(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-15
(54)【発明の名称】単一平面穿孔要素を備える吸入器システム
(51)【国際特許分類】
A61M 15/00 20060101AFI20231208BHJP
A61M 13/00 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
A61M15/00 Z
A61M13/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526988
(86)(22)【出願日】2021-12-09
(85)【翻訳文提出日】2023-05-02
(86)【国際出願番号】 IB2021061519
(87)【国際公開番号】W WO2022123488
(87)【国際公開日】2022-06-16
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100228337
【氏名又は名称】大橋 綾
(72)【発明者】
【氏名】カンピテッリ ジェンナーロ
(72)【発明者】
【氏名】ダユオウル オヌル
(57)【要約】
吸入器システムは、ハウジング空洞を画定するハウジング、スリーブ長手方向軸に沿って延在し、ハウジング空洞内に位置付けられたスリーブ、スリーブ内に含有されるカプセル、および固定端部から穿孔要素長手方向軸に沿って先端まで延在する単一のシャフトのみを備える穿孔要素を含む。穿孔要素長手方向軸は、スリーブ長手方向軸と平行である。穿孔要素は、0.5~0.9mmの範囲の穿孔要素直径を有する。単一穿孔要素先端は、単一切断面のみを有し、穿孔要素の長手方向軸と単一切断面との間の切断面角度を画定する。切断面角度は、約25度~約35度の範囲内である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入器システムであって、
ハウジング空洞を画定するハウジング、
スリーブ長手方向軸に沿って延在し、前記ハウジング空洞内に位置付けられたスリーブであって、前記スリーブが、第一の位置と第二の位置との間で前記ハウジング空洞内で移動可能であり、前記スリーブが、開放端から閉鎖端まで延在し、吸入器物品を受容するための円筒状内腔を画定し、前記スリーブの前記開放端が、前記吸入器物品を受容するための前記ハウジングの開口部と整列する、スリーブ、
前記吸入器物品内に含有され、前記スリーブ内に受容されるカプセルであって、カプセル長手方向軸を有するカプセル、および
固定された端部から穿孔要素長手方向軸に沿って先端まで延在する単一のシャフトのみを含む穿孔要素であって、前記穿孔要素長手方向軸が前記スリーブ長手方向軸と平行であり、前記穿孔要素が、0.5~0.9mmの範囲の穿孔要素直径を有し、前記単一の穿孔要素先端が、単一切断面のみを有し、前記穿孔要素の長手方向軸と前記単一切断面の間に切断面角度を画定し、前記切断面角度が、約25度~約35度の範囲である、穿孔要素を備え、
前記スリーブが前記第一の位置から前記第二の位置に移動したときに、単一の開口のみが前記カプセルに形成される、吸入器システム。
【請求項2】
前記穿孔要素直径が0.7~0.9mmの範囲であり、前記切断面角度が約28度~約32度の範囲であり、好ましくは、前記穿孔要素直径が約0.8mmであり、前記切断面角度が約30度である、請求項1に記載の吸入器システム。
【請求項3】
前記穿孔要素切断面が、尖った楕円形を画定する、請求項1または2のいずれかに記載の吸入器システム。
【請求項4】
前記穿孔要素が、前記固定された端部から前記穿孔要素長手方向軸に沿って先端まで延在する単一の固体円筒形シャフトを含む、請求項1~3のいずれかに記載の吸入器システム。
