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特表2023-552260ペンダント型可溶化部分を有する熱安定性ポリチオールリガンド
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  • 特表-ペンダント型可溶化部分を有する熱安定性ポリチオールリガンド 図1
  • 特表-ペンダント型可溶化部分を有する熱安定性ポリチオールリガンド 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-15
(54)【発明の名称】ペンダント型可溶化部分を有する熱安定性ポリチオールリガンド
(51)【国際特許分類】
   C08G 65/334 20060101AFI20231208BHJP
【FI】
C08G65/334
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519194
(86)(22)【出願日】2021-09-28
(85)【翻訳文提出日】2023-04-19
(86)【国際出願番号】 US2021052280
(87)【国際公開番号】W WO2022067222
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】63/084,299
(32)【優先日】2020-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000186762
【氏名又は名称】昭栄化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116713
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 正己
(74)【代理人】
【識別番号】100179844
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 芳國
(72)【発明者】
【氏名】オルマイヤー,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】タンジララ,ラビスバーシュ
(72)【発明者】
【氏名】スミス,オースティン
【テーマコード(参考)】
4J005
【Fターム(参考)】
4J005AA12
4J005BA00
4J005BD06
(57)【要約】
本発明は、ナノ構造体組成物、及びナノ構造体組成物を生産する方法を提供する。ナノ構造体組成物は、ペンダント部分を有するポリチオールリガンドを含むナノ構造体の集団を含む。ペンダント部分を有するポリチオールリガンドは、溶媒及び樹脂におけるナノ構造体の溶解性を向上させる。本発明はまた、ナノ構造体組成物を含むナノ構造体膜、及びナノ構造体組成物を使用してナノ構造体膜を作る方法も提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ構造体組成物であって、
(b)ナノ構造体;及び
(b)前記ナノ構造体の表面上に分散したポリチオールリガンド
を含み、前記ポリチオールリガンドが式I:
【化1】
〔式中、
CMは中心部分であり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
Bは、-CH-CH-C(=O)-O-、-CH-C(CH-C(=O)-O-、-CH-CH(CH)-C(=O)-NH-、-C(=O)-NH-、-CH-CH-、または-CH-CH(OH)-CH-O-であり;
は、結合、またはC1-12アルキレンであり;
は、結合、-O-、-C(=O)-O-、または-C(=O)-N-であり;
1A及びR1Bは、独立して、H、またはC1-20アルキルであり;
は、C1-20アルキル、またはC1-20アルコキシである。
aは2~10であり;
bは0~10であり;
cは2~10であり;
dは0~10であり;
eは1~100であり;
fは0~100であり;
a+b+c+d≧3である〕
を有する、前記ナノ構造体組成物。
【請求項2】
前記ポリチオールリガンドが式II:
【化2】
〔式中、
CMは中心部分であり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
Bは、-CH-CH-C(=O)-O-、-CH-C(CH-C(=O)-O-、-CH-CH(CH)-C(=O)-NH-、-C(=O)-NH-、-CH-CH-、または-CH-CH(OH)-CH-O-であり;
は、結合、またはC1-12アルキレンであり;
は、結合、-O-、-C(=O)-O-、または-C(=O)-N-であり;
1A及びR1Bは、独立して、H、またはC1-20アルキレンであり;
は、C1-20アルキレン、またはC1-20アルコキシである。
aは2~10であり;
cは2~10であり;
eは1~100であり;
fは0~100であり;
a+c≧3である〕
を有する、請求項1に記載のナノ構造体組成物。
【請求項3】
CMが、
アルカン、1,3,5-トリアジン、ペンタエリスリトール、1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン、トリメチロールプロパン、及び(プロパン-2,2-ジイルビス(4,1-フェニレン))ビス(λ’-オキシ)
からなる群から選択される、請求項1または請求項2に記載のナノ構造体組成物。
【請求項4】
前記ナノ構造体が、
InP、InZnP、InGaP、CdSe、CdS、CdSSe、CdZnSe、CdZnS、ZnSe、ZnSSe、InAs、InGaAs、及びInAsP
からなる群から選択されるコアを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のナノ構造体組成物。
【請求項5】
前記ナノ構造体が、少なくとも1つのシェルを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のナノ構造体組成物。
【請求項6】
、X及びXが結合である、請求項1~5のいずれか1項に記載のナノ構造体組成物。
【請求項7】
が-C(=O)-であり、XがC1-10アルキレンであり、Xが結合である、請求項1~5のいずれか1項に記載のナノ構造体組成物。
【請求項8】
がC2-10ヘテロアルキレンであり、Xが-C(=O)-であり、XがC1-10アルキレンである、請求項1~5のいずれか1項に記載のナノ構造体組成物。
【請求項9】
が置換C2-10ヘテロアルキレンであり、Xが結合であり、Xが結合である、請求項1~5のいずれか1項に記載のナノ構造体組成物。
【請求項10】
Bが-CH-CH-である、請求項1~9のいずれか1項に記載のナノ構造体組成物。
【請求項11】
がC1-10アルキレンであり、Xが-C(=O)-O-である、請求項1~10のいずれか1項に記載のナノ構造体組成物。
【請求項12】
1AがHであり、eが1~100であり、aが2であり、cが2である、請求項1~11のいずれか1項に記載のナノ構造体組成物。
【請求項13】
前記ナノ構造体組成物が、
水、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、イソプロパノール、n-プロパノール、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ベンゾニトリル、シクロヘキサン、クロロホルム、酢酸エチル、酢酸プロピレングリコールメチル、及びジクロロメタン
からなる群から選択される溶媒に可溶である、請求項1~12のいずれか1項に記載のナノ構造体組成物。
【請求項14】
ナノ構造体上の第1リガンドを第2リガンドに置き換える方法であって、
前記ナノ構造体に非共有結合的に結合した第1リガンドを有するナノ構造体の集団を含む反応混合物と、ポリチオールリガンドである第2リガンドとを混和し、その結果として前記第2リガンドが前記第1リガンドに取って代わって前記ナノ構造体に非共有結合的に結合すること
を含み、前記ポリチオールリガンドが式I:
【化3】
〔式中、
CMは中心部分であり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
Bは、-CH-CH-C(=O)-O-、-CH-C(CH-C(=O)-O-、-CH-CH(CH)-C(=O)-NH-、-C(=O)-NH-、-CH-CH-、または-CH-CH(OH)-CH-O-であり;
は、結合、またはC1-12アルキレンであり;
は、結合、-O-、-C(=O)-O-、または-C(=O)-N-であり;
1A及びR1Bは、独立して、H、またはC1-20アルキルであり;
は、C1-20アルキル、またはC1-20アルコキシである。
aは2~10であり;
bは0~10であり;
cは2~10であり;
dは0~10であり;
eは1~100であり;
fは0~100であり;
a+b+c+d≧3である〕
を有する、前記方法。
【請求項15】
CMが、
アルカン、1,3,5-トリアジン、ペンタエリスリトール、1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン、トリメチロールプロパン、及び(プロパン-2,2-ジイルビス(4,1-フェニレン))ビス(λ’-オキシ)
からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ナノ構造体が、
InP、InZnP、InGaP、CdSe、CdS、CdSSe、CdZnSe、CdZnS、ZnSe、ZnSSe、InAs、InGaAs、及びInAsP
からなる群から選択されるコアを含む、請求項14または請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ナノ構造体膜層であって、
(b)ナノ構造体;
(b)前記ナノ構造体の表面上に分散したポリチオールリガンドであって式I:
【化4】
〔式中、
CMは中心部分であり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
Bは、-CH-CH-C(=O)-O-、-CH-C(CH-C(=O)-O-、-CH-CH(CH)-C(=O)-NH-、-C(=O)-NH-、-CH-CH-、または-CH-CH(OH)-CH-O-であり;
は、結合、またはC1-12アルキレンであり;
は、結合、-O-、-C(=O)-O-、または-C(=O)-N-であり;
1A及びR1Bは、独立して、H、またはC1-20アルキルであり;
は、C1-20アルキル、またはC1-20アルコキシである。
aは2~10であり;
bは0~10であり;
cは2~10であり;
dは0~10であり;
eは1~100であり;
fは0~100であり;
a+b+c+d≧3である〕
を有する前記ポリチオールリガンド;及び
(c)少なくとも1つの有機樹脂
を含む、前記ナノ構造体膜層。
【請求項18】
CMが、
アルカン、1,3,5-トリアジン、ペンタエリスリトール、1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン、トリメチロールプロパン、及び(プロパン-2,2-ジイルビス(4,1-フェニレン))ビス(λ’-オキシ)
からなる群から選択される、請求項17に記載のナノ構造体膜層。
【請求項19】
前記ナノ構造体膜層が約20%~約40%の光変換効率を呈する、請求項17または請求項18に記載のナノ構造体膜層。
【請求項20】
式IIIのポリチオール:
【化5】
〔式中、
CMは中心部分であり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
aは2~10であり;
bは0~10であり;
a+b≧3である〕
を式Vのポリ(アルキレンオキシド):
【化6】
〔式中、
FGは、アクリレート基、メタクリレート基、アクリルアミド基、イソシアナート基、アルケン基またはグリシジルエーテル基であり、
は、結合、またはC1-12アルキレンであり;
は、結合、-O-、-C(=O)-O-、または-C(=O)-N-であり;
1A及びR1Bは、独立して、H、またはC1-20アルキルであり;
eは1~100であり;
fは0~100であり;
は、C1-20アルキル、またはC1-20アルコキシである〕
と反応させることを含む、請求項1に記載のポリチオールリガンドを調製する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ構造体組成物、及びナノ構造体組成物を生産する方法を提供する。ナノ構造体組成物は、ペンダント部分を有するポリチオールリガンドを含むナノ構造体の集団を含む。ペンダント部分を有するポリチオールリガンドは、溶媒及び樹脂におけるナノ構造体の溶解性を向上させる。本発明はまた、ナノ構造体組成物を含むナノ構造体膜、及びナノ構造体組成物を使用してナノ構造体膜を作る方法も提供する。
【背景技術】
【0002】
量子ドットをその特性の厳密な制御によって調製することを可能にする合成方法は、高疎水性分子リガンドの層で表面が被覆されたナノ結晶を提供する。それゆえ、これらの量子ドットはトルエン、ヘキサンまたはクロロホルムなどの極性有機溶媒だけに(中程度に)可溶である。しかしながら、量子ドットのいくつかの用途は水溶性のナノ結晶を必要としている。この目的は、適切な分子リガンドによるナノ結晶の表面の官能化によって達成され得る。例えば、CdSe/ZnS(コア/シェル)量子ドット及び金ナノ粒子との強い相互作用を示し、水溶液中でのそれらの分散を促進する、一連のポリ(エチレングリコール)系二座リガンドが生産された。Bing,C.M.,et al.,Nature Protocols 4:412-423(2009)。しかしながら、Owen,J.S.,et al.,J.Am.Chem.Soc.130(37):12279-12281(2008)は、オクタデシルホスホナートリガンドを-S-(CHCHO)OCHでリガンド交換することによってチオールがナノ粒子表面に結合したが、ナノ粒子蛍光の消光が引き起こされたことを見出した。
【0003】
有機分子は量子ドットの無機表面に結合して、コロイド安定性を提供しもするし、材料の結晶格子を終端化して、ダングリングボンドによって引き起こされる表面捕捉状態の数を減少させもする。金属カルボキシラート(すなわち、金属オレエート、ステアレート、ラウレートなど)とカルコゲン化物前駆体との反応によって生成した、合成されたままの量子ドットは、主に金属カルボキシラートリガンドによって終端化された、金属に富む量子ドット表面を形成する結果となる。加えて、硫黄前駆体として第一級アルキルチオールを利用する反応の場合には、未反応チオール種もリガンドとしての働きをし得る。
【0004】
ほとんどの量子ドットの天然リガンドセット(金属カルボキシラート、金属チオラート、及びチオールを含む)は疎水性であり、それゆえ、本質的には広範な有機媒体に可溶でない。通常、これらの媒体における溶解性を付与するために表面リガンドを置き換える必要がある。リガンド交換手順は、アミンかカルボン酸かのどちらかで官能化されたポリエチレングリコール(PEG)系高分子リガンドを使用して実施されてきた。いくつかの量子ドットでは、第一級アミンへの曝露が光ルミネセンス量子収率の深刻な消失を招くため、アミン官能基を有するPEG系高分子リガンドを使用できない。カルボン酸官能化高分子リガンドによるリガンド交換は、様々な樹脂配合物における若干の溶解性をもたらすが、リガンド交換による半値全幅(FWHM)のブロード化、高流束試験条件下でのQDEF製品の信頼性、及び発光強度の初期変動(すなわちバーンイン)に関して課題が残っている。これらの懸念事項は、多くの樹脂配合物の中に存在するチオール官能基への曝露がカルボキシラート基の排除及び量子ドットコロイド安定性の乱れを引き起こし得ることを原因としている可能性がある。
【0005】
金属チオラート結合は金属カルボキシラート及び金属ホスホナート結合のどちらよりも強いことが見出されており、チオールまたは対応する脱プロトン化チオラートへの曝露によってカルボキシラートリガンドはカルボン酸として表面から排除される。さらには、チオールは中性L型リガンドとしてもナノ結晶の表面に結合して、金属カルボキシラートリガンドの表面充填によって空いたままとなっている部位を占有し得る。どちらの機構-樹脂配合物中に存在する多官能性チオール分子による高分子カルボン酸リガンドの排除、または複数の量子ドットの凝集-も、量子ドット光学特性の望ましくない低下を招き得る。
【0006】
改善された安定性を有し、ナノ構造体膜を作製するために使用された場合に改善された光学特性をもたらす、ナノ構造体組成物及び/または樹脂混和物を調製することが、必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
提供されるのは、ナノ構造体組成物であって、
(a)ナノ構造体;及び
(b)ナノ構造体の表面上に分散したポリチオールリガンド
を含み、ポリチオールリガンドが式I:
【化1】
〔式中、
CMは中心部分であり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
Bは、-CH-CH-C(=O)-O-、-CH-C(CH-C(=O)-O-、-CH-CH(CH)-C(=O)-NH-、-C(=O)-NH-、-CH-CH-、または-CH-CH(OH)-CH-O-であり;
は、結合、またはC1-12アルキレンであり;
は、結合、-O-、-C(=O)-O-、または-C(=O)-N-であり;
1A及びR1Bは、独立して、H、またはC1-20アルキルであり;
は、C1-20アルキル、またはC1-20アルコキシである。
aは2~10であり;
bは0~10であり;
cは2~10であり;
dは0~10であり;
eは1~100であり;
fは0~100であり;
a+b+c+d≧3である〕
を有する、当該ナノ構造体組成物である。
【0008】
いくつかの実施形態では、ポリチオールリガンドは式II:
【化2】
〔式中、
CMは中心部分であり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
Bは、-CH-CH-C(=O)-O-、-CH-C(CH-C(=O)-O-、-CH-CH(CH)-C(=O)-NH-、-C(=O)-NH-、-CH-CH-、または-CH-CH(OH)-CH-O-であり;
は、結合、またはC1-12アルキレンであり;
は、結合、-O-、-C(=O)-O-、または-C(=O)-N-であり;
1A及びR1Bは、独立して、H、またはC1-20アルキレンであり;
は、C1-20アルキレン、またはC1-20アルコキシである。
aは2~10であり;
cは2~10であり;
eは1~100であり;
fは0~100であり;
a+c≧3である〕
を有する。
【0009】
いくつかの実施形態では、CMは、アルカン、1,3,5-トリアジン、ペンタエリスリトール、1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン、トリメチロールプロパン、及び(プロパン-2,2-ジイルビス(4,1-フェニレン))ビス(λ’-オキシ)からなる群から選択される。
【0010】
いくつかの実施形態では、ナノ構造体は、InP、InZnP、InGaP、CdSe、CdS、CdSSe、CdZnSe、CdZnS、ZnSe、ZnSSe、InAs、InGaAs、及びInAsPからなる群から選択されるコアを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、ナノ構造体は、少なくとも1つのシェルを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、X、X及びXは結合である。
【0013】
いくつかの実施形態では、Xは、-C(=O)-であり、Xは、C1-10アルキレンであり、Xは結合である。
【0014】
いくつかの実施形態では、XはC2-10ヘテロアルキレンであり、Xは、-C(=O)-であり、XはC1-10アルキレンである。
【0015】
いくつかの実施形態では、Xは置換C2-10ヘテロアルキレンであり、Xは結合であり、Xは結合である。
【0016】
いくつかの実施形態では、Bは、-CH-CH-である。
【0017】
いくつかの実施形態では、XはC1-10アルキレンであり、Xは、-C(=O)-O-である。
【0018】
いくつかの実施形態では、R1AはHであり、eは1~100であり、aは2であり、cは2である。
【0019】
いくつかの実施形態では、ナノ構造体組成物は、水、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、イソプロパノール、n-プロパノール、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ベンゾニトリル、シクロヘキサン、クロロホルム、酢酸エチル、酢酸プロピレングリコールメチル、及びジクロロメタンからなる群から選択される溶媒に可溶である。
【0020】
さらに提供されるのは、ナノ構造体上の第1リガンドを第2リガンドに置き換える方法であって、ナノ構造体に非共有結合的に結合した第1リガンドを有するナノ構造体の集団を含む反応混合物と、ポリチオールリガンドである第2リガンドとを混和し、その結果として第2リガンドが第1リガンドに取って代わってナノ構造体に非共有結合的に結合することを含み、ポリチオールリガンドが式I:
【化3】
〔式中、
CMは中心部分であり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
Bは、-CH-CH-C(=O)-O-、-CH-C(CH-C(=O)-O-、-CH-CH(CH)-C(=O)-NH-、-C(=O)-NH-、-CH-CH-、または-CH-CH(OH)-CH-O-であり;
