(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-14
(54)【発明の名称】焼けた外観を有する成形飯及びこの製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 7/10 20160101AFI20231207BHJP
【FI】
A23L7/10 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532604
(86)(22)【出願日】2020-11-30
(85)【翻訳文提出日】2023-05-29
(86)【国際出願番号】 KR2020017308
(87)【国際公開番号】W WO2022114332
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】10-2020-0164350
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)ウェブサイトに公開された焼けた外観を有する成形飯である「bibigo焼きおにぎり」に関するインターネットニュース記事
(71)【出願人】
【識別番号】508139664
【氏名又は名称】シージェイ チェイルジェダン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】CJ CHEILJEDANG CORPORATION
【住所又は居所原語表記】CJ Cheiljedang Center,330,Dongho-ro,Jung-gu,Seoul,Republic Of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ウン・ヨン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ウ・リ
(72)【発明者】
【氏名】ミン・キョン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ダ・ウン・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ヒ・ジュン・カン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・イル・リ
【テーマコード(参考)】
4B023
【Fターム(参考)】
4B023LC03
4B023LE14
4B023LK05
4B023LK08
4B023LK13
4B023LK15
4B023LK20
4B023LP07
4B023LP14
4B023LP20
(57)【要約】
本出願は、焼けた外観を有する成形飯及びこの製造方法に関する。本出願の成形飯は、オーブニング工程を経ることにより、焼いたような外観を有して独特の香味を保有する。また、本出願の成形飯は、外はお焦げのように硬くサクッとした食感を有し、中はしっとりする食感を維持する。また、本出願の成形飯は、原物を含む焼き飯のアウターで構成され、原物食感を具現することができ、成形及び料理後にも成形飯の形態を維持して成形安定性が非常に優れる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インナー(inner)及びアウター(outer)を含む成形飯であって、
前記アウターは、飯、結着剤及び原物を含み、
前記原物は、大きさ5mm以上であり、成形飯の全体重量に対して5-40重量%の含量で含まれており、
前記成形飯の外表面の硬度(hardness)が200g以上であり、
前記アウター外部とアウター内部との水分含量の差は3%以上である、成形飯。
【請求項2】
前記アウターに含まれる結着剤は、デンプン、変性デンプン及びモチ穀食からなる群から選択される1つ以上のものである、請求項1に記載の成形飯。
【請求項3】
前記アウターにおいて、原物:飯の重量の比率は、10:90から40:60であるものである、請求項1に記載の成形飯。
【請求項4】
前記アウター:インナーの重量の比率は、90:10から99:1であるものである、請求項1に記載の成形飯。
【請求項5】
