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特表2023-552204画像上に見える車両のヨー方向を表すための装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-14
(54)【発明の名称】画像上に見える車両のヨー方向を表すための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/70 20170101AFI20231207BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20231207BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
G06T7/70 Z
G06T7/00 650B
G08G1/16 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533970
(86)(22)【出願日】2020-12-03
(85)【翻訳文提出日】2023-06-02
(86)【国際出願番号】 EP2020084554
(87)【国際公開番号】W WO2022117199
(87)【国際公開日】2022-06-09
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511312997
【氏名又は名称】トヨタ モーター ヨーロッパ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100180194
【弁理士】
【氏名又は名称】利根 勇基
(72)【発明者】
【氏名】ニコライ チュメリン
【テーマコード(参考)】
5H181
5L096
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB20
5H181CC04
5H181FF27
5H181LL09
5L096BA04
5L096FA02
5L096FA66
5L096FA67
5L096FA69
5L096HA05
(57)【要約】
画像上に見える車両のヨー方向を表すための装置及び方法は、車両(201)を囲む矩形のバウンディングボックス(200)の画像内の位置を得るステップと、車両の第1の部分と車両の第2の部分とを分離する車両のコーナーに配置されるように構成された、バウンディングボックスの鉛直分割線(202)の位置を得るステップであって、第1の部分及び第2の部分が車両の前部、後部又は側部である、ステップと、バウンディングボックスに関連付けられた水平基準位置に対する、鉛直分割線に関連付けられた水平位置の符号付きの水平方向のシフトを決定するステップと、符号付きの水平方向のシフトを正規化して、車両の姿勢の表現に使用される値θを得るステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像上に見える車両のヨー方向を表すための方法であって、
前記車両のヨー方向が例えばその後のトラッキングステップにおいて使用されるように構成され、
当該方法が、
前記車両(201)を囲む矩形のバウンディングボックス(200)の前記画像内の位置を得るステップ(S01)と、
前記車両の第1の部分と前記車両の第2の部分とを分離する前記車両のコーナーに配置されるように構成された、前記バウンディングボックスの鉛直分割線(202)の位置を得るステップ(S02)であって、前記第1の部分及び前記第2の部分が前記車両の前部、後部又は側部であり、前記第1の部分及び前記第2の部分の少なくとも一方が前記画像上に見える、ステップ(S02)と、
前記バウンディングボックスに関連付けられた水平基準位置に対する、前記鉛直分割線に関連付けられた水平位置の符号付きの水平方向のシフトを決定するステップ(S03)と、
前記符号付きの水平方向のシフトを正規化して、前記車両のヨー方向の表現に使用される値θを得るステップ(S04)と
を含む、方法。
【請求項2】
前記バウンディングボックスに関連付けられた前記水平基準位置が、前記バウンディングボックスの水平方向の中央(203)又は前記バウンディングボックスの一方の側面である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記鉛直分割線に関連付けられた位置が、前記第1の部分又は前記第2の部分の水平方向の中央(204)である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記車両の姿勢の表現に使用される前記値θがθ=d/Wとして計算され、ここで、dが前記符号付きのシフトであり、Wが、例えば前記バウンディングボックスに関連付けられた正規化係数である、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
