記載の冗長濾過アセンブリ。
【請求項14】
冗長濾過システムはステンレス鋼を備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の冗長濾過アセンブリ。
【請求項15】
冗長濾過システムが、ステンレス鋼および使い捨て型構成要素を備える、請求項13または請求項14のいずれか一項に記載の冗長濾過アセンブリ。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の冗長濾過アセンブリの、少なくとも1つの最終充填フィルタの完全性試験の方法であって、方法は、
a.湿潤液を最終充填フィルタに流すステップと、
b.遠位端に完全性試験接続部をさらに備える空気ラインを通して能率化冗長濾過アセンブリ内に加圧空気を導入するステップと、
c.湿潤液をアセンブリから排水するステップと、
d.加圧空気を、出口を通って能率化冗長濾過アセンブリから出て行く前に、給気口の上のガスフィルタおよび排出口および最終充填フィルタに通過させるステップと、
e.バブルポイント試験、拡散試験、通水試験、および圧力保持試験からなる群から選択された少なくとも1つの試験を実行するステップと、
を備える方法。
【請求項17】
排出口は無菌多目的ポート(AMPP)ベントポートである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
一次フィルタと冗長フィルタとの間にクランプを配置し、それによって冗長フィルタの下流側と一次フィルタの給気口との間の流体連通を回避するステップをさらに備える、請求項16および17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
排水ステップは重力排水を使用して実行される、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
排水ステップはブローダウンを使用して実行される、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
最終充填フィルタは一次最終充填フィルタである、請求項16~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
最終充填フィルタは冗長最終充填フィルタである、請求項16~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
一次フィルタのAMPPベントポートを閉鎖するステップをさらに備える、請求項16~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
バリアフィルタは加圧空気の最終出口である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
一次フィルタのAMPPベントポートを開放するステップをさらに備える、請求項16~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
AMPPベントポートは加圧空気の最終出口である、請求項16~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
加圧空気は、冗長最終充填フィルタのための給気口および冗長最終充填フィルタを順次通過し、冗長最終充填フィルタのAMPPベントポートを通って冗長濾過アセンブリを出て行く、請求項16~22および26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
加圧空気は、冗長最終充填フィルタの給気口を通って冗長最終充填フィルタ内に順次通過し、一次最終充填フィルタのAMPPベントポートを通って冗長濾過アセンブリを出る、請求項16~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
加圧空気は、冗長最終充填フィルタの給気口を通って冗長最終充填フィルタ内に順次通過し、一次最終充填フィルタの給気口を通って冗長濾過アセンブリを出る、請求項16~22のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年11月19日に出願された米国特許仮出願第63/115,838号明細書の利益を主張し、その全内容は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の実施形態は、生物流体の処理に関する。より具体的には、本明細書に開示される実施形態は、バイオプロセスで使用される装置の完全性試験に関する。
【背景技術】
【0003】
製造業者が生産スケジュールの要求を満たすように努力するにつれて、洗浄を最小限に抑え、効率を改善し、柔軟性を最大化するために、生物学的製品の製造を通して使い捨てアセンブリがますます実施されるようになっている。滅菌済み使い捨てアセンブリは、滅菌性を維持することが患者にとって生物製剤および薬物安全性を保証するために重要である最終的な濾過および充填作業に利点を提供する。最終的な生物学的製品の濾過の高コストのため、過去の伝統的な従来技術のアセンブリは、最終的な濾過が誤りなく行われることを保証するために、一次フィルタに加えて冗長フィルタの使用を伴う。使い捨て冗長濾過アセンブリは、SURFアセンブリと呼ばれる。
【0004】
製造プロセスが進化するにつれて、フィルタカプセルの設計も進化してきた。例えば、過去のカプセルフィルタは伝統的なフィルタ排出口を含んでいたが、これは、外部環境からの微生物が無菌の流路に侵入するのを防ぐことが検証された特殊なポートに置き換えられている。この特殊なポートは、通気、サンプリング、および空気ラインの接続に使用されることが可能であり、こうして使用前滅菌後の完全性試験(PUPSIT)を簡略化する。従来のフィルタ排出口とは対照的に、無菌多目的ポート(もしくは「AMPP」として知られる)は、フィルタ完全性試験に必要とされる高圧に耐えながら、無菌接続を維持するように設計されている。加えて、濾過システム内の製品を回収する処理に続いて、無菌多目的ポートを通して圧力が加えられることができる。少量の処理において、または高薬価品が処理されているとき、この回収ステップは大きな経済利益を有することができる。
【0005】
