(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-14
(54)【発明の名称】電池モジュールおよびこれを含む電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20231207BHJP
【FI】
H01M50/204 401H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532206
(86)(22)【出願日】2022-08-30
(85)【翻訳文提出日】2023-05-25
(86)【国際出願番号】 KR2022012935
(87)【国際公開番号】W WO2023033504
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】10-2021-0116870
(32)【優先日】2021-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ミン・ソプ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジュンヨブ・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ジョンピル・ジョン
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA28
5H040AS07
5H040AT06
(57)【要約】
本発明の一実施形態による電池モジュールは、複数の電池セルが積層されている電池セル積層体、前記電池セル積層体を囲むモジュールフレーム、および前記モジュールフレームにおいて開放されている前記電池セル積層体の前面および後面を覆うエンドプレートを含み、前記電池セル積層体と前記エンドプレートとの間の空間に形成される熱伝達部材を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルが積層されている電池セル積層体、
前記電池セル積層体を囲むモジュールフレーム、および
前記モジュールフレームにおいて開放されている前記電池セル積層体の前面および後面を覆うエンドプレートを含む電池モジュールであって、
前記電池モジュールが、前記電池セル積層体と前記エンドプレートとの間の空間に形成される熱伝達部材を含む、電池モジュール。
【請求項2】
前記電池モジュールは、前記電池セル積層体の前記前面および前記後面と前記エンドプレートとの間に形成されるバスバーフレームをさらに含み、
前記熱伝達部材は前記電池セル積層体と前記バスバーフレームとの間の空間および前記バスバーフレームと前記エンドプレートとの間の空間に形成される、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記熱伝達部材は、前記電池セル積層体と前記バスバーフレームとの間の空間および前記バスバーフレームと前記エンドプレートとの間の空間を全体的に満たす、請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記電池モジュールは、前記電池セル積層体から突出している電極リードをさらに含み、
前記熱伝達部材は前記電極リードと接触する、請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記電池モジュールは、前記バスバーフレームに装着された複数のバスバーを含み、
前記熱伝達部材は前記バスバーおよび前記バスバーフレームと接触する、請求項4に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記モジュールフレームは、前記電池セル積層体の下部および両側部を覆うフレーム部材と、前記電池セル積層体の上部を覆う上部プレートを含み、
前記熱伝達部材は前記フレーム部材の底部および前記上部プレートと接触する、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記熱伝達部材は流動性を有する素材で形成され、
前記熱伝達部材は移動が可能である、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項8】
前記熱伝達部材はゲル形態に形成される、請求項7に記載の電池モジュール。
【請求項9】
前記バスバーフレームは前記電池セル積層体に向かう方向に突出した防止部を含む、請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項10】
前記バスバーフレームは溝部をさらに含み、
前記溝部は互いに隣接する前記防止部が離隔して形成される、請求項9に記載の電池モジュール。
【請求項11】
前記熱伝達部材は前記防止部と接触するように防止部の下端に形成される、請求項9に記載の電池モジュール。
【請求項12】
前記防止部は前記熱伝達部材が前記防止部の上部に流出されることを防止する、請求項9に記載の電池モジュール。
【請求項13】
