(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-14
(54)【発明の名称】X線イメージ内における対象病変の大きさの変化を測定する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20231207BHJP
G06T 7/60 20170101ALI20231207BHJP
G06V 10/70 20220101ALI20231207BHJP
G06V 20/60 20220101ALI20231207BHJP
A61B 6/00 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
G06T7/00 616
G06T7/00 350B
G06T7/60 110
G06V10/70
G06V20/60
A61B6/00 350B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532580
(86)(22)【出願日】2022-02-08
(85)【翻訳文提出日】2023-05-29
(86)【国際出願番号】 KR2022001892
(87)【国際公開番号】W WO2022220383
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0047446
(32)【優先日】2021-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522340691
【氏名又は名称】ルニット インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LUNIT INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(72)【発明者】
【氏名】キム ミンチョル
(72)【発明者】
【氏名】ナム ゴンヒ
(72)【発明者】
【氏名】コイ タイス
【テーマコード(参考)】
4C093
5L096
【Fターム(参考)】
4C093AA26
4C093CA15
4C093DA03
4C093FD03
4C093FF16
4C093FF17
4C093FF23
5L096AA06
5L096BA06
5L096DA01
5L096DA02
5L096EA05
5L096FA02
5L096FA32
5L096FA52
5L096FA64
5L096GA28
5L096GA30
5L096GA34
5L096HA11
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】X線(X-ray)イメージ内における対象病変の大きさの変化を測定する方法を提供する。
【解決手段】本開示は、対象病変を含む第1のX線イメージ、及び、対象病変を含む第2のX線イメージを受信するステップと、第1のX線イメージ及び第2のX線イメージの各々における基準領域のうち、対象病変に対応する領域が占める占有率を算出するステップと、算出された占有率に基づいて、対象病変の大きさの変化を測定するステップとを含むことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのコンピューティング装置により遂行される、X線イメージ内における対象病変の大きさの変化を測定する方法において、
前記対象病変を含む第1のX線イメージ、及び、前記対象病変を含む第2のX線イメージを受信するステップと、
前記第1のX線イメージ及び前記第2のX線イメージの各々における基準領域のうち、前記対象病変に対応する領域が占める占有率を算出するステップと、
前記算出された占有率に基づいて、前記対象病変の大きさの変化を測定するステップと、を含む、対象病変の大きさの変化を測定する方法。
【請求項2】
前記算出するステップは、
前記第1のX線イメージ及び前記第2のX線イメージの各々から、第1の基準領域及び第2の基準領域を決定するステップと、
前記第1のX線イメージ及び前記第2のX線イメージの各々から、前記対象病変を識別するステップと、
前記第1の基準領域のうち、前記識別された対象病変が占める第1の占有率、及び、前記第2の基準領域のうち、前記識別された対象病変が占める第2の占有率を算出するステップと、を含む、請求項1に記載の対象病変の大きさの変化を測定する方法。
【請求項3】
前記第1の基準領域及び第2の基準領域を決定するステップは、
前記第1のX線イメージを基準領域抽出モデルに入力して、前記第1の基準領域を出力するステップと、
前記第2のX線イメージを前記基準領域抽出モデルに入力して、前記第2の基準領域を出力するステップであって、前記第2の基準領域は前記第1の基準領域に対応するステップと、を含み、
前記基準領域抽出モデルは、複数の参照X線イメージ及び参照基準領域に関するラベル情報を用いて学習される、請求項2に記載の対象病変の大きさの変化を測定する方法。
【請求項4】
前記算出するステップは、
前記第1の基準領域内において前記対象病変が占める領域のピクセル数を、前記第1の基準領域に対応するピクセル数で割ることで、前記第1の占有率を算出するステップと、
前記第2の基準領域内において前記対象病変が占める領域のピクセル数を、前記第2の基準領域に対応するピクセル数で割ることで、前記第2の占有率を算出するステップと、を含む、請求項2に記載の対象病変の大きさの変化を測定する方法。
【請求項5】
前記第1の基準領域及び第2の基準領域を決定するステップは、
前記第1の基準領域に対するスコア、及び、前記第2の基準領域に対するスコアを決定するステップを含み、
前記対象病変を識別するステップは、
前記第1の基準領域内において前記対象病変に対するスコアを決定するステップと、
前記第2の基準領域内において前記対象病変に対するスコアを決定するステップと、を含み、
前記算出するステップは、
前記第1の基準領域に対するスコア、及び、前記第1の基準領域内において前記対象病変に対するスコアに基づいて、第1の占有率を算出するステップと、
前記第2の基準領域に対するスコア、及び、前記第2の基準領域内において前記対象病変に対するスコアに基づいて、第2の占有率を算出するステップと、を含む、請求項2に記載の対象病変の大きさの変化を測定する方法。
【請求項6】
前記測定するステップは、前記第1の占有率及び前記第2の占有率に基づいて、前記対象病変の大きさの変化有無を判定するステップを含む、請求項2に記載の対象病変の大きさの変化を測定する方法。
【請求項7】
前記第1の占有率及び前記第2の占有率に基づいて、前記対象病変の大きさの変化有無を判定するステップは、
前記第1の占有率及び前記第2の占有率に基づいて、前記対象病変に対する占有率の変化量を算出するステップと、
前記算出された対象病変に対する占有率の変化量と基準数値とを比較して、前記対象病変の大きさの変化有無を判定するステップと、を含む、請求項6に記載の対象病変の大きさの変化を測定する方法。
【請求項8】
前記基準数値は、テストセットに対して算出されたターゲットメトリックと関連した数値、又は、予測正確度と関連した数値に基づいて決定される、請求項7に記載の対象病変の大きさの変化を測定する方法。
【請求項9】
前記基準数値は、第1の基準数値及び第2の基準数値を含み、
前記算出された対象病変に対する占有率の変化量が、前記第1の基準数値に対して同一又は大きい場合、前記対象病変の大きさが増加したと判定され、
前記算出された対象病変に対する占有率の変化量が、前記第1の基準数値に対して小さくて、前記第2の基準数値に対して同一又は大きい場合、前記対象病変の大きさに変化のないと判定され、
前記算出された対象病変に対する占有率の変化量が、前記第2の基準数値に対して小さい場合、前記対象病変の大きさが減少したと判定される、請求項7に記載の対象病変の大きさの変化を測定する方法。
【請求項10】
前記第1の占有率及び前記第2の占有率に基づいて、前記対象病変の大きさの変化有無を判定するステップは、
前記第1の占有率及び前記第2の占有率に基づいて、前記対象病変に対する占有率の変化量を算出するステップと、
前記算出された対象病変に対する占有率の変化量を変化有無判定モデルに入力することで、出力される判定結果に基づいて、前記対象病変の大きさの変化有無を決定するステップと、を含み、
前記変化有無判定モデルは、前記対象病変に対する参照占有率の変化量に関する入力値に基づいて、参照対象病変の大きさの変化有無に対する判定結果を出力するように学習された機械学習モデルを含む、請求項6に記載の対象病変の大きさの変化を測定する方法。
【請求項11】
情報処理システムであって、
一つ以上のインストラクションを保存するメモリと、
前記保存された一つ以上のインストラクションを実行することで、対象病変を含む第1のX線イメージ、及び、前記対象病変を含む第2のX線イメージを受信し、前記第1のX線イメージ及び前記第2のX線イメージの各々における基準領域のうち、前記対象病変に対応する領域が占める占有率を算出し、前記算出された占有率に基づいて、前記対象病変の大きさの変化を測定するように構成されるプロセッサと、を含む、情報処理システム。
【請求項12】
前記プロセッサは、前記第1のX線イメージ及び前記第2のX線イメージの各々から、第1の基準領域及び第2の基準領域を決定し、前記第1のX線イメージ及び前記第2のX線イメージの各々から、前記対象病変を識別し、前記第1の基準領域のうち、前記識別された対象病変が占める第1の占有率、及び、前記第2の基準領域のうち、前記識別された対象病変が占める第2の占有率を算出するようにさらに構成される、請求項11に記載の情報処理システム。
【請求項13】
前記プロセッサは、
前記第1のX線イメージを基準領域抽出モデルに入力して、前記第1の基準領域を出力し、
前記第2のX線イメージを前記基準領域抽出モデルに入力して、前記第2の基準領域(ここで、前記第2の基準領域は前記第1の基準領域に対応する)を出力するようにさらに構成され、
前記基準領域抽出モデルは、複数の参照X線イメージ及び参照基準領域に関するラベル情報を用いて学習される、請求項12に記載の情報処理システム。
【請求項14】
前記プロセッサは、前記第1の基準領域内において前記対象病変が占める領域のピクセル数を、前記第1の基準領域に対応するピクセル数で割ることで、前記第1の占有率を算出し、前記第2の基準領域内において前記対象病変が占める領域のピクセル数を、前記第2の基準領域に対応するピクセル数で割ることで、前記第2の占有率を算出するようにさらに構成される、請求項12に記載の情報処理システム。
【請求項15】
前記プロセッサは、前記第1の基準領域に対するスコア、及び、前記第2の基準領域に対するスコアを決定し、前記第1の基準領域内において前記対象病に対するスコアを決定し、前記第2の基準領域内において前記対象病変に対するスコアを決定し、前記第1の基準領域に対するスコア及び前記第1の基準領域内において前記対象病変に対するスコアに基づいて、第1の占有率を算出し、前記第2の基準領域に対するスコア及び前記第2の基準領域内において前記対象病変に対するスコアに基づいて、第2の占有率を算出するようにさらに構成される、請求項12に記載の情報処理システム。
