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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-14
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F25B 39/00 20060101AFI20231207BHJP
   F28F 9/00 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
F25B39/00 D
F28F9/00 C
F28F9/00 321
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533986
(86)(22)【出願日】2021-11-26
(85)【翻訳文提出日】2023-06-23
(86)【国際出願番号】 GB2021053089
(87)【国際公開番号】W WO2022117999
(87)【国際公開日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】2019056.7
(32)【優先日】2020-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390038014
【氏名又は名称】ビ-エイイ- システムズ パブリック リミテッド カンパニ-
【氏名又は名称原語表記】BAE SYSTEMS plc
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】グレイシウナス、エバルダス
【テーマコード(参考)】
3L065
【Fターム(参考)】
3L065AA12
(57)【要約】
熱交換器であって、ハウジングであって、第1の流体を受け入れるための近位端における入口と、ハウジングの遠位端における入口の下流にあり、流体がハウジングから出るように構成された出口とを備えるハウジングと、ハウジング内の複数の熱交換器コアとを備える熱交換器が提供され、複数の熱交換器コアは、接合部において接し、ハウジングの入口又は出口のうちの1つに向かって互いに分岐し、複数の熱交換器コアは、プレートフィン配置を備え、複数の熱交換器コアは、第1の流体が使用時に熱交換器コアを通過することができる1つ以上の第1の流路を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器であって、
ハウジングであって、
第1の流体を受け入れるための近位端における入口と、
前記ハウジングの前記遠位端における前記入口の下流にあり、前記流体が前記ハウジングから出るように構成された出口と
を備えるハウジングと、
前記ハウジング内の複数の熱交換器コアと
を備え、前記複数の熱交換器コアは、接合部において接し、前記ハウジングの前記入口又は前記出口のうちの1つに向かって互いに分岐し、
前記複数の熱交換器コアは、プレートフィン配置を備え、
前記複数の熱交換器コアは、前記第1の流体が使用時に前記熱交換器コアを通過することができる1つ以上の第1の流路を備える、熱交換器。
【請求項2】
前記ハウジングは、実質的に正方形の形状の断面を備える、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記熱交換器の長さは、前記熱交換器の幅の長さの約4倍である、請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記複数の熱交換器コアの各々は、第2の流体を受け入れるためのコア入口と、前記第2の流れが前記熱交換器コアから出るように構成されたコア出口とを備える、請求項1、2、又は3のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記熱交換器コアのコア入口は、前記ハウジングの前記遠位端に向かって配置される、請求項4に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記熱交換器コアの前記出口は、前記熱交換器コアの前記接合部に配置される、請求項4又は5に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記熱交換器コアは、前記第1の流体に対して向流配置で配置される、請求項4~6のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記熱交換器コアは、60~160度の角度で互いに分岐する、請求項1~7のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記熱交換器コアは、複数の層を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項10】
