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特表2023-552227ジウレア-ジウレタンをベースとしたチキソトロピー組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-14
(54)【発明の名称】ジウレア-ジウレタンをベースとしたチキソトロピー組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/38 20060101AFI20231207BHJP
   C08G 18/28 20060101ALI20231207BHJP
   C09D 175/02 20060101ALI20231207BHJP
   C09D 11/102 20140101ALI20231207BHJP
【FI】
C08G18/38 014
C08G18/28 015
C09D175/02
C09D11/102
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534654
(86)(22)【出願日】2021-12-06
(85)【翻訳文提出日】2023-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2021084323
(87)【国際公開番号】W WO2022122617
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】2012756
(32)【優先日】2020-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】コールスニク, ドミトリー
(72)【発明者】
【氏名】ルロワ, ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】ソウラ, ティエリ
(72)【発明者】
【氏名】デュカステル, ヴィルジニー
(72)【発明者】
【氏名】ボーレー, シルヴェイン
【テーマコード(参考)】
4J034
4J038
4J039
【Fターム(参考)】
4J034CA15
4J034CC12
4J034CC52
4J034CC62
4J034DA01
4J034DB01
4J034DG03
4J034HA01
4J034HA07
4J034HC12
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC71
4J034QB10
4J034RA07
4J038DG031
4J039AE04
(57)【要約】
本発明は、ジウレア-ジウレタン化合物と非プロトン性溶媒とを含むチキソトロピー組成物、その調製方法、並びに特にバインダー組成物中におけるレオロジー剤、特にチキソトロピー剤としてのその使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化26】
(上式中、
各R’は、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、・-[(CR)-O]-Y及び・-[(CR)-C(=O)O]-Zから独立して選択され;
記号・は式(I)のウレタン基との結合点を表し;
各Rは、独立して、脂肪族基、脂環式基、芳香族基及び芳香脂肪族基から選択される二価基であり;
各Rは、独立して、脂肪族基、脂環式基、芳香族基、芳香脂肪族基及び複素環式基から選択される二価基であり;
Y及びZは、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール及びアリールアルキルから独立して選択され;
、R、R及びRは、H及びメチルから独立して選択され、特にHであり;
各nは2、3又は4に独立して等しく、特にnは2であり;
mは1から30の範囲であり、特にmは2から25の範囲であり;
pは3から5の範囲であり、特にpは5であり;
qは1から20の範囲であり、特にqは2から10の範囲である)
の化合物又は式(I)の化合物の混合物と非プロトン性溶媒とを含むチキソトロピー組成物において、組成物が、非プロトン性溶媒を除いて、組成物中の1ウレア基当たり0.1モル未満の塩を含むことを特徴とする、組成物。
【請求項2】
組成物が、非プロトン性溶媒を除いて、組成物中の1ウレア基当たり0から0.1モル未満、又は0から0.09モル、又は0から0.07モル、又は0から0.05モル、又は0から0.03モル、又は0から0.01モル、又は0から0.01モルの塩を含むことを特徴とする、請求項1に記載のチキソトロピー組成物。
【請求項3】
塩が、金属塩、イオン液体、及びアンモニウム塩から選択され;特に、塩が、ハロゲン化物、酢酸塩、ギ酸塩、又は硝酸塩から選択される金属塩であり;より特定的には、塩がリチウム塩であり;更により特定的には、塩が、LiCl、LiNO、LiBr及びそれらの混合物から選択されるリチウム塩であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のチキソトロピー組成物。
【請求項4】
組成物が、組成物中の1ウレア基当たり0.1モル未満の界面活性剤を含むことを特徴とする、請求項1から3の何れか一項に記載のチキソトロピー組成物。
【請求項5】
チキソトロピー組成物のNCO価が、0.5mg KOH/g未満、特に0.2mg KOH/g未満、より特定的には0.1mg KOH/g未満、更により特定的には0mg KOH/gであることを特徴とする、請求項1から4の何れか一項に記載のチキソトロピー組成物。
【請求項6】
組成物が、非プロトン性溶媒を除いて、ウレア、ウレタン及びそれらの混合物から選択される一又は複数の官能基を有する化合物の全モル量に対して、モルで、5%から80%、特に15%から75%、より特定的には25%から65%の式(I)の化合物を含むことを特徴とする、請求項1から5の何れか一項に記載のチキソトロピー組成物。
【請求項7】
組成物が、式(II):
【化27】
(上式中、R’及びRは、請求項1に記載の通りである)
の少なくとも一種の化合物を更に含むことを特徴とする、請求項1から6の何れか一項に記載のチキソトロピー組成物。
【請求項8】
組成物が、非プロトン性溶媒を除いて、ウレア、ウレタン及びそれらの混合物から選択される一又は複数の官能基を有する化合物の全モル量に対して、モルで、20%から95%、特に25%から85%、より特定的には35%から75%の式(II)の化合物を含むことを特徴とする、請求項7に記載のチキソトロピー組成物。
【請求項9】
各R’が、アルキル及び・-[(CR)-O]-Yから独立して選択され;特に、各R’が、直鎖状又は分枝状C-C30アルキル及び・-[CH-CH-O]-Yから独立して選択され、YはC-C24アルキルであり、mは1から25の範囲であり;より特定的には、各R’が、分枝状C-C20アルキル及び・-[CH-CH-O]-Yから独立して選択され、YはC-Cアルキルであり、mは2から20の範囲であることを特徴とする、請求項1から8の何れか一項に記載のチキソトロピー組成物。
【請求項10】
組成物が、R’基が同一である式(I)の化合物を含むことを特徴とする、請求項1から9の何れか一項に記載のチキソトロピー組成物。
【請求項11】
R’基が同一であり、Rに対応し;Rが、直鎖状又は分枝状C-C30アルキル、特に直鎖状又は分枝状C-C20アルキル、より特定的には、分枝状C-C20アルキルであることを特徴とする、請求項10に記載のチキソトロピー組成物。
【請求項12】
組成物が式(I)の化合物の混合物を含み、前記混合物が、R’基が異なる少なくとも一種の式(I)の化合物を含み;
特に式(I)の化合物の混合物が、
- R’基が異なり、R’基の一方がRに対応し、他方のR’基がRに対応する少なくとも一種の式(I)の化合物;
- 任意選択的に、R’基が同一であり、Rに対応する式(I)の化合物;
- 任意選択的に、R’基が同一であり、Rに対応する式(I)の化合物
を含み、R及びRが、請求項1又は9においてR’について記載された通りであることを特徴とする、請求項1から9の何れか一項に記載のチキソトロピー組成物。
【請求項13】
式(I)の化合物の混合物が、R’基が異なる分子量を有する少なくとも一種の式(I)の化合物を含み;
特に、混合物が、R’基が異なり、R’基の一方がRに対応し、他方のR’基がRに対応し、Rの分子量がRの分子量より低い少なくとも一種の式(I)の化合物を含み;
より特定的には、Rの分子量とRの分子量との差が、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも300、又は少なくとも350g/モルであり;
更により特定的には、R及びR基は、異なる分子量を有する・-[(CR)-O]-Y基であることを特徴とする、請求項12に記載のチキソトロピー組成物。
【請求項14】
式(I)の化合物の混合物が、R’基が、異なる化学的性質、特に親水性を有する少なくとも一種の式(I)の化合物を含み;
特に、混合物が、R’基が異なり、R’基の一方がRに対応し、他方のR’基がRに対応し、R基がRよりもより疎水性である少なくとも一種の式(I)の化合物を含み;
より特定的には、Rが直鎖状又は分枝状C-C30アルキルであり、Rは・-[(CR)-O]-Y基であることを特徴とする、請求項12又は13に記載のチキソトロピー組成物。
【請求項15】
式(I)の化合物の混合物が、R’基が異なる少なくとも二種の異なる式(I)の化合物を含み;
特に、式(I)の化合物の混合物が、
- R’基が異なり、R’基の一方がRに対応し、他方のR’基がRに対応する少なくとも一種の式(I)の化合物;及び
- R’基が異なり、R’基の一方がRに対応し、他方のR’基がRに対応する少なくとも一種の式(I)の化合物;
- 任意選択的に、R’基が異なり、R’基の一方がRに対応し、他方のR’基がRに対応する式(I)の化合物;
- 任意選択的に、R’基が同一であり、Rに対応する式(I)の化合物;
- 任意選択的に、R’基が同一であり、Rに対応する式(I)の化合物;
- 任意選択的に、R’基が同一であり、Rに対応する式(I)の化合物
を含み、R、R及びRが、R’について上に記載した通りであることを特徴とする、請求項1から14の何れか一項に記載のチキソトロピー組成物。
【請求項16】
式(I)の化合物の混合物が、R’基が異なる分子量を有する少なくとも二種の異なる式(I)の化合物を含み;
特に、混合物が、
- R’基が異なり、R’基の一方がRに対応し、他方のR’基がRに対応する少なくとも一種の式(I)の化合物;
- R’基が異なり、R’基の一方がRに対応し、他方のR’基がRに対応する少なくとも一種の式(I)の化合物
を含み、R、R及びRの分子量は異なり;
特に、R及びR基は、異なる分子量を有する・-[(CR)-O]-Y基であり;より特定的には、Rの分子量とRの分子量との差が、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも300又は少なくとも350g/モルであることを特徴とする、請求項15に記載のチキソトロピー組成物。
【請求項17】
式(I)の化合物の混合物が、R’基が異なる化学的性質、特に親水性を有する少なくとも二種の異なる式(I)の化合物を含み;
特に、混合物が、
- R’基が異なり、R’基の一方がRに対応し、他方のR’基がRに対応する少なくとも一種の式(I)の化合物;
- R’基が異なり、R’基の一方がRに対応し、他方のR’基がRに対応する少なくとも一種の式(I)の化合物
を含み、RはR及びR基よりもより疎水性であり;
より特定的には、Rは直鎖状又は分枝状C-C30アルキルであり、R及びRは・-[(CR)-O]-Y基であることを特徴とする、請求項15又は16に記載のチキソトロピー組成物。
【請求項18】
式(I)の化合物に含まれる全R’基の、20モル%超、特に25モル%から95モル%、30モル%から90モル%、35モル%から85モル%、又は40モル%から80モル%が、親水性基、特に・-[(CR)-O]-Y基であることを特徴とする、請求項1から17の何れか一項に記載のチキソトロピー組成物。
【請求項19】
各Rが、独立して芳香族基;特に、次の式:
【化28】
を有する芳香族基;
より特定的には、次の式:
【化29】
(上式中、記号・は式(I)のウレア又はウレタン基への結合点を表す)の一つに係る芳香族基;
更により特定的には、次の式:
【化30】
の一つに係る芳香族基であることを特徴とする、請求項1から18の何れか一項に記載のチキソトロピー組成物。
【請求項20】
式(I)の化合物に含まれる全R基の、85モル%超、90モル%超、95モル%超、97モル%超、98モル%超、99モル%超又は100モル%が、次の式:
【化31】
(上式中、記号・は式(I)のウレア又はウレタン基への結合点を表す)の芳香族基であり;
特に、式(I)の化合物に含まれる全R基の、60モル%超、65モル%超、70モル%超、75モル%超、80モル%超、85モル%超、又は90モル%超が、次の式:
【化32】
の芳香族基であることを特徴とする、請求項1から19の何れか一項に記載のチキソトロピー組成物。
【請求項21】
各Rが、独立して、C-C24アルキレン、-(CR)-[A-(CR)]-、-(CR)-CY-(CR)-及び-(CR)-CY-(CH)-CY-(CR)-から選択される基であり;
上式中、
AはO又はNXであり;
、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R及びRは、H及びメチルから独立して選択され、特にHであり;
XはCからCアルキル、特にメチル又はエチルであり;
CYは、フェニル、シクロヘキシル、ナフチル、デカヒドロナフチル、ピペラジニル、トリアジニル及びピリジニルから選択される環であり、該環は非置換か、又は1から3のC-Cアルキル基によって置換されており;
sは2から4の範囲であり、特にsは2であり;
tは2から4の範囲であり、特にtは2であり;
uは1から30の範囲であり;
v、w、x、y及びzは、独立して0から4の範囲であることを特徴とする、請求項1から20の何れか一項に記載のチキソトロピー組成物。
【請求項22】
各Rが、独立して、C-C24アルキレン及び-(CR)-CY-(CR)-から選択される基;
特に、C-C18アルキレン及び-(CH)v-CY-(CH)w-から選択され、ここで、CYはシクロヘキシル又はフェニル環であり、該環は非置換か、又は1から3のC-Cアルキル基によって置換されており、v及びwは0から1の範囲である基であり;
より特定的には、C-Cアルキレン及び次の式:
【化33】
(上式中、記号・は式(I)の化合物のウレア基との結合点を表す)
を有する基から選択される基であることを特徴とする、請求項1から21の何れか一項に記載のチキソトロピー組成物。
