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特表2023-552237核酸を抽出するためのデバイス、キット、及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-14
(54)【発明の名称】核酸を抽出するためのデバイス、キット、及び方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20231207BHJP
   C12Q 1/6806 20180101ALI20231207BHJP
   C12N 15/10 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12Q1/6806 Z
C12N15/10 114Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542577
(86)(22)【出願日】2021-06-03
(85)【翻訳文提出日】2023-09-08
(86)【国際出願番号】 CN2021098127
(87)【国際公開番号】W WO2022151640
(87)【国際公開日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】202110037413.7
(32)【優先日】2021-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523259433
【氏名又は名称】シアメン ツォーサン バイオテック カンパニー,リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】チャン ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン イー
(72)【発明者】
【氏名】タン ユイ
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ ティエンティエン
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA27
4B029BB20
4B029DG01
4B029GA02
4B029GB02
4B063QA01
4B063QA11
4B063QQ41
4B063QR90
4B063QS12
(57)【要約】
本発明は核酸を抽出して試験するためのデバイス、キット、及び方法を提供する。デバイスは、第1容器(101)と、第2容器(102)と、空気貯蔵装置(103)とを含み、第1容器(101)は、核酸を抽出するための試薬を収容又は有するために使用される。第1容器(101)と第2容器(102)との間に第1弁(107)が設けられており、第2容器(102)とガス貯蔵装置(103)とが流体連通しており、第2容器(102)は試料入口(104)と試料出口(105)とを有しており、そして試料入口(104)は第4弁(109)を備えており、試料出口デバイスは、廃液プール、収集プール、及びこれに類するものを備えている。方法は、核酸試料を添加し、磁性ビードを使用することにより核酸を吸着し、核酸抽出試薬を駆動し、核酸試料を分割し、洗浄し、そして溶出することを含み、そして核酸を抽出し、そして核酸抽出中に発生する汚染の可能性を著しく低減する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸抽出のためのデバイスであって、第1容器(101)と、第2容器(102)と、ガス貯蔵装置(103)とを含み、
前記第1容器(101)が、核酸抽出のための試薬を収容又は有するために使用され、そして第1弁(106)を有しており、
前記第1容器(101)と前記第2容器(102)とが流体連通しており、そして前記第1容器と前記第2容器との間に、第2弁(107)が配置されており、
前記第2容器(102)と前記ガス貯蔵装置(103)とが流体連通しており、そして
前記第2容器(102)が試料入口(104)と試料出口(105)とを有しており、そして前記試料入口(104)が第4弁(109)を備え、そして前記試料出口(105)が第5弁(110)を備えている、
核酸抽出のためのデバイス。
【請求項2】
前記デバイスが気密であり、好ましくは、前記ガス貯蔵装置(103)が、ガスを有するか又は排出することができ、例えば前記ガス貯蔵装置(103)は容積が可変であって、例えば弾性又は伸縮性容器(例えばエアバッグ)、又はピストンを備えた容器(例えばシリンジ)であり、好ましくは、前記第2容器(102)と前記ガス貯蔵装置(103)との間に、第3弁(108)が配置されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1容器(101)が管状であり、前記第1容器の一方の端部が、駆動デバイス(111)に接続するための第1弁(106)を備えており、そして他方の端部が、前記第2容器(102)に接続するための第2弁(107)を備えており、
好ましくは、前記第1容器(101)が下記の特徴(3-1)又は特徴(3-2)を有しており、すなわち、
(3-1) 前記第1容器(101)が、核酸抽出のための溶解液(例えば細胞溶解液)と、核酸抽出のための洗浄液(例えば核酸洗浄液)と、核酸抽出のための溶出液(例えば核酸溶出液)とを有しており、
好ましくは、前記溶解液と、前記洗浄液と、前記溶出液とが互いに分離されており、
好ましくは、前記溶解液と、前記洗浄液と、前記溶出液とが前記第1容器(101)内に、前記第2弁(107)からの距離にしたがって近位端から遠位端へ向かって配置されており、
好ましくは、前記溶解液と前記洗浄液とが第1スペーサによって分離されており、
好ましくは、前記洗浄液と前記溶出液とが第2スペーサによって分離されており、
好ましくは、前記第1容器(101)が、前記溶解液と、前記第1スペーサと、前記洗浄液と、前記第2スペーサと、前記溶出液とを有し、そしてこれらは前記第1容器(101)内に、前記第2弁(107)からの距離にしたがって近位端から遠位端へ向かって配置されており、
好ましくは、前記第1スペーサと前記第2スペーサとが同じ又は異なるものであり、
好ましくは、前記第1スペーサと前記第2スペーサとが、空気、鉱物油、動物油、植物油、合成油、パラフィン、シリコーン油、及びこれらの任意の組み合わせから成る群からそれぞれ独立して選択され、
好ましくは、前記洗浄液が1つ又は2つ以上の部分を含み、そして前記部分が、1つ又は2つ以上の付加的なスペーサによって互いに分離されており、好ましくは、前記部分が同じ又は異なる成分を有しており、好ましくは前記付加的なスペーサが、空気、鉱物油、動物油、植物油、合成油、パラフィン、シリコーン油、及びこれらの任意の組み合わせから成る群からそれぞれ独立して選択され、
好ましくは、前記溶出液と前記第1弁(106)との間に第3スペーサが設けられており、好ましくは、前記第3スペーサが、空気、鉱物油、動物油、植物油、合成油、パラフィン、シリコーン油、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択され、
又は、
(3-2) 前記第1容器(101)が、核酸抽出のための洗浄液(例えば核酸洗浄液)と溶出液(例えば核酸溶出液)とを有しており、
好ましくは、前記洗浄液と前記溶出液とが互いに分離されており、
好ましくは、前記洗浄液と前記溶出液とが前記第1容器(101)内に、前記第2弁(107)からの距離にしたがって近位端から遠位端へ向かって配置されており、
好ましくは、前記洗浄液と前記溶出液とが第1スペーサによって分離されており、
好ましくは、前記第1容器(101)が、前記洗浄液と、前記第1スペーサと、前記溶出液とを有し、そしてこれらは前記第1容器(101)内に、前記第2弁(107)からの距離にしたがって近位端から遠位端へ向かって配置されており、
好ましくは、前記洗浄液が1つ又は2つ以上の部分を含み、そして前記部分が、1つ又は2つ以上の付加的なスペーサによって互いに分離されており、好ましくは、前記部分が同じ又は異なる成分を有しており、好ましくは、前記付加的なスペーサが、空気、鉱物油、動物油、植物油、合成油、パラフィン、シリコーン油、及びこれらの任意の組み合わせから成る群からそれぞれ独立して選択され、
好ましくは、前記溶出液と前記第1弁(106)との間に第2スペーサが設けられており、
好ましくは、前記第1スペーサと前記第2スペーサとが同じ又は異なるものであり、
好ましくは、前記第1スペーサと前記第2スペーサとが、空気、鉱物油、動物油、植物油、合成油、パラフィン、シリコーン油、及びこれらの任意の組み合わせから成る群からそれぞれ独立して選択され、
好ましくは、前記第2容器(102)が、核酸抽出のための溶解液(例えば細胞溶解液)を有している、
請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1容器(101)が、互いに分離された第1チャンバと、第2チャンバと、第3チャンバとを有しており、前記第1チャンバが、核酸抽出のための溶解液(例えば細胞溶解液)を収容又は有するために使用され、前記第2チャンバが、核酸抽出のための洗浄液(例えば核酸洗浄液)を収容又は有するために使用され、前記第3チャンバが、核酸抽出のための溶出液(例えば核酸溶出液)を収容又は有するために使用され、そして前記第2弁(107)が、前記第2容器(102)内へ流入する試薬のタイプを制御することができ、又は
前記第1容器(101)が、互いに分離された第1チャンバと、第2チャンバとを有しており、前記第1チャンバが、核酸抽出のための洗浄液(例えば核酸洗浄液)を収容又は有するために使用され、前記第2チャンバが、核酸抽出のための溶出液(例えば核酸溶出液)を収容又は有するために使用され、そして前記第2弁(107)が、前記第2容器(102)内へ流入する試薬のタイプを制御することができ、好ましくは、前記第2容器(102)が、核酸抽出のための溶解液(例えば細胞溶解液)を有する、
請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項5】
前記デバイスが下記のもの、すなわち、
(1) 前記第1弁(106)が、前記第1容器(101)と駆動デバイス(111)との間の流体連通を制御するために使用され、好ましくは、前記デバイスがまた駆動デバイス(111)を有しており、前記駆動デバイスが、前記第1弁(106)を通して前記第1容器(101)と流体連通しており、好ましくは、前記駆動デバイス(111)が取り外し可能であり、好ましくは、前記駆動デバイス(111)が駆動ポンプであること、
(2) 前記第2容器(102)が、核酸を吸着し得る磁石(例えば磁性ビード)、及び/又は核酸抽出のための溶解液(例えば細胞溶解液)を有しており、好ましくは、前記磁性ビードが下記のもの、すなわちシリカゲル細胞膜磁性ビード、アミノ磁性ビード、ヒドロキシル磁性ビード、ホルミル磁性ビード、セルロース被覆型磁性ビードから選択された1つ又は2つ以上であること、
(3) 前記試料出口(105)が、第5弁(110)を介して廃液プール(112)、又は収集プール(113)、又は廃液プール(112)及び収集プール(113)に接続されており、好ましくは、前記第5弁(110)は前記第5弁(110)を通って流れる流体の流れ方向を制御することができ、好ましくは、前記収集プール(113)は、核酸を検出するための試薬を有しており、好ましくは、前記廃液プール(112)及び/又は前記収集プール(113)は取り外し可能であること、
(4) 前記核酸がDNA、RNA、又はこれらの任意の組み合わせから成る群から選択されること、
から成る群から選択された1つ又は2つ以上の技術的特徴を有している、請求項1から4のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のデバイスを含むキットであって、好ましくは、前記キットが下記のもの、すなわち、
(6-1) 核酸抽出のための試薬であって、好ましくは前記核酸抽出のための試薬が、溶解液(例えば細胞溶解液)、洗浄液(例えば核酸洗浄液)、溶出液(例えば核酸溶出液)、又はこれらの任意の組み合わせから成る群から選択され、好ましくは、前記溶解液と、前記洗浄液と、前記溶出液とが互いに分離されている、核酸抽出のための試薬、