は、結合、またはC1-12アルキレンであり;
は、結合、-O-、-C(=O)-O-、または-C(=O)-N-であり;
1A及びR1Bは、独立して、H、またはC1-20アルキルであり;
は、C1-20アルキル、またはC1-20アルコキシである。
aは2~10であり;
bは0~10であり;
cは2~10であり;
dは0~10であり;
eは1~100であり;
fは0~100であり;
a+b+c+d≧3である〕
を有する、当該方法である。
【0021】
いくつかの実施形態では、CMは、アルカン、1,3,5-トリアジン、ペンタエリスリトール、1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン、トリメチロールプロパン、及び(プロパン-2,2-ジイルビス(4,1-フェニレン))ビス(λ’-オキシ)からなる群から選択される。
【0022】
いくつかの実施形態では、ナノ構造体は、InP、InZnP、InGaP、CdSe、CdS、CdSSe、CdZnSe、CdZnS、ZnSe、ZnSSe、InAs、InGaAs、及びInAsPからなる群から選択されるコアを含む。
【0023】
さらに提供されるのは、ナノ構造体膜層であって、
(a)ナノ構造体;
(b)ナノ構造体の表面上に分散したポリチオールリガンドであって式I:
【化4】
〔式中、
CMは中心部分であり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
Bは、-CH-CH-C(=O)-O-、-CH-C(CH-C(=O)-O-、-CH-CH(CH)-C(=O)-NH-、-C(=O)-NH-、-CH-CH-、または-CH-CH(OH)-CH-O-であり;
は、結合、またはC1-12アルキレンであり;
は、結合、-O-、-C(=O)-O-、または-C(=O)-N-であり;
1A及びR1Bは、独立して、H、またはC1-20アルキルであり;
は、C1-20アルキル、またはC1-20アルコキシである。
aは2~10であり;
bは0~10であり;
cは2~10であり;
dは0~10であり;
eは1~100であり;
fは0~100であり;
a+b+c+d≧3である〕
を有する当該ポリチオールリガンド;及び
(c)少なくとも1つの有機樹脂
を含む、当該ナノ構造体膜層である。
【0024】
いくつかの実施形態では、CMは、アルカン、1,3,5-トリアジン、ペンタエリスリトール、1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン、トリメチロールプロパン、及び(プロパン-2,2-ジイルビス(4,1-フェニレン))ビス(λ’-オキシ)からなる群から選択される。
【0025】
いくつかの実施形態では、ナノ構造体膜層は約20%~約40%の光変換効率を呈する。
【0026】
さらに提供されるのは、式IIIのポリチオール:
【化5】
〔式中、
CMは中心部分であり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
aは2~10であり;
bは0~10であり;
a+b≧3である〕
を式Vのポリ(アルキレンオキシド):
【化6】
〔式中、
FGは、アクリレート基、メタクリレート基、アクリルアミド基、イソシアナート基、アルケン基またはグリシジルエーテル基であり、
は、結合、またはC1-12アルキレンであり;
は、結合、-O-、-C(=O)-O-、または-C(=O)-N-であり;
1A及びR1Bは、独立して、H、またはC1-20アルキルであり;
eは1~100であり;
fは0~100であり;
は、C1-20アルキル、またはC1-20アルコキシである〕
と反応させることを含む、上記に記載されるポリチオールリガンドを調製する方法である。
【0027】
本明細書に援用され、本明細書の一部を形成する添付図は、本発明を例示するものであり、さらには、記載と一緒に、本発明の原理を説明し、当業者が本発明をもたらす及び用いるのを可能にする役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】実施例2のリガンド交換手順を示す流れ図である。第1工程では、PETMP-PEG-480リガンドと、天然リガンドを含有する量子ドットとを酢酸プロピレングリコールメチルエーテルに添加し、次いでこれを1時間にわたって80℃に加熱する。第2工程では、溶液を室温に冷却し、その後、ヘプタンを添加して量子ドットを析出させる。第3工程では、析出物を遠心分離に掛けて、酢酸プロピレングリコールメチルエーテル中に再分散され得る量子ドットペレットをもたらす。
図2】塩基によって触媒されるマイケル付加反応を描いた模式図であり、図中のEWGは電子求引基である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
特に定義されていない限り、本明細書で使用されるすべての科学技術用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されているのと同じ意味を有する。以下の定義は、当技術分野のそれらを補うものであり、かつ本出願に向けられたものであり、いかなる関係する、または無関係な件、例えば、普通に所有されるいかなる特許もしくは出願にも帰するべきでない。本明細書に記載されているものと類似する、または等価な任意の方法及び材料を試験のために実際に用いることはできるが、本明細書には望ましい材料及び方法が記載されている。したがって、本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を記載する目的のためのものであるにすぎず、限定することを意図していない。
【0030】
本明細書及び別記の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は複数形の意味を含んでおり、但し、そうでないことが文脈から明らかに示されている場合を除く。それゆえ、例えば、「ナノ構造体」に対する言及は複数のそのようなナノ構造体を含むといった具合である。
【0031】
本明細書で使用される「約」という用語は、所与の量の値が値の±10%で変動することを表す。例えば、「約100nm」は、端点を含めた90nm~110nmの大きさの範囲を包含する。
【0032】
「ナノ構造体」は、寸法を約500nm未満とする少なくとも1つの領域または特徴的寸法を有する構造体である。いくつかの実施形態では、ナノ構造体は、約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、約20nm未満または約10nm未満の寸法を有する。領域または特徴的寸法は、構造体の最短軸に沿っていることが典型的であろう。そのような構造体の例としては、ナノワイヤ、ナノロッド、ナノチューブ、分岐型ナノ構造体、ナノ四脚体、三脚体、二脚体、ナノ結晶、ナノドット、量子ドット、ナノ粒子などが挙げられる。ナノ構造体は、例えば、実質的に結晶質、実質的に単結晶質、多結晶質、非晶質またはその組合せであり得る。いくつかの実施形態では、ナノ構造体の3つの寸法の各々は、約500nm未満、約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、約20nm未満または約10nm未満の寸法を有する。
【0033】
ナノ構造体に関して使用される場合の「ヘテロ構造体」という用語は、少なくとも2つの異なる及び/または区別可能な材料種を特徴とするナノ構造体を指す。典型的には、ナノ構造体の1つの領域は第1材料種を含む一方、ナノ構造体のもう1つの領域は第2材料種を含む。ある特定の実施形態では、ナノ構造体は、第1材料のコア、及び第2(または第3など)材料の少なくとも1つのシェルを含み、異なる材料種が、例えば、ナノワイヤの長い軸、分岐型ナノワイヤのアームの長い軸、またはナノ結晶の中心の周りに半径方向に分布している。シェルは、シェルとみなされるためには、またはナノ構造体がヘテロ構造体とみなされるためには、必ずしも完全にというわけではないが隣接材料を被覆しているものであり得;例えば、1つの材料のコアがもう1つの材料の小島で被覆されていることを特徴とするナノ結晶はヘテロ構造体である。他の実施形態では、ナノ構造体内で例えばナノワイヤの長軸(長い軸)に沿って、または分岐型ナノワイヤのアームの長い軸に沿って異なる場所に、異なる材料種が分布している。ヘテロ構造体内で異なる領域が全く異なる材料を含んでいる場合もあるし、または異なる領域が、異なるドーパントもしくは異なる濃度の同じドーパントを有する基材(例えばケイ素)を含んでいる場合もある。
【0034】
本明細書で使用される場合、ナノ構造体の「直径」は、ナノ構造体の第1軸に対して垂直な断面の直径を指し、ここで、第1軸は第2及び第3軸に対して長さが最も異なっている(第2及び第3軸は、長さが互いに最も同等である2本の軸である)。第1軸は必ずしもナノ構造体の最も長い軸であるとは限らず、例えば、円盤形ナノ構造体の場合、断面は円盤の短い縦軸に対して垂直な実質的に円形の断面であろう。断面が円形でない場合、直径はその断面の長軸と短軸との平均である。細長い、または高アスペクト比のナノ構造体、例えばナノワイヤの場合、直径は、ナノワイヤの最も長い軸に直交する断面を横切って測定される。球状ナノ構造体の場合、直径は、一方の側から球体の中心を通ってもう一方の側まで測定される。
【0035】
「結晶質」または「実質的に結晶質」という用語は、ナノ構造体に関して使用される場合、ナノ構造体が典型的に構造体の1つ以上の寸法にわたって長距離にわたる秩序性を呈するという事実を指す。単一の結晶の秩序性は結晶の境界を越えて延び得ないため、「長距離にわたる秩序性」という用語が特定のナノ構造体の絶対的大きさに依存することになることは、当業者に理解されよう。この場合、「長距離にわたる秩序性」は、ナノ構造体の寸法の少なくとも大部分にわたる実質的な秩序を意味することになる。場合によっては、ナノ構造体は酸化物などの被膜を保有し得、またはコア及び少なくとも1つのシェルで構成され得る。そのような場合、酸化物、シェル(複数可)または他の被膜がそのような秩序性を必ずというわけではないが呈し得ること(例えば、それが、非晶質、多結晶質またはその他であり得ること)は、認識されよう。そのような場合、「結晶質」、「実質的に結晶質」、「実質的に単結晶質」または「単結晶質」という語句は、(被膜層またはシェルを除いた)ナノ構造体の中心コアに言及している。本明細書で使用される「結晶質」または「実質的に結晶質」という用語は、構造体が実質的に長距離にわたる秩序性(例えば、ナノ構造体またはそのコアの少なくとも1本の軸の長さの少なくとも約80%にわたる秩序)を呈している限り、様々な欠陥、積層欠損、原子置換などを含む構造体も包含することを意図している。加えて、コアとナノ構造体の外側との間、またはコアと隣接シェルとの間、またはシェルと第2隣接シェルとの間の界面が非結晶質領域を含有し得、非晶質でさえあり得ることは、認識されよう。このことは、ナノ構造体が本明細書に定義される結晶質または実質的結晶質であることを妨げない。
【0036】
「単結晶質」という用語は、ナノ構造体に関して使用される場合、ナノ構造体が実質的に結晶質であり、実質的に単一の結晶を含むことを表す。コア及び1つ以上のシェルを含むナノ構造体ヘテロ構造体に関して使用される場合、「単結晶質」は、コアが実質的に結晶質であり、実質的に単一の結晶を含むことを表す。
【0037】
「ナノ結晶」は、実質的に単結晶質であるナノ構造体である。それゆえ、ナノ結晶は、寸法を約500nm未満とする少なくとも1つの領域または特徴的寸法を有する。いくつかの実施形態では、ナノ結晶は、約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、約20nm未満または約10nm未満の寸法を有する。「ナノ結晶」という用語は、様々な欠陥、積層欠損、原子置換などを含む実質的に単結晶質であるナノ構造体、及びそのような欠陥、欠損または置換がない実質的に単結晶質であるナノ構造体を包含することを意図している。コア及び1つ以上のシェルを含むナノ結晶ヘテロ構造体の場合、ナノ結晶のコアは典型的には実質的に単結晶質であるが、シェル(複数可)はそうとは限らない。いくつかの実施形態では、ナノ結晶の3つの寸法の各々は、約500nm未満、約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、約20nm未満または約10nm未満の寸法を有する。
【0038】
「量子ドット」(または「ドット」)という用語は、量子閉じ込めまたは励起子閉じ込めを呈するナノ結晶を指す。量子ドットは材料特性が実質的に均一であり得、または、ある特定の実施形態では、例えばコア及び少なくとも1つのシェルを含んで、不均一であり得る。量子ドットの光学特性は、その粒径、化学組成及び/または表面組成によって影響を受け得、当技術分野で利用できる好適な光学試験によって決定され得る。ナノ結晶径を例えば約1nm~約15nmの範囲に調整する能力は、全光スペクトルでの光電子放出対象範囲を可能にして演色における大きな汎用性を提供する。
【0039】
「リガンド」は、例えばナノ構造体の表面との共有結合性、イオン性、ファンデルワールス性または他の分子相互作用によって、ナノ構造体の1つ以上の結晶面と(弱くであろうと強くであろうと)相互作用できる分子である。
【0040】
「光ルミネセンス量子収率」は、例えばナノ構造体またはナノ構造体の集団によって吸収される光子に対する、放出される光子の比率である。当技術分野で知られているように、量子収率は、既知の量子収率値を有する十分に特性評価された標準試料を使用して比較法によって決定されるのが典型的である。
【0041】
本明細書で使用される場合、「シェル」という用語は、コア上、または先に堆積した同じもしくは異なる組成のシェルの上に堆積した、シェル材料の1回の堆積行為の結果として得られる材料を指す。厳密なシェル厚さは、材料、ならびに前駆体投入量及び転化率によって決まり、ナノメートル単位で、または単層で報告され得る。本明細書で使用される場合、「目標シェル厚さ」は、必要な前駆体量の算出のために用いられる意図したシェル厚さを指す。本明細書で使用される場合、「実シェル厚さ」は、合成後に実際に堆積したシェル材料の量を指し、当技術分野で知られている方法によって測定され得る。例を挙げると、実シェル厚さは、シェル合成前後にナノ結晶の透過型電子顕微鏡(TEM)画像によって決定された粒径を比較することによって測定され得る。
【0042】
本明細書で使用される場合、「可溶化基」という用語は、水への溶解性が低く、ヘキサン、ペンタン、トルエン、ベンゼン、ジエチルエーテル、アセトン、酢酸エチル、ジクロロメタン(塩化メチレン)、クロロホルム、ジメチルホルムアミド及びN-メチルピロリドンなどの有機溶媒への溶解性が高い、実質的に非極性である基を指す。いくつかの実施形態では、可溶化基は、長鎖アルキル、長鎖ヘテロアルキル、長鎖アルケニル、長鎖アルキニル、シクロアルキル、またはアリールである。
【0043】
本明細書で使用される場合、「安定した」という用語は、内部反応に起因する、または空気、熱、光、圧力もしくは他の自然条件の作用に起因する変化または分解に耐える混合物または組成物を指す。
【0044】
本明細書で使用される場合、「半値全幅」(FWHM)という用語は、量子ドットの粒径分布の尺度である。量子ドットの発光スペクトルは、通常、ガウス曲線の形状を有する。ガウス曲線の幅はFWHMとして定義され、粒子の粒径分布についての概念を与える。より小さいFWHMは、より狭い量子ドットナノ結晶径分布に対応する。FWHMは発光波長最大値にも依存する。
【0045】
本明細書で使用される場合、「官能基等価重量」(FGEW)という用語は、ポリマー中の反応性官能基の比率を決定するために使用される。ポリマーのFGEWは、ポリマー中の官能基の数(n)に対する数平均分子量(NAMW)の比率として定義される。それは、1式量の官能基を含有するポリマーの重量である。FGEWは、末端基分析を用いて反応性官能基の数を計数して数平均分子量を割ることによって算出される:
FGEW=NAMW/n
〔式中、n=モノマー中の反応性官能基の数〕。
【0046】
本明細書で使用される場合、「ポリチオール」という用語は、分子1つあたり少なくとも2つの-SH基を含有する単純または複雑な有機化合物を指す。
【0047】
本明細書で使用される場合、「アルカン」という用語は、単結合のみを有する飽和直鎖状、分岐状または環状炭化水素を指す。いくつかの実施形態では、アルカンは、1~20個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態では、アルカンは、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンまたはデカンである。アルカン基は、1つ以上の置換基、例えば、ヒドロキシル、ハロゲン、アミノ、ニトロ、C1-20アルキルまたはC1-20アルコキシで置換されていてもよい。
【0048】
本明細書で使用される場合、「アルケン」という用語は、1つ以上の炭素-炭素二重結合を含む不飽和炭化水素を指す。いくつかの実施形態では、アルケンは2~20個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態では、アルケンは、エテン、プロペン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネンまたはデセンである。アルケン基は、1つ以上の置換基、例えば、ヒドロキシル、ハロゲン、アミノ、ニトロ、C1-20アルキルまたはC1-20アルコキシで置換されていてもよい。
【0049】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、示された炭素原子数を有する直鎖状または分岐状飽和脂肪族ラジカルを指す。いくつかの実施形態では、アルキルは、C1-2アルキル、C1-3アルキル、C1-4アルキル、C1-5アルキル、C1-6アルキル、C1-7アルキル、C1-8アルキル、C1-9アルキル、C1-10アルキル、C1-12アルキル、C1-14アルキル、C1-16アルキル、C1-18アルキル、C1-20アルキル、C8-20アルキル、C12-20アルキル、C14-20アルキル、C16-20アルキルまたはC18-20アルキルである。例えば、C1-6アルキルは、限定はされないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル及びヘキシルを含む。いくつかの実施形態では、アルキルは、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシルまたはイコサニルである。特に指定されない限り、「アルキル」という用語は、「アルキレン」基を含み得る。
【0050】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアルキル」という用語は、1つ以上の官能基で任意選択的に置換され、1つ以上の酸素、硫黄、窒素、リンまたはケイ素原子を例えば炭素原子の代わりに含有する、アルキル部分を指す。
【0051】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」という用語は、飽和環式炭化水素から誘導される炭素原子数3~8、好ましくは炭素原子数3~5の一価または二価基を指す。シクロアルキル基は単環式または多環式であり得る。シクロアルキルは、C1-3アルキル基またはハロゲンで置換されていてもよい。
【0052】
本明細書で使用される場合、「アルキレン」という用語は、1個~約20個の炭素原子を有し、2つ以上の位置で結合する、直鎖または分岐鎖飽和炭化水素から誘導される飽和脂肪族基を指す。いくつかの実施形態では、アルキレンは、C1-2アルキレン、C1-3アルキレン、C1-4アルキレン、C1-5アルキレン、C1-6アルキレン、C1-7アルキレン、C1-8アルキレン、C1-9アルキレン、C1-10アルキレン、C1-12アルキレン、C1-14アルキレン、C1-16アルキレン、C1-18アルキレン、C1-20アルキレン、C8-20アルキレン、C12-20アルキレン、C14-20アルキレン、C16-20アルキレンまたはC18-20アルキレンである。例えば、C1-6アルキレンは、限定はされないが、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、sec-ブチレン、tert-ブチレン、ペンチレン、イソペンチレン及びヘキシレンを含む。いくつかの実施形態では、アルキレンは、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、トリデシレン、テトラデシレン、ペンタデシレン、ヘキサデシレン、ヘプタデシレン、オクタデシレン、ノナデシレンまたはイコサニレンである。アルキレン基は、1つ以上の置換基、例えば、ヒドロキシル、ハロゲン、アミノ、ニトロ、C1-20アルキルまたはC1-20アルコキシで置換されていてもよい。
【0053】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアルキレン」という用語は、骨格中の1つ以上の炭素原子が酸素、窒素、リン、ケイ素及び硫黄などのヘテロ原子に置き換わったアルキレン基を指すが、これには、例えば、オリゴマーエチレングリコール部分が含まれる。ヘテロアルキレン基は、1つ以上の置換基、例えば、ヒドロキシル、ハロゲン、アミノ、ニトロ、C1-20アルキルまたはC1-20アルコキシで置換されていてもよい。
【0054】
本明細書で使用される場合、「アミノ」という用語は、-NHを指す。