【請求項23】
非プロトン性溶媒が、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン、N-プロピルピロリドン、N-ブチルピロリドン、N,N,N’,N’-テトラメチルウレア及びそれらの混合物から選択され;特に、非プロトン性溶媒が、ジメチルスルホキシド又はN-ブチルピロリドンである、請求項1から22の何れか一項に記載のチキソトロピー組成物。
【請求項24】
組成物が、組成物の重量に対して、20重量%から95重量%、特に40重量%から80重量%、より特定的には50重量%から70重量%の非プロトン性溶媒を含むことを特徴とする、請求項1から23の何れか一項に記載のチキソトロピー組成物。
【請求項25】
a)式R’-O-C(=O)-NH-R-NCOの少なくとも一種のモノイソシアネート付加物を形成するために、式OCN-R-NCOの少なくとも一種のジイソシアネートを式R’-OHの少なくとも一種のアルコールと反応させる段階で、ジイソシアネートの全量に対するアルコールの全量のモル比が、1.10から1.80、特に1.20から1.60、より特定的には1.25から1.45、更により特定的には1.30から1.40の範囲である、段階;
b)式(I)
【化34】
(上式中、R’、R及びRは請求項1に記載の通りである)の少なくとも一種の化合物を形成するために、段階a)で得られた少なくとも一種のモノイソシアネート付加物を、使用されるジアミン1モル当たり0.2モル未満の金属塩の存在下で式HN-R-NHの少なくとも一種のジアミンと反応させる段階
を含む、チキソトロピー組成物の調製方法。
【請求項26】
段階b)が、使用されるジアミン1モル当たり0から0.19、0から0.15、0から0.1、0から0.05、0から0.02、0から0.01又は0モルの塩の存在下で実施されることを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
段階b)が、使用されるジアミン1モル当たり0.2モル未満、特に0から0.19、0から0.15、0から0.1、0から0.05、0から0.02、0から0.01又は0モルの界面活性剤の存在下で実施されることを特徴とする、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
残留ジイソシアネートの蒸留段階、特に段階a)と段階b)との間の残留ジイソシアネートの蒸留段階を含まないことを特徴とする、請求項25から27の何れか一項に記載の方法。
【請求項29】
段階a)の終了時の反応混合物中の残留ジイソシアネートの量が、ウレタン及びイソシアネートから選択される一又は複数の官能基を有する全化合物のモル量に対して、6モル%未満、特に0モル%から5モル%、0.01モル%から4.5モル%、又は0.05モル%から4モル%であることを特徴とする、請求項25から28の何れか一項に記載の方法。
【請求項30】
段階a)及び/又は段階b)が非プロトン性溶媒の存在下で実施されることを特徴とする、請求項25から29の何れか一項に記載の方法。
【請求項31】
段階a)において、式R-O-C(=O)-NH-R-NCOの少なくとも一種のモノイソシアネート付加物を形成するために、少なくとも一種のジイソシアネートが、式R-OHの単一アルコールと反応し、
段階b)において、式(I’):
【化35】
(上式中、R基は同一であり、請求項1においてR’について記載した通りであり;
及びRは請求項1に記載した通りである)
の少なくとも一種の化合物を形成するために、段階a)で得られた生成物が、式HN-R-NHの少なくとも一種のジアミンと反応する
ことを特徴とする、請求項25から30の何れか一項に記載の方法。
【請求項32】
段階a)において、式R-O-C(=O)-NH-R-NCO及びR-O-C(=O)-NH-R-NCOの少なくとも二種のモノイソシアネート付加物の混合物を形成するために、少なくとも一種のジイソシアネートが、式R-OH及びR-OHの少なくとも二種の異なるアルコールと反応し、
段階b)において、任意選択的に式(Ib)の化合物及び/又は式(Ic)の化合物との混合物として、式(Ia):
【化36】
(上式中、
全R基は同一であり、請求項1にR’について記載した通りであり;
全R基は同一であり、請求項1にR’について記載した通りであり;
基はRとは異なる)の少なくとも一種の化合物を形成するために、段階a)で得られた混合物が、式HN-R-NHの少なくとも一種のジアミンと反応する
ことを特徴とする、請求項25から30の何れか一項に記載の方法。
【請求項33】
アルコールR-OHがアルコールR-OHよりもより疎水性であり、及び/又はアルコールR-OHがアルコールR-OHの分子量よりも高い分子量を有することを特徴とする、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
アルコールR-OHの全モル量、特に最も疎水性の低いアルコール及び/又は最も高い分子量を有するアルコールの全モル量が、段階a)において投入されるアルコールR-OH及びR-OHの全モル量の20%超、特に25%から95%、30%から90%、35%から85%、又は40%から80%を占めることを特徴とする、請求項32又は33に記載の方法。
【請求項35】
アルコールR-OH、特に最も疎水性の低いアルコール及び/又は最も高い分子量を有するアルコールが、アルコールR-OH、特に最も疎水性のアルコール及び/又は最も低い分子量を有するアルコールが段階a)の反応混合物に投入される前にジイソシアネートと反応させられることを特徴とする、請求項32から34の何れか一項に記載の方法。
【請求項36】
段階a)において、式R-O-C(=O)-NH-R-NCO、R-O-C(=O)-NH-R-NCO及びR-O-C(=O)-NH-R-NCOの少なくとも三種のモノイソシアネート付加物の混合物を形成するために、ジイソシアネートが、式R-OH、R-OH及びR-OHの少なくとも三種の異なるアルコールの混合物と反応し、
段階b)において、以下
【化37】
(上式中、
全R基は同一であり、請求項1にR’について記載した通りであり;
全R基は同一であり、請求項1にR’について記載した通りであり;
全R基は同一であり、請求項1にR’について記載した通りであり;
基はRとは異なり;
基はRとは異なり;
基はRとは異なる)に表される式(Ia)の化合物、式(Id)の化合物、及び任意選択的に式(Ib)、(Ic)、(Ie)又は(If)の一又は複数種の化合物を形成するために、段階a)で得られた混合物が、式HN-R-NHの少なくとも一種のジアミンと反応する
ことを特徴とする、請求項25から30の何れか一項に記載の方法。
【請求項37】
アルコールR-OHが、アルコールR-OH及び/若しくはアルコールR-OHよりもより疎水性であり;並びに/又はアルコールR-OHがアルコールR-OHの分子量及び/若しくはアルコールR-OHの分子量よりも低い分子量を有することを特徴とする、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
アルコールR-OH及びR-OHの全モル量、特に最も疎水性の低いアルコール及び/又は最も高い分子量を有するアルコールの全モル量が、段階a)において投入されるアルコールR-OH、R-OH及びR-OHの全モル量の20%超、特に25%から95%、30%から90%、35%から85%、又は40%から80%を占めることを特徴とする、請求項36又は37に記載の方法。
【請求項39】
アルコールR-OH及びR-OH、特に最も疎水性の低いアルコール及び/又は最も高い分子量を有するアルコールが、アルコールR-OH、特に最も疎水性のアルコール及び/又は最も低い分子量を有するアルコールが段階a)の反応混合物に投入される前にジイソシアネートと反応させられることを特徴とする、請求項36から38の何れか一項に記載の方法。
【請求項40】
バインダーと、請求項1から24の何れか一項に記載の、又は請求項25から39の何れか一項に記載の方法に従って調製されたチキソトロピー組成物とを含むバインダー組成物。
【請求項41】
組成物が、コーティング組成物、特にワニス、下塗り材、表面ゲル、塗料又はインク組成物、接着剤、グルー又はマスチック組成物、成形組成物、複合材料組成物、化学シーリング組成物、漏れ止め剤組成物、立体リソグラフィー又は特にインクジェット印刷による物体の3D印刷用の光架橋性組成物であることを特徴とする、請求項40に記載のバインダー組成物。
【請求項42】
レオロジー剤、特にチキソトロピー剤としての、請求項1から24の何れか一項に記載の、又は請求項25から39の何れか一項に記載の方法に従って調製されたチキソトロピー組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一又は複数種のジウレア-ジウレタン化合物と非プロトン性溶媒とを含むチキソトロピー組成物、その調製方法、並びに特にバインダー組成物中におけるレオロジー剤、特にチキソトロピー剤としてのその使用に関する。
【従来技術】
【0002】
ジウレア-ジウレタン化合物は、有機ゲル化剤、つまり比較的低い重量濃度(1重量%未満)であってもあらゆる種類の有機溶媒をゲル化できる小さな有機分子として、又はレオロジー添加剤、つまり適用配合物のレオロジーを変更することを可能にする添加剤として、既に知られている。これらにより、例えば、チキソトロピー又は擬塑性効果を得ることが可能になる。
【0003】
液状のチキソトロピー剤は、配合物、特に水性コーティング配合物に容易に導入できるため、特に価値がある。
【0004】
米国特許第4314924号には、非プロトン性溶媒中のジウレア-ジウレタン溶液と、1ウレア基当たり0.1から2モルのLiClとを含むチキソトロピー組成物が記載されている。LiClは組成物を安定させるために使用されている。しかし、このリチウム塩の存在は、組成物を金属基材に適用する際に腐食の問題を引き起こす可能性があり、そのルイス酸性度のため制御されない物質を生成する可能性がある。更に、リチウム塩、特にLiClは有毒化合物であり、これらを含む配合物は化学物質の分類、ラベル表示及び包装に関して現行の規制の対象となる。その組成物は、1モルのモノアルコールを1モルのジイソシアネートと反応させてモノイソシアネート付加物を形成し、これを続いて、0.5モルのポリアミンと0.1から2モルのLiClを含む非プロトン性溶媒中に導入することによって調製される。しかし、モノアルコールとジイソシアネートの間で化学量論比を使用する結果、ジウレア-ジウレタン化合物の構造は完全には制御されない。これにより、沈殿する傾向のある非反応性又は不溶性物質が生成される可能性がある。
【0005】
米国特許第6420466号には、モノアルコールを過剰のトルエンジイソシアネートと反応させてモノイソシアネート付加物を形成することにより、ジウレア-ジウレタン化合物を含むチキソトロピー剤を調製する方法が記載されている。過剰のトルエンジイソシアネートを続いて減圧蒸留により除去し、ついでモノイソシアネート付加物を非プロトン性溶媒中、LiClの存在下でジアミンと反応させる。この方法ではまた腐食性リチウム塩が使用され、過剰なジイソシアネートの蒸留段階で費用が嵩み、工業規模では特定のプラントを必要とする。
【0006】
従って、リチウム塩が存在しない場合でも安定であり、残留ジイソシアネートの蒸留段階なしで容易に調製でき、従来技術の同等の添加剤のものと少なくとも等価で、実際には更に優れている、レオロジー性能品質を有する、ジウレア-ジウレタンをベースとする新規な液体チキソトロピー添加剤に対する必要性が存在する。
【0007】
数多くの調査研究を経て、本出願人会社は、この必要性を満たすチキソトロピー組成物を開発した。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、式(I)
【化1】
(上式中、R’、R及びRは以下に定義される通りである)の化合物又は式(I)の化合物の混合物と非プロトン性溶媒とを含むチキソトロピー組成物に関し;
該組成物は、非プロトン性溶媒を除いて、組成物中に1ウレア基当たり0.1モル未満の塩を含む。
【0009】
本発明の別の主題は、次の段階を含むチキソトロピー組成物の調製方法である:
a)式R’-O-C(=O)-NH-R-NCOの少なくとも一種のモノイソシアネート付加物を形成するために、式OCN-R-NCOの少なくとも一種のジイソシアネートを式R’-OHの少なくとも一種のアルコールと反応させる段階で、ジイソシアネートの全量に対するアルコールの全量のモル比が、1.10から1.80、特に1.20から1.60、より特定的には1.25から1.45、更により特定的には1.30から1.40の範囲である、段階;
b)式(I)
【化2】
(上式中、R’、R及びRは以下に記載される通りである)
の少なくとも一種の化合物を形成するために、段階a)で得られた少なくとも一種のモノイソシアネート付加物を、使用されるジアミン1モル当たり0.2モル未満の金属塩の存在下で式HN-R-NHの少なくとも一種のジアミンと反応させる段階。
【0010】
本発明の別の主題は、バインダーと、本発明に係る又は本発明の方法に従って調製されたチキソトロピー組成物とを含むバインダー組成物である。
【0011】
本発明の別の主題は、本発明に係る又は本発明の方法に従って調製されたチキソトロピー組成物の、レオロジー剤、特にチキソトロピー剤としての使用である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[定義]
本特許出願では、「一つ(a)を含む」及び「一つ(an)を含む」という用語は、「一つ又は複数を含む」を意味する。
【0013】
特に明記しない限り、化合物又は組成物中の重量パーセントは、化合物又は組成物の重量に対して表される。
【0014】
「ジウレア-ジウレタン化合物」という用語は、二つのウレア官能基と二つのウレタン官能基を有する化合物を意味する。
【0015】
「ジウレタン化合物」という用語は、二つのウレタン官能基を有し、ウレア官能基を有していない化合物を意味する。
【0016】
「ポリウレア-ジウレタン化合物」という用語は、二つのウレタン官能基と少なくとも4つのウレア官能基を有する化合物を意味する。
【0017】
「ウレア官能基」又は「ウレア基」という用語は、-NH-C(=O)-NH-配列を意味する。
【0018】
「ウレタン官能基」又は「ウレタン基」という用語は、-NH-C(=O)-O-又は-O-C(=O)-NH-配列を意味する。
【0019】
「溶媒」という用語は、他の物質を化学的に変性させることなく、またそれ自体が変性されることなく、他の物質を溶解し、希釈し、又はその粘度を低下させる性質を有する液体を意味する。