(6-2) 1つ又は2つ以上のスペーサであって、好ましくは前記1つ又は2つ以上のスペーサが、空気、鉱物油、動物油、植物油、合成油、パラフィン、シリコーン油、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択された、1つ又は2つ以上のスペーサ、
(6-3) 核酸を吸着し得る磁石(例えば磁性ビード)であって、好ましくは前記磁性ビードが、下記のもの、すなわちシリカゲル細胞膜磁性ビード、アミノ磁性ビード、ヒドロキシル磁性ビード、ホルミル磁性ビード、セルロース被覆型磁性ビードから成る群から選択された1つ又は2つ以上である、核酸を吸着し得る磁石(例えば磁性ビード)、
(6-4) 駆動デバイスであって、好ましくは前記駆動デバイスが駆動ポンプであり、好ましくは前記駆動デバイスが、前記第1弁(106)を通して前記第1容器(101)と流体連通することが可能な、駆動デバイス、
(6-5) 廃液プールであって、好ましくは前記廃液プールが、第5弁(110)を通して前記試料出口(105)と流体連通することが可能な、廃液プール、及び
(6-6) 収集プールであって、好ましくは前記収集プールが、第5弁(110)を通して前記試料出口(105)と流体連通していてよく、好ましくは前記収集プールが核酸を検出するための試薬を有している、収集プール、
から成る群から選択された1つ又は2つ以上の部分又は成分をさらに含む、キット。
【請求項7】
核酸抽出のための方法であって、前記方法が、試料から核酸を抽出するために、請求項1から5のいずれか1項に記載のデバイス、又は請求項6に記載のキットを使用することを含む、核酸抽出のための方法。
【請求項8】
核酸を抽出する方法であって、前記方法が、
(1) 核酸を含有する試料と、請求項1から5のいずれか1項に記載のデバイス、又は請求項6に記載のキットとを用意し、
(2) 前記試料入口(104)を通して前記第2容器(102)内へ試料を装填し、そして前記第4弁(109)を閉じ、前記第2容器(102)は、核酸を吸着し得る磁石(例えば磁性ビード)を有しており、好ましくは、前記磁石が前記第2容器(102)内に事前に装填されており、又は前記磁石が前記試料と一緒に前記第2容器(102)内へ装填され、又は前記試料が装填された後で前記磁石が前記第2容器(102)内へ装填され、
(3) 溶解液と、前記核酸を吸着し得る磁石(例えば磁性ビード)と、前記試料とを適宜の時間にわたって、前記第2容器(102)内で接触させ、混合し、そして培養し、好ましくは、前記溶解液が前記第2容器(102)内へ事前に装填されており、又は前記溶解液が前記試料と一緒に前記第2容器(102)内へ装填され、又は前記試料が装填された後で前記溶解液が前記第2容器(102)内へ装填され、又は前記溶解液が前記第1容器(101)内に事前に装填されており、そして駆動デバイス(111)によって前記第2容器(102)内へ押し込まれ、前記駆動デバイスの使用中に、前記第1弁(106)、前記第2弁(107)、及び第3弁(108)が開状態にあり、そして前記第4弁(109)及び前記第5弁(110)が閉状態にあり、前記駆動デバイスの使用が完了した後、前記第1弁(106)及び前記第2弁(107)が閉じられ、そして任意には前記第3弁(108)が閉じられ、
(4) 培養後、前記第3弁(108)及び前記第5弁(110)を開き、前記第2容器(102)内の溶液すべてを、前記第5弁(110)を通して廃液プール(112)へ排出し、そして前記磁石を保持し、
(5) 前記第5弁(110)を閉じ、前記駆動デバイス(111)を使用して、前記第1容器(101)内に事前に装填された洗浄液を前記第2容器(102)内へ押し込み、前記洗浄液を適宜の時間にわたって磁石と接触させ、混合し、そして培養することを可能にし、前記駆動デバイスの使用中に、前記第1弁(106)、前記第2弁(107)、及び前記第3弁(108)が開状態にあり、そして前記第4弁(109)及び前記第5弁(110)が閉状態にあり、前記駆動デバイスの使用が完了した後、前記第1弁(106)及び前記第2弁(107)が閉じられ、そして任意には前記第3弁(108)が閉じられ、
(6) 培養後、前記第3弁(108)及び前記第5弁(110)を開き、前記第2容器(102)内の溶液すべてを、前記第5弁(110)を通して前記廃液プール(112)へ排出し、そして前記磁石を保持し、
任意には、ステップ(5)及び(6)を1回又は2回以上繰り返し、
(7) 前記第5弁(110)を閉じ、前記駆動デバイス(111)を使用して、前記第1容器(101)内に事前に装填された溶出液を前記第2容器(102)内へ押し込み、前記溶出液を適宜の時間にわたって磁石と接触させ、混合し、そして培養することを可能にし、前記駆動デバイスの使用中に、前記第1弁(106)、前記第2弁(107)、及び前記第3弁(108)が開状態にあり、そして前記第4弁(109)及び前記第5弁(110)が閉状態にあり、前記駆動デバイスの使用が完了した後、前記第1弁(106)及び前記第2弁(107)が閉じられ、そして任意には前記第3弁(108)が閉じられ、
(8) 培養後、前記第3弁(108)及び前記第5弁(110)を開き、そして前記第2容器(102)内の溶液すべてを、前記第5弁(110)を通して、収集プール(113)内へ収集し、これにより、抽出されるべき核酸を含有する溶液を得る、
ことを含む、核酸を抽出する方法。
【請求項9】
請求項1から5のいずれか1項に記載のデバイス、又は請求項6に記載のキットの、核酸を抽出するための使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核酸抽出の分野、具体的には核酸を抽出するためのデバイス、キット、及び方法に関する。核酸を抽出するためのデバイス、キット、及び方法は、核酸を好都合且つ効率的に抽出するために用いることができ、核酸抽出プロセス中の汚染の可能性を著しく低減することができる。
【背景技術】
【0002】
核酸は分子生物学研究の基礎である。遺伝子診断、遺伝子治療、及び遺伝子を使用する植物種の同定に関する研究はすべて、高品質核酸の抽出を必要とする。目下のところ、既存の核酸抽出・検出法は主に以下の問題点を有する。すなわち、(1)膨大な数の生物学的試料の場合には、試料処理、核酸抽出及び精製が、手作業に起因してエラーを被りやすく、そして作業ステップ全体は複雑であり、核酸抽出を効率的且つ迅速に行うことができず、(2)大抵の場合、分子診断はラボラトリー内で実施される必要があり、そして多くの草の根的な単位(grassroots units)は、標準的な分子診断ラボラトリーを確立するための条件を有しておらず、加えて、作業者の熟練レベルが種々異なり、そして核酸抽出プロセス中に試料間の二次汚染が発生しやすく、そしてラボラトリーでさえも汚染を被りやすく、(3)既存の核酸抽出・検出機器のほとんどはサイズが比較的大きく、サンプリング現場での使用には適しておらず、そして屋外の開放環境での作業は試料汚染をより引き起こしやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、人間の作業による影響を低減することができ、そして完全閉鎖型の作業を実現することができ、これにより核酸抽出中の汚染の可能性を低減し、そして草の根レベル又は現場での迅速な抽出及び検出の要件を満たす、可搬式の核酸抽出のためのデバイスを開発することが差し迫って必要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の内容
上記問題点を解決するために、核酸を抽出するためのデバイス及びキットであって、核酸を好都合且つ効率的に抽出でき、そして核酸抽出中の汚染の可能性を著しく低減でき、そして偽陽性試験結果を低減又は排除できるデバイス及びキットを、本出願の発明者は、数多くの試験を通して開発した。これに基づいて、本出願はまた、このデバイス又はキットを使用して核酸を抽出する方法であって、シンプル且つ好都合であり、そして草の根レベル又は現場での迅速な抽出及び検出の要件を満たし得る方法を提供する。
【0005】
したがって、1つの態様では、本出願は、核酸抽出のためのデバイスであって、第1容器101と、第2容器102と、ガス貯蔵装置103とを含み、
前記第1容器101が、核酸抽出のための試薬を収容又は有するために使用され、そして第1弁106を有しており、
前記第1容器101と前記第2容器102とが流体連通しており、そして前記第1容器と前記第2容器との間に、第2弁107が配置されており、
前記第2容器102と前記ガス貯蔵装置103とが流体連通しており、そして
前記第2容器102が試料入口104と試料出口105とを有しており、そして前記試料入口104が第4弁109を備え、そして前記試料出口105が第5弁110を備えている、
核酸抽出のためのデバイスを提供する。
【0006】
ある特定の実施態様では、前記デバイスが気密である。ある特定の実施態様では、前記ガス貯蔵装置103が、ガスを有し又は排出することができる。ある特定の実施態様では、前記ガス貯蔵装置103は容積が可変であって、例えば弾性又は伸縮性容器(例えばエアバッグ)、又はピストンを備えた容器(例えばシリンジ)である。いくつかの実施態様では、前記第2容器102と前記ガス貯蔵装置103との間に、第3弁108が配置されている。
【0007】
本出願のデバイスは、ガス貯蔵装置を設けることにより外部環境とのガス交換を最小化又は回避し、これにより、核酸抽出プロセス中の汚染の可能性を最小化又は回避する。理論に限定されはしないが、本出願の発明者は、核酸抽出中の試験作業(例えば振動、振盪など)が、エアロゾルの生成を招くおそれがあり、またエアロゾルと外部環境(例えば試験環境、又は並行して抽出された他の核酸試料)とのガス交換が、試料の汚染を招くおそれがあることに気付いた。したがって、試料と外部環境とのガス交換を最小化又は回避することにより、核酸抽出中の汚染の可能性を低減又は回避することができる。いくつかの実施態様では、ガス貯蔵装置103はエアバッグである。エアバッグは、エアバッグの膨張及び収縮を通してガスを吸入し排出することができ、これにより、本出願のデバイスと外部環境との間のガス交換を低減又は回避する。いくつかの実施態様では、ガス貯蔵装置103は、ピストンを備えた容器である。この容器はピストンの往復運動を介してガスを吸入し排出することができ、これにより、本出願のデバイスと外部環境との間のガス交換を低減又は回避する。
【0008】
いくつかの実施態様では、前記第1容器101が管状であり、前記第1容器の一方の端部が、駆動デバイス111に接続するための第1弁106を備えており、そして他方の端部が、前記第2容器102に接続するための第2弁107を備えている。
【0009】
いくつかの実施態様では、前記第1容器101が、核酸抽出のための溶解液(例えば細胞溶解液)と、洗浄液(例えば核酸洗浄液)と、溶出液(例えば核酸溶出液)とを有している。
【0010】
いくつかの実施態様では、前記溶解液と、前記洗浄液と、前記溶出液とが互いに分離されている。
【0011】
いくつかの実施態様では、前記溶解液と、前記洗浄液と、前記溶出液とが前記第1容器101内に、前記第2弁107からの距離にしたがって近位端から遠位端へ向かって配置されている。
【0012】
ある特定の実施態様では、前記溶解液と前記洗浄液とが第1スペーサによって分離されている。ある特定の実施態様では、前記洗浄液と前記溶出液とが第2スペーサによって分離されている。ある特定の実施態様では、前記第1スペーサと前記第2スペーサとが同じ又は異なるものである。いくつかの実施態様では、前記第1スペーサと前記第2スペーサとが、空気、鉱物油、動物油、植物油、合成油、パラフィン、シリコーン油、及びこれらの任意の組み合わせから成る群からそれぞれ独立して選択される。
【0013】
いくつかの実施態様では、前記第1容器101が、溶解液と、第1スペーサと、洗浄液と、第2スペーサと、溶出液とを有し、そしてこれらは前記第1容器101内に、前記第2弁107からの距離にしたがって近位端から遠位端へ向かって順番に配置されている。
【0014】