【請求項5】
前記カプセルが、約5.2~6.4mmの範囲の直径を有する、請求項1~4のいずれかに記載の吸入器システム。
【請求項6】
前記穿孔要素が、カプセル空洞内に延在するカプセル材料の単一のヒンジのみを画定する、前記カプセル内の単一の開口を形成する、請求項1~5のいずれかに記載の吸入器システム。
【請求項7】
前記穿孔要素が前記カプセルを穿孔するために必要な力が、約5N以下である、請求項1~6のいずれかに記載の吸入器システム。
【請求項8】
前記穿孔要素長手方向軸が、前記スリーブ長手方向軸からオフセットされる、請求項1~7のいずれかに記載の吸入器システム。
【請求項9】
前記穿孔要素が、前記カプセル長手方向軸から離れた前記カプセル半径の25%~90%、または前記カプセル長手方向軸から離れた前記カプセル半径の33%~80%、または前記カプセル長手方向軸から離れた前記カプセル半径の50%~75%の範囲で、カプセル湾曲端部で前記カプセルを穿孔する、請求項1~8のいずれかに記載の吸入器システム。
【請求項10】
前記スリーブの前記閉鎖端が、旋回気流を形成して、使用中に前記カプセル長手方向軸の周りで前記カプセルを回転させるように構成された気流要素を備える、請求項1~9のいずれかに記載の吸入器システム。
【請求項11】
前記カプセルが、遠位端からマウスピース端に、吸入器物品長手方向軸に沿って延在する吸入器物品内に含有され、前記スリーブが、前記吸入器物品の遠位端を受容し、旋回または回転吸入気流を前記吸入器物品の遠位端内に伝達するように構成される、請求項1~10のいずれかに記載の吸入器システム。
【請求項12】
前記ハウジング空洞が、前記カプセルを前記穿孔要素から離れるように付勢するばね部材を含む、請求項1~11のいずれかに記載の吸入器システム。
【請求項13】
前記カプセルが、ニコチンを含む薬学的に活性な粒子を含有し、前記薬学的に活性な粒子が、約5マイクロメートル以下、または約0.5マイクロメートル~約4マイクロメートルの範囲、または約1マイクロメートル~約3マイクロメートルの範囲の空気動力学的質量中央径を有する、請求項1~12のいずれかに記載の吸入器システム。
【請求項14】
前記カプセルが、約20マイクロメートル以上、または約50マイクロメートル以上、または約50~約200マイクロメートルの範囲、または約50~約150マイクロメートルの範囲の空気動力学的質量中央径を有する風味粒子をさらに含有する、請求項13に記載の吸入器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単一平面穿孔要素を含む吸入器システムに関する。穿孔要素は、快適なカプセル活性化と、少なくとも五回の吸入にわたって均一な乾燥粒子送達を提供する。
【背景技術】
【0002】
乾燥粉末吸入器は、従来の喫煙方法の吸入量または気流量の範囲内にある吸入量または気流量で乾燥粉末粒子を肺に提供するために常に完全に適切であるわけではない。乾燥粉末吸入器は、操作が複雑である場合があり、または可動部品を伴う場合がある。乾燥粉末吸入器は多くの場合、一回の呼吸で乾燥粉末用量またはカプセル装填量の全体を提供するように工夫されている。
【0003】
吸入器物品は、乾燥粉末を含有するカプセルを保持する。これらのカプセルは、カプセル壁を穿孔要素によって開口を穿孔することによって活性化され得る。ユーザーは、次いで消耗品のマウスピース側から吸煙する(吸い込むまたは吸入する)。この作用は、乾燥粉末吸入器を通して空気を強制的に流す。
【0004】