【請求項16】
前記プロセッサは、前記第1の占有率及び前記第2の占有率に基づいて、前記対象病変の大きさの変化有無を判定するようにさらに構成される、請求項12に記載の情報処理システム。
【請求項17】
前記プロセッサは、前記第1の占有率及び前記第2の占有率に基づいて、前記対象病変に対する占有率の変化量を算出し、前記算出された対象病変に対する占有率の変化量と基準数値とを比較して、前記対象病変の大きさの変化有無を判定するようにさらに構成される、請求項16に記載の情報処理システム。
【請求項18】
前記基準数値は、テストセットに対して算出されたターゲットメトリックと関連した数値、又は、予測正確度と関連した数値に基づいて決定される、請求項17に記載の情報処理システム。
【請求項19】
前記基準数値は、第1の基準数値及び第2の基準数値を含み、
前記算出された対象病変に対する占有率の変化量が、前記第1の基準数値に対して同一又は大きい場合、前記対象病変の大きさが増加したと判定され、
前記算出された対象病変に対する占有率の変化量が、前記第1の基準数値に対して小さくて、前記第2の基準数値に対して同一又は大きい場合、前記対象病変の大きさに変化のないと判定され、
前記算出された対象病変に対する占有率の変化量が、前記第2の基準数値に対して小さい場合、前記対象病変の大きさが減少したと判定される、請求項17に記載の情報処理システム。
【請求項20】
前記プロセッサは、
前記第1の占有率及び前記第2の占有率に基づいて、前記対象病変に対する占有率の変化量を算出し、前記算出された対象病変に対する占有率の変化量を変化有無判定モデルに入力することで、出力される判定結果に基づいて、前記対象病変の大きさの変化有無を決定するようにさらに構成され、
前記変化有無判定モデルは、前記対象病変に対する参照占有率の変化量に関する入力値に基づいて、参照対象病変の大きさの変化有無に対する判定結果を出力するように学習された機械学習モデルを含む、請求項16に記載の情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、X線イメージ内における対象病変の大きさの変化を測定する方法及びシステムに関し、より詳しくは、X線イメージにおける基準領域のうち、対象病変に対応する領域が占める占有率を算出し、算出された占有率に基づいて、対象病変の大きさの変化を測定する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
患者が多数のX線の写真を撮影するとき、写真内の病変の変化は重要な情報に該当できる。例えば、気胸が発生した患者の場合、手術後の気胸の大きさの変化を観察するために持続的にX線を撮影できる。気胸の大きさが小さくなると、治療の経過がよいという意味であり、気胸の大きさが大きくなると、応急状況に該当して他の措置を必要とすることもできる。また、特定の病変がX線イメージから観測される場合、当該病変が過去にも持続的に同一の大きさで存在したか、或いは、その大きさが増加/減少したかに関する情報は、特定の病変の治療のために必要な情報であり得る。したがって、時間の経過に伴う病変の大きさの変化に関する情報は、臨床的に非常に重要な情報に該当できる。
【0003】
医者と患者が病変の大きさの変化に関する情報を正確にわかるためには、実際の病変の大きさを認知しなければならない。既存のCAD(Computer Aided Detection)方式は、病変の存在の有無を知らせるので、医者が患者の映像をより正確かつ迅速に読み出すことができる。患者の位置(撮影環境)によって撮影される病変の領域(例:肺など)が不一定であり、pixel arrayだけが入力される場合にイメージの規格化が困難になり、X線は基準線がないので、X線イメージだけでは実際の病変の大きさを計算し難いことができる。これにより、2つのX線イメージから病変の大きさを計算して測定した変化量(または、大きさの変化有無)には誤差が発生し得る。
【0004】
既存のCAD方式を用いて病変の大きさの変化有無を判定する方法としては、2つのX線イメージから病変の大きさを絶対的に比較する方法と、X線イメージをピクセル単位に整列(registration)して病変の大きさを比較する方法とがある。2つのX線の写真から病変の大きさを絶対的に比較する一番目の方法によれば、患者の姿勢や映像撮影機器との距離などのような多様な変数により、病変の大きさが映像に異なるように表示される問題点を解決し難いことがある。すなわち、病変の大きさの変化が不正確であり得る。また、X線イメージをピクセル単位に整列(registration)して病変の大きさを比較する二番目の方法によれば、ピクセル単位の整列(registration)が成功的に行われると仮定する場合、病変の大きさの差をより正確に予測できる。ただし、二番目の方法は、ピクセル単位の整列自体が多い計算量を要求する作業が遂行され、特定の状況(例えば、患者の2つのX線イメージの状態が非常に異なって整列し難い状況)、又は、イメージの状態(例えば、イメージの解像度、イメージの保存形態に従う状態)により、2つのX線イメージの整列(registration)が実質的に不可能であり得る。また、ピクセル単位の整列は、非常に複雑なアルゴリズムに該当するので、このために要求されるコンピューティングパワーが製品化し難い水準であり、アルゴリズムの開発にも莫大な費用が発生し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2017-0118540号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、前記のような問題点を解決するための対象病変の大きさの変化を測定する方法及びシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、方法、装置(システム)又は命令語を保存するコンピュータ読取り可能な保存媒体、コンピュータプログラムを含む多様な方式により具現化できる。
【0008】
本開示の一実施例に係る、少なくとも一つのコンピューティング装置により遂行される、X線(X-ray)イメージ内における対象病変の大きさの変化を測定する方法は、対象病変を含む第1のX線イメージ、及び、対象病変を含む第2のX線イメージを受信するステップと、第1のX線イメージ及び第2のX線イメージの各々における基準領域のうち、対象病変に対応する領域が占める占有率(occupancy)を算出するステップと、算出された占有率に基づいて、対象病変の大きさの変化を測定するステップとを含む。
【0009】
本開示の一実施例において、算出するステップは、第1のX線イメージ及び第2のX線イメージの各々から、第1の基準領域及び第2の基準領域を決定するステップと、第1のX線イメージ及び第2のX線イメージの各々から、対象病変を識別するステップと、第1の基準領域のうち、識別された対象病変が占める第1の占有率、及び、第2の基準領域のうち、識別された対象病変が占める第2の占有率を算出するステップとを含む。
【0010】
本開示の一実施例において、第1の基準領域及び第2の基準領域を決定するステップは、第1のX線イメージを基準領域抽出モデルに入力して、第1の基準領域を出力するステップと、第2のX線イメージを基準領域抽出モデルに入力して、第2の基準領域を出力するステップとを含み、基準領域抽出モデルは、複数の参照X線イメージ及び参照基準領域に関するラベル情報を用いて学習される。ここで、第2の基準領域は第1の基準領域に対応する。
【0011】
本開示の一実施例において、算出するステップは、第1の基準領域内において対象病変が占める領域のピクセル数を、第1の基準領域に対応するピクセル数で割ることで、第1の占有率を算出するステップと、第2の基準領域内において対象病変が占める領域のピクセル数を、第2の基準領域に対応するピクセル数で割ることで、第2の占有率を算出するステップとを含む。
【0012】
本開示の一実施例において、第1の基準領域及び第2の基準領域を決定するステップは、第1の基準領域に対するスコア(score)、及び、第2の基準領域に対するスコアを決定するステップを含み、対象病変を識別するステップは、第1の基準領域内において対象病変に対するスコアを決定するステップと、第2の基準領域内において対象病変に対するスコアを決定するステップとを含み、算出するステップは、第1の基準領域に対するスコア及び第1の基準領域内において対象病変に対するスコアに基づいて、第1の占有率を算出するステップと、第2の基準領域に対するスコア及び第2の基準領域内において対象病変に対するスコアに基づいて、第2の占有率を算出するステップとを含む。
【0013】
本開示の一実施例において、測定するステップは、第1の占有率及び第2の占有率に基づいて、対象病変の大きさの変化有無を判定するステップを含む。
【0014】
本開示の一実施例において、第1の占有率及び第2の占有率に基づいて、対象病変の大きさの変化有無を判定するステップは、第1の占有率及び第2の占有率に基づいて、対象病変に対する占有率の変化量を算出するステップと、算出された対象病変に対する占有率の変化量と基準数値とを比較して、対象病変の大きさの変化有無を判定するステップとを含む。
【0015】
本開示の一実施例において、基準数値は、テストセットに対して算出されたターゲットメトリックと関連した数値、又は、予測正確度と関連した数値に基づいて決定される。
【0016】
本開示の一実施例において、基準数値は、第1の基準数値及び第2の基準数値を含み、算出された対象病変に対する占有率の変化量が、第1の基準数値に対して同一又は大きい場合、対象病変の大きさが増加したと判定され、算出された対象病変に対する占有率の変化量が、第1の基準数値に対して小さくて、第2の基準数値に対して同一又は大きい場合、対象病変の大きさに変化のないと判定され、算出された対象病変に対する占有率の変化量が、第2の基準数値に対して小さい場合、対象病変の大きさが減少したと判定される。
【0017】
本開示の一実施例において、第1の占有率及び第2の占有率に基づいて、対象病変の大きさの変化有無を判定するステップは、第1の占有率及び第2の占有率に基づいて、対象病変に対する占有率の変化量を算出するステップと、算出された対象病変に対する占有率の変化量を変化有無判定モデルに入力することで、出力される判定結果に基づいて、対象病変の大きさの変化有無を決定するステップとを含み、変化有無判定モデルは、対象病変に対する参照占有率の変化量に関する入力値に基づいて、参照対象病変の大きさの変化有無に対する判定結果を出力するように学習される機械学習モデルを含む。
【0018】
本開示の一実施例において、基準領域は、第1のX線イメージ及び第2のX線イメージの各々の全体領域を複数の領域に分割することにより決定される領域である。
【0019】
本開示の一実施例に係る前述した対象病変の大きさの変化を測定する方法を、コンピュータで実行するためのコンピュータプログラムが提供される。
【0020】