ある特定の実施態様では、前記洗浄液が1つ又は2つ以上の部分(例えば1,2,3又は4つ以上の部分)を含み、そして前記部分が、1つ又は2つ以上の付加的なスペーサによって互いに分離されている。ある特定の実施態様では、前記部分が同じ又は異なる成分を有している。ある特定の実施態様では、前記付加的なスペーサが、空気、鉱物油、動物油、植物油、合成油、パラフィン、シリコーン油、及びこれらの任意の組み合わせから成る群からそれぞれ独立して選択される。
【0015】
いくつかの実施態様では、前記溶出液と前記第1弁106との間に第3スペーサが配置されている。いくつかの実施態様では、前記第3スペーサが、空気、鉱物油、動物油、植物油、合成油、パラフィン、シリコーン油、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択される。
【0016】
このような実施態様では、第2容器には、核酸を吸着し得る磁石(例えば磁性ビード)が事前に配置されてよい。あるいは、デバイスが始動された後に、核酸を吸着し得る磁石(例えば磁性ビード)を第2容器内へ添加することもできる。
【0017】
あるいは、いくつかの実施態様では、前記第1容器101が、核酸抽出のための洗浄液(例えば核酸洗浄液)と溶出液(例えば核酸溶出液)とを有している。
【0018】
ある特定の実施態様では、前記洗浄液と前記溶出液とが互いに分離されている。
【0019】
いくつかの実施態様では、前記洗浄液と前記溶出液とが前記第1容器101内に、前記第2弁107からの距離にしたがって近位端から遠位端へ向かって配置されている。
【0020】
ある特定の実施態様では、前記洗浄液と前記溶出液とが第1スペーサによって分離されている。
【0021】
いくつかの実施態様では、前記第1容器101が、洗浄液と、第1スペーサと、溶出液とを有し、そしてこれらは前記第1容器101内に、前記第2弁107からの距離にしたがって近位端から遠位端へ向かって配置されている。
【0022】
ある特定の実施態様では、前記洗浄液が1つ又は2つ以上の部分(例えば1,2,3又は4つ以上の部分)を含み、そして前記部分が、1つ又は2つ以上の付加的なスペーサによって互いに分離されている。ある特定の実施態様では、前記部分が同じ又は異なる成分を有している。ある特定の実施態様では、前記付加的なスペーサが、空気、鉱物油、動物油、植物油、合成油、パラフィン、シリコーン油、及びこれらの任意の組み合わせから成る群からそれぞれ独立して選択される。
【0023】
いくつかの実施態様では、前記溶出液と前記第1弁106との間に第2スペーサが設けられている。ある特定の実施態様では、前記第1スペーサと前記第2スペーサとが同じ又は異なるものである。いくつかの実施態様では、前記第1スペーサと前記第2スペーサとが、空気、鉱物油、動物油、植物油、合成油、パラフィン、シリコーン油、及びこれらの任意の組み合わせから成る群からそれぞれ独立して選択される。
【0024】
いくつかの実施態様では、第2容器には、核酸を吸着し得る磁石(例えば磁性ビード)が事前に配置されてよい。あるいは、デバイスが始動された後に、核酸を吸着し得る磁石(例えば磁性ビード)を第2容器内へ添加することもできる。加えて、いくつかの実施態様では、第2容器には、核酸抽出のための溶解液(例えば細胞溶解液)が事前に配置されてよい。あるいは、デバイスが始動された後に、核酸抽出のための溶解液(例えば細胞溶解液)を第2容器へ添加することもできる。したがって、いくつかの実施態様では、第2容器102は、核酸抽出のための溶解液(例えば細胞溶解液)及び/又は核酸を吸着し得る磁石(例えば磁性ビード)を有する。
【0025】
ある特定の実施態様では、それぞれ2種の試薬の間には、1つ又は2つ以上のスペーサ、例えば1,2,3又は4つ以上のスペーサが使用されてよい。前記1つ又は2つ以上のスペーサは、空気、鉱物油、動物油、植物油、合成油、パラフィン、シリコーン油、及びこれらの任意の組み合わせから成る群からそれぞれ独立して選択される。
【0026】
本明細書中に使用されるように、本出願において使用されるスペーサは液状、ガス状、又は固形であってよく、核酸抽出のために使用される試薬とは不混和性である。いくつかの実施態様では、本出願において使用されるスペーサは安定であり、振動のような条件下でも、スペーサの両端で試薬間に間隔を置くので、2種の試薬は互いに接触することがない。加えて、言うまでもなく、この機能を実現し得るものであればいかなる物質も、本出願におけるスペーサとして使用し得る。したがって、本出願において使用されるスペーサは、上記物質に限定されることはない。
【0027】
いくつかの実施態様では、前記第1容器101が、互いに分離された第1チャンバと、第2チャンバと、第3チャンバとを有しており、前記第1チャンバが、核酸抽出のための溶解液(例えば細胞溶解液)を収容又は有するために使用され、前記第2チャンバが、核酸抽出のための洗浄液(例えば核酸洗浄液)を収容又は有するために使用され、前記第3チャンバが、核酸抽出のための溶出液(例えば核酸溶出液)を収容又は有するために使用され、そして前記第2弁107が、前記第2容器102内へ流入する試薬のタイプを制御することができる。いくつかの実施態様では、第2容器には、核酸を吸着し得る磁石(例えば磁性ビード)が事前に配置されてよい。あるいは、デバイスが始動された後に、核酸を吸着し得る磁石(例えば磁性ビード)を第2容器内へ添加することもできる。
【0028】
いくつかの実施態様では、前記第1容器101が、互いに分離された第1チャンバと、第2チャンバとを有しており、前記第1チャンバが、核酸抽出のための洗浄液(例えば核酸洗浄液)を収容又は有するために使用され、前記第2チャンバが、核酸抽出のための溶出液(例えば核酸溶出液)を収容又は有するために使用され、そして前記第2弁107が、前記第2容器102内へ流入する試薬のタイプを制御することができる。いくつかの実施態様では、第2容器には、核酸を吸着し得る磁石(例えば磁性ビード)が事前に配置されてよい。あるいは、デバイスが始動された後に、核酸を吸着し得る磁石(例えば磁性ビード)を第2容器内へ添加することもできる。加えて、いくつかの実施態様では、第2容器102には、核酸抽出のための溶解液(例えば細胞溶解液)が事前に配置されてよい。あるいは、デバイスが始動された後に、核酸抽出のための溶解液(例えば細胞溶解液)を第2容器へ添加することもできる。したがって、いくつかの実施態様では、第2容器102は、核酸抽出のための溶解液(例えば細胞溶解液)及び/又は核酸を吸着し得る磁石(例えば磁性ビード)を有する。
【0029】
いくつかの実施態様では、前記第1弁106が、前記第1容器101と駆動デバイス111との間の流体連通を制御するために使用される。いくつかの実施態様では、前記デバイスがまた、前記第1弁106を通して前記第1容器101と流体連通している駆動デバイス111を有している。いくつかの実施態様では、前記駆動デバイス111が取り外し可能であり、そしていくつかの実施態様では、前記駆動デバイス111が駆動ポンプである。
【0030】
いくつかの実施態様では、前記第2容器102が、核酸を吸着し得る磁石(例えば磁性ビード)、及び/又は核酸抽出のための溶解液(例えば細胞溶解液)を有している。いくつかの実施態様では、前記磁性ビードが下記のもの、すなわちシリカゲル細胞膜磁性ビード、アミノ磁性ビード、ヒドロキシル磁性ビード、ホルミル磁性ビード、及びセルロース被覆型磁性ビードから選択された1つ又は2つ以上である。
【0031】
いくつかの実施態様では、前記試料出口105が、第5弁110を介して廃液プール112、又は収集プール113、又は廃液プール112及び収集プール113に接続されている。いくつかの実施態様では、前記第5弁110は前記第5弁110を通る流体の流れ方向を制御することができる。いくつかの実施態様では、前記収集プール113は、核酸を検出するための試薬を有している。いくつかの実施態様では、前記廃液プール112及び/又は前記収集プール113は取り外し可能である。
【0032】
ある特定の実施態様では、核酸は、DNA、RNA、又はこれらの任意の組み合わせから成る群から選択される。本出願のデバイスは、DNA、RNA、又はこれらの任意の組み合わせを抽出するために使用することができる。
【0033】
第2の態様では、本出願は、前述のデバイスを含むキットを提供する。いくつかの実施態様では、キットは、核酸抽出のための試薬、スペーサ、核酸を吸着し得る磁石(例えば磁性ビード)、駆動デバイス、廃液プール、及び収集プールから成る群から選択された1つ又は2つ以上の部分又は成分をさらに含む。
【0034】
ある特定の実施態様では、前記キットは核酸抽出のための試薬をさらに含む。いくつかの実施態様では、前記核酸抽出のための試薬が、溶解液(例えば細胞溶解液)、洗浄液(例えば核酸洗浄液)、溶出液(例えば核酸溶出液)、又はこれらの任意の組み合わせから成る群から選択される。ある特定の実施態様では、前記溶解液と、洗浄液と、溶出液とが互いに分離されている。
【0035】
ある特定の実施態様では、前記キットは1つ又は2つ以上のスペーサをさらに含む。ある特定の実施態様では、前記1つ又は2つ以上のスペーサが、空気、鉱物油、動物油、植物油、合成油、パラフィン、シリコーン油、及びこれらの任意の組み合わせから成る群からそれぞれ独立して選択される。
【0036】
ある特定の実施態様では、前記キットは核酸を吸着し得る磁石(例えば磁性ビード)をさらに含む。いくつかの実施態様では、前記磁性ビードが、下記のもの、すなわちシリカゲル細胞膜磁性ビード、アミノ磁性ビード、ヒドロキシル磁性ビード、ホルミル磁性ビード、及びセルロース被覆型磁性ビードから成る群から選択された1つ又は2つ以上である。
【0037】
ある特定の実施態様では、前記キットは駆動デバイスを含む。いくつかの実施態様では、前記駆動デバイスは駆動ポンプである。いくつかの実施態様では、前記駆動デバイスが、前記第1弁106を通して前記第1容器101と流体連通していてよい。
【0038】
ある特定の実施態様では、前記キットは廃液プールをさらに含む。いくつかの実施態様では、前記廃液プールが、第5弁110を通して前記試料出口105と流体連通していてよい。
【0039】
ある特定の実施態様では、前記キットは収集プールをさらに含む。いくつかの実施態様では、前記収集プールが、第5弁110を通して前記試料出口105と流体連通していてよい。ある特定の実施態様では、前記収集プールが核酸検出のための試薬を有している。
【0040】
第3の態様では、本出願は、核酸抽出のための方法であって、前記方法が、試料から核酸を抽出するために、本出願のデバイス又は本出願のキットを使用することを含む、核酸抽出のための方法を提供する。
【0041】
いくつかの実施態様では、前記方法が、
(1) 核酸を含有する試料と、前述のデバイス、又は前述のキットとを用意し、
(2) 前記試料入口104を通して前記第2容器102内へ試料を装填し、そして前記第4弁109を閉じ、前記第2容器102は、核酸を吸着し得る磁石(例えば磁性ビード)を有しており、
(3) 前記溶解液と、前記核酸を吸着し得る磁石(例えば磁性ビード)と、前記試料とを適宜の時間にわたって、前記第2容器102内で接触させ、混合し、そして培養し、
(4) 培養後、前記第3弁108及び前記第5弁110を開き、前記第2容器102内の溶液すべてを、前記第5弁110を通して前記廃液プール112へ排出し、そして前記磁石を保持し、
(5) 前記第5弁110を閉じ、前記駆動デバイス111を使用して、前記第1容器101内に事前に装填された前記洗浄液を前記第2容器102内へ押し込み、適宜の時間にわたって磁石と接触させ、混合し、そして培養し、前記駆動デバイスの使用中に、前記第1弁106、前記第2弁107、及び前記第3弁108が開状態にあり、そして前記第4弁109及び前記第5弁110が閉状態にあり、前記駆動デバイスの使用が完了した後、前記第1弁106及び前記第2弁107が閉じられ、そして任意には前記第3弁108が閉じられ、
(6) 培養後、前記第3弁108及び前記第5弁110を開き、前記第2容器102内の溶液すべてを、前記第5弁110を通して前記廃液プール112へ排出し、そして前記磁石を保持し、
任意には、ステップ(5)及び(6)を1回又は2回以上繰り返し、
