(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-14
(54)【発明の名称】マルチパルス固体ロケットモータの点火方法
(51)【国際特許分類】
F02K 9/95 20060101AFI20231207BHJP
F42B 3/12 20060101ALI20231207BHJP
F02K 9/28 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
F02K9/95
F42B3/12
F02K9/28
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532290
(86)(22)【出願日】2021-04-16
(85)【翻訳文提出日】2023-05-26
(86)【国際出願番号】 US2021027596
(87)【国際公開番号】W WO2022115124
(87)【国際公開日】2022-06-02
(32)【優先日】2020-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】コーラー,フレデリック,ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ピネロ-ベナビヴィデス,ジェイコブ,エー.
(72)【発明者】
【氏名】コープランド,カーティス,エス.
(72)【発明者】
【氏名】マクニール,イザヤ,エム.
(72)【発明者】
【氏名】カドレック,ポール
(72)【発明者】
【氏名】ブルナチーニ,ローレン,イー.
(72)【発明者】
【氏名】ランゲンリー,マーク,ティー.
(57)【要約】
ロケットモータは、電気作動推進剤に点火するための点火電極に電場を集中させるように構成された電極配置を含む、推進剤グレインの電気作動推進剤イニシエータを有する。ロケットモータは、少なくとも1つの推進剤グレインを含む燃焼室と、推進剤グレインの燃焼を開始するために推進剤グレインに動作可能に結合された電気作動推進剤イニシエータを含む。電気作動推進剤イニシエータは、電気作動推進剤と、電気作動推進剤に点火するように構成された少なくとも1つの電極の対を含む。電極の対は接地面電極と点火電極を含む。電気入力が電気作動推進剤イニシエータに加えられるとき、電場が点火電極に集中されて、点火電極が配置された位置で電気作動推進剤に点火する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの推進剤グレインを含む燃焼室と;
前記少なくとも1つの推進剤グレインの燃焼を開始するために前記少なくとも1つの推進剤グレインに動作可能に結合された電気作動推進剤イニシエータであって、電気作動推進剤イニシエータは、電気作動推進剤及び前記電気作動推進剤に点火するように配置された少なくとも1つの電極の対を含み、前記少なくとも1つの電極の対は、接地面電極及び前記電気作動推進剤に点火するために電場が集中する点火電極を含む、電気作動推進剤イニシエータと;を有する、
ロケットモータ。
【請求項2】
前記点火電極は、前記接地面電極よりも大きい電流密度を有する、
請求項1に記載のロケットモータ。
【請求項3】
前記接地面電極は、前記点火電極が延びる前記少なくとも1つの推進剤グレインの第2の表面積よりも大きい、前記少なくとも1つの推進剤グレインの第1の表面積に沿って延びる、
請求項1又は2に記載のロケットモータ。
【請求項4】
前記第1の表面積と前記第2の表面積の比が少なくとも2:1である、
請求項3に記載のロケットモータ。
【請求項5】
前記接地面電極は、前記点火電極を形成するワイヤの第2直径よりも大きい第1直径を有するワイヤで形成される、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のロケットモータ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの電極の対は、ジグザグ、斜め、十字、長方形、平行、非平行、又は蛇行配置を有する複数のワイヤで形成される、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のロケットモータ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの電極の対は、互いに交差することなく離れて配置される、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のロケットモータ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの推進剤グレインは、前記点火電極と前記接地面電極のうちの少なくとも1つが配置される少なくとも1つのキャビティを有する、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のロケットモータ。
【請求項9】
前記点火電極と前記接地面電極は、前記少なくとも1つの推進剤グレインの外面と平行である同一平面に配置される、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のロケットモータ。
【請求項10】
前記点火電極と前記接地面電極は異なる平面に配置される、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のロケットモータ。
【請求項11】
前記点火電極は耐火金属又は耐火合金で形成される、
請求項1乃至10のいずれか1項に記載のロケットモータ。
【請求項12】
前記ロケットモータはマルチパルスロケットモータであり、前記少なくとも1つの推進剤グレインは、第1の推進剤グレイン、及び前記マルチパルスロケットモータの第2のパルス中に燃焼される第2の推進剤グレインを含み、前記第2の推進剤グレインは、前記電気作動推進剤イニシエータを介して前記第1の推進剤グレインから動作可能に分離され、前記第1の推進剤グレインと前記第2の推進剤グレインは個別に始動される、
