(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-14
(54)【発明の名称】高いコア:壁比を有する送達粒子を含む消費者製品
(51)【国際特許分類】
C11D 17/08 20060101AFI20231207BHJP
C11D 7/22 20060101ALI20231207BHJP
C11D 7/26 20060101ALI20231207BHJP
C11D 3/50 20060101ALI20231207BHJP
C11D 7/32 20060101ALI20231207BHJP
C11D 7/14 20060101ALI20231207BHJP
C11D 7/34 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
C11D17/08
C11D7/22
C11D7/26
C11D3/50
C11D7/32
C11D7/14
C11D7/34
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023531028
(86)(22)【出願日】2022-07-13
(85)【翻訳文提出日】2023-05-23
(86)【国際出願番号】 US2022073666
(87)【国際公開番号】W WO2023288239
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】スメツ、ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】ジュークス、アマンダ・カイザー
(72)【発明者】
【氏名】トルヒージョ、ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】ピンテンス、アン
(72)【発明者】
【氏名】チャカル、ファディ・セリム
(72)【発明者】
【氏名】ドラハイム、イアン・アラン
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003BA12
4H003DA01
4H003DA05
4H003DA17
4H003EA03
4H003EB07
4H003EB09
4H003EB10
4H003EB13
4H003EB19
4H003EB30
4H003EB36
4H003ED02
4H003FA16
4H003FA19
4H003FA26
(57)【要約】
消費者製品補助材料と、送達粒子の群とを含む消費者製品組成物であって、送達粒子が、コア、及びコアを取り囲むポリマー壁、好ましくはポリ(メタ)アクリレートポリマー壁を含み、送達粒子のコア材料と壁ポリマーとの重量比が比較的高い(例えば、少なくとも95:5)、消費者製品組成物。かかる組成物の作製及び使用の関連方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消費者製品組成物であって、
消費者製品補助材料と、
送達粒子の群と、を含み、
前記送達粒子が、コア材料、及び前記コア材料を取り囲むポリマー壁を含み、
前記コア材料の前記ポリマー壁に対する重量比が、少なくとも95:5であり、
前記ポリマー壁が、壁形成材料から得ることができる壁ポリマーを含み、
前記壁形成材料が、構造モノマー及びフリーラジカル開始剤を含み、
前記コア材料が、有益剤及び遮蔽剤を含み、
前記有益剤が、アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤、又はこれらの組み合わせを含み、
前記遮蔽剤が、前記アルデヒド含有有益剤、前記ケトン含有有益剤、又はこれらの組み合わせと複合体を形成することができる、消費者製品組成物。
【請求項2】
前記コア材料の前記ポリマー壁に対する重量比が、少なくとも96:4、
好ましくは少なくとも97:3、より好ましくは少なくとも97.5:2.5、更により好ましくは少なくとも98:2である、請求項1に記載の消費者製品組成物。
【請求項3】
前記構造モノマーが、前記壁形成材料の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%の濃度で存在する、請求項1又は2に記載の消費者製品組成物。
【請求項4】
前記構造モノマーが、(メタ)アクリレートモノマーを含み、
好ましくは、前記(メタ)アクリレートモノマーが、少なくとも3つ、好ましくは少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は更には少なくとも6つのラジカル重合性官能基を有する多官能性(メタ)アクリレートモノマーを含むが、但し、前記ラジカル重合性基のうちの少なくとも1つ、より好ましくは少なくとも3つがアクリレート又はメタクリレートである、請求項1~3のいずれか一項に記載の消費者製品組成物。
【請求項5】
前記フリーラジカル開始剤が、ペルオキシ開始剤、アゾ開始剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料であって、
好ましくは、ペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、アルキルペルオキシド、ペルオキシエステル、ペルオキシカーボネート、ペルオキシケトン、ペルオキシジカーボネート、2,2’-アゾビス(イソブチルニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルペンタンニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロパンニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、1,1’-アゾビス(シアノシクロヘキサン)、ベンゾイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ジ(n-プロピル)ペルオキシジカーボネート、ジ(sec-ブチル)ペルオキシジカーボネート、ジ-(2-エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、1,1-ジメチル-3-ヒドロキシブチルペルオキシネオデカノエート、a-クミルペルオキシネオヘプタノエート、t-アミルペルオキシネオデカノエート、t-ブチルペルオキシネオデカノエート、t-アミルペルオキシピバレート、t-ブチルペルオキシピバレート、2,5-ジメチル2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン、t-アミルペルオキシ-2-エチル-ヘキサノエート、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルペルオキシアセテート、ジ-t-アミルペルオキシアセテート、t-ブチルペルオキシド、ジ-t-アミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、クメンヒドロペルオキシド、1,1-ジ-(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチル-シクロヘキサン、1,1-ジ-(t-ブチルペルオキシ)-シクロヘキサン、1,1-ジ-(t-アミルペルオキシ)-シクロヘキサン、エチル-3,3-ジ-(t-ブチルペルオキシ)-ブチレート、t-アミルペルベンゾエート、t-ブチルペルベンゾエート、エチル3,3-ジ-(t-アミルペルオキシ)-ブチレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、
より好ましくは、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、少なくとも1つのフリーラジカル開始剤を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の消費者製品組成物。
【請求項6】
前記有益剤が、香料原料を含み、
好ましくは、前記香料原料が、前記香料原料の少なくとも約20重量%、好ましくは少なくとも約25重量%、より好ましくは少なくとも約30重量%、より好ましくは少なくとも約40重量%、更により好ましくは少なくとも約50重量%のアルデヒド含有香料原料、ケトン含有原料、又はこれらの混合物を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の消費者製品組成物。
【請求項7】
前記遮蔽剤が、
アミン含有化合物、
ケイ素含有化合物、
硫黄含有化合物、
前記アルデヒド含有有益剤、前記ケトン含有有益剤、又はこれらの混合物と反応したときに、式(I)(式中、部分及び添え字は、本明細書に記載される通りである)によるアルキリデン含有化合物を形成する材料、
【化1】
及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の消費者製品組成物。
【請求項8】
前記遮蔽剤が、アミン含有化合物、
好ましくは、アントラニル酸メチル、アントラニル酸ジメチル、及びこれらの混合物からなる群から選択されるアミン含有化合物である、請求項1~7のいずれか一項に記載の消費者製品組成物。
【請求項9】
前記遮蔽剤が、前記有益剤の少なくとも約1重量%、好ましくは少なくとも約3重量%、より好ましくは少なくとも約5重量%の濃度で存在する、請求項1~8のいずれか一項に記載の消費者製品組成物。
【請求項10】
前記アルデヒド含有有益剤及び/又はケトン含有有益剤の少なくとも一部が、前記遮蔽剤の少なくとも一部との複合体の形態で存在し、好ましくは、前記複合体が、共有結合した化合物である、請求項1~9のいずれか一項に記載の消費者製品組成物。
【請求項11】
前記コア材料が、分配調節剤を更に含み、好ましくは前記分配調節剤が、前記コア材料の約5重量%~約55重量%の濃度で存在し、より好ましくは前記分配調節剤が、ミリスチン酸イソプロピル、植物油、変性植物油、C4~C24脂肪酸のモノ-、ジ-、及びトリ-エステル、ドデカノフェノン、ラウリン酸ラウリル、ベヘン酸メチル、ラウリン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、並びにこれらの混合物からなる群から選択され、更により好ましくは前記分配調節剤が、ミリスチン酸イソプロピルである、請求項1~10のいずれか一項に記載の消費製品。
【請求項12】
前記コア/壁送達粒子が、前記有益剤及び前記遮蔽剤を壁形成材料と組み合わせる前に、前記有益剤及び前記遮蔽剤を組み合わせる工程を含む方法によって得られる、請求項1~11のいずれか一項に記載の消費者製品組成物。
【請求項13】
前記送達粒子が、約10~約100ミクロン、好ましくは約15~約60ミクロン、より好ましくは約20~約50ミクロン、更により好ましくは約30~約40ミクロンの体積加重粒子径中央値を特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の消費者製品組成物。
【請求項14】
前記組成物が、布地ケア組成物、硬質表面洗浄組成物、食器ケア組成物、ヘアケア組成物、ボディクレンジング組成物、又はこれらの混合物、
好ましくは布地ケア組成物、好ましくは洗濯洗剤組成物、布地コンディショニング組成物、洗濯添加剤、布地前処理組成物、布地リフレッシャー組成物、又はこれらの混合物である布地ケア組成物である、請求項1~13のいずれか一項に記載の消費者製品組成物。
【請求項15】
表面の処理方法であって、請求項1~14のいずれか一項に記載の消費者製品組成物と前記表面を、
任意に、水の存在下で接触させる工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、消費者製品補助材料と、送達粒子の群とを含む消費者製品組成物に関し、送達粒子は、コア及びコアを取り囲むポリマー壁を含み、例えば、送達粒子のコア材料と壁ポリマーとの重量比は、少なくとも95:5である。本開示はまた、関連する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
コア/シェル送達粒子は、様々な消費者製品において有益剤を送達するための効率的かつ望ましい方法であり得る。典型的な送達粒子は、多くの場合、コアを取り囲むポリマー壁を含み、コアは有益剤を含む。ポリマー壁の形成は、フリーラジカル開始剤及び/又は架橋剤などの壁促進剤によって容易に又は向上させることができる。送達効率の理由から、比較的高い充填容量を有する送達粒子を使用することが望ましい場合がある(例えば、高いコア:重量比)。
【0003】
いくつかの一般的に封入される有益剤は、アルデヒド又はケトン部分などのある特定のカルボニル基を含む。例えば、デシルアルデヒド又はグラバスコン(すなわち、ネオブテノン)などの多くの香料原料は、そのような部分を含む。送達粒子が従来のコア:壁重量比(例えば、80:20又は更には90:10)を用いて作製される場合、アルデヒド含有及び/又はケトン含有有益剤は、便利にかつ効率的に封入することができる。
【0004】
しかしながら、かかる材料を含む有益剤が比較的高いコア:壁重量比(例えば、95:5以上)で封入される場合、得られる送達粒子の効率ははるかに低いことが見出されている。例えば、比較的少ない有益剤が封入され、代わりに遊離したままである場合がある。加えて、送達粒子は、消費者製品組成物において比較的高い漏出率を有し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、特にコアがアルデヒド及び/又はケトン部分を含む1つ以上の有益剤を含む場合、改善された性能を提供する高容量送達粒子を含む消費者製品が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、送達粒子の群を含む消費者製品組成物に関する。例えば、本開示は、消費者製品補助材料と、送達粒子の群とを含む消費者製品組成物に関し、送達粒子は、コア及びコアを取り囲むポリマー壁を含み、例えば、送達粒子のコア材料と壁ポリマーとの重量比は、少なくとも95:5である。
【0007】
本開示による送達粒子は、(a)コア材料及び壁形成材料を提供する工程であって、壁形成材料が構造モノマー及びフリーラジカル開始剤を含み、コア材料が有益剤及び遮蔽剤を含み、有益剤がアルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤、又はこれらの組み合わせを含み、遮蔽剤がアルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤、又はこれらの組み合わせと複合体を形成することができる、提供する工程と、(b)壁形成材料から少なくとも部分的に作製されたポリマー壁中にコア材料を封入して、コア/シェル送達粒子の群を形成する工程であって、コア材料と壁ポリマーとの重量比が少なくとも95:5である、形成する工程と、を含む方法によって得ることができる。
【0008】
本開示による送達粒子は、材料と、コア材料を取り囲むポリマー壁とを含んでもよく、コア材料のポリマー壁に対する重量比は、少なくとも95:5であり、ポリマー壁は、壁形成材料から得ることができる壁ポリマーを含み、壁形成材料は、構造モノマー及びフリーラジカル開始剤を含み、コア材料は、有益剤及び遮蔽剤を含み、有益剤は、アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤、又はこれらの組み合わせを含み、遮蔽剤は、アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤、又はこれらの組み合わせと複合体を形成することができる。
【0009】
本開示による送達粒子は、コア材料と、コア材料を取り囲むポリマー壁とを含んでもよく、コア材料のポリマー壁に対する重量比は、少なくとも95:5であり、ポリマー壁は、フリーラジカル重合プロセスによって形成され、コア材料は、有益剤及び遮蔽剤を含み、有益剤は、アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤、又はこれらの組み合わせを含み、遮蔽剤は、アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤、又はこれらの組み合わせと複合体を形成することができる。
【0010】
本開示はまた、表面を処理する方法に関し、方法は、任意に、水の存在下で、表面を、本開示による消費者製品組成物と接触させる工程を含む。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、高いコア:壁重量比を特徴とする送達粒子を含む消費者製品に関する。送達粒子は、有益剤を含むコアを含み、有益剤は、アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤、又はこれらの組み合わせを含む。送達粒子のポリマー壁は、構造壁モノマー並びにフリーラジカル開始剤及び/又は架橋剤などの壁促進材料を含む壁形成材料から形成される。
【0012】
比較的高いコア:壁重量比(例えば、95:5以上)を有する送達粒子がかかる材料から形成される場合、得られるカプセルは、消費者製品における不十分な封入効率及び/又は漏出などの比較的不十分な性能を特徴とすることが見出されている。理論に束縛されるものではないが、有益剤のアルデヒド及び/又はケトン部分は、壁形成材料と相互作用し、構造壁モノマーとのそれらの反応を阻害すると考えられる。例えば、アルデヒド、ケトン(不飽和ケトンを含む)、又はこれらの混合物を含む有益剤は、例えば、フリーラジカル開始剤及び/又は開始剤から形成された断片化ラジカルと相互作用することができ、それによって送達粒子の壁形成に干渉すると考えられる。この干渉は、特に高いコア:壁比の粒子系において発生する可能性が高く、これは、開始剤及び壁モノマーの濃度が比較的希釈されている一方で、封入される有益剤が比較的豊富であるためである。加えて、特に存在する材料の比率を考慮すると、有益剤に関連する干渉相互作用はまた、水素結合及び/又は双極子モーメント相互作用を含み得、これは開始剤だけでなく壁モノマーとも起こり得る。結果として、送達粒子は、比較的不十分なポリマー壁形成を特徴とする。
【0013】
これは、比較的低いコア:重量比を有する送達粒子についてはあまり問題ではないと考えられる。構造壁モノマーの相対量がはるかに大きいため、得られるポリマー壁は、壁促進材料の考えられる阻害にもかかわらず、十分に堅牢である。しかしながら、そのような粒子は、一般に、比較的低い、したがってあまり好ましくない充填容量を特徴とする。
【0014】
驚くべきことに、改善された高容量送達粒子が、ある特定の遮蔽剤の存在下で実質的に作製され得ることが見出された。遮蔽剤は、例えば、より強い水素結合及び双極子モーメント相互作用に起因して、及び/又は最終的に、例えばシッフ塩基及び/又はマイケル付加物の形成(部分的に又は完全に平衡状態)に起因して、アルデヒド又はケトン含有有益剤と相互作用するように選択される。このようにして、干渉有益剤(例えば、香料原料)とフリーラジカル開始剤、断片化ラジカル、又は更には壁モノマーとの相互作用が制限される。したがって、有益剤とポリマー壁作製方法との有害な相互作用が阻害され、その結果、特に比較的高いコア:壁重量比を有する送達粒子において、壁形成材料(例えば、開始剤及びモノマー)によって比較的より堅牢なポリマー壁が形成される。
【0015】
加えて、アルデヒド又はケトン含有有益剤と一時的な相互作用のみを形成する遮蔽剤を選択することが好ましい場合がある。ポリマー壁が形成された後のある時点で、遮蔽剤及び有益剤は分離することができなければならず、これにより、有益剤を解放して、目標とする物品又は表面に意図された利益が提供される。例として、ポリマー壁形成中に遮蔽剤と有益剤との間に不安定な共有結合が存在してもよいが、結合は所望のタッチポイントで破壊され得る。この分離は、消費者製品の使用前、使用中、又は使用後に、好ましくは粒子壁形成が完了した後に生じ得る。
【0016】
本開示の消費者製品、送達粒子、その構成成分、及び関連する方法は、以下でより詳細に論じられる。
【0017】
本明細書で使用するとき、特許請求の範囲で使用される場合の冠詞「a」及び「an」は、特許請求又は記載されているもののうちの1つ以上を意味すると理解される。本明細書で使用するとき、「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含んでいる(including)」という用語とは、非限定的であることを意味する。本開示の組成物は、本開示の成分を含み得る、それらから本質的になり得る、又はそれらからなり得る。
【0018】
本明細書では、「実質的に含まない(substantially free of)」又は「実質的に含まない(substantially free from)」という用語を使用する場合がある。これは、示される材料が最小限の量であり、組成物の一部を形成するように意図的にその組成物に添加されたものでないこと、又は好ましくは、分析的に検出可能な濃度で存在しないことを意味する。それは、示される材料が、意図的に含まれるその他の材料のうちの1つの中に不純物としてのみ存在する、組成物を含むことを意味する。示される材料は、存在したとしても、組成物の1重量%未満、又は0.1重量%未満、又は0.01重量%未満、又は更には0重量%の濃度で存在してもよい。
【0019】
本明細書で使用するとき、「消費者製品」は、それが販売されている形態での使用又は消費が意図され、後続する商業的製造又は修正が意図されない、ベビーケア、美容ケア、布地及びホームケア、ファミリーケア、女性用ケア、並びに/若しくはヘルスケア製品又は装置を意味する。かかる製品としては、おむつ、胸当て、ワイプ;ヒト毛髪を処理するための製品及び/又はそれに関連する方法(脱色、カラーリング、染髪、コンディショニング、シャンプー、スタイリングを含む);デオドラント及び制汗剤;パーソナルクレンジング;消費者使用のためのクリーム、ローション、及び他の局所適用製品の適用を含むスキンケア;並びにシェービング製品、布地、硬質表面、並びに布地及びホームケア分野の任意の他の表面を処理するための製品及び/又はそれに関連する方法(空気ケア、自動車ケア、食器洗浄、布地コンディショニング(柔軟化を含む)、洗濯洗剤、洗濯及びすすぎ用添加剤及び/又はケア、硬質表面洗浄及び/又は処理、並びに消費者又は事業者使用のための他の洗浄を含む);トイレットペーパー、ティッシュ、紙製ハンカチ、及び/又はペーパータオルに関連する製品及び/又は方法;タンポン、女性用ナプキン;成人用失禁製品;口腔ケアに関連する製品及び/又は方法であって、練り歯磨き、歯磨きジェル、歯すすぎ剤、入れ歯粘着剤、歯ホワイトニング剤を含むもの;咳及び風邪の治療薬を含む、処方箋不要のヘルスケア;防除製品;並びに浄水が挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
本明細書で使用するとき、「布地ケア組成物」という語句とは、布地を処理するために設計された組成物及び配合物を含む。このような組成物としては、洗濯洗浄組成物及び洗剤、布地軟化組成物、布地向上組成物、布地消臭組成物、洗濯前洗浄剤、洗濯前処理剤、洗濯添加剤、スプレー製品、ドライクリーニング剤又は組成物、洗濯すすぎ添加剤、洗浄添加剤、すすぎ後布地処理剤、アイロン助剤、単位用量配合物、遅延送達配合物、多孔質基材又は不織布シート上又は中に含まれる洗剤、及び本明細書の教示を考慮して当業者に明らかであり得る他の好適な形態が挙げられるが、これらに限定されない。このような組成物は、洗濯前処理剤、洗濯後処理剤として使用することができ、又は洗濯操作のすすぎ若しくは洗浄サイクル中に添加することができる。
【0021】
