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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-14
(54)【発明の名称】燃料電池膜加湿器
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20231207BHJP
   H01M 8/0432 20160101ALI20231207BHJP
   H01M 8/04694 20160101ALI20231207BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20231207BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20231207BHJP
【FI】
H01M8/04 N
H01M8/0432
H01M8/04694
H01M8/04746
H01M8/10 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532238
(86)(22)【出願日】2022-01-04
(85)【翻訳文提出日】2023-05-25
(86)【国際出願番号】 KR2022000047
(87)【国際公開番号】W WO2022149819
(87)【国際公開日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】10-2021-0001313
(32)【優先日】2021-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100199004
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 洋
(72)【発明者】
【氏名】オ ヨンソク
(72)【発明者】
【氏名】イ アルム
(72)【発明者】
【氏名】イ ジユン
(72)【発明者】
【氏名】キム キョンジュ
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H127AA06
5H127AC10
5H127BA02
5H127BA53
5H127BA54
5H127BB02
5H127BB33
5H127BB34
5H127DB06
5H127DB26
5H127DC02
5H127DC22
5H127EE17
(57)【要約】
本発明は、燃料電池の出力状況に応じて燃料電池スタックから流入する排ガスの流量を能動的に調整できる燃料電池膜加湿器に関するものであって、
本発明の一実施形態に係る燃料電池膜加湿器は、
燃料電池スタックから供給される湿潤用気体が流入するための流入口と前記湿潤用気体が排出されるための排出口とを備えるミッド-ケースと、前記ミッド-ケースの内部に配置され、複数の中空糸膜が収容されたカートリッジと、前記ミッド-ケースと前記カートリッジとの間の空間に形成されたバイパス空間と、前記流入口を介して流入した湿潤用気体の温度によって前記バイパス空間の開度を調整する能動型遮断部材とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池スタックから供給される湿潤用気体が流入するための流入口と前記湿潤用気体が排出されるための排出口とを備えるミッド-ケースと、
前記ミッド-ケースの内部に配置され、複数の中空糸膜が収容されたカートリッジと、
前記ミッド-ケースと前記カートリッジとの間の空間に形成されたバイパス空間と、
前記流入口を介して流入した湿潤用気体の温度によって前記バイパス空間の開度を調整する能動型遮断部材と、
を備える燃料電池膜加湿器。
【請求項2】
前記能動型遮断部材は、
前記流入口を介して流入した湿潤用気体の温度によって圧縮または伸長可能な感温物質で製造される請求項1に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項3】
前記能動型遮断部材は、
前記流入口を介して流入した湿潤用気体の第1の温度範囲で膨脹し、前記第1の温度範囲より小さい第2の温度範囲で収縮する金属物質からなる請求項1に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項4】
前記能動型遮断部材は、
前記第1の温度範囲で熱膨脹して、前記バイパス空間を部分的に遮断し、前記第2の温度範囲で熱収縮して、前記バイパス空間を部分的に開放する請求項3に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項5】
前記第1の温度範囲は、前記燃料電池スタックの第1の出力範囲の際、前記流入口に流入する湿潤用気体の温度範囲であり、
前記第2の温度範囲は、前記第1の出力範囲より小さい第2の出力範囲の際、前記流入口に流入する湿潤用気体の温度範囲である請求項3に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項6】