乾燥粉末カプセルを活性化するには、カプセルを穿孔して開口を形成する必要がある。乾燥粉末粒子は、その後、消費者への吸入気流中に乾燥粒子を混入させることによって、乾燥粉末粒子の吸入および消費の間に開口を通してカプセルから出ることができる。しかし、カプセルの半球状端部上に確実に開口を形成することは、困難であることが判明している。穿孔要素は、不均一な開口を提供することが知られている。開口はまた、穿孔要素がカプセルから引き出されると、再び閉鎖する傾向があり、これはさらに不均一な開口をもたらす。このような不均一な開口は、カプセルからの粒子の放出が不均一になったり、またはカプセルからの粒子の放出を妨げたりする。そのため、消費者に送達される乾燥粉末が予測不可能で変動性のあるものとなる。
【0005】
カプセルを確実に穿孔して、均一な単一の安定した開口を形成する吸入器システムを提供することが望まれる。シンプルな設計で、カプセルを確実に穿孔する吸入器システムを提供することが望まれる。カプセルを確実に穿孔し、多数の吸入にわたって予測可能で均一な乾燥粉末をユーザーに提供する吸入器システムを提供することが望まれる。乾燥粉末粒子を含有するカプセルを快適に穿孔または活性化する吸入器システムを提供することが望まれる。
【発明の概要】
【0006】
本発明の一態様によれば、ハウジング空洞を画定するハウジング、スリーブ長手方向軸に沿って延在し、ハウジング空洞内に位置付けられたスリーブ、カプセル長手方向軸を有するスリーブ内に含有されるカプセル、および固定端部から穿孔要素長手方向軸に沿って先端まで延在する単一のシャフトのみを備える穿孔要素を備える吸入器システムが提供される。穿孔要素長手方向軸は、スリーブ長手方向軸と平行である。穿孔要素は、0.5~0.9mmの範囲の穿孔要素直径を有する。単一穿孔要素先端は、単一切断面のみを有し、穿孔要素の長手方向軸と単一切断面との間の切断面角度を画定する。切断面角度は、約25度~約35度の範囲である。スリーブは、ハウジング空洞内で第一の位置と第二の位置との間で移動可能である。スリーブが第一の位置から第二の位置に移動したときに、単一の開口のみがカプセルに形成される。
【0007】
出願人は、約25度~約35度の範囲の切断角度を有する単一切断面を有する穿孔要素を、0.5~0.9mmの範囲の直径を有する穿孔要素と組み合わせて使用することによって、有利なことに、吸入器システムの少なくとも5回の吸入にわたって一律または一定の用量または粒子の放出をもたらす、カプセルの確実かつ反復可能な活性化が結果として得られることを発見した。さらに、この穿孔要素の組合せは、有利には、ユーザーが経験する快適な穿孔または活性化力を提供する。穿孔要素特徴のこの組み合わせはまた、有利には、組み立てが簡単な堅牢でシンプルな機械的設計を提供する。
【0008】
本発明の一態様によれば、ハウジング空洞を画定するハウジング、スリーブ長手方向軸に沿って延在し、ハウジング空洞内に位置付けられたスリーブ、カプセル長手方向軸を有するスリーブ内に含有されるカプセル、および固定端部から穿孔要素長手方向軸に沿って先端まで延在する単一のシャフトのみを備える穿孔要素を備える吸入器システムが提供される。穿孔要素は、固体であり得る。穿孔要素は、中空であり得る。穿孔要素長手方向軸は、スリーブ長手方向軸と平行であってそれからオフセットしている。穿孔要素は、0.5~0.9mmの範囲の穿孔要素直径を有する。単一穿孔要素先端は、単一切断面のみを有し、穿孔要素の長手方向軸と単一切断面との間の切断面角度を画定する。切断面角度は、約25度~約35度の範囲である。スリーブは、ハウジング空洞内で第一の位置と第二の位置との間で移動可能である。スリーブが第一の位置から第二の位置に移動したときに、単一の開口のみがカプセルに形成される。
【0009】
単一の穿孔要素を利用してカプセルを穿孔する吸入器システムは、この単一の穿孔要素を装置またはカプセル空洞の中心長手方向軸と一致させて、穿孔要素がカプセルの中心軸でカプセルにぶつかるように配置する。この構成は、カプセル上にバランスの取れた穿孔力を与え、カプセルの活性化時に穿孔要素またはカプセル上の曲げモーメントを回避することが期待される。