Wが前記バウンディングボックスの幅である、請求項5に記載の方法。
【請求項6】
前記ヨー方向の表現を使用して前記車両の姿勢を決定するステップを含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記値θを使用して前記車両のヨー角を決定するステップを更に含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ヨー角を決定するステップが、前記車両に関連付けられた所与のアスペクト比を使用することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ヨー角を決定するステップが、前記値θと、前記車両に関連付けられた前記アスペクト比とを入力として取る、前記ヨー角を近似する関数を決定することを含み、
この関数が、ヨー角の値を値θ及びアスペクト比に関連付ける一組の所与の点にフィッティングされた平面、又はヒューリスティックに構築された関数である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
一連の画像において車両のヨー方向をトラッキングするための方法であって、
前記一連の画像の各画像について、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法によって得られる前記値θを決定することを含む、方法。
【請求項11】
画像上に見える車両のヨー方向を表すための装置であって、
前記車両のヨー方向が例えばその後のトラッキングステップにおいて使用されるように構成され、
当該装置が、
前記車両を囲む矩形のバウンディングボックスの前記画像内の位置を得るためのモジュール(403、405)と、
前記車両の第1の部分と前記車両の第2の部分とを分離する前記車両のコーナーに配置されるように構成された、前記バウンディングボックスの鉛直分割線の位置を得るためのモジュール(403、406)であって、前記第1の部分及び前記第2の部分が前記車両の前部、後部又は側部である、モジュール(403、406)と、
前記バウンディングボックスに関連付けられた水平基準位置に対する、前記鉛直分割線に関連付けられた水平位置の符号付きの水平方向のシフトを決定するためのモジュール(403、407)と、
前記符号付きの水平方向のシフトを正規化して、前記車両のヨー方向の表現に使用される値θを得るためのモジュール(403、408)と
を備える、装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置を備える車両。
【請求項13】
コンピュータプログラムであって、
当該プログラムがコンピュータによって実行されるときに、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法のステップを実行するための命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項14】
コンピュータによって読み取り可能な記録媒体であって、
請求項1から10のいずれか1項に記載の方法のステップを実行するための命令を含むコンピュータプログラムが記憶された、記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理の分野に関し、より正確には、画像上に見える車両の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されたカメラによって取得された画像上での車両の検出は、自動車のような車両を制御するための部分的に自律的な方法又は自律的な方法を改善するための重要な問題となってきている。車両の検出は、これらカメラによって取得された複数の連続する画像フレーム上で検出された車両のトラッキング(追跡)によって完了することが多い。
【0003】
現在、車両を検出してトラッキングするための信頼性高い技術が必要不可欠になってきている。
【0004】
また、近年では、機械学習技術(すなわちディープニューラルネットワーク)の使用が物体の検出及びトラッキングを容易にしている。
【0005】
車両を検出してトラッキングするためには、これら車両の位置及び方向の表現を使用する必要があり、位置及び方向は、これら車両の姿勢と呼ばれるものを形成する。これら表現は、座標、角度等のような一組の値を含む。例えば、表現は、現実世界の車両の位置及び方向を表すようにコンピュータプログラムにおいて使用されうるコンピュータ表現である。