前記能動型遮断部材を前記ミッド-ケースの内壁に固定するためのベース部材をさらに備える請求項1に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項7】
燃料電池スタックから供給される湿潤用気体が流入するための流入口と前記湿潤用気体が排出されるための排出口とを備え、少なくとも1つの仕切り部材により複数個の収容孔が仕切られて形成されるミッド-ケースと、
前記複数個の収容孔に各々配置され、複数の中空糸膜が収容された複数個のカートリッジと、
前記ミッド-ケースと前記カートリッジとの間の空間と、前記仕切り部材と前記カートリッジとの間の空間に形成された複数個のバイパス空間と、
前記流入口を介して流入した湿潤用気体の温度によって前記複数個のバイパス空間のうち、少なくともいずれか1つのバイパス空間の開度を調整する能動型遮断部材と、
を備える燃料電池膜加湿器。
【請求項8】
前記能動型遮断部材は、
前記流入口を介して流入した湿潤用気体の温度によって圧縮または伸長可能な感温物質で製造される請求項7に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項9】
前記能動型遮断部材は、
前記流入口を介して流入した湿潤用気体の第1の温度範囲で膨脹し、前記第1の温度範囲より小さい第2の温度範囲で収縮する金属物質からなる請求項7に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項10】
前記能動型遮断部材は、
前記第1の温度範囲で熱膨脹して、前記バイパス空間を部分的に遮断し、前記第2の温度範囲で熱収縮して、前記バイパス空間を部分的に開放する請求項9に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項11】
前記第1の温度範囲は、前記燃料電池スタックの第1の出力範囲の際、前記流入口に流入する湿潤用気体の温度範囲であり、
前記第2の温度範囲は、前記第1の出力範囲より小さい第2の出力範囲の際、前記流入口に流入する湿潤用気体の温度範囲である請求項9に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項12】
前記能動型遮断部材を前記ミッド-ケースまたは前記仕切り部材に固定するためのベース部材をさらに備える請求項7に記載の燃料電池膜加湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池の出力状況に応じて燃料電池スタックから流入する排ガスの流量を能動的に調整できる燃料電池膜加湿器に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池とは、水素と酸素を結合させて電気を生産する発電型電池である。燃料電池は、乾電池や蓄電池など、一般化学電池とは異なり、水素と酸素が供給される限り、電気を生産し続けることができ、熱損失がないので、内燃機関より効率が2倍くらい高いという長所がある。
【0003】
また、水素と酸素の結合により発生する化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換するので、公害物質排出が少ない。したがって、燃料電池は、環境親和的であり、かつ、エネルギー消費増加による資源枯渇に対する心配を減らすことができるという長所がある。
【0004】
このような燃料電池は、使用される電解質の種類によって、大別して、高分子電解質型燃料電池(Polymer Electrolyte Membrane Fuel Cell:PEMFC)、リン酸型燃料電池(Phosphoric Acid Fuel Cell:PAFC)、溶融炭酸塩型燃料電池(Molten Carbonate Fuel Cell:MCFC)、固体酸化物型燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)、及びアルカリ型燃料電池(Alkaline Fuel Cell:AFC)などに分類することができる。
【0005】
これらのそれぞれの燃料電池は、元々同じ原理により作動するが、使用される燃料の種類、運転温度、触媒、電解質などが互いに異なる。この中で、高分子電解質型燃料電池(PEMFC)は、他の燃料電池に比べて低温で動作するという点、及び出力密度が大きくて、小型化が可能であるので、小規模据え置き型発電装備だけでなく、輸送システムでも最も有望なものと知られている。
【0006】
高分子電解質型燃料電池(PEMFC)の性能を向上させるにあたり、最も重要な要因のうち1つは、膜-電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)の高分子電解質膜(Polymer Electrolyte MembraneまたはProton Exchange Membrane:PEM)に一定量以上の水分を供給することによって含水率を維持させることである。高分子電解質膜が乾燥されれば、発電効率が急激に低下するためである。
【0007】