本開示の一実施例に係る情報処理システムは、一つ以上のインストラクション(instructions)を保存するメモリと、保存された一つ以上のインストラクションを実行することで、対象病変を含む第1のX線イメージ、及び、対象病変を含む第2のX線イメージを受信し、第1のX線イメージ及び第2のX線イメージの各々における基準領域のうち、対象病変に対応する領域が占める占有率を算出し、算出された占有率に基づいて、対象病変の大きさの変化を測定するように構成されるプロセッサとを含む。
【発明の効果】
【0021】
本開示の一部の実施例において、基準領域に対する対象病変の占有率の変化に基づいて、対象病変の大きさの変化有無が測定されるので、少ない演算量であっても、病変の大きさの変化を正確に測定できる。
【0022】
本開示の一部の実施例において、基準領域に対する対象病変の占有率の変化に基づいて、対象病変の大きさの変化有無が測定されるので、対象病変の大きさの変化を測定する際に、患者の姿勢や映像撮影機器との距離などのような多様な変数に対してあまり影響を受けない。
【0023】
本開示の一部の実施例において、基準領域に対する対象病変の占有率の変化に基づいて、対象病変の大きさの変化有無が判定されるので、別途にイメージの整列が不要になり、過度な開発費用が不要になる。
【0024】
本開示の一部の実施例において、肺の場合、吸気や呼気によって大きさの変化があり得る。このとき、肺内にある対象病変の大きさも共に変化するので、肺の大きさに対する対象病変の大きさの比率は維持できる。したがって、このような比率の変化が対象病変の変化を示すことができる。
【0025】
本開示の一部の実施例において、X線イメージから全体領域(例えば、肺など)に含まれた複数の病変は各々区分して検出でき、各々の病変に対する占有率及び/又は変化量を算出できるので、各々の病変に対する大きさの変化を測定できる。
【0026】
本開示の効果は、これに制限されず、言及されない他の効果等は、請求範囲の記載から本開示が属する技術分野における通常の知識を有した者(以下、「当業者」という)に明確に理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本開示の実施例等は、以下の添付図面に基づいて説明される。ここで、類似の参照符号は類似の要素を示すが、これに限定されるものではない。
【
図1】本開示の一実施例に係る情報処理システムが対象病変の大きさの変化測定結果を提供する例を示す図である。
【
図2】本開示の一実施例に係る情報処理システムの内部構成を示すブロック図である。
【
図3】本開示の一実施例に係るX線イメージ内における対象病変の大きさの変化を測定する方法を示すフローチャートである。
【
図4】本開示の一実施例に係るユーザ端末を介して基準領域抽出モデルを学習するためのラベル情報が情報処理システムに提供される例を示す図である。
【
図5】本開示の一実施例に係る情報処理システムがX線イメージから基準領域を決定し、ユーザ端末を介して出力する例を示す図である。
【
図6】本開示の一実施例に係る第1のX線イメージから第1の占有率を算出し、第2のX線イメージから第2の占有率を算出する例を示す図である。
【
図7】本開示の一実施例に係る第1の占有率及び第2の占有率に基づいて、対象病変の大きさの変化測定結果を生成する例を示す図である。
【
図8】本開示の一実施例に係る胸部X線イメージ内の対象病変の大きさの変化を測定する例を示す図である。
【
図9】本開示の一実施例に係る基準領域における対象病変の占有率を決定し、対象病変の大きさの変化を測定する例を示す図である。
【
図10】本開示の一実施例に係る人工神経網モデルの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本開示の実施のための具体的な内容を添付図面に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明では、本開示の要旨を不要に不明瞭にする恐れがある場合、公知の機能や構成に関する具体的な説明は省略する。
【0029】
添付図面において、同一又は対応する構成要素には同一の参照符号が付与される。また、以下の実施例の説明において、同一又は対応する構成要素について重複する記述は省略され得る。しかしながら、構成要素に関する記述が省略されても、そのような構成要素が、ある実施例に含まれないものと意図してはならない。
【0030】
開示の実施例の利点及び特徴、そして、それらを達成する方法は、添付図面に基づいて、後述する実施例を参照すれば明確になる。しかしながら、本開示は、以下で開示される実施例に限定されず、互いに異なる多様な形態で具現化され得る。但し、本実施例は、本開示が完全になるようにし、本開示が当業者に発明のカテゴリを正確に認識させるために提供されるだけである。
【0031】
本開示で使用される用語について簡略に説明し、開示の実施例について具体的に説明する。本明細書で使用される用語は、本開示での機能を考慮しつつ、可能な限り現在広く使用される一般的な用語を選択したが、これは、関連分野に従事する技術者の意図又は判例、新技術の出現などにより変化し得る。また、特定の場合は、出願人が任意で選定した用語もあり得るが、これらの意味は当該発明の説明の部分において詳細に記載する。よって、本開示で使用される用語は、単純な用語の名称ではなく、その用語が持つ意味と本開示の全般にわたる内容に基づいて定義されるべきである。
【0032】
本開示において、文脈上において明確に特定しない限り、単数の表現は複数の表現を含み、複数の表現は単数の表現を含むことができる。明細書の全般に渡り、ある部分がある構成要素を「含む」とすれば、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を排除するものではなく、他の構成要素をさらに含むこともできることを意味する。
【0033】
また、明細書で使用される「モジュール」又は「部」という用語は、ソフトウェアやハードウェア構成要素を意味し、「モジュール」又は「部」はある役割を遂行する。しかしながら、「モジュール」又は「部」はソフトウェアやハードウェアに限定される意味ではない。「モジュール」又は「部」は、アドレッシング可能な保存媒体にあるように構成してもよく、一つ又はそれ以上のプロセッサを再生させるように構成してもよい。したがって、一例として、「モジュール」又は「部」は、ソフトウェア構成要素、オブジェクト指向ソフトウェア構成要素、クラス構成要素、タスク構成要素のような構成要素、並びに、プロセス、関数、属性、プロシージャ、サブルーチン、プログラムコードのセグメント、ドライバー、ファームウェア、マイクロコード、回路、データ、データベース、データ構造、テーブル、アレイ、又は変数のうちの少なくとも一つを含むことができる。構成要素と「モジュール」又は「部」は、内部で提供される機能はさらに小さい数の構成要素及び「モジュール」又は「部」で結合され、または、追加的な構成要素と「モジュール」又は「部」にさらに分離され得る。
【0034】
本開示の一実施例によれば、「モジュール」又は「部」は、プロセッサ及びメモリで具現化され得る。「プロセッサ」は、汎用プロセッサ、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、制御器、マイクロ制御器、状態マシンなどを含むように広く解釈されるべきである。いくつかの環境では、「プロセッサ」は、特定用途向け半導体(ASIC)、プログラム可能なロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラム可能なゲートアレイ(FPGA)等を称することもできる。「プロセッサ」は、例えば、DSPとマイクロプロセッサの組合せ、複数のマイクロプロセッサの組合せ、DSPコアと結合した一つ以上のマイクロプロセッサの組合せ、若しくは、任意の他のそのような構成等の組合せといった処理デバイスの組合せを称することもできる。また、「メモリ」は、電子情報を保存可能な任意の電子コンポーネントを含むように、広く解釈されるべきである。「メモリ」は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、NVRAM(Non-Volatile Random Access Memory)、PROM(Programmable Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read-Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Reda-Only Memory)、フラッシュメモリ、磁気又は光学データストレージ装置、レジスタなどのようなプロセッサで読取り可能な媒体の多様な類型を称することもできる。プロセッサがメモリから情報を読取り/読取ったりメモリに情報を記録できる場合、メモリは、プロセッサと電子通信状態にあると言われる。プロセッサに集積されたメモリは、プロセッサと電子通信状態にある。
【0035】
本開示において、「X線イメージ」は、X線を用いて人体の少なくとも一部にX線を透過させて撮影する任意の検査装備により撮影した任意のイメージを称することができる。例えば、検査装備は、一般のX線撮影器だけでなく、人体の特殊部位に適合するように特殊X線撮影器(例えば、乳房専用撮影器など)を含むが、これに限定されるものではない。
【0036】
本開示において、「対象病変」は、大きさの変化の測定対象となるデータ/情報、イメージ領域、オブジェクトなどを称することができる。例えば、「対象病変」は、癌や気胸などのようなX線イメージを通して検出しようとする対象を含むことができる。
【0037】
本開示において、「ピクセル」は、X線イメージ内に含まれたピクセルを称することができる。例えば、「ピクセル数」は、X線イメージ内において特定の領域に該当するピクセルの数を称することができる。このとき、X線イメージが同一の解像度を有する場合、ピクセル数が多いほど、X線イメージ内において当該特定の領域の大きさが大きくて、ピクセル数が少ないほど、X線イメージ内において当該特定の領域の大きさが小さい。
【0038】
本開示において、「人工神経網モデル」は、機械学習モデルの一例であって、与えられた入力に対する解答を推論するのに使用する任意のモデルを含むことができる。一実施例によれば、人工神経網モデルは、入力層(layer)、複数の隠れ層及び出力層を含む人工神経網モデルを含むことができる。ここで、各層は一つ以上のノードを含むことができる。例えば、人工神経網モデルは、X線イメージから基準領域及び/又は対象病変の領域を決定、識別及び/又は検出するように学習できる。他の例として、人工神経網モデルは、対象病変に対する占有率の変化量(例えば、対象病変に対する第1の占有率及び第2の占有率の差、または、第2の占有率から第1の占有率を除算した数値など)に基づいて、対象病変の大きさの変化に関する情報を出力するように学習できる。また、人工神経網モデルは、人工神経網モデルに含まれた複数のノードと関連した加重値を含むことができる。ここで、加重値は、人工神経網モデルと関連した任意のパラメータを含むことができる。
【0039】
