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特表2023-552164ホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置、及びこれを含むホウ素中性子捕捉治療装置
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  • 特表-ホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置、及びこれを含むホウ素中性子捕捉治療装置 図1
  • 特表-ホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置、及びこれを含むホウ素中性子捕捉治療装置 図2
  • 特表-ホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置、及びこれを含むホウ素中性子捕捉治療装置 図3
  • 特表-ホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置、及びこれを含むホウ素中性子捕捉治療装置 図4
  • 特表-ホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置、及びこれを含むホウ素中性子捕捉治療装置 図5
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  • 特表-ホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置、及びこれを含むホウ素中性子捕捉治療装置 図7
  • 特表-ホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置、及びこれを含むホウ素中性子捕捉治療装置 図8
  • 特表-ホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置、及びこれを含むホウ素中性子捕捉治療装置 図9
  • 特表-ホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置、及びこれを含むホウ素中性子捕捉治療装置 図10
  • 特表-ホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置、及びこれを含むホウ素中性子捕捉治療装置 図11
  • 特表-ホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置、及びこれを含むホウ素中性子捕捉治療装置 図12
  • 特表-ホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置、及びこれを含むホウ素中性子捕捉治療装置 図13
  • 特表-ホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置、及びこれを含むホウ素中性子捕捉治療装置 図14
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-14
(54)【発明の名称】ホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置、及びこれを含むホウ素中性子捕捉治療装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20231207BHJP
   G21K 5/02 20060101ALI20231207BHJP
   G21K 3/00 20060101ALI20231207BHJP
   G21K 5/08 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
A61N5/10 H
A61N5/10 K
A61N5/10 N
G21K5/02 N
G21K3/00 W
G21K5/08 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532602
(86)(22)【出願日】2021-11-26
(85)【翻訳文提出日】2023-05-29
(86)【国際出願番号】 KR2021017573
(87)【国際公開番号】W WO2022114829
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】10-2020-0164563
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518460417
【氏名又は名称】コリア・インスティテュート・オブ・ラディオロジカル・アンド・メディカル・サイエンシーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】イル・ソン・チョ
(72)【発明者】
【氏名】ボン・ファン・ホン
(72)【発明者】
【氏名】チャ・ウォン・パク
(72)【発明者】
【氏名】スン・ホン・ミン
(72)【発明者】
【氏名】ミン・ホ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ウォン・テク・ファン
(72)【発明者】
【氏名】キョン・ミン・キム
(72)【発明者】
【氏名】スン・ウ・パク
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082AC07
4C082AE01
4C082AG22
