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▶ ユニヴァーシティ オブ バースの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-14
(54)【発明の名称】ガスフィルタ
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/04 20060101AFI20231207BHJP
   B01J 20/04 20060101ALI20231207BHJP
   B01J 20/34 20060101ALI20231207BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20231207BHJP
   B01D 53/62 20060101ALI20231207BHJP
   B01D 53/82 20060101ALI20231207BHJP
   B01D 53/96 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
B01D53/04 110
B01J20/04 A ZAB
B01J20/04 B
B01J20/34 H
B01J20/30
B01D53/04 220
B01D53/62
B01D53/82
B01D53/96
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557834
(86)(22)【出願日】2021-12-07
(85)【翻訳文提出日】2023-08-07
(86)【国際出願番号】 GB2021053197
(87)【国際公開番号】W WO2022123230
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】2019318.1
(32)【優先日】2020-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523211062
【氏名又は名称】ユニヴァーシティ オブ バース
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ペレラ セマリ プリヤンティ
(72)【発明者】
【氏名】クリッテンデン バリー デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】カミュ オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】チュウ ヨン-ミン
(72)【発明者】
【氏名】ジー ラムヤ
【テーマコード(参考)】
4D002
4D012
4G066
【Fターム(参考)】
4D002AA09
4D002AC10
4D002BA04
4D002CA07
4D002DA01
4D002DA16
4D002DA35
4D002DA45
4D002DA46
4D002DA47
4D002EA08
4D002FA01
4D002GA01
4D002GB11
4D002GB12
4D012BA01
4D012CA03
4D012CB05
4D012CD04
4D012CE03
4D012CF08
4D012CF10
4D012CG01
4D012CG05
4G066AA14D
4G066AA20C
4G066AA43B
4G066AA64C
4G066AA72C
4G066AC02C
4G066AC12C
4G066AC15C
4G066AC17C
4G066AC24C
4G066AC27C
4G066AC31C
4G066BA09
4G066BA20
4G066BA22
4G066BA24
4G066BA36
4G066CA35
4G066DA03
4G066FA03
4G066FA22
4G066FA37
4G066GA01
(57)【要約】
本発明は、活性要素、及び前記活性要素のためのハウジング構造体を含むガスフィルタであって、前記ハウジング構造体が、ガス吸入口とガス排出口とを含み、前記活性要素が、マトリックス材料、CO2収着剤及び水を含むか、又はこれらからなり、CO2収着剤の少なくとも一部が、マトリックス材料中に埋め込まれている、ガスフィルタを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性要素、及び前記活性要素のためのハウジング構造体を含むガスフィルタであって、前記ハウジング構造体が、ガス吸入口とガス排出口とを含み、前記活性要素が、マトリックス材料、CO2収着剤及び水を含むか、又はこれらからなり、CO2収着剤の少なくとも一部が、マトリックス材料中に埋め込まれている、前記ガスフィルタ。
【請求項2】
マトリックス材料が、セラミック材料及び/又はポリマーを含むか、これらからなるか、又はこれらから実質的になる、請求項1に記載のガスフィルタ。
【請求項3】
マトリックス材料がセラミック材料であり、前記セラミック材料が無機鉱物を含む、請求項1又は2に記載のガスフィルタ。
【請求項4】
セラミック材料が粘土材料を含む、請求項2又は3に記載のガスフィルタ。
【請求項5】
粘土材料が、カオリナイト、モンモリロナイト-スメクタイト、イライト、緑泥石粘土、又は粘土のうちのいずれか1種又は複数から選択される、請求項4に記載のガスフィルタ。
【請求項6】
粘土材料が、クリノプタライト、パリゴルスカイト、アタパルジャイト、ベントナイトのうちのいずれか1種又は複数から選択される、請求項4又は5に記載のガスフィルタ。
【請求項7】
マトリックス材料がポリマーを含むか、ポリマーからなるか、又はポリマーから実質的になる、請求項1又は2に記載のガスフィルタ。
【請求項8】
ポリマーが泡形成ポリマーである、請求項7に記載のガスフィルタ。
【請求項9】
ポリマーが、ポリウレタン(PU)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリイミド(PI)、本質的に微孔質のポリマー(PIM)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエーテルスルホン(PES)、セルロース又は生分解性ポリマー、例えばポリ乳酸(PLA)及び乳酸グリコール酸共重合体(PLGA)のうちの1種若しくは複数、又は任意の組み合わせを含む、請求項7又は8に記載のガスフィルタ。
【請求項10】
ポリマーが、ポリイミドを含むか、又はポリイミドからなるか、又はポリイミドから実質的になる、請求項7~9のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
【請求項11】
マトリックス材料が、メソ孔及び/又はマクロ孔を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
【請求項12】
CO2収着剤が、アルカリ金属炭酸塩、例えば、K2CO3、Na2CO3、Li2CO3のうちの1種又は複数から選択される、請求項1~11のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
【請求項13】
水がマトリックス材料中に埋め込まれている、請求項1~12のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
【請求項14】
水の少なくとも一部、又は水のすべてが、追加の固体材料によって提供される、請求項1~13のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
【請求項15】
追加の固体材料が、粒子状であり、酸化アルミニウム、ゼオライト、シリケート(例えばシリカゲル)、金属有機構造体(MOF)、粘土(例えばカオリナイト)のうちの1種又は複数から選択される、請求項14に記載のガスフィルタ。
【請求項16】
追加の固体材料が、粒子状酸化アルミニウム(例えば、アルファアルミナ粉末、Al23)から選択され、酸化アルミニウムの粒子サイズが、50μm未満であってもよい、請求項14又は15に記載のガスフィルタ。
【請求項17】
活性要素が、(i)セラミック材料、CO2収着剤及び水であるマトリックス材料であって、CO2収着剤の少なくとも一部が、マトリックス中に埋め込まれている、マトリックス材料と、(ii)ポリマー、CO2収着剤及び水であるマトリックス材料であって、CO2収着剤の少なくとも一部が、マトリックス中に埋め込まれている、マトリックス材料との組み合わせを含む、請求項1~16のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
【請求項18】
CO2収着剤が、その前駆体の形態、例えば少なくとも1種の重炭酸塩の形態で存在する、請求項1~17のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
【請求項19】
ガス流から二酸化炭素を除去する方法であって、ガス流に、請求項1から18のいずれか1項に記載のガスフィルタを通過させることを含む、前記方法。
【請求項20】
ガスフィルタ又は活性マトリックスを加熱してCO2収着剤を生み出す(再生する)、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
請求項1に記載のガスフィルタにおける使用に適した活性要素であって、マトリックス材料、CO2収着剤及び水を含むか、又はこれらからなり、CO2収着剤の少なくとも一部が、マトリックス材料中に埋め込まれている、前記活性要素。
【請求項22】
請求項2~18のいずれか1項に準拠していることをさらに特徴とする、請求項21に記載の活性要素。
【請求項23】
活性要素を作製する方法であって、前記活性要素が、セラミックマトリックス材料、CO2収着剤及び水を含むか、又はこれらからなり、CO2収着剤の少なくとも一部が、マトリックス材料中に埋め込まれており、
少なくとも1種の粘土材料、細孔形成剤、CO2収着剤又はその前駆体、及び水を組み合わせて、ペーストを形成すること、ペーストを成形して、未処理物品を形成すること、並びに未処理物品を焼成して、活性要素を形成することを含む、前記方法。
【請求項24】
活性要素を作製する方法であって、前記活性要素が、セラミックマトリックス材料、CO2収着剤及び水を含むか、又はこれらからなり、CO2収着剤の少なくとも一部が、マトリックス材料中に埋め込まれており、
少なくとも1種の粘土材料、細孔形成剤及び水を組み合わせて、ペーストを形成すること、ペーストを成形して、未処理物品を形成すること、並びに未処理物品を焼成して、活性要素を形成すること、活性要素に、CO2収着剤又はその前駆体を含浸させることを含み、CO2収着剤又はその前駆体が、溶液中にある、前記方法。
【請求項25】
活性要素を作製する方法であって、前記活性要素が、ポリマーマトリックス材料、CO2収着剤及び水を含むか、又はこれらからなり、CO2収着剤の少なくとも一部が、マトリックス材料中に埋め込まれており、
第1のモノマー、第1のモノマーのための溶媒、第1の触媒、水、及び任意に少なくとも1種の添加剤を含む、第1の混合物を形成すること、