本明細書で使用するとき、「(メタ)アクリレート」又は「(メタ)アクリル」という用語への言及は、指定されたモノマー、オリゴマー、及び/又はプレポリマーのアクリレート及びメタクリレートバージョンの両方を意味するものとして理解すべきである。例えば、「アリル(メタ)アクリレート」は、アリルメタクリレート及びアリルアクリレートの両方の可能性があることを示し、同様に、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルへの言及は、アクリル酸のアルキルエステル及びメタクリル酸のアルキルエステルの両方の可能性があることを示し、同様に、ポリ(メタ)アクリレートは、ポリアクリレート及びポリメタクリレートの両方の可能性があることを示す。ポリ(メタ)アクリレート材料は、例えば、ポリエステルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン及びポリウレタンポリ(メタ)アクリレート(特に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと、ポリイソシアネート又はウレタンポリイソシアネートとの反応によって調製されるもの)、メチルシアノアクリレート、エチルシアノアクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート官能性シリコーン、ジ-、トリ-、及びテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジ(ペンタメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、エチレンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジグリセロールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジクロロアクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、並びに様々な多官能性(メタ)アクリレートを含む、広範なポリマー材料を包含することを意図する。単官能性(メタ)アクリレート、すなわち、1つの(メタ)アクリレート基のみを含むものも、有利に使用され得る。典型的なモノ(メタ)アクリレートとしては、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、p-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、クロロベンジル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリレート、様々なアルキル(メタ)アクリレート、及びグリシジル(メタ)アクリレートが挙げられる。(メタ)アクリレート又はそれらの誘導体との混合物、並びに1つ以上の(メタ)アクリレートモノマー、オリゴマー、及び/若しくはプレポリマーの組み合わせ又はそれらの誘導体と、アクリロニトリル及びメタアクリロニトリルを含むその他のコポリマー化可能なモノマーとの混合物も、同様に使用されてもよい。
【0022】
本明細書で使用するとき、「送達粒子」、「粒子」、「封入体」、「マイクロカプセル」、及び「カプセル」は、別途示されない限り、交換可能に使用される。本明細書で使用するとき、これらの用語は、典型的には、コア/シェル送達粒子を指す。
【0023】
本明細書及び特許請求の範囲における参照を容易にするために、送達粒子の壁ポリマーを形成する構造材料に関して本明細書で使用される「モノマー(monomer)」又は「モノマー(monomers)」という用語は、モノマー(monomers)として理解されるべきであるが、特定のモノマーから形成されるオリゴマー及び/又はプレポリマーも含む。
【0024】
本明細書で使用するとき、「フリーラジカル開始剤(initiator)」、「フリーラジカル開始剤(initiating agent)」、「開始剤(initiator)」、及び「開始剤(initiating agent)」という用語は、別途示されない限り、交換可能に使用される。
【0025】
別途注記がない限り、全ての構成成分又は組成物の濃度は、その構成成分又は組成物の活性部分に関するものであり、このような構成成分又は組成物の市販の供給源に存在する場合のある不純物、例えば、残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0026】
本明細書における全ての温度は、別途示されない限り、摂氏(℃)である。別途明示されない限り、本明細書における全ての測定は、20℃及び大気圧下で実施される。
【0027】
本開示の全ての実施形態では、全てのパーセンテージは、別途具体的に記載のない限り、全組成物の重量に対するものである。別途具体的に記載のない限り、全ての比率は重量比である。
【0028】
本明細書の全体を通して与えられる全ての最大数値制限は、全てのより低い数値制限を、そのようなより低い数値制限が本明細書に明示的に記載されているのと同程度で、含むことが理解されるべきである。本明細書の全体を通して与えられる全ての最小数値制限は、全てのより高い数値制限を、そのようなより高い数値制限が本明細書に明示的に記載されているのと同程度で、含むものとする。本明細書の全体を通して与えられる全ての数値範囲は、そのような広い数値範囲内に入るあらゆる狭い数値範囲を、そのような狭い数値範囲が全て本明細書に明示的に記載されているのと同程度で、含むものとする。
【0029】
消費者製品組成物
本開示は、消費者製品組成物(又は本明細書で使用するとき、単に「組成物」)に関する。本開示の組成物は、送達粒子の群及び消費者製品補助材料を含み得、それぞれ以下により詳細に記載される。
【0030】
本開示の消費者製品組成物は、ベビーケア、美容ケア、布地ケア、ホームケア、ファミリーケア、女性用ケア、及び/又はヘルスケア用途に有用であり得る。消費者製品組成物は、布地、毛髪、又は皮膚などの表面を処理するのに有用であり得る。消費者製品組成物は、それが販売される形態で使用又は消費されることを意図していてもよい。消費者製品組成物は、その後の商業的製造又は修正を意図していなくてもよい。
【0031】
消費者製品組成物は、布地ケア組成物、硬質表面クリーナー組成物、食器ケア組成物、ヘアケア組成物(シャンプー又はコンディショナーなど)、ボディクレンジング組成物、又はこれらの混合物であってもよい。
【0032】
消費者製品組成物は、洗濯洗剤組成物(強力液体洗浄洗剤又は単位用量物品を含む)、布地コンディショニング組成物(液体布地柔軟化及び/又は向上組成物を含む)、洗濯用添加剤、布地前処理組成物(スプレー、注げる液体、又はスプレーを含む)、布地リフレッシャー組成物(スプレーを含む)、又はこれらの混合物などの布地ケア組成物であってもよい。
【0033】
組成物は、美容ケア組成物、例えば、ヘアトリートメント製品(シャンプー及び/又はコンディショナーを含む)、スキンケア製品(クリーム、ローション、又は消費者使用のための他の局所適用製品を含む)、シェービングケア製品(シェービングローション、フォーム、又はシェービング前若しくはシェービング後トリートメントを含む)、パーソナルクレンジング製品(液体ボディー洗浄剤、液体手洗い石鹸、及び/又は固形石鹸を含む)、デオドラント及び/若しくは制汗剤、又はこれらの混合物であってもよい。
【0034】
組成物は、空気ケア、カーケア、食器洗浄、硬質表面洗浄及び/又は処理、並びに消費者又は業務用の他の洗浄などのホームケア組成物であり得る。
【0035】
消費者製品組成物が、液体組成物、顆粒状組成物、ヒドロコロイド、単区画パウチ、多区画パウチ、溶解性シート、トローチ若しくはビーズ、繊維物品、錠剤、スティック、バー、フレーク、フォーム/ムース、不織シート、又はこれらの混合物の形態であり得る。
【0036】
組成物は、液体の形態であってもよい。液体組成物は、組成物の約30重量%から、又は約40重量%から、又は約50重量%から、約99重量%まで、又は約95重量%まで、又は約90重量%まで、又は約75重量%まで、又は約70重量%まで、又は約60重量%までの水を含み得る。液体組成物は、液体洗濯洗剤、液体布地柔軟剤、液体食器洗剤、ヘアシャンプー、ヘアコンディショナー、又はこれらの混合物であり得る。
【0037】
組成物は、固体の形態であり得る。固体組成物は、粉末状又は顆粒状組成物であってもよい。かかる組成物は、凝集されても、又は噴霧乾燥されてもよい。かかる組成物は、複数の顆粒又は粒子であって、そのうちの少なくともいくつかは、異なる組成物を含む、複数の顆粒又は粒子を含んでいてよい。組成物は、漂白剤を含んでもよい粉末状又は顆粒状洗浄組成物であってよい。組成物は、ビーズ又はトローチの形態であってもよく、それらは液体溶融物から成形錠剤化されたものであり得る。組成物は、押出成形された製品であり得る。
【0038】
組成物は、錠剤、パウチ、シート、又は繊維物品などの単位用量物品の形態であってもよい。このようなパウチは、典型的には、組成物を少なくとも部分的に封入する水溶性フィルム、例えば、ポリビニルアルコール水溶性フィルムを含む。好適なフィルムは、MonoSol,LLC(Indiana,USA)から入手可能である。組成物は、単区画パウチ又は多区画パウチに封入することができる。多区画パウチは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は少なくとも4つの区画を有してもよい。多区画パウチは、並べて及び/又は重ねて配置された区画を含んでもよい。パウチ又はその区画に収容される組成物は、液体、固体(粉末など)、又はこれらの組み合わせであってもよい。パウチにした組成物は、比較的少量の水、例えば、洗剤組成物の約20重量%未満、又は約15重量%未満、又は約12重量%未満、又は約10重量%未満、又は約8重量%未満の水を有してもよい。
【0039】
組成物は、スプレーの形態であってもよく、例えば、トリガースプレー及び/又はバルブを有するエアロゾル容器を介してボトルから分配されてもよい。
【0040】
組成物は、20秒-1及び21℃で、1~1500センチポアズ(1~1500mPa・s)、100~1000センチポアズ(100~1000mPa・s)、又は200~500センチポアズ(200~500mPa・s)の粘度を有し得る。
【0041】
送達粒子及び消費者製品補助材料などの組成物の追加の構成成分及び/又は特徴は、以下でより詳細に論じられる。
【0042】
送達粒子の群
本開示の消費者製品組成物は、送達粒子の群を含む。
【0043】
組成物は、組成物の約0.05重量%~約20重量%、又は約0.05重量%~約10重量%、又は約0.1重量%~約5重量%、又は約0.2重量%~約2重量%の送達粒子を含んでもよい。組成物は、組成物の約0.05重量%~約10重量%、又は約0.1重量%~約5重量%、又は約0.1重量%~約2重量%の有益剤を提供するのに十分な量の送達粒子を含み得、有益剤は、好ましくは香料原料であり得、送達粒子のコアに封入されて組成物に提供される。本明細書で送達粒子の量又は重量パーセンテージが論じられる場合、それは、壁材料とコア材料との合計を意味する。
【0044】
送達粒子は、典型的には、コア及びポリマー壁(又は本明細書で使用される場合、単に「壁」)を含み、ポリマー壁はコアを取り囲む。以下でより詳細に記載されるように、コアは、有益剤、遮蔽剤、及び任意に、分配調節剤を含んでもよく、壁は、構造モノマー及びフリーラジカル開始剤などの壁形成材料から誘導可能な壁ポリマーを含む。
【0045】
送達粒子は、(a)コア材料及び壁形成材料を提供する工程であって、壁形成材料が構造モノマー及びフリーラジカル開始剤を含み、コア材料が有益剤及び遮蔽剤を含み、有益剤がアルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤、又はこれらの組み合わせを含み、遮蔽剤がアルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤、又はこれらの組み合わせと複合体を形成することができる、提供する工程と、(b)コア材料を、壁形成材料から少なくとも部分的に作製されたポリマー壁に封入して、コア/シェル送達粒子の群を形成する工程であって、コア材料と壁ポリマーとの重量比が少なくとも95:5である、形成する工程と、を含む方法によって得ることができる。
【0046】
本開示において、遮蔽剤が関連有益剤「と複合体を形成することができる」とは、化学反応、双極子-双極子、モーメント、水素結合など、好ましくは化学反応を含む、遮蔽剤と関連有益剤との間の任意の好適な相互作用を意味する。問題の有益剤の少なくとも一部及び遮蔽剤の一部分は、好ましくは共有結合した化合物を含み得る複合体として存在してもよく、これは、かかる化合物が貯蔵及び/又は処理条件中に比較的安定であるためである。
【0047】
本開示の送達粒子は、コア材料と、コア材料を取り囲むポリマー壁とを含んでもよく、コア材料のポリマー壁に対する重量比は、少なくとも95:5であり、ポリマー壁は、壁形成材料から得ることができる壁ポリマーを含み、壁形成材料は、構造モノマー及びフリーラジカル開始剤を含み、コア材料は、有益剤及び遮蔽剤を含み、有益剤は、アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤、又はこれらの組み合わせを含み、遮蔽剤は、アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤、又はこれらの組み合わせと複合体を形成することができる。
【0048】
本開示の送達粒子は、コア材料と、コア材料を取り囲むポリマー壁とを含んでもよく、コア材料のポリマー壁に対する重量比は、少なくとも95:5であり、ポリマー壁は、フリーラジカル重合プロセスによって形成され、コア材料は、有益剤及び遮蔽剤を含み、有益剤は、アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤、又はこれらの組み合わせを含み、遮蔽剤は、アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤、又はこれらの組み合わせと複合体を形成することができる。
【0049】
送達粒子は、約10~約100ミクロン、好ましくは約15~約60ミクロン、より好ましくは約20~約50ミクロン、更により好ましくは約30~約40ミクロンの体積加重粒子径中央値を特徴とし得る。粒子径は、以下の試験方法の章に提供する手順に従って決定される。
【0050】
送達粒子の群は、以下:(i)約1ミクロン~約15ミクロンの5パーセンタイル体積加重粒子径、(ii)約30ミクロン~約50ミクロンの50パーセンタイル(中央値)体積加重粒子径、(iii)約40ミクロン~約80ミクロンの90パーセンタイル体積加重粒子径、又は(iv)これらの組み合わせ、のうちの1つ以上を特徴とし得る。
【0051】
送達粒子は、破壊強度を特徴とし得る。破壊強度は、以下の試験方法の章に提供する手順に従って決定される。送達粒子の群は、約0.2MPa~約30MPa、又は約0.4MPa~約10MPa、又は約0.6MPa~約5MPa、又は更には約0.8MPa~約4MPaの平均破壊強度(破壊強度は、群の中央値/d50径でいくつかのカプセルにわたって測定される)を特徴とし得る。送達粒子の群は、約0.2MPa~約10MPa、又は約0.5MPa~約8MPa、又は約0.5MPa~約6MPa、又は約0.5MPa~約5MPa、又は約0.7MPa~約4MPa、又は約1MPa~約3MPaの平均破壊強度を特徴とし得る。送達粒子の群は、約0.2MPa~約10MPa、好ましくは約0.5MPa~約8MPa、より好ましくは約0.5MPa~約5MPaの平均破壊強度を特徴とし得る。これらのレベルのd50での平均破壊強度を有する送達粒子は、本開示による組成物で処理された布地などの表面に典型的な1つ以上のタッチポイントで良好に機能すると考えられる。
【0052】
以下でより詳細に記載されるように、本開示の送達粒子は、コアと、コアを取り囲むポリマー壁とを含む。高いコア:壁比を有する送達粒子:は、有益剤をより効率的に送達することができ、同量の有益剤を送達するためにより少ない壁材料しか必要としない。更に、送達粒子は、比較的高い充填量の有益剤を有するため、より少ない送達粒子材料が、特定の組成物に必要とされ得、コストを節約し、かつ/又は製剤空間を解放する。
【0053】
本開示の送達粒子は、コア対ポリマー壁重量比(また本明細書で使用されるとき、「コア:ポリマー壁比」、「コア壁比」、「コア:壁比」、又は更には「C:W比」)を特徴とし得る。比較的高いコア:壁比は、典型的には、粒子の送達効率又は相対的ペイロードを増加させるために好ましい。しかしながら、この比が高すぎると、カプセルが脆くなりすぎるか又は漏れやすくなり、最適以下の性能をもたらす可能性がある。
【0054】
本明細書で使用するとき、コア:ポリマー壁比は、ポリマー壁を構成する反応した壁形成材料(例えば、構造モノマー及び壁促進剤)の重量に基づいて計算されるものとして理解され、計算の目的のために、計算において捕捉された乳化剤などの捕捉された非構造材料を除外する。計算は、出発投入物、すなわち投入モノマー及び壁促進剤の量に基づく。サンプルコア:壁ポリマー比の計算は、以下の実施例1に例示される。開始投入物の量が容易に利用可能でない場合、コア:壁比は、試験方法の章で提供されるコア:壁比手順の分析的決定に従って決定される。
【0055】
送達粒子、好ましくは送達粒子の群は、少なくとも約95:5、好ましくは少なくとも約96:4、より好ましくは少なくとも約97:3、更により好ましくは少なくとも約98:2、更により好ましくは少なくとも約99:1のコア:ポリマー壁の重量比を特徴とし得る。送達粒子、好ましくは送達粒子の群は、約95:5~約99.5:0.5、好ましくは約96:4~約99.5:0.5、より好ましくは約96:4~約99:1、より好ましくは約97:3~約99:1、更により好ましくは約98:2~約99:1のコア対ポリマー壁の重量比を特徴とし得る。コア対ポリマー壁の重量比は、好ましくは約95:5~約99.5:0.5、より好ましくは約96:4~約99:1、より好ましくは約97:3~約99:1、更により好ましくは約97:3~約98:2であり得る。上述のように、かかる比は、充填効率と粒子性能又は特徴(例えば、低い漏出及び/又は十分な破壊強度)とのバランスを取ろうとするものである。
【0056】
本開示の送達粒子に関連する構成成分及び方法は、以下でより詳細に記載される。
【0057】
A.ポリマー壁
本開示の送達粒子は、コアを取り囲むポリマー壁を含む。本明細書で使用するとき、「ポリマー壁」、「壁」、及び「シェル」という用語は、別途示されない限り、交換可能に使用されることに留意されたい。
【0058】
ポリマー壁は、壁ポリマーを含み得る。壁ポリマーは、壁形成材料から得ることができるか、又は形成することができる。これらの材料については、以下でより詳細に論じる。
【0059】
1.壁ポリマー
ポリマー壁は、壁ポリマーを含み得る。壁ポリマーは、壁形成材料から得ることができるか、又は形成することができる。壁形成材料は、典型的には、構造モノマー及び1つ以上のフリーラジカル開始剤を含む。
【0060】
壁ポリマーは、好ましくはフリーラジカル重合反応によって形成することができる。かかる壁は、1つ以上(好ましくは3~6つ)のラジカル重合性基及び1つ以上(好ましくは2つ)のフリーラジカル開始剤を有する構造モノマーから形成され得る。
【0061】
壁ポリマーは、好ましくはポリ(メタ)アクリレートポリマーを含む。
【0062】
a.構造モノマー
壁ポリマーは、部分的に構造モノマーから形成される。構造モノマーは、重量で壁ポリマーの主要部、好ましくは大部分を形成することができる。上で示したように、本明細書で使用するとき、「モノマー」は、モノマー、オリゴマー、及びプレポリマー(実質的に壁ポリマーを形成するために使用されるビルディングブロック)を含む。
【0063】
構造モノマーの少なくとも一部、好ましくは全ては、油溶性又は油分散性であってもよい。油溶性又は油分散性であることは、特に有益剤も香油などの油溶性又は油分散性である場合、便利に封入方法を容易にする。構造モノマーは、油溶性又は油分散性多官能性モノマーであり得る。構造モノマーは、(メタ)アクリレートモノマーを含み得、これは、油溶性又は油分散性(メタ)アクリレートモノマーを含み得る。
【0064】
ポリマー壁が、少なくとも部分的に、油溶性又は油分散性構造モノマーに由来する場合、ポリマー壁は、更に、親水性官能基を含み得る水溶性又は水分散性単官能性又は多官能性モノマーに由来し得る。好適な親水性基としては、アミン基又はカルボキシル基を挙げることができる。
【0065】
構造モノマーは、壁形成材料の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%の濃度で存在し得る。
【0066】
構造モノマーは、(メタ)アクリレートモノマーを含み得る。上でより詳細に記載されたように、「(メタ)アクリレートモノマー」という用語は、アクリレートモノマー及びメタクリレートモノマーの両方を含むことが意図される。
【0067】
(メタ)アクリレートモノマーは、壁モノマーの少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、更により好ましくは少なくとも90重量%、更により好ましくは少なくとも95重量%の構造モノマーの濃度で存在し得る。比較的多量の(メタ)アクリレートモノマーは、望ましい特性を有する望ましいポリ(メタ)アクリレート壁材料をもたらし得る。
【0068】
構造モノマーのうちの少なくとも1つは、1つ以上のラジカル重合性基を含んでもよい。構造モノマーのうちの少なくとも1つ、好ましくは(メタ)アクリレートモノマーは、多官能性構造モノマー、好ましくは多官能性(メタ)アクリレートモノマーであってもよい。多官能性構造モノマーは、少なくとも3つのラジカル重合性官能基、好ましくは少なくとも4つ、好ましくは少なくとも5つ、好ましくは少なくとも6つ、より好ましくは正確に6つのラジカル重合性官能基を含み得る。ラジカル重合性官能基のうちの少なくとも1つ、好ましくは2つ以上は、アクリレート又はメタクリレートであってもよい。(メタ)アクリレートモノマーは、少なくとも3つ、好ましくは少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は更には少なくとも6つのラジカル重合性官能基を有する多官能性(メタ)アクリレートモノマーを含むが、但し、ラジカル重合性基のうちの少なくとも1つ、より好ましくは少なくとも3つがアクリレート又はメタクリレートである。比較的多数のラジカル重合性基を含むモノマーは、例えば、より少ないラジカル重合性基を有するモノマーから形成された壁と比較して、よりコンパクトな壁を有し、より少ない漏出などの好ましい特性を有する送達粒子をもたらすと考えられる。
【0069】
ラジカル重合性官能基は、アクリレート、メタクリレート、スチレン、アリル、ビニル、グリシジル、エーテル、エポキシ、カルボキシル、又はヒドロキシルからなる群から独立して選択され得るが、但し、ラジカル重合性基のうちの少なくとも1つはアクリレート又はメタクリレートである。好ましくは、ラジカル重合性官能基のうちの少なくとも1つ、又は少なくとも2つ、又は少なくとも3つ、又は少なくとも4つ、又は少なくとも5つ、又は少なくとも6つは、アクリレート又はメタクリレート基である。好ましくは、ラジカル重合性官能基は、各々独立して、アクリレート及びメタクリレートからなる群から選択される。これらの官能基は、他の官能基と比較して、高いコア:壁比でより少ない漏出などの好ましい特性を有する送達粒子をもたらすと考えられる。
【0070】
モノマーは、多官能性芳香族ウレタンアクリレートを含み得る。好ましくは、多官能性モノマーは、六官能性芳香族ウレタンアクリレートを含む。追加的に又は代替的に、多官能性モノマーは、多官能性脂肪族ウレタンアクリレートを含んでもよい。
【0071】
ポリマー壁の壁ポリマーは、少なくとも2つの異なる多官能性モノマー、例えば第1及びび第2の多官能性モノマー、好ましくは各々(メタ)アクリレート基を含む第1及び第2の多官能性モノマーに由来し得る。各モノマーは、好ましくは油溶性又は油分散性であり得る。第1の多官能性(メタ)アクリレートモノマーは、第2の多官能性(メタ)アクリレートモノマーと比較して、異なる数のラジカル重合性官能基を含み得る。第1及び第2の多官能性(メタ)アクリレートモノマーは、6つ(例えば、両方のモノマーが六官能性である)などの、同じ数のラジカル重合性官能基を含み得るが、それぞれのモノマーは、異なる構造又は化学を特徴とし得る。