前記アウターに含まれる飯は、焼き飯であるものである、請求項1に記載の成形飯。
【請求項6】
前記インナーは、米又は飯を含まない原物又は食品材料であるものである、請求項1に記載の成形飯。
【請求項7】
インナーとアウターを含む成形飯の製造方法であって、
(a)原物及び結着剤を含む炒めものを製造する段階;
(b)前記炒めものに飯を混合してアウターを製造する段階;
(c)前記製造されたアウター内側にインナーを投入して成形する段階;
(d)前記成形飯を熱風乾燥させる段階;及び
(e)前記熱風乾燥した成形飯を熱処理する段階を含む成形飯の製造方法。
【請求項8】
前記段階(d)の熱風乾燥は、160-240℃の温度で1-600秒間行うものである、請求項7に記載の成形飯の製造方法。
【請求項9】
前記段階(e)の熱処理は、放射熱により1-600秒間行うものである、請求項7に記載の成形飯の製造方法。
【請求項10】
前記段階(e)において、成形飯を熱処理する前に成形飯の表面にソースをコーティングする段階をさらに含む、請求項7に記載の成形飯の製造方法。
【請求項11】
前記段階(e)において、成形飯の熱処理段階は、1次熱処理段階、成形飯の反転段階、及び2次熱処理段階を含むものである、請求項7に記載の成形飯の製造方法。
【請求項12】
前記段階(a)において、原物は大きさが5mm以上のものである、請求項7に記載の成形飯の製造方法。
【請求項13】
前記成形飯の外表面の硬度(hardness)が200g以上である、請求項7に記載の成形飯の製造方法。
【請求項14】
前記成形飯のアウター外部とアウター内部との水分含量の差は、3%以上である、請求項7に記載の成形飯の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、焼けた外観を有する成形飯及びこの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
おにぎり又は成形飯は、蔬菜、きざみ海苔などの材料を入れたり多様な味付けをした飯を手で握るか一定の型枠を用いて固めておいて作った飯料理である。おにぎりは、作りやすくて携帯性が良いので、おやつや食事の代用としても多く用いられている。よく見られるおにぎりとしては、一般的な球型おにぎりがあり、三角海苔巻きと呼ばれる三角形おにぎりが多く消費されており、最近では、外を海苔で包んで副材料が飯の中に入っている俵型おにぎりも人気を集めている。また、タマネギ、ニンジン、ハムなどを材料にした焼き飯を作って大きく固めた後、小麦粉、溶き卵とパン粉をつけて揚げて製造するてんぷらおにぎりも開発されている。
【0003】
具材や副材料を多くの量で添加しておにぎりを製造したり、飯の代わりに焼き飯を材料として用いておにぎりを製造すると、味や食感、又は栄養学的側面で非常に有利である。しかし、副材料を多く用いたり焼き飯を用いる場合、おにぎりの形態が維持される程度に硬めに製造しにくいという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2012-0034154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者達は、大きな原物が含まれた焼き飯を主材料に製造される成形飯において、焼き飯の原物感を生かすと同時に成形安定性を高く維持することができ、表面が焼けた外観とサクッとした食感を有し、内部はしっとりする食感を維持することができる成形飯を製造するために研究努力した。その結果、原物を含む焼き飯のアウター(outer)と具材であるインナー(inner)で成形飯を製造し、成形飯に結着剤の成分を含ませることにより、前記目的とする特性を有する成形飯を成功的に製造することができることを確認し、本出願を完成した。
【0006】
したがって、本出願の目的は、大きな原物が多量含まれた焼き飯で製造され、高い成形安定性を有し、外表面はサクッとした食感を有し、内部はしっとりする食感を有する成形飯を提供することにある。
【0007】
本出願の他の目的は、前記特性を有する成形飯の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するために、
本出願の一側面は、