請求項1乃至11のいずれか1項に記載のロケットモータ。
【請求項13】
前記少なくとも1つの推進剤グレインは、前記マルチパルスロケットモータの第3のパルス中に燃焼される第3推進剤グレインを含み、前記第3推進剤グレインは別の電気作動推進剤イニシエータを介して前記第2の推進剤グレインから動作可能に分離される、
請求項12に記載のロケットモータ。
【請求項14】
前記電気作動推進剤は、電気入力が前記電気作動推進剤イニシエータにわたって加えられるときに未点火状態から点火状態に遷移するように構成され、前記電気入力が加えられないときに前記未点火状態を維持するように構成される、
請求項1乃至13のいずれか1項に記載のロケットモータ。
【請求項15】
電源と、前記電源から前記電気作動推進剤イニシエータに延びる一対のリードをさらに含む、
請求項1乃至14のいずれか1項に記載のロケットモータ。
【請求項16】
第1の推進剤グレインを含む第1のパルス;
前記第1の推進剤グレインから動作可能に分離された第2の推進剤グレインを含む第2のパルス;及び
前記第1の推進剤グレインと前記第2の推進剤グレインを分離するように構成された少なくとも1つの電気作動推進剤イニシエータであって、前記第1の推進剤グレイン又は前記第2の推進剤グレインの燃焼を開始するように構成された少なくとも1つの電気作動推進剤イニシエータ;を有し、
前記少なくとも1つの電気作動推進剤イニシエータは、電気作動推進剤、及び前記電気作動推進剤に点火するように構成された少なくとも1つの電極の対を含み、前記少なくとも1つの電極の対は、接地面電極と点火電極を含み、前記接地面電極は、前記点火電極が延びる前記第2の推進剤グレインの第2の表面積よりも大きい前記第2の推進剤グレインの第1の表面積に沿って延び、前記点火電極は前記接地面電極よりも大きな電流密度を有し、電場が前記点火電極に集中する、
マルチパルスロケットモータ。
【請求項17】
前記第1の推進剤グレイン及び前記第2の推進剤グレインから動作可能に分離された第3の推進剤グレインを含む第3のパルスをさらに含み、前記少なくとも1つの電気作動推進剤イニシエータは、前記第1の推進剤グレイン及び前記第2の推進剤グレインを分離するように構成された第1の電気作動推進剤イニシエータと、前記第2の推進剤グレイン及び前記第3の推進剤グレインを分離するように構成された第2の電気作動推進剤イニシエータとを含む、
請求項16に記載のマルチパルスロケットモータ。
【請求項18】
前記第1の表面積と前記第2の表面積の比が少なくとも2:1である、
請求項16又は17に記載のマルチパルスロケットモータ。
【請求項19】
ロケットモータを作動させる方法であって、前記方法は:
推進剤グレインに動作可能に結合され、電気作動推進剤と少なくとも1つの電極の対を含む電気作動推進剤イニシエータに電気入力を加えるステップであって、前記少なくとも1つの電極の対は、接地面電極と点火電極を含む、ステップと;
前記点火電極に集中する電場によって前記電気作動推進剤に点火するステップと;
前記電気作動推進剤に点火することによって前記推進剤グレインの燃焼を開始するステップと;を含む、
方法。
【請求項20】
前記ロケットモータのための第2の推進パルスの第2の推進剤グレインからの前記推進剤グレインの動作可能な分離を維持するステップと;
前記推進剤グレインに動作可能に結合された前記電気作動推進剤イニシエータに続く第2の電気作動推進剤イニシエータにわたって別の電気入力を加えることによって、前記ロケットモータのための第2の推進パルスを提供するステップであって、前記第2の電気作動推進剤イニシエータは前記第2の推進剤グレインに動作可能に結合される、ステップと;
前記第2の電気作動推進剤イニシエータの第2の電気作動推進剤に点火するステップと;
前記第2の電気作動推進剤に点火することによって前記第2の推進剤グレインの燃焼を開始するステップと;をさらに含む、
請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体(flight vehicles)用の推力システム、特にマルチパルスロケットモータに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な用途が、陸、海、空、宇宙機などのミッションに適したプラットフォームから発射されるペイロードを必要としている。発射されるペイロードは用途に依存する。陸上車両、航空機、水上船舶、又は水中機を使用する軍事用途は、ペイロードとして展開可能な弾薬を使用することがある。ペイロードは、完全に分離されたロケットモータステージを必要とせずに、非連続的な推進、異なる推進力、及びバックアップパルスを可能にする複数のパルスを持つロケットモータを含む飛行体によって運搬されることがある。
【0003】
各パルスの推進剤グレイン(propellant grain)は、別の燃焼する推進剤グレインから形成された燃焼ガスとの接触による後続のパルスの点火を防止する不活性バリアによって分離されることがある。推進剤グレインが点火されるとき、発生した燃焼ガスの力がバリアを突き破り、パルスの推進剤が燃え尽きるまで発射体から推力ガスを排出する。少なくとも1つの点火器が各推進剤パルスに点火するために使用される。
【0004】
従来のマルチパルスロケットモータは、製造が困難でコストがかかるパルス間の複雑なバリアと点火システムをロケットモータが持つことがあるという点で不十分である可能性がある。従来のバリアの考えられる欠点の1つは、バリアが放出又は反転され、ロケットモータのノズルの目詰まりや燃焼不安定性につながる可能性があることである。従来のマルチパルスロケットモータのさらに別の欠点は、2つのパルスに制限される可能性があることである。
【発明の概要】
【0005】