前記第1の流体の流れを案内するように構成された1つ以上の翼型を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項11】
前記熱交換器コアは、前記ハウジングの前記入口に向かって互いに分岐する、請求項1~10のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項12】
前記熱交換器コアは、前記ハウジングの前記出口に向かって互いに分岐する、請求項1~10のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項13】
前記熱交換器の重量は、9kg~12kgである、請求項1~12のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の熱交換器を備える、航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器に関し、好ましくは航空機で使用するためのものであるが、これに限定されない。
【背景技術】
【0002】
航空工学では、熱交換器は、それらがそれらの設計動作範囲内で動作することを確実にするために、航空機中の様々な構成要素の熱管理において基本的な役割を有する。
【0003】
熱交換器は、飛行中に燃料の温度を上昇又は低下させて、航空機エンジン内での燃料使用の効率を増大させるために使用され得る。
【0004】
次世代航空宇宙用熱交換器の設計プロセスは、増大した排熱要求に直面している。中程度の飛行速度では、航空エンジンのシステム、潤滑油、並びに様々な機器及び任意選択のエネルギーシステムからの熱は、空気中に排出されることが多い。比較的高速では、これらの構成要素からの熱は、航空機の燃料などの別のヒートシンク中に排出されることが多い。
【0005】
航空機中の熱交換器の設計は、航空機の構造上の要件、例えば設置体積、圧力降下、熱負荷に適合するべきである。更に、多くの航空機は、厳しい重量及びサイズ要件を有し、航空機の構成要素に必要とされる冷却を提供することが可能な、比較的軽量で空間効率の良い熱交換器を提供することが課題である。更に、流入空気にさらされる従来の熱交換器はまた、航空機の抗力の量に悪影響を及ぼし得る。
【0006】
新しい種類の熱交換器の開発は、熱交換器の体積を低減することと、圧力降下及び熱伝達容量の点で性能を向上させることとの両方を求めて、常に進行中である。
【0007】
本開示の熱交換器は、これらの上述の問題のうちのいくつかに対処しようとするものである。
【発明の概要】
【0008】
一例によると、熱交換器であって、ハウジングであって、第1の流体を受け入れるための近位端における入口と、ハウジングの遠位端における入口の下流にあり、流体がハウジングから出るように構成された出口とを備えるハウジングと、ハウジング内の複数の熱交換器コアとを備える熱交換器が提供され、複数の熱交換器コアは、接合部において接し、ハウジングの入口又は出口のうちの1つに向かって [互いに]分岐し、複数の熱交換器コアは、第1の流体が使用時に熱交換器コアを通過することができる1つ以上の第1の流路を備える。
【0009】
熱交換器は、従来、熱管理システム内の最大の構成要素である。分岐するコアを提供することは、他の設置物と比較して比較的小さく軽量な設置体積をもたらし、それと同時に、傾斜した又は「従来の」直方体の設置物と同じ/より良好な熱性能を有する。更に、比較的低い第1の流体圧力損失は、動機付け(motivators)を必要とせずに依然として冷却用の第1の流体を送出しながら、全体的な抗力を最小限に抑える。
【0010】
分岐する熱交換器コアを有する熱交換器を提供することは、依然として高レベルの熱伝達を提供しながら、熱交換器を通って流れる第1の流体の圧力降下を低減する。圧力降下を低減することは、航空機に対する抗力の低減をもたらす。熱交換器は、(外気への通気孔を有する)航空機内の配管内に位置し得るか、又は代替として航空機の外板に結合され得る。
【0011】
ハウジングは、実質的に正方形の形状の断面を備え得る。言い換えれば、ハウジングは、近位端に開口部を有し、遠位端に開口部を有する実質的に直方体の形状であり得る。
【0012】
熱交換器の長さは、熱交換器の幅の長さの約4倍である。熱交換器の長さは、熱交換器の長手方向軸に沿った熱交換器の遠位端と近位端との間の距離である。熱交換器の幅は、ハウジングの長手方向軸に対して垂直な方向へのハウジングの壁間の距離である。
【0013】
一例では、複数の熱交換器コアの各々は、第2の流体を受け入れるためのコア入口と、第2の流れが熱交換器コアから出るように構成されたコア出口とを備える。
【0014】
一例では、熱交換器コアのコア入口は、ハウジングの遠位端に向かって配置される。別の例では、熱交換器のコア入口は、ハウジングの近位端に向かって配置される。一例では、熱交換器のコア入口は、熱交換器コアの接合部に配置される。
【0015】