請求項1に記載の電池モジュールを含む電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は2021年9月2日付韓国特許出願第10-2021-0116870号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は電池モジュールおよびこれを含む電池パックに関するものであって、より具体的に、新規な冷却構造を有する電池モジュールおよび電池パックに関するものである。
【背景技術】
【0003】
モバイル機器に対する技術開発と需要が増加するにつれてエネルギー源として二次電池の需要が急激に増加している。特に、二次電池は、携帯電話機、デジタルカメラ、ノートパソコン、ウェアラブルデバイスなどのモバイル機器だけでなく、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車などの動力装置に対するエネルギー源としても多くの関心を集めている。
【0004】
小型モバイル機器にはデバイス1台当り一つまたは二、三、四つの電池セルが使用されるのに反し、自動車などのように中大型デバイスには高出力大容量が必要である。したがって、多数の電池セルを電気的に連結した中大型電池モジュールが使用される。
【0005】
中大型電池モジュールはできれば小さい大きさと重量で製造されることが好ましいので、高い集積度で積層でき、容量に対比して重量が小さい角型電池、パウチ型電池などが中大型電池モジュールの電池セルとして主に使用されている。このような電池モジュールは高出力を得るために複数の単位電池セルを含む多数のセルアセンブリーを直列に連結した構造を有している。そして、前記電池セルは正極および負極集電体、セパレータ、活物質、電解液などを含んで構成要素間の電気化学的反応によって反復的な充放電が可能である。
【0006】
一方、近来エネルギー貯蔵源としての活用をはじめとして大容量構造に対する必要性が高まるにつれて多数の二次電池が直列および/または並列に連結された多数の電池モジュールおよび前記電池モジュールを集合させたマルチモジュール構造の電池パックに対する需要が増加している。
【0007】
また、複数の電池セルを直列/並列に連結して電池パックを構成する場合、少なくとも一つの電池セルからなる電池モジュールを先に構成し、このような少なくとも一つの電池モジュールを用いてその他の構成要素を追加して電池パックを構成する方法が一般的である。
【0008】
一般に、二次電池は、適正温度より高まる場合に二次電池の性能が低下することがあり、ひどい場合、爆発や発火の危険もある。特に、多数の二次電池、即ち、電池セルを備えた電池モジュールや電池パックは狭い空間で多数の電池セルから出る熱が合算されて温度がさらに急速にひどく上がることがある。言い換えれば、多数の電池セルが積層された電池モジュールとこのような電池モジュールが装着された電池パックの場合、高い出力を得ることができるが、充電および放電時、電池セルから発生する熱を除去することが容易でない。電池セルの放熱が十分に行われない場合、電池セルの劣化が速くなりながら寿命が短くなり、爆発や発火の可能性が大きくなる。
【0009】
さらに、車両用バッテリーパックに含まれるバッテリーモジュールの場合、直射光線に頻繁に露出され、夏季や砂漠地域のような高温条件に置かれることがある。
【0010】
【0011】
図1を参照すれば、従来の電池モジュール10は、複数の電池セル11が積層されて形成される電池セル積層体20、および電池セル積層体20を収容するモジュールフレーム30を含む。この時、電池セル積層体20の下部とモジュールフレーム30の底部31との間に位置する熱伝導性樹脂層40を形成することができる。
【0012】
従来の電池モジュールは、電池セル11から発生する熱は、電池セル積層体20の下部に形成される熱伝導性樹脂層40およびモジュールフレーム30の底部31を通じた一方向経路を通じてのみ放出された。
【0013】
しかし、最近、高容量、高エネルギー、急速充電などの必要が持続的に増加してバスバーに流れる電流の量が増加し、バスバー、電池セル、および電極リードで発生する発熱も増加する傾向である。このような発熱は従来の冷却構造のみでは効果的に冷却させにくい。したがって、前記発熱の冷却のために電池セルおよびバスバーと直接的に接触して迅速な冷却が可能な新規構造の必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の解決しようとする課題は、電池セルおよびバスバーの発熱問題解決の可能な電池モジュールおよびこれを含む電池パックを提供するためのものである。
【0015】
しかし、本発明が解決しようとする課題が上述の課題に制限されるわけではなく、言及されていない課題は本明細書および添付された図面から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一実施形態による電池モジュールは、複数の電池セルが積層されている電池セル積層体、前記電池セル積層体を囲むモジュールフレーム、および前記モジュールフレームにおいて開放されている前記電池セル積層体の前面および後面を覆うエンドプレートを含み、前記電池セル積層体と前記エンドプレートとの間の空間に形成される熱伝達部材を含む。
