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  • 特表-金属複合膜及びその電気化学装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-14
(54)【発明の名称】金属複合膜及びその電気化学装置
(51)【国際特許分類】
   B32B 15/082 20060101AFI20231207BHJP
   H01M 50/129 20210101ALI20231207BHJP
   H01M 50/119 20210101ALI20231207BHJP
   H01M 50/121 20210101ALI20231207BHJP
   H01M 50/133 20210101ALI20231207BHJP
   H01M 50/131 20210101ALI20231207BHJP
【FI】
B32B15/082 Z
H01M50/129
H01M50/119
H01M50/121
H01M50/133
H01M50/131
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557476
(86)(22)【出願日】2021-11-25
(85)【翻訳文提出日】2023-06-16
(86)【国際出願番号】 CN2021133232
(87)【国際公開番号】W WO2022121699
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】202110426578.3
(32)【優先日】2020-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011430235.6
(32)【優先日】2020-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523216160
【氏名又は名称】江西睿捷新材料科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】JIANGXI RUIERGY NEW MATERIAL TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】East of Junzhou North Road, High Tech Industrial Park, Gao’an Yichun, Jiangxi 330800, China
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】程 躍
(72)【発明者】
【氏名】陳 濱
(72)【発明者】
【氏名】王 小明
(72)【発明者】
【氏名】仲 松華
(72)【発明者】
【氏名】王 卉
(72)【発明者】
【氏名】虞 少波
(72)【発明者】
【氏名】庄 志
【テーマコード(参考)】
4F100
5H011
【Fターム(参考)】
4F100AA17
4F100AA17D
4F100AA22
4F100AA22D
4F100AB01
4F100AB01B
4F100AH05
4F100AH05D
4F100AK01
4F100AK01A
4F100AK01C
4F100AK03
4F100AK03E
4F100AK25
4F100AK253
4F100AK25C
4F100AK46
4F100AK46A
4F100AL06
4F100AL06E
4F100AR00D
4F100AR00E
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
4F100CA02
4F100CA02E
4F100CA13
4F100CA13E
4F100CB00
4F100CB00E
4F100EJ01
4F100EJ01B
4F100EJ38
4F100EJ38A
4F100GB41
4F100JA04
4F100JA06
4F100JB16
4F100JB16C
4F100JK06
4F100JL12
4F100JL12C
5H011BB03
5H011CC02
5H011CC06
5H011CC10
5H011DD09
5H011DD14
(57)【要約】
本開示は、アルミニウムプラスチックフィルムの製造技術分野に関し、外基材樹脂層と、中間金属層と、熱溶着樹脂層と、を含み、上記中間金属層の上記熱溶着樹脂層に接触する当該側には防食層が形成され、上記防食層は、防食液を塗布又は熱処理することにより形成され、上記防食液における成分は、3価クロム化合物、無機酸、有機樹脂を含み、上記3価クロム化合物、無機酸、有機樹脂の質量比は(19~60):(3~60):(6~60)である、金属複合膜を開示する。上記防食液の成分は、チタン酸塩を更に含んでもよく、上記3価クロム化合物、無機酸、有機樹脂、チタン酸塩の割合は、(19~60):(3~60):(6~60):(1~10)である。本開示に係る上記限定範囲の防食液配合法を使用することで、金属複合膜の中間金属層の熱溶着樹脂層との初期剥離強度及び水無し、水有りの電解液環境における耐食性を顕著に向上させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外基材樹脂層と、中間金属層と、熱溶着樹脂層と、を含み、
前記中間金属層の前記熱溶着樹脂層に接触する側には防食層が形成され、前記防食層は、防食液を塗布又は熱処理することにより形成され、前記防食液における3価クロム化合物、無機酸、有機樹脂の占める質量百分率は、それぞれ1.9~6%、0.3~6%、0.6~6%であり、前記3価クロム化合物は、少なくとも硝酸クロム、リン酸クロム及び塩化クロムのうちの1種からなる、
ことを特徴とする、金属複合膜。
【請求項2】
前記防食液にはフッ化物が更に含まれ、前記防食液における1価クロム化合物、無機酸、フッ化物、有機樹脂の占める質量百分率は、それぞれ1.9~6%、0.3~6%、0~10%、0.6~6%である、
ことを特徴とする、請求項1に記載の金属複合膜。
【請求項3】
前記金属複合膜は、前記防食層と前記熱溶着樹脂層との間に内層接着剤層が設けられることを更に含む、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の金属複合膜。
【請求項4】
前記金属複合膜は、前記外基材樹脂層と前記中間金属層との間に外層接着剤層が設けられることを更に含む、
ことを特徴とする、請求項3に記載の金属複合膜。
【請求項5】
前記金属複合膜は、前記外基材樹脂層と前記中間金属層との間に外層接着剤層が設けられてることを更に含む、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の金属複合膜。
【請求項6】
前記金属複合膜は着色層を更に含み、前記着色層は前記外基材樹脂層と前記外層接着剤層との間に設けられること、又は、前記着色層は顔料を外層接着剤層に加えることにより形成される、
ことを特徴とする、請求項4又は5に記載の金属複合膜。
【請求項7】
前記金属複合膜は、前記外基材樹脂層の外側に着色層が設けられることを更に含む、
ことを特徴とする、請求項1~5の何れか一項に記載の金属複合膜。
【請求項8】
前記中間金属層の前記外層接着剤層又は前記外基材樹脂層に接触する側には、外防食層が設けられる、
ことを特徴とする、請求項1~7の何れか一項に記載の金属複合膜。
【請求項9】
前記無機酸は、硝酸とリン酸のうちの1種又は複数種からなる、
ことを特徴とする、請求項1~8の何れか一項に記載の金属複合膜。
【請求項10】
前記有機樹脂は、ポリアクリル酸系樹脂、又はポリアクリル酸系樹脂とポリビニルアルコールからなる、
ことを特徴とする、請求項1~8の何れか一項に記載の金属複合膜。
【請求項11】
前記ポリアクリル酸系樹脂は、ポリアクリル酸、ポリメチルアクリレート、アクリル酸とマレイン酸の共重合体、アクリル酸とスチレンの共重合体及びそのナトリウム塩、アンモニウム塩誘導体のうちの1種又は複数種であり、前記ポリアクリル酸系樹脂の重量平均分子量は10000~800000である、
ことを特徴とする、請求項10に記載の金属複合膜。
【請求項12】
前記防食層の厚さは、1nm~3.0μmである、
ことを特徴とする、請求項1~8の何れか一項に記載の金属複合膜。
【請求項13】
前記防食層の厚さは、1nm~1.5μmである、
ことを特徴とする、請求項12に記載の金属複合膜。
【請求項14】
前記防食層におけるクロムの含有量は、8~50mg/mの間にある、
ことを特徴とする、請求項1~8の何れか一項に記載の金属複合膜。
【請求項15】
前記防食層におけるクロムの含有量は、10~30mg/mの間にある、
ことを特徴とする、請求項14に記載の金属複合膜。
【請求項16】
前記防食層は、防食液を塗布、熱処理することにより形成される、
ことを特徴とする、請求項1~8の何れか一項に記載の金属複合膜。
【請求項17】
前記塗布の方式は、バーコーティング法、ロールコーティング法、グラビアコーティング法及び浸漬法を含む、
ことを特徴とする、請求項16に記載の金属複合膜。
【請求項18】
前記フッ化物は、フッ化クロム、フッ化アルミニウムから選ばれる1種又は複数種である、
ことを特徴とする、請求項2~8に記載の金属複合膜。
【請求項19】
前記内層接着剤層には溶液型接着剤が使用され、前記溶液型接着剤の成分は酸変性ポリオレフィン樹脂、硬化剤を含み、前記内層接着剤層の厚さは1~10μmである、
ことを特徴とする、請求項3に記載の金属複合膜。
【請求項20】
前記酸変性ポリオレフィン樹脂の融点は60~155℃の間、重量平均分子量は10000~150000の範囲、酸価は0.5~200mg KOH/gの範囲にある、
ことを特徴とする、請求項19に記載の金属複合膜。
【請求項21】
前記硬化剤は、イソシアネート、エポキシ樹脂又はオキサゾリンから選ばれる1種又は複数種、或いは、トリエチルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミンから選ばれる1種又は複数種であり、前記酸変性ポリオレフィン樹脂に用いられる酸変性剤は、マレイン酸無水物、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸無水物のうちの1種である、
ことを特徴とする、請求項19に記載の金属複合膜。
【請求項22】
前記硬化剤がトリエチルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミンから選ばれる1種又は複数種である場合、前記酸変性ポリオレフィン樹脂の前記硬化剤に対する質量比は10:1~125:1である、
ことを特徴とする、請求項21に記載の金属複合膜。
【請求項23】
前記酸変性ポリオレフィン樹脂の前記硬化剤に対する質量比は、15:1~50:1である、
ことを特徴とする、請求項22に記載の金属複合膜。
【請求項24】
前記酸変性ポリオレフィン樹脂は、融点が110℃以上のポリプロピレンの含有量が50%を超えるポリプロピレンブロック共重合体樹脂、ポリプロピレンランダム共重合体樹脂とホモポリプロピレン樹脂のうちの1種又は複数種の混合物からなる単層又は複数層である、
ことを特徴とする、請求項20に記載の金属複合膜。
【請求項25】
前記内層接着剤層には熱溶融型内層接着剤が使用され、前記熱溶融型内層接着剤の成分は酸変性ポリオレフィン樹脂を含み、前記内層接着剤層の厚さは2~80μmである、
ことを特徴とする、請求項3に記載の金属複合膜。
【請求項26】
前記酸変性ポリオレフィン樹脂の融点は135~165℃の間、MFR(230℃)は3~15g/10minの間にある、
ことを特徴とする、請求項25に記載の金属複合膜。
【請求項27】
前記酸変性ポリオレフィン樹脂に用いられる酸変性剤は、マレイン酸無水物、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸無水物のうちの1種であり、前記ポリオレフィン樹脂の変性度は1~15%である、
ことを特徴とする、請求項25に記載の金属複合膜。
【請求項28】
前記熱溶着樹脂層は、酸変性ポリオレフィン樹脂、ホモポリプロピレン樹脂、ポリプロピレンブロック共重合体樹脂、ポリプロピレンランダム共重合体樹脂及びポリエチレン樹脂のうちの1種又は2種以上の混合樹脂からなる単層又は複合層である、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の金属複合膜。
【請求項29】
前記熱溶着樹脂層の構成樹脂の融点は120~162℃の間にあり、MFR(230℃)は2~15g/10minであり、前記熱溶着樹脂層の厚さは20~120μmである、
ことを特徴とする、請求項28に記載の金属複合膜。
【請求項30】
請求項1~29の何れか一項に記載の金属複合膜を使用する、
ことを特徴とする、電気化学装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本願は、2020年12月07日に中国国家知識産権局に提出された出願番号がCN202011430235.6、名称が「金属複合膜、電気化学装置」、及び2020年12月07日という出願日に中国国家知識産権局に提出された出願番号がCN202110426578.3、名称が「金属複合膜及びその電気化学装置」である中国特許出願の優先権を主張し、その内容の全ては引用により本願に組み込まれている。
【0002】
本開示は、アルミニウムプラスチックフィルムの製造技術分野に関し、特に、金属複合膜及び当該金属複合膜を用いる電気化学装置に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、リチウムイオン電池は主に角型、円筒型、パウチ型という3種類に分けられ、そのうち、角型と円筒型は、そのハウジングが主にアルミニウム合金、ステンレス鋼などのシェルを採用し、アルミニウム合金製のハウジングがアルミニウムであってもよいが、金属と樹脂を積層してなるパウチハウジングは金属複合膜を採用することにより、硬質包装電池の外形設計における柔軟性に欠ける問題が大幅に改善される。
【0004】