4C082AG42
4C082AL10
(57)【要約】
本発明は、中性子ビームの移動経路上に形成される空間を含む遮蔽ハウジングと、遮蔽ハウジングの前方に、加速器を通過した粒子ビームが照射されるように構成されるターゲットと、遮蔽ハウジングの後方に備えられ、中性子ビームの通過領域を調節することができるように構成されるコリメータと、空間に挿入されることができるように構成され、中性子ビームのエネルギーを減少させることができるように構成される複数のフィルタモジュールとを含み、複数のフィルタモジュールは、使用者の選択によって個数が選択され、ハウジング内に挿入されることができるように構成されるホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置、及びこれを含むホウ素中性子捕捉治療装置に関する。
本発明にかかるホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置、及びこれを含むホウ素中性子捕捉治療装置は、中性子の発生前、使用者が予めフィルタモジュールの個数を選択して配置し、熱外中性子の確保を極大化することができるので、ホウ素中性子捕捉治療の際に治療効果を向上させることができ、副作用を最小化することができるという効果がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中性子ビームの移動経路上に形成される空間を含む遮蔽ハウジングと、
前記遮蔽ハウジングの前方に、加速器を通過した粒子ビームが照射されるように構成されるターゲットと、
前記遮蔽ハウジングの後方に備えられ、前記中性子ビームの通過領域を調節することができるように構成されるコリメータと、
前記空間に挿入されることができるように構成され、前記中性子ビームのエネルギーを減少させることができるように構成される複数のフィルタモジュールとを含み、
前記複数のフィルタモジュールは、使用者の選択によって個数が選択され、前記遮蔽ハウジング内に挿入されることができるように構成される、ホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置。
【請求項2】
前記フィルタモジュールは、前記中性子ビームが通過する方向と直交する方向に配置され、
前記複数のフィルタモジュールは、
前記中性子ビームが通過する方向に沿って配置されるように構成され、
互いに平行に配置される、請求項1に記載のホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置。
【請求項3】
前記フィルタモジュールの各々は、減速材及び速中性子フィルタを含み、
前記減速材及び前記速中性子フィルタは、前記中性子ビームの進行経路に沿って交互に配置される、請求項2に記載のホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置。
【請求項4】
前記フィルタモジュールは板状で構成される、請求項3に記載のホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置。
【請求項5】
前記フィルタモジュールは、
前記減速材が板状で構成され、
前記速中性子フィルタは前記減速材を囲むように構成される、請求項4に記載のホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置。
【請求項6】
前記遮蔽ハウジングに挿入される前記フィルタモジュールの個数は、
前記コリメータを通過する中性子が0.5eV~30keVのエネルギーを有するように選択される、請求項5に記載のホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置。
【請求項7】
前記減速材はAlFを含んで構成される、請求項6に記載のホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置。
【請求項8】
前記速中性子フィルタはアルミニウム(Al)を含む、請求項7に記載のホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置。
【請求項9】
前記遮蔽ハウジングの一側に備えられ、
前記フィルタモジュールを前記空間に挿入できるように開閉可能に構成されるドアをさらに含む、請求項3に記載のホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置。
【請求項10】
前記ドア及び前記遮蔽ハウジングは、
外部への中性子及びガンマ線を遮蔽することができるように互いに密着する部分に段差が形成される、請求項9に記載のホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置。
【請求項11】
前記遮蔽ハウジングは前記空間側に前記中性子ビームが通過する方向と直交する方向に備えられるガイドを含み、
前記フィルタモジュールは、前記ガイドに沿って前記空間内に挿入されるように構成される、請求項3に記載のホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置。
【請求項12】
前記フィルタモジュールと前記ガイドとが接触する部分には段差が形成される、請求項11に記載のホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置。
【請求項13】
前記ターゲットは外部に固定設置され、
前記遮蔽ハウジングは前記ターゲットと相対的に移動できるように構成される、請求項3に記載のホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置。
