(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-15
(54)【発明の名称】二輪車フレームの製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 45/14 20060101AFI20231208BHJP
【FI】
B29C45/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552452
(86)(22)【出願日】2021-08-25
(85)【翻訳文提出日】2022-08-31
(86)【国際出願番号】 EP2021073474
(87)【国際公開番号】W WO2022122194
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】102020133019.7
(32)【優先日】2020-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】518377218
【氏名又は名称】プラスチック イノベーション ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャクマック ウムート
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフスベアガ クリスティアン
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AA03
4F206AA13
4F206AA28
4F206AA29
4F206AD16
4F206AG07
4F206AH17
4F206AK02
4F206JA07
4F206JB12
4F206JB28
4F206JF01
4F206JF05
4F206JL02
4F206JM04
4F206JN12
4F206JN43
(57)【要約】
本発明は、熱可塑性樹脂の溶融物が射出成形器具のキャビティ内に射出され、その後の、チューブ状フレームの内部中空空間を形成するための流体射出によって、樹脂溶融物の一部が、流体射出キャビティから再び変位され、流体が、変位工程の過程で上方に流れる、二輪車フレームを製造する射出成形方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのチューブ状フレーム構成要素を有する二輪車フレームを製造する方法であって、
前記チューブ状フレーム構成要素の内部中空空間を形成するために、樹脂溶融物の一部が、キャビティから少なくとも1つの出口を通って、少なくとも1つの流体射出点を通る後続の流体射出によって変位される前に、熱可塑性樹脂の溶融物が、最初に、少なくとも1つの樹脂射出点を通って、射出成形器具のキャビティ内に射出され、
前記流体射出点は、変位された樹脂溶融物のための出口の下の射出成形器具に配置され、
その結果、流体は、変位工程の過程で上方に流動する
ことを特徴とする、二輪車フレームを製造する方法。
【請求項2】
前記キャビティの形状と、前記射出成形器具における前記出口及び前記流体射出点の位置とは、前記流体が前記変位工程の過程において連続的に上方に流れるように設定される
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記流体射出が、2つの流体の連続射出、好ましくは気体及び液体の連続射出を含む
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記樹脂射出点は、前記射出成形器具において、前記変位された樹脂溶融物のための前記出口の下にも配置され、好ましくは、前記流体射出点の領域に配置される
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記熱可塑性樹脂の溶融物の少なくとも一部が、前記変位された樹脂溶融物のために前記出口を通って前記キャビティ内に射出される
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記二輪車フレームは、
ステアリングチューブと、
ダウンチューブと、
2つのチェーンステーとを備え、
前記流体は、前記ステアリングチューブに対応する領域内の前記キャビティ内に射出され、前記変位された樹脂溶融物は、前記チェーンステーのドロップアウトに対応する領域に配置された出口を通って前記キャビティから押し出される
ことを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記二輪車フレームは、
ステアリングチューブと、
ダウンチューブと、
シートチューブと、
2つのチェーンステーと、
2つのシートステーとを備え、
前記流体は、前記ステアリングチューブに対応する領域内の前記キャビティに射出され、
前記変位された樹脂溶融物は、前記シートステーの上端に対応する領域内に配置された少なくとも1つの出口を通って前記キャビティから追い出される
ことを特徴とする請求項1から5のうちの1項に記載の方法。
【請求項8】
前記流体は、左右の前記チェーンステー、及び任意選択でさらに左右のシートステーを通って連続的に導かれる