しかし、電池の外装材料として、金属複合膜は、電解液による腐食に耐える性能が要求され、それにより、電池ハウジングに液漏れが生じるといった問題を防止し、電池の耐用年数を確保することができる。
【0005】
一般的に、リチウムイオン電池の外装用金属複合膜における金属は、何れも防食処理を行わなければならず、防食処理の効果が不十分な場合、電池の製造工程において水分は混ぜ込まれると、電解液中のリチウム塩と反応し、腐食性のフッ化水素(HF)を生成し、フッ化水素は、内熱溶着樹脂層と内層接着剤層を経て、中間金属層表面に到達して金属を腐食し、金属と内熱溶着樹脂層との間の離脱を引き起こすことになる。電池からの電解液の漏れを起こす可能性が高くなる。従って、金属の防食処理は、金属複合膜への影響が非常に大きい。
【0006】
現在、金属は、幾つかの防食液により防食処理された後、幾つかの一般的な電解液環境で、金属複合膜の耐食程度を向上させることができる。しかし、電池は長期使用中に、水分が電池外装を通過して電解液にフッ化水素(HF)を生じさせる恐れがあり、それでこの防食液の防食処理の効果が不十分になり、リチウムイオン電池用金属複合膜の層間分離が起こりやすく、金属複合膜のリチウムイオン電池分野における普及と使用に影響を与えてしまう。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、外基材樹脂層と、中間金属層と、熱溶着樹脂層と、を含み、上記中間金属層の上記熱溶着樹脂層に接触する当該側には防食層が形成され、上記防食層は、防食液を塗布又は熱処理することにより形成され、上記防食液における3価クロム化合物、無機酸、有機樹脂の占める質量百分率は、それぞれ1.9~6%、0.3~6%、0.6~6%であり、上記3価クロム化合物は、少なくとも硝酸クロム、リン酸クロム及び塩化クロムのうちの1種からなる、金属複合膜を提供する。
【0008】
幾つかの実施形態において、上記防食液にはフッ化物が更に含まれ、上記防食液における3価クロム化合物、無機酸、フッ化物、有機樹脂の占める質量百分率は、それぞれ1.9~6%、0.3~6%、0~10%、0.6~6%である。
【0009】
幾つかの実施形態において、上記防食層の成分は、上記防食層と上記熱溶着樹脂層との間に内層接着剤層が設けられることを更に含む。
【0010】
幾つかの実施形態において、上記防食層の成分は、上記外基材樹脂層と上記中間金属層との間に外層接着剤層が設けられることを更に含む。
【0011】
幾つかの実施形態において、上記金属複合膜は着色層を更に含み、上記着色層は上記外基材樹脂層と上記外層接着剤層との間に設けられること、又は、上記着色層は顔料を外層接着剤層に加えることにより形成される。
【0012】
幾つかの実施形態において、上記金属複合膜は、上記外基材樹脂層の外側に着色層が設けられることを更に含む。
【0013】
幾つかの実施形態において、上記中間金属層の上記外層接着剤層又は上記外基材樹脂層に接触する側には、外防食層が設けられる。
【0014】
幾つかの実施形態において、上記無機酸は、硝酸とリン酸のうちの1種又は複数種からなる。
【0015】
幾つかの実施形態において、上記有機樹脂は、ポリアクリル酸系樹脂、又はポリアクリル酸系樹脂とポリビニルアルコールからなる。
【0016】
幾つかの実施形態において、上記ポリアクリル酸系樹脂は、ポリアクリル酸、ポリメチルアクリレート、アクリル酸とマレイン酸の共重合体、アクリル酸とスチレンの共重合体及びそのナトリウム塩、アンモニウム塩誘導体のうちの1種又は複数種であり、上記ポリアクリル酸系樹脂の重量平均分子量は10000~800000である。
【0017】
幾つかの実施形態において、上記防食層の厚さは1nm~3.0μmである。
【0018】
幾つかの実施形態において、上記防食層の厚さは1nm~1.5μmである。
【0019】
幾つかの実施形態において、上記防食層におけるクロムの含有量は8~50mg/mの間にある。
【0020】
幾つかの実施形態において、上記防食層におけるクロムの含有量は10~30mg/mの間にある。
【0021】
幾つかの実施形態において、上記防食層は、防食液を塗布、熱処理することにより形成される。
【0022】
幾つかの実施形態において、上記塗布方式は、バーコーティング法、ロールコーティング法、グラビアコーティング法及び浸漬法を含む。
【0023】
幾つかの実施形態において、上記フッ化物は、フッ化クロム、フッ化アルミニウムから選ばれる1種又は複数種である。
【0024】
幾つかの実施形態において、上記内層接着剤層には溶液型接着剤が使用され、上記溶液型接着剤の成分は酸変性ポリオレフィン樹脂、硬化剤を含み、上記内層接着剤層の厚さは1~10μmである。
【0025】
幾つかの実施形態において、上記酸変性ポリオレフィン樹脂の融点は60~155℃の間、重量平均分子量は10000~150000の範囲、酸価は0.5~200mg KOH/gの範囲にある。
【0026】
幾つかの実施形態において、上記硬化剤は、イソシアネート、エポキシ樹脂又はオキサゾリンから選ばれる1種又は複数種、或いは、トリエチルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミンから選ばれる1種又は複数種であり、上記酸変性ポリオレフィン樹脂に用いられる酸変性剤は、マレイン酸無水物、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸無水物のうちの1種である。
【0027】
幾つかの実施形態において、上記硬化剤がトリエチルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミンから選ばれる1種又は複数種である場合、上記酸変性ポリオレフィン樹脂の上記硬化剤に対する質量比は10:1~125:1である。
【0028】
幾つかの実施形態において、上記酸変性ポリオレフィン樹脂の上記硬化剤に対する質量比は15:1~50:1である。
【0029】
幾つかの実施形態において、上記酸変性ポリオレフィン樹脂は、融点が110℃以上のポリプロピレンの含有量が50%を超えるポリプロピレンブロック共重合体樹脂、ポリプロピレンランダム共重合体樹脂及びホモポリプロピレン樹脂のうちの1種又は複数種の混合物からなる単層又は複数層である。
【0030】
幾つかの実施形態において、上記内層接着剤層には熱溶融型内層接着剤が使用され、上記熱溶融型内層接着剤の成分は酸変性ポリオレフィン樹脂を含み、上記内層接着剤層の厚さは2~80μmである。
【0031】
幾つかの実施形態において、上記酸変性ポリオレフィン樹脂の融点は135~165℃の間、MFR(230℃)は3~15g/10minの間にある。
【0032】
幾つかの実施形態において、上記酸変性ポリオレフィン樹脂に用いられる酸変性剤は、マレイン酸無水物、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸無水物のうちの1種であり、上記ポリオレフィン樹脂の変性度は1~15%である。
【0033】
幾つかの実施形態において、上記熱溶着樹脂層は、酸変性ポリオレフィン樹脂、ホモポリプロピレン樹脂、ポリプロピレンブロック共重合体樹脂、ポリプロピレンランダム共重合体樹脂及びポリエチレン樹脂のうちの1種又は2種以上の混合樹脂からなる単層又は複合層である。
【0034】
幾つかの実施形態において、上記熱溶着樹脂層の構成樹脂の融点は120~162℃の間にあり、MFR(230℃)は2~15g/10minであり、上記熱溶着樹脂層の厚さは20~120μmである。
【0035】
本開示は、上記の何れか一項に記載の金属複合膜を用いる電気化学装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を詳しく説明する。ここで記載される実施形態は、単に本開示を説明し解釈するためのものであり、本開示を限定するものではないと理解すべきである。
【0037】
図1】本開示の実施形態における金属複合膜の構造模式図であり、 そのうち、1は外基材樹脂層、2は外層接着剤層、3は着色層、4は外耐食層、5は中間金属層、6は耐食層、7は内層接着剤層、8は熱溶着樹脂層である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本開示の一実施形態は、外基材樹脂層と、中間金属層と、熱溶着樹脂層と、を含み、中間金属層の熱溶着樹脂層に接触する当該側には防食層が形成され、上記防食層の成分は3価クロム化合物、無機酸、有機樹脂を含み、上記3価クロム化合物、無機酸、有機樹脂の質量比は(19~60):(3~60):(6~60)であり、3価クロム化合物は、少なくとも硝酸クロム、リン酸クロムと塩化クロムのうちの1種からなる、金属複合膜を提供する。
【0039】
幾つかの実施形態において、防食層は、防食液を塗布又は熱処理することにより形成され、防食液における3価クロム化合物、無機酸、有機樹脂の質量比は(19~60):(3~60):(6~60)である。
【0040】
幾つかの実施形態において、3価クロム化合物、無機酸、有機樹脂の質量比は、(19~40):(3~60):(6~60)、(19~60):(3~50):(6~60)、(19~60):(3~60):(6~50)、(20~55):(5~60):(10~60)又は(20~60):(5~60):(10~60)であってもよい。幾つかの実施形態において、上記防食層の成分はフッ化物を更に含み、3価クロム化合物、無機酸、有機樹脂、フッ化物の質量比は(19~60):(3~60):(6~60):(1~10)である。
【0041】
幾つかの実施形態において、防食液はフッ化物を更に含み、3価クロム化合物、無機酸、有機樹脂、フッ化物の質量比は(19~60):(3~60):(6~60):(0~10)である。
【0042】
幾つかの実施形態において、3価クロム化合物、無機酸、有機樹脂、フッ化物の質量比は、(19~50):(3~60):(6~60):(1~10)、(19~60):(3~50):(6~60):(1~10)、(19~60):(3~60):(6~50):(1~10)、(19~60):(3~60):(6~60):(1~5)、(20~60):(5~60):(10~60):(1~10)又は(20~60):(10~60):(10~50):(5~10)であってもよい。
【0043】
幾つかの実施形態において、金属複合膜は、外基材樹脂層と、中間金属層と、熱溶着樹脂層と、を含み、中間金属層の上記熱溶着樹脂層に接触する当該側には防食層が形成され、防食層は、防食液を塗布又は熱処理することにより形成され、防食液における3価クロム化合物、無機酸、有機樹脂の占める質量百分率は、それぞれ1.9~6%、0.3~6%、0.6~6%であり、3価クロム化合物は、少なくとも硝酸クロム、リン酸クロム及び塩化クロムのうちの1種からなる。
【0044】
幾つかの実施形態において、防食液にはフッ化物が更に含まれ、防食液における3価クロム化合物、無機酸、フッ化物、有機樹脂の占める質量百分率は、それぞれ1.9~6%、0.3~6%、0~10%、0.6~6%である。
【0045】
上記のフッ化物成分防食層有り又は無しの金属複合膜は、何れも防食層と熱溶着樹脂層との間に内層接着剤層が設けられることを更に含んでもよい。
【0046】
幾つかの典型的な実施形態において、外基材樹脂層と中間金属層との間に外層接着剤層が設けられることを更に含む。
【0047】
上記のフッ化物成分防食層有り又は無しの金属複合膜は、何れも外基材樹脂層と中間金属層との間に外層接着剤層が設けられることを更に含んでもよい。
【0048】
上記種々の構造の金属複合膜は、何れも着色層を含んでもよく、着色層は外基材樹脂層と外層接着剤層との間に設けられること、又は着色層は顔料を外層接着剤層に加えることにより形成される。
【0049】
また、着色層は、外基材樹脂層の外側に設けられてもよい。
【0050】
金属複合膜は艶消し処理が行われてもよく、つまり、外基材樹脂層表面に1層の艶消し剤が塗布される。
【0051】
上記何れか1種の金属複合膜は、中間金属層の外層接着剤層又は外基材樹脂層に接触する側に外防食層が設けられてもよい。
【0052】
理論とは別に、3価クロム化合物は、金属表面にCr原子を中心とする配位架橋構造を形成し、金属表面防食膜の架橋度を増加させる役割を果たすことができると考えられる。
【0053】
上記の何れか1種の金属複合膜において、無機酸は、硝酸、リン酸のうちの1種又は複数種からなる。理論とは別に、無機酸は、金属表面の酸化物膜を除去する役割を果たすと考えられる。
【0054】
上記の何れか1種の金属複合膜において、有機樹脂は、ポリアクリル酸系樹脂、又はポリアクリル酸系樹脂とポリビニルアルコールからなる。ポリアクリル酸系樹脂は、ポリアクリル酸、ポリメチルアクリレート、アクリル酸とマレイン酸などの共重合体、アクリル酸とスチレンの共重合体及びそのナトリウム塩、アンモニウム塩などの誘導体のうちの1種又は複数種であり、選択的には、ポリアクリル酸アンモニウム塩、ナトリウム塩又はアミン塩などのポリアクリル酸の誘導体である。また、ポリアクリル酸系樹脂は、選択的に、アクリル酸とジカルボン酸又はジカルボン酸無水物の共重合体であり、更に選択的に、アクリル酸とジカルボン酸又はジカルボン酸無水物の共重合体のアンモニウム塩、ナトリウム塩又はアミン塩であり、ポリアクリル酸系樹脂は、金属表面防食層の成膜性を向上させる役割を果たす。
【0055】
ポリアクリル酸系樹脂の重量平均分子量は、例えば、1000~100万程度であり、例えば、5000~100万、1万~100万、5万~90万、10万~90万、20万~80万又は50万~80万、例えば、1000、5000、1万、5万、10万、20万、30万、40万、50万、60万、70万、80万、90万又は100万であってもよい。幾つかの典型的な実施形態において、ポリアクリル酸系樹脂の重量平均分子量は3000~80万程度、例えば、1万~80万程度である。
【0056】