【0017】
前記電池モジュールは前記電池セル積層体の前面および後面と前記エンドプレートとの間に形成されるバスバーフレームをさらに含み、前記熱伝達部材は前記電池セル積層体と前記バスバーフレームとの間の空間および前記バスバーフレームと前記エンドプレートとの間の空間に形成できる。
【0018】
前記熱伝達部材は、前記電池セル積層体と前記バスバーフレームとの間の空間および前記バスバーフレームと前記エンドプレートとの間の空間を全体的に満たすことができる。
【0019】
前記電池セル積層体から突出している電極リードをさらに含み、前記熱伝達部材は前記電極リードと接触できる。
【0020】
前記バスバーフレームに装着された複数のバスバーを含み、前記熱伝達部材は前記バスバーおよび前記バスバーフレームと接触できる。
【0021】
前記モジュールフレームは前記電池セル積層体の下部および両側部を覆うフレーム部材と、前記電池セル積層体の上部を覆う上部プレートを含み、前記熱伝達部材は前記フレーム部材の底部および前記上部プレートと接触できる。
【0022】
前記熱伝達部材は流動性を有する素材で形成され、前記熱伝達部材は移動が可能である。
【0023】
前記熱伝達部材はゲル形態に形成できる。
【0024】
本発明の他の一実施形態による電池モジュールの前記バスバーフレームは、前記電池セル積層体に向かう方向に突出した防止部を含むことができる。
【0025】
前記バスバーフレームは溝部をさらに含み、前記溝部は互いに隣接する前記防止部が離隔して形成できる。
【0026】
前記熱伝達部材は前記防止部と接触するように防止部の下端に形成できる。
【0027】
前記防止部は、前記熱伝達部材が前記防止部の上部に流出されることを防止することができる。
【0028】
本発明のまた他の一実施形態による電池パックは前記電池モジュールを含むことができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の一実施形態による電池モジュールは、熱伝達部材を含むことによって高電流および急速充電環境での電池セルおよびバスバーの発熱問題を解決することができる。また前記発熱問題を解決することによって電池モジュールの安定性が向上できる。
【0030】
また、熱伝達部材は電池セル積層体とバスバーフレームとの間の空間、およびバスバーフレームとエンドプレートとの間の空間を満たすことによって、電池モジュールの絶縁性能向上効果を達成することができる。
【0031】
本発明の効果が上述の効果で制限されるわけではなく、言及されていない効果は本明細書および添付された図面から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図2】本発明の電池モジュールの分解斜視図である。
【
図3】
図2の構成要素を組み立てた電池モジュールを示した斜視図である。
【
図4】
図3のP1面に沿って切断した様子を拡大して示した図である。
【
図5】
図3のP2面に沿って切断した様子を拡大して示した図である。
【
図6】本発明の電池モジュールに含まれる電池セルを示した斜視図である。
【
図7】本発明の他の一実施形態による電池モジュールの断面を示した図である。
【
図8】本発明の他の一実施形態による電池モジュールに含まれるバスバーフレームを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように本発明の実施形態について詳しく説明する。しかし、本発明は様々の異なる形態に実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0034】
本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一な参照符号を付けるようにする。
【0035】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜のために任意に示したので、本発明が必ずしも図示されたところに限定されない。図面において様々の層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして図面において、説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。
【0036】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分“の上に”または“上に”あるという時、これは他の部分“の直上に”ある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分“の直上に”あるという時には中間に他の部分がないことを意味する。また、基準となる部分“の上に”または“上に”あるというのは基準となる部分の上または下に位置することであり、必ずしも重力反対方向に向かって“の上に”または“上に”位置することを意味するのではない。