【0055】
本明細書で使用される場合、「アルキルアミノ」という用語は、式(-NR )の「置換アミノ」を指し、式中のRは、独立して、水素、または任意選択的に置換された本明細書に定義されるアルキル基であり、窒素部分は親分子に直接結合している。
【0056】
本明細書で使用される場合、「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、F、Cl、BrまたはIを指す。
【0057】
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」という用語は、炭素原子数1~20の直鎖状または分岐状-O-アルキル基を指す。いくつかの実施形態では、アルコキシは、C1-2アルコキシ、C1-3アルコキシ、C1-4アルコキシ、C1-5アルコキシ、C1-6アルコキシ、C1-7アルコキシ、C1-8アルコキシ、C1-9アルコキシ、C1-10アルコキシ、C1-12アルコキシ、C1-14アルコキシ、C1-16アルコキシ、C1-18アルコキシ、C1-20アルコキシ、C8-20アルコキシ、C12-20アルコキシ、C14-20アルコキシ、C16-20アルコキシまたはC18-20アルコキシである。いくつかの実施形態では、アルコキシは、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシまたはt-ブトキシである。
【0058】
本明細書で使用される場合、「アクリレート」または「アクリレート基」という用語は、構造-O-C(=O)-CH=CHを有する少なくとも1つの部分を保有する化合物を指す。いくつかの実施形態では、アクリレートはメタクリレートである。
【0059】
本明細書で使用される場合、「メタクリレート」または「メタクリレート基」という用語は、構造-O-C(=O)-C(CH)=CHを有する少なくとも1つの部分を保有する化合物を指す。
【0060】
本明細書で使用される場合、「アクリルアミド」または「アクリルアミド基」という用語は、構造-NH-C(=O)-CH=CHを有する少なくとも1つの部分を保有する化合物を指す。いくつかの実施形態では、アクリルアミドはメタクリルアミドである。
【0061】
本明細書で使用される場合、「メタクリルアミド」または「メタクリルアミド基」という用語は、構造-NH-C(=O)-C(CH)=CHを有する少なくとも1つの部分を保有する化合物を指す。
【0062】
本明細書で使用される場合、「グリシジルエーテル」または「グリシジルエーテル基」という用語は、構造
【化7】
を有する少なくとも1つの部分を保有する化合物を指す。
【0063】
本明細書で使用される場合、「イソシアナート」または「イソシアナート基」という用語は、構造-N=C=Oを有する少なくとも1つの部分を保有する化合物を指す。
【0064】
特に明確に示されていない限り、本明細書に列挙される範囲は端点を含む。
【0065】
他の様々な用語については本明細書の中で定義あるいは特徴記載がなされている。
【0066】
ナノ構造体組成物
いくつかの実施形態では、本発明は、ナノ構造体組成物であって、
(a)ナノ構造体;及び
(b)ナノ構造体の表面に結合したポリチオールリガンドであって、ポリ(エチレンオキシド)/ポリ(プロピレンオキシド)ブロックコポリマー、ポリ(エチレンオキシド)ブロックコポリマーまたはポリ(プロピレンオキシド)ブロックコポリマーを含む、当該ポリチオールリガンド
を含む、当該ナノ構造体組成物を提供する。
【0067】
いくつかの実施形態では、本発明は、ナノ構造体組成物であって、
(a)ナノ構造体;及び
(b)ナノ構造体の表面上に分散したポリチオールリガンド
を含み、ポリチオールリガンドが式I:
【化8】
〔式中、
CMは中心部分であり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
Bは、-CH-CH-C(=O)-O-、-CH-C(CH-C(=O)-O-、-CH-CH(CH)-C(=O)-NH-、-C(=O)-NH-、-CH-CH-、または-CH-CH(OH)-CH-O-であり;
は、結合、またはC1-12アルキレンであり;
は、結合、-O-、-C(=O)-O-、または-C(=O)-N-であり;
1A及びR1Bは、独立して、H、またはC1-20アルキルであり;
は、C1-20アルキル、またはC1-20アルコキシである。
aは2~10であり;
bは0~10であり;
cは2~10であり;
dは0~10であり;
eは1~100であり;
fは0~100であり;
a+b+c+d≧3である〕
を有する、当該ナノ構造体組成物を提供する。
【0068】
いくつかの実施形態では、本発明は、ナノ構造体組成物であって、
(a)ナノ構造体;及び
(b)ナノ構造体の表面上に分散したポリチオールリガンド
を含み、ポリチオールリガンドが式II:
【化9】
〔式中、
CMは中心部分であり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
Bは、-CH-CH-C(=O)-O-、-CH-C(CH-C(=O)-O-、-CH-CH(CH)-C(=O)-NH-、-C(=O)-NH-、-CH-CH-、または-CH-CH(OH)-CH-O-であり;
は、結合、またはC1-12アルキレンであり;
は、結合、-O-、-C(=O)-O-、または-C(=O)-N-であり;
1A及びR1Bは、独立して、H、またはC1-20アルキルであり;
は、C1-20アルキル、またはC1-20アルコキシである。
aは2~10であり;
cは2~10であり;
eは1~100であり;
fは0~100であり;
a+c≧3である〕
を有する、当該ナノ構造体組成物を提供する。
【0069】
いくつかの実施形態では、本発明は、ナノ構造体組成物であって、
(a)ナノ構造体の少なくとも1つの集団の中のリガンドのうち約20~約100モルパーセントが、ナノ構造体に結合したポリチオールリガンドを構成している、ナノ構造体の少なくとも1つの集団;及び
(b)少なくとも1つの有機樹脂
を含む、当該ナノ構造体組成物を提供する。
【0070】
いくつかの実施形態では、ナノ構造体組成物は溶媒をさらに含む。いくつかの実施形態では、ナノ構造体組成物は極性有機溶媒をさらに含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、ナノ構造体は量子ドットである。
【0072】
いくつかの実施形態では、本発明は、ナノ構造体膜キットであって、
(a)ナノ構造体の少なくとも1つの集団の中のリガンドのうち約20~約100モルパーセントが、ナノ構造体に結合したポリチオールリガンドを構成している、ナノ構造体の少なくとも1つの集団を含む、第1組成物;
(b)少なくとも1つの有機樹脂を含む第2組成物;及び
(c)ナノ構造体膜を作製するための説明書
を含む、当該ナノ構造体膜キットを提供する。
【0073】
いくつかの実施形態では、ナノ構造体膜キットは溶媒をさらに含む。いくつかの実施形態では、ナノ構造体膜キットは極性有機溶媒をさらに含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、ナノ構造体は量子ドットである。
【0075】
ナノ構造体膜層
いくつかの実施形態では、本発明は、ナノ構造体膜層であって、
(a)ナノ構造体の少なくとも1つの集団の中のリガンドのうち約20~約100モルパーセントが、ナノ構造体に結合したポリチオールリガンドを構成している、ナノ構造体の少なくとも1つの集団;及び
(b)少なくとも1つの有機樹脂
を含む、ナノ構造体膜層を提供する。
【0076】
いくつかの実施形態では、ナノ構造体は量子ドットである。
【0077】
ナノ構造体成型品
いくつかの実施形態では、本発明は、ナノ構造体成型品であって、
(a)ナノ構造体の少なくとも1つの集団の中のリガンドのうち約20~約100モルパーセントが、ナノ構造体に結合したポリチオールリガンドを構成している、ナノ構造体の少なくとも1つの集団;及び
(b)少なくとも1つの有機樹脂
を含む、当該ナノ構造体成型品を提供する。
【0078】
いくつかの実施形態では、成型品は、膜、ディスプレイ用基板、または発光ダイオードである。
【0079】
いくつかの実施形態では、ナノ構造体は量子ドットである。
【0080】
いくつかの実施形態では、本発明は、ナノ構造体膜であって、
(a)第1バリア層;
(b)第2バリア層;ならびに
(c)第1バリア層と第2バリア層との間のナノ構造体層であって、ナノ構造体の少なくとも1つの集団の中のリガンドのうち約20~約100モルパーセントが、ナノ構造体に結合したポリチオールリガンドを構成している、ナノ構造体の少なくとも1つの集団;及び少なくとも1つの有機樹脂を含む、当該ナノ構造体層
を含む、当該ナノ構造体膜を提供する。
【0081】
いくつかの実施形態では、ナノ構造体は量子ドットである。
【0082】
ナノ構造体
いくつかの実施形態では、ナノ構造体はコア及び少なくとも1つのシェルを含む。いくつかの実施形態では、ナノ構造体は、コア、及び1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のシェルを含む。いくつかの実施形態では、ナノ構造体はコア及び1つのシェルを含む。いくつかの実施形態では、ナノ構造体はコア及び2つのシェルを含む。いくつかの実施形態では、ナノ構造体はコア及び3つのシェルを含む。いくつかの実施形態では、ナノ構造体は、少なくとも2つのシェルを含み、当該2つのシェルは異なるものである。
【0083】
単層の数は、コア/シェル(複数可)ナノ構造体の大きさを決定付けることになる。コア/シェル(複数可)ナノ構造体の大きさは、当業者に知られている技術を用いて決定され得る。いくつかの実施形態では、コア/シェル(複数可)ナノ構造体の大きさは、TEMを用いて決定される。いくつかの実施形態では、コア/シェル(複数可)ナノ構造体は、約1nm~約15nm、約1nm~約10nm、約1nm~約9nm、約1nm~約8nm、約1nm~約7nm、約1nm~約6nm、約1nm~約5nm、約5nm~約15nm、約5nm~約10nm、約5nm~約9nm、約5nm~約8nm、約5nm~約7nm、約5nm~約6nm、約6nm~約15nm、約6nm~約10nm、約6nm~約9nm、約6nm~約8nm、約6nm~約7nm、約7nm~約15nm、約7nm~約10nm、約7nm~約9nm、約7nm~約8nm、約8nm~約15nm、約8nm~約10nm、約8nm~約9nm、約9nm~約15nm、約9nm~約10nm、または約10nm~約15nmの平均直径を有する。いくつかの実施形態では、コア/シェル(複数可)ナノ構造体は約6nm~約7nmの平均直径を有する。
【0084】
ナノ構造体コア
いくつかの実施形態では、コアは、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C、P、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdSeZn、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、Si、Ge、Al、AlOCまたはその組合せを含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、コアは、第III~V族ナノ構造体である。いくつかの実施形態では、コアは、BN、BP、BAs、BSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs及びInSbからなる群から選択される第III~V族ナノ結晶である。いくつかの実施形態では、コアはInPナノ結晶である。
【0086】
第III~V族ナノ構造体の合成については、米国特許第5,505,928号、同第6,306,736号、同第6,576,291号、同第6,788,453号、同第6,821,337号、同第7,138,098号、同第7,557,028号、同第8,062,967号、同第7,645,397号及び同第8,282,412号、ならびに米国特許出願公開第2015/236195号に記載されている。第III~V族ナノ構造体の合成についてはまた、Wells,R.L.,et al.,“The use of tris(trimethylsilyl)arsine to prepare gallium arsenide and indium arsenide,”Chem.Mater.1:4-6(1989)、及びGuzelian,A.A.,et al.,“Colloidal chemical synthesis and characterization of InAs nanocrystal quantum dots,”Appl.Phys.Lett.69:1432-1434(1996)にも記載されている。
【0087】
InP系ナノ構造体の合成については、例えば、Xie,R.,et al.,“Colloidal InP nanocrystals as efficient emitters covering blue to near-infrared,”J.Am.Chem.Soc.129:15432-15433(2007)、Micic,O.I.,et al.,“Core-shell quantum dots of lattice-matched ZnCdSe shells on InP cores:Experiment and theory,”J.Phys.Chem.B 104:12149-12156(2000)、Liu,Z.,et al.,“Coreduction colloidal synthesis of III-V nanocrystals:The case of InP,”Angew.Chem.Int.Ed.Engl.47:3540-3542(2008)、Li,L.et al.,“Economic synthesis of high quality InP nanocrystals using calcium phosphide as the phosphorus precursor,”Chem.Mater.20:2621-2623(2008)、D.Battaglia and X.Peng,“Formation of high quality InP and InAs nanocrystals in a noncoordinating solvent,”Nano Letters 2:1027-1030(2002)、Kim,S.,et al.,“Highly luminescent InP/GaP/ZnS nanocrystals and their application to white light-emitting diodes,”J.Am.Chem.Soc.134:3804-3809(2012)、Nann,T.,et al.,“Water splitting by visible light:A nanophotocathode for hydrogen production,”Angew.Chem.Int.Ed.49:1574-1577(2010)、Borchert,H.,et al.,“Investigation of ZnS passivated InP nanocrystals by XPS,”Nano Letters 2:151-154(2002)、L.Li and P.Reiss,“One-pot synthesis of highly luminescent InP/ZnS nanocrystals without precursor injection,”J.Am.Chem.Soc.130:11588-11589(2008)、Hussain,S.,et al.“One-pot fabrication of high-quality InP/ZnS(core/shell) quantum dots and their application to cellular imaging,”Chemphyschem.10:1466-1470(2009)、Xu,S.,et al.,“Rapid synthesis of high-quality InP nanocrystals,”J.Am.Chem.Soc.128:1054-1055(2006)、Micic,O.I.,et al.,“Size-dependent spectroscopy of InP quantum dots,”J.Phys.Chem.B 101:4904-4912(1997)、Haubold,S.,et al.,“Strongly luminescent InP/ZnS core-shell nanoparticles,”Chemphyschem.5:331-334(2001)、CrosGagneux,A.,et al.,“Surface chemistry of InP quantum dots:A comprehensive study,”J.Am.Chem.Soc.132:18147-18157(2010)、Micic,O.I.,et al.,“Synthesis and characterization of InP,GaP,and GaInP quantum dots,”J.Phys.Chem.99:7754-7759(1995)、Guzelian,A.A.,et al.,“Synthesis of size-selected,surface-passivated InP nanocrystals,”J.Phys.Chem.100:7212-7219(1996)、Lucey,D.W.,et al.,“Monodispersed InP quantum dots prepared by colloidal chemistry in a non-coordinating solvent,”Chem.Mater.17:3754-3762(2005)、Lim,J.,et al.,“InP@ZnSeS,core@composition gradient shell quantum dots with enhanced stability,”Chem.Mater.23:4459-4463(2011)、及びZan,F.,et al.,“Experimental studies on blinking behavior of single InP/ZnS quantum dots:Effects of synthetic conditions and UV irradiation,”J.Phys.Chem.C 116:394-3950(2012)に記載されている。しかしながら、そのような取組みは、高い量子収率を有するInPナノ構造体を生成することにおいて、限られた成功をもたらしたにすぎなかった。
【0088】
いくつかの実施形態では、コアはドープされている。いくつかの実施形態では、ナノ結晶コアのドーパントは金属を含み、これには、1つ以上の遷移金属が含まれる。いくつかの実施形態では、ドーパントは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au及びその組合せからなる群から選択される遷移金属である。いくつかの実施形態では、ドーパントは非金属を含む。いくつかの実施形態では、ドーパントは、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdSe、CdS、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、CuInS、CuInSe、AlN、AlP、AlAs、GaN、GaPまたはGaAsである。
【0089】
いくつかの実施形態では、コアは、ZnO、ZnSe、ZnS、ZnTe、CdO、CdSe、CdS、CdTe、HgO、HgSe、HgS及びHgTeからなる群から選択される第II~VI族ナノ結晶である。いくつかの実施形態では、コアは、ZnSe、ZnS、CdSe及びCdSからなる群から選択されるナノ結晶である。第II~VI族ナノ構造体の合成については、米国特許第6,225,198号、同第6,322,901号、同第6,207,229号、同第6,607,829号、同第7,060,243号、同第7,374,824号、同第6,861,155号、同第7,125,605号、同第7,566,476号、同第8,158,193号及び同第8,101,234号、ならびに米国特許出願公開第2011/0262752号及び同第2011/0263062号に記載されている。
【0090】
いくつかの実施形態では、シェルを堆積させる前にコアを精製する。いくつかの実施形態では、コアを濾過してコア溶液から析出物を除去する。
【0091】
いくつかの実施形態では、シェルを堆積させる前にコアを酸エッチング工程に供する。
【0092】
いくつかの実施形態では、コアの直径は、量子閉じ込めを用いて決定される。ゼロ次元ナノ結晶子、例えば量子ドットにおける量子閉じ込めは、結晶子境界内での電子の空間的閉じ込めによって生じる。量子閉じ込めは、材料の直径が波動関数のドブロイ波長と同規模になった時点で認められ得る。ナノ粒子の電子特性及び光学特性は、バルク材の当該特性からかなり外れる。粒子は、閉じ込め寸法が粒子の波長に比べて大きい場合、自由粒子であるかのように振る舞う。この状態の間、バンドギャップは、エネルギー状態が連続的であるため、その元のエネルギーのままである。しかしながら、閉じ込め寸法が減少してある特定の限界、典型的にはナノスケールに達するにつれて、エネルギースペクトルは離散的になる。その結果、バンドギャップは、サイズに依存したものとなる。サイズは、当技術分野で知られているように決定され得、例えば、透過型電子顕微鏡法及び/または物理モデリングを用いて決定され得る。
【0093】
