(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-15
(54)【発明の名称】シートレールアセンブリ
(51)【国際特許分類】
B60N 2/07 20060101AFI20231208BHJP
【FI】
B60N2/07
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525138
(86)(22)【出願日】2021-11-01
(85)【翻訳文提出日】2022-03-30
(86)【国際出願番号】 IB2021000755
(87)【国際公開番号】W WO2022090805
(87)【国際公開日】2022-05-05
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シムズ、アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンデンヒード、ディーン
(72)【発明者】
【氏名】シュランド、ジャスティン
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087AA02
3B087BA02
3B087BB03
3B087BC17
(57)【要約】
本開示によれば、車両フロアに対して1以上の車両シートの位置を安定して保持することができるシートレールアセンブリが提供される。本開示のシートレールアセンブリは、シートが取り付けられる上側レールと、車両フロアに取り付けられる下側レールとを備える。上側レールは、下側レール内に摺動可能に設けられ、係合アセンブリと二重楔係合アセンブリを組み込んで、下側レールと上側レールとの間の持続的な接触を確実にする。また、上側レールを下側レールに対して移動させるために、がたつきを除去するように構成されたギアボックスを、上側レールに設けてもよい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの車両シートを取り付けるためのシートレールアセンブリであって、
車両フロアに取り付けられるように構成された下側レールであって、摺動空間を画定する、該下側レールと、
その上に取り付けられる少なくとも1つの車両シートを支持するように構成された上側レールであって、その少なくとも一部が前記下側レールの前記摺動空間内に設けられ、かつ、前記下側レールに対して第1の方向または前記第1の方向と反対の第2の方向に摺動可能である、該上側レールと、
前記下側レールの前記摺動空間内に設けられる係合アセンブリであって、前記下側レールに対する前記上側レールの移動に応じて互いに独立して移動するように構成された下側係合部材及び上側係合部材を含み、前記下側係合部材は前記上側レール上に摺動可能に設けられ、かつ、前記上側係合部材は前記下側係合部材上に第1の位置と第2の位置との間で摺動可能に設けられた、該係合アセンブリと、を備え、
前記下側係合部材は、前記第1の方向に付勢され、
前記上側係合部材は、前記第1の位置に向けて前記第2の方向に付勢され、
前記上側レールが前記下側レールに対して前記第1の方向または前記第2の方向に摺動するとき、前記上側係合部材は前記下側レールとの接触を維持し、前記下側係合部材は前記上側レールとの接触を維持する、シートレールアセンブリ。
【請求項2】
前記上側係合部材の表面が、前記下側レールの表面との接触を維持し、
前記下側係合部材の表面が、前記上側レールの表面との接触を維持する、請求項1に記載のシートレールアセンブリ。
【請求項3】
前記上側レールの前記表面は、傾斜面であり、
前記下側係合部材は、前記傾斜面上に摺動可能に設けられる、請求項2に記載のシートレールアセンブリ。
【請求項4】
前記上側係合部材の前記表面は、前記上側係合部材の側面であり、
前記下側係合部材の前記表面は、前記下側係合部材の側面である、請求項2に記載のシートレールアセンブリ。
【請求項5】
前記上側係合部材の前記表面は、前記上側係合部材の上面であり、
前記下側係合部材の前記表面は、前記下側係合部材の下面である、請求項2に記載のシートレールアセンブリ。
【請求項6】
前記下側レールの前記表面は、前記下側レールの内面であり、
前記上側レールの前記表面は、前記上側レールの外面である、請求項2に記載のシートレールアセンブリ。
【請求項7】
前記下側レールの前記表面は、前記下側レールの外面であり、
前記上側レールの前記表面は、前記上側レールの内面である、請求項2に記載のシートレールアセンブリ。
【請求項8】
前記上側係合部材の前記上面は、前記下側レールの内面との接触を維持し、
前記下側係合部材の前記下面は、前記上側レールの表面との接触を維持する、請求項5に記載のシートレールアセンブリ。
【請求項9】
前記下側係合部材上にトラックが形成され、
前記上側係合部材は、前記下側係合部材上を摺動するときに前記トラックと係合するように構成される、請求項1に記載のシートレールアセンブリ。
【請求項14】
前記引張りばねの第1の端部が前記上側レールに取り付けられ、
前記引張りばねの第2の端部が前記下側係合部材に取り付けられる、請求項13に記載のシートレールアセンブリ。
【請求項16】
前記ねじりばねの第1の端部が前記上側係合部材に取り付けられ、
前記ねじりばねの第2の端部が前記下側係合部材に取り付けられる、請求項15に記載のシートレールアセンブリ。
【請求項20】
前記上側レールは、第1の端部と、前記第1の端部の反対側の第2の端部とを有し、
前記係合アセンブリは、第1の係合アセンブリと第2の係合アセンブリとを含み、
前記第1の係合アセンブリは、前記下側レールの前記摺動空間内に前記上側レールの前記第1の端部に近接して設けられ、
前記第2の係合アセンブリは、前記下側レールの前記摺動空間内に前記上側レールの前記第2の端部に近接して設けられ、
前記第1の係合アセンブリの前記下側係合部材は、前記上側レールの第1の表面との接触を維持し、
前記第2の係合アセンブリの前記下側係合部材は、前記上側レールの第2の表面との接触を維持する、請求項1に記載のシートレール。
【請求項21】
前記上側レールの第1の面は、第1の傾斜面であり、
前記上側レールの第2の面は、第2の傾斜面であり、
前記第1の係合アセンブリの前記下側係合部材は、前記上側レールの前記第1の傾斜面上に摺動可能に設けられ、
前記第2の係合アセンブリの前記下側係合部材は、前記上側レールの前記第2の傾斜面上に摺動可能に設けられる、請求項20に記載のシートレールアセンブリ。
【請求項28】
少なくとも1つの追加の上側レールであって、その少なくとも一部が前記下側レールの前記摺動空間内に設けられ、かつ、前記下側レールに対して前記第1の方向または前記第1の方向と反対の前記第2の方向に摺動可能である、該少なくとも1つの追加の上側レールをさらに備え、
前記少なくとも1つの追加の上側レールは、
前記下側レールの前記摺動空間内に設けられた第2の係合アセンブリであって、前記下側レールに対する前記少なくとも1つの追加の上側レールの移動に応じて互いに独立して移動するように構成された第2の下側係合部材及び第2の上側係合部材を含み、前記第2の下側係合部材は、前記少なくとも1つの追加の上側レール上に摺動可能に設けられ、かつ、前記第2の上側係合部材は、前記第2の下側係合部材上に第1の位置と第2の位置との間で摺動可能に設けられた、該第2の係合アセンブリを備え、
前記第2の下側係合部材は、前記第1の方向に付勢され、
前記第2の上側係合部材は、前記第1の位置に向けて前記第2の方向に付勢され、
前記少なくとも追加の上側レールが前記下側レールに対して前記第1の方向または前記第2の方向に摺動するとき、前記第2の上側係合部材は前記下側レールとの接触を維持し、前記第2の下側係合部材は前記少なくとも1つの追加の上側レールとの接触を維持する、請求項1に記載のシートレールアセンブリ。
【請求項29】
レールアセンブリであって、
第1の構造体に取り付けられるように構成された第1のレールであって、摺動空間を画定する、該第1のレールと、
その上に取り付けられる第2の構造体を支持し、かつ、前記第1の構造体に対して移動可能であるように構成された第2のレールであって、その少なくとも一部が前記第1のレールの前記摺動空間内に設けられ、かつ、前記第1のレールに対して第1の方向または前記第1の方向と反対の第2の方向に摺動可能である、該第2のレールと、
前記第1のレールと前記第2のレールとの間に設けられた係合アセンブリであって、前記第1のレールに対する前記第2のレールの移動に応じて互いに独立して移動するように構成された第1の面及び第2の面を含み、前記第1の面は、前記第2のレールの摺動面上に摺動可能に設けられ、かつ、前記第2の面は、前記第1の面上に第1の位置と第2の位置との間で摺動可能に設けられた、該係合アセンブリと、を備え、
前記係合アセンブリの前記第1の面は、前記第1の方向に付勢され、
前記係合アセンブリの前記第2の面は、前記第1の位置に向けて前記第2の方向に付勢され、
前記第2のレールが前記第1のレールに対して摺動するとき、前記係合アセンブリの前記第2の面は、前記第1のレールの内面との接触を維持し、前記係合アセンブリの前記第1の面は、前記第2のレールの前記摺動面との接触を維持し、
前記係合アセンブリの前記第2の面と前記係合アセンブリの前記第1の面との間で測定される前記係合アセンブリの高さは、前記係合アセンブリの前記第2の面が前記第1の位置に位置するときに最大となる、レールアセンブリ。
【請求項30】
前記第2のレールの前記摺動面は、傾斜面であり、
前記係合アセンブリの前記第1の面は、前記傾斜面上に摺動可能に設けられる、請求項29に記載のレールアセンブリ。
【請求項31】
前記係合アセンブリは、第1の係合部材と第2の係合部材とをさらに含み、
前記係合アセンブリの前記第1の面は、前記第1の係合部材の表面であり、
前記係合アセンブリの前記第2の面は、前記第2の係合部材の表面である、請求項29に記載のレールアセンブリ。
【請求項32】
車両シートを車両フロアに取り付けるためのシートレールアセンブリであって、
車両フロアに取り付けられるように構成された第1のレールであって、摺動空間を画定する、該第1のレールと、
その上に取り付けられる少なくとも1つの車両シートを支持するように構成された第2のレールであって、その少なくとも一部が前記第1のレールの前記摺動空間内に設けられ、前記第1のレールに対して第1の方向または前記第1の方向と反対の第2の方向に摺動可能であり、かつ、前記第1の方向に対応する第1の端部及び前記第2の方向に対応する第2の端部を有する、該第2のレールと、
前記第1のレールと前記第2のレールとの間に設けられた第1の係合アセンブリ及び第2の係合アセンブリであって、前記第1の係合アセンブリは、前記第2のレールの前記第1の端部に近接して配置され、前記第2の係合アセンブリは、前記第2のレールの前記第2の端部に近接して配置され、前記第1の係合アセンブリ及び前記第2の係合アセンブリの各々は、前記第1のレールに対する前記第2のレールの移動に応じて互いに独立して移動するように構成された第1の係合部材及び第2の係合部材を含み、前記第1の係合部材は、前記第2のレール上に摺動可能に設けられ、前記第2の係合部材は、前記第1のレール上に第1の位置と第2の位置との間で摺動可能に設けられた、該第1の係合アセンブリ及び第2の係合アセンブリと、を備え、
前記第2のレールが前記第1のレールに対して摺動するとき、前記第2の係合部材は前記第1のレールとの接触を維持し、前記第1の係合部材は前記第2のレールとの接触を維持する、シートレールアセンブリ。
【請求項33】
前記第1の係合アセンブリの前記第1の係合部材は、前記第1の方向に付勢され、
前記第1の係合アセンブリの前記第2の係合部材は、前記第1の位置に向けて前記第2の方向に付勢され、
前記第2の係合アセンブリの前記第1の係合部材は、前記第2の方向に付勢され、
前記第2の係合アセンブリの前記第2の係合部材は、前記第1の位置に向けて前記第1の方向に付勢される、請求項32に記載のシート摺動アセンブリ。
【請求項34】
前記第1の係合アセンブリの前記第1の係合部材は、前記第1の方向に付勢され、
前記第1の係合アセンブリの前記第2の係合部材は、前記第1の位置に向けて前記第2の方向に付勢され、
前記第2の係合アセンブリの前記第1の係合部材は、前記第1の方向に付勢され、
前記第2の係合アセンブリの前記第2の係合部材は、前記第1の位置に向けて前記第2の方向に付勢される、請求項32に記載のシート摺動アセンブリ。
【請求項35】
車両シートを車両フロアに取り付けるための取付アセンブリであって、
第1シートレールアセンブリと、第2シートレールアセンブリと、を備え、
前記第1シートレールアセンブリ及び前記第2シートレールアセンブリの各々は、請求項32に記載のシートレールアセンブリである、取付アセンブリ。
【請求項36】
車両用シートレールアセンブリを組み立てる方法であって、
摺動面を有する第1のレールを用意するステップであって、前記第1のレールは、第1の端部と前記第1の端部の反対側の第2の端部とを有する、該ステップと、
前記第1のレールの前記摺動面上に第1の係合部材を配置するステップであって、前記第1の係合部材は、前記第1のレールの前記摺動面に当接し、かつ前記摺動面上を摺動可能な第1の面を有する、該ステップと、
前記第1の係合部材が前記第1のレールの前記第1の端部に向けて付勢されるように、第1のばねで前記第1の係合部材を前記第1のレールに連結するステップと、
前記第1の係合部材の第2の面上に第2の係合部材を配置するステップであって、前記第2の係合部材は、前記第1の係合部材の前記第2の面に当接し、かつ前記第2の面上を摺動可能な第1の面を有する、該ステップと、
前記第2の係合部材が前記第1のレールの前記第2の端部に向けて付勢されるように、第2のばねで前記第2の係合部材を前記第1の係合部材または前記第1のレールに連結するステップと、を含む、方法。
【請求項37】
前記第1のレールを第2のレールに取り付けるステップをさらに含み、
前記第2のレールは、摺動面を有し、
前記第2の係合部材は、前記第2のレールの前記摺動面に当接し、かつ前記摺動面上を摺動可能な第2の面を有する、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
シートレールアセンブリを組み立てる方法であって、
摺動空間を画定する下側レールを用意するステップと、
前記下側レールの前記摺動空間内に上側レールの少なくとも一部を第1の方向または前記第1の方向と反対の第2の方向に摺動可能に配置するステップと、
前記下側レールと前記上側レールとの間に係合アセンブリを設置するステップであって、前記係合アセンブリは、前記下側レールに対する前記上側レールの移動に応じて互いに独立して移動するように構成された下側係合部材及び上側係合部材を含み、前記下側係合部材は前記上側レール上に摺動可能に設けられ、前記上側係合部材は前記下側係合部材上に第1の位置と第2の位置との間で摺動可能に設けられ、前記下側係合部材は前記第1の方向に付勢され、前記上側係合部材は前記第1の位置に向けて前記第2の方向に付勢され、前記上側レールが前記下側レールに対して前記第1の方向または前記第2の方向に摺動するとき、前記上側係合部材は前記下側レールとの接触を維持し、前記下側係合部材は前記上側レールとの接触を維持する、該ステップと、
を含む、方法。
【請求項42】
前記上側係合部材の上面が、前記下側レールの内面との接触を維持し、
前記下側係合部材の下面が、前記上側レールの表面との接触を維持する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記上側レールの前記表面は、傾斜面であり、
前記下側係合部材は、前記傾斜面上に摺動可能に設けられる、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
シートレールアセンブリであって、
長手方向に間隔を置いて設けられたスロットを有する第1のレールと、
ギアボックスを有する第2のレールと、を備え、
前記ギアボックスは、
第1の回転方向または第2の回転方向に回転可能な少なくとも1つの駆動スクリューであって、前記第1のレールの前記長手方向に間隔を置いて設けられた前記スロットと係合するように構成されたシャフト及びねじ部を有する、該駆動スクリューと、
前記駆動スクリューの前記シャフトに設けられ、前記第1のレールの前記長手方向に間隔を置いて設けられた前記スロットと係合するように構成されたローブであって、前記駆動スクリューの前記ねじ部に対して自由に回転可能である、該ローブと、