本開示において、「A及びBの各々」は、Aに含まれた構成要素(例えば、領域)及びBに含まれた構成要素を称することができる。例えば、「第1のX線イメージ及び第2のX線イメージの各々における基準領域」は、第1のX線イメージにおける基準領域と、第2のX線イメージにおける基準領域とを称することができる。他の例として、「第1のX線イメージ及び第2のX線イメージの各々における基準領域のうち、対象病変に対応する領域」は、第1のX線イメージにおける基準領域のうち、対象病変に対応する領域と、第2のX線イメージにおける基準領域のうち、対象病変に対応する領域とを称することができる。
【0040】
本開示において、「インストラクション(instruction)」は、機能に基づいて集まる一つ以上の命令語であって、コンピュータプログラムの構成要素であり、プロセッサにより実行されるものを称することができる。
【0041】
本開示において、「ユーザ」は、ユーザ端末を利用する者を称することができる。例えば、ユーザは、アノテーション作業を遂行するアノテータ(annotator)を含むことができる。他の例として、ユーザは、対象病変の大きさの変化測定結果が提供される医者や患者などを含むことができる。また、ユーザはユーザ端末を称することができ、反対に、ユーザ端末はユーザを称することができる。すなわち、ユーザ及びユーザ端末は、本明細書において混用して使用され得る。
【0042】
本開示において、「アノテーション(annotation)」は、アノテーション作業及び/又はアノテーション作業の遂行により決定されたアノテーション情報(例えば、ラベル情報など)を称することができる。本開示において、「アノテーション情報」は、アノテーション作業のための情報及び/又はアノテーション作業により生成された情報(例えば、ラベル情報)を称することができる。
【0043】
本開示において、「全体領域」は、X線イメージに含まれた撮影対象の領域を称することができる。例えば、全体領域は、X線イメージから背景領域を除いた個体(例えば、患者)が撮影された領域を称することができる。代替的に、全体領域は、X線イメージを通して観測しようとするターゲット組織、器官、臓器、器官系などが撮影された領域を称することができる。また、本開示において、「基準領域」は、全体領域の少なくとも一部領域を称することができる。
【0044】
本開示において、「占有率」は、基準領域に対する対象領域の占有の比率を称することができる。例えば、「占有率」は、基準領域の大きさに対する対象病変の領域の大きさの比率により算出できる。他の例として、「占有率」は、基準領域のピクセル数に対する対象病変の領域のピクセル数の比率により算出できる。付加的又は代替的に、「占有率」は、領域の大きさだけでなく、領域の予測スコア(例えば、確率値)に基づいて算出できる。例えば、「占有率」は、基準領域の大きさに対する対象病変の領域の予測スコア(例えば、対象領域に含まれた複数のピクセルの各々の予測スコアの和、平均など)の比率により算出できる。他の例として、「占有率」は、基準領域の予測スコア(例えば、基準領域に含まれた複数のピクセルの各々の予測スコアの和、平均など)に対する対象病変の領域の予測スコア(例えば、対象領域に含まれた複数のピクセルの各々の予測スコアの和、平均など)の比率により算出できる。付加的又は代替的に、「占有率」は、対象病変の大きさだけでなく、対象病変の確率マップ(例えば、ヒートマップ)及び/又は対象病変の状態に基づいて算出できる。
【0045】
図1は、本開示の一実施例に係る情報処理システム100が対象病変の大きさの変化測定結果130を提供する例を示す図である。情報処理システム100は、対象病変の大きさの変化を測定するのに利用される任意のコンピューティング装置である。ここで、コンピューティング装置は、コンピューティング機能を具備した任意の種類の装置を称することができ、例えば、ノートブック、デスクトップ(desktop)、ラップトップ(laptop)、タブレットコンピュータ(tablet computer)、サーバー、クラウドシステム、ユーザ端末などになり得るが、これに限定されるものではない。
図1では、情報処理システム100を一つのコンピューティング装置として示すが、これに限定されず、情報処理システム100は、複数のコンピューティング装置を介して情報及び/又はデータを分散処理するように構成できる。
【0046】
情報処理システム100は、イメージ撮影装置(例えば、X-ray映像撮影装置)、ユーザ端末及び/又は保存システム(または、装置)の各々と連結して通信可能であるように構成できる。ここで、保存システムは、対象病変の大きさの変化を測定するための機械学習モデルと関連した各種データを保存して管理する装置またはクラウドシステムであり得る。データの効率的な管理のために、保存システムは、データベースを用いて各種データを保存して管理できる。ここで、各種データは、機械学習モデルと関連した任意のデータを含むことができ、例えば、X線イメージ、基準領域に関するラベル情報、テストセット、機械学習モデルなどを含むことのできるが、これに限定されるものではない。
【0047】
対象病変の大きさの変化を測定するために、情報処理システム100は、X-rayイメージ(または、映像)において、基準領域(例えば、肺領域)と基準領域内で観測された対象病変領域とを比較して、基準領域に対する対象病変の占有率を算出できる。すなわち、情報処理システム100は、撮影時点の差がある複数のX線イメージの各々に対して、基準領域に対する対象病変の占有率を算出できる。情報処理システム100は、対象病変の占有率の変化により、基準領域における対象病変の大きさの変化を測定できる。
【0048】
一実施例において、情報処理システム100は、イメージ撮影装置、ユーザ端末及び/又は保存システム(または、装置)から対象病変を含む第1のX線イメージ110及び対象病変を含む第2のX線イメージ120を受信できる。例えば、情報処理システム100は、第1のX線イメージ110及び第2のX線イメージ120を順次受信できる。他の例として、情報処理システム100は、第1のX線イメージ110及び第2のX線イメージ120を同時に受信できる。ここで、第1のX線イメージ110及び第2のX線イメージ120は、同一の固体/対象を異なる時点で撮影したイメージに該当できる。付加的又は代替的に、情報処理システム100が受信した第1のX線イメージ110及び/又は第2のX線イメージ120は、対象病変を含めないことがある。
【0049】
情報処理システム100は、受信された第1のX線イメージ110及び第2のX線イメージ120に基づいて、対象病変の大きさの変化測定結果130を生成及び/又は出力できる。ここで、対象病変の大きさの変化測定結果130は、第1のX線イメージ110及び第2のX線イメージ120の各々に含まれた対象病変の絶対大きさ値、占有率、対象病変の大きさの変化有無、変化程度などを含むことができる。
【0050】
情報処理システム100は、第1のX線イメージ110及び第2のX線イメージ120の各々における基準領域のうち、対象病変に対応する領域が占める占有率を算出できる。このために、情報処理システム100は、第1のX線イメージ110及び第2のX線イメージ120の各々から第1の基準領域及び第2の基準領域を決定し、第1のX線イメージ110及び第2のX線イメージ120の各々から対象病変を識別及び/又は検出できる。ここで、基準領域は、第1のX線イメージ110及び第2のX線イメージ120の各々の全体領域(例えば、肺領域)を、複数の領域(例えば、左肺や右肺など)に分割することにより決定された領域を称することができる。例えば、情報処理システム100は、第1のX線イメージ110を基準領域抽出モデルに入力することで、第1の基準領域(例えば、第1のX線イメージにおける左肺領域)を出力し、第2のX線イメージ120を基準領域抽出モデルに入力することで、第1の基準領域に対応する第2の基準領域(例えば、第2のX線イメージにおける左肺領域)を出力できる。このとき、情報処理システム100及び/又は保存システムは、複数の参照X線イメージ及び参照基準領域に関するラベル情報を用いて学習された基準領域抽出モデルを含むことができる。
【0051】
その後、情報処理システム100は、第1の基準領域のうち、識別された対象病変が占める第1の占有率、及び、第2の基準領域のうち、識別された対象病変が占める第2の占有率を算出できる。例えば、情報処理システム100は、第1の基準領域内において対象病変が占める領域のピクセル数を、第1の基準領域に対応するピクセル数で割ることで、第1の占有率を算出し、第2の基準領域内において対象病変が占める領域のピクセル数を、第2の基準領域に対応するピクセル数で割ることで、第2の占有率を算出できる。また他の例として、情報処理システム100は、第1の基準領域に対するスコア及び対象病変に対するスコアに基づいて、第1の占有率を算出し、第2の基準領域に対するスコア及び対象病変に対するスコアに基づいて、第2の占有率を算出できる。情報処理システム100は、算出された占有率に基づいて対象病変の大きさの変化を測定できる。例えば、情報処理システム100は、第1の基準領域のうち、識別された対象病変が占める第1の占有率、及び、第2の基準領域のうち、識別された対象病変が占める第2の占有率に基づいて、対象病変の大きさの変化有無を判定できる。すなわち、情報処理システム100は、X線イメージに含まれた対象病変の絶対大きさではなく、占有率の変化に基づいて対象病変の大きさの変化を測定できる。
【0052】
一実施例において、情報処理システム100は、第1の占有率及び第2の占有率に基づいて、対象病変に対する占有率の変化量を算出し、算出された対象病変に対する占有率の変化量と基準数値とを比較して、対象病変の大きさの変化有無を判定できる。例えば、基準数値は、第1の基準数値及び第2の基準数値を含むことができる。このとき、算出された対象病変に対する占有率の変化量が、第1の基準数値に対して同一又は大きい場合、対象病変の大きさが増加したと判定できる。算出された対象病変に対する占有率の変化量が、第1の基準数値に対して小さくて、第2の基準数値に対して同一又は大きい場合、対象病変の大きさに変化のないと判定できる。算出された対象病変に対する占有率の変化量が、第2の基準数値に対して小さい場合、対象病変の大きさが減少したと判定できる。付加的又は代替的に、基準数値は、テストセットに対して算出されたターゲットメトリックと関連した数値、又は、予測正確度と関連した数値に基づいて決定できる。
【0053】
他の実施例において、情報処理システム100は、第1の占有率及び第2の占有率に基づいて、対象病変に対する占有率の変化量を算出し、算出された対象病変に対する占有率の変化量を変化有無判定モデルに入力することで、出力される判定結果に基づいて、対象病変の大きさの変化有無を決定できる。このために、情報処理システム100及び/又は保存システムは、変化有無判定モデルを含むことができ、変化有無判定モデルは、対象病変に対する参照占有率の変化量に対する入力値に基づいて、参照対象病変の大きさの変化有無に対する判定結果を出力するように学習された機械学習モデルを含むことができる。
【0054】