本出願は、電気作動推進剤(electrically operated propellant)に点火するための点火電極に電場を集中させるように構成された電極配置を含む、推進剤グレインのための電気作動推進剤イニシエータ(propellant initiator)を有するロケットモータを提供する。一般的な実施形態によれば、ロケットモータは、少なくとも1つの推進剤グレインを含む燃焼室と、推進剤グレインの燃焼を開始するために推進剤グレインに動作可能に(operatively)結合された電気作動推進剤イニシエータを含む。電気作動推進剤イニシエータは、電気作動推進剤と、電気作動推進剤に点火するように構成された少なくとも1つの電極の対を含む。電極の対は接地面電極と点火電極を含む。電気入力が電気作動推進剤イニシエータに加えられるとき、電場が点火電極に集中され、点火電極が配置された位置で電気作動推進剤に点火する。
【0006】
電極構成を持つ電気作動推進剤イニシエータを含むロケットモータは、迅速かつ均一な推進剤粒着火が可能になるように、電極を燃焼の位置を制御するように配置できる点で有利である。したがって、構成は、従来のバリア及び点火装置システムと比較して、より複雑でなく、より堅牢である。
【0007】
電気作動推進剤は、電気入力が電気作動推進剤イニシエータをわたって(across)加えられたときに未点火状態から点火状態に遷移するように構成され、電気入力が加えられないときに未点火状態を維持するように構成される。点火電極は接地面電極よりも大きな電流密度を有する。点火電極によって覆われる表面積に対する接地面電極によって覆われる推進剤グレインの表面積の比は、少なくとも2:1であり得る。少なくとも、点火電極は耐火金属又は耐火合金で形成される。
【0008】
電極は、電気作動推進剤に埋め込まれ、電気作動推進剤に隣接する推進剤グレインの外面に平行な同じ面又は異なる面に配置され得る。電極の多くの異なる構成が可能である。点火電極は、電場がキャビティ内に向けられるように、推進剤粒内に形成されたキャビティ内に配置され得る。他の実施形態では、点火電極と接地面電極は、電場が推進剤グレインの外面を横切って横方向に向けられるように、同じ平面内に配置され得る。
【0009】
例示的な実施形態では、電極は蛇行(serpentine)、ジグザグ、十字、斜め(diagonal)、平行、非平行などの配置を持つワイヤで形成される。ワイヤは半径方向に延び得る。点火電極ワイヤと接地面電極ワイヤは重ならない配置で形成され得る。点火電極ワイヤは、互いに交差し得る及び/又は、接地面電極ワイヤは互いに交差し得る。
【0010】
ロケットモータは、単一の推進剤グレインを持つシングルパルスロケットモータ又は、それぞれが対応する推進剤グレインを持つ2つ、3つ、又はそれより多くのパルス(pulses)を持つマルチパルスロケットモータであり得る。電気作動推進剤イニシエータは、推進剤グレインが個別に始動される(initiated)ことができるように推進剤グレインを互いに分離するバリアとしても機能できる。1つより多い電気作動推進剤イニシエータが設けられ得る。
【0011】
本発明の一態様によれば、ロケットモータ用のガス発生システムが、推進剤グレイン用の電気作動推進剤イニシエータを含む。
【0012】
本発明の一態様によれば、電気作動推進剤イニシエータが、電極構成内の特定の点に電場を集中させるために、電極が推進剤グレインの異なる量の表面積をカバーする電極配置を含む。
【0013】
本発明の一態様によれば、電気作動推進剤イニシエータが、点火電極と接地面電極を含む。
【0014】
本発明の一態様によれば、推進剤グレイン用の電気作動推進剤イニシエータが、電気作動推進剤に埋め込まれた電極配置を含む。
【0015】
本発明の一態様によれば、マルチパルスロケットモータが、異なるパルスのために推進剤グレインを動作可能に分離するためのイニシエータ及びバリアとして機能する電気作動推進剤イニシエータを含む。
【0016】
本発明の一態様によれば、ロケットモータが、少なくとも1つの推進剤グレインを含むパルスチャンバー、及び少なくとも1つの推進剤グレインの燃焼を開始するために少なくとも1つの推進剤グレインに作動可能に結合された電気作動推進剤イニシエータを含み、電気作動推進剤イニシエータは、電気作動推進剤、及び電気作動推進剤に点火するように配置された少なくとも1つの電極の対を含み、少なくとも1つの電極の対は、接地面電極、及び電場が電気作動推進剤に点火するために集中される点火電極を含む。
【0017】
本概要のいずれかの段落(複数可)の実施形態によれば、点火電極は接地面電極よりも大きな電流密度を有する。
【0018】
本概要のいずれかの段落(複数可)の実施形態によれば、接地面電極は、点火電極が延びる少なくとも1つの推進剤グレインの第2の表面積よりも大きい、少なくとも1つの推進剤グレインの第1の表面積に沿って延びる。
【0019】
本概要のいずれかの段落(複数可)の実施形態によれば、第1の表面積と第2の表面積の比は少なくとも2:1である。
【0020】
本概要のいずれかの段落(複数可)の実施形態によれば、接地面電極は、点火電極を形成するワイヤの第2の直径よりも大きい第1の直径を有するワイヤで形成される。
【0021】
本概要のいずれかの段落(複数可)の実施形態によれば、少なくとも1つの電極の対は、ジグザグ、斜め、十字、長方形、平行、非平行、又は蛇行配置を有する複数のワイヤで形成される。
【0022】
本概要のいずれかの段落(複数可)の実施形態によれば、少なくとも1つの電極の対は、互いに交差することなく離れて配置される。
【0023】
本概要のいずれかの段落(複数可)の実施形態によれば、少なくとも1つの推進剤グレインは、点火電極と接地面電極の少なくとも1つが配置された少なくとも1つのキャビティを有する。
【0024】
本概要のいずれかの段落(複数可)の実施形態によれば、点火電極と接地面電極は、少なくとも1つの推進剤グレインの外面と平行な同一平面に配置される。
【0025】
本概要のいずれかの段落(複数可)の実施形態によれば、点火電極と接地面電極は異なる平面に配置される。