一例では、熱交換器コアの出口は、熱交換器コアの接合部に配置される。他の例では、熱交換器のコア出口は、ハウジングの近位端に向かって配置される。一例では、熱交換器のコア出口は、熱交換器コアの接合部に配置される。
【0016】
熱交換器コアは、60~160度の角度で互いに分岐する、請求項1~7のいずれか一項に記載の熱交換器。
【0017】
一例では、熱交換器コアは、フィンチューブ構成を備える。別の例では、複数の熱交換器コアは、プレートフィン配置を備える。熱交換器コアは、複数の層を備え得る。
【0018】
一例では、熱交換器は、第1の流体の流れを案内するように構成された1つ以上の翼型を備える。
【0019】
一例では、熱交換器コアは、ハウジングの入口に向かって互いに分岐する。別の例では、熱交換器コアは、ハウジングの出口に向かって互いに分岐する。
【0020】
一例では、熱交換器の重量は、9kg~12kgである。これは、同様の熱伝達性能を有する従来の熱交換器の25kg~30kgの重量と比較される。同様の熱伝達性能を達成する傾斜した熱交換器コアを有する熱交換器は、約18kg~21kgの重量であろう。
【0021】
一例では、複数の熱交換器コアは、2つの熱交換器コアを備える。
【0022】
別の例によると、上記で説明したような熱交換器を備える航空機が提供される。
【0023】
別の例によると、熱交換器であって、ハウジングであって、第1の流体を受け入れるための近位端における入口と、ハウジングの遠位端における入口の下流にあり、流体がハウジングから出るように構成された出口とを備えるハウジングと、ハウジング内の複数の熱交換器コアとを備える熱交換器が提供され、複数の熱交換器コアは、接合部において接し、ハウジングの入口又は出口のうちの1つに向かって [互いに]分岐し、複数の熱交換器コアは、プレートフィン配置を備え、複数の熱交換器コアは、第1の流体が使用時に熱交換器コアを通過することができる1つ以上の第1の流路を備える。
【0024】
熱交換器は、従来、熱管理システム内の最大の構成要素である。分岐するコアを提供することは、他の設置物と比較して比較的小さく軽量な設置体積をもたらし、それと同時に、傾斜した又は「従来の」直方体の設置物と同じ/より良好な熱性能を有する。更に、比較的低い第1の流体圧力損失は、動機付けを必要とせずに依然として冷却用の第1の流体を送出しながら、全体的な抗力を最小限に抑える。
【0025】
分岐する熱交換器コアを有する熱交換器を提供することは、依然として高レベルの熱伝達を提供しながら、熱交換器を通って流れる第1の流体の圧力降下を低減する。圧力降下を低減することは、航空機に対する抗力の低下をもたらす。熱交換器は、(空気への通気孔を有する)航空機内の配管内に位置し得るか、又は代替として航空機の外板に結合され得る。
【0026】
ハウジングは、実質的に正方形の形状の断面を備え得る。言い換えれば、ハウジングは、近位端に開口部を有し、遠位端に開口部を有する実質的に直方体の形状であり得る。
【0027】
熱交換器の長さは、熱交換器の幅の長さの約4倍である。熱交換器の長さは、熱交換器の長手方向軸に沿った熱交換器の遠位端と近位端との間の距離である。熱交換器の幅は、ハウジングの長手方向軸に対して垂直な方向へのハウジングの壁間の距離である。
【0028】
一例では、複数の熱交換器コアの各々は、第2の流体を受け入れるためのコア入口と、第2の流れが熱交換器コアから出るように構成されたコア出口とを備える。
【0029】
一例では、熱交換器コアのコア入口は、ハウジングの遠位端に向かって配置される。別の例では、熱交換器のコア入口は、ハウジングの近位端に向かって配置される。一例では、熱交換器のコア入口は、熱交換器コアの接合部に配置される。
【0030】
一例では、熱交換器コアは、第1の流体に対して向流配置で配置される。
【0031】
一例では、熱交換器コアの出口は、熱交換器コアの接合部に配置される。他の例では、熱交換器のコア出口は、ハウジングの近位端に向かって配置される。一例では、熱交換器のコア出口は、熱交換器コアの接合部に配置される。一例では、複数の熱交換器コアの出口は、単一のアパーチャを通ってハウジングから出得る。
【0032】
熱交換器コアは、60~160度の角度で互いに分岐し得る。
【0033】
熱交換器コアは、複数の層を備え得る。
【0034】
一例では、熱交換器は、第1の流体の流れを案内するように構成された1つ以上の翼型を備える。
【0035】
一例では、熱交換器コアは、ハウジングの入口に向かって互いに分岐する。別の例では、熱交換器コアは、ハウジングの出口に向かって互いに分岐する。
【0036】
一例では、熱交換器の重量は、9kg~12kgである。これは、同様の熱伝達性能を有する従来の熱交換器の25kg~30kgの重量と比較される。同様の熱伝達性能を達成する傾斜した熱交換器コアを有する熱交換器は、約18kg~21kgの重量であろう。
【0037】
一例では、複数の熱交換器コアは、2つの熱交換器コアを備える。