【0037】
また、明細書全体で、ある部分がある構成要素を“含む”という時、これは特に反対になる記載がない限り他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに含むことができるのを意味する。
【0038】
また、明細書全体で、“平面上”という時、これは対象部分を上から見た時を意味し、“断面上”という時、これは対象部分を垂直に切断した断面を横から見た時を意味する。
【0039】
本出願で使用される第1、第2用語は多様な構成要素を説明するのに使用できるが、構成要素は用語によって限定されてはならない。用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使用される。
【0040】
以下、
図2~
図6を参照して本発明の実施形態による電池モジュールについて説明する。
【0041】
図2は、本発明の電池モジュールの分解斜視図である。
図3は、
図2の構成要素を組み立てた電池モジュールを示した斜視図である。
図4は、
図3のP1面に沿って切断した様子を拡大して示した図である。
図5は、
図3のP2面に沿って切断した様子を拡大して示した図である。
図6は、本発明の電池モジュールに含まれる電池セルを示した斜視図である。
【0042】
図2および
図3を参照すれば、本実施形態による電池モジュール100は、複数の電池セル110が積層されている電池セル積層体120、および電池セル積層体120を囲むモジュールフレーム200を含む。
【0043】
まず、電池セル110はパウチ型電池セルであることが好ましく、長方形のシート型構造に形成できる。例えば、
図6を参照すれば、本実施形態による電池セル110は、二つの電極リード111、112が互いに対向してセル本体113の一端部114aと他の一端部114bからそれぞれ突出している構造を有する。即ち、電池セル110は、互いに対向する方向に突出した電極リード111、112を含む。より詳しくは、電極リード111、112は電極組立体(図示せず)と連結され、前記電極組立体(図示せず)から電池セル110の外部に突出する。
【0044】
一方、電池セル110は、セルケース114に電極組立体(図示せず)を収納した状態でセルケース114の一端部114aおよび他の一端部114bとこれらを連結する一側部114cを接着することによって製造できる。言い換えれば、本実施形態による電池セル110は総3ケ所のシーリング部114sa、114sb、114scを有し、シーリング部114sa、114sb、114scは熱融着などの方法でシーリングされる構造であり、他の一側部は連結部115からなり得る。セルケース114は樹脂層と金属層を含むラミネートシートからなり得る。
【0045】
また、連結部115は電池セル110の一縁に沿って長く伸びており、連結部115の端部にはバットイヤー110pが形成できる。また、突出した電極リード111、112を挟んでセルケース114が密封されながら、電極リード111、112とセル本体113との間にテラス部116が形成できる。即ち、電池セル110は、電極リード111、112が突出した方向にセルケース114から延長形成されたテラス部116を含むことができる。
【0046】
このような電池セル110は複数で構成でき、複数の電池セル110は相互電気的に連結されるように積層されて電池セル積層体120を形成する。特に、
図2に示されているように、y軸と平行な方向に沿って複数の電池セル110が積層できる。これにより、電極リード111、112はx軸方向と-x軸方向にそれぞれ突出することになる。
【0047】
一方、電池セル110に対する充放電が反復的に行われると熱が発生し、その中でも電極リード111、112と隣接した部分で熱が多く発生する。即ち、セル本体113の中央部分よりは、電極リード111、112に近くなるほど充放電によって多くの熱が発生することがあるので、当該部分の冷却のための構造が必要になる。
【0048】
一方、モジュールフレーム200は、上部面、前面および後面が開放されて電池セル積層体120の下部および両側部を覆うフレーム部材300、および電池セル積層体120の上部を覆う上部プレート400を含む。但し、モジュールフレーム200はこれに限定されたのでなく、L字型フレームまたは前面および後面を除いて電池セル積層体120を囲むモノフレームのような他の形状のフレームで代替できる。モジュールフレーム200を通じてモジュールフレーム200の内部に収容された電池セル積層体120を物理的に保護することができる。この時、フレーム部材300は、電池セル積層体120の下部を支える底部300aと、底部300aの両端部からそれぞれ上向延長された側面部300bを含むことができる。
【0049】