【0026】
本概要のいずれかの段落(複数可)の実施形態によれば、点火電極は耐火金属又は耐火合金で形成される。
【0027】
本概要のいずれかの段落(複数可)の実施形態によれば、ロケットモータはマルチパルスロケットモータであり、少なくとも1つの推進剤グレインは、第1の推進剤グレインと、マルチパルスロケットモータの第2のパルス中に燃焼される第2の推進剤グレインを含み、第2の推進剤グレインは、電気作動推進剤イニシエータを介して第1の推進剤グレインから動作可能に分離され、電気作動推進剤イニシエータによって第1の推進剤グレインと第2の推進剤グレインが個別に始動される。
【0028】
本概要のいずれかの段落(複数可)の実施形態によれば、少なくとも1つの推進剤グレインは、マルチパルスロケットモータの第3のパルス中に燃焼される第3推進剤グレインを含み、第3推進剤グレインは、別の電気作動推進剤イニシエータを介して第2の推進剤グレインから動作可能に分離される。
【0029】
本概要のいずれかの段落(複数可)の実施形態によれば、電気作動推進剤は、電気入力が電気作動推進剤イニシエータにわたって加えられるとき、未点火状態から点火状態に遷移するように構成され、電気入力が加えられなかいとき、未点火状態を維持するように構成される。
【0030】
本概要のいずれかの段落(複数可)の実施形態によれば、ロケットモータは、電源と、電源から電気作動推進剤イニシエータに延びる一対のリードを含む。
【0031】
本発明の別の態様によれば、マルチパルスロケットモータが、第1の推進剤グレインを含む第1のパルス、第1の推進剤グレインから動作可能に分離された第2の推進剤グレインを含む第2のパルス、及び第1の推進剤グレインと第2の推進剤グレインを分離するように構成された少なくとも1つの電気作動推進剤イニシエータを含み、少なくとも1つの電気作動推進剤イニシエータは、第1の推進剤グレイン又は第2の推進剤グレインの燃焼を開始する(initiate)ように構成され、少なくとも1つの電気作動推進剤イニシエータは、電気作動推進剤及び電気作動推進剤に点火するように構成された少なくとも1つの電極の対を含み、少なくとも1つの電極の対は、接地面電極と点火電極を含み、接地面電極は、点火電極が沿って延びる第2の推進剤グレインの第2の表面積よりも大きい第2の推進剤グレインの第1の表面積に沿って延び、点火電極は接地面電極よりも大きい電流密度を有し、それによって電場が点火電極に集中する。
【0032】
本概要のいずれかの段落(複数可)の実施形態によれば、マルチパルスロケットモータは、第1の推進剤グレインと第2の推進剤グレインから動作可能に分離された第3の推進剤グレインを含む第3のパルスを含み、少なくとも1つの電気作動推進剤イニシエータは、第1の推進剤グレインと第2の推進剤グレインを分離するように構成された第1の電気作動推進剤イニシエータと、第2の推進剤グレインと第3の推進剤グレインを分離するように構成された第2の電気作動推進剤イニシエータを含む。
【0033】
本概要のいずれかの段落(複数可)の実施形態によれば、第1の表面積と第2の表面積の比は少なくとも2:1である。
【0034】
本発明のさらに別の態様によれば、ロケットモータを作動させる方法が、推進剤グレインに動作可能に結合され、電気作動推進剤と少なくとも1つの電極の対を含む、電気作動推進剤イニシエータにわたって電気入力を加えるステップであって、少なくとも1つの電極の対は接地面電極と点火電極を含むステップと、点火電極に集中する電場によって電気作動推進剤に点火するステップと、電気作動推進剤に点火することによって推進剤グレインの燃焼を開始するステップとを含む。
【0035】
本概要のいずれかの段落(複数可)の実施形態によれば、この方法は、ロケットモータの第2の推進パルスの第2の推進剤グレインからの推進剤グレインの動作可能な分離を維持するステップと、推進剤グレインに動作可能に結合された電気作動推進剤イニシエータに続く第2の電気作動推進剤イニシエータにわたって別の電気入力を加えることによってロケットモータに第2の推進パルスを提供するステップであって、第2の電気作動推進剤イニシエータは第2の推進剤グレインに動作可能に結合される、ステップと、第2の電気作動推進剤イニシエータの第2の電気作動推進剤に点火するステップと、第2の電気作動推進剤に点火することによって第2の推進剤グレインの燃焼を開始するステップとを含む。
【0036】
上記及び関連する目的を達成するために、本発明は、以下に十分に説明されるとともに特に特許請求の範囲において指摘される特徴を含む。以下の説明及び添付図面は、本発明の特定の例示的な実施形態を詳述している。しかしながら、これらの実施形態は、本発明の原理を採用することができる様々な方法のほんの一部を示すものである。本発明の他の目的、利点及び新規な特徴は、図面と併せて考慮すると、本発明の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
必ずしも縮尺通りではない添付図面は、本発明の様々な態様を示している。
【0038】
【
図1】電気作動推進剤イニシエータによって分離された推進剤グレインセグメントを含む固体ロケットモータを概略的に示す。
【0039】
【
図2】点火電極と接地面電極を含む電気作動推進剤イニシエータを示す。
【0040】
【
図3】本出願の別の例示的な実施形態による点火電極と接地面電極の構成を示す。
【0041】
【
図4】本出願の例示的な実施形態による電気作動推進剤イニシエータの電極ワイヤの構成を示す。
【0042】
【
図5】本出願の別の例示的な実施形態による電気作動推進剤イニシエータの電極ワイヤの構成を示す。
【0043】
【
図6】本出願のさらに別の例示的な実施形態による電気作動推進剤イニシエータの電極ワイヤの構成を示す。
【0044】
【
図7】本出願のさらに別の例示的な実施形態による電気作動推進剤イニシエータの電極ワイヤの構成を示す。