ことを特徴とする、請求項6又は7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記二輪車フレームは、
ステアリングチューブと、
ダウンチューブと、
2つのチェーンステーと、
前記ダウンチューブと前記チェーンステーとの間の遷移領域に配置されたボトムブラケットマウント又はモータマウントとを備え、
前記流体は、前記ボトムブラケットマウント又は前記モータマウントの領域に射出され、
前記出口は、好ましくは、前記ステアリングチューブの領域に配置される
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記二輪車フレームは、再充電可能なバッテリのためのマウントを有し、
前記マウントは、樹脂溶融物でオーバーモールドされ、
好ましくは、射出成形器具の開放方向に垂直又は横方向にフレームを離型する前にキャビティから引き出されるコアによってキャビティ内に形成される
ことを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記二輪車フレームがステアリングチューブを含み、
中空の、好ましくはスリーブ状の挿入部品が、前記ステアリングチューブに対応する前記キャビティの領域に挿入され、前記樹脂溶融物でオーバーモールドされる
ことを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
中空の挿入部品は、開口部を有し、前記開口部が、前記二輪車フレームのダウンチューブ又はクロスバーに対応する前記キャビティの領域に面するように、前記キャビティ内に挿入される
ことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記二輪車フレームは、挿入部品として前記キャビティの対応する領域に挿入され、前記樹脂溶融物で少なくとも部分的にオーバーモールドされるシートチューブを備える
ことを特徴とする、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記シートチューブは、半径方向周辺ジャケットに1つ以上の開口部を有し、前記開口部が、前記二輪車フレームのダウンチューブ、クロスバー、チェーンステー、又はシートステーに対応する前記キャビティの領域の領域に面するように、前記キャビティ内に挿入される
ことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記流体射出点が、挿入された前記シートチューブの領域、好ましくは、挿入された前記シートチューブの上端に近い領域に位置する
ことを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記二輪車フレームのクロスバーに対応する前記キャビティの領域を定義する前記射出成形器具の部位が、前記クロスバーのないフレームを製造するために、又は同じ射出成形器具を使用して前記クロスバーの異なる設計を実施するために、切り離すか、又は交換することができる
ことを特徴とする、請求項1から15のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのチューブ状フレーム要素を有する二輪車フレームの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形法によって少なくとも1つのチューブ状フレーム構成要素を有する二輪車フレームを製造することが従来技術から知られており、この射出成形法では、まず、熱可塑性樹脂の溶融物を金型内に射出し、その後、樹脂溶融物の一部を、その後の流体射出によって再び金型から移動させて、チューブ状フレーム構成要素の内部中空空間を形成する。これに関連して、例えば、特許文献1又は特許文献2を参照することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許出願公開第103552220号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102015008561号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、工程効率及び製品品質を改善するために、前記方法を最適化することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この背景に対して、本発明は、少なくとも1つのチューブ状フレーム構成要素を有する二輪車フレームを製造する方法に関し、この方法は、チューブ状フレーム構成要素の内部中空空間を形成するために、樹脂溶融物の一部が、少なくとも1つの流体射出点を通る後続の流体射出によって、少なくとも1つの出口を通ってキャビティから再び変位される前に、熱可塑性材料の溶融物が、少なくとも1つの流体射出点lを通って射出成形型のキャビティ内にも最初に射出される射出成形方法を含む。
【0006】
本発明によれば、流体射出点は、変位された樹脂溶融物のための出口の下の射出成形器具に配置され、その結果、流体は、変位工程の過程で上方に流動するという規定がなされる。
【0007】