上部プレート400は、モジュールフレーム200の開放された上側面をカバーすることができる。エンドプレート150は、モジュールフレーム200において開放されている電池セル積層体120の前面および後面を覆うことができる。エンドプレート150は、上部プレート400の前後端の角およびモジュールフレーム200の前後端の角と溶接を通じて結合できる。
【0050】
エンドプレート150と電池セル積層体120の前面および後面との間にはバスバーフレーム130が形成できる。バスバーフレーム130に装着された複数のバスバー160は電池セル110から突出形成されて、バスバーフレーム130上に装着された電極リード111、112と接触できる。
【0051】
また、本実施形態による電池モジュール100は電池セル積層体120の下面とモジュールフレーム200の底部、即ち、フレーム部材300の底部300aとの間に位置する熱伝導性樹脂層310をさらに含み、熱伝導性樹脂層310は電池セル110から発生する熱を、電池モジュール100の底に伝達し電池セル積層体120を固定する役割を果たすことができる。
【0052】
従来の電池モジュールは、電池セルの下部に形成される熱伝導性樹脂層を通じて電池セルから発生した熱が放出された。しかし、熱伝導性樹脂層は、電池セルの前面および後面の電極リードおよびバスバーフレームと前記バスバーフレームに装着されるバスバーから発生する熱を効率的に冷却することができないという問題点があった。また、従来の電池モジュールの場合、電池セル積層体とバスバーフレームとの間の空間およびバスバーフレームとエンドプレートとの間の空間が空の空間として形成されて、水分流入および異物流入による絶縁性能低下の問題点があった。したがって、急速充電のように高電流の流れによって電池セルの電極リードおよびバスバーに短い時間高い発熱を発生させる状況では前記発熱を効果的に冷却することができる構造の必要性がある。
【0053】
したがって、
図4および
図5を参照すれば、本実施形態による電池モジュール100は、電池セル積層体120とエンドプレート150との間の空間に形成される熱伝達部材500を含む。具体的に、熱伝達部材500は、電池セル積層体120とバスバーフレーム130との間の空間およびバスバーフレーム130とエンドプレート150との間の空間に形成できる。また、バスバーフレーム130とエンドプレート150との間の空間には絶縁カバーがさらに形成でき、したがってバスバーフレーム130と絶縁カバーとの間の空間を熱伝達部材500が満たすことができる。
【0054】
特に、熱伝達部材500は、前記で言及した空間を全体的に満たすものであってもよい。即ち、熱伝達部材500は、電池セル積層体120とバスバーフレーム130との間の空間およびバスバーフレーム130とエンドプレート150との間の空間を全体的に満たすものであってもよい。したがって、全体的に満たされた熱伝達部材500を通じて、絶縁性能が向上し、水分および異物の浸透可能性を最少化して電池モジュールの安定性を向上させることができる。外部から水分や異物が浸透する場合、バスバー160の短絡および電池モジュール100の寿命が低下することがある。したがって、熱伝達部材500は水分および異物が電池モジュールに浸透してバスバー160および電極リード111、112と接触するのを防止することによって電池モジュールの性能を確保し安定性を向上させることができる。
【0055】
したがって、前記で説明した通り、本実施形態による熱伝達部材500は電極リード111、112と接触できる。電池セル110において多量の発熱が発生する部分である電極リード111、112は、電池セル110の部位の中でも最も冷却が必要な部分である。しかし、電極リード111、112と直接的に接触して冷却経路を形成する構成が存在しなくて問題になった。よって、本実施形態による電池モジュール100の場合、熱伝達部材500によって電極リード111、112の効果的な冷却が可能である。特に、熱伝達部材500は電極リード111、112と面接触可能であり、接触面積が広くなることによって前記接触によって、多量の熱が発生しても効果的な冷却を可能にすることができる。
【0056】
また、熱伝達部材500は、バスバー160およびバスバーフレーム130とも接触できる。バスバー160から発生する熱が熱伝達部材500を通じて冷却され、熱伝達部材500が接触する他の構成要素を通じて急速に伝達できる。また、熱伝達部材500は電池モジュール100内に形成される複数のバスバー160とそれぞれ接触することによって、バスバー160間の物理的な接触を防止することができる。したがって、バスバー160間の接触で発生することがある短絡などを遮断することができる。
【0057】
さらに、熱伝達部材500は、フレーム部材300の底部300aおよび上部プレート400と接触できる。具体的に、
図5を参照すれば、熱伝達部材500は、フレーム部材300の底部300aおよび熱伝導性樹脂層310と接触するように形成できる。また、熱伝達部材500は、上部プレート400と接触するように形成できる。したがって、熱伝達部材500はフレーム部材300の底部300a、熱伝導性樹脂層310および上部プレート400と接触することによって追加的な熱伝達経路を形成して、モジュール外部に熱を伝達および放出することができる。この時、熱伝達部材500は前記で説明した構成と面接触可能である。熱伝達部材500は空間を満たす形態で形成されるので、前記構成と面接触することによって向上した冷却効率を達成することができる。