高分子電解質膜を加湿する方法では、1)内圧容器に水を満たした後、対象気体を拡散器(diffuser)に通過させて水分を供給するバブラ(bubbler)加湿方式、2)燃料電池反応に必要な供給水分量を計算し、ソレノイドバルブを介してガス流動管に直接水分を供給する直接噴射(direct injection)方式、及び3)高分子分離膜を利用してガスの流動層に水分を供給する加湿膜方式などがある。
【0008】
これらの中でも、排ガス中に含まれる水蒸気のみを選択的に透過させる膜を利用して、水蒸気を高分子電解質膜に供給される空気に提供することによって高分子電解質膜を加湿する膜加湿方式が加湿器を軽量化及び小型化できるという点で有利である。
【0009】
膜加湿方式に使用される選択的透過膜は、モジュールを形成する場合、単位体積当り透過面積が大きい中空糸膜が好ましい。すなわち、中空糸膜を利用して加湿器を製造する場合、接触表面積が広い中空糸膜の高集積化が可能であって、小容量でも燃料電池の加湿が十分になされることができ、低価素材の使用が可能であり、燃料電池において高温で排出される排ガス(off-gas)に含まれた水分と熱を回収し、加湿器を介して再使用できるという利点を有する。
【0010】
図1は、従来技術に係る燃料電池加湿器が示された分解斜視図である。図1に示されたように、従来技術の燃料電池加湿器100は、外部から供給される空気と燃料電池スタック(図示せず)から排出される排ガスとの間の水分交換が起こる加湿モジュール110及び加湿モジュール110の両端に結合されたキャップ120を備える。
【0011】
キャップ120のうち1つは、外部から供給される空気を加湿モジュール110に伝達し、他の1つは、加湿モジュール110により加湿された空気を燃料電池スタックに伝達する。
【0012】
加湿モジュール110は、排ガス流入口(off-gas inlet)111aと排ガス排出口(off-gas outlet)111bとを有するミッドケース(mid-case)111及びミッドケース111内の複数の中空糸膜112を備える。中空糸膜112の束の両末端は、固定層113にポッティングされている。固定層113は、一般的にキャスティング(casting)方式によって液状ポリウレタン樹脂のような液状ポリマーを硬化させることにより形成される。中空糸膜112の末端がポッティングされている固定層113及び固定層113とミッドケース111との間の樹脂層114がキャップ120の内部空間をミッドケース111の内部空間から遮断する。固定層113と同様に、樹脂層114は、一般的にキャスティング方式によって液状ポリウレタン樹脂のような液状ポリマーを硬化させることにより形成される。
【0013】
外部から供給される空気は、中空糸膜112の中空に沿って流れる。排ガス流入口111aを介してミッドケース111内に流入した排ガスは、中空糸膜112の外表面と接触した後、排ガス排出口111bを介してミッドケース111から排出される。排ガスが中空糸膜112の外表面と接触するとき、排ガス内に含有されていた水分が中空糸膜112を透過することによって中空糸膜112の中空に沿って流れていた空気を加湿する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、燃料電池の出力状況に応じて燃料電池スタックから流入する排ガスの流量を能動的に調整できる燃料電池膜加湿器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一実施形態に係る燃料電池膜加湿器は、
燃料電池スタックから供給される湿潤用気体が流入するための流入口と前記湿潤用気体が排出されるための排出口とを備えるミッド-ケースと、前記ミッド-ケースの内部に配置され、複数の中空糸膜が収容されたカートリッジと、前記ミッド-ケースと前記カートリッジとの間の空間に形成されたバイパス空間と、前記流入口を介して流入した湿潤用気体の温度によって前記バイパス空間の開度を調整する能動型遮断部材とを備える。
【0016】
本発明の一実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記能動型遮断部材は、前記流入口を介して流入した湿潤用気体の温度によって圧縮または伸長可能な感温物質で製造されることができる。
【0017】
本発明の一実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記能動型遮断部材は、前記流入口を介して流入した湿潤用気体の第1の温度範囲で膨脹し、前記第1の温度範囲より小さい第2の温度範囲で収縮する金属物質からなることができる。
【0018】
本発明の一実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記能動型遮断部材は、前記第1の温度範囲で熱膨脹して、前記バイパス空間を部分的に遮断し、前記第2の温度範囲で熱収縮して、前記バイパス空間を部分的に開放することができる。
【0019】
