(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-14
(54)【発明の名称】成形可能であり、着色可能であり、保存安定性がある、アレルゲンフリーの組成物
(51)【国際特許分類】
A21D 10/02 20060101AFI20231207BHJP
A21D 13/066 20170101ALI20231207BHJP
A21D 13/80 20170101ALI20231207BHJP
【FI】
A21D10/02
A21D13/066
A21D13/80
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532553
(86)(22)【出願日】2021-11-24
(85)【翻訳文提出日】2023-06-20
(86)【国際出願番号】 US2021060874
(87)【国際公開番号】W WO2022115642
(87)【国際公開日】2022-06-02
(32)【優先日】2020-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523195463
【氏名又は名称】コロリド インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】COLORIDOH INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 ひとみ
【テーマコード(参考)】
4B032
【Fターム(参考)】
4B032DB22
4B032DG08
4B032DG20
4B032DK07
4B032DK11
4B032DK15
4B032DK17
4B032DK18
4B032DK70
4B032DL03
4B032DL04
4B032DL20
4B032DP08
4B032DP23
4B032DP40
(57)【要約】
本明細書に記載の実施例は、熱によって焼かれるように構成された生地に向けられており、生地は、グルテンフリー穀物粉、甘味料、ショートニング、および乳化剤を含み、生地は、保存可能であり、成形可能であり、食用の、アレルゲンフリーおよびビーガンである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱により焼成されるように構成された生地であって、前記生地は、以下を含む:
グルテンフリーの穀物粉
甘味料
ショートニング;および
乳化剤を含む、
ここで、該生地は、保存可能であり、成形可能であり、食用であり、アレルゲンを含まない、ビーガンである。
【請求項2】
生地は、TOP14成分を含まない、請求項1記載の生地。
【請求項3】
生地は、グルテンを含まない、請求項1記載の生地。
【請求項4】
ショートニングの割合は、組成物の20%未満である、請求項1記載の生地。
【請求項5】
ショートニングのパーセントは、組成物の14%~16%未満である、請求項4に記載の生地。
【請求項6】
ショートニングのパーセントは、組成物の約15%である、請求項5記載の生地。
【請求項7】
請求項1記載の生地において、生地中に有機食品着色料を配合することにより、複数の色のうちの1つまたは複数で形成することができる、請求項1記載の生地。
【請求項8】
生地は、缶に成形されるように構成されている、請求項1記載の生地。
【請求項9】
請求項1記載の生地において、生地は、ナッツを含まないことを特徴とする生地。
【請求項10】
請求項1記載の生地であって、さらに、酢を含む、生地。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本開示は、一般に、成形可能であり、着色可能であり、保存安定性があり、アレルゲンフリーの組成物、及びその製造方法に向けられている。
【背景技術】
【0002】
関連技術のクッキー生地は、保存安定性があるものが存在する。しかし、関連技術のクッキー生地は、様々な問題および欠点を有する。例えば、限定するわけではないが、関連技術の保存安定性があるクッキー生地は、グルテン、ナッツ、および/またはその他のようなアレルゲンを含む。
【0003】
同時に、食物アレルギー(例えば、グルテン、ナッツ、その他)を有する子供の数は増加し続けている。親または子供のいずれかがそのような食物アレルギーを有する場合、関連技術のクッキー生地は、保存安定性のある遊びやお菓子作りの選択肢とはならない。さらに、多くの親は、自分で一からクッキー生地を作り、焼く資源または能力がない。さらに、健康や倫理的な理由から、植物性食品やビーガン食を好む関連アートのトレンドがある。