インナー(inner)及びアウター(outer)を含む成形飯であって、
前記アウターは、飯、結着剤及び原物を含み、
前記原物は、大きさ5mm以上であり、成形飯の全体重量に対して5-40重量%の含量で含まれており、
前記成形飯の外表面の硬度(hardness)が200g以上であり、
前記アウター外部とアウター内部との水分含量の差は3%以上である、成形飯を提供する。
【0009】
本出願の他の側面は、
インナーとアウターを含む成形飯の製造方法であって、
(a)原物と結着剤を混合して炒めものを製造する段階;
(b)前記炒めものに飯を混合してアウターを製造する段階;
(c)前記製造されたアウター内側にインナーを投入して成形する段階;
(d)前記成形飯を熱風乾燥させる段階;及び
(e)前記熱風乾燥した成形飯を熱処理する段階を含む成形飯の製造方法を提供する。
【0010】
以下、本出願を具体的に説明する。
【0011】
本出願の一様態によると、
インナー(inner)及びアウター(outer)を含む成形飯であって、
前記アウターは、飯、結着剤及び原物を含み、
前記原物は、大きさ5mm以上であり、成形飯の全体重量に対して5-40重量%の含量で含まれており、
前記成形飯の外表面の硬度(hardness)が200g以上であり、
前記アウター外部とアウター内部との水分含量の差は3%以上である、成形飯を提供する。
【0012】
本出願で用いられる用語「成形飯」は、飯を三角形、四角形、又は円形などの一定の形態に固めて作り上げた食品を意味する。
【0013】
本出願の成形飯は、インナー(inner)及びアウター(outer)を含む。
【0014】
本出願で用いられる用語「インナー」は、成形飯の内側に位置した成形飯の中の部位を意味し、用語「アウター」は、前記インナーを包みながら成形飯の外に位置した外の部位を意味する。
【0015】
前記インナーは、米や飯が含まれない原物であってよい。前記原物は、食品材料であってよく、又は料理された食品であってよい。
【0016】
前記インナーは、成形飯の種類により多様な材料を含むことができる。一例として、インナーは、チーズ、バター、ソース(薬コチュジャン、マヨネーズ、ケチャップ、ワサビ、カレー、チャジャンなど);キムチ、カクテギ;チャンジョリム、鶏肉、牛肉、豚肉、鴨肉、焼肉、ハム、ソーセージ、スパム、ベーコン、卵、ウズラ卵、トックカルビ、豚肉炒め;チキンカツ、豚カツ、魚カツ、ハンバーグステーキ;マグロ、イワシ、タラコ、トビコ;油揚、イカ、テナガタコ、イイダコ、ハイガイ、カマボコ、カニカマ、エビ天ぷら;ナッツ類、蔬菜、大豆肉、穀物(小豆、トウモロコシ、キビ、アワ);これらの混合物;又はこれらを用いて料理した食品を含むことができる。
【0017】
前記インナーは、成形の安定性のために成形飯の全体重量に対して、0重量%超過-15重量%以下の含量で含まれてよく、具体的に、0重量%超過-14重量%以下、0重量%超過-13重量%以下、0重量%超過-12重量%以下、0重量%超過-11重量%以下、又は0重量%超過-10重量%以下、0重量%超過-9重量%以下の含量であってよい。
【0018】
前記インナーは、結着剤をさらに含むことができる。前記結着剤は、デンプン、変性デンプン、モチ穀食、又はこれらのうち2以上の混合物であってよい。前記デンプンは、例えば、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、タピオカデンプン、サツマイモデンプン、又は葛デンプンであってよく、前記変性デンプンは、酸化デンプン、アセチルアジピン酸架橋デンプン、アセチルリン酸架橋デンプン、オクテニルコハク酸ナトリウムデンプン、リン酸架橋デンプン、リン酸化デンプン、リン酸化リン酸架橋デンプン、酢酸デンプン、ヒドロキシプロピルリン酸架橋デンプン又はヒドロキシプロピルデンプンであってよいが、これに限定されない。前記モチ穀食は、粘りを有する穀食であって、例えば、モチ米、モチアワ、モチモロコシ、トウモロコシ、又はモチ麦を含むが、これに限定されない。
【0019】