全体として、SURFアセンブリの設計は、濾過作業中に発生する製品損失を最小限に抑えること、およびアセンブリ内の製品を回収する能力を目的としている。これは、SURFアセンブリの総ホールドアップ体積を低減することによって、または濾過後に複数の回収ステップを導入することによって、達成されることができる。このような回収ステップは、アセンブリの滅菌性を損なってはならない。しかしながら、過去のSURFアセンブリは、冗長最終充填フィルタおよびバリアフィルタの使用を必要としてきた。複数の過去のSURFアセンブリは、1つのバリアフィルタの代わりに2つの別個のフィルタを含んでもよく、これにより、1つのフィルタはガスの出口として機能し、1つは液体の出口として機能していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ホールドアップ体積が低減され、濾過作業中の製品損失を最小限に抑える、より少ないバリアフィルタおよび/またはガスフィルタならびに/または液体フィルタを有する能率化冗長濾過アセンブリは、当該技術分野における進歩を示すだろう。より少ないバリアフィルタおよび/またはガスフィルタならびに/または液体フィルタを有する使用前滅菌後の完全性試験もまた、当該技術分野における進歩を示すだろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に記載される或る実施形態は、生物学的製品を送達するための主導管を備える能率化冗長濾過アセンブリを含み、主導管は、主導管内に設けられた一次最終充填フィルタと、主導管の終端部にある第1のコネクタおよび第2のコネクタと、第1のコネクタの下流で主導管内に設けられるクランプと、主導管内に設けられた冗長最終充填フィルタと、冗長最終充填フィルタと流体連通する空気ラインであって、主導管に接合され、遠位端に完全性試験接続部をさらに備える空気ラインと、空気ラインに接続された排出口と、冗長最終充填フィルタと流体連通する少なくとも1つのベントバッグと、冗長最終充填フィルタの下流に設けられた2つのクランプであって、ピンチクランプがこれらの間に設けられた2つのクランプと、を備え、2つのベントバッグ、空気ライン、ならびに任意選択的なクランプおよびガスフィルタは一次フィルタと流体連通し、クランプは、一次フィルタの下流の主導管内に設けられ、二次導管は主導管に接合され、二次導管はバリアフィルタをさらに備え、バリアフィルタおよび二次導管は主導管と合流され、ピンチクランプは主導管内に設けられ、主導管は第2のコネクタで終端する。
【0008】
或る実施形態では、冗長濾過アセンブリは、空気供給源に接続された完全性試験接続部を備える。或る実施形態では、冗長濾過アセンブリは、完全性試験接続部の下流にガスフィルタを備える。或る実施形態では、冗長濾過アセンブリは2つのベントバッグを備える。或る実施形態では、冗長濾過アセンブリは、サンプリングバッグをさらに備える。或る実施形態では、冗長濾過アセンブリは、2つのベントバッグの間の空気ライン上に設けられたクランプまたは弁をさらに備える。或る実施形態では、排出口は無菌多目的ポート(AMPP)である。或る実施形態では、冗長濾過アセンブリは、導管の第1の端部で完全性試験接続部に接続された導管を有する蠕動ポンプをさらに備える。或る実施形態では、冗長濾過アセンブリは、2つ以上の完全性試験接続部をさらに備える。或る実施形態では、冗長濾過アセンブリは、導管の第1の端部とは異なる完全性試験接続部に接続された導管の第2の端部を備える。或る実施形態では、冗長濾過アセンブリは、再循環容器をさらに備える。或る実施形態では、冗長濾過アセンブリは、データ取得システムをさらに備える。或る実施形態では、冗長濾過アセンブリは使い捨てである。或る実施形態では、冗長濾過アセンブリはステンレス鋼を備える。或る実施形態では、冗長濾過アセンブリは、ステンレス鋼および使い捨て構成要素を備える。
【0009】
本明細書に記載される或る実施形態は、冗長濾過アセンブリの少なくとも1つの最終充填フィルタの完全性試験の方法を含み、方法は、湿潤液を最終充填フィルタに流すステップと、遠位端に完全性試験接続部をさらに備える空気ラインを通して能率化冗長濾過アセンブリ内に加圧空気を導入するステップと、湿潤液をアセンブリから排水するステップと、出口を通って能率化冗長濾過アセンブリを出る前に、加圧空気に給気口のガスフィルタを通過させ、排出口および最終充填フィルタを通過させるステップと、バブルポイント試験、拡散試験、通水試験、および圧力保持試験からなる群から選択された少なくとも1つの試験を実行するステップと、を備える。請求項16に記載の方法において、排出口は無菌多目的ポート(AMPP)ベントポートである。請求項16および17のいずれか一項に記載の方法は、一次フィルタと冗長フィルタとの間にクランプを配置し、これによって冗長フィルタの下流側と一次フィルタの給気口との間の流体連通を回避するステップをさらに備える。
【0010】
本方法の或る実施形態では、排水ステップは、重力排水を使用して実行される。本方法の或る実施形態では、排水ステップは、ブローダウンを使用して実行される。本方法の或る実施形態では、最終充填フィルタは一次最終充填フィルタである。本方法の或る実施形態では、最終充填フィルタは冗長最終充填フィルタである。或る実施形態では、本方法は、一次フィルタのAMPPベントポートを閉鎖するステップをさらに備える。本方法の或る実施形態では、バリアフィルタは、加圧空気の最終出口である。或る実施形態では、本方法は、一次フィルタのAMPPベントポートを開放するステップをさらに備える。本方法の或る実施形態では、AMPPベントポートは、加圧空気の最終出口である。本方法の或る実施形態では、加圧空気は、冗長最終充填フィルタのための給気口および冗長最終充填フィルタを順次通過し、冗長最終充填フィルタのAMPPベントポートを通って冗長濾過アセンブリを出て行く。本方法の或る実施形態では、加圧空気は、冗長最終充填フィルタの給気口を通って冗長最終充填フィルタ内に順次通過し、一次最終充填フィルタのAMPPベントポートを通って冗長濾過アセンブリを出て行く。本方法の或る実施形態では、加圧空気は、冗長最終充填フィルタの給気口を通って冗長最終充填フィルタ内に順次通過し、一次最終充填フィルタの給気口を通って冗長濾過アセンブリを出て行く。
【0011】