第2のモノマー、CO2収着剤又はその前駆体、第2の触媒を含む第2の混合物を形成すること、
前記第1及び第2の混合物を組み合わせて、前記ポリマーマトリックスを形成すること
を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスフィルタ、その作製の方法及びその使用に関する。より特定的には、本発明は、空気フィルタ、その作製の方法及びその使用に関する。特に、フィルタは、ガス流又は空気流から、二酸化炭素(CO2)を除去するために使用されうる。本発明はまた、前記ガス(空気)フィルタにおける使用に好適な活性要素、その作製の方法及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
環境中の過剰量の二酸化炭素に関して、問題が認識されていることは周知である。大気中、及び様々な他の環境、例えば、産業、事業又は家庭において生み出された排ガス又は廃棄ガスからの、より一般には、閉鎖的な環境空間、例えば乗用車及びオフィスにおける、二酸化炭素のレベルを低減する方法について、重大且つ持続的な必要性がある。本発明は、これらの問題に対処することを試みる。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様では、活性要素、及び前記活性要素のためのハウジング構造体を含むガスフィルタであって、前記ハウジング構造体が、ガス吸入口とガス排出口とを含み、前記活性要素が、マトリックス材料、CO2収着剤及び水を含むか、又はこれらからなり、CO2収着剤の少なくとも一部が、マトリックス材料中に埋め込まれている、ガスフィルタを提供する。
本発明に準拠したガス(例えば空気)フィルタは、健康産業及び交通産業、例えば航空及び自動車産業を含む、様々な環境又は用途における使用に好適である。空気フィルタは、乗用車及び貨車のキャビンを含む、航空機のキャビン又は自動車のキャビンにおいて使用してもよい。例えば、空気フィルタは、電気自動車の空気システムに使用してもよい。空気フィルタは、呼吸装置、産業廃棄ガススタック、ドラフトチャンバー、空気清浄機、暖房、換気及び空調(HVAC)システム、並びにダイビングリブリーザーに使用してもよい。
第2の態様では、ガス流から二酸化炭素を除去する方法であって、ガス流に、本発明の第1の態様に準拠したガスフィルタを通過させることを含む、方法を提供する。ガス流は、ガス吸入口においてガスフィルタに入り、マトリックス材料を通過し、CO2収着剤と接触し、ガス排出口においてガスフィルタを出る。二酸化炭素のレベルは、空気フィルタを通過し、CO2収着剤と接触した後には低減している。本発明の方法では、ガスフィルタは、前記フィルタを活性化させるために、加熱してもよい。例えば、CO2収着剤が、アルカリ金属炭酸塩を含む、アルカリ金属炭酸塩からなる、又はアルカリ金属炭酸塩から実質的になる場合、使用中に、アルカリ金属炭酸塩は、少なくとも部分的に、対応するアルカリ金属重炭酸塩に変換される。熱を適用することによって、アルカリ金属重炭酸塩は、元の対応するアルカリ金属炭酸塩に変換される。ガスフィルタは、「活性」又は「不活性」の状態又は形態のいずれかで製造されうる。例えば、ガスフィルタは、当初、マトリックス材料が重炭酸塩を含んで生産されてもよい。重炭酸塩のみが存在し、炭酸塩が存在しない状況では、ガスフィルタは、ここでは、不活性形態にあると記載されうる。炭酸塩のみが存在し、重炭酸塩が存在しない状況では、ガスフィルタは、ここでは、活性形態にあると記載されうる。炭酸塩と重炭酸塩との両方が存在する状況では、ガスフィルタは、活性形態又は部分的に活性形態にあると記載されうる。
【0004】
第3の態様では、本発明の第1の態様において参照した活性要素を提供する。以上のように、本発明は、本発明の第1及び第2の態様における使用に好適な活性要素にも及ぶ。
第4の態様では、活性要素を作製する方法であって、前記活性要素が、セラミックマトリックス材料、CO2収着剤及び水を含むか、又はこれらからなり、CO2収着剤の少なくとも一部が、マトリックス材料中に埋め込まれており、
少なくとも1種の粘土材料、細孔形成剤、CO2収着剤又はその前駆体、及び水を組み合わせて、ペーストを形成すること、ペーストを成形して、未処理(green)物品を形成すること、並びに未処理物品を焼成して、活性要素を形成することを含む、方法を提供する。
第5の態様では、活性要素を作製する方法であって、前記活性要素が、セラミックマトリックス材料、CO2収着剤及び水を含むか、又はこれらからなり、CO2収着剤の少なくとも一部が、マトリックス材料中に埋め込まれており、
少なくとも1種の粘土材料、細孔形成剤及び水を組み合わせて、ペーストを形成すること、ペーストを成形して、未処理物品を形成すること、並びに未処理物品を焼成して、活性要素を形成すること、活性要素に、CO2収着剤又はその前駆体を含浸させることを含む、方法を提供する。CO2収着剤又はその前駆体は、溶液であってもよく、例えば、部分的に又は全体的に溶解していてもよい。
【0005】
第6の態様では、活性要素を作製する方法であって、前記活性要素が、ポリマーマトリックス材料、CO2収着剤及び水を含むか、又はこれらからなり、CO2収着剤の少なくとも一部が、マトリックス材料中に埋め込まれており、
第1のモノマー、溶媒、第1の触媒、水、及び任意に少なくとも1種の添加剤を含む、第1の混合物を形成すること、
第2のモノマー、CO2収着剤又はその前駆体、第2の触媒を含む第2の混合物を形成すること、
前記第1及び第2の混合物を組み合わせる(又は反応させる)こと
を含む、方法を提供する。
少なくとも1種の添加剤は、シリコン油でありうる。第1及び第2の触媒は、互いに独立して、アミン触媒、スズ触媒から選択されうる。前記第1及び第2の混合物を組み合わせると、ポリマー泡形成反応が開始して、ポリマー発泡体マトリックスの形成が起こりうる。第1及び第2のモノマーは、互いに独立して、任意の組み合わせで、無水物(例えばPMDA)、イソシアネート(例えばポリ[(フェニルイソシアネート)-コ-ホルムアルデヒド]、P-MDIと省略されうる)から選択されうる。無水物の他の好適な例は、オキシ(oxi)ジフタル酸無水物(ODPA)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)のうちの1種又は複数から選択されうる。好適なイソシアネートモノマーは、トルエンジイソシアネート(TDI)である。
【0006】
本発明の第4、第5及び第6の態様では、形成された活性要素において、水の供給源を提供する固体材料(例えば、吸湿性物質、親水性物質又は吸湿剤)をさらに組み合わせてもよい。吸湿剤は一般に、吸湿性材料の一種として考えられる。この固体材料は、第4、第5及び第6の態様における水の供給源となることもあり、且つ/又は追加の水の供給源となることもある。第4及び第5の態様では、前記固体材料を、ペーストと組み合わせてもよい。第6の態様では、前記固体材料を、第1及び/又は第2の混合物に組み合わせてもよい。固体材料は、溶液若しくは部分的な溶液に、又は分散体若しくはスラリーに組み込んでもよい。固体材料は、酸化アルミニウム(例えばAl23)、ゼオライト、シリケート(例えばシリカゲル)、金属有機構造体(MOF)、粘土(例えばカオリナイト)のうちの1種若しくは複数、又は任意の組み合わせから選択されうる。前記固体材料の使用はまた、本発明の最初の3つの態様にも適用可能である。
【0007】
本発明の様々な材料において、CO2収着剤を、不活性形態で組み合わせてもよい。不活性の要素は、CO2収着剤を活性形態に変換するために、加熱されうる。例えば、CO2収着剤は、重炭酸塩の形態で加えた後、加熱して炭酸塩に変換してもよい。参照を容易にするため、CO2収着剤は、活性形態であることを指しても、不活性形態であることを指してもよい。ここでは、CO2収着剤前駆体を指すこともある。例えば、重炭酸カリウムは、CO2収着剤である炭酸カリウムに容易に変換されうるため、CO2収着剤前駆体として記載されうる。したがって、本発明の様々な態様及び実施形態におけるCO2収着剤への言及はいずれも、CO2収着剤前駆体という特色によって置き換えてもよい。
本発明の様々な態様では、活性要素を粒子に形成してもよい。例えば、活性要素を破砕、磨砕又は粉砕してもよく、ふるい分けしてもよい。
【0008】
ここでは、CO2収着剤は、CO2反応性材料を指すこともある。CO2反応性材料又は収着剤の機能は、ガス流を介して流れる、ガス流中のCO2の量を低減することである。これは、任意の組み合わせを含む、吸着、吸収又は化学反応を通じて起こりうる。
本発明の様々な態様では、ガスは空気であってもよく、排ガス、例えば燃焼機関からの排ガス、又は産業プロセスにおいて生み出されるガスであってもよい。
本発明に関して、多数の利点がある。例えば、本発明に準拠した空気フィルタは、サイズの経済性、より大きな装填量、改善された効率のうちの1つ又は複数を提供し、反復的使用のために容易且つ効率的に再生される。
ここで、このような及び他の本発明の態様を、本発明の実施形態を示す添付図面を参照しながら、より詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1a】活性要素が、マイクロチャネルを含むミニリス(minilith)の形態である、本発明に準拠した活性要素の図示である。
図1b】活性要素が、ポリマーを含むマトリックス材料の形態である、本発明に準拠した活性要素の図示である。
図1c】活性要素が、サンドイッチ形態における、図1a及び1bに表された実施形態の組み合わせを含む、本発明に準拠した活性要素の図示である。
図2a-2c】それぞれ図1a~1cに関して記載される活性マトリックスを組み込んだ、本発明に準拠したガス(例えば空気)フィルタを示す図である。
図3a】いくつかのマイクロチャネルを含む、実施例1に準拠して作製された押出成形ミニリスを示す図である。
図3b】実施例1に準拠して作製された炭酸塩/ベントナイト/アルミナミニリスのSEM(走査型電子顕微鏡写真)を示す図である。
図3c】ラボベンチ上に周囲条件下で24時間放置した後の、実施例1に準拠して作製された炭酸塩/ベントナイト/アルミナミニリスのSEMを示す図である。
図3d】CO2による試験後の図3cからのサンプルのSEMを示す図であり、重炭酸塩の形成を示している。
図3e】4%のCO2及び93%の水分によって、32℃、1bar且つ500ml/分の流量のCO2において試験した後、165℃において再生された、図1に準拠して作製された重炭酸塩/ベントナイト/アルミナ(20%)押出物のSEMを示す図であり、大きな表面積のメソ/マクロ孔質構造(活性形態)を示している。