【0020】
「非プロトン性溶媒」とは、酸性水素原子を有していない溶媒を意味する。特に、非プロトン性溶媒は、ヘテロ原子(O、N又はS)に結合した水素原子を含まない。
【0021】
「塩」という用語は、イオン性化合物を意味する。塩は無機塩でも有機塩でもよいが、無機塩が好ましい。本発明の意味では、「塩」という用語はイオン性界面活性剤を含まない。
【0022】
「界面活性剤」という用語は、二つの表面間の表面張力を変更できる化合物を意味する。界面活性剤は、特に両親媒性化合物であり得、すなわち、(脂肪物質を保持する)親油性部分が非極性で、他方の親水性部分(水混和性)が極性である、異なる極性の二つの部分を示す。
【0023】
「アルキル」という用語は、式-C2n+1の飽和一価非環式基を意味する。アルキルは直鎖状でも分枝状でもよい。C-C30アルキルは、1から30個の炭素原子を有するアルキルを意味する。
【0024】
「アルケニル」という用語は、一つ又は複数のC=C二重結合を有する一価非環式炭化水素基を意味する。アルケニルは直鎖状又は分枝状でもよい。C-C30アルケニルは、2から30個の炭素原子を有するアルケニルを意味する。
【0025】
「シクロアルキル」という用語は、一価環状炭化水素基を意味する。シクロアルキルは飽和でも不飽和でもよい。シクロアルキルは非芳香族である。C-C12シクロアルキルは、5から12個の炭素原子を有するシクロアルキルを意味する。
【0026】
「アリール」という用語は、一価芳香族炭化水素基を意味する。C-C12アリールは、6から12個の炭素原子を有するアリールを意味する。
【0027】
「アリールアルキル」という用語は、アリール基で置換されたアルキル基を意味する。
【0028】
「脂肪族」という用語は、非芳香族非環式化合物又は基を意味する。それは、直鎖状又は分枝状、飽和又は不飽和、及び置換又は非置換でありうる。それは、例えばエーテル、エステル、アミン及びそれらの混合物から選択される一つ又は複数の結合/官能基を含みうる。
【0029】
「脂環式」という用語は、環原子として炭素原子のみを有する環を含む非芳香族化合物又は基を意味する。それは置換されていても非置換でもよい。
【0030】
「芳香族」という用語は、芳香環を含む、つまり、芳香族性のヒュッケル則に従う化合物又は基、特にフェニル基を含む化合物を意味する。それは置換されていても非置換でもよい。それは、「脂肪族」という用語に対して定義される一つ又は複数の結合/官能基を含みうる。
【0031】
「芳香脂肪族」という用語は、脂肪族部分と芳香族部分を含む化合物又は基を意味する。
【0032】
「複素環式」という用語は、環原子としてN、O及び/又はSから選択される少なくとも一つのヘテロ原子を有する環を含む化合物又は基を意味する。それは置換されていても非置換でもよい。それは芳香族であっても非芳香族でもよい。
【0033】
[チキソトロピー組成物]
本発明に係るチキソトロピー組成物は、以下に記載されるように、ジウレア-ジウレタン化合物又はジウレア-ジウレタン化合物の混合物と非プロトン性溶媒とを含む。
【0034】
本発明に係る組成物は、塩をほとんど又は全く含まないにもかかわらず、安定である。本発明に係るチキソトロピー組成物は、非プロトン性溶媒を除いて、組成物中に1ウレア基当たり0.1モル未満の塩を含む。ウレア基の数は、非プロトン性溶媒を除いて、組成物に含まれる化合物全体に対して決定される。式(I)の化合物は2つのウレア基を含む。組成物が1モルの式(I)の化合物を含み、組成物中に少なくとも一つのウレア基を有する他の化合物が存在しない場合、組成物は0.2モル未満の塩を含む。
【0035】
特に、チキソトロピー組成物は、非プロトン性溶媒を除いて、組成物中に1ウレア基当たり、0から0.1モル未満、又は0から0.09モル、又は0から0.07モル、又は0から0.05モル、又は0から0.03モル、又は0から0.01モル、又は0から0.001モルの塩を含みうる。
【0036】
より特定的には、チキソトロピー組成物は、非プロトン性溶媒を除いて、組成物の重量に対して、重量で、1%未満、又は0%から0.9%、又は0%から0.7%、又は0%から0.5%、又は0%から0.25%、又は0%から0.2%、又は0%から0.15%、又は0%から0.09%、又は0%から0.03%のLiClを含みうる。
【0037】
より特定的には、チキソトロピー組成物は、非プロトン性溶媒を除いて、組成物の重量に対して、重量で、1.6%未満、又は0%から1.4%、又は0%から1.1%、又は0%から0.8%、又は0%から0.4%、又は0%から0.3%、又は0%から0.25%、又は0%から0.15%、又は0%から0.05%のLiNOを含みうる。
【0038】
塩は、特に、金属塩、イオン液体、及びアンモニウム塩から選択されうる。特に、塩は、ハロゲン化物、酢酸塩、ギ酸塩、又は硝酸塩から選択される金属塩でありうる。より特定的には、塩はリチウム塩でありうる。更により特定的には、塩は、LiCl、LiNO、LiBr、及びそれらの混合物から選択されるリチウム塩でありうる。
【0039】
本発明に係る組成物は、特に界面活性剤などの安定剤を添加しなくても特に安定でありうる。特定の実施態様によれば、本発明に係るチキソトロピー組成物は、組成物中に1ウレア基当たり0.1モル未満の界面活性剤を含む。
【0040】
特に、チキソトロピー組成物は、非プロトン性溶媒を除いて、組成物中に1ウレア基当たり、0から0.1モル、又は0から0.08モル、又は0から0.06モル、又は0から0.04モル、又は0から0.02モル、又は0から0.01モル、又は0から0.001モルの界面活性剤を含みうる。
【0041】
より特定的には、チキソトロピー組成物は、非プロトン性溶媒を除いて、組成物の重量に対して、重量で、3%未満、又は0%から2.8%、又は0%から2.4%、又は0%から2%、又は0%から1.6%、又は0%から1.2%、又は0%から1%、又は0%から0.5%、又は0%から0.1%、又は0%から0.01%の界面活性剤を含みうる。
【0042】
界面活性剤は、特に、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤及びそれらの混合物から選択されうる。界面活性剤は、特に8から12のHLBを有しうる。
【0043】
アニオン性界面活性剤の例は、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、スルホコハク酸塩、リン酸エステル塩及びカルボン酸塩である。カチオン性界面活性剤の例は、第四級アンモニウム塩(特にテトラアルキルアンモニウム塩及び第四級アンモニウムエステル又はエステルクワット)である。非イオン性界面活性剤の例は、アルコキシル化(特にエトキシル化及び/又はプロポキシル化)脂肪族アルコール、アルキルグリコシド、脂肪酸のエステル(特に、脂肪酸のグリコールエステル、グリセロールエステル、ソルビタンエステル又はスクロースエステル)並びにアルコキシル化(特にエトキシル化及び/又はプロポキシル化)されている脂肪酸のエステルである。両性イオン性界面活性剤の例は、ベタイン、イミダゾリン、スルタイン、リン脂質及びアミンオキシドである。
【0044】
本発明に係る組成物は、0.5mg KOH/g未満、特に0.2mg KOH/g未満、より特定的には0.1mg KOH/g未満、更により特定的には0mg KOH/gのNCO価を有しうる。NCO価は、以下に記載される方法に従って測定されうる。
【0045】
[式(I)の化合物]
本発明に係るチキソトロピー組成物は、式(I):
【化3】
(上式中、R’、R及びRは以下に記載される通りである)の化合物又は式(I)の化合物の混合物を含む。
【0046】
好ましくは、式(I)の化合物は、第三級アミン官能基又は第四級アンモニウム官能基を含まない。
【0047】
式(I)の化合物は、特に、式R’-OHの少なくとも一種のアルコールと、式OCN-R-NCOの少なくとも一種のジイソシアネートと、式HN-R-NHの少なくとも一種のジアミンとの反応生成物に相当しうる。
【0048】
チキソトロピー組成物は、非プロトン性溶媒を除いて、ウレア、ウレタン及びそれらの混合物から選択される一又は複数の官能基を有する化合物の全モル量に対して、モルで、特に5%から80%、特に15%から75%、より特定的には25%から65%の式(I)の化合物を含みうる。
【0049】
[R’基]
式(I)の化合物は、二つのR’基を含む。式(I)の一つの同じ化合物のR’基は、同一であっても異なっていてもよい。本発明に係る組成物は、同一のR’基を有する式(I)の化合物の混合物を含みうる。本発明に係る組成物は、そのR’基が異なる式(I)の化合物の混合物を含みうる。例えば、混合物の一部の化合物は同一のR’基を有し得、混合物の一部の化合物は異なるR’基を有しうる。
【0050】
各R’基は、式(I)のジウレア-ジウレタン化合物を形成するための式R’-OHのアルコールの使用に由来しうる。R’基は、OH基を除いた式R’-OHのアルコールの残基に相当しうる。以下に記載されるR’基と式R’-OHの対応するアルコールもまた本発明に係る方法に適用される。
【0051】
各R’は、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、・-[(CR)-O]-Y及び・-[(CR)-C(=O)O]-Zから独立して選択され;
記号・は式(I)のウレタン基との結合点を表し;
Y及びZは、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール及びアリールアルキルから独立して選択され;
、R、R及びRは、H及びメチルから独立して選択され、特にHであり;
各nは2、3又は4に独立して等しく、特にnは2であり;
mは1から30の範囲であり、特にmは2から25の範囲であり;
pは3から5の範囲であり、特にpは5であり;
qは1から20の範囲であり、特にqは2から10の範囲である。
【0052】
R’基は、アルキル、特にCからC30アルキルでありうる。適切なアルキル基の例は、メチル、プロピル、1-メチルエチル、ブチル、X1-2-メチルプロピル、ペンチル、X1-3-メチルブチル、ヘキシル、X1-4-メチルペンチル、ヘプチル、X1-5-メチルヘキシル、オクチル、X1-6-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、ノニル、X1-7-メチルオクチル、デシル、X1-8-メチルノニル、ウンデシル、X1-9-メチルデシル、ドデシル、X1-10-メチルウンデシル、トリデシル、X1-11-メチルドデシル、2,5,9-トリメチルデシル、テトラデシル、X1-12-メチルトリデシル、ペンタデシル、X1-13-メチルテトラデシル、ヘキサデシル、X1-14-メチルペンタデシル、ヘプタデシル、X1-15-メチルヘキサデシル、オクタデシル、X1-16-メチルヘプタデシル、ノナデシル、X1-17-メチルオクタデシル、イコシル、X1-18-メチルノナデシル、ヘニコシル、X1-19-メチルイコシル、ドコシル、X1-20-メチルヘニコシル、2-プロピルヘプチル、2-プロピルノニル、2-ペンチルノニル、2-ブチルオクチル、2-ブチルデシル、2-ヘキシルオクチル、2-ヘキシルデシル、2-オクチルデシル、2-ヘキシルドデシル、2-オクチルドデシル、2-デシルテトラデシル、6-メチルドデシル及びそれらの異性体であり、ここで、Xa-bはaからbの範囲の全ての値をとりうる整数を表し、Xa-bはアルキル基における置換基の位置を示す。X1-11-メチルドデシル基は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11位がメチル基で置換されたドデシル基、例えば11-メチルドデシル又は2-メチルドデシルである。「異性体」という用語は、同じ数の炭素原子を含むが、異なる置換スキーム、例えばメチル置換基又はより多くのメチル置換基の代わりにエチル置換基を有するアルキル基を意味するものと理解される。従って、2,5,9-トリメチルデシル基は、11-メチルドデシル又は2-メチルドデシル基の異性体である。上述のアルキル基は、特に、1位でウレタン基に結合されうる。従って、2,5,9-トリメチルデシル基は、次の式:
【化4】
(上式中、波線は式(I)の化合物のウレタン基への結合点を表す)
によって表されうる。
【0053】
R’基はアルケニル、特にCからC30アルケニルでありうる。適切なアルケニル基の例は、ヘキサ-Y2-5-エニル、ヘプタ-Y2-6-エニル、オクタ-Y2-7-エニル、ノナ-Y2-8-エニル、デカ-Y2-9-エニル、ウンデカ-Y2-10-エニル、ドデカ-Y2-11-エニル、トリデカ-Y2-12-エニル、テトラデカ-Y2-13-エニル、ヘキサデカ-Y2-15-エニル、オクタデカ-Y2-17-エニル、イコサ-Y2-19-エニル、ドコサ-Y2-21-エニル、ヘプタデカ-8,11-ジエニル、オクタデカ-9,12-ジエニル、ノナデカ-10,13-ジエニル、イコサ-11,14-ジエニル、ドコサ-13,16-ジエニル、オクタデカ-5,9,12-トリエニル、オクタデカ-6,9,12-トリエニル、オクタデカ-9,12,15-トリエニル、オクタデカ-9,11,13-トリエニル、イコサ-8,11,14-トリエニル及びイコサ-11,14,17-トリエニルであり、ここで、Ya-bはaからbの範囲の全ての値をとりうる整数を表し、Ya-bはアルケニル基における二重結合の位置を示す。ヘキサ-Y2-5-エニル基は、二重結合が2、3、4、又は5位にありうるヘキセニル基であり、ヘキサ-2-エニル、ヘキサ-3-エニル、ヘキサ-4-エニル基及びヘキサ-5-エニル基に対応する。上述のアルケニル基は、特に1位でウレタン基に結合しうる。従って、ヘキサ-2-エニル基は、次の式:
【化5】
(上式中、波線は式(I)の化合物のウレタン基への結合点を表す)
によって表されうる。
【0054】
R’基は、シクロアルキル、特にCからC12シクロアルキルでありうる。適切なシクロアルキル基の例は、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル及びシクロドデシルである。
【0055】
R’基は、アリール、特にCからC12アリールでありうる。適切なアリール基の例は、フェニル、ナフチル、ビフェニル、オルト-、メタ-又はパラ-トリル、2,3-、2,4-、2,5-、2,6-、3,4-又は3,5-キシリル及びメシチルである。
【0056】
R’基は、アリールアルキル、特にCからC12アリールアルキルでありうる。適切なアリールアルキル基の例は、ベンジル、2-フェニルエチル、3-フェニルプロピル、4-フェニルブチル及び2-フェニルブチルである。
【0057】
R’基は、・-[(CR)-O]-Y基であり得、ここで、