図2は、本開示の一実施例に係る情報処理システム100の内部構成を示すブロック図である。情報処理システム100は、メモリ210、プロセッサ220、通信モジュール230及び入出力インタフェース240を含むことができる。
図2に示すように、情報処理システム100は、通信モジュール230を用いて、ネットワークを介して情報及び/又はデータを通信できるように構成できる。
【0055】
メモリ210は、非一時的な任意のコンピュータ読取り可能な記録媒体を含むことができる。一実施例によれば、メモリ210は、RAM(random access memory)、ROM(read only memory)、ディスクドライブ、SSD(solid state drive)及びフラッシュメモリ(flash memory)などのような永久的な大容量保存装置(permanent mass storage device)を含むことができる。他の例として、ROM、SSD、フラッシュメモリ及びディスクドライブなどのような永久的な大容量保存装置は、メモリとは区分される別途の永久保存装置として情報処理システム100に含まれることができる。また、メモリ210には、運営体制と少なくとも一つのプログラムコード(例えば、対象病変の大きさの変化を測定するためのアプリケーション、X線イメージから基準領域を決定するプログラム、X線イメージから対象病変を識別するプログラム、対象病変の占有率を算出するプログラム等のためのコードなど)が保存され得る。
【0056】
このようなソフトウェア構成要素は、メモリ210とは別途のコンピュータ読取り可能な記録媒体からローディングできる。このような別途のコンピュータ読取り可能な記録媒体は、このような情報処理システム100に直接連結可能な記録媒体を含むことのできるが、例えば、フロッピードライブ、ディスク、テープ、DVD/CD-ROMドライブ及びメモリカードなどのようなコンピュータ読取り可能な記録媒体を含むことができる。他の例として、ソフトウェア構成要素等は、コンピュータ読取り可能な記録媒体ではなく、通信モジュール230を介してメモリ210にローディングされることもできる。例えば、少なくとも一つのプログラムは、開発者又はアプリケーションの設置ファイルを配信するファイル配信システムが、通信モジュール230を介して提供するファイルにより設置されるコンピュータプログラム(例えば、対象病変の大きさの変化を測定するためのアプリケーション、X線イメージから基準領域を決定するプログラム、X線イメージから対象病変を識別するプログラム、対象病変の占有率を算出するプログラム等のためのコードなど)に基づいて、メモリ210にローディングされることができる。
【0057】
プロセッサ220は、基本的な算術、ロジック及び入出力演算を遂行することで、コンピュータプログラムの命令を処理するように構成できる。命令は、メモリ210又は通信モジュール230によりユーザ端末(図示せず)又は他の外部システムに提供され得る。例えば、プロセッサ220は、メモリ210のような記録装置に保存されたプログラムコードによって受信される命令を実行するように構成できる。
【0058】
通信モジュール230は、ネットワークを介して、ユーザ端末及び/又は映像撮影装置と情報処理システム100とが互いに通信するための構成や機能を提供でき、情報処理システム100が保存装置及び/又は他のシステム(一例として、別途のクラウドシステムなど)と通信するための構成や機能を提供できる。一例として、情報処理システム100のプロセッサ220の制御によって提供される制御信号、命令、データなどが、通信モジュール230及びネットワークを経て、ユーザ端末の通信モジュールを介してユーザ端末に提供できる。例えば、情報処理システム100は、通信モジュール230を介して外部装置(例えば、保存装置、映像撮影装置、外部システムなど)から対象病変を含むX線イメージ(例えば、対象病変を含む第1のX線イメージ、及び、対象病変を含む第2のX線イメージなど)を受信できる。付加的に、情報処理システム100は、通信モジュール230を介して対象病変の大きさの変化測定結果をユーザ端末に提供できる。
【0059】
また、情報処理システム100の入出力インタフェース240は、情報処理システム100と連結するか、或いは、情報処理システム100が含むことのできる入力又は出力のための装置(図示せず)とのインタフェースのための手段であり得る。
図2では、入出力インタフェース240がプロセッサ220と別途に構成された要素として示したが、これに限定されず、入出力インタフェース240がプロセッサ220に含まれるように構成されることもできる。情報処理システム100は、
図2に示す構成要素よりも多くの構成要素を含むことができる。しかしながら、大部分の従来技術的構成要素を明確に示す必要はない。
【0060】
情報処理システム100のプロセッサ220は、複数のユーザ端末及び/又は複数の外部システムから受信された情報及び/又はデータを管理、処理及び/又は保存するように構成されることができる。一実施例によれば、プロセッサ220は、受信された第1のX線イメージ、第2のX線イメージなどを保存、処理及び転送できる。例えば、プロセッサ220は、第1のX線イメージ及び第2のX線イメージの各々における基準領域のうち、対象病変に対応する領域の占有率を算出できる。また、プロセッサ220は、算出された占有率に基づいて対象病変の大きさの変化を測定し、測定結果情報をユーザ端末に転送できる。
【0061】
図3は、本開示の一実施例に係るX線イメージ内における対象病変の大きさの変化を測定する方法300を示すフローチャートである。一実施例において、対象病変の大きさの変化を測定する方法300は、プロセッサ(例えば、情報処理システムの少なくとも一つのプロセッサ)により遂行できる。対象病変の大きさの変化を測定する方法300は、プロセッサが、対象病変を含む第1のX線イメージ、及び、対象病変を含む第2のX線イメージを受信することにより開始することができる(S310)。
【0062】
プロセッサは、第1のX線イメージ及び第2のX線イメージの各々における基準領域のうち、対象病変に対応する領域が占める占有率を算出できる(S320)。ここで、基準領域は、第1のX線イメージ及び第2のX線イメージの各々の全体領域を複数の領域に分割することにより決定された領域を称することができる。一実施例において、プロセッサは、第1のX線イメージ及び第2のX線イメージの各々から第1の基準領域及び第2の基準領域を決定し、第1のX線イメージ及び第2のX線イメージの各々から対象病変を識別し、第1の基準領域のうち、識別された対象病変が占める第1の占有率、及び、第2の基準領域のうち、識別された対象病変が占める第2の占有率を算出できる。このために、プロセッサは、第1のX線イメージを基準領域抽出モデルに入力して第1の基準領域を出力し、第2のX線イメージを基準領域抽出モデルに入力して第2の基準領域を出力できる。ここで、第2の基準領域は第1の基準領域に対応し、基準領域抽出モデルは、複数の参照X線イメージ及び参照基準領域に関するラベル情報を用いて学習されたものであり得る。例えば、プロセッサは、第1の基準領域内において対象病変が占める領域のピクセル数を、第1の基準領域に対応するピクセル数で割ることで、第1の占有率を算出し、第2の基準領域内において対象病変が占める領域のピクセル数を、第2の基準領域に対応するピクセル数で割ることで、第2の占有率を算出できる。
【0063】
プロセッサは、算出された占有率に基づいて対象病変の大きさの変化を測定できる(S330)。一実施例において、プロセッサは、第1の占有率及び第2の占有率に基づいて、対象病変の大きさの変化有無を判定できる。例えば、プロセッサは、算出された対象病変に対する占有率の変化量(例:第2の占有率から第1の占有率を除算した数値など)と基準数値とを比較して、対象病変の大きさの変化有無を判定できる。このとき、基準数値は、第1の基準数値及び第2の基準数値を含み、第2の占有率から第1の占有率を除算した数値が、第1の基準数値に対して同一又は大きい場合、対象病変の大きさが増加したと判定できる。第2の占有率から第1の占有率を除算した数値が、第1の基準数値に対して小さくて、第2の基準数値に対して同一又は大きい場合、対象病変の大きさに変化のないと判定できる。第2の占有率から第1の占有率を除算した数値が、第2の基準数値に対して小さい場合、対象病変の大きさが減少したと判定できる。ここで、基準数値は、テストセットに対して算出されたターゲットメトリックと関連した数値、又は、予測正確度と関連した数値に基づいて決定できる。他の例として、プロセッサは、第1の占有率及び第2の占有率間の差を変化有無判定モデルに入力することで、出力される判定結果に基づいて、対象病変の大きさの変化有無を決定できる。ここで、変化有無判定モデルは、参照占有率差に対する入力値に基づいて、参照対象病変の大きさの変化有無に対する判定結果を出力するように学習された機械学習モデルを含むことができる。
【0064】
図4は、本開示の一実施例に係るユーザ端末420を介して基準領域抽出モデルを学習するためのラベル情報が情報処理システム100に提供される例を示す図である。X線イメージは、目的によって共通的に含まれる領域(例えば、ターゲット組織、器官、器官係、臓器など)を含むことができる。一実施例によれば、胸部X線イメージの場合、肺領域がイメージ(または、映像)に含まれるように、患者や映像装備の位置を調整して撮影できる。対象病変の大きさの変化を測定するために、X線イメージ(例えば、過去のX線イメージ、現在のX線イメージ)に共通的に存在できる領域において基準領域に該当する領域を設定できる。ここで、基準領域は、X線イメージの各々の全体領域を複数の領域に分割することにより決定された領域であり得る。例えば、胸部X線イメージから肺領域を読み出すのに使用される6つの独立的な領域(「Upper Right領域」、「Upper Left領域」、「Mid Right領域」、「Mid Left領域」、「Lower Right領域」、「Lower Left領域」)の少なくとも一つの領域を含む基準領域を設定できる。すなわち、6つの独立的な領域の各々、または、6つの独立的な領域の一部を融合した領域(例:肺の全体領域、肺の左/右領域、肺の上段/中間/下段の領域)が基準領域に該当できる。
【0065】
基準領域に対する対象病変の占有率を算出するために、情報処理システム(例えば、情報処理システムの少なくとも一つのプロセッサ)100は、基準領域抽出モデルを介してX線イメージから基準領域を決定できる。このために、情報処理システム100は、基準領域抽出モデルを生成/学習できる。一実施例において、情報処理システム100は、機械学習方式により各々のX線イメージから基準領域を検索するアルゴリズムを学習できる。例えば、基準領域抽出モデルは、セグメンテーション(segmentation)人工神経網モデルを称することができる。このように生成/学習された基準領域抽出モデルは、情報処理システム及び/又は保存システムに保存できる。基準領域抽出モデルを生成/学習するために、情報処理システム100は、ユーザ端末420及び/又は保存システム410と連結されて通信可能であるように構成できる。