【0004】
さらに、保存安定性がなく、代わりに冷蔵を必要とする関連技術ビーガンクッキー生地の保存及び出荷の関連技術問題がある。このような関連技術のビーガンクッキー生地は、高温により劣化し、調理用のクッキー生地となる食感を保持できなくなるため、室温で遊ぶのにも適さない。
【0005】
伝統的なクッキーの製造に向けられた、保存安定性のある、明らかに菜食主義者のクッキー生地が関連技術として存在する。しかしながら、この関連技術のクッキー生地は、成形可能ではなく、遊びのために使用することはできない。さらに、関連技術の保存安定性のある、見かけ上ビーガンのクッキー生地は、異なる色に着色されていない。さらに、この関連アート組成物には、アレルゲンが存在する。例えば、限定するわけではないが、関連アート保存安定型、見かけ上ビーガンクッキー生地は、一部の人々のアレルゲンであるココナッツオイルを含む。さらに、主な甘味料は砂糖である。さらに、卵の代用として、亜麻仁と水が使用されている。水の存在により、この関連技術製品は成形可能ではなく、演奏に使用するのには適さない。関連技術の増粘剤としては、任意でキサンタンガムを使用することができる。
【0006】
このように、成形可能であり、遊んでから焼いてクッキーを作ることができる、アレルゲンフリーで保存安定性のあるクッキー生地に対する満たされないニーズが存在する。
【発明の概要】
【0007】
例示的な実施態様は、熱によって焼かれるように構成された生地を含み、生地は、グルテンフリー穀粉、甘味料、ショートニング、および乳化剤を含み、生地は、貯蔵安定(例えば、保存安定)であり、成形可能であり、アレルゲンフリーおよびビーガンである。
【0008】
別の態様によれば、生地は、TOP14成分を含まない。
【0009】
別の態様によれば、生地はグルテンを含まない。
【0010】
別の態様によれば、油のパーセントは、組成物の20%未満、好ましくは、組成物の14%~16%未満、より好ましくは、組成物の15%程度である。
【0011】
別の態様によれば、生地は、有機食品着色料を生地に配合することにより、複数の色のうちの1つまたは複数で形成することができる。
【0012】
別の態様によれば、生地は、缶の中で成形されるように構成される。
【0013】
別の態様によれば、生地は、ナッツを含まない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A-1B】
図1Aおよび1Bは、例示的な実施態様に従った、作業例1、調理されていない生地A-Cを示す図である。
【0015】
【
図2A-2B】
図2Aおよび
図2Bは、例示的な実施態様に従った、作業例1、調理済み生地A~Cを示す図である。
【0016】
【
図3A-3B】
図3A及び3Bは、例示的な実施態様に従った、作業例2、未調理の生地A~Dを示す図である。
【0017】
【
図4A-4B】
図4Aおよび4Bは、例示的な実施態様に従った、作業例2、調理済み生地A~Dを示す図である。
【0018】
【
図5】
図5は、例示的な実施態様による、ショートニング含有率と生地の広がりとの間の関係を示す図である。
【0019】
【
図6A-6B】
図6Aおよび6Bは、例示的な実施態様による、作業例2の変形例、未調理生地A~Dを示す図である。
【0020】
【
図7A-7B】
図7Aおよび7Bは、例示的な実施態様に従った、作業例2のバリエーション、調理済み生地A~Dを図示する。
【0021】
【
図8A-8B】
図8Aおよび8Bは、第2の例示的実施態様に従った作業例3(未焼成)を図示する。
【0022】
【
図9A-9B】
図9Aおよび9Bは、実施例による作業例3(焼成)を示す図である。
【詳細な説明】
【0023】
以下の詳細な説明は、本願の図及び例示的な実施態様の更なる詳細を提供するものである。図間の参照数字及び冗長な要素の説明は、明確にするために省略されている。説明全体を通して使用される用語は、例として提供され、限定することを意図していない。例えば、用語「自動」の使用は、本願の実施を実践する当業者の所望の実施に応じて、実施の特定の態様に対するユーザー又は管理者の制御を伴う完全自動又は半自動実施を含み得る。また、本明細書に記載された実施は、限定することを意図しておらず、所望の実施に応じて、様々な方法で実施することが可能である。さらに、本明細書に記載された例示的な実施は、所望の実施を容易にするために、単数又は互いに任意の組み合わせで実施することができ、本開示は、本明細書に記載された例示的な実施のうちの任意の特定の1つに制限されない。