図4a-4d】1l/分の流量のCO2を基準とする、実施例1~3からのサンプルを使用したCO2漏出曲線を示すグラフである。 図4aは、4%のCO2を使用した、実施例1の場合のミニリス押出物についての結果(時間に対してプロットしたCt/C0)を示す。 図4bは、0.5%のCO2を使用した、実施例1の場合のミニリス押出物についての結果(時間に対してプロットしたCt/C0)を示す。 図4cは、4%のCO2を使用した、実施例2の場合のミニリス押出物についての結果(時間に対してプロットしたCt/C0)を示す。 図4dは、4%のCO2を使用した、実施例3の場合のミニリス押出物についての結果(時間に対してプロットしたCt/C0)を示す。
図5a-5d】実施例4及び5に関するSEM画像を示す図である。 図5aは、実施例4に準拠して作製された重炭酸塩発泡体のSEM画像を示す図である。 図5bは、実施例4に準拠して作製し、再生して炭酸塩を形成した後の発泡体のSEM画像を示す図である。 図5cは、実施例5に準拠して作製し、水分及びCO2によって試験した後の炭酸塩マトリックスのSEM画像を示す図である。 図5dは、実施例5に準拠して作製し、続いて再生し、水分及びCO2によって試験した後の炭酸塩マトリックスのSEM画像を示す図である。
図6a-6(i)】実施例5に準拠したSEM画像を示す図である。 図6aは、165℃において24時間再生することによる、KHCO3粉末に由来するK2CO3を示す、100倍の図である。 図6bは、165℃において24時間再生することによる、KHCO3粉末に由来するK2CO3を示す、3000倍の図である。 図6cは、165℃における24時間再生後の、ポリイミドマトリックス中のKHCO3由来のK2CO3を示す図である。 図6dは、純粋なKHCO3を示す100倍の図である(不活性形態)。 図6eは、純粋なKHCO3を示す3000倍の図である(不活性形態)。 図6fは、CO2及び水分に曝露した後、ポリイミド発泡体中のK2CO3がKHCO3に変換されていることを示す図である。 図6gは、7~45μmの範囲内の粒子サイズを有する重炭酸塩粉末を示す図であり、平滑な表面に白色斑点を呈している。 図6hは、1回目の再生構造を示す図であり、すなわち、重炭酸塩が加熱され、炭酸塩形態に初めて変換されている。活性形態(炭酸塩)は、大表面積の「脳状」(外観において)テクスチャとして記載されうるものを呈し、これによって、CO2及び水分を容易に捕捉できる。CO2及び水分への曝露は、炭酸塩の、図6gに示される白色斑点を有する重炭酸塩への変換をもたらす。 図6iは、2回目の再生構造を示す図であり、すなわち、重炭酸塩が加熱され、炭酸塩形態に2回目に変換されている。活性形態(炭酸塩)は、大表面積の「脳状」テクスチャとして記載されうるものを呈し、これによって、CO2及び水分を容易に捕捉できる。CO2及び水分への曝露は、炭酸塩の、白色斑点を有する重炭酸塩への変換をもたらす。
図7a-7c】空気中の4体積%CO2によって、20℃、32℃及び45℃において4時間チャレンジした、ポリイミド(PI)/アルミナ(40質量%)/KHCO3(40質量%)の2種のサンプル(実施例4に準拠)の吸着漏出曲線に対する、温度の効果を示すグラフである。 図7a:20-BC(20℃において試験した活性発泡体)。 図7b:32-BC(32℃において試験した活性発泡体)。 図7c:45-BC+押出物と比較した、45-BC(45℃において試験した活性発泡体)。
図7d】CO2の反応及び除去に対する再生サイクルの数の効果、並びに6回の再生サイクル後に観測された安定な重炭酸/炭酸発泡体(表4、実施例5に準拠)を表すグラフである。
図7e】CO2の反応及び除去、並びに炭酸塩発泡体の関連する性能に対する、運用温度の効果を表すグラフである。この図は、45℃の温度において、容量が増加したこと及び安定な反応条件であることを表す(表5、実施例5に準拠)。
図8】本発明に準拠して試験したサンプルの収着/反応性特性を判定するために使用される、吸着フロー-漏出装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ガスフィルタ
ガスフィルタは、空気を濾過するのに好適な形態であってもよく、他のガスの供給源若しくはガス流を濾過するのに好適な形態であってもよい。例えば、排ガス、例えば燃焼機関によって放出される排ガスを濾過するために使用されうる。実質的に、厳密な用途とは関係なく、ガスフィルタは同じ要素を含み、この同じ要素とはガス吸入口とガス排出口とである。ここでは、「ガス」というあらゆる言及は、ガスの一種である「空気」への言及も含むものとして受け取られたい。本発明に準拠したガス(例えば空気)フィルタは、健康産業及び交通産業、例えば航空及び自動車産業を含む、様々な環境又は用途における使用に好適である。空気フィルタは、航空機のキャビン又は自動車のキャビンにおいて使用してもよい。
【0011】
ガスフィルタは、活性要素を格納するための構造体を含んでもよい。ハウジング構造体は、典型的にはガス吸入口とガス排出口とを含んでもよく、ガス吸入口におけるガスがガスフィルタに入ったとき、より均等に行き渡ることを確実にし、したがって、ガスフィルタの活性部分をより効率的にする、ガス分配器、例えばガス分配プレートも含んでもよい。ハウジング構造体は周知であり、典型的には、ガスフィルタの活性部分への取り付けの手段を含む。マトリックス材料は、効果的には充填マトリックス材料であり、ここではそのように称することもある。充填マトリックス材料はまた、ここではより一般的に、活性要素と称することもある。活性要素は、水若しくは水分、又は水若しくは水分の供給源も含む。典型的には、水は、CO2収着剤と一緒に、ポリマーマトリックス中に埋め込まれている。好適な水の供給源としては、1種又は複数の吸湿性物質、例えば吸湿剤材料が挙げられる。本発明者らは、粒子状形態の酸化アルミニウム(例えばアルファAl23)が、水又は水分の供給源として特に有用であり、マトリックス材料中に容易に埋め込まれうることを見出した。
例として、CO2収着剤がアルカリ金属炭酸塩、例えば炭酸カリウムである場合が考えられうる。炭酸カリウムがガスフィルタ中でCO2を除去する方法は、下の式1(Eqn 1)を参照して考えてもよい。
2CO3 + H2O + CO2 ⇔ 2KHCO3 ・・・・・Eqn 1
【0012】
Eqn 1が指示する通り、反応は可逆的であり、ガスフィルタが再生されうるメカニズムを提供する。炭酸カリウムは、水及び二酸化炭素と反応して、重炭酸カリウム(KHCO3)を形成し、したがって、空気などのガス流からCO2が除去される。重炭酸カリウムを好適な温度に加熱することによって、反応が右から左へ移動し、炭酸カリウムが形成され、したがって、さらなる使用のために準備されたガスフィルタが提供される。加熱した後、構造体又はガスフィルタは、再生された、又はリサイクルされた、又は活性形態にあると言うことができる。
ガスフィルタの厳密な設計は、空気のフロー速度、設置構成、許容可能な圧力低下及び寿命要件を含む、主として所望のレベルのCO2の除去を達成することに関するいくつかの変数に依存しうる。本発明に準拠したガスフィルタは、最小限の圧力低下、最小限の質量、高い圧潰強度、改善されたエネルギーの節減、及び長い実用寿命のうちの1種又は複数を提供することを求めている。
【0013】
マトリックス材料
マトリックス材料は、CO2収着剤を支持する。CO2収着剤の少なくとも一部、又は実質的にすべて、又はすべてが、マトリックス材料中に埋め込まれている。以上のように、マトリックス材料は、ここでは、充填マトリックス材料と称することもある。典型的には、CO2収着剤は、マトリックス材料にくまなく分布し、マトリックス材料中に埋め込まれており、その結果、収着剤の大部分は、マトリックス材料によって包囲される。しかしながら、収着剤の一部は埋め込まれていなくてもよく、マトリックス材料の表面に存在してもよい。以上のように、マトリックス材料は、CO2収着剤によってコーティングされうるが、しかしながら、少なくともいくらかの、マトリックス中に埋め込まれているCO2収着剤が存在することが要件である。典型的には、CO2収着剤は、マトリックス材料中にランダムに分布しており、そのため、均一に分布していない。
マトリックスは、ポリマーから形成されてもよく、セラミック材料から形成されてもよい。
【0014】
マトリックス材料は、多孔質であってもよい。以上のように、いくつかの細孔又はチャネル又は空隙が、マトリックス材料中に存在しうる。細孔の一部は、相互に接続されていてもよい。細孔又はチャネルの存在によって、CO2が拡散しうる道筋が提供される。CO2分子が吸収される、吸着される又は反応するまでに、マトリックス材料を介して移動しなければならない距離は、ここでは、拡散経路長と称することもある。好ましくは、マトリックス材料は、メソ孔質且つ/又はマクロ孔質である。メソ孔質材料とは、2nmから50nmの間の直径を有する細孔を含有する材料である。マクロ孔質材料とは、直径50nmよりも大きな細孔を有する材料である。したがって、材料は、ある範囲の、異なるタイプの多孔性を使用した分類を呈することができる。細孔の寸法は、電子顕微鏡又は窒素吸着を使用して測定されうる。
本発明者らは、マトリックス材料中の細孔の少なくとも一部、実質的にすべて、又はすべての寸法が、以下:
a)約200μm~約600μm、例えば約200μm~約500μmの細孔直径、
b)約300μm~約400μm、例えば約320μm~約350μmの平均細孔直径、
c)約300μm~約900μm、例えば約400μm~約800μm、例えば約500μm~約800μmの細孔窓直径、
d)約500μm~約800μm、例えば約600μm~約700μmの平均細孔窓直径
のうちの少なくとも1つ又は組み合わせを有しうることを見出した。
【0015】
上記の寸法は、マトリックス(又は活性要素)について、大きなCO2容量を達成することを求める際に特に好ましく、これは、より高い割合のCO2が、ガスから除去されうることを意味する。上記範囲では、細孔直径とは、所与の細孔についての直径の範囲を指す。細孔窓直径とは、細孔の開口における細孔の直径である。電子顕微鏡法、例えば走査型電子顕微鏡を使用して、様々な寸法が測定されうる。
本発明者らはまた、CO2収着剤が、細孔の表面に又は表面に沿って集中することがあり、これが有利であることを見出した。細孔の表面とは、これを介してCO2が拡散する、マトリックス中の細孔(又はチャネル又は空隙)の表面を意味するものとして受け取られる。所与の細孔又はチャネルを、中空パイプ状の構造であると想定する場合、その表面とは、パイプの内側に得られる表面であり、そのため、内表面と称することもある。CO2収着剤の濃度は、細孔の表面の所与の面積当たりで表されうる。CO2収着剤の濃度は、細孔の内表面若しくはその付近において、及び/又は細孔窓において最大でありうる。例えば、CO2収着剤の濃度は、内表面の端部からマトリックスの本体の方向に測定する場合、組み合わせた表面積が約50μm2を上回り、約1μmの深さまで測定してもよい、細孔の内表面若しくはその付近において、及び/又は細孔窓において最大である。
CO2収着剤(又はその前駆体)はまた、CO2が最初に入射する、マトリックスの表面において、又はマトリックスの表面に向かって集中しうる。