いくつかの実施形態では、コアナノ構造体の直径は、約1nm~約9nm、約1nm~約8nm、約1nm~約7nm、約1nm~約6nm、約1nm~約5nm、約1nm~約4nm、約1nm~約3nm、約1nm~約2nm、約2nm~約9nm、約2nm~約8nm、約2nm~約7nm、約2nm~約6nm、約2nm~約5nm、約2nm~約4nm、約2nm~約3nm、約3nm~約9nm、約3nm~約8nm、約3nm~約7nm、約3nm~約6nm、約3nm~約5nm、約3nm~約4nm、約4nm~約9nm、約4nm~約8nm、約4nm~約7nm、約4nm~約6nm、約4nm~約5nm、約5nm~約9nm、約5nm~約8nm、約5nm~約7nm、約5nm~約6nm、約6nm~約9nm、約6nm~約8nm、約6nm~約7nm、約7nm~約9nm、約7nm~約8nm、または約8nm~約9nmである。いくつかの実施形態では、コアナノ構造体の直径は約7nmである。
【0094】
ナノ構造体シェル層
シェルは、例えば、ナノ構造体の量子収率及び/または安定性を向上させ得る。いくつかの実施形態では、コア及びシェルは、異なる材料を含む。いくつかの実施形態では、ナノ構造体は、異なるシェル材料のシェルを含む。
【0095】
いくつかの実施形態では、第II族及び第VI族元素の混合物を含むシェルをコア上またはコア/シェル(複数可)構造体上に堆積させる。いくつかの実施形態では、亜鉛源、セレン源、硫黄源、テルル源及びカドミウム源のうちの少なくとも2つの混合物によってシェルを堆積させる。いくつかの実施形態では、亜鉛源、セレン源、硫黄源、テルル源及びカドミウム源のうちの2つの混合物によってシェルを堆積させる。いくつかの実施形態では、亜鉛源、セレン源、硫黄源、テルル源及びカドミウム源のうちの3つの混合物によってシェルを堆積させる。いくつかの実施形態では、シェルは、亜鉛と硫黄;亜鉛とセレン;亜鉛と硫黄とセレン;亜鉛とテルル;亜鉛とテルルと硫黄;亜鉛とテルルとセレン;亜鉛とカドミウムと硫黄;亜鉛とカドミウムとセレン;カドミウムと硫黄;カドミウムとセレン;カドミウムとセレンと硫黄;カドミウムと亜鉛と硫黄;カドミウムと硫黄とセレン;またはカドミウムと亜鉛と硫黄とセレンから成り立っている。
【0096】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのシェルは、CdS、CdSe、CdO、CdTe、ZnS、ZnO、ZnSe、ZnTe、MgTe、GaAs、GaSb、GaN、HgO、HgS、HgSe、HgTe、InAs、InSb、InN、AlAs、AlN、AlSb、AlS、PbS、PbO、PbSe、PbTe、MgO、MgS、MgSe、MgTe、CuCl、Ge、Si、またはその合金を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのシェルはZnSeを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのシェルはZnSを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのシェルは、ZnSeを含む第1シェル、及びZnSを含む第2シェルを含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、シェルは、シェル材料の単層を1つよりも多く含む。単層の数は、すべてのナノ構造体の平均であり、それゆえ、シェル中の単層の数は少数であり得る。いくつかの実施形態では、シェル中の単層の数は、0.25~10、0.25~8、0.25~7、0.25~6、0.25~5、0.25~4、0.25~3、0.25~2、2~10、2~8、2~7、2~6、2~5、2~4、2~3、3~10、3~8、3~7、3~6、3~5、3~4、4~10、4~8、4~7、4~6、4~5、5~10、5~8、5~7、5~6、6~10、6~8、6~7、7~10、7~8、または8~10である。いくつかの実施形態では、シェルは3~5個の単層を含む。
【0098】
各シェルの厚さは、当業者に知られている技術を用いて決定され得る。いくつかの実施形態では、各シェルの厚さは、各シェルの付加の前後でナノ構造体の平均直径を比較することによって決定される。いくつかの実施形態では、各シェルの付加の前後でのナノ構造体の平均直径はTEMによって決定される。
【0099】
いくつかの実施形態では、各シェルは、約0.05nm~約3.5nm、約0.05nm~約2nm、約0.05nm~約0.9nm、約0.05nm~約0.7nm、約0.05nm~約0.5nm、約0.05nm~約0.3nm、約0.05nm~約0.1nm、約0.1nm~約3.5nm、約0.1nm~約2nm、約0.1nm~約0.9nm、約0.1nm~約0.7nm、約0.1nm~約0.5nm、約0.1nm~約0.3nm、約0.3nm~約3.5nm、約0.3nm~約2nm、約0.3nm~約0.9nm、約0.3nm~約0.7nm、約0.3nm~約0.5nm、約0.5nm~約3.5nm、約0.5nm~約2nm、約0.5nm~約0.9nm、約0.5nm~約0.7nm、約0.7nm~約3.5nm、約0.7nm~約2nm、約0.7nm~約0.9nm、約0.9nm~約3.5nm、約0.9nm~約2nm、または約2nm~約3.5nmの厚さを有する。
【0100】
リガンド交換
本開示は、ナノ構造体上の第1リガンドを第2リガンドに置き換える方法に関する。いくつかの実施形態では、第2リガンドはポリチオールリガンドである。いくつかの実施形態では、ナノ構造体は量子ドットである。
【0101】
いくつかの実施形態では、本開示は、ナノ構造体上の第1リガンドを第2リガンドに置き換える方法であって、ナノ構造体に結合した第1リガンドを有するナノ構造体の集団を含む反応混合物と、少なくとも1つの第2リガンドとを混和し、その結果として第2リガンドが第1リガンドに取って代わってナノ構造体に結合することを含む、当該方法に関する。
【0102】
いくつかの実施形態では、ナノ構造体は量子ドットである。
【0103】
いくつかの実施形態では、混和することは、約0℃~約200℃、約0℃~約150℃、約0℃~約100℃、約0℃~約80℃、約20℃~約200℃、約20℃~約150℃、約20℃~約100℃、約20℃~約80℃、約50℃~約200℃、約50℃~約150℃、約50℃~約100℃、約50℃~約80℃、約80℃~約200℃、約80℃~約150℃、約80℃~約100℃、約100℃~約200℃、約100℃~約150℃、または約150℃~約200℃の温度で実施される。いくつかの実施形態では、混和することは、約20℃~約100℃の温度で実施される。いくつかの実施形態では、混和することは、約22℃の温度で実施される。いくつかの実施形態では、混和することは、約70℃の温度で実施される。
【0104】
いくつかの実施形態では、混和することは、約1分間~約6時間、約1分間~約2時間、約1分間~約1時間、約1分間~約40分間、約1分間~約30分間、約1分間~約20分間、約1分間~約10分間、約10分間~約6時間、約10分間~約2時間、約10分間~約1時間、約10分間~約40分間、約10分間~約30分間、約10分間~約20分間、約20分間~約6時間、約20分間~約2時間、約20分間~約1時間、約20分間~約40分間、約20分間~約30分間、約30分間~約6時間、約30分間~約2時間、約30分間~約1時間、約30分間~約40分間、約40分間~約6時間、約40分間~約2時間、約40分間~約1時間、約1時間~約6時間、約1時間~約2時間、または約2時間~約6時間の期間にわたって実施される。
【0105】
いくつかの実施形態では、反応混合物は溶媒をさらに含む。いくつかの実施形態では、溶媒は、クロロホルム、アセトン、ブタノン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、メチルイソブチルケトン、モノメチルエーテルグリコールエステル、ガンマ-ブチロラクトン、メチル酢酸-3-エチルエーテル、ブチルカルビトール、酢酸ブチルカルビトール、プロパンジオールモノメチルエーテル、酢酸プロパンジオールモノメチルエーテル、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、イソプロピルアルコール、N-メチルホルムアミド及びその組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、溶媒はトルエンである。いくつかの実施形態では、溶媒はN-メチルホルムアミドである。いくつかの実施形態では、溶媒はトルエンとN-メチルホルムアミドとの混合物である。
【0106】
ナノ構造体の集団においてナノ構造体に結合している第2リガンドの百分率は、H NMRによって測定され得、結合リガンドは、(結合第2リガンド)/(結合+遊離第2リガンド)を用いて計算される。
【0107】
いくつかの実施形態では、ナノ構造体の集団に結合している第2リガンドのモル百分率は、約20%~約100%、約20%~約80%、約20%~約60%、約20%~約40%、約25%~約100%、約25%~約80%、約25%~約60%、約25%~約40%、約30%~約100%、約30%~約80%、約30%~約60%、約30%~約40%、約40%~約100%、約40%~約80%、約40%~約60%、約60%~約100%、約60%~約80%、または約80%~約100%である。
【0108】
第1リガンド
いくつかの実施形態では、各シェルは、少なくとも1つのナノ構造体リガンドの存在下で合成される。リガンドは、例えば、(ナノ構造体が凝集し合わないように組成物全体にわたってナノ構造体が分配されるのを可能にして)溶媒中またはポリマー中へのナノ構造体の混和性を増強し得、ナノ構造体の量子収率を向上させ得、及び/または(例えばナノ構造体をマトリックス中に組み込んだ場合に)ナノ構造体発光を維持し得る。いくつかの実施形態では、コア合成のため及びシェル合成のためのリガンド(複数可)は、同じである。いくつかの実施形態では、コア合成のため及びシェル合成のためのリガンド(複数可)は、異なっている。合成後、ナノ構造体の表面上のいかなるリガンドも、他の望ましい特性を有する異なるリガンドに交換され得る。リガンドの例は、米国特許第7,572,395号、同第8,143,703号、同第8,425,803号、同第8,563,133号、同第8,916,064号、同第9,005,480号、同第9,139,770号及び同第9,169,435号、ならびに米国特許出願公開第2008/0118755号において開示されている。
【0109】
いくつかの実施形態では、第1リガンドは、ラウリン酸、カプロン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びオレイン酸からなる群から選択される脂肪酸である。いくつかの実施形態では、第1リガンドは、トリオクチルホスフィンオキシド、トリオクチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィンオキシド及びトリブチルホスフィンオキシドから選択される有機ホスフィンまたは有機ホスフィンオキシドである。いくつかの実施形態では、第1リガンドは、ドデシルアミン、オレイルアミン、ヘキサデシルアミン、ジオクチルアミン及びオクタデシルアミンからなる群から選択されるアミンである。いくつかの実施形態では、第1リガンドは、トリオクチルホスフィン、トリオクチルホスフィンオキシド、トリヒドロキシプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリドデシルホスフィン、亜リン酸ジブチル、亜リン酸トリブチル、亜リン酸オクタデシル、亜リン酸トリラウリル、亜リン酸ジドデシル、亜リン酸トリイソドシル、リン酸ビス(2-エチルヘキシル)、リン酸トリデシル、ヘキサデシルアミン、オレイルアミン、オクタデシルアミン、ジオクタデシルアミン、オクタコサミン、ビス(2-エチルヘキシル)アミン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、トリオクチルアミン、ドデシルアミン、ジドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、フェニルリン酸(phenyl phosphoric acid)、ヘキシルリン酸(hexylphosphoric acid)、テトラデシルホスホン酸、オクチルリン酸(octyl phosphoric acid)、n-オクタデシルホスホン酸、プロペニルジホスホン酸、ジオクチルエーテル、ジフェニルエーテル、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、オレエート、またはオクタンチオールである。いくつかの実施形態では、第1リガンドは、オレエート、トリオクチルホスフィンまたはオクタンチオールである。
【0110】
第2リガンド
いくつかの実施形態では、第2リガンドは、少なくとも1つの-SH基を含むポリチオールリガンドである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの-SH基は、中性L型結合リガンド(例えば、R-COOH)として第II~VI族ナノ結晶表面に結合し得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの-SH基は、電子供与性X型リガンド(例えば、R-COO)として第II~VI族ナノ結晶表面に結合し得る。
【0111】
いくつかの実施形態では、ポリチオールリガンドは、ポリチオールを、アクリレート基、メタクリレート基、アクリルアミド基、イソシアナート基、アルケン基またはグリシジルエーテル基を含むポリ(アルキレンオキシド)化合物と反応させてポリチオールリガンドを生成することによって調製される。
【0112】
ポリチオール
いくつかの実施形態では、ポリチオールは式III:
【化10】
〔式中、
CMは中心部分であり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
aは2~10であり;
bは0~10であり;
a+b≧3である〕
を有する。
【0113】
いくつかの実施形態では、式III中のbが0である場合、ポリチオールは式IV:
【化11】
〔式中、
CMは中心部分であり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
aは3~10である〕
を有する。
【0114】
いくつかの実施形態では、CMは、アルケン、1,3,5-トリアジン、ペンタエリスリトール、1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン、トリメチロールプロパンまたは(プロパン-2,2-ジイルビス(4,1-フェニレン))ビス(λ’-オキシ)である。いくつかの実施形態では、CMはプロパンである。
【0115】
いくつかの実施形態では、Xは結合である。いくつかの実施形態では、Xは、-C(=O)-である。いくつかの実施形態では、Xは置換または非置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは非置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換または非置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは非置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、X上の置換基は、-SHである。
【0116】
いくつかの実施形態では、Xは結合である。いくつかの実施形態では、Xは、-C(=O)-である。いくつかの実施形態では、Xは置換または非置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは非置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換または非置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは非置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、X上の置換基は、-SHである。
【0117】
いくつかの実施形態では、Xは結合である。いくつかの実施形態では、Xは、-C(=O)-である。いくつかの実施形態では、Xは置換または非置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは非置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換または非置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは非置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、X上の置換基は、-SHである。
【0118】
いくつかの実施形態では、Xは結合である。いくつかの実施形態では、Xは、-C(=O)-である。いくつかの実施形態では、Xは置換または非置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは非置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換または非置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは非置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、X上の置換基は、-SHである。
【0119】
いくつかの実施形態では、Xは結合である。いくつかの実施形態では、Xは、-C(=O)-である。いくつかの実施形態では、Xは置換または非置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは非置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換または非置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは非置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、X上の置換基は、-SHである。
【0120】
いくつかの実施形態では、Xは結合である。いくつかの実施形態では、Xは、-C(=O)-である。いくつかの実施形態では、Xは置換または非置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは非置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換または非置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは非置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、X上の置換基は、-SHである。
【0121】
いくつかの実施形態では、aは2~10である。いくつかの実施形態では、aは3~10である。いくつかの実施形態では、aは、2~10、2~8、2~6、2~4、2~3、3~10、3~8、3~6、3~4、4~10、4~8、4~6、6~10、6~8、または8~10である。
【0122】
いくつかの実施形態では、bは0~10である。いくつかの実施形態では、bは、0~10、0~8、0~6、0~4、3~10、3~8、3~6、6~10、6~8、または8~10である。いくつかの実施形態では、bは0である。
【0123】
いくつかの実施形態では、X、X及びXは結合であり、bは0である。
【0124】
いくつかの実施形態では、Xは、-C(=O)-であり、Xは非置換C1-10アルキレンであり、bは0である。
【0125】
いくつかの実施形態では、Xは、-C(=O)-であり、Xは分岐状非置換C1-10アルキレンであり、Xは結合であり、bは0である。
【0126】
いくつかの実施形態では、XはC1-10ヘテロアルキレンであり、Xは、-C(=O)-であり、Xは非置換C1-10アルキレンであり、bは0である。
【0127】
いくつかの実施形態では、Xは、置換基を-SHとする置換C1-10ヘテロアルキレンであり、bは0である。
【0128】
いくつかの実施形態では、XはC1-10アルキレンであり、Xは、-C(=O)-であり、Xは非置換C1-10アルキレンであり、aは2であり、bは1である。
【0129】
いくつかの実施形態では、ポリチオールは市販のポリチオールである。
【0130】
いくつかの実施形態では、ポリチオールは、
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
からなる群から選択される。
【0131】
ポリ(アルキレンオキシド)
いくつかの実施形態では、ポリ(アルキレンオキシド)は、ポリ(アルキレンオキシド)骨格に結合した少なくとも1つの官能基を含む。いくつかの実施形態では、ポリ(アルキレンオキシド)は、ポリ(アルキレンオキシド)骨格に結合した1つの官能基を含むポリ(アルキレンオキシド)である。
【0132】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの官能基は、アクリレート基、メタクリレート基、アクリルアミド基、イソシアナート基、アルケン基またはグリシジルエーテル基である。
【0133】