【0066】
一実施例において、基準領域抽出モデルを学習するために、情報処理システム100は、ユーザ端末420を介してアノテーションの対象となる参照X線イメージを出力できる。ここで、アノテーションの対象となる参照X線イメージは、保存システム410から受信できる。その後、ユーザ(例えば、アノテータなど)は、ユーザ端末420を介して出力される参照X線イメージに含まれた全体領域(例えば、肺領域)を分割した複数の領域(例えば、Upper Right領域、Mid Right領域、Lower Right領域、Upper Left領域、Mid Left領域、Lower Left領域など)の各々に関するラベル情報(例えば、アノテーション情報)を決定して、情報処理システム100に提供できる。例えば、ユーザ(例えば、アノテータなど)は、ユーザ端末420を介して参照基準領域に関するラベル情報を情報処理システム100に提供できる。ここで、参照基準領域は、複数の領域のうち、対象病変の大きさの変化を測定しようとする少なくとも一つの領域を含むことができる。情報処理システム100は、受信された参照X線イメージ及び参照基準領域に関するラベル情報を利用して、基準領域抽出モデルを生成及び/又は学習できる。
【0067】
情報処理システム100は、基準領域抽出モデルの学習資料として使用するために、複数の胸部X線イメージを学習イメージとしてユーザ端末420に提供できる。ユーザは、ユーザ端末420を介して、複数の胸部X線イメージに含まれた肺の6つの領域に対するアノテーションを遂行し、アノテーション結果として、肺の6つの領域に関するラベル情報を含む複数の学習イメージを情報処理システム100に提供できる。例えば、複数の学習イメージは、肺の6つの領域に関するラベル情報を含む学習イメージ430を含むことができる。情報処理システム100は、ラベル情報を含む学習イメージ430が含まれた複数の学習イメージに基づいて、胸部X線イメージから肺の6つの領域の各々を決定するモデルを生成/学習できる。付加的又は代替的に、情報処理システム100は、学習イメージ及びラベル情報に基づいて、胸部X線イメージから基準領域を決定するモデルを生成及び/又は学習できる。ここで、基準領域は、肺の6つの領域の少なくとも一つの領域を含むことができる。
【0068】
一実施例において、情報処理システム100は、一つのX線イメージが入力されるアルゴリズムを学習し、肺の6つの領域に関するラベル情報(すなわち、アノテーション情報)との損失(loss)を最小化する方式により学習できる。例えば、情報処理システム100は、X線イメージにおいて肺の6つの領域に関するラベル情報を用いて、イメージの各ピクセルが各領域に該当する確率を計算できる。このとき、各領域の左/右を区分するために、イメージがフリップ(flip)していないと仮定し得る。また、ノイズを除去するために、基準値(threshold)を設定して、当該値よりも低い値をクリッピング(clipping)することができる。
【0069】
図4では、一つのユーザ端末420が示されているが、これに限定されず、複数のユーザ端末420が情報処理システム100と連結されて通信されるように構成できる。また、
図4では、保存システム410が一つの装置として示されているが、これに限定されず、複数の保存装置から構成されたり、クラウド(cloud)を支援するシステムから構成されたりできる。また、
図4では、基準領域抽出モデルを生成/学習するシステムの各々の構成要素は、機能的に区分される機能要素を示すものであって、複数の構成要素が実際の物理的環境で互いに統合される形態で具現化され得る。
図4では、情報処理システム100及び保存システム410が別途のシステムとして示されているが、これに限定されず、一つのシステムとして統合して構成されることもできる。
【0070】
図5は、本開示の一実施例に係る情報処理システム100がX線イメージから基準領域を決定し、ユーザ端末520を介して出力する例を示す図である。対象病変の大きさの変化を測定するために、情報処理システム(例えば、情報処理システムの少なくとも一つのプロセッサ)100は、X線イメージから基準領域を決定できる。ここで、基準領域は、X線イメージの全体領域を複数の領域に分割することにより決定できる。一実施例において、情報処理システム100は、第1のX線イメージ及び第2のX線イメージの各々から第1の基準領域及び第2の基準領域を決定できる。一実施例において、情報処理システム100は、第1のX線イメージを基準領域抽出モデルに入力して第1の基準領域を出力し、第2のX線イメージを基準領域抽出モデルに入力して第2の基準領域を出力できる。ここで、第2の基準領域は、第1の基準領域に対応できる。例えば、第1のX線イメージにおいて左肺に該当する領域が第1の基準領域に該当する場合、第2のX線イメージにおいても左肺に該当する領域が第2の基準領域に該当できる。
【0071】
情報処理システム100は、対象病変の大きさの変化を測定する対象X線イメージ(例えば、第1のX線イメージ及び第2のX線イメージ)を受信できる。例えば、情報処理システム100は、保存システム510、ユーザ端末520及び/又は映像撮影装置から対象X線イメージを受信できる。情報処理システム100は、受信された対象X線イメージから基準領域を決定できる。例えば、情報処理システム100は、対象X線イメージに含まれた全体領域を複数の領域に分割することにより基準領域を決定できる。図に示すように、情報処理システム100は、対象X線イメージに含まれた肺領域を6つの領域(例えば、「Upper Right領域」、「Upper Left領域」、「Mid Right領域」、「Mid Left領域」、「Lower Right領域」、「Lower Left領域」)に分割することにより基準領域を決定できる。ここで、基準領域は、複数の領域の少なくとも一部を含むことができる。一実施例によれば、対象X線イメージに含まれた組織(例えば、肺)領域は複数の領域に分割でき、分割された複数の領域の任意の組合せが基準領域として決定され得る。このとき、このような複数の領域の組合せである基準領域内の病変の大きさの比率が算出されることで、占有率を算出できる。例えば、基準領域は、「Upper Right領域」、「Mid Right領域」、「Lower Right領域」を含む右肺領域として決定され得る。
【0072】
図5では、情報処理システム100が、肺の複数の領域が表示されたX線イメージ530をユーザ端末520を介して出力しているが、これに限定されるものではない。例えば、情報処理システム100が全体領域を複数の領域に分割して基準領域を決定し、対象病変の大きさの変化を測定する過程を全部遂行した後、大きさの変化測定結果だけをユーザ端末520を介して出力できる。このとき、情報処理システム100は、別途に肺の複数の領域又は基準領域が表示されたX線イメージを、ユーザ端末520を介して出力しないこともできる。
【0073】
また、
図5では、一つのユーザ端末520が示されているが、これに限定されず、複数のユーザ端末520が情報処理システム100と連結されて通信されるように構成できる。また、
図5では、保存システム510が一つの装置として示されているが、これに限定されず、複数の保存装置から構成されたり、クラウド(cloud)を支援するシステムとして構成されたりできる。また、
図5では、基準領域抽出モデルを生成/学習するシステムの各々の構成要素は、機能的に区分される機能要素を示すものであって、複数の構成要素が実際の物理的環境で互いに統合される形態で具現化できる。
図5では、情報処理システム100及び保存システム510が別途のシステムとして示されているが、これに限定されず、一つのシステムとして統合して構成されることもできる。
【0074】
図6は、本開示の一実施例に係る第1のX線イメージ620から第1の占有率628を算出し、第2のX線イメージ630から第2の占有率638を算出する例を示す図である。プロセッサ(例えば、情報処理システムの少なくとも一つのプロセッサ)610は、対象病変を含む第1のX線イメージ620、及び、対象病変を含む第2のX線イメージ630を受信して、第1のX線イメージ620及び第2のX線イメージ630の各々における基準領域のうち、対象病変に対応する領域が占める占有率を算出できる。ここで、占有率は、基準領域の大きさ(例:ピクセル数など)に対する基準領域内に位置した病変の大きさ(例:ピクセル数など)を称することができる。例えば、左肺が基準領域に該当する場合、左肺に対する対象病変の占有率は、X線イメージ内における左肺の大きさ(例:ピクセル数など)に対する左肺に位置した対象病変の大きさ(例:ピクセル数など)を称することができる。
【0075】
一実施例において、プロセッサ610は、第1のX線イメージ620及び第2のX線イメージ630の各々から第1の基準領域626及び第2の基準領域636を決定し、第1のX線イメージ620及び第2のX線イメージ630の各々から対象病変を識別できる。その後、プロセッサ610は、第1の基準領域626ののうち、識別された対象病変が占める第1の占有率628、及び、第2の基準領域636のうち、識別された対象病変が占める第2の占有率638を算出できる。例えば、次の数1及び数2の式に示すように、プロセッサ610は、第1のX線イメージ620における対象病変が占める領域622のピクセル数を、第1の基準領域626に対応するピクセル数で割ることにより、第1の占有率628を算出し、第2のX線イメージ630における対象病変が占める領域632のピクセル数を、第2の基準領域636に対応するピクセル数で割ることにより、第2の占有率638を算出できる。
【0076】
【0077】
【0078】
前記のように算出された占有率により、プロセッサは、X線イメージの大きさや患者の位置に無関係に、2つのX線イメージ内における対象病変の大きさを比較でき、対象病変の大きさの変化をより正確に計算できる。
【0079】
図に示すように、プロセッサは、第1の胸部X線イメージ620を受信して、第1の胸部X線イメージ620に含まれた肺領域(すなわち、全体領域)624を決定し、決定された肺領域624のうち、左肺領域に該当する第1の基準領域626を決定できる。また、プロセッサは、第1の胸部X線イメージ620に含まれた対象病変領域622を識別できる。ここで、対象病変領域は、基準領域における対象病変が占める領域を称することができる。その後、プロセッサは、対象病変領域622のピクセル数を、第1の基準領域626のピクセル数で割ることにより、第1の占有率628を算出できる。同様に、プロセッサは、第2の胸部X線イメージ630を受信して、第2の胸部X線イメージ630に含まれた肺領域634を決定し、決定された肺領域634のうち、左肺領域に該当する第2の基準領域636を決定できる。また、プロセッサは、第2の胸部X線イメージ630に含まれた対象病変領域632を識別できる。その後、プロセッサは、対象病変領域632のピクセル数を、第2の基準領域636のピクセル数で割ることにより、第2の占有率638を算出できる。
【0080】