Yは、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール及びアリールアルキルから選択され;
及びRは、H及びメチルから独立して選択され、特にHであり;
各nは2、3、又は4に独立して等しく、特にnは2であり;
mは1から30の範囲、特にmは2から25の範囲である。
【0058】
・-[(CR)-O]-Y基の例は、上記のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール及びアルキルアリール基のアルコキシル化誘導体である。上記のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール及びアリールアルキル基から選択される末端基を含むポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、コポリ(エチレングリコール/プロピレングリコール)及びポリテトラメチレングリコールが特に適している。これらの基は、特に、上記のようなR’基を有するアルコールR’OHを、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン及びそれらの混合物から選択される環状化合物と反応させることによって得ることができる。
【0059】
R’基は、・-[(CR)-C(=O)O]-Z基であり得、ここで、
Zは、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール及びアリールアルキルから選択され;
及びRは、H及びメチルから独立して選択され、特にHであり;
pは3から5の範囲であり、特にpは5であり;
qは1から20の範囲、特にqは2から10の範囲である。
【0060】
・-[(CR)-C(=O)O]-Z基の例は、上記のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール及びアリールアルキル基のエステル化誘導体である。上記のようなアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール及びアリールアルキル基から選択される末端基を含むポリエステルが特に適している。これらの基は、特に、上記のR’基を有するアルコールR’OHを、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン及びそれらの混合物から選択されるラクトンと反応させることによって得ることができる。
【0061】
一実施態様によれば、各R’は、上に記載のアルキル及び・-[(CR)-O]-Y基から独立して選択される。特に、各R’は、直鎖状又は分枝状C-C30アルキル及び・-[CH-CH-O]-Yから独立して選択され、ここで、YはC-C24アルキルであり、mは1から25の範囲である。より特定的には、各R’は、分枝状C-C20アルキル及び・-[CH-CH-O]-Yから独立して選択され、ここで、YはC-Cアルキルであり、mは1から20の範囲である。
【0062】
更により特定的には、各R’は、オクチル、X1-6-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、ノニル、X1-7-メチルオクチル、デシル、X1-8-メチルノニル、ウンデシル、X1-9-メチルデシル、ドデシル、X1-10-メチルウンデシル、トリデシル、X1-11-メチルドデシル、2,5,9-トリメチルデシル、テトラデシル、X1-12-メチルトリデシル、ペンタデシル、X1-13-メチルテトラデシル、ヘキサデシル、X1-14-メチルペンタデシル、ヘプタデシル、X1-15-メチルヘキサデシル、オクタデシル、X1-16-メチルヘプタデシル、ノナデシル、X1-17-メチルオクタデシル、イコシル、X1-18-メチルノナデシル、ヘニコシル、X1-19-メチルイコシル、ドコシル、X1-20-メチルヘニコシル、2-プロピルヘプチル、2-プロピルノニル、2-ペンチルノニル、2-ブチルオクチル、2-ブチルデシル、2-ヘキシルオクチル、2-ヘキシルデシル、2-オクチルデシル、2-ヘキシルドデシル、2-オクチルドデシル、2-デシルテトラデシル、6-メチルドデシル及びそれらの異性体、・-[CH-CH-O]-(CH)-CH3及び・-[CH-CH-O]-CH(式中、m=2から20)から独立して選択される。
【0063】
式(I)の化合物は、同一の又は異なるR’基を有しうる。式(I)の化合物は、異なる分子量を有するR’基を有しうる。式(I)の化合物は、異なる化学的性質、特に親水性を有するR’基を有しうる。
【0064】
本発明に係る組成物は、R’基が同一である式(I)の化合物を含みうる。本発明に係る組成物は、R’基が異なる式(I)の化合物を含みうる。本発明に係る組成物は、R’基が同一である式(I)の化合物と、R’基が異なる式(I)の化合物とを含みうる。
【0065】
本発明に係る組成物は、特に、R’基が同一である式(I)の化合物を含みうる。R’基は同一であり、Rに対応し得、Rは、上述のように、直鎖状又は分枝状C-C30アルキル、特に直鎖状又は分枝状C-C20アルキル、より特定的には分枝状C-C20アルキルである。
【0066】
本発明に係る組成物は、特に、式(I)の化合物の混合物を含み得、前記混合物は、R’基が異なる少なくとも一種の式(I)の化合物を含む。混合物は、R’基が異なる分子量を有する少なくとも一種の式(I)の化合物を含みうる。混合物は、R’基が異なる化学的性質、特に親水性を有する少なくとも一種の式(I)の化合物を含みうる。
【0067】
R’基が異なる式(I)の化合物を含む組成物は、特に、R-OH及びR-OHに特に対応する、少なくとも二種の異なるアルコールR’-OHの混合物を使用して、式(I)の化合物を形成することによって得ることができる。
【0068】
特に、式(I)の化合物の混合物は、
- R’基が異なり、R’基の一方がRに対応し、他方のR’基がRに対応する少なくとも一種の式(I)の化合物;
- 任意選択的に、R’基が同一であり、Rに対応する式(I)の化合物;
- 任意選択的に、R’基が同一であり、Rに対応する式(I)の化合物
を含み得、R及びRは、R’について上に記載した通りである。
【0069】
式(I)の化合物の混合物は、特に式(Ia)の化合物を、任意選択的に式(Ib)の化合物及び/又は式(Ic)の化合物との混合物として、含みうる:
【化6】
(上式中、
全R基は同一であり、R’について上に記載した通りであり;
全R基は同一であり、R’について上に記載した通りであり;
基はRとは異なる)
【0070】
基はR基よりもより疎水性であり得;及び/又はR基はR基の分子量よりも高い分子量を有しうる。
【0071】
基とR基の分子量は異なりうる。特に、R基は、R基の分子量よりも低い分子量を有しうる。より特定的には、R基の分子量とR基の分子量との差は、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも300又は少なくとも350g/モルでありうる。
【0072】
基とR基の化学的性質は異なりうる。特に、R基はR基よりもより疎水性でありうる。
【0073】
及びR基は、異なる分子量を有する式・-[(CR)-O]-Yの基であり得、Y、R、R、n及びmは上に記載した通りである。或いは、R基は直鎖状又は分枝状C-C30アルキルであり得、R基は式・-[(CR)n-O]-Y(式中、Y、R、R、n及びmは上に記載した通りである)の基でありうる。
【0074】
基、特に最も疎水性の低い基及び/又は最も高い分子量を有する基の全モル量は、非プロトン性溶媒を除いて、本発明に係る組成物中のウレア、ウレタン及びそれらの混合物から選択される一つ又は複数の官能基を有する全ての生成物のR及びR基の全モル量の、特に20%超、特に25%から95%、30%から90%、35%から85%、又は40%から80%を占めうる。
【0075】
本発明に係る組成物は、特に、式(I)の化合物の混合物を含み得、前記混合物は、R’基が異なる少なくとも二種の異なる式(I)の化合物を含む。混合物は、R’基が異なる分子量を有する少なくとも二種の異なる式(I)の化合物を含みうる。混合物は、R’基が異なる化学的性質、特に親水性を有する少なくとも二種の異なる式(I)の化合物を含みうる。
【0076】
R’基が異なる少なくとも二種の式(I)の化合物を含む組成物は、特にR-OH、R-OH及びR-OHに対応する少なくとも3種の異なるアルコールR’-OHの混合物を使用して式(I)のジウレア-ジウレタン化合物を形成することによって特に得ることができる。
【0077】
式(I)の化合物の混合物は、
- R’基が異なり、R’基の一方がRに対応し、他方のR’基がRに対応する少なくとも一種の式(I)の化合物;及び
- R’基が異なり、R’基の一方がRに対応し、他方のR’基がRに対応する少なくとも一種の式(I)の化合物;
- 任意選択的に、R’基が異なり、R’基の一方がRに対応し、他方のR’基がRに対応する式(I)の化合物;
- 任意選択的に、R’基が同一であり、Rに対応する式(I)の化合物;
- 任意選択的に、R’基が同一であり、Rに対応する式(I)の化合物;
- 任意選択的に、R’基が同一であり、Rに対応する式(I)の化合物
を含み得、R、R及びRは、R’について上に記載した通りである。
【0078】
式(I)の化合物の混合物は、特に、以下に表される、式(Ia)の化合物、式(Id)の化合物、及び任意選択的に式(Ib)、(Ic)、(Ie)又は(If)の一又は複数種の化合物を含みうる:
【化7】
(上式中、
全R基は同一であり、R’について上に記載した通りであり;
全R基は同一であり、R’について上に記載した通りであり;
全R基は同一であり、R’について上に記載した通りであり;
基はRとは異なり;
基はRとは異なり;
基はRとは異なる)。
【0079】
基は、R基及び/若しくはR基よりもより疎水性であり得;並びに/又はR基は、R基の分子量及び/若しくはR基の分子量よりも低い分子量を有しうる。
【0080】
、R、及びR基の分子量は異なりうる。特に、R基は、R基よりも低い分子量を有し得;及び/又はR基は、R基の分子量よりも低い分子量を有し得;及び/又はR基は、R基の分子量よりも低い分子量を有しうる。より特定的には、R基は、R及びR基の分子量よりも低い分子量を有する。更により特定的には、R基の分子量とR基の分子量との差;及び/又はR基の分子量とR基の分子量との差;及び/又はR基の分子量とR基の分子量との差は、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも300又は少なくとも350g/モルでありうる。
【0081】
、R、及びR基は、異なる化学的性質を有しうる。特に、R基はR基よりもより疎水性であり得;及び/又はR基はR基よりもより疎水性であり得;及び/又はR基はR基よりもより疎水性でありうる。より特定的には、R基はR及びR基よりもより疎水性でありうる。
【0082】
基は直鎖状又は分枝状C-C30アルキルであり得、R及びR基は異なる分子量を有する式・-[(CR)-O]-Yの基であり得、Y、R、R、n及びmは上に記載された通りである。
【0083】
及びR基の全モル量、特に最も疎水性の低い基及び/又は最も高い分子量を有する基の全モル量は、非プロトン性溶媒を除いて、本発明に係る組成物中のウレア、ウレタン及びそれらの混合物から選択される一つ又は複数の官能基を有する全ての生成物のR、R及びR基の全モル量の、特に20%超、特に25%から95%、30%から90%、35%から85%、又は40%から80%を占めうる。
【0084】
好ましい実施態様によれば、式(I)の化合物に含まれる全R’基の、20モル%超、特に25モル%から95モル%、30モル%から90モル%、35モル%から85モル%、又は40モル%から80モル%は、親水性基、特に・-[(CR)-O]-Y基である。
【0085】
R’基は、特に、OH基を除いた式R’-OHの一又は複数種のアルコールの残基でありうる。アルコールR’-OHは、特に、OH基で置換されたCからC30アルカン、OH基で置換されたCからC30アルケン、OH基で置換されたCからC12シクロアルカン、OH基で置換されたCからC12アレーン、OH基で置換されたCからC12アリールアルカン、HO-[(CR)-O]-Y及びHO-[(CR)-C(=O)O]-Zから選択することができ、
Y及びZは、CからC30アルキル、CからC30アルケニル、CからC12シクロアルキル、CからC12アリール及びCからC12アリールアルキルから独立して選択され;
、R、R及びRは、H及びメチルから独立して選択され、特にHであり;
各nは2、3、又は4に独立して等しく、特にnは2であり;
mは1から30の範囲であり、特にmは2から25の範囲であり;
pは3から5の範囲であり、特にpは5であり;
qは1から20の範囲であり、特にqは2から10の範囲である。
【0086】
OH基で置換されたCからC30アルカンは、特に、オクタン-1-オール、オクタン-2-オール、X1-6-メチルヘプタン-1-オール、2-エチルヘキサン-1-オール、ノナン-1-オール、X1-7-メチルオクタン-1-オール、デカン-1-オール、X1-8-メチルノナン-1-オール、ウンデカン-1-オール、X1-9-メチルデカン-1-オール、ドデカン-1-オール、X1-10-メチルウンデカン-1-オール、トリデカン-1-オール、X1-11-メチルドデカン-1-オール、2,5,9-トリメチルデカン-1-オール、テトラデカン-1-オール、X1-12-メチルトリデカン-1-オール、ペンタデカン-1-オール、X1-13-メチルテトラデカン-1-オール、ヘキサデカン-1-オール、X1-14-メチルペンタデカン-1-オール、ヘプタデカン-1-オール、X1-15-メチルヘキサデカン-1-オール、オクタデカン-1-オール、X1-16-メチルヘプタデカン-1-オール、ノナデカン-1-オール、X1-17-メチルオクタデカン-1-オール、イコサン-1-オール、X1-18-メチルノナデカン-1-オール、ヘニコサン-1-オール、X1-19-メチルイコサン-1-オール、ドコサン-1-オール、X1-20-メチルヘニコサン-1-オール、2-プロピルヘプタン-1-オール、2-プロピルノナン-1-オール、2-ペンチルノナン-1-オール、2-ブチルオクタン-1-オール、2-ブチルデカン-1-オール、2-ヘキシルオクタン-1-オール、2-ヘキシルデカン-1-オール、2-オクチルデカン-1-オール、2-ヘキシルドデカン-1-オール、2-オクチルドデカン-1-オール、2-デシルテトラデカン-1-オール、6-メチルドデカン-1-オール及びそれらの異性体から選択され得、ここで、Xa-bはaからbの範囲の全ての値をとりうる整数を表し、Xa-bはアルカン上のアルキル置換基の位置を示す。X1-11-メチルドデカン-1-オールは、1位がOH基、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11位がメチル基で置換されたドデカンであり、例えば、2-メチルドデカン-1-オール又は11-メチルドデカン-1-オールである。「異性体」という用語は、同じ数の炭素原子を含むが、異なる置換スキーム、例えばメチル置換基又はより多くのメチル置換基の代わりにエチル置換基を有するアルキル基を意味するものと理解される。従って、2,5,9-トリメチルデカン-1-オールは、2-メチルドデカン-1-オール及び11-メチルドデカン-1-オールの異性体である。好ましくは、OH基で置換されたCからC30アルカンは、11-メチルドデカン-1-オール及び2,5,9-トリメチルデカン-1-オールから選択される。