【0006】
通常、演算負荷を制限するために、制限された数の変数を有する表現を使用することが望ましい。
【0007】
コンピュータビジョンでは、3D空間における物体の表現は、対象の物体を含む3Dバウンディングボリュームの便利な表現である3Dバウンディングボックス(3DBB)を使用して行われることが多い。概して、3DBBは、九つの自由度(DOF)、すなわち寸法/範囲(幅、高さ及び深さ)についての三つ、位置についての三つの座標(X、Y、Z)、及び方向についての三つの角度を有する。
【0008】
自動車用途の場合、対象の物体(例えば車両)は恐らく地表に位置しているため、地表に対する車両のロール角及びピッチ角をゼロと見なすことができ、DOFの数が二つだけ減少する。さらに、車両の3Dバウンディングボックスの底面は地表に属すると見なすことができ、別のDOFを無視することが可能となる。このため、車両検出の文脈における3DBBについて、六つのみのDOFを考慮することが有用である。
【0009】
文献「リーマン回帰及び分類ネットワークを使用した単眼物体方向推定」(Mahendran S.等、アーカイブプレプリント、アーカイブ:1807.07226(2018))は3DBBについて6DOFのみを使用することを開示する。
【0010】
また、3Dの方向は、いくつかの異なる方法で、すなわち、オイラー角(方位角、仰角及びカメラの傾き、又はヨー、ピッチ及びロール)によって、軸角度によって、例えば、文献「Posenet:リアルタイム6-dofカメラの再位置調整のための畳み込みネットワーク」(Kendall A.、Grimes M.、コンピュータビジョンについてのIEEE国際会議の議事録、2015)、文献「カメラの再位置調整のためのディープラーニングにおける不確実性のモデル化」(Kendall A.、Cipolla R.、ロボティクス及びオートメーションについての2016IEEE国際会議(ICRA)、IEEE、2016)、又は文献「ディープラーニングを用いたカメラ姿勢回帰のための幾何学的損失関数」(Kendall A.、Cipolla R.、コンピュータビジョン及びパターン認識についてのIEEE会議の議事録、2017)に開示されるような四元数(追加の単位ノルム制約を有する四次元表現であるが、0°と360°との間の不快な遷移を回避する)によって表すことができる。
【0011】
典型的には、上述された文献「リーマン回帰及び分類ネットワークを使用した単眼物体方向推定」、文献「ディープラーニング及び幾何学を使用した3dバウンディングボックス推定」(Mousavian A.等、コンピュータビジョン及びパターン認識についてのIEEE会議の議事録、2017(7074-7082頁)、文献「マルチビュー、マルチクラスの物体姿勢推定のための統合フレームワーク」(Li Ch.、Bai J.、Hager G.D.、コンピュータビジョンについての欧州会議(ECCV)の議事録、2018)、文献「Densereg:実環境下での完全畳み込み密形状回帰」(Alp Guler R.等、コンピュータビジョン及びパターン認識についてのIEEE会議の議事録、2017)、及び文献「ビジョンとロボティクスとの融合:KITTIデータセット」(Geiger A.等、ロボティクス研究の国際ジャーナル32.11(2013):1231-1237)に記載されるように、車両の方向は、通常、ヨー角のみを使用して定義される。
【0012】
3D空間から2D空間への3DBBの投影を表現として使用することも提案されてきた。これら投影は2.5Dバウンディングボックス又は2.5DBBと呼ばれることが多い。例えば、文献「自動運転のための車両検出及び姿勢推定」(Novak L. Diss.、修士論文、プラハのチェコ工科大学、2017、引用、2017)のセクション3.3では、2.5DBBは、七つの数字、すなわち「車の底部」の三つの境界線(左前部、右前部、左後部についてのX、Y)によって表される。
【0013】
文献「Densebox:ランドマークの位置特定とエンドツーエンドの物体検出との統合」(Lichao H.等、アーカイブプレプリント、アーカイブ:1509.04874(2015))では、2.5DBBは車について八つのランドマーク(特定部分)で使用される。
【0014】
別の2.5DBBの方法が文献「自動運転のためのマルチビュー3D物体検出ネットワーク」(Chen X.等、IEEE CVPR、2017)に開示されている。このソリューションは、車両の視認可能な前部/後部と視認可能な側部との間で一つの矩形(又はバウンディングボックス)を二つに分離するために分割線を使用することを提案する。分割線のどちら側が車両の側部又は前部/後部であるかを示すためにバイナリ値が使用されるが、このソリューションは、トラッキングにおける不安定性を引き起こすので、不満足であることが発明者らによって観察された。実際、バイナリ値を使用することは、典型的には標準的な運転状況の場合のように、車両がほぼ一方の側から見られる状況(例えば後方からであって側部がほとんど見えないとき)において、分割線が一方の側から他方の側へジャンプすることを引き起こす可能性がある。