(7) 前記第5弁110を閉じ、前記駆動デバイス111を使用して、前記第1容器101内に事前に装填された前記溶出液を前記第2容器102内へ押し込み、適宜の時間にわたって磁石と接触させ、混合し、そして培養し、前記駆動デバイスの使用中に、前記第1弁106、前記第2弁107、及び前記第3弁108が開状態にあり、そして前記第4弁109及び前記第5弁110が閉状態にあり、前記駆動デバイスの使用が完了した後、前記第1弁106及び前記第2弁107が閉じられ、そして任意には前記第3弁108が閉じられ、
(8) 培養後、前記第3弁108及び前記第5弁110を開き、そして前記第2容器102内の溶液すべてを、前記第5弁110を通して、前記収集プール113内へ収集し、これにより、抽出されるべき核酸を含有する溶液を得る、
ことを含む。
【0042】
いくつかの実施態様では、ステップ(2)で使用される磁石は、前記第2容器102内に事前に装填されている。いくつかの実施態様では、ステップ(2)で使用される磁石は、前記試料と一緒に前記第2容器102内へ装填される。いくつかの実施態様では、ステップ(2)で使用される磁石は、前記試料が装填された後で前記第2容器102内へ装填される。
【0043】
いくつかの実施態様では、ステップ(3)で使用される溶解液は、前記第2容器102内に事前に装填されている。いくつかの実施態様では、ステップ(3)で使用される溶解液は、前記試料と一緒に前記第2容器102内へ装填される。いくつかの実施態様では、ステップ(3)で使用される溶解液は、前記試料が装填された後で前記第2容器102内へ装填される。いくつかの実施態様では、ステップ(3)で使用される溶解液は、前記第1容器101内に事前に装填されており、そして前記駆動デバイス111によって前記第2容器102内へ押し込まれ、前記駆動デバイスの使用中に、前記第1弁106、前記第2弁107、及び前記第3弁108が開状態にあり、そして前記第4弁109及び前記第5弁110が閉状態にあり、前記駆動デバイスの使用が完了した後、前記第1弁106及び第2弁107が閉じられ、そして任意には前記第3弁108が閉じられる。
【0044】
ある特定の実施態様では、磁石に吸着された核酸は2回以上洗浄することができる。したがって、ステップ(5)及び(6)を1回又は2回以上繰り返すことができる。いくつかの実施態様では、第1容器101は管状であり、1つ又は2つ以上の洗浄液区分を有しており、これにより磁石上に吸着された核酸を1回又は2回以上洗浄することができる。
【0045】
いくつかの実施態様では、ステップ(8)後に、抽出された核酸が検出される。いくつかの実施態様では、収集プール113は核酸検出のための試薬を有している。いくつかの実施態様では、抽出された核酸は収集プール113内で検出される。
【0046】
第4の態様では、本出願は、上述のデバイス又は上述のキットの、核酸抽出のための使用を提供する。
【0047】
用語の定義
本明細書中に使用される「流体(fluid)」という用語は、剪断力の作用下で変形する流動可能な物質を意味する。例えば、最も一般的な流体は気体及び液体である。本明細書中に使用される「流体連通(fluid communication)」という用語は、デバイス内の2つの成分間の接続された関係であって、流体(例えば気体及び液体)が2つの成分間で連通するのを可能にする関係を意味するために使用される。
【0048】
本明細書中に使用される「核酸抽出のための試薬(reagent for nucleic acid extraction)」という用語は、核酸抽出プロセスにおいて使用される試薬を意味する。核酸抽出のための試薬は一般に、溶解液、核酸洗浄液、及び核酸溶出液を含む。
【0049】
本明細書中に使用される、「溶解液(lysing solution)」という用語は、試料中の核酸が遊離させられた溶液を意味する。このような溶解液は当業者によく知られており、好都合に処方され、又は商業的に入手可能である。ある特定の実施態様では、溶解液は細胞を溶解させることにより、細胞内に含有された核酸(例えばゲノムDNA、プラスミドDNA、ミトコンドリアDNA、葉緑体DNA、トータルRNA、mRNA、tRNA、miRNAなど)を解放し、そして溶解液中にこれを溶解/遊離させることができる。このような実施態様では、溶解液は細胞溶解液とも呼ばれる。
【0050】
本明細書中に使用される「核酸洗浄液(nucleic acid washing solution)」という用語は、核酸抽出中に核酸含有システムから不純物(例えば細胞残屑、タンパク質、多糖、細胞膜など)を除去するために使用される溶液を意味する。このような洗浄液は当業者によく知られており、好都合に処方され、又は商業的に入手可能である。本明細書中では、「核酸洗浄液」と「洗浄液」とは相互に置き換え可能に使用される。
【0051】
本明細書中に使用される「核酸溶出液(nucleic acid eluting solution)」という用語は、核酸抽出中に核酸含有システムから核酸を分離するための溶液であって、核酸を溶解させ、そして核酸を安定に貯蔵し得る溶液を意味する。このような核酸溶出液は当業者によく知られており、好都合に処方され、又は商業的に入手可能である。本明細書中では、「核酸溶出液」と「溶出液」とは相互に置き換え可能に使用される。
【0052】
当業者には明らかなように、核酸がそこから抽出されることになっている試料のタイプ(細胞培養物、単離された組織、体液など)のようなファクタに応じて、抽出されるべき核酸のタイプ(例えばDNA、例えばゲノムDNA、プラスミドDNA、ミトコンドリアDNA、葉緑体DNAなど、又はRNA、例えばトータルRNA、mRNA、tRNA、miRNAなど)、及び用いられる抽出方法、溶解液(例えば細胞溶解液)、核酸洗浄液、及び核酸溶解液の成分を調節することができる。そして、このような調節は十分に当業者の能力の範囲内に入る。
【0053】
例えば、抽出されるべき核酸が細胞培養物中のプラスミドDNAである場合、溶解液は通常、細胞溶解試薬(例えばSDS、Triton(登録商標) X-100、NP-40、グアニジンイソチオシアネート(GITC)など)と塩(例えばTris、EDTA、NaClなど)とを含有してよい。抽出されるべき核酸がゲノムDNAである場合、溶解液は通常、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)をも含有する。例えば、一般に使用される、DNA抽出のための細胞溶解液の処方は、4M塩酸グアニジン、50mM Tris-HCl、10mM EDTA、15% Triton(登録商標) X100、pH 6.5であり得る。一般に使用される、DNAを洗浄するための洗浄液は、塩(例えばTris、EDTA、NaClなど)及びエタノールなどを含んでよい。例えば、一般に使用される、DNAを洗浄するための洗浄液の処方は、100mM NaCl、50mM Tris-HCl(pH7.8)、75%無水エタノールであり得る。一般に使用される、DNAを溶出するための溶出液は、TE溶液又は滅菌水であり得る。TE溶液は通常Tris及びEDTAから調製される。例えば、一般に使用される、DNAを溶出するための溶出液の処方は、10mM Tris-HCl、1mM EDTA、pH 8.5であり得る。
【0054】
例えば、抽出されるべき核酸が細胞中のトータルRNAである場合、溶解液は通常、細胞溶解試薬(例えばTrizolなど)、RNase阻害剤(例えば8-ヒドロキシキノリン、β-メルカプトエタノール、DEPCなど)、タンパク質変性剤(例えばGIT、GuHClなど)を含む。一般に使用される、RNAを洗浄するための洗浄液は、RNase阻害剤(例えば8-ヒドロキシキノリン、β-メルカプトエタノール、DEPCなど)及びエタノールを含んでよい。一般に使用される、RNAを溶出するための溶出液は、RNase非含有の滅菌水であり得る。
【0055】
容易に理解し得るように、本発明に関与する溶解液、核酸洗浄液、及び核酸溶出液は、上記製剤及び成分に限定されることはなく、また実施例において使用される製剤及び成分、及び上述の製剤及び成分に限定されることもなく、これらは実際の必要に応じて調節し変更することができる。
【0056】
本明細書中に使用される「核酸を吸着し得る磁石」という用語は、改善され改質された表面を有する磁性物質(例えば磁性粒子)であって、微視的界面上の核酸分子を特異的に認識し結合し得る磁性物質である。ある特定の実施態様では、磁性物質は常磁性物質(例えば常磁性粒子)、そして好ましくは超常磁性物質(例えば超常磁性粒子)である。常磁性を有する磁石は特に有利である。なぜならば、これらは磁界内に素早く集まり、次いで磁界を離れた後で均一に散乱し得るからである。磁性物質を使用して核酸を吸着/抽出する方法(「磁性ビード法(magnetic bead method)」とも呼ばれる)は、当業者によく知られており、そして例えばDNA抽出のための磁性ビード、及びRNA抽出のための磁性ビード、例えばシリカゲル細胞膜磁性ビード、アミノ磁性ビード、ヒドロキシル磁性ビード、ホルミル磁性ビード、セルロース被覆型磁性ビードなどを含む、核酸抽出のための種々の磁性ビードが開発されている。このような磁性ビードは商業的に入手可能である。いくつかの事例では、核酸抽出のために磁性ビード法を用いることは、この方法の自動化が容易なため、特に有利である。このように、ある特定の好ましい実施態様では、本発明のデバイス及びキットを使用して、磁性ビード法によって核酸を抽出することができる。
【0057】
本明細書中に使用される「核酸」という用語は、一本鎖又は二本鎖デオキシリボ核酸(DNA)及びリボ核酸(RNA)を含む。本出願では、核酸の一例としては、DNA、例えばプラスミドDNA、ゲノムDNA、ミトコンドリアDNA、葉緑体DNAなど、及びRNA、例えばトータルRNA、mRNA、tRNA、miRNAなどが挙げられる。
【発明の効果】
【0058】
発明の有利な効果
本出願において提供される核酸抽出のためのデバイス、キット、及び方法は、試料からの核酸の抽出及び検出を密閉状態で実現し、そしてデバイスと外部環境との間のガス交換を大幅に低減又は回避し、ひいては核酸抽出プロセス中の環境汚染、及び試料間の二次汚染を著しく低減し、偽陽性試験結果を低減又は排除することができる。加えて、本出願の核酸抽出デバイスは単純な構造を有しており、持ち運びが容易であり、そして抽出法は操作しやすく、草の根レベル又は現場での迅速な抽出及び検出の要件を満たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1図1は、本出願により構成された核酸抽出のためのデバイスを示し、このデバイスは、第1容器101と、第2容器102と、ガス貯蔵装置103とを含み、 第1容器101は、スペーサによって互いに分離された溶解液と、洗浄液と、溶出液とを有し、そして第1弁106を介して駆動デバイス111に接続されており、 第1容器101と第2容器102とが流体連通しており、そして第1容器と第2容器との間に、第2弁107が配置されており、 第2容器102とガス貯蔵装置103とが流体連通しており、そして第2容器102とガス貯蔵装置103との間に、第3弁108が配置されており、 第2容器102が試料入口104と試料出口105とを有しており、そして試料入口104が第4弁109を備えており、第2容器内には磁性ビードを有することができ、 試料出口105は第5弁110を備えており、そして試料出口105は、第5弁110を介して廃液プール112、又は収集プール113に接続されている。
図2図2は、本出願により構成された核酸抽出のためのデバイスを示し、このデバイスは、第1容器201と、第2容器202と、ガス貯蔵装置203とを含み、 第1容器201は、スペーサによって互いに分離された洗浄液と溶出液とを有し、そして第1弁206を介して駆動デバイス211に接続されており、 第1容器201と第2容器202とが流体連通しており、そして第1容器と第2容器との間に、第2弁207が配置されており、 第2容器202とガス貯蔵装置203とが流体連通しており、そして第2容器202とガス貯蔵装置203との間に、第3弁208が配置されており、 第2容器202は試料入口204と試料出口205とを有しており、そして試料入口204が第4弁209を備えており、第2容器内には溶解液及び/又は磁性ビードを有することができ、 試料出口205は第5弁210を備えており、そして試料出口205は、第5弁210を介して廃液プール212、又は収集プール213に接続されている。