【請求項14】
前記遮蔽ハウジングは、前後方向に直線移動できるように構成される、請求項13に記載のホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置。
【請求項15】
前記ターゲットの少なくとも一部は、前記遮蔽ハウジングの内側に進入できるように構成され、
前記空間に挿入された前記フィルタモジュールの個数によって前記遮蔽ハウジングの水平移動距離が調節され、前記ターゲットが前記遮蔽ハウジングの内部に進入する距離が決定される、請求項14に記載のホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置。
【請求項16】
前記遮蔽ハウジングの位置は、
前記ターゲットの端部が、前記空間に挿入された前記複数のフィルタモジュールのうち、最前方のフィルタモジュールと接触できるように移動されて決定される、請求項15に記載のホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置。
【請求項17】
前記遮蔽ハウジングは、患者を支持することができるように構成される外部の治療テーブルと共に移動することができるように構成される、請求項16に記載のホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置。
【請求項18】
粒子ビームを加速化できるように構成される加速器と、
前記加速器で加速された粒子ビームが照射され中性子を発生させることができるように構成されるターゲットと、
前記中性子の特性を変化させることができるように構成されるビーム成形装置と、
前記ビーム成形装置を通過した前記中性子が照射される位置に患者が位置するように前記患者を支持する治療テーブルとを含み、
前記ビーム成形装置は、
中性子ビームの移動経路上に形成される空間を含む遮蔽ハウジングと、
前記遮蔽ハウジングの後方に備えられ、前記中性子ビームの通過領域を調節することができるように構成されるコリメータと、
前記空間に挿入されることができるように構成され、前記中性子ビームのエネルギーを減少させることができるように構成される複数のフィルタモジュールとを含み、
前記複数のフィルタモジュールは、使用者の選択によって個数が選択され、前記遮蔽ハウジング内に挿入されることができるように構成される、ホウ素中性子捕捉治療装置。
【請求項19】
前記フィルタモジュールは、前記中性子ビームが通過する方向と直交する方向に配置され、
前記複数のフィルタモジュールは、
前記中性子ビームが通過する方向に沿って配置されるように構成され、
互いに平行に配置される、請求項18に記載のホウ素中性子捕捉治療装置。
【請求項20】
前記フィルタモジュールの各々は、減速材及び速中性子フィルタを含み、
前記減速材及び前記速中性子フィルタは前記中性子ビームの進行経路に沿って交互に配置される、請求項18に記載のホウ素中性子捕捉治療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置、及びこれを含むホウ素中性子捕捉治療装置に関し、より詳細には、中性子のエネルギーを選択的に調節可能に構成されたホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置、及びこれを含むホウ素中性子捕捉治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ホウ素中性子捕捉治療は、予めホウ素を含む物質を注入し、がん細胞にホウ素を蓄積させた後、中性子を照射してがん細胞内で核分裂を起こし、核分裂による粒子が放出されながらがん細胞を死滅させる治療方法である。ホウ素中性子捕捉治療は、代表的に脳腫瘍、頭頸部がん、皮膚がんなどに効果的であることが知られており、従来の放射線治療方法に比べて正常細胞の放射線被曝による副作用を最小化できるという点で次世代のがん治療方法として脚光を浴びている。
【0003】
ホウ素中性子捕捉治療装置によって発生する中性子は、エネルギーに応じて10keV以上のエネルギーを有する速中性子(fast neutron)、0.5eV~10keVの熱外中性子(epithermal neutron)、及び0.5eV以下のエネルギーを有する熱中性子(thermal neutron)に区分される。この中の速中性子は、透過力が高く腫瘍周辺の組織に放射性副作用を起こし、また、エネルギーの低い熱中性子は皮膚に放射性副作用を引き起こし、治療用の目的には適さないことが知られている。
【0004】
このようなホウ素中性子捕捉治療装置に関して、米国登録特許US10124192号が開示されている。しかし、このような従来技術は、臨床的に治療効果に優れた0.5eV~30keVのエネルギーを有する熱外中性子の確保に効率的でないという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来のホウ素中性子捕捉治療の問題点である熱外中性子の確保を極大化することができるビーム成形装置、及びこれを含むホウ素中性子捕捉治療装置を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題の解決手段として、中性子ビームの移動経路上に形成される空間を含む遮蔽ハウジングと、遮蔽ハウジングの前方に、加速器を通過した粒子ビームが照射されるように構成されるターゲットと、遮蔽ハウジングの後方に備えられ、中性子ビームの通過領域を調節することができるように構成されるコリメータと、空間に挿入されることができるように構成され、中性子ビームのエネルギーを減少させることができるように構成される複数のフィルタモジュールとを含み、複数のフィルタモジュールは、使用者の選択によって個数が選択され、ハウジング内に挿入されることができるように構成されるホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置が提供できる。