いくつかの実施形態では、ポリ(アルキレンオキシド)は、官能基で終端化されたポリ(アルキレンオキシド)と、アルキレンオキシドのコポリマーと、その組合せとの混合物である。いくつかの実施形態では、官能基で終端化されたポリ(アルキレンオキシド)は、アルキレンオキシドのコポリマーを含む。いくつかの実施形態では、コポリマーは、ランダムコポリマー、またはブロックコポリマーである。いくつかの実施形態では、ブロックコポリマーは、ジブロックコポリマー、またはトリブロックコポリマーである。いくつかの実施形態では、コポリマーは、プロピレンオキシド(PO)、エチレンオキシド(EO)、またはPOとEOとの混合物をベースとするものである。いくつかの実施形態では、コポリマーはPOとEOとの混合物である。
【0134】
いくつかの実施形態では、ポリ(アルキレンオキシド)は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダムコポリマー、ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)ジブロックコポリマー、ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)トリブロックコポリマー、ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)トリブロックコポリマー、またはその組合せを含む。
【0135】
いくつかの実施形態では、ポリ(アルキレンオキシド)は、POとEOとのコポリマーを含む。いくつかの実施形態では、プロピレンオキシド基に対するエチレンオキシド基の比率は、ポリ(アルキレンオキシド)リガンドが高度の親水性を有するくらいに十分高い。いくつかの実施形態では、プロピレンオキシド基に対するエチレンオキシド基の比率は、リガンドが所望の弾力性を有するくらいに十分低い。いくつかの実施形態では、エチレンオキシド基:プロピレンオキシド基の比は、約15:1~約1:15、約15:1~約1:10、約15:1~約1:5、約10:1~1:15、約10:1~1:10、約10:1~1:5、約5:1~1:15、約5:1~1:10、または約5:1~1:5である。
【0136】
いくつかの実施形態では、ポリ(アルキレンオキシド)は、式Vの構造:
【化12】
〔式中、
FGは、アクリレート基、メタクリレート基、アクリルアミド基、イソシアナート基、アルケン基またはグリシジルエーテル基であり;
は、結合、またはC1-12アルキレンであり;
は、結合、-O-、-C(=O)-O-、または-C(=O)-N-であり;
1A及びR1Bは、独立して、H、またはC1-20アルキルであり;
eは1~100であり;
fは0~100であり;
は、C1-20アルキル、またはC1-20アルコキシである〕
を有する。
【0137】
いくつかの実施形態では、FGはアクリレート基である。いくつかの実施形態では、FGはメタクリレート基である。いくつかの実施形態では、FGはアクリルアミド基である。いくつかの実施形態では、FGはイソシアナート基である。いくつかの実施形態では、FGはアルケン基である。いくつかの実施形態では、FGはグリシジルエーテル基である。いくつかの実施形態では、FGは、-O-C(=O)-CH=CHである。いくつかの実施形態では、FGは、-O-C(=O)-C(CH)=CHである。いくつかの実施形態では、FGは、-N-C(=O)-CH=CHである。いくつかの実施形態では、FGは、-N=C=Oである。いくつかの実施形態では、FGは、-CH=CHである。いくつかの実施形態では、FGは、
【化13】
である。
【0138】
いくつかの実施形態では、Xは結合である。いくつかの実施形態では、XはC1-12アルキレンである。
【0139】
いくつかの実施形態では、Xは結合である。いくつかの実施形態では、Xは、-O-である。いくつかの実施形態では、Xは、-OC(=O)-である。いくつかの実施形態では、Xはアミドである。
【0140】
いくつかの実施形態では、R1AはHである。いくつかの実施形態では、R1AはC1-20アルキルである。いくつかの実施形態では、R1AはC1-10アルキルである。いくつかの実施形態では、R1AはC1-5アルキルである。いくつかの実施形態では、R1Aは、-CHである。
【0141】
いくつかの実施形態では、R1BはHである。いくつかの実施形態では、R1BはC1-20アルキルである。いくつかの実施形態では、R1BはC1-10アルキルである。いくつかの実施形態では、R1BはC1-5アルキルである。いくつかの実施形態では、R1Bは、-CHである。
【0142】
いくつかの実施形態では、R1AはHであり、R1Bは、-CHである。いくつかの実施形態では、R1Aは、-CHであり、R1BはHである。いくつかの実施形態では、R1AはHであり、R1BはHである。いくつかの実施形態では、R1Aは、-CHであり、R1Bは、-CHである。
【0143】
いくつかの実施形態では、eは、1~100、1~50、1~20、1~10、1~5、5~100、5~50、5~20、5~10、10~100、10~50、10~20、20~100、20~50、または50~100である。いくつかの実施形態では、eは10~50である。いくつかの実施形態では、eは10~20である。
【0144】
eの値は、「約」という語で修飾されていると理解されるべきである。したがって、e=1の値は、e=1±0.1を意味すると理解される。例えば、e=1の値は、0.9~1.1を意味すると理解される。
【0145】
いくつかの実施形態では、fは、1~100、1~50、1~20、1~10、1~5、5~100、5~50、5~20、5~10、10~100、10~50、10~20、20~100、20~50、または50~100である。いくつかの実施形態では、fは1~30である。いくつかの実施形態では、fは1~10である。
【0146】
fの値は、「約」という語で修飾されていると理解されるべきである。したがって、f=1の値は、f=1±0.1を意味すると理解される。例えば、f=1の値は、0.9~1.1を意味すると理解される。
【0147】
いくつかの実施形態では、e対fの比は、約15:1~約1:15、約15:1~約1:10、約15:1~約1:5、約10:1~約1:15、約10:1~約1:10、約10:1~約1:5、約5:1~約1:15、約5:1~約1:10、または約5:1~約1:5である。
【0148】
いくつかの実施形態では、RはC1-20アルキルである。いくつかの実施形態では、RはC1-10アルキルである。いくつかの実施形態では、RはC1-5アルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、-CHCHである。
【0149】
式V中、FGが-O-C(=O)-CH=CHであり、X及びXが結合であるいくつかの実施形態では、ポリ(アルキレンオキシド)は、式VIの構造:
【化14】
〔式中、
1A及びR1Bは、独立して、H、またはC1-20アルキルであり;
eは1~100であり;
fは0~100であり;
は、C1-20アルキル、またはC1-20アルコキシである〕
を有する。
【0150】
いくつかの実施形態では、eは、1~100、1~50、1~20、1~10、1~5、5~100、5~50、5~20、5~10、10~100、10~50、10~20、20~100、20~50、または50~100である。いくつかの実施形態では、fは、1~100、1~50、1~20、1~10、1~5、5~100、5~50、5~20、5~10、10~100、10~50、10~20、20~100、20~50、または50~100である。
【0151】
いくつかの実施形態では、fは、1~100、1~50、1~20、1~10、1~5、5~100、5~50、5~20、5~10、10~100、10~50、10~20、20~100、20~50、または50~100である。いくつかの実施形態では、fは、1~100、1~50、1~20、1~10、1~5、5~100、5~50、5~20、5~10、10~100、10~50、10~20、20~100、20~50、または50~100である。
【0152】
いくつかの実施形態では、e対fの比は、約15:1~約1:15、約15:1~約1:10、約15:1~約1:5、約10:1~1:15、約10:1~1:10、約10:1~1:5、約5:1~1:15、約5:1~1:10、または約5:1~1:5である。
【0153】
いくつかの実施形態では、R1AはHである。いくつかの実施形態では、R1AはC1-20アルキルである。いくつかの実施形態では、R1AはC1-10アルキルである。いくつかの実施形態では、R1AはC1-5アルキルである。いくつかの実施形態では、R1Aは、-CHである。
【0154】
いくつかの実施形態では、R1BはHである。いくつかの実施形態では、R1BはC1-20アルキルである。いくつかの実施形態では、R1BはC1-10アルキルである。いくつかの実施形態では、R1BはC1-5アルキルである。いくつかの実施形態では、R1Bは、-CHである。
【0155】
いくつかの実施形態では、RはC1-20アルキルである。いくつかの実施形態では、RはC1-10アルキルである。いくつかの実施形態では、RはC1-5アルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、-CHCHである。いくつかの実施形態では、Rは、-CHである。
【0156】
式V中、FGが-O-C(=O)-CH=CHであり、X及びXが結合であり、fが0であり、Rが-CHであるいくつかの実施形態では、ポリ(アルキレンオキシド)は、式VIIの構造:
【化15】
〔式中、
1AはHまたはC1-20アルキルであり;
eは1~100である〕
を有する。
【0157】
いくつかの実施形態では、R1AはHである。いくつかの実施形態では、R1AはC1-20アルキルである。いくつかの実施形態では、R1AはC1-10アルキルである。いくつかの実施形態では、R1AはC1-5アルキルである。いくつかの実施形態では、R1Aは、-CHである。
【0158】
いくつかの実施形態では、eは、1~100、1~50、1~20、1~10、1~5、5~100、5~50、5~20、5~10、10~100、10~50、10~20、20~100、20~50、または50~100である。いくつかの実施形態では、eは10~50である。いくつかの実施形態では、eは10~20である。いくつかの実施形態では、eは10である。いくつかの実施形態では、eは9である。いくつかの実施形態では、eは6である。
【0159】
ポリチオールリガンド
いくつかの実施形態では、ポリチオールリガンドは式I:
【化16】
〔式中、
CMは中心部分であり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
Bは、-CH-CH-C(=O)-O-、-CH-C(CH-C(=O)-O-、-CH-CH(CH)-C(=O)-NH-、-C(=O)-NH-、-CH-CH-、または-CH-CH(OH)-CH-O-であり;
は、結合、またはC1-12アルキレンであり;
は、結合、-O-、-C(=O)-O-、または-C(=O)-N-であり;
1A及びR1Bは、独立して、H、またはC1-20アルキルであり;
は、C1-20アルキル、またはC1-20アルコキシである。
aは2~10であり;
bは0~10であり;
cは2~10であり;
dは0~10であり;
eは1~100であり;
fは0~100であり;
a+b+c+d≧3である〕
を有する。
【0160】
いくつかの実施形態では、CMは、アルカン、1,3,5-トリアジン、ペンタエリスリトール、1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン、トリメチロールプロパン、または(プロパン-2,2-ジイルビス(4,1-フェニレン))ビス(λ’-オキシ)である。いくつかの実施形態では、CMはプロパンである。
【0161】
いくつかの実施形態では、Xは結合である。いくつかの実施形態では、Xは、-C(=O)-である。いくつかの実施形態では、Xは置換または非置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは非置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換または非置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは非置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、X上の置換基は、-SHである。
【0162】
いくつかの実施形態では、Xは結合である。いくつかの実施形態では、Xは、-C(=O)-である。いくつかの実施形態では、Xは置換または非置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは非置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換または非置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは非置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、X上の置換基は、-SHである。
【0163】
いくつかの実施形態では、Xは結合である。いくつかの実施形態では、Xは、-C(=O)-である。いくつかの実施形態では、Xは置換または非置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは非置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換または非置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは非置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、X上の置換基は、-SHである。
【0164】
いくつかの実施形態では、Xは結合である。いくつかの実施形態では、Xは、-C(=O)-である。いくつかの実施形態では、Xは置換または非置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは非置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換または非置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは非置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、X上の置換基は、-SHである。
【0165】
いくつかの実施形態では、Xは結合である。いくつかの実施形態では、Xは、-C(=O)-である。いくつかの実施形態では、Xは置換または非置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは非置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換または非置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは非置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、X上の置換基は、-SHである。
【0166】
いくつかの実施形態では、Xは結合である。いくつかの実施形態では、Xは、-C(=O)-である。いくつかの実施形態では、Xは置換または非置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは非置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換または非置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは非置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、X上の置換基は、-SHである。
【0167】
いくつかの実施形態では、Bは、-CH-CH-C(=O)-O-である。いくつかの実施形態では、Bは、-CH-CH(CH)-C(=O)-O-である。いくつかの実施形態では、Bは、-CH-CH-C(=O)-N-である。いくつかの実施形態では、Bは、-C(=O)-NH-である。いくつかの実施形態では、Bは、-CH-CH-である。いくつかの実施形態では、Bは、-CH-CH(OH)-CH-O-である。いくつかの実施形態では、Bは、-CH-CH(OH)-である。
【0168】
いくつかの実施形態では、Xは結合である。いくつかの実施形態では、Xは置換または非置換C1-12アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは非置換C1-12アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換C1-12アルキレンである。
【0169】
いくつかの実施形態では、Xは結合である。いくつかの実施形態では、Xは、-O-である。いくつかの実施形態では、Xは、-C(=O)-O-である。いくつかの実施形態では、Xは、-C(=O)-N-である。
【0170】
いくつかの実施形態では、R1AはHである。いくつかの実施形態では、R1AはC1-20アルキルである。いくつかの実施形態では、R1AはC1-10アルキルである。いくつかの実施形態では、R1AはC1-5アルキルである。いくつかの実施形態では、R1Aは、-CHである。
【0171】
いくつかの実施形態では、R1BはHである。いくつかの実施形態では、R1BはC1-20アルキルである。いくつかの実施形態では、R1BはC1-10アルキルである。いくつかの実施形態では、R1BはC1-5アルキルである。いくつかの実施形態では、R1Bは、-CHである。
【0172】
いくつかの実施形態では、RはC1-20アルキルである。いくつかの実施形態では、RはC1-10アルキルである。いくつかの実施形態では、RはC1-5アルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、-CHCHである。いくつかの実施形態では、Rは、-CHである。
【0173】
いくつかの実施形態では、aは2~10である。いくつかの実施形態では、aは、2~10、2~8、2~6、2~4、2~3、3~10、3~8、3~6、3~4、4~10、4~8、4~6、6~10、6~8、または8~10である。いくつかの実施形態では、aは3である。いくつかの実施形態では、aは4である。いくつかの実施形態では、aは5である。いくつかの実施形態では、aは6である。
【0174】
いくつかの実施形態では、bは0~10である。いくつかの実施形態では、bは、1~10、1~8、1~6、1~4、1~3、2~10、2~8、2~6、2~4、2~3、3~10、3~8、3~6、3~4、4~10、4~8、4~6、6~10、6~8、または8~10である。いくつかの実施形態では、bは3である。いくつかの実施形態では、bは4である。いくつかの実施形態では、bは5である。いくつかの実施形態では、bは6である。
【0175】
いくつかの実施形態では、cは2~10である。いくつかの実施形態では、aは、2~10、2~8、2~6、2~4、2~3、3~10、3~8、3~6、3~4、4~10、4~8、4~6、6~10、6~8、または8~10である。いくつかの実施形態では、cは3である。いくつかの実施形態では、cは4である。いくつかの実施形態では、cは5である。いくつかの実施形態では、cは6である。
【0176】
いくつかの実施形態では、dは0~10である。いくつかの実施形態では、bは、1~10、1~8、1~6、1~4、1~3、2~10、2~8、2~6、2~4、2~3、3~10、3~8、3~6、3~4、4~10、4~8、4~6、6~10、6~8、または8~10である。いくつかの実施形態では、dは3である。いくつかの実施形態では、dは4である。いくつかの実施形態では、dは5である。いくつかの実施形態では、dは6である。
【0177】
いくつかの実施形態では、eは、1~100、1~50、1~20、1~10、1~5、5~100、5~50、5~20、5~10、10~100、10~50、10~20、20~100、20~50、または50~100である。いくつかの実施形態では、fは、1~100、1~50、1~20、1~10、1~5、5~100、5~50、5~20、5~10、10~100、10~50、10~20、20~100、20~50、または50~100である。
【0178】
いくつかの実施形態では、fは、1~100、1~50、1~20、1~10、1~5、5~100、5~50、5~20、5~10、10~100、10~50、10~20、20~100、20~50、または50~100である。いくつかの実施形態では、fは、1~100、1~50、1~20、1~10、1~5、5~100、5~50、5~20、5~10、10~100、10~50、10~20、20~100、20~50、または50~100である。
【0179】
式I中、bが0であり、dが0であるいくつかの実施形態では、ポリチオールリガンドは、式IXの構造:
【化17】
〔式中、
CMは中心部分であり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
は、結合、-C(=O)-、C1-10アルキレン、またはC2-10ヘテロアルキレンであり;
Bは、-CH-CH-C(=O)-O-、-CH-C(CH-C(=O)-O-、-CH-CH(CH)-C(=O)-NH-、-C(=O)-NH-、-CH-CH-、または-CH-CH(OH)-CH-O-であり;