【0015】
上記のソリューションは、トラッキングを実行するのに複雑すぎ又は不安定であるので、満足のいく結果を提供しない。
【発明の概要】
【0016】
本開示は、画像上に見える車両のヨー方向を表すための方法であって、車両のヨー方向が例えばその後のトラッキングステップ(例えば車両のヨー方向のトラッキング)において使用されるように構成され、方法が、車両を囲む矩形のバウンディングボックスの画像内の位置を得るステップと、鉛直分割線が車両の第1の部分と車両の第2の部分とを分離する車両のコーナーに配置されるように構成された、バウンディングボックスの鉛直分割線の位置を得るステップであって、第1の部分及び第2の部分が車両の前部、後部又は側部であり、第1の部分及び第2の部分の少なくとも一方が画像上に見える、ステップと、バウンディングボックスに関連付けられた水平基準位置(例えばバウンディングボックスの中央)に対する、鉛直分割線に関連付けられた水平位置(例えば、車両の視認可能な第1の部分の中央、又は任意の側から測定された部分の3分の1)の符号付きの水平方向のシフトを決定するステップと、符号付きの水平方向のシフトを正規化して、車両のヨー方向の表現に使用される値θを得るステップとを含む、方法を提案することによって従来技術の一つ以上の欠陥を克服する。
【0017】
関連付けられるとは、分割線の水平位置と、例えばバウンディングボックスの位置(例えばバウンディングボックスのコーナーの位置又はバウンディングボックスの左端及び右端の位置)とを使用して水平位置を定義できることを意味する。また、水平基準位置は、バウンディングボックスの位置(例えばバウンディングボックスのコーナーの位置又はバウンディングボックスの左端及び右端の位置)を使用して定義されることができる。
【0018】
また、車両が画像上に見えるときには、二つの部分、例えば、前部及び側部、又は後部及び側部が視認可能となる。一つの部分のみが見えることもあり、この場合、一つの部分は、前部、後部又は側部のいずれか一つである。
【0019】
ヨー方向を使用して車両の姿勢の表現を表すことができる。姿勢のこの表現は、画像を取得するのに使用されるカメラの周りの空間における車両の位置を表す一組のデータである。車両を平面(例えば路面)上に配置されるように表すことが一般的であり、この場合、車両のロール方向及びピッチ方向が無視され、ヨー方向が車両の姿勢を記述するために必要な唯一の方向になる。
【0020】
本願の発明者らは、車両のトラッキングを実行するために、車両の視認可能なコーナー(右前部、左前部、右後部又は左後部のコーナー)の位置を示す分割線を搭載した単一のバウンディングボックスを使用できることを観察した。
【0021】
文献「自動運転のためのマルチビュー3D物体検出ネットワーク」に関した上述したようなバイナリ値を使用することの代わりに、本発明は、基準と、分割線に関連付けられた位置との間の符号付きのシフトを使用することを提案する。このことは、その後のフレームにおいて(すなわちトラッキングが実行されるときに)実行される検出を安定させるためにより多くの情報を得ることを可能とする。
【0022】
その後のトラッキングステップにおける入力として値θを使用することができる。実際、値θは、時間的フィルタリングが2.5DBBを使用してトラッキングを改善することが観察されたように、任意の時間的プロセス、例えば任意の時間的フィルタリングの使用を容易にする。
【0023】
正規化ステップによって、例えば車両のサイズ又はバウンディングボックスのサイズに依存しないθの値を得ることが可能となることに留意されたい。
【0024】
加えて、正規化は値θを無単位にする。
【0025】
特定の実施形態によれば、バウンディングボックスに関連付けられた水平基準位置はバウンディングボックスの水平方向の中央又はバウンディングボックスの一方の側面である。
【0026】
この位置は、車両がほぼ前方又は後方から見られるときのような危機的状況においてあまり変化しない信頼性高い位置であることが観察された。
【0027】
特定の実施形態によれば、鉛直分割線に関連付けられた位置は第1の部分又は第2の部分の水平方向の中央である。
【0028】