【0024】
例示的な実施態様は、少なくとも以下の特性を有する遊べる生地に向けられている。例えば、限定するものではないが、遊べる生地は、粘土状で成形可能な玩具であってよい。さらに、玩具は、加熱(例えば、焼成)すると固まり、加熱すると食べられるものであってもよい。任意に、玩具は、加熱前に食用とすることができる。
【0025】
「遊べるクッキー生地(playable cookie dough)」の態様によれば、少なくとも以下の条件を満たすことが必要である。第1に、クッキー生地で遊んでいる人が、まるでおもちゃのように生地をこね続けても、焼成のための生地の使用性に大きな悪影響がないことである。第2に、遊べるクッキー生地の質感及び粘性は、粘土のそれと一致する。第3に、クッキー生地の形状及び色は、焼成後であっても、実質的に変化しない。
【0026】
例示的な実施態様は、様々な利点及び利点を有することができる。例えば、限定するものではないが、遊べるクッキー生地は、室温で保存することができる(例えば、保存場所を気にする必要がなく、輸送コストを削減し、最適な価格で購入できる)。さらに、食物アレルギーの原因を実質的に回避することができる。
【0027】
上述の条件、及び潜在的な利益及び利点は、実施例では、生地中のグルテンを排除している。これは、グルテンが過度の混練及び焼成後に硬くなる原因であるために行われる。任意で、以下に説明するように、形状保持を改善し、任意で鮮やかな色を維持するために、酢を添加してもよい。さらに、着色は、安全で楽しく遊べるように、天然成分で提供してもよい。
【0028】
本実施例では、適量の油分及び遊離水を含有しつつ、焼成後も遊べるクッキー生地が形状を崩さないように成分を選択し、バランスをとる。例えば、常温保存が可能なように、遊離水の活性値を0.7%以下に抑えてもよい。
【0029】
実施例の特性は、以下により詳細に説明される。
【0030】
まず、遊べる生地(playable dough)は、貯蔵安定(例えば、保存安定)である。この特性を達成するために、遊離水(自由水、Free water)の代わりにシロップが使用される。遊離水は関連技術のクッキー生地の土壌化に寄与するので、本実施例は遊離水の低減に向けられる。遊離水の代わりに、結合水が使用される。例えば、限定するものではないが、遊離水を含まないが、結合水(bound water)(例えば、化合水(combined water))を含んでもよい液体であり、シロップ又は酢を含んでもよいが、これに限定されるものではない。したがって、例示的な実施態様によるクッキー生地は、遊離水を含まない液体ハット(liquid hat)を含むだけである。結合水はより安定であり、腐敗に寄与しないので、例示的な実施態様によるクッキー生地は、貯蔵安定である。
【0031】
第2に、例示的な実施態様による遊べる生地は、経時的に成形可能であり、劣化することなく実質的に粘土状の特性を保持する。より具体的には、油の代わりにショートニング(例えば、澄まし油)を使用することにより、遊べる生地は、その粘土状の特性を保持する。
【0032】
第3に、例示的な実施態様による遊べる生地は、安定した一貫性を維持し、経時的に硬化することはない。この特性の理由は、遊べる生地がグルテンを含まないからである。従って、小麦粉の使用によって経験される関連技術の問題が回避される。
【0033】
第4に、遊べる生地は、焼成することも可能であり、焼成時にその形状を保持することができる。より具体的には、ショートニングの含有量が約15%であることによって、焼成時に形状を保持することができる。
【0034】
例示的な実施態様は、非冷蔵環境でも数ヶ月間保存可能であり、主要なアレルゲンを使用しない、クッキー生地のような食用組成物に関することができる。より具体的には、例示的な実施態様は、着色可能であり、及び粘土のような粘性を有し(例えば、成形可能)、乳幼児の遊びのために使用することができる。例えば、限定するものではないが、遊び用の生地を様々な形状、色及びパターンで形成し(例えば、ウニ型の生地)、その後、焼成してカラフルなクッキーを製造することができる。したがって、アレルゲンフリー及びビーガンである、植物ベースの、遊べる、成形可能な、着色可能な、保存安定性のあるクッキーが提供される。
【0035】