図3図3は、本出願により構成された核酸抽出のためのデバイスを示し、このデバイスは、第1容器301と、第2容器302と、ガス貯蔵装置303とを含み、 第1容器301は、互いに分離された第1チャンバと、第2チャンバと、第3チャンバとを有しており、第1チャンバは溶解液を有し、第2チャンバは洗浄液を有し、そして第3チャンバは溶出液を有しており、 第1容器は第1弁306を介して駆動デバイス311に接続されており、 第1容器301と第2容器302とが流体連通しており、そして第1容器と第2容器との間に、第2弁307が配置されており、前記第2弁307は、前記第2容器302内へ流入する流体のタイプを制御することができ、 第2容器302とガス貯蔵装置303とが流体連通しており、そして第2容器302とガス貯蔵装置303との間に、第3弁308が配置されており、 第2容器302は試料入口304と試料出口305とを有しており、そして試料入口304が第4弁309を備えており、第2容器内には磁性ビードを有することができ、 試料出口305は第5弁310を備えており、そして試料出口305は、第5弁310を介して廃液プール312、又は収集プール313に接続されている。
図4図4は、本出願により構成された核酸抽出のためのデバイスを示し、このデバイスは、第1容器401と、第2容器402と、ガス貯蔵装置403とを含み、 第1容器401は、互いに分離された第1チャンバと、第2チャンバとを有しており、第1チャンバは洗浄液を有し、第2チャンバは溶出液を有しており、 第1容器は第1弁406を介して駆動デバイス411に接続されており、 第1容器401と第2容器402とが流体連通しており、そして第1容器と第2容器との間に、第2弁407が配置されており、前記第2弁407は、前記第2容器402内へ流入する流体のタイプを制御することができ、 第2容器402とガス貯蔵装置403とが流体連通しており、そして第2容器402とガス貯蔵装置403との間に、第3弁408が配置されており、 第2容器402は試料入口404と試料出口405とを有しており、そして試料入口404が第4弁409を備えており、第2容器内には磁性ビード及び/又は溶解液を有することができ、 試料出口405は第5弁410を備えており、そして試料出口405は、第5弁410を介して廃液プール412、又は収集プール413に接続されている。
【発明を実施するための形態】
【0060】
本発明の実施態様を実施例と併せて以下に詳述するが、当業者には明らかなように、下記実施例は本発明の例示を目的としているにすぎず、本発明の範囲を限定するものと考えるべきではない。実施例における具体的な条件を示さないものは、コンベンショナルな条件、又は製造業者によって示唆される条件にしたがって実施した。製造業者を示さない試薬又は機器はすべて、商業的に入手可能なコンベンショナルな製品であった。
【0061】
実施例1:デバイスの形態及び使用方法
図1は、本出願により構成された核酸抽出のためのデバイスを示したものであり、このデバイスは、第1容器101と、第2容器102と、ガス貯蔵装置103とを含み、第1容器101は、溶解液と、第1スペーサと、洗浄液と、第2スペーサと、溶出液とを、第2弁107からの距離にしたがって近位端から遠位端へ向かって順番に有し、そして第1弁106を介して駆動デバイス111に接続されており、第1容器101が第2容器102と流体連通しており、そして第1容器と第2容器との間に、第2弁107が配置されており、第2容器102とガス貯蔵装置103とが流体連通しており、そして第2容器102とガス貯蔵装置103との間に第3弁108が配置されており、第2容器102は試料入口104と試料出口105とを有しており、そして試料入口104は第4弁109を備えており、第2容器内には磁性ビードを有することができ、試料出口105は第5弁110を備えており、そして試料出口105は、第5弁110を介して廃液プール112、又は収集プール113に接続されている。
【0062】
試料から核酸を抽出するためにデバイスを使用するときには、先ず、核酸を含有する試料を、試料入口104を通して、核酸を吸着し得る磁石(例えば磁性ビード)を有する第2容器102内へ装填し、そして第4弁109を閉じた。次いで、第1容器101内の溶解液を駆動デバイス111によって第2容器102内へ押し込み、駆動デバイスの使用中、第1弁106、第2弁107、及び第3弁108は開状態にあり、そして第4弁109及び第5弁110は閉状態にあった。この期間中、第2容器102内のガスは、外部環境へ入る代わりに、第3弁108を通ってガス貯蔵装置103へ入ることになる。駆動デバイスの使用が完了した後、第1弁106及び第2弁107を閉じ、そして任意には第3弁108を閉じ、そして溶解液と、磁石と、試料とを第2容器102内で混合し、適宜の時間にわたって培養した。培養後、第3弁108及び第5弁110を開き、第2容器102内の溶液すべてを、第5弁110を通して廃液プール112へ排出し、そして磁石を保持した。この期間中、ガス貯蔵装置103内のガスは、外部環境からのガスの進入を防止するために、第3弁108を通って第2容器102へ入ることになる。
【0063】
続いて第5弁110を閉じ、駆動デバイス111を使用して、第1容器101内の洗浄液を前記第2容器102内へ押し込み、前記洗浄液を適宜の時間にわたって磁石と接触させ、混合し、そして培養することを可能にし、駆動デバイスの使用中、第1弁106、第2弁107、及び第3弁108は開状態にあり、そして第4弁109及び第5弁110は閉状態にある。この期間中、第2容器102内のガスは、外部環境へ入る代わりに、第3弁108を通ってガス貯蔵装置103へ入ることになる。駆動デバイスの使用が完了した後、第1弁106及び第2弁107を閉じ、そして任意には第3弁108を閉じ、そして洗浄液と、磁石と、試料とを第2容器102内で混合し、適宜の時間にわたって培養した。培養後、第3弁108及び第5弁110を開き、第2容器102内の溶液すべてを、第5弁110を通して廃液プール112へ排出し、そして磁石を保持した。この期間中、ガス貯蔵装置103内のガスは、外部環境からのガスの進入を防止するために、第3弁108を通って第2容器102へ入ることになる。任意には、洗浄プロセスは1回又は2回以上繰り返すこともできる。
【0064】
続いて第5弁110を閉じ、駆動デバイス111を使用して、第1容器101内の溶出液を前記第2容器102内へ押し込み、前記溶出液を適宜の時間にわたって磁石と接触させ、混合し、そして培養することを可能にし、駆動デバイスの使用中、第1弁106、第2弁107、及び第3弁108は開状態にあり、そして第4弁109及び第5弁110は閉状態にある。この期間中、第2容器102内のガスは、外部環境へ入る代わりに、第3弁108を通ってガス貯蔵装置103へ入ることになる。駆動デバイスの使用が完了した後、第1弁106及び第2弁107を閉じ、そして任意には第3弁108を閉じ、そして溶出液と、磁石と、試料とを第2容器102内で混合し、適宜の時間にわたって培養した。培養後、第3弁108及び第5弁110を開き、第2容器102内の溶液すべてを、第5弁110を通して収集プール113へ排出し、これにより、抽出されるべき核酸を含有する溶液を得た。この期間中、ガス貯蔵装置103内のガスは、外部環境からのガスの進入を防止するために、第3弁108を通って第2容器102へ入ることになる。
【0065】
このデバイスの場合、貯蔵装置103を使用して空気を緩衝し、そしてガスを吸入し駆出することができた。貯蔵装置の存在は、デバイス全体のガスが繰り返し循環するのを可能にした。したがって、デバイス全体は外部とガス交換しなかった。これにより、デバイスの密閉が可能になり、核酸抽出プロセス中に環境によって引き起こされる試料の汚染を回避できた。第2容器102は核酸抽出プロセス中に、溶解、結合、洗浄、及び溶出のために使用した。試料出口105は、核酸抽出プロセス中に発生する廃液を排出するために(廃液プール112に接続)、又は抽出された核酸を収集するために(収集プール113に接続)使用した。廃液プール112及び収集プール113は取り外し可能であってよく、又は流体(廃液及び核酸溶液)の流れ方向は第5弁110によって制御することができた。
【0066】
図2は、本出願により構成された核酸抽出のための別のデバイスを示したものであり、第1容器201と、第2容器202と、ガス貯蔵装置203とを有し、第1容器201は、洗浄液と、第1スペーサと、溶出液とを、前記第2弁207からの距離にしたがって近位端から遠位端へ向かって有し、そして第1弁206を介して駆動デバイス211に接続されており、第1容器201が第2容器202と流体連通しており、そして前記第1容器と前記第2容器との間に、第2弁207が配置されており、第2容器202とガス貯蔵装置203とが流体連通しており、そして第2容器202とガス貯蔵装置203との間に第3弁208が配置されており、第2容器202は試料入口204と試料出口205とを有しており、そして試料入口204は第4弁209を備えており、第2容器は溶解液及び/又は磁性ビードを有することができ、試料出口205は第5弁210を備えており、そして試料出口205は、第5弁210を介して廃液プール212、又は収集プール213に接続されている。
【0067】
図2に示されたデバイスは、主として第1容器内に事前に装填された試薬が異なるという点で、図1に示されたデバイスとは異なっていた。図2のデバイスでは、第1容器201には洗浄液、第1スペーサ、及び溶出液だけが装填され、しかし溶解液は有しなかった。したがって、デバイスの使用中、駆動デバイス211は溶解液を第2容器202内へ押し込むためにはもはや使用せず、溶解液は第2容器202内に事前に装填し、あるいは溶解液は試料入口204を通して第2容器202内へ添加した。これ以外は、図2に示されたデバイスの使用方法は、図1に示されたデバイスの使用方法と基本的には同じであった。
【0068】
図3は、本出願により構成された核酸抽出のための別のデバイスを示したものであり、このデバイスは、第1容器301と、第2容器302と、ガス貯蔵装置303とを含み、第1容器301は、互いに分離された第1チャンバと、第2チャンバと、第3チャンバとを有しており、第1チャンバは溶解液を有し、第2チャンバは洗浄液を有し、そして第3チャンバは溶出液を有し、第1容器は第1弁306を通して駆動デバイス311と接続されており、第1容器301と第2容器302とは流体連通しており、第1容器301と第2容器302との間に第2弁307が配置されており、そして第2弁307は第2容器302内へ流入する流体のタイプを制御することができ、第2容器302とガス貯蔵装置303とは流体連通しており、第2容器302とガス貯蔵装置303との間に第3弁308が配置されており、第2容器302は試料入口304と試料出口305とを有しており、そして試料入口304は第4弁309を備えており、第2容器は磁性ビードを有することができ、試料出口305は第5弁310を備えており、そして試料出口305は、第5弁310を通して廃液プール312、又は収集プール313に接続されている。
【0069】
図3に示されたデバイスは、主として第1容器が異なる構成を有する点で、図1に示されたデバイスとは異なっていた。図3のデバイスの場合、第1容器301は、溶解液と、洗浄液と、溶出液とを、(スペーサではなく)異なるチャンバにより分離し、そして(試薬の順序ではなく)第2弁307を使用して、第2容器302内へ流入する試薬のタイプを制御した。したがって、デバイスの使用中、第2弁307の位置は、第2容器302内へ流入する試薬のタイプを制御するように、具体的なステップに応じて調節しなければならない。これ以外は、図3に示されたデバイスの使用方法は、図1に示されたデバイスの使用方法と基本的には同じであった。
【0070】
図4は、本出願により構成された核酸抽出のための別のデバイスを示したものであり、このデバイスは、第1容器401と、第2容器402と、ガス貯蔵装置403とを含み、第1容器401は、互いに分離された第1チャンバと第2チャンバとを有しており、第1チャンバは洗浄液を有し、そして第2チャンバは溶出液を有しており、第1容器は第1弁406を介して駆動デバイス411と接続されており、第1容器401と第2容器402とは流体連通しており、第1容器401と第2容器402との間に第2弁407が配置されており、そして第2弁407は第2容器402内へ流入する流体のタイプを制御することができ、第2容器402とガス貯蔵装置403とは流体連通しており、第2容器402とガス貯蔵装置403との間に第3弁408が設けられており、第2容器402は試料入口404と試料出口405とを有しており、そして試料入口404は第4弁409を備えており、第2容器は磁性ビード及び/又は溶解液を有することができ、試料出口405は第5弁410を備えており、そして試料出口405は、第5弁410を介して廃液プール412、又は収集プール413に接続されている。