【0038】
別の例によると、上記で説明したような熱交換器を備える航空機が提供される。
【0039】
本発明の一態様に関連して説明する特徴は、本発明の他の態様に組み込むことができることが認識されるであろう。例えば、本発明の装置は、方法を参照して本開示に説明する特徴のうちの任意のものを組み込むことができ、逆もまた同様である。その上、追加の実施形態及び態様が、以下の説明、図面、及び特許請求の範囲から明らかとなるであろう。前述及び以下の説明から認識することができるように、本明細書に説明するありとあらゆる特徴、及びそのような特徴のうちの2つ以上のありとあらゆる組み合わせ、及び範囲を定義する1つ以上の値のありとあらゆる組み合わせは、そのような組み合わせに含まれる特徴が相互に矛盾しない限り、本開示内に含まれる。加えて、任意の特徴、又は特徴の組み合わせ、又は範囲を定義する任意の値(複数可)は、本開示の任意の実施形態から特に除外され得る。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】航空機の例を示す。
図2】熱交換器のハウジングの例を示す。
図3】既知の熱交換器の例を示す。
図4】熱交換器の例の斜視図を示す。
図4A】チャンバの外側にペイロードを有するチャンバの外側の例を示す。
図5図4の熱交換器を通る断面図を示す。
図6】熱交換器の例の斜視図を示す。
図7A】熱交換器コアの一部の例を示す。
図7B】熱交換器コアの一部の例を示す。
図8A】熱交換器コアの一部の例を示す。
図8B】熱交換器コアの一部の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、胴体102を有する航空機100の例を示す。航空機100は、当該技術分野において周知であり、航空機の更なる詳細は、ここでは提供されない。一例では、航空機は、高空域長期滞空(HALE)無人航空機を備える。HALE航空機は、典型的には、15kmを超える高度で数週間又は数ヶ月間効率的に動作するそれらの能力を改善するために、長い翼長及び低い抗力を有する。いくつかの例では、HALE航空機は、熱管理を必要とするセンサなどの電子部品を備える1つ以上のペイロードを含む。
【0042】
図2は、熱交換器のハウジング104の例を示す。ハウジング104は、複数の熱交換器コアを収容するためのエンクロージャを提供するように構成された壁106を備え、それについては以下でより詳細に議論する。エンクロージャは、以下でより詳細に議論するように、両端が開いている場合がある。
【0043】
この例では、熱交換器ハウジング104は、入口108及び出口(outlet)110即ち出口(exit)を備える。入口108は、熱交換器内で冷却剤として使用され得る、流入空気などの第1の流体を受け入れるように構成される。出口110は、第1の流体が熱交換器を通過した後に熱交換器から出ることを可能にするように構成される。熱交換器ハウジング104の入口108は、熱交換器の入口でもある。熱交換器の出口110は、熱交換器の出口でもある。
【0044】
図2の例では、ハウジング104は、入口108及び出口110をそれぞれ画定する開かれた両端を有する直方体である。ハウジング104は、長手方向軸A-Aに沿って延在し、それを画定し得る。図2の例では、長手方向軸A-Aに対して垂直に取られたハウジング104の断面は、正方形の形状であろう。他の例では、ハウジング104は、円筒形であり得るか、又は長手方向軸A-Aに沿って延在する他の形状を有し得る。例えば、熱交換器のハウジング104は、円形ダクトであり得る。
【0045】
ハウジング104は、熱交換器が効果的であるのに十分な空間を依然として提供しながら、比較的コンパクトであるように成形される。一例では、ハウジング104は、長手方向軸A-Aに沿って、0.5m~1.5m、より好ましくは0.8m~1.2m、より好ましくは1mの長さを有する。
【0046】
ハウジング104の幅及び高さ、例えば長手方向軸A-Aに対して垂直な寸法は、0.15m~0.3m、より好ましくは0.23mであり得る。ハウジング104の長さは、ハウジング104の幅/高さの約4倍であり得る。
【0047】
一例では、ハウジング壁106は、以下でより詳細に議論するように、第2の流体を受け入れるための1つ以上のアパーチャ(図示せず)を有する。
【0048】
図3は、本発明の範囲内にない熱交換器の従来の直方体配置の例を示す。この例では、熱交換器は、交互の層112a、112bから形成されたコア114を備える。交互の層は、第1の流体経路112a及び第2の流体経路112bの交互の層を備える。
【0049】
この例では、第1の流体が、第1の流体経路112aを通って流れ、第2の流体が、第2の流体経路112bを通って流れる。第1の流体及び第2の流体は、熱が第1の流体と第2の流体との間で交換されるように、異なる温度で熱交換器に入るように構成される。
【0050】