より具体的には、例示的な実施態様は、保存安定であり、アレルゲンフリーであり、様々な色に形成され、様々な形状に成形可能なクッキー生地に向けられる。クッキー生地は、製造後にその色及び形状を保持し、子供用の玩具として使用することができるようなものである。クッキー生地は、アレルゲン(例えば、ピーナッツ又はピーナッツ誘導体、木の実又は木の実誘導体、卵又は卵製品、亜硫酸塩、貝又は魚介類誘導体、大豆又は大豆誘導体、乳糖を含む牛乳又は牛乳製品、魚製品、グルテン、穀物、胚芽、ファリーナ等の小麦製品、穀物又は穀類誘導体、グルタミン酸ナトリウム、人工色素、AZO色素などのTOP14成分)を含まない。さらに、成分は天然成分、又は天然成分から由来するものである。さらに、保存安定性のある生地が提供される。
【0036】
実施例のさらなる詳細は、クッキー生地の組成に関して、以下のように提供される。より具体的には、室温で保存されるクッキー生地の腐敗の原因は、遊離水の存在である。したがって、例示的な実施態様は、クッキー生地中の遊離水の濃度を最小化しようとするものである。言い換えれば、腐敗を避けるために、遊離水はクッキー生地から可能な限り最大限に除去される。
【0037】
クッキー生地の遊離水の含有量を最小限にすることに加えて、クッキー生地が成形可能であるように、生地の可塑性を維持することも必要である。遊離水を使用する代わりに、可塑性を維持するためにショートニングを使用し、さらに貯蔵安定性を維持するために結合水を使用してもよい。例えば、限定するわけではないが、関連技術のアプローチは、より高い脂肪含量及び人工添加物を使用しようとすることができる。しかしながら、そのような関連技術のアプローチは、様々な問題及び不利な点を有する可能性がある。例えば、限定するわけではないが、高い量の脂肪及びショートニングを含む関連技術のクッキー生地は、焼成後に溶けて広がり、その結果、形状保持、及び成形性の低下が生じる。
【0038】
例示的な実施態様は、クッキー生地が成形可能であることに向けられる。より具体的には、クッキー生地は、玩具のような要素に成形することができる。
【0039】
例示的な実施態様は、いかなる人工的な添加物も含んでいない。さらに、ショートニング含量は、焼成後の成形形状を維持し、同時に室温での生地の可塑性を維持するように、約20%である。好ましくは、ショートニング含量は16%又はそれ以下、より好ましくは14%~16%、及び最も好ましくは約15%である。
【0040】
15%のショートニング含量は、クッキー生地に可塑性を与えるために重要である。ショートニング含有量が少なすぎると、クッキー生地が硬くなり、ショートニング含有量が多すぎると、以下の作業例に関して図示及び説明するように、調理後にクッキーがその形状を失う。ショートニングが少ないと硬くなるのは、小麦粉及び水分だけでは強力に結びつき、ショートニングはそれらをバランスよく引き離すからである。
【0041】
さらに、実施例では、1つ又は複数のシロップ及び天然植物を採用している。これらの成分は、クッキー生地に可塑性という性質を与えるために加えられる。より具体的には、例示的な実施態様は、天然物に由来する数種類の増粘剤及び天然植物に由来する乳化剤を含む(例えば、ブレンドする)。上述したように、成分は、当業者によく知られているTOP14に含まれるようなアレルゲンを含んでいない。
【0042】
例示の実施態様では、クッキー生地が成形可能であるように、可塑性を維持する甘味料としてシロップが提供される。上述のように、水分活性は低く(例えば、遊離水は最小又は全くない)、粘性は高い。シロップは、アガベシロップ、タピオカシロップ、及びライスシロップのうちの1つ又は複数を含むことができる。蜂蜜を使用しないため、クッキー生地はビーガンであると考えられる。クッキー生地の甘さを調整できるように、適量のシロップを含有させてもよい(例えば、ブレンドする)。
【0043】
さらに、増粘剤の粘度を高めるために、天然植物由来のガムを1種又は2種以上含有(例えば、配合)してもよい。)例えば、限定するものではないが、増粘剤は、グアーガム又はキタサンガムの1種又は2種以上であってもよい。
【0044】
さらに、例示的な実施態様は、グルテンフリーの穀物粉(例えば、米粉、ソルガム粉、デンプンなど)、糖(例えば、上記に開示した砂糖又は粘性シロップ)、植物油脂(例えば、パーム油ショートニング、ひまわり油)、ひまわり乳化剤(例えば、ひまわりレシチン、又は卵白とゴム)、植物由来の食品色素、植物由来の風味も含む。
【0045】