特定の実施形態によれば、車両の姿勢の表現に使用される値θはθ=d/Wとして計算され、ここで、dは符号付きのシフトであり、Wは、例えば(バウンディングボックスのコーナーの位置又はバウンディングボックスの左端及び右端の位置を使用して定義される)バウンディングボックスに関連付けられた正規化係数である。
【0029】
特定の実施形態によれば、Wはバウンディングボックスの幅である。
【0030】
d及びWの両方が同一の単位で測定されるので、θは無単位である。
【0031】
特定の実施形態によれば、方法は、ヨー方向の表現を使用して車両の姿勢を決定するステップを含む。
【0032】
特定の実施形態によれば、方法は、値θを使用して車両のヨー角を決定するステップを更に含む。
【0033】
このヨー角はあらゆる車両のディープラーニングベースの検出方法において使用されてその訓練を改善することができる。
【0034】
また、値θは、車両のアスペクト比(幅/長さ)の知識に基づいて、又は複数の車両について満足する所定のアスペクト比に基づいてヨー角の値に変換される。
【0035】
特定の実施形態によれば、ヨー角を決定するステップは、車両に関連付けられた所与のアスペクト比を使用することを含む。
【0036】
特定の実施形態によれば、ヨー角を決定するステップは、値θと、車両に関連付けられたアスペクト比とを入力として取る、ヨー角を近似する関数を決定することを含み、この関数は、ヨー角の値を値θ及びアスペクト比に関連付ける一組の所与の点にフィッティングされた区分線形関数、又はヒューリスティックに構築された関数である。
【0037】
本発明は、一連の画像において車両のヨー方向をトラッキングするための方法であって、一連の画像の各画像について、上記のような方法によって得られる値θを決定することを含む、方法も提供する。
【0038】
本発明は、画像上に見える車両のヨー方向を表すための装置であって、車両のヨー方向が例えばその後のトラッキングステップにおいて使用されるように構成され、装置が、車両を囲む矩形のバウンディングボックスの画像内の位置を得るためのモジュールと、車両の第1の部分と車両の第2の部分とを分離する車両のコーナーに配置されるように構成された、バウンディングボックスの鉛直分割線の位置を得るためのモジュールであって、第1の部分及び第2の部分が車両の前部、後部又は側部である、モジュールと、バウンディングボックスに関連付けられた水平基準位置(例えばバウンディングボックスの中央)に対する、鉛直分割線に関連付けられた水平位置(例えば車両の視認可能な第1の部分の中央)の符号付きの水平方向のシフトを決定するためのモジュールと、水平方向のシフトを正規化して、車両のヨー方向の表現に使用される値θを得るためのモジュールとを備える、装置も提案する。
【0039】
この装置は上記のような方法のいずれかの実施形態を実行するように構成される。
【0040】
本発明は、上記のような装置を備える車両も提供する。
【0041】
一つの特定の実施形態では、方法のステップがコンピュータプログラムの命令によって決定される。
【0042】
したがって、本発明は、コンピュータプログラムであって、このプログラムがコンピュータによって実行されるときに上記のような方法のステップを実行するためのコンピュータプログラムも対象とする。
【0043】
このプログラムは、任意のプログラミング言語を使用することができ、ソースコード、オブジェクトコード、部分的にコンパイルされた形態のようなソースコードとオブジェクトコードとの中間のコード、又はその他の所望の形態を取ることができる。
【0044】
本発明は、上記のようなコンピュータプログラムの命令を含むコンピュータ読み取り可能な情報媒体も対象とする。
【0045】
情報媒体は、プログラムを記憶可能な任意の実体又は装置である。例えば、媒体は、ROM、例えば、CDROM若しくはマイクロエレクトロニクス回路ROM、又は磁気記憶手段、例えばディスケット(フロッピディスク)若しくはハードディスクのような記憶手段を含むことができる。
【0046】
代替的に、情報媒体は、プログラムが組み込まれた集積回路であってもよく、集積回路は当該方法を実行し又は当該方法の実行に使用されるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1図1は、従来技術の方法において分割線を使用することに関連する困難さを示す。
図2図2は、一例において用いられるシフトの測定を示す。
図3図3は、一例による方法のステップの概略図である。
図4図4は、一例による車両である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本開示の特徴及び利点は、添付の図面を参照して、限定ではなく例示のみを目的として与えられる本開示の特定の実施形態の以下の説明から明らかになるだろう。
【0049】