理論とは別に、ポリアクリル酸系樹脂の重量平均分子量が大きいほど、その耐久性が高くなるが、ポリアクリル酸系樹脂の水溶性が低減され、塗布液が不安定になり、製造安定性に影響を与えると考えられる。逆に、ポリアクリル酸系樹脂の重量平均分子量が小さいほど、その耐久性が低くなる。ポリアクリル酸系樹脂の重量平均分子量が1000以上である場合には、その耐久性が高く、重量平均分子量が100万以下である場合には、製造中に塗布安定性が良い。
【0057】
本開示の防食層における成分の割合範囲は、発明者らにより大量の研究で探し出されたものであり、割合範囲は、本開示の技術問題の解決及び技術効果の達成に決定的な役割を果たし、その影響は以下のように説明する:
3価クロム化合物の割合が上記範囲にある場合には、金属複合膜の耐折性と靭性が向上することにより、曲げ加工又は成形加工時に、防食層のひび割れが防止され、電解液の侵入が防止され、絶縁性が高まると共に、フッ化水素による腐食に起因する中間金属層と内熱溶着樹脂層との剥離により引き起こす電解液の漏れが防止され、しかも、良好な架橋性があり、良好な防食作用があり、良好な防食作用が果たされる。3価クロム化合物の割合が上記範囲を超える場合には、金属表面防食膜が硬くなり、それに応じて金属複合膜の耐折性が悪くなり、曲げ加工又は成形加工が行われると、防食層にひび割れが入り、電解液の侵入により絶縁性が低くなり、フッ化水素による腐食により中間金属層と内熱溶着樹脂層との剥離が引き起こされ、電解液の漏れが生じてしまい、3価クロム化合物の割合が上記範囲よりも低い場合には、金属表面防食膜の架橋度が低く、防食作用が果たされず、
無機酸の割合が上記範囲にある場合には、高防食性の防食層が備えられ、フッ化水素による腐食への耐性が向上すると共に、金属表面の酸化膜を完全に除去し、防食層と中間金属層に良好な接合性を付与し、デバイスの長期保管期時に、中間金属層と内熱溶着樹脂層との剥離を効果的に防止することができる。無機酸の割合が上記範囲を超える場合には、防食層における3価クロム化合物と有機樹脂の含有量の割合が低くなり、高防食性の防食層を得ることができないため、フッ化水素による腐食への耐性が悪くなってしまい、無機酸の割合が上記範囲よりも低い場合には、金属表面の酸化膜がきれいに除去されず、防食層と中間金属層との接合性が悪くなり、長期保管期間に、中間金属層と内熱溶着樹脂層は剥離される恐れがあり、
有機樹脂の割合が上記範囲にある場合には、適切な厚さの防食層が形成され、金属表面防食膜が分層し難くて破壊され難く、金属複合膜の有効耐食性が確保され、吸水が難しくて、電解液環境においてHFが生じ難く、その耐食性が向上する。有機樹脂の割合が上記範囲よりも低い場合には、金属表面防食膜が分層になり、且つ破壊され易く、それに応じて金属複合膜の耐食性が悪くなり、有機樹脂の割合が上記範囲を超える場合には、金属表面防食膜が厚すぎになり、破壊も易くなると共に、吸水が容易になり、電解液環境においてHFが生じ易く、金属表面が腐食されるため、それに応じて金属複合膜の耐食性が悪くなり、
フッ化物の割合が上記範囲にある場合には、3価クロムの架橋性が向上し、防食層の生成が効果的に促進され、中間金属層と内熱溶着樹脂層に剥離のリスクがあることが回避され、資源の浪費が回避され、フッ化水素酸(HF)による腐食に耐える効果が向上し、金属表面を保護する防食効果が良く果たされる。フッ化物の割合が上記範囲を超える場合には、3価クロムの架橋性が悪くなり、防食層の生成に影響を及ぼし、中間金属層と内熱溶着樹脂層に剥離のリスクがあると共に、資源の浪費も引き起こされてしまい、フッ化物の割合が上記範囲よりも低い場合には、フッ化水素酸(HF)による腐食に耐える効果が悪く、金属表面を保護する防食効果が果たされない。
【0058】
上記の何れか1種の金属複合膜において、防食層の厚さは1nm~3.0μmである。例えば、防食層の厚さは、100nm~3.0μm、500nm~3.0μm、1.0μm~3.0μm又は1nm~2.0μm、例えば、1nm、50nm、100nm、200nm、400nm、800nm、1.0μm、1.5μm、2.0μm、2.5μm又は3.0μmであってもよい。例えば、防食層の厚さは1nm~1.5μmである。
【0059】
上記の何れか1種の金属複合膜において、防食層におけるクロムの含有量は8~50mg/mの間にある。例えば、クロムの含有量は、8~45mg/m、8~40mg/m又は10~35mg/m、例えば、8mg/m、10mg/m、12mg/m、14mg/m、18mg/m、20mg/m、22mg/m、24mg/m、26mg/m、28mg/m、30mg/m、35mg/m、38mg/m、40mg/m、43mg/m、46mg/m、50mg/mである。例えば、防食層におけるクロムの含有量は10~30mg/mの間にある。
【0060】
上記の何れか1種の金属複合膜において、防食層は、防食液を塗布、熱処理することにより形成される。
【0061】
幾つかの実施形態において、塗布方式は、バーコーティング法、ロールコーティング法、グラビアコーティング法及び浸漬法を含む。
【0062】
防食層にフッ化物という成分がある場合、フッ化物は、フッ化クロム、フッ化アルミニウムから選ばれる1種又は複数種である。ここで、フッ化物は、金属膜のフッ化水素酸(HF)に対する耐性を増加させる役割を果たす。
【0063】
本開示に係る金属複合膜の内層接着剤層は、溶液型接着剤を使用することができ、溶液型接着剤の成分は酸変性ポリオレフィン樹脂、硬化剤を含み、内層接着剤層の厚さは1~10μm、例えば、5~10μm、1~5μm又は2~8μm、例えば、1~5μmである。
【0064】
幾つかの実施形態において、酸変性ポリオレフィン樹脂の融点は60~155℃の間にあり、重量平均分子量は10000~150000の範囲内、例えば、20000~150000、30000~150000、50000~150000又は10000~100000にあり、酸価は0.5~200mg KOH/gの範囲内、例えば、1~200mg KOH/g、10~200mg KOH/g、50~200mg KOH/g又は100~200mg KOH/gにある。
【0065】
幾つかの典型的な実施形態において、有機溶剤を用いる溶液型内層接着剤は、酸変性ポリプロピレンの重量平均分子量が10000~150000、例えば、20000~150000、50000~150000、80000~150000又は10000~100000であり、融点が60~130℃である。
【0066】
幾つかの典型的な実施形態において、水又はアルコールを溶剤として用いる溶液型内層接着剤の場合は、酸変性ポリプロピレンの重量平均分子量特性が5000~800000、例えば、10000~150000であり、融点が100~155℃である。幾つかの実施形態において、酸変性ポリプロピレンの重量平均分子量は、例えば、5000~700000、10000~800000、20000~700000又は20000~500000であり、例えば、10000、50000、100000、150000、200000、250000、300000、350000、400000、450000、500000、550000、600000、650000、700000、750000である。
【0067】
幾つかの実施形態において、硬化剤は、イソシアネート、エポキシ樹脂又はオキサゾリンから選ばれる1種又は複数種、或いは、トリエチルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミンから選ばれる1種又は複数種であり、酸変性ポリオレフィン樹脂に用いられる酸変性剤は、マレイン酸無水物、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸無水物のうちの1種である。
【0068】
幾つかの典型的な実施形態において、硬化剤がトリエチルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミンから選ばれる1種又は複数種である場合、酸変性ポリオレフィン樹脂の硬化剤に対する質量比は10:1~125:1である。例えば、酸変性ポリオレフィン樹脂の硬化剤に対する質量比は15:1~50:1である。例えば、酸変性ポリオレフィン樹脂の硬化剤に対する質量比は15:1~40:1、20:1~50:1又は20:1~50:1である。
【0069】
幾つかの典型的な実施形態において、酸変性ポリオレフィン樹脂は、融点が110℃以上のポリプロピレンの含有量が50%を超えるポリプロピレンブロック共重合体樹脂(B-PP)、ポリプロピレンランダム共重合体樹脂(R-PP)及びホモポリプロピレン樹脂(H-PP)のうちの1種又は複数種の混合物からなる単層又は複数層である。
【0070】
本開示に係る金属複合膜の内層接着剤層は、熱溶融型内層接着剤を使用することができ、熱溶融型内層接着剤の成分は酸変性ポリオレフィン樹脂を含み、内層接着剤層の厚さは2~80μm、例えば、5~80μm、10~80μm、20~80μm又は30~80μm、例えば、5~50μmである。
【0071】
幾つかの実施形態において、酸変性ポリオレフィン樹脂の融点は135~165℃の間、MFR(230℃)は3~15g/10minの間にある。
【0072】
幾つかの実施形態において、酸変性ポリオレフィン樹脂に用いられる酸変性剤は、マレイン酸無水物、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸無水物のうちの1種であり、ポリオレフィン樹脂の変性度は1~15%、例えば、3~12%である。
【0073】
上記の何れか1種の金属複合膜において、熱溶着樹脂層は、酸変性ポリオレフィン樹脂、ホモポリプロピレン樹脂、ポリプロピレンブロック共重合体樹脂、ポリプロピレンランダム共重合体樹脂及びポリエチレン樹脂のうちの1種又は2種以上の混合樹脂からなる単層又は複合層である。
【0074】
幾つかの実施形態において、熱溶着樹脂層の構成樹脂の融点は120~162℃の間にあり、MFR(230℃)は2~15g/10min、例えば、130~162℃の間であり、MFR(230℃)は3~12g/10minであり、熱溶着樹脂層の厚さは20~120μm、例えば、20~110μm、20~100μm又は20~80μm、例えば、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、45μm、50μm、55μm、60μm、65μm、70μm、75μm、80μm、90μm、100μm、120μm、例えば、25~80μmである。
【0075】
熱溶着樹脂層が複合層である場合、中間金属層と複合する当該熱溶着樹脂層とは反対側の樹脂層の厚さは2μm以上であるべきであり、融点は130~152℃である。
【0076】
熱間押出しにより、1層又は複数層の熱溶着樹脂層を形成し、内層接着剤層が予め形成された中間金属層と複合化し、内層接着剤層は、その融点より60℃を超えない温度での熱処理を行わなければならない。
【0077】
熱間押出しにより中間金属層と複合し、1層又は複数層の熱溶着樹脂層を形成する。内熱溶着樹脂層における中間金属層に接触する内層樹脂層は、その融点より60℃を超えない温度での熱処理を行わなければならない。
【0078】
上記の何れか1種の金属複合膜において、外基材樹脂層は、インフレーションナイロン、同時又は非同時二軸延伸ナイロン、同時又は非同時二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)、同時又は非同時二軸延伸ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリイミド(PI)、熱硬化性ポリアミドなどの高分子材料のうちの1種又は複数種の材料により成形された単層又は2層以上の複合膜であってもよく、外基材樹脂層は、押出し、コーティング、複合及び熱接合のうちの1種又は複数種の材料により成形された単層又は2層以上の複合膜であってもよく、外基材樹脂層の全厚さは5~35μm、例えば、10~35μm、15~35μm又は5~30μm、例えば、5μm、8μm、10μm、12μm、15μm、20μm、23μm、25μm、30μm、32μm、35μmである。
【0079】
上記の何れか1種の金属複合膜において、外層接着剤層は、二成分又は多成分のポリエステルポリオール、ポリウレタン変性のポリエステルポリオールの1種又は2種及びイソシアネートであり、外接着剤層の厚さは2~5μm、例えば、2μm、3μm、4μm、5μmである。
【0080】
上記の何れか1種の金属複合膜において、中間金属層は、アルミニウム箔、鉄板、ステンレス鋼箔又はニッケルメッキ鉄板のうちの1種又は2種以上の単層又は複数層からなり、中間金属層の厚さは20~100μm、例えば、30~100μm、40~100μm、50~100μm、20~90μm、20~80μm、例えば、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μmである。
【0081】
本開示の一実施形態は、上記の何れか1種の金属複合膜を用いる電気化学装置を提供する。
【0082】
本開示により提供される金属複合膜及び電気化学装置は、従来技術の欠陥を克服しており、長期安定的な耐食金属複合膜及び電気化学装置であり、そのうち、1)開示者らが中間金属表面防食層の主成分である3価クロム化合物、無機酸、有機樹脂の割合について大量の実験で探索・検証・調整・確認したところ、中間金属表面の3価クロム化合物、無機酸、有機樹脂の含有量を本開示の請求範囲にする場合は、金属複合膜の中間金属層と熱溶着樹脂層の初期剥離強度及び水無し、水有りの電解液環境における耐食性を顕著に向上させることができ、
2)上記1)をもとに、開示者らが大量の実験で探索・検証・確認した特定の割合範囲のフッ化物成分を中間金属表面防食層に加えることで、金属複合膜の中間金属層と熱溶着樹脂層の初期剥離強度及び水無し、水有りの電解液環境における耐食性を更に向上させることができる。
【0083】
以下、図面を参照しながら、本開示の具体的な実施形態を詳しく説明する。ここで記載される具体的な実施形態は、単に本開示を説明し解釈するためのものであり、本開示を限定するものではないと理解すべきである。
【0084】