【0072】
壁ポリマーは、3つの構造モノマーに由来し得る。ポリマー壁の壁ポリマーは、多官能性(メタ)アクリレート(好ましくは油溶性又は油分散性であり得る)、第2のモノマー、及び第3のモノマーに由来する反応生成物であり得る。好ましくは、第2のモノマーは塩基性(メタ)アクリレートモノマーを含み、第3のモノマーは酸性(メタ)アクリレートモノマーを含む。
【0073】
b.フリーラジカル開始剤
ポリマー壁の(メタ)アクリレートポリマーは、壁モノマー及び少なくとも1つのフリーラジカル開始剤に由来し得る。1つ以上のフリーラジカル開始剤は、活性化の際にフリーラジカル源を提供することができ、それによって重合を容易にして壁ポリマーを形成する。本明細書で使用するとき、「フリーラジカル開始剤」及び「フリーラジカル開始剤」という用語、更には単に「開始剤」は、別途示されない限り、交換可能に使用される。
【0074】
上述のように、フリーラジカル開始剤は、壁のポリマーを形成する構造モノマーと相互作用する。しかしながら、フリーラジカル開始剤は、封入が意図されるある特定の有益剤とも相互作用し得ると考えられる。例えば、フリーラジカル開始剤は、アルデヒド含有有益剤、ある特定のケトン含有有益剤、又はこれらの混合物と相互作用することが可能であり得る。フリーラジカル開始剤がこれらの有益剤と相互作用する場合、例えば、開始剤から形成される断片化ラジカルとの干渉に起因して、又は一時的なラジカル捕捉に起因して、フリーラジカル開始剤は、構造モノマーと相互作用するのに利用できず、壁ポリマーの形成は、特にかかる有益剤の濃度が比較的高い場合、実質的に阻害される。
【0075】
本開示のポリマー壁において、及び/又はポリマー壁を形成するために用いられるフリーラジカル重合反応において、フリーラジカル開始剤は、ポリマー壁の約1重量%~約60重量%、好ましくはポリマー壁の約5重量%~約60重量%、より好ましくは約10重量%~約60重量%、更により好ましくは約20重量%~約60重量%、好ましくは約20重量%~約50重量%、より好ましくは約20重量%~約45重量%、更により好ましくは約20重量%~約35重量%の濃度で存在し得る。好ましい濃度のフリーラジカル開始剤を使用することにより、特に所与のコア:重量比において、最も堅牢な壁が得られると考えられる。
【0076】
フリーラジカル開始剤は、2つ以上のフリーラジカル開始剤を含み得る。壁ポリマーは、好ましくは、少なくとも2つのフリーラジカル開始剤、例えば、第1のフリーラジカル開始剤及び第2のフリーラジカル開始剤に由来し得る。第1のフリーラジカル開始剤及び第2のフリーラジカル開始剤は、約5:1~約1:5、又は好ましくは約3:1~約1:3、又はより好ましくは約2:1~約1:2、又は更により好ましくは約1.5:1~約1:1.5の重量比で存在してもよい。
【0077】
フリーラジカル開始剤は、油溶性又は油分散性フリーラジカル開始剤を含み得る。フリーラジカル開始剤は、水溶性又は水分散性フリーラジカル開始剤を含み得る。フリーラジカル開始剤は、油溶性又は油分散性フリーラジカル開始剤(例えば、第1のフリーラジカル開始剤として)及び水溶性又は水分散性フリーラジカル開始剤(例えば、第2のフリーラジカル開始剤として)を含み得る。
【0078】
好適なフリーラジカル開始剤としては、ペルオキシ開始剤、アゾ開始剤、又はこれらの混合物を挙げることができる。より具体的には、また限定するものではないが、フリーラジカル開始剤は、ペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、アルキルペルオキシド、ペルオキシエステル、ペルオキシカーボネート、ペルオキシケトン、ペルオキシジカーボネート、2,2’-アゾビス(イソブチルニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルペンタンニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロパンニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、1,1’-アゾビス(シアノシクロヘキサン)、ベンゾイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ジ(n-プロピル)ペルオキシジカーボネート、ジ(sec-ブチル)ペルオキシジカーボネート、ジ-(2-エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、1,1-ジメチル-3-ヒドロキシブチルペルオキシネオデカノエート、a-クミルペルオキシネオヘプタノエート、t-アミルペルオキシネオデカノエート、t-ブチルペルオキシネオデカノエート、t-アミルペルオキシピバレート、t-ブチルペルオキシピバレート、2,5-ジメチル2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン、t-アミルペルオキシ-2-エチル-ヘキサノエート、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルペルオキシアセテート、ジ-t-アミルペルオキシアセテート、t-ブチルペルオキシド、ジ-t-アミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、クメンヒドロペルオキシド、1,1-ジ-(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチル-シクロヘキサン、1,1-ジ-(t-ブチルペルオキシ)-シクロヘキサン、1,1-ジ-(t-アミルペルオキシ)-シクロヘキサン、エチル-3,3-ジ-(t-ブチルペルオキシ)-ブチレート、t-アミルペルベンゾエート、t-ブチルペルベンゾエート、エチル3,3-ジ-(t-アミルペルオキシ)-ブチレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0079】
好ましいフリーラジカル開始剤には、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、又はこれらの組み合わせが含まれ得る。
【0080】
3.他の材料
他の材料がポリマー壁内又はその上に存在してもよい。例えば、ポリマー壁は、乳化剤、コーティング、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0081】
ポリマー壁は、粒子作製方法の結果として乳化剤を含んでもよい。送達粒子を作製する場合、乳化剤を任意に、好ましくは水相中に含めることができる。乳化剤は、ポリマー乳化剤であってもよい。乳化剤は、粒子作製方法中にエマルジョンを更に安定化するのに役立ち得る。送達粒子のポリマー壁の形成において、ポリマー乳化剤は、ポリマー壁材料内に捕捉され得る。ポリマー壁への乳化剤のこれらの包含は、ポリマー壁特性の修正において役立つように有用に使用され得、可撓性、漏出、強度、及び他の特性などの属性に影響を与える。したがって、送達粒子のポリマー壁は、ポリマー壁に捕捉されたポリマー乳化剤を更に含んでもよく、好ましくは、ポリマー乳化剤はポリビニルアルコールを含む。しかしながら、上に示したように、コア:壁ポリマー重量比を決定する場合、捕捉されたポリマー乳化剤は含まれない。
【0082】
有益剤送達粒子は、壁材料の重量に基づいて、約0.5%~約40%、好ましくは約0.5%~約20%、より好ましくは0.8%~5%の乳化剤を含み得る。好ましくは、乳化剤は、ポリビニルアルコール、カルボキシル化又は部分加水分解ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸の塩又はエステル、レシチン、有機スルホン酸、2-アクリルアミド-2-アルキルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ポリビニルピロリドン、N-ビニルピロリドンのコポリマー、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸とメタクリル酸とのコポリマー、及び水の表面張力を低下させる水溶性界面活性剤ポリマーからなる群から選択される。
【0083】
乳化剤は好ましくはポリビニルアルコールを含み、ポリビニルアルコールは好ましくは、約55%~約99%、好ましくは約75%~約95%、より好ましくは約85%~約90%、最も好ましくは約87%~約89%の加水分解度を有する。ポリビニルアルコールは、20℃で4%のポリビニルアルコール水溶液において、約40cps~約80cps、好ましくは約45cps~約72cps、より好ましくは約45cps~約60cps、最も好ましくは45cps~55cpsの粘度を有し得る。ポリマーの粘度は、British Standard EN ISO15023-2:2006 Annex E Brookfield Test methodに記載されるように、ULアダプタを備えたBrookfield LV型粘度計を使用して、新たに作製した溶液を測定することにより決定される。ポリビニルアルコールは、約1500~約2500、好ましくは約1600~約2200、より好ましくは約1600~約1900、最も好ましくは約1600~約1800の重合度を有し得る。ポリビニルアルコールの重量平均分子量は、約130,000ダルトン~約204,000ダルトン、好ましくは約146,000ダルトン~約186,000ダルトン、より好ましくは約146,000ダルトン~約160,000ダルトン、最も好ましくは約146,000ダルトン~約155,000ダルトンであってよく、及び/又は約65,000ダルトン~約110,000ダルトン、好ましくは約70,000ダルトン~約101,000ダルトン、より好ましくは約70,000ダルトン~約90,000ダルトン、最も好ましくは約70,000ダルトン~約80,000ダルトンの数平均分子量を有する。
【0084】
送達粒子の壁は、例えば、コアから離れた壁の外表面上にコーティングを含み得る。封入体は製造されてから、続いてコーティング材料でコーティングされてもよい。コーティングは、付着助剤として有用であり得る。コーティングは、カチオン性ポリマーなどのカチオン性材料を含み得る。しかしながら、上で示したように、壁の構造的特徴又は支持特徴ではないコーティングは、コア:壁ポリマー重量比を決定する際の計算に含まれない。
【0085】
コーティング材料の非限定的な例としては、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレン-無水マレイン酸)、ポリアミン、ワックス、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンコポリマー、ポリビニルピロリドン-エチルアクリレート、ポリビニルピロリドン-ビニルアクリレート、ポリビニルピロリドンメタクリレート、ポリビニルピロリドン/ビニルアセテート、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリシロキサン、ポリ(プロピレン無水マレイン酸)、無水マレイン酸誘導体、無水マレイン酸誘導体のコポリマー、ポリビニルアルコール、スチレン-ブタジエンラテックス、ゼラチン、アラビアガム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、その他の変性セルロース、アルギン酸ナトリウム、キトサン、カゼイン、ペクチン、化工デンプン、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル/無水マレイン酸、ポリビニルピロリドン及びそのコポリマー、ポリ(ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩化物)、ポリビニルピロリドン/ビニルアセテート、ポリビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタアクリレート、ポリビニルアミン、ポリビニルホルムアミド、ポリアリルアミン、並びにポリビニルアミン、ポリビニルホルムアミド、及びポリアリルアミンのコポリマー、並びにこれらの混合物からなる群から選択される材料が挙げられるが、これらに限定されない。コーティング材料は、カチオン性ポリマーであってもよい。コーティング材料は、ポリビニルホルムアミド、キトサン、又はこれらの組み合わせを含んでもよく、好ましくはキトサンである。
【0086】
B.コア材料
本開示の送達粒子は、コアを含む。コアは、有益剤、遮蔽剤、又はこれらの組み合わせ(例えば、反応生成物又は他の複合体)を含む。コアは、任意に、分配調節剤を含む。
【0087】
粒子のコアは、ポリマー壁によって取り囲まれている。ポリマー壁が破壊されると、コア内の有益剤(又はその複合体)が放出される。
【0088】
1.有益剤
コア内に配置される好適な有益剤としては、布地又は毛髪などの表面に利益をもたらす有益剤が挙げられ得る。
【0089】
コアは、コアの約5重量%~約99.9重量%の有益剤を含んでもよく、有益剤は、好ましくは芳香剤を含み得る。コアは、コアの約45重量%~約95重量%、好ましくは約50重量%~約80重量%、より好ましくは約50重量%~約70重量%の有益剤を含んでもよく、有益剤は、好ましくは芳香剤を含み得る。
【0090】
有益剤は、アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0091】
有益剤は、好ましくは、不飽和アルデヒド含有有益剤、不飽和ケトン含有有益剤、又はこれらの組み合わせを含み得る。更により好ましくは、有益剤は、α,β-不飽和アルデヒド含有有益剤(例えば、α,β-不飽和アルデヒド部分を含む)、α,β-不飽和ケトン含有有益剤(例えば、α,β-不飽和ケトン部分を含む)、又はこれらの組み合わせを含み得る。特に、ケトン含有有益剤は、α,β-不飽和ケトン部分を含み得る。かかる有益剤は、フリーラジカル開始剤などの本開示の粒子の壁形成材料と特に反応する可能性が高いと考えられる。
【0092】
有益剤は、芳香族ケトン含有有益剤を含み得る(例えば、有益剤は芳香族ケトン部分を含む)。かかる有益剤は、フリーラジカル開始剤などの本開示の粒子の壁形成材料と特に反応する可能性が高いと考えられる。
【0093】
アルデヒド又はケトン含有香料原料などのかかる有益剤は、洗い立て感の利益などの好ましい利益をもたらすことが知られている。しかしながら、上述のように、これらの薬剤はまた、粒子形成方法中の壁形成に干渉する可能性がある。したがって、かかる材料が存在する場合、好ましい性能プロファイルを得るために、本明細書に記載される開始剤濃度で送達粒子を形成することが特に有利である。
【0094】
有益剤は、有益剤の少なくとも約20重量%、好ましくは少なくとも約25重量%、より好ましくは少なくとも約40重量%、更により好ましくは少なくとも約50重量%のアルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0095】
有益剤は、芳香剤、シリコーンオイル、ワックス、炭化水素、高級脂肪酸、エッセンシャルオイル、潤滑油、脂質、皮膚冷却剤、ビタミン、日焼け止め剤、酸化防止剤、グリセリン、触媒、漂白剤粒子、二酸化ケイ素粒子、悪臭軽減剤、臭気制御材料、キレート化剤、帯電防止剤、柔軟剤、昆虫及び蛾駆除剤、着色剤、酸化防止剤、キレート剤、増粘剤、ドレープ及びフォーム調整剤、平滑剤、しわ抑制剤、衛生化剤、消毒剤、細菌抑制剤、カビ抑制剤、白カビ抑制剤、抗ウィルス剤、乾燥剤、耐汚染剤、汚れ放出剤、布地リフレッシュ剤及び洗い立て感維持剤、塩素漂白臭気抑制剤、染料固定剤、移染防止剤、色保持剤、蛍光増白剤、色復元/再生剤、抗退色剤、白色増強剤、抗磨耗剤、耐磨耗剤、布地一体化剤、摩耗防止剤、けば立ち防止剤、抑泡剤、消泡剤、紫外線保護剤、日褪せ阻害剤、抗アレルギー剤、酵素、防水剤、布地快適剤、耐収縮剤、耐伸剤、伸縮回復剤、スキンケア剤、グリセリン、合成又は天然活性物質、抗菌活性物質、制汗剤活性物質、カチオン性ポリマー、染料、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0096】
封入された有益剤は、好ましくは芳香剤であってもよく、これは1つ以上の香料原料を含み得る。芳香剤は、芳香剤含有粒子が複数のタッチポイントにわたって洗い立て感の利益を提供することができるため、本明細書に記載の送達粒子への封入に特に好適である。
【0097】
本明細書で使用するとき、用語「香料原料(又はPRMと略す)」は、少なくとも約100g/モルの分子量を有する化合物であって、匂い、芳香、エッセンス又は香気を、単独で又は他の香料原料とともに付与するうえで有用な化合物のことを指す。典型的なPRMは特に、アルコール、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、ナイトライト、及びアルケン、例えばテルペンなどを含む。一般的なPRMのリストは、例えば、“Perfume and Flavor Chemicals”,Vols.I and II;Steffen Arctander Allured Pub.Co.(1994)及び“Perfumes:Art,Science and Technology”Miller,P.M.and Lamparsky,D.,Blackie Academic and Professional(1994)のような様々な参照元において見出され得る。
【0098】
PRMは、常圧(760mmHg)で測定されるそれらの沸点(B.P.)と、以下の試験方法に従って決定されるlogPに関して記載され得るオクタノール/水分配係数(P)を特徴とし得る。下記でより詳細に記載されるように、これらの特徴に基づいて、PRMを、象限I、象限II、象限III、象限IVの香料として分類してもよい。
【0099】
芳香剤は、約2.5~約4のlogPを有する香料原料を含み得る。他の香料原料も芳香剤中に存在し得ることが理解される。
【0100】
香料原料は、約250℃より低い沸点(boiling point、B.P.)と約3より低いlogPとを有する香料原料、約250℃より高いB.P.と約3より高いlogPとを有する香料原料、約250℃より高いB.P.と約3より低いlogPとを有する香料原料、約250℃より低いB.P.と約3より高いlogPとを有する香料原料、及びこれらの混合物からなる群から選択される香料原料を含んでもよい。約250℃より低い沸点B.P.と約3より低いlogPとを有する香料原料は、象限I香料原料として知られる。象限I香料原料は、香料組成物の30%未満に限定されることが好ましい。約250℃より高いB.P.と約3より高いlogPとを有する香料原料は、象限IV香料原料として知られ、約250℃より高いB.P.と約3より低いlogPとを有する香料原料は、象限II香料原料として知られ、約250℃より低いB.P.と約3より高いlogPとを有する香料原料は、象限III香料原料として知られる。好適なI、II、III及びIV象限香料原料は、米国特許第6,869,923(B1)号に開示されている。
【0101】
有益剤が芳香剤を含み、好ましくは芳香剤が、芳香剤の少なくとも約20重量%、好ましくは少なくとも約25重量%、より好ましくは少なくとも約30重量%、より好ましくは少なくとも約40重量%、更により好ましくは少なくとも約50重量%のアルデヒド含有香料原料、ケトン含有香料原料、又はこれらの組み合わせを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の消費者製品組成物。好ましくは、アルデヒド及びケトン含有香料原料の量の合計は、芳香剤の約20重量%~約70重量%、より好ましくは約25重量%~約60重量%、更により好ましくは約30重量%~約60重量%である。好適な芳香剤は、芳香剤の約5重量%~約60重量%のアルデヒド含有香料原料を含み得る。好適な芳香剤は、約1重量%~約30重量%の芳香剤を含み得る。
【0102】
好ましいアルデヒド含有香料原料としては、メチルノニルアセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、フロラロゾン(floralozone);イソシクロシトラール、トリプラール(リグストラール)、プレシクレモンB(precyclemone B);リリアール(lilial);デシルアルデヒド、ウンデシレンアルデヒド、シクラメンホモアルデヒド、シクラメンアルデヒド、デュピカル、オンシダール、アドキザール;メロナール;カリプソン;アニスアルデヒド、ヘリオトロピン;クミンアルデヒド、センテナール;3,6-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒド、サテンアルデヒド、カントキザール;バニリン、エチルバニリン、ケイ皮アルデヒド;シス-4-デセナール、トランス-4-デセナール、シス-7-デセナール、トランス-2-ヘキセナール;トランス-2-オクテナール、2-ウンデセナール、2,4-ドデカデイエナール、シス-4-ヘプテナール、フローヒドラール、ブチルシンナムアルデヒド、リモネラール、アミルシンナムアルデヒド、ヘキシルシンナムアルデヒド、シトロネラール;シトラール;シス-3-ヘキセン-1-アール、オクチルアルデヒド、イントレレベンアルデヒド、ラウリンアルデヒド、メチルノニルアセトアルデヒド;アルデヒドマンダリン/トランス-2-ドセセナール、又はこれらの混合物を挙げることができる。好ましいアルデヒド含有香料原料としては、不飽和アルデヒド含有香料原料、より好ましくはα,β-不飽和アルデヒド含有香料原料が挙げられる。他の好ましいアルデヒド含有香料原料としては、芳香族アルデヒド含有香料原料を挙げることができる。
【0103】
好ましいケトン含有原料としては、ネロリオン、4-(4-メトキシフェニル)ブタン-2-オン;1-ナフタレン-2-イルエタノン、ネクタリル、トリモフィックス「O」、フルーラモン、δ-ダマスコン、β-ダマスコン、α-ダマスコン、ダマセノン、メチルイオノン、イオノンα、イオノンβ、イオノンγメチル、2-ヘキシルシクロペンタ-2-エン-1-オン;ガルバスコン/ネオブテノン、パラヒドロキシフェニルブタノン、又はこれらの混合物を挙げることができる。好ましいケトン含有香料原料としては、不飽和ケトン含有香料原料、より好ましくはα,β-不飽和ケトン含有香料原料が挙げられる。他の好ましいケトン含有香料原料としては、芳香族ケトン含有香料原料を挙げることができる。
【0104】
好適な芳香剤は、表Aに示す量のアルデヒド及びケトン含有香料原料を含み得る。
【0105】
【0106】
表A中の芳香剤のアルデヒド含有PRMは、デシルアルデヒド、オクチルアルデヒド、リグストラール/トリプラール、メロナール、センテナール、デュピカル、フロルヒドラール、シマル/シクラメンアルデヒド、イントレレベンアルデヒド、ラウリンアルデヒド、メチルノニルアセトアルデヒド、ウンデシレンアルデヒド、アルデヒドマンダリン/トランス-2-ドセセナール、又はこれらの混合物から選択され得る。かかる材料は、良好な香り及び実質的な香料アコードのために好ましい場合がある。
【0107】
表A中の芳香剤のケトン含有PRMは、ガルバスコン/ネオブテノン、パラヒドロキシフェニルブタノン、ネクタリル、δ-ダマスコン、α-ダマスコン、β-ダマスコン、ダマセノン、イオノンα、イオノンβ、イオノンγメチル、又はこれらの混合物から選択され得る。かかる材料は、良好な香り及び実質的な香料アコードのために好ましい場合がある。
【0108】
2.遮蔽剤
送達粒子のコア材料はまた、遮蔽剤を含み得る。遮蔽剤は、例えば、1つ以上の共有結合、双極子-双極子モーメント、及び/又は水素結合の形成を通じて、アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤、又はこれらの組み合わせと複合体形成することができる。遮蔽剤は、かかる有益剤/遮蔽剤複合体の一部として存在してもよい。言い換えれば、アルデヒド及びイ/又はケトン含有有益剤のうちの少なくとも一部及び遮蔽剤の一部分は、複合体として存在してもよく、これは好ましくは共有結合した化合物を含むことができ、これは、かかる化合物が貯蔵及び/又は処理条件中に比較的安定であるためである。