は、結合、またはC1-12アルキレンであり;
は、結合、-O-、-C(=O)-O-、または-C(=O)-N-であり;
1A及びR1Bは、独立して、H、またはC1-20アルキレンであり;
は、C1-20アルキレン、またはC1-20アルコキシである。
aは2~10であり;
cは2~10であり;
eは1~100であり;
fは0~100であり;
a+c≧3である〕
を有する。
【0180】
いくつかの実施形態では、CMは、アルカン、1,3,5-トリアジン、ペンタエリスリトール、1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン、トリメチロールプロパン、または(プロパン-2,2-ジイルビス(4,1-フェニレン))ビス(λ’-オキシ)である。いくつかの実施形態では、CMはプロパンである。
【0181】
いくつかの実施形態では、Xは結合である。いくつかの実施形態では、Xは、-C(=O)-である。いくつかの実施形態では、Xは置換または非置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは非置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換または非置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは非置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、X上の置換基は、-SHである。
【0182】
いくつかの実施形態では、Xは結合である。いくつかの実施形態では、Xは、-C(=O)-である。いくつかの実施形態では、Xは置換または非置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは非置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換または非置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは非置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、X上の置換基は、-SHである。
【0183】
いくつかの実施形態では、Xは結合である。いくつかの実施形態では、Xは、-C(=O)-である。いくつかの実施形態では、Xは置換または非置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは非置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換C1-10アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換または非置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは非置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換C1-10ヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、X上の置換基は、-SHである。
【0184】
いくつかの実施形態では、Bは、-CH-CH-C(=O)-O-である。いくつかの実施形態では、Bは、-CH-CH(CH)-C(=O)-O-である。いくつかの実施形態では、Bは、-CH-CH-C(=O)-N-である。いくつかの実施形態では、Bは、-C(=O)-NH-である。いくつかの実施形態では、Bは、-CH-CH-である。いくつかの実施形態では、Bは、-CH-CH(OH)-CH-O-である。いくつかの実施形態では、Bは、-CH-CH(OH)-である。
【0185】
いくつかの実施形態では、Xは結合である。いくつかの実施形態では、Xは置換または非置換C1-12アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは非置換C1-12アルキレンである。いくつかの実施形態では、Xは置換C1-12アルキレンである。
【0186】
いくつかの実施形態では、Xは結合である。いくつかの実施形態では、Xは、-O-である。いくつかの実施形態では、Xは、-C(=O)-O-である。いくつかの実施形態では、Xは、-C(=O)-N-である。
【0187】
いくつかの実施形態では、R1AはHである。いくつかの実施形態では、R1AはC1-20アルキルである。いくつかの実施形態では、R1AはC1-10アルキルである。いくつかの実施形態では、R1AはC1-5アルキルである。いくつかの実施形態では、R1Aは、-CHである。
【0188】
いくつかの実施形態では、R1BはHである。いくつかの実施形態では、R1BはC1-20アルキルである。いくつかの実施形態では、R1BはC1-10アルキルである。いくつかの実施形態では、R1BはC1-5アルキルである。いくつかの実施形態では、R1Bは、-CHである。
【0189】
いくつかの実施形態では、RはC1-20アルキルである。いくつかの実施形態では、RはC1-10アルキルである。いくつかの実施形態では、RはC1-5アルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、-CHCHである。いくつかの実施形態では、Rは、-CHである。
【0190】
いくつかの実施形態では、aは2~10である。いくつかの実施形態では、aは、2~10、2~8、2~6、2~4、2~3、3~10、3~8、3~6、3~4、4~10、4~8、4~6、6~10、6~8、または8~10である。いくつかの実施形態では、aは3である。いくつかの実施形態では、aは4である。いくつかの実施形態では、aは5である。いくつかの実施形態では、aは6である。
【0191】
いくつかの実施形態では、cは2~10である。いくつかの実施形態では、aは、2~10、2~8、2~6、2~4、2~3、3~10、3~8、3~6、3~4、4~10、4~8、4~6、6~10、6~8、または8~10である。いくつかの実施形態では、cは3である。いくつかの実施形態では、cは4である。いくつかの実施形態では、cは5である。いくつかの実施形態では、cは6である。
【0192】
いくつかの実施形態では、eは、1~100、1~50、1~20、1~10、1~5、5~100、5~50、5~20、5~10、10~100、10~50、10~20、20~100、20~50、または50~100である。いくつかの実施形態では、fは、1~100、1~50、1~20、1~10、1~5、5~100、5~50、5~20、5~10、10~100、10~50、10~20、20~100、20~50、または50~100である。
【0193】
いくつかの実施形態では、fは、1~100、1~50、1~20、1~10、1~5、5~100、5~50、5~20、5~10、10~100、10~50、10~20、20~100、20~50、または50~100である。いくつかの実施形態では、fは、1~100、1~50、1~20、1~10、1~5、5~100、5~50、5~20、5~10、10~100、10~50、10~20、20~100、20~50、または50~100である。
【0194】
ポリチオールリガンドの調製
ポリチオールリガンドは、塩基によって触媒される、ポリチオール上の少なくとも1つのチオールとポリ(アルキレンオキシド)上の少なくとも1つの官能基とのマイケル付加反応によって調製され得、当該少なくとも1つの官能基は、アクリレート、メタクリレートまたはアクリルアミドである。マイケル反応の一例は、図2に示されるように、α,β-不飽和カルボニル化合物に対する1,4-付加である。Chatani,S.,et al.,“Relative reactivity and selectivity of vinyl sulfones and acrylates towards the thiol-Michael addition reaction and polymerization,”Polym.Chem.4:1048-1055(2013)を参照されたい。
【0195】
いくつかの実施形態では、塩基触媒は、N,N-ジメチルホルムアミド、トリエチルアミン、ピリジン、塩化テトラブチルアンモニウムまたはN-メチルイミダゾールからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、塩基触媒はトリエチルアミンである。
【0196】
いくつかの実施形態では、反応は、約-20℃~約100℃の温度で行われる。いくつかの実施形態では、塩基触媒反応は、約-20℃~約100℃、約-20℃~約80℃、約-20℃~約60℃、約-20℃~約40℃、約-20℃~約20℃、約20℃~約100℃、約20℃~約80℃、約20℃~約60℃、約20℃~約40℃、約40℃~約100℃、約40℃~約80℃、約40℃~約60℃、約60℃~約100℃、約60℃~約80℃、または約80℃~約100℃の温度で行われる。いくつかの実施形態では、反応は、約60℃~約100℃の温度で行われる。
【0197】
いくつかの実施形態では、ポリチオールリガンドは、スキーム1に示される反応によってポリチオールとアクリレート終端化ポリ(アルキレンオキシド)とから調製される。
【化18】
【0198】
いくつかの実施形態では、ポリチオールリガンドは、スキーム2に示される反応によってポリチオールとメタクリレート終端化ポリ(アルキレンオキシド)とから調製される。
【化19】
【0199】
いくつかの実施形態では、ポリチオールリガンドは、スキーム3に示される反応によってポリチオールとアクリルアミド終端化ポリ(アルキレンオキシド)とから調製される。
【化20】
【0200】
ポリチオールリガンドはまた、ポリチオール上の少なくとも1つのチオールとポリ(アルキレンオキシド)上の少なくとも1つの官能基との塩基触媒反応によっても調製され得、当該少なくとも1つの官能基はイソシアナートまたはグリシジルエーテルである。Nguyen,L.-T.T,et al.,Polym.Chem.4:5527-5536(2013)を参照されたい。
【0201】
いくつかの実施形態では、塩基触媒は、N,N-ジメチルホルムアミド、トリエチルアミン、ピリジン、塩化テトラブチルアンモニウムまたはN-メチルイミダゾールからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、塩基触媒はトリエチルアミンである。
【0202】
いくつかの実施形態では、反応は、約-20℃~約100℃の温度で行われる。いくつかの実施形態では、塩基触媒反応は、約-20℃~約100℃、約-20℃~約80℃、約-20℃~約60℃、約-20℃~約40℃、約-20℃~約20℃、約20℃~約100℃、約20℃~約80℃、約20℃~約60℃、約20℃~約40℃、約40℃~約100℃、約40℃~約80℃、約40℃~約60℃、約60℃~約100℃、約60℃~約80℃、または約80℃~約100℃の温度で行われる。いくつかの実施形態では、反応は、約60℃~約100℃の温度で行われる。
【0203】
いくつかの実施形態では、ポリチオールリガンドは、スキーム4に示される反応によってポリチオールとイソシアナート終端化ポリ(アルキレンオキシド)とから調製される。
【化21】
【0204】
いくつかの実施形態では、ポリチオールリガンドは、スキーム5に示される反応によってポリチオールとグリイジルエーテル終端化ポリ(アルキレンオキシド)(a glyidyl ether-terminated poly(alkylene oxide))とから調製される。
【化22】
【0205】
ポリチオールリガンドはまた、ポリチオール上の少なくとも1つのチオールとポリ(アルキレンオキシド)上の少なくとも1つの官能基とのラジカル媒介反応によっても調製され得、当該少なくとも1つの官能基はアルケンである。Nguyen,L.-T.T,et al.,Polym.Chem.4:5527-5536(2013)を参照されたい。
【0206】
いくつかの実施形態では、ラジカル媒介剤は、光開始剤、例えば、ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノンである。
【0207】
いくつかの実施形態では、ポリチオールリガンドは、スキーム6に示される反応によってポリチオールとアルケン終端化ポリ(アルキレンオキシド)とから調製される。
【化23】
【0208】
リガンド交換
いくつかの実施形態では、本発明は、ナノ構造体上のリガンドを交換する方法に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、ナノ構造体上の第1リガンドを第2リガンドに置き換える方法に関する。いくつかの実施形態では、第2リガンドはポリチオールリガンドである。いくつかの実施形態では、ナノ構造体は量子ドットである。
【0209】
いくつかの実施形態では、ナノ構造体ドット上の第1リガンドはポリチオールリガンドで交換される。チオール基はナノ構造体の天然の疎水性リガンドに取って代わってナノ結晶表面上でのリガンドの安定した固定を提供する。いくつかの実施形態では、ナノ構造体は量子ドットである。
【0210】
いくつかの実施形態では、本発明は、ナノ構造体上の第1リガンドを第2リガンドに置き換える方法であって、
ナノ構造体に結合した第1リガンドを有するナノ構造体の集団を含む反応混合物と、第2リガンドであってポリチオールリガンドである当該第2リガンドとを混和し、その結果として第2リガンドが第1リガンドに取って代わってナノ構造体に結合すること
を含む、当該方法に関する。
【0211】
いくつかの実施形態では、ナノ構造体は量子ドットである。
【0212】
いくつかの実施形態では、第1リガンドは、ナノ構造体に共有結合的に結合している。いくつかの実施形態では、第1リガンドは、ナノ構造体に非共有結合的に結合している。
【0213】
いくつかの実施形態では、第2リガンドは、ナノ構造体に共有結合的に結合する。いくつかの実施形態では、第2リガンドは、ナノ構造体に非共有結合的に結合する。
【0214】
いくつかの実施形態では、混和することは、約0℃~約200℃、約0℃~約150℃、約0℃~約100℃、約0℃~約80℃、約20℃~約200℃、約20℃~約150℃、約20℃~約100℃、約20℃~約80℃、約50℃~約200℃、約50℃~約150℃、約50℃~約100℃、約50℃~約80℃、約80℃~約200℃、約80℃~約150℃、約80℃~約100℃、約100℃~約200℃、約100℃~約150℃、または約150℃~約200℃の温度で実施される。いくつかの実施形態では、混和することは、約50℃~約100℃の温度で実施される。いくつかの実施形態では、混和することは、約80℃の温度で実施される。
【0215】
いくつかの実施形態では、混和することは、約1分間~約6時間、約1分間~約2時間、約1分間~約1時間、約1分間~約40分間、約1分間~約30分間、約1分間~約20分間、約1分間~約10分間、約10分間~約6時間、約10分間~約2時間、約10分間~約1時間、約10分間~約40分間、約10分間~約30分間、約10分間~約20分間、約20分間~約6時間、約20分間~約2時間、約20分間~約1時間、約20分間~約40分間、約20分間~約30分間、約30分間~約6時間、約30分間~約2時間、約30分間~約1時間、約30分間~約40分間、約40分間~約6時間、約40分間~約2時間、約40分間~約1時間、約1時間~約6時間、約1時間~約2時間、または約2時間~約6時間の期間にわたって実施される。いくつかの実施形態では、混和することは、約40分間~約2時間の期間にわたって実施される。いくつかの実施形態では、混和することは、約1時間の期間にわたって実施される。
【0216】
いくつかの実施形態では、反応混合物は溶媒をさらに含む。いくつかの実施形態では、溶媒は、クロロホルム、アセトン、ブタノン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、モノメチルエーテルグリコールエステル、ガンマ-ブチロラクトン、メチル酢酸-3-エチルエーテル、ブチルカルビトール、酢酸ブチルカルビトール、プロパンジオールモノメチルエーテル、酢酸プロパンジオールモノメチルエーテル、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、イソプロピルアルコール、酢酸プロピレングリコールメチルエーテル、メタクリル酸ヘキサンジオール及びその組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、溶媒は酢酸プロピレングリコールメチルエーテルである。
【0217】
光学濃度は、特定波長での材料の吸光度の尺度であり、式:
CD=-log10 (IOUT/IIN
で与えられ、式中、
OUT=セルの中を通り抜ける放射線の強度;及び
IN=セルに当たる放射線の強度
である。材料の光学濃度は、紫外可視分光計を使用して測定され得る。
【0218】
ポリチオールリガンドに対する量子ドットの比率は、所望の波長での原液の光学濃度を測定することによって決定され得る。例えば、5.0mg/mL/OD460の量子ドット対ポリチオールリガンド濃度比率をもたらすには、(経路長1cmのキュベットに入れて460nmの波長で測定した)光学濃度が10である量子ドットの原液4.0mLに、200mgのポリチオールリガンドを加え合わせればよい。また、2.5mg/mL/OD460の量子ドット対ポリチオールリガンド濃度比率をもたらすには、(経路長1cmのキュベットに入れて460nmの波長で測定した)光学濃度が10である量子ドットの原液4.0mLに、100mgのポリチオールリガンドを加え合わせればよい。
【0219】
いくつかの実施形態では、(約450nm~約600nmの波長で)光学濃度によって測定されるポリチオールリガンドに対する量子ドットの濃度比率は、約0.25mg/mL~約10mg/mL、約0.25mg/mL~約5mg/mL、約0.25mg/mL~約1mg/mL、約0.25mg/mL~約0.5mg/mL、約0.5mg/mL~約10mg/mL、約0.5mg/mL~約5mg/mL、約0.5mg/mL~約1mg/mL、約1mg/mL~約10mg/mL、約1mg/mL~約5mg/mL、または約5mg/mL~約10mg/mLである。いくつかの実施形態では、(約450nmの波長で)光学濃度によって測定されるポリチオールリガンドに対する量子ドットの濃度比率は、約0.25mg/mL~約10mg/mL、約0.25mg/mL~約5mg/mL、約0.25mg/mL~約1mg/mL、約0.25mg/mL~約0.5mg/mL、約0.5mg/mL~約10mg/mL、約0.5mg/mL~約5mg/mL、約0.5mg/mL~約1mg/mL、約1mg/mL~約10mg/mL、約1mg/mL~約5mg/mL、または約5mg/mL~約10mg/mLである。いくつかの実施形態では、(約450nmの波長で)光学濃度によって測定されるポリチオールリガンドに対する量子ドットの濃度比率は、約1mg/mL~約5mg/mLである。
【0220】
いくつかの実施形態では、(約600nm及び約750nmの波長で)光学濃度によって測定されるポリチオールリガンドに対する量子ドットの比率は、約0.25mg/mL~約10mg/mL、約0.25mg/mL~約5mg/mL、約0.25mg/mL~約1mg/mL、約0.25mg/mL~約0.5mg/mL、約0.5mg/mL~約10mg/mL、約0.5mg/mL~約5mg/mL、約0.5mg/mL~約1mg/mL、約1mg/mL~約10mg/mL、約1mg/mL~約5mg/mL、または約5mg/mL~約10mg/mLである。
【0221】
ポリチオールリガンドに取って代わられる第1リガンドの百分率は、H NMRによって測定され得る。いくつかの実施形態では、ポリチオールリガンドに取って代わられる第1リガンドのモル百分率は、約20%~約100%、約20%~約80%、約20%~約60%、約20%~約40%、約25%~約100%、約25%~約80%、約25%~約60%、約25%~約40%、約30%~約100%、約30%~約80%、約30%~約60%、約30%~約40%、約40%~約100%、約40%~約80%、約40%~約60%、約60%~約100%、約60%~約80%、または約80%~約100%である。
【0222】
ポリチオールリガンドを含むナノ構造体の集団における、ナノ構造体の百分率は、H NMRによって測定され得る。いくつかの実施形態では、ポリチオールリガンドを構成するリガンドのモル百分率は、約20%~約100%、約20%~約80%、約20%~約60%、約20%~約40%、約25%~約100%、約25%~約80%、約25%~約60%、約25%~約40%、約30%~約100%、約30%~約80%、約30%~約60%、約30%~約40%、約40%~約100%、約40%~約80%、約40%~約60%、約60%~約100%、約60%~約80%、または約80%~約100%である。
【0223】
向上した溶解性
いくつかの実施形態では、ポリチオールリガンドは、極性溶媒、または少なくとも1つの極性溶媒を含む溶媒の組合せに可溶である。いくつかの実施形態では、ナノ構造体上に分散したポリチオールリガンドを含むナノ構造体は、極性溶媒、または少なくとも1つの極性溶媒を含む溶媒の組合せに可溶である。
【0224】
ポリチオールリガンドは、室温の1000mL以下の極性溶媒に少なくとも1グラムのポリチオールリガンドが撹拌によって溶解する場合、極性溶媒に可溶である。溶解するポリチオールリガンドの量は、目視検査によって見極められ得る。