請求項により完全に明記されるように、実質的に図のうちの少なくとも1つに図示され、および/またはこれに関連して記載されるような、無菌多目的ベントポート(AMPP)を備えるフィルタを収容する冗長濾過アセンブリのための装置および方法が、本明細書に記載される。本明細書に記載される冗長濾過アセンブリは、アセンブリの部品点数および全体的なサイズを低減し、これによって製品損失の最小化を促進する。使用前滅菌後の完全性試験(PUPSIT)を行う(1つまたは複数の)方法もまた開発される。本開示の様々な利点、態様、新規かつ発明的な特徴、ならびにその例示的な実施形態は、以下の説明および図面からより完全に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】冗長フィルタおよび一次フィルタを使用する、従来技術のアセンブリの一実施形態を示す図である。
【
図2】
図1の伝統的な従来技術のアセンブリにおける、最終フィルタを通ってそれぞれのバリアフィルタから外向きに移動する際の加圧空気の流れ方向の一実施形態を示す図である。
【
図3】本開示の或る実施形態による、ホールドアップ体積を低減し、濾過作業中の製品損失を最小限に抑える能率化冗長濾過アセンブリの或る実施形態を示す図である。
【
図4A】
図1および
図3に示される冗長濾過アセンブリを使用して回収または製品損失を比較するための実験設定の或る実施形態を示す図である。
【
図4B】
図1および
図3に示される冗長濾過アセンブリを使用して回収または製品損失を比較するための実験設定の或る実施形態を示す図である。
【
図5】能率化アセンブリと従来技術のアセンブリとのホールドアップ体積を比較し、能率化アセンブリが、少なくとも部分的に、より小さいサイズのため著しく小さいホールドアップ体積を有することを示す図である。
【
図6】回収ステップとして重力排水が両者に採用された後の、本開示の或る実施形態による、
図1の冗長濾過アセンブリと
図3の能率化冗長濾過アセンブリとの間の製品損失の差を比較する図である。
【
図7】異なる粘度を有する異なる液体の回収方法に応じた未回収液体の体積を比較する図である。
【
図8A】
図1の冗長濾過アセンブリと
図3の能率化冗長濾過アセンブリとの或る実施形態の製品損失の程度に対するアセンブリ角度の影響を比較する図である。
【
図8B】
図1の冗長濾過アセンブリと
図3の能率化冗長濾過アセンブリとの或る実施形態の製品損失の程度に対するアセンブリ角度の影響を比較する図である。
【
図9A】能率化冗長濾過アセンブリの一次フィルタの完全性試験中の加圧空気の流れ方向の或る実施形態を示す図である。
【
図9B】能率化冗長濾過アセンブリの冗長最終充填フィルタの完全性試験中の加圧空気の流れ方向の或る実施形態を示す図である。
【
図10】冗長最終充填フィルタを完全性試験するときに能率化冗長濾過アセンブリの一次フィルタおよび冗長フィルタの上流の圧力センサを使用して測定された時間の関数としての圧力変化を示す図である。
【
図11】能率化冗長濾過アセンブリの或る実施形態における冗長最終充填フィルタの完全性試験中の加圧空気の流れ方向を示す図である。
【
図12】能率化冗長濾過アセンブリの変形例の冗長最終充填フィルタの完全性試験中の加圧空気の流れ方向を示す図である。
【
図13】能率化冗長濾過アセンブリの或る実施形態における一次フィルタおよび冗長フィルタの上流の圧力センサを使用して測定された時間の関数としての圧力変化を示す図である。
【
図14】冗長濾過アセンブリの変形例の冗長最終充填フィルタの完全性試験中の加圧空気の流れ方向を示す図である。
【
図15】能率化冗長濾過アセンブリの或る実施形態の冗長最終充填フィルタの完全性試験中の加圧空気の流れ方向を示す図である。
【
図16】能率化冗長濾過アセンブリの或る実施形態の冗長最終充填フィルタの完全性試験中の加圧空気の流れ方向を示す図である。
【
図17】本開示の或る実施形態による、能率化冗長濾過アセンブリの変形例の冗長最終充填フィルタの完全性試験中の加圧空気の流れ方向を示す図である。
【
図18】能率化冗長濾過アセンブリの或る実施形態のための冗長最終充填フィルタの完全性試験中の加圧空気の流れ方向を示す図である。
【
図19】能率化冗長濾過アセンブリの或る実施形態のための冗長最終充填フィルタの完全性試験中の加圧空気の流れ方向を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書に開示される特徴が詳細に理解されることができる方法、上記で簡単に要約された本開示の実施形態のより具体的な説明は、添付の図面を参照して得ることができる。しかしながら、添付の図面は、本開示の或る実施形態のみを示し、したがって、説明および図示される実施形態は、他の等しく有効な実施形態を許容し得るため、その範囲を限定すると見なされるべきではないことに留意されたい。1つの実施形態の要素および特徴は、さらなる列挙なしに他の実施形態に見出されてもよく、図に共通の類似の要素を示すために、同じ参照番号が使用されることがあることも理解されたい。
【0014】
定義
「バリアフィルタ」という用語は、本明細書で使用される場合、疎水性構成要素および親水性構成要素の両方を有し、したがって2つのフィルタの代わりに使用されることが可能であり、これにより、一方は親水性であり、他方はガス用に疎水性である。
【0015】
「デプスフィルタ」という用語は、本明細書で使用される場合、フィルタ材料の深さ内で濾過を達成するフィルタである。デプスフィルタにおける粒子分離は、フィルタ材料を備える繊維および濾過助剤マトリックスによる捕捉または吸着から生じる。
【0016】
「滅菌の」および「滅菌された」という用語は、本明細書で使用される場合、汚染物質のない、特にバイオプロセス産業では、望ましくないウイルス、細菌、病原菌、および他の微生物などの病原体のない状態として定義される。関連して、(例えば、25kGy未満のガンマ線またはX線放射線の非滅菌照射によって)「バイオバーデンが低減された」および「バイオバーデン低減」という用語は、滅菌請求項を必要としない特定の実施形態」に置き換えられてもよい。
【0017】
「上流」という用語は、本明細書で使用される場合、微生物/細胞、mAb、ADC、治療用タンパク質を含むタンパク質、ウイルスベクターなどなどの生物材料が、特定のタイプの生物学的製品を製造するために、制御された条件下で、細胞培養培地内のバイオリアクタにおいて成長または植え付けられる処理の第一段階のプロセスとして定義される。
【0018】
「下流」という用語は、本明細書で使用される場合、バイオリアクタ内の成長および増殖に続いて生物学的製品が採取、試験、精製、濃縮、および包装されるプロセスを示す。
【0019】