【0109】
複合体を形成する化合物は、送達粒子のポリマー壁が形成された後に分離され得ることが好ましい。例えば、共有結合は、形成された場合、水又は熱の存在下などのトリガー条件で破壊されてもよく、これは、好ましくは、有益剤を望ましいタッチポイントで放出する。
【0110】
上に論じられるように、適切に選択された遮蔽剤は、示された有益剤のアルデヒド及び/又はケトン部分と相互作用し、それによって、これらの有益剤と壁形成方法との相互作用を最小限に抑えると考えられる。例えば、遮蔽剤と複合体を形成することによって、有益剤は、フリーラジカル開始剤と複合体を形成するための利用可能性を低減し、これは、開始剤を遊離状態に保ち、堅牢なポリマー壁形成を容易にする。
【0111】
遮蔽剤は、コア材料の少なくとも約1重量%、好ましくは少なくとも約3重量%、より好ましくは少なくとも約5重量%の濃度で存在し得る。遮蔽剤は、コア材料の約1重量%~約25重量%、好ましくは約3重量%~約20重量%、より好ましくは約5重量%~約15重量%の濃度で存在し得る。
【0112】
遮蔽剤は、コアに封入される有益剤材料の少なくとも約1重量%、好ましくは少なくとも約3重量%、より好ましくは少なくとも約5重量%の濃度で存在し得る。遮蔽剤は、コアに封入される有益剤材料の約1重量%~約25重量%、好ましくは約3重量%~約20重量%、より好ましくは約5重量%~約15重量%の濃度で存在し得る。
【0113】
アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤、又はこれらの混合物は、遮蔽剤とともに、約10:1~約1:10、好ましくは約5:1~約1:5、より好ましくは約3:1~約1:3、更により好ましくは約2:1~約1:2の重量比で存在し得る。最終的に好ましい粒子壁をもたらすと考えられる複合体を実質的に形成することができるような比率で材料を提供することが望ましい場合がある。
【0114】
遮蔽剤、例えばアミンが遮蔽効果を最適に発揮するためには、遮蔽剤の水相における高い溶解度又は遮蔽剤の水相相互作用特性のいずれかのために、遮蔽剤が油相から水相へ移動する傾向が制限されていることが好ましい場合がある。したがって、油相(例えば、香油を有する)中に留まり、遮蔽剤として実質的に作用することができるためには、十分に高い疎水性を有する遮蔽剤が好ましい場合がある。したがって、1を超えるlogPを有するアミンなどの遮蔽剤が好ましく、1.5を超えることがより好ましく、1.7を超えることがより好ましい。
【0115】
遮蔽剤は、好ましくは、アミン含有化合物、ケイ素含有化合物、硫黄含有化合物、アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤、又はこれらの混合物と反応したときに、式(I):
【0116】
【化1】
(式中、部分及び添え字は、本明細書に記載されている通りである)によるアルキリデン含有化合物を形成する材料、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0117】
遮蔽剤は、好ましくは、アミン含有化合物(本明細書では「アミノ官能性材料」としても知られる)を含み得る。かかる化合物は、本開示のアルデヒド及び/又はケトン含有有益剤、特に香料原料との比較的高い反応性を特徴とし得るため、好ましい場合がある。
【0118】
アミン含有化合物は、モノアミン、ジアミン、又はポリアミンであり得る。アミン含有化合物は、第一級アミン部分、第二級アミン部分、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。アミン含有化合物は、好ましくは第一級アミン部分を含み得る。
【0119】
第一級アミン部分は、無機担体部分に結合していてもよい。「無機担体」とは、非炭素系又は実質的に非炭素系の骨格で構成される担体を意味する。例えば、かかる好適な化合物としては、アミノ誘導体化オルガノシラン、シロキサン、シラザン、アルマン、アルミニウムシロキサン、ケイ酸アルミニウム化合物、又はこれらの混合物のモノマー若しくはポリマー又は有機-有機ケイ素コポリマーを挙げることができる。かかる担体の典型的な例は、Chemistry and Technology of Silicone,W.Noll,Academic Press Inc.1998,London,pp 209,106)に記載される、ジアミノアルキルシロキサン[H2NCH2(CH3)2Si]O、又は有機アミノシラン(C6H5)3SiNH2のような少なくとも1つの第一級アミン部分を有するオルガノシロキサンである。好適なシリコーンは、非官能化シロキサンポリマー、官能化シロキサンポリマー、又はこれらの組み合わせを含み得る。シリコーンは、非官能化シロキサンポリマーを含み得る。(非官能化とは、存在する場合、官能基が一般に非反応性であることを意味する-例えばメチル基。)シロキサンポリマーは、ポリアルキル及び/若しくはフェニルシリコーン流体、樹脂、並びに/又はガムを含み得る。シリコーンポリマーは、アミノシリコーン、シリコーンポリエーテル、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、カチオン性シリコーン、シリコーンポリウレタン、シリコーンポリウレア、又はこれらの混合物を含み得る。シリコーンポリマーは、好ましくは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)ポリマー、アミノシリコーン、又はこれらの混合物から選択され得る。以下に記載されるように、遮蔽剤は、とりわけ、アミン含有化合物、ケイ素含有化合物、又はこれらの混合物であり得、アミノシリコーンなどの場合、遮蔽剤は、アミン基及びケイ素基を含み得ることが理解される。
【0120】
第一級アミン部分は、有機担体部分に結合され得る。例えば、かかる好適な化合物としては、アミノアリール誘導体、ポリアミン、アミノ酸及びこれらの誘導体、置換アミン及びアミド、グルカミン、デンドリマー、ポリビニルアミン及びこれらの誘導体、及び/若しくはこれらのコポリマー、アルキレンポリアミン、ポリアミノ酸及びそのコポリマー、架橋ポリアミノ酸、アミノ置換ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレンビスアミン若しくはビスアミノアルキル、アミノアルキルピペラジン及びその誘導体、直鎖若しくは分岐鎖のビス(アミノアルキル)アルキルジアミン、又はこれらの混合物を挙げることができる。
【0121】
好ましいアミノアリール誘導体は、アントラニル酸メチル、ジメチルアントラニレート(メチル2-(メチルアミノ)ベンゾエート)、4-アミノベンゾエート化合物のアルキルエステルを含むアミノ-ベンゼン誘導体であり、より好ましくはエチル-4-アミノベンゾエート、フェニルエチル-4-アミノベンゾエート、フェニル-4-アミノベンゾエート、4-アミノ-N’-(3-アミノプロピル)-ベンズアミド、それらの異性体、及びこれらの混合物から選択される。
【0122】
遮蔽剤は、ポリアミンを含み得る。好適なポリアミンには、ポリエチレンイミンポリマー、部分的にアルキル化されたポリエチレンポリマー、ヒドロキシル基を有するポリエチレンイミンポリマー、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,3ペンタンジアミン、3-ジメチルプロパンジアミン、1,2-シクロヘキサンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、トリプロピレンテトラアミン、ビス(3-アミノプロピル)ピペラジン、ジプロピレントリアミン、トリス(2-アミノエチルアミン)、テトラエチレンペンタミン、ビスヘキサメチレントリアミン、ビス(3-アミノプロピル)1,6-ヘキサメチレンジアミン、3,3’-ジアミノ-N-メチルジプロピルアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、N,N,N’,N’-テトラ(2-アミノエチル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラ(3-アミノプロピル)-1,4-ブタンジアミン、ペンタエチルヘキサミン、1,3-ジアミノ-2-プロピル-tert-ブチルエーテル、イソホロンジアミン、4,4’,-ジアミノジシクロヒルメタン、N-メチル-N-(3-アミノプロピル)エタノールアミン、スペルミン、スペルミジン、1-ピペラジンエタンアミン、2-(ビス(2-アミノエチル)アミノ)エタノール、エトキシル化N-(タローアルキル)トリメチレンジアミン、ポリ[オキシ(メチル-1,2-エタンジイル)]、a-(2-アミノメチル-エトキシ)-(=C.A.S番号9046-10-0)、ポリ[オキシ(メチル-1,2-エタンジイル)]、a-ヒドロ-)-w-(2-アミノメチルエトキシ)-、2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオールとのエーテル(=C.A.S.番号39423-51-3)、商品名Jeffamine T-403、D-230、D-400、D-2000で市販;2,2’,2”-トリアミノトリエチルアミン、2,2’-ジアミノ-ジエチルアミン、3,3’-ジアミノ-ジプロピルアミン、Mitsubishiから市販されている1,3ビスアミノエチル-シクロヘキサン、及びC12 Sternamin(プロピルアミン)n(n=3/4)のようなClariantから市販されているC12 Sternamine、並びにこれらの混合物が含まれ得る。好適なポリアミンは、LUPASOL FG(MW 800)、G20wfv(MW 1300)、PR8515(MW2000)、WF(MW25000)、FC(MW800)、G20(MW1300)、G35(MW1200)、G100(MW 2000)、HF(MW25000)、P(MW750000)、PS(MW750000)、SK(MW2000000)、SNA(MW1000000)のような商品名LUPASOLで市販されているポリエチレンイミンである。これらのうち、最も好ましいものには、LUPASOL HF又はWF(MW25000)、P(MW750000)、PS(MW750000)、SK(MW2000000)、620wfv(MW1300)、及びPR1815(MW2000)、Epomin SP-103、Epomin SP-110、Epomin SP-003、Epomin SP-006、Epomin SP-012、Epomin SP-018、Epomin SP-200、並びにAldrichの80%エトキシル化されたポリエチレンイミンのような部分的にアルコキシル化されたポリエチレンイミンが含まれ得る。
【0123】
遮蔽剤は、脂肪族アミンを含み得る。好適な脂肪族アミノ官能性材料は、好ましくは分岐鎖状であり得る。そのような材料としては、2-エチルヘキシルアミン、分岐鎖状トリデシルアミン、t-ブチルアミン、ネオペンタンジアミン(2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン)、トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2-アミノヘプタン、2-ブチルオクチルアミン、又はこれらの混合物を含み得る。
【0124】
遮蔽剤は、脂環式アミンを含み得る。好適な脂環式アミンは、以下の構造:
【0125】
【化2】
(式中、置換基R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、及びR
6は、独立して、-NH
2、-H、親水性基、アルキル基、アルケニル基、置換アルキル基、1~10個の炭素原子を有する脂環式基、又は1~10個の炭素原子を有する置換脂環式基から選択され、nは、0~3、好ましくはnは1であるが、但し、化合物は、1~3つの第一級及び/又は第二級アミン基、好ましくは1~3つの第一級アミン基、より好ましくは2つの第一級アミン基を有する)による構造を有し得る。
【0126】
上に示される脂環式アミン構造の置換基であるアルキル、アルケニル、及び/又は置換アルキル基は、存在する場合、独立して、直鎖又は分岐鎖であり得る。置換アルキル及び置換脂環式基は、存在する場合、第一級及び/又は第二級アミン基で置換され得る。
【0127】
好適な脂環式アミンとしては、以下の材料のうちのいずれか、又はこれらの混合物を挙げることができる。
【0128】
【0129】
特に好ましい脂環式アミンとしては、メチルシクロヘキサンジアミン、好ましくは、2-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン、4-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン、又はこれらの混合物を挙げることができる。
【0130】
遮蔽剤は、アミノアルコールを含み得、好ましくは、1つの第一級アミン部分又は1つの第二級アミン部分が、ヒドロキシル基から2個の炭素原子によって分離されている。ヒドロキシル基などの親水性基を有するアミノ官能性材料は、典型的には、本明細書に開示される組成物で使用するのには好ましくないが、この特定の構成を有するアミノアルコールは、有用であり得る。好ましいアミノアルコールとしては、2-(ブチルアミノ)エタノール、1-(シクロヘキシルアミノ)2-プロパノール、1-(ドデシルオキシ)-3-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-プロパノール、3-(ドデシルアミノ)-1,2-プロパンジオール、又はこれらの混合物を挙げることができる。
【0131】
別の好適なアミノ官能性材料は、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンである。
【0132】
遮蔽剤は、置換アミン、置換アミド、又はこれらの混合物を含み得る。本明細書で使用するのに好ましい置換アミン及び/又はアミドは、ニペコタミド、N-ココ-1,3-プロペンジアミン、N-オレイル-1,3-プロペンジアミン、N-(タローアルキル)-1,3-プロペンジアミン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,2’-ジアミノ-シクロヘキサン、1,12-ジアミノドデカン、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0133】
本明細書で使用するのに好適な他の第一級アミン化合物は、グルカミンであり、好ましくは2,3,4,5,6-ペンタメトキシ-グルカミン、6-アセチルグルカミン、グルカミン、及びこれらの混合物から選択される。
【0134】
また、好ましい化合物は、ポリエチレンイミン及び/又はポリプロピレンイミンデンドリマー、並びに市販されているDendritechのStarburst(登録商標)ポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマー、G0~G10世代、及びDSMのデンドリマーAstromols(登録商標)、1~5世代(ジアミノブタンポリアミンDAB(PA)xデンドリマー(x=2n×4であり、nは一般に0~4を含む))である。
【0135】
遮蔽剤は、アミノ酸又はその誘導体を含み得る。本明細書で使用するのに好ましいアミノ酸は、チロシン、トリプトファン、リジン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、アルギニン、アスパラギン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、ヒスチジン、スレオニン、メチオニン、及びこれらの混合物から選択され、最も好ましくはチロシン、トリプトファン、及びこれらの混合物から選択される。好ましいアミノ酸誘導体は、チロシンエチレート、グリシンメチレート、トリプトファンエチレート、及びこれらの混合物から選択される。
【0136】
遮蔽剤は、ポリアミノ酸を含んでもよい。ポリアミノ酸は、アミノ酸又は化学修飾アミノ酸で構成されている。それらは、アラニン、セリン、アスパラギン酸、アルギニン、バリン、スレオニン、グルタミン酸、ロイシン、システイン、ヒスチジン、リジン、イソロイシン、チロシン、アスパラギン、メチオニン、プロリン、トリプトファン、フェニルアラニン、グルタミン、グリシン、又はこれらの混合物を含み得る。化学修飾アミノ酸では、そのアミノ酸のアミン又は酸性官能基が化学試薬と反応している。これは、後続反応においてアミノ酸のこれら化学的アミン及び酸性官能基を保護する目的、又は、溶解度の改善のような特別な特性をアミノ酸に付与する目的で行うことが多い。かかる化学修飾体の例は、ベンジルオキシカルボニル、アミノ酪酸、ブチルエステル、ピログルタミン酸である。アミノ酸及びアミノ酸の小断片の一般的な修飾の更なる例は、Bachem、1996、Peptides and Biochemicals Catalogに見出すことができる。
【0137】
好ましいポリアミノ酸はポリリジンである。最も好ましいのはアミノ酸の50%超がリジンであるポリリジン又はポリアミノ酸であるが、これは、リジンの側鎖における第一級アミン官能基が、全てのアミノ酸のうちの最も反応性の高いアミンであるためである。
【0138】
好ましいポリアミノ酸は、500~10,000,000ダルトン、より好ましくは2000~25,000ダルトンの重量平均分子量を特徴とする。
【0139】
ポリアミノ酸は架橋することができる。架橋は、例えば、リジンのようなアミノ酸の側鎖におけるアミン基とアミノ酸のカルボキシル官能基との縮合、又はPEG誘導体のようなタンパク質架橋剤との縮合によって得ることができる。架橋ポリアミノ酸には、有益剤との反応に備えて、遊離した第一級及び/又は第二級アミノ基がまだ残っている必要がある。
【0140】
好ましい架橋ポリアミノ酸は、20,000~10,000,000ダルトン、より好ましくは、200,000~2,000,000ダルトンの重量平均分子量を有する。
【0141】
ポリアミノ酸又はアミノ酸は、酸、アミド、及び/又は塩化アシルなどの他の試薬と共重合することができる。より具体的には、アミノカプロン酸、アジピン酸、エチルヘキサン酸、カプロラクタム、又はこれらの混合物と共重合する。これらのコポリマーで使用されるモル比は、1:1(試薬/アミノ酸(リジン))~1:20、より好ましくは1:1~1:10の範囲であり得る。
【0142】
ポリリジンのようなポリアミノ酸は、必要な量の第一級アミノ基がポリマー中に残っていれば、部分的にエトキシル化することもできる。しかしながら、好ましくは、本明細書で利用されるアミン系化合物はエトキシル化されない。
【0143】
リジン、アルギニン、グルタミン、アスパラギンを含有するポリアミノ酸の例及び供給は、Bachem 1996,Peptides and Biochemicalsのカタログに示されている。
【0144】
ポリアミノ酸は、有益剤との反応前に、塩形態で得ることができる。例えば、ポリリジンは、ポリリジン臭化水素酸塩として供給することができる。
【0145】
少なくとも1つの第一級アミン基を含む好適なポリアミンの例としては、300~2.10E6ダルトンのMWを有するポリビニルアミン、600、1200、若しくは3000のMW及び0.5のエトキシル化度を有するアルコキシル化されたポリビニルアミン、ポリビニルアミンビニルアルコール(モル比2:1)、ポリビニルアミンビニルホルムアミド(モル比1:2)、ポリビニルアミンビニルホルムアミド(モル比2:1)、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ビス-アミノプロピルピペラジン、ポリアミノ酸(L-リジン/ラウリン酸、10/1のモル比)、ポリアミノ酸(L-リジン/アミノカプロン酸/アジピン酸(5/5/1のモル比)、ポリアミノ酸(L-リジン/アミノカプロン酸/エチルヘキサン酸、5/3/1のモル比)、ポリアミノ酸(ポリリジン-コカプロラクタム)、ポリリジン、ポリリジン臭化水素酸塩、架橋ポリリジン、400~300,000の範囲のMWを有するアミノ置換ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレンビス[アミン]、ポリオキシエチレンビス[6-アミノヘキシル]、-N,N’-ビス-(3-アミノプロピル)-1,3-プロパンジアミン直鎖若しくは分枝鎖(TPTA)、N,N’-ビス-(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、1,4-ビス-(3-アミノプロピル)ピペラジン(BNPP)、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0146】
本明細書で使用するのに好ましいアミン化合物としては、非芳香族アミンを挙げることができる。これらの最も好ましいアミン化合物は、Lupasol HF、P、PS、SK、SNA、WF、G20wfv、及びPR8515のようなLupasolの商品名で市販されているポリエチレンイミンポリマー、ジアミノブタンデンドリマーAstramol(登録商標)、ポリリジン、架橋ポリリジン、直鎖又は分岐鎖のN,N’-ビス-(3-アミノプロピル)-1,3-プロパンジアミン、N,N’-ビス-(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、1,4-ビス-(3-アミノプロピル)ピペラジン、及びこれらの混合物から選択される。更により好ましい化合物は、Lupasol HF、P、PS、SK、SNA、WF、G20wfv、及びPR8515のようなLupasolの商品名で市販されているものを含む、200ダルトンを超える分子量を有するポリエチレンイミンポリマーポリリジン、架橋ポリリジン、直鎖又は分岐鎖のN,N’-ビス-(3-アミノプロピル)-1,3-プロパンジアミン、N,N’-ビス-(3-アミノプロピル)-エチレンジアミン、1,4-ビス-(3-アミノプロピル)ピペラジン、及びこれらの混合物から選択されるものである。
【0147】
上述のように、本明細書の送達系のアミン構成成分はまた、モノアミンであってもよい。本発明で使用するのに好適なモノアミンの非限定的な例としては、ヒドロキシ及び/又はアルコキシ官能基、例えば、2-ヒドロキシアミン及び/又は3-ヒドロキシアミンも含む第一級アミンが挙げられるが、これに限定されない。
【0148】
アミンがモノアミンである場合、モノアミンは、logPによって測定されるある特定の溶解度の特徴を有することが好ましい場合がある。logP値は、モノアミン分子のオクタノール/水分配係数の測定値に関連し、オクタノール中及び水中のその平衡濃度間の比に関連する。本明細書における有用なモノアミン材料の分配係数は高い値を有するため、logP値として知られる、それらの10を底とする対数であるlogPの形で示すとより便利である。logPを決定するための方法については、以下の試験方法の章に提供する。本明細書で使用するのに好ましいモノアミンは、1より大きい、好ましくは2より大きいClogPを有するものである。香油の場合によくあるように、有益剤が比較的疎水性である場合、比較的高いlogP値が特に好ましい場合がある。そのような場合、遮蔽剤及び有益剤は、混合し、最終的に一緒に会合又は反応する可能性がより高い場合がある。
【0149】
遮蔽剤は、ケイ素含有化合物を含み得る。ケイ素含有化合物はシロキサンであり得る。ケイ素含有化合物は、アミノシリコーンであり得る。アルデヒド又はケトン含有有益剤は、シリコーン骨格の1つ以上の末端又は非末端(ペンダントを含む)位置において、例えばアミノシリコーンの第一級アミン基とイミン結合を形成することによって、ケイ素含有化合物と共有結合してもよい。シリコーンは、好ましくは香料原料であり得る有益剤の放出前に、布地などの目標とする表面上への有益剤断片の改善された付着を容易にし得るという点で、特に好ましい場合がある。かかるシリコーン系送達技術は、米国特許出願公開第2016/0137674(A1)号(The Procter&Gamble Companyに譲渡)に更に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0150】