変位された樹脂溶融物のための複数の出口が射出成形器具に設けられる場合、これらの出口の全ては、好ましくは、射出点の上方に配置される。フレームの異なる部位から樹脂溶融物を変位させるために、複数の射出点を設けることもでき、特定のフレーム領域から樹脂を変位させる過程で、1つ又は複数の出口が射出点のそれぞれと協働することができる。これらの場合、好ましくは、射出点が出口の下に配置されることが、射出点及び出口の協働する全ての対に適用される。
【0008】
したがって、本発明の鍵となるアイデアは、射出成形器具内又は成形フレーム構造体のコア内で流体が上向きに流れることである。樹脂溶融物は、重力に抗してキャビティから上方に押し出されるか、又は成形フレーム構造から押し出される。完成したフレーム部品中の流体包有物の形成は、実際には、この流れ方向の選択によって大部分回避できる。
【0009】
キャビティの形状、射出成形器具における出口及び流体射出点の位置は、好ましくは、流体が変位工程の過程で連続的に上方に流れるようになっている。換言すれば、流体の流れの平均方向が、流体射出点よりも上の出口の配置上にある場合と同様に、上方を向く必要は必ずしもなく、射出成形器具内又は成形フレーム構造内の流体が、実際には、水平に、又は時には下方にも流れないように、連続的に上方を向くことが好ましい。
【0010】
射出成形器具は、射出点における流体のための適切な射出ノズルを有する。流体は、液体、例えば水、又は気体、例えば空気とすることができる。液体、特に水の使用は、圧縮性の欠如のために、実施形態において好ましいことがある。
【0011】
一実施形態では、2つの流体の連続射出が好ましい場合がある。例えば、気体、例えば、最初に圧縮空気のような圧縮気体、次いで、例えば水のような液体を、連続的に射出することができる。次いで、液体は、それより前に気泡を押し出す。このような手続の利点は、提示された気体が、高温樹脂溶融物と液体との間の絶縁層として役立つことができることである。
【0012】
オーバーフローキャビティ、又は質量背圧が提供される場合、ホットチャネルは、出口に隣接することができる。この方法の変形例では、可能なオーバーフローキャビティは、この目的のために射出成形器具に別個に設けられた装置によって、射出成形及び過剰な溶融物の放出後に分離することができる。装置は、例えば、自動的に移動可能なカッター又は自動的に移動可能なブレードであってもよい。
【0013】
好ましくは、本発明による方法の枠組みの中で、樹脂射出点は、射出成形器具において、変位された樹脂溶融物のための出口の下にも配置され、好ましくは流体射出点の領域に配置される。キャビティ内の溶融物の上昇は、樹脂射出にも有利であり得る。これらの利点は、特に、流体射出の開始前にキャビティが樹脂で完全に充填されておらず、むしろ、キャビティの最上部領域が、変位工程の過程で変位によって上方に移動する樹脂材料のみで充填されている場合に、それら自体に生じる。溶融物の一部のみ、又は熱可塑性樹脂の全溶融物は、射出成形器具の出口の下に設けられたこの樹脂射出点を通してキャビティ内に射出することができる。
【0014】
熱可塑性樹脂溶融物の少なくとも一部が、変位された樹脂溶融物のための出口を通してキャビティ内に射出される方法の一実施形態として考えられる。したがって、出口は、同時に、変位された樹脂溶融物のための樹脂射出点としての役割を果たす。流体射出点から離れたこの点における溶融物の少なくとも一部の射出は、キャビティ内の溶融物の均一な分布を促進することができる。さらに、キャビティ内及びキャビティ外への必要な入口及び出口の数が減少する。
【0015】
本発明の過程で製造される二輪車フレームは、一実施形態では、電気モータ支援を伴う又は伴わない自転車のフレーム、例えば、都市バイク、レーシングバイク又はマウンテンバイクなどのスポーツバイク、又は子供の自転車とすることができる。別の実施形態では、それはまた、電動補助自転車、原動機付自転車、又はオートバイのフレームであってもよい。
【0016】
本発明による方法の好ましい実施形態においても製造される確立された車両フレームは、ステアリングチューブ、ダウンチューブ、シートチューブ、2つのチェーンステー、及び2つのシートステーを含む。
【0017】
ステアリングチューブはフレームの最前面にある。短いチューブは、ほぼ垂直に配向され、前輪とハンドルバーをつなぐ自転車の組立状態でヘッドチューブが押される。ダウンチューブは、後部でステアリングチューブに隣接し、それをボトムブラケットマウントに、又は、中央モータを有する電動自転車の場合には、典型的にはフレームの最下点に配置されるモータマウントに接続する。ダウンチューブは、ステアリングチューブを起点として斜め下方に走り、直線状に形成することも、わずかに湾曲させることもできる。ダウンチューブは、典型的には、比較的大きな直径及び比較的大きな材料強度を有することが多いように、フレームの安定性にとって決定的である。シートチューブは、ボトムブラケットマウント又はモータマウントの領域から始まって、ほぼ垂直上方に走る。サドル支持体がその上端に挿入され、サドルがそこに固定される。サドルは、任意に、シートチューブに直接固定することもできる。多くの場合、フレームは、ダウンパイプ及びシートパイプに加えて、ステアリングチューブをシートチューブの上部領域に接続するクロスバーを有する。ステアリングチューブ、ダウンチューブ、シートチューブ、及びオプションとしてクロスバーが一緒になって、いわゆるメインフレームを形成する。