【0045】
【
図8】
図1のロケットモータのようなロケットモータを作動させる方法を示すフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
ここに記載されている原理は、極超音速機やスペースが制約される可能性の任意の飛行体などの防衛用途の用途を有する。ここに記載されているロケットモータは、任意の適切な飛行体又は発射体(projectile)に実装され得る。シングルパルス又はマルチパルスのロケットモータが適している場合がある。ロケットモータは、ペイロードの運搬に適したミサイルの一部であり得る。例えば、ミサイルは、軍事用途の弾薬を運搬するためのペイロードモジュールを含み得る。ロケットモータは、弾薬を推進する燃焼ガスを発生させるためのここで説明するガス発生システムを含む。他の例示的な実施形態では、ガス発生システムは、タービンを駆動するため、圧力駆動機械装置を動作させるため、タンクガス加圧を提供するためなど、他の目的に使用され得る。
【0047】
最初に
図1を参照すると、発射体10は、発射体10の動きを駆動するためにガスを発生させるロケットモータ12を含む。発射体10は、ロケットモータ12のためのチャンバー又はケーシング14を有するボディを含む。ロケットモータ12は、ロケットモータ12から発生する推進剤ガスを排出するためのノズル開口部18を有するノズルアセンブリ16を含む。ロケットモータ12は、ケーシング14、推進剤チャージ又はグレイン24a、26a、28aを含む少なくとも1つのパルス24、26、28、及び少なくとも1つのイニシエータ30、32を含む固体ロケットモータである。イニシエータ30、32は、対応するパルス24、26、28の間に推力を生成するために、推進剤グレイン24a、26a、28aの少なくとも1つに点火するように構成される。
【0048】
ロケットモータ12は、1つのパルスのみを有する単一パルスモータであり得る、又は、2つ、3つ、又はそれより多くのパルス24、26、28を有するマルチパルスロケットモータであり得る。例示的な実施形態では、パルス24、26、28は単一のチャンバー又はケーシング14内に形成され得る。パルス24、26、28及び推進剤グレイン24a、26a、28aの他の構成は、特定の用途に必要な場合に適し得る。推進剤グレイン24a、26a、28aを始動することに加えて、イニシエータ30、32はまた、推進剤グレイン24a、26a、28aの間のバリアとして機能するように構成される。したがって、推進剤グレイン24a、26a、28aの分離された始動は、互いに別個に発火され(fired)得るパルスを提供することが可能になり、これは、隣接する推進剤グレイン24a、26a、28aが、他の推進剤グレイン24a、26a、28aの燃焼から発生するガスのために点火されることができないことを意味する。
【0049】
ケーシング14は、ケーシング内部からの燃焼ガスの排出を可能にするように構成される。ケーシング14は、投射用途に有用な円筒形など、任意の適切な形状を有し得る。ケーシング14は、高圧及び高温で燃焼する燃焼ガスを封じ込める(containing)ための任意の適切な材料から形成され得る。例えば、ケーシングは、ロケットモータ12の通常の使用中に発火しない不活性材料で形成され得る。
【0050】
推進剤グレイン24a、26a、28aは、例えば物体を推進若しくは移動するため又はコンテナを加圧するために使用される高圧ガスを発生させるために、点火及び燃焼されるために提供される。推進剤グレイン24a、26a、28aは、コア燃焼、スロットコア、ロッド及びチューブ、ペレット、グレインなどのような任意の形状又は形態を持つ固体の単一片であり得る。推進剤グレイン24a、26a、28aは、燃料、酸化剤、バインダー、可塑剤、金属添加剤などの任意の適切な材料又は材料(複数)から作られ得る。推進剤グレイン24a、26a、28aの各々は、他の推進剤グレインとは異なる材料で作られ得る、異なる形態を有し得る、又は異なる形状及び/又はサイズを有し得る。エンドバーニンググレイン(End burning grain)及び中央穴あきグレイン(center perforated grain)が適し得る。他の溝付きグレイン構成も適し得る。推進剤グレイン24a、26a、28aは互いに分離され得る。他の例示的な実施形態では、追加のグレイン又はパルスは別々に分離されてもよく又は分離されなくてもよい。
【0051】
図1に示すように、第1及び第2のパルス24、26のための推進剤グレイン24a、26aは、2つのイニシエータ30、32の第1イニシエータ30を介して互いに分離され、第2及び第3のパルス26、28のための推進剤グレイン26a、28aは、第2イニシエータ32を介して互いに分離される。例示的な実施形態では、1つのイニシエータのみが提供されてもよく、さらに他の例示的な実施形態では、2より多いイニシエータ30、32が提供されてもよい。例えば、イニシエータの始動は、複数の推進剤グレインの燃焼を引き起こし得る。イニシエータ30、32は、推進剤グレイン26a、28aのそれぞれに動作可能に結合され、推進剤グレイン26a、28aでの燃焼を開始する。結合は、イニシエータ30、32が推進剤グレイン26a、28aに近接又は隣接しているような直接結合を含み得る。イニシエータ30、32を介して提供される分離に加えて、他の実施形態では、1つ以上の推進剤グレインが、ケーシング壁又はロケットモータ12の通常の使用中に発火しない別の不活性材料を介して、他の推進剤グレインから分離され得る。第1のパルス24の推進剤グレイン24aは、他の例示的な実施形態では別のイニシエータによって始動され得る。
【0052】