マトリックス材料は、活性要素の総質量を基準として、約20質量%~約95質量%の量で存在しうる。例えば、その範囲は、最大約60質量%、又は最大約50質量%、又は最大約40質量%でありうる。
【0016】
ポリマー
マトリックスがポリマーから形成される場合、得られるマトリックス材料は、泡形成ポリマー(foamed polymer)又はポリマースポンジでありうる。
ポリマー発泡体は、多様な用途、例えば、包装及び断熱に使用される。ポリマー発泡体は、互いに混合して発泡体を形成している、固体と気相とから構成される。得られる発泡体は、独立気泡又は開放気泡構造と称することもある、気泡及び/又は空気のトンネルが組み込まれたポリマーマトリックスを有する。発泡体中に使用されるガスは発泡剤と呼ばれ、性質上、化学的又は物理的でありうる。物理的発泡剤は、泡形成プロセスによって化学的に反応しないガスであり、そのため、マトリックスを形成するポリマーに対して不活性である。化学的発泡剤は、反応に加わる、又は分解してプロセスに化学物質を放出する化学物質である。発泡剤は、窒素ガス、二酸化炭素ガス又は有機ガスのいずれか1種、又は任意の組み合わせを含んでもよく、これらからなってもよい。好適な有機ガスは、C1~C6アルカンから選択されうるが、アルカンは、非置換であっても、フッ素及び/又は塩素によって置換されていてもよい。発泡剤は、ポリマーマトリックスが合成されているときに、in-situで形成されてもよい。
【0017】
ポリマー発泡体は、ポリマー発泡体の形成における使用に好適なポリマーを含んでもよい。例えば、ポリマー発泡体は、ポリウレタン(PU)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリイミド(PI)、本質的に微孔質のポリマー(polymers of intrinsic microporosity、PIM)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエーテルスルホン(PES)、セルロース又は生分解性ポリマー、例えばポリ乳酸(PLA)及び乳酸グリコール酸共重合体(PLGA)のうちの1種若しくは複数、又は任意の組み合わせを含んでもよい。本発明においては、ポリイミドが特に好ましい。ポリイミドは、マトリックス中に存在する唯一のポリマーであってもよく、ポリイミドを他のポリマーと組み合わせてもよい。ポリマー又はポリマー発泡体は、適当なモノマーを使用して調製されうる。例えば、モノマーは、互いに独立して任意の組み合わせで、無水物(例えばPMDA)、イソシアネート、例えば、鎖延長剤若しくは架橋剤として使用されうる、ポリ[(フェニルイソシアネート)-コ-ホルムアルデヒド]、(P-MDI)、又はトルエンジイソシアネート(TDI)から選択されうる。無水物の他の好適な例は、オキシ(oxi)ジフタル酸無水物(ODPA)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)のうちの1種又は複数から選択されうる。
ポリマーマトリックスは、多孔質、例えば、メソ孔質及び/又はマクロ孔質であってもよい。
【0018】
セラミック
セラミックマトリックスは、セラミック形成組成物又はセラミック前駆体組成物から形成される。典型的には、セラミック前駆体組成物は、未処理状態において形成され、次いで、焼成して最終的なセラミックマトリックス材料を形成する。未処理体は、主な構成成分が弱く結びついた粘土材料であり、通常は、焼結又は焼成されるまで、結合粉末又はプレートの形態である物体である。焼成条件は、未処理形態が変換されて、最終的なセラミック形態となる条件である。焼成は、1段階又はいくつかの段階において行われうる。例えば、未処理体又は未処理物品は、温度を初期温度、例えば約100℃~約120℃まで、最大約20時間の期間にわたって、より具体的には約110℃まで、約18時間の期間にわたってゆっくりと上昇させ、続いて、約8時間~約12時間、例えば約10時間にわたってより短期に、約800℃~約1100℃の温度まで上昇させることによって加熱されうる。
【0019】
セラミックマトリックスは、粘土を含んでも、粘土からなっても、粘土から実質的になってもよい。
セラミック材料は、カオリナイト、モンモリロナイト-スメクタイト、イライト、緑泥石粘土、クリノプタライト(clinoptalite)、パリゴルスカイト、アタパルジャイト、ベントナイトを含んでも、これらからなっても、これらから実質的になってもよい。これらの材料の1種、2種以上又は任意の組み合わせが、セラミック材料中に存在してもよい。
セラミック材料は、通例、原材料の組成及び粒構造によって、並びに乾燥及び焼成中の水の追い出しによって決定される、固有の空隙率で提供される。高い空隙率レベルを有する様々なセラミック生成物が開発されている。細孔の実装は、通例、いわゆるポロゲンによって、すなわち、例えば、グラファイト、ポリマービース、微粉末又は繊維など、加熱時に残留物を残すことなく燃焼、蒸発又は気化する細孔形成材料によって得られる。好適なポリマーとしては、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)が挙げられる。ポロゲンは、通例、セラミック前駆体と予備混合され、焼成工程中に揮発し、したがって、当初はポロゲン粒子によって占められていた空間に対応する細孔が、セラミック体に残る。
【0020】
以上のように、少なくとも1種の細孔形成剤又はポロゲンも、セラミック前駆体組成物(又は未処理体)中に存在してもよい。焼成プロセス中に、ポロゲンが揮発して、細孔又は細孔のネットワークが残る。細孔の少なくとも一部は、相互に接続されていてもよい。本発明に関する使用に好適な細孔形成剤の例としては、炭素、例えば、グラファイト、活性炭、例えばNuchar(登録商標)活性炭SA-20、ヤグルマギク、小麦粉、ワックス、例えばlicowaxが挙げられる。
焼成してセラミック構造体を形成する前に、セラミック前駆体組成物を押出成形して、押出物を形成してもよい。
セラミックマトリックスは、モノリス構造であっても、ミニリス構造であってもよい。モノリス構造及び/又はミニリス構造は、典型的には、押出物として形成される。ミニリス構造は、モノリス構造と同様の構造であり、マイクロ寸法であるチャネルを含むことを特徴とする。これは、チャネルが1mm未満の直径を有することを意味する。チャネルの寸法は、電子顕微鏡を使用して測定されうる。
ガスフィルタは、いくつかのセラミックマトリックス活性要素を含んでもよい。セラミックマトリックスは、磨砕又は粉砕してもよい。セラミックマトリックスは、粒子状の形態であってもよい。
【0021】
CO2収着剤
CO2収着剤は、二酸化炭素を吸着及び/若しくは吸収し、並びに/又は二酸化炭素と化学反応しうる。以下の議論において、言及が、アルカリ金属炭酸塩(特に炭酸カリウム)の使用に焦点を合わせている場合があるが、しかしながら、他のCO2収着剤又は反応物質は、本発明に関する使用に好適である。他の例としては、炭酸ナトリウム(Na2CO3)及び/又は炭酸リチウム(Li2CO3)が挙げられる。
炭酸カリウムなどの収着剤がガスフィルタ中でCO2を除去する方法は、下の式1(Eqn 1)を参照して考えてもよい。
2CO3 + H2O + CO2 ⇔ 2KHCO3 ・・・・・Eqn 1
炭酸カリウムは、水の存在下で二酸化炭素と反応して、重炭酸塩を形成し、このようにして、入射ガス流から二酸化炭素を除去し、又は二酸化炭素を化学吸着し、二酸化炭素と反応する。
典型的には、反応は、約30℃~約50℃、例えば約32℃~約45℃の温度範囲において、例えば約40℃において起こる。
【0022】
Eqn 1が指示する通り、反応は可逆的であり、平衡が左に移動すると、重炭酸カリウムから炭酸カリウムが生み出され又は再生されうるため、ガスフィルタをある期間にわたって再使用できる。再生は、熱の印加によって実施され、好適な温度範囲は、約100℃~約180℃、例えば約100℃~約165℃である。
本発明者らは、炭酸塩材料を使用する場合には、まず対応する重炭酸塩を装填して充填マトリックス材料を形成し、次いで、熱の印加によって重炭酸塩材料を生み出し(再生し)、活性な炭酸塩を形成するのが有利でありうることを見出した。重炭酸塩は、ここでは、前駆体CO2収着剤又は前駆体CO2反応物質と称することもある。重炭酸塩は、粒子状の形態で存在してもよい。例えば、重炭酸塩の粒子サイズは、約1μm~約50μm、又は約5μm~約50μm、又は約7μm~約50μm、又は約1μm~約10μm、又は約5μm~約50μm、又は約7μm~約45μmの範囲内でありうる。
後に明らかとなる理由から、二酸化炭素に曝露したマトリックス材料は、炭酸塩と重炭酸塩とを含みうる。これは、炭酸塩の一部のみがCO2に曝露して重炭酸塩に変換されうるため、又は重炭酸塩の一部のみが、例えば熱の印加によって再生され、対応する炭酸塩を形成しうるためでありうる。或いは、CO2収着剤又は反応物質が、(実質的に)100質量%の炭酸塩若しくは重炭酸塩、又は少なくとも約98質量%の炭酸塩若しくは重炭酸塩であることもある。
【0023】
本発明者らは、重炭酸塩が再生されて炭酸塩を形成する回数が多いほど、ガスフィルタがCO2の除去において、より効率的となることを見出した。重炭酸塩が加熱されて炭酸塩を形成する回数は、ここでは、サイクルの数と称することもある。有利には、本発明に準拠したガスフィルタは、多くの回数、例えば、最大10回、又は10回未満、リサイクルすることができる。ガスフィルタ(又は活性材料)がリサイクルされる場合、得られる構造体は表面積が増加する。有利には、これによって、CO2が移動することができる、いわゆる経路長がより長くなり、CO2が収着剤材料(及び/又は水)と相互作用する公算が上昇する。
所与の活性要素について、拡散経路長は、約200nm~約4000nm、例えば約300nm~約3500nm、又は約500nm~約3000nm、又は約700nm~約2800nmの範囲内でありうる。所与の構造体についてのサイクルの数が増加する場合、経路長は増加しうる。
重炭酸塩の炭酸塩への変換又はリサイクルは、約100℃~約170℃、例えば約100℃~約165℃、又は約150℃~約165℃、又は約170℃までの温度範囲内において起こりうる。
CO2収着剤は、活性要素の総質量を基準として、約5質量%~約80質量%、例えば約10質量%~約70質量%、又は約15質量%まで、又は約20質量%まで、又は約30質量%まで、又は約40質量%までの量で存在しうる。
【0024】

水は、いくつかの方法のうちの1種又は複数を通じて導入されうる。本発明者らは、水の供給源をマトリックス材料(の本体)中に組み込むことができ、水が事実上、その中に埋め込まれている場合に、有利であることを見出した。水は、さらなる固体材料によって提供されてもよい。水は、吸湿性材料又は吸湿剤材料によって提供されてもよい。吸湿性材料又は吸湿剤材料は、固体でありうる。