前記ローブを前記第1の回転方向に付勢するように構成されたローブばねと、を含む、シートレールアセンブリ。
【請求項51】
前記ローブは、ねじ部を有し、
前記ローブの前記ねじ部と前記駆動スクリューの前記ねじ部とが、互いに等しいピッチを有する、請求項46に記載のシートレールアセンブリ。
【請求項55】
前記第2のレールは、第2のギアボックスを含み、
前記第2のギアボックスは、
第1の回転方向にまたは第2の回転方向に回転可能な少なくとも1つの駆動スクリューであって、前記第1のレールの前記長手方向に間隔を置いて設けられた前記スロットと係合するように構成されたシャフト及びねじ部を有する、該少なくとも1つの駆動スクリューと、
前記駆動スクリューの前記シャフトに設けられ、前記第1のレールの前記長手方向に間隔を置いて設けられた前記スロットと係合するように構成されたローブであって、前記駆動スクリューの前記ねじ部に対して自由に回転可能である、該ローブと、
前記ローブを前記第1の回転方向に付勢するように構成されたローブばねと、を含む、請求項46に記載のシートレールアセンブリ。
【請求項59】
前記ローブは、前記駆動スクリューの前記シャフトを受容するボアを有し、
前記駆動スクリューの前記シャフトは、平坦なフィーチャを含み、
前記ローブの前記ボアには、一対の角度の付いた平坦面が形成されており、
前記ローブは、前記一対の角度の付いた平坦面のうちの第1の平坦面が前記平坦なフィーチャに当接する第1の位置と、前記一対の角度の付いた平坦面のうちの第2の平坦面が前記平坦なフィーチャに当接する第2の位置との間で、前記シャフトに対して回転可能である、請求項46に記載のシートレールアセンブリ。
【請求項60】
レールアセンブリ用のギアボックスであって、
第1の回転方向または第2の回転方向に回転可能な少なくとも1つの駆動スクリューであって、レールの長手方向に間隔を置いて設けられたスロットと係合するように構成されたシャフト及びねじ部を有する、該駆動スクリューと、
前記駆動スクリューの前記シャフトに設けられ、前記レールの前記長手方向に間隔を置いて設けられた前記スロットと係合するように構成されたローブであって、前記駆動スクリューの前記ねじ部に対して自由に回転可能である、該ローブと、
前記ローブを前記第1の回転方向に付勢するように構成されたローブばねと、を含む、ギアボックス。
【請求項65】
前記ローブはねじ部を有し、
前記ローブの前記ねじ部と前記駆動スクリューの前記ねじ部とが、互いに等しいピッチを有する、請求項60に記載のギアボックス。
【請求項66】
前記ローブは、前記駆動スクリューの前記シャフトを受容するボアを有し、
前記駆動スクリューの前記シャフトは、平坦なフィーチャを含み、
前記ローブの前記ボアには、一対の角度の付いた平坦面が形成されており、
前記ローブは、前記一対の角度の付いた平坦面のうちの第1の平坦面が前記平坦なフィーチャに当接する第1の位置と、前記一対の角度の付いた平坦面のうちの第2の平坦面が前記平坦なフィーチャに当接する第2の位置との間で、前記シャフトに対して回転可能である、請求項60に記載のギアボックス。
【請求項70】
車両シートを車両フロアに取り付けるためのシートレールアセンブリであって、
車両フロアに取り付けられるように構成された第1のレールであって、長手方向に間隔を置いて設けられたスロットを有し、かつ、摺動空間を画定する、該第1のレールと、
その上に取り付けられる少なくとも1つの車両シートを支持するように構成された第2のレールであって、その少なくとも一部が前記第1のレールの前記摺動空間内に設けられ、かつ、前記第1のレールに対して第1の方向または前記第1の方向と反対の第2の方向に摺動可能である、該第2のレールと、
前記第2のレールに設けられるギアボックスであって、
第1の回転方向または第2の回転方向に回転可能な少なくとも1つの駆動スクリューであって、前記第1のレールの前記長手方向に間隔を置いて設けられた前記スロットと係合するように構成されたシャフト及びねじ部を有する、該駆動スクリューと、
前記駆動スクリューの前記シャフトに設けられ、前記第1のレールの前記長手方向に間隔を置いて設けられた前記スロットと係合するように構成されたローブであって、前記駆動スクリューの前記ねじ部に対して自由に回転可能である、該ローブと、
前記ローブを前記第1の回転方向に付勢するように構成されたローブばねと、を含む、該ギアボックスと、
前記第1のレールの前記摺動空間内に設けられる係合アセンブリであって、前記第1のレールに対する前記第2のレールの移動に応じて互いに独立して移動するように構成された第1の係合部材及び第2の係合部材を含み、前記第1の係合部材は前記第2のレール上に摺動可能に設けられ、前記第2の係合部材は前記第1の係合部材上に第1の位置と第2の位置との間で摺動可能に設けられた、該係合アセンブリと、を備え、
前記第1の係合部材は、前記第1の方向に付勢され、
前記第2の係合部材は、前記第1の位置に向けて前記第2の方向に付勢され、
前記ギアボックスの作動に応答して前記第2のレールが前記第1のレールに対して摺動するとき、前記第2の係合部材は前記第1のレールとの接触を維持し、前記第1の係合部材は前記第2のレールとの接触を維持する、シートレールアセンブリ。
【請求項74】
車両シートを車両フロアに取り付けるためのシートレールアセンブリであって、
車両フロアに取り付けられるように構成された第1のレールであって、摺動スペースを画定する、該第1のレールと、
その上に取り付けられる車両シートを支持するように構成された第2のレールであって、その少なくとも一部が前記第1のレールの前記摺動空間内に設けられ、かつ、前記第1のレールに対して第1の方向または前記第1の方向と反対の第2の方向に摺動可能である、該第2のレールと、
前記第1のレールと前記第2のレールとの間に設けられた係合アセンブリであって、前記第2のレールの傾斜面上に摺動可能に設けられた、該係合アセンブリと、
前記係合アセンブリが前記第2のレールの前記傾斜面に沿って第1の位置に向けて付勢されるように、前記係合アセンブリを前記第2のレールに連結する線形付勢部材と、を備え、
前記第2のレールが前記第1のレールに対して摺動するとき、前記係合アセンブリは、前記第1のレールの内面及び前記第2のレールの前記傾斜面の両方との接触を維持する、シートレールアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年10月30日出願の米国特許仮出願第63/107、811号、2020年10月30日出願の米国特許仮出願第63/107、822号、及び2020年10月30日出願の米国特許仮出願第63/107、840号に基づく優先権を主張するものである。上記の全ての出願の開示内容の全体は、参照により本明細書中に援用される。
【背景技術】
【0002】
シートレールアセンブリは、乗客用シートを車両フロアに移動可能に取り付けるために車両に組み込まれる。シートレールアセンブリは、一般的に、車両フロアに取り付けられる下側レールと、乗客用シートが取り付けられる上側レールとを含む。上側レールは、乗客用シートが前後にスライドすることができるように、下側レールにスライド可能に連結されている。しかしながら、車両の走行により、振動がシートレールアセンブリに伝達され、これによって、下側レールと上側レールとの間でがたつきが生じることがある。さらに、下側レール及び上側レールの製造時に、特に、長いレールを製造する場合には、レールの長さに沿って高さのばらつきや凹凸が生じることがある。このような高さのばらつきや凹凸が存在すると、既存のアセンブリでは、下側レールと上側レールとの間の持続的な接触を維持することは困難であり、これによっても、がたつきが生じることがある。このようながたつきは望ましいものではなく、さらには、許容できない性能となる可能性もある。
【0003】
このようながたつきを抑制するために、既存のシートレールアセンブリに、上側レールを下側レールに連結するスライダアセンブリが組み込まれている場合がある。しかしながら、既存のスライダアセンブリは、前方向及び/または後方向にスライド(摺動)するときに、摺動抵抗が大きすぎたり、摺動抵抗が小さすぎたり、または摺動抵抗が不均一になることがある。既存のスライダアセンブリは、適切な摺動抵抗を達成するために、下側レールと上側レールとの間で持続的な接触を維持しないため、望ましくないがたつきが発生することがある。したがって、改良されたシートスライドアセンブリが求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示によれば、車両シートを取り付けるためのシートレールアセンブリが提供される。一実施形態では、本開示のシートレールアセンブリは、車両フロアに取り付けられるように構成された下側レールであって、摺動空間を画定する、該下側レールと、その上に取り付けられる少なくとも1つの車両シートを支持するように構成された上側レールであって、その少なくとも一部が下側レールの摺動空間内に設けられ、かつ、下側レールに対して第1の方向または第1の方向と反対の第2の方向に摺動可能である、該上側レールと、下側レールの摺動空間内に設けられる係合アセンブリであって、下側レールに対する上側レールの移動に応じて互いに独立して移動するように構成された下側係合部材及び上側係合部材を含み、下側係合部材は上側レール上に摺動可能に設けられ、かつ、上側係合部材は下側係合部材上に第1の位置と第2の位置との間で摺動可能に設けられた、該係合アセンブリと、を備え、下側係合部材は、第1の方向に付勢され、上側係合部材は、第1の位置に向けて第2の方向に付勢され、上側レールが下側レールに対して第1の方向または第2の方向に摺動するとき、上側係合部材は下側レールとの接触を維持し、下側係合部材は上側レールとの接触を維持する。
【0005】
さらなる実施形態では、上側係合部材の表面が、下側レールの表面との接触を維持し、下側係合部材の表面が、上側レールの表面との接触を維持する。さらなる実施形態では、上側レールの表面は、傾斜面であり、下側係合部材は、傾斜面上に摺動可能に設けられる。他の実施形態では、上側係合部材の表面は、上側係合部材の側面であり、下側係合部材の表面は、下側係合部材の側面である。他の実施形態では、上側係合部材の表面は、上側係合部材の上面であり、下側係合部材の表面は、下側係合部材の下面である。他の実施形態では、下側レールの表面は、下側レールの内面であり、上側レールの表面は、上側レールの外面である。他の実施形態では、下側レールの表面は、下側レールの外面であり、上側レールの表面は、上側レールの内面である。さらなる実施形態では、上側係合部材の上面は、下側レールの内面との接触を維持し、下側係合部材の下面は、上側レールの表面との接触を維持する。いくつかの実施形態では、下側係合部材上にトラックが形成され、上側係合部材は、下側係合部材上を摺動するときにトラックと係合するように構成される。さらなる実施形態では、トラックは、上側レールの傾斜面の勾配とは反対符号の勾配を有する。さらなる実施形態では、トラックの勾配と、上側レールの傾斜面の勾配とは、互いに同一の大きさである。いくつかの実施形態では、上側係合部材の上面と下側係合部材の下面との間で測定される係合アセンブリの高さは、上側係合部材が第1の位置に位置するときに最大となる。いくつかの実施形態では、下側係合部材は、引張りばねによって第1の方向に付勢される。さらなる実施形態では、引張りばねの第1の端部が上側レールに取り付けられ、引張りばねの第2の端部が下側係合部材に取り付けられる。いくつかの実施形態では、上側係合部材は、ねじりばねによって第2の方向に付勢される。さらなる実施形態では、ねじりばねの第1の端部が上側係合部材に取り付けられ、ねじりばねの第2の端部が下側係合部材に取り付けられる。さらなる実施形態では、ねじりばねは、上側係合部材が、下側係合部材上で第2の位置を越えて移動するのを阻止する。いくつかの実施形態では、下側係合部材は、上側係合部材が、下側係合部材上で第2の位置を越えて移動するのを阻止するストッパを含む。いくつかの実施形態では、下側係合部材は、上側係合部材が、下側係合部材上で第1の位置を越えて移動するのを阻止するストッパを含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、上側レールは、第1の端部と、第1の端部の反対側の第2の端部とを有し、係合アセンブリは、第1の係合アセンブリと第2の係合アセンブリとを含み、第1の係合アセンブリは、下側レールの摺動空間内に上側レールの第1の端部に近接して設けられ、第2の係合アセンブリは、下側レールの摺動空間内に上側レールの第2の端部に近接して設けられ、第1の係合アセンブリの下側係合部材は、上側レールの第1の表面との接触を維持し、第2の係合アセンブリの下側係合部材は、上側レールの第2の表面との接触を維持する。さらなる実施形態では、上側レールの第1の面は、第1の傾斜面であり、上側レールの第2の面は、第2の傾斜面であり、第1の係合アセンブリの下側係合部材は、上側レールの第1の傾斜面上に摺動可能に設けられ、第2の係合アセンブリの下側係合部材は、上側レールの第2の傾斜面上に摺動可能に設けられる。いくつかの実施形態では、第1の傾斜面は、第2の傾斜面の勾配とは反対符号の勾配を有する。さらなる実施形態では、第1の傾斜面の勾配と、第2の傾斜面の勾配とは、互いに同一の大きさである。
【0007】
いくつかの実施形態では、シートレールアセンブリは、上側レールと下側レールとの横方向の相対的な変位を制御するための横方向変位制御機構をさらに備える。いくつかの実施形態では、横方向変位制御機構は、上側レールによって支持される。さらなる実施形態では、横方向変位制御機構は、上側レール及び下側レールの両方との接触を維持する。いくつかの実施形態では、横方向変位制御機構は、下側レールに当接する1以上のリブを有する。
【0008】
また、本開示によれば、レールアセンブリであって、第1の構造体に取り付けられるように構成された第1のレールであって、摺動空間を画定する、該第1のレールと、その上に取り付けられる第2の構造体を支持し、かつ、第1の構造体に対して移動可能であるように構成された第2のレールであって、その少なくとも一部が第1のレールの摺動空間内に設けられ、かつ、第1のレールに対して第1の方向または第1の方向と反対の第2の方向に摺動可能である、該第2のレールと、第1のレールと第2のレールとの間に設けられた係合アセンブリであって、第1のレールに対する第2のレールの移動に応じて互いに独立して移動するように構成された第1の面及び第2の面を含み、第1の面は、第2のレールの摺動面上に摺動可能に設けられ、かつ、第2の面は、第1の面上に第1の位置と第2の位置との間で摺動可能に設けられた、該係合アセンブリと、を備え、係合アセンブリの第1の面は、第1の方向に付勢され、係合アセンブリの第2の面は、第1の位置に向けて第2の方向に付勢され、第2のレールが第1のレールに対して摺動するとき、係合アセンブリの第2の面は、第1のレールの内面との接触を維持し、係合アセンブリの第1の面は、第2のレールの摺動面との接触を維持し、係合アセンブリの第2の面と係合アセンブリの第1の面との間で測定される係合アセンブリの高さは、係合アセンブリの第2の面が第1の位置に位置するときに最大となる、レールアセンブリが提供される。いくつかの実施形態では、第2のレールの摺動面は、傾斜面であり、係合アセンブリの第1の面は、傾斜面上に摺動可能に設けられる。いくつかの実施形態では、係合アセンブリは、第1の係合部材と第2の係合部材とをさらに含み、係合アセンブリの第1の面は、第1の係合部材の表面であり、係合アセンブリの第2の面は、第2の係合部材の表面である。
【0009】