本発明の一実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記第1の温度範囲は、前記燃料電池スタックの第1の出力範囲の際、前記流入口に流入する湿潤用気体の温度範囲であり、前記第2の温度範囲は、前記第1の出力範囲より小さい第2の出力範囲の際、前記流入口に流入する湿潤用気体の温度範囲であることができる。
【0020】
本発明の一実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記能動型遮断部材を前記ミッド-ケースの内壁に固定するためのベース部材をさらに備えることができる。
本発明の他の実施形態に係る燃料電池膜加湿器は、
燃料電池スタックから供給される湿潤用気体が流入するための流入口と前記湿潤用気体が排出されるための排出口とを備え、少なくとも1つの仕切り部材により複数個の収容孔が仕切られて形成されるミッド-ケースと、前記複数個の収容孔に各々配置され、複数の中空糸膜が収容された複数個のカートリッジと、前記ミッド-ケースと前記カートリッジとの間の空間と、前記仕切り部材と前記カートリッジとの間の空間に形成された複数個のバイパス空間と、前記流入口を介して流入した湿潤用気体の温度によって前記複数個のバイパス空間のうち、少なくともいずれか1つのバイパス空間の開度を調整する能動型遮断部材と、を備える。
【0021】
本発明の他の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記能動型遮断部材は、前記流入口を介して流入した湿潤用気体の温度によって圧縮または伸長可能な感温物質で製造されることができる。
【0022】
本発明の他の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記能動型遮断部材は、前記流入口を介して流入した湿潤用気体の第1の温度範囲で膨脹し、前記第1の温度範囲より小さい第2の温度範囲で収縮する金属物質からなることができる。
【0023】
本発明の他の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記能動型遮断部材は、前記第1の温度範囲で熱膨脹して、前記バイパス空間を部分的に遮断し、前記第2の温度範囲で熱収縮して、前記バイパス空間を部分的に開放することができる。
【0024】
本発明の他の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記第1の温度範囲は、前記燃料電池スタックの第1の出力範囲の際、前記流入口に流入する湿潤用気体の温度範囲であり、前記第2の温度範囲は、前記第1の出力範囲より小さい第2の出力範囲の際、前記流入口に流入する湿潤用気体の温度範囲であることができる。
【0025】
本発明の他の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記能動型遮断部材を前記ミッド-ケースまたは前記仕切り部材に固定するためのベース部材をさらに備えることができる。
【0026】
その他、本発明の様々な側面による実現例の具体的な事項は、以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、燃料電池の出力状況に応じて燃料電池スタックから流入する排ガスの流量を能動的に調整することができる。
【0028】
また、本発明によれば、燃料電池スタックから膜加湿器に流入する排ガスの温度によって自動にバイパス空間の開度が調整されるので、バイパス実現のために求められる部品数及び設置空間を画期的に減少させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】従来技術に係る燃料電池膜加湿器が示された分解斜視図である。
図2】本発明に係る燃料電池膜加湿器が示された分解斜視図である。
図3】本発明に係る燃料電池膜加湿器が図2のI-I線を基準に示された分解断面図である。
図4】本発明に係る燃料電池膜加湿器が図2のI-I線を基準に示された結合断面図である。
図5図4のA部分が拡大図示された断面図である。
図6図4のA部分が拡大図示された断面図である。
図7】本発明に係る燃料電池膜加湿器においてミッドケースに2個のカートリッジが結合される実施形態に対する分解斜視図である。
図8】本発明に係る燃料電池膜加湿器が図7のII-II線を基準に示された一部断面図である。
図9】本発明に係る燃料電池膜加湿器においてミッドケースに3個のカートリッジが結合される実施形態に対する分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、様々な変換を加えることができ、種々の実施形態を有することができるところ、特定実施形態を例示し、詳細な説明に詳細に説明しようとする。しかし、これは、本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変換、均等物ないし代替物を含むことと理解されなければならない。
【0031】