吸湿剤は、典型的には、乾燥剤として使用できる吸湿性物質として記載される。吸湿剤の周知の例はシリカゲルであり、存在する水分又は水蒸気の量を低減することによって、包装品の乾燥を保つためにしばしば使用される。本発明に関して使用される場合、吸湿剤は、Eqn 1に概説される反応のために、水の供給源を提供する(又は水を保存する)。水又は水分の供給源として機能することによって、吸湿剤は、二酸化炭素の収着又は除去を効果的に促進し、溶液中の反応を促進しうる。この吸湿剤は、反応のための水又は水分を提供していることを考えれば、in-situでは、典型的な吸湿剤としては作用していない。したがって、本発明の目的上、この吸湿剤は、約20~25℃の温度、約101kPaの圧力、且つ約40~50%の湿度において、及び活性要素若しくはマトリックス材料中に含まれていない、又は別の材料と組み合わせていない場合は、吸湿剤として記載されうる(吸湿剤として働く限り)。しかしながら、本発明に関して使用し、マトリックス材料中に存在する場合、吸着、吸収及び/又はCO2との反応を支援するための水の供給源として作用する。
【0025】
吸湿剤材料は、一般に、当業者には周知である。本発明における使用の場合、粒子状のアルミナが好ましい。好適な吸湿剤の他の例としては、ゼオライト、シリケート、例えばシリカゲル、金属有機構造体(MOF)又は粘土鉱物が挙げられる。アルミナは、アルファアルミナ(Al23)の形態であってもよい。
吸湿剤は、典型的には、粒子状の形態で提供される。例えば、酸化アルミニウムは、約0.5μm~約100μmの粒子サイズ分布で提供されうる。
吸湿剤又は水の供給源は、収着剤の付近に位置しうる。例えば、吸湿剤又は水の供給源は、収着剤と直接接触していてもよい。吸湿剤又は水の供給源の一部は、最も近い収着剤から約0.5μm~約40μmの距離内にありうる。吸湿剤又は水の供給源の少なくとも20質量%は、最も近い収着剤から約0.2μm~約20μmの範囲内にありうる。
【0026】
言及した通り、水が導入されうる多数の方法がある。例えば、活性要素を、加湿器(加湿空気)に曝露して、水蒸気又は水分をマトリックス材料中に取り入れ、保存してもよい。
水は、ここで言及した方法のうちの1種、又はこれらの任意の組み合わせのいずれかによって導入してもよい。
水は、活性要素の総質量を基準として、約5質量%~約40質量%の量で存在しうる。例えば、最大約30質量%又は最大約20質量%でありうる。
追加の固体、又は吸湿性材料、又は吸湿剤は、活性要素の総質量を基準として、約20質量%~最大約60質量%の量で存在しうる。例えば、最大約50質量%、又は最大約40質量%、又は最大約30質量%でありうる。
【0027】
ガスフィルタの運用
ガスフィルタを運用する温度は、ここでは、運用又は反応温度と称することがあり、「反応」とは、CO2とCO2収着剤と(水と)の間の反応を示す。運用温度は、最大約60℃又は最大約50℃、例えば約10℃~約60℃、又は約20℃~約60℃、又は約30℃~約60℃でありうる。約40℃~約45℃の運用温度が好ましい。
図1aは、全体として(1)で指示される活性要素の図示であり、マトリックス材料(5)、この場合はセラミック粘土を含み、その中に、CO2収着剤又は反応物質(10)、例えば、炭酸カリウムと、水の供給源(12)、この場合はアルミナ粒子とが、埋め込まれ又は封入されている。構造体中の開放チャネル又は空隙である、いくつかのマイクロチャネル(14)も示されている。CO2収着剤又は反応物質は、その前駆体の形態、例えば、重炭酸カリウムなどの重炭酸塩であってもよい。重炭酸塩は、例えば熱の印加によって、CO2を除去する活性バージョンに変換されうる。
図1bは、全体として(2)で指示される活性要素の図示であり、マトリックス材料(20)、この場合はポリマー、例えばポリイミドを含み、その中に、CO2収着剤又は反応物質(22)、例えば、炭酸カリウムと、水の供給源(26)、この場合はアルミナ粒子とが、埋め込まれ又は封入されている。CO2収着剤又は反応物質は、その前駆体の形態、例えば、重炭酸カリウムなどの重炭酸塩であってもよい。重炭酸塩は、例えば熱の印加によって、CO2を除去する活性バージョンに変換されうる。
【0028】
図1cは、全体として(3)で指示される活性要素の図示であり、図1aと1bとに準拠して記載される活性マトリックスの組み合わせを含む。図1cは、活性要素(2)同士の間に挟まれた、いくつかの活性要素(1)を示す。
図2a~2cは、ガス(例えば空気)フィルタに組み込まれた、活性要素と称する図1a~1cに記載される実施形態を示す。
図2aには、フィルタハウジング(35)内に位置する活性要素(1)が示される。空気フィルタは、全体として(30)で指示され、空気吸入口(32)と、任意に空気分配プレート(34)とを含む。空気は吸入口(32)において空気フィルタに入り、存在する場合、空気分配プレート(34)を通過し、通過するにつれて、活性要素(1)を通じて空気が均等に行き渡る。空気は、活性要素(1)を通過した後、空気排出口(36)を通じて空気フィルタを出る。空気の吸入口及び排出口は、適当な形状から互いに独立して選択してよく、例えば、その(又はそれらの)形状は、断面が円形又は正方形又は長方形であってもよい。
【0029】
図2bには、フィルタハウジング(35b)内に位置する活性要素(2)が示される。空気フィルタは、全体として(30b)で指示され、空気吸入口(32b)と、任意に空気分配プレート(34b)とを含む。空気は吸入口(32b)において空気フィルタに入り、存在する場合、空気分配プレート(34b)を通過し、通過するにつれて、活性要素(2)を通じて空気が均等に行き渡る。空気は、活性要素(2)を通過した後、空気排出口(36b)を通じて空気フィルタを出る。空気の吸入口及び排出口は、適当な形状から互いに独立して選択してよく、例えば、その(又はそれらの)形状は、断面が円形又は正方形又は長方形であってもよい。
図2cには、フィルタハウジング(35c)内に位置する活性要素(3)が示される。空気フィルタは、全体として(30c)で指示され、空気吸入口(32c)と、任意に空気分配プレート(34c)とを含む。空気は吸入口(32c)において空気フィルタに入り、存在する場合、空気分配プレート(34c)を通過し、通過するにつれて、活性要素(3)を通じて空気が均等に行き渡る。空気は、活性要素(3)を通過した後、空気排出口(36c)を通じて空気フィルタを出る。空気の吸入口及び排出口は、適当な形状から互いに独立して選択してよく、例えば、その(又はそれらの)形状は、断面が円形又は正方形又は長方形であってもよい。
【実施例
【0030】
以下の実施例を参照しながら、単なる例によって、限定することなく、本発明をここに記載する。
実施例1~3:炭酸塩とアルミナとを含むセラミックマトリックス
(実施例1)
アルファアルミナ粉末、粘土及び細孔形成剤を混合することによって、ペースト調合物を準備した。水を加えてペーストを形成し、続いて、重炭酸カリウム(バインダ及び吸湿剤の総質量を基準として20~80質量%)を加えた。アルミナは、サイズが1μm未満と20~50μmとの粒子の、質量による50:50混合物を含む、アルファアルミナ粉末であった。試験した粘土は、クリノプタライト、パリゴルスカイト、アタパルジャイト及びベントナイトであった。試験した細孔形成剤は、Nuchar carbon SA-20、PVP、トウモロコシ粉又はlicowaxであった。細孔形成剤は、混合物の総質量を基準として、3~10質量%の量で存在した。ペーストを徹底的に混合し、1~2日の期間、タオルに包んで放置した後、約3mm~約1cmの範囲内の直径を有する、マイクロチャネルのあるミニリスに押出成形した。次いで、非焼成、すなわち未処理の構造体を、温度を110℃まで、18時間の期間にわたってゆっくりと上昇させ、続いて、10時間にわたってより短期に、800~1100℃の温度まで上昇させることによって焼成した。サンプルを冷却し、漏出試験のための吸着カラムにサンプルを充填し、又は磨砕及びふるい分けをして、直径1.4mm未満の粒子を得た。
【0031】
(実施例2)
40gのベントナイト、360gのアルミナ(実施例1において使用したものと同じサンプル)、12gのNuchar carbon及び252gの水を組み合わせることによって、混合物を調製した。ペーストを徹底的に混合し、2日間放置した。ペーストを4.4mmのダイを通じて押出成形し、1100℃においてか焼を行い、およそ直径3.8mmのロッドが生じた。押出成形ロッドを室温で乾燥させ、1100℃の炉内で、空気の雰囲気において10時間焼成した。次いで、多孔質ベントナイト-アルミナマトリックスに、400mlの水中、250gの重炭酸カリウム(KHCO3)の溶液を、ロータリーエバポレータにおいて90℃で混合することによって含浸させた。続いて、含浸多孔質ロッドを、165℃に2日間加熱した。26.7質量%のKHCO3を含浸させ、試験前にK2CO3に変換した、多孔質ベントナイト-アルミナマトリックスロッドの充填床のCO2漏出試験を実行して、CO2除去容量を評価した。
【0032】
(実施例3)
この実施例では、マイクロチャネルを有するアルミナ粒子を装填した粘土に、重炭酸カリウムの水性溶液を含浸させた。マイクロチャネル構造は、アルミナ(70質量%)、重炭酸カリウム(20質量%)及びベントナイト(10質量%)を、水(1.6部の固体につき、1部の水)と混合することによって生じた。アルミナは、実施例1及び2において使用したものと同じであった。3質量%の細孔形成剤Nuchar(登録商標) carbon SA-20を、固体混合物に組み込んだ。ペーストを形成し、1~2日間放置した後に押出成形し、続いて乾燥させ、700℃~1100℃で焼成した。焼成温度は、強い構造体を提供するように、及びアルミナのアルファ相からガンマ相への相転移を回避するように、注意深く選択した。構造体を切断、磨砕及びふるい分けした。250gの重炭酸カリウムを、400mlの水中に60℃で溶解させて、飽和溶液を作製した。粒子状材料を165℃の炉内で一晩乾燥させて、水が吸着していないことの確保を含む、清浄な表面を確保した。粒子を、管状炉への嵌合に好適なガラス管に入れた。重炭酸溶液に十分に浸漬した多孔質粒子を含有するガラス管を、管状炉に載置し、ロータリーエバポレータに連結した。追加の重炭酸塩の組み込みを、100℃において、低真空下、1時間30分、実行した。40分、温度を220℃に上昇させて、溶液中の水の一部を蒸発させた。次いで、多孔質粒子を残りの溶液から取り出し、乾燥させ、165℃のオーブンで少なくとも48時間か焼して、重炭酸塩の炭酸塩への完全な変換を確保した。
【0033】
再生
いくつかのCO2収着剤の実験を行った後、重炭酸塩を元の対応する炭酸塩に変換するために、加熱することによって構造体を再生した。サンプルを165℃の真空オーブン中に、少なくとも6時間、12時間又は24時間、載置した。再生は、より一般的には、約120℃~165℃の温度範囲内で行われうる。
結果