図6では、プロセッサが第1のX線イメージ620及び第2のX線イメージ630を各々受信して、占有率を算出する例を示しているが、これに限定されるものではない。例えば、プロセッサが、第1のX線イメージ620及び第2のX線イメージ630を同時に受信して、占有率を算出できる。代替的に、プロセッサが、第1のX線イメージ620及び第2のX線イメージ630を順次受信して、占有率を算出できる。
【0081】
図7は、本開示の一実施例に係る第1の占有率628及び第2の占有率638に基づいて、対象病変の大きさの変化測定結果720を生成する例を示す図である。プロセッサ(例えば、情報処理システムの少なくとも一つのプロセッサ)は、算出された占有率に基づいて対象病変の大きさの変化を測定できる。例えば、図に示すように、プロセッサに含まれた変化測定部710が、前述したように算出された第1の占有率628及び第2の占有率638を受信して、対象病変の大きさの変化を測定し、対象病変の大きさの変化測定結果720を生成できる。対象病変の大きさの変化測定結果720は、第1の占有率情報、第2の占有率情報、対象病変の占有率の変化量情報及び/又は対象病変の大きさの変化に関する情報(例えば、増加、減少、無変化など)を含むことができる。ここで、対象病変の占有率の変化量情報は、次の数3の式のように算出できる。
【0082】
【0083】
ユーザは、数値的に表現される対象病変の占有率の変化量だけでなく、当該対象病変の変化有無に関する情報(例えば、増加、減少、無変化の可否に関する情報)を必要とする。一実施例において、変化測定部710は、第1の占有率628及び第2の占有率638に基づいて、対象病変の大きさの変化有無を判定できる。例えば、変化測定部710は、第2の占有率638から第1の占有率628を除算した数値と基準数値とを比較して、対象病変の大きさの変化有無を判定できる。すなわち、変化測定部710は、ヒューリスティック(heuristic)な基準数値に基づいて、対象病変の大きさの変化有無を判定できる。一例として、基準数値は、第1の基準数値(t1)及び第2の基準数値(t2)を含み、第2の占有率638から第1の占有率628を除算した数値(すなわち、対象病変の占有率の変化量)が、第1の基準数値(t1)に対して同一又は大きい場合、対象病変の大きさが増加したと判定できる。第2の占有率638から第1の占有率628を除算した数値が、第1の基準数値(t1)に対して小さくて、第2の基準数値(t2)に対して同一又は大きい場合、対象病変の大きさに変化のないと判定できる。第2の占有率638から第1の占有率628を除算した数値が、第2の基準数値(t2)に対して小さい場合、対象病変の大きさが減少したと判定できる。すなわち、若干の変化は変化のないと仮定し得る。これは、X線イメージが完全に正確な情報に該当しないこともあるからである。
【0084】
一実施例において、基準数値(threshold)は、テストセットに対して算出されたターゲットメトリック(metric)と関連した数値、又は、予測正確度と関連した数値に基づいて決定できる。すなわち、第1の基準数値(t1)、第2の基準数値(t2)を設定するために、プロセッサは、テストセットを受信し、受信されたテストセットに対して特定メトリック(例えば、auc、accuracyなど)が高い基準数値を獲得できる。例えば、プロセッサは任意に基準数値を検索できる。代替的に、AUC(Area Under Curve)メトリックにおいて作動地点(operating point)のあるカーブが存在するため、特定の基準数値の敏感度(sensitivity)及び/又は特定性(specificity)を算出できる。このような点に鑑みて、プロセッサは、敏感度及び/又は特定性が最大となる地点を検索して、基準数値として設定できる。このような方式により、プロセッサは、増加及び無変化間の第1の基準数値と、減少及び無変化間の第2の基準数値とを設定できる。
【0085】
他の例として、変化測定部710は、第1の占有率628及び第2の占有率638間の差を変化有無判定モデルに入力することで、出力される判定結果に基づいて、対象病変の大きさの変化有無を決定できる。ここで、第1の占有率628及び第2の占有率638間の差は、第2の占有率638から第1の占有率628を除算した値(すなわち、対象病変に対する占有率の変化量)を称することができる。また、変化有無判定モデルは、参照占有率差(または、対象病変に対する参照占有率の変化量)に対する入力値に基づいて、参照対象病変の大きさの変化有無に対する判定結果を出力するように学習された機械学習モデルを含むことができる。変化有無判定モデルを生成/学習するために、ユーザのアノテーション作業が必要になり得る。例えば、プロセッサは、参照占有率の変化量及び対象病変の大きさの変化有無に対するユーザのラベル情報(増加、減少、無変化)を受信して、占有率の変化量を入力することにより、対象病変の増加、減少、無変化の一つを出力する機械学習モデルを生成/学習できる。変化測定部710は、生成/学習された機械学習モデル(例えば、変化有無判定モデル)を用いて、対象病変の大きさの変化有無を決定できる。
【0086】
図8は、本開示の一実施例に係る胸部X線イメージ810、820内の対象病変の大きさの変化を測定する例を示す図である。プロセッサ(例えば、情報処理システムの少なくとも一つのプロセッサ)は、X線イメージ内において全体領域(例えば、肺)の大きさ及び/又は基準領域(例えば、右肺)の大きさを測定できる。また、プロセッサは、CAD(Computer Aided Detection)方式又は既存のアルゴリズムにより、対象病変の大きさ及び位置を測定できる。
【0087】
図8の表830に示すように、第1の胸部X線イメージ810上の右肺領域(lung_area1)の大きさは11389.0として測定され、第2の胸部X線イメージ820上の右肺領域(lung_area2)の大きさは12076.0として測定される。すなわち、同一の個体/対象の肺を撮影したX線イメージに該当しても、イメージの大きさ、個体/対象の位置及び/又は状態により、肺領域の大きさが異なるように測定され得る。また、第1の胸部X線イメージ810上で、右肺領域内における対象領域(area1)の大きさは約1739.8578として測定され、第2の胸部X線イメージ820上で、右肺領域内における対象領域(area2)の大きさは約1553.8666として測定される。これにより、第1の占有率は1739.8578/11389.0であって、約0.15277として算出され、第2の占有率は1553.8666/12076であって、約0.12867として算出される。対象病変の占有率の変化量(change_ratio)は0.12867-0.15277であって、約-0.0241として算出される。
【0088】
一実施例において、プロセッサは、算出された占有率の変化量の約-0.0241を基準数値と比較して、対象病変の大きさの変化有無を判定できる。例えば、算出された占有率の変化量が、基準数値(例えば、第2の基準数値)に対して小さい場合、プロセッサは、対象病変の大きさが減少したと判定できる。代替的に、算出された占有率の変化量が、第1の基準数値に対して大きくて、第2の基準数値に対して小さい場合、プロセッサは、対象病変の大きさに変化のないと判定できる。他の例として、プロセッサは、算出された占有率の変化量(例えば、第1の占有率及び第2の占有率間の差)を変化有無判定モデルに入力することで、出力される判定結果に基づいて、対象病変の大きさの変化有無を決定できる。
【0089】
肺の場合、吸気や呼気によってX線イメージ上で大きさの変化があり得る。このとき、肺内にある対象病変の大きさも共に変化するので、肺の大きさに対する対象病変の大きさの比率(すなわち、占有率)は維持できる。したがって、このような比率の変化が対象病変の実質的な変化を示すことができる。また、肺に含まれた複数の病変は各々区分して検出でき、各々の病変に対する占有率及び/又は占有率の変化量を算出できるので、各々の病変に対する大きさの変化を測定できる。
【0090】
図9は、本開示の一実施例に係る基準領域における対象病変の占有率を決定し、対象病変の大きさの変化を測定する例を示す図である。プロセッサは、第1の基準領域910に対するスコア(例えば、第1の基準領域の大きさ、ピクセル数など)、第2の基準領域920に対するスコア(例えば、第2の基準領域の大きさ、ピクセル数など)、第1の基準領域内において対象病変912に対するスコア及び/又は第2の基準領域内において対象病変922に対するスコアを決定(または、算出)できる。その後、プロセッサは、Change Algorithm(900)を用いて、第1の基準領域910に対するスコア、第2の基準領域920に対するスコア、第1の基準領域内において対象病変912に対するスコア、及び、第2の基準領域内において対象病変922に対するスコアに基づいて、変化スコア(change score)を算出できる。
【0091】
例えば、プロセッサは、基準領域抽出モデルを用いて、第1のX線イメージ(t1時間に撮影される)、及び、第2のX線イメージ(t2時間に撮影され、t1と異なる)の各々に対して、基準領域910、920を決定し、基準領域に対するスコアを決定できる。また、プロセッサは、対象病変検出モデルやセグメンテーションモデルなどを用いて、第1の基準領域内において対象病変912に対するスコアを決定できる。このために、プロセッサは、第1の基準領域に含まれた複数のピクセルの各々に対する対象病変予測スコア(または、ヒートマップ値)を算出できる。同様に、プロセッサは、対象病変検出モデルやセグメンテーションモデルなどを用いて、第2の基準領域に含まれた複数のピクセルの各々に対する対象病変予測スコアを算出することで、第2の基準領域内において対象病変922に対するスコアを決定できる。
【0092】
一実施例において、プロセッサは、基準領域内における対象病変領域に含まれた複数のピクセルの各々に対するヒートマップ値(例えば、対象病変予測スコアに基づいて決定されたヒートマップ値)を決定し、次の数4の式に示すように、各々の基準領域内において対象病変に対するスコアを算出できる。
【0093】
【0094】
ここで、heat mapは対象病変領域に対するヒートマップ値を示し、f(x)はx値に対する任意の関数を示し、output_scoreは対象病変に対するスコアを示す。例えば、f(heat map)は、対象病変領域に含まれた複数のピクセルの各々に対するヒートマップ値の和を示す。他の例として、f(heat map)は、対象病変領域に含まれた複数のピクセルの各々に対するヒートマップ値の平均値を示す。
【0095】
また、プロセッサは、算出されたスコアに基づいて、次の数5の式のように、変化スコア(change score)を算出できる。プロセッサは、算出されたスコアに基づいて、対象病変の大きさの変化有無及び/又は大きさの変化量を決定できる。
【0096】
【0097】
ここで、output_score_t1は第1の基準領域内において対象病変に対するスコア、area_t1は第1の基準領域に対するスコア、output_score_t2は第2の基準領域内において対象病変に対するスコア、area_t2は第2の基準領域に対するスコアを示し、g(x,y,z,r)はx,y,z,rに基づいて第1の占有率及び第2の占有率を算出して、対象病変の大きさの変化スコアを算出する任意の関数を示すことができる。
