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特表2023-552262高チタン鋼の連続鋳造用モールドパウダー及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-15
(54)【発明の名称】高チタン鋼の連続鋳造用モールドパウダー及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22D 11/108 20060101AFI20231208BHJP
   C21C 7/076 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
B22D11/108 F
C21C7/076 P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519714
(86)(22)【出願日】2022-07-20
(85)【翻訳文提出日】2023-03-29
(86)【国際出願番号】 CN2022106864
(87)【国際公開番号】W WO2023077869
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】202111288492.5
(32)【優先日】2021-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511059003
【氏名又は名称】パンガン グループ パンジフア アイロン アンド スチール リサーチ インスティチュート カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PanGang Group Panzhihua Iron & Steel Research Institute Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 90 Taoyuan Street, East District, Panzhihua, Sichuan, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ミン
(72)【発明者】
【氏名】ゼン ジャンフア
(72)【発明者】
【氏名】ワン チアン
(72)【発明者】
【氏名】ウー クオロン
【テーマコード(参考)】
4E004
4K013
【Fターム(参考)】
4E004MB14
4K013EA03
4K013EA04
4K013EA08
4K013EA15
4K013EA39
(57)【要約】
本発明は、高チタン鋼の連続鋳造用モールドパウダーを提供し、その成分は、0~6wt%のCaOと、20~30wt%のSiOと、0~10wt%のFeと、5~14wt%のFと、3~10wt%のLiOと、35~50wt%のBaOと、3~15wt%のCとを含み、その残部が不純物である。本発明は、高チタン鋼に対して、連続鋳造打ち込みに適用されるモールド用モールドパウダーを設計開発する。本発明の提供するモールドパウダーは、Fe、Al、NaO、Bなどの物質と鋼中のチタンとの反応性を効果的に低下させることにより、モールドパウダーの性能を安定させる。また、本発明の提供するモールドパウダーにおいて、パウダー中のCaOの含有量を大幅に低下させ、高融点ペロブスカイトの発生を効果的に防止し、高チタン鋼の打ち込み過程における性能の安定性を確保する。本発明は、さらに高チタン鋼の連続鋳造用モールドパウダーの製造方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
0~6wt%のCaOと、
20~30wt%のSiOと、
0~10wt%のFeと、
5~14wt%のFと、
3~10wt%のLiOと、
35~50wt%のBaOと、
3~15wt%のCと、の成分を有し、
残部が不純物である、
高チタン鋼の連続鋳造用モールドパウダー。
【請求項2】
前記CaOの質量含有量が1~5%である、
ことを特徴とする請求項1に記載の高チタン鋼の連続鋳造用モールドパウダー。