実施例1に関して、以下の結果が得られた。図3(a)は、重炭酸カリウムを含む、実施例1に準拠して調製された押出成形ミニリスを示す。図3(b)は、実施例1に準拠して作製された炭酸カリウム/ベントナイト/アルミナミニリスのSEMであり、押出物中の炭酸塩の存在を示している。図3(c)は、炭酸塩/ベントナイト及びアルミナのSEM(×3000)である。図3(d)は、4%のCO2及び93.0%の水分(RH)によって、32℃、1bar且つ500mL/分において試験した後の、重炭酸塩のSEMである。図3(e)は、4%のCO2及び93%の水分によって、32℃、1bar且つ500mL/分の流量において試験した後、165℃において再生された炭酸塩/ベントナイト/アルミナ(20%)押出物のSEMである。SEMは、重炭酸塩から炭酸塩へのスイッチバック(すなわち再生)に起因する、構造における変化を示している。
【0034】
図4a~4dは、実施例1~3の場合のCO2漏出調査について得たグラフを示す。漏出調査は、1l/分の流量及び4%又は0.5%のCO2濃度を使用して実行した。図4(a)は、4%のCO2を使用して、実施例1の場合のミニリス押出物について得た結果を示す。図4(b)は、0.5%のCO2チャレンジを使用して、実施例1の場合のミニリス押出物について得た結果を示す。図4(c)は、実施例2且つ4%のCO2チャレンジの場合の押出物についての結果を示す。図4(d)は、4%のCO2を使用した、実施例3の場合の押出物についての結果を示す。
装填量の詳細を表1にまとめるが、これは、32℃の空気中、4体積%及び0.5体積%のCO2によってチャレンジした重炭酸塩ミニリス/押出物における、CO2の平衡装填量を示している。
【表1】

【0035】
eq(質量%)CO2装填量とは、ミニリスにおけるCO2の平衡装填量である。
実施例4~5:ポリマー、アルミナ及び重炭酸塩(炭酸塩に変換される)を含むポリマーマトリックス
(実施例4)
実施例4では、アルミナと重炭酸カリウムとが埋め込まれた、非常に多孔質なポリマーマトリックスを調製した。ピロメリット酸二無水物(PMDA)及びN-メチルピロリドン(NMP)を1:7の質量比で、アミン触媒(約50μl)、蒸留水(2ml)及びシリコン油(1.65g)とともに、ホモジナイザーを使用して6500rpmで30秒、混合することによって、第1の混合物を調製した。アルミナ粉末(10μm未満を10gと20~50μmを10g)、重炭酸カリウム粉末(20g)及びスズ触媒(約25μl)を混合することによって、第2の混合物を調製した。第2の混合物を、ホモジナイザーを使用して6500rpmで30秒、撹拌した。次いで、この第2の混合物を5gのイソシアネートに加え、ホモジナイザーにおいて6500rmpで5秒、混合した。
【0036】
最後の混合ステップ中、構造体中に炭酸塩粉末を封入し、アルミナ粉末を結合させる1ステップ法を伴う、ポリマー泡形成プロセスが開始した。発泡反応と重合反応とは同時に起こり、マトリックスにメソ孔性とマクロ孔性とを創出した。発泡反応中にイソシアネートと水とが反応して、CO2とポリマーとが生成し、ポリマーは事実上、マトリックスにおけるバインダとして作用した。アルミナ粒子は、大表面積の多孔質構造の創出を支援するだけでなく、CO2の除去を支援する、水分の供給源として作用した。均一化によって、CO2のための核生成サイトとしての役割を果たす、多くのマイクロバブルが生成した。反応によってより多くのCO2が生成するにつれて、気泡の膨張によってマトリックスが膨らんだ。アミン触媒によって、発泡反応の速度が制限され、より堅実で制御可能な膨らみが得られる。
【0037】
創出された非常に多孔質のマトリックスによって、効果的にKHCO3が封入され、これによって、反応性が高く、反応についての物質移動抵抗が最小限の表面領域が生じた。マトリックスをベンチ表面に静置して、あらゆる残存溶媒を除去した。存在するあらゆる溶媒をゆっくりと蒸発させることで、構造体の収縮率が減少した。
ポリマーマトリックスを、飽和KHCO3溶液(500mlの蒸留水中、100gのKHCO3)中に浸し、続いて100℃のオーブンにおいて、マトリックスの質量における変化が記録されなくなるまで乾燥させることによって、より多くの重炭酸塩が装填され、力学的に強く安定な構造を達成した。CO2を除去する能力を試験するため、サンプルを重炭酸塩から炭酸塩に変換した。
実施例4に準拠して調製したサンプルを、空気からCO2を除去する能力について、ある範囲の温度(運用温度)において試験した。試験したサンプルを、表2に準拠して述べる。「BC」とは、重炭酸塩の省略形である。
【0038】
【表2】

【0039】
「20」、「32」及び「45」という用語は℃における運用温度を示し、「H」は加熱サイクルの数を示し、「S」は同じ調合を有するが異なる発泡体サンプルを示す。
(実施例5)
ポリイミド、アルミナ及び重炭酸カリウムを含む、いくつかの充填ポリマー発泡体を調製した。充填ポリイミドの総質量を基準として、充填ポリイミド/アルミナの量は60質量%であり、重炭酸カリウムの量は40質量%であった。
PMDA:NMP(質量により1:8)、蒸留水(2mL)、アミン触媒(約50μL)、シリコン油(1.65g)を、ホモジナイザーを使用して、6500rpmで30秒、混合することによって、第1の混合物を調製した。
アルミナ粉末(1μm未満)(10g)、アルミナ粉末(20~50μm)(10g)、重炭酸カリウム(KHCO3)粉末(20g)及びスズ触媒(約25μL)を混合物に加え、ホモジナイザーを使用して、6500rpmで30秒、撹拌して、第2の混合物を生み出した。次いで、第2の混合物を5gのイソシアネートに加え、ホモジナイザーを使用して、6500rmpで5秒、混合した。
【0040】
最後の混合のステップ中、「発泡」を伴うポリイミドの泡形成が始まり、同時に重合反応が起こった。発泡反応中、イソシアネートが蒸留水と反応して中間生成物であるカルバミン酸を生成し、これが分解してCO2及び第一級アミンを生成する。生み出されたCO2は、発泡体中に細孔を創出する。
混合中に創出された小さな気泡は、CO2のための核生成サイトとしての役割を果たした。CO2は拡散して小さな気泡となり、より多くのCO2が生み出されるにつれて、バブルが膨張し、発泡体が膨らみ始める。アミン触媒は、イソシアネート基と水との間の反応を制御する。同時に、重合反応において、第一級アミンがPMDAと反応してアミド酸を生成し、アミド酸は続いてイミド化してイミドを生成し、同時に、水が再生する。泡形成プロセス中の水の存在は、反応に重要である。
【0041】
重合中、薄い壁を有するガス充填セルが形成される。この重合反応は、スズ触媒によって触媒される。泡形成プロセスでは、混合物が膨らみ、重合するのにおよそ10~15秒かかるが、これは他の公知の方法と比較すると、費用対効果が高い。
次いで、スポンジから重炭酸塩がにじみ出るのを回避するため)、及び残存ポリマーの相反転を可能にするため、重合したKHCO3含有発泡体を、KHCO3(500mLの蒸留水中、100gのKHCO3)で満たしたバスに浸した。前記デバイスを100℃のオーブン中で、発泡体の質量における変化が観察されなくなるまで乾燥させた。これらの炭酸塩スポンジの再生は、80~165℃において可能であった。
図5(a)~5(d)は、実施例4及び5に準拠して作製したサンプルについてのSEM発泡体分析を示す。
図6(a)~6(i)は、実施例5に準拠して作製したサンプルについてのSEM分析を示す。
実施例4に準拠して調製したサンプルを、空気からCO2を除去する能力について、ある範囲の温度(運用温度)において試験した。試験したサンプルを、上の表2に準拠して述べる。
【0042】
結果は、サンプルを再生する(すなわち周期変動させる)効果によって、拡散経路長及び細孔サイズに変化が生じた(増加した)ことを示していた。これらの変化を下に述べる。これらの変化は、再生サイクルの数によって増加した。拡散経路長及び/又は細孔サイズの増加は、入射ガスから除去されたCO2(及び水分)の量が増加することを意味していた。
【表3】

【0043】
【表4】

【0044】
表3は、アルミナ(40質量%)及び重炭酸カリウム(40質量%)を充填したポリイミドのマトリックスを、10回の再生又は加熱サイクル後、20℃の空気中、4体積%のCO2によって、4時間チャレンジした平均平衡装填量を示す。表3において、「20」は運用温度(℃)を示し、「H」は加熱サイクルの数を示す。
【表5】

【0045】
表4は、アルミナ(40質量%)及び重炭酸カリウム(40質量%)を充填したポリイミドのマトリックスを、6回の加熱サイクル後、32℃の空気中、4体積%のCO2によって、4時間チャレンジした平均平衡装填量を示す。表4において、「32」は運用温度(℃)を示し、「H」は加熱サイクルの数を示す。
【表6】

【0046】
結果を図7(a)、(b)及び(c)に提示する。図7(a)~(c)において、Ctは、CO2の排出口濃度であり、Coは、CO2の初期濃度である。図7(d)は、CO2の反応及び除去に対する再生サイクルの数の効果、並びに6回の再生サイクル後に観測された安定な重炭酸/炭酸発泡体(表4、実施例5に準拠)を表す。
結果は、同じ調合を有するPI(20質量%)/アルミナ(40質量%)/KHCO3(40質量%)多孔質マトリックスの2種のサンプルから得られる漏出曲線に対する、加熱サイクルの数の効果を示している。2種のサンプルは、同じ条件を使用して製造し、両方とも165℃において再生され、すべての吸着実験の前に水で予備装填した(4時間運用した)。
図7に示されるように、運用温度を45℃に上昇させることで、Ct/Coが0に低下し、これは、CO2のすべてがマトリックスから除去されていることを示すものであった。実験は、あらゆる水の蓄積を排除し、CO2分析機器を保護するために、4時間実行した。図7(e)は、CO2の反応及び除去、並びに炭酸塩発泡体の関連する性能に対する、運用温度(20~45℃)の効果を表す。この図は、45℃の温度において、容量が増加したこと及び安定な反応条件であることを表す(表5、実施例5に準拠)。
【0047】
表5は、7回目及び8回目の再生サイクル後、45℃の空気中、4体積%のCO2で4時間チャレンジした、発泡体組み合わせカラムによる、PI(20質量%)/アルミナ(40質量%)/KHCO3(40質量%)及び重炭酸塩押出物の平均平衡装填量を示す。表5において、「45」は運用温度(℃)を示し、「H」は再生サイクルの数を示す。
【表7】

【0048】
運用温度(20℃~32℃)は、セラミックマトリックスと、ポリマー性/炭酸塩マトリックスとの両方の場合に、CO2吸着容量に対する有意な効果を有していた。運用温度の45℃へのさらなる上昇は、再生サイクルの数の効果と比較した場合、CO2吸着容量に対して、より強い効果を有していた(CO2装填量が36質量%増加)。最適な運用温度は、約45℃であることが見出された。運用温度の上昇によって、炭酸塩化の速度が上昇した場合があり、したがって、同じ時間スパン内(4時間)で、より大きな吸着容量が達成された。炭酸塩化反応が可逆的且つ発熱性であることに起因して、運用温度の上昇において得られる利益には限度がありうる。60℃超の温度における運用は、最大反応速度を上昇させたが、変換(K2CO3をKHCO3へ)速度を下降させた。
サンプルが空気からCO2を除去する能力を試験するための手順は、以下の通りであり、図8を参照しながら記載する。