イニシエータ30、32の点火などの始動は、対応する推進剤グレイン26a、28aに点火するのに十分な大きさの熱及び/又は火炎面を発生させる。イニシエータ30、32は、電気作動推進剤36に点火するように構成された少なくとも1つの電極34の対を含む。電気作動推進剤36は、推進剤グレイン26a、28aの上に塗布され得る。1つ以上の電極34の対が使用され得る。例示的な実施形態では、電極34の対は電気作動推進剤36に埋め込まれ得る。イニシエータ30、32は、ケーシング14の中心長手方向軸から径方向(radially)外向きに(outwardly)延びて、ケーシング14の内面に対してシールし得る。したがって、イニシエータ30、32は、推進剤グレイン26a、28aとロケットモータ12の外部環境との間のバリアとして機能し、一方、推進剤グレイン26a、28aをケーシング14内に保持するための構造的支持を提供する。他の実施形態では、イニシエータ30、32は、他の任意の適切な形状を有し得る。
【0053】
イニシエータ30、32は、円筒形のケーシング14内に収まるように、円形又は円筒形を有し得る。この円形の形状は、材料の薄いシートの形態で提供され得る。薄いシートは、点火されていないが、ケーシング14内の高熱及び燃焼環境に依然としてさらされている場合のイニシエータ30、32の表面の劣化を考慮するのに十分な厚さを持つことができる。例えば、推進剤グレイン26a、28aの燃焼は、ケーシング14内で高熱を引き起こす可能性があり、これは、補助イニシエータ32にわたって電気入力が加えられていない場合に、補助イニシエータ32の電気作動推進剤に点火しない。高熱と燃焼環境にさらされる補助又は二次イニシエータ32の薄い部分は、劣化するように構成されることがある。イニシエータ30、32は、推進剤グレイン26a、28aの互いの動作可能な分離を提供するために、任意の適切な形状を有し得る。
【0054】
電気作動推進剤36、ひいてはイニシエータ30、32は、電気入力に応じて点火し、点火されたときにガスを発生するように構成され、その結果、イニシエータ30、32は、ロケットモータ12のためのガス発生システムを形成する。電気作動推進剤36は、それぞれの電気入力が電極34の対の間でイニシエータ30、32にわたって加えられたときに、未点火状態から点火状態に遷移するように構成される。また、電気作動推進剤36は、電気入力が加えられないときに未点火状態を維持するように構成される。
【0055】
代表的な電気作動推進剤36は、高圧閾値以下ではあるが、高圧にさらされた場合でも、電気の印加によって点火し、対応して電気の停止とともに消える。例えば、大気圧、120psi、500psi、1000psi、1200psiより大きい、最大1500psiの圧力など、ケーシング14内の周囲圧力又は高圧にさらされる場合、電気作動推進剤36は、電気作動推進剤にわたって加えられた電気(例えば電圧や電流)の中断によって消える。
【0056】
電気作動推進剤36の例示的な実施形態は、酸化剤、燃料、及びバインダーなどの複数の成分を有する推進剤を含む。電気作動推進剤36は、過塩素酸塩系酸化剤などの約50から90質量%の酸化剤を含み得る。過塩素酸塩系酸化剤は、過塩素酸アルミニウム、過塩素酸バリウム、過塩素酸カルシウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸マグネシウム、過塩素酸、過塩素酸ストロンチウム、過塩素酸ナトリウムなどの過塩素酸塩系酸化剤を含み得る。電気作動推進剤36は、電気作動推進剤36の点火と消火を補助する金属ベースの燃料のような、約5から30質量%の燃料を含み得る。金属ベースの燃料は、タングステン、マグネシウム、酸化銅、銅、チタン、アルミニウムを含み得る。電気作動推進剤36の他の多くの構成が適している場合がある。
【0057】
電気作動推進剤36はまた、ロケットモータ12内の動的な運動学的条件にさらされたときにその形状を維持するように構成される。電気作動推進剤36は、例えば、任意の数のグレイン構成に形成可能であり得る、例えば、鋳造又は成形され得る。したがって、電気作動推進剤36の燃焼速度及びその他の性能特性は、ロケットモータ12の動作全体を通して維持される。例示的な性能特性は、総インパルス値(total impulse value)、点火立ち上がり時間、ピーク圧力、及び重量推進剤密度を含む。
【0058】
図1に示すように、電源38が、イニシエータ30、32に点火するための電気入力を生成するために提供される。一対のリード40が、イニシエータ30、32の各々を電源38に電気的に結合する。リード40は、それぞれのイニシエータ30、32と電源38との間に延び、電源は、バッテリー又は電気入力を生成することができる任意の他の適切なデバイスであり得る。リード40は、ロケットモータ12で発生する高熱に耐えることができる材料を持つ断熱(insulated)ワイヤなどのワイヤであってもよい。他の実施形態では、1つより多い電源38が含まれていてもよく、1つより多いリード40のペアが、イニシエータ30、32の1つ以上にわたって電気入力を提供してもよい。
【0059】
電気作動推進剤イニシエータ30、32の各々について、電極34の対は、それぞれのイニシエータをそれぞれのリード40のペアに結合する。
図1に示すように、電極34の対の電極の一方は、電極34の対のリード40とイニシエータ30、32との間に結合される。電極34は、点火されるイニシエータ30、32の特定の位置又は部分、イニシエータ30、32が燃焼する速度、及び燃焼の強度の制御を可能にするように構成される。
【0060】
ここで
図2及び3を参照すると、電極34の対の一方は接地面電極44であり、電極34の対の他方は点火電極46であり、この点火電極は、電気入力の電場48が点火電極46に集中されて、点火電極46が配置された位置で電気作動推進剤36に点火するように構成されている。接地面電極44は、それに沿って点火電極46が延びる推進剤グレイン26a、28aの第2の表面積よりも大きい推進剤グレイン26a、28aの第1の表面積に沿って延びる。点火電極46は、接地面電極44と比較して、より大きな電流密度を有し、これは、接地面電極44と比較して、断面の単位面積あたりの電流の量として定義される。接地面電極44からの推進剤グレイン26a、28aの被覆表面積の点火電極46に対する比は、少なくとも2:1であり得る。