図1に示すように、本開示の具体的な実施形態は、セルから外方向へ順に熱溶着樹脂層8、内層接着剤層7、耐食層6、中間金属層5、外耐食層4、着色層3、外層接着剤層2、外基材樹脂層1を含む金属複合膜を提供する。以下、本開示の幾つかの実施形態における電池装置用外装材料の構造を詳しく説明する。
【0085】
外基材樹脂層1:
本開示において、外基材樹脂層1は、リチウムイオン電池用包装材料の基材として機能することができるように設置される。外基材樹脂層1は、リチウムイオン電池用包装材料の外層側に位置する。
【0086】
外基材樹脂層1を形成する原材料に関しては、基材の機能として、少なくとも絶縁性を備えれば、特に制限がない。
【0087】
外基材樹脂層1の作製方法は、複数種がある。例えば、樹脂から樹脂膜品を直接形成してもよく、塗布樹脂品であってもよい。樹脂膜としては、未延伸膜であってもよく、延伸膜であってもよい。延伸膜としては、一軸延伸膜であってもよく、二軸延伸膜であってもよく、選択的には、二軸延伸膜である。二軸延伸膜の作製方法としては、例えば、逐次二軸延伸法、インフレーション法、同時延伸法である。樹脂コーティング法としては、例えば、ロールコーティング法、マイクログラビアコーティング法、押出しコーティング法などである。
【0088】
外基材樹脂層1を形成する樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン、シリコン樹脂、フェノール樹脂などの樹脂又はこれらの樹脂の変性物である。更に、外基材樹脂層1を形成する樹脂は、これらの樹脂の共重合体であってもよく、共重合体の変性物であってもよく、これらの樹脂の混合物であってもよく、単層又は複数層が好ましい。
【0089】
外基材樹脂層1を形成する樹脂として、そのうち、選択的には、挙げられたポリエステル、ポリアミドである。
【0090】
ポリエステルとしては、幾つかの実施形態において、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、共重合ポリエステルなどを挙げることができる。また、共重合ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とする共重合ポリエステルなどを挙げることができる。幾つかの実施形態において、ポリエチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてエチレンイソフタレートと重合してなる共重合体ポリエステル(以下、共重合ポリエステル(テレフタラート/イソフタレート)と略称)、共重合ポリエステル(テレフタラート/アジピン酸エステル)、共重合ポリエステル(テレフタラート/イソフタル酸ナトリウム)、共重合ポリエステル(テレフタラート/フェニル-ジカルボン酸エステル)、共重合ポリエステル(テレフタラート/デカンジカルボン酸エステル)などである。これらのポリエステルは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0091】
また、ポリアミドとしては、幾つかの実施形態において、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン6とナイロン66の共重合体などの脂肪族ポリアミド、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸由来の構造単位を含むナイロン6I、ナイロン6T、ナイロン6IT、ナイロン6I6T(Iはイソフタル酸、tはテレフタル酸を示す)などのヘキサメチレンジアミン-イソフタル酸-テレフタル酸共重合ポリアミド、ポリアミドMXD6(ポリアミドPACM6(ポリビス(4-アミノシクロヘキシル)メタンアジドアミド)などの芳香族ポリアミドを挙げることができる。これらのポリアミドは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0092】
外基材樹脂層1は、選択的に、ポリエステル膜、ポリアミド膜及びポリオレフィン膜のうちの少なくとも1種を含み、選択的に、延伸ポリエステル膜、延伸ポリアミド膜及び延伸ポリオレフィン膜のうちの少なくとも1種を含み、選択的に、延伸ポリエチレンテレフタレート膜、延伸ポリブチレンテレフタレート膜、延伸ナイロン膜、延伸ポリプロピレン膜のうちの少なくとも1種を含み、選択的に、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート膜、二軸延伸ポリブチレンテレフタレート膜、二軸延伸ナイロン膜、二軸延伸ポリプロピレン膜のうちの少なくとも1種を含む。
【0093】
外基材樹脂層1は、単層であってもよく、2層以上から構成されてもよい。外基材樹脂層1が2層以上から構成される場合、外基材樹脂層1は、バインダーの作用により形成された複合膜であってもよく、樹脂を共押出して2層以上を形成した樹脂複合膜であってもよい。更に、樹脂を共押出して2層以上を形成した樹脂複合膜を未延伸の状態で外基材樹脂層1としてもよく、単軸延伸又は二軸延伸を行ってから外基材樹脂層1としてもよい。
【0094】
外基材樹脂層1において、2層以上の樹脂膜の積層体の実例としては、ポリエステル膜とナイロン膜の複合膜、2層以上のナイロン複合膜、2層以上のポリエステル複合膜などを挙げることができる。選択的には、延伸ナイロン膜と延伸ポリエステル膜の積層体、2層以上の延伸ナイロン複合膜、2層以上の延伸ポリエステル複合膜である。例えば、使用される外基材樹脂層は2層の樹脂複合膜である場合、選択的に、ポリエステル樹脂膜とポリエステル樹脂膜の複合膜、ポリアミド樹脂膜とポリアミド樹脂膜の複合膜、又はポリエステル樹脂膜とポリアミド樹脂膜の複合膜であり、選択的に、ポリエチレンテレフタレート膜とポリエチレンテレフタレート膜の複合膜、ポリブチレンテレフタレート膜とポリブチレンテレフタレート膜の複合膜、ナイロン膜とナイロン膜の複合膜、又はポリエチレンテレフタレート膜とナイロン膜の複合膜である。また、ポリエステル樹脂は、電解液が表面に付着される時にも変色し難いため、使用される外基材樹脂層1が2層以上の樹脂複合膜である場合、選択的に、ポリエステル樹脂膜は外基材樹脂層1の最外層に位置する。
【0095】
外基材樹脂層1が2層以上の樹脂複合膜である場合、2層以上の樹脂膜は、バインダーにより複合されてもよい。選択的なバインダーとしては、外層接着剤と同じ成分の接着液を使用することができる。更に、2層以上の樹脂膜を複合する方法は、特に制限されず、ドライラミネート法、サンドイッチラミネート法、押出しラミネート法、熱ラミネート法などを利用することができ、選択的には、ドライラミネートである。ドライラミネート法により複合する場合、外層の反応型バインダーとしては、選択的に、反応型ポリウレタンバインダーが使用される。この場合、粘合剤層の厚さは約2~5μmであってもよい。樹脂コーティング法により外基材樹脂層を形成する場合、まず樹脂を有機溶剤に溶解しておき、塗布により外基材樹脂層を形成することができる。コーティング樹脂は、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素系共重合樹脂、ポリエステル樹脂などのフェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ユリア樹脂及びメラミン樹脂などのアミノ樹脂を使用することができる。
【0096】
更に、外基材樹脂層1の表面と内部には、潤滑剤、難燃剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、光安定剤、増粘剤、静電防止剤などの添加剤のうちの1種又は複数種を加えることができる。
【0097】
リチウムイオン電池用包装材料の成形性を向上させる観点から、選択的には、外基材樹脂層1の表面に潤滑剤から構成される層が形成される。潤滑剤としては、特に制限されず、選択的にアミド系潤滑剤である。アミド系潤滑剤は、飽和脂肪酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、置換アミド、ヒドロキシメチルアミド、飽和脂肪酸ビスアミド、不飽和脂肪酸ビスアミド、脂肪酸アミド及び芳香族ビスアミドなどを含む。飽和脂肪酸アミドを例とすれば、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミドなどを使用することができる。不飽和脂肪酸アミドを例とすれば、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドなどを挙げることができる。置換アミドは、N-オレオパルミチン酸アミド、N-ステアリルアミド、N-ステアリルアミド、N-オレオステアリルアミド及びN-ステアリルアミドを含む。また、ヒドロキシメチルアミドは、ヒドロキシメチルステアリン酸アミドなどを含む。飽和脂肪酸ビスアミドは、メチレンビスステアリン酸アミド、エチリデンビスオクチル酸アミド、エチリデンビスラウリン酸アミド、エチリデンビスステアリン酸アミド、エチリデンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチリデンビスベヘン酸アミド及びヘキサメチレンビスステアリン酸 ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、n,n-ジステアリルアジピン酸アミド、n,n-ジステアリルセバシン酸アミドなどを含む。不飽和脂肪酸ビスアミドは、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、n,n-ジオレイルアジピン酸アミドとn,n-ジオレイルセバシン酸アミドを含む。脂肪酸エステルアミドは、ステアリルアミドエチルステアリン酸エステルなどを含む。また、芳香族ビスアミドは、イソフタルビスステアリン酸アミド、イソフタルビスヒドロキシステアリン酸アミド、n,n-ジステアリルイソフタル酸アミドなどを含む。潤滑剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0098】
外基材樹脂層1の表面に潤滑剤がある場合、塗布量には特に制限がなく、例えば、約3mg/m以上、例えば、3mg/m、4mg/m、5mg/m、8mg/m、10mg/m、12mg/m、14mg/m、16mg/m、18mg/m、20mg/m、22mg/m、24mg/m、26mg/m、28mg/m、30mg/mで塗布し、例えば、4~30mg/m程度、例えば、5~30mg/m、5~25mg/m、5~20mg/m、5~15mg/m又は5~10mg/mで塗布する。
【0099】
外基材樹脂層1の表面にある潤滑剤は、潤滑剤を含む基材樹脂層から滲出された潤滑剤であってもよく、外基材樹脂層1の表面に塗布された潤滑剤であってもよい。
【0100】
外基材樹脂層1の厚さは、基材として機能することができれば、特に制限がない。外基材樹脂層1が2層以上の樹脂複合膜である場合、各層を構成する樹脂膜の厚さは、それぞれ例えば、2~30μm程度、例えば、5~30μm、5~25μm、10~30μm、15~30μm、20~30μm、例えば、2μm、5μm、10μm、15μm、18μm、20μm、23μm、25μm、28μm、30μmである。
【0101】
本開示において、外基材樹脂層1は、インフレーションナイロン、同時又は非同時二軸延伸ナイロン、同時又は非同時二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)、同時又は非同時二軸延伸ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリイミド(PI)などの高分子材料のうちの1種又は複数種の材料により成形された単層又は2層以上の複合膜であってもよく、外基材樹脂層1は、押出し、コーティング、複合及び熱接合のうちの1種又は組み合わせにより中間金属層5に粘着可能であり、外基材樹脂層1の全厚さは5~35μmである。基材樹脂層1の全厚さが上記範囲にあることで、より良い成形性と絶縁性を有するだけでなく、柔軟度が向上する。厚さが5μm未満である場合、成形性と絶縁性は比較的悪い。また、35μmを超えると、金属複合膜の全厚さは厚すぎで、金属複合膜の利点である柔軟度は悪くなる。
【0102】
外層接着剤層2:
本開示のリチウムイオン電池用包装材料において、外基材樹脂層1と中間金属層5を複合する場合、外層接着剤層2が設けられる。外層接着剤層2は、外基材樹脂層1と中間金属層5との間の粘着性などを向上させるために形成された層である。
【0103】
外層接着剤層2は、外基材樹脂層1と中間金属層5とを粘着可能なバインダーにより形成される。外層接着剤層2を形成するためのバインダーは制限されず、例えば、二成分硬化型バインダー(二成分バインダー)であってもよく、更に、単成分硬化型バインダー(単成分バインダー)であってもよい。また、外層接着剤層2を形成する時に使用されるバインダーは、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、ホットプレス型などのうちの何れか1種であってもよい。また、外層接着剤層2は、単層であってもよく、複数層であってもよい。
【0104】
外層接着剤層2は、ポリエステルポリオールとポリウレタン変性のポリオールなどをジオール主剤、芳香族又は脂肪族イソシアネートを硬化剤として形成された二成分ポリウレタン粘合剤である。硬化剤は、粘着成分が有する官能基によって選択することができ、例えば、多官能エポキシ樹脂、メタンスルホン酸を含む重合体、第一級アミン、ポリアミン樹脂、無機酸などから好適に選択される。また、外層接着剤層に用いられる主剤は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、共重合ポリエステルなどのポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ポリアミドなどのポリアミド樹脂、ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィン、酸変性環状ポリオレフィンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル、セルロース、(メチル)アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート、尿素樹脂、メラミン樹脂などのアミノ樹脂、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン-ブタジエンゴムなどのゴム、シリコーン樹脂などがある。これらの粘着成分は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0105】