【0225】
いくつかの実施形態では、極性溶媒は、水、酸化重水素、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、イソプロパノール、n-プロパノール、n-ブタノール、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、重水素化ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、ピリジン、ジエチレングリコール、ベンゾニトリル、シクロヘキサノン、クロロホルム、酢酸エチル、酢酸プロピレングリコールメチルエーテル、及びジクロロメタンからなる群から選択される。
【0226】
有機樹脂
いくつかの実施形態では、有機樹脂は、熱硬化性樹脂または紫外線(UV)硬化性樹脂である。いくつかの実施形態では、ロールツーロール加工を容易にする方法を用いて有機樹脂を硬化させる。
【0227】
熱硬化性樹脂は、樹脂を不融性にする不可逆的分子架橋プロセスをそれに受けさせる硬化を必要とする。いくつかの実施形態では、熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アリル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド-イミド樹脂、ポリアミン縮合重合樹脂、尿素メラミン縮合重合樹脂、またはその組合せである。
【0228】
いくつかの実施形態では、熱硬化性樹脂はエポキシ樹脂である。エポキシ樹脂は、広範な化学物質によって揮発性物質または副生成物を発生させることなく容易に硬化する。エポキシ樹脂はまた、大抵の基板との適合性も有し、表面を容易に濡らす傾向がある。Boyle,M.A.,et al.,“Epoxy Resins,”Composites,Vol.21,ASM Handbook,pages 78-89(2001)を参照されたい。
【0229】
いくつかの実施形態では、有機樹脂はシリコーン熱硬化性樹脂である。いくつかの実施形態では、シリコーン熱硬化性樹脂は、OE6630A、またはOE6630B(Dow Corning Corporation,Auburn,MI)である。
【0230】
いくつかの実施形態では、熱開始剤を使用する。いくつかの実施形態では、熱開始剤は、[2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)](AIBN)、または過酸化ベンゾイルである。
【0231】
UV硬化性樹脂は、特定の光波長に曝された場合に硬化及び急硬化するポリマーである。いくつかの実施形態では、UV硬化性樹脂は、官能基としてラジカル重合基、例えば、(メタ)アクリリルオキシ基、ビニルオキシ基、スチリル基もしくはビニル基、またはカチオン重合性基、例えば、エポキシ基、チオエポキシ基、ビニルオキシ基もしくはオキセタニル基を有する樹脂である。いくつかの実施形態では、UV硬化性樹脂は、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂またはポリチオールポリエン樹脂である。
【0232】
いくつかの実施形態では、UV硬化性樹脂は、アクリル酸イソボルニル(IBOA)、ウレタンアクリレート、アリルオキシル化シクロヘキシルジアクリレート、イソシアヌル酸ビス(アクリルオキシエチル)ヒドロキシル、アジピン酸ビス(アクリルオキシネオペンチルグリコール)、ジアクリル酸ビスフェノールA、ジメタクリル酸ビスフェノールA、ジアクリル酸1,4-ブタンジオール、ジメタクリル酸1,4-ブタンジオール、ジアクリル酸1,3-ブチレングリコール、ジメタクリル酸1,3-ブチレングリコール、ジアクリル酸ジシクロペンタニル、ジアクリル酸ジエチレングリコール、ジメタクリル酸ジエチレングリコール、ヘキサアクリル酸ジペンタエリスリトール、モノヒドロキシペンタアクリル酸ジペンタエリスリトール、テトラアクリル酸ジ(トリメチロールプロパン)、ジメタクリル酸エチレングリコール、メタクリル酸グリセロール、ジアクリル酸1,6-ヘキサンジオール、ジメタクリル酸ネオペンチルグリコール、ジアルリル酸ヒドロキシピバル酸ネオペンチルグリコール、トリアクリル酸ペンタエリスリトール、テトラアクリル酸ペンタエリスリトール、リン酸ジメタクリレート、ジアクリル酸ポリエチレングリコール、ジアクリル酸ポリプロピレングリコール、ジアクリル酸テトラエチレングリコール、ジアクリル酸テトラブロモビスフェノールA、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ジアクリル酸トリグリセロール、トリアクリル酸トリメチロールプロパン、ジアクリル酸トリプロピレングリコール、イソシアヌル酸トリス(アクリロイルエチル)、リン酸トリアクリレート、リン酸ジアクリレート、アクリル酸プロパルギルエステル、ビニル終端化ポリジメチルシロキサン、ビニル終端化ジフェニルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、ビニル終端化ポリフェニルメチルシロキサン、ビニル終端化トリフルオロメチルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、ビニル終端化ジエチルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、ビニルメチルシロキサン、モノメタクリロイルオキシプロピル終端化ポリジメチルシロキサン、モノビニル終端化ポリジメチルシロキサン、モノアリル-モノトリメチルシロキシ終端化ポリエチレンオキシド、及びその組合せからなる群から選択される。
【0233】
いくつかの実施形態では、UV硬化性樹脂は、UV硬化条件下でイソシアナート、エポキシまたは不飽和化合物によって架橋され得るチオール官能化樹脂またはポリチオール官能化樹脂である。
【0234】
いくつかの実施形態では、ポリチオール官能化樹脂は、テトラキス(3-メルカプトプロピオン酸)ペンタエリスリトール(PTMP)、トリ(3-メルカプトプロピオン酸)トリメチロールプロパン(TMPMP)、ジ(3-メルカプトプロピオン酸)グリコール(GDMP)、イソシアヌル酸トリス[25-(3-メルカプトプロピオニルオキシ)エチル](TEMPIC)、ヘキサ(3-メルカプトプロピオン酸)ジペンタエリスリトール(Di-PETMP)、トリ(3-メルカプトプロピオン酸)エトキシル化トリメチロールプロパン(ETTMP 1300、及びETTMP 700)、テトラ(3-メルカプトプロピオン酸)ポリカプロラクトン(PCL4MP 1350)、テトラメルカプト酢酸ペンタエリスリトール(PETMA)、トリメルカプト酢酸トリメチロールプロパン(TMPMA)、またはジメルカプト酢酸グリコール(GDMA)である。これらの化合物は、Bruno Bock,Marschacht,GermanyによってTHIOCURE(登録商標)という商標名で販売されている。
【0235】
いくつかの実施形態では、UV硬化性樹脂はポリチオール官能化樹脂である。いくつかの実施形態では、UV硬化性樹脂は、ビス(チオグリコール酸)エチレングリコール、ビス(3-メルカプトプロピオン酸)エチレングリコール、トリス(チオグリコール酸)トリメチロールプロパン、トリス(3-メルカプトプロピオン酸)トリメチロールプロパン、テトラキス(チオグリコール酸)ペンタエリスリトール、テトラキス(3-メルカプトプロピオン酸)ペンタエリスリトール(PETMP)及びその組合せからなる群から選択されるポリチオール官能化化合物である。いくつかの実施形態では、ポリチオール官能化樹脂はPETMPである。
【0236】
いくつかの実施形態では、UV硬化性樹脂は、ポリチオール官能化樹脂と1,3,5-トリアリル-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン(TTT)とを含むチオール-エン配合物である。いくつかの実施形態では、UV硬化性樹脂は、PETMPとTTTとを含むチオール-エン配合物である。
【0237】
いくつかの実施形態では、UV硬化性樹脂は、光開始剤をさらに含む。光開始剤は、光への曝露の間に感光性材料の硬化反応を開始する。いくつかの実施形態では、光開始剤は、アセトフェノン系、ベンゾイン系またはチオキサンテノン系である。
【0238】
いくつかの実施形態では、光開始剤は、MINS-311RM(Minuta Technology Co.,Ltd,Korea)である。
【0239】
いくつかの実施形態では、光開始剤は、IRGACURE 127、IRGACURE 184、IRGACURE 184D、IRGACURE 2022、IRGACURE2100、IRGACURE 250、IRGACURE 270、IRGACURE 2959、IRGACURE 369、IRGACURE 369 EG、IRGACURE 379、IRGACURE 500、IRGACURE 651、IRGACURE 754、IRGACURE 784、IRGACURE 819、IRGACURE 819Dw、IRGACURE 907、IRGACURE 907 FF、IRGACURE Oxe01、IRGACURE TPO-L、IRGACURE 1173、IRGACURE 1173D、IRGACURE 4265、IRGACURE BP、またはIRGACURE MBF(BASF Corporation,Wyandotte,MI)である。いくつかの実施形態では、光開始剤は、TPO(2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキシド)、またはMBF(ベンゾイルギ酸メチル)である。
【0240】
いくつかの実施形態では、ナノ構造体組成物中の有機樹脂の重量百分率は、約5%~約50%、約5%~約40%、約5%~約30%、約5%~約20%、約5%~約10%、約10%~約50%、約10%~約40%、約10%~約30%、約10%~約20%、約20%~約50%、約20%~約40%、約20%~約30%、約30%~約50%、約30%~約40%、または約40%~約50%である。
【0241】
いくつかの実施形態では、ナノ構造体成型品中の有機樹脂の重量百分率は、約0.01%~約50%、約0.01%~約25%、約0.01%~約20%、約0.01%~約15%、約0.01%~約10%、約0.01%~約5%、約0.01%~約2%、約0.01%~約1%、約1%~約50%、約1%~約25%、約1%~約20%、約1%~約15%、約1%~約10%、約1%~約5%、約1%~約2%、約2%~約50%、約2%~約25%、約2%~約20%、約2%~約15%、約2%~約10%、約2%~約5%、5%~約50%、約5%~約25%、約5%~約20%、約5%~約15%、約5%~約10%、約10%~約50%、約10%~約25%、約10%~約20%、約10%~約15%、約15%~約50%、約15%~約25%、約15%~約20%、約20%~約50%、約20%~約25%、または約25%~約50%である。
【0242】
いくつかの実施形態では、1つよりも多い有機樹脂を使用する場合、有機樹脂を加え合わせて混合する。いくつかの実施形態では、第1有機樹脂と第2有機樹脂とを加え合わせて混合する。
【0243】
いくつかの実施形態では、約100rpm~約10,000rpm、約100rpm~約5,000rpm、約100rpm~約3,000rpm、約100rpm~約1,000rpm、約100rpm~約500rpm、約500rpm~約10,000rpm、約500rpm~約5,000rpm、約500rpm~約3,000rpm、約500rpm~約1,000rpm、約1,000rpm~約10,000rpm、約1,000rpm~約5,000rpm、約1,000rpm~約3,000rpm、約3,000rpm~約10,000rpm、約3,000rpm~約10,000rpm、または約5,000rpm~約10,000rpmの撹拌速度で第1有機樹脂を第2有機樹脂と混合する。
【0244】
いくつかの実施形態では、約10分間~約24時間、約10分間~約20時間、約10分間~約15時間、約10分間~約10時間、約10分間~約5時間、約10分間~約1時間、約10分間~約30分間、約30分間~約24時間、約30分間~約20時間、約30分間~約15時間、約30分間~約10時間、約30分間~約5時間、約30分間~約1時間、約1時間~約24時間、約1時間~約20時間、約1時間~約15時間、約1時間~約10時間、約1時間~約5時間、約5時間~約24時間、約5時間~約20時間、約5時間~約15時間、約5時間~約10時間、約10時間~約24時間、約10時間~約20時間、約10時間~約15時間、約15時間~約24時間、約15時間~約20時間、または約20時間~約24時間の時間にわたって第1有機樹脂を第2有機樹脂と混合する。
【0245】
ナノ構造体組成物の製造
本発明は、ナノ構造体組成物を作る方法であって、ナノ構造体の少なくとも1つの集団と少なくとも1つの有機樹脂とを混和することを含む、当該方法を提供する。いくつかの実施形態では、ナノ構造体の集団の中のリガンドのうち約20~約100モルパーセントは、ポリチオールリガンドを構成する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの有機樹脂はチオール官能化樹脂である。
【0246】
本発明は、ナノ構造体組成物を調製する方法であって、
(a)ナノ構造体の集団の中のリガンドのうち約20~約100モルパーセントが、ナノ構造体に結合したポリチオールリガンドを構成している、ナノ構造体の少なくとも1つの集団を含む、組成物を提供すること;及び
(b)少なくとも1つの有機樹脂であって極性溶媒に可溶である当該少なくとも1つの有機樹脂を、(a)の組成物と混和すること
を含む、当該方法を提供する。
【0247】
いくつかの実施形態では、ナノ構造体の集団は、赤色、緑色または青色の光を放出する。いくつかの実施形態では、赤色、緑色及び青色の光の各々の一部は、ナノ構造体膜を組み込んだ表示装置によって放出される白色光のための所望の白色点を実現するように制御され得る。
【0248】
いくつかの実施形態では、ナノ構造体組成物は、ナノ構造体材料の少なくとも1つの集団を含む。いくつかの実施形態では、ナノ構造体組成物は、1~5個、1~4個、1~3個、1~2個、2~5個、2~4個、2~3個、3~5個、3~4個、または4~5個のナノ構造体材料の集団を含む。所望のナノ構造体組成物特質を生み出すために、量子ドットの集団は任意の好適な比率で組み合わされ得る。いくつかの実施形態では、ナノ構造体は量子ドットである。
【0249】
いくつかの実施形態では、ナノ構造体組成物は、少なくとも1つの有機樹脂を含む。いくつかの実施形態では、ナノ構造体組成物は、1~5個、1~4個、1~3個、1~2個、2~5個、2~4個、2~3個、3~5個、3~4個、または4~5個の有機樹脂を含む。いくつかの実施形態では、ナノ構造体組成物は、1~3個、1~2個、または2~3個の有機樹脂を含む。いくつかの実施形態では、ナノ構造体組成物は1個の有機樹脂を含む。いくつかの実施形態では、ナノ構造体は量子ドットである。
【0250】
いくつかの実施形態では、ナノ構造体組成物に占めるナノ構造体の集団の重量百分率は、約0.001%~約2%、約0.001%~約1%、約0.001%~約0.5%、約0.001%~約0.1%、約0.001%~0.01%、約0.01%~約2%、約0.01%~約1%、約0.01%~約0.5%、約0.01%~約0.1%、約0.1%~約2%、約0.1%~約1%、約0.1%~約0.5%、約0.5%~約2%、約0.5%~約1%、または約1%~約2%である。いくつかの実施形態では、ナノ構造体は量子ドットである。
【0251】
いくつかの実施形態では、ナノ構造体組成物に占める有機樹脂の重量百分率は、約5%~約50%、約5%~約40%、約5%~約30%、約5%~約20%、約5%~約10%、約10%~約50%、約10%~約40%、約10%~約30%、約10%~約20%、約20%~約50%、約20%~約40%、約20%~約30%、約30%~約50%、約30%~約40%、または約40%~約50%である。
【0252】
いくつかの実施形態では、約100rpm~約10,000rpm、約100rpm~約5,000rpm、約100rpm~約3,000rpm、約100rpm~約1,000rpm、約100rpm~約500rpm、約500rpm~約10,000rpm、約500rpm~約5,000rpm、約500rpm~約3,000rpm、約500rpm~約1,000rpm、約1,000rpm~約10,000rpm、約1,000rpm~約5,000rpm、約1,000rpm~約3,000rpm、約3,000rpm~約10,000rpm、約3,000rpm~約10,000rpm、または約5,000rpm~約10,000rpmの撹拌速度で少なくとも1つの有機樹脂をナノ構造体の少なくとも1つの集団と混和する。
【0253】
いくつかの実施形態では、約-5℃~約100℃、約-5℃~約75℃、約-5℃~約50℃、約-5℃~約23℃、約23℃~約100℃、約23℃~約75℃、約23℃~約50℃、約50℃~約100℃、約50℃~約75℃、または約75℃~約100℃の温度で少なくとも1つの有機樹脂をナノ構造体の少なくとも1つの集団と混和する。いくつかの実施形態では、約23℃~約50℃の温度で少なくとも1つの有機樹脂をナノ構造体の少なくとも1つの集団と混和する。
【0254】
いくつかの実施形態では、約10分間~約24時間、約10分間~約20時間、約10分間~約15時間、約10分間~約10時間、約10分間~約5時間、約10分間~約1時間、約10分間~約30分間、約30分間~約24時間、約30分間~約20時間、約30分間~約15時間、約30分間~約10時間、約30分間~約5時間、約30分間~約1時間、約1時間~約24時間、約1時間~約20時間、約1時間~約15時間、約1時間~約10時間、約1時間~約5時間、約5時間~約24時間、約5時間~約20時間、約5時間~約15時間、約5時間~約10時間、約10時間~約24時間、約10時間~約20時間、約10時間~約15時間、約15時間~約24時間、約15時間~約20時間、または約20時間~約24時間の時間にわたって少なくとも1つの有機樹脂をナノ構造体の少なくとも1つの集団と混和する。
【0255】
いくつかの実施形態では、混和することは、溶媒をさらに含む。いくつかの実施形態では、溶媒は、クロロホルム、アセトン、ブタノン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、モノメチルエーテルグリコールエステル、ガンマ-ブチロラクトン、メチル酢酸-3-エチルエーテル、ブチルカルビトール、酢酸ブチルカルビトール、プロパンジオールモノメチルエーテル、酢酸プロパンジオールモノメチルエーテル、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、イソプロピルアルコール及びその組合せからなる群から選択される。
【0256】
ポリチオールリガンドを含むナノ構造体組成物の向上した溶解性
ポリチオールリガンドは、有機樹脂中のナノ構造体の集団に安定性の向上をもたらし、長期間にわたるナノ構造体の貯蔵を可能にする。いくつかの実施形態では、ナノ構造体の少なくとも1つの集団は、有機樹脂と共に約10℃~約90℃の温度で約1分間~約3年間、約1分間~約12ヶ月間、約1分間~約6ヶ月間、約1分間~約3ヶ月間、約1分間~約1ヶ月間、約1分間~約15日間、約1分間~約1日間、約1日間~約3年間、約1日間~約12ヶ月間、約1日間~約6ヶ月間、約1日間~約3ヶ月間、約1日間~約1ヶ月間、約1日間~約15日間、約15日間~約3年間、約15日間~約12ヶ月間、約15日間~約6ヶ月間、約15日間~約3ヶ月間、約15日間~約1ヶ月間、約1ヶ月間~約3年間、約1ヶ月間~約12ヶ月間、約1ヶ月間~約6ヶ月間、約1ヶ月間~約3ヶ月間、約3ヶ月間~約3年間、約3ヶ月間~約12ヶ月間、約3ヶ月間~約6ヶ月間、約6ヶ月間~約3年間、約6ヶ月間~約12ヶ月間、または約12ヶ月間~約3年間にわたって貯蔵され得る。
【0257】
ポリチオールリガンドは、有機樹脂中のナノ構造体の集団に安定性の向上をもたらし、長期間にわたるナノ構造体の貯蔵を可能にする。いくつかの実施形態では、ナノ構造体の少なくとも1つの集団は、有機樹脂と共に約30℃~約90℃の温度で約1分間~約3年間、約1分間~約12ヶ月間、約1分間~約6ヶ月間、約1分間~約3ヶ月間、約1分間~約1ヶ月間、約1分間~約15日間、約1分間~約1日間、約1日間~約3年間、約1日間~約12ヶ月間、約1日間~約6ヶ月間、約1日間~約3ヶ月間、約1日間~約1ヶ月間、約1日間~約15日間、約15日間~約3年間、約15日間~約12ヶ月間、約15日間~約6ヶ月間、約15日間~約3ヶ月間、約15日間~約1ヶ月間、約1ヶ月間~約3年間、約1ヶ月間~約12ヶ月間、約1ヶ月間~約6ヶ月間、約1ヶ月間~約3ヶ月間、約3ヶ月間~約3年間、約3ヶ月間~約12ヶ月間、約3ヶ月間~約6ヶ月間、約6ヶ月間~約3年間、約6ヶ月間~約12ヶ月間、または約12ヶ月間~約3年間にわたって貯蔵され得る。
【0258】
ナノ構造体層の作製
本発明に使用されるナノ構造体は、任意の好適な方法を用いて高分子マトリックス中に埋め込まれ得る。本明細書で使用される場合、「埋め込まれる」という用語は、マトリックスの成分の大部分を構成しているポリマーによってナノ構造体集団が封入される、または封じ込められることを表すために使用される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのナノ構造体集団は、好適にマトリックスの全体にわたって均一に分布している。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのナノ構造体集団は、用途特異的な分布に従って分布している。いくつかの実施形態では、ナノ構造体をポリマー中に混合し、基板の表面に塗布する。