【請求項3】
前記SiOの質量含有量が23~27%である、
ことを特徴とする請求項1に記載の高チタン鋼の連続鋳造用モールドパウダー。
【請求項4】
前記Feの質量含有量が2~8%である、
ことを特徴とする請求項1に記載の高チタン鋼の連続鋳造用モールドパウダー。
【請求項5】
前記Fの質量含有量が6~12%である、
ことを特徴とする請求項1に記載の高チタン鋼の連続鋳造用モールドパウダー。
【請求項6】
前記LiOの質量含有量が4~8%である、
ことを特徴とする請求項1に記載の高チタン鋼の連続鋳造用モールドパウダー。
【請求項7】
前記BaOの質量含有量が40~45%である、
ことを特徴とする請求項1に記載の高チタン鋼の連続鋳造用モールドパウダー。
【請求項8】
前記Cの質量含有量が5~12%である、
ことを特徴とする請求項1に記載の高チタン鋼の連続鋳造用モールドパウダー。
【請求項9】
前記高チタン鋼の連続鋳造用モールドパウダーは、融点が850℃~1150℃であり、粘度が0.08~0.28Pa・Sであり、晶析率が82~100%である、
ことを特徴とする請求項1に記載の高チタン鋼の連続鋳造用モールドパウダー。
【請求項10】
ボーキサイト、酸化アルミニウム、炭酸バリウム、フッ化バリウム、蛍石、石英砂、炭酸リチウム及び炭素質材料を製造して高チタン鋼の連続鋳造用モールドパウダーを得ることを含む、
請求項1に記載の高チタン鋼の連続鋳造用モールドパウダーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冶金の技術分野に属し、特に高チタン鋼の連続鋳造用モールドパウダー及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高チタン鋼の打ち込み過程においては、溶鋼中のチタン含有量が高いため、鋼中のチタンは、打ち込み過程において鋼中及び空気中の酸素と反応して酸化チタンを生成するだけでなく、モールドパウダー中のSiO、Fe、Al、NaO、B等の酸化物と一連の複雑な化学反応を行って酸化チタンを生成する。この高融点の酸化チタンは、モールドパウダー中に入ってモールドパウダーの融点や粘度の上昇及び性能の劣化をもたらす。TiOは、さらにモールドパウダー中のCaOと結合して高融点のペロブスカイトを析出し、鋳片とモールドとの間の潤滑及び伝熱に悪影響を与え、最終的に鋳片の皮下スラグ、亀裂及び凹み等の欠陥を引き起こす。従来のチタン含有鋼用のモールドパウダーは、大量のNaO、B、KO等の凝集体を添加することによりモールドパウダーの融点を低下させているが、これらの低融点物質相の含有量が高すぎると、モールドパウダーの溶融が速すぎ、これらの液状のモールドパウダーがモールドパウダー層を貫通することができないため、焼結層が厚くなる。したがって、この方法も高チタン鋼の連続打ち込み使用を実現することができない。したがって、現在高チタン鋼の製造は、一般的に金型注入形式を採用するため、高チタン鋼の応用分野を制限するとともに大規模化及び低コスト製造を実現しにくい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
これに鑑みて、本発明の目的は、高チタン鋼の連続鋳造用モールドパウダー及びその製造方法を提供することであり、本発明の提供する高チタン鋼の連続鋳造用モールドパウダーが高い性能を有する。
【0004】
本発明は、高チタン鋼の連続鋳造用モールドパウダーを提供し、
0~6wt%のCaOと、
20~30wt%のSiOと、
0~10wt%のFeと、
5~14wt%のFと、
3~10wt%のLiOと、
35~50wt%のBaOと、
3~15wt%のCと、の成分を有し、
残部が不純物である。
【0005】
好ましくは、前記CaOの質量含有量は、1~5%である。
【0006】
好ましくは、前記SiOの質量含有量は、23~27%である。
【0007】
好ましくは、前記Feの質量含有量は、2~8%である。
【0008】
好ましくは、前記Fの質量含有量は、6~12%である。
【0009】
好ましい、前記LiOの質量含有量は、4~8%である。