本開示における更なる選択的な外層接着剤層2の組み合わせは、二元又は多元のポリエステル、ポリウレタン変性ポリエステルの1種又は2種とイソシアネートである。イソシアネートは、特に、分子に2つ又は多数のイソシアネート基を有する化合物に限定されない。例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタン-4,4-ジイソシアネート(MDI)、1,6-ヘキシルジイソシアネート(HDI)などの重合体の1種又は2種以上の混合物である。
【0106】
また、外層接着剤層2は、粘着性に影響を与えない限り、他の成分を加えてもよく、着色剤、熱可塑性エラストマー、増粘剤、充填剤などを含むことができる。外層接着剤層2に着色剤が含まれることで、リチウムイオン電池用包装材料を着色することができる。着色剤としては、顔料、染料などの着色剤を使用することができる。また、着色剤は、1種を使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0107】
顔料の種類は、外層接着剤層2の粘着性を損なわない範囲であれば、特に限定されない。有機顔料としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、インジゴイドチオインジゴ系、ぺリレン系、イソインドリン系などの顔料を使用することができ、無機顔料としては、カーボンブラック系、酸化チタン系、カドミウム系、鉛系、イソインドリン系などの顔料を使用することができる。
【0108】
着色剤には、例えば、リチウムイオン電池用包装材料の外観が黒くなるように、選択的に、カーボンブラックである。
【0109】
顔料の平均粒径としては、特に制限されず、0.05~5μm程度を選択することができ、例えば、0.08~5μm、0.1~4μm、0.5~3μm、1~2μm、0.05~4μm又は0.05~3μm、例えば、0.05μm、0.060μm、0.07μm、0.08μm、.1μm、1.2μm、1.4μm、1.6μm、1.8μm、2μm、3μm、4μm、5μm、例えば、0.08~2μm程度である。また、顔料の平均粒径は、レーザー回折/散乱式の粒径分布測定装置により測定された粒径中央値である。
【0110】
外層接着剤層2における顔料含有量としては、リチウムイオン電池用包装材料が着色されれば、特に制限がなく、例えば、5~60%程度、例えば、10~40%である。
【0111】
外層接着剤層2の厚さは、外基材樹脂層1と中間金属層3とを粘着することができればよく、特に制限がなく、選択的な範囲として、1~10μm程度を挙げることができ、例えば、1~5μm、3~10μm又は3~8μmであってもよく、例えば、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、10μmである。選択的に、外層接着剤層2の厚さは2~5μm程度である。
【0112】
着色層3:
着色層3は、必要に応じて外基材樹脂層1と中間金属層5との間に設けられた層である。着色された金属複合膜は、直接的に、顔料を外層接着剤層2に加えることにより形成されてもよく、外基材樹脂層1と外層接着剤層2との間に着色層3を形成してもよい。また、外基材樹脂層1の外側に着色層3を設けてもよい。
【0113】
着色層3は、例えば、着色剤を含むインクを外基材樹脂層1の表面、外層接着剤層2の表面又は中間金属層5の表面に塗布することにより形成することができる。着色剤としては、顔料、染料などの着色剤を使用することができる。また、着色剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0114】
着色層3に含まれる着色剤の実例としては、外層接着剤層2の例を参照することができる。
【0115】
中間金属層5:
リチウムイオン電池用外装材料において、中間金属層5は、少なくとも水分の侵入を抑制可能な遮断層である。
【0116】
中間金属層5に用いられる金属材料としては、幾つかの実施形態において、アルミニウム合金、ステンレス鋼、チタン鋼、ニッケルメッキした鉄板などであってもよく、金属箔として使用する場合、1層でも複数層でもよい。選択的には、アルミニウム合金箔、ニッケルメッキ鉄板及びステンレス鋼箔のうちの少なくとも1種が含まれる。
【0117】
一般的に、アルミニウム合金箔の選択は以下の通りである。リチウムイオン電池用包装材料の成形性を向上させる観点から、アルミニウム合金箔は更に選択的に、アニール処理したアルミニウム合金などから構成される軟質アルミニウム合金箔が使用され、成形性を更に向上させる観点から、アルミニウム合金箔は選択的に、鉄を含むアルミニウム合金箔である。電解液などに耐える必要に応じて、シリカ、マグネシウムなどを加えてもよい。
【0118】
ステンレス鋼箔としては、オーステナイト系、フェライト系、オーステナイトフェライト系、マルテンサイト系、析出硬化系のステンレス鋼箔などを挙げることができる。成形性のより優れたリチウムイオン電池用包装材料を提供する観点から、ステンレス鋼箔は、選択的に、オーステナイト系のステンレス鋼から構成される。
【0119】
ステンレス鋼箔を構成するオーステナイト系のステンレス鋼の実例として、SUS304、SUS301、SUS316Lなどを挙げることができ、そのうち、特に選択的には、SUS304である。
【0120】
中間金属層5は金属箔である場合、厚さが、少なくとも水分の侵入を抑制する中間金属層として機能するのに十分な厚さであればよく、例えば、9~200μm程度、例えば、9~150μm、9~100μm又は9~50μm、例えば、9μm、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、100μm、150μm、200μmを挙げることができる。中間金属層3の厚さの上限は、例えば約100μm以下であり、例えば、約50μm以下が挙げられ、例えば、50μm、45μm、40μm、35μm、30μm、25μm、20μm、15μmである。
【0121】
防食層6:
防食層6は、リチウムイオン電池用包装材料において、電解質と水分が反応して生成したフッ化水素による中間金属層5の表面の腐食を回避し、中間金属層5と熱溶着樹脂層8との分離を阻止すると共に、中間金属層5の表面の均一性を維持し、粘着性(湿潤性)の変化を小さくするものであり、金属複合膜における中間金属層5と熱溶着樹脂層8との間の分層を防止する効果がある。選択的には、少なくとも外基材樹脂側とは反対側の中間金属層5の面に防食液を塗布して防食層を形成し、選択的には、中間金属層5の両側に防食層を形成する。外基材樹脂層1に接触する中間金属層5の面に防食層を形成することにより、中間金属層5の表面の均一性を安定化し、粘着性(湿潤性)の変化を低減し、高温高湿環境において長期保存することが可能になり、金属複合膜における外基材樹脂層1と中間金属層5との間の分層を防止する効果がある。本開示の防食液は、主に3価クロム化合物、無機酸、フッ化物及び有機樹脂からなる水溶液であり、そのうち、3価クロム化合物、無機酸、フッ化物、有機樹脂及び水の占める割合は、それぞれ1.9~6%、0.3~6%、0~10%、0.6~6%及び82~97.2%である。防食液における3価クロム化合物は、少なくとも硝酸クロム、リン酸クロム及び塩化クロムのうちの1種からなり、無機酸は少なくとも硝酸とリン酸のうちの1種からなり、フッ化物は少なくともフッ化クロムとフッ化アルミニウムのうちの1種からなり、有機樹脂はポリアクリル酸系樹脂とポリビニルアルコールからなる。ポリアクリル酸系樹脂は、ポリアクリル酸、ポリメチルアクリレート、アクリル酸及びマレイン酸などの共重合体、アクリル酸とスチレンの共重合体及びそのナトリウム塩、アンモニウム塩などの誘導体のうちの1種又は複数種である。まず、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、電解酸洗浄法、酸素活性化法、圧延時の熱処理(アニール処理)などの処理方法により、中間金属層5の少なくとも熱溶着樹脂層に接触する側に対して脱脂処理を行う。次に、本開示の防食液を使用し、バーコーティング法、ロールコーティング法、グラビアコーティング法及び浸漬法などにより中間金属層5の表面に塗布し、高温化合反応させて作用し、防食液が塗布された中間金属層5を130~200℃の高温で0.5~5min熱処理し、防食層6を形成する。
【0122】
防食層6の厚さは特に制限されないが、中間金属層5と熱溶着樹脂層8との間の密着力という観点から、例えば、1nm~3.0μmであり、例えば、1nm~1.5μmである。また、防食層6におけるクロムの含有量は8~50mg/mの間にあり、例えば、10~30mg/mである。
【0123】
内層接着剤層7:
本開示のリチウムイオン電池用包装材料において、内層接着剤層7は、中間金属層5と熱溶着樹脂層8とをしっかり粘着するために設けられた中間層である。
【0124】
内層接着剤層7は、中間金属層5と熱溶着樹脂層8とを粘着可能な樹脂により形成される。上記内熱溶着樹脂層8は、ポリオレフィン、環状ポリオレフィンなどを使用してもよく、カルボン酸変性ポリオレフィン、カルボン酸変性環状ポリオレフィン、メタクリル酸変性ポリオレフィン、アクリル酸変性ポリオレフィン、クロトン酸変性ポリオレフィン、イミド変性ポリオレフィンなどの変性ポリオレフィン系樹脂を使用してもよい。中間金属層と内熱溶着樹脂層の粘着性を高める観点から、変性ポリオレフィンとしては、選択的に、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸無水物、ポリアミドなどの変性ポリオレフィン樹脂である。内層接着剤層を構成する樹脂は、ポリオレフィン主鎖を含んでも含まなくてもよく、選択的には、ポリオレフィン主鎖を含む。内層接着剤層7を構成する樹脂がポリオレフィン主鎖を含むか否かに関しては、例えば、赤外線分光法、ガスクロマトグラフィー-質量分析法などにより分析することができ、分析方法は特に制限されない。内層接着剤に用いられるポリオレフィンとその変性樹脂は、熱溶着樹脂層8に用いられる樹脂と同様で、ポリプロピレン樹脂又はプロピレンとエチレンとの共重合体である。
【0125】
リチウムイオン電池用包装材料の長期使用安定性という観点から、内層接着剤層7は、酸変性ポリオレフィンと硬化剤を含む樹脂の組み合わせであってもよい。酸変性ポリオレフィンとして、選択的には、マレイン酸無水物又はアクリル酸変性のポリオレフィンである。
【0126】
硬化剤としては、酸変性ポリオレフィンを硬化する硬化剤だけでよく、特に制限がない。エポキシ系硬化剤、多官能イソシアネート系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤、オキサゾリン系などの硬化剤を使用することができる。
【0127】
エポキシ系硬化剤としては、少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物であればよく、特に制限がない。例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、変性ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ノボラックグリシジルエーテル、グリセルポリグリシジルエーテル、ポリグリセルポリグリシジルエーテルなどのエポキシ樹脂が使用される。
【0128】
多官能イソシアネート系硬化剤としては、分子内に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物であれば、特に制限がない。例えば、イソホロンジイソシアネート(PDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)という物質の重合又は付加後の成分又はこのような混合物と他の重合体との反応物を使用する。
【0129】
カルボジイミド系硬化剤としては、分子に少なくとも1つのカルボジイミド基(-N=C=N-)を有する化合物であれば、特に制限がない。選択的には、少なくとも2つ以上のカルボジイミド基を有するポリカルボジイミド化合物である。
【0130】
オキサゾリン系硬化剤としては、オキサゾリン骨格を有する化合物であれば、特に制限がない。
【0131】
内層接着剤層7と熱溶着樹脂層8との間の粘着性などを向上させる観点から、硬化剤は、2種以上の化合物から構成されてもよい。
【0132】
内層接着剤層7の厚さに関しては、粘着層としての機能を備えればよく、特に制限がなく、例えば、1~80μm程度、例えば、10~80μm、20~80μm、20~70μm又は20~60μmである。幾つかの実施形態において、内層接着剤層7の厚さは、例えば1~50μm程度である。
【0133】
本開示における内層接着剤層7の主成分は、変性ポリオレフィン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリプロピレン(PP)の含有量が50%を超えるポリプロピレンブロック共重合体樹脂(B-PP)、ポリプロピレンランダム共重合体樹脂(R-PP)、ホモポリプロピレン樹脂(H-PP)のうちの1種又は2種以上の混合物から形成される単層又は2層以上の膜層である。
【0134】
内層接着剤層7は、中間金属層5と熱溶着樹脂層8を複合する時に、溶液型内層接着剤層7の方法を使用してもよく、熱溶融型内層接着樹脂層7の方法を使用してもよい。
【0135】