【0007】
一方、フィルタモジュールは、中性子ビームが通過する方向と直交する方向に配置され、複数のフィルタモジュールは、中性子ビームが通過する方向に沿って配置されるように構成され、互いに平行に配置されてもよい。
【0008】
また、フィルタモジュールの各々は、減速材及び速中性子フィルタを含み、減速材及び速中性子フィルタは、中性子ビームの進行経路に沿って交互に配置されるように構成されてもよい。
【0009】
さらに、フィルタモジュールは板状で構成されてもよい。
【0010】
一方、減速材は板状で構成され、速中性子フィルタは減速材を囲むように構成されてもよい。
【0011】
遮蔽ハウジングに挿入されるフィルタモジュールの個数は、コリメータを通過する中性子が0.5eV~30keVのエネルギーを有するように選択されてもよい。
【0012】
一方、減速材はAlFを含んで構成されてもよい。
【0013】
一方、速中性子フィルタはアルミニウム(Al)を含んでもよい。
【0014】
一方、遮蔽ハウジングの一側に備えられ、フィルタモジュールを空間に挿入できるように開閉可能に構成されるドアをさらに含んでもよい。
【0015】
一方、ドア及び遮蔽ハウジングは、内部で発生した中性子を遮蔽できるように互いに密着する部分に段差が形成され得る。
【0016】
一方、ハウジングは空間側に中性子ビームが通過する方向と直交する方向に備えられるガイドを含み、フィルタモジュールは、ガイドに沿って空間内に挿入されるように構成されてもよい。
【0017】
また、フィルタモジュールとガイドとが接触する部分には段差が形成され得る。
【0018】
一方、ターゲットは外部に固定設置され、遮蔽ハウジングはターゲットと相対的に移動できるように構成されてもよい。
【0019】
さらに、遮蔽ハウジングは、前後方向に直線移動できるように構成されてもよい。
【0020】
また、ターゲットの少なくとも一部は、遮蔽ハウジングの内側に進入できるように構成され、空間に挿入されたフィルタモジュールの個数によって遮蔽ハウジングの水平移動距離が調節され、ターゲットが遮蔽ハウジングの内部に進入する距離が決定され得る。
【0021】
一方、遮蔽ハウジングの位置は、ターゲットの端部は空間に挿入された複数のフィルタモジュールのうち、最前方のフィルタモジュールと接触できるように移動されて決定され得る。
【0022】
また、遮蔽ハウジングは、患者を支持することができるように構成される外部の治療テーブルと共に移動されることができるように構成されてもよい。
【0023】
さらに、粒子ビームを加速化できるように構成される加速器と、加速器で加速された粒子ビームが照射され中性子を発生させることができるように構成されるターゲットと、中性子の特性を変化させることができるように構成されるビーム成形装置と、ビーム成形装置を通過した中性子が照射される位置に患者が位置するように患者を支持する治療テーブルとを含み、ビーム成形装置は、中性子ビームの移動経路上に形成される空間を含む遮蔽ハウジングと、遮蔽ハウジングの後方に備えられ、中性子ビームの通過領域を調節することができるように構成されるコリメータと、空間に挿入されることができるように構成され、中性子ビームのエネルギーを減少させることができるように構成される複数のフィルタモジュールとを含み、複数のフィルタモジュールは、使用者の選択によって個数が選択され、ハウジング内に挿入されることができるように構成されるホウ素中性子捕捉治療装置が提供できる。
【0024】
一方、フィルタモジュールは、中性子ビームが通過する方向と直交する方向に配置され、複数のフィルタモジュールは、中性子ビームが通過する方向に沿って配置されるように構成され、互いに平行に配置されてもよい。
【0025】
一方、フィルタモジュールの各々は、減速材及び速中性子フィルタを含み、減速材及び速中性子フィルタは中性子ビームの進行経路に沿って交互に配置されてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明にかかるホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置、及びこれを含むホウ素中性子捕捉治療装置は、中性子の発生前、使用者が予めフィルタモジュールの個数を選択して配置し、熱外中性子の確保を極大化することができるので、ホウ素中性子捕捉治療の際に治療効果を向上させることができ、副作用を最小化することができるという効果がる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】従来のホウ素中性子捕捉治療装置の概念図である。
図2】ホウ素中性子捕捉治療の概念を示す図である。
図3】従来のホウ素中性子捕捉治療装置のビーム成形装置に対する概念図である。
図4】本発明にかかる一実施形態であるホウ素中性子捕捉治療装置の斜視図である。
図5】ビーム成形装置の斜視図である。
図6】ビーム成形装置においてドアを除去した状態を示す図である。
図7】フィルタモジュールの斜視図である。
図8】フィルタモジュールの断面図である。
図9】フィルタモジュールの変形例である。
図10】ビーム成形装置の使用状態図である。
図11】ビーム成形装置の他の使用状態図である。