【0010】
好ましくは、前記BaOの質量含有量は、40~45%である。
【0011】
好ましくは、前記Cの質量含有量は、5~12%である。
【0012】
好ましくは、前記高チタン鋼の連続鋳造用モールドパウダーは、融点が850℃~1150℃であり、粘度が0.08~0.28Pa・Sであり、晶析率が82~100%である。
【0013】
本発明は、上記技術的解決手段に記載の高チタン鋼の連続鋳造用モールドパウダーの製造方法を提供し、
ボーキサイト、酸化アルミニウム、炭酸バリウム、フッ化バリウム、蛍石、石英砂、炭酸リチウム及び炭素質材料を製造して高チタン鋼の連続鋳造用モールドパウダーを得ることを含む。
【0014】
本発明は、高チタン鋼、特にTiが0.3~2.0wt%の鋼種に対して連続鋳造打ち込みに適用されるモールド用モールドパウダーを設計開発する。本発明の提供するモールドパウダーは、Fe、Al、NaO、Bなどの物質と鋼中のチタンとの反応性を効果的に低下させることにより、モールドパウダーの性能を安定させる。また、本発明の提供するモールドパウダーにおいて、パウダー中のCaOの含有量を大幅に低下させ、高融点ペロブスカイトの発生を効果的に防止し、高チタン鋼の打ち込み過程における性能の安定性を確保する。本発明の提供するモールドパウダーを使用した後、打ち込まれた高チタン鋼鋳片の表面に割れがなく、内部品質が良好であり、中心割れ及び中間割れがなく、かつ120分間以上の連続打ち込みを実現する。
【0015】
本発明の提供するモールドパウダー中のCaOの含有量は非常に低いため、TiOがモールドパウダー中に入って高融点のペロブスカイトを生成してモールドパウダーの性能を悪化させることを回避する。NaO、KO、B、Feなどのチタンと反応する凝集体を添加せず、これらの凝集体がチタンと反応するためモールドパウダー性能の変化が大きいという問題を防止する。それと同時に、モールドパウダー中のこれらの低融点物相の含有量が高すぎると、焼結層が厚くなり、液体スラグの消費が低下し、連続鋳造の停止を引き起こすという問題を防止する。SiOは、主なネットワーク形成体であり、適切な含有量のSiOは、モールドパウダーの構造及び性能の安定性を効果的に保持することができる。3~10wt%のLiO成分を添加し、LiOの添加は、モールドパウダーの性能を効果的かつ安定的に調整することができ、LiOは、溶鋼中の[Ti]と反応せず、そのモールドパウダー性能を調整する作用が明らかであるため、LiOは、高チタン鋼モールドパウダーの溶接フラックスの良好な選択である。本発明の提供するモールドパウダーは、物理化学的性能として、融点が850℃~1150℃であり、粘度が0.08~0.28Pa・Sであり、晶析率が82~100%であり、潤滑と伝熱特性を効果的に協調制御することができるだけでなく、TiOの介在物を非常に強く吸収する能力を有し、かつ該パウダー系において、120分間連続打ち込んだ後、モールドパウダー性能を安定にすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の実施例における技術的解決手段を明確で完全に説明し、明らかに、説明される実施例は、本発明の一部の実施例だけであり、全ての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的労働をしない前提で取得した全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0017】
本発明は、高チタン鋼の連続鋳造用モールドパウダーを提供し、
0~6wt%のCaOと、
20~30wt%のSiOと、
0~10wt%のFeと、
5~14wt%のFと、
3~10wt%のLiOと、
35~50wt%のBaOと、
3~15wt%のCと、の成分を有し、
残部が不純物である。
【0018】