【0010】
出願人は、単一の穿孔要素を吸入器装置またはカプセル空洞の長手方向軸と平行に、しかしそこからオフセットして配置することで、オフセットされた穿孔要素によってカプセルの半球状端部に形成される開口の品質および信頼性が向上することを発見した。具体的には、この単一のオフセットされた穿孔要素が、吸入器装置の中心長手方向軸に近い表面(カプセルエンドキャップの半球状表面に沿って)から、最初の切断点からさらに離れた表面へと切断を開始するとき、カプセル材料のヒンジが、最初の切断点から最も遠い開口周囲を形成する部分上に形成される。穿孔要素の切断面のこの特定の配向は、この穿孔要素の切断面の他のどの配向と比較しても、安定した開口を生成する。
【0011】
有利なことに、単一のオフセットされた穿孔要素を提供することにより、カプセル内に反復可能に信頼できる単一の開口が形成される。単一のオフセットされた穿孔要素は、単純な機械的構成である。単一のオフセットされた穿孔要素は、吸入器物品ホルダーに組み立てることが比較的容易である。単一のオフセットされた穿孔要素により、多数の吸入にわたって、予測可能な改善された均一な投与を提供される。
【0012】
本開示は、「吸入器物品ホルダー」と呼ばれる吸入器物品用のホルダーを対象とする。吸入器物品ホルダーは、単一のオフセットされた穿孔要素を含む。吸入器物品ホルダーは、消耗品吸入器物品を受容し、カプセルを穿孔することによって吸入器物品内のカプセルを活性化し、そして消費中に吸入器物品の中へと旋回吸入気流を誘発するように構成される。吸入器物品ホルダーおよび吸入器物品は、本開示が対象とする吸入器システムを形成し得る。
【0013】
本明細書に記述される吸入器物品ホルダーは、カプセルを含有する吸入器物品と組み合わせられ得る。吸入器物品は、カプセルを穿孔することによって吸入器物品を起動し、吸入器物品ホルダーの穿孔要素を用いてカプセルを穿孔することによってカプセルの信頼性のある活性化を提供するために使用され得る。粒子は、穿孔したカプセルの周りに気流を引き込む、または作り出すのに伴い、カプセルから放出され得る。このように、吸入器システムは、乾燥粉末粒子を消費者へと送達する。吸入器物品ホルダーは吸入器物品とは別個であるが、消費者は、吸入器物品内で放出される乾燥粉末粒子を消費しながら、吸入器物品および吸入器物品ホルダーの両方を利用する。複数のこれらの吸入器物品は、吸入器物品ホルダーと組み合わされて、システムまたはキットを形成してもよい。単一の吸入器物品ホルダーは、10個以上、または25個以上、または50個以上、または100個以上の吸入器物品で利用され、各吸入器物品内に含有されるカプセルを活性化(穿刺または穿孔)し、確実な活性化を提供することができる。吸入器物品は、各吸入器物品に対して、随意に吸入器物品の活性化の視覚的な表示(マーキング)を提供し得る。
【0014】
吸入器物品は、気流経路を有する。気流は、ユーザーからの吸入(または吸煙)によって吸入器物品の中へと導入される。吸入器物品ホルダーは、旋回吸入気流を生成する。この旋回吸入気流は、吸入器物品へと導入される。吸入器物品の遠位端または最も上流の端は、旋回吸入気流を受容するように構成された開放管状要素の開放中央通路を画定する開放開口を含む。
【0015】
次いで、旋回吸入気流は、カプセル空洞の中へと下流に続き、そしてカプセル空洞内のカプセルの回転を誘発する。次いで、活性化されたカプセルは、消費者へのマウスピースを通して、下流の渦巻吸入気流中に一回分の粒子を放出する。したがって、渦巻吸入気流は、吸入器物品の上流に生成され、渦巻吸入気流は、吸入器物品の遠位端または最も上流の端に入る。