【0061】
接地面電極44は、点火電極46のワイヤの直径よりも大きな直径のワイヤで形成され得る。例えば、接地面電極44のワイヤ直径は0.12ミリメートルから1.27ミリメートル (0.005インチから0.05インチの間)であり得、点火電極48のワイヤは、0.002ミリメートルから0.635ミリメートル(0.0001インチから0.025インチの間)の直径を有し得る。ワイヤは任意の他の適切な寸法を有してもよく、用途に応じてサイズを上下され得る。点火の間、電気入力は電極44、46の間を流れ、電場48は点火電極46に集中する。
図2に模式的に示すように、電気化学反応点火50が最も高い電流密度で起こる。その結果、電気作動推進剤36の燃焼が開始される。
【0062】
燃焼の位置は、例えば点火電極46を形成するワイヤが配置される、電極44、46の位置によって制御され得る。電極44、46は、
図2及び3に示すように、推進剤グレイン26a、28aに隣接して配置され得る。電極44、46は、電極44、46が推進剤グレイン26a、28aの外面52と連続するように、電気作動推進剤36に埋め込まれ得る。推進剤グレイン26a、28aの外面52は、電気作動推進剤36に沿って延び、外面52が電気作動推進剤36に直接触れるように、電気作動推進剤と面一である。点火電極46のみが電気作動推進剤36に埋め込まれ得る。
【0063】
パルス点火の位置及び強度もまた、電極44、46の形状および形態によって制御される。例えば、点火電極46が、より大きい電流密度(断面の単位面積あたりの電流量として定義される)を有するので、燃焼の強度及び温度は点火電極46に隣接しているほど大きい。電極44、46によって提供される電流密度の間に十分に大きな不均衡(disparity)がある場合、
図6に示す点火電極46のように、最も高い電流密度を提供する電極に隣接してのみ、電気入力の開始時の初期燃焼のような燃焼が発生する可能性がある。
【0064】
電極44、46は、多くの異なる構成を有するワイヤで形成されてもよい。少なくとも点火電極46は、タングステンのような耐火金属で形成される。その他の適切な材料は、モリブデン、タンタル、ニオブ、クロム、レニウムなど、1200°Cを超える融点を持つ金属及び合金を含む。1850°Cを超える融点を持つ金属及び合金が適し得、バナジウム、ハフニウム、チタン、ジルコニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、及びイリジウムを含む。さらに他の材料及びその合金も適し得る。例示的な実施形態では、接地面電極44もまた耐火金属や耐火合金、あるいは銅などの他の金属で形成されてもよい。接地面電極44と点火電極46の両方が耐火金属又は耐火合金で形成されている場合、電極ワイヤの直径は同じであってもよい。
【0065】
図2に示すように、電極44、46の一方は、推進剤グレイン26a、28aに形成されたキャビティ(cavity)又は溝54に配置され得る。例えば、点火電極46は、電場48が溝54内での点火のために溝54に向けられるように、溝54で位置決めされ得る。1つより多い溝54が推進剤グレイン26a、28aに形成され得、溝54は、テーパー又は三角形などの任意の適切な形状を有するように形成され得る。他の例示的な実施形態では、溝54は、電極44、46のための平面支持面を有するように形成され得る。1つより多い電極44、46は溝54内に収容され得る。例えば、接地面電極44と点火電極46の両方が溝54内に収容され得る。さらに他の実施形態では、溝54は、円形などの別の形状を有し得る。溝54は、代わりに推進剤グレイン26a、28aに形成されてもよい。
【0066】
接地面電極44と点火電極46は、
図3に示すように、溝54内又は推進剤グレイン26a、28aの外面52に沿って同じ平面に配置され得る。電極44、46は、推進剤グレイン26a、28aの外面52と平行な平面に配置され得る。
図2に示すように、電極44、46は異なる平面に配置されてもよい。例えば、接地面電極44は推進剤グレイン26a、28aの外面52に配置され得、点火電極46は、点火電極46が異なる平面にあるように溝54に配置され得る。
図3のように接地面電極44と点火電極46が同じ平面に配置されている場合、電場48は推進剤グレイン26a、28aを横切って横方向に延び得る。
【0067】
動作中、初期燃焼は点火電極46に隣接してのみ起こり、接地面電極44では初期燃焼が起きない場合がある。電気入力は接地面電極44に供給され得る。電気作動推進剤36が点火されると、燃焼は両電極44、46に隣接して起こる。電極44、46によって提供される電流密度の間の不均衡を使用して、電気入力が電極44、46にわたって一方向に提供されて、燃焼の速度及び強度を変化させる。
【0068】
図1に戻ると、電極44、46への電気入力は、電源38からの電気作動推進剤イニシエータ30、32にわたる電気入力のタイミングと方向を制御するコントローラ60によって制御され得る。コントローラ60は、電源38を制御するのに適したアルゴリズムを持つプロセッサなど、任意の適切なデバイスであり得る。このようにして、電気作動推進剤イニシエータにわたる電気入力のタイミングと方向が制御され得る。コントローラ68は、自律的に動作し得るまたは、オペレータを介して無線などで指示され得る。電気作動推進剤イニシエータは、イニシエータの100%未満に点火して所望の推進パルスを発生させるために、イニシエータにわたる(across(横切る))電流の印加を停止することによって消され(extinguished)得る。
【0069】