また、本開示によれば、車両シートを車両フロアに取り付けるためのシートレールアセンブリであって、車両フロアに取り付けられるように構成された第1のレールであって、摺動空間を画定する、該第1のレールと、その上に取り付けられる少なくとも1つの車両シートを支持するように構成された第2のレールであって、その少なくとも一部が第1のレールの摺動空間内に設けられ、第1のレールに対して第1の方向または第1の方向と反対の第2の方向に摺動可能であり、かつ、第1の方向に対応する第1の端部及び第2の方向に対応する第2の端部を有する、該第2のレールと、第1のレールと第2のレールとの間に設けられた第1の係合アセンブリ及び第2の係合アセンブリであって、第1の係合アセンブリは、第2のレールの第1の端部に近接して配置され、第2の係合アセンブリは、第2のレールの第2の端部に近接して配置され、第1の係合アセンブリ及び第2の係合アセンブリの各々は、第1のレールに対する第2のレールの移動に応じて互いに独立して移動するように構成された第1の係合部材及び第2の係合部材を含み、第1の係合部材は、第2のレール上に摺動可能に設けられ、第2の係合部材は、第1のレール上に第1の位置と第2の位置との間で摺動可能に設けられた、該第1の係合アセンブリ及び第2の係合アセンブリと、を備え、第2のレールが第1のレールに対して摺動するとき、第2の係合部材は第1のレールとの接触を維持し、第1の係合部材は第2のレールとの接触を維持する、シートレールアセンブリが提供される。いくつかの実施形態では、第1の係合アセンブリの第1の係合部材は、第1の方向に付勢され、第1の係合アセンブリの第2の係合部材は、第1の位置に向けて第2の方向に付勢され、第2の係合アセンブリの第1の係合部材は、第2の方向に付勢され、第2の係合アセンブリの第2の係合部材は、第1の位置に向けて第1の方向に付勢される。いくつかの実施形態では、第1の係合アセンブリの第1の係合部材は、第1の方向に付勢され、第1の係合アセンブリの第2の係合部材は、第1の位置に向けて第2の方向に付勢され、第2の係合アセンブリの第1の係合部材は、第1の方向に付勢され、第2の係合アセンブリの第2の係合部材は、第1の位置に向けて第2の方向に付勢される。
【0010】
また、本開示によれば、車両シートを車両フロアに取り付けるための取付アセンブリが提供される。このような実施形態では、取付アセンブリは、第1シートレールアセンブリと、第2シートレールアセンブリと、を備え、第1シートレールアセンブリ及び第2シートレールアセンブリの各々は、上記したシートレールアセンブリである。
【0011】
また、本開示によれば、車両用シートレールアセンブリを組み立てる方法が提供される。本開示の方法は、摺動面を有する第1のレールを用意するステップであって、第1のレールは、第1の端部と第1の端部の反対側の第2の端部とを有する、該ステップと、第1のレールの摺動面上に第1の係合部材を配置するステップであって、第1の係合部材は、第1のレールの摺動面に当接し、かつ摺動面上を摺動可能な第1の面を有する、該ステップと、第1の係合部材が第1のレールの第1の端部に向けて付勢されるように、第1のばねで第1の係合部材を第1のレールに連結するステップと、第1の係合部材の第2の面上に第2の係合部材を配置するステップであって、第2の係合部材は、第1の係合部材の第2の面に当接し、かつ第2の面上を摺動可能な第1の面を有する、該ステップと、第2の係合部材が第1のレールの第2の端部に向けて付勢されるように、第2のばねで第2の係合部材を第1の係合部材または第1のレールに連結するステップと、を含む。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、第1のレールを第2のレールに取り付けるステップをさらに含み、第2のレールは、摺動面を有し、第2の係合部材は、第2のレールの摺動面に当接し、かつ摺動面上を摺動可能な第2の面を有する。さらなる実施形態では、第1のレールが第2のレールに対して第1の方向または第1の方向の反対の第2の方向に摺動するとき、第2の係合部材は第2のレールとの接触を維持し、第1の係合部材は第1のレールとの接触を維持する。さらなる実施形態では、本開示の方法は、第2のレールを車両フロアに取り付けるステップをさらに含む。さらなる実施形態では、本開示の方法は、第1のレールに少なくとも1つの車両シートを取り付けるステップをさらに含む。
【0012】
また、本開示によれば、車両用シートレールアセンブリを組み立てる方法が提供される。本開示の方法は、摺動空間を画定する下側レールを用意するステップと、下側レールの摺動空間内に上側レールの少なくとも一部を第1の方向または第1の方向と反対の第2の方向に摺動可能に配置するステップと、下側レールと上側レールとの間に係合アセンブリを設置するステップであって、係合アセンブリは、下側レールに対する上側レールの移動に応じて互いに独立して移動するように構成された下側係合部材及び上側係合部材を含み、下側係合部材は上側レール上に摺動可能に設けられ、上側係合部材は下側係合部材上に第1の位置と第2の位置との間で摺動可能に設けられ、下側係合部材は第1の方向に付勢され、上側係合部材は第1の位置に向けて第2の方向に付勢され、上側レールが下側レールに対して第1の方向または第2の方向に摺動するとき、上側係合部材は下側レールとの接触を維持し、下側係合部材は上側レールとの接触を維持する、該ステップと、を含む。いくつかの実施形態では、上側係合部材の上面が、下側レールの内面との接触を維持し、下側係合部材の下面が、上側レールの表面との接触を維持する。さらなる実施形態では、上側レールの表面は、傾斜面であり、下側係合部材は、傾斜面上に摺動可能に設けられる。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、下側レールを車両フロアに取り付けるステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、上側レールに少なくとも1つの車両シートを取り付けるステップをさらに含む。
【0013】
また、本開示によれば、シートレールアセンブリであって、長手方向に間隔を置いて設けられたスロットを有する第1のレールと、ギアボックスを有する第2のレールと、を備えるシートレールアセンブリが提供される。これらの実施形態では、ギアボックスは、第1の回転方向または第2の回転方向に回転可能な少なくとも1つの駆動スクリューであって、第1のレールの長手方向に間隔を置いて設けられたスロットと係合するように構成されたシャフト及びねじ部を有する、該駆動スクリューと、駆動スクリューのシャフトに設けられ、第1のレールの長手方向に間隔を置いて設けられたスロットと係合するように構成されたローブであって、駆動スクリューのねじ部に対して自由に回転可能である、該ローブと、ローブを第1の回転方向に付勢するように構成されたローブばねと、を含む。いくつかの実施形態では、第1のレールは、長手方向に間隔を置いて設けられたスロット間に摺動空間を画定する。さらなる実施形態では、第2のレールは、その少なくとも一部が、第1のレールの摺動空間内に設けられる。いくつかの実施形態では、ローブは、シャフトを中心とする回転範囲が制限されている。いくつかの実施形態では、ローブは、駆動スクリューのねじ部と連続するねじ部を有する。いくつかの実施形態では、ローブは、ねじ部を有し、ローブのねじ部と駆動スクリューのねじ部とが、互いに等しいピッチを有する。いくつかの実施形態では、ローブは、駆動スクリューのシャフトを受容するボアを有し、駆動スクリューのシャフトは、平坦なフィーチャを含み、ローブのボアには、一対の角度の付いた平坦面が形成されており、ローブは、一対の角度の付いた平坦面のうちの第1の平坦面が平坦なフィーチャに当接する第1の位置と、一対の角度の付いた平坦面のうちの第2の平坦面が平坦なフィーチャに当接する第2の位置との間で、シャフトに対して回転可能である。
【0014】
いくつかの実施形態では、第2のレールは、第2のギアボックスを含む。これらの実施形態では、第2のギアボックスは、第1の回転方向にまたは第2の回転方向に回転可能な少なくとも1つの駆動スクリューであって、第1のレールの長手方向に間隔を置いて設けられたスロットと係合するように構成されたシャフト及びねじ部を有する、該少なくとも1つの駆動スクリューと、駆動スクリューのシャフトに設けられ、第1のレールの長手方向に間隔を置いて設けられたスロットと係合するように構成されたローブであって、駆動スクリューのねじ部に対して自由に回転可能である、該ローブと、ローブを第1の回転方向に付勢するように構成されたローブばねと、を含む。
【0015】
また、本開示によれば、レールアセンブリ用のギアボックスが提供される。本開示のギアボックスは、第1の回転方向または第2の回転方向に回転可能な少なくとも1つの駆動スクリューであって、レールの長手方向に間隔を置いて設けられたスロットと係合するように構成されたシャフト及びねじ部を有する、該駆動スクリューと、駆動スクリューのシャフトに設けられ、レールの長手方向に間隔を置いて設けられたスロットと係合するように構成されたローブであって、駆動スクリューのねじ部に対して自由に回転可能である、該ローブと、ローブを第1の回転方向に付勢するように構成されたローブばねと、を含む。いくつかの実施形態では、レールは、長手方向に間隔を置いて設けられたスロット間に摺動空間を画定する。いくつかの実施形態では、ギアボックスは、その少なくとも一部が、レールの摺動空間内に設けられる。いくつかの実施形態では、ローブは、シャフトを中心とする回転範囲が制限されている。いくつかの実施形態では、ローブは、駆動スクリューのねじ部と連続するねじ部を有する。いくつかの実施形態では、ローブはねじ部を有し、ローブのねじ部と駆動スクリューのねじ部とが、互いに等しいピッチを有する。いくつかの実施形態では、ローブは、駆動スクリューのシャフトを受容するボアを有し、駆動スクリューのシャフトは、平坦なフィーチャを含み、ローブのボアには、一対の角度の付いた平坦面が形成されており、ローブは、一対の角度の付いた平坦面のうちの第1の平坦面が平坦なフィーチャに当接する第1の位置と、一対の角度の付いた平坦面のうちの第2の平坦面が平坦なフィーチャに当接する第2の位置との間で、シャフトに対して回転可能である。
【0016】
また、本開示によれば、車両シートを車両フロアに取り付けるためのシートレールアセンブリが提供される。本開示のシートレールアセンブリは、車両フロアに取り付けられるように構成された第1のレールであって、長手方向に間隔を置いて設けられたスロットを有し、かつ、摺動空間を画定する、該第1のレールと、その上に取り付けられる少なくとも1つの車両シートを支持するように構成された第2のレールであって、その少なくとも一部が第1のレールの摺動空間内に設けられ、かつ、第1のレールに対して第1の方向または第1の方向と反対の第2の方向に摺動可能である、該第2のレールと、第2のレールに設けられるギアボックスと、を備える。これらの実施形態では、ギアボックスは、第1の回転方向または第2の回転方向に回転可能な少なくとも1つの駆動スクリューであって、第1のレールの長手方向に間隔を置いて設けられたスロットと係合するように構成されたシャフト及びねじ部を有する、該駆動スクリューと、駆動スクリューのシャフトに設けられ、第1のレールの長手方向に間隔を置いて設けられたスロットと係合するように構成されたローブであって、駆動スクリューのねじ部に対して自由に回転可能である、該ローブと、ローブを第1の回転方向に付勢するように構成されたローブばねと、を含む。また、これらの実施形態では、本開示のシートレールアセンブリは、第1のレールの摺動空間内に設けられる係合アセンブリであって、第1のレールに対する第2のレールの移動に応じて互いに独立して移動するように構成された第1の係合部材及び第2の係合部材を含み、第1の係合部材は第2のレール上に摺動可能に設けられ、第2の係合部材は第1の係合部材上に第1の位置と第2の位置との間で摺動可能に設けられた、該係合アセンブリをさらに備え、第1の係合部材は、第1の方向に付勢され、第2の係合部材は、第1の位置に向けて第2の方向に付勢され、ギアボックスの作動に応答して第2のレールが第1のレールに対して摺動するとき、第2の係合部材は第1のレールとの接触を維持し、第1の係合部材は第2のレールとの接触を維持する。
【0017】
また、本開示によれば、車両シートを車両フロアに取り付けるためのシートレールアセンブリが提供される。本開示のシートレールアセンブリは、車両フロアに取り付けられるように構成された第1のレールであって、摺動スペースを画定する、該第1のレールと、その上に取り付けられる車両シートを支持するように構成された第2のレールであって、その少なくとも一部が第1のレールの摺動空間内に設けられ、かつ、第1のレールに対して第1の方向または第1の方向と反対の第2の方向に摺動可能である、該第2のレールと、第1のレールと第2のレールとの間に設けられた係合アセンブリであって、第2のレールの傾斜面上に摺動可能に設けられた、該係合アセンブリと、係合アセンブリが第2のレールの傾斜面に沿って第1の位置に向けて付勢されるように、係合アセンブリを第2のレールに連結する線形付勢部材と、を備え、第2のレールが第1のレールに対して摺動するとき、係合アセンブリは、第1のレールの内面及び第2のレールの傾斜面の両方との接触を維持する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下の図面は、本開示の特定の態様を説明するためのものであり、排他的な実施形態と見なすべきではない。本開示の主題は、本開示の範囲から逸脱することなく、形態及び機能においてかなりの修正、変更、組み合わせ、及び均等物が可能である。
【0019】
【
図1】本開示の1以上の実施形態による例示的なシートレールアセンブリの等角図である。
【
図2】
図1のシートレールアセンブリの断面端面図である。
【
図3】
図1のシートレールアセンブリの断面側面図である。
【
図4】
図1のシートレールアセンブリの断面上面図である。
【
図7A】例示的な動作を示す係合アセンブリの部分側面図である。
【
図7B】例示的な動作を示す係合アセンブリの部分側面図である。
【
図8A】係合アセンブリと上側レールとの相互作用の例を示す図である。
【
図8B】係合アセンブリと上側レールとの相互作用の例を示す図である。
【
図9A】下側係合部材と上側係合部材との相対移動の一例を示す図である。
【
図9B】下側係合部材と上側係合部材との相対移動の一例を示す図である。
【
図10A】係合アセンブリと上側レールとの別の例の相互作用を示す図である。
【
図10B】係合アセンブリと上側レールとの別の例の相互作用を示す図である。
【
図11A】いくつかの実施形態において下側レールと一体化される例示的な騒音低減用の横方向変位制御機構を示す図である。
【
図11B】いくつかの実施形態において下側レールと一体化される例示的な騒音低減用の横方向変位制御機構を示す図である。
【
図12】上側レールの端部における横方向変位制御機構の設置例を示す図である。
【
図17】1以上の別の実施形態による別のカム係合アセンブリを示す図である。
【
図20】本明細書に記載されるシートレールアセンブリを駆動するために使用可能なギアボックスを示す図である。
【
図22】ギアボックスの駆動系の動作例を示す図である。
【
図24A】シートレールアセンブリにおけるばね付勢を受けていないローブ(非能動的ローブ)の動作例を示す図である。
【
図24B】シートレールアセンブリにおけるばね付勢を受けたローブ(能動的ローブ)の動作例を示す図である。
【
図25】ローブの回転を制限するように構成された駆動スクリューの一例を示す図である。
【
図26A】システムのスロップを除去するためのギアボックスの駆動系の動作例を示す図である。
【
図26B】システムのスロップを除去するためのギアボックスの駆動系の動作例を示す図である。
【
図27A】システムのスロップを除去するためのギアボックスの駆動系の動作例を示す図である。
【
図27B】システムのスロップを除去するためのギアボックスの駆動系の動作例を示す図である。
【
図28A】本開示の1以上の実施形態による、ローブの一例を示す図である。
【
図28B】本開示の1以上の実施形態による、ローブの一例を示す図である。
【
図29】本明細書に記載されるシートレールアセンブリを駆動するために使用可能な別のギアボックスを示す図である。
【
図32】
図31のギアボックスの駆動系の動作例を示す図である。
【
図33】
図29のギアボックスの動作例を示す部分断面図である。
【
図34A】システムのスロップを除去するためのギアボックスの駆動系の動作例を示す図である。
【
図34B】システムのスロップを除去するためのギアボックスの駆動系の動作例を示す図である。
【
図35A】システムのスロップを除去するためのギアボックスの駆動系の動作例を示す図である。
【
図35B】システムのスロップを除去するためのギアボックスの駆動系の動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示は、シートレールアセンブリに関し、より詳細には、車両シートの位置を支持し、がたつきや望ましくない抵抗なしにシートの容易な操作を可能にするシートレールアセンブリに関する。