前述の例示的な実施態様は、プロセスによって製造することができる。例えば、限定するものではないが、プロセスは以下の操作を含むことができるが、これに限定されるものではない。まず、液体、増粘剤及び乳化剤を十分に混合し、次いでショートニングを添加する。その後、GFフラワーミックス及び他の成分を添加し、十分に混合する。
【0046】
作業例1(Working Example 1)
【0047】
脂肪及びショートニング含有量を臨界範囲内で適切に選択することの影響、及びクッキー生地の焼成中の影響を説明するために、異なる脂肪及びショートニングブレンドを有する3つの生地を調製した。これらの生地は、
図1A及び1Bに示されている。生地Aは約14%のショートニング及び脂肪を含み、生地Bは約18%のショートニング及び脂肪を含み、そして生地Cは約22%のショートニング及び脂肪を含む。生地A、B及びCにおいて、ショートニング及び脂肪以外の材料は、全て一貫性が保たれており、同じ方法で製造されている。
図1A及び1Bは、焼成前の生地A、B及びCを示し、一方、
図2A及び2Bは、オーブンで165℃、約15分間、焼成後の生地A、B及びCを示す。
【0048】
図1A~1Bに示されるように、焼成前の生地の形状は同じに見える。しかし、
図2A~2Bに示すように、ショートニング及び脂肪の割合が適切であることの影響を見ることができる。生地Aは焼成後も形状が保たれているが、生地Bはややくすんだ印象である。また、生地Cについては、生地の形状が保たれていない(例えば、三角形の生地は丸くなり、丸い生地は楕円形になり、脱型してしまう)。
【0049】
作業例2
【0050】
クッキー生地に使用されるショートニングの割合の臨界性を説明し、加熱後の生地の広がりに影響を与えることを実証するために、
図3A~3B及び4A~4Bに示す作業例を製造した。
【0051】
より具体的には、4種類のショートニング含有量を含む生地を調製し、加熱後の生地の広がりを比較した。生地Aはショートニング14%、生地Bはショートニング17%、生地Cはショートニング20%、生地Dはショートニング21%であり、生地総量に対する割合である。
図3A及び3Bに示すように、いずれの生地サンプルA~Dも質量が10gであり、直径4cmの円形に成形されている。
【0052】
図3A~3B及び4A~4Bに示すように、生地A~Dを175℃で10分間焼成している。生地A及びBの広がり(spread)(それぞれ14%及び17%のショートニング)の差は比較的小さいが(例えば、生地の形状を維持している)、生地C及びDの広がり(それぞれ20%及び21%のショートニング)には大きな変化があることがわかる。焼成後の各生地の直径は、A(5cm)、B(5.2cm)、C(6cm)及びD(7cm)である。
【0053】
図5は、ショートニング濃度の臨界を説明する図である。より具体的には、
図5は、生地広がりとショートニングのパーセントとの間の関係を示している。生地広がりの増加は、15%から17%まで、そして17%から20%まで、比較的一貫して直線的である。しかし、20%を超えると、生地の広がりが急激に大きくなっている。さらに、定性的にもわかるように、生地の質感や一貫性も維持されず、中央部に比べて端部は気孔が生じ、脆く茶色くなる。
【0054】
実施例2の変形例として、成形時の衝撃を再現するために、上記生地A~Dを、三角形状にしたものを用意した(例えば、室温で生地と遊ぶ)。
図6A及び6Bに示すように、生地A~Dは、10gの質量を有する、三角形として作製された。
【0055】
図7A及び7Bに見ることができるように、生地は、
図3A~3B及び4A~4Bに関して上で説明したのと同じ方法で焼かれた。より具体的には、生地A及びB間の広がりは比較的小さい(例えば、ショートニング含有量14%~17%の間)。さらに、元の三角形の模様は基本的に保持されている。さらに、生地Cは、角が丸く、生地C(三角形状)と生地D(丸く、脆く、多孔質)の間の広がりに劇的な違いがある。この場合も、ショートニングの割合が20%を超えると、焼成の結果、元の形状が維持されず、上記で説明したように諸特性が劣化したクッキーとなる。
【0056】
例示的な実施態様は、すぐに焼けるクッキー生地として提供され得る。クッキー生地は、生で食べてもよいが、消費前にオーバー又はトースターで焼くことができる。さらに、クッキー生地は貯蔵安定性であるが、冷蔵庫で保存することも可能である。ユーザーの所望の目的に対して不十分な成形性を高めるために、少量の遊離水を任意に添加することができる。
【0057】