【0087】
OH基で置換されたCからC30アルケンは、特に、Y2-5-ヘキセン-1-オール、Y2-6-ヘプテン-1-オール、Y2-7-オクテン-1-オール、Y2-8-ノネン-1-オール、Y2-9-デセン-1-オール、Y2-10-ウンデセン-1-オール、Y2-11-ドデセン-1-オール、Y2-12-トリデセン-1-オール、Y2-13-テトラデセン-1-オール、Y2-15-ヘキサデセン-1-オール、Y2-17-オクタデセン-1-オール、Y2-19-イコセン-1-オール、Y2-21-ドコセン-1-オール、ヘプタデカ-8,11-ジエン-1-オール、オクタデカ-9,12-ジエン-1-オール、ノナデカ-10,13-ジエン-1-オール、イコサ-11,14-ジエン-1-オール、ドコサ-13,16-ジエン-1-オール、オクタデカ-5,9,12-トリエン-1-オール、オクタデカ-6,9,12-トリエン-1-オール、オクタデカ-9,12,15-トリエン-1-オール、オクタデカ-9,11,13-トリエン-1-オール、イコサ-8,11,14-トリエン-1-オール、イコサ-11,14,17-トリエン-1-オールから選択され得、ここで、Xa-bはaからbの範囲の全ての値をとりうる整数を表し、Xa-bはアルケンの二重結合の位置を示す。Y2-5-ヘキセン-1-オールは、1位がOHで置換されたヘキセンであり、二重結合は2、3、4又は5位にありうる。
【0088】
OH基で置換されたCからC12シクロアルカンは、特に、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘプタノール、シクロオクタノール、シクロノナノール、シクロデカノール、シクロウンデカノール及びシクロドデカノールから選択され得、好ましくはシクロペンタノール及びシクロヘキサノールである。
【0089】
OH基で置換されたCからC12アレーンは、特に、フェノール、1-又は2-ナフトール、2-、3-又は4-フェニルフェノール、2-、3-又は4-メチルフェノール、2,3-、2,4-、2,5-、2,6-、3,4-又は3,5-ジメチルフェノール及び2,4,6-、2,3,5-又は2,3,6-トリメチルフェノールから選択されうる。
【0090】
OH基で置換されたCからC12アリールアルカンは、特に、ベンジルアルコール、2-フェニルエタン-1-オール、3-フェニルプロパン-1-オール、4-フェニルブタン-1-オール及び2-フェニルブタン-1-オールから選択され得、好ましくはベンジルアルコール及び2-フェニルエタン-1-オールである。
【0091】
アルコールHO-[(CR)-O]-Yは、特に、上に記載したOH基で置換されたCからC30アルカンのアルコキシル化誘導体、上に記載したOH基で置換されたCからC30アルケンのアルコキシル化誘導体、上に記載したOH基で置換されたCからC12シクロアルカンのアルコキシル化誘導体、上に記載したOH基で置換されたCからC12アレーンのアルコキシル化誘導体、上に記載したOH基で置換されたCからC12アリールアルカンのアルコキシル化誘導体から選択されうる。アルコキシル化誘導体は、特に、エトキシル化、プロポキシル化及び/又はブトキシル化誘導体、好ましくはエトキシル化誘導体でありうる。好ましくは、アルコールHO-[(CR)-O]-Yは、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(MPEG)、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル及びポリエチレングリコールモノブチルエーテル;より優先的には、200から1000g/モルの数平均分子量を有するMPEG(特に、MPEG-250、MPEG-350、MPEG-400、MPEG-450、MPEG-500、MPEG-550、MPEG-650又はMPEG-750)、又はトリエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルトリグリコール(BTG)としても知られる)から選択される。
【0092】
アルコールHO-[(CR)-C(=O)O]-Zは、特に、上に記載したOH基で置換されたCからC30アルカンのポリエステル誘導体、上に記載したOH基で置換されたCからC30アルケンのポリエステル誘導体、上に記載したOH基で置換されたCからC12シクロアルカンのポリエステル誘導体、上に記載したOH基で置換されたCからC12アレーンのポリエステル誘導体、上に記載したOH基で置換されたCからC12アリールアルカンのポリエステル誘導体でありうる。ポリエステル誘導体は、特に、ラクトン、好ましくはγ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン及びそれらの混合物から選択されるラクトンの開環重合によって得られるポリエステル部分を含みうる。
【0093】
[R基]
式(I)の化合物は、二つのR基を含む。式(I)の一つの同じ化合物のR基は、同一であっても異なっていてもよい。本発明に係る組成物は、同一のR基を有する式(I)の化合物の混合物を含みうる。本発明に係る組成物は、そのR基が異なる式(I)の化合物の混合物を含みうる。例えば、混合物の一部の化合物は同一のR基を有し得、混合物の一部の化合物は異なるR基を有しうる。
【0094】
各R基は、式(I)のジウレア-ジウレタン化合物を形成するための、式OCN-R-NCOのジイソシアネートの使用に由来しうる。R基は、NCO基を除いた式OCN-R-NCOのジイソシアネートの残基に対応しうる。以下に記載されるR基と式OCN-R-NCOの対応するジイソシアネートもまた本発明に係る方法に適用される。
【0095】
各Rは、独立して、脂肪族基、脂環式基、芳香族基及び芳香脂肪族基から選択される二価基である。
【0096】
一実施態様によれば、各Rは独立して芳香族基である。
【0097】
特に、各Rは、独立して、次の式:
【化8】
(上式中、記号・は式(I)のウレア又はウレタン基との結合点を表す)
を有する芳香族基である。
【0098】
より特定的には、各Rは、独立して、次の式:
【化9】
(上式中、記号・は式(I)のウレア又はウレタン基との結合点を表す)
の一つを有する芳香族基である。
【0099】
本発明に係るチキソトロピー組成物では、特に、式(I)の化合物に含まれる全R基の、85モル%超、90モル%超、95モル%超、97モル%超、98モル%超、99モル%超、又は100モル%が次の式:
【化10】
(上式中、記号・は式(I)のウレア又はウレタン基との結合点を表す)
の芳香族基でありうる。
【0100】
特に、本発明に係るチキソトロピー組成物では、式(I)の化合物に含まれる全R基の、86モル%から100モル%、90モル%から100モル%、95モル%から100モル%、97モル%から100モル%、98モル%から100モル%、99モル%から100モル%、又は100モル%が次の式:
【化11】
(上式中、記号・は式(I)のウレア又はウレタン基との結合点を表す)
の芳香族基でありうる。
【0101】
基は、一方の側は(ジイソシアネートOCN-R-NCOのイソシアネート基とアルコールR’OHのOH基との反応から生じる)ウレタン基に、もう一方の側は(ジイソシアネートOCN-R-NCOの他のイソシアネート基とジアミンHN-R-NHのNH基との反応から生じる)ウレア基に結合する。
【0102】
更により特定的には、各Rは独立して、次の式:
【化12】
の芳香族基である。
【0103】
が非対称である場合、好ましくはウレタン基に結合するR基の一方の側と、好ましくはウレア基に結合する他方の側が存在しうる。如何なる理論にも固執するつもりはないが、本出願人会社は、R基の最も障害の少ない側がウレタン基に結合するのが好ましいと仮定する。
【0104】
本発明に係るチキソトロピー組成物では、特に、式(I)の化合物に含まれる全R基の、60モル%超、65モル%超、70モル%超、75モル%超、80モル%超、85モル%超、又は90モル%超が次の式:
【化13】
の芳香族基でありうる。
【0105】
特に、本発明に係るチキソトロピー組成物では、式(I)の化合物に含まれる全R基の、61モル%から100モル%、65モル%から100モル%、70モル%から100モル%、75モル%から100モル%、80モル%から100モル%、85モル%から100モル%、又は90モル%から100モル%が次の式:
【化14】
の芳香族基でありうる。
【0106】
基は、特に、NCO基を持たない式OCN-R-NCOの一又は複数のジイソシアネートの残基でありうる。式OCN-R-NCOのジイソシアネートは、トルエンジイソシアネート(TDI)でありうる。TDIは、トルエン-2,4-ジイソシアネート及びトルエン-2,6-ジイソシアネートから選択される一又は複数の異性体の形態でありうる。
【0107】
本発明において、高い割合のトルエン-2,4-ジイソシアネートを含むTDI、実際にはトルエン-2,4-ジイソシアネートのみを含むTDIを使用することが有利である。本出願人会社は、この化合物の非対称性により、組成物中の副生成物、特に式(II)の化合物の量を低減させることが可能であると思量する。これにより、高い割合の、実際には排他的にさえなる、次の式
【化15】
に従うR基を有する式(I)の化合物を得ることが可能になる。
【0108】
特に、式OCN-R-NCOのジイソシアネートは、トルエンジイソシアネート異性体の全量に対して、85モル%超、90モル%超、95モル%超、97モル%超、98モル%超、99モル%超、又は100モル%のトルエン-2,4-ジイソシアネートを含むTDIである。より特定的には、式OCN-R-NCOのジイソシアネートは、トルエンジイソシアネート異性体の全量に対して、86モル%から100モル%、90モル%から100モル%、95モル%から100モル%、97モル%から100モル%、98モル%から100モル%、99モル%から100モル%、又は100モル%のトルエン-2,4-ジイソシアネートを含むTDIである。好ましくは、式OCN-R-NCOのジイソシアネートは、トルエンジイソシアネート異性体の全量に対して100モル%のトルエン-2,4-ジイソシアネートを含むTDIである。
【0109】
[R基]
式(I)の化合物はR基を含む。本発明に係る組成物は、同一のR基を有する式(I)の化合物の混合物を含みうる。本発明に係る組成物は、そのR基が異なる式(I)の化合物の混合物を含みうる。
【0110】
各R基は、式(I)のジウレア-ジウレタン化合物を形成するための、式HN-R-NHのジアミンの使用に由来しうる。R基は、NH基を除いた式HN-R-NHのジアミンの残基に対応しうる。以下に記載されるR基及び式HN-R-NHの対応するジアミンもまた本発明に係る方法に適用される。
【0111】
各Rは、独立して、脂肪族基、脂環式基、芳香族基、芳香脂肪族基及び複素環式基から選択される二価基である。
【0112】
特定の実施態様によれば、各Rは、独立して、C-C24アルキレン、-(CR)-[A-(CR)]-、-(CR)-CY-(CR)-及び-(CR)-CY-(CH)-CY-(CR)-から選択される基であり;
上式中、
AはO又はNXであり;
、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R及びRは、H及びメチルから独立して選択され、特にHであり;
XはCからCアルキル、特にメチル又はエチルであり;
CYは、フェニル、シクロヘキシル、ナフチル、デカヒドロナフチル、ピペラジニル、トリアジニル及びピリジニルから選択される環であり、この環は非置換か、又は1から3のC-Cアルキル基によって置換されており;
sは2から4の範囲であり、特にsは2であり;
tは2から4の範囲であり、特にtは2であり;
uは1から30の範囲であり;
v、w、x、y、及びzは、独立して0から4の範囲である。
【0113】
各Rは、特に、C-C24アルキレン及び-(CR)-CY-(CR)-から選択される基;
特に、C-C18アルキレン及び-(CH)-CY-(CH)-から選択され、ここで、CYはシクロヘキシル環又はフェニル環であり、その環は非置換か、又は1から3のC-Cアルキル基によって置換されており、v及びwは0から1の範囲である基
でありうる。
【0114】
より特定的には、各Rは、C-Cアルキレン及び次の式:
【化16】
(上式中、記号・は式(I)の化合物のウレア基との結合点を表す)
を有する基から選択される基でありうる。
【0115】
本発明に係るチキソトロピー組成物では、特に、式(I)の化合物に含まれる全R基の、85モル%超、90モル%超、95モル%超、97モル%超、98モル%超、99モル%超、又は100モル%が次の式:
【化17】
の基でありうる。
【0116】
特に、本発明に係るチキソトロピー組成物では、式(I)の化合物に含まれる全R基の、86モル%から100モル%、90モル%から100モル%、95モル%から100モル%、97モル%から100モル%、98モル%から100モル%、99モル%から100モル%、又は100モル%が次の式:
【化18】
の基でありうる。
【0117】
基は、特に、NH基を伴わない式HN-R-NHの(一又は複数の)ジアミンの残基でありうる。式HN-R-NHのジアミンは、CからC24脂肪族ジアミン、CからC18脂環式ジアミン、CからC24芳香族ジアミン、CからC26芳香脂肪族ジアミン及びCからC18複素環式ジアミンから選択されうる。
【0118】