【0021】
図1は、本開示の1以上の実施形態による例示的なシートレールアセンブリ100の等角図である。
図2は、
図1のシートレールアセンブリ100の断面端面図である。
図3は、
図1のシートレールアセンブリ100の断面側面図である。
図4は、
図1のシートレールアセンブリ100の断面上面図である。シートレールアセンブリ100は、本開示の原理を具現化したシートレールアセンブリの一例にすぎない。本開示の範囲から逸脱することなく、シートレールアセンブリ100の様々な別の設計及び構成を用いてもよい。シートレールアセンブリ100は、少なくとも1つの車両シート(図示せず)を車両フロア(図示せず)上に、車両シートの車両フロアに対する移動を可能にする態様で支持する。また、2つ(またはそれ以上)のシートレールアセンブリ100を使用して、車両シートの左側及び右側(また、場合によっては、その中間領域)を支持してもよいことを理解されたい。簡略化のために、1つのシートレールアセンブリ100を図示して説明するが、本開示から逸脱することなく、任意の数のシートレールアセンブリ100を使用してもよいことを理解されたい。また、本シートレールアセンブリ100は、1つの車両シート(または複数の車両シート)の車両フロアへの取り付けに関して本明細書で説明されるが、シートレールアセンブリ100を使用して、車両シートを、天井や側壁等の車両の別の表面に取り付けてもよい。加えて、本発明の主題は、車両シートを車両表面に移動可能に取り付けるためのレールアセンブリとして開示されているが、シートレールアセンブリ100は、オットマン、テーブル、ベンチ、娯楽機器等の他の物体を車両表面に対して移動可能に取り付けるために使用してもよい。さらに、シートレールアセンブリ100は、自動車及び車両用途に使用されるものとして説明されるが、本発明の主題は、可動構成要素間のがたつきを抑制することが望ましい他の様々な非自動車用途に使用してもよい。そのようなすべての用途は、本開示の範囲内であると考えられる。
【0022】
シートレールアセンブリ100は、下側レール102と上側レール104とを備える。下側レール102は、上側レール104が摺動可能に設けられる内部キャビティまたは摺動空間106を画定する。上側レール104は、本明細書に記載されるような外部駆動源の有無にかかわらず、下側レール102に対して摺動することができる。したがって、上側レール104は、動力による動作または無動力の動作で、下側レール102に対して摺動可能である。このようにして、上側レール104は、矢印Xで示すように前後に移動(または摺動)することができるように、下側レール102上に摺動可能に設けられる(すなわち、上側レール104は、前方向またはその反対側の後方向に摺動することができる)。例えば、車両に設置した場合、下側レール102は、車両シートの前後方向であるX方向に延び、Y方向に幅を有する。本明細書で説明するように、下側レール102は、車両フロア上に取り付けられる(すなわち、所定の位置に配置または固定される)。同様に、本明細書で説明するように、車両シートは、上側レール104上に取り付けられる(すなわち、所定の位置に配置または固定される)。
【0023】
図5Aは、下側レール102の断面端面図である。
図5Bは、上側レール104の端部の部分斜視図である。下側レール102は、底板部分108と、底板部分108の左右両端から上方に延びる一対の外板部分110と、左右の外板部分110の上端から左右方向Yの内側に延びる上板部分112と、左右の上板部分112の内端から下方に延びる内板部分114とを含む。
【0024】
下側レール102は、摺動空間106を画定する。摺動空間106は、上側レール104の少なくとも一部が摺動可能に収容される空間である。摺動空間106は、下側レール102の底板部分108と、左右の外板部分110と、左右の上板部分112と、左右の内板部分114とによって囲まれている。摺動空間106は、上側レール104の下側部分を収容する。摺動空間106は、左右の内板部分114間の空間から上方に開口している。上側レール104は、上側レール104の上側部分116が下側レール102の左右の内板部分114間の開口領域から突出するように取り付けられる。加えて、摺動空間106は区画されており、左右の内板部分114間に画定された中央空間106aと、外板部分110と内板部分114との間に画定され中央空間106aの両側に配置された左右一対の側方空間106b、106cとを含む。
【0025】
図1に示すように、左右の内板部分114の一方または両方に、複数のスロット118(ロック孔)が形成されている。スロット118は、X方向に断続的に形成され、下側レール102に対する上側レール104の位置を固定するために使用される。
【0026】
上側レール104は、一対の側板120を含む。
図1及び
図5Bに示すように、一対の側板120は、X方向に延びる重なり部分122a、122bを有する。各側板120は、下側レール102の左右の内板部分114の少なくとも一部を包み込むように湾曲しているか、または円弧状に曲がっている。図示の例では、各側板120は、断面視で略U字形状であり、下方に延びる側壁部分124と、上方に延びる側壁部分126と、側壁部分124及び側壁部分126を互いに接続する底壁部分128とを有する。下方に延びる側壁部分124と上方に延びる側壁部分126とは、Y方向において互いに離間しており、下側レール102の内板部分114は、側壁部分124と側壁部分126と間で下方に延びている。組み立てたとき、側板120の側壁部分124は、下側レール102の内板部分114間及び摺動空間106の中央空間106a内に配置され、側板120の側壁部分126は、左右の側方空間106b、106c内に配置される。図示の例では、一対のスペーサ502a、502bを使用して、側板120を所望の幅で横方向に支持している。
【0027】
ローラ130が、上側レール104に設けられ、支持されている。図示の例では、ローラ130は、上方に延びる側壁部分126に回転可能に取り付けられている。ローラ130は、下側レール102の底板部分108の上面132上を転動し、それにより、上側レール104を下側レール102に対して摺動可能に支持する。後述するように、いくつかの実施例では、ローラ130は、上側レール104の底壁部分128の内面129に配置された摺動部材を介して上側レール104に結合される。
【0028】
図3を参照して、上側レール104は、少なくとも1つの傾斜面304を有する。図示のように、上側レール104の両端部302a、302bには、一対の傾斜面304a、304bが設けられている。傾斜面304は、上側レール104の側壁部分126に形成されている。後述するように、係合アセンブリ306は、各傾斜面304に摺動可能に当接する。具体的には、一対の係合アセンブリ306a、306bが、傾斜面304a、304bの各々に、摺動可能に当接している。各係合アセンブリ306a、306bは、下側レール102の上板部分112の下面134(
図2参照)にも当接している。このようにして、上側レール104は、ローラ130及び係合アセンブリ306a、306bを介して、下側レール102の底板部分108と上板部分112との間で、下側レール102の摺動空間106内に拘束される。
【0029】
図5Bは、
図1~
図4のシートレールアセンブリで使用可能な上側レール104の一例を示す。図示のように、傾斜面304a及び傾斜面304bは、上側レール104に沿ってX方向に延びている。そして、傾斜面304a及び傾斜面304bは、互いに近づくにしたがってZ方向に上方に傾斜している(そして、互いに離れるにしたがって、すなわち、各端部302a、302bに向かうにしたがって、Z方向に下方に傾斜している)。例えば、
図3に示すように、図中左側の第1の端部302aに近接する傾斜面304aは正の勾配を有し、図中右側の第2の端部302bに近接する傾斜面304bは負の勾配を有する。言い換えれば、傾斜面304a、304bの勾配は、互いに反対符号である(例えば、傾斜面304aは正の(+)値の勾配を有し、傾斜面304bは負の(-)値の勾配を有する。またその逆も同様である)。傾斜面304a、304bは、下側レール102の上板部分112の下面134に近づくように傾斜している。さらに、傾斜面304a、304bの勾配の符号が互いに同一であるか否かにかかわらず、傾斜面304a、304bの勾配の大きさは互いに同じであってもよい(すなわち、絶対値は互いに等しいが符号が反対であってもよい)。あるいは、傾斜面304a、305bの勾配の大きさは、互いに異なっていてもよい。加えて、傾斜面304a、304bの長さは、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。また、例えば、傾斜面304a、304bは、互いに同一の方向に傾斜していてもよく(つまり、両方とも正(+)または負(-)の値の勾配となる)、上側レール104の第1の端部302aまたは第2の端部302bのいずれかに向かって互いに同一の方向に延びていてもよい。
【0030】
図6A及び
図6Bは、本開示の1以上の実施形態による、デュアルウェッジ設計を特徴とする例示的な係合アセンブリ306を示す。具体的には、
図6Aは、
図3の左側の係合アセンブリ306aを示し、
図6Bは、
図3の右側の係合アセンブリ306bを示す。一対の係合アセンブリ306a、306bは、上側レール104の両端部302a、302bに位置しているが、互いに同一であり得る。係合アセンブリ306a、306bは、下側レール102によって画定される摺動空間106の左右の側方空間106b、106c内で、上側レール104上に配置される。係合アセンブリ306a、306bは、上側レール104の傾斜面304a、304b上で摺動可能である。
【0031】
各係合アセンブリ306a、306bは、下側係合部材602と上側係合部材604とを含む。下側係合部材602及び上側係合部材604は各々、係合アセンブリ306がデュアルウェッジ設計を具現化するように、くさび状部材として構成される。下側係合部材602は、上側レール104の傾斜面304a、304bに当接して摺動可能な下側傾斜面606を有する。これにより、下側係合部材602は、上側レール104に対して摺動可能となる。また、下側係合部材602は、上側傾斜面608を有する。上側係合部材604は、下側係合部材602の上側傾斜面608に当接して摺動可能な下側接触面(図中には見えない)を有する。これにより、上側係合部材604は、下側係合部材602の上側傾斜面608上で摺動可能となる。また、上側係合部材604は、下側レール102の上板部分112の下面134に当接して摺動可能な上面610を有している。図示の例では、傾斜したチャネルまたはトラック612が、下側係合部材602内に画定されている。上側係合部材604は、トラック612内を摺動する一対の保持脚部614a、614bを有し、それにより、上側係合部材604の下側接触面を摺動可能に保持して、下側係合部材602の上側傾斜面608との接触を維持する。下側係合部材602はまた、下側係合部材の保持脚部614aに接触するように形成されたストッパ616を有しており、それにより、トラック612内での上側係合部材604のさらなる移動が阻止される。
【0032】
係合アセンブリ306a、306bの各々はまた、引張りばね620及びねじりばね622を含む。引張りばね620は、上側レール104に結合される第1の端部624と、下側係合部材602に結合される第2の端部626とを有する。引張りばね620は、後述するように、下側係合部材602を付勢する。他の例では、引張りばね620の代わりに、ねじりばねや圧縮ばねなどの別のタイプの付勢要素が使用される。引張りばね620は、下側レール102または上側レール104のいずれの移動方向からも独立した付勢力を、下側係合部材602に加える。他の図示しない例では、引張りばね620は、それが加える付勢力が図示したものから180度反転するように、反対側に設けられる。
【0033】
ねじりばね622は、上側係合部材604をストッパ616に向けて付勢する。他の例では、ストッパ616は、図示したものに加えて、またはその代わりに、トラック612の反対側の端部に設けられる。具体的には、ねじりばね622は、下側係合部材602に形成されたエンボス部621に設置され、上側係合部材604の背面623に力を加える。これにより、
図6A及び
図6Bに示すように、ねじりばね622は、上側係合部材604を初期位置に向けて付勢し、初期位置では、上側係合部材604は、下側係合部材602のストッパ616に当接する。後述するように、下側レール102から作用を受けたとき、上側係合部材604は、ねじりばね622によって加えられる付勢力に抗して、下側係合部材602に対して、チャネルまたはトラック612に沿ってストッパ616と反対の方向に移動することができる。
図7Aに示すように、上側係合部材604は、ねじりばね622によってそれ以上の移動が阻止される最端位置704に達するまで、ストッパ616と反対の方向702に移動し続けることができる。このように、ねじりばね622は、後述するように、下側係合部材602上の上側係合部材604が最端位置704を越えて移動するのを阻止する機能も果たす。同様に、ねじりばね622は、下側レール102または上側レール104のいずれの移動方向からも独立した付勢力を上側係合部材604に加える。図示の例では、下側係合部材602と上側係合部材604とは、互いに反対の方向に付勢されている。また、図示の例では、下側係合部材602と上側係合部材604とは、係合アセンブリ306の最大厚さに向けて付勢されている。他の図示しない例では、下側係合部材602と上側係合部材604との両方が、引張りばねによって付勢されているか、圧縮ばねによって付勢されているか、ねじりばねによって付勢されているか、または別のタイプのばね等によって付勢されている。
【0034】
下側係合部材602と上側係合部材604との間の相対的な摺動によって、下側係合部材602の下面606と上側係合部材604の上面610との間の距離(すなわち、スタック高さ)が変化し、これにより、上述したような車両の移動、または製造に起因する凹凸や高さのばらつきにもかかわらず、係合アセンブリ306a、306bの各々が、上側レール104の傾斜面304a、304bと下側レール102の上板部分112の下面134との間で持続的な支持及び接触を維持することができる。例えば、
図7Aにおいて、上側係合部材604と下側係合部材602とのスタック高さ(すなわち、下側係合部材602の下面606と上側係合部材604の上面610との間の距離)は、上側係合部材604が最端位置704に位置するときに最も小さくなり、
図6A及び
図6Bに示す初期位置に位置するときに最も大きくなる。
【0035】
このようにして、係合アセンブリ306は、下側レール102と上側レール104との間の接触を維持する。具体的には、下側係合部材602が上側レール104との接触を維持し、上側係合部材604が下側レール102との接触を維持する。なお、いくつかの例では、上側係合部材604が上側レール104との接触を維持し、下側係合部材602が下側レール102との接触を維持するように、複数の係合アセンブリ306のうちの1以上を上下反転させてもよい。図示の例では、係合アセンブリ306は下側レール102の内面に接触しているが、他の例では、係合アセンブリ306が下側レール102の外面に接触するようにしてもよい。同様に、図示の例では、係合アセンブリ306は上側レール104の内面に接触しているが、他の例では、係合アセンブリ306が上側レール104の外面に接触するようにしてもよい。前述したように、下側係合部材602は上側レール104の表面との接触を維持し、上側係合部材604は下側レール102の表面との接触を維持する。係合アセンブリ306が接触する下側レール102の表面及び/または上側レール104の表面は、傾斜面であってもよい。また、係合アセンブリ306における、上記の傾斜面を摺動する部分は、係合アセンブリ306の側面であってもよい。例えば、上側係合部材604の側面が上側レール104の傾斜面上を摺動し、下側係合部材602の側面が下側レール102の内面上を摺動するようにしてもよい。このように、係合アセンブリ306は、下側レール102及び上側レール104の垂直方向のがたつきだけでなく(またはその代わりに)、横方向のがたつきを除去するために使用することができる。