「清澄化」という用語は、本明細書で使用される場合、下流プロセスとして定義され、下流プロセスでは、細胞全体、細胞残屑、可溶性不純物(HCPおよび/またはDNA)、懸濁粒子、および/または濁りが、遠心分離および/または深層濾過を使用して細胞培養供給流から低減および/または除去される。「澄化する」、「清澄化」、「清澄化ステップ」、および「採取」という用語は、一般に、生体分子の精製において最初に使用される1つ以上のステップを指す。清澄化ステップは一般に、バイオリアクタからの採取作業中の細胞全体および/または細胞残屑の除去を備えるが、他の繊細な濾過ステップ、例えばウイルス濾過を保護するために、下流プロセス中間体または前置フィルタの濁り低減を備えてもよい。
【0020】
「精製」という用語は、宿主細胞タンパク質、DNA、およびプロセス残留物を含むバルク汚染物質および不純物が製品ストリームから除去される、下流プロセスとして定義される。
【0021】
「研磨」という用語は、物理的および化学的特性において製品と似ている微量の汚染物質または不純物が精製された製品ストリームから除去される、下流プロセスとして定義される。
【0022】
「不純物」または「汚染物質」という用語は、本明細書で使用される場合、任意の外来分子または望ましくない分子を指し、これは、DNA、RNA、1つ以上の宿主細胞タンパク質、内毒素、脂質、凝集ポリマー、界面活性剤、(1つまたは複数の)消泡添加剤などの生体高分子、および本明細書に記載されるプロセスを使用して外来分子または望ましくない分子のうちの1つ以上から分離されている標的分子を含むサンプル中に存在し得る、1つ以上の添加剤を含む。加えて、このような不純物は、本発明の方法に先行して行われ得るステップで使用される任意の試薬を含み得る。不純物は、可溶性であっても不溶性であってもよい。
【0023】
「ホールドアップ体積」という用語は、本明細書で使用される場合、使用中の冗長濾過アセンブリ内の移動相の体積を指す。
【0024】
アセンブリ
図を参照すると、
図1は、冗長フィルタおよび一次フィルタを使用する典型的な従来技術の冗長濾過アセンブリを示し、フィルタは、Millipak(R)Final Fillフィルタまたは任意の他の滅菌フィルタであってもよい。他のほとんどの滅菌フィルタでは、完全性試験のための空気ラインは、フィルタの排出口に直接接続されることができない。したがって、
図1に示されるように、完全性試験のための追加の入口が必要である。加えて、完全性試験に先行して、フィルタは、特定の圧力および流量で湿潤流体を使用して湿潤されなければならない。典型的に、湿潤流体は、それぞれのフィルタを通過し、別の接続部を使用してアセンブリを出て行かなければならない。この接続部は、任意の滅菌フィルタまたは滅菌済みバッグ、もしくは親水性/疎水性フィルタ(
図1に示される)を含むことができる。同様に、完全性試験に使用される加圧空気もまた、それぞれのフィルタを通過し、接続部を使用してアセンブリを出て行かなければならない。この接続部は、ガスフィルタまたは親水性/疎水性フィルタ(
図1に示される)を含むことができる。要約すると、それぞれのフィルタを通過した後にアセンブリを出て行くための液体およびガスのための接続部は、親水性/疎水性フィルタまたは別個のガスおよび液体フィルタを含んでもよい。
図1に示される例示的な図では、湿潤プロセス中に、湿潤流体は、それぞれのFinal Fillフィルタの下流のMillipak(R)Barrierフィルタを通ってアセンブリを出て行くが、これにより、Millipak(R)Barrierフィルタは疎水性/親水性フィルタである。
【0025】
バリアフィルタに加えて、アセンブリは、湿潤プロセス中または濾過ステップの前にアセンブリの適切な通気を保証するために、複数のベントバッグを含んでもよい。これらのベントバッグは滅菌済みであり、最終充填フィルタのベントポートに接続される。冗長濾過アセンブリに導入された加圧空気が滅菌性であり、作業中にアセンブリの滅菌性を損なわないことを保証するために、完全性試験のための空気ライン上に追加の疎水性ガスフィルタがあってもよい。最終充填作業の異なるステップ中に圧力を追跡するために、最終充填フィルタの各々の上流に追加の圧力センサがあってもよい。
【0026】
図2は、完全性試験のための従来技術の方法における、伝統的な最終充填アセンブリの最終フィルタを通ってそれぞれのバリアフィルタから外向きに移動する際の加圧空気の流れ方向を示す。最終充填フィルタの各々は、空気の供給源に接続された入口接続部を有する。バリアフィルタは、任意の適切なガスフィルタに置き換えられることが可能である。PUPSIT作業の一部としてのアセンブリ上の2つのフィルタの使用前完全性試験は、一般に、一度に1つずつ行われる。例えば、一次フィルタは、アセンブリの冗長フィルタがクランプオフされた状態で最初に完全性試験される。例えば、このクランプは、冗長最終充填フィルタの下流のバリアフィルタのための接続部と一次フィルタの完全性試験用の給気口のための接続部との間に配置されることが可能である。完全性試験が完了した後、このクランプは、最終濾過作業のために取り外されることが可能である。流れ方向F1、F2、F3、F4、およびF5が示されている。
【0027】
能率化冗長濾過最終充填アセンブリ設計
本開示の或る実施形態は、製品のためのホールドアップ体積を最小限に抑え、それによって潜在的な製品損失を最小限に抑える能率化冗長濾過アセンブリ、およびアセンブリのフィルタを完全性試験する方法も記載する。アセンブリの或る実施形態は、2つ以上のフィルタを含み、すなわち冗長である。したがって、冗長濾過アセンブリの或る実施形態は、最低でも2つの最終充填フィルタを備える。図中の能率化冗長濾過アセンブリによって示されるように、より少ないバリアフィルタがあってもよい。
【0028】
図3は、ホールドアップ体積を低減し、濾過作業中の製品損失を最小限に抑える能率化冗長濾過アセンブリの或る実施形態を示す。
図3に示されるアセンブリは、
図1に示されるアセンブリと比較して、より少ない総部品数からなる。