【0259】
ナノ構造体組成物を堆積させることは、塗装、スプレー塗工、溶媒噴霧、湿式塗工、接着剤塗工、スピン塗工、テープ塗工、ロール塗工、フロー塗工、インクジェット蒸気噴射、ドロップキャスティング、ブレード塗工、ミスト堆積またはその組合せを含むがこれらに限定されない当技術分野で知られている任意の好適な方法によって行われ得る。好ましくは、ナノ構造体組成物を堆積後に硬化させる。好適な硬化方法としては、光硬化、例えばUV硬化、及び熱硬化が挙げられる。ナノ構造体膜の形成には、従来の積層膜加工方法、テープ塗工法及び/またはロールツーロール製造法が採用され得る。ナノ構造体組成物は、所望の基板の層の上に直接塗工され得る。あるいは、ナノ構造体組成物は、独立した要素として固体層に成形され得、その後、基板に貼付され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のバリア層の上にナノ構造体組成物を堆積させ得る。
【0260】
スピン塗工
いくつかの実施形態では、スピン塗工を用いてナノ構造体組成物を基板上に堆積させる。スピン塗工では、真空によって固定された、スピナーと呼ばれる機械に搭載された基板の中心に、少量の材料を堆積させるのが典型的である。スピナーによって、材料を基板の中心から縁部へと広がらせる求心力を生じさせる高速の回転を基板に印加する。材料の大部分は振り落とされるであろうが、一定量は基板上に留まり、回転が継続されるにつれて表面に材料の薄膜を形成する。膜の最終厚さは、スピン加工のために選択されたパラメータ、例えば、スピン速度、加速度及びスピン時間に加えて、堆積した材料及び基板の性質によって決まる。典型的な膜の場合、10~60秒のスピン時間で1500~6000rpmのスピン速度が用いられる。
【0261】
ミスト堆積
いくつかの実施形態では、ミスト堆積を用いてナノ構造体組成物を基板上に堆積させる。ミスト堆積は室温及び大気圧で起こり、プロセス条件を変化させることによって膜厚に対する厳密な制御を可能にする。ミスト堆積中に液体供給源材料は非常に細かいミストに変えられ、窒素ガスによって堆積チャンバへと運ばれる。その後、ミストは電場遮蔽板とウェハ保持器との間の高電圧の電位によってウェハ表面へと引き寄せられる。液滴がウェハ表面上で合体した時点でウェハをチャンバから取り出し、熱硬化させて溶媒を蒸発させる。液体前駆物質は、溶媒と、堆積させることになる材料との混合物である。それは、加圧窒素ガスによって噴霧器へと運ばれる。Price,S.C.,et al.,“Formation of Ultra-Thin Quantum Dot Films by Mist Deposition,”ESC Transactions 11:89-94(2007)。
【0262】
スプレー塗工
いくつかの実施形態では、スプレー塗工を用いてナノ構造体組成物を基板上に堆積させる。スプレー塗工のための典型的な機器は、スプレーノズル、噴霧器、前駆物質溶液及びキャリアガスを含む。スプレー堆積プロセスでは、キャリアガスによって、または(例えば、超音波、衝風または静電気による)霧化によって前駆物質溶液をマイクロサイズの液滴に飛沫化する。噴霧器から出てくる液滴は、所望に応じて制御及び調節されるキャリアガスの助けを借りてノズルの中を通って基板表面によって加速される。スプレーノズルと基板との間の相対移動は、基板全体を網羅することを目的とした設計によって規定される。
【0263】
いくつかの実施形態では、ナノ構造体組成物の塗布は、溶媒をさらに含む。いくつかの実施形態では、ナノ構造体組成物の塗布のための溶媒は、水、有機溶媒、無機溶媒、ハロゲン化有機溶媒またはその混合物である。例示的な溶媒としては、水、DO、アセトン、エタノール、ジオキサン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、イソプロパノール、アニソール、γ-ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロールジノン(N-methylpyrroldinone)、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、トルエン、ジメチルスルホキシド、シクロペンタノン、テトラメチレンスルホキシド、キシレン、ε-カプロラクトン、テトラヒドロフラン、テトラクロロエチレン、クロロホルム、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2,2-テトラクロロエタンまたはその混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0264】
いくつかの実施形態では、ナノ構造体組成物を熱硬化させてナノ構造体層を形成する。いくつかの実施形態では、UV光を用いて組成物を硬化させる。いくつかの実施形態では、ナノ構造体組成物をナノ構造体膜のバリア層上に直接塗工し、その後、さらなるバリア層をナノ構造体層上に堆積させてナノ構造体膜を作り出す。さらなる強度、安定性及び塗工均一性のために、ならびに材料不完全性、気泡形成、及びバリア層材料または他の材料のしわ形成またはひだ形成を防止するために、バリア膜の下に支持基板を採用してもよい。加えて、好ましくは、1つ以上のバリア層をナノ構造体層の上に堆積させて材料を上部及び下部バリア層の間に封止する。好適には、積層体膜としてバリア層の堆積が行われ得、光学的封止またはさらなる加工が行われ得、その後、ナノ構造体膜が特定の照明装置に組み込まれ得る。当業者には理解されるであろうが、ナノ構造体組成物堆積プロセスは、追加または変更される構成要素を含み得る。そのような実施形態は、ナノ構造体発光特質、例えば、(例えば量子ドット膜の白色点を調整するための)輝度及び色、ならびにナノ構造体膜厚さ及び他の特質のライン内プロセス調整を可能にするであろう。加えて、これらの実施形態は、生産中にナノ構造体膜特質を定期的に検査すること、及び厳密なナノ構造体膜特質を実現するために必要となる何らかのトグル切替えを行うこと可能にするであろう。そのような検査及び調整は、加工ラインの機械的配置を変更することなく実現されることもある。なぜなら、ナノ構造体膜の形成に使用されることになる混合物の各々の量を電子的に変更するコンピュータプログラムが採用され得るからである。
【0265】
バリア層
いくつかの実施形態では、ナノ構造体成型品は、ナノ構造体層のどちらか一方の面、または両面に配置された1つ以上のバリア層を含む。好適なバリア層は、ナノ構造体層及びナノ構造体成型品を高温、酸素及び水分などの環境条件から保護する。好適なバリア層としては、疎水性であり、化学的及び力学的にナノ構造体成型品に適合し、光及び化学安定性を呈し、高温に耐え得る、非黄変性透明光学材料が挙げられる。好ましくは、1つ以上のバリア層は、ナノ構造体成型品と屈折率が整合している。好ましい実施形態では、ナノ構造体成型品のマトリックス材料と1つ以上の隣接バリア層とは、バリア層を通ってナノ構造体成型品へ向かって透過する光の大部分がバリア層からナノ構造体層内へと透過するような同程度の屈折率を有するように屈折率が整合している。この屈折率整合は、バリア層とマトリックス材料との間の界面における光損失を低減する。
【0266】
バリア層は、好適には固体材料であり、硬化した液体、ゲルまたはポリマーであり得る。バリア層は、詳細な用途に応じて可撓性または非可撓性材料を含み得る。バリア層は、好ましくは平坦な層であり、詳細な照明用途に応じて任意の好適な形状及び表面積配置を含み得る。好ましい実施形態では、1つ以上のバリア層を積層体膜加工技術に適合させることになり、当該技術によって、少なくとも第1バリア層上にナノ構造体層が配置され、ナノ構造体層とは反対側の面ではナノ構造体層上に少なくとも第2バリア層が配置されて一実施形態によるナノ構造体成型品が形成される。好適なバリア材料には、当技術分野で知られている任意の好適なバリア材料が含まれる。例えば、好適なバリア材料には、ガラス、ポリマー及び酸化物が含まれる。好適なバリア層材料としては、ポリマー、例えばポリエチレンテレフタレート(PET);酸化物、例えば、酸化ケイ素、酸化チタンまたは酸化アルミニウム(例えば、SiO、Si、TiOまたはAl);及びその好適な組合せが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、ナノ構造体成型品の各バリア層は、多層バリアがバリア層におけるピンホール欠陥の整列を排除または軽減してナノ構造体層内への酸素及び水分の透過に対する効果的なバリアを提供するような、異なる材料または組成物を含む少なくとも2つの層を含む。ナノ構造体層は任意の好適な材料または材料の組合せを含み得、ナノ構造体層のどちらか一方の面または両面に任意の好適な数のバリア層を含み得る。バリア層の材料、厚さ及び数は、詳細な用途によって決まるものであり、好適には、ナノ構造体成型品の厚さを最小限に抑えながらバリア保護、及びナノ構造体層の輝度を最大限にするように選択されることになる。好ましい実施形態では、各バリア層は、積層体膜、好ましくは二重積層体膜を含み、各バリア層の厚さは、ロールツーロールまたは積層体製造プロセスにおけるしわ形成を排除するのに十分厚い。バリアの数または厚さは、さらには、ナノ構造体が重金属または他の有害物質を含む実施形態における法的毒性指針によって決まり得るが、この指針は、より多くの、またはより厚いバリア層を要求するものであり得る。バリアについて考慮すべきさらなる事項としては、コスト、利用しやすさ、及び機械的強度が挙げられる。
【0267】
いくつかの実施形態では、ナノ構造体膜は、ナノ構造体層の両側に隣接する2つ以上のバリア層、例えば、ナノ構造体層の各面に2つずつもしくは3つずつの層、または各面に2つずつのバリア層を含む。いくつかの実施形態では、各バリア層は、薄いガラス薄板、例えば、約100μm、100μm以下、または50μm以下の厚さを有するガラス薄板を含む。
【0268】
ナノ構造体膜の各バリア層は任意の好適な厚さを有し得るが、この厚さは、当業者には理解されるであろうが、照明装置及び用途の詳細な要件及び特質、ならびに個々の膜構成要素、例えばバリア層及びナノ構造体層によって決まるものである。いくつかの実施形態では、各バリア層は、50μm以下、40μm以下、30μm以下、25μm以下、20μm以下または15μm以下の厚さを有し得る。ある特定の実施形態では、バリア層は、酸化ケイ素、酸化チタン及び酸化アルミニウム(例えば、SiO、Si、TiOまたはAl)などの材料を含むものであり得る酸化物被膜を含む。酸化物被膜は、約10μm以下、5μm以下、1μm以下または100nm以下の厚さを有し得る。ある特定の実施形態では、バリアは、約100nm以下、10nm以下、5nm以下または3nm以下の厚さを有する薄い酸化物被膜を含む。上部及び/または下部バリアは、薄い酸化物被膜からなり得る、または薄い酸化物被膜と1つ以上のさらなる材料層を含み得る。
【0269】
ナノ構造体膜の改善された特質
ポリチオールリガンドを含むナノ構造体の集団を有機樹脂中に含むナノ構造体組成物を使用して作製された膜は、高温での向上した安定性を提供する。いくつかの実施形態では、ナノ構造体組成物を使用して作製された膜は、40℃~100℃の温度で約1分間~約3年間、約1分間~約12ヶ月間、約1分間~約6ヶ月間、約1分間~約3ヶ月間、約1分間~約1ヶ月間、約1分間~約15日間、約1分間~約1日間、約1日間~約3年間、約1日間~約12ヶ月間、約1日間~約6ヶ月間、約1日間~約3ヶ月間、約1日間~約1ヶ月間、約1日間~約15日間、約15日間~約3年間、約15日間~約12ヶ月間、約15日間~約6ヶ月間、約15日間~約3ヶ月間、約15日間~約1ヶ月間、約1ヶ月間~約3年間、約1ヶ月間~約12ヶ月間、約1ヶ月間~約6ヶ月間、約1ヶ月間~約3ヶ月間、約3ヶ月間~約3年間、約3ヶ月間~約12ヶ月間、約3ヶ月間~約6ヶ月間、約6ヶ月間~約3年間、約6ヶ月間~約12ヶ月間、または約12ヶ月間~約3年間にわたって安定して貯蔵され得る。
【0270】
ポリチオールリガンドを含むナノ構造体の集団を有機樹脂中に含むナノ構造体組成物を使用して作製された膜は、高い湿度レベルでの向上した安定性を提供する。いくつかの実施形態では、ナノ構造体組成物を使用して作製された膜は、約60%~約100%の相対湿度レベルで約1分間~約3年間、約1分間~約12ヶ月間、約1分間~約6ヶ月間、約1分間~約3ヶ月間、約1分間~約1ヶ月間、約1分間~約15日間、約1分間~約1日間、約1日間~約3年間、約1日間~約12ヶ月間、約1日間~約6ヶ月間、約1日間~約3ヶ月間、約1日間~約1ヶ月間、約1日間~約15日間、約15日間~約3年間、約15日間~約12ヶ月間、約15日間~約6ヶ月間、約15日間~約3ヶ月間、約15日間~約1ヶ月間、約1ヶ月間~約3年間、約1ヶ月間~約12ヶ月間、約1ヶ月間~約6ヶ月間、約1ヶ月間~約3ヶ月間、約3ヶ月間~約3年間、約3ヶ月間~約12ヶ月間、約3ヶ月間~約6ヶ月間、約6ヶ月間~約3年間、約6ヶ月間~約12ヶ月間、または約12ヶ月間~約3年間にわたって安定して貯蔵され得る。
【0271】
ポリチオールリガンドを含むナノ構造体の集団を有機樹脂中に含むナノ構造体組成物を使用して作製された膜は、向上した光変換効率(LCE)を提供する。いくつかの実施形態では、ナノ構造体組成物を使用して作製された膜は、約20%~約40%、約20%~約30%、約20%~約25%、約20%~約22.5%、約22.5%~約40%、約22.5%~約30%、約22.5%~約25%、約25%~約40%、約25%~約30%、または約30%~約40%の光変換効率を呈する。いくつかの実施形態では、ナノ構造体組成物を使用して作製された膜は、約20%~約25%の色変換効率を呈する。
【0272】
ナノ構造体膜特徴及び実施形態
いくつかの実施形態では、ナノ構造体膜は、表示装置を形成するために使用される。本明細書で使用される場合、表示装置は、照明ディスプレイを備えた任意のシステムを指す。そのような装置としては、液晶ディスプレイ(LCD)を包含する装置、テレビ、コンピュータ、携帯電話、スマートフォン、個人情報端末(PDA)、ゲーミング装置、電子読取装置、デジタルカメラ及びその類似物が挙げられるが、これらに限定されない。
【実施例
【0273】
以下の実施例は、本明細書に記載の製品及び方法を非限定的に例示するものである。当技術分野で通常みられる、及び本開示に鑑みて当業者にとって明らかである、様々な条件、配合組成及び他のパラメータの好適な改変及び適合は、本発明の趣旨及び範囲に含まれる。
【0274】
実施例1
【化24】
PETMP-PEG480の合成
アクリル酸ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(平均Mn 480(Sigma Aldrich,St.Louis,MO))(PEG480)の溶液78.582g、及び1.092mLのトリメチルアミン(TEA)を室温で丸底フラスコに加え、均質になるまで5分間撹拌した。溶液に80gのテトラキス(3-メルカプトプロピオン酸)ペンタエリスリトール(Evans Chemetics LP,Waterloo,NY)(PETMP)を添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。反応が発熱性であるため、温度は約40℃に上昇した。フラスコを80℃で1.5時間さらに加熱した。その後、フラスコを60℃に冷却し、2時間にわたって真空(100mTorr)を印加することによってTEAを除去した。C=C-H伸縮及びプロトンシグナルの消費を確認するFTIR及びH-NMRによって最終生成物の特性評価を行った。
【0275】
実施例2
PETMP-PEG480リガンドとのリガンド交換
100mLの丸底フラスコに、量子ドットを含んだヘキサン6.0mL、0.379gのPETMP-PEG-480、及び12.0mLの脱気酢酸ポリプロピレングリコールメチルエーテル(PGMEA)を窒素下で加えた。撹拌しながらフラスコを1時間にわたって80℃に加熱した。かすんだ溶液がリガンド交換の間に清澄化した。溶液を室温に冷却し、その後、TEFLON(登録商標)製遠心分離瓶において36mLの脱気ヘプタン(リガンド交換溶液全体積の4倍)を添加し、結合PETMP-PEG-480リガンドを含む量子ドットを析出させた。結合PETMP-PEG-480リガンドを含む量子ドットの曇った懸濁液を、4000rpmで15分間遠心分離して、ペレット及び透明な上清相を得た。上清を捨て、結合PETMP-PEG-480リガンドを含む量子ドットを0.948mLの脱気PGMEAの中に撹拌によって再分散させた。リガンド交換前には量子ドットはPGMEAに可溶でなかった。
【0276】
実施例3
PEG1000-CAリガンドとのリガンド交換
実施例2の方法を用い、PETMP-PEG480の代わりにPEG1000-CAを使用して、結合カルボン酸終端化PEG-1000(PEG-1000-CA)リガンドを含む量子ドットを調製した。カルボン酸終端化PEG-1000リガンドは、参照により全体が本明細書に援用される国際特許出願公開第WO2019/084119号に記載されている方法を用いて調製された。
【0277】
実施例4
異なる比率のPETMP-PEG480またはPEG1000-CAでの量子収率結果
結合PETMP-PEG-480リガンドを含む量子ドット、及び結合PEG-1000-CAを含む量子ドットを、リガンド対量子ドットの異なる濃度比率を用いて調製した。リガンドの濃度(mg/mL)、及び量子ドットの濃度は、紫外可視分光計によって450nmの波長でリガンド分散体または量子ドット分散体の光学濃度(OD)を測定することによって決定された。個々の濃度測定結果からリガンド対量子ドット比率を、式:
リガンド/量子ドット比率=OD450 リガンド/OD450 量子ドット
を用いて測った。3つの異なるリガンド/量子ドット比率で結合PETMP-PEG-480を含む量子ドット、及び結合PEG-1000-CAを含む量子ドットの量子収率測定結果を表1に示す。
【表2】
【0278】
表1に示すように、1の比率で結合PETMP-PEG-480リガンドを含む量子ドットは87.4%の量子収率となり、リガンド/量子ドットの比率が上昇するにつれて減少し、結合PETMP-PEG-480リガンドを含む量子ドットでは量子収率が83.9%となった。結合PETMP-PEG-480リガンドを含む量子ドットで得られた量子収率は、同じリガンド/量子ドット比率を有する結合PEG-1000-CAリガンドを含む量子ドットで得られたものと同程度であった。
【0279】
実施例5
量子ドット膜の作製
結合PETMP-PEG-480リガンド(またはPEG-1000-CAリガンド)を含む量子ドットのPGMEA溶液を、(同じくPGMEAに溶解する)ポリマー配合物に添加した。溶液を100℃での溶媒蒸発とその後の180℃での熱硬化によって膜に加工した。表2に示すように、結合PETMP-PEG-480リガンドを含む量子ドットを使用して作製された膜は、結合PEG-1000-CAリガンドを含む量子ドットを使用して作製された膜よりも改善された輝度を示した。量子ドット膜の輝度は、光変換効率(LCE)の測定結果である。
【表3】
【0280】
実施例6
量子ドット膜の熱的加熱後の重量減少
180℃で30分間にわたる熱硬化の前後で、結合PETMP-PEG-480リガンドを含む量子ドット、及び結合PEG-1000-CAリガンドを含む量子ドットの重量を測定した。結果を表3に示す。
【表4】
【0281】
表3に示すように、結合PETMP-PEG-480リガンドを含む量子ドットは、結合PEG-1000-CAリガンドを含む量子ドットに比べてよりはるかに熱的に安定している。向上した熱安定性は、結合PETMP-PEG-480リガンドを含む量子ドットの膜輝度の改善に寄与するものと考えられる。
【0282】
実施例7
QDCF(量子ドットカラーフィルタ)配合物例
QDCF用途のための配合物は、QD溶液を、インクに使用される他の成分と組み合わせることによって調製される。例を表4に示す。
【表5】
【0283】
膜の堆積は、予め浄化された2インチ×2インチのガラス基板の上に上記配合物を3つの異なる速度(例えば、200、400及び600rpm)でスピン塗工することによって行われ得る。膜は、インクの種類に応じて加熱(N中150℃で20~40分間)またはUV光照射(1000~2000mJ/cm)によって硬化し得る。
【0284】
膜は青色透過率及び光変換効率(PCE)の測定のために光学台に移され得る。膜厚さは粗面計を使用して測定され得る。
【0285】
様々な実施形態を上記に記載してきたが、それらが限定としてではなく例として提示されているにすぎないことは理解されるべきである。それらにおいて、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく形態及び詳細に様々な変更がなされ得ることは、関連技術分野の当業者には明らかであろう。したがって、幅広さ及び範囲は、上記の例示的実施形態のいずれかによって限定されるべきでなく、以下の請求項及びそれらの均等物によってのみ規定されるべきである。
【0286】
本明細書中で言及されるすべての刊行物、特許及び特許出願は、本発明が属する技術分野の当業者の技量水準を示しており、参照により、各個の刊行物、特許または特許出願が参照により援用されることを具体的かつ個別に示すのと同じ程度に本明細書に援用する。
図1
図2
【国際調査報告】