第1の流体は、第1の矢印Bによって示すように、この例ではコア114の長手方向軸の方向である第1の方向でコア114に入る。第1の流体は、次いで、コア114を通って移動し、矢印Cによって示すようにコアから出る。第2の流体は、矢印Dによって示すように、この例ではコア114の長手方向軸に対して垂直である第2の方向でコア114に入る。第2の流体は、矢印Eによって示すようにコアから出る。
【0051】
この例では、第1の流体は、第2の流体経路112bを通って移動することを阻止され、第2の流体は、第1の流体経路112aを通って移動することを阻止される。
【0052】
従来の直方体の設置物を使用して第1の流体流路を遮断すると、第1の流体流が熱交換器に入るときに第1の流体流に大きな圧力降下をもたらす。この圧力降下は、次いで、全体的な抗力の増大を引き起こし、流れの動機付けを必要とし得る。加えて、この設置物は、第1の流体流路のための小さい前面面積をもたらし、フィン構造を必要とし、このことから、高い設置体積及び重量をもたらす。言い換えれば、図3に示す従来の直方体の設置物は、多くの欠点を有するので望ましくない。
【0053】
図4は、本発明による熱交換器120を示す。この例では、熱交換器120は、図2に示すようなハウジング104を備える。明確にするために、ハウジングは、ハウジング104内の要素が見えるように、図4では透明に示す。
【0054】
図2と同様に、ハウジング104は、第1の流体を受け入れるための入口108と、入口108の下流にあり、第1の流体がハウジング104から出るように構成された出口110とを有する。一例では、ハウジング104の入口108は、ハウジング104の近位端に配置され、出口110は、ハウジング104の遠位端に配置される。別の例では、入口108は、ハウジング104の遠位端に配置され、出口は、ハウジング104の近位端に配置される。明確にするために、長手方向軸A-Aは、図4に重ねられていないが、図2に示している。
【0055】
使用時、第1の流体は、ハウジング104内で入口108から出口110に流れるように構成される。
【0056】
熱交換器120は、複数の熱交換器コア122を備える。この例では、熱交換器は、2つの熱交換器コア122を備える。
【0057】
熱交換器コア122は、熱交換器120のハウジング104の入口108と出口110との間に配置される。即ち、第1の流体は、熱交換器120の入口108から出口110に移動するときに、熱交換器コア122のうちの少なくとも1つを通って流れなければならない。
【0058】
熱交換器コア122は、第1の流体が移動することができる第1の流体経路を備える。熱交換器コア122はまた、第2の流体が移動することができる第2の流体経路を備える。第1の流体経路及び第2の流体経路は、第1の流体及び第2の流体の混合を防止するために互いに隔離されている。例えば、第2の流体は、熱交換器コア122のパイプ内を移動し得、その一方で、第1の流体は、熱交換器コア122のパイプの周りの経路に流入するように構成される。
【0059】
熱交換器コアは、ハウジング104の長手方向軸A-Aに対して角度を付けられる。言い換えれば、熱交換器コア122は、ハウジング104の長手方向軸A-Aと平行ではない。
【0060】
図4に示す例では、熱交換器コア122は、熱交換器120のハウジング104内の接合部124において接するか又は接合する。この例では、熱交換器コア122は、接合部124から熱交換器120のハウジング104の出口110に向かって分岐している。即ち、熱交換器コア122間の距離は、接合部124から出口110に向かって増大する。
【0061】
図4では、熱交換器120は、2つの熱交換器コア122を備えるが、実際には、2つよりも多くの熱交換器コア122が使用され得る。
【0062】
熱交換器コア122は、コア入口126及びコア出口128を備える。コア入口126は、第2の流体を受け入れるように構成される。第2の流体は、コア出口128を通って熱交換器コア122から出るように構成される。
【0063】
図4では、ハウジング104の壁106は、第2の流体がコア入口126に入ることができるアパーチャを備える。この配置では、第2の流体は、第1の流体から隔離されている熱交換器コア122の導管又はパイプに直接入るであろうことから、第2の流体は、依然として第1の流体から隔離されるであろう。
【0064】
第2の流体が熱交換器120から出ることを可能にするために、コア出口128のための追加のアパーチャがハウジング104の壁106に存在し得る。
【0065】
図4に示す例では、コア入口126は、熱交換器120のハウジング104の長手方向軸A-Aに対して垂直に配置されているが、他の配置も可能である。コア入口126は、ハウジング104の入口108又は出口110に向かって又はそれに隣接して配置され得る。図4に示す例では、コア入口は、出口110又はハウジング104の遠位端に向かって又はそれに隣接して示しているが、他の配置では、コア入口は、入口108又はハウジング104の近位端に向かって又はそれに隣接して位置し得る。両方の例では、熱交換器コア122は、依然として接合部124からハウジング104の入口108又は出口110に向かって分岐している。