前記結着剤は、インナーの全体重量に対して、0重量%超過-3重量%以下、0重量%超過-2.9重量%以下、0重量%超過-2.8重量%以下、0重量%超過-2.7重量%以下、0重量%超過-2.6重量%以下、0重量%超過-2.5重量%以下、0重量%超過-2.4重量%以下、又は0重量%超過-2.2重量%以下であってよい。
【0020】
前記アウターは、大きさ5mm以上の原物を成形飯の全体重量に対して5-40重量%の含量で含むことができる。前記原物は、食品の原材料を意味し、蔬菜、野菜、果物、魚、肉類、又は加工肉を含むことができ、原物は、一例として、カボチャ、タマネギ、ニンジン、キノコ、シイタケ、長ネギ、大根、キムチ、カクテギ、パプリカ、リンゴ、ナシ、エビむき身、貝むき身、豚肉、牛肉、鶏肉、ハム、ソーセージ、又は卵を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0021】
前記原物の大きさは、原物を横切る長さのうち最も大きな長さを意味する。前記原物の大きさは、5mm以上であってよく、具体的に、5-65mm、6-63mm、7-62mm、8-61mm、8-60mm、8-55mm、8-50mm、8-45mm、8-40mm、8-35mm、8-30mm、8-25mm、8-20mm、8-18mm、8-16mm、8-14mm、8-12mm、又は8-11mmであってよい。
【0022】
前記原物は、成形飯の全体重量に対して5-40重量%の含量で含むことができ、具体的に、5-38重量%、6-36重量%、6-34重量%、7-32重量%、又は7-30重量%の含量で含まれてよい。
【0023】
前記原物は、成形飯の成形安定性を裏付けるとともに、成形飯に原物食感を付与することができる効果を示す。
【0024】
前記アウターは、結着剤をさらに含むことができる。前記結着剤は、デンプン、変性デンプン、モチ穀食又はこれらのうち2つ以上の混合物であってよい。前記デンプンは、例えば、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、タピオカデンプン、サツマイモデンプン、又は葛デンプンであってよく、前記変性デンプンは、酸化デンプン、アセチルアジピン酸架橋デンプン、アセチルリン酸架橋デンプン、オクテニルコハク酸ナトリウムデンプン、リン酸架橋デンプン、リン酸化デンプン、リン酸化リン酸架橋デンプン、酢酸デンプン、ヒドロキシプロピルリン酸架橋デンプン又はヒドロキシプロピルデンプンであってよいが、これに限定されない。前記モチ穀食は、粘りを有した穀食であって、例えば、モチ米、モチアワ、モチモロコシ、トウモロコシ、又はモチ麦を含むが、これに限定されない。
【0025】
前記結着剤は、原物全体重量に対して、0.1-15重量%の含量で含まれてよく、具体的に、0.5-15重量%、1-15重量、1-14重量%、1-13重量%、1-12重量%、1-11重量%、1-10重量%、1-9重量%、1-8重量%、1-7重量%、1-6重量%、又は1-5重量%の含量で含まれてよい。
【0026】
前記結着剤は、アウター内の原物、飯、又は原物と飯との間の結着力を向上させ、結果的に、成形飯全体の成形安定性を増加させる。また、原物の食感は損なわず冷解凍時にもこのような効果が維持されるようにする長所がある。
【0027】
本出願において、アウターは、飯を含むことができる。具体的に、前記アウターに含まれる飯は焼き飯であってよく、前記焼き飯は、キムチ焼き飯、バター焼き飯、タッカルビ焼き飯、又はコチュジャンビビンパであってよいが、これに限定されない。
【0028】
一例として、前記焼き飯は、前記原物を炒めた後にこれを飯と混合して製造して製造したものであってよい。
【0029】
一具現例において、前記アウターにおける原物:飯の重量比率は、10:90から40:60であってよい。
【0030】
一具現例において、前記アウターは、成形飯の全体重量に対して85-99重量%の含量で含まれてよい。具体的に、アウターは、成形飯の全体重量に対して85-99重量%、86-99重量%、87-99重量%、88-99重量%、89-99重量%、又は90-99重量%であってよい。
【0031】
一具現例において、前記アウター:インナーの重量比率は、90:10から99:1であってよい。
【0032】