以下、画像上に見える車両のヨー方向の表現を得ることが説明され、ヨー方向の表現は、例えば、この車両の姿勢を表し又は表現するために使用されうる。この姿勢は、画像を取得したカメラに対するものであり、車両の画像内の位置及び方向、又は車両のカメラに対する空間内の位置及び方向についての情報を含む。
【0050】
典型的には、画像を取得したカメラは別の車両に埋め込まれている。
【0051】
また、ヨー方向の決定は、車両のトラッキングを実行することを可能とする。このトラッキングは、この姿勢の経時的な旋回(evolution)を決定することを含む。
【0052】
図1は、従来技術の方法、特に文献「自動運転のためのマルチビュー3D物体検出ネットワーク」の方法の操作を示す。この図では、2つの異なる検出時間T1及びT2が表されている。
【0053】
第1の検出時間T1において、バウンディングボックス100は、カメラによって取得された画像上に見える車両101を囲むように決定される。車両101に対するバウンディングボックス100の寸法及び位置の決定は、当業者に公知の態様でディープニューラルネットワークのような機械学習方法を使用して行うことができる。
【0054】
さらに、文献「自動運転のためのマルチビュー3D物体検出ネットワーク」の方法を使用して、車両の視認可能な前部/後部と視認可能な側部とを分離する分割線102の位置(ここでは水平位置)が決定される。
【0055】
最初の検出線T1において、分割線はバウンディングボックスの左側にあると判定される。しかしながら、車両の位置、典型的にはカメラを搭載した車両の前方の車両の位置を考慮すると、分割線の位置を決定することは困難である。
【0056】
分割線のどちら側が前方/後方であるかを示すためにバイナリ値を使用すると、車両を後方/前方から見た状況において分割線が左側と右側との間でジャンプするようになることが観察された。例えば、時間T2において、分割線102はバウンディングボックスの右側に移動する。
【0057】
この不安定性は、車両の姿勢のトラッキングを実行するときに有害である。
【0058】
代わりに、本開示は、図2に示されるように、測定された符号付きのシフトに基づいて計算された値を導入することを提案する。この図では、画像上に見える車両201を囲むように矩形のバウンディングボックス200の位置が求められる。バウンディングボックスの位置とは、画像上の寸法及び配置、又は画像上の各コーナーの位置を意味する。
【0059】
鉛直分割線202の位置は、車両の第1の部分と車両の第2の部分とを分離する車両のコーナーにあるように得られ且つ構成され、車両の第1の部分及び第2の部分は車両の前部、後部又は側部のいずれかである。図示された例では、第1の部分は、車両の前部であり、灰色で表現され、一方、第2の部分は車両の左側部である。
【0060】
好ましくは、第1の部分は車両の前部又は後部であり、第2の部分は車両の左側部又は右側部である。実際には、1つ又は2つの部分が通常視認可能であり、二つが視認可能である場合、それは、常に、前部及び右側部、前部及び左側部、後部及び右側部、並びに後部及び左側部から成る群から選択されるペアである。
【0061】
一例によれば、提案される方法は、さらに、バウンディングボックス内の基準水平位置の位置、すなわち中央位置203と、第1の部分(ここでは車両の前方部分が見える部分)の中央204とを得る。
【0062】
バウンディングボックス及び分割線の位置は、画像内の車両を(バウンディングボックスとして)検出するように訓練されたディープネットワークを使用して得ることができる。ディープニューラルネットワークを訓練して分割線の位置を予測することも可能である。
【0063】
上述された位置は、鉛直線に関連付けられた水平位置であることに留意されたい。
【0064】
このことは、第1の部分の中央位置に対するバウンディングボックスの中央位置203の符号付きのシフトdを決定することを可能とする。
【0065】
次いで、この符号付きのシフトの正規化を実行して、バウンディングボックス200の幅Wを用いて、θ=d/Wとして計算される値θを得ることができる。
【0066】
次いで、この値θを、車両のヨー方向の表現において、その後のトラッキングステップにおいて、更には時間フィルタリングステップにおいても使用することができる。
【0067】
この値θを使用することによって、車両が前方又は後方から見られたときに分割線が一方の側から他方の側にジャンプすることが防止されることが観察された。
【0068】
図3において、画像上に見える車両のヨー方向を表すための方法のステップが概略的に表される。
【0069】
これらステップは、図4を参照して以下に説明される装置のような装置によって実行されうる。典型的には、プロセッサを搭載した装置がこの方法を実施することができる。