本発明において、前記CaOの質量含有量は、好ましくは1~5%であり、より好ましくは2~4%であり、最も好ましくは3%である。前記SiOの質量含有量は、好ましくは23~27%であり、より好ましくは25%である。前記Feの質量含有量は、好ましくは2~8%であり、より好ましくは3~6%であり、最も好ましくは4~5%である。前記Fの質量含有量は、好ましくは6~12%であり、より好ましくは8~10%であり、最も好ましくは9%である。前記LiOの質量含有量は、好ましくは4~8%であり、より好ましくは5~7%であり、最も好ましくは6%である。前記BaOの質量含有量は、好ましくは40~45%であり、より好ましくは42~43%である。前記Cの質量含有量は、好ましくは5~12%であり、より好ましくは8~10%であり、最も好ましくは9%である。
【0019】
本発明において、前記不純物中のNaO+KO+B+Feの総質量含有量は、≦3%であることが好ましい。
【0020】
本発明の提供する高チタン鋼の連続鋳造用モールドパウダーは、融点が好ましくは850℃~1150℃であり、粘度が好ましくは0.08~0.28Pa・Sであり、晶析率が好ましくは82~100%である。
【0021】
本発明は、上記技術的解決手段に記載の高チタン鋼の連続鋳造用モールドパウダーの製造方法を提供し、
ボーキサイト、酸化アルミニウム、炭酸バリウム、フッ化バリウム、蛍石、石英砂、炭酸リチウム及び炭素質材料を製造して高チタン鋼の連続鋳造用モールドパウダーを得ることを含む。
【0022】
本発明において、前記ボーキサイト中のAlの質量含有量は、>77%であることが好ましい。
【0023】
本発明において、前記酸化アルミニウムは、好ましくは電解アルミニウム用酸化アルミニウムである。前記酸化アルミニウム中のAlの質量含有量は、好ましく>77%である。
【0024】
本発明において、前記炭酸バリウム中のBaCOの質量含有量は>96%であることが好ましく、前記フッ化バリウム中のBaFの質量含有量は、>96%であることが好ましく、前記蛍石中のCaFの質量含有量は、>86%であることが好ましく、前記石英砂中のSiOの質量含有量は、>92%であることが好ましく、前記炭酸リチウム中のLiCOの質量含有量は、>97%であることが好ましく、前記炭素質材料中のCの質量含有量は、>95%であることが好ましい。
【0025】
本発明において、前記高チタン鋼の連続鋳造用モールドパウダーの製造方法は、
ボーキサイト、酸化アルミニウム、炭酸バリウム、フッ化バリウム、蛍石、石英砂、炭酸リチウム及び炭素質材料を混合した後に造球乾燥させ、溶解製錬した後に冷却し、乾燥させ、モールドパウダー予備融解材料を得て、
前記モールドパウダー予備融解材料を高チタン鋼の連続鋳造用モールドパウダーに製造することを含むことが好ましい。
【0026】
本発明において、前記混合過程において好ましくは研磨を行う。前記混合後に得られた混合物の粒度は、好ましくは1mm~5mmであり、より好ましくは2~4mmであり、最も好ましくは3mmである。
【0027】
本発明において、前記混合後に好ましくは、
得られた混合物と水とを混合して造球することをさらに含む。
【0028】
本発明において、前記水の質量は、好ましくは混合物の質量の10~20%であり、より好ましくは13~17%であり、最も好ましくは15%である。
【0029】
本発明は、前記造球及び乾燥の方法を特に限定せず、当業者に周知の方法を用いて造球及び乾燥の方法を行えばよい。
【0030】
本発明において、前記溶解製錬は、好ましくは誘導炉又は他の溶解製錬装置で行われる。前記溶解製錬は、好ましくは乾燥後のペレットを液体に熔融する。
【0031】
本発明は、前記冷却、乾燥及び破砕の方法を特に限定せず、当業者に周知の冷却、乾燥及び破砕の方法を採用すればよい。本発明において、前記破砕後の生成物は、粒径が好ましくは5mmより小さい。
【0032】
本発明は、前記予備融解材料からモールドパウダーを製造する方法を特に限定せず、当業者に周知のモールドパウダーの製造方法を採用すればよい。
【0033】
本発明において、前記モールドパウダーの製造方法は、
前記モールドパウダー予備融解材料を破砕した後に炭素質材料と混合し、混合物を得て、
前記混合物と水、接着剤を混合し、スラリーを得て、