【0066】
コア出口128は、接合部124に又はそれに隣接して配置され得る。コア出口128は、ハウジング104の長手方向軸A-Aに対して垂直であるように配置され得る。一例では、コア出口128は、コア入口126に対して垂直であるように構成される。他の例では、コア入口126及びコア出口128は、図4に示すものと逆にされ得る。言い換えれば、第2の流体は、接合部124に又はその近くに位置するコア入口126において熱交換器コア122に入り得、第2の流体は、次いで、ハウジング104の入口108又は出口110に又はそれに向かって位置し得るコア出口128に向かって熱交換器コア122を通って移動する(例えば、第1の流体に対する向流配置)。
【0067】
図4に示すように、熱交換器コア122の各々のコア入口126は、互いに対向し得る。即ち、それらは、互いに対してハウジング104の両側に配置される。熱交換器コア122のコア出口128は、互いに隣接して配置される。熱交換器コア122のそれぞれのコア出口128が互いに隣接して配置される一例では、両方の出口128は、単一のアパーチャを通ってハウジング104から出得る。このようにして、ハウジング104中へのアパーチャが最小化される。これは、熱交換器120の製造をより単純にする。
【0068】
図4では、第1の流体流は、矢印Fによって表す方向で、即ちハウジング104の長手方向軸A-Aに対して実質的に平行に、入口108を介して熱交換器120に入る。第1の流体は、次いで、出口110においてハウジング104から出る前に、熱交換器コア122の1つ以上の第1の流路を通過する。第1の流体流は、図4の矢印Gによって示す方向で熱交換器120から出る。
【0069】
図4では、第2の流体は、コア入口126を介して熱交換器120に入る。第2の流体は、図4の矢印Hによって示す方向で熱交換器コア122に入り得る。
【0070】
第2の流体は、次いで、熱交換器コア122内を移動し、コア出口128において熱交換器コア122から出る。図4では、第2の流体は、図4の矢印Iによって示す方向で熱交換器コア122から出る。
【0071】
1つ以上のヘッダ(図示せず)が、コア入口126及び/又はコア出口128に存在し得る。
【0072】
図4では、コア入口126は、実質的にハウジング104の出口110に又はそれに隣接して示している。言い換えれば、コア入口126は、ハウジング104の遠位端に又はそれに隣接して位置し得る。
【0073】
しかしながら、他の例では、コア入口126とハウジング104の遠位端との間に間隙があり得る。
【0074】
図5は、熱交換器120の断面図を示す。図5に示すように、熱交換器コア122は、同じ形状を有し得るが、ハウジングの長手方向軸A-Aを中心に取り付けられる。
【0075】
図5はまた、熱交換器120内の複数の流れ案内羽根130を示す。流れ案内羽根130は、熱交換器120の全高にわたって延在し得る。
【0076】
流れ案内羽根130の目的は、第1の流体を最適な角度で熱交換器コア122を通って流れるように案内し、熱交換器コアの前面面積にわたる均一な質量流量分布を確実にすることである。
【0077】
熱交換器コア122が接する接合部124は、ハウジングの長手方向軸A-A上にあり得る。即ち、接合部は、上から見たとき、ハウジング104の中心線上にあり得る。
【0078】
接合部124は、ハウジング104の入口108から離間され得る。一例では、接合部124は、入口からハウジング104の幅の約半分で離間される。
【0079】
熱交換器コア122は、入口126がハウジング104の長手方向軸A-Aに対して約45度の角度で配置されるように成形され得る。熱交換器コア122は、熱交換器コア122の内側部分、例えば、他の熱交換器コアに面する熱交換器コア122の境界、の長さを表す内部長さKを有する。熱交換器コア122はまた、熱交換器コア122の外側部分、例えばハウジング104の壁106に面する熱交換器コア122の境界、の長さを表す外部長さLを有する。
【0080】
図5はまた、コア入口126における長手方向軸A-Aに対して垂直な寸法である幅Jを示す。
【0081】
図5に示す例では、熱交換器コア122は、αによって示す角度で分岐するように構成される。熱交換器コア122の重要な設計制約は、外部長さL及び幅Jを特定の熱負荷/圧力降下に対して最小限に保つことである。これは、角度αが十分に高くなるように設計されることを可能にし、そのため、熱交換器120を通して第1の流体流を案内するために、より少ない流れ案内羽根130が必要とされるか、又は全く必要とされない。より少ない流れ案内羽根130を提供することは、熱交換器120の重量を低減し、熱交換器120の設計をより容易にする。