からC24脂肪族ジアミンは、Rが2から24個の炭素原子を含む脂肪族基である式HN-R-NHのジアミンである。脂肪族ジアミンは直鎖状又は分枝状であり得、好ましくは直鎖状である。脂肪族ジアミンは、ポリエーテルアミン、すなわち、Rがエーテル(-O-)結合、より特定的にはエチレンオキシド(-O-CH-CH)及び/又はプロピレンオキシド(-O-CH-CHCH-)単位を含む式HN-R-NHのジアミンでありうる。脂肪族ジアミンは、ポリアルキレンイミン、すなわち、Rが一又は複数の第三級アミン基(-NX-、ここで、XはCからCアルキル)によって中断されているHN-R-NHのジアミンでありうる。脂肪族ジアミンは、一又は複数の第三級アミン基によって中断される場合がある。適切な直鎖状脂肪族ジアミンの例は、1,2-エチレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、1,4-テトラメチレンジアミン、1,5-ペンタメチレンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、1,8-オクタメチレンジアミン、1,12-ドデカメチレンジアミン及びそれらの混合物;好ましくは、1,2-エチレンジアミン、1,5-ペンタメチレンジアミン及び1,6-ヘキサメチレンジアミンである。適切な分枝状脂肪族ジアミンの例は、1,2-プロピレンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン及びそれらの混合物である。ポリエーテルアミンの例は、Jeffamine(登録商標)の参照名でHuntsmanによって販売されている化合物、特にJeffamine(登録商標)D、ED及びEDRシリーズ(ジアミン)である。これらのシリーズには、特に次の参照品が含まれる:Jeffamine(登録商標)D-230、Jeffamine(登録商標)D-400、Jeffamine(登録商標)D-2000、Jeffamine(登録商標)D-4000、Jeffamine(登録商標)ED-600、Jeffamine(登録商標)ED-900、Jeffamine(登録商標)ED-2003、Jeffamine(登録商標)EDR-148及びJeffamine(登録商標)EDR-176。ポリアルキレンイミンの例は、3,3’-ジアミノ-N-メチルジプロピルアミンである。
【0119】
からC18脂環式ジアミンは、Rが6から18個の炭素原子を含む脂環式基である式HN-R-NHのジアミンである。適切な脂環式ジアミンの例は、1,2-、1,3-又は1,4-ジアミノシクロヘキサン、2-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン、4-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン、イソホロンジアミン、1,2-、1,3-又は1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ジアミノデカヒドロナフタレン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)ノルボルナン及びそれらの混合物;
好ましくは、1,3-又は1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,2-、1,3-又は1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン及び4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンである。
【0120】
からC24芳香族ジアミンは、Rが6から24個の炭素原子を含む芳香族基である式HN-R-NHのジアミンである。適切な芳香族ジアミンの例は、オルト-、メタ-及びパラ-フェニレンジアミン、オルト-、メタ-及びパラ-トリレンジアミン、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル及びそれらの混合物;好ましくは、オルト-、メタ-、及びパラ-フェニレンジアミンである。
【0121】
からC26芳香脂肪族ジアミンは、Rが7から26個の炭素原子を含む芳香脂肪族基である式HN-R-NHのジアミンである。適切な芳香脂肪族ジアミンの例は、オルト-、メタ-及びパラ-キシリレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン及びそれらの混合物;好ましくは、オルト-、メタ-及びパラ-キシリレンジアミンである。
【0122】
からC18複素環式ジアミンは、Rが3から18個の炭素原子を含む複素環基である式HN-R-NHのジアミンである。適切な複素環式ジアミンの例は、1,2-ジアミノピペラジン、1,4-ジアミノピペラジン、1,4-ビス(3-アミノプロピル)ピペラジン、2,3-、2,6-及び3,4-ジアミノピリジン、2,4-ジアミノ-1,3,5-トリアジン及びそれらの混合物である。
【0123】
[非プロトン性溶媒]
本発明に係るチキソトロピー組成物は、非プロトン性溶媒を含む。チキソトロピー組成物は、非プロトン性溶媒の混合物を含みうる。
【0124】
一実施態様によれば、非プロトン性溶媒は、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン、N-プロピルピロリドン、N-ブチルピロリドン、N,N,N’,N’-テトラメチルウレア及びそれらの混合物から選択される。特に、非プロトン性溶媒は、ジメチルスルホキシド、N-ブチルピロリドン及びそれらの混合物から選択される。
【0125】
チキソトロピー組成物は、特に、チキソトロピー組成物の重量に対して、20重量%から95重量%、特に40重量%から80重量%、より特定的には50重量%から70重量%の非プロトン性溶媒を含みうる。
【0126】
[ジウレタン化合物]
本発明に係るチキソトロピー組成物は、ジウレタン化合物を更に含みうる。チキソトロピー組成物は、ジウレタン化合物の混合物を含みうる。
【0127】
ジウレタン化合物は、以下に記載される本発明に係るチキソトロピー組成物の調製方法から生じる副生成物でありうる。これは、式R’-O-C(=O)-NH-R-NCOのモノイソシアネート付加物を形成するための式OCN-R-NCOのジイソシアネートと式R’-OHのアルコールの反応により、アルコールがジイソシアネートに対して化学量論的に過剰である場合にジウレタンがまた生成されうるためである。
【0128】
如何なる理論にも固執するつもりはないが、本出願人会社は、ジウレタンがチキソトロープ組成物を安定化し、その調製中に得られる副生成物の数を低減させることができると思量する。チキソトロピー組成物中にジウレタンが存在することにより、従来技術の組成物と比較して、塩、特にリチウム塩、又は界面活性剤を排除し又はその量を大幅に低減させることが可能になる。
【0129】
ジウレタン化合物は、特に式(II):
【化19】
(上式中、R’及びRは、式(I)の化合物について上に記載した通りである)
の化合物に相当しうる。
【0130】
特定の実施態様によれば、チキソトロピー組成物は、非プロトン性溶媒を除いて、ウレア、ウレタン及びそれらの混合物から選択される一又は複数の官能基を有する化合物の全モル量に対して、モルで20%から95%、特に25%から85%、より特定的には35%から75%の式(II)の化合物を含む。
【0131】
[ポリウレア-ジウレタン化合物]
本発明に係るチキソトロピー組成物は、ポリウレア-ジウレタン化合物を更に含みうる。チキソトロピー組成物は、ポリウレア-ジウレタン化合物の混合物を含みうる。
【0132】
ポリウレア-ジウレタン化合物は、以下に記載される本発明に係るチキソトロピー組成物の調製方法から生じる副生成物でありうる。これは、反応媒体に式OCN-R-NCOのジイソシアネートが含まれる場合、式R’-O-C(=O)-NH-R-NCOのモノイソシアネート付加物とHN-R-NHのジアミンの間の反応によりポリウレア-ジウレタンがまた生成されうるためである。ジイソシアネートは、特に、R’-O-C(=O)-NH-R-NCOのモノイソシアネート付加物を形成するための、式OCN-R-NCOのジイソシアネートと式R’-OHのアルコールとの反応から生じる残留ジイソシアネートでありうる。
【0133】
ポリウレア-ジウレタン化合物は、特に、式(III):
【化20】
(上式中、R’、R及びRは式(I)の化合物について上に記載した通りであり;zは1から10である)の化合物に相当しうる。
【0134】
ポリウレア-ジウレタン化合物は一般に固形物であるため、チキソトロープ組成物中のそれらの量を制限することが有利である。モノイソシアネート付加物とジアミンとの反応の前に蒸留段階を実施することによって残留ジイソシアネートの含有量を減らすことは可能であるが、これには少なからずコストがかかり、また特定のプラントが必要となる。本発明に係る組成物は、その調製方法が残留ジイソシアネートの蒸留段階を必要としないにもかかわらず、ポリウレア-ジウレタン化合物の含有量が低い。これは、特に、以下に記載されるチキソトロピー組成物の調製方法において用いられる反応物のモル比を調整することによって可能になる。
【0135】
特定の実施態様によれば、チキソトロピー組成物は、非プロトン性溶媒を除いて、ウレア、ウレタン及びそれらの混合物から選択される一又は複数の官能基を有する化合物の全モル量に対して、モルで、4%未満、特に3.0%から1.5%、2.0%から1.0%、又は1.0%から0%の式(III)の化合物を含む。
【0136】
[チキソトロピー組成物の調製方法]
本発明に係るチキソトロピー組成物は、以下に記載される方法に従って調製することができる。
【0137】
本発明に係る調製方法は、段階a)、段階b)、及び任意選択的に、段階a)の前、段階a)と段階b)の間、及び/又は段階b)の後に行うことができる一又は複数の追加の段階を含む。
【0138】
段階a)は、式R’-O-C(=O)-NH-R-NCOの少なくとも一種のモノイソシアネート付加物を形成するために、式OCN-R-NCOの少なくとも一種のジイソシアネートが式R’-OHの少なくとも一種のアルコールと反応する段階である。
【0139】
段階b)は、式(I):
【化21】
(上式中、
各R’は、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、・-[(CR)-O]-Y及び・-[(CR)-C(=O)O]-Zから独立して選択され;
記号・は式(I)のウレタン基との結合点を表し;
各Rは、独立して、脂肪族基、脂環式基、芳香族基及び芳香脂肪族基から選択される二価基であり;
各Rは、独立して、脂肪族基、脂環式基、芳香族基、芳香脂肪族基及び複素環式基から選択される二価基であり;
Y及びZは、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール及びアリールアルキルから独立して選択され;
、R、R及びRは、H及びメチルから独立して選択され、特にHであり;
各nは2、3又は4に独立して等しく、特にnは2であり;
mは1から30の範囲であり、特にmは2から25の範囲であり;
pは3から5の範囲であり、特にpは5であり;
qは1から20の範囲であり、特にqは2から10の範囲である)
の少なくとも一種の化合物を形成するために、段階a)で得られた少なくとも一種のモノイソシアネート付加物が、式HN-R-NHの少なくとも一種のジアミンと反応する段階である。
【0140】
R’、R及びR基、式OCN-R-NCOのジイソシアネート、式R’-OHのアルコール、及び式HN-R-NHのジアミンは、特に式(I)の化合物について上に記載した通りでありうる。式(I)の化合物について記載された特定の実施態様は、本発明に係る方法にも適用される。
【0141】
段階a)は、特に、少なくとも一種のジイソシアネートを含む反応器に少なくとも一種のアルコールを徐々に添加することによって実施されうる。少なくとも一種のジイソシアネートは、特に溶融状態にありうる。少なくとも一種のアルコールの添加速度を、発熱を制限するために制御することができる。特に、少なくとも一種のアルコールの添加速度を、反応媒体の温度を60℃以下、特に20から60℃、25から55℃又は30から40℃に維持するために制御することができる。
【0142】
段階a)は、1.10から1.80のアルコールの全量とジイソシアネートの全量のモル比で実施される。特に、段階a)におけるアルコールの全量とジイソシアネートの全量のモル比は、1.20から1.60、より特定的には1.25から1.45、更により特定的には1.30から1.40の範囲である。
【0143】
段階a)におけるジイソシアネートに対するアルコールの比により、段階a)の終了時の残留ジイソシアネートの量を制限することが可能になる。段階a)の終了時の残留ジイソシアネートの量は、段階a)で導入され、少なくとも一種のアルコールと反応しなかったジイソシアネートの量に相当する。段階a)の終了時における残留ジイソシアネートの量を制御することにより、段階b)中の不溶性物質、特に上記の式(III)の化合物の生成を有利に制限することが可能になる。特定の実施態様によれば、段階a)の終了時の反応混合物中の残留ジイソシアネートの量は、ウレタン、イソシアネート及びそれらの混合物から選択される一又は複数の官能基を有する全化合物のモル量に対して、6モル%未満、特に0モル%から5モル%、0.01モル%から4.5モル%、又は0.05モル%から4モル%である。
【0144】
段階a)におけるジイソシアネートに対するアルコールの比は、有利には、残留ジイソシアネートの除去段階の実施を回避することを可能にする。これは、段階a)の終了時の残留ジイソシアネートの量が十分に少なく、段階b)中に不溶性物質、特に上記の式(III)の化合物の過剰な生成を生じないためである。特定の実施態様によれば、本発明に係る方法は、残留ジイソシアネートの蒸留段階、特に段階a)と段階b)との間の残留ジイソシアネートの蒸留段階を含まない。
【0145】
段階a)におけるジイソシアネートに対するアルコールの比により、上記のような一又は複数種のジウレタン化合物が形成されうる。ジウレタン化合物は、特に、式R’-OHのアルコールと式R’-O-C(=O)-NH-R-NCOのモノイソシアネート付加物との反応から生じうる。従って、段階a)で得られる反応混合物は、式R’-O-C(=O)-NH-R-NCOのモノイソシアネート付加物と式(II):
【化22】
(上式中、R’及びRは上に記載した通りである)の化合物を含みうる。
【0146】
如何なる理論にも固執するつもりはないが、本出願人会社は、チキソトロピー組成物中のジウレタン化合物の存在により、段階b)中に形成される尿素結合を安定化させることができると思量する。従って、従来技術の方法と比較して、段階b)で添加される安定剤(特に塩、例えばリチウム塩、又は界面活性剤)の量を大幅に削減することができ、実際には排除することさえ可能である。
【0147】