前記スラリーを造粒した後に乾燥させ、高チタン鋼の連続鋳造用モールドパウダーを得ることを含むことが好ましい。
【0034】
本発明において、前記破砕は、好ましくは200メッシュ以下に破砕加工される。
【0035】
本発明において、前記混合は、好ましくは精砕ロール機で行われる。
【0036】
本発明において、前記水の質量は、好ましくはモールドパウダー予備融解材料の質量の0.7~1.1倍であり、より好ましくは0.8~1倍であり、最も好ましくは0.9倍である。
【0037】
本発明において、前記接着剤は、好ましくはセルロース接着剤である。
【0038】
本発明において、前記接着剤の質量は、好ましくはモールドパウダー予備融解材料の質量の1.5~1.8%であり、より好ましくは1.6~1.7%である。
【0039】
本発明において、前記混合は、好ましくは細密研磨ある。前記細密研磨の時間は、好ましくは40~70分間であり、より好ましくは50~60分間であり、最も好ましくは55分間である。
【0040】
本発明において、前記造粒方法は、好ましくは噴霧して中空粒子を製造することである。
【0041】
本発明において、前記乾燥は、好ましくは乾燥塔を用いて乾燥する。
【0042】
本発明において、前記高チタン鋼の連続鋳造用モールドパウダーは、水分が好ましくは<0.6wt%であり、粒度が好ましくは0.01~1.5mmであり、より好ましくは0.05~1mmであり、より好ましくは0.1~0.8mmであり、さらに好ましくは0.2~0.6mmであり、最も好ましくは0.3~0.5mmである。
【0043】
本発明の提供するモールドパウダー中のCaOの含有量が非常に低く、TiOがモールドパウダー中に入って高融点のペロブスカイトを生成してモールドパウダーの性能を悪化させることを回避する。NaO、KO、B、Feなどのチタンと反応する凝集体を添加せず、これらの凝集体がチタンと反応するためモールドパウダー性能の変化が大きいという問題を防止する。それと同時に、モールドパウダー中のこれらの低融点物相の含有量が高すぎると、焼結層が厚くなり、液体スラグの消費が低下し、連続鋳造の停止を引き起こすという問題を防止する。SiOは、主なネットワーク形成体であり、適切な含有量のSiOは、モールドパウダーの構造及び性能の安定性を効果的に保持することができる。3~10wt%のLiO成分を添加し、LiOの添加は、モールドパウダーの性能を効果的かつ安定的に調整することができ、LiOは、溶鋼中の[Ti]と反応せず、そのモールドパウダー性能を調整する作用が明らかであるため、LiOは、高チタン鋼モールドパウダーの溶接フラックスの良好な選択である。本発明の提供するモールドパウダーは、物理化学的性能として、融点が850℃~1150℃であり、粘度が0.08~0.28Pa・Sであり、晶析率が82~100%であり、潤滑と伝熱特性を効果的に協調制御することができるだけでなく、TiOの介在物を非常に強く吸収する能力を有し、かつ該パウダー系において、120分間連続打ち込んだ後、モールドパウダー性能を安定にすることができる。
【0044】
以下に実施例形式の具体的な実施形態により、本発明の上記内容をさらに詳細に説明する。当業者が連続鋳造の分野で大量のモールドパウダーの設計及び連続鋳造プロセスの研究作業を展開することに鑑み、理論及び実践の面でいずれも大量の豊富な経験を蓄積する。本実施例及びその対応する分析を真面目に読んだ後、必ず他の具体的な条件に基づいて、本発明の提供するプロセス技術又はパウダー材料成分及びその対応する割合の範囲内に、(多くとも数回の限られた一般的な試験を行って)具体的に他の条件を満たす複数組のモールドパウダー等のパウダー材料配合成分を選択することにより、本発明の前記技術的効果を実現することができる。したがって、以下に一部の実施例のみを挙げる。しかしながら、これを本発明の上記主題の範囲が以下の実施例に限定されると理解すべきではなく、本発明の上記内容に基づいて実現された技術はいずれも本発明の範囲に属する。
【実施例
【0045】
実施例1~4