遮蔽剤は、硫黄含有材料を含み得る。硫黄含有材料が、アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤、又はこれらの混合物と反応する場合、得られる複合体又は化合物は、好ましくは、式(II):
Y-S-G-Q 式(II)
(式中、
(i)Yは、本明細書の以下に示される(Y-1)~(Y-7)からなる群から選択されるラジカルであり、異性体を含み、
【0151】
【化3】
波線は、硫黄結合の場所を表し、点線は、一重結合又は二重結合を表し、
(ii)Gは、2~15個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル又はアルケニルラジカルに由来する二価又は三価のラジカルから選択され、
(iii)Qは、水素、-S-Y基、又は-NR
2-Y基から選択され、Yは、上記で定義されているとおり独立して選択され、R
2は、水素又はC
1~C
3アルキル基から選択される)による構造を特徴とし得る。
【0152】
Gは、好ましくは、二価又は三価のラジカル、好ましくは、-OR1、-NR1
2、-COOR1、R1基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の基で置換された、2~15個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル又はアルケニルラジカルに由来する二価のラジカルであり得、式中、R1は、水素又はC1~C6のアルキル若しくはアルケニル基から選択される。好ましくは、Gは、少なくとも1つの-COOR1基、好ましくは、-COOR1基により置換された、2~15個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル又はアルケニルラジカルに由来する二価のラジカルであり、R1は、水素又はC1~C6アルキル又はアルケニル基から選択される。更により好ましくは、Gは、-CH2CH(COOR1)基を有する直鎖アルキルラジカルに由来する二価のラジカルであり、R1は、水素又はメチル基又はエチル基である。Gは、置換又は無置換のいずれかの、8~15個の炭素原子を有する直鎖アルキルラジカルに由来する二価のラジカルであってもよい。
【0153】
有益剤と結合した後、硫黄含有複合体又は化合物は、好ましくは、上の式(II)による化合物であり、式中、Yは、上で定義するようにY-1、Y-2、又はY-3基から選択され、G及びQは、上述の実施形態のうちのいずれか1つで定義される。
【0154】
有益剤と結合した後、硫黄含有複合体又は化合物は、好ましくは、メチル又はエチル2-(4-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタン-2-イルアミノ)-3-(4-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタン-2-イルチオ)プロパネート、メチル又はエチル2-(4-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタン-2-イルアミノ)-3-(4-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタン-2-イルチオ)プロパネート、メチル又はエチル2-(2-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ブタン-4-イルアミノ)-3-(2-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ブタン-4-イルチオ)プロパネート、メチル又はエチル2-(2-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタン-4-イルアミノ)-3-(2-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタン-4-イルチオ)プロパネート、3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)-1-ブタノン、3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)-1-ブタノン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)-2-ブタノン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)-2-ブタノン、2-ドデシルスルファニル-5-メチル-ヘプタン-4-オン、2-シクロヘキシル-1-ドデシルスルファニル-ヘプタ-6-エン-3-オン、3-(ドデシルチオ)-5-イソプロペニル-2-メチルシクロヘキサノン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0155】
有益剤と結合した後、硫黄含有複合体又は化合物は、より好ましくは、3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)-1-ブタノン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン1-イル)-2-ブタノン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)-2-ブタノン、及び3-(ドデシルチオ)-5-イソプロペニル-2-メチルシクロヘキサノン、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0156】
有益剤と結合した後、最も好ましい硫黄含有複合体又は化合物のうちの1つは、3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)-1-ブタノンである。かかる材料は、Firmenich(Geneva,Switzerland)から入手可能なHaloscent(登録商標)Dとして販売されている。
【0157】
遮蔽剤は、アルデヒド含有化合物、ケトン含有化合物、又はこれらの混合物と反応したときに、式(I):
【0158】
【化4】
(式中、Aは、アルデヒド含有香料原料の炭化水素残基(例えば、A-CHO)であり、炭化水素残基は、任意に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子(複数可)を含んでもよく、X及びYは、ニトリル基(-CN)、ケト基(-C(O)R)、及びエステル基(-C(O)OR’)からなる群から独立して選択され、式中、R及びR’は、独立して、1~10個の炭素原子を有するアルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、及びペンチル基から独立して選択されるアルキル基である)によるアルキリデン含有化合物を形成する材料を含み得る。好適なアルキリデン含有化合物は、国際公開第2018/096176号(Givaudan SA)により詳細に記載されている。
【0159】
式(I)によるアルキリデン含有化合物において、X及びYが両方ともケト基ではない場合がある。
【0160】
式(I)によるアルキリデン含有化合物において、X及びYは異なる官能基を表してもよく、好ましくは、X及びYの一方の基がエステル基であり、他方の基がケト基であり、より好ましくは、アルキリデン二重結合がそのZ-異性体に富んでいる。Z-異性体は、関連するE-異性体と比較して、有益剤のより良好な放出プロファイルを提供する可能性が高いと考えられる。
【0161】
アルキリデン含有化合物は、式(IA):
【0162】
【化5】
(好ましくは、アルキリデン二重結合がそのZ-異性体に富んでいる)による構造を有し得る。
【0163】
好ましくは、アルキリデン含有化合物は、式(IB):
【0164】
【化6】
(好ましくは、アルキリデン二重結合がそのZ-異性体に富んでいる)による構造を有する2-アセチル-4-メチルトリデク-2-エノエートであってもよい。かかる材料は、有益剤がPRMである場合、良好な放出プロファイルを提供し、好ましい洗い立て感を感じることに寄与することが見出されている。
【0165】
上の式(I)による、好ましくは上の式(II)による、より好ましくは上の式(III)によるアルキリデン含有化合物は、アルデヒド含有香料原料を放出してもよく、これは非直鎖アルデヒド含有香料原料、好ましくはメチルノニルアセトアルデヒドを含むものであり得る。かかる材料は、良好なPRM放出プロファイルを提供し、好ましい洗い立て感を感じることに寄与することが見出されている。
【0166】
好ましくは、遮蔽剤はアミン含有化合物であり、より好ましくはアントラニル酸メチル、アントラニル酸ジメチル、又はこれらの組み合わせから選択されるアミン含有化合物である。以下の実施例に示すように、アミン含有化合物(例えば、アントラニル酸メチル)の存在は、他の粒子と比較して改善された性能を有する送達粒子をもたらすことができる。アントラニル酸ジメチルは、アントラニル酸メチルと比較して疎水性の程度が比較的大きいために好ましい場合があり、これは、ある特定の香油との複合体の改善された形成を容易にし得る。
【0167】
3.分配調節剤
本開示の送達粒子のコアは、分配調節剤を含んでもよい。コア内の油性材料の特性は、ポリ(メタ)アクリレートシェル材料が油/水界面に確立されたときにどれだけ多く、どれだけ迅速に、及び/又はどれだけ浸透性であるかを決定する役割を果たし得る。例えば、油相が高極性材料を含む場合、これらの材料は、アクリレートオリゴマー及びポリマーの油/水界面への拡散を低減し、非常に薄い高透過性シェルをもたらし得る。分配調節剤の組み込みは、コアの極性を調整することができ、それによって、アクリレートオリゴマーに対する分配調節剤中の極性材料の分配係数を変化させ、明確な、高度に不透過性のシェルの確立をもたらすことができる。分配調節剤は、壁形成モノマーの組み込みの前にコアの香油材料と組み合わされてもよい。
【0168】
分配調節剤は、コアの約5重量%~約55重量%、好ましくは約10重量%~約50重量%、より好ましくは約25重量%~約50重量%の濃度でコア中に存在し得る。
【0169】
分配調節剤は、植物油、変性植物油、C4~C24脂肪酸のモノ-、ジ-、及びトリ-エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ドデカノフェノン、ラウリン酸ラウリル、ベヘン酸メチル、ラウリン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、並びにこれらの混合物からなる群から選択される材料を含み得る。分配調節剤は、好ましくはミリスチン酸イソプロピルを含んでもよいか、又は更にはミリスチン酸イソプロピルからなってもよい。変性植物油は、エステル化及び/又は臭素化されたものであってもよい。変性植物油は、好ましくは、ヒマシ油及び/又はダイズ油を含んでもよい。参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2011/0268802号は、本明細書に記載される送達粒子において有用であり得る他の分配調節剤を記載している。
【0170】
C.送達粒子を作製する方法
送達粒子は、本明細書に記載のコア:シェル比が守られる限り、既知の方法により作製することができる。方法は、本明細書に記載の他の望ましい特徴、例えば体積加重粒子径、有益剤及び/又は分配調節剤の相対量などに到達するように更に調整されてもよい。
【0171】
例えば、本開示は、コア及びコアを封入するポリマー壁を含む送達粒子の群を作製する方法に関する。方法は、油相を提供する工程を含み得る。油相は、上述のように、有益剤及び分配調節剤を含んでもよい。方法は、少なくとも3つ、好ましくは少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は更には少なくとも6つのラジカル重合性官能基を有する1つ以上の油溶性又は油分散性多官能性(メタ)アクリレートモノマーを油相中に溶解又は分散させることを更に含み得るが、但し、ラジカル重合性基のうちの少なくとも1つはアクリレート又はメタクリレートである。
【0172】
コア/壁送達粒子を得る方法は、第1の相が油相であり、第2の相が水相である、2つの液相を組み合わせる工程を含み得る。本開示の送達粒子を形成する場合、有益剤及び遮蔽剤が同じ液相中、好ましくは油相中に存在することが好ましい場合がある。それらが同じ液相にある場合、それらは相互作用する可能性がより高く、それによって、壁形成方法との負の相互作用を最小限に抑える。更により好ましくは、少なくとも1つの壁促進剤は、同じ液相中、好ましくは油相中にある。少なくとも1つの構造モノマーも、同じ液相中、好ましくは油相中に存在し得る。
【0173】
油溶性又は分散性多官能性(メタ)アクリレートモノマーは、上でより詳細に記載されている。とりわけ、油溶性又は分散性多官能性(メタ)アクリレートモノマーは、多官能性芳香族ウレタンアクリレート、好ましくは三官能性、四官能性、五官能性、若しくは六官能性芳香族ウレタンアクリレート、又はこれらの混合物を含んでもよく、好ましくは六官能性芳香族ウレタンアクリレートを含む。モノマーは、油相中に溶解又は分散され得る1つ以上の多官能性脂肪族ウレタンアクリレートを含み得る。方法は、アミン(メタ)アクリレート又は酸性(メタ)アクリレートのうちの1つ以上を油相中に溶解又は分散させることを更に含み得る。
【0174】
方法は、乳化剤、界面活性剤、又はこれらの組み合わせを含み得る水相を提供することを更に含み得る。方法は、1つ以上の水溶性又は水分散性の単官能性又は多官能性(メタ)アクリレートモノマー及び/又はオリゴマーを水相中に溶解又は分散させる工程を更に含んでもよい。
【0175】
方法は、1つ以上のアミン(メタ)アクリレート、酸性(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシル化単官能性若しくは多官能性(メタ)アクリレート、及び/又は他の(メタ)アクリレートモノマーを水相、油相、又はその両方に溶解又は分散させる工程を含んでもよい。
【0176】
一般に、油溶性多官能性(メタ)アクリレートモノマーは、油相中に可溶性又は分散性であり、典型的には、100mLの油に少なくとも1グラムの程度まで可溶性であるか、又は22℃でその中に分散性若しくは乳化性である。水溶性多官能性(メタ)アクリレートモノマーは、典型的には、水に可溶性又は分散性であり、典型的には、100mLの水に少なくとも1グラムの程度まで可溶性であるか、又は22℃でその中に分散性である。
【0177】
典型的には、油相は過剰の水相と混合される。2つ以上の油相を用いる場合、これらは一般に最初に混合され、次いで水相と組み合わされる。所望する場合、水相はまた、順次組み合わされる1つ以上の水相を含むことができる。
【0178】
油相は、高剪断撹拌下で水相中に乳化されて、水相中に分散されたコア材料の液滴を含み得る水中油型エマルジョンを形成し得る。典型的には、適用される剪断撹拌の量は、目標とするサイズの液滴を形成するように制御することができ、これは、完成した封入体の最終サイズに影響を及ぼす。
【0179】
溶解又は分散したモノマーは、エマルジョンの加熱又は光線照射によって反応させることができる。反応は、液滴と水相との界面にポリマー壁を形成することができる。多官能性メタクリレートのラジカル重合性基は、加熱時に、多官能性メタクリレートの自己重合を容易にする。
【0180】
1つ以上のフリーラジカル開始剤が、油相、水相、又はその両方、好ましくはその両方に提供される。例えば、方法は、例えば、熱による活性化の際にフリーラジカルの更なる供給源を提供するために、水相に1つ以上のフリーラジカル開始剤を添加することを含み得る。方法は、油相に1つ以上のフリーラジカル開始剤を添加することを含み得る。1つ以上のフリーラジカル開始剤は、水相、油相、又はその両方に、それぞれの相の0重量%超~約5重量%の量で添加され得る。潜在性開始剤はまた、潜在性開始剤を活性開始剤に変換するために第1の作用、特に化学反応が必要とされ、続いて活性開始剤が重合条件に曝露されると重合を開始する場合も企図される。複数の開始剤が存在する場合、各開始剤が異なる条件によって開始されるか、又は好適に開始されることが企図され、また好ましい。
【0181】
記載の方法において、加熱工程は、エマルジョンを、約1時間~約20時間、好ましくは約2時間~約15時間、より好ましくは約4時間~約10時間、最も好ましくは約5時間~約7時間加熱し、それによって、約500ジュール/kg~約5000ジュール/kgを当該エマルジョンに、約1000ジュール/kg~約4500ジュール/kgを当該エマルジョンに、約2900ジュール/kg~約4000ジュール/kgを当該エマルジョンに伝えるのに十分に加熱することを含み得る。
【0182】
加熱工程の前に、エマルジョンは、例えば、約30~約50ミクロンの体積加重標的サイズを有する送達粒子の群を形成する目的で、約0.5ミクロン~約100ミクロン、更には約1ミクロン~約60ミクロン、又は更には20~50ミクロン、好ましくは約30ミクロン~約50ミクロンのエマルジョン液滴の体積加重粒子径中央値を特徴とし得る。
【0183】
有益剤は、上述のように選択されてもよく、好ましくは1つ以上の香料原料を含む芳香剤である。有益剤は、他の材料が溶解又は分散される油相の主要な構成成分、又は更には唯一の構成成分であり得る。
【0184】
遮蔽剤、例えばアントラニル酸メチル及び/又はアントラニル酸ジメチルなどのアミンは、アルデヒド及び/又はケトン含有有益剤と同じ相に添加されてもよい。好ましくは、これは油相である。更により好ましくは、遮蔽剤及び関連する有益剤(複数可)は、構造モノマー、フリーラジカル開始剤、又はこれらの混合物と組み合わされる前に、予備混合される(任意に、分配調節剤と更に予備混合される)。
【0185】
分配調節剤は、ミリスチン酸イソプロピル、植物油、変性植物油、C4~C24脂肪酸のモノ-、ジ-、及びトリ-エステル、ドデカノフェノン、ラウリン酸ラウリル、ベヘン酸メチル、ラウリン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、並びにこれらの混合物からなる群から選択され得、好ましくはミリスチン酸イソプロピルであり得る。分配調節剤は、送達粒子のコアの約5重量%~約55重量%を構成するような量で提供され得る。
【0186】
得られる送達粒子は、上述のコア:壁比及び/又は粒子径を特徴とすることが望ましく、これは、かかる特徴が有利な性能をもたらすことが見出されているためである。
【0187】
本明細書で提供される送達粒子を作製する方法の結果として、送達粒子は、水性スラリー中に存在してもよく、例えば、粒子は、スラリーの約20重量%~約60重量%、好ましくは約30重量%~約50重量%の濃度でスラリー中に存在してもよい。防腐剤、溶媒、構造化剤、又は他の処理助剤若しくは安定化助剤などの追加の材料をスラリーに添加してもよい。スラリーは、有益剤送達粒子のコアに含まれる香料(複数可)とは異なる1つ以上の香料(すなわち、非封入香料)を含んでもよい。
【0188】
本開示による送達粒子を形成することができる例示的な合成方法は、以下の実施例1に更に記載される。
【0189】
消費者製品補助材料
本開示の消費者製品組成物は、送達粒子の群に加えて、消費者製品補助材料を含む。消費者製品補助材料は、組成物の意図される最終用途において利益を提供してもよく、又は加工助剤及び/又は安定助剤であってもよい。
【0190】
好適な消費者製品補助材料としては、界面活性剤、コンディショニング活性物質、付着助剤、レオロジー変性剤若しくは構造化剤、漂白系、安定剤、ビルダー、キレート化剤、移染阻害剤、分散剤、酵素及び酵素安定剤、触媒金属錯体、ポリマー系分散剤、粘土及び汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、シリコーン、色相剤、審美染料、追加の香料及び香料送達系、構造弾性化剤、担体、ヒドロトロープ、加工助剤、抗凝集剤、コーティング、ホルムアルデヒドスカベンジャー、並びに/又は顔料を挙げ得る。
【0191】
意図される形態、配合、及び/又は最終用途によって、本開示の組成物は、以下の補助材料:漂白活性化剤、界面活性剤、ビルダー、キレート化剤、移染阻害剤、分散剤、酵素及び酵素安定剤、触媒金属錯体、ポリマー分散剤、粘土及び汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、染料、追加の香料及び香料送達系、構造弾性化剤、布地柔軟剤、担体、ヒドロトロープ、加工助剤、構造化剤、抗凝集剤、コーティング、ホルムアルデヒドスカベンジャー、並びに/又は顔料のうちの1つ以上を含まなくてもよい。
【0192】
これらの追加の成分の正確な性質及びそれを組み込む濃度は、組成物の物理的形態及び使用される作業の性質に依存する。しかし、1種以上の補助剤が存在する場合、かかる1種以上の補助剤は、以下に詳述されるように存在することができる。以下は、好適な追加の補助剤の非限定的なリストである。
【0193】
A.界面活性剤
本開示の組成物は、界面活性剤を含み得る。界面活性剤は、例えば、洗浄上の利益を提供するために有用であり得る。組成物は、1種以上の界面活性剤を含有し得る界面活性剤系を含んでもよい。
【0194】
本開示の組成物は、組成物の約0.1重量%~約70重量%、又は約2重量%~約60重量%、又は約5重量%~約50重量%の界面活性剤系を含んでもよい。液体組成物は、組成物の約5重量%~約40重量%の界面活性剤系を含んでもよい。密な配合物、例えば密な、液体、ゲル、及び/又は単位用量形態に好適な組成物は、組成物の約25重量%~約70重量%、又は約30重量%~約50重量%の界面活性剤系を含んでもよい。
【0195】
界面活性剤系は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双性イオン界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。界面活性剤系は、直鎖アルキルベンゼンスルホネート、アルキルエトキシル化サルフェート、アルキルサルフェート、エトキシル化アルコールなどの非イオン性界面活性剤、アミンオキシド、又はこれらの混合物を含んでもよい。界面活性剤は、少なくとも部分的に、天然供給原料アルコールなどの天然の資源に由来してもよい。
【0196】
好適なアニオン性界面活性剤は、任意の従来のアニオン性界面活性剤を含んでもよい。これは、例えばアルコキシル化及び/又は非アルコキシル化アルキルサルフェート材料用のサルフェート洗浄性界面活性剤、及び/又はスルホン酸系洗浄性界面活性剤、例えばアルキルベンゼンスルホネートを含んでもよい。アニオン性界面活性剤は、直鎖状、分岐鎖状、又はこれらの組み合わせであってもよい。好ましい界面活性剤としては、直鎖アルキルベンゼンスルホネート(linear alkyl benzene sulfonate、LAS)、アルキルエトキシル化サルフェート(alkyl ethoxylated sulfate、AES)、アルキルサルフェート(alkyl sulfate、AS)、又はこれらの混合物が挙げられる。他の好適なアニオン性界面活性剤としては、分岐鎖状修飾アルキルベンゼンスルホネート(modified alkyl benzene sulfonate、MLAS)、メチルエステルスルホネート(methyl ester sulfonate、MES)、ラウリル硫酸ナトリウム(sodium lauryl sulfate、SLS)、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(sodium lauryl ether sulfate、SLES)、及び/又はアルキルエトキシル化カルボキシレート(alkyl ethoxylated carboxylate、AEC)が挙げられる。アニオン性界面活性剤は、酸形態、塩形態、又はこれらの混合物で存在してもよい。アニオン性界面活性剤は、部分的に又は全体的に、例えば、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)又はアミン(例えば、モノエタノールアミン)によって中和されてもよい。