少なくとも一種のアルコールの添加が完了すると、反応混合物のNCO価が理論NCO価に達するまで段階a)を継続することができる。段階a)の終了時のNCO価は、特に200mg KOH/g未満でありうる。特に、段階a)の終了時のNCO価は、5から150mg KOH/g、25から125mg KOH/g、50から100mg KOH/g、又は60から80mg KOH/gでありうる。段階a)の終了時のNCO数は、特に、以下に記載される方法に従って測定することができる。段階a)の終了時の理論NCO価は、特に、以下に記載する方法に従って計算することができる。
【0148】
段階b)は、特に、段階a)で得られた混合物を、少なくとも一種のジアミンと任意選択的に非プロトン性溶媒及び/又は塩を含む反応器に徐々に添加することによって実施することができる。発熱を制限するために、段階a)で得られた混合物の添加速度を制御することができる。特に、段階a)で得られた混合物の添加速度は、反応媒体の温度を80℃以下、特に20から80℃、30から70℃又は40から60℃に維持するために制御することができる。
【0149】
少なくとも一種のモノイソシアネート付加物の添加が完了すると、反応混合物のNCO価が所望の値に達するまで段階b)を継続することができる。本発明の方法によって得られる組成物のNCO価は、特に0.5mg KOH/g未満、特に0.2mg KOH/g未満、より特定的には0.1mg KOH/g未満、更により特定的には0mg KOH/gでありうる。組成物のNCO価は、特に、以下に記載される方法に従って決定することができる。
【0150】
段階b)は、使用されるジアミン1モル当たり0.2モル未満の塩の存在下で実施される。特に、段階b)は、使用されるジアミン1モル当たり0から0.19、0から0.15、0から0.1、0から0.05、0から0.02、0から0.01又は0モルの塩の存在下で実施される。塩は、特に、チキソトロピー組成物について上に記載した通りでありうる。
【0151】
段階b)は、使用されるジアミン1モル当たり0.2モル未満の界面活性剤の存在下で実施されうる。特に、段階b)は、使用されるジアミン1モル当たり0から0.19、0から0.15、0から0.1、0から0.05、0から0.02、0から0.01又は0モルの界面活性剤の存在下で実施される。界面活性剤は、特に、チキソトロピー組成物について上に記載した通りでありうる。
【0152】
段階b)におけるモノイソシアネート付加物の全量とジアミンの全量のモル比は、1.8から2.2の範囲でありうる。特に、段階b)におけるモノイソシアネート付加物の全量とジアミンの全量のモル比は、1.9から2.1、より特定的には1.95から2.05、更により特定的には1.98から2.02の範囲である。
【0153】
組成物の粘度を低下させ、得られる化合物を溶解させるために、溶媒を、段階a)及び/又は段階b)及び/又は段階a)と段階b)の間で添加することができる。特に、段階a)及び/又は段階b)は、非プロトン性溶媒の存在下で実施されうる。段階a)の終了時に得られる反応媒体の粘度は、非プロトン性溶媒を添加することによって低下させることができる。非プロトン性溶媒は、特に、チキソトロピー組成物について上に記載した通りでありうる。
【0154】
本発明に係る方法は、段階a)においてアルコール又はアルコール混合物を使用して実施することができる。
【0155】
第一の実施態様によれば、段階a)において、式R-O-C(=O)-NH-R-NCOの少なくとも一種のモノイソシアネート付加物を形成するために、少なくとも一種のジイソシアネートが、式R-OHの単一アルコールと反応し、
段階b)において、式(I’):
【化23】
(上式中、
基は同一であり、R’について上に記載した通りであり;
及びRは上に記載した通りである)の少なくとも一種の化合物を形成するために、段階a)で得られた生成物が、式HN-R-NHの少なくとも一種のジアミンと反応する。
【0156】
第一の実施態様のアルコールR-OHは、特に、OHで置換された直鎖状又は分枝状C-C30アルキルでありうる。
【0157】
第二の実施態様によれば、段階a)において、式R-O-C(=O)-NH-R-NCO及びR-O-C(=O)-NH-R-NCOの少なくとも二種のモノイソシアネート付加物の混合物を形成するために、少なくとも一種のジイソシアネートが、式R-OH及びR-OHの少なくとも二種の異なるアルコールと反応し、
段階b)において、任意選択的に式(Ib)の化合物及び/又は式(Ic)の化合物との混合物として、式(Ia)の少なくとも一種の化合物を形成するために、段階a)で得られた混合物が、式HN-R-NHの少なくとも一種のジアミンと反応する:
【化24】
(上式中、
全R基は同一であり、R’について上に記載した通りであり;
全R基は同一であり、R’について上に記載した通りであり;
基はRとは異なる)。
【0158】
及びR基、並びに式R-OH及びR-OHのアルコールは、特に、式(I)の化合物について上に記載した通りでありうる。
【0159】
第二の実施態様では、アルコールR-OHはアルコールR-OHよりもより疎水性であり得;及び/又はアルコールR-OHは、アルコールR-OHの分子量よりも高い分子量を有しうる。
【0160】
第二の実施態様では、アルコールR-OH及びR-OHの分子量は異なりうる。特に、R-OHは、R-OHよりも低い分子量を有しうる。より特定的には、R-OHの分子量とR-OHの分子量との差は、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも300又は少なくとも350g/モルでありうる。
【0161】
第二の実施態様では、アルコールR-OH及びR-OHの化学的性質は異なりうる。特に、アルコールR-OHは、アルコールR-OHよりもより疎水性でありうる。
【0162】
第二の実施態様では、アルコールR-OH及びR-OHは、異なる分子量を有する式HO-[(CR)-O]-Yのアルコールであり得、Y、R、R、n及びmは上に記載した通りである。あるいは、アルコールR-OHは、OHで置換された直鎖状又は分枝状C-C30アルキルであり得、アルコールR-OHは、Y、R、R、n及びmが上に記載した通りである、式HO-[(CR)-O]-Yのアルコールでありうる。
【0163】
第二の実施態様では、アルコールR-OH、特に疎水性が最も低いアルコール及び/又は分子量が最も高いアルコールの全モル量は、特に、段階a)で導入されるアルコールR-OH及びR-OHの全モル量の、20%超、特に25%から95%、30%から90%、35%から85%、又は40%から80%を占めうる。
【0164】
第二の実施態様では、アルコールR-OH、特に疎水性が最も低いアルコール及び/又は分子量が最も高いアルコールは、特に、アルコールR-OH、特に疎水性が最も高いアルコール及び/又は最も低い分子量を有するアルコールが段階a)の反応混合物内に導入される前にジイソシアネートと反応させることができる。
【0165】
第三の実施態様によれば、段階a)において、式R-O-C(=O)-NH-R-NCO、R-O-C(=O)-NH-R-NCO及びR-O-C(=O)-NH-R-NCOの少なくとも三種のモノイソシアネート付加物の混合物を形成するために、ジイソシアネートが、式R-OH、R-OH及びR-OHの少なくとも三種の異なるアルコールの混合物と反応し、
段階b)において、以下に表される式(Ia)の化合物、式(Id)の化合物、及び任意選択的に式(Ib)、(Ic)、(Ie)又は(If)の一又は複数種の化合物を形成するために、段階a)で得られた混合物が、式HN-R-NHの少なくとも一種のジアミンと反応する:
【化25】
(上式中、
全R基は同一であり、R’について上に記載した通りであり;
全R基は同一であり、R’について上に記載した通りであり;
全R基は同一であり、R’について上に記載した通りであり;
基はRとは異なり;
基はRとは異なり;
基はRとは異なる)。
【0166】
、R及びR基、並びに式R-OH、R-OH及びR-OHのアルコールは、特に、式(I)の化合物について上に記載した通りでありうる。
【0167】
第三の実施態様では、アルコールR-OHは、アルコールR-OH及び/若しくはアルコールR-OHよりもより疎水性であり得、並びに/又はアルコールR-OHは、アルコールR-OHの分子量及び/若しくはアルコールR-OHの分子量よりも低い分子量を有しうる。
【0168】
第三の実施態様では、アルコールR-OH、R-OH、及びR-OHの分子量は異なりうる。特に、R-OHはR-OHよりも低い分子量を有し得;及び/又はR-OHは、R-OHよりも低い分子量を有し得;及び/又はR-OHは、R-OHよりも低い分子量を有しうる。より特定的には、アルコールR-OHは、アルコールR-OH及びR-OHの分子量よりも低い分子量を有する。更により特定的には、R-OHの分子量とR-OHの分子量の差;及び/又はR-OHの分子量とR-OHの分子量の差;及び/又はR-OHの分子量とR-OHの分子量との差は、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも300又は少なくとも350g/モルでありうる。
【0169】
アルコールR-OH、R-OH、及びR-OHは、異なる化学的性質を有しうる。特に、R-OHはR-OHよりもより疎水性であり得;及び/又はR-OHはR-OHよりもより疎水性であり得;及び/又はR-OHはR-OHよりもより疎水性でありうる。より特定的には、アルコールR-OHは、アルコールR-OH及びR-OHよりもより疎水性でありうる。
【0170】
第三の実施態様では、アルコールR-OHは、OHで置換された直鎖状又は分枝状C-C30アルキルであり得、アルコールR-OH及びR-OHは、Y、R、R、n及びmが上に記載した通りである異なる分子量を有する式HO-[(CRaR)-O]-Yのアルコールでありうる。
【0171】
アルコールR-OH及びR-OHの全モル量、特に最も疎水性の低いアルコール及び/又は最も高い分子量を有するアルコールの全モル量は、特に、段階a)で導入されるアルコールR-OH、R-OH及びR-OHの全モル量の、20%超、特に25%から95%、30%から90%、35%から85%、又は40%から80%を占めうる。
【0172】
アルコールR-OH及びR-OH、特に疎水性が最も低いアルコール及び/又は分子量が最も高いアルコールは、特に、アルコールR-OH、特に疎水性が最も高いアルコール及び/又は最も低い分子量を有するアルコールが段階a)の反応混合物に導入される前にジイソシアネートと反応させることができる。
【0173】
[バインダー組成物]
本発明に係るチキソトロピー組成物は、そのレオロジーを変更するために、特にそれにチキソトロピー又は擬塑性効果を与えるために、バインダー組成物中に有利に導入される。
【0174】
本発明に係るバインダー組成物は、バインダーと上記のチキソトロピー組成物とを含む。
【0175】
特定の実施態様によれば、バインダー組成物は、コーティング組成物、特にワニス、下塗り材、表面ゲル、塗料又はインク組成物、接着剤、グルー又はマスチック組成物、成形組成物、複合材料組成物、化学シーリング組成物、漏れ止め剤組成物、立体リソグラフィー又は特にインクジェット印刷による物体の3D印刷用の光架橋性組成物である。
【0176】
バインダー組成物は、バインダー組成物の重量に対して、特に、0.5重量%から15重量%、特に1重量%から10重量%、より特定的には2重量%から7重量%のチキソトロピー組成物を含みうる。
【0177】
バインダー組成物は、特に、水性又は溶媒ベースの組成物でありうる。好ましくは、バインダー組成物は水性組成物である。
【0178】
特定の実施態様によれば、本発明に係るバインダー組成物は、熱的及び/又は化学的(特に、過酸化物、エポキシ樹脂、メラミン/ホルムアルデヒド樹脂、ブロック化又は非ブロック化ポリイソシアネート、無水物、アミン、ヒドラジド、アジリジン又はアルコキシシランなどの架橋剤の添加による)、又はUV(少なくとも一種の光開始剤の存在下)及び/又はEB(開始剤なしの電子ビーム)などの放射線下での照射によって、周囲温度で自己架橋性のものを含み、架橋可能であり、或いは非架橋性である。バインダー組成物は、架橋可能な一成分(単一の反応性成分)又は架橋可能な二成分(使用中に混合することによって一緒に反応する二成分をベースとするバインダー)でありうる。
【0179】
バインダーは、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,第5版,Vol.A18,pp.368-426,VCH,Weinheim,1991に記載されたものなど、コーティング、ワニス、及び塗料の分野で一般的に使用されるバインダー(結合剤)でありうる。特定の実施態様によれば、バインダーは、ニトロセルロース、セルロースエステル(例えば、酢酸セルロース又は酪酸セルロース)、ビニル樹脂(例えば、ポリエチレン又はポリイソブチレンなどのポリオレフィン、エチレン-酢酸ビニルコポリマーなどのオレフィン系コポリマー、又は塩素化若しくはクロロスルホニル化ポリエチレン若しくはポリプロピレンなどの変性ポリオレフィン)、フッ素化ポリマー(例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン(FEP)コポリマー、エチレン-テトラフルオロエチレン(ETFE)コポリマー、ポリフッ化ビニリデン(PVDF))、ポリビニルエステル(例えば、ポリ酢酸ビニル又は酢酸ビニルをベースとするコポリマー)、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルエーテル、アクリル樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル若しくはポリアミドでグラフトされた又はジウレア-ジウレタン変性アルキド樹脂、飽和又は不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン、架橋性二成分ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリシロキサン、フェノール樹脂、エポキシ-アミン(架橋性二成分)反応系、ポリスルフィドポリマー、(メタ)アクリレート多官能オリゴマー又はアクリル化アクリルオリゴマー又はアリル多官能オリゴマー、エラストマー(例えば、SBR、ポリクロロプレン又はブチルゴム)、シラン化プレポリマー(例えば、シラン化ポリエーテル、シラン化ポリウレタン、又はシラン化ポリエーテル-ウレタン)、並びにそれらの混合物から選択される。
【0180】
バインダーは、ラテックスとしても知られるポリマー又はコポリマー粒子の水性分散液でありうる。ポリマー又はコポリマーは、特に、アクリル、スチレン/アクリル、酢酸ビニル/アクリル若しくはエチレン/酢酸ビニルポリマー又はコポリマーから選択することができる。