本発明において使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、1つまたはそれ以上の他の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないことと理解されるべきであろう。以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器を説明する。
【0032】
図2は、本発明に係る燃料電池膜加湿器が示された分解斜視図であり、図3は、本発明に係る燃料電池膜加湿器が図2のI-I線を基準に示された分解断面図であり、図4は、本発明に係る燃料電池膜加湿器が図2のI-I線を基準に示された結合断面図であり、図5及び図6は、図4のA部分が拡大図示された断面図である。
【0033】
図2図4に示すように、本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器1は、燃料電池スタック(図示せず)に供給される電池用気体を加湿するためのものである。燃料電池スタックに供給される電池用気体は、燃料ガスまたは空気であることができる。本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器1は、電池用気体の加湿のための加湿モジュール2、加湿モジュール2の一端に結合された第1のキャップ3、及び加湿モジュール2の他端に結合された第2のキャップ4を備える。
【0034】
加湿モジュール2は、燃料電池スタックに供給される電池用気体を加湿する。加湿モジュール2の一端には、第1のキャップ3が結合されることができる。加湿モジュール2の他端には、第2のキャップ4が結合されることができる。第1のキャップ3は、外部から供給される電池用気体を加湿モジュール2に伝達することができる。第2のキャップ4は、加湿モジュール2により加湿された電池用気体を燃料電池スタックに伝達することができる。第2のキャップ4が外部から供給される電池用気体を加湿モジュール2に伝達し、第1のキャップ3が加湿モジュール2により加湿された電池用気体を燃料電池スタックに伝達することもできる。
加湿モジュール2は、カートリッジ21、及びミッド-ケース22を備える。
【0035】
カートリッジ21は、複数個の中空糸膜211を備える。中空糸膜211は、カートリッジ21で実現されてモジュール化されることができる。これにより、カートリッジ21をミッド-ケース22に結合する工程を介して、中空糸膜211は、ミッド-ケース22の内部に設けられることができる。したがって、本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器1は、中空糸膜211に対する設置作業、分離作業、及び交替作業の容易性を向上させることができる。
【0036】
カートリッジ21は、中空糸膜211を収容するインナーケース210を備えることができる。中空糸膜211は、インナーケース210の内部に配置されてモジュール化されることができる。中空糸膜211は、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、スルホン化ポリスルホン樹脂、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、またはこれらのうち2つ以上の混合物で形成された高分子膜を含むことができる。
【0037】
カートリッジ21は、第1のポッティング部212を備えることができる。第1のポッティング部212は、中空糸膜211の一側を固定する。第1のポッティング部212は、中空糸膜211の中空を防がないように形成されることができる。第1のポッティング部212は、キャスティング工程を介して液状ポリウレタン樹脂のような液状樹脂を硬化させることにより形成されることができる。第1のポッティング部212は、インナーケース210と中空糸膜211の一側を固定させることができる。
【0038】
カートリッジ21は、第2のポッティング部213を備えることができる。第2のポッティング部213は、中空糸膜211の他側を固定する。第2のポッティング部213は、中空糸膜211の中空を防がないように形成されることができる。これにより、燃料電池スタックに供給される電池用気体は、第2のポッティング部213と第1のポッティング部212とに妨害されることなく、中空糸膜211の中空に供給されて加湿された後に、燃料電池スタックに供給されることができる。第2のポッティング部213は、キャスティング工程を介して液状ポリウレタン樹脂のような液状樹脂を硬化させることにより形成されることができる。第2のポッティング部213は、インナーケース210と中空糸膜211の他側を固定させることができる。
【0039】