【0197】
界面活性剤系は、非イオン性界面活性剤を含んでいてよい。好適な非イオン性界面活性剤としては、エトキシル化脂肪族アルコールなどのアルコキシル化脂肪族アルコールが挙げられる。その他の好適な非イオン性界面活性剤としては、アルコキシル化アルキルフェノール、アルキルフェノール縮合体、中鎖分枝鎖状アルコール、中鎖分枝鎖状アルキルアルコキシレート、アルキル多糖類(例えば、アルキルポリグリコシド)、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、エーテルキャップされたポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤、及びこれらの混合物が挙げられる。アルコキシレート単位は、エチレンオキシ単位、プロピレンオキシ単位、又はこれらの混合物であってもよい。非イオン性界面活性剤は、直鎖状、分岐鎖状(例えば、中鎖分岐状)、又はこれらの組み合わせであってもよい。特定の非イオン性界面活性剤は、平均約12~約16個の炭素を有し、かつ平均約3~約9個のエトキシ基を有するアルコール、例えばC12~C14のEO7非イオン性界面活性剤を含んでもよい。
【0198】
好適な双性イオン界面活性剤としては、アルキルジメチルベタイン及びココジメチルアミドプロピルベタインをはじめとするベタイン、C8~C18(例えば、C12~C18)アミンオキシド(例えば、C12~14ジメチルアミンオキシド)、並びに/又は、N-アルキル-N,N-ジメチルアミノ-1-プロパンスルホネート(ここで、アルキル基は、C8~C18又はC10~C14であってもよい)などのスルホ及びヒドロキシベタインなどの、任意の従来の双性イオン界面活性剤を挙げることができる。双性イオン性界面活性剤は、アミンオキシドを含んでもよい。
【0199】
配合物及び/又は意図される最終用途に応じて、組成物は、特定の界面活性剤を実質的に含まなくてもよい。例えば、布地柔軟剤などの液体布地向上組成物は、アニオン性界面活性剤を実質的に含まなくてもよいが、それはかかる界面活性剤がカチオン性成分と負の相互作用をし得るためである。
【0200】
B.コンディショニング活性物質
本開示の組成物は、コンディショニング活性物質を含んでもよい。コンディショニング活性物質を含有する組成物は、柔軟性、しわ防止、静電防止、コンディショニング、抗伸張、色、及び/又は外観に関する利益を提供し得る。
【0201】
コンディショニング活性物質は、組成物の約1重量%~約99重量%の濃度で存在してもよい。組成物は、組成物の約1重量%から、又は約2重量%から、又は約3重量%から、約99重量%まで、又は約75重量%まで、又は約50重量%まで、又は約40重量%まで、又は約35重量%まで、又は約30重量%まで、又は約25重量%まで、又は約20重量%まで、又は約15重量%まで、又は約10重量%までのコンディショニング活性物質を含んでもよい。組成物は、組成物の約5重量%~約30重量%のコンディショニング活性物質を含んでもよい。
【0202】
本開示の組成物に好適なコンディショニング活性物質としては、四級アンモニウムエステル化合物、シリコーン、非エステル四級アンモニウム化合物、アミン、脂肪酸エステル、ショ糖エステル、シリコーン、分散性ポリオレフィン、多糖類、脂肪酸、柔軟化若しくはコンディショニング油、ポリマーラテックス、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0203】
この組成物は、四級アンモニウムエステル化合物、シリコーン又はこれらの複数組の組み合わせ、好ましくは一組の組み合わせを含んでもよい。四級アンモニウムエステル化合物とシリコーンとの合計量は、組成物の約5重量%~約70重量%、又は約6重量%~約50重量%、又は約7重量%~約40重量%、又は約10重量%~約30重量%、又は約15重量%~約25重量%であってもよい。組成物は、第四級アンモニウムエステル化合物及びシリコーンを、約1:10~約10:1、又は約1:5~約5:1、又は約1:3~約1:3、又は約1:2~約2:1、又は約1:1.5~約1.5:1、又は約1:1の重量比で含んでもよい。
【0204】
組成物は、異なる種類のコンディショニング活性物質の混合物を含有していてもよい。本開示の組成物は、特定のコンディショニング活性物質を含有してもよいが、他のコンディショニング活性物質を実質的に含まなくてもよい。例えば、組成物は、四級アンモニウムエステル化合物、シリコーン又はその両方を含まなくてもよい。組成物は、四級アンモニウムエステル化合物を含んでもよいが、シリコーンを実質的に含まなくてもよい。組成物はシリコーンを含んでもよいが、四級アンモニウムエステル化合物を実質的に含まなくてもよい。
【0205】
C.付着助剤
本開示の組成物は、付着助剤を含んでもよい。付着助剤は、送達粒子、コンディショニング活性物質、香料、又はこれらの組み合わせの付着を容易にし得、組成物の性能上の効果を改善する、及び/又はかかる有益剤のより効率的な配合を可能にし得る。組成物は、組成物の0.0001重量%~3重量%、好ましくは0.0005重量%~2重量%、より好ましくは0.001重量%~1重量%、又は約0.01重量%~約0.5重量%、又は約0.05重量%~約0.3重量%の付着助剤を含んでもよい。付着助剤は、カチオン性又は両性ポリマー、好ましくはカチオン性ポリマーであってもよい。
【0206】
全般的なカチオン性ポリマー及びそれらの製造方法は、文献において周知である。好適なカチオン性ポリマーとしては、化粧品成分の国際命名法で命名された「ポリクオタニウム」ポリマーとして知られる四級アンモニウムポリマー、例えば、ポリクオタニウム-6(ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ポリクオタニウム-7(アクリルアミドとジアリルジメチルアンモニウムクロリドとのコポリマー)、ポリクオタニウム-10(四級化ヒドロキシエチルセルロース)、ポリクオタニウム-22(アクリル酸とジアリルジメチルアンモニウムクロリドとのコポリマー)を挙げることができる。
【0207】
付着助剤は、ポリビニルホルムアミド、部分的にヒドロキシル化されたポリビニルホルムアミド、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、エトキシル化ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。カチオン性ポリマーは、カチオン性アクリレートを含んでもよい。
【0208】
付着助剤は、送達粒子と同時に(例えば、封入された有益剤と同時に)、又は直接/独立して消費者製品組成物中に添加することができる。ポリマーの重量平均分子量は、屈折率(Refractive Index、RI)検出を使用するポリエチレンオキシド標準に対してサイズ排除クロマトグラフィーにより測定した場合、500ダルトン~5000000ダルトン、又は1000ダルトン~2000000ダルトン、又は2500ダルトン~1500000ダルトンであってもよい。カチオン性ポリマーの重量平均分子量は、5000ダルトン~37500ダルトンであってもよい。
【0209】
D.レオロジー変性剤/構造化剤
本開示の組成物は、レオロジー変性剤及び/又は構造化剤を含んでもよい。レオロジー変性剤は、液体組成物を所望の粘度に「増粘する」又は「減粘する」ために使用されてもよい。構造化剤は、相安定性を容易にするために、及び/又は本明細書に記載される送達粒子などの液体組成物中の粒子を懸濁させるために、又はその凝集を阻害するために使用されてもよい。
【0210】
好適なレオロジー変性剤及び/又は構造化剤としては、非ポリマー結晶性ヒドロキシル官能性構造化剤(硬化ヒマシ油に基づくものを含む)、ポリマー構造化剤、セルロース繊維(例えば、木材を含む、細菌、真菌、若しくは植物起源から誘導され得るミクロフィブリル化セルロース)、ジアミドゲル化剤、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0211】
ポリマー構造化剤は、天然由来又は合成由来であってもよい。天然由来のポリマー構造化剤は、ヒドロキシエチルセルロース、疎水変性ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、多糖誘導体、及びこれらの混合物を含んでもよい。多糖誘導体は、ペクチン、アルギン酸塩、アラビノガラクタン(アラビアガム)、カラギーナン、ジェランガム、キサンタンガム、グアーガム、及びこれらの混合物を含んでもよい。合成ポリマー構造化剤は、ポリカルボキシレート、ポリアクリレート、疎水変性エトキシル化ウレタン、疎水変性非イオン性ポリオール、及びこれらの混合物を含んでもよい。ポリカルボキシレートポリマーは、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、又はこれらの混合物を含んでもよい。ポリアクリレートは、不飽和一炭酸又は二炭酸と、(メタ)アクリル酸のC1~C30アルキルエステルとのコポリマーを含んでもよい。かかるコポリマーは、商品名Carbopol Aqua 30でNoveon incから入手可能である。別の好適な構造化剤は、BASFから入手可能な商品名Rheovis CDEで販売されている。
【0212】
組成物の作製方法
本開示は、本明細書に記載の消費者製品組成物のいずれかの作製方法に関する。消費者製品組成物を作製する方法は、本明細書に記載される送達粒子(又はその群)を、本明細書に記載される消費者製品補助材料と組み合わせる工程を含んでもよい。
【0213】
送達粒子は、送達粒子が、スラリー形態、未希釈送達粒子形態、及び噴霧乾燥送達粒子形態を含む1つ以上の形態、好ましくはスラリー形態であるときに、1つ以上のかかる消費者製品補助材料と組み合わせられ得る。送達粒子は、混合及び/又は噴霧を含む方法によって、かかる消費者製品補助材料と組み合わせることができる。
【0214】
本開示の組成物は、任意の好適な形態に製剤することができ、製剤者によって選択される任意の方法によって調剤することができる。送達粒子及び補助材料は、バッチプロセス、循環ループプロセス、及び/又はインライン混合プロセスで組み合わされてもよい。本明細書で開示された方法で使用するのに好適な装置としては、連続撹拌槽型反応器、ホモジナイザー、タービン撹拌機、再循環ポンプ、パドルミキサー、高剪断ミキサー、静的ミキサー、プラウ剪断ミキサー、リボンブレンダー、垂直軸造粒機及びドラムミキサー(両方ともバッチ式であり、利用可能な場合は連続プロセスの構成のもの)、噴霧乾燥機、並びに押出成形機を挙げることができる。
【0215】
表面又は物品を処理する方法
本開示は更に、本開示による組成物で表面又は物品を処理する方法に関する。かかる方法は、洗浄、コンディショニング、及び/又は消臭に関わる利益を提供し得る。
【0216】
好適な表面又は物品としては、布地(衣類、タオル、又はリネンを含む)、硬質表面(タイル、磁器、リノリウム、又は木床など)、食器類、毛髪、皮膚、又はこれらの混合を挙げることができる。
【0217】
本方法は、表面又は物品を本開示の組成物と接触させる工程を含み得る。組成物は、そのままの形態であってもよく、又は液体、例えば、洗浄液又はすすぎ液で希釈されてもよい。組成物は、表面又は物品との接触前、接触中、又は接触後に水で希釈されてもよい。表面又は物品を、接触工程の前及び/又は後に、任意に洗浄及び/又はすすいでもよい。
【0218】
表面又は物品を処理及び/又は洗浄する方法は、
a)任意に、表面又は物品を洗浄、すすぎ、及び/又は乾燥する工程と、
b)任意に、水の存在下で、表面又は物品を本明細書に記載の組成物と接触させる工程と、
c)任意に、表面又は物品を洗浄及び/又はすすぐ工程と、
d)任意に、受動的に乾燥させることによって、かつ/又は洗濯乾燥機などの能動的方法によって乾燥させる工程と、を含み得る。
【0219】
本発明の目的に関して、洗浄は、こすり洗い及び機械的撹拌を含むが、これらに限定されない。布地は、標準的な消費者の使用条件で洗濯又は処理することが可能な、ほとんどいずれの布地を含んでもよい。
【0220】
開示される組成物を含み得る液体は、約3~約11.5のpHを有し得る。希釈される場合、このような組成物は、典型的には、溶液中で約500ppm~約15,000ppmの濃度で使用される。洗浄溶媒が水である場合、水温は、典型的には、約5℃~約90℃の範囲であり、部位が布地を含む場合、水と布地との比は、典型的には、約1:1~約30:1である。
【0221】
組み合わせ
本開示の具体的に企図される組み合わせを、本明細書において以下のアルファベット付きの項に記載する。これらの組み合わせは、本質的に例示を目的としたものであり、限定することを意図したものではない。
【0222】
A.消費者製品補助材料と、送達粒子の群と、を含む、消費者製品組成物であって、送達粒子が、コアと、コアを取り囲むポリマー壁と、を含み、送達粒子が、(a)コア材料及び壁形成材料を提供する工程であって、壁形成材料が構造モノマー及びフリーラジカル開始剤を含み、コア材料が有益剤及び遮蔽剤を含み、有益剤がアルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤、又はこれらの組み合わせを含み、遮蔽剤がアルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤、又はこれらの組み合わせと複合体を形成することができる、提供する工程と、(b)壁形成材料から少なくとも部分的に作製されたポリマー壁中にコア材料を封入して、コア/シェル送達粒子の群を形成する工程であって、コア材料と壁ポリマーとの重量比が少なくとも95:5である、形成する工程と、を含む方法によって得ることができる、消費者製品組成物。
【0223】
B.消費者製品補助材料と、送達粒子の群と、を含む、消費者製品組成物であって、送達粒子が、コア材料と、コア材料を取り囲むポリマー壁と、を含み、コア材料のポリマー壁に対する重量比が、少なくとも95:5であり、ポリマー壁が、壁形成材料から得ることができる壁ポリマーを含み、壁形成材料が、構造モノマー及びフリーラジカル開始剤を含み、コア材料が、有益剤及び遮蔽剤を含み、有益剤が、アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤、又はこれらの組み合わせを含み、遮蔽剤が、アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤、又はこれらの組み合わせと複合体を形成することができる、消費者製品組成物。
【0224】
C.消費者製品補助材料と、送達粒子の群と、を含む、消費者製品組成物であって、送達粒子が、コア材料と、コア材料を取り囲むポリマー壁と、を含み、コア材料のポリマー壁に対する重量比が、少なくとも95:5であり、ポリマー壁が、フリーラジカル重合プロセスによって形成され、コア材料が、有益剤及び遮蔽剤を含み、有益剤が、アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤、又はこれらの組み合わせを含み、遮蔽剤が、アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤、又はこれらの組み合わせと複合体を形成することができる、消費者製品組成物。
【0225】
D.コア材料のポリマー壁に対する重量比が、少なくとも96:4、好ましくは少なくとも97:3、より好ましくは少なくとも97.5:2.5、更により好ましくは少なくとも98:2である、項A~Cのいずれか一項に記載の消費者製品組成物。
【0226】
E.ポリマー壁が、ポリ(メタ)アクリレートポリマーを含む、項A~Dのいずれか一項に記載の消費者製品組成物。
【0227】
F.構造モノマーが、壁形成材料の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%の濃度で存在する、項A~Eのいずれか一項に記載の消費者製品組成物。
【0228】
G.構造モノマーが、(メタ)アクリレートモノマーを含む、項A~Fのいずれか一項に記載の消費者製品組成物。
【0229】
H.(メタ)アクリレートモノマーが、構造モノマーの少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、更により好ましくは少なくとも90重量%の濃度で存在する、項Gに記載の消費者製品組成物。
【0230】
I.(メタ)アクリレートモノマーが、少なくとも3つ、好ましくは少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は更には少なくとも6つのラジカル重合性官能基を有する多官能性(メタ)アクリレートモノマーを含むが、但し、ラジカル重合性基のうちの少なくとも1つ、より好ましくは少なくとも3つがアクリレート又はメタクリレートである、項G又はHに記載の消費者製品組成物。
【0231】
J.(メタ)アクリレートモノマーが、油溶性又は油分散性(メタ)アクリレートモノマーを含む、項G~Iのいずれか一項に記載の消費者製品組成物。
【0232】
K.フリーラジカル開始剤が、ペルオキシ開始剤、アゾ開始剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料であって、好ましくは、ペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、アルキルペルオキシド、ペルオキシエステル、ペルオキシカーボネート、ペルオキシケトン、ペルオキシジカーボネート、2,2’-アゾビス(イソブチルニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルペンタンニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロパンニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、1,1’-アゾビス(シアノシクロヘキサン)、ベンゾイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ジ(n-プロピル)ペルオキシジカーボネート、ジ(sec-ブチル)ペルオキシジカーボネート、ジ-(2-エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、1,1-ジメチル-3-ヒドロキシブチルペルオキシネオデカノエート、a-クミルペルオキシネオヘプタノエート、t-アミルペルオキシネオデカノエート、t-ブチルペルオキシネオデカノエート、t-アミルペルオキシピバレート、t-ブチルペルオキシピバレート、2,5-ジメチル2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン、t-アミルペルオキシ-2-エチル-ヘキサノエート、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルペルオキシアセテート、ジ-t-アミルペルオキシアセテート、t-ブチルペルオキシド、ジ-t-アミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、クメンヒドロペルオキシド、1,1-ジ-(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチル-シクロヘキサン、1,1-ジ-(t-ブチルペルオキシ)-シクロヘキサン、1,1-ジ-(t-アミルペルオキシ)-シクロヘキサン、エチル-3,3-ジ-(t-ブチルペルオキシ)-ブチレート、t-アミルペルベンゾエート、t-ブチルペルベンゾエート、エチル3,3-ジ-(t-アミルペルオキシ)-ブチレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、より好ましくは、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、少なくとも1つのフリーラジカル開始剤を含む、項A~Jのいずれか一項に記載の消費者製品組成物。
【0233】
L.フリーラジカル開始剤が、第1のフリーラジカル開始剤及び第2のフリーラジカル開始剤を含む、項A~Kのいずれか一項に記載の消費者製品組成物。
【0234】
M.フリーラジカル開始剤が、水溶性又は水分散性フリーラジカル開始剤、好ましくは水溶性又は水分散性フリーラジカル開始剤及び油溶性又は油分散性フリーラジカル開始剤を含む、項A~Lのいずれか一項に記載の消費者製品組成物。
【0235】
N.有益剤が香料原料を含み、好ましくは香料原料が、香料原料の重量による芳香剤の少なくとも約20重量%、好ましくは少なくとも約25重量%、より好ましくは少なくとも約30重量%、より好ましくは少なくとも約40重量%、更により好ましくは少なくとも約50重量%のアルデヒド含有香料原料、ケトン含有原料、又はこれらの混合物を含む、項A~Mのいずれか一項に記載の消費者製品組成物。
【0236】
O.遮蔽剤が、アミン含有化合物、ケイ素含有化合物、硫黄含有化合物、アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤、又はこれらの混合物と反応したときに、式(I):
【0237】
【化7】
(式中、部分及び添え字は、本明細書に記載される通りである)によるアルキリデン含有化合物を形成する材料、及びこれらの混合物からなる群から選択される、項A~Nのいずれか一項に記載の消費者製品組成物。
【0238】
P.遮蔽剤が、アミン含有化合物である、項A~Oのいずれか一項に記載の消費者製品組成物。
【0239】
Q.遮蔽剤が、アントラニル酸メチル、アントラニル酸ジメチル、及びこれらの混合物からなる群から選択されるアミン含有化合物である、項A~Pのいずれか一項に記載の消費者製品組成物。
【0240】
R.遮蔽剤が、有益剤の少なくとも約1重量%、好ましくは少なくとも約3重量%、より好ましくは少なくとも約5重量%の濃度で存在する、項A~Qのいずれか一項に記載の消費者製品組成物。
【0241】
S.アルデヒド含有有益剤及び/又はケトン含有有益剤の少なくとも一部が、遮蔽剤の少なくとも一部との複合体の形態で存在し、好ましくは、複合体が、共有結合した化合物である、項A~Rのいずれか一項に記載の消費者製品組成物。
【0242】
T.コア材料が、分配調節剤を更に含み、好ましくは分配調節剤が、コア材料の約5重量%~約55重量%の濃度で存在し、より好ましくは分配調節剤が、ミリスチン酸イソプロピル、植物油、変性植物油、C4~C24脂肪酸のモノ-、ジ-、及びトリ-エステル、ドデカノフェノン、ラウリン酸ラウリル、ベヘン酸メチル、ラウリン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、並びにこれらの混合物からなる群から選択され、更により好ましくはミリスチン酸イソプロピルである、項A~Sのいずれか一項に記載の消費製品組成物。
【0243】
U.封入体の壁が、壁に捕捉されたポリマー乳化剤を更に含み、好ましくは、ポリマー乳化剤が、ポリビニルアルコールを含む、項A~Tのいずれか一項に記載の消費者製品組成物。
【0244】
V.コア/壁送達粒子を得る方法が、2つの液相を組み合わせることを含み、第1の相が水相であり、第2の相が油相であり、有益剤、遮蔽剤、少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマー、及び少なくとも1つのフリーラジカル開始剤が、同じ液相、好ましくは油相中に存在する、項A~Uのいずれか一項に記載の消費者製品組成物。
【0245】