【0181】
より特定的な場合では、バインダーは、次の架橋可能な二成分反応系から選択することができる:少なくとも二つのエポキシ基を含む少なくとも一種のエポキシ樹脂と、少なくとも二つのアミン基を含む少なくとも一種のアミノ又はポリアミド化合物を含むエポキシ-アミン又はエポキシ-ポリアミド系、少なくとも一つのポリイソシアネート及び少なくとも一つのポリオールを含むポリウレタン系、ポリオール-メラミン系、並びに少なくとも一つのエポキシ又は少なくとも一種の酸若しくは一種の対応する無水物と反応性のポリオールに基づくポリエステル系から選択されうる。
【0182】
他の特定の場合によれば、バインダーは、エポキシ-カルボン酸若しくは無水物反応系から、又はポリオール-カルボン酸若しくは無水物系、又はポリオール-メラミン反応系から出発する、架橋可能な二成分ポリウレタン系又は架橋可能な二成分ポリエステル系であり得、ポリオールはヒドロキシル化アクリル樹脂、又はポリエステル若しくはポリエーテルポリオールである。
【0183】
特に、本発明に係るバインダー組成物は、ヒドロキシル化アクリル分散液をベースとする二成分ポリウレタン組成物である。
【0184】
本発明に係るバインダー組成物は、例えばフィラー、可塑剤、湿潤剤、又は顔料などの他の成分を含みうる。
【0185】
[使用]
本発明に係るチキソトロピー組成物は、レオロジー剤として、特にチキソトロピー剤として使用される。
【0186】
従って、バインダー組成物にチキソトロピー組成物を取り込むことにより、そのレオロジーを改変することが可能となり、特にそれにチキソトロピー効果を与えることが可能となる。
【0187】
本発明を例証する目的で、次の実施例は、本発明に係る添加剤の性能品質を何ら限定することなく実証する。
【実施例
【0188】
[測定方法]
本特許出願において使用した測定方法を以下に記載する:
[NCO価]
NCO価は、メトローム参照6.0229.100測定プローブを備えたメトローム(848Titrino Plus)滴定計を用いて定量的に測定される。分析するサンプルを秤量し、250mlのねじ口三角フラスコに入れる。段階a)では、50mlのデキシレン、段階b)では、50mlのDMSOを加え、三角フラスコを密閉する。必要に応じて加熱しながら磁気撹拌することにより、サンプルを完全に溶解させる。サンプルの溶解に加熱が必要な場合は、次の操作の前に混合物を周囲温度に戻るまで放置する。15mlの精密ピペットを使用して、キシレン中の0.15Nジブチルアミン15mlを添加する。三角フラスコを密栓し、穏やかに撹拌しながら15分間反応させる。三角フラスコの壁を注意深く洗い流しながら、段階a)において、100mlのイソプロパノール、段階b)において、100mlのDMSOを添加する。滴定は、選択された滴定計の使用方法に従って、0.1Nの塩酸水溶液を用いて磁気撹拌しながら実施される。ブランク定量(サンプルなし)が同じ条件下で実施される。NCO価は次の式に従って計算される:
【数1】
ここで、
VS=サンプルの定量のために添加される滴定剤の量(ml)
VB=ブランクの定量のために添加した滴定剤の量(ml)
NT=滴定剤の規定度(0.1N)
W=サンプルの重量(g)。
【0189】
[段階a)終了時の理論NCO価]
段階a)の終了時の理論NCO価は、次の方程式に従って計算される:
【数2】
【0190】
[ブルックフィールド(登録商標)粘度]
粘度は、23℃においてBrookfield(登録商標)粘度計(スピンドル:S5)を使用し、標準NF EN ISO 2555 June 2018に従って測定した。円筒形のスピンドルが、検査される製品内でその軸の周りを一定の回転速度で回転する。流体がスピンドルに及ぼす抵抗が、製品の粘度に依存する。この抵抗により渦巻バネにねじれが生じ、それが粘度値に反映される。
【0191】
[チキソトロピー指数]
チキソトロピー指数は、23℃において5回転/分の速度でBrookfield(登録商標)粘度計を用いて得られた粘度を、この同じ粘度計を用いて50回転/分の速度で得られた粘度で割ることによって、測定した。
【0192】
[出発物質]
実施例では、次の出発物質を使用した:
【表1】
【0193】
[アルコール混合物の調製]
[混合物A]
411.76gのMPEG350(1.177モル)と588.2gのMPEG500(1.177モル)を、温度計及び撹拌機を備えた1リットルの丸底フラスコ中で、透明な液体を得るために、周囲温度及び不活性雰囲気下で10分間、混合した。
【0194】
[混合物B]
189.2gのMPEG350(0.54モル)と810.8gのMPEG500(1.62モル)を、温度計及び撹拌機を備えた1リットルの丸底フラスコ中で、透明な液体を得るために、周囲温度及び不活性雰囲気下で10分間、混合した。
【0195】
[混合物C]
120.8gのBTG(0.59モル)と879.2gのMPEG500(1.76モル)を、温度計及び撹拌機を備えた1リットルの丸底フラスコ中で、透明な液体を得るために、周囲温度及び不活性雰囲気下で10分間、混合した。
【0196】
[半付加物の調製]
[半付加物A]
145.3gのDesmodur(登録商標)T100(0.835モル)を、温度計、凝縮器及び撹拌機を備えた500mlの反応器に投入した。354.7gの混合物A(0.835モル)を、混合物の温度を40℃未満に維持しながら、滴下漏斗を介して1時間かけて添加した。添加終了時に、混合物を3時間撹拌したままにし、理論NCO価93.6mg KOH/gに達するまでNCO価を1時間ごとに測定した。
【0197】
[半付加物B]
113.18gのDesmodur(登録商標)T100(0.65モル)を、温度計、凝縮器及び撹拌機を備えた500mlの反応器に投入した。386.82gの混合物A(0.91モル)を、混合物の温度を40℃未満に維持しながら、滴下漏斗を介して1時間かけて添加した。添加終了時に、混合物を3時間撹拌したままにし、理論NCO価43.8mg KOH/gに達するまでNCO価を1時間ごとに測定した。
【0198】
[半付加物C]
105.95gのDesmodur(登録商標)T100(0.61モル)を、温度計、凝縮器及び撹拌機を備えた500mlの反応器に投入した。394.1gの混合物B(0.85モル)を、混合物の温度を40℃未満に維持しながら、滴下漏斗を介して1時間かけて添加した。添加終了時に、混合物を3時間撹拌したままにし、理論NCO価41mg KOH/gに達するまでNCO価を1時間ごとに測定した。
【0199】
[半付加物D]
112.87gのDesmodur(登録商標)T100(0.65モル)を、温度計、凝縮器及び撹拌機を備えた500mlの反応器に投入した。387.13gの混合物C(0.91モル)を、混合物の温度を40℃未満に維持しながら、滴下漏斗を介して1時間かけて添加した。添加終了時に、混合物を3時間撹拌したままにし、理論NCO価43.7mg KOH/gに達するまでNCO価を1時間ごとに測定した。
【0200】
[半付加物E]
98.76gのDesmodur(登録商標)T100(0.57モル)及び14.1gのDesmodur(登録商標)T80(0.081モル)を、温度計、凝縮器及び撹拌機を備えた500mlの反応器に投入した。387.13gの混合物C(0.91モル)を、混合物の温度を40℃未満に維持しながら、滴下漏斗を介して1時間かけて添加した。添加終了時に、混合物を3時間撹拌したままにし、理論NCO価43.7mg KOH/gに達するまでNCO価を1時間ごとに測定した。
【0201】
[半付加物F]
118.4gのDesmodur(登録商標)T100(0.68モル)及び16.9gのDesmodur(登録商標)T80(0.1モル)を、温度計、凝縮器及び撹拌機を備えた500mlの反応器に投入した。364.7gの混合物C(0.86モル)を、混合物の温度を40℃未満に維持しながら、滴下漏斗を介して1時間かけて添加した。添加終了時に、混合物を3時間撹拌したままにし、理論NCO価78.5mg KOH/gに達するまでNCO価を1時間ごとに測定した。
【0202】
[ウレア-ウレタンの調製]
実施例C1-比較例
4.5gのLiCl(0.106モル)を、温度計、凝縮器及び撹拌機を備えた500mlの反応器中で、80℃において300gのDMSO(3.8モル)及び19.25gのMXDA(0.14モル)に溶解させた。続いて、混合物の温度を60℃未満に維持しながら、176.25gの半付加物A(0.28モル)を滴下漏斗を介して1時間かけて添加した。添加終了時に、周囲温度で透明な液体生成物を得るために、混合物を30分間撹拌したままにした。混合物の固形分含有量は40%であった。
【0203】
実施例1-本発明例
53.96mgのLiCl(1.27ミリモル)を、温度計、凝縮器及び撹拌機を備えた500mlの反応器中で、80℃において300gのDMSO(3.8モル)及び19.57gのMXDA(0.144モル)に溶解させた。続いて、混合物の温度を60℃未満に維持しながら、180.38gの半付加物A(0.288モル)を、滴下漏斗を介して1時間かけて添加した。添加終了時に、周囲温度で透明な液体生成物を得るために、混合物を30分間撹拌したままにした。混合物の固形分含有量は40%であった。
【0204】
実施例2-本発明例
29.48mgのLiCl(0.695ミリモル)を、温度計、凝縮器及び撹拌機を備えた500mlの反応器中で、80℃において300gのDMSO(3.8モル)及び10.69gのMXDA(0.079モル)に溶解させた。続いて、混合物の温度を60℃未満に維持しながら、189.28gの半付加物B(0.157モル)を、滴下漏斗を介して1時間かけて添加した。添加終了時に、周囲温度で透明な液体生成物を得るために、混合物を30分間撹拌したままにした。混合物の固形分含有量は40%であった。
【0205】
実施例3-本発明例
11.39mgのLiCl(0.269ミリモル)を、温度計、凝縮器及び撹拌機を備えた500mlの反応器中で、80℃において300gのDMSO(3.8モル)及び10.32gのMXDA(0.076モル)に溶解させた。続いて、混合物の温度を60℃未満に維持しながら、189.67gの半付加物B(0.152モル)を、滴下漏斗を介して1時間かけて添加した。添加終了時に、周囲温度で透明な液体生成物を得るために、混合物を30分間撹拌したままにした。混合物の固形分含有量は40%であった。
【0206】
実施例4-本発明例
1.04mgのLiCl(0.0245ミリモル)を、温度計、凝縮器及び撹拌機を備えた500mlの反応器中で、80℃において300gのDMSO(3.8モル)及び9.42gのMXDA(0.07モル)に溶解させた。続いて、混合物の温度を60℃未満に維持しながら、190.57gの半付加物C(0.14モル)を、滴下漏斗を介して1時間かけて添加した。添加終了時に、周囲温度で透明な液体生成物を得るために、混合物を30分間撹拌したままにした。混合物の固形分含有量は40%であった。
【0207】
実施例5-本発明例
1.09mgのLiCl(0.0257ミリモル)を、温度計、凝縮器及び撹拌機を備えた500mlの反応器中で、80℃において300gのDMSO(3.8モル)及び9.93gのMXDA(0.075モル)に溶解させた。続いて、混合物の温度を60℃未満に維持しながら、190.07gの半付加物D(0.15モル)を、滴下漏斗を介して1時間かけて添加した。添加終了時に、周囲温度で透明な液体生成物を得るために、混合物を30分間撹拌したままにした。混合物の固形分含有量は40%であった。
【0208】
実施例6-本発明例
1.14mgのLiCl(0.0269ミリモル)を、温度計、凝縮器及び撹拌機を備えた500mlの反応器中で、80℃において300gのDMSO(3.8モル)及び10.3gのMXDA(0.076mol)に溶解させた。続いて、混合物の温度を60℃未満に維持しながら、189.68gの半付加物E(0.152モル)を、滴下漏斗を介して1時間かけて添加した。添加終了時に、周囲温度で透明な液体生成物を得るために、混合物を30分間撹拌したままにした。混合物の固形分含有量は40%であった。
【0209】
実施例7-本発明例
1.9mgのLiCl(0.045ミリモル)を、温度計、凝縮器及び撹拌機を備えた500mlの反応器中で、80℃において300gのDMSO(3.8モル)及び17.28gのMXDA(0.127モル)に溶解させた。続いて、混合物の温度を60℃未満に維持しながら、182.72gの半付加物F(0.254モル)を、滴下漏斗を介して1時間かけて添加した。添加終了時に、周囲温度で透明な液体生成物を得るために、混合物を30分間撹拌したままにした。混合物の固形分含有量は40%であった。
【0210】
実施例8-本発明例
112.5gのDMSO(1.44モル)と3.91gのMXDA(0.029モル)を、温度計、凝縮器及び撹拌機を備えた250mlの反応器中で混合した。続いて、混合物の温度を60℃未満に維持しながら、71.09gの半付加物D(0.058モル)を、滴下漏斗を介して1時間かけて添加した。添加終了時に、周囲温度で透明な液体生成物を得るために、混合物を30分間撹拌したままにした。混合物の固形分含有量は40%であった。
【0211】
【表2】
【0212】
【表3】
【0213】
先行技術で示されている塩の量よりも少ない量の塩が存在するか、実際には塩が全く存在しないにもかかわらず、本発明に係る組成物は経時的に優れた安定性を有する。
【0214】
[応用試験]
[配合物F1]
塗料配合物F1を次の成分で調製した:
【表4】
【0215】
水性塗料の配合物F1を、高速分散機(HSD)を使用して調製した。第一段階において、様々な成分を添加し、2000回転/分で15分間分散させることによってA剤を調製した。続いて、800回転/分の分散速度で樹脂に合体剤を添加し、同じ速度で10分間分散を継続することにより、B剤を別に調製した。続いて、A剤にB剤を加え、分散を800回転/分で10分間実施した。最後に、添加剤Byk(登録商標)024及びByk(登録商標)333を添加し、配合物F1を800回転/分で10分間分散させた。
【0216】
[配合物の特性評価]
比較例C1及び本発明に係る実施例1から7の添加剤を、配合物F1において、2.01部のレオロジー添加剤を200グラムの該塗料F1に800回転/分の分散速度でゆっくりと添加することによって、評価した。ついで、混合物を、直径3.5cmの分散ブレードを用いて1300回転/分で3分間分散させた。得られた混合物を、測定前に混合物を均質化することなく、レオロジー特性を測定する前に、23℃+/-1℃で24時間保管した。
【0217】
【表5】
【0218】
本発明に係るレオロジー添加剤を含む塗料配合物は、先行技術の添加剤と同等、実際にはそれよりも優れたレオロジー性能品質を示す。
【国際調査報告】