【0018】
チェーンステーとシートは共に、横向きに三角形であるフレームの後方構造を形成する。チェーンステーは、水平方向にボトムブラケットマウント又はモータマウントの領域から始まって、後輪が取り付けられる、いわゆるドロップアウトまで後方に向かってわずかに上昇するように延びており、一方、シートステーは、原則として、ドロップアウトをメインフレームの上方領域に、概してシートチューブの上方領域に接続している。
【0019】
本発明の特に好ましい実施形態では、ステアリングチューブに対応する領域内のキャビティ内に射出された流体及び変位された樹脂溶融物は、ドロップアウト、チェーンステー、又はシートステーの上端に対応する領域内に配置された出口を通ってキャビティから押し出される。したがって、溶融物がドロップアウトの領域においてキャビティから押し出されるか、又は溶融物がシートステーを同時に通過して押し出され、シートステーの上端においてのみキャビティを出てシートチューブの領域に留まるようにすることができる。
【0020】
本実施形態における射出成形器具における成形フレームの位置は、完成した二輪車におけるフレームの位置に対応していないことが好ましい。成形フレームの位置は、ステアリングチューブが最下点を表し、チェーンステーの後端が最上点を表すようにすることが、むしろ好ましい。
【0021】
これらの実施形態では、流体チャネルは、シートチューブの領域において分離する。成形部品としてキャビティ内に挿入されたシートチューブは、この分割の原因となり得る。本方法の一実施形態では、流体は、左右のチェーンステー、及び任意選択でさらに左右のシートステーを通って連続的に導かれるようにすることができる。
【0022】
また、樹脂溶融物は、ステアリングチューブに対応する領域のキャビティ内に射出することもできる。
【0023】
代替的に、流体及び/又は樹脂が、ダウンチューブの下端の領域、又はボトムブラケットマウント又はモータマウントの領域に射出されるように設けることもできる。1つ又は複数の出口は、シートチューブの上側又はこの場合はステアリングチューブの上側に対応するキャビティの領域に配置することができる。射出成形器具内の成形フレームの位置は、これらの実施形態では、ほぼ完成した二輪車内のフレームの位置に対応することができる。
【0024】
フレームが、例えば、電動自転車用フレームを有するケースのようなダウンチューブの領域に、再充電可能バッテリ用のマウントを有するべき場合、これらのマウントは、キャビティ自体又はコアによって形成され、樹脂溶融の変位によって生成された流体チャネルがこれらのマウントを過ぎるように導く。コアによる形成の場合、コア引き上げ装置を用いて、射出成形器具の半分の最終的な開口部の前に、コアをキャビティから引き出すか、又は生成されたフレームから、開口部方向に対して法線方向又は横方向に引き出すことが好ましい。
【0025】
ステアリングチューブを形成するために、本発明の一実施形態では、中空の、好ましくはスリーブ状の挿入部品を、ステアリングチューブに対応するキャビティの領域に挿入することができ、樹脂溶融物でオーバーモールドすることができる。スリーブは、金属又は非金属材料から製造することができる。
【0026】
これに関連して、中空挿入部が開口部を有し、開口部が、フレームのダウンチューブ又はクロスバーに対応するキャビティの領域に面するように、キャビティ内に配置されることが好ましい場合がある。スリーブ状の挿入部品の場合、開口部は、半径方向周縁ジャケット内に配置することができる。一実施形態では、好ましくは、ステアリングチューブが最下点を表す射出成形器具内の成形フレームの位置において、流体射出点が挿入スリーブの領域内に位置し、流体のための流路がスリーブの中空空間、及び、ダウンチューブ又はクロスバーに挿入部品の開口部を通って、チェーンステー又はシートステーの後端の出口まで導く。ここでは、流体チャネルも分離している。
【0027】
挿入されたスリーブの領域に樹脂射出個所を配置することもできる。樹脂射出器及び流体射出器は、例えば、スリーブ又はキャビティの対応する領域に対向して配置された軸方向端部に配置することができる。
【0028】
一実施形態では、本方法の過程で、シートチューブは、キャビティの対応する領域に挿入部品として挿入され、樹脂溶融物で少なくとも部分的にオーバーモールドされることができる。シートチューブは、金属又は非金属材料から製造することができる。
【0029】
これに関連して、特に、シートチューブが、半径方向周辺ジャケットに1つ以上の開口部を有し、開口部が、フレームのダウンチューブ、クロスバー、チェーンステー、又はシートステーに対応する、又は対応するキャビティの領域の領域に面するように、キャビティ内に挿入されるようにすることができる。開口部が、フレームのダウンチューブ又はクロスバーに対応するキャビティの領域に面する場合、シートチューブの中空内部空間は、樹脂溶融物の射出及びステアリングチューブの領域内の流れのための樹脂溶融物の流路として機能することができる。この流路は、チェーンステー又はシートステーに対向するキャビティの領域に対応する開口部を介して、ステーの後端の出口までさらに引き出すことができる。