本出願において、前記成形飯の外表面の硬度(hardness)は、200g以上であってよい。具体的には、前記硬度は、200g-400g、250g-350g、又は250g-300gであってよい。
【0033】
一具現例において、前記硬度は、本出願の凍結された成形飯を室温で一晩(overnight)自然解凍した後、Texture Analyzerで測定した値であってよい。
【0034】
本出願の成形飯は、アウター外部とアウター内部との水分含量の差が3%以上であってよい。前記のような水分含量の差により、アウター外部のほどよくサクッとした食感とアウター内部のしっとりする食感を区別して飲食することができる。
【0035】
一具現例において、前記水分含量は、凍結された成形飯を室温で一晩(overnight)自然解凍した後に測定したものであってよい。
【0036】
外部又は室温と接する成形飯のアウター表面からアウターがインナーと接する面までの直線距離をアウター深さとして定義する際に、前記「アウター外部」は、前記アウター表面からアウター深さの0.1%-10%の部分を意味し、前記「アウター内部」は、アウターにおける前記アウター外部及びインナーと接する面を除いた部分を意味する。
【0037】
本出願の他の側面は、
インナーとアウターを含む成形飯の製造方法であって、
(a)原物及び結着剤を含む炒めものを製造する段階;
(b)前記炒めものに飯を混合してアウターを製造する段階;
(c)前記製造されたアウター内側にインナーを投入して成形する段階;
(d)前記成形飯を熱風乾燥させる段階;及び
(e)前記熱風乾燥した成形飯を熱処理する段階を含む成形飯の製造方法を提供する。
【0038】
前記段階(a)において、原物は、食品の原材料を意味し、蔬菜、野菜、果物、魚、肉類、又は加工肉を含むことができ、前記原物は、一例として、カボチャ、タマネギ、ニンジン、キノコ、シイタケ、長ネギ、大根、キムチ、カクテギ、パプリカ、リンゴ、ナシ、エビむき身、貝むき身、豚肉、牛肉、鶏肉、ハム、ソーセージ、又は卵を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0039】
前記原物の大きさは、5mm以上であってよく、具体的に、5-65mm、6-63mm、7-62mm、8-61mm、8-60mm、8-55mm、8-50mm、8-45mm、8-40mm、8-35mm、8-30mm、8-25mm、8-20mm、8-18mm、8-16mm、8-14mm、8-12mm、又は8-11mmであってよい。
【0040】
前記結着剤は、デンプン、変性デンプン、モチ穀食又はこれらのうち2つ以上の混合物であってよい。前記デンプンは、例えば、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、タピオカデンプン、サツマイモデンプン、又は葛デンプンであってよく、前記変性デンプンは、酸化デンプン、アセチルアジピン酸架橋デンプン、アセチルリン酸架橋デンプン、オクテニルコハク酸ナトリウムデンプン、リン酸架橋デンプン、リン酸化デンプン、リン酸化リン酸架橋デンプン、酢酸デンプン、ヒドロキシプロピルリン酸架橋デンプン又はヒドロキシプロピルデンプンであってよいが、これに限定されない。前記モチ穀食は、粘りを有した穀食であって、例えば、もち米、モチアワ、モチモロコシ、トウモロコシ、又はモチ麦を含むが、これに限定されない。
【0041】
前記結着剤は、原物全体重量に対して、0.1-15重量%の含量で含まれてよく、具体的に、0.5-15重量%、1-15重量、1-14重量%、1-13重量%、1-12重量%、1-11重量%、1-10重量%、1-9重量%、1-8重量%、1-7重量%、1-6重量%、又は1-5重量%の含量で含まれてよい。
【0042】
本明細書において用いられる用語「炒めもの」又は「炒めもの具」は、肉類、海産物、蔬菜などの原物(原材料)に味付けを加えて炒めること、沸かすこと、煮詰めること、煮ること、又は蒸すなどの加熱処理を行ったことを意味し、前記炒めもの又は炒めもの具に飯を混合して焼き飯又はビビンパを製造することができる。「炒めもの」及び「炒めもの具」の2つの用語は、本明細書において同一の意味として互いに混用されてよい。
【0043】