図3は、能率化冗長濾過アセンブリ100を示す。能率化冗長濾過アセンブリ100は主導管44を備え、これを通って製品、すなわち生物学的製品が流れる。主導管44は、主導管44の終端部に第1のコネクタ48と第2のコネクタ48とを備える。ピンチクランプ20は、第1のコネクタ48の下流の主導管44内に設けられる。米国マサチューセッツ州バーリントンのEMD Millipore Corporationによって市販されているMillipak(R)Final Fillフィルタなどの冗長最終充填フィルタ30が、主導管44内に設けられる。空気ライン62は、冗長最終充填フィルタ30と流体連通している。空気ライン62は、遠位端に完全性試験コネクタ10を備え、これは完全性試験のために空気供給源に接続されてもよい。ガスフィルタ12は、完全性試験コネクタ10の下流に任意選択的に設けられる。完全性試験コネクタ10の後、2つのベントバッグ16が冗長最終充填フィルタ30と流体連通する。クランプまたは弁14は、ベントバッグ16の間の空気ライン62に任意選択的に設けられる。衛生取付具を接続するためのトライクランプなどの2つのクランプ46は、冗長最終充填フィルタ30の下流に設けられ、ピンチクランプは2つのクランプ46の間に設けられる。最終充填フィルタ30などの一次フィルタ30は、主導管44内に設けられる。2つのベントバッグ16、またはベントバッグ16とサンプリングバッグ19、空気ライン62、ならびに任意選択的なクランプ14およびガスフィルタ12は、上記と同様に、一次フィルタ30と流体連通している。クランプ46は、一次フィルタ30の下流の主導管44内に設けられる。二次導管34は主導管44と合流する。二次導管34は、Millipak(R)Barrierフィルタなどのバリアフィルタ40を備える。バリアフィルタ40の後、二次導管34は主導管44と合流する。その後、ピンチクランプが主導管44上に設けられ、これは第2のコネクタ48で終端する。特定の実施形態では、トライクランプ46およびそれぞれの衛生取付具は、適切なホースクランプと組み合わせてホースバーブ取付具を使用して交換されてもよい。
【0029】
最初に、完全性試験を実行するために必要な空気ラインは、空気ラインのための専用接続部の代わりに、無菌多目的ポート(AMPP)と呼ばれる排出口に接続される。これにより、複数の配管および接続の必要性を低減する。加えて、冗長フィルタの下流のバリアフィルタは、
図1のアセンブリと比較して、取り外されている。他の実施形態では、一次最終充填フィルタのすぐ下流のバリアフィルタの代わりにガスおよび液体フィルタの組合せを必要とする冗長濾過アセンブリを能率化するために、バリアフィルタの代わりに使用されるガスおよび液体フィルタの組合せが取り外されることもまた可能である。これらの変更の結果、
図3に示される冗長濾過アセンブリは、
図1に示される冗長濾過アセンブリと比較してより小さく、より少ない接続部を含む。より少ない接続部は、接続部を通じて滅菌性が損なわれるリスクの低減をもたらす。
【0030】
回収分析を実行することによって、
図1および
図3に示される2つのアセンブリを比較した。異なる製剤をシミュレートするために、異なる粘度の3つの溶液、すなわち水、ならびにそれぞれおよそ25および50センチポアズ(cP)の粘度を有する15%および18%のポリエチレングリコール(PEG)20000の溶液を用いて、各アセンブリを試験した。水および高粘度溶液では、溶液密度について体積を補正した。水平位置および45度の角度の両方で、主流路を用いて調査を行った。加えて、
図3に示される能率化冗長濾過アセンブリからの回収不可能な製品もまた、65度および90度の角度の流路を用いて判定した。回収分析は、異なる回収方法について比較される。回収方法は、無回収、重力排水、および異なる圧力でのブローダウンを含む。
【0031】
図4は、
図1および
図3に示される冗長濾過アセンブリを使用して回収または製品損失を比較するための実験設定を示す。本設定は、特定の回収ステップの後に失われた製品の質量(および体積)を測定するための再循環容器およびデータ取得システムを含む。循環タンクからアセンブリ内に液体を循環させるために、蠕動ポンプが使用される。試験前に、空の再循環容器および試験流体で満たされた容器を秤量した。システム内に保持される液体の体積を測定するために、標準的な処理条件をシミュレートするための試験流体でアセンブリを湿潤させた。液体を導入する前に、入口、出口、およびベントバッグへのラインを開放し、サンプリングバッグ、バリアフィルタ、および空気ラインへのラインをクランプで閉鎖した。水では約2.7mL/分(10psi)、PEG溶液では約200mL/分(30psi)で蠕動ポンプを使用して、流体をアセンブリに圧送した。フィルタから空気をベントし、ベントバッグ内に集めた。ベントの後、すべての排出口を閉鎖した。アセンブリの未回収液体またはホールドアップ体積を計算するために、アセンブリ湿潤の前後の再循環容器の重量の差を使用した。
図4Aは、
図1の冗長濾過アセンブリ50のための実験設定を示す。
図4Bは、
図3の能率化冗長濾過アセンブリ100の或る実施形態のための実験設定を示す。
図4Aおよび
図4Bの両方の実験設定は、完全性試験コネクタ48に接続された導管72を有する蠕動ポンプ60と、再循環容器80と、天秤などのデータ取得システム70とを備える。導管72の第2の端部は、再循環容器80内の流体中の媒体を通過した後、第2の完全性試験コネクタ48に接続される。
【0032】
図5に示されるように、本開示の実施形態による能率化アセンブリは、少なくとも部分的に、より小さいサイズに起因して、著しく小さいホールドアップ体積を有する。無回収が企図されるとき、能率化冗長濾過アセンブリではおよそ270mL以下であるのと比較して、伝統的なアセンブリでは約325mLが失われる可能性がある。このステップでの製品の高値に起因して、これは、プロセスのための大きな節約を占める可能性がある。
【0033】
保持体積を分析した後、伝統的なアセンブリおよび能率化アセンブリの両方で、出口および空気ライン上のクランプを開放した。能率化アセンブリでは、AMPPも開放した。アセンブリを再循環容器内に20分間排水した。重力排水を用いて回収を得るために、湿潤および重力排水後の循環容器の体積の差を計算した。
【0034】
図6は、
図1の冗長濾過アセンブリと
図3の能率化冗長濾過アセンブリとの間での、回収ステップとして重力排水が両者に採用された後の、本開示の或る実施形態による、製品損失の差を示す。
図6は、回収ステップとして重力排水が実行され、液体として水が使用されるとき、未回収液体または製品損失が2つの冗長濾過アセンブリの場合と同様であることを示し、能率化アセンブリは、粘性液体についてより少ない製品損失を示す。この改善は、能率化アセンブリのホールドアップ体積がより小さいことに起因しており、新規な設計の直接的な結果である。
【0035】