図12】本発明にかかる中性子捕捉治療装置の使用状態図である。
図13】本発明にかかってフィルタモジュールを構成したとき、従来の構成との中性子の割合を対比したグラフである。
図14】フィルタモジュールを37個で構成した場合と単一ビーム成形装置で構成した場合の各々において熱外中性子の割合を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態にかかるホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置、及びこれを含むホウ素中性子捕捉治療装置について、添付図を参照して詳細に説明する。また、以下の実施形態の説明における各々の構成要素の名称は、当業界において他の名称で呼ばれることがある。しかし、これらの機能的類似性及び同一性があれば、変形された実施形態を採用しても、均等な構成と見ることができる。また、各々の構成要素に付加された符号は説明の便宜のために記載される。しかし、これらの符号が記載された図面上の図示内容は、各々の構成要素を図面内の範囲に限定しない。同様に、図面上の構成を一部変形した実施形態が採用されても、機能的類似性及び同一性があれば、均等な構成と見ることができる。また、当該技術分野の一般的な技術者の水準に鑑みて、当然含まれるべき構成要素と認められる場合、これについては説明を省略する。
【0029】
以下で、方向に関する説明として「前方」及び「後方」の用語を使用するようにする。前方は、ビーム成形装置が加速器を眺める方向を意味し、後方は、ビーム成形装置が、中性子が最終的に到達する患者を眺める方向と定義して説明するようにする。前記記述した方向によると、中性子は前方側からビーム成形装置に照射され、ビーム成形装置を通過して後方に抜けることになる。
【0030】
以下では、図1乃至図3を参照して、従来技術であるホウ素中性子捕捉治療装置、及び治療原理について説明するようにする。
【0031】
図1は、従来のホウ素中性子捕捉治療装置の概念図である。
【0032】
示すように、従来のホウ素中性子捕捉治療で中性子を発生させる中性子発生装置は、サイクロトロン、線型加速器及び静電型加速器のような粒子加速器1と、粒子加速器1から高速に放出される陽子ビームを加速する静電型加速器2と、陽子ビームのビーム経路上に設けられ、ビームに衝突して、その内部の中性子を出すターゲット200とを含んで構成される。
【0033】
ターゲット200で発生した中性子は、10keV以上のエネルギーを有する速中性子(fast neutron)、0.5eV~10keVの熱外中性子(epithermal neutron)、及び0.5eV以下のエネルギーを有する熱中性子(thermal neutron)に区分でき、速中性子を治療に適した熱外中性子に切り替えることができるようにビーム成形装置3が設けられる。
【0034】
ビーム成形装置3を通過した中性子ビームは、コリメータ400により所望の領域を通過するように構成され、最終的に患者Pの患部に照射されて核反応が行われる。
【0035】
図2は、ホウ素中性子捕捉治療の概念を示す図である。
【0036】
図2を参照すると、患者Pの患部に照射された中性子ががん細胞に蓄積しているホウ素と核反応が行われながらがん細胞を破壊し、正常細胞ではホウ素が蓄積していないため、中性子による有意の核反応が示されなくなる。
【0037】
図3は、従来のホウ素中性子捕捉治療装置のビーム成形装置3に対する概念図である。
【0038】
図3を参照すると、従来のビーム成形装置3にはターゲット200から発生した中性子とガンマ線γが発生するとき、前方側に配置されたターゲット200、一例として、ビーム成形装置3内で前方側にかたよって備えられるターゲット200から中性子が発生する。このとき、後方側に多様な角度で中性子が移動することになる。その後、ビーム成形装置3内で先に速中性子フィルタ510を通過した後、減速材520を通過し、最終的にコリメータ400を通過することになる。このように、従来のビーム成形装置3は、一つの塊からなっている速中性子フィルタ510ともう一つの塊から構成されている減速材520とを含んで構成される。
【0039】
以下では、図4乃至図14を参照して、本発明にかかるホウ素中性子捕捉治療装置について詳細に説明するようにする。
【0040】
図4は、本発明にかかる一実施形態であるホウ素中性子捕捉治療装置の斜視図である。
【0041】
図4を参照すると、本発明にかかるホウ素中性子捕捉治療装置は、加速器、ターゲット200、ビーム成形装置300、及び治療テーブル4を含んで構成されてもよい。
【0042】
加速器は粒子ビームを加速することができるように構成され、一例として、線型粒子加速器(linear accelerator)が使用されてもよい。静電型加速器2には、粒子ビームの加速時に他の原子により受ける影響を最小化できるように内部には真空が形成されている。但し、これは、広く使用される構成であるので、これ以上の詳細な説明は省略するようにする。
【0043】
ターゲット200は粒子ビームが照射され、照射された後に中性子を含む放射線が放出され得る。中性子を発生するためのターゲット200の一例として、ベリリウムを含むターゲット200が備えられ得る。ターゲット200は、一側には前述した粒子加速器1と連結して真空雰囲気が形成され、他側は空気中に露出し得る。他側は後述するフィルタモジュール500側に密着して発生した中性子の損失を最小化することができるように構成される。
【0044】