前記段階(a)において、炒めものは、原物を加熱処理した後にここに結着剤を混合して製造することができ、又は原物と結着剤を先ず混合した後、この混合物を加熱処理して製造することもでき、いずれか1つに限定されるものではない。
【0044】
前記段階(b)において、前記炒めものに飯を混合して焼き飯を製造し、これをアウターとして用いることができる。
【0045】
前記アウターにおいて、原物:飯の重量の比率は、10:90から40:60であってよい。
【0046】
一具現例において、前記段階(b)以後に製造されたアウターを品温10-60℃で真空冷却する段階をさらに含むことができる。
【0047】
前記段階(c)において、「インナー」は、成形飯の種類により多様な材料を含むことができる。一例として、インナーは、チーズ、バター、ソース(薬コチュジャン、マヨネーズ、ケチャップ、ワサビ、カレー、チャジャンなど);キムチ、カクテギ;チャンジョリム、鶏肉、牛肉、豚肉、鴨肉、焼肉、ハム、ソーセージ、スパム、ベーコン、卵、ウズラ卵、トックカルビ、豚肉炒め;チキンカツ、豚カツ、魚カツ、ハンバーグステーキ;マグロ、イワシ、タラコ、トビコ;油揚、イカ、テナガタコ、イイダコ、ハイガイ、カマボコ、カニカマ、エビ天ぷら;ナッツ類、蔬菜、大豆肉、穀物(小豆、トウモロコシ、キビ、アワ);これらの混合物;又はこれらを用いて料理した食品を含むことができる。
【0048】
前記インナーは、成形の安定性のために成形飯の全体重量に対して、0重量%超過-15重量%以下の含量で含まれてよく、具体的に、0重量%超過-14重量%以下、0重量%超過-13重量%以下、0重量%超過-12重量%以下、0重量%超過-11重量%以下、又は0重量%超過-10重量%以下、0重量%超過-9重量%以下であってよい。
【0049】
前記インナーは、結着剤をさらに含むことができる。前記結着剤は、デンプン、変性デンプン、モチ穀食、又はこれらの2つ以上の混合物であってよい。前記デンプンは、例えば、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、タピオカデンプン、サツマイモデンプン、又は葛デンプンであってよく、前記変性デンプンは、酸化デンプン、アセチルアジピン酸架橋デンプン、アセチルリン酸架橋デンプン、オクテニルコハク酸ナトリウムデンプン、リン酸架橋デンプン、リン酸化デンプン、リン酸化リン酸架橋デンプン、酢酸デンプン、ヒドロキシプロピルリン酸架橋デンプン又はヒドロキシプロピルデンプンであってよいが、これに限定されない。前記モチ穀食は粘りを有した穀食であって、例えば、もち米、モチアワ、モチモロコシ、トウモロコシ、又はモチ麦を含むが、これに限定されない。
【0050】
前記結着剤は、インナーの全体重量に対して、0重量%超過-3重量%以下、0重量%超過-2.9重量%以下、0重量%超過-2.8重量%以下、0重量%超過-2.7重量%以下、0重量%超過-2.6重量%以下、0重量%超過-2.5重量%以下、0重量%超過-2.4重量%以下、又は0重量%超過-2.2重量%以下の含量であってよい。
【0051】
一具現例において、前記アウター:インナーの重量比率は、90:10から99:1であってよい。
【0052】
一具現例において、前記段階(d)の熱風乾燥は、160-240℃の温度で1-600秒間行うことができる。前記範囲で熱風乾燥する場合、成形飯の表面が一部硬化され、その後、製造工程を経ながらも成形飯の形態が崩れずに工程が進行され得る。
【0053】
一具現例において、前記段階(e)の熱処理は、放射熱により1-600秒間行うことができる。具体的に、前記熱処理は、例えば、赤外線オーブンで行うことができる。
【0054】
一具現例において、前記段階(e)において、成形飯を熱処理する前に成形飯の表面にソースをコーティングする段階をさらに含むことができる。成形飯の表面のソースコーティング時、熱処理過程におけるソースの香味反応の誘導により成形飯の風味を増加させることができる。
【0055】
一具現例において、前記段階(e)の熱処理は2回以上行うことができ、それぞれの成形飯の熱処理以前に成形飯の表面にソースをコーティングすることができる。
【0056】