アセンブリを重力排水した後、アセンブリ内に保持される液体の残りは、加圧空気の助けを借りてブローダウンすることによって回収される。空気源は、2つのアセンブリの2つの異なる場所でアセンブリに接続されるので、ブローダウンのプロトコルは、各々の場合によってわずかに異なる。伝統的な従来技術の冗長濾過アセンブリでは、フィルタの入口を通って70PSI(ポンド毎平方インチ)のブローダウンを行った。二次フィルタの上流の主流路を閉鎖し、そのフィルタへの空気源を空気ラインに接続した。空気ラインを開放し、二次フィルタを70PSIに加圧し、排水された液体を収集した。空気源を一次フィルタ空気ラインに移動させ、2つのフィルタ間をクランプすることによって二次フィルタを隔離し、一次フィルタをブローダウンした。
【0036】
能率化冗長濾過アセンブリでは、AMPPを通して10PSIおよび、次いで70PSIで連続してブローダウンを行った。排出口およびサンプリングバッグを空気ラインに接続する配管を弁で閉鎖した。AMPPを通して空気源を二次フィルタに接続し、一次フィルタ上のAMPPを閉鎖した。空気ラインを開放して二次フィルタを10psiに加圧し、排水された液体を収集した。空気源を、AMPPを通して接続された一次フィルタ空気ラインに移動させ、2つのフィルタ間をクランプすることによって二次フィルタを隔離し、一次フィルタを10PSIでブローダウンした。10PSI試験の後、70PSIの加圧空気を用いて手順を繰り返した。
【0037】
図7は、製剤をシミュレートするための、様々な粘度を有する異なる液体の回収方法に応じた未回収液体を示す。
図7は、ブローダウンを使用して、製品損失がホールドアップ体積と比較してほぼ非常に少ない量に最小化され得ることを示している。しかしながら、ブローダウンが企図されるとき、これは濾過されている製剤との気液界面を形成する可能性がある。この気液界面は、製品品質に有害となり得る大量の発泡を生じる可能性がある。したがって、ブローダウン手順は製品損失を最小限に抑えることができるが、製品品質の考慮も重要である。
【0038】
図8は、製品損失の程度に対するアセンブリ角度の影響を示す。重力を使用してアセンブリから液体を回収することは、製品流路の主軸線が水平位置ではなく一次フィルタと比較して高いレベルの冗長フィルタに対する角度にある場合にのみ可能である。アセンブリ配向に対するこの修正は、追加の回収ステップを用いることなく重力を使用して、アセンブリ内の液体の少なくとも70%が回収され得ることを意味する。能率化アセンブリの主流路の角度を45度~65度または90度に増加させることで、わずかに多い回収量となり、これは高値製品のために考慮する価値があるだろう。しかしながら、システムが90度にあるとき、システム内のより多くの空気および、より少量の液体の存在によって反映されて、フィルタをベントすることはより困難になった。
【0039】
当業者に知られている自動完全性試験機を使用して完全性試験を実行した。少なくとも1つのこのような完全性試験機は、EMD Millipore Corporationによって市販されているIntegritest(R)5完全性試験機である。Integritest(R)5完全性試験機は、拡散、バブルポイント、HydroCORR(TM)、および圧力保持試験などの伝統的な試験をサポートする。バブルポイント試験は、接線法を使用し、フィルタの完全性プロファイルをマッピングするために、異なる印加圧力で圧力減衰測定を行う。
【0040】
完全性試験の合格/不合格は、フィルタのバブルポイントの測定に基づいて判定される。バブルポイントは、バルクガス流がフィルタを通って観察される圧力として定義される。指定されたバブルポイントよりも高いバブルポイント結果は、合格した完全性試験と見なされ、指定されたバブルポイントよりも低いバブルポイントは、不合格の完全性試験として定義される。自動完全性試験機は、理想気体流原理に依存する(PV=nRT、ここでPは圧力、V=体積、n=分子数、R=ガス定数、およびT=温度)。典型的に、圧力がフィルタに加えられ、ガス流が測定される。バルクガス流に先行して、湿潤フィルタを通る流れは、圧力の増加と共に直線的に増加する。これは、拡散ガス流と呼ばれる。バブルポイントよりも高い圧力を超えると、ガスがフィルタ孔を通って流れることができるので、圧力の増加に従って指数関数的に流量が増加する。これら2つの曲線の間の交点がバブルポイントと呼ばれる。
【0041】
自動完全性試験機は、バブルポイントの決定に対して或る制限を有する。例えば、試験機は、バルク流を得るのに時間がかかりすぎる場合、またはバルク流を得るのに時間が短すぎる場合に、「無効」結果を示すことがある。例えば、Millipak(R)Final Fillフィルタは、50PSIの指定されたバブルポイントを有する。自動完全性試験機で試験するとき、試験機は、指定されたバブルポイントの最大80%までフィルタを自動的に加圧し、ガス流の測定を開始する。この圧力が安定すると、バルクガス流がフィルタを通って達成されるまで、圧力は、反復するたびに1~2PSIだけ自動的に増加させられる。
【0042】
前述のように、伝統的な従来技術の冗長濾過アセンブリは、
図2に示されるように完全性について試験されることが可能であり、アセンブリ上のフィルタの各々は、試験に使用される加圧空気の出口として使用されるバリアフィルタ(または同様のガスフィルタ)を用いて別々に完全性試験される。
【0043】
図9Aおよび
図9Bは、能率化冗長濾過アセンブリの一次最終充填フィルタの完全性試験中の加圧空気の流れ方向の或る実施形態を示す。冗長濾過アセンブリ100などの能率化アセンブリ上のフィルタに対して完全性試験を行うために、まず、アセンブリの両方のフィルタに湿潤液を流すことによって、フィルタが湿潤される。湿潤後、一次フィルタが最初に完全性試験される。完全性試験のために、加圧空気は、
図9の矢印によって示されるようにアセンブリに導入される。完全性試験に先行して、一次フィルタの給気口から冗長フィルタの下流側への空気流を回避するために、一次フィルタと冗長フィルタとの間にクランプが配置される。加えて、アセンブリが重力排水される。アセンブリが水平であり、重力排水が効率的ではない場合、アセンブリ内の液体を排水するために、(バブルポイントよりも著しく低い)非常に低い圧力でのブローダウンが実行され得る。クランプの位置および一次フィルタの下流側のバリアフィルタの利用可能性により、完全性試験中、加圧空気は、給気口のガスフィルタを通過してAMPPベントポートを経て一次フィルタを通過し、バリアフィルタを通ってアセンブリを出て行く。
図9Aは、能率化冗長濾過アセンブリ100の一次フィルタ30を通る流れ方向の或る実施形態を示す。最終充填フィルタ30、第2の最終充填フィルタ30、およびバリアフィルタ40を通る加圧空気の流れが
図9Aに示されている。