電極44、46は、推進剤グレイン26a、28aの各々に対して異なって構成され得、その構成は対応するパルス26、28の所望の動作に依存する。第1のパルス24は、推進剤グレイン24aが電気作動推進剤を使用せずに最初に燃焼される間に発生し得る。推進剤グレイン24aが燃え尽きた又は使い尽くされた後、電気入力がイニシエータ30の電極44、46に加えられて、電気作動推進剤36に点火し、続いて第2のパルス26の推進剤グレイン26aに点火する。推進剤グレイン26aが燃焼させた後、別の電気入力がイニシエータ32の電極44、46に加えられて、電気作動推進剤36に点火し、続いて第3のパルス28の推進剤グレイン28aに点火する。例示的な動作では、パルスの持続時間は2秒から5秒の間で起こり得、パルス間遅延は10秒から40秒の間で起こり得る。イニシエータ30、32の両方が、対応するパルスの間に燃え尽きる可能性がある。
【0070】
有利には、ここに記載されている電極構成を使用したガス発生システムは、推進剤グレインが動作可能に分離され、イニシエータ30、32によって点火されるマルチパルスロケットモータで使用され得る。対照的に、従来のマルチパルスロケットモータは、複雑で高価なバリア/点火システムを使用する場合がある。ここに記載されているシステム及び方法は、電極構成が、点火電極が配置された位置に電場を向けることによって迅速かつ均一なグレイン点火を可能にするという点でさらに有利である。
【0071】
ここで
図4~7を参照すると、電極44、46の例示的な構成が示される。多くの他の構成が可能である。電極44、46のそれぞれは、特定のパターンで配置された複数のワイヤで形成され得る。パターンは、順序付けられた及び/又は対称的なパターンであり得る、又は他の例示的な実施形態では、パターンが対称的でない場合がある。パターンは、特定の燃焼プロファイルを達成するために選択され得る。
図4及び5に示すように、点火電極46は、交差するとともに、ワイヤが離されるように接地面電極44のワイヤと離間されている複数のワイヤを含み得る。ワイヤは、電気作動推進剤36に沿って放射状に(radially(半径方向に))延び得る。接地面電極44で覆われた推進剤グレイン26a、28aの表面積は、点火電極46で覆われた表面積の少なくとも2倍であり得る。
【0072】
図4及び5に示すように、点火電極46のワイヤと接地面電極44のワイヤと交差していない。ワイヤは、ジグザグ、斜め、十字、長方形、平行、非平行、及び/又は蛇行形状に配置され得る。ワイヤは、
図5及び6に示すように、互いに横断する方向に、又は
図7に示すように、互いに平行な方向に延びるように形成され得る。ワイヤは、電流が推進剤グレイン26a、28aの全体にわたって移動し得るように、推進剤グレイン26a、28aの全表面に沿って延びるように配置され得る。他の例示的な実施形態では、ワイヤは、全長未満である推進剤グレイン26a、28aの部分に沿って延び得る。ワイヤの多くの異なる構成及びパターンが可能であり得、ワイヤの構成は用途に依存し得る。
【0073】
ここで
図8を参照すると、
図1のロケットモータ12のようなロケットモータを作動させる方法70がフローチャートで示されている。方法70のステップ72は、推進剤グレイン26aに動作可能に結合され、電気作動推進剤36と少なくとも1つの電極34の対(
図1に示す)を含む電気作動推進剤イニシエータ30にわたって電気入力を加えることを含む。少なくとも1つの電極34の対は、接地面電極44と、点火電極46が位置する位置で電気作動推進剤36に点火するために電場48が集中される(
図2に示す)点火電極46とを含む。例示的な実施形態では、接地面電極44は、点火電極46が沿って延びる第2の表面積よりも大きい推進剤グレイン26a、28aの第1の表面積に沿って延びる。点火電極46は接地面電極44よりも大きな電流密度を有する。
【0074】
方法70のステップ74は、点火電極46(
図2に示す)に集中している電場48によって電気作動推進剤36に点火することを含む。方法70のステップ76は、電気作動推進剤36に点火することによって推進剤グレイン26aの燃焼を開始することを含む。方法70のステップ78は、ロケットモータ12の補助又は第2の推進パルス26、28の第2の推進剤グレイン28aからの推進剤グレイン26aの動作可能な分離を維持することを含む。電気作動推進剤イニシエータ30は、パルス中に完全に燃焼され得る。
【0075】
方法70のステップ80は、推進剤グレイン26aに動作可能に結合されている電気作動推進剤イニシエータ30に続く第2の電気作動推進剤イニシエータ32にわたる別の電気入力を加えることによって、ロケットモータ12に第2の推進パルスを提供することを含む。第2の電気作動推進剤イニシエータ32は、第2の推進剤グレイン28aに動作可能に結合される。方法70のステップ82は、第2の電気作動推進剤イニシエータ32の第2の電気作動推進剤36に点火することを含む。方法70のステップ84は、第2の電気作動推進剤36に点火することによって第2の推進剤グレイン28aの燃焼を開始することを含む。方法のステップは、追加のパルスに対して繰り返され得る。
【0076】
本発明は、特定の好ましい1つ又は複数の実施形態に関して図示され、説明されているが、本明細書及び添付の図面を読み、理解すれば、当業者が均等の変更及び修正を思いつくことは明らかである。特に、上記の要素(外部コンポーネント、アセンブリ、デバイス、構成など)によって実行される様々な機能に関して、そのような要素を説明するために使用される用語(「手段」への言及を含む)は、特に示されていない限り、本発明の本明細書で説明された例示的な1つ又は複数の実施形態において機能を実行する開示された構造と構造的に均等ではないとしても、記述された要素の特定の機能を実行する任意の要素(すなわち、それは機能的に均等である)に対応することを意図している。さらに、本発明の特定の特徴は、いくつかの例示された実施形態のうちの1つ又は複数に関してのみ上記で説明されているかもしれないが、そのような特徴は、任意の所与の又は特定の用途に対して望まれ、有利であるように、他の実施形態の1つ又は複数の他の特徴と組み合わせることができる。
【国際調査報告】