溶液型内層接着剤層7は、酸変性ポリオレフィン樹脂を主剤、且つイソシアネート、エポキシ樹脂又はオキサゾリン系などの1種又は2種以上を硬化剤、又はトリエチルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミンなどのアミン化合物を硬化剤として、水、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン、メチルシクロヘキサンなどの少なくとも1種又は2種以上の溶剤において溶解した後、防食処理した金属表面に均一に塗布し、加熱して溶剤を揮発させ、内層接着剤層7の厚さを所望の効果、例えば、1~10μm程度、更に例えば、1~5μmに達成させる。内層接着剤層7の厚さが上記範囲にあれば、中間金属層5と熱溶着樹脂層8との間の有効な粘着力を確保することができるだけでなく、硬化剤と反応する場合にも、金属複合膜の耐屈曲性と柔軟性が改善され、折り曲げによるクラックの発生のリスクが回避され、中間金属層5と熱溶着樹脂層8との剥離が効果的に防止される。厚さが1μm未満である場合、厚さが薄くなり、中間金属層5と熱溶着樹脂層8との間の粘着力が低減され、粘着性が問題になる。厚さが10μmを超えると、粘着性は問題にならないが、硬化剤と反応する場合に、硬い樹脂層が形成され、耐屈曲性が悪くなり、金属複合膜の柔軟性が低減され、折り曲げによりクラックを生じさせるリスクが出て、中間金属層5と熱溶着樹脂層8が剥離されてしまうことがある。溶液型内層粘合剤7における酸変性ポリオレフィン樹脂の融点は60~155℃にあり、重量平均分子量は10000~150000の範囲にあり、溶液型内層粘合剤の酸価は0.5~200mgKOH/gの範囲にある。アミン化合物を硬化剤として使用する場合、溶液型内層粘合剤は、主に酸変性ポリオレフィン樹脂及びアミン化合物からなり、酸変性ポリオレフィンのアミン化合物に対する割合は10:1~125:1、例えば15:1~50:1である。変性ポリオレフィンに用いられる酸は、マレイン酸、フマル酸、メタクリル酸などであり、アミン化合物は、トリエチルアミン又はN,N-2メチルエタノールアミンのうちの少なくとも1種である。酸変性ポリオレフィン樹脂は、融点が110℃以上のポリプロピレンの含有量が50%を超えるポリプロピレンブロック共重合体樹脂(B-PP)、ポリプロピレンランダム共重合体樹脂(R-PP)及びホモポリプロピレン樹脂(H-PP)のうちの1種又は複数種の混合物からなる単層又は複数層である。
【0136】
融点が上記範囲にあれば、中間金属層5と熱溶着樹脂層8との高温での剥離を回避することができるだけでなく、硬化剤と反応する時に、金属複合膜の柔軟性と耐屈曲性が改善され、折り曲げによるクラックの発生が効果的に防止され、中間金属層5と熱溶着樹脂層8との剥離が回避される。融点が60℃以下である場合、耐熱性が低く、中間金属層5と熱溶着樹脂層8は高温で剥離が生じる可能性がある。更に、155℃を超えると、耐熱性が比較的に良いが、硬化剤と反応する時に、硬い樹脂層が形成され、耐屈曲性が悪いため、金属複合膜の柔軟性が低減され、又は折り曲げによりクラックが生じ、中間金属層5と熱溶着樹脂層8とが剥離されてしまうことがある。平均分子量が上記範囲にあれば、樹脂のヒートシール時の厚さを確保することができるだけでなく、中間金属層5と熱溶着樹脂層8の付着強度と密封性が効果的に確保されると共に、金属複合膜の柔軟性と耐屈曲性が改善され、金属複合膜の柔軟性が向上し、又は折り曲げによるクラックの発生が回避され、中間金属層5と熱溶着樹脂層8との剥離が効果的に回避される。重量平均分子量が10000以下である場合、加熱時に、樹脂の流動性が高く、ヒートシール時に、厚さがひどく薄くなり、中間金属層5と熱溶着樹脂層8の付着強度が(硬化剤を加えて反応する場合に)低くなり、密封性が問題になる。重量平均分子量が150000を超えると、中間金属層5と熱溶着樹脂層8は(硬化剤を加えて反応する場合に)、硬い樹脂層が形成され、耐屈曲性が悪くなり、金属複合膜の柔軟性が低減され、又は折り曲げによりクラックが生じ、中間金属層5と熱溶着樹脂層8が剥離されてしまうことがある。酸変性ポリオレフィン樹脂の酸価が上記範囲にあれば、それを硬化剤と十分に硬化反応させることができ、中間金属層5と熱溶着樹脂層8の粘着性が確保されると共に、金属複合膜の柔軟性と耐屈曲性が確保され、又は折り曲げによるクラックの発生が回避され、中間金属層5と内熱溶着樹脂層8の剥離が防止される。酸変性ポリオレフィン樹脂の酸価が0.5mgKOH/gよりも小さい場合、硬化剤との硬化反応点が少なく、中間金属層5と熱溶着樹脂層8の粘着性が不安定になる。酸価が200mgKOH/gを超える場合、硬化剤と酸変性ポリオレフィン樹脂との硬化反応が激しすぎて、硬い樹脂層が形成され、耐屈曲性が悪くなり、金属複合膜の柔軟性が低減され、又は折り曲げによりクラックが生じ、中間金属層5と内熱溶着樹脂層8が剥離されてしまうことがある。
【0137】
中間金属層5と熱溶着樹脂層8に用いられる内層接着剤層7は、熱溶融型内層接着剤であってもよく、熱溶融型内層接着剤層7に用いられる樹脂は、融点が135~165℃、MFR(230℃)が3~15g/10minである酸変性ポリオレフィン樹脂である。形成された内層接着剤層7の厚さは2~80μm、例えば5~50μmである。熱溶融型内層接着剤に用いられる酸変性ポリオレフィン樹脂の変性度は1~15%であり、例えば、変性度は1~10%、5~15%、5~10%、例えば、1%、3%、5%、7%、9%、10%、12%、14%、15%である。幾つかの実施形態において、変性度は、例えば3~12%である。酸変性ポリオレフィン樹脂の融点が上記範囲にある場合、樹脂が加熱時に良好な流動性を有することを確保し、加圧ヒートシール時に、中間金属層5と熱溶着樹脂層8の付着強度を良く確保し、更に密封性を向上させることができると共に、熱溶融型内層接着剤と中間金属層5の付着能力が効果的に向上する。酸変性ポリオレフィン樹脂の融点が135℃以下である場合、加熱により樹脂流動性が高くなり、加圧ヒートシール時に厚さがひどく薄くなり、中間金属層5と熱溶着樹脂層8の付着強度が低くなり、密封性が問題になる。融点が165℃以上である場合、加圧ヒートシール時に流動性が比較的低く、耐熱性が高くなるが、中間金属層5と複合する時に、熱収縮量が多くなり、内部応力が増加され、熱溶融型内層接着剤と中間金属層5の付着能力が低下してしまう。従って、長期保管過程においては、中間金属層5と剥離することを発生する恐れがある。また、ヒートシール時の加熱により、更に熱収縮が発生され、中間金属層5との粘着力が低減され、密封強度が低くなり、密封性が大きな問題になる。酸変性ポリオレフィン樹脂のMFR(230℃)が3g/10min未満である場合、熱溶融後に中間金属層5に押出して複合する時に、押出し成膜性が不安定になりやすい。酸変性ポリオレフィン樹脂のMFR(230℃)が15g/10minよりも高い場合、加熱により樹脂流動性が高くなり、加圧ヒートシール時に、厚さがひどく薄くなり、中間金属層5と熱溶着樹脂層8の付着強度が低くなり、密封性が問題になる。熱溶融型内層接着剤層7の厚さが2μm未満である場合、中間金属層5と複合する時に、熱収縮量が多すぎるため、熱収縮を吸収することができない。従って、内部応力の増加により、中間金属層5との接合力が低下する。長期保管過程においては、中間金属層5と剥離することを発生する恐れがある。熱溶融型内層接着剤層7の厚さが80μmを超える場合、物性に問題がないが、生産価格の上昇が引き起こされるため、使用を回避したほうがよい。熱溶融型内層接着剤層7の変性度が1%未満である場合、中間金属層5との粘着性は不安定になる。変性度が15%を超える場合、物性に問題がないが、生産価格の上昇が引き起こされるため、これを回避したほうがよい。
【0138】
本開示の具体的な実施形態は、以下のように、金属複合膜の複合プロセスを開示する:
中間金属層5の脱脂処理:中間金属層5の表面湿潤性は65dyn/cm以上、例えば70dyn/cm以上であり、又は蒸留水の滴定接触角の角度は15度以下、例えば10度以下である。中間金属層5の湿潤性又は表面水接触角が所定の範囲を超える場合、製造段階の圧延油がまだ金属上に残っている可能性があることが示されるため、防食層6、中間金属層5と熱溶着樹脂層8の間に形成される界面付着能力が悪くなり、電池の長期保管中に、中間金属層5と熱溶着樹脂層8との間に剥離のリスクがあり、電池の液漏れなどが生じしやすく、その予防対策としては、150℃以上のアニール処理を行ってもよく、プラズマ、コロナ法、アルカリ液により脱脂してもよく、アルカリ脱脂の方法は、金属を50~65℃のアルカリ液に浸漬し、一定の時間処理した後、脱イオン水で2回洗浄し、そして乾燥し、脱脂処理した金属を取得し、
中間金属層5での防食層6の形成:熱溶着樹脂層8に接触する側の中間金属層5の表面に防食液を塗布した後、高温で一定の時間熱処理し、
外層接着剤層2の形成と複合:中間金属層5と外基材樹脂層1との間に有機溶剤で溶解されたポリウレタン系接着剤を塗布し、一定の温度で一定の時間加熱し、有機溶剤を揮発させ、外層接着剤層2を形成し、幾つかの実施形態においては、一定の温度と圧力で外基材樹脂層1、外層接着剤層2及び中間金属層5を複合し、そして一定の温度で一定の時間保存処理した後、外層接着剤層2を硬化反応させ、外基材樹脂層1、外層接着剤層2及び中間金属層5からなる複合樹脂層を得る。外基材樹脂層1と中間金属層5の複合に外層接着剤を使用しない場合、中間金属層5と外基材樹脂層1は加熱加圧により複合され、外基材樹脂層が加熱処理、紫外線処理、電子線処理により膜化されれば、外基材樹脂層1と中間金属層5からなる複合樹脂層を得ることができ、
熱溶着樹脂層8の複合:外基材樹脂層1と中間金属層5からなる複合膜を好適に選択して異なる複合方式で熱溶着樹脂層8と複合することができ、以下の通り、例示する:
a.ドライラミネート法:主剤、硬化剤及び有機溶剤からなる溶液型内層接着剤を、外基材樹脂層1と中間金属層5からなる複合膜の中間金属層5の防食面に塗布し、溶液型内層接着剤を乾燥させ、内層接着剤層7を形成し、そして一定の温度と圧力で熱溶着樹脂層8の粘着面と熱複合した後、エージング処理を行い、外基材樹脂層/外層接着剤層/中間金属層/内層接着剤層/熱溶着樹脂層の複合製品を形成する。選択的には、内層接着剤層7に接触する熱溶着樹脂層8の粘着面に予めコロナ処理を行う。また、内層接着剤層7の融点より60℃を超えない温度でのエージング処理を行うことができ、
b.溶融押出し法:熱溶融型内層接着剤用樹脂は溶融押出しにより、中間金属層5の防食面において一定の厚さの熱溶融型内層接着剤層7を形成する。また、内層接着剤層7の表面と熱溶着樹脂層8との粘着面において熱複合を行い、外基材樹脂層/外層接着剤層/中間金属層/内層接着剤層/熱溶着樹脂層の複合製品を形成する。中間金属層5と熱溶着樹脂層8との間の剥離力を向上させるために、内層接着剤層7の融点より60℃を超えない温度での熱処理を行うことができ、
c.溶融押出し法:熱溶融型内層接着剤層7と熱溶着樹脂層8は共押出し法により、外基材樹脂層/外層接着剤層/中間金属層/内層接着剤層/熱溶着樹脂層の複合製品を形成する。内層接着剤層7に接触する中間金属層5の表面に防食処理を行った後、中間金属層5と熱溶着樹脂層8との間の剥離力を向上させるために、内層接着剤層7の融点より60℃を超えない温度での熱処理を行うことができ、
d.熱接合法:融点が100℃以上の樹脂主剤及び硬化剤を水性又は有機溶剤に溶解し、水溶液型内層接着剤を形成する。外基材樹脂層1と中間金属層5からなる複合層の金属層防食処理面に塗布し、溶液型内層接着剤を乾燥させ、内層接着剤層7を形成する。一定の温度と圧力で、熱溶着樹脂層8の粘着面と熱複合し、外基材樹脂層/外層接着剤層/中間金属層/内層接着剤層/熱溶着樹脂層の複合製品を形成する。中間金属層5と熱溶着樹脂層8との間の剥離力を向上させるために、内層接着剤層7の融点より60℃を超えない温度での熱処理を行うことができる。熱溶着樹脂層8は、押出し法により成形されてもよく、又は薄膜を使用してもよく、薄膜を使用する場合、選択的には、内層接着剤層7に接触する熱溶着樹脂層8の粘着面に予めコロナ処理を行う。
【0139】
以下、実施例により本開示を詳しく説明する。
【0140】
下記の実施例と比較例において、金属複合膜完成品の中間金属層5と熱溶着樹脂層8との間の剥離強度は、以下の方法により測定される:
(1)初期剥離強度試験
金属複合膜完成品をストリップ状に作成し、サンプルストリップのサイズが100×15mmであり、延伸試験装置により中間金属層5と熱溶着樹脂層8との間の剥離試験を行い、50mm剥離した熱溶着樹脂層8薄膜を伸縮試験装置の上部クランプ板にセットし、中間金属層5を下部クランプ板にセットし、そして伸縮速度50mm/minで、剥離面が180°になるT型剥離を行い、中間金属層5と熱溶着樹脂層8との間の剥離強度を測定し始めた。剥離強度の読み取り方は、熱溶着樹脂層8及び中間金属層5の移動距離を50mmにし、移動距離が10~40mmの間である剥離強度の平均値を選択した。5個/群で並行試験を行った。
【0141】
(2)水無しの耐電解液試験
金属複合膜完成品のサンプルストリップ(サンプルストリップのサイズが100×15mm)を、1mol/LのLiPFを含む炭酸ジメチル(DMC):炭酸ジエチル(DEC):炭酸エチレン(EC)の物質量の比が1:1:1である混合溶剤に直接浸漬し、85℃の温度で3日間浸漬した後、取り出し、水で15min洗い、サンプルストリップの表面の水分を拭き取り、(1)中の完成品の初期剥離強度試験方法に従って中間金属層5と熱溶着樹脂層8との間の剥離強度を測定した。
【0142】
(3)水有りの耐電解液試験
金属複合膜を幅15mm、長さ100mmのサンプルストリップになるように切り、中間金属層と内熱溶着樹脂層との間を50mm剥離した後に、1mol/LのLiPFを含む炭酸ジメチル(DMC):炭酸ジエチル(DEC):炭酸エチレン(EC)の物質量の比が1:1:1である溶剤に浸漬し、更に電解液の全質量に対して1000PPMを占める水を加え、85℃の温度で3日間浸漬した後、取り出し、水で15min洗浄し、水分を拭き取らず、予め剥離しておいた中間金属層5と熱溶着樹脂層8との間に水分が一部残った状態で、予め剥離した位置から、(1)中の完成品の初期剥離強度試験方法に従って中間金属層5と熱溶着樹脂層8との間の剥離強度を測定し始めた。