図9Bは、冗長濾過能率化アセンブリ100の冗長フィルタ30を通る流れ方向の或る実施形態を示す。最終充填フィルタ30およびバリアフィルタ40を通る流れが
図9Bに示されている。
【0044】
表1に示されるように、すべての試験は、バブルポイントが指定されたバブルポイントよりも高いと確認されたことを示した。したがって、すべての試験は、完全性試験に合格したことを示した。
【0045】
【0046】
加圧空気の出口としてバリアフィルタを使用する能率化冗長濾過アセンブリ上の冗長フィルタの完全性試験
伝統的なアセンブリと比較すると、能率化冗長濾過アセンブリは、冗長フィルタの下流にバリアフィルタを含まない。したがって、加圧空気の直接的な出口はない。結果として、完全性試験の間、加圧空気のために異なる出口が選択されなければならない。
図9Aおよび
図9Bは、冗長フィルタ上の完全性試験の完全性試験中の加圧空気の流れ方向を示し、これにより、フィルタの下流のバリアフィルタは空気の最終出口として使用される。完全性試験に先行して、一次フィルタと冗長フィルタとの間に配置されたクランプが取り外され、一次フィルタのAMPPベントポートが閉鎖される。加えて、アセンブリの残部が重力排水される。アセンブリが水平であり、重力排水が効率的ではない場合、アセンブリ内の液体を排水するために、(バブルポイントよりも著しく低い)非常に低い圧力でのブローダウンが実行されることができる。この設定の結果として、加圧空気は冗長フィルタの入口を通り、続いてAMPPベントポートを経て冗長フィルタを通って移動する。空気は、冗長フィルタを出て行き、アセンブリを出て行く前に一次フィルタおよびバリアフィルタを通って移動する。
【0047】
表2は、加圧空気の移動方向が
図9に示される通りであるときの、冗長フィルタの完全性試験の結果を示す。自動試験機は、制約のために結果を得ることができなかった。このような場合、一次フィルタおよび冗長フィルタの両方の上流の圧力変化を理解する価値がある。
【0048】
図10は、冗長濾過アセンブリ上の一次フィルタおよび冗長フィルタの上流の圧力センサを使用して測定された時間の関数としての圧力変化を示す。
【0049】
【0050】
図10は、アセンブリ上の両方のフィルタ上流の圧力トレースを示す。図示されるように、自動試験機は、指定されたバブルポイントを超えた冗長フィルタのバブルポイントを識別することができない。図示されるように、バブルポイントは、冗長フィルタの上流の70PSIの圧力でも測定されなかった(青色トレース)。これは、一次フィルタが加圧空気の別の制約として作用することに起因し、冗長フィルタと一次フィルタとの間の圧力は、冗長フィルタの予想されるバブルポイント(50PSI)を超えても上昇し続ける。この結果は予想外であり、
図9Aおよび
図9Bに示されるように、空気の移動方向で完全性試験を実行することができないことを示す。
【0051】
出口として一次フィルタの排出口を使用する能率化アセンブリ上の冗長フィルタの完全性試験
伝統的な従来技術のアセンブリと比較すると、能率化冗長濾過アセンブリは、冗長フィルタの下流にバリアフィルタを含まない。したがって、加圧空気の直接的な出口はない。結果として、完全性試験の間、加圧空気のために異なる出口が選択されなければならない。表2および
図10に示されるように、一次フィルタの下流のバリアフィルタを使用することは、試験の成功につながらない。
【0052】
図11は、能率化冗長濾過アセンブリの冗長最終充填フィルタの完全性試験中の加圧空気の流れ方向を示す。
図11は、冗長フィルタの完全性試験中の加圧空気の流れ方向を示し、これにより、一次フィルタ上のAMPPベントポートは空気の最終出口として使用される。一次フィルタを完全性試験した後、一次フィルタと冗長フィルタとの間に配置されたクランプが取り外される。加えて、アセンブリの残部は、一次フィルタを通して重力排水される。アセンブリが水平であり、重力排水が効率的ではない場合、アセンブリ内の液体を排水するために、(バブルポイントよりも著しく低い)非常に低い圧力でのブローダウンが実行され得ることができる。アセンブリからあらゆる湿潤液を排水した後、一次フィルタ上のAMPPベントポートが開放される。この設定の結果として、加圧空気は主に冗長フィルタの入口を通り、続いてAMPPベントポートを介して冗長フィルタを通って移動する。空気は、冗長フィルタを出て行き、アセンブリを出て行く前に一次フィルタ上のAMPPベントポートを通って移動する。
【0053】
【0054】
表3は、加圧空気の移動方向が
図11に示される通りであるときの、冗長フィルタの完全性試験の結果を示す。自動試験機は、50PSIの指定されたバブルポイントよりも高いバブルポイント測定値で予想された通りの結果を示し、完全性試験に合格した。
【0055】
図12は、冗長フィルタの完全性試験中の加圧空気の流れ方向の或る実施形態を示し、これにより、一次フィルタ上のAMPPベントポートは空気の最終出口として使用される。しかしながら、
図11に示されるアセンブリと比較して、
図12のアセンブリは、空気がアセンブリを出るための追加のポートおよびガスフィルタを含む。
【0056】
図13は、能率化冗長濾過アセンブリの或る実施形態における一次フィルタおよび冗長フィルタの上流の圧力センサを使用して測定された、時間の関数としての圧力変化を示す。
図13は、アセンブリ上の両方のフィルタの上流の圧力トレースを示す。加圧空気はアセンブリ上の一次フィルタのAMPPベントポートを出て行くことができるので、一次フィルタは空気の制限を設けず、完全性試験は成功のうちに完了する。予想されたとおり、50PSIよりも高いバブルポイントが測定され、試験に合格した。圧力トレースによって示されるように、一次フィルタの上流の圧力は約0PSIを維持し、冗長フィルタの上流の圧力は、
図10に示されるバブルポイントよりも著しく高く超過することはない。予想外に、完全性試験のこの方法は、冗長フィルタの下流にバリアフィルタまたはガスフィルタがないにもかかわらず機能する。本方法は、伝統的なアセンブリの異なる実施形態でも使用されることができる。
【0057】
入口として完全性試験機接続部を使用し、出口として一次フィルタの完全性試験機接続部を使用する、伝統的なアセンブリ上の冗長フィルタの完全性試験
図14は、伝統的な冗長濾過アセンブリの変形例の冗長最終充填フィルタの完全性試験中の加圧空気の流れ方向の或る実施形態を示す。