W.コア/壁送達粒子を得る方法が、有益剤及び遮蔽剤を壁形成材料と組み合わせる前に、有益剤及び遮蔽剤を組み合わせることを含む、項A~Vのいずれか一項に記載の消費者製品組成物。
【0246】
X.送達粒子が、約10~約100ミクロン、好ましくは約15~約60ミクロン、より好ましくは約20~約50ミクロン、更により好ましくは約30~約40ミクロンの体積加重粒子径中央値を特徴とする、項A~Wのいずれか一項に記載の消費者製品組成物。
【0247】
Y.送達粒子の群が、約0.5~約5MPa、好ましくは約1~約3MPa、より好ましくは約1~約2MPaの平均破壊強度を特徴とする、項A~Xのいずれか一項に記載の消費者製品組成物。
【0248】
Z.送達粒子がコーティングを更に含む、項A~Yのいずれか一項に記載の消費者製品組成物。
【0249】
AA.消費者製品補助材料が、界面活性剤、コンディショニング活性物質、付着助剤、レオロジー変性剤若しくは構造化剤、漂白系、安定剤、ビルダー、キレート化剤、移染阻害剤、分散剤、酵素、酵素安定剤、触媒金属錯体、ポリマー分散剤、粘土及び汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、シリコーン、色相剤、審美染料、未希釈の香料、追加の香料送達系、構造弾性化剤、担体、ヒドロトロープ、加工助剤、抗凝集剤、コーティング、ホルムアルデヒドスカベンジャー、顔料、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、項A~Zのいずれか一項に記載の消費者製品組成物。
【0250】
BB.組成物が、布地ケア組成物、硬質表面洗浄組成物、食器ケア組成物、ヘアケア組成物、ボディクレンジング組成物、又はこれらの混合物、好ましくは布地ケア組成物、好ましくは洗濯洗剤組成物、布地コンディショニング組成物、洗濯添加剤、布地前処理組成物、布地リフレッシャー組成物、又はこれらの混合物である布地ケア組成物である、項A~AAのいずれか一項に記載の消費者製品組成物。
【0251】
CC.組成物が、液体組成物、顆粒状組成物、ヒドロコロイド、単区画パウチ、多区画パウチ、溶解性シート、パスティル若しくはビーズ、繊維物品、錠剤、スティック、バー、フレーク、フォーム/ムース、不織シート、又はこれらの混合物の形態である、項A~BBのいずれか一項に記載の消費者製品組成物。
【0252】
DD.表面を処理する方法であって、表面を、任意に、水の存在下において、項A~CCのいずれか一項に記載の消費者製品組成物と接触させる工程を含む、方法。
【0253】
試験法
本出願の試験方法の章に開示される試験方法を使用して、本明細書において特許請求されかつ説明される出願人が特許請求する主題のパラメータのそれぞれの値が決定されるべきであるという点が理解されよう。
【0254】
最終製品からの送達粒子の抽出。
本明細書において、別途明示されている場合を除き、送達粒子を最終製品から単離するための好ましい方法は、かかる送達粒子の大部分の密度が水の密度とは異なっているという事実に基づく。送達粒子を希釈及び/又は放出するために、最終製品を水と混合する。希釈した製品懸濁液を遠心分離して、送達粒子の分離を加速させる。かかる送達粒子は、最終製品の希釈溶液/分散液に浮かぶ又は沈む傾向がある。ピペット又はスパチュラを使用して、この懸濁液の上層及び底層を除去し、更に希釈及び遠心分離のラウンドに供して、送達粒子を分離し、濃縮する。交差分極フィルター又は微分干渉(differential interference contrast、DIC)を備える光学顕微鏡を使用して、100倍~少なくとも400倍の総合倍率で、送達粒子を観察する。顕微鏡観察により、送達粒子の存在、大きさ、及び凝集の初期指標が得られる。
【0255】
液体布地向上剤最終製品から送達粒子を抽出するため、以下の手順を行う:
1.液体布地向上剤の約20mLのアリコート3つを、別々に50mLの遠心管3つに入れ、各々をアリコート:脱イオン水=1:1(例えば、20mL布地向上剤+20mL脱イオン水)で希釈し、各アリコートをよく混合し、各アリコートを30分間、約10000×gで遠心分離する。
2.工程1の遠心分離後、各50mL遠心管中の底水層(約10mL)を捨て、次いで、10mLの脱イオン水を各50mL遠心管に添加する。
3.各アリコートに、遠心分離、底水層の除去、及びその後の、各50mL遠心管への10mLの脱イオン水の添加のプロセスを更に2回繰り返す。
4.最上層をスパチュラ又はピペットで除去する。
5.この最上層を1.8mL遠心管に移し、約20000×gで5分間遠心分離する。
6.最上層をスパチュラで除去し、新たな1.8mL遠心管に移し、脱イオン水を、管が完全に満たされるまで添加し、次いで、約20000×gで5分間遠心分離する。
7.底層を細いピペットで除去し、脱イオン水を、管が完全に満たされるまで添加し、約20000xgで5分間遠心分離する。
8.工程7を更に5回繰り返す(計6回)。
【0256】
上述の工程1において最上層及び底層の両方が送達粒子に富んでいるように見える場合は、すぐに工程3に進み(すなわち、工程2を省く)、工程4~8の工程に進む。いったんそれらの工程が完了すると、スパチュラ及び/又はピペットを使用して工程1からの50mL遠心管から底層を除去する。1.8mL遠心管に底層を移し、約20000×gで5分遠心分離する。新しい管内の底層を除去し、脱イオン水を、管が完全に満たされるまで添加し、次いで、約20000×gで5分間遠心分離する。最上層(水)を除去し、脱イオン水を、再び管が満たされるまで追加する。これを更に5回繰り返す(計6回)。送達粒子に富む単離された最上層と底層とを、戻して一緒に組み合わせる。
【0257】
布地向上剤が白色であるか、又は送達粒子に富む層を区別することが難しい場合は、染料(Milliken&Company,Spartanburg,South Carolina,USA)のLiquitint Blue JH 5%プレミックスなど)を工程1の遠心管に4滴添加し、記載されるように単離を進める。
【0258】
水に容易に分散する固体最終製品から送達粒子を抽出するために、1Lの脱イオン水を、20gの最終製品(例えば、洗剤フォーム、フィルム、ゲル、及び顆粒、又は水溶性ポリマー;石鹸フレーク及び石鹸バー、並びに塩、糖、粘土、及びデンプンなどの水に溶解しやすい他のマトリックス)と混合する。ワックス、ドライヤシート、ドライヤバー、及び脂っぽい材料などの水に容易には分散しない最終製品から送達粒子を抽出する場合、マトリックスから送達粒子を放出させるために、製品及び希釈液に洗剤を添加し、撹拌及び/又は穏やかに加熱することが必要になる場合がある。これらの操作は、この段階の間に送達粒子を損傷する可能性があるため、抽出工程中の有機溶媒の使用又は送達粒子の乾燥は避けなければならない。
【0259】
布地柔軟剤又は布地向上剤ではない液体最終製品(例えば、液体洗濯洗剤、液体食器用洗浄洗剤、液体ハンドソープ、ローション、シャンプー、コンディショナー、及び毛髪染料)からの送達粒子の抽出に関しては、20mLの最終製品を20mLの脱イオン水と混合する。溶液の密度を増加させ、最上層への送達粒子の浮動を容易にするために、必要に応じて、NaCl(例えば、1~4gのNaCl)を希釈懸濁液に添加してもよい。製品が、遠心分離中に形成された送達粒子の層を区別することを難しくする白色を有する場合、視覚的な対比を提供するために水溶性染料を希釈剤に添加してもよい。
【0260】
水と製品との混合物は、最上層及び底層の除去、新しい希釈剤中のそれらの層の再懸濁を伴う、遠心分離の連続ラウンドに供され、更なる遠心分離、単離、再懸濁が続く。各ラウンドの遠心分離は、5~30分間かけて、最大20,000×gの遠心分離力を使用して、容積1.5~50mLの管で行われる。試験に十分な送達粒子を抽出及び清浄するために、典型的には、少なくとも6ラウンドの遠心分離が必要である。例えば、遠心分離の最初のラウンドは、10,000×gで30分間にわたって回転させられる50mL管で行われてもよく、更に5ラウンドの遠心分離が続き、最上層及び底層からの材料は、1.8mL管で新鮮な希釈剤に別々に再懸濁され、20,000×gで1ラウンド当たり5分間回転させる。
【0261】
送達粒子が上層及び底層の両方において顕微鏡的に観察された場合、これら2層からの送達粒子を最後の遠心分離工程後に再度合わせて、その製品から抽出された送達粒子を全て含む単一のサンプルを作り出す。抽出した送達粒子は、できる限り速やかに分析すべきであるが、分析する前に最大14日間脱イオン水懸濁液として保管してもよい。
【0262】
当業者は、最終製品から送達粒子を抽出及び単離するために様々な他のプロトコルを構築し得ることを認識し、また、かかる方法は、最終製品に送達粒子を添加し抽出する前後に測定して得られた測定値の比較を介した検証が必要であることを認識するだろう。
【0263】
香料漏出の決定
香料の漏出を求めるために、香料封入体を有する液体洗剤を調製し、保管し(例えば、35℃で1週間)、次いで、等濃度の全香料(例えば、1重量%)を有するが、封入されていない液体洗剤の参照サンプルと比較する。
【0264】
内部標準溶液を調製するために、70mgのトナリドを秤量し、20mLのヘキサンp.a.を添加し、混合する。この混合物200μLをヘキサンp.a.20mLに添加し、混合して均質化し、内部標準溶液を形成する。
【0265】
試験サンプル又は参照サンプルの液相から香料を抽出するために、洗剤サンプル2グラム及び内部標準溶液2mLを抽出容器に入れる。抽出容器を手で20回穏やかに反転させることにより、遊離香料を洗剤サンプルから抽出する。スプーンの先ほどの硫酸ナトリウムを抽出容器に加える。層の分離を生じさせる。
【0266】
ガスクロマトグラフデータを収集するために、層への分離後、直ちにヘキサン層をガスクロマトグラフオートサンプラーバイアルに移し、バイアルに蓋をする。1.5μLのスプリットレスをガスクロマトグラフ注入ポートに注入する。ガスクロマトグラフィー質量分析(Durawax-4[60m、0.32mm ID、0.25μmフィルム]40℃/4℃/分/230℃/20’でクロマトグラフ分離)を実行する。
【0267】
以下の計算に従って香料原料当たりの封入体からの香料漏出を計算する:
【0268】
【0269】
香料の総漏出は、個々のPRM当たりのカプセルからの香料漏出の合計である。
【0270】
香料保持(例えば、封入体内に残存している香料のパーセンテージ)を求めるために、「香料漏出率%」を100から差し引く。
【0271】
粘度
TA instruments(New Castle,DE,USA)製のAR550レオメーター/粘度計を使用し、直径40mm及びギャップサイズ500μmの平行なスチール板を使用して、最終液体製品の粘度を測定する。20秒-1における高剪断粘度及び0.05秒-1における低剪断粘度は、21℃において3分間の0.01秒-1~25秒-1の対数剪断速度掃引から得る。
【0272】
香料、香料原料(PRM)、及び/又は分配調節剤
A.同一性及び総量
カプセルスラリー中の及び/又は送達剤封入体内に封入された香料、香料成分、若しくは香料原料(Perfume Raw Material、PRM)、又は分配調節剤の同一性を決定し、その総量を定量化するために、質量分析/水素炎イオン化検出器(Gas Chromatography with Mass Spectroscopy/Flame Ionization Detector、GC-MS/FID)を有するガスクロマトグラフィーを用いる。好適な装置としては、Agilent Technologies G1530A GC/FID;Hewlett Packer Mass Selective Device 5973、及び5%-フェニル-メチルポリシロキサンカラムJ&W DB-5(長さ30m×内径0.25mm×フィルム厚0.25μm)が挙げられる。約3gの最終製品又は送達封入体の懸濁液を量り取り、その重量を記録して、次いで、30mLの脱イオン水でサンプルを希釈し、孔径5.0μmのニトロセルロースフィルター膜を通して濾過する。フィルター上で捕捉された材料を、5mLのISTD溶液(無水アルコール中25.0mg/Lテトラデカン)で可溶化し、60℃で30分間加熱する。冷却した溶液を、孔径0.45μmのPTFEシリンジフィルターを通して濾過し、GC-MS/FIDを介して分析する。3つの既知の香油を比較標準物質として使用する。データ分析は、総面積カウントからISTD面積カウントを引いて合計することと、3つの標準香料の平均応答係数(Response Factor、RF)を計算することと、を伴う。次いで、製品に封入された香料の反応係数及び総面積カウントを、サンプルの重量とともに使用して、封入された香料中の各PRMの総重量パーセントを決定する。PRMは、質量分析ピークから同定される。
【0273】
B.封入されていない材料の量
スラリーなどの組成物中の封入されていない香料及び(任意に)分配調節剤材料の量を決定するために、表の後に提供される分析手順を使用して、以下の装置をこの分析に使用することができる。
【0274】
【0275】
ISSヘキサン中の香料標準品を調製するために、0.050+/-0.005gの所望のPMC香油を50mLメスフラスコ中に量り入れる(又は添加する香油のgを再計算する他の容量サイズ)。上記のISSヘキサン溶液でラインまで満たす。ISSヘキサンは、4リットルのヘキサン中0.1gのテトラデカンである。
【0276】
5%の界面活性剤溶液を調製するために、50g+/-1gのドデシル硫酸ナトリウムをビーカーに量り入れ、精製水を使用して、1リットルのメスフラスコに定量的に移し、界面活性剤が完全に溶解することを確実にする。
【0277】
PMC組成物(例えば、スラリー)のサンプルを調製するために、組成物(例えば、スラリー)が十分に混合されていることを確認し、必要に応じて混合する。0.3+/-0.05gの組成物サンプルを10mLバイアルの底に量り入れる。バイアルの壁に組成物が付着するのを避ける。
【0278】
機器を動作させるために、各PRM(及び任意に、分配調節剤)の定量化のための目標とするイオンを、最低1つ、好ましくは2つの確認イオンとともに決定する。較正曲線は、各PRMについて香料標準品から生成される。サンプル重量及び個々のPRM重量%を利用して、各PRMについての抽出イオン(EIC)の積分及び量がプロット又は記録される。
【0279】
遊離油の量は、較正曲線に対する各PRMの応答から決定され、全ての異なる香料材料及び任意に、分配調節剤にわたって合計される。
【0280】
C.封入された物質の決定
封入された油及び任意に、分配調節剤の決定は、組成物(例えばスラリー)中に見出される全油の重量から、組成物中に見出される遊離/封入されていない油の重量を差し引くことによって行われる。
【0281】
壁材料の分析的決定
この方法は、壁材料の量を決定する。最初に、0.45マイクロメートルより大きい径を有する粒子の壁材料が、デッドエンド濾過によって単離される。熱重量分析によるその後の分析は、無機材料及び他の(有機)原料スラリー成分の排除を可能にする。
【0282】
A.サンプル調製
この手順は、デッドエンド濾過を適用して、サンプルの可溶性画分を排除する。異なる溶媒を連続して使用して、TGA分析の前に干渉物質の除去を最大にする。
【0283】
以下の材料及び/又は装置を使用する。
●濾過装置
○真空ポンプ:Millipore Model WP6122050又は同等物。
○ポンプを濾過装置に接続するための厚壁真空チューブ。
○濾過フラスコ500又は1000ml。
○濾過カップ:例えば、250ml Millipore Filtration漏斗(「Milli Cup」)、濾過材料:0.45マイクロメートル膜、耐溶媒性。
○量りながら濾過装置を収容するための密封可能なプラスチック容器。
○標準実験用ガラス器具(ガラスビーカー100~250ml、メスシリンダー50~250ml)。
●乾燥装置
○真空オーブン及び真空ポンプ(設定60~70℃/真空:30インチ水銀真空)。
○デシケータ又は定湿度チャンバ(冷却中、残留物を制御された環境下に保つ)。
●溶媒
○全ての溶媒:分析グレード最小:2-プロパノール、アセトン、クロロホルム。
【0284】
濾過手順は以下の通りである。濾過装置を調製するために、0.1~0.2mgまで予備乾燥させた濾過装置(例えば、Milli cupフィルター)の重量を記録する。予備乾燥は、濾過が完了した後にフィルターに対して行われるのと同じ乾燥工程を伴う。
【0285】
1~2グラムのスラリー原料(注:0.1~0.2mgまでの重量)をガラスビーカー(250ml)に量り入れるか、又は濾過装置に直接量り入れることによって、サンプルを濾過する。20mlの脱イオン水を添加し、旋回させてサンプルを均質化する。80mlのイソプロピルアルコールを添加し、サンプルを溶媒で均質化する。サンプルを凝集させるために加熱を使用する。濾過装置を濾過ボトル上に置き、真空で濾過を開始する。濾過が完了した後、100mlのクロロホルムを添加する。濾過を続ける。10~20mlのアセトンを添加し、膜を通して濾過して微量のクロロホルムを除去する。濾過システムからフィルターを取り出し、真空オーブン中で乾燥させる。冷却後、フィルターを量り、重量を記録する。
【0286】
フィルター+残留物とフィルター重量のみの重量差(=濾過後の残留物の正味重量)を原料スラリーサンプル重量で割り、100を掛けることによって残留物パーセント(重量残留物)を計算し、%単位を得る。TGA分析による残留物%の測定を続ける。
【0287】
熱重量分析(TGA)は、以下の装置及び設定を用いて行われる:TGA:TA instruments Discovery TGA;パン:密封アルミニウム;パージ:50ml/分のN2;手順:10℃/分で500℃にする;TGAは、発生ガス用のNicolet Nexus 470 FTIR分光計に連結される。
【0288】
TGAデータ分析では、350~500℃の間の重量損失は、香料マイクロカプセルのポリマー壁材料及び依然として残留する(燃焼した)香料化合物の分解によるものである。不溶性ポリマー画分の計算のために、この重量損失が使用される。500℃で、未燃焼物質である残留物が依然として存在し、不溶性ポリマー画分を計算するときに考慮されるべきである。
【0289】
コア:壁比の分析的決定
コア及び壁材料の投入物が容易に利用可能でない場合、封入体のコア:壁比は、本明細書に記載の方法を使用して分析的に決定され得る。
【0290】
より具体的には、上記の方法は、香料カプセル組成物(例えば、スラリー)中の香料、分配調節剤、及び壁材料の量を(重量で)決定することを可能にし、コア:壁比を計算するために使用することができる。これは、組成物中に見出される香料+分配調節剤の総量(重量)を、組成物中に見出される架橋壁材料の量(重量)で割ることによって行われる。
【0291】
logPを決定するための試験方法
試験する各材料(例えば、香料混合物中の各PRM)について、オクタノール/水の分配係数のlog値(logP)を計算する。個々の材料(例えば、PRM)のlogPは、Advanced Chemistry Development Inc.(ACD/Lab)(Toronto,Canada)から入手可能なConsensus logP Computational Model、バージョン14.02(Linux(登録商標))を使用して計算され、無単位のlogP値が得られる。ACD/LabsのConsensus logP Computational Modelは、ACD/Labsモデルスイートの一部である。
【0292】
体積加重粒子径及び粒度分布
体積加重粒子径分布は、AccuSizer 780 AD機器と、付随するソフトウェアCW788バージョン1.82(Particle Sizing Systems,Santa Barbara,California,U.S.A.)又は同等物を使用して、光学的粒子計数法(optical particle counting、OPC)とも呼ばれる単一粒子光学検知法(single-particle optical sensing、SPOS)によって決定される。機器は、以下の条件及び選択肢を用いて構成される:流速=1ml/秒;小径側閾値=0.50μm;Sensor Model Number=センサモデル番号=LE400-05又は同等物。自動希釈=オン;収集時間:60秒;数チャネル=512;容器の流体体積=50ml;最大同時計数=9200。測定は、バックグラウンド計数が100未満になるまで水でフラッシングすることによって、センサを低温状態にすることによって開始される。懸濁液中の送達カプセルのサンプルが導入され、必要に応じてカプセルの密度が、脱イオン水を用いて自動希釈を介して調整されて、カプセルの計数が少なくとも1ml当たり9200となるようにする。60秒間かけて、懸濁液を分析する。得られる体積加重PSDデータをプロットし、記録し、所望の体積加重粒子径の値(例えば、中央値/50パーセンタイル、5パーセンタイル、及び/又は90パーセンタイル)を決定する。
【0293】
累積粒子体積の90%が超えた送達粒子の径(90%の径)、累積粒子体積の5%が超えた粒子径(5%の径)、及び体積加重粒子径中央値(50%の径:この径を超える粒子体積及びこの径を下回る粒子体積の50%)を決定することによって、ブロードネス指数を計算することができる。
ブロードネス指数=((90%の径)-(5%の径))/50%の径。
【0294】
破壊強度試験方法
群の平均破壊強度を測定するため、及び/又はデルタ破壊強度を決定するために、3つの異なる測定が行われる:i)体積加重カプセル径分布、ii)3つの指定された径範囲の各々内の10個の個々のカプセル(及び/又は平均破壊強度が決定される場合、体積加重粒子径中央値における30個の個々のカプセル)の直径、並びにiii)それらの同じ30個の個々のカプセルの破断力。
a.)体積加重カプセル径分布を、上述のように決定する。得られる体積加重PSDデータをプロットし、記録し、中央値、5パーセンタイル、及び90パーセンタイルの値を決定する。
b.)個々のカプセルの直径及び破断力値(破裂力値としても知られる)は、以下に記載され、University of Birmingham,Edgbaston,Birmingham,UKで利用可能な、送達カプセルを撮像することができるレンズ及びカメラを有し、力変換器(Aurora Scientific Inc,Canadaから入手可能なModel 403Aなど)又は同等物に接続された細い平面端プローブを有するカスタムコンピュータ制御顕微操作機器システムを介して測定される:Zhang,Z.et al.(1999)「Mechanical strength of single microcapsules determined by a novel micromanipulation technique.」J.Microencapsulation,vol 16,no.1,pages 117-124及びSun,G.and Zhang,Z.(2001)「Mechanical Properties of Melamine-Formaldehyde microcapsules.」J.Microencapsulation,vol 18,no.5,pages 593-602。
c.)送達カプセル懸濁液を、顕微鏡スライドガラス上に一滴置き、周囲条件下で数分間乾燥させて水を除去し、乾燥したスライドガラス上に、低密度で単層の孤立したカプセルを得る。必要に応じて懸濁液中のカプセルの濃度を調整して、スライド上で好適なカプセル密度を得る。2つ以上のスライド調製が必要とされる場合があり得る。
d.)次いで、スライドを顕微操作機器のサンプル保持ステージ上に置く。スライド上の30個の有益剤送達用カプセルを測定のために選択し、3つの所定の径範囲のそれぞれに選択された10個のカプセルが存在するようにする。各径範囲は、Accusizerにより生成された体積加重PSDから導かれたカプセルの直径を指す。カプセルの3つの径範囲は、中央値/50パーセンタイル直径+/-2μm、5パーセンタイル直径+/-2μm、及び90パーセンタイル直径+/-2μmである。収縮したり、漏出があったり、あるいは損傷していたりするカプセルは、選択プロセスから除外され、測定されない。