【0036】
図7Aは、下側係合部材602上での上側係合部材604の移動経路または摺動経路を示しているが、
図7Bは、上側レール104に対する下側係合部材602の移動経路または摺動経路を示している。具体的には、
図7Bは、初期位置または公称位置710では上側レール104の傾斜面304上に位置するが、そこから第1の最端位置712または第2の最端位置714まで前方または後方に移動可能な下側係合部材602を示す。下側係合部材602は、上側係合部材604を支持し、これら2つの部材は一体的に、第1の最端位置と第2の最端位置との間で、上側レール104に対して移動可能または摺動可能である。引張りばね620は、下側係合部材602を第2の最端位置714に向けて付勢し、上側レール104が下側レール102に対して方向716に移動するとき、摩擦によって、下側係合部材602は(ストッパ616によって下側係合部材602に対する移動が禁止された上側係合部材604を支持した状態で)、摺動力/抵抗にほとんど影響を与えることなく、傾斜面304に沿って摺動方向718に向かって下方に移動する。
【0037】
上側レール104の傾斜面304a、304bの傾斜または勾配は、製造時または車両移動中に生じる可能性のある下側レール102と上側レール104との間の隙間のあらゆる変動に対応するのに役立つ。
図7Bに示すように、上側係合部材604が下側係合部材602のストッパ616に向けて(摺動方向718に)完全に付勢されている場合、下側係合部材602が第2の最端位置714に位置するときの上側係合部材604の上面610は、上側レール104の傾斜面304a、304bの傾斜に起因して、下側係合部材602が第1の最端位置712に位置するときよりも高くなる。
【0038】
下側係合部材602に対する上側係合部材604の摺動経路または移動経路を示す
図7Aを再び参照すると、上側係合部材604は、下側係合部材602に形成されたトラック612内で摺動するように構成され、第1の最端位置(上側係合部材604がストッパ616に当接する位置)と、第2の最端位置(ねじりばね622がそれ以上の移動を制限するまで、上側係合部材604が方向702に向かって完全に移動する位置)との間で拘束される。別の例では、ストッパ616は、トラック612の反対側の端部に配置してもよい。ストッパ616をトラック612の一端に配置することによって、組み立てたときに、上側係合部材604を下側係合部材602上で摺動させることができる。さらに他の例では、ストッパ616は、トラック612の両端に配置してもよく、その場合は、組み立てたときに、上側係合部材604は、下側係合部材602のトラック612上にスナップ留めするとよい。
【0039】
下側レール102または上側レール104の移動により生じる十分な摩擦力による作用を受けない場合(すなわち、例えば、シートを備えた車両に取り付けた場合、及び/またはユーザーがシート上に座っている車両に取り付けた場合)、係合アセンブリ306は、
図7Bに示すように、初期位置または公称位置710に配置されるように設計される。初期位置または公称位置710に位置するとき、下側係合部材602は、上側レール104の傾斜面304の長さに沿って実質的に中央の位置に位置し、上側係合部材604は、ねじりばね622によって加えられるばね力の方向にストッパ616に押し付けられる最端位置に付勢される(
図7A参照)。下側係合部材602が傾斜面304に沿って中央の位置に位置するとき、初期位置または公称位置710では、係合アセンブリ306は、上側レール104が下側レール102に対して移動するときに(製造公差に起因して)直面する可能性のある下側レール102と上側レール104との間の予想される垂直スタック高さの変動に対応するために、上側レールの傾斜面304に沿って方向716またはその反対の方向720のいずれかにおいて十分な移動範囲を有している。また、上側係合部材604は、上側レール104が下側レール102に対して方向720に移動するときに直面する可能性のある上側レール104と下側レール102との間の垂直スタック高さの変動に対応するために、下側係合部材602の傾斜したトラック612に沿って十分な移動範囲を有している。上側係合部材604と下側係合部材602とのこの相対的な移動により、下側レール102と上側レール104との間の持続的な接触が確保され、それと同時に、下側レール102と上側レール104との間のバインド(binding)が一切防止される。例えば、車両シートと上側レール104とが方向716に移動するとき、下側係合部材602は、摺動力や抵抗にほとんど影響を与えることなく、上側レール104の傾斜面304に沿って下方向718に移動する。一方、車両シートと上側レール104とが方向716と反対の方向720に移動するとき、上側係合部材604は、摺動力や抵抗にほとんど影響を与えることなく、下側係合部材602のトラック612に沿って下方向702に移動する。上側係合部材604と下側係合部材602とのこの相対的な移動により、上側レール104と下側レール102との間の持続的な接触が確保され、それと同時に、バインドが防止される。
【0040】
例えば、上側レール104が方向702に移動する間に、下側レール102と上側レール104との間の隙間が小さくなった場合には、上側係合部材604は下方向702に移動する。あるいは、上側レール104が方向720に移動する間に、隙間が一定のままであったり、隙間が大きくなったりした場合には、バインドは発生せず、上側係合部材604は移動しない。上側レール104が方向720に移動する間に、下側レール102と上側レール104との間の隙間が大きくなった場合には、引張りばね620は、上側レール104と下側レール102との間の持続的な接触を維持するために、傾斜面304に沿って初期位置または公称位置に向けて下側係合部材602を付勢する。
【0041】
図8A及び
図8Bは、係合アセンブリ306と上側レール104との相互作用の他の態様を示す。
図8Aに示すように、上側レール104は、下側係合部材602の一部を受容するスロット802a、802bを有する。スロット802a、802bは、各々、傾斜面304a、304bの下方に設けられる。スロット802a、802bは、それに対応する傾斜面304a、304bと一致する向きに傾斜している。このように、一方のスロット802aは、傾斜面304aと同じ傾斜を有し、他方のスロット802bは、他の傾斜面304bと同じ傾斜を有する。例えば、スロット802及びそれらに対応する傾斜面304は、互いに平行であり得る(すなわち、スロット802aは傾斜面304aと平行であり、スロット802bは傾斜面304bと平行である)。このようにして、下側係合部材602(及び係合アセンブリ306)は、スロット802及びそれらに対応する傾斜面304によって画定される直線経路に沿って直線的に移動する。したがって、傾斜面304a、304bの一方または両方の向きが変更された(つまり、反転された)例では、スロット802a、802bの向きもそれに応じて変更される。また、係合アセンブリ306a、306bの下側係合部材602は、チャネル814を画定するために互いに間隔を置いて配置された一対の脚部810、812を有している。組み立てたとき、下側係合部材602は傾斜面304上に載置され、互いに離間した脚部810、812が上側レール104の側壁部分126をまたぎ、側壁部分126の、傾斜面304に近接する部分816が、下側係合部材602のチャネル814内に挿入される。したがって、互いに離間した脚部810、812及びそれによって形成される対応するチャネル814は、上側レール104の側壁部分126の部分816の厚さに応じた寸法にされる。また、下側係合部材602にはガイドピン818が設けられる。ガイドピン818は、それに対応するガイドスロット802a、802b内に受容されるように配置されている。ガイドピン818は、一方の脚部812に設けられ、そこからチャネル814内に突出している。なお、ガイドピン818は、他方の脚部810に設けてもよいし、両方の脚部810、812に設けてもよい。組み立てたとき、下側係合部材602は傾斜面304上に載置され、側壁部分126の、傾斜面304に近接する部分816が下側係合部材602のチャネル814内に挿入され、ガイドピン818がガイドスロット802に支持され、上側レール104上に係合アセンブリ306を保持するのを助ける。
【0042】
図9A及び
図9Bは、本開示の1以上の実施例による、下側係合部材602と上側係合部材604との相対移動を示す。
図9Aに示すように、下側係合部材602は、第1の経路902に沿って上側レール104の傾斜面304に沿って移動し、上側係合部材604は、第2の経路904に沿って下側係合部材602の上側傾斜面608に沿って(及びそのチャネルまたはトラック612内で)移動する。傾斜面304は、水平に対して様々な角度θ´で配向され、それに対応する第1の経路902も同様に水平に対して様々な角度θ´で配向される。図示の例では、傾斜面304及びそれに対応する第1の経路902は、6度の角度θで配向されている。また、下側係合部材602の上側傾斜面608(及びチャネルまたはトラック612)は、水平に対して様々な角度θで配向され、それに対応する第2の経路904も同様に水平に対して様々な角度θで配向される。図示の例では、上側傾斜面308及びそれに対応する第2の経路904は、6度の角度θで配向されている。角度θ、θ´は、上側レール104と下側レール102と間の遊びの量に応じて、かつ上側レール104及び下側レール102の移動量に基づいて、互いに異なっていてもよい。
【0043】
図9Bは、本開示の1以上の実施例による、
図9Aの下側係合部材602及び上側係合部材604の移動の程度を示す。引張りばね620は、下側係合部材602に力を加え、それにより、下側係合部材602(及び係合アセンブリ306)を矢印906で示すように引っ張る。このシステムは、下側係合部材602に、方向906への様々な量の移動X´を与えるように設計される。例えば、下側係合部材602は、初期位置または公称位置から方向906に最大で8mmの移動X´を可能にするように構成されている。図示の例では、下側係合部材602の移動は、上側レール104の壁部910、912間で拘束または制限される。例えば、スロット802(
図8A参照)は、初期位置または公称位置から方向906への所望の移動量X´を可能にする適切な寸法に設計される。また、ねじりばね622は、上側係合部材604に力を加え、それによって、上側係合部材604を矢印908で示す方向に付勢し、使用時には、上側係合部材は、矢印908と反対の方向に距離X´´だけ移動することができる。例えば、上側係合部材604は、矢印908と反対の方向に最大で8mmの移動X´´を可能にするように構成されている。
【0044】
図10A及び
図10Bは、上側レール104と係合アセンブリ306との相互作用の別の例を示す。この例では、下側係合部材602は、単一の壁部810を含み、ガイドピンを有していない。
【0045】
図11A及び
図11Bは、様々な構成要素間のがたつきを低減し、それによって、騒音を低減するための横方向変位制御機構1102の例を示す。横方向変位制御機構1102は、上側レール104のU字状の側板120の内面に設けられる。図示のように、横方向変位制御機構1102は、側板120の側壁部分124、側壁部分126、及び底壁部分128間に画定された摺動空間106の内面1104に取り付けられる。
【0046】
図11Bは、1以上の実施例による横方向変位制御機構1102を示す。図示の例では、横方向変位制御機構1102の各々は、内壁部分1124と、外壁部分1126と、内壁部分1124と外壁部分1126とを接続する湾曲した底壁部分1128とを含むU字状の部材である。組み立てたとき、内壁部分1124、外壁部分1126、及び底壁部分1128は、下側レール102の左右の内板部分114が延びるチャネル1130を画定する。組み立てたとき、内壁部分1124は上側レール104の下方に延びる側壁部分124に当接し、外壁部分1126は上側レール104の上方に延びる側壁部分126に当接し、湾曲した底壁部分1128は上側レール104の底壁部分128に当接する。横方向変位制御機構1102は後述するように、上側レール104に形成された切欠部1202の縁部に係合する一対の外側係止タブ1132及び内側係止タブ1134を含む。持続的な接触を確実にしてがたつきを抑制するために、チャネル1130内に1以上のクラッシュリブ1136が設けられる。クラッシュリブ1136は、内壁部分1124の内面に設けられ、完全に組み立てたときに、下側レール102の左右の内板部分114(
図2参照)に接触する。クラッシュリブ1136は、様々な構成及び/または寸法を有することができ、例えば、クラッシュリブ1136は、図示のように、丸みを帯びた細長い形状を有する。他の例では、クラッシュリブの代わりに板ばねが使用される。他の例では、(互いに同じ側または反対側に設けられた)クラッシュリブと板ばねとの両方が使用される。クラッシュリブ1136を含む横方向変位制御機構1102は、金属同士の接触を避けるために、プラスチックなどの非金属材料から作製され得る。上側レール104に取り付けられた横方向変位制御機構1102は、下側レール102の左右の内板部分114に接触することによって、金属同士の接触を避けながら、下側レール102と上側レール104との間の持続的な接触を確実にする。加えて、ローラ130を収容するための空間を提供し、また、システム内のごみをシステム外に排出するためのドレインを提供するために、横方向変位制御機構1102内に孔1140が形成される。
【0047】
図12は、上側レール104の端部における横方向変位制御機構1102の設置例を示す。図示の例では、横方向変位制御機構1102を収容するために、上側レール104の端部に切欠部1202が形成されている。上述したように、横方向変位制御機構1102の外側係止タブ1132及び内側係止タブ1134は、横方向変位制御機構1102を所定の位置にスナップ嵌めすることができ、外側係止タブ1132及び内側係止タブ1134が切欠部1202の縁部に係合することにより、横方向変位制御機構1102がチャネル1130内に固定される。また、切欠部1202は、ローラ130を収容するための空間を提供し、横方向変位制御機構1102の孔1140を通じてシステム内のごみをシステム外に排出するためのドレインを提供する。
【0048】
図13は、1以上の別の実施形態による別の係合アセンブリ1300を示す。図示の例では、この係合アセンブリ1300は、単一の係合部材1302(または単一の「ウェッジ(くさび)」)を含む。したがって、係合アセンブリ1300は、一対の係合部材602、604(すなわち、一対の「ウェッジ」)を使用しデュアルウェッジ設計と称される上述の係合アセンブリ306とは対照的に、シングルウェッジ設計と称される。係合部材1302は、組み立てたときに、上側レール104の傾斜面304に当接して摺動する下面1304を有する。また、係合部材1302は、組み立てたときに、下側レール102の上板部分112の下面134(
図13では図示せず)に当接して摺動する上面1306を有する。
【0049】
図14A及び
図14Bは、1以上の別の実施形態による別の係合アセンブリ1400を示す。この係合アセンブリ1400は、ばね付勢された一対の係合部材602、604(すなわち、ばね付勢された一対の「ウェッジ」)を使用する上述した係合アセンブリ306とは対照的に、以下に説明するように、ばね付勢された回転機構(またはカム)を使用する。
図14Aは、係合アセンブリ1400の分解図である。
図14Bは、上側レール104上に組み立てたときの、後述する摺動フィーチャが存在しない場合の、別の係合アセンブリ1400の正面断面図である。
【0050】
図示のように、係合アセンブリ1400は、ハブ部材1402と、カム部材1404と、摺動部材1406とを含む。ハブ部材1402は、上側レール104に取り付けられる。図示の例では、ハブ部材1402は、上側レール104のタブ1410に取り付けられる。ハブ部材1402は、タブ1410に対するハブ部材1402の回転を阻止するためにタブ1410に嵌合するようにキー止めされた内部ボア1408を有する。ハブ部材1402は、その上でカム部材1404が回転することができるように構成された外側円形摺動面1412を有する。カム部材1404は、ボア1414を有し、カム部材1404のボア1414がハブ部材1402の外側円形摺動面1412上を摺動するようにハブ部材1402に取り付けられる。また、カム部材1404は、摺動部材1406が配置されるカム面1416を有する。摺動部材1406は、カム面1416と係合する下面を有する。また、摺動部材1406は、下側レール102の上板部分112の下面134(