ビーム成形装置3は、ターゲット200で発生した中性子のエネルギーを調節することができるように構成される。ビーム成形装置3は、ターゲット200の後方に備えられ、ターゲット200から発生した中性子のエネルギーを減少させることができるように構成され、また、患者Pの患部以外に中性子が照射されることを防止することができるように中性子の移動経路の周辺を囲む遮蔽ハウジング100が備えられ得る。ビーム成形装置3の内部には複数のフィルタモジュール500が備えられ、後方側にはコリメータ400が備えられ得る。
【0045】
複数のフィルタモジュール500は中性子のエネルギーを減少させることになる。一方、ビーム成形装置3は、水平上の位置が調節できるように構成され得る。ビーム成形装置3は、後述するフィルタモジュール500の個数によって、水平上の位置が調節され得る。このため、ビーム成形装置3は下側のフレームと摺動自在に連結し得る。これについては、追って詳細に説明するようにする。
【0046】
コリメータ400はビーム成形装置3で中性子が移動する経路上で中性子ビームが照射される領域を決定することができるように構成される。コリメータ400は予め決定されたがん組織と正常組織が位置する領域によって開放された領域の形状及び大きさを調節し、正常組織に放射線の漏れを最小化させる。一方、このようなコリメータ400は多葉(muli-leaf)状で構成されるコリメータ400のように従来の多様な構成で適用されることができるので、これ以上の詳細な説明は省略するようにする。
【0047】
治療テーブル4は患者Pを支持することができるように構成され、治療を受ける間に患者Pの位置を安定して固定できるように構成され得る。治療テーブル4は、中性子ビームが照射される方向が固定されており、これから相対的に患者Pの位置を移動して中性子ビームが患者Pの病変部位に照射されることができるように位置が調節され得る。また、治療テーブル4は最適の治療効果を発揮することができるようにビーム成形装置3との距離が調節され得る。一方、前述したビーム成形装置3がターゲット200との相対的な位置が調節されることによって、治療テーブルもまたターゲット200との相対的な位置が調節され得る。これについては、追って詳細に説明するようにする。
【0048】
以下では、本発明にかかる別の実施形態であるビーム成形装置3の構成及び機能について詳細に説明するようにする。
【0049】
図5は、ビーム成形装置3の斜視図であり、図6は、ビーム成形装置においてドアを除去した状態を示す図である。
【0050】
図5を参照すると、ビーム成形装置3は前方側でターゲット200が内部に挿入されることができるように構成され、中性子が通過する経路上に複数のフィルタモジュール500が備えられ、中性子ビームのエネルギーを調節できるように構成される。また、複数のフィルタモジュール500を通過した中性子ビームの照射領域を調節することができるようにコリメータ400が備えられ得る。
【0051】
ビーム成形装置3は、遮蔽ハウジング100、ドア120、及び複数のフィルタモジュール500を含み得る。
【0052】
遮蔽ハウジング100は中性子ビームの経路の周辺を囲む形態で構成され得、内部で発生する中性子及び中性子がフィルタと反応しながら発生するガンマ線などの放射線が外部に流出するのを防止することができるように構成される。遮蔽ハウジング100は放射線を遮蔽することができるように、遮蔽率の高い材質で構成され得る。遮蔽ハウジングは、鉄(Fe)及び鉛(Pb)の少なくとも一つの物質を含んで構成され得る。
【0053】
遮蔽ハウジング100は内側に複数のフィルタモジュール500が配置(または挿入)できるように構成される空間110が備えられ得る。空間110は中性子ビームの進行方向に沿って、すなわち、前後方向に沿って形成され得、後述するフィルタモジュール500の形状に対応して構成され得る。一例として、空間110は前後方向に延びた六面体状で構成され得る。空間110の前方側は、ターゲット200が遮蔽ハウジング100に進入できるように構成された開口と連通し、後方側はコリメータ400の開口と連通し得る。遮蔽ハウジング100の空間110側に露出した内面には反射体が備えられ得る。反射体は、中性子反射による最大の熱外中性子量を確保するように構成され得る。反射体は、一例として、鉛を含んで構成され得、このとき、11.4g/cmの密度を有するように構成され得る。
【0054】
ドア120は遮蔽ハウジング100の一側面として、開放時と閉鎖時の位置に切り替えられるように構成され得る。ドア120は、開放された状態でフィルタモジュール500を空間110内に積載したり、空間110から除去するための進入路になり得る。ドア120は、一例として、遮蔽ハウジング100の側面になり得、ドア120は前後方向に摺動しながら、開放位置と閉鎖位置との間を往復できるように構成され得る。ドア120は空間110を眺める方向に沿って一つ以上の段差が形成され得る。また、遮蔽ハウジング100でドア120の閉鎖位置の際にドア120と密着する部分にはドア120の段差に対応して一つ以上の段差が形成され得る。従って、多様な角度で放射される放射線またはドア120と遮蔽ハウジング100の密着面に漏れることを防止することができる。
【0055】
再度図6を参照すると、遮蔽ハウジング100内には複数のフィルタモジュール500が前後方向と直交する方向に設置または除去できるようにガイド130が備えられ得る。ガイド130の溝は、空間110内で互いに対面する二つの面に形成され、安定してフィルタモジュール500をガイド130して固定できる。ガイド130は各々のフィルタモジュール500の設置位置が固定できるように複数で構成され、前後方向に所定の距離に離隔されて備えられ得る。一方、ガイド130間の離隔距離は、フィルタモジュール500の厚さに対応して形成され得る。従って、ガイド130に沿ってフィルタモジュール500を積載すると、隣接するフィルタモジュール500は互いに密着して配置され得る。