【0049】
サンプルの収着/反応性特性を判定するために使用される、吸着フロー-漏出装置の模式図を図8に示し、全体として(40)で指示する。装置は、CO2収着/反応カラム(42)、供給ガスフローシステム(43)、及び収着カラムを出るガス流中のCO2濃度を記録するためのデータロガー(46)を含む。マトリックスサンプル材料を充填したカラム(42)を、温度制御キャビネット(44)中に載置した。一様なフロー分配を創出するのを補助するために、サンプルの吸入口の前に、焼結プレートフロー分配器を取り付けた。(48)で指示される質量フローコントローラ(MFC、例えばBrooks Instruments、0254)を使用して、CO2の収着カラムへの供給フロー速度を制御した。収着実験の前に、各未使用マトリックスサンプルを、所望の温度(約100~約300℃)に24時間の期間曝露しながら、加熱したオーブンを通って流れる純粋窒素ガスに曝露した。壁におけるガス漏れを防止するため、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)テープを使用して、カラムの内側に載置する前に、各マトリックスサンプルの終端の周囲にシールを創出した。これによって確実に、CO2はもっぱらマトリックスを通って流れ、発泡体壁の周囲を流れない。相対湿度が安定レベル(いくつかの場合、50%~90%RH)に達するまで、空気中の圧縮CO2(例えば4%)(50)を、湿度発生器(56)を通して誘導した。圧縮器は、(60)で指示される。除去することができるCO2濃度は、約400ppm~100%vの範囲にわたった。次いで、空気フローをCO2収着カラムを通して誘導した。赤外線ガスセンサ(52)を使用して、時間に対する排出口濃度を測定し、漏出曲線をプロットした。ベントは、(58)で指示される。
【0050】
赤外線ガス分析機器(Edinburgh Sensors)を使用して、カラム排出口のCO2濃度をモニタリングした。排出口CO2濃度を、データロガーを介して、コンピュータ(54)(例えばPicologソフトウェア)によって2秒毎に記録した。試験しているサンプルを、すべての収着実験について、空気中、4体積%のCO2でチャレンジした。すべての収着実験は、500mL分-1の供給ガスフロー速度によって、20℃、32℃又は45℃の温度且つ1barの圧力において行った。完全なマトリックスカラムの寸法は、全体で27cmの高さ及び3.7cmの直径であった。
押出物サンプルを加湿するため、ガラスウールを2枚の細かい金網の間に載置し、試験カラム(42)の底部に挿入して、吸入口が閉塞することを防止し、これによって、ガスの混合が改善した。次いで、押出物(粒子状の形態における)をシリンダ型容器に注ぎ込んだ後、強く叩いて、均等な押出物の分布を促進した。押出物充填カラムをリグに挿入し、CO2フローをバイパスを通して誘導した。圧縮空気を、相対湿度が安定レベル(いくつかの場合、50%~90%)に達するまで、湿度発生器(56)、例えば水入りビーカーを通して誘導し、CO2濃度はおよそ4%(400ppm~40体積%)で安定なままであった。次いで、空気フローをCO2収着カラムを通して誘導した。時間に対する排出口濃度を測定し、漏出曲線をプロットした。所望の時間制限に達した後、シリンダをリグから取り出し、質量を再び記録した。
【0051】
吸着実験から生み出された漏出曲線を使用して、漏出及び平衡時間、並びに平衡装填量を含むパラメータを決定した。吸着実験から漏出曲線を創出し、平衡時間Teq及び装填量を決定した。漏出時間Tbとは、排出口濃度が設定値(典型的には1%又は5%)を超えて上昇する時間であり、平衡時間とは、排出口二酸化炭素濃度Ctが、吸入口濃度C0に等しい時間を示す。平衡装填量qebとは、Teq後に吸着したCO2の総質量であり、容量とは、構造体中の吸着材の質量当たりの装填量である。
疑義を回避するため記すが、本出願は、以下の番号付きの項における主題事項に及ぶ。
1.活性要素、及び前記活性要素のためのハウジング構造体を含むガスフィルタであって、前記ハウジング構造体が、ガス吸入口とガス排出口とを含み、前記活性要素が、マトリックス材料、CO2収着剤及び水を含むか、又はこれらからなり、CO2収着剤の少なくとも一部が、マトリックス材料中に埋め込まれている、ガスフィルタ。
2.マトリックス材料が、セラミック材料及び/又はポリマーを含む、これらからなる、又はこれらから実質的になる、項1に記載のガスフィルタ。
3.マトリックス材料がセラミック材料であり、前記セラミック材料が無機鉱物を含む、項1~2のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
【0052】
4.セラミック材料が粘土材料を含む、項2~3のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
5.粘土材料が、カオリナイト、モンモリロナイト-スメクタイト、イライト、緑泥石粘土、又は粘土のうちのいずれか1種又は複数から選択される、項4に記載のガスフィルタ。
6.粘土材料が、クリノプタライト、パリゴルスカイト、アタパルジャイト、ベントナイトのうちのいずれか1種又は複数から選択される、項4~5のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
7.マトリックス材料がポリマーを含む、ポリマーからなる、又はポリマーから実質的になる、項1又は2のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
8.ポリマーが泡形成ポリマーである、項7に記載のガスフィルタ。
9.泡形成ポリマーが、ガス充填セル又は細孔を含む、項8に記載のガスフィルタ。
10.ガスが、二酸化炭素、窒素又は有機ガス、例えばC1~C6アルカンのうちの1種又は複数から選択され、アルカンが非置換であっても、フッ素及び/又は塩素によって置換されていてもよい、項9に記載のガスフィルタ。
【0053】
11.ポリマーが、ホモポリマー又はコポリマーである、項7~10のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
12.ポリマーが、ポリウレタン(PU)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリイミド(PI)、本質的に微孔質のポリマー(PIM)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエーテルスルホン(PES)、セルロース又は生分解性ポリマー、例えばポリ乳酸(PLA)及び乳酸グリコール酸共重合体(PLGA)のうちの1種若しくは複数、又は任意の組み合わせを含む、項7~11のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
13.ポリマーが、ポリイミドを含む、又はポリイミドからなる、又はポリイミドから実質的になる、項7~12のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
14.マトリックス材料が、メソ孔及び/又はマクロ孔を含む、項1~13のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
15.CO2収着剤が固体である、項1~14のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
16.CO2収着剤が、マトリックス材料の実質的に全体にくまなく分布している、項1~15のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
17.CO2収着剤が、マトリックス材料中に不均一(又はランダム、又は不規則)に埋め込まれている、項1~16のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
【0054】
18.CO2収着剤が、マトリックス材料の少なくとも1つの外表面にも存在する、項17に記載のガスフィルタ。
19.マトリックス材料がCO2収着剤によってコーティングされている、項1~18のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
20.マトリックス材料が、完全にコーティングされているか、部分的にコーティングされているかのいずれかである、項19に記載のガスフィルタ。
21.CO2収着剤が、アルカリ金属炭酸塩、例えば、K2CO3、Na2CO3、Li2CO3のうちの1種又は複数から選択される、項1~20のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
22.CO2収着剤が、K2CO3からなる、K2CO3から実質的になる、又はK2CO3を含む、項1~21のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
23.水がマトリックス材料中に埋め込まれている、項1~22のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
24.水が、マトリックス材料に実質的にくまなく分布している、項23に記載のガスフィルタ。
【0055】
25.水の少なくとも一部、又は水のすべてが、追加の固体材料によって提供される、項1~24のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
26.水の少なくとも90質量%が追加の固体材料によって提供され、最大約100質量%が追加の固体材料によって提供されてもよい、項1~25のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
27.追加の固体材料が、活性要素に含まれない場合、約20~25℃の温度、約101kPaの圧力且つ約40~50%の湿度において、吸湿剤として作用する、項25又は26に記載のガスフィルタ。
28.追加の固体材料が、粒子状であり、酸化アルミニウム、ゼオライト、シリケート(例えばシリカゲル)、金属有機構造体(MOF)、粘土(例えばカオリナイト)のうちの1種又は複数から選択される、項25~27のいずれかに1項に記載のガスフィルタ。
29.追加の固体材料が、粒子状酸化アルミニウム(例えば、アルファアルミナ粉末、Al23)から選択され、酸化アルミニウムの粒子サイズが、50μm未満であってもよい、項25~28のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
【0056】
30.活性要素又はマトリックス材料が開放チャネルを含む、項1~29のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
31.開放チャネルが、最も広い箇所において、直径約1mm~約10mm、例えば約3mm~約8mmである、項30に記載のガスフィルタ。
32.開放チャネルの少なくとも一部又はすべてが、実質的に互いに平行に延びている、項30又は31に記載のガスフィルタ。