【0030】
ステアリングチューブが最下点を表す射出成形器具内の成形フレームの位置の場合、好ましくは挿入されたシートステーの領域、好ましくは挿入されたシートチューブの上端に近い領域に流体射出点が位置するように設けることもできる。次いで、流体のための流路が、シートチューブの中空空間を通って、サドル支持体の半径方向開口部を通って、シートステーの後端の出口まで、又はそれに一致するチェーンステーの後端の出口まで、2つのシートステー内に導くことができる。ここでは、流体チャネルも分離している。
【0031】
本発明による方法の代替実施形態では、ボトムブラケットマウント又はモータマウントの周りのダウンチューブの後方領域が、射出成形器具内の成形フレームの最下点を表す場合、そこで樹脂及び/又は流体の射出を行うこともできる。本発明のこの変形例では、挿入部品、例えば、スリーブ又はシートチューブ内の中空空間は、樹脂溶融物及び流体の流路を補完することができる。
【0032】
したがって、シートステー又はチェーンステーの後端の出口は、ステアリングチューブの領域内の流体射出点によって、また、シートチューブの領域内の流体射出点によって、上方に向けられた流体経路を定めることができる。
【0033】
挿入されたシートチューブの領域には、樹脂射出点を配置することもできる。
【0034】
一実施形態では、フレームのクロスバーに対応するキャビティの領域を定義する射出成形器具のセクションは、クロスバーのないフレームを製造するために、又は同じ射出成形器具を使用する本発明による方法の過程でクロスバーの異なる設計を実施するために、切り離すか、又は交換することができる。射出成形器具の対応する部分は、特に、交換可能な器具挿入物によって形成することができる。この射出成形器具の形成は、例えば、同じ射出成形器具を使用して、女性用自転車に典型的なクロスバー及びステップスルーを有する通常のフレームの両方を製造することを可能にする。
【0035】
本発明の変形例では、流体射出器がキャビティ内に突出し、樹脂溶融物で部分的にオーバーモールドされる。この場合、流体射出器に断熱層、例えばセラミック層又はテフロン層が設けられていることが好ましい。
【0036】
本発明の変形例では、製造されたフレームがホットチャネルから部品キャビティへの接続部を有し、溶融物がホットチャネルからコールドチャネルのサブディストリビュータを介してキャビティ内に移動することができるようになっている。
【0037】
複数の流体容積流の場合、それらは、最大4mmの壁厚によって互いに分離されるべきである。
【0038】
本発明の変形例では、発射体がキャビティ内に導入され、溶融物の放出時の流体圧力によって流体の前方に少なくとも部分的に駆動される。入射粒子は、フレームでの一定の残余壁厚の到達を促進することができる。
【0039】
ポリアミド、例えば、ポリアミド12、ポリアミド6、又はポリアミド6.6、ポリオレフィン、例えば、ポリプロピレン又はポリエチレン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリフェニルスルフィド、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート/アクリロニトリルブタジエンスチレン(PC/ABS)、又はポリカーボネート(PC)は、本発明による方法の一部として使用するための樹脂ポリアミドとして適している。ポリブチルエンテレフタレート又はポリエチレンテレフタレートエチレンは、本発明の実施形態において特に好適である。樹脂溶融物は、機械的性質を改善するために、ガラス又は炭素の繊維などの充填剤を含有することができる。炭素繊維マット又はガラス繊維マットをキャビティ内に挿入することも、本発明の変形例において提供することができる。
【0040】
本発明のさらなる詳細及び利点は、図面を参照して以下に説明する実施形態から得られる。図に示される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1a】部分的に示された成形フレームを有する射出成形器具の一方側の平面図である。
【
図1b】部分的に示された成形フレームを有する射出成形器具の一方側の斜視図である。
【
図2】半径方向の開口部を有するステアリングチューブのための挿入スリーブを示す斜視図である
【
図3】
図1に示す本発明の変形例における流体の流れ方向を表す図である。
【
図4】
図1に示される本発明の変形例の拡張バージョンにおける流体の流れ方向を示す図である。
【
図5】自転車フレームのクロスバーに対応する射出成形キャビティ領域の可能な分離のための概略図である。
【
図6】本発明の過程における代わりの方法管理のための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
部分的にのみ示される成形フレーム20を有する射出成形器具10の一方側の図は、
図1a及び
図1bに示される。
【0043】