図13では図示せず)と係合する上面1418を有する。図示しないが、付勢部材(例えば、ねじりばね)が、ハブ部材1402上に支持され、カム部材1404上のフィーチャ(例えば、エンボス部)によって保持される自由端を有し、それにより、カム部材1404は初期位置に向けて付勢され、カム部材1404が初期位置から時計回りまたは反時計回りに回転した場合に、付勢部材によってその初期位置に戻される。あるいは、コイルばねを使用してカム部材1404を付勢してもよい。この場合、上記の他の実施例で説明したように、コイルばねの第1の端部が上側レール104に結合され、コイルばねの第2の端部がカム部材1404に結合される。例えば、ねじりばねまたは引張りばねを使用してカム部材1404を付勢して、ばね付勢されたカムとしてもよい。図示の例では、摺動部材1406はばね付勢されていないが、他の例では、ねじりばねまたは引張りばねによってばね付勢してもよい。いくつかの例では、上側レール104のタブ1410上にハブ部材1402を保持するのに役立つフィーチャ1420、例えば、タブ1410の上側半径上にハブ部材1402のボア1408を保持するための変形可能フィーチャが提供される。フィーチャ1420は、ハブ部材1402をタブ1410上に挿入すると所定位置にスナップ嵌めされ、それによって、ハブ部材1402を上側レール104のタブ1410に固定する、ハブ部材1402と一体に構成されたスナップ嵌めフィーチャ(またはフィンガー)であってもよい。
【0051】
摺動部材1406は、様々な下面形状を有し得る。
図15A~
図15Dは、本開示の様々な態様による、摺動部材1406の別の下面構造を示す。具体的には、
図15Aは、
図14の摺動部材1406を示し、摺動部材1406は、矢印1504で示すように、カム部材1404のカム面1416と完全に接触するように構成された円形の摺動面1502を有する。
図15Aに示すように、この設計は、カム部材1404と摺動部材1406との間の接触/係合を改善する。上側レール104が下側レール102に対して移動すると、矢印1506で示すようにカム部材1404の回転中も、摺動面1502の曲率とカム面1416の曲率とが互いに一致することにより、摺動部材1406はカム部材1404との完全な接触を維持する。いくつかの例では、摺動部材1406は、摺動部材1406がカム部材1404上に摺動可能に保持されるように、カム部材1404の一部の周りにフックする保持脚機構を含み得る。また、カムロック角度は、例えば、約8度から公差の範囲内で変化し得る。
【0052】
図15Bは、
図14の摺動部材1406を示し、摺動部材1406は、単一の接点1510でカム部材1404のカム面1416と接触するように構成された角度の付いた平坦な摺動面1508を有する。単一の接点1510は、角度の付いた平坦な摺動面1508に対して直交している。角度の付いた平坦な摺動面1508は、単一の接点1510が両方の移動方向に自由度を与えるので、(下側レール102の)下面134との接触/係合を改善することができる。また、カム部材1404及びそのカム面1416の幾何学的形状は、一定のロック角度を維持するように変更することができる。角度の付いた平坦な摺動面1508を組み込んだ摺動部材1406の動作については、
図18を参照して後述する。
【0053】
図15Cは、
図14の摺動部材1406を示し、摺動部材1406は、平坦な摺動面1512(すなわち、角度が付いていない)を有し、平坦な摺動面1512に対して直交する単一の接点1514でカム部材1404のカム面1416と接触するように構成されている。平坦な摺動面1512は、単一の接点1514が両方の移動方向に自由度を与えるので、(下側レール102の)下面134との接触/係合を改善することができる。また、カム部材1404及びそのカム面1416の幾何学的形状は、一定のロック角度を維持するように変更することができる。
【0054】
図15Dは、
図14の摺動部材1406を示し、摺動部材1406は、半円形または部分的に円形の摺動面1516を有する。
図15Aの円形摺動面1502と比較して、
図15Dの半円形または部分円形の摺動面1516の長さは短く、したがって、接点1518が少ない。なお、
図15Dの半円形または部分円形の摺動面1516の長さは、図示したものよりも長くてもよいし、または短くてもよいことを理解されたい。
図15Dの半円形または部分円形の摺動面1516も、(下側レール102の)下面134との接触/係合を改善する。
【0055】
図16A~
図16Cは、1以上の別の実施形態による、カム1404を使用する別の係合アセンブリ1600を示す。この例では、単一のカム1404が使用されている。図示のように、カム1404は、上述のように長い下側レール102を製造することによって生じる可能性がある下側レール102の高さのばらつき1604に対処(または対応)するために、矢印1602によって示すように回転することができる。
【0056】
図16B及び
図16Cは、係合アセンブリ1600の動作例を示す。
図16Bでは、下側レール102と上側レール104とは互いに対して相対的に移動しており、下側レール102は方向1612に移動し、上側レールは方向1614に移動し、カム部材1404にはカムばね力1616が作用している。下側レール102が移動する方向1612は、ばね力1616が作用する方向と反対の方向であり、その結果、図示のように、カム面1416に力1620が加わる。この力1620は、通常の力と任意の摩擦力との両方を含む。摩擦力は、ばね出力に基づき一定であり得る。
【0057】
図16Cでは、
図16Bに示すように、下側レール102と上側レール104とが互いに逆方向に移動しており、下側レール102は方向1632に移動し、上側レールは方向1634に移動し、カム部材1404には
図16Bと同様にカムばね力1616が作用している。下側レール102が移動する方向1632は、ばね力1616が作用する方向と同じ方向にあり、その結果、図示のように、カム面1416に力1640が加わる。
【0058】
図17は、1以上の別の実施形態による別のカム係合アセンブリ1700を示す。図示の例では、カム係合アセンブリ1700は、第1のカム1702と第2のカム1704とを有するデュアルカム係合アセンブリである。第1のカム1702と第2のカム1704とは互いに重なり合っている。第1のカム1702は、ハブ部材1402の摺動面1412上に摺動可能に配置される。第2のカム1704は、第1のカム1702の外側カム面1706上に摺動可能に配置される。第2のカム1704は、下側レール102の内面に当接する外側カム面1708を有する。したがって、第1のカム1702を内側カムと称し、第2のカム1704を外側カムと称することができる。第1のカム1702には、カムばね力1710が作用している。下側レール102と上側レール104とは互いに対して相対的に移動しており、下側レール102は方向1712に移動し、上側レール104は方向1714に移動している。この移動により、図示のように、カムの表面に力1720が加わる。この力1720は、通常の力と任意の摩擦力との両方を含む。
【0059】
図18は、
図15Bの係合アセンブリの例示的な動作を示す。この例では、摺動部材1406は、単一の接点1510でカム部材1404のカム面1416と接触するように構成された角度の付いた平坦な摺動面1508を有している。下側レール102と上側レール104とは互いに対して相対的に移動しており、下側レール102は方向1802に移動し、上側レール104は方向1802と反対の方向1804に移動している。これにより、力1820が、角度の付いた平坦な摺動面1508とカム面1416との界面、及び、下側レール102の内面と摺動部材1406の上面との間に作用する。
【0060】
図19は、1以上の別の実施形態による別の係合アセンブリ1900を示す。図示の例では、この係合アセンブリ1900は、第1のウェッジ1902及び第2のウェッジ1904を有するデュアルウェッジ係合アセンブリである。第1のウェッジ1902は第1の付勢部材1908によって第1の方向1906に付勢されており、第2のウェッジ1904は第2の付勢部材1912によって第2の方向1910に付勢されている。第1の付勢部材1908及び第2の付勢部材1912は、引張りばねである。なお、本明細書で説明するように、本開示から逸脱することなく、他のタイプの付勢部材を使用してもよい。図示の例では、本明細書で説明するように、第1のウェッジ1902は、上側レール104の表面1916上で摺動可能な下面1914を有し、第2のウェッジ1904は、下側レール102の表面1920上で摺動可能な上面1918を有する。また、本明細書で説明するように、第1のウェッジ1902は上側傾斜面1922を有し、第2のウェッジ1904は、第1のウェッジ1902の上側傾斜面1922に当接して摺動する下側傾斜面1924を有する。
【0061】
ここでの実施形態は、繰り返しスロット118と係合して負荷を駆動し保持する比較的長いレール102を使用するシートレールアセンブリ100に関する。厳しい公差で製造した場合でも、システムに、顧客の要求を超えるがたつき(例えば、ラッシュ(lash)、遊び、またはスロップ(slop))が存在する可能性がある。駆動スクリューを有するギアボックスが、下側レール102内で上側レール104を駆動するために使用され、この長手方向のスロップは、ギアボックスの内部アセンブリ、及び、ギアボックスの駆動スクリューと下側レール102内の長手方向のスロット118との係合の仕方を変更することによって抑制することができる。したがって、ギアボックスは、(ギアボックスの)駆動スクリューと下側レール102のスロット118との間の長手方向の遊びを除去するための1以上の能動的なローブ機構を備える。本明細書で説明するように、駆動スクリューとスロット118との間の長手方向の遊びが除去されるように、そして、それによって、軸受端板の間に存在し得るギアボックス内から長手方向の遊びが除去されるように、能動的なローブ機構は、ギアボックスの軸受板の外側に配置される。
【0062】
図20は、本開示の1以上の実施形態による、本明細書に記載されたレールアセンブリを駆動するために使用可能なギアボックス2000を示す。図示の例では、ギアボックス2000は、上側レール104に取り付けられ、下側レール102に対して上側レール104を駆動または移動させるように動作可能である。以下に説明するように、ギアボックス2000は、駆動スクリューを含み、駆動スクリューと下側レール102のスロット118との間の隙間または空間に起因するがたつきを対処または排除するように構成される。
【0063】
ギアボックス2000は、少なくとも1つの駆動スクリュー2002と、少なくとも1つの駆動スクリュー2002の各々に関連するローブ2004と、駆動スクリュー2002及びそれに関連するローブ2004を収容するハウジング2006とを含む。後述するように、ローブ2004は、駆動スクリュー2002と、下側レール102のスロット118との間に存在する隙間を除去するように動作することができるように、ばね付勢される(言い換えると、「能動的なブローブ」である)。ハウジング2006は、上側レール104(図示せず)の対応するスロット(図示せず)に挿入されるように構成された1以上の脚部2008を有する。ギアボックス2000は、外部駆動シャフト(図示せず)または他の外部駆動源が挿入される入力部2010を含む。入力部2010は、駆動ギア2012と一体に回転するように、駆動ギア2012に回転可能に固定されている。駆動スクリュー2002は、ねじ部2014がその周りに延在するシャフト(図中には見えない)を有する。駆動スクリュー2002のシャフトには、従動ギア2016が取り付けられており、従動ギア2016の歯は、駆動ギア2012の歯と噛み合うように構成されている。従動ギア2016は、駆動スクリューのシャフトと一体に回転するように、駆動スクリューのシャフトに回転可能に固定されている。したがって、(例えば、外部駆動シャフトを介した)入力部2010の回転によって駆動ギア2012が回転すると、駆動ギア2012の歯と従動ギア2016の歯との噛合により従動ギア2016が駆動され、それによって、駆動スクリュー2002のシャフト及びねじ部2014が回転する。さらに、ローブ2004は、駆動スクリュー2002のねじ部2014に当接または接触するねじ部2020を有し、これにより、駆動スクリュー2002の回転によりローブ2004の回転が引き起こされる。
【0064】
ハウジング2006は、複数のハウジング部分を含み得る。図示の例では、ハウジング2006は、少なくとも、第1の部分2022(例えば、下部または底部)と、第2の部分2024(例えば、上部または蓋部)とを含む。ハウジング2006は、一対の軸受板2030a、2030bを保持している。軸受板2030a、2030bは、後述するように、駆動スクリュー2002のシャフトを回転可能に支持する。図示の例では、軸受板2030aは、ローブ2004と駆動スクリュー2002との間に配置されている。なお、後述するように、いくつかの実施例では、ローブ2004は、軸受板2030aと駆動スクリュー2002との間に配置してもよい。
【0065】
ギアボックス2000を上側レール104に組み付けたとき、駆動スクリュー2002のねじ部2014は、下側レール102の左右の内板部分114に形成されたスロット118に係合し、これにより、駆動スクリュー2002の動作(回転)によって上側レール104が下側レール102に対して移動する。
【0066】
図21は、ハウジング2006の上部2024が取り外された別の例示的なギアボックス2100の分解図である。また、
図21は、一対の駆動スクリュー2002a、2002bと、それに対応する一対のローブ2004a、2004bとを含むギアボックス2100の一例を示す。ハウジング2006の基部2022は、駆動スクリュー2002a、2002b及びそれに対応するローブ2004a、2004bを受け入れる形状及び大きさに形成された一対のウェル2102a、2012bを有する。
【0067】
駆動スクリュー2002a、2002bは各々、その周りにねじ部2014が螺旋状に延びるシャフト2104を有する。従動ギア2016は、シャフト2104の(図中には見えない)第1の端部に取り付けられる。一方、シャフト2104の反対側の第2の端部2106は、ねじ部2014を越えて延びている。第2の端部2106には、螺旋状に延びるねじ部は設けられていない。ローブ2004a、2004bは、ボア2108を有し、それらに対応するシャフト2104の第2の端部2106に配置される。このようにして、ローブ2004a、2004bは、それらに対応するシャフト2104上で、それらに関連する駆動スクリュー2002a、2002bに対して自由に回転することができる。図示の例では、ローブ2004a、2004bは、それらに対応するシャフト2104上で、それらに関連する駆動スクリュー2002a、2002bに対して、限られた回転範囲で、自由に回転することができる。
【0068】