【0058】
上述のように、本実施形態による熱伝達部材500は、多数の構成要素と接触するように形成されることを特徴とすることができる。特に、熱伝達部材500は多量の熱が発生するバスバー160および電極リード111、112と直接的に接触し、バスバー160および電極リード111、112から発生した熱を多数の構成要素を通じて即時に伝達することによって、電池モジュール内の構成要素、特に電池セルの各部分間の温度偏差を改善することができる。
【0059】
この時、熱伝達部材500は、流動性を有する素材で形成できる。熱伝達部材500は注液されて硬化する熱伝達物質を含むことができるが、完全に硬化しないゲル(gel)形態を含むことができる。即ち、熱伝達部材500はゲル形態に形成できる。熱伝達部材500はゲル形態に形成されることによって、冷却性能の確保が可能であると同時に、流動性を有するので電池モジュール内の一部構成要素の変化に対しても対応できる。したがって、熱伝達部材500は電池モジュール内エアポケット(air pocket)発生時などの状況で移動が可能であることによって持続的な冷却性能の確保が可能である。
【0060】
これとともに、熱伝達部材500は熱伝導性を有する素材で形成でき、絶縁性を有する素材で形成できる。したがって、熱伝達部材500が形成されることによって、熱伝達を通じた冷却性能および絶縁性能の向上効果を達成することができる。
【0061】
以下、
図7および
図8を参照して、本発明の他の一実施形態による電池モジュールについて説明する。前記で説明したところと重複する内容が存在するので、前記で説明した内容と異なる部分のみを説明する。
【0062】
図7は、本発明の他の一実施形態による電池モジュールの断面図である。
図8は、
図7の電池モジュールが含むバスバーフレームを示した斜視図である。
【0063】
図7および
図8を参照すれば、本実施形態による電池モジュール100のバスバーフレーム130は電池セル積層体120に向かう方向に突出した防止部130aを含むことができる。この時、熱伝達部材500は、防止部130aと接触するように防止部130aの下端に形成できる。
【0064】
熱伝達部材500は、前記で説明した通り、流動性を有する素材で形成されて電池モジュール内で移動が可能である。したがって、防止部130aは、流動性を有する素材である熱伝達部材500がバスバーフレーム130および電極リード111、112と接触する位置を一部固定する役割を果たすことができる。また、防止部130aは、熱伝達部材500が移動することによって防止部130aの上部に流出されるのを防止することができる。したがって、熱伝達部材500の形状および位置が一部固定されることによって発熱構成との接触面積を確保および維持することにより冷却性能の確保が可能である。
【0065】
一方、バスバーフレーム130は溝部130bをさらに含むことができ、溝部130bは互いに隣接する防止部130aが離隔して形成されるものであってもよく、防止部130aが互いに離隔して形成される隙間であってもよい。よって、溝部130bは、電池セル110のテラス部116および電極リード111、112などが通過する通路として用いることができる。
【0066】
以下、本発明のまた他の一実施形態による電池パックについて説明する。
【0067】
本実施形態による電池パックは前述の電池モジュールを含む。これとともに、本発明の電池パックは本実施形態による電池モジュールを一つ以上集めて電池の温度や電圧などを管理する電池管理システム(Battery Management System;BMS)と冷却装置などを追加してパッキングした構造であってもよい。
【0068】
前記電池パックは多様なデバイスに適用できる。このようなデバイスには、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド自動車などの運送手段に適用できるが、本発明はこれに制限されず、電池モジュールを使用することができる多様なデバイスに適用可能であり、これも本発明の権利範囲に属する。
【0069】
以上では本発明の好ましい実施形態について図示し説明したが、本発明は前述の特定の実施形態に限定されず、請求範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって多様な変形実施が可能であることはもちろんであり、このような変形実施は本発明の技術的な思想や展望から個別的に理解されてはならないはずである。
【符号の説明】
【0070】
100:電池モジュール
110:電池セル
120:電池セル積層体
130:バスバーフレーム
150:エンドプレート
160:バスバー
200:モジュールフレーム
300:フレーム部材
400:上部プレート
500:熱伝達部材
【国際調査報告】