ボーキサイト、電解アルミニウムを酸化アルミニウム、炭酸バリウム、フッ化バリウム、蛍石、石英砂、炭酸リチウム及び炭素質材料に配合した後に研磨し、粒径が1mm~5mmの粉末を得る。均一に撹拌した後、さらに10~20%の水を添加し、均一になるまで撹拌し、次に造球、乾燥を行い、乾燥したペレットを誘導炉に入れてペレットが完全に液体に溶融するまで製錬し、さらに冷却し、乾燥し、破砕(破砕後の粒径が5mmより小さい)した後にモールドパウダー予備融解材料を得る。さらにモールドパウダーの通常プロセスに応じて製造し、予備融解材料を200メッシュ以下に破砕加工し、炭素質材料を添加した後に共に精砕ロール機に入れ、1倍の水(水の質量が予備融解材料の質量の1倍である)、1.6%のセルロース接着剤(セルロース接着剤の質量が予備融解材料の質量の1.6%である)を添加し、50分間細密研磨した後にスラリーを得る。前記スラリーを噴霧して中空粒子を製造した後に乾燥塔に入れて乾燥し、モールドパウダーを得る。水分が0.6wt%より小さく、粒度が0.01~1.5mmとなるようにモールドパウダーを密封バッグに入れる。
【0046】
粘度計及び半球点融点試験方法を採用してモールドパウダーの粘度及び融点を試験し、晶析率の検出方法は、画像ソフトウェアを用いてモールドパウダーの断口を観測し、結晶比率を得て、蛍光分析方法でモールドパウダーの成分を検出分析することであり、実施例で製造された高チタン鋼の連続鋳造用モールドパウダーを検出し、その検出結果は、表1に示すとおりである。
【0047】
【表1】
【0048】
本発明の実施例で製造された連続鋳造モールドパウダー打ち込み鋼のうち鋼中のTi含有量が0.3~2.0%の鋼種を採用し、かつ打ち込み時間≧120分間であると、得られた鋳片の表面に横方向及び縦方向の割れがなく、内部に多孔性及び割れがない。
【0049】
本発明の提供するモールドパウダー中のCaOの含有量は非常に低く、TiOがモールドパウダー中に入って高融点のペロブスカイトを生成してモールドパウダーの性能を悪化させることを回避する。NaO、KO、B、Feなどのチタンと反応する凝集体を添加せず、これらの凝集体がチタンと反応するためモールドパウダー性能の変化が大きいという問題を防止する。それと同時に、モールドパウダー中のこれらの低融点物相の含有量が高すぎると、焼結層が厚くなり、液体スラグの消費が低下し、連続鋳造の停止を引き起こすという問題を防止する。SiOは、主なネットワーク形成体であり、適切な含有量のSiOは、モールドパウダーの構造及び性能の安定性を効果的に保持することができる。3~10wt%のLiO成分を添加し、LiOの添加は、モールドパウダーの性能を効果的かつ安定的に調整することができ、LiOは、溶鋼中の[Ti]と反応せず、そのモールドパウダー性能を調整する作用が明らかであるため、LiOは、高チタン鋼モールドパウダーの溶接フラックスの良好な選択である。本発明の提供するモールドパウダーは、物理化学的性能として、融点が850℃~1150℃であり、粘度が0.08~0.28Pa・Sであり、晶析率が82~100%であり、潤滑と伝熱特性を効果的に協調制御することができるだけでなく、TiOの介在物を非常に強く吸収する能力を有し、かつ該パウダー系において、120分間連続打ち込んだ後、モールドパウダー性能を安定にすることができる。
【0050】
本発明の特定の実施例を参照して本発明を説明したが、これらの説明及び説明は本発明を限定するものではない。当業者であれば、添付の特許請求の範囲により定義された本発明の真の精神及び範囲から逸脱せずに様々な変更を行うことにより、特定の状況、材料、物質構成、物質、方法又はプロセスが本出願の目標、精神及び範囲に適合することを明確に理解することができる。全てのこのような修正は、本明細書に添付の特許請求の範囲内にあることを意図する。特定の順序に応じて実行される特定の操作を参照して本明細書に開示された方法を説明したが、理解すべきこととして、本発明の教示から逸脱しない前提で、これらの操作を組み合わせ、細分化するか又は改めてソートして等価方法を形成することができる。したがって、本明細書で特に指示しない限り、操作の順序及びグループ化は、本発明を限定するものではない。
【国際調査報告】