ローブ2004a、2004bは各々、ばね付勢を受けている。図示の例では、ローブばね2110が各ローブ2004a、2004bのボア2108に設けられており、駆動スクリュー2002a、2002bのシャフト2104が、ローブ2004a、2004bとそれに対応するローブばね2110との両方を貫通して延びている。図示の例では、各ローブ2004a、2004bの端部には、エンボス部2111が設けられている。ボア2108の、エンボス部2111を貫通して延びる部分は、ローブ2004の残りのボア部分よりも半径がわずかに大きく、これにより、ローブばね2110をエンボス部2111内に配置し、かつ、駆動スクリュー2002a、2002bのシャフト2104の端部2106を干渉されることなく受け入れることができる。このように、ボア2108は、ローブ2004a、2004bを貫通するボアの残りの部分と実質的に同一のボア寸法を有するローブばね2110を収容するように、エンボス部2111を貫通する部分において寸法がわずかに大きい。組み立てたとき、各ローブばね2110は、ローブ2004a、2004bの一方及びシャフト2104の一方に係合するように構成された一対のばね端部2112a、2112bを有する。具体的には、組み立てたときには、第1のばね端部2112aは、ボア2108に近接する各ローブ2004a、2004bに設けられたスロットまたは開口部2114内に保持され、第2のばね端部2112bは、各シャフト2104の第2の端部2106に設けられたスロット2116内に保持/係合される。ローブばね2110はローブ2004a、2004bに回転ばね力を加え、シャフト2104が回転すると、ローブばね2110はシャフト2104を中心としてローブ2004a、2004bに付勢力を加える。このようにして、各ローブ2004a、2004bは、シャフト2104を中心として回転付勢される。したがって、各ローブ2004a、2004bは、そのローブばね2110を介して、それに対応する駆動スクリュー2002a、2002bに結合される。各ローブ2004a、2004bは、それに対応する駆動スクリュー2002a、2002bから独立して回転することができるが、そのような独立した回転は、駆動スクリュー2002a、2002bの回転に応じてローブ2004a、2004bに回転力を加えるローブばね2110によって拘束または制限される。
【0069】
図示の例では、駆動スクリュー2002a、2002bは各々、圧力板2118とワッシャ2120とを含み、すべての構成要素は、軸受板アセンブリ2122によって適所に保持される。図示の例では、ワッシャ2120は波状ワッシャであり、組み立てたとき、圧力板2118の一方の面がローブ2004a、2004bのエンボス部2111に接触し、圧力板2118の他方の面が波状ワッシャ2120に接触することによって、ローブばね2110に接触することなく波状ワッシャ2120の力を吸収する。軸受板アセンブリ2122は、プレート2124と、プレート2124に支持された一対の回転可能なカップリング2126a、2126bとを含む。回転可能なカップリング2126a、2126bの各々は、プレート2124内で回転することができ、かつ、シャフト2104の端部2106の各々を受容するように構成される。これにより、組み立てたときに、シャフト2104の端部2106は、軸受板アセンブリ2122によって回転可能に支持される。
図21の例示的な実施形態では、軸受板2122aは、ローブ2004a、2004bが軸受板2122aのプレート2124と駆動スクリュー2002a、2002bのねじ部2014との間に介在されるように、シャフト2104の端部2106に設けられている。しかしながら、軸受板2122aは、別の位置に配置してもよく、例えば、軸受板2122aは、ねじ部2014と、それに対応するローブ2004a、2004bとの間に介在されるように配置してもよい。また、軸受板2122a、2122bは、ハウジング2006に形成されたスロット2128内に保持される。スロット2128は、ハウジングの上部2024及び下部2022に設けられ、軸受板2122aを、シャフト2104のローブ2004a、2004bに近接する端部(すなわち、駆動スクリュー2002a、2002bのねじ部2014の反対側の端部)に配置するように形成されている。
【0070】
図22は、
図21のギアボックス2100の駆動系の動作例を示す図である。具体的には、
図22は、ローブ2004a、2004bの各々が、ローブばね2110によってばね付勢されており、その結果、ローブ2004a、2004bが、単に自由に動くのではなく、「能動的」であることを示す。図示の例では、ローブばね2110は、矢印2200で示すように、シャフト2104を中心として反時計回り方向のねじりばね力をローブ2004a、2004bに加える。ばね付勢を受けたローブ2004a、2004bは、下側レール102のスロット118内の隙間を埋め、それによって、前後のスロップを除去する。
【0071】
このねじりばね力2200は、それに関連する駆動スクリュー2002a、2002bから独立して、それに対応するローブ2204a、2004bを回転させ、それによって、或る1つのねじ部のピッチを効果的に増加させる。言い換えれば、能動的ローブと、駆動スクリューの最後(一番後ろ)のねじ部との間のピッチが増加する。具体的には、各ローブばね2110は、ローブ2204a、2004bのねじ部2020と駆動スクリュー2002a、2002bの最後のねじ部2202との間の幅を増加させる。最後のねじ部2202とローブ2204のねじ部2020との間の幅が増大すると、下側レール102のスロット118内の隙間が埋まる。一例では、能動的ローブは、長手方向の付勢下でのバックドライブ(back-drive)の機会を排除する圧力角を維持する。圧力角は、能動的ローブのねじ部と、下側レール102のスロット118との間の接触面によって規定される。特定の実施例では、長手方向の付勢下でのバックドライブを防止するために、7.4度の圧力角が選択される。バックドライブが存在しないことと、能動的ローブのねじ部と下側レール102のスロット118との間に隙間がないこととの組み合わせにより、長手方向の遊びが生じない。
【0072】
図23は、
図22の駆動系の端面図である。具体的には、
図23は、シャフト2104及びそれに関連するローブ2204a、2004bと相互作用するローブばね2110の例示的な構成を示す。
図24A及び
図24Bは、能動的ローブ(すなわち、ばね付勢されたローブ2004a、2004b)の動作例、及び、システム内のスロップを除去するための能動的ローブの動作を示す。具体的には、
図24Aは、本明細書に記載されるようにローブ2004がばね付勢を受けておらず(すなわち、能動的ではない)、その結果、駆動スクリュー2002及びローブ2004のねじ部の同じ側に、それらのねじ部と下側レール102のスロット118との間に、隙間(または空間)2400が存在するシステムを示す。その結果、がたつき(すなわち、スロップまたは遊び)が発生する。
図24Bは、ローブ2004を動作させることによって、そのような遊びを排除する方法を示しており、例えば、ローブばね2110が、シャフト2104を中心としてローブ2004a、2004bに対してねじりばね力2200を付与することによって、(駆動スクリュー2002のシャフト2104に対して)ローブ2004を矢印2402で示す方向に移動させ、それによって、矢印2404で示すように、ローブ2004と下側レール102のスロット118との間の隙間を閉じる。したがって、ローブ2004は、矢印2404で示すように、スロット118の一方の第1の側面に接触し、一方、駆動スクリュー2002のねじ部は、矢印2406で示すように、スロット118の他方の側面に接触し、その結果、スロップまたは遊びがなくなる。このようにして、ばね2110によって付勢されたローブ2004a、2004b(すなわち、能動的ローブ)は、下側レール102のスロット118及び駆動スクリュー2002のねじ部に関連する長手方向の遊びを排除する。
【0073】
ばね付勢された能動的ローブ2004は、ローブ2004の歯Aがそれに対向する下側レール102の歯壁Bに接触するまで矢印2200で示すように回転し、それによって、矢印2404で示すように隙間を除去する。駆動スクリュー2002の歯C~Gは、駆動スクリュー2002のねじ部2014であり、駆動スクリュー2002のねじ部2014のピッチは固定されており均一であるため、能動的ローブを有していない駆動スクリュー2002では、駆動スクリュー2002のねじ部と下側レール102のスロット118との間の隙間の量に等しい長手方向の遊びが生じる。しかしながら、ローブばね2110によってばね付勢されるローブ2004のローブ歯Aを組み込むことにより、駆動スクリュー2002の歯Cと協働してウェッジを形成し、これにより、遊びやスロップがなくなる。
【0074】
前述したように、駆動スクリュー2002に対する能動的ローブ2004の回転は制限されている。
図25は、1以上の実施形態による、ローブ2004の回転を制限するように構成された駆動スクリュー2002の一例を示す図である。具体的には、
図25は、一方のローブ2004aを図示するが、この図に記載された原理は、他方のローブ2004bにも適用できることを理解されたい。したがって、この図は、ローブ2004の個々のものを参照して説明される。図示の例では、フィーチャ2502が、シャフト2104の端部2106に近接して設けられている。フィーチャ2502は、シャフト2104の外周に形成された平坦面である。フィーチャ2502は、シャフト2104に対するローブ2004の回転角度を制限することを可能にするように構成されている。フィーチャ2502は、ローブ2004の約10度の相対回転を可能にし、これは、システムの隙間を除去するのに十分な回転角度である。なお、他の例では、フィーチャ2502は、システムから隙間を除去するのに十分なローブ2004の相対回転の別の回転角度を可能にするために、別の寸法を有してもよい。以下に説明するように、ローブ2004のボア2108内には、時計回りまたは反時計回りのいずれかの方向に所定角度で回転させたときに平坦なフィーチャ2502と係合するフィーチャが設けられている。
【0075】
図26及び
図27は、システムのスロップを除去するためのギアボックス2100内の駆動系の動作例を示す図である。
図26Aは、矢印2602によって示される、駆動ギア2012の反時計回りの回転を示す図である。駆動ギア2012の反時計回りの回転2602は、上述した駆動ギア2012と従動ギア2016との相互作用によって、矢印2604で示すように、従動ギア2016の時計回りの回転をもたらす。従動ギア2016の時計回りの回転2604は、従動ギア2016が固定された駆動シャフト2104を介して伝達されるので、駆動スクリュー2002a、2002bの時計回りの回転2604をもたらす。したがって、反時計回り(2602)の駆動入力により、駆動スクリュー2002a、2002bは時計回り(2604)に回転し、この例では、上側レール104を下側レール102に沿って後方に移動させる。
図26Bは、
図26Aの能動的ローブ2004a、2004bの拡大図であり、能動的ローブ2004a、2004bは、それらのローブばね2110によって、完全に係合またはばね付勢されている。駆動スクリュー2002a、2002bの回転2604は、ローブばね2110を介してローブ2004a、2004bに伝達される。ーブばね2110は、ローブ2004a、2004bを時計回り(2604)に回転させ、それにより、ローブの歯Aと下側レール102のスロット118の歯壁Bとの間の隙間を閉じる。具体的には、回転駆動スクリュー2002は、少なくともそれに印加されたモーメントの量だけローブばね2110に作用する(すなわち、能動的ローブ2004が下側レール102に噛合/結合するか、または、ローブばね2110がその自由位置または無付勢位置に近づくにしたがって、モーメントは減少する)。回転駆動スクリュー2002は、ローブばね2110が能動的ローブ2004に最小モーメントを加えているときに、ローブばね2110に作用する。ローブばね2110の最小モーメントは、ローブばねが自由位置(無付勢位置)に近づいたときに、能動的ローブ2004が、駆動スクリューが接触した歯壁の反対側に存在する下側レールのスロットの歯壁に接触して長手方向のすべての隙間を除去するまで、または、回転制限機構が能動的ローブ2004のさらなる回転を停止するまで発生する。したがって、駆動スクリュー2002の時計回りの回転運動2604は、能動的ローブ2004と下側レール102のスロット118との間の隙間を開き、それによって、下側レール102と接触するようにローブ2004を付勢することによって隙間を閉じるようにローブばね2110が動作している間に、システムがほとんど抵抗なく移動することを可能にする。具体的には、
図26Aに示すように、駆動ギア2012を含む駆動系の端部から見て、駆動スクリュー2002が時計回りに回転している場合には、上側レールは下側レールに対して後方に移動する。
図22に示す例では、ローブばね2110は、能動的ローブ2004を含む駆動系の端部から見て反時計回り方向に付勢されている。
図26Aに示すように、駆動ギア2012を含む駆動系の端部から見た場合、同じ例のローブばね2110は、時計回り方向に付勢されている。この例では、駆動スクリュー2002は、ローブばね2110が能動的ローブ2004を回転付勢している方向と同じ方向に回転している。第2のばね端部2112bは、各シャフト2104の第2の端部2106に設けられたスロット2116内に保持/係合されているので、駆動スクリューのシャフト2014が後方に移動すると、ローブを後方に引っ張って反対側の歯壁(
図24Bの2404で示される)との接触を解除しようとするが、それと同時に、ローブばね2110は、能動的ローブ2004を駆動スクリューからさらに前方に回転させて、反対側の歯壁との接触を維持する。駆動スクリューは、能動的ローブ2004を反対側の歯壁にさらに移動させないので、システムに追加の摩擦または抗力が生じることはない。
【0076】
図27Aは、矢印2702によって示される、駆動ギア2012の時計回りの回転を示す図である。駆動ギア2012の時計回りの回転2702は、上述した駆動ギア2012と従動ギア2016との相互作用によって、矢印2704で示すように、従動ギア2016の反時計回りの回転をもたらす。従動ギア2016の反時計回りの回転2704は、従動ギア2016が固定された駆動シャフト2104を介して伝達されるので、駆動スクリュー2002a、2002bの反時計回りの回転2704をもたらす。したがって、時計回り(2702)の駆動入力により、駆動スクリュー2002a、2002bは反時計回り(2704)に回転し、この例では、上側レール104を下側レール102に沿って前方に移動させる。
図27Bは、
図27Aの能動的ローブ2004a、2004bの拡大図であり、能動的ローブ2004a、2004bは、それらのローブばね2110によって、完全に係合またはばね付勢されている。駆動スクリュー2002a、2002bの回転2704は、ローブばね2110を介してローブ2004a、2004bに伝達される。ローブばね2110は、ローブ2004a、2004bを時計回り(2702)に回転させ、それによって、ローブの歯Aと下側レール102のスロット118の歯壁Bとの間の隙間を閉じる。具体的には、回転駆動スクリュー2002は、少なくともそれに印加されたモーメントの量だけローブばね2110に作用する(例えば、能動的ローブ2004が下側レール102に噛合/結合するにしたがって、モーメントは減少する)。したがって、駆動スクリュー2002の反時計回りの回転運動2704は、能動的ローブ2004と下側レール102のスロット118との間の隙間を閉じる方向となり、それによって、システムに摩擦抗力が加わる。言い換えれば、駆動スクリュー2002は、ローブばね2110が能動的ローブ2004を回転付勢している回転方向とは反対の回転方向に回転してもよい。第2のばね端部2112bは、各シャフト2104の第2の端部2106に設けられたスロット2116内に保持/係合されているので、駆動スクリューのシャフト2014が前方に移動すると、ローブを前方に押して反対側の歯壁(
図24Bの2404で示される)に接触させようとするが、それと同時に、ローブばね2110は、能動的ローブを前方に回転させる。駆動スクリュー2002は、ローブばね2110が同時に能動的ローブ2004を付勢して反対側の歯壁に接触させているときに、能動的ローブ2004を反対側の歯壁に向けて移動させるので、システムに追加の摩擦または抗力が生じることになる。なお、ローブばね2110のばね定数は、ローブの歯Aが下側レール102のスロット118の壁に接触するように付勢されたときに、システムの噛合/バインドを阻止するばね定数に選択される。また、波状ワッシャ2120を組み込むことにより、システムの噛合/バインドをさらに抑制することができる。
【0077】
図28A及び