前述の例示的な実施態様は、保存安定であり、アレルゲンフリーであり、及び成形可能であるクッキー生地を含む。したがって、例示的な実施態様は、室温での保存に続いて調理を行うための生地の使用のみに限定されない。クッキー生地は比較的長期間(例えば、3ヶ月~6ヶ月、又はそれ以上)安定したままであるため、クッキー生地は玩具として使用することができる。より具体的には、クッキー生地は、1つの缶に収納されてもよく、又は、複数の色を含み、それぞれが別の缶に収納されてもよい。クッキー生地は、アレルゲンフリー及びナッツフリーであるため、子供の教室などの集団で使用するために、アレルギー反応の危険性のない、食用で成形可能な玩具を提供することができる。
【0058】
同様に、食用で成形可能な生地は、空気循環が制限された環境において提供されてもよい。例えば、限定するものではないが、実施例は、飛行中に、子供が遊び、その後おやつとして食べるためのおもちゃとして提供されてもよく、又は、フライトアテンダントに提供して焼かれ、その後子供に戻されて焼かれた状態で食べられてもよい。クッキー生地にはナッツ類が含まれていないため、ナッツ類に触れて他の乗客がアレルギー反応を起こすおそれはない。
【0059】
実施例は、本明細書で説明するように使用することができる。より具体的には、ユーザーは、クッキー生地を使用して形状を作ることができる(例えば、手を洗い、生地をこね、そして生地をカップ又は型に入れて形状を形成する)。例えば、限定するものではないが、ユーザーは、約2.5~5.0cmの直径、及び5mmの厚さを有する成形体(molding)を使用することができる。しかしながら、他の厚さ及び直径を使用してもよく、他の形状を流し型(mold)に採用してもよい。
【0060】
従って、例示的な実施態様は、成形可能であり、クッキー生地で遊ぶために使用することができる。従来の小麦粉を含む食用クッキー生地の関連技術のアプローチには、様々な問題及び欠点がある。例えば、限定するわけではないが、グルテンが練られれば練られるほど、粘性が高くなり、焼くのが難しくなる。グルテンフリーの生地では、生地で遊ぶ人は、生地が硬くなりすぎるという関連技術の問題(例えば、子供が無意識にこねすぎて、焼き菓子が硬くなる)を避けることができ、「遊び」にぴったりである。同様に、遊離水がないことも、上述のような関連技術の問題(例えば、腐敗)を回避することができる。
【0061】
生地が練られ、成形された後、それは消費されてもよく、又は焼かれてもよい。例えば、及びオーブン又はトースターに応じて、生地は、350Fの温度で8~15分、好ましくは10分焼かれるようにする。焼成が完了し、クッキーが冷却されたら、消費してもよい。
【0062】
例示的な実施態様によれば、成分は、有機ライスフラワー、有機ポテトスターチ、有機タピオカ粉、有機パーム油、有機タルタルクリーム、有機未精製ヒマワリ種子油、有機米糠シロップ(有機玄米、純粋ろ過水なし又はあり)、有機蜂蜜、有機タピオカシロップ、ヒマワリレシチン、ザンサンガム、グアーガム、海塩、天然フレーバー、天然食品着色料等を含み得る。前述の成分が使用されることが開示されているが、当業者であれば理解できるように、他の成分をその代わりに使用することができる。例えば、限定するわけではないが、キサンタンガムの代用品が使用されてもよい。
【0063】
例えば、限定するものではないが、天然食品着色料としては、ガルバンゾ豆(黄)、ココア(茶)、緑茶(緑)、ビート(赤)、バタフライピー(青)、又は紫芋(紫)などを挙げることができる。色は、製造時に植物ベースの液体又は粉末を生地に混合することによって提供することができる。
【0064】
前述の例示的な実施態様は、関連技術と区別して、様々な利点及び利益を有することができる。例えば、限定するものではないが、前述の例示的な実施態様は、一部の人々にとってアレルゲンであるココナッツオイルを含んでいない。
【0065】
さらに、シロップに砂糖を使用する代わりに、例示的な実施態様は、上で説明したように、アガベシロップ、タピオカシロップ、又はライスシロップを含むことができる。蜂蜜が使用されないので、例示的な実施態様は、ビーガンとして特徴付けられることがある。
【0066】
さらに、関連技術のアプローチは、卵の代用品として亜麻仁及び遊離水を含む。しかしながら、関連技術のアプローチは、遊離水を含む。上記で説明したように、遊離水の効果を含めることは、様々な問題及び欠点を有する。本実施例によれば、遊離水はクッキー生地から除外され、その代わりに前述のシロップが使用される。
【0067】