ミッド-ケース22には、カートリッジ21が結合される。カートリッジ21は、ミッド-ケース22の内部に配置されることができる。ミッド-ケース22は、カートリッジ21が収容されるための収容孔を備えることができる。収容孔は、ミッド-ケース22を第1の軸方向(X軸方向)に貫通するように形成されることができる。ミッド-ケース22は、流入口221と排出口222とを備えることができる。水分が含有された湿潤用気体は、流入口221を介してミッド-ケース22の内部を経てインナーケース210の内部に供給された後に、中空糸膜211の外表面と接触することができる。この過程で湿潤用気体に含有されていた水分が中空糸膜211を透過し、中空糸膜211の中空に沿って流れていた電池用気体を加湿することができる。加湿された電池用気体は、中空糸膜211から排出された後に、燃料電池スタックに供給されることができる。電池用気体を加湿した後の湿潤用気体は、インナーケース210の外部に排出された後に、ミッド-ケース22の内部を経て排出口222を介してミッド-ケース22の外部に排出されることができる。流入口221は、燃料電池スタックに連結されることができる。この場合、湿潤用気体は、燃料電池スタックから排出される排ガス(Off-gas)であることができる。
【0040】
一方、インナーケース210には、湿潤用気体が流入するための流入孔210a、及び中空糸膜211の中空に沿って流れていた電池用気体を加湿した後の湿潤用気体が排出されるための排出孔210bが形成され得る。この場合、湿潤用気体は、流入口221を介してミッド-ケース22の内面とカートリッジ21の外面との間に供給され、流入孔210aを介してインナーケース210の内部に供給されて中空糸膜211の外表面に接触され、中空糸膜211の中空に沿って流れていた電池用気体を加湿した後に、排出孔210bを介してミッド-ケース22の内面とカートリッジ21の外面との間に排出され、排出口222を介してミッド-ケース22の外部に排出されることができる。インナーケース210には、流入孔210aが複数個形成されることもできる。流入孔210aは、第1の軸方向(X軸方向)に沿って互いに離間するように配置されることができる。インナーケース210には、排出孔210bが複数個形成されることもできる。排出孔210bは、第1の軸方向(X軸方向)に沿って互いに離間するように配置されることができる。
【0041】
加湿モジュール2は、複数個のパッキング部材23、23’を備えることができる。パッキング部材23、23’は、燃料電池スタックに供給される電池用気体とミッド-ケース22の内部に供給された湿潤用気体とが直接混合されることを防止するようにカートリッジ21とミッド-ケース22との間を密閉させる。パッキング部材23、23’は、カートリッジ21とミッド-ケース22との間に挿入されることができる。この場合、カートリッジ21は、パッキング部材23、23’に形成された第1の通過孔23a、23a’に挿入されることができる。パッキング部材23、23’は、各々カートリッジ21の両側に配置されることができる。図示されていないが、パッキング部材23、23’に代えてカートリッジ21の両側には、樹脂層が形成されることもできる。樹脂層は、キャスティング方式によって液状ポリウレタン樹脂のような液状ポリマーを硬化させることにより形成されることができる。
【0042】
第1のキャップ3は、加湿モジュール2の一端に結合される。第1のキャップ3とカートリッジ21との間の空間は、パッキング部材23または樹脂層によりカートリッジ21とミッド-ケース22との間の空間に対して密閉されることができる。
【0043】
第2のキャップ4は、加湿モジュール2の他端に結合される。第2のキャップ4とカートリッジ21との間の空間は、パッキング部材23’または樹脂層によりカートリッジ21とミッド-ケース22との間の空間に対して密閉されることができる。
【0044】
一方、従来の燃料電池膜加湿器は、ミッド-ケース22の内壁とカートリッジ21の外壁とを連結する隔壁を形成し、流入口221を介して流入した湿潤用気体がカートリッジ21内部に流入せずに、直ちに排出口222を介して排出されることを防止した。
【0045】
さらに一方、燃料電池の出力によって燃料電池スタックから流入する湿潤用気体(以下、「排ガス」ともいう)の中で加湿に必要な量が異なる。すなわち、高出力時には、多い量の加湿が必要であり、低出力時には、相対的に少ない量の加湿が必要である。
【0046】
このような出力状況に応じる加湿量の調整のために、従来には、膜加湿器外部に別のバイパスを設けて、流入口221に流入する湿潤用気体の一部を外部に排出した。したがって、これを実現するためには、燃料電池スタックと流入口221とを連結する流路上に別に外部と連結されるバイパス流路を設けなければならず、排ガスの一部を外部に排出するためのバルブを設けなければならず、出力状況を感知し、これによりバルブ開度を調整する制御部などが設けられなければならないので、必要な部品数の増加及びこれらによる設置空間の増加などの問題がある。
【0047】
本発明の実施形態は、このような従来の問題を簡単な構造で解決して、部品数減少による費用及び設置空間の減少、小型化などを画期的に実現できるようにする。
【0048】
このために、本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器は、図3及び図4に示されたように、ミッド-ケース22の内壁とカートリッジ21の外壁とを連結する能動型遮断部材223を備える。
【0049】