図28Bは、本開示の1以上の実施形態による、ローブ2004の一例を示す。図示の例では、回転制限機構2802が、ローブ2004のボア2108内に形成されている。回転制限機構2802は、一対の角度の付いた平坦部2804、2806である。上述したように、シャフト2104を中心としたローブ2004の回転は、駆動スクリュー2002のシャフト2104に設けられた平坦なフィーチャ2502によって制限される。ローブ2004が時計回りまたは反時計回りに回転すると、一対の角度の付いた平坦部2804、2806のうちの一方がシャフト2104の平坦部2502に接触し、それにより、その方向へのさらなる回転が阻止される。そして、ローブ2004は、一対の角度の付いた平坦部2804、2806の他方が平坦部2502に接触するまで、シャフト2104を中心として反対方向に回転することができ、それにより、その反対方向へのさらなる回転が阻止される。このようにして、ローブ2004は、角度の付いた平坦部2804、2806の角度に応じた角度で、シャフト2104に対して回転することができる。例えば、角度付き平坦部2804、2806が水平Hに沿って延びるように互いに対して角度を付けることなく設けられた場合、それらは、シャフト2104の平坦なフィーチャ2502に常に接することとなり、それにより、ローブ2004のいかなる回転も阻止する平坦な表面が画定される。一方、角度付き平坦部2804、2806を互いに対して角度を付けて設けると、角度付き平坦部2804、2806のうちの一方のみが所与の期間にシャフト2104の平坦部2502に接触し、それにより、ローブ2004は、角度付き平坦部2804、2806のうちの他方がシャフト2104の平坦部2502に接触するまで、所定の方向に回転することができる。
図28Bは、ローブ2004とシャフト2104との間の相対回転量を許容する、鈍角に角度が付けられた角度付き平坦面2804、2806を示す。なお、ローブ2004とシャフト2105との間の相対的な回転量は、そのような角度を減少させることによって、例えば、角度付き平坦部2804、2806を鋭角に配向させることによって増加させることができる。また、図示の例では、角度付き平坦部2804、2806の各々は、水平Hに対して所定の角度で配向されている。平坦部2804は、水平Hに対して角度φをなして配向され、平坦部2806は、水平Hに対して角度φ´をなして配向されている。図示の例では、角度φ、φ´は各々10度であり、角度付き平坦部2804、2806のうちの一方がシャフト2104の平坦部2502に接触するまで、ローブ2004はシャフト2104を中心として時計回りまたは反時計回りのいずれかの方向に10度回転することができる。なお、所望に応じて、より大きいまたはより小さい相対回転量を提供するために、別の角度値を選択することができる。
【0078】
図28A及び
図28Bは、ローブ2004にローブばね(図示せず)を設置する方法の例も示している。図示の例では、エンボス部2111が、ローブ2004の表面2808から外側に突出しており、これにより、ローブばねをその内部に設置することができるばねポケット2810が画定されている。組み立てたとき、ローブばね2110はローブ2004の表面2808に配置され、第1のばね端部2112aはエンボス部2111の開口部2114を通って延びる。
【0079】
図29は、本明細書に記載のシートレールアセンブリを駆動するために使用可能な別のギアボックス2900を示す。ギアボックス2900は、駆動スクリューと下側レールのスロットとの間の隙間または空間によって生じるがたつき(すなわち、ラッシュ、遊び、またはスロップ)を対処または排除するように構成される。加えて、ギアボックス2900は、駆動スクリューと軸受板との間の隙間または空間に起因するがたつきを対処または排除するように構成される。
図30は、
図29のギアボックス2900の側断面図である。
図31は、
図29のギアボックス2900の分解図である。ギアボックス2900は、軸受板2900aが駆動スクリュー2002とローブ2004との間に配置されていることを除いて、上述のギアボックス2100と同様である。図示のように、ハウジングは、駆動スクリュー2002とローブ2004との間の中間位置に軸受板2122aを保持するように構成されている。図示の例では、スロット3102がハウジング2006の基部2022に設けられており、駆動スクリュー2002とローブ2004との間の所望の位置に軸受板2122aを保持している。図示しないが、ハウジング2006の上部2024は、組み立てたときに軸受板2122aを所望の位置に保持するための対応するスロットを有している。この設計では、ローブ2004a、2004bは、ローブばね2110の付勢力を受けると、能動的ローブとなり、上述したギアボックス2100と同様に、能動的ローブ2004a、2004bは、駆動スクリュー2002a、2002bのシャフト2104と直接相互作用する。しかしながら、軸受板2122aは、ローブ2004a、2004bと駆動スクリュー2002a、2002bのねじ部との間に位置しているので、軸受板2122aは、ローブ2004a、2004bを、駆動スクリュー2002a、2002bの長手方向の作用から分離する。
【0080】
図32は、
図31のギアボックス2900の駆動系の動作例を示す図である。具体的には、
図32は、ローブ2004a、2004bの各々が、ローブばね2110によってばね付勢され、その結果、ローブ2004a、2004bが、単に自由に動くのではなく、「能動的」であることを示す。図示の例では、ローブばね2110は、矢印3202によって示すように、シャフト2104を中心として時計回りのねじりばね力をローブ2004a、2004bに加える。ばね付勢を受けたローブ2004a、2004bは、下側レール102のスロット118内の隙間を埋め、それによって、前後のスロップを除去する。
【0081】
図33は、ギアボックス2900の動作例を示す部分断面図である。この設計では、軸受板アセンブリ2122を有する荷重ケースは、
図24Bを参照して上述した波状ワッシャ2120の荷重シナリオを除去し、それによって真のゼロ遊び設計をもたらす。ギアボックス2100は、長手方向の遊びを依然として有することが可能である。
図21に示したように、ギアボックス2100は、駆動スクリュー2002と軸受板2122aとの間に位置する能動的ローブ2004を含む。この実施例における能動的ローブ2004は、駆動スクリュー2002と下側レール102のスロット118との間の長手方向の隙間を除去する。しかしながら、軸受板2122a、2022bは、係合スロット2128を介して上部カバー2024及び下部カバー2022を収容するギアボックス2100に固定されており、駆動スクリュー2002と軸受板2122a、2022bとの間に長手方向の隙間が存在し得るので、これにより、ギアボックス2100内で長手方向の遊びが生じる場合がある。言い換えれば、能動的ローブ2004が軸受板2122a、2022bの間に配置されると、駆動スクリュー2002と下側レール102のスロット118との間の遊びは除去されるが、駆動系は、駆動スクリュー2002と軸受板2122a、2022bとの間の隙間の量に等しい量で、ギアボックス内で長手方向に摺動する能力を依然として有することとなる。したがって、ギアボックス2900は、軸受板2122aを能動的ローブ2004と駆動スクリュー2002との間に配置することによって、ギアボックス内に存在または発生し得る長手方向の遊びの問題を解決する。駆動系アセンブリを軸受板(すなわち、エンドプレート)の一方に固定することにより、駆動スクリュー2002と下側レール102のスロット118との間の隙間が除去され、また、駆動スクリューと軸受板との間に存在し得るギアボックスアセンブリ内の隙間も除去される。
【0082】
複数の能動的ローブが、軸受板及び駆動スクリューに対する任意の位置に含まれ得ることを理解されたい。能動的ローブは、各軸受板の外側に配置してもよいし、各軸受板の内側に配置してもよい。また、第1の能動的ローブを第1の軸受板の外側に配置し、第2の能動的ローブを第2の軸受板の内側に配置してもよい。また、第1の能動的ローブを第1の軸受板の外側に配置し、第2の能動的ローブを第1の軸受板の内側に配置してもよい。
【0083】
図34及び
図35は、システムのスロップを除去するためのギアボックス2900内の駆動系の動作例を示す。
図34Aに示すように、反時計回りの駆動入力により、矢印3402で示すように、駆動スクリュー2002a、2002bは時計回りに回転し、この例では、上側レール104を下側レール102に沿って後方に移動させる。
図34Bに示すように、回転駆動スクリュー2002a、2002bは、少なくともそれに印加されたモーメント量だけローブばね2110に作用する(すなわち、能動的ローブ2004a、2004bが下側レール102に噛合/結合するにしたがって、モーメントは減少する)。駆動スクリューの回転運動は、常に、能動的ローブ2004と下側レール102のスロット118との間の隙間を埋める方向となり、それによって、システムに摩擦抗力が加わる。しかしながら、システム内の波状ワッシャ2120が圧縮され、駆動スクリュー2002はその移動を継続することができるので、システムはバインドしない。
図35A及び
図35Bを参照すると、シャフトを介して時計回りに駆動力が入力されると、駆動スクリュー2002a、2002bが矢印3502で示すように反時計回りに回転し、上側レール104が下側レール102に対して前方に移動する。
図35Bに示すように、回転駆動スクリュー2002a、2002bは、少なくともそれに印加されたモーメント量だけローブばね2110に作用する(例えば、能動的ローブ2004a、2004bが下側レール102に噛合/結合するにしたがって、モーメントは減少する)。駆動スクリューの回転運動は、能動的ローブ2004a、2004bと下側レール102のスロット118の壁との間の隙間を開き、システムがほとんど抵抗なく動くことを可能にする。
【0084】
したがって、本開示のシステム及び方法は、言及された目的及び利点、並びに、それらに固有の目的及び利点を達成するためによく適合される。上記に開示された特定の実施形態は例示に過ぎず、本開示の教示は、本開示の利益を有する当業者に明らかな、本開示とは異なるが同等の態様で変更及び実施することができる。さらに、以下の特許請求の範囲に記載されているもの以外の、示された構造または設計の詳細については、制限の意図はない。したがって、上記に開示された特定の例示的な実施形態は、変更してもよく、組み合わせてもよく、または修正してもよく、そのような変形はすべて、本開示の範囲内に含まれると見なされることは明らかである。例示的に開示されたシステム及び方法は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素及び/または本明細書に開示された任意の要素が存在しない場合にも実施することができる。特許請求の範囲中の用語は、特許権者によって明示的かつ明確に定義されていない限り、それの平易な通常の意味を有する。本明細書に記載されたすべての数値は、記載された特定の実施形態に対するものであり、所与の用途に応じて適宜変更することができる。特許請求の範囲において使用される不定冠詞「a」または「an」は、それに対応する要素の1つまたは複数を意味する。本明細書、及び、参照により本明細書に組み込まれる1以上の特許または他の文書における単語または用語の用法に矛盾が存在する場合、本明細書と一致する定義を採用するものとする。
【0085】
上、下、上側、下側、上方、下方、左、右等の方向を示す用語の使用は、図示の実施形態に関連して、図中で示されているように使用され、上方または上方向はそれに対応する図の上側に向かっており、下方または下方向はそれに対応する図の下側に向かっている。
【0086】
本明細書で使用するとき、一連の項目の前にある「少なくとも1つ」という表現は、いずれかの項目を区切る「及び」または「または」という用語とともに、そのリストの各メンバー(すなわち、各項目)ではなく、そのリストの全体を修飾する。「少なくとも1つの」という表現は、いずれかの項目のうちの少なくとも1つ、及び/または項目の任意の組み合わせのうちの少なくとも1つ、及び/または、各項目のうちの少なくとも1つを含む意味を許容する。例として、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」または「A、B、またはCのうちの少なくとも1つ」という表現は、各々、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A、B及びCの任意の組み合わせ、及び/または、A、B、及びCのうちの少なくとも1つを指す。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの車両シートを取り付けるためのシートレールアセンブリであって、
車両フロアに取り付けられるように構成された下側レールであって、摺動空間を画定する、該下側レールと、
その上に取り付けられる少なくとも1つの車両シートを支持するように構成された上側レールであって、その少なくとも一部が前記下側レールの前記摺動空間内に設けられ、かつ、前記下側レールに対して第1の方向または前記第1の方向と反対の第2の方向に摺動可能である、該上側レールと、
前記下側レールの前記摺動空間内に設けられる係合アセンブリであって、前記下側レールに対する前記上側レールの移動に応じて互いに独立して移動するように構成された下側係合部材及び上側係合部材を含み、前記下側係合部材は前記上側レール上に摺動可能に設けられ、かつ、前記上側係合部材は前記下側係合部材上に第1の位置と第2の位置との間で摺動可能に設けられた、該係合アセンブリと、を備え、
前記下側係合部材は、前記第1の方向に付勢され、
前記上側係合部材は、前記第1の位置に向けて前記第2の方向に付勢され、
前記上側レールが前記下側レールに対して前記第1の方向または前記第2の方向に摺動するとき、前記上側係合部材は前記下側レールとの接触を維持し、前記下側係合部材は前記上側レールとの接触を維持する、シートレールアセンブリ。
【請求項2】
前記上側係合部材の表面が、前記下側レールの表面との接触を維持し、
前記下側係合部材の表面が、前記上側レールの表面との接触を維持する、請求項1に記載のシートレールアセンブリ。
【請求項3】
前記上側レールの前記表面は、傾斜面であり、
前記下側係合部材は、前記傾斜面上に摺動可能に設けられる、請求項2に記載のシートレールアセンブリ。
【請求項4】
前記上側係合部材の前記表面は、前記上側係合部材の側面であり、
前記下側係合部材の前記表面は、前記下側係合部材の側面である、請求項2に記載のシートレールアセンブリ。
【請求項5】
前記上側係合部材の前記表面は、前記上側係合部材の上面であり、
前記下側係合部材の前記表面は、前記下側係合部材の下面である、請求項2に記載のシートレールアセンブリ。
【請求項6】
前記下側レールの前記表面は、前記下側レールの内面であり、
前記上側レールの前記表面は、前記上側レールの外面である、請求項2に記載のシートレールアセンブリ。
【請求項7】
前記下側係合部材上にトラックが形成され、
前記上側係合部材は、前記下側係合部材上を摺動するときに前記トラックと係合するように構成される、請求項1に記載のシートレールアセンブリ。
【請求項8】
前記下側係合部材は、引張りばねによって前記第1の方向に付勢される、請求項1に記載のシートレールアセンブリ。
【請求項9】
前記上側係合部材は、ねじりばねによって前記第2の方向に付勢される、請求項1に記載のシートレールアセンブリ。
【請求項10】
車両シートを車両フロアに取り付けるためのシートレールアセンブリであって、
車両フロアに取り付けられるように構成された第1のレールであって、摺動スペースを画定する、該第1のレールと、
その上に取り付けられる車両シートを支持するように構成された第2のレールであって、その少なくとも一部が前記第1のレールの前記摺動空間内に設けられ、かつ、前記第1のレールに対して第1の方向または前記第1の方向と反対の第2の方向に摺動可能である、該第2のレールと、
前記第1のレールと前記第2のレールとの間に設けられた係合アセンブリであって、前記第2のレールの傾斜面上に摺動可能に設けられた、該係合アセンブリと、
前記係合アセンブリが前記第2のレールの前記傾斜面に沿って第1の位置に向けて付勢されるように、前記係合アセンブリを前記第2のレールに連結する線形付勢部材と、を備え、
前記第2のレールが前記第1のレールに対して摺動するとき、前記係合アセンブリは、前記第1のレールの内面及び前記第2のレールの前記傾斜面の両方との接触を維持する、シートレールアセンブリ。
【国際調査報告】