また、増粘剤については、本実施例ではグアーガムを2:8の割合で使用しているが、関連技術ではキサンタンガムを使用している。この違いは、特に他の成分との相乗効果を考慮すると、グアーガムが実質的に高い粘度を提供するので、重要である。
【0068】
例示的な実施態様によれば、遊べる生地は、以下の工程で製造することができる。まず、シロップ、酢及びガムパウダーが混合される。この混合物は、混合物の粘度を増加させるために提供される。従って、得られる混合物は、関連技術の遊離水に代わるものを提供する。
【0069】
第2に、ショートニング及びレシチンを、上記工程で製造された混合物に添加する。第1工程の混合物にショートニング及びレシチンを加えることにより、乳化が提供される。
【0070】
第3に、GF小麦粉及び残りの成分(例えば、色又は風味)を添加することができる。得られる生地は砂糖を含まないが、代わりに上記説明した砂糖を使用する(例えば、精製された砂糖を含まないクッキーを提供するため)。
【0071】
任意に、遊べる生地は、任意の焼成の前に食用とすることができる。例えば、限定するものではないが、GF粉は、混合の前に揚げてもよい。この例示的な実施態様によれば、生地は遊べるだけでなく、ベーキングの前に食べられる。
【0072】
油及び遊離水を混合して乳化し、次いで乳化した混合物に小麦粉を添加するという関連技術のプロセスとは対照的に、前述のプロセスは、例示的な実施態様によれば、遊べる生地を製造する。
【0073】
前述の例示的実施態様に加えて、別の例示的実施態様を以下のように提供することができる。
【0074】
図8A及び8Bは、未焼成の形態における第2の例示的実施態様による作業例3を図示し、
図9A及び9Bは、未焼成の形態における第2の例示的実施態様による作業例3を図示する。左側は、上記で説明したように、ショートニングの含有量が22%で、食酢を含む生地が作られる。右側では、生地は上記で説明したように作られ、ショートニングの含有量は22%であるが、酢は含まれていない。ショートニングの濃度が約22パーセント未満の場合、追加のシロップが必要になることがあり、その場合、遊離水の量が増加する。
【0075】
例えば、限定するわけではないが、この実施例による酢の濃度は、0.00943396、又は0.943396重量%であってよい。より一般的には、酢は約1重量%未満であり、この量より多い酢は、生地が酢の望ましくない匂い及び/又は味を有する原因となるため、酢は約1重量%未満である。酢は遊離水を含むことがあるが、遊離水の存在は、シロップをサトウキビ糖に置き換えることによって相殺される。したがって、例示的な実施態様では、上記に説明した理由により、生地中の遊離水を最小限に抑え、生地を室温で保存することができるようにする。
【0076】
上記の割合を使用することにより、酢の利点(例えば、取り扱われる又は練られるときに生地が油っぽくないと感じる)を有しながら、遊離水を最小化することができる。追加の利点は、改善された形状保持、着色(例えば、布地漂白)のより良い維持、非油性表面感触、及び室温での改善された貯蔵寿命につながる0.65未満への遊離水の低減を含み得るが、これらに限定されない。
【0077】
図8A及び8B中の作業例3から分かるように、食酢を含む素焼き状態の生地の方が、やや練り込み性が良いことがわかる。これは、右下の顔型生地の端にあるひび割れによって可視化することができる。
図9A及び9Bからわかるように、左側は明らかに形状が維持されており、右側は変形している。左右の生地の違いは酢の有無のみであることから、素焼き及び焼成のいずれにおいても、酢が原因であることは明らかである。
【0078】
前述の例示的な実施態様の任意の変更として、焼成前の生地の練り込み能力をさらに高めるため、また焼成後の形状を劣化させないために、ショートニングの濃度を上方に調整することができる。
【0079】
前述の例示的実施態様は、グルテンフリー小麦粉、ショートニング(パーム油ショートニングなど)、サトウキビ糖、アガベシロップ、増粘剤、乳化剤及び塩に向けられているが、そこで用いられる特定の材料は、当業者に理解されるであろう例示的実施態様の教示と一致する限り、設計選択の問題として代替され又は変更されてよい。
【0080】
さらに、本願の他の実施例は、本明細書の検討及び本願の教示の実践から当業者には明らかであろう。記載された例示的な実施態様の様々な態様及び/又は構成要素は、単独で、又は任意の組み合わせで使用することができる。本願の真の範囲及び精神は以下の特許請求の範囲によって示され、明細書及び例示的な実施態様は例としてのみ考慮されることが意図される。
【国際調査報告】