図示の成形フレーム20の領域は、ステアリングチューブ21と、ダウンチューブ22と、2つのチェーンステー23とを備えている。図示された射出成形器具10の部分は、フレーム20の対応する領域を離型するためのキャビティ11と、ステアリングチューブ21に対応するキャビティ11の領域に配置された流体射出器12と、チェーンステー23の後端に対応するキャビティ11の領域に配置された2つのオーバーフローキャビティ13とを備えている。
【0044】
フレーム20を製造する射出成形方法の実施の過程における射出成形器具10の位置決めは、
図1a及び
図1bに示す通りである。したがって、ステアリングチューブ21に対応するキャビティ11の領域は、最下点に配置され、チェーンステー23の後端に対応するキャビティ11の領域は、最上点に配置される。それに応じて、流体射出器12は、オーバーフローキャビティ13の下方に配置される。
【0045】
フレーム20を製造する方法の過程で、例えばポリアミドの熱可塑性樹脂の溶融物が、
図1a又は
図1bには示されていない樹脂射出器によってキャビティ11内に最初に射出されるが、キャビティ11が、例えばダウンチューブ22とチェーンステー23との間の遷移領域まで、及びその中に部分的に充填されるまで、ステアリングチューブ21に対応するキャビティ11の領域内に同様に配置される。続いて、流体、例えば水が、流体射出器12によってキャビティ11内に押し込まれる。流体は、キャビティ11の表面に直接隣接するバーの領域が既に冷却され、そこで変位がもはや生じないほど硬化されている間に、ダウンチューブ22に対応するキャビティ11の領域で生成された最初に中実の樹脂バーの樹脂コアを変位させる。変位された樹脂材料は、最初に、空のままであるキャビティ11の領域、特にチェーンステー23に対応する領域を満たす。これらの領域も完全に充填されると、変位された樹脂材料は、対応する出口を通ってオーバーフローキャビティ13内に逃げる。流体の射出は、示された全てのフレーム領域、すなわちダウンチューブ22及びチェーンステー23が、樹脂コアの最初の棒状要素からの変位によってチューブ状になるまで、長く継続される。その後、流体射出は終了し、流体は、製造されたフレーム20のコアから取り出され、例えば吸引される。本発明の変形例では、流体はまた、その除去前の特定時間の間、チューブ内に留まることができ、また、製造されたフレームのチューブ壁の冷却及び硬化を補助するために、任意選択で、チューブ内を循環させることもできる。完成したフレーム20は、その後、離型される。
【0046】
図2に示すような金属スリーブ30が、樹脂溶融物の射出前に、ステアリングチューブ21に対応するキャビティ11の領域に挿入される。金属スリーブ30は樹脂でオーバーモールドされ、完成したフレーム20内のステアリングチューブを補強する。
【0047】
図2で認識できるように、スリーブ30は、半径方向の開口部31を有する。スリーブ30は、開口部31がフレーム20のダウンチューブ22に対応するキャビティ11の領域に面するように、本方法の過程でキャビティ11内に配置される。したがって、樹脂溶融物の流れ及び流体の流れは、スリーブ30によって妨害されない。
【0048】
示された方法管理の過程における流体の流れは、
図3に描かれた範囲経路V1を参照して認識することができる。
【0049】
上述した方法の拡張は、樹脂からなるシートチューブ24がキャビティの領域(
図1a又は
図1bには示されていない)に挿入された部分として挿入される
図4において認識され得る。樹脂及び流体用のさらなる噴射ノズルは、シートチューブ24の上端に位置し、シートチューブ24は、シートステー25に対応するキャビティの領域に対応する半径方向の開口部を有する(
図1a又は
図1bには示されていない)。
図4に2つの別個の流体の流れV1及びV2の結果を示し、この流体の流れV1は、
図3の変形例において既に示されたものに対応するものである。シートチューブ24は、キャビティのある領域が樹脂の挿入された部分を取り囲み、樹脂がキャビティの壁と挿入部品との間の隙間に射出されるという点で、樹脂で完全にオーバーモールドすることもできる。
【0050】
図5は、本発明による方法の過程において、フレーム20のクロスバー26に対応するキャビティ11の領域を交換可能な器具インサートによって切り離す可能性を概略的に示す。本発明のこの変形例は、クロスバーを有する通常のフレーム、すなわち、例えば、スポーツ自転車及び男性用自転車に典型的なダイヤモンドフレームと、女性用自転車に典型的なステップスルー又はウェーブフレームとの両方を製造することを可能にする。キャビティがフレームの異なる位置に配置されたクロスバーに対応する2つの領域を有する場合には、クロスバーの位置をこのように変更することもできる。
【0051】
最後に、
図6は、樹脂溶融物及び流体のための代替的な流路を使用する代わりの方法管理を示す。本方法の、この変形例では、ダウンチューブ22の後方領域は、射出成形器具10内の成形フレーム20の最下点を表す。したがって、樹脂及び流体の射出もそこで行われる。挿入された部分、すなわち、スリーブ30及びシートチューブ24の中の中空空間は、流れ矢印V3を参照して認識できるように、この変形例では、樹脂溶融物及び流体のための流路を補完する。
【国際調査報告】