【0143】
以下、本開示の具体的な実施例の実現過程を提供する:
1.複合化
金属複合膜は、外基材樹脂層/外層接着剤層(3μm)/中間金属層/内層接着剤層/熱溶着樹脂層から構成される。外基材樹脂層1及び中間金属層5の厚さは、それぞれの実施例によって変更可能である。
【0144】
積層方法は以下の通りである:外層接着剤層2に接触する外基材樹脂層1薄膜に対してコロナ処理を行った。金属箔(アルミニウム箔、ニッケルメッキ処理した鉄箔又はステンレス鋼箔など)の片面に、異なるNCO/OH比率(本明細書において、「NCO/OH比率」又は「NCO/OH比」は何れもNCO/OHの当量比を指す)で混合した二成分ポリウレタン粘合剤(ポリウレタン変性のポリエステルポリオール又はポリエステルポリオール及び芳香族イソシアネート系化合物)を塗布し、中間金属箔に粘合剤層2(3μm)を形成した。中間金属箔における外層接着剤層2と外基材樹脂層1薄膜を熱複合した後、80℃の温度でエージング処理を3日間行い、外基材樹脂層/外層接着剤層(3μm)/中間金属層を形成した。中間金属層5の両面には、何れも予め防食処理を行った。
【0145】
3種の方法により中間金属箔の片面に外層接着剤層2を形成し、それらはそれぞれ以下の通りである:
A-1:重量平均分子量が80000、Tgが79℃、ヒドロキシル価が16mg KOH/gである非結晶性ポリエステルポリオール及び重量平均分子量が6500、Tgが-3℃、ヒドロキシル価が10mg KOH/gである非結晶性ポリエステルポリオールを重量比が10:5の割合で混合し、トルエンジイソシアネート(TDI)を加え、NCO/OH比が21.0である混合外層粘着液を形成し、
A-2:重量平均分子量が5000、Tgが50℃、ヒドロキシル価が25mg KOH/gである非結晶性ポリエステルポリオール及び重量平均分子量が20000、Tgが-17℃、ヒドロキシル価が8mg KOH/gである非結晶性ポリエステルポリオールを重量比が3:2の割合で混合し、トルエンジイソシアネート(TDI)を加え、NCO/OH比が6.2である混合外層粘着液を形成し、
A-3:重量平均分子量が40000、Tgが-3℃、ヒドロキシル価が3mg KOH/gである非結晶性ポリウレタン変性ポリエステルポリオール、重量平均分子量が15000、Tgが-10℃、ヒドロキシル価が15mg KOH/g、及び重量平均分子量が3000、Tgが60℃、ヒドロキシル価が50mg KOH/gである非結晶性ポリエステルポリオールを重量比が10:10:0.1の割合で混合し、トルエンジイソシアネート(TDI)を加え、NCO/OH比が4である混合外層粘着液を形成し、
実施例1、2、7、比較例1、2、3は、外層接着剤A-1の方法を使用した。実施例3、4は、外層粘着層A-2の方法を使用した。実施例5、6は、外層接着剤A-3の方法を使用した。
【0146】
金属層の両面には、何れも予め防食処理を行った。
【0147】
実施例1、2、5、6及び比較例1、2に用いられる防食剤は、何れも3価クロム化合物-硝酸クロム、無機酸-リン酸と硝酸、有機樹脂-ポリビニルアルコール樹脂とポリアクリル樹脂からなる水溶液であり、実施例3に用いられる防食剤は、3価クロム化合物-リン酸クロム、無機酸-硝酸、及び有機樹脂-ポリアクリル樹脂からなる水溶液であり、実施例4に用いられる防食剤は、3価クロム化合物-硝酸クロム、無機酸-リン酸、及び有機樹脂-ポリアクリル樹脂からなる水溶液である。
【0148】
実施例1~6及び比較例2、3は、一定の配合比率でコーティングロールにより金属箔の両面に均一に塗布し、そして190℃で2minベーキングし、防食層処理液のウェット塗布量は5g/mである。
【0149】
実施例7において、実施例4の防食剤に一定の割合のフッ化物-フッ化クロムを加え、一定の配合比率でコーティングロールにより金属箔の両面に均一に塗布し、そして190℃で2minベーキングした。
【0150】
比較例1において、3価クロム化合物-リン酸クロム、無機酸-リン酸、フッ化物及びアミノフェノール重合体からなる水溶液を一定の配合比率でコーティングロールにより金属箔の両面に均一に塗布し、そして190℃で2minベーキングした。
【0151】
最後に、半完成品、即ち、外基材樹脂層/外層接着剤層(3μm)/中間金属層の金属面に内層接着剤層7、熱溶着樹脂層8を複合するために、以下の6種の方法がある:
(1)溶液型内層接着剤層B-1-aのラミネート法:重量平均分子量が80000、融点が80℃、酸価が2mg KOH/gである無水マレイン酸無水物変性ポリプロピレン溶液と芳香族イソシアネート(PDI、ジメチルイソシアネート)溶液により20:1の固体割合で形成された溶液型混合物を、外基材樹脂層1が複合された複合膜の熱溶着樹脂層8に接触する防食処理した中間金属面に塗布し、乾燥した後に厚さが4μmの粘着層B-1を形成し、その後80℃の温度で、25μmの熱溶着樹脂の粘着面と熱複合し、更に60℃の温度で7日間エージング処理し、外基材樹脂層/外層接着剤層(3μm)/中間金属層/内層接着剤層/熱溶着樹脂層(25μm)の複合完成品を形成した。内層接着剤層7に接触する3層の熱溶着樹脂層の粘着面に予めコロナ処理を行った。
【0152】
熱溶着樹脂の3層構造は、以下の通りである:
内層接着剤層7に接触する樹脂層:融点が145℃、MFR(230℃)が7.5g/10minであるポリプロピレンランダム共重合体からなる層であり、
中間樹脂層:重量比で、融点が162℃、MFR(230℃)が2g/10minであるポリプロピレンブロック共重合体40%と、融点が160℃、MFR(230℃)が5g/10minであるポリプロピレンブロック共重合体40%と、融点が130℃、MFR(230℃)が9.5g/10min、密度が0.91g/cmであるエチレン-プロピレンからなる結晶性重合体エラストマー20%とから形成される混合物層であり、
最内層樹脂層:融点が145℃、MFR(230℃)が7.5g/10minのポリプロピレンランダム共重合体からなる層であり、
熱溶着樹脂層8における内層接着剤層7との接触層から最内層までの3層の樹脂の厚さ比は、1:8:1である。
【0153】
(2)溶液型内層接着剤層B-1-bのラミネート法:重量平均分子量が60000、融点が75℃、酸価が5mg KOH/gである無水マレイン酸無水物変性ポリプロピレン溶液及びエポキシ樹脂(ビスフェノールFジグリセリルエーテル)溶液により10:1の固体割合(即ち、質量比)で形成された溶液型混合物を、外基材樹脂が複合された複合膜の熱溶着樹脂層8に接触する防食処理した中間金属層5の面に塗布し、乾燥後に厚さが2μmの粘着層B-1を形成し、その後80℃の温度で、80μmの熱溶着樹脂の粘着面と熱複合し、更に80℃の温度で7日間エージング処理し、外基材樹脂層/外層接着剤層(3μm)/中間金属層/内層接着剤層/熱溶着樹脂層(80μm)の複合完成品を形成した。内層接着剤層7に接触する3層の熱溶着樹脂層8の粘着面に予めコロナ処理を行った。
【0154】
熱溶着樹脂は3層からなり、その構造が以下の通りである:
内層接着剤層7に接触する樹脂層:融点が162℃、MFR(230℃)が5.5g/10minであるポリプロピレンランダム共重合体からなる層であり、
中間樹脂層:重量比で、融点が162℃、MFR(230℃)が2g/10minであるポリプロピレンブロック共重合体50%と、融点が155℃、MFR(230℃)が5g/10minであるポリプロピレンランダム共重合体20%と、融点が160℃、MFR(230℃)が9.5g/10min、密度が0.87g/cmであるプロピレン-ブテンからなる重合体エラストマー20%と、MFR(230℃)が3g/10minである非結晶性プロピレン系エラストマー10%とから形成される混合物層であり、
最内層樹脂層:融点が145℃、MFR(230℃)が12g/10minであるポリプロピレンランダム共重合体からなる層であり、
熱溶着樹脂層8における内層接着剤層7との接触層から最内層までの3層の樹脂の厚さ比は、3:6:1である。
【0155】
(3)溶融型内層接着剤層B-2-aのラミネート法:内層接着剤層7に用いられる溶融型樹脂は、無水マレイン酸無水物変性ポリプロピレンであり、熱溶着樹脂層8に接触する中間金属層5の防食処理面に、厚さが15μmの粘着層を形成した上に、厚さが30μmの熱溶着樹脂と複合した。内層接着剤層7と熱溶着樹脂層8は、溶融共押出しにより、熱溶着樹脂層8に接触する中間金属層5の防食処理面に複合した。使用された内層接着剤層7は、融点が140℃、MFR(230℃)が5g/10minである無水マレイン酸無水物変性ポリプロピレンランダム共重合体60%(重量比で)と、無水マレイン酸無水物のポリプロピレンランダム共重合体に対する変性度が10%、融点が160℃、MFR(230℃)が2.6g/10min、密度が0.87g/cmであるプロピレンとブテンの共重合体エラストマー24%(重量比で)と、融点が130℃、MFR(230℃)が9.5g/10min、密度が0.91g/cmであるエチレンとプロピレンの結晶性共重合体エラストマー8%(重量比で)と、融点が105℃、MFR(230℃)が12g/10minである低密度ポリエチレン8%(重量比で)とからなる混合物である。
【0156】
熱溶着樹脂層8は2層からなり、その構造が以下の通りである:
内層接着剤層7に接触する樹脂層:重量比で、融点が155℃、MFR(230℃)が4g/10minであるポリプロピレンランダム共重合体62%と、非結晶性のプロピレン系エラストマー33%と、融点が110℃、MFR(230℃)が7.5g/10minである低密度ポリエチレン5%とから形成される混合物層であり、
最内層樹脂層:融点が155℃、MFR(230℃)が15g/10minであるポリプロピレンランダム共重合体からなる層であり、
【0157】
内層接着剤層7に接触する樹脂層の最内層樹脂層に対する厚さ比は、8:2である。
中間金属層5を内層接着剤層7、熱溶着樹脂層8と複合した後、180℃の温度で熱処理を2s行った。このように、外基材樹脂層/外層接着剤層(3μm)/中間金属層/内層接着剤層(15μm)/内熱溶着樹脂層(30μm)の複合完成品を形成した。
【0158】
(4)溶融型内層接着剤層B-2-bのラミネート法:内層接着剤層7に用いられる溶融型樹脂は、メタクリル酸変性ポリプロピレンであり、熱溶着樹脂層8に接触する中間金属層5の防食処理面に厚さが30μmの内層接着剤層7を形成し、厚さが50μmの熱溶着樹脂層8と複合した。内層接着剤層7と熱溶着樹脂層8は、溶融共押出しにより、熱溶着樹脂層8に接触する中間金属層5の防食処理面に複合した。使用された内層接着剤層7は、融点が155℃、MFR(230℃)が2.5g/10minであるメタクリル酸変性ポリプロピレンランダム共重合体57%(重量比で)と、メタクリル酸のポリプロピレンランダム共重合体に対する変性度が10%、MFR(230℃)が3g/10minである非結晶性プロピレン系共重合体エラストマー33%(重量比で)と、融点が105℃、MFR(230℃)が15g/10minである低密度ポリエチレン10%(重量比で)とからなる混合物である。
【0159】
内熱溶着樹脂は2層からなり、その構造が以下の通りである:
内層接着剤層7に接触する樹脂層:重量比で、融点が152℃、MFR(230℃)が3g/10minであるポリプロピレンランダム共重合体60%と、融点が160℃、MFR(230℃)が2.6g/10min、密度が0.9g/cmであるプロピレンとブテンの共重合体エラストマー15%と、融点が130℃、MFR(230℃)が9.5g/10min、密度が0.91g/cmであるエチレンとプロピレンの結晶性共重合体エラストマー17%と、融点が110℃、MFR(230℃)が7.5g/10minである低密度ポリエチレン8%とから形成される混合物層であり、
最内層樹脂層:融点が138℃、MFR(230℃)が15g/10minであるポリプロピレンランダム共重合体30%と、融点が146℃、MFR(230℃)が7g/10minであるポリプロピレンランダム共重合体30%と、融点が160℃、MFR(230℃)が2.6g/10min、密度が0.86g/cmであるプロピレンとブテンの共重合体エラストマー30%と、融点が105℃、MFR(230℃)が12g/10minである低密度ポリエチレン10%とからなる混合物層であり、
内層接着剤層7に接触する樹脂層の最内層樹脂層に対する厚さ比は、8:2である。
【0160】
中間金属層5を内層接着剤層7、熱溶着樹脂層8と複合した後、180℃の温度で熱処理を10s行った。このように、外基材樹脂層/外層接着剤層(3μm)/中間金属層/内層接着剤層(30μm)/熱溶着樹脂層(50μm)の複合完成品を形成した。
【0161】
(5)溶液型内層接着剤層B-3-aのラミネート法:内層接着剤層7は溶液型内層接着剤が用いられ、重量平均分子量が100000、融点が135℃、酸価が2mg KOH/gである無水マレイン酸無水物変性ポリプロピレン樹脂とエポキシ樹脂の内層接着剤との混合物を、外基材樹脂層1が複合された、熱溶着樹脂層8に接触する複合膜の防食処理された中間金属層5の面に均一に塗布し、150℃の温度で2min乾燥させ、厚さが2μmの粘着層B-3-aを形成した。40μmの3層の熱溶着樹脂薄膜を溶融押出しにより内層接着剤層7に複合し、更に160℃の温度で30s熱処理した。このように、外基材樹脂層/外層接着剤層(3μm)/中間金属層/内層接着剤層(2μm)/熱溶着樹脂層(40μm)の複合完成品を形成した。
【0162】
熱溶着樹脂の3層構造は、以下の通りである:
内層接着剤層7に接触する樹脂層:重量比で、融点が140℃、MFR(230℃)が5g/10minであるマレイン酸無水物変性ポリプロピレンランダム共重合体(酸変性度が10%)65%と、MFR(230℃)が3g/10minである非結晶性プロピレン系エラストマー混合物35%とからなる層であり、