【0071】
図4に示されたデバイスは、主として第1容器内に事前に装填された試薬が異なる点で、図3に示されたデバイスとは異なっていた。図4のデバイスの場合、第1容器401には、洗浄液、第1スペーサ、及び溶出液だけが装填され、しかし溶解液は有しなかった。したがって、デバイスの使用中、駆動デバイス411は溶解液を第2容器402内へ押し込むためにはもはや使用せず、溶解液は第2容器402内に事前に装填し、あるいは溶解液は試料入口404を通して第2容器402内へ添加した。これ以外は、図4に示されたデバイスの使用方法は、図3に示されたデバイスの使用方法と基本的には同じであった。
【0072】
図1図4において使用された駆動デバイス、廃液プール、及び収集プールはデバイス内に含まれていてもよく、あるいはこれらは取り外し可能であり、且つ独立した支持部分として提供されてもよい。
【0073】
実施例2:核酸の抽出及び検出
この実施例では、図1に構成されたデバイスを使用して核酸を抽出した。第1容器は直径1mmの内壁を有する管状容器であった。第1容器内には、50μLの溶出液(処方は10mM Tris-HCl、1mM EDTA、pH8.5であった)、3mlの洗浄液(処方は100mM NaCl、50mM Tris-HCl(pH7.8)、75%無水エタノールであった)、2mlの溶解液(処方は4M塩酸グアニジン、50mM Tris-HCl、10mM EDTA、15% Triton(登録商標) X100、pH6.5であった)を入れた。第1スペーサ及び第2スペーサは空気であった。第2容器には、核酸抽出のためのシリカゲル細胞膜磁性ビード(酸化鉄及び二酸化ケイ素を含有する)を事前に装填した。貯蔵装置はエアバッグであった。駆動デバイスは駆動ポンプであった。キットを使用する前に、すべての弁を閉じることにより、第1容器内の試薬が流出するのを防止し、そして外部環境からのガスがデバイスに入るのを防止した。
【0074】
上記デバイスを使用して核酸を抽出した。具体的なステップは以下の通りであった。すなわち、
(1) 第4弁を開き、そして200μLの核酸試料をこれに添加し、次いで第4弁を閉じた。
(2) 第1弁、第2弁、及び第3弁を開き、そして第1容器内の溶解液を駆動ポンプによって第2容器内へ流し込んだ。次いで、第1弁、第2弁、及び第3弁を閉じた。
(3) 試料、磁性ビード、及び溶解液を第2容器内で、振盪機又は磁気撹拌機を使用することにより十分に混合し、2~5分間にわたって室温で培養することにより、試料の溶解と、核酸と磁性ビードとの結合とを完了させた。結合が完了した後、振盪機又は磁気撹拌機をオフにした。
(4) 磁石を使用して、第2容器内の磁性ビードを第2容器の内壁に吸着した。
(5) 第3弁と第5弁とを開き、そして第2容器内の廃棄溶解液を、試料出口を通して廃液プール内へ排出した。次いで、第5弁を閉じた。
(6) 第1弁、第2弁、及び第3弁を開き、そして第1容器内の洗浄液を、駆動ポンプによって第2容器内へ流し込んだ。次いで、第1弁、第2弁、及び第3弁を閉じた。
(7) 第2容器内の試料、磁性ビード、及び洗浄液を、振盪機又は磁気撹拌機を使用することにより十分に混合し、1~2分間にわたって室温で培養することにより、磁性ビードに結合された核酸の洗浄を終えた。洗浄が完了した後、振盪機又は磁気撹拌機をオフにした。
(8) 磁石を使用して、第2容器内の磁性ビードを第2容器の内壁に吸着した。
(9) 第3弁と第5弁とを開き、そして第2容器内の廃棄洗浄液を、試料出口を通して廃液プール内へ排出した。次いで、第5弁を閉じた。
(10) 第1弁、第2弁、及び第3弁を開き、そして第1容器内の溶出液を、駆動ポンプによって第2容器内へ流し込んだ。次いで、第1弁、第2弁、及び第3弁を閉じた。
(11) 第2容器内の試料、磁性ビード、及び溶出液を、振盪機又は磁気撹拌機を使用することにより十分に混合し、2~5分間にわたって室温で培養することにより、磁性ビードに結合された核酸を溶出した。溶出が完了した後、振盪機又は磁気撹拌機をオフにした。
(12) 磁石を使用して、第2容器内の磁性ビードを第2容器の内壁に吸着した。
(13) 第3弁と第5弁とを開き、そして第2容器内の核酸溶出液を、試料出口を通して収集プール内へ排出し、収集プールは、事前に装填された凍結乾燥済み粉末試薬(50μmolのプライマー、50μmolのプローブ(probe)、5UのTaq DNAポリメラーゼ、10X PCR緩衝液、100mmolのMg2+、10mmolのdNTPを含む)を核酸検出のために含有した。次いで第3弁及び第5弁を閉じた。
(14) 収集プール内の核酸を支援機器を通して自動的に検出した。支援機器は、PCR増幅及びリアルタイム蛍光検出を実施し得る機器であった。本実施例の場合、リアルタイム蛍光PCR機器を使用した。熱サイクルモジュールは、PCR増幅の必要に応じて収集プールのために異なる反応温度を提供し、そして蛍光シグナル検出モジュールが特定の反応段階で、PCR増幅反応物質の蛍光シグナルを検出した。
【0075】
本発明を実施するための具体的なモデルを詳述してきたが、当業者には明らかなように、開示された教示内容全てにしたがって、細部に種々の改変及び変更を加えることができ、そしてこれらの変更は本発明の保護範囲内にすべて含まれる。本発明の全範囲は、添付の請求項及びこれらの任意の等価物によって与えられる。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-09-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0075
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0075】
本発明を実施するための具体的なモデルを詳述してきたが、当業者には明らかなように、開示された教示内容全てにしたがって、細部に種々の改変及び変更を加えることができ、そしてこれらの変更は本発明の保護範囲内にすべて含まれる。本発明の全範囲は、添付の請求項及びこれらの任意の等価物によって与えられる。
なお、本発明の実施形態の態様として、以下に示すものがある。
[態様1]
核酸抽出のためのデバイスであって、第1容器(101)と、第2容器(102)と、ガス貯蔵装置(103)とを含み、
前記第1容器(101)が、核酸抽出のための試薬を収容又は有するために使用され、そして第1弁(106)を有しており、
前記第1容器(101)と前記第2容器(102)とが流体連通しており、そして前記第1容器と前記第2容器との間に、第2弁(107)が配置されており、
前記第2容器(102)と前記ガス貯蔵装置(103)とが流体連通しており、そして
前記第2容器(102)が試料入口(104)と試料出口(105)とを有しており、そして前記試料入口(104)が第4弁(109)を備え、そして前記試料出口(105)が第5弁(110)を備えている、
核酸抽出のためのデバイス。
[態様2]
前記デバイスが気密であり、好ましくは、前記ガス貯蔵装置(103)が、ガスを有するか又は排出することができ、例えば前記ガス貯蔵装置(103)は容積が可変であって、例えば弾性又は伸縮性容器(例えばエアバッグ)、又はピストンを備えた容器(例えばシリンジ)であり、好ましくは、前記第2容器(102)と前記ガス貯蔵装置(103)との間に、第3弁(108)が配置されている、態様1に記載のデバイス。
[態様3]
前記第1容器(101)が管状であり、前記第1容器の一方の端部が、駆動デバイス(111)に接続するための第1弁(106)を備えており、そして他方の端部が、前記第2容器(102)に接続するための第2弁(107)を備えており、
好ましくは、前記第1容器(101)が下記の特徴(3-1)又は特徴(3-2)を有しており、すなわち、
(3-1) 前記第1容器(101)が、核酸抽出のための溶解液(例えば細胞溶解液)と、核酸抽出のための洗浄液(例えば核酸洗浄液)と、核酸抽出のための溶出液(例えば核酸溶出液)とを有しており、
好ましくは、前記溶解液と、前記洗浄液と、前記溶出液とが互いに分離されており、
好ましくは、前記溶解液と、前記洗浄液と、前記溶出液とが前記第1容器(101)内に、前記第2弁(107)からの距離にしたがって近位端から遠位端へ向かって配置されており、
好ましくは、前記溶解液と前記洗浄液とが第1スペーサによって分離されており、
好ましくは、前記洗浄液と前記溶出液とが第2スペーサによって分離されており、
好ましくは、前記第1容器(101)が、前記溶解液と、前記第1スペーサと、前記洗浄液と、前記第2スペーサと、前記溶出液とを有し、そしてこれらは前記第1容器(101)内に、前記第2弁(107)からの距離にしたがって近位端から遠位端へ向かって配置されており、
好ましくは、前記第1スペーサと前記第2スペーサとが同じ又は異なるものであり、
好ましくは、前記第1スペーサと前記第2スペーサとが、空気、鉱物油、動物油、植物油、合成油、パラフィン、シリコーン油、及びこれらの任意の組み合わせから成る群からそれぞれ独立して選択され、
好ましくは、前記洗浄液が1つ又は2つ以上の部分を含み、そして前記部分が、1つ又は2つ以上の付加的なスペーサによって互いに分離されており、好ましくは、前記部分が同じ又は異なる成分を有しており、好ましくは前記付加的なスペーサが、空気、鉱物油、動物油、植物油、合成油、パラフィン、シリコーン油、及びこれらの任意の組み合わせから成る群からそれぞれ独立して選択され、
好ましくは、前記溶出液と前記第1弁(106)との間に第3スペーサが設けられており、好ましくは、前記第3スペーサが、空気、鉱物油、動物油、植物油、合成油、パラフィン、シリコーン油、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択され、
又は、
(3-2) 前記第1容器(101)が、核酸抽出のための洗浄液(例えば核酸洗浄液)と溶出液(例えば核酸溶出液)とを有しており、
好ましくは、前記洗浄液と前記溶出液とが互いに分離されており、
好ましくは、前記洗浄液と前記溶出液とが前記第1容器(101)内に、前記第2弁(107)からの距離にしたがって近位端から遠位端へ向かって配置されており、
好ましくは、前記洗浄液と前記溶出液とが第1スペーサによって分離されており、
好ましくは、前記第1容器(101)が、前記洗浄液と、前記第1スペーサと、前記溶出液とを有し、そしてこれらは前記第1容器(101)内に、前記第2弁(107)からの距離にしたがって近位端から遠位端へ向かって配置されており、
好ましくは、前記洗浄液が1つ又は2つ以上の部分を含み、そして前記部分が、1つ又は2つ以上の付加的なスペーサによって互いに分離されており、好ましくは、前記部分が同じ又は異なる成分を有しており、好ましくは、前記付加的なスペーサが、空気、鉱物油、動物油、植物油、合成油、パラフィン、シリコーン油、及びこれらの任意の組み合わせから成る群からそれぞれ独立して選択され、
好ましくは、前記溶出液と前記第1弁(106)との間に第2スペーサが設けられており、
好ましくは、前記第1スペーサと前記第2スペーサとが同じ又は異なるものであり、
好ましくは、前記第1スペーサと前記第2スペーサとが、空気、鉱物油、動物油、植物油、合成油、パラフィン、シリコーン油、及びこれらの任意の組み合わせから成る群からそれぞれ独立して選択され、
好ましくは、前記第2容器(102)が、核酸抽出のための溶解液(例えば細胞溶解液)を有している、
態様1又は2に記載のデバイス。
[態様4]
前記第1容器(101)が、互いに分離された第1チャンバと、第2チャンバと、第3チャンバとを有しており、前記第1チャンバが、核酸抽出のための溶解液(例えば細胞溶解液)を収容又は有するために使用され、前記第2チャンバが、核酸抽出のための洗浄液(例えば核酸洗浄液)を収容又は有するために使用され、前記第3チャンバが、核酸抽出のための溶出液(例えば核酸溶出液)を収容又は有するために使用され、そして前記第2弁(107)が、前記第2容器(102)内へ流入する試薬のタイプを制御することができ、又は