【0016】
吸入器物品は、マウスピース端から遠位端へと吸入器の長手方向軸に沿って延びる、細長い管状本体を備える。マウスピース端は、近位端、または下流端である。遠位端は上流端である。カプセル空洞は、フィルター要素によって下流で境界付けられた、かつ中央通路を画定する開放管状要素によって上流で境界付けられた本体内に画定されている。吸入器物品ホルダーの中への挿入の前は、吸入器物品の遠位端は閉鎖されていてもよい。吸入器物品ホルダーの中への挿入後、吸入器物品の遠位端は開放されてもよい。吸入器物品の遠位端は、吸入器物品の吸入器物品ホルダーの中への導入に伴い、吸入器物品の遠位端が開いてもよいように、吸入器物品ホルダー内の相補的構造と相互作用してもよい。吸入器物品ホルダーの中へと導入された時、吸入器物品の遠位端は、本体の遠位端からカプセル空洞へと延びる開放空気吸込み口開口を形成する中央通路を有する。カプセルはカプセル空洞内に配置され、中央通路はカプセルより小さい直径を有してもよい。したがって、カプセルは、中央通路を通過しないかもしれず、カプセル空洞内に保持される。
【0017】
吸入器物品ホルダーは、吸入器物品を受容するためのハウジング空洞と、ハウジング空洞内に吸入器物品を保持するように構成されたスリーブとを備える、ハウジングを含む。ハウジング空洞は、ハウジングの長手方向軸に沿ってハウジングの中へと閉鎖端まで延びる単一のハウジング開口部によって画定される。単一のハウジング開口部は、吸入器物品を受容するように構成される。
【0018】
スリーブは、ハウジング空洞内に含有され、またハウジングの長手方向軸に沿って第一の位置と第二の位置との間で移動可能である。スリーブは、ハウジング長手方向軸に沿って第一の位置と第二の位置との間で摺動可能であってもよい。第一の位置では、スリーブは、単一のハウジング開口部に隣接して位置する。第二の位置では、スリーブは、単一のハウジング開口部から長手方向軸に沿って横方向距離さらに離れる。
【0019】
スリーブは、開放端から閉鎖端(または制限端)へと延び、そしてスリーブ長手方向軸に沿って円筒状内腔を画定する。スリーブの開放端は、単一のハウジング開口部と整列する。
【0020】
スリーブ閉鎖端は、穿孔要素が閉鎖端を通過し、そしてスリーブ内腔の中へと延びることを可能にするように、気流要素および開口を含む。気流要素は、スリーブの周りの環状空間からスリーブ円筒状内腔の中への気流連通を提供する、一つ以上の吸入空気吸込み口を含む。この気流要素は、回転または旋回吸入気流を、スリーブ円筒状内腔の中へと、かつ吸入器物品カプセル空洞の中へと直接誘発するように構成される。この渦巻または回転吸入気流は、吸入器物品に伝達されてカプセルを回転させ、カプセル内に含有される乾燥粉末を放出しうる。
【0021】
スリーブの気流要素は、スリーブ空洞と流体連通する中央通路を有する管状要素を含む。気流要素は、吸入空気が中央通路の中へと入ることを可能にする少なくとも一つの空気吸込み口を有する。少なくとも一つの空気吸込み口は、中央通路に対して接線方向である方向で延びて、旋回または回転吸入気流を生成する。
【0022】
スリーブの気流要素は、スリーブ空洞と流体連通する中央通路を有する管状要素を含む。気流要素は、吸入空気が中央通路の中へと入ることを可能にする少なくとも二つの空気吸込み口を有する。少なくとも二つの空気吸込み口は、中央通路に対して接線方向である方向で延びて、旋回または回転吸入気流を生成する。
【0023】
スリーブの気流要素は、スリーブ空洞と流体連通する中央通路を有する管状要素を含む。気流要素は、吸入空気が中央通路の中へと入ることを可能にする少なくとも三つの空気吸込み口を有する。少なくとも三つの空気吸込み口は、中央通路