【0098】
一実施例において、プロセッサは、第1の基準領域910に対するスコア、及び、第1の基準領域内において対象病変912に対するスコアに基づいて第1の占有率を算出し、第2の基準領域920に対するスコア、及び、第2の基準領域内において対象病変922に対するスコアに基づいて第2の占有率を算出できる。例えば、プロセッサは、次の数6及び数7の式を用いて、第1の占有率及び第2の占有率を算出できる。
【0099】
【0100】
【0101】
【0102】
その後、プロセッサは、第1の占有率及び第2の占有率に基づいて、対象病変の大きさの変化有無を判定できる。すなわち、プロセッサは、第1の占有率及び第2の占有率に基づいて、change score(例えば、変化スコア、占有率の変化量など)を算出し、算出されたchange scoreに基づいて、対象病変の大きさの変化有無及び/又は変化程度を判定できる。例えば、プロセッサは、次の数8の式を用いて、change scoreを算出できる。
【0103】
【0104】
他の例として、プロセッサは、次の数9の式を用いて、change scoreを算出できる。
【0105】
【0106】
また他の例として、プロセッサは、次の数10の式を用いて、change scoreを算出できる。
【0107】
【0108】
【0109】
図9では、対象病変に対するスコアを算出する例示として、基準領域内における対象病変に対するヒートマップを示しているが、これに限定されるものではない。例えば、対象病変に対するスコアを算出するために、基準領域に含まれた複数のピクセルの各々の対象病変に対する予測値、確率マップなどが用いられる。
【0110】
図10は、本開示の一実施例に係る人工神経網モデル1000の例を示す図である。人工神経網モデル1000は、機械学習モデルの一例として、機械学習(Machine Learning)技術及び認知科学において、生物学的神経網の構造に基づいて具現化した統計学的学習アルゴリズム、又は、そのアルゴリズムを実行する構造であり得る。
【0111】
一実施例によれば、人工神経網モデル1000は、生物学的神経網のように、シナプスの結合によりネットワークを形成した人工ニューロンであるノード(Node)等がシナプスの加重値を繰り返し調整して、特定の入力に対応した正しい出力及び推論された出力間の誤差が減少するように学習することで、問題解決能力を持つ機械学習モデルを示すことができる。例えば、人工神経網モデル1000は、機械学習やディープラーニングなどの人工知能学習法に使用される任意の確率モデル、ニューラルネットワークモデルなどを含むことができる。
【0112】
一実施例によれば、人工神経網モデル1000は、入力されるX線イメージから基準領域を決定するように構成された人工神経網モデルを含むことができる。付加的又は代替的に、人工神経網モデル1000は、入力されるX線イメージから対象病変を識別する人工神経網モデルを含むことができる。付加的又は代替的に、第1の占有率及び第2の占有率間の差(例えば、対象病変に対する占有率の変化量)を入力して、対象病変の大きさの変化有無に対する判定結果(例えば、対象病変の増加、減少、無変化の可否)を出力するように構成された人工神経網モデルを含むことができる。
【0113】
人工神経網モデル1000は、多層のノード等及びこれら間の連結により構成された多層パーセプトロン(multilayer perceptron、MLP)で具現化される。本実施例に係る人工神経網モデル1000は、MLPを含む多様な人工神経網モデル構造の一つを用いて具現化できる。
図10に示すように、人工神経網モデル1000は、外部から入力信号又はデータ1010を受信する入力層1020と、入力データに対応する出力信号又はデータ1050を出力する出力層1040と、入力層1020及び出力層1040間に位置し、入力層1020から信号を受信して特性を抽出して、出力層1040に伝達するn個(ここで、nは正の整数)の隠れ層1030_1乃至1030_nとからなる。ここで、出力層1040は、隠れ層1030_1乃至1030_nから信号を受信して外部に出力する。
【0114】
人工神経網モデル110の学習方法には、教師信号(正解)の入力によって問題の解決に最適化するように学習する教師あり学習(Supervised Learning)方法と、教師信号を必要としない教師なし学習(Unsupervised Learning)方法とがある。一実施例において、情報処理システムは、X線イメージから基準領域を出力するように、人工神経網モデル1000の教師あり学習及び/又は教師なし学習を行うことができる。例えば、情報処理システムは、複数の参照X線イメージ及び参照基準領域に関するラベル情報を用いて、X線イメージから基準領域を出力するように、人工神経網モデル1000の教師あり学習を行うことができる。付加的又は代替的に、情報処理システムは、X線イメージの全体領域(例えば、肺領域)を複数の領域に分割することにより基準領域を決定して出力するように、人工神経網モデル1000の教師あり学習及び/又は教師なし学習を行うことができる。他の実施例において、情報処理システムは、第1の占有率及び第2の占有率間の差を変化有無判定モデルに入力することで、対象病変の大きさの変化有無に対する判定結果を出力するように、人工神経網モデル1000の教師あり学習及び/又は教師なし学習を行うことができる。例えば、情報処理システムは、参照占有率差(例えば、対象病変に対する参照占有率の変化量)に対する入力値に基づいて、参照対象病変の大きさの変化有無に対する判定結果を出力するように、人工神経網モデル1000の教師あり学習を行うことができる。
【0115】
このように学習された人工神経網モデル1000は、情報処理システムのメモリ(図示せず)に保存でき、通信モジュール及び/又はメモリから受信されたデータの入力に応じて、X線イメージから基準領域及び/又は対象病変領域を決定し、基準領域及び/又は対象病変領域を出力できる。付加的又は代替的に、人工神経網モデル1000は、複数のX線イメージにおける対象病変の占有率差(例えば、対象病変に対する占有率の変化量)に対する入力に応じて、対象病変の大きさの変化有無を判定し、対象病変の大きさの変化有無に対する判定結果を出力できる。
【0116】
一実施例によれば、基準領域を決定する機械学習モデル、すなわち、人工神経網モデル1000の入力変数は、一つ以上のX線イメージであり得る。例えば、人工神経網モデル1000の入力層1020に入力される入力変数は、一つ以上のX線イメージを一つのベクトルデータ要素として構成した、イメージベクトル1010になり得る。イメージの入力に応じて、人工神経網モデル1000の出力層1040から出力される出力変数は、X線イメージにおける基準領域及び/又は対象病変領域を示したり特徴化したりするベクトル1050になり得る。付加的に、人工神経網モデル1000の出力層1040は、X線イメージの全体領域を分割した複数の領域を示したり特徴化したりするベクトルを出力するように構成できる。このとき、基準領域は、複数の領域の少なくとも一つを含む領域であり得る。本開示において、人工神経網モデル1000の出力変数は、以上で説明された類型に限定されず、X線イメージにおける基準領域及び/又は対象病変領域を示す任意の情報/データを含むことができる。
【0117】
他の実施例において、対象病変の大きさの変化有無を判定する機械学習モデル、すなわち、人工神経網モデル1000の入力変数は、対象病変に対する第1の占有率及び第2の占有率間の差(例えば、第2の占有率から第1の占有率を除算した数値、対象病変に対する占有率の変化量)であり得る。例えば、人工神経網モデル1000の入力層1020に入力される入力変数は、第1の占有率及び第2の占有率間の差を一つのベクトルデータ要素として構成した、数値ベクトル1010になり得る。第1の占有率及び第2の有率間の差の入力に応じて、人工神経網モデル1000の出力層1040から出力される出力変数は、対象病変の大きさの変化有無に対する判定結果を示したり特徴化したりするベクトル1050になり得る。本開示において、人工神経網モデル1000の出力変数は、以上で説明された類型に限定されず、対象病変の大きさの変化有無に対する判定結果を示す任意の情報/データを含むことができる。さらに、人工神経網モデル1000の出力層1040は、出力された基準領域、対象病変領域及び対象病変の大きさの変化有無に対する判定結果に関する信頼度及び/又は正確度を示すベクトルを出力するように構成できる。
【0118】
このように、人工神経網モデル1000の入力層1020及び出力層1040に複数の入力変数と対応する複数の出力変数が各々マッチングされ、入力層1020、隠れ層1030_1乃至1030_n及び出力層1040に含まれたノード等間のシナプス値が調整されることで、特定の入力に対応した正しい出力を抽出できるように学習できる。このような学習過程により、人工神経網モデル1000の入力変数の隠れ特性を把握でき、入力変数に基づいて計算された出力変数及び目標出力間の誤差が低減するように、人工神経網モデル1000のノード等間のシナプス値(又は加重値)を調整できる。このように学習された人工神経網モデル1000を用いて、入力されたX線イメージに応じて、X線イメージから基準領域及び/又は対象病変領域に関する情報(例えば、位置、大きさ、ピクセル数など)を出力できる。付加的に、人工神経網モデル1000を用いて、入力された対象病変に対する占有率の変化量(例えば、対象病変に対する第1の占有率及び第2の占有率の差)に応じて、対象病変の大きさの変化有無に対する判定結果を出力できる。
【0119】
本開示の前述した説明は、当業者らが本開示を施行又は利用することを可能にするために提供できる。本開示の多様な修正例が当業者らに容易に自明であり、本願に定義された一般の原理らは、本開示の趣旨又は範囲から逸脱せず、多様な変形例に適用できる。したがって、本開示は、本願に説明された例等に制限されるように意図するものではなく、本願に開示された原理等及び新規な特徴等と一貫する最広義の範囲が付与されるように意図することができる。
【0120】
前述した実施例が一つ以上の独立型コンピュータシステムで現在開示された主題の態様を活用するものとして記述されたが、本開示はこれに限定されず、ネットワークや分散コンピューティング環境のような任意のコンピューティング環境と連係して具現されてもよい。ひいては、本開示で主題の様相は複数のプロセッシングチップや装置で具現されてもよく、ストレージは複数の装置にわたって類似するように影響を受けることになってもよい。このような装置はPC、ネットワークサーバー、および携帯用装置を含んでもよい。
【0121】
本明細書では本開示が一部の実施例と関連して説明されたが、本開示の発明が属する技術分野の通常の技術者が理解できる本開示の範囲を逸脱しない範囲で多様な変形および変更がなされ得る。また、そのような変形および変更は本明細書に添付された特許請求の範囲内に属するものと考えられるべきである。
【国際調査報告】