【0082】
好ましくは、角度αは、60度~160度、より好ましくは75度~145度、より好ましくは90度~130度、より好ましくは105度~115度である。60~160度の分岐角αを提供することは、流れ長さに対して空気側の比較的より大きな断面積を提供することによって、熱交換器120内の第1の流体の圧力降下を低減する。
【0083】
更に、分岐する熱交換器コア122は、熱交換器コアの他の配置と比較して、第1の流体のための前面面積を最大化する。これは、第1の流体側でのより低い圧力降下につながり、及び/又はより熱伝達効率の高い幾何学的形状を使用することを可能にする。この配置は、熱交換器120が、第1の流体交換器側(例えば、ハウジング104の入口108)に対してより効率的な(熱伝達に関して)幾何学的形状を用いることができることを意味する。
【0084】
この配置はまた、熱交換器120の低減された重量を提供する。一例では、熱交換器120は、「従来の」設置物(例えば、図3に示す配置)よりも約50~60%低い。
【0085】
この分岐配置では、熱的利点ももたらす、第1の流体流及び第2の流体流の興味深い対向/直交の向きがある。
【0086】
一例では、熱交換器コア122の幾何学的形状は以下の通りである:
0.05x≦J≦0.35x
0.8y≦L≦1.2y
ここで、x及びyは、それぞれハウジング104の幅及び長さである。
【0087】
熱交換器120内の他の構成要素(ヘッダなど)のサイズは、熱交換器120中の重量を低く抑えるために最小限に保たれるべきである。
【0088】
分岐する熱交換器コア122の配置は、熱交換器120の内側の局所レイノルズ数を低減することを通して第1の流体圧力降下を最小限に抑えることを提供する。
【0089】
図6は、図4に示す例と比較して、熱交換器コア122の代替の配置を示す。明確にするために、ハウジング104は、ハウジング104内の要素が見えるように、図6では透明に示す。
【0090】
この例では、熱交換器コア122は、依然として接合部124において接する。しかしながら、熱交換器コア122は、次いで、入口108又はハウジング104の近位端に向かって分岐する。即ち、熱交換器コア122間の距離は、接合部124から入口108に向かって増大する。
【0091】
図6では、熱交換器120は、2つの熱交換器コア122を備えるが、実際には、2つよりも多くの熱交換器コア122が使用され得る。
【0092】
熱交換器コア122は、コア入口126及びコア出口128を備える。コア入口126は、第2の流体を受け入れるように構成される。第2の流体は、コア出口128を通って熱交換器コア122から出るように構成される。
【0093】
図6では、ハウジング104の壁106は、第2の流体がコア入口126に入ることができるアパーチャを備える。この配置では、第2の流体は、第1の流体から隔離されている熱交換器コア122の導管又はパイプに直接入るであろうことから、第2の流体は、依然として第1の流体から隔離されるであろう。
【0094】
第2の流体が熱交換器120から出ることを可能にするために、コア出口128のための追加のアパーチャがハウジング104の壁106に存在し得る。
【0095】
図6に示す例では、コア入口126は、熱交換器120のハウジング104の長手方向軸A-Aに対して垂直に配置されているが、他の配置も可能である。この例では、コア入口126は、ハウジング104の入口108に向かって又はそれに隣接して配置されている。
【0096】
コア出口128は、接合部124に又はそれに隣接して配置され得る。コア出口128は、ハウジング104の長手方向軸A-Aに対して垂直であるように配置され得る。一例では、コア出口128は、コア入口126に対して垂直であるように構成される。他の例では、コア入口126及びコア出口128は、図6に示すものと逆にされ得る。言い換えれば、第2の流体は、接合部124に又はその近くに位置するコア入口126において熱交換器コア122に入り得、第2の流体は、次いで、ハウジング104の入口108又は出口110に又はそれに向かって位置し得るコア出口128に向かって熱交換器コア122を通って移動する。
【0097】
図6に示すように、熱交換器コア122の各々のコア入口126は、互いに対向し得る。即ち、それらは、互いに対してハウジング104の両側に配置される。熱交換器コア122のコア出口128は、互いに隣接して配置される。
【0098】
図6では、第1の流体流は、矢印Fによって表す方向で、即ちハウジング104の長手方向軸A-Aに対して実質的に平行に、入口108を介して熱交換器120に入る。第1の流体は、次いで、出口110においてハウジング104から出る前に、熱交換器コア122の1つ以上の第1の流路を通過する。第1の流体流は、図6の矢印Gによって示す方向で熱交換器120から出る。第2の流体は、コア入口126を介して熱交換器120に入る。第2の流体は、図6の矢印Hによって示す方向で熱交換器コア122に入り得る。