前記第1容器(101)が、互いに分離された第1チャンバと、第2チャンバとを有しており、前記第1チャンバが、核酸抽出のための洗浄液(例えば核酸洗浄液)を収容又は有するために使用され、前記第2チャンバが、核酸抽出のための溶出液(例えば核酸溶出液)を収容又は有するために使用され、そして前記第2弁(107)が、前記第2容器(102)内へ流入する試薬のタイプを制御することができ、好ましくは、前記第2容器(102)が、核酸抽出のための溶解液(例えば細胞溶解液)を有する、
態様1又は2に記載のデバイス。
[態様5]
前記デバイスが下記のもの、すなわち、
(1) 前記第1弁(106)が、前記第1容器(101)と駆動デバイス(111)との間の流体連通を制御するために使用され、好ましくは、前記デバイスがまた駆動デバイス(111)を有しており、前記駆動デバイスが、前記第1弁(106)を通して前記第1容器(101)と流体連通しており、好ましくは、前記駆動デバイス(111)が取り外し可能であり、好ましくは、前記駆動デバイス(111)が駆動ポンプであること、
(2) 前記第2容器(102)が、核酸を吸着し得る磁石(例えば磁性ビード)、及び/又は核酸抽出のための溶解液(例えば細胞溶解液)を有しており、好ましくは、前記磁性ビードが下記のもの、すなわちシリカゲル細胞膜磁性ビード、アミノ磁性ビード、ヒドロキシル磁性ビード、ホルミル磁性ビード、セルロース被覆型磁性ビードから選択された1つ又は2つ以上であること、
(3) 前記試料出口(105)が、第5弁(110)を介して廃液プール(112)、又は収集プール(113)、又は廃液プール(112)及び収集プール(113)に接続されており、好ましくは、前記第5弁(110)は前記第5弁(110)を通って流れる流体の流れ方向を制御することができ、好ましくは、前記収集プール(113)は、核酸を検出するための試薬を有しており、好ましくは、前記廃液プール(112)及び/又は前記収集プール(113)は取り外し可能であること、
(4) 前記核酸がDNA、RNA、又はこれらの任意の組み合わせから成る群から選択されること、
から成る群から選択された1つ又は2つ以上の技術的特徴を有している、態様1から4のいずれか一態様に記載のデバイス。
[態様6]
態様1から5のいずれか一態様に記載のデバイスを含むキットであって、好ましくは、前記キットが下記のもの、すなわち、
(6-1) 核酸抽出のための試薬であって、好ましくは前記核酸抽出のための試薬が、溶解液(例えば細胞溶解液)、洗浄液(例えば核酸洗浄液)、溶出液(例えば核酸溶出液)、又はこれらの任意の組み合わせから成る群から選択され、好ましくは、前記溶解液と、前記洗浄液と、前記溶出液とが互いに分離されている、核酸抽出のための試薬、
(6-2) 1つ又は2つ以上のスペーサであって、好ましくは前記1つ又は2つ以上のスペーサが、空気、鉱物油、動物油、植物油、合成油、パラフィン、シリコーン油、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択された、1つ又は2つ以上のスペーサ、
(6-3) 核酸を吸着し得る磁石(例えば磁性ビード)であって、好ましくは前記磁性ビードが、下記のもの、すなわちシリカゲル細胞膜磁性ビード、アミノ磁性ビード、ヒドロキシル磁性ビード、ホルミル磁性ビード、セルロース被覆型磁性ビードから成る群から選択された1つ又は2つ以上である、核酸を吸着し得る磁石(例えば磁性ビード)、
(6-4) 駆動デバイスであって、好ましくは前記駆動デバイスが駆動ポンプであり、好ましくは前記駆動デバイスが、前記第1弁(106)を通して前記第1容器(101)と流体連通することが可能な、駆動デバイス、
(6-5) 廃液プールであって、好ましくは前記廃液プールが、第5弁(110)を通して前記試料出口(105)と流体連通することが可能な、廃液プール、及び
(6-6) 収集プールであって、好ましくは前記収集プールが、第5弁(110)を通して前記試料出口(105)と流体連通していてよく、好ましくは前記収集プールが核酸を検出するための試薬を有している、収集プール、
から成る群から選択された1つ又は2つ以上の部分又は成分をさらに含む、キット。
[態様7]
核酸抽出のための方法であって、前記方法が、試料から核酸を抽出するために、態様1から5のいずれか一態様に記載のデバイス、又は態様6に記載のキットを使用することを含む、核酸抽出のための方法。
[態様8]
核酸を抽出する方法であって、前記方法が、
(1) 核酸を含有する試料と、態様1から5のいずれか一態様に記載のデバイス、又は態様6に記載のキットとを用意し、
(2) 前記試料入口(104)を通して前記第2容器(102)内へ試料を装填し、そして前記第4弁(109)を閉じ、前記第2容器(102)は、核酸を吸着し得る磁石(例えば磁性ビード)を有しており、好ましくは、前記磁石が前記第2容器(102)内に事前に装填されており、又は前記磁石が前記試料と一緒に前記第2容器(102)内へ装填され、又は前記試料が装填された後で前記磁石が前記第2容器(102)内へ装填され、
(3) 溶解液と、前記核酸を吸着し得る磁石(例えば磁性ビード)と、前記試料とを適宜の時間にわたって、前記第2容器(102)内で接触させ、混合し、そして培養し、好ましくは、前記溶解液が前記第2容器(102)内へ事前に装填されており、又は前記溶解液が前記試料と一緒に前記第2容器(102)内へ装填され、又は前記試料が装填された後で前記溶解液が前記第2容器(102)内へ装填され、又は前記溶解液が前記第1容器(101)内に事前に装填されており、そして駆動デバイス(111)によって前記第2容器(102)内へ押し込まれ、前記駆動デバイスの使用中に、前記第1弁(106)、前記第2弁(107)、及び第3弁(108)が開状態にあり、そして前記第4弁(109)及び前記第5弁(110)が閉状態にあり、前記駆動デバイスの使用が完了した後、前記第1弁(106)及び前記第2弁(107)が閉じられ、そして任意には前記第3弁(108)が閉じられ、
(4) 培養後、前記第3弁(108)及び前記第5弁(110)を開き、前記第2容器(102)内の溶液すべてを、前記第5弁(110)を通して廃液プール(112)へ排出し、そして前記磁石を保持し、
(5) 前記第5弁(110)を閉じ、前記駆動デバイス(111)を使用して、前記第1容器(101)内に事前に装填された洗浄液を前記第2容器(102)内へ押し込み、前記洗浄液を適宜の時間にわたって磁石と接触させ、混合し、そして培養することを可能にし、前記駆動デバイスの使用中に、前記第1弁(106)、前記第2弁(107)、及び前記第3弁(108)が開状態にあり、そして前記第4弁(109)及び前記第5弁(110)が閉状態にあり、前記駆動デバイスの使用が完了した後、前記第1弁(106)及び前記第2弁(107)が閉じられ、そして任意には前記第3弁(108)が閉じられ、
(6) 培養後、前記第3弁(108)及び前記第5弁(110)を開き、前記第2容器(102)内の溶液すべてを、前記第5弁(110)を通して前記廃液プール(112)へ排出し、そして前記磁石を保持し、
任意には、ステップ(5)及び(6)を1回又は2回以上繰り返し、
(7) 前記第5弁(110)を閉じ、前記駆動デバイス(111)を使用して、前記第1容器(101)内に事前に装填された溶出液を前記第2容器(102)内へ押し込み、前記溶出液を適宜の時間にわたって磁石と接触させ、混合し、そして培養することを可能にし、前記駆動デバイスの使用中に、前記第1弁(106)、前記第2弁(107)、及び前記第3弁(108)が開状態にあり、そして前記第4弁(109)及び前記第5弁(110)が閉状態にあり、前記駆動デバイスの使用が完了した後、前記第1弁(106)及び前記第2弁(107)が閉じられ、そして任意には前記第3弁(108)が閉じられ、
(8) 培養後、前記第3弁(108)及び前記第5弁(110)を開き、そして前記第2容器(102)内の溶液すべてを、前記第5弁(110)を通して、収集プール(113)内へ収集し、これにより、抽出されるべき核酸を含有する溶液を得る、
ことを含む、核酸を抽出する方法。
[態様9]
態様1から5のいずれか一態様に記載のデバイス、又は態様6に記載のキットの、核酸を抽出するための使用。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸抽出のためのデバイスであって、第1容器(101)と、第2容器(102)と、ガス貯蔵装置(103)とを含み、
前記第1容器(101)が、核酸抽出のための試薬を収容又は有するために使用され、そして第1弁(106)を有しており、
前記第1容器(101)と前記第2容器(102)とが流体連通しており、そして前記第1容器と前記第2容器との間に、第2弁(107)が配置されており、
前記第2容器(102)と前記ガス貯蔵装置(103)とが流体連通しており、そして
前記第2容器(102)が試料入口(104)と試料出口(105)とを有しており、そして前記試料入口(104)が第4弁(109)を備え、そして前記試料出口(105)が第5弁(110)を備えている、
核酸抽出のためのデバイス。
【請求項2】
前記デバイスが気密である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記デバイスが下記のもの、すなわち、
(1) 前記ガス貯蔵装置(103)が、ガスを有するか又は排出することができること、
(2) 前記ガス貯蔵装置(103)の容積が可変であること、
(3) 前記ガス貯蔵装置(103)が、弾性又は伸縮性容器であること、
(4) 前記ガス貯蔵装置(103)がエアバッグであること、
(5) 前記ガス貯蔵装置(103)が、ピストンを備えた容器であること、
(6) 前記ガス貯蔵装置(103)がシリンジであること、及び
(7) 前記第2容器(102)と前記ガス貯蔵装置(103)との間に、第3弁(108)が配置されていること、
から選択された1つ又は2つ以上の特徴を有している、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1容器(101)が管状であり、前記第1容器の一方の端部が、駆動デバイス(111)に接続するための第1弁(106)を備えており、そして他方の端部が、前記第2容器(102)に接続するための第2弁(107)を備えている、請求項1記載のデバイス。
【請求項5】
前記第1容器(101)が下記の特徴(3-1)又は特徴(3-2)を有しており、すなわち、
(3-1) 前記第1容器(101)が、核酸抽出のための溶解液と、核酸抽出のための洗浄液と、核酸抽出のための溶出液とを有しており、
又は、
(3-2) 前記第1容器(101)が、核酸抽出のための洗浄液と溶出液とを有している、
請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記デバイスが下記のもの、すなわち、
(1) 前記溶解液と、前記洗浄液と、前記溶出液とが互いに分離されていること、
(2) 前記溶解液と、前記洗浄液と、前記溶出液とが前記第1容器(101)内に、前記第2弁(107)からの距離にしたがって近位端から遠位端へ向かって配置されていること、
(3) 前記溶解液と前記洗浄液とが第1スペーサによって分離されていること、
(4) 前記洗浄液と前記溶出液とが第2スペーサによって分離されていること、
(5) 前記第1容器(101)が、前記溶解液と、前記第1スペーサと、前記洗浄液と、前記第2スペーサと、前記溶出液とを有し、そしてこれらは前記第1容器(101)内に、前記第2弁(107)からの距離にしたがって近位端から遠位端へ向かって配置されていること、
(6) 前記洗浄液が1つ又は2つ以上の部分を含み、そして前記部分が、1つ又は2つ以上の付加的なスペーサによって互いに分離されていること、及び
(7) 前記溶出液と前記第1弁(106)との間に第3スペーサが設けられていること
から選択された1つ又は2つ以上の特徴を有している、請求項5に記載のデバイス
【請求項7】
前記デバイスが下記のもの、すなわち、
(1) 前記第1スペーサと前記第2スペーサとが同じ又は異なるものであること、