能動型遮断部材223は、温度(熱)によって圧縮/伸長可能な感温物質で製造される。能動型遮断部材223は、高温で膨脹し、低温で収縮する金属物質からなることができる。高温は、第1の温度範囲と定義されることができ、低温は、第1の温度範囲より小さい第2の温度範囲と定義されることができる。
【0050】
能動型遮断部材223は、高温では、熱膨脹してミッド-ケース22とカートリッジ21との間の空間を部分的に遮断し、低温では、熱収縮してミッド-ケース22とカートリッジ21との間の空間(以下、バイパス空間220)を部分的に開放することができる。
【0051】
燃料電池スタックから燃料電池膜加湿器1に流入する排ガスは、出力状況に応じて温度が相違する。すなわち、高出力である場合、排ガスの温度は相対的に高温であり、低出力である場合、排ガスの温度は相対的に低温である。高出力は、第1の出力範囲と定義されることができ、低出力は、第1の出力範囲より小さい第2の出力範囲と定義されることができる。
【0052】
図5は、高出力状況の場合であり、図6は、低出力状況の場合である。図5及び図6において符号223aは、ベース部材であって、金属材質の能動型遮断部材223をプラスチック材質のミッド-ケース22内壁に固定するために使用されることができ、必ず必須的なものではない。
【0053】
図5のように、高出力状況である場合、排ガスの温度は高温であり、流入口221を介して流入した排ガスの一部は、インナーケース210の流入孔210aを介してカートリッジ21内部に流入して流動しながら水分交換を行い、残りの一部は、ミッド-ケース22とカートリッジ21との間のバイパス空間220を流動しながら能動型遮断部材223に熱を伝達するようになる。排ガスから熱を吸収した能動型遮断部材223は、熱膨脹して図5のようにバイパス空間220を遮断する。これにより、流入孔210aに流入していない一部の排ガスは、能動型遮断部材223により方向転換されつつ、流入孔210aを介してカートリッジ21内部に流入して流動しながら水分交換を行う。
【0054】
図6のように、低出力状況である場合、排ガスの温度は低温であり、流入口221を介して流入した排ガスの一部は、インナーケース210の流入孔210aを介してカートリッジ21内部に流入して流動しながら水分交換を行うが、残りの一部は、バイパス空間220を流動しながら能動型遮断部材223の熱を吸収するようになる。排ガスにより熱を奪われた能動型遮断部材223は、熱収縮して図6のようにバイパス空間220を部分的に開放する。これにより、流入孔210aに流入していない一部の排ガスは、開放された能動型遮断部材223を介してバイパス空間220を流動した後、排出口222を介してミッド-ケース22の外部に排出される。
【0055】
本発明の実施形態において能動型遮断部材223は、出力状況に応じてバイパス空間220の開度を調整できる程度に膨脹/収縮することができれば十分であり、バイパス空間220を完全に遮断したり、完全に開放したりする必要はない。
【0056】
上記のような、本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器によれば、燃料電池スタックから膜加湿器に流入する排ガスの温度によって能動型遮断部材223が自動にバイパス空間220の開度を調整できるようになるので、バイパス実現のために求められる部品数及び設置空間を画期的に減少できるようになる。
【0057】
図7及び図8に示すように、本発明に係る燃料電池膜加湿器1は、ミッド-ケース22に複数個のカートリッジ21、21’が結合されるように実現されることができる。この場合、ミッド-ケース22は、カートリッジ21、21’の各々を収容するための複数個の収容孔を備えることができ、複数個の収容孔は、仕切り部材224により仕切られることができる。また、この場合、バイパス空間220は、ミッド-ケース22とカートリッジ21との間にのみ形成されるものではなく、仕切り部材224とカートリッジ21との間にも形成されることができ、能動型遮断部材223は、複数個のバイパス空間220のうち、少なくともいずれか1つ以上に形成されることができる。
【0058】
図7及び図8には、ミッド-ケース22に2個のカートリッジ21、21’が結合されることと図示されているが、これに限定されず、図9に示されたように、本発明に係る燃料電池膜加湿器1は、ミッド-ケース22に3個のカートリッジ21、21’、21”が結合されるように実現されることもできる。また、図示されていないが、本発明に係る燃料電池膜加湿器1は、ミッド-ケース22に4個以上のカートリッジ21が結合されるように実現されることもできる。
【0059】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想から逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更、削除、または追加などによって本発明を様々に修正及び変更させ得るであろうし、これも本発明の権利範囲内に含まれるといえるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】