【0099】
第2の流体は、次いで、熱交換器コア122内を移動し、コア出口128において熱交換器コア122から出る。図6では、第2の流体は、矢印Iによって示す方向で熱交換器コア122から出る。
【0100】
図4では、コア入口126は、実質的にハウジング104の入口110に又はそれに隣接して示している。言い換えれば、コア入口126は、ハウジング104の近位端に又はそれに隣接して位置し得る。
【0101】
しかしながら、他の例では、コア入口126とハウジング104の近位端との間に間隙があり得る。熱交換器コア122間の角度は、図4に関連して上記で説明したものと同じである。
【0102】
図6の熱交換器120の配置は、図4の配置と同じ利点を提供する。即ち、熱交換器に入る第1の流体の圧力降下が大幅に低減される。
【0103】
一例では、第1の流体は、空気又は別の圧縮性流体(気体)である。第2の流体は、非圧縮性流体、即ち水又は油などの液体であり得る。
【0104】
熱交換器コア122は、フィンチューブ配置を備え得る。図7A及び7Bは、フィンチューブの形態の熱交換器コア122の一部の例を示す。この例では、第1の流体は、熱交換器コア122を通って矢印Mによって示す方向に移動する。第1の流体は、熱交換器コア122を通る1つ以上の第1の流体経路を通って移動する。第1の流体経路は、複数のフィン134によって画定され得る。
【0105】
第2の流体は、導管132中で熱交換器コア122内を移動する。フィン134は、導管132に熱的に結合される。
【0106】
図7Bは、図7Aに示す例を通る断面を示すが、単一の管132のみを有する。
【0107】
熱交換器コア122は、プレートフィン配置を備える。プレートフィン熱交換器は、熱伝達が行われるためのより大きな表面積を作り出すそれらの固有の幾何学的形状のために、チューブフィン配置よりも大きな密度を備える。従って、プレートフィン熱交換器は、従来のチューブフィン熱交換器と比較して、指定された熱負荷に対してより小さく且つより軽量に作製することができるか、又は代替として、サイズ及び/若しくは重量を増大させることなく、より高い熱負荷を放散することができる。図8A及び8Bは、プレートフィン配置の形態の熱交換器コア122の一部の例を示す。この例では、第1の流体経路及び第2の流体経路の交互の層がある。第1の流体は、矢印Oによって表す方向に移動し得、第2の流体は、矢印Pによって表す方向に移動し得る。図8Bは、流体経路のうちの1つを通る断面の例を示す。
【0108】
プレートフィン熱交換器はまた、付加製造技法、例えば、選択的レーザ溶融法、選択的レーザ焼結法、又は指向性エネルギー堆積法を使用して製造され得る。そのような製造技法は、さもなければ従来の製造技法では困難又は不可能であった複雑なプレートフィン熱交換器の幾何学的形状が製造されることを可能にする。そのため、プレートフィン熱交換器は、チューブフィン熱交換器又は従来通りに製造されたプレートフィン熱交換器よりも更に大きな表面積を有するように製造され得、それによって、指定された熱負荷に対してより小さく、より軽量な熱交換器の可能性、又は代替として、サイズ及び/若しくは重量を増大させることなく、より高い熱負荷を放散させる能力を可能にする。
【0109】
熱交換器122は、増大した前面伝達面積を提供し、それは、従来の直方体(図3)又は傾斜した設置物と比較して、熱交換器122の内側のより低いレイノルズ数の低減を可能にする。これは、次に、熱交換器122の設置体積及び重量の低減(従来と比較して最大60%、傾斜と比較して40%)を可能にする、より熱伝達効率の高い内部幾何学的形状の使用を可能にする。加えて、第1の流体及び第2の流体の流れの向きは、従来の直方体又は傾斜した熱交換器設計に見られる標準的な直交流構成と比較して、図4及び6に示す熱交換器120において最も効率的な向流により近く、熱伝達をより効率的にし、熱交換器120をある特定の圧力降下制限内の所与の熱伝達要件に対してより小さくする。
【0110】
前述の説明では、既知の、明白な、又は予測可能な同等物を有する整数又は要素が言及される場合、そのような同等物は、個々に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。本開示の真の範囲を決定するために特許請求の範囲に対する参照が行われるべきであり、それは、任意のそのような同等物を包含するように解釈されるべきである。任意選択と説明する本開示の整数又は特徴は、独立請求項の範囲を限定しないことも読者によって認識されるであろう。その上、そのような任意選択の整数又は特徴は、本開示のいくつかの実施形態では利点となる可能性があるが、望ましくない場合があり、従って、他の実施形態では存在しない可能性があることが理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
【国際調査報告】