中間樹脂層:重量比で、融点が160℃、MFR(230℃)が3.5g/10minであるポリプロピレン55%と、融点が130℃、MFR(230℃)が9.5g/10min、密度が0.91g/cmであるポリプロピレンブロック共重合体40%と、融点が130℃、MFR(230℃)が9.5g/10min、密度が0.91g/cmであるエチレン-プロピレンからなる結晶性重合体エラストマー20%と、融点が105℃、MFR(230℃)が12g/10minである低密度ポリエチレン10%とから形成される混合物層であり、
最内層樹脂層:融点が145℃、MFR(230℃)が7.5g/10minのポリプロピレンランダム共重合体からなる層であり、
熱溶着樹脂層8における内層接着剤層7との接触層から最内層までの3層の樹脂の厚さ比は、1:8:1である。
【0163】
(6)溶液型内層接着剤B-3-bのラミネート法:内層接着剤層7は、溶液型内層接着剤が用いられ、重量平均分子量が70000、融点が145℃、酸価が4.5mg KOH/gである無水マレイン酸無水物変性ポリプロピレン樹脂及びトリエチルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミンなどのアミン化合物を硬化剤として、外基材樹脂層1が複合された、熱溶着樹脂層8に接触する複合膜の防食処理した中間金属面に均一に塗布し、160℃の温度で2min乾燥させ、厚さが4μmの粘着層B-3-bを形成した。100℃の温度で、80μmの溶融押出した3層の熱溶着樹脂薄膜を内層接着剤層7に加圧熱接合し、更に180℃の温度で5s熱処理した。このように、外基材樹脂層/外層接着剤層(3μm)/中間金属層/内層接着剤層(4μm)/熱溶着樹脂層(80μm)の複合完成品を形成した。
【0164】
熱溶着樹脂8の3層構造は、以下の通りである:
内層接着剤層7に接触する樹脂層:融点が145℃、MFR(230℃)が7.5g/10minであるポリプロピレンランダム共重合体からなる層であり、
中間樹脂層:重量比で、融点が162℃、MFR(230℃)が3g/10minであるポリプロピレン35%と、融点が160℃、MFR(230℃)が5g/10minであるポリプロピレン30%と、融点が130℃、MFR(230℃)が9.5g/10min、密度が0.91g/cmであるエチレン-プロピレンからなる結晶性重合体エラストマー15%と、MFR(230℃)が3g/10minである非結晶性プロピレン系エラストマー20%とから形成される混合物層であり、
最内層樹脂層:融点が145℃、MFR(230℃)が7.5g/10minのポリプロピレンランダム共重合体からなる層であり、
熱溶着樹脂層8における内層接着剤層7との接触層から最内層までの3層の樹脂の厚さ比は、1:8:1である。
実施例1
【0165】
使用された金属箔は、厚さが30μm、表面湿潤性が70dyn/cmであるアニール処理した8079系アルミニウム箔であり、アルミニウム箔の両面が何れも防食処理され、アルミニウム箔の両面に防食層6を形成可能な防食液の成分と含有量は表1に示す通りであり、それは、それぞれ質量部が20部、10部及び10部である3価クロム化合物、無機酸及び有機樹脂を含んだ。3価クロム化合物は硝酸クロム、無機酸はリン酸と硝酸、有機樹脂はポリビニルアルコールとポリアクリル樹脂である。防食層におけるクロムの含有量は、20mg/mである。
【0166】
外基材樹脂層1は、厚さが30μmである非同時二軸延伸ナイロン膜が利用され、内層接着剤層7は、B-2-aの方式で熱溶着樹脂層8と複合された。
実施例2
【0167】
使用された金属箔は、厚さが40μm、水接触角が10°であるアニール処理した8021系アルミニウム箔であり、アルミニウム箔の両面が何れも防食処理され、アルミニウム箔の両面に防食層6を形成可能な防食液の成分と含有量は表1に示す通りであり、それは、それぞれ質量部が20部、20部及び60部である3価クロム化合物、無機酸及び有機樹脂を含んだ。3価クロム化合物は硝酸クロム、無機酸はリン酸と硝酸、有機樹脂はポリビニルアルコールとポリアクリル樹脂である。防食層におけるクロムの含有量は、10mg/mである。
【0168】
外基材樹脂層1は、厚さが25μmである非同時二軸延伸ポリエチレンテレフタレート膜(PET)が利用され、内層接着剤層7は、B-1-aの方式で熱溶着樹脂層8と複合された。
実施例3
【0169】
使用された金属箔は、厚さが35μm、水接触角が15°であるアニール処理した8021系アルミニウム箔であり、アルミニウム箔の両面が何れも防食処理され、アルミニウム箔の両面に防食層6を形成可能な防食液の成分と含有量は表1に示す通りであり、それは、それぞれ質量部が20部、40部及び40部である3価クロム化合物、無機酸及び有機樹脂を含んだ。3価クロム化合物はリン酸クロム、無機酸は硝酸、有機樹脂はポリアクリル樹脂である。防食層におけるクロムの含有量は、30mg/mである。
【0170】
外基材樹脂層1は、全厚さが15μmである非同時二軸延伸ナイロン膜が利用され、内層接着剤層7は、B-3-aの方式で熱溶着樹脂層8と複合された。
実施例4
【0171】
使用された金属箔は、厚さが50μm、表面湿潤性が68dyn/cmであるアニール処理したニッケルメッキ鉄箔であり、鉄箔の表面に厚さが1μmのニッケル層がメッキされ、鉄箔の両面が何れも防食処理され、鉄箔の両面に防食層6を形成可能な防食液の成分と含有量は表1に示す通りであり、それは、それぞれ質量部が50部、20部及び20部である3価クロム化合物、無機酸及び有機樹脂を含んだ。3価クロム化合物は硝酸クロム、無機酸はリン酸、有機樹脂はポリアクリル樹脂である。防食層におけるクロムの含有量は、15mg/mである。
【0172】
外基材樹脂層1は、厚さが25μmの非同時二軸延伸ポリブチレンテレフタレート膜(PBT)が利用され、内層接着剤層7は、B-1-bの方式で熱溶着樹脂層8と複合された。
実施例5
【0173】
使用された金属箔は、厚さが30μm、水接触角が10°である熱処理したオーステナイトステンレス鋼箔であり、ステンレス鋼箔の両面が何れも防食処理され、ステンレス鋼箔の両面に防食層6を形成可能な防食液の成分と含有量は表1に示す通りであり、それは、それぞれ質量部が60部、12部及び36部である3価クロム化合物、無機酸及び有機樹脂を含んだ。3価クロム化合物は硝酸クロム、無機酸はリン酸と硝酸、有機樹脂はポリビニルアルコールとポリアクリル樹脂である。防食層におけるクロムの含有量は、25mg/mである。
【0174】
外基材樹脂層1は、全厚さが27μmである非同時二軸延伸ポリエチレンテレフタレート膜(12μm)、ポリウレタン系接着剤(2μm)と非同時二軸延伸ナイロン膜(15μm)の共押出し膜が利用され、内層接着剤層7は、B-2-bの方式で熱溶着樹脂層8と複合された。
実施例6
【0175】
使用された金属箔は、厚さが80μm、水接触角が5°であるアニール処理した8021系アルミニウム箔であり、アルミニウム箔の両面が何れも防食処理され、アルミニウム箔の両面に防食層6を形成可能な防食液の成分と含有量は表1に示す通りであり、それは、それぞれ質量部が36部、6部及び6部である3価クロム化合物、無機酸及び有機樹脂を含んだ。3価クロム化合物は硝酸クロム、無機酸はリン酸と硝酸、有機樹脂はポリビニルアルコールとポリアクリル樹脂である。防食層におけるクロムの含有量は、35mg/mである。
【0176】
外基材樹脂層1は、厚さが25μmである非同時二軸延伸ポリエチレンテレフタレート膜(PET)が利用され、内層接着剤層7は、B-3-bの方式で熱溶着樹脂層8と複合された。
実施例7
【0177】
使用された金属箔は、厚さが40μm、表面湿潤性が72dyn/cmであるアニール処理した8021系アルミニウム箔であり、アルミニウム箔の両面が何れも防食処理され、アルミニウム箔の両面に防食層6を形成可能な防食液の成分と含有量は表1に示す通りであり、それは、それぞれ質量部が20部、20部、10部及び60部である3価クロム化合物、無機酸、フッ化物及び有機樹脂を含んだ。3価クロム化合物は硝酸クロム、フッ化物はフッ化クロム、無機酸はリン酸と硝酸、有機樹脂はポリビニルアルコールとポリアクリル樹脂である。防食層におけるクロムの含有量は、20mg/mである。
【0178】
外基材樹脂層1は、全厚さが27μmである非同時二軸延伸ポリエチレンテレフタレート膜(12μm)、ポリウレタン系接着剤(2μm)と非同時二軸延伸ナイロン膜(15μm)の複合膜が利用され、複合膜のナイロン側は外層接着剤層2に接触され、内層接着剤層7は、B-1-aの方式で熱溶着樹脂層8と複合された。
【0179】
実施例1、2及び4と比べて、本実施例では、中間金属防食層6を形成可能な防食液に一定の量のフッ化物が増加されたため、金属複合膜完成品は水無しと水有りの電解液環境において3日間置かれたら、そのアルミニウム箔と熱溶着樹脂層8との間の剥離強度が何れも比較的大きいことが発見され、フッ化物の導入により、実施例1、2及び4の上に、金属表面防食膜の耐食性を更に向上可能なことが示されている。
比較例1
【0180】
使用された金属箔は、厚さが40μm、水接触角が10°であるアニール処理した8021系アルミニウム箔であり、アルミニウム箔の両面が何れも防食処理され、アルミニウム箔の両面に防食層6を形成可能な防食液の成分と含有量は表1に示す通りであり、それは、それぞれ質量部が30部、4部、4部及び6部である3価クロム化合物、無機酸、フッ化物及び有機樹脂を含んだ。3価クロム化合物はリン酸クロム、無機酸はリン酸、有機樹脂はアミノフェノール樹脂である。防食層におけるクロムの含有量は、15mg/mである。
【0181】
外基材樹脂層1は、全厚さが27μmである非同時二軸延伸ポリエチレンテレフタレート膜(12μm)、ポリウレタン系接着剤(2μm)と非同時二軸延伸ナイロン膜(15μm)の複合膜が利用され、複合膜のナイロン側は外層接着剤層2に接触され、内層接着剤層7は、B-1-aの方式で熱溶着樹脂層8と複合された。
【0182】
実施例1~7と比べて、中間金属防食層6を形成可能な防食液に一定の割合の3価クロム化合物、無機酸、フッ化物及び有機樹脂成分が含まれる場合、、水無しと水有りの電解液環境において3日間置かれた後の剥離強度の維持率がそれぞれ82~95%と71~80%に達することが発見されたが、比較例1では、市場で一般的に使用される防食液が塗布されており、金属複合膜完成品の初期剥離強度がわずか11.1N/15mmで、水無しと水有りの電解液環境において3日間置かれた剥離強度の維持率は、それぞれ80.5%と61.3%になり、本開示の防食処理金属複合膜により生じた耐食性とは大きく異なっていることが発見され、本開示の防食処理金属は、金属複合膜の金属と内熱溶着樹脂との間の密着度及び水無しと水有りの耐電解液環境での耐食性をある程度向上可能なことが明らかになる。
比較例2
【0183】
使用された金属箔は、厚さが40μm、表面湿潤性が70dyn/cmであるアニール処理した8021系アルミニウム箔であり、アルミニウム箔の両面が何れも防食処理され、アルミニウム箔の両面に防食層6を形成可能な防食液の成分と含有量は表1に示す通りであり、それは、それぞれ質量部が66部、6部及び6部である3価クロム化合物、無機酸及び有機樹脂を含んだ。3価クロム化合物は硝酸クロム、無機酸はリン酸と硝酸、有機樹脂はポリビニルアルコールとポリアクリル樹脂である。防食層におけるクロムの含有量は、20mg/mである。
【0184】
外基材樹脂層1は、厚さが30μmである非同時二軸延伸ナイロン膜が利用され、内層接着剤層7は、B-2-aの方式で熱溶着樹脂層8と複合された。
【0185】
実施例1~6と比べて、本比較例では、同じ3価クロム化合物、無機酸及び有機樹脂成分が含まれたが、3価クロム化合物の含有量は比較的多く、金属複合膜完成品の初期剥離強度がやや低下し、且つ水無しの電解液環境において3日間置かれた剥離強度の維持率が75.2%に低下し、水有りの電解液環境において3日間置かれた剥離強度の維持率が50.2%に低下したことが発見された。本開示の実施例に係る金属表面の防食処理した物質成分の割合が本開示の請求範囲にあれば、金属複合膜の耐食性を向上させることが明らかになる。
比較例3
【0186】
使用された金属箔は、厚さが40μm、水接触角が10°であるアニール処理した8021系アルミニウム箔であり、アルミニウム箔の両面が何れも防食処理され、アルミニウム箔の両面に防食層6を形成可能な防食液の成分と含有量は表1に示す通りであり、それは、それぞれ質量部が20部、20部及び80部である3価クロム化合物、無機酸及び有機樹脂を含んだ。3価クロム化合物は硝酸クロム、無機酸はリン酸と硝酸、有機樹脂はポリビニルアルコールとポリアクリル樹脂である。防食層におけるクロムの含有量は、20mg/mである。
【0187】
外基材樹脂層1は、厚さが30μmである非同時二軸延伸ナイロン膜が利用され、アルミニウム箔の暗面と接合する複合膜表面にはコロナ処理が必要であり、内層接着剤層7は、B-2-aの方式で熱溶着樹脂層8と複合された。
【0188】
実施例1~7及び比較例2と比べて、本比較例では、同じ3価クロム化合物、無機酸及び有機樹脂成分が含まれたが、有機樹脂の含有量は比較的多く、本開示の請求範囲を超えており、金属複合膜完成品の初期剥離強度がわずか10.3 N/15mmで、水無しの電解液環境において3日間置かれた剥離強度の維持率が62.9%に低下し、水有りの電解液環境において3日間置かれた剥離強度の維持率が31.5%に低下したことが発見された。金属表面の防食処理した物質成分の割合は、金属複合膜の耐食性への影響が非常に大きいことが明らかになる。本開示の実施形態に係る金属表面の防食処理した物質成分の割合は本開示の請求範囲にあれば、金属複合膜への耐食性を効果的に向上させることができる。
【0189】
表1 金属複合膜の中間金属層に防食層を形成可能な防食液の成分と含有量、耐食性の評価結果の統計
備考:維持率は、耐電解液後に測定された金属//内溶接層間の剥離強度の初期強度に占める割合を指す。
【0190】
以上の説明は単に本開示の幾つかの実施例であり、本開示を制限するためのものではなく、本開示の精神と原則においてなされた任意の修正、等価置換、改良などは何れも、本開示の請求範囲に含まれるべきである。この開示の技術的範囲は、明細書における内容に限定されず、特許請求の範囲によってその技術的範囲を決定しなければならない。


図1
【国際調査報告】