33.CO2収着剤が、炭酸カリウムを含む、又は炭酸カリウムからなる、又は炭酸カリウムから実質的になる、項1~32のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
34.CO2収着剤が、活性要素の総質量を基準として、5質量%~80質量%の量で存在する、項1~33のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
35.マトリックス材料が、活性要素の総質量を基準として、20質量%~95質量%の量で存在する、項1~34のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
36.水が、活性要素の総質量を基準として、5質量%~40質量%の量で存在する、項1~35のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
【0057】
37.追加の固体が、活性要素の総質量を基準として、20質量%~60質量%の量で存在する、項25~36のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
38.活性要素が押出成形されており、磨砕されていてもよい、項1~37のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
39.活性要素がモノリス構造の形態である、項1~38のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
40.活性要素がミニリス構造の形態である、項1~38のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
41.空気フィルタが、前記活性要素の2種以上を含む、項1~40のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
42.空気フィルタが、活性要素の1種のみを含む、項1~40のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
43.マトリックス材料が、単一のパーツとして提供される、項1~42のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
【0058】
44.マトリックス材料が、細孔、例えばメソ孔及び/又はマクロ孔を含み、マトリックス材料中の細孔の少なくとも一部、実質的にすべて、又はすべての寸法が、以下:
a)約200μm~約600μm、例えば約200μm~約500μmの細孔直径、
b)約300μm~約400μm、例えば約320μm~約350μmの平均細孔直径、
c)約300μm~約900μm、例えば約400μm~約800μm、例えば約500μm~約800μmの細孔窓直径、
d)約500μm~約800μm、例えば約600μm~約700μmの平均細孔窓直径
のうちの少なくとも1つ又は組み合わせを有する、項1~43のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
45.マトリックス材料が細孔を含み、前記細孔が、内表面、及び細孔開口又は細孔窓を含み、CO2収着剤の濃度が、細孔の内表面若しくはその付近において、及び/又は細孔開口若しくは細孔窓において最大である、項1~44のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
46.CO2収着剤の濃度が、細孔の内表面の端部からマトリックスの本体の方向に測定する場合、組み合わせた表面積が約50μm2を上回り、約1μmの深さまで測定してもよい、細孔の内表面において、及び/又は細孔窓において最大である、項45に記載のガスフィルタ。
【0059】
47.追加の固体材料の少なくとも一部が、収着剤と直接接触しており、又は追加の固体材料の少なくとも一部が、最も近い収着剤から約0.5~約40μmの距離内にある、項25~46のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
48.追加の固体材料の少なくとも20質量%が、最も近い収着剤から約0.2~約20μm以内にある、項47に記載のガスフィルタ。
49.活性要素が、(i)セラミック材料、CO2収着剤及び水であるマトリックス材料であって、CO2収着剤の少なくとも一部が、マトリックス中に埋め込まれている、マトリックス材料と、(ii)ポリマー、CO2収着剤及び水であるマトリックス材料であって、CO2収着剤の少なくとも一部が、マトリックス中に埋め込まれている、マトリックス材料との組み合わせを含む、項1~48のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
50.CO2収着剤が、その前駆体の形態、例えば少なくとも1種の重炭酸塩の形態で存在する、項1~49のいずれか1項に記載のガスフィルタ。
51.ガス流から二酸化炭素を除去する方法であって、ガス流に、項1~50のいずれか1項に準拠したガスフィルタを通過させることを含む、方法。
52.CO2収着剤を生み出す(再生する)ために、ガスフィルタ又は活性マトリックスが加熱される、項51に記載の方法。
【0060】
53.CO2収着剤が、約120℃~約165℃の温度範囲において加熱することによって生み出される、又は再生される、項52に記載の方法。
54.CO2収着剤を、少なくとも1回、又は2回以上、任意に最大10回、再生する、項51~53のいずれか1項に記載の方法。
55.約30℃~約50℃、例えば約32℃~約45℃の温度範囲において、例えば約40℃において、又は約45℃において行われる、項51~54のいずれか1項に記載の方法。
56.項1に準拠したガスフィルタにおける使用に好適な活性要素であって、マトリックス材料、CO2収着剤及び水を含むか、又はこれらからなり、CO2収着剤の少なくとも一部が、マトリックス材料中に埋め込まれている、活性要素。
57.項2~50のいずれか1項に準拠していることをさらに特徴とする、項56に記載の活性要素。
58.活性要素を作製する方法であって、前記活性要素が、セラミックマトリックス材料、CO2収着剤及び水を含むか、又はこれらからなり、CO2収着剤の少なくとも一部が、マトリックス材料中に埋め込まれており、
少なくとも1種の粘土材料、細孔形成剤、CO2収着剤又はその前駆体、及び水を組み合わせて、ペーストを形成すること、ペーストを成形して、未処理物品を形成すること、並びに未処理物品を焼成して、活性要素を形成することを含む、方法。
【0061】
59.活性要素を作製する方法であって、前記活性要素が、セラミックマトリックス材料、CO2収着剤及び水を含むか、又はこれらからなり、CO2収着剤の少なくとも一部が、マトリックス材料中に埋め込まれており、
少なくとも1種の粘土材料、細孔形成剤及び水を組み合わせて、ペーストを形成すること、ペーストを成形して、未処理物品を形成すること、並びに未処理物品を焼成して、活性要素を形成すること、活性要素に、CO2収着剤又はその前駆体を含浸させることを含み、CO2収着剤又はその前駆体が、溶液中にある、方法。
60.活性要素を作製する方法であって、前記活性要素が、ポリマーマトリックス材料、CO2収着剤及び水を含むか、又はこれらからなり、CO2収着剤の少なくとも一部が、マトリックス材料中に埋め込まれており、
第1のモノマー、第1のモノマーのための溶媒、第1の触媒、水、及び任意に少なくとも1種の添加剤を含む、第1の混合物を形成すること、
第2のモノマー、CO2収着剤又はその前駆体、第2の触媒を含む第2の混合物を形成すること、
前記第1及び第2の混合物を組み合わせて、前記ポリマーマトリックスを形成すること
を含む、方法。
【0062】
61.第1及び第2の混合物を組み合わせると、又は組み合わせた後、泡形成反応が開始し、泡形成剤が形成される、項60に記載の方法。
62.泡形成剤がCO2である、項61に記載の方法。
63.第1のモノマーが、無水物又は二無水物であり、第2のモノマーが、イソシアネート又はジイソシアネートである、項60~62のいずれか1項に記載の方法。
64.第1のモノマーが、オキシ(oxi)ジフタル酸無水物(ODPA)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)のうちの1種又は複数から選択され、第2のモノマーが、トルエンジイソシアネート(TDI)又はP-MDIから選択される、項60~63のいずれか1項に記載の方法。
65.少なくとも1種の添加剤がシリコン油であり、且つ/又は第1及び第2の触媒が、互いに独立して、アミン触媒及びスズ触媒から選択される、項60~64のいずれか1項に記載の方法。
【0063】
66.溶媒がN-メチル-2-ピロリドン(NMP)である、項60~65のいずれか1項に記載の方法。
67.ポリマーマトリックスが、ポリイミドを含む、又はポリイミドからなる、項60~66のいずれか1項に記載の方法。
68.ポリマーマトリックスが泡形成ポリマーマトリックスである、項60~67のいずれか1項に記載の方法。
69.水の少なくとも一部又はすべてが、追加の固体材料によって提供される、項58~68のいずれか1項に記載の方法。
【0064】
70.追加の固体材料を、(i)組み合わせて項58若しくは59におけるペーストを形成する、又は(ii)項60における第1及び/若しくは第2の混合物に組み合わせる、項69に記載の方法。
71.さらなる固体材料が、酸化アルミニウム(例えばAl23)、ゼオライト、シリケート(例えばシリカゲル)、金属有機構造体(MOF)、粘土(例えばカオリナイト)のうちの1種若しくは複数、又は任意の組み合わせを含む、又はこれらからなる、項69又は70に記載の方法。
72.CO2収着剤を活性形態又は不活性形態において組み合わせる、項58~71のいずれか1項に記載の方法。
73.CO2収着剤を不活性形態において組み合わせ、活性要素を加熱して、CO2収着剤を活性形態に変換する、項72に記載の方法。
【0065】
74.CO2収着剤の不活性形態がアルカリ金属重炭酸塩であり、活性形態がアルカリ金属炭酸塩である、項72又は73に記載の方法。
75.アルカリ金属重炭酸塩が重炭酸カリウムであり、アルカリ金属炭酸塩が炭酸カリウムである、項74に記載の方法。
76.活性要素が粒子に形成される、例えば、活性要素を破砕、磨砕又は粉砕し、ふるい分けしてもよい、項58~75のいずれか1項に記載の方法。
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c
図3d
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図4a
図4b
図4c
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図5a
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図8
【国際調査報告】