(2) 前記第1スペーサと前記第2スペーサとが、空気、鉱物油、動物油、植物油、合成油、パラフィン、シリコーン油、及びこれらの任意の組み合わせから成る群からそれぞれ独立して選択されること、
(3) 前記部分が同じ又は異なる成分を有していること、
(4) 前記付加的なスペーサが、空気、鉱物油、動物油、植物油、合成油、パラフィン、シリコーン油、及びこれらの任意の組み合わせから成る群からそれぞれ独立して選択されること、
(5) 前記第3スペーサが、空気、鉱物油、動物油、植物油、合成油、パラフィン、シリコーン油、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択されること、
(6) 前記溶解液が細胞溶解液であること、
(7) 前記洗浄液が核酸洗浄液であること、及び
(8) 前記溶出液が核酸溶出液であること
から選択された1つ又は2つ以上の特徴を有している、請求項6に記載のデバイス
【請求項8】
前記デバイスが下記のもの、すなわち、
(1) 前記洗浄液と前記溶出液とが互いに分離されていること、
(2) 前記洗浄液と前記溶出液とが前記第1容器(101)内に、前記第2弁(107)からの距離にしたがって近位端から遠位端へ向かって配置されていること、
(3) 前記洗浄液と前記溶出液とが第1スペーサによって分離されていること、
(4) 前記第1容器(101)が、前記洗浄液と、前記第1スペーサと、前記溶出液とを有し、そしてこれらは前記第1容器(101)内に、前記第2弁(107)からの距離にしたがって近位端から遠位端へ向かって順番に配置されていること、
(5) 前記洗浄液が1つ又は2つ以上の部分を含み、そして前記部分が、1つ又は2つ以上の付加的なスペーサによって互いに分離されていること、
(6) 前記溶出液と前記第1弁(106)との間に第2スペーサが設けられていること、及び
(7) 前記第2容器(102)が、核酸抽出のための溶解液を有していること、
から選択された1つ又は2つ以上の特徴を有している、請求項5に記載のデバイス
【請求項9】
前記デバイスが下記のもの、すなわち、
(1) 前記部分が同じ又は異なる成分を有していること、
(2) 前記付加的なスペーサが、空気、鉱物油、動物油、植物油、合成油、パラフィン、シリコーン油、及びこれらの任意の組み合わせから成る群からそれぞれ独立して選択されること、
(3) 前記第1スペーサと前記第2スペーサとが同じ又は異なるものであること、
(4) 前記第1スペーサと前記第2スペーサとが、空気、鉱物油、動物油、植物油、合成油、パラフィン、シリコーン油、及びこれらの任意の組み合わせから成る群からそれぞれ独立して選択されること、
(5) 前記洗浄液が核酸洗浄液であること、
(6) 前記溶出液が核酸溶出液であること、及び
(7) 前記溶解液が細胞溶解液であること、
から選択された1つ又は2つ以上の特徴を有している、請求項8に記載のデバイス
【請求項10】
前記第1容器(101)が、互いに分離された第1チャンバと、第2チャンバと、第3チャンバとを有しており、前記第1チャンバが、核酸抽出のための溶解液収容又は有するために使用され、前記第2チャンバが、核酸抽出のための洗浄液を収容又は有するために使用され、前記第3チャンバが、核酸抽出のための溶出液を収容又は有するために使用され、そして前記第2弁(107)が、前記第2容器(102)内へ流入する試薬のタイプを制御することができ、又は
前記第1容器(101)が、互いに分離された第1チャンバと、第2チャンバとを有しており、前記第1チャンバが、核酸抽出のための洗浄液を収容又は有するために使用され、前記第2チャンバが、核酸抽出のための溶出液を収容又は有するために使用され、そして前記第2弁(107)が、前記第2容器(102)内へ流入する試薬のタイプを制御することができ
請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記デバイスが下記のもの、すなわち、
(1) 前記第2容器(102)が、核酸抽出のための溶解液を有すること、
(2) 前記洗浄液が核酸洗浄液であること、
(3) 前記溶出液が核酸溶出液であること、及び
(4) 前記溶解液が細胞溶解液であること、
から選択された1つ又は2つ以上の特徴を有している、請求項10に記載のデバイス
【請求項12】
前記デバイスが下記のもの、すなわち、
(1) 前記第1弁(106)が、前記第1容器(101)と駆動デバイス(111)との間の流体連通を制御するために使用されこと、
(2) 前記第2容器(102)が、核酸を吸着し得る磁、及び/又は核酸抽出のための溶解液有していること、
(3) 前記試料出口(105)が、第5弁(110)を介して廃液プール(112)、又は収集プール(113)、又は廃液プール(112)及び収集プール(113)に接続されていること、
(4) 前記核酸がDNA、RNA、又はこれらの任意の組み合わせから成る群から選択されること、及び
(5) 前記デバイスがまた駆動デバイス(111)を有しており、前記駆動デバイスが、前記第1弁(106)を通して前記第1容器(101)と流体連通していること、
から成る群から選択された1つ又は2つ以上の技術的特徴を有している、請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記デバイスが下記のもの、すなわち、
(1) 前記磁石が磁性ビードであること、
(2) 前記磁石が下記のもの、すなわちシリカゲル細胞膜磁性ビード、アミノ磁性ビード、ヒドロキシル磁性ビード、ホルミル磁性ビード、セルロース被覆型磁性ビードから選択された1つ又は2つ以上であること、
(3) 前記第5弁(110)が前記第5弁(110)を通って流れる流体の流れ方向を制御することができること、
(4) 前記収集プール(113)が、核酸を検出するための試薬を有していること、
(5) 前記廃液プール(112)及び/又は前記収集プール(113)が取り外し可能であること、
(6) 前記駆動デバイス(111)が取り外し可能であること、及び
(7) 前記駆動デバイス(111)が駆動ポンプであること、
から成る群から選択された1つ又は2つ以上の技術的特徴を有している、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載のデバイスを含むキット
【請求項15】
前記キットが下記のもの、すなわち、
(6-1) 核酸抽出のための試薬、
(6-2) 1つ又は2つ以上のスペーサ、
(6-3) 核酸を吸着し得る磁石、
(6-4) 駆動デバイス、
(6-5) 廃液プール、及び
(6-6) 収集プール、
から成る群から選択された1つ又は2つ以上の部分又は成分をさらに含む、請求項14に記載のキット。
【請求項16】
前記キットが下記のもの、すなわち、
(1) 前記核酸抽出のための試薬が、溶解液、洗浄液、溶出液、又はこれらの任意の組み合わせから成る群から選択されること、
(2) 前記1つ又は2つ以上のスペーサが、空気、鉱物油、動物油、植物油、合成油、パラフィン、シリコーン油、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択されること、
(3) 前記磁石が、下記のもの、すなわちシリカゲル細胞膜磁性ビード、アミノ磁性ビード、ヒドロキシル磁性ビード、ホルミル磁性ビード、セルロース被覆型磁性ビードから成る群から選択された1つ又は2つ以上であること、
(4) 前記駆動デバイスが駆動ポンプであること、
(5) 前記駆動デバイスが、前記第1弁(106)を通して前記第1容器(101)と流体連通できること、
(6) 前記廃液プールが、前記第5弁(110)を通して前記試料出口(105)と流体連通できること、
(7) 前記収集プールが、前記第5弁(110)を通して前記試料出口(105)と流体連通できること、
(8) 前記収集プールが核酸を検出するための試薬を有していること、及び
(9) 前記磁石が磁性ビードであること、
から成る群から選択された1つ又は2つ以上の技術的特徴を有する、請求項15に記載のキット。
【請求項17】
前記溶解液と、前記洗浄液と、前記溶出液とが互いに分離されている、請求項16に記載のキット。
【請求項18】
核酸抽出のための方法であって、前記方法が、試料から核酸を抽出するために、請求項1から13のいずれか1項に記載のデバイス、又は請求項14から17のいずれか1項に記載のキットを使用することを含む、核酸抽出のための方法。
【請求項19】
核酸を抽出する方法であって、前記方法が、
(1) 核酸を含有する試料と、請求項1から13のいずれか1項に記載のデバイス、又は請求項14から17のいずれか1項に記載のキットとを用意し、
(2) 前記試料入口(104)を通して前記第2容器(102)内へ試料を装填し、そして前記第4弁(109)を閉じ、前記第2容器(102)は、核酸を吸着し得る磁石を有しており、
(3) 溶解液と、前記核酸を吸着し得る磁石、前記試料とを適宜の時間にわたって、前記第2容器(102)内で接触させ、混合し、そして培養し
(4) 培養後、第3弁(108)及び前記第5弁(110)を開き、前記第2容器(102)内の溶液すべてを、前記第5弁(110)を通して廃液プール(112)へ排出し、そして前記磁石を保持し、
(5) 前記第5弁(110)を閉じ、駆動デバイス(111)を使用して、前記第1容器(101)内に事前に装填された洗浄液を前記第2容器(102)内へ押し込み、前記洗浄液を適宜の時間にわたって磁石と接触させ、混合し、そして培養することを可能にし、前記駆動デバイスの使用中に、前記第1弁(106)、前記第2弁(107)、及び前記第3弁(108)が開状態にあり、そして前記第4弁(109)及び前記第5弁(110)が閉状態にあり、前記駆動デバイスの使用が完了した後、前記第1弁(106)及び前記第2弁(107)が閉じられ、そして記第3弁(108)が閉じられるか又は開かれ
(6) 培養後、前記第3弁(108)及び前記第5弁(110)を開き、前記第2容器(102)内の溶液すべてを、前記第5弁(110)を通して前記廃液プール(112)へ排出し、そして前記磁石を保持し
(7) 前記第5弁(110)を閉じ、前記駆動デバイス(111)を使用して、前記第1容器(101)内に事前に装填された溶出液を前記第2容器(102)内へ押し込み、前記溶出液を適宜の時間にわたって磁石と接触させ、混合し、そして培養することを可能にし、前記駆動デバイスの使用中に、前記第1弁(106)、前記第2弁(107)、及び前記第3弁(108)が開状態にあり、そして前記第4弁(109)及び前記第5弁(110)が閉状態にあり、前記駆動デバイスの使用が完了した後、前記第1弁(106)及び前記第2弁(107)が閉じられ、そして記第3弁(108)が閉じられるか又は開かれ、
(8) 培養後、前記第3弁(108)及び前記第5弁(110)を開き、そして前記第2容器(102)内の溶液すべてを、前記第5弁(110)を通して、収集プール(113)内へ収集し、これにより、抽出されるべき核酸を含有する溶液を得る、
ことを含む、核酸を抽出する方法。
【請求項20】
前記方法が下記のもの、すなわち、
(1) 前記磁石が前記第2容器(102)内に事前に装填されており、又は前記磁石が前記試料と一緒に前記第2容器(102)内へ装填され、又は前記試料が装填された後で前記磁石が前記第2容器(102)内へ装填されること、
(2) 前記ステップ(5)及び(6)を1回又は2回以上繰り返すこと、
(3) 前記溶解液が前記第2容器(102)内へ事前に装填されており、又は前記溶解液が前記試料と一緒に前記第2容器(102)内へ装填され、又は前記試料が装填された後で前記溶解液が前記第2容器(102)内へ装填され、又は前記溶解液が前記第1容器(101)内に事前に装填されており、そして前記駆動デバイス(111)によって前記第2容器(102)内へ押し込まれ、前記駆動デバイスの使用中に、前記第1弁(106)、前記第2弁(107)、及び前記第3弁(108)が開状態にあり、そして前記第4弁(109)及び前記第5弁(110)が閉状態にあり、前記駆動デバイスの使用が完了した後、前記第1弁(106)及び第2弁(107)が閉じられ、そして前記第3弁(108)が閉じられるか又は開かれること、
から成る群から選択された1つ又は2つ以上の技術的特徴を有している、請求項19に記載の方法。
【国際調査報告】