図14は、冗長フィルタの完全性試験中の加圧空気の流れ方向を示し、これにより、一次フィルタの給気口は空気の最終出口として使用される。この構成の結果として、加圧空気は冗長フィルタの入口を通り、続いてAMPPベントポートを経て冗長フィルタを通って移動する。空気は、冗長フィルタを出て行き、一次フィルタ用の空気の入口を通って移動する。この流路は、冗長フィルタの下流のバリアフィルタを取り外すことを可能にし得る。
【0058】
入口として冗長フィルタの完全性試験機接続部を使用し、出口として一次フィルタの完全性試験機接続部を使用する、能率化アセンブリ上の冗長フィルタの完全性試験
図15は、能率化冗長濾過アセンブリの冗長最終充填フィルタの、完全性試験中の加圧空気の流れ方向を示す。
図15は、冗長フィルタの完全性試験中の加圧空気の流れ方向を示し、これにより、空気は、一次フィルタ用の完全性試験機接続部を出るために、ガスフィルタを通り、冗長フィルタを通って冗長フィルタ用の完全性試験機接続部から移動する。この構成の結果として、加圧空気は冗長フィルタの入口を通り、続いてAMPPベントポートを経て冗長フィルタを通って移動する。空気は、冗長フィルタを出て行き、一次フィルタのAMPPベントポートを経て一次フィルタ用の完全性試験機接続部の入口を通って移動する。
【0059】
入口として冗長フィルタの完全性試験機接続部を使用し、出口として一次フィルタのAMPPへの追加のガスフィルタ接続部を使用する、能率化アセンブリ上の冗長フィルタの完全性試験
図16は、能率化冗長濾過アセンブリの冗長最終充填フィルタの、完全性試験中の加圧空気の流れ方向を示す。
図16は、冗長フィルタの完全性試験中の加圧空気の流れ方向を示し、これにより、空気は、そのAMPPを通って一次フィルタに接続された追加のガスフィルタを出て行くために、ガスフィルタを通り、冗長フィルタを通って冗長フィルタ用の完全性試験機接続部から移動する。この構成の結果として、加圧空気は冗長フィルタの入口を通り、続いてAMPPベントポートを経て冗長フィルタを通って移動する。空気は、冗長フィルタを出て行き、一次フィルタのAMPPベントポートを経て、提供された追加のガスフィルタを通って移動する。
【0060】
空気源の製品入口、および出口としての一次フィルタの排出口を使用する、能率化アセンブリ上の冗長フィルタの完全性試験
図17は、冗長フィルタを試験する方法の或る実施形態を示し、ここでは空気がフィルタの入口を通って入り、フィルタ内を移動し、一次フィルタの排出口を出て行く。
図17は、能率化冗長濾過アセンブリの或る実施形態の、冗長最終充填フィルタの完全性試験中の加圧空気の流れ方向を示す。
【0061】
空気源の製品入口、および出口としての一次フィルタの排出口を使用する、能率化アセンブリ上の冗長フィルタの完全性試験
図18は、冗長フィルタを試験する方法の或る実施形態を示し、ここでは空気がフィルタの入口を通って入り、フィルタ内を移動し、一次フィルタの排出口を出て行く。
図18は、能率化冗長濾過アセンブリの或る実施形態の冗長最終充填フィルタの完全性試験中の加圧空気の流れ方向を示す。
【0062】
空気源の製品入口、および出口としての一次フィルタの排出口を使用する、伝統的なアセンブリ上の冗長フィルタの完全性試験
図19は、冗長フィルタを試験する方法の或る実施形態を示し、ここでは空気がフィルタの入口を通って入り、フィルタ内を移動し、一次フィルタ用の給気口を通ってアセンブリを出て行く。
図19は、本開示の或る実施形態による、冗長濾過アセンブリの或る実施形態の冗長最終充填フィルタの完全性試験中の加圧空気の流れ方向を示す。
【0063】
或る実施形態では、各容器は、その内部に部分的にまたは完全に、容器内に含まれる1つ以上の液体、気体、および/または固体を混合、分散、均質化、および/または循環させるためのインペラアセンブリを含む。
【0064】
本明細書に列挙される定式化のすべての範囲は、その間の範囲を含み、終点を包含または除外することができる。任意選択的に含まれる範囲は、列挙された規模、または次に小さい規模の、その間の(または1つの元の終点を含む)整数値からのものである。例えば、下限範囲値が0.2である場合、任意選択的に含まれる終点は0.3、0.4、...、1.1、1.2など、ならびに1、2、3などとすることができ、より高い範囲が8である場合、任意選択的な含まれる終点は7、6など、ならびに7.9、7.8などであり得る。3以上などの片側境界も同様に、列挙された規模または1つ低い規模の整数値から始まる一貫した境界(または範囲)を含む。例えば、3以上は、4または3.1以上を含む。
【0065】
本明細書を通して、「1つの実施形態」、「特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」、「或る実施形態」、または「一実施形態」への言及は、実施形態に関連して記載された特徴、構造、材料、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを示す。したがって、本明細書全体を通して、「1つ以上の実施形態では」、「特定の実施形態では」、「1つの実施形態では」、「或る実施形態」、または「一実施形態では」などの語句の出現は、必ずしも同じ実施形態を指しているわけではない。
【0066】
或る実施形態が上述されてきたが、他の実装形態および適用もまた、以下の特許請求の範囲に含まれる。本明細書は、或る実施形態を参照して記載しているが、これらの実施形態は、本開示内に記載される技術の原理および適用を説明しているに過ぎないことを理解されたい。したがって、説明的な実施形態に対して多くの修正がなされてもよいこと、ならびに本開示による実施形態の要旨および範囲から逸脱することなく他の配置およびパターンが考案され得ることを、さらに理解されたい。さらに、特定の特徴、構造、材料、または特性は、実施形態のいずれか1つ以上において任意の適切な方法で組み合わせられてもよい。
【0067】
本明細書で引用された特許公報、特許出願、および他の非特許文献は、あたかも個々の刊行物または参考文献が完全に明記されているように参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように、引用された部分全体において、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本出願が優先権を主張するいずれの特許出願もまた、刊行物および参考文献について上述されるように、参照により本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】