一具現例において、前記段階(e)の熱処理は2回以上行う場合、熱処理段階の間に反転工程をさらに含むことができる。例えば、2回の熱処理を行う場合、1次熱処理後反転工程を介して1次熱処理された成形飯の表面を反対面に位置させることができ、その後、2次熱処理を行うことができる。前記反転工程を追加すると、成形飯両面の熱処理を行うことができ、お焦げのようなサクッとした食感をアウター全体で感じることができる。
【0057】
一具現例において、前記段階(e)において、2回以上熱処理を行う場合、ソースコーティング工程と反転工程が組み合わされてよい。例えば、成形飯にソースをコーティングし、1次熱処理を行った後、反転工程を介して成形飯の表面を反対面に位置させる。次いで、成形飯の反対面にソースをコーティングして、2次熱処理を行う。
【0058】
他の具現例において、前記段階(e)以後に製造された成形飯を凍結する段階をさらに含むことができる。
【0059】
前記製造された成形飯の外表面の硬度(hardness)は、200g以上であってよい。具体的には、前記硬度は、200g-400g、250g-350g、又は250g-300gであってよい。
【0060】
一具現例において、前記硬度は、本出願の凍結された成形飯を室温で一晩(overnight)自然解凍した後、Texture Analyzerで測定したものであってよい。
【0061】
本出願の成形飯は、アウター外部とアウター内部との水分含量の差が3%以上であってよい。
【0062】
一具現例において、前記水分含量は、凍結された成形飯を室温で一晩(overnight)自然解凍した後に測定したものであってよい。
【0063】
外部又は室温と接する成形飯のアウター表面からアウターがインナーと接する面までの直線距離をアウター深さとして定義するときに、前記「アウター外部」は、前記アウター表面からアウター深さの0.1%-10%の部分を意味し、前記「アウター内部」は、アウターにおける前記アウター外部及びインナーと隣接する面を除いた部分を意味する。
【発明の効果】
【0064】
本出願は、焼けた外観を有する成形飯及びこの製造方法に関する。本出願の成形飯は、オーブニング工程を経ることにより、焼いたような外観を有して独特の香味を保有する。また、本出願の成形飯は、外はお焦げのように硬くサクッとした食感を有し、中はしっとりする食感を維持する。また、本出願の成形飯は、アウターを大きなサイズの原物を含む飯で構成することにより原物食感を具現することができ、成形及び料理後にも成形飯の形態を維持して成形安定性に非常に優れる。
【0065】
但し、本出願の効果は、前記で言及した効果に制限されず、言及されなかったまた他の効果は、前記の記載から当業者に明確に理解されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【
図1】デンプン含量を0%、1%、5%、10%、15%と異に添加して製造した炒めもの具(炒めもの)の物性を示す写真である。
【
図2a】デンプンを追加した炒めもの具で製造したおにぎりの成形安定性を示す写真である。
【
図2b】デンプンを追加せずに製造した炒めもの具で製造したおにぎりの成形安定性を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
以下、本出願を実施例により詳細に説明する。但し、下記実施例は、本出願を具体的に例示するものであり、本出願の内容が下記実施例により限定されない。
【0068】
実施例
製造例1:原料の準備
「キムチチーズおにぎり」の製造のため、炊飯された飯、油、野菜、キムチ(10mmダイス)、ソース、モッツァレラストリングチーズを準備した。「焼肉おにぎり」の製造のため、炊飯された飯、油、野菜、豚肉、ソースなどを準備した。「バターチャンジョリムおにぎり」の製造のためには、炊飯した飯、油(バター含む)、野菜、卵、ソース、チャンジョリム(30mmチャンジョリム)などを準備した。全てのおにぎりには、結着素材としてデンプンを用いた。
【0069】
製造例2:成形飯(おにぎり)の製造