【0070】
これらステップは、例えば別の車両に埋め込まれたカメラによって取得された画像に対して実行される。この画像は図2の車両のような車両を示す。
【0071】
第1のステップS01では、バウンディングボックス200のようなバウンディングボックスの位置が得られる。このステップは、ニューラルネットワークのような機械学習技術を使用して実行されうる。
【0072】
第2のステップS02では、分割線202の位置を得ることが実行される。このステップも、機械学習技術を使用して実行されうる。
【0073】
次いで、ステップS03において符号付きのシフトdが決定される。このステップは計算ステップである。
【0074】
次いで、ステップS04において、上述された式θ=d/Wを使用して値θを計算することができる。
【0075】
本方法は、θの時間的フィルタリングと、(θ、バウンディングボックスの位置及び分割線の位置を使用する)車両のヨー方向又は姿勢のその後のトラッキングステップとを更に含んでもよいことに留意されたい。加えて、直線のヨー(linear yaw)(又は車両のアスペクト比が知られている場合には角度のヨー(angular yaw))を決定することができる。
【0076】
例えば、値θは、車両の(例えばラジアン単位で測定される)実際のヨーφ角を推定するのに用いられうる。φを正確に推定するためには、車両のアスペクト比α=w/lが必要であり、ここで、wは車両の実際の幅であり、lは車両の実際の長さである(いずれもピクセルではなくメートルで測定される)。提案される方法はアスペクト比αの正確な値に敏感ではないので、アスペクト比を近似的に提供することができる。例えば、バウンディングボックス及び分割線を提供する同一の車両検出器を使用して車両のタイプ(すなわち、ロング/ショートの乗用車、トラック、バス等)からαを「推測」することができる。ヨー角関数φ(θ,α)を推定/近似するために、二つの代替案が提案される。第1の代替案は線形化(linearization)に基づく。所望の関数φ(θ,α)は、固定のカメラ構成(カメラ解像度及び視野)を用いて合成的にランダムに生成された車両のバウンディングボックスを使用して計算された一組の三次元点
【数1】
(例えばN=32768)にフィッティングされた区分線形面φ=φ(θ,α)によって近似される。これらランダムに生成されたデータでは、各バウンディングボックスについての対象のパラメータ(車両のヨー角φ、車両のアスペクト比α及びθ)の全てが設計により既知である。
【0077】
第2の代替案は解析的な近似に基づく。所望の関数φ(θ,α)は、解析的な関数
【数2】
によって近似され、ここで、p(c,c)=max(1,c/min(1,α))c2である。関数φc1,c2(θ,α)はヒューリスティックに(heuristically)構築されることができ、そのパラメータ(例えば、c=0.849592及びc=0.924694)は、
【数3】
として定義されるフィッティング誤差を最小化することによって数値的に推定されうる。
【0078】
パラメータc及びcは異なるカメラについて変化する可能性があることに留意されたい。
【0079】
図4は、図3を参照して開示された方法のような方法を実施するように構成された装置401を搭載した車両400を示す。
【0080】
この車両は、車両が走行している道路の画像を取得するように構成されたカメラ402を更に備え、カメラ402は、典型的には、図2に見られる車両201のような道路上に存在する他の車両の画像を取得する。
【0081】
装置401は、プロセッサ403と、カメラ402によって取得された画像に対して上述の方法を実施するためのコンピュータ命令を含む不揮発性メモリ404とを備える。
【0082】
より正確には、コンピュータ命令は、プロセッサ403によって実行されるときにステップS01を実行する命令405と、プロセッサ403によって実行されるときにステップS02を実行する命令406と、プロセッサ403によって実行されるときにステップS03を実行する命令407と、プロセッサ403によって実行されるときにステップS04を実行する命令408とを含む。
【0083】
命令405~408はプロセッサ403と組み合わせて装置401のモジュールを形成する。
【0084】
本発明が特定の具体的な実施形態を参照して上述されてきたが、本発明が具体的な実施形態の詳細に限定されないことが理解されるだろう。添付の特許請求の範囲の範囲内で、上述された実施形態において、多くの変形、修正及び発展がなされうる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】