【0056】
ガイド130は、遮蔽ハウジング100内に空間110側に形成された内面に直線状に形成された溝で構成され得る。ガイド130は一つ以上の段差をおいて形成された溝で構成され得、一例として、2段の溝で構成され得る。
【0057】
一方、フィルタモジュール500にはガイド130の溝の形状に対応し、両側に各々一つ以上の段差が備えられ得る。フィルタモジュール500の段差は、ガイド130の段差に対応して形成されるので、フィルタモジュール500を遮蔽ハウジング100内に配置したときに段差が形成され、中性子及び放射線漏れを最小化できるようになる。
【0058】
一方、中性子の移動経路上に熱中性子フィルタ310とガンマフィルタ320がさらに備えられ得る。熱中性子フィルタ310は、エネルギー1eV~6eVの熱中性子が通過することを防止することができる。一例として、熱中性子フィルタ310はカドミウムを含んで構成され得、8.65g/cmの密度を有するように構成され得る。一方、ガンマフィルタ320は中性子のフィルタリングまたは減速時に発生するガンマ線がコリメータ400側に漏れることを防止することができるように構成され得る。ガンマフィルタ320は、一例として、ビスムスを含んで構成され得、9.75g/cmの密度を有するように構成され得る。
【0059】
以下では、図7乃至図9を参照して、フィルタモジュール500の構成について詳細に説明するようにする。
【0060】
図7は、フィルタモジュール500の斜視図であり、図8は、フィルタモジュール500の断面図である。
【0061】
示すように、フィルタモジュール500は速中性子フィルタ510と減速材520を含んで構成され得る。前述のように、高エネルギーの中性子は、治療時に副作用を引き起こすことがあるので、熱外中性子領域に特性を変化させることが必要である。従って、フィルタモジュール500は複数個が備えられ、中性子ビームが速中性子フィルタ510、減速材520と交差して通過しながら、特性が変化できるように構成される。
【0062】
速中性子フィルタ510と減速材520は板状で構成され、厚さ方向に互いに密着し、又は付着して形成される。図7には中性子が先に速中性子フィルタ510を通過した後に減速材520を通過するように方向が設定されている。また、一例として、前述した段差は減速材520に形成され得る。
【0063】
速中性子フィルタ510は、中性子が速中性子フィルタ510を通過しながら、高エネルギーを有する中性子の一部が低エネルギーを有する中性子に切り替えられる。その後、中性子は減速材520を通過しながら、熱外中性子領域のエネルギーを有するように減速する。速中性子フィルタ510は、一例として、鉄またはアルミニウムを含んで構成され得、9.75g/cmの密度を有するように構成され得る。
【0064】
速中性子フィルタ510は、減速材520より薄い厚さに形成され得る。一例として、フィルタモジュール500が20mmで構成される場合、速中性子フィルタ510は半分以下である7mmになり得、減速材520は13mmになり得る。従って、本発明の速中性子フィルタ510と減速材520の厚さを各々合わせて比較する場合、従来のホウ素中性子捕捉治療装置で使用されるビーム成形装置3で速中性子フィルタ510と減速材520の厚さの割合と同様に構成され得る。
【0065】
減速材520は通過する中性子の熱外中性子領域に減速させることができるように構成される。減速材520はフッ素(Fluorine)を含んで構成され得、MgF2、CaF2、PbF2、AlF、PTFE[(CF2)n]及びFludental(AlF:69%、Al:30%、LiF:1%)などの材質を含んで構成され得る。減速材520は、一例として、AlF3を含んで構成され得、2.88g/cmの密度を有するように構成され得る。
【0066】
再度図8を参照すると、フィルタモジュール500は上側と下側に互いに平行な方向に一つ以上の段差を含む突出部530が備えられ得る。一例として、突出部530の段差は2段階で構成され得、前述した遮蔽ハウジング100のガイド130に対応する幅及び高さで構成され得る。一方、突出部530の中心はフィルタモジュール500の厚さ方向で中心部分に配置されるように構成され得る。突出部530が厚さ方向でフィルタモジュール500の中心部分に配置される場合、安定してフィルタモジュール500を支持してガイド130できることになる。一方、本実施形態においては、厚さが速中性子フィルタ510より厚い減速材520に突出部530が備えられ得る。
【0067】
図9は、フィルタモジュール500の変形例である。図9を参照すると、中性子ビームの移動経路上に速中性子フィルタ510と減速材520とが交互に配置されるように構成され、変形例として、フィルタモジュール500の中心部分に速中性子フィルタ510が備えられ、速中性子フィルタ510が減速材520を囲む形態で構成され得る。これは、相対的に硬度の低い減速材520を相対的に硬度の高い速中性子フィルタ510で囲んで耐久性を高めるためである。但し、一例であるだけで、一つのフィルタモジュール500で速中性子フィルタ510と減速材520とが複数回交互に配置される構成に変形され得る。
【0068】
以下では、図10及び図12を参照して設けられたフィルタモジュール500の個数別に調節される遮蔽ハウジング100及び治療テーブル4の位置調節について説明するようにする。
【0069】