先ず、おにぎりのアウター(outer)及びインナー(inner)に用いるための炒めもの具を製造した。炊飯された飯と前記製造したアウター炒めもの具とインナー炒めもの具に混合した。混合物を品温10-60℃で真空冷凍させた。インナー(inner)をアウター(outer)内部に投入した後、おにぎりを成形した。成形されたおにぎりを160-240℃の温度で1秒-600秒間の熱風オーブニングを介しておにぎりの表面を硬化させた。次いで、赤外線オーブンで、1秒-600秒間の赤外線オーブニングを行った。赤外線オーブンでのオーブニングは、次のように行った。先ず、表面ソースコーティングの必要なおにぎりは、おにぎりの表面にソースをコーティングした後、1次赤外線オーブニングを行って、次いで、おにぎりの反対側表面にソースをコーティングするためにおにぎりを裏返してソースをコーティングし、また、2次赤外線オーブニングを行った。赤外線オーブニングを介してアウターの形態維持効果は増大させつつ、中はしっとりしつつも外はお焦げのようにサクッとしたテクスチュア(texture)を具現した。オーブニングが完了したおにぎりを品温-7℃以下で凍結した。
【0070】
実験例1:結着剤による成形安定性の測定
アウター又はインナーに用いるための炒めもの具の製造時に結着剤としてデンプンを追加して炒めもの具を製造した。また、比較例として、前記炒めもの具の製造時に結着剤成分を追加せずに炒めもの具を製造した。
【0071】
図1の、追加したデンプン含量(0%-15%)による炒めもの具の物性を示す写真から分かるように、デンプンを添加しない場合(0%)、炒めもの具が緩く成形安定性が落ちることが分かった。前記製造したデンプンを添加した炒めもの具とデンプンを添加しなかった炒めもの具を用いておにぎりを製造した。炒めもの具を用いておにぎりを製造した結果、炒めもの具にデンプンを追加した場合、おにぎりの成形安定性が非常に優秀であった(
図2a)。しかし、デンプンを追加せずに製造した炒めもの具を用いた場合、成形されたおにぎりの成形安定性が低く、非凍結状態では小さな衝撃にもおにぎりの外形が容易に変わり、原物(写真中のキノコ及びニンジン)の周りの米粒の結着力が相対的に弱くなることを観察することができた(
図2b)。
【0072】
実験例2:成形飯(おにぎり)の物性の測定
1.水分含量の測定
製造例2の方法によりオーブニングを行って凍結おにぎりを製造し、オーブニングを行わない凍結おにぎりを製造し、それぞれの凍結おにぎりを室温で一晩(overnight)解凍させた後、表面と内部に分離して水分含量値を測定した(AND MX-50 Moisture analyzer)。 このとき、表面は、おにぎりの焼かれた面のみを測定するため、表面から0.5cm以内の厚さでアウター(outer)の飯部分のみを切断して測定し、内部の場合、おにぎりの中と最も近くのアウター(outer)内部の飯のみを用いて測定した。
【0073】
測定結果、高温のオーブンに直接露出するおにぎり表面の水分含量がおにぎりの深部に比べて低いことを確認することができた(表1)。よって、オーブニングを行ったおにぎりは、オーブニングを行わないおにぎりに比べ、おにぎり表面の水分含量がおにぎり内部に比べて低くなるものと確認された。
【0074】
【0075】
2.TAの測定
オーブニング工程なく成形後に直ぐ凍結したおにぎり(T1、全州ビビンバおにぎり配合適用)と製造例2の方法によりオーブニング工程を行った後に凍結したおにぎり(T2、全州ビビンバおにぎり配合適用)を製造した。製造した凍結おにぎりを室温で一晩(overnight)解凍させた後、硬度(hardness)値を測定した(TA.XT.PLUS texture analyser)。
【0076】
測定結果、オーブニング工程を通して製造したT2おにぎりの硬度(hardness)値がオーブニング工程を経ずに製造したT1おにぎりよりさらに高いことを確認することができた。このような結果により、焼いたおにぎりの場合、焼かない一般のおにぎりに比べて表面が多少硬いものと確認された。
【0077】
【0078】
前記では、本出願の代表的な実施例を例示的に説明したが、本出願の範囲は、前記のような特定の実施例だけに限定されず、当該分野で通常の知識を有する者であれば、本出願の特許請求の範囲に記載された範疇内で適切に変更が可能であろう。
【国際調査報告】