i.特定の径範囲+/-2μmで十分なカプセルが利用可能でない場合、径範囲を+/-5μmに増加させてもよい。
ii.群の平均破壊強度が決定される場合、中央値/50パーセンタイル径範囲における30個(以上)のカプセルが測定され得る。
e.)30個の選択されたカプセルの各々について、カプセルの直径を顕微操作器具上の画像から測定し、記録する。次いで、2つの平坦な表面、すなわち、平坦な端部の力プローブと顕微鏡用スライドガラスとの間で、2μm/秒の速度で、その同じカプセルを圧縮し、カプセルを破裂させる。圧縮工程中、プローブの力を、マイクロ操作器具のデータ収集システムによって連続的に測定し、記録する。
f.)断面積は、測定された直径を使用し、球形カプセルを仮定して、選択されたカプセルの各々について計算される(rが圧縮前のカプセルの半径である、πr2)。破裂力は、Zhang,Z.et al.(1999)「Mechanical strength of single microcapsules determined by a novel micromanipulation technique.」J.Microencapsulation,vol 16,no.1,pages 117-124及びSun,G.and Zhang,Z.(2001)「Mechanical Properties of Melamine-Formaldehyde microcapsules.」J.Microencapsulation,vol 18,no.5,pages 593-602に示されるように、記録されたフォースプローブ測定値から各選択されたカプセルについて決定される。
g.)30個のカプセルの各々の破壊強度は、破裂力(ニュートン単位)をそれぞれのカプセルの計算された断面積で割ることによって計算される。
h.)計算:
群の平均破壊強度は、中央値/50パーセンタイル径範囲における(少なくとも)30個のカプセルの破壊強度値を平均することによって決定される。
【0295】
デルタ破壊強度は以下のように計算される。
【0296】
【数2】
式中、d
iにおけるFSは、体積加重径分布のパーセンタイルiにおけるカプセルのFSである。
【実施例】
【0297】
以下に提供される実施例は、事実上例示を意図するものであり、限定することを意図するものではない。
【0298】
実施例1.送達粒子の例示的な合成
異なる送達粒子の例示的な合成方法を以下に提供する。使用した材料の詳細を表1に提供する。
【0299】
【0300】
A.合成方法の説明(36ミクロンカプセル、コア対壁の重量比98:2)
1L容量の水ジャケット付きステンレス鋼反応器に、133.12グラムの香油及び10.00グラムのアントラニル酸メチル(合計=143.12グラム)のプレミックスを、137.45グラムのミリスチン酸イソプロピルとともに添加し、窒素環境下で、ミルブレードを備えた高剪断ミキサーを用いて混合する。香油は、アルデヒド含有香料原料を含む。溶液を35℃に加熱した後、0.33グラムのVazo67(開始剤)を導入し、続いて全混合物を70℃に加熱し、その温度で45分間維持した後、系を50℃に冷却する。この温度に達したらすぐに、63.05グラムの香油、0.075グラムのCD9055、0.075グラムのTBAEMA、及び6.23グラムのCN975を含有する、別々に調製した溶液を反応器に導入し、全混合物を50℃で10分間混合する。次いで、撹拌を停止した後、107グラムの乳化剤(PVOH 540の5%溶液)、340.03グラムのRO水、0.22グラムのV-501、及び0.21グラムのNaOH(21%溶液)からなる水相を反応器に添加する。水相の添加後に続いて、粒子径に達するまで粉砕を行う。次いで、エマルジョンを最初に75℃に加熱し、その温度で240分間維持し、次いで95℃に360分間加熱した後、25℃に冷却する。その時点で、スラリーを反応器から容器に排出して、レオロジー変性剤(キサンタンガム1.59グラム)及び防腐剤(Acticide BWS-10;0.61グラム)を添加する。レオロジー変性剤を30分間混合する。防腐剤を最後に添加し、5~10分間混合する。次いで、完成したスラリーを特徴付け、適合とみなされるものとして試験する。
【0301】
コア:壁重量比-サンプル計算
コア:壁重量比は、総コア材料投入物(例えば、香油及び分配調節剤)の重量を総壁材料投入物(例えば、壁モノマー及び開始剤)の重量で割ることによって決定される。あるいは、粒子群中のコア材料の相対パーセンテージは、総コア材料投入物の重量を、コア材料投入物の総重量+壁材料投入物の総重量の合計で割り、100を掛けることによって決定することができる。残りのパーセンテージ(100-%コア)は、壁材料の相対パーセンテージであり、次いで、これらの数は、比率として表され得る。同様に、粒子群中の壁材料の相対パーセンテージは、壁材料投入物の総重量を、総コア材料投入物及び総壁材料投入物の重量の合計で割り、100を掛けることによって決定することができる。
【0302】
この章の実施例によって形成された「98:2」カプセルについてのサンプル計算が以下に提供され、ここで、コアは香油及び分配調節剤(ミリスチン酸イソプロピル)を含み、壁は壁モノマー(CN975、CD9055、及びTBAEMA)及び開始剤(Vazo67及びV-501)を含む。
【0303】
【0304】
実施例2.封入効率
本開示による遮蔽剤の存在下及び不在下での封入効率を試験するために、送達粒子のいくつかの群を、以下に提供されるものを除いて、概して実施例1に記載される方法に従って作製する。
【0305】
同じ芳香剤材料及び分配調節剤(ミリスチン酸イソプロピル)を、送達粒子の各レッグについてほぼ同じ重量比(55:45)で使用する。いくつかについては、表2に示されるように、遮蔽剤(アントラニル酸メチル)が粒子作製方法の油相に添加される。各送達粒子のコア:壁重量比は同じに保たれる。2つの異なる濃度のフリーラジカル開始剤を用いて作製した群を試験する。送達粒子は、約36ミクロンの意図した/目標とする体積加重平均粒子径で作製する。
【0306】
芳香剤材料は、約29.7重量%のアルデヒド含有香料原料及び約1.6重量%のケトン含有香料原料を含み、重量%は芳香剤材料の重量による。
【0307】
粒子を作製し、芳香剤材料を封入した後、各スラリーを遊離(封入されていない)香油について試験する。結果を、粒子作製方法に提供された総芳香剤材料のパーセンテージとして以下の表2に報告する。より大きな数は、比較的より多くの遊離香油が存在することを示し、これは、封入方法の効率がより低いことを示す。比較例は、アスタリスク(*)で示す。
【0308】
【表5】
160:40の重量比で存在する、Vazo67(粒子作製方法中に油相中に添加される)とV-501(水相中に添加される)との組み合わせ
2アントラニル酸メチル
【0309】
表2のデータから示されるように、遮蔽剤(アントラニル酸メチル)の存在は、遊離香油がより少なくなり、封入方法がより効率的である(例えば、比較的より多くの香油が封入される)ことを示す。この効果は、レッグAと比較してレッグBにおいて特に顕著である。
【0310】
実施例3.漏出
本開示による遮蔽剤を用いて、及び用いずに作製された送達粒子の漏出を試験するために、送達粒子のいくつかの群を、以下に提供されるものを除いて、概して実施例1に記載される方法に従って作製する。
【0311】
同じ芳香剤材料及び分配調節剤(ミリスチン酸イソプロピル)を、送達粒子の各レッグについて同じ重量比(55:45)で使用する。いくつかについては、表3に示されるように、遮蔽剤(アントラニル酸メチル)が粒子作製方法の油相に添加される。各送達粒子のコア:壁重量比は同じに保たれる。2つの異なる濃度のフリーラジカル開始剤を用いて作製した群を試験する。送達粒子を、約36ミクロンの意図した/目標とする体積加重平均粒子径で作製する。
【0312】
芳香剤材料は、約29.7重量%のアルデヒド含有香料原料及び約1.6重量%のケトン含有香料原料を含み、重量%は芳香剤材料の重量による。
【0313】
粒子漏出について試験するために、送達粒子の群を強力液体(「heavy duty liquid、HDL」)洗濯洗剤に提供する。製品を35℃で1週間エージングさせる。貯蔵後、製品を試験して、封入された芳香剤材料の漏出パーセンテージを決定する。比較例は、アスタリスク(*)で示す。
【0314】
【表6】
160:40の重量比で存在する、Vazo67(粒子作製方法中に油相中に添加される)とV-501(水相中に添加される)との組み合わせ
2アントラニル酸メチル
【0315】
表3のデータから示されるように、粒子作製方法中の遮蔽剤(アントラニル酸メチル)の存在は、HDL洗剤消費者製品においてより少ない漏出をもたらし、これは、ポリマー壁がより堅牢であることを示唆する。より少ない漏出は、レッグEと比較してレッグFにおいて特に顕著である。
【0316】
実施例4.ある特定の香料、遮蔽剤、及び開始剤の効果
以下の実施例は、高いコア:壁重量比を有する粒子中にある特定の香料を封入することの相対的効果、並びに遮蔽剤及び開始剤の効果を更に示す。
【0317】
パートA.ある特定の香料及びコア:壁比
2つの異なる芳香剤材料を、同様の壁化学(一般に実施例1に記載の方法に従う)を有するが、異なるコア:重量比を有する送達粒子中に(ミリスチン酸イソプロピルと組み合わせて)封入する。
【0318】
香料1は、約17%のアルデヒド含有香料原料及び約0.2%のケトン含有香料原料を含む。香料2は、約29.7%のアルデヒド含有香料原料及び約4.2%のケトン含有原料を含む。
【0319】
送達粒子を強力洗濯(heavy-duty laundry、HDL)洗剤のサンプルに提供し、35℃で1週間保存し、次いで漏出について試験する。結果を、下の表4Aに提供する。レッグJのバッチは、600gのスケール(すなわち、バッチサイズ)で調製されたが、他のレッグは、3kgのスケールで調製されたことに留意されたい。
【0320】
【0321】
表4Aに示されるように、比較的高いコア:壁重量比(例えば、98:2)を有する送達粒子は、比較的より低い比率(例えば、90:10)を有する送達粒子よりも多くHDL製品において漏出する傾向がある。加えて、比較的多量のアルデヒド及び/又はケトンを有する封入された香料(例えば、香料2)は、比較的より高い漏出率に関連する。したがって、表4Aに示されるように、高いコア:壁重量比を有する送達粒子、及び比較的多量のアルデヒド及びケトン有益剤(例えば、香料)は、特に漏出する可能性が高い。
【0322】
パートB.遮蔽剤の効果
遮蔽剤の効果を示すために、香料2(一般に実施例1に従う)を封入することによって送達粒子の2つの群を作製する。群の1つに関して、遮蔽剤(アントラニル酸メチル)を封入される香油に添加する。送達粒子は、約98:2のコア:壁重量比を特徴とし、ポリマー壁の約32重量%のフリーラジカル開始剤濃度で作製された。
【0323】
得られた群を、遊離香油、35℃で1週間後のHDL製品中の漏出について試験し、粒子壁を構築する際の効果的なモノマー使用についてランク付けする。結果を表4Bに示す。
【0324】
【0325】
表4Bに示されるように、遮蔽剤(アントラニル酸メチル)の添加は、得られる送達粒子の封入及び性能を改善することができる。
【0326】
パートC.遮蔽剤及び開始剤の効果
以下の実験(生産規模=200kg)では、アントラニル酸ジメチルを遮蔽剤として使用する(レッグP及びQ)。更に、開始剤濃度は、レッグにわたって変化する。
【0327】
【表9】
3アントラニル酸ジメチル
424.2%は開始剤の最初の添加を表す。以下に記載するように、カプセル作製方法において等量を後で更に添加した。
【0328】
表4Cに示されるように、アントラニル酸ジメチル(レッグP参照)は封入及び性能利益を提供する効果的な遮蔽剤として使用することができる。レッグQに更に示されるように、追加の開始剤を複数回に分けて添加することにより、封入及び性能を更に改善することができる。
【0329】
乳化前に開始剤を最初に添加し、乳化後に追加のアリコートを添加することができる。開始剤の量の1倍~3倍のベースラインと比較して、封入方法中の更なる工程における開始剤添加の更なる部分(1倍~9倍)は、更により堅牢な壁をもたらし、漏出を更に低減することができることが見出された。更なる添加工程における更なる部分は、1つ以上の更なる添加工程において添加され得ることが想定される。
【0330】
これは、開始剤の追加部分が乳化後に添加されるレッグQにおいて見られ、この第2の添加は、カプセルを更に硬化させ、堅牢性などのカプセル全体の性能を向上させることが見出された。
【0331】
実施例5.例示的な配合-液体布地向上剤
表5は、本開示による組成物の例示的な配合を示す。具体的には、以下の組成物は液体布地向上剤製品である。
【0332】
【表10】
1エステル第四級1:ビス-(2-ヒドロキシプロピル)-ジメチルアンモニウム硫酸メチル脂肪酸エステルと、(2-ヒドロキシプロピル)-(1-メチル-2-ヒドロキシエチル)-ジメチルアンモニウム硫酸メチル脂肪酸エステルと、ビス-(1-メチル-2-ヒドロキシエチル)-ジメチルアンモニウム硫酸メチル脂肪酸エステルとの混合物であり、脂肪酸エステルはC12~C18脂肪酸混合物(REWOQUAT DIP V 20 M Conc,ex Evonik)から製造される
2エステル第四級2:C12~C18脂肪酸混合物(REWOQUAT CI-DEEDMAC,ex Evonik)から製造された、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)-N,N-ジメチルアンモニウム塩化物脂肪酸エステル
3エステル第四級3:硫酸ジメチル(REWOQUAT WE 18,ex Evonik)で四級化された、トリエタノールアミンを伴う(C16~18及びC18不飽和)脂肪酸のエステル化生成物
*本開示による送達粒子、すなわち、上の実施例1で形成された群。提供される「活性%」は、組成物に送達される芳香剤の量である。
【0333】
実施例6.例示的な配合-洗濯添加剤粒子
表6は、本開示による組成物の例示的な配合を示す。具体的には、以下の組成物は、パスティル又は「ビーズ」の形態の洗濯添加剤粒子であり、例えば、DOWNY UNSTOPABLES(商標)として販売されている市販の製品である。
【0334】
【表11】
1PLURIOL E8000(ex BASF)
2硫酸ジメチル(REWOQUAT WE 18,ex Evonik)で四級化された、トリエタノールアミンを伴う(C16~18及びC18不飽和)脂肪酸のエステル化生成物
3カチオン性修飾ヒドロキシエチルセルロース
4本開示による芳香剤送達粒子、すなわち、上の実施例1において形成された群。提供される%は、組成物に提供される水性スラリーの量であり、スラリーは、約45重量%の送達粒子(コア+シェル)を含む。
【0335】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わり、別途明示されない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0336】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は出願、及び本出願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含めて、本明細書に引用される全ての文書は、明示的に除外又は別の様式で限定されない限り、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいかなる発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0337】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができることは当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消費者製品組成物であって、
消費者製品補助材料と、
送達粒子の群と、を含み、
前記送達粒子が、コア材料、及び前記コア材料を取り囲むポリマー壁を含み、
前記コア材料の前記ポリマー壁に対する重量比が、少なくとも95:5であり、
前記ポリマー壁が、壁形成材料から得ることができる壁ポリマーを含み、
前記壁形成材料が、構造モノマー及びフリーラジカル開始剤を含み、
前記コア材料が、有益剤及び遮蔽剤を含み、
前記有益剤が、アルデヒド含有有益剤、ケトン含有有益剤、又はこれらの組み合わせを含み、
前記遮蔽剤が、前記アルデヒド含有有益剤、前記ケトン含有有益剤、又はこれらの組み合わせと複合体を形成することができる、消費者製品組成物。
【請求項2】
前記コア材料の前記ポリマー壁に対する重量比が、少なくとも96:4、
好ましくは少なくとも97:3、より好ましくは少なくとも97.5:2.5、更により好ましくは少なくとも98:2である、請求項1に記載の消費者製品組成物。
【請求項3】
前記構造モノマーが、前記壁形成材料の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%の濃度で存在する、請求項
1に記載の消費者製品組成物。
【請求項4】
前記構造モノマーが、(メタ)アクリレートモノマーを含み、
好ましくは、前記(メタ)アクリレートモノマーが、少なくとも3つ、好ましくは少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は更には少なくとも6つのラジカル重合性官能基を有する多官能性(メタ)アクリレートモノマーを含むが、但し、前記ラジカル重合性基のうちの少なくとも1つ、より好ましくは少なくとも3つがアクリレート又はメタクリレートである、請求項
1に記載の消費者製品組成物。
【請求項5】
前記フリーラジカル開始剤が、ペルオキシ開始剤、アゾ開始剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料であって、
好ましくは、ペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、アルキルペルオキシド、ペルオキシエステル、ペルオキシカーボネート、ペルオキシケトン、ペルオキシジカーボネート、2,2’-アゾビス(イソブチルニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルペンタンニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロパンニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、1,1’-アゾビス(シアノシクロヘキサン)、ベンゾイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ジ(n-プロピル)ペルオキシジカーボネート、ジ(sec-ブチル)ペルオキシジカーボネート、ジ-(2-エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、1,1-ジメチル-3-ヒドロキシブチルペルオキシネオデカノエート、a-クミルペルオキシネオヘプタノエート、t-アミルペルオキシネオデカノエート、t-ブチルペルオキシネオデカノエート、t-アミルペルオキシピバレート、t-ブチルペルオキシピバレート、2,5-ジメチル2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン、t-アミルペルオキシ-2-エチル-ヘキサノエート、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルペルオキシアセテート、ジ-t-アミルペルオキシアセテート、t-ブチルペルオキシド、ジ-t-アミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、クメンヒドロペルオキシド、1,1-ジ-(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチル-シクロヘキサン、1,1-ジ-(t-ブチルペルオキシ)-シクロヘキサン、1,1-ジ-(t-アミルペルオキシ)-シクロヘキサン、エチル-3,3-ジ-(t-ブチルペルオキシ)-ブチレート、t-アミルペルベンゾエート、t-ブチルペルベンゾエート、エチル3,3-ジ-(t-アミルペルオキシ)-ブチレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、
より好ましくは、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、少なくとも1つのフリーラジカル開始剤を含む、請求項
1に記載の消費者製品組成物。
【請求項6】
前記有益剤が、香料原料を含み、
好ましくは、前記香料原料が、前記香料原料の少なくとも約20重量%、好ましくは少なくとも約25重量%、より好ましくは少なくとも約30重量%、より好ましくは少なくとも約40重量%、更により好ましくは少なくとも約50重量%のアルデヒド含有香料原料、ケトン含有原料、又はこれらの混合物を含む、請求項
1に記載の消費者製品組成物。
【請求項7】
前記遮蔽剤が、
アミン含有化合物、
ケイ素含有化合物、
硫黄含有化合物、
前記アルデヒド含有有益剤、前記ケトン含有有益剤、又はこれらの混合物と反応したときに、式(I)(式中、部分及び添え字は、本明細書に記載される通りである)によるアルキリデン含有化合物を形成する材料、
【化1】
及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項
1に記載の消費者製品組成物。
【請求項8】
前記遮蔽剤が、アミン含有化合物、
好ましくは、アントラニル酸メチル、アントラニル酸ジメチル、及びこれらの混合物からなる群から選択されるアミン含有化合物である、請求項
1に記載の消費者製品組成物。
【請求項9】
前記遮蔽剤が、前記有益剤の少なくとも約1重量%、好ましくは少なくとも約3重量%、より好ましくは少なくとも約5重量%の濃度で存在する、請求項
1に記載の消費者製品組成物。
【請求項10】
前記アルデヒド含有有益剤及び/又はケトン含有有益剤の少なくとも一部が、前記遮蔽剤の少なくとも一部との複合体の形態で存在し、好ましくは、前記複合体が、共有結合した化合物である、請求項
1に記載の消費者製品組成物。
【請求項11】
前記コア材料が、分配調節剤を更に含み、好ましくは前記分配調節剤が、前記コア材料の約5重量%~約55重量%の濃度で存在し、より好ましくは前記分配調節剤が、ミリスチン酸イソプロピル、植物油、変性植物油、C4~C24脂肪酸のモノ-、ジ-、及びトリ-エステル、ドデカノフェノン、ラウリン酸ラウリル、ベヘン酸メチル、ラウリン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、並びにこれらの混合物からなる群から選択され、更により好ましくは前記分配調節剤が、ミリスチン酸イソプロピルである、請求項
1に記載の消費製品。
【請求項12】
前記コア/壁送達粒子が、前記有益剤及び前記遮蔽剤を壁形成材料と組み合わせる前に、前記有益剤及び前記遮蔽剤を組み合わせる工程を含む方法によって得られる、請求項
1に記載の消費者製品組成物。
【請求項13】
前記送達粒子が、約10~約100ミクロン、好ましくは約15~約60ミクロン、より好ましくは約20~約50ミクロン、更により好ましくは約30~約40ミクロンの体積加重粒子径中央値を特徴とする、請求項
1に記載の消費者製品組成物。
【請求項14】
前記組成物が、布地ケア組成物、硬質表面洗浄組成物、食器ケア組成物、ヘアケア組成物、ボディクレンジング組成物、又はこれらの混合物、
好ましくは布地ケア組成物、好ましくは洗濯洗剤組成物、布地コンディショニング組成物、洗濯添加剤、布地前処理組成物、布地リフレッシャー組成物、又はこれらの混合物である布地ケア組成物である、請求項
1に記載の消費者製品組成物。
【請求項15】
表面の処理方法であって、請求項1~14のいずれか一項に記載の消費者製品組成物と前記表面を、
任意に、水の存在下で接触させる工程を含む、方法。
【国際調査報告】