図10は、ビーム成形装置3の使用状態図であり、図11は、ビーム成形装置3の他の使用状態図である。
【0070】
図10を参照すると、フィルタモジュール500が遮蔽ハウジング100に全て積載されている状態では、ターゲット200が最前方のフィルタモジュール500に密着して配置され得る。このとき、フィルタモジュール500の個数は、ビーム成形装置3を通過した中性子、すなわち、コリメータ400を通過する中性子のエネルギーが0.5eV~30keVに該当し得るように選択され得る。
【0071】
一方、図11を参照すると、フィルタモジュール500の個数が調節された場合、すなわち、図10に示す状態より設けられる個数が減った場合、中性子ビームが遮蔽ハウジング100内で空気中に露出することを最小化することができるようにターゲット200の端部と最前方に配置されたフィルタモジュール500が互いに密着し得る。このとき、ターゲット200は加速器と固定されて設けられるので、遮蔽ハウジング100を移動させてターゲット200と最前方のフィルタモジュール500との間の距離を調節することになる。図11では、遮蔽ハウジング100を前方側に移動させてターゲット200と最前方のフィルタモジュール500を密着させることになる。
【0072】
図12は、本発明にかかる中性子捕捉治療装置の使用状態図である。
【0073】
図12を参照すると、中性子ビームのエネルギーを増加させなければならない場合、フィルタモジュール500を一部除去して使用する状態が示されている。この場合、前述のように、減ったフィルタモジュール500の個数に対応した距離だけ遮蔽ハウジング100と治療テーブル4を共に前方に移動させる。従って、設けられるフィルタモジュール500の個数と関係なく、中性子ビームが空気中に通過する距離を一定に維持できることになる。
【0074】
以下では、図13及び図14を参照して、本発明にかかる熱外中性子の割合の増加に対する機能について説明するようにする。
【0075】
図13は、本発明にかかってフィルタモジュール500を構成したとき、従来の構成との中性子の割合を対比したグラフである。
【0076】
図13を参照すると、本発明にかかってフィルタモジュール500を1個~40個で構成したときのシミュレーションを行い、速中性子(fast neutron)、熱外中性子(Epithermal neutron)、及び熱中性子(Thermal neutron)の正規化された(normalized)数値を示した。本図面においては、ビーム成形装置3で中性子が通過する距離は同一であり、フィルタモジュール500の個数は速中性子フィルタ510と減速材520とが交互に配置された回数を意味する。一方、正規化された数値は、従来技術と対比するために速中性子フィルタ510と減速材520が一つずつ構成されるときに発生する値を基準とした割合を意味する。
【0077】
再度図13を参照すると、フィルタモジュール500の個数が1個から10個に分割されるまで速中性子と熱中性子の正規化された値は有意に減少し、また、熱外中性子の正規化された値が有意に増加することを確認することができる。このような傾向は、フィルタモジュール500の個数を39個まで増加させるまで同様に行われる。
【0078】
図14は、フィルタモジュール500を37個で構成した場合と単一ビーム成形装置3で構成した場合の各々において熱外中性子の割合を示したグラフである。
【0079】
図14を参照すると、エネルギーによる中性子の割合が示されており、表された熱外中性子領域を見ると、従来の単純なブロック型に比べて、モジュール型で構成したときに差異を確認することができる。前述のように、ビーム成形装置3は熱外中性子を増加させることが好ましく、本発明にかかって37個のフィルタモジュール500が備えられたとき、従来の単一ブロック型ビーム成形装置3より約25%の熱外中性子の割合が高くなることが確認できる。
【0080】
図13及び図14のシミュレーション結果を分析すると、本発明にかかる複数のフィルタモジュール500が備えられた場合、中性子が速中性子フィルタ510と減速材520とが交互に複数回通過することになる。従って、中性子の特性変換は、速中性子エネルギーの減少後、熱外中性子領域の増加が行われ、このように、速中性子エネルギーの減少及び熱外中性子領域の増加が繰り返される。
【0081】
しかし、従来のビーム成形装置3は速中性子フィルタ510を通過した後に減少材を一度ずつ通過することになるので、本発明のビーム成形装置3と異なり、熱外中性子領域が大きく増加できなくなる。
【0082】
以上で説明したように、本発明にかかるホウ素中性子捕捉治療装置用ビーム成形装置、及びこれを含むホウ素中性子捕捉治療装置は、中性子の発生前、使用者が予めフィルタモジュールの個数を選択して配置し、熱外中性子の確保を極大化することができるので、ホウ素中性子捕捉治療の際に治療効果を向上させることができ、副作用を最小化することができるという効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、ホウ素中性子捕捉治療装置に使用されることができ、産業上の利用可能性がある。
【符号の説明】
【0084】
1 粒子加速器
2 静電型加速器
3 ビーム成形装置
4 治療テーブル
100 遮蔽ハウジング
110 空間
120 ドア
130 ガイド
200 ターゲット
300 ビーム成形装置
310 熱中性子フィルタ
320 ガンマフィルタ
400 コリメータ
500 フィルタモジュール
510 速中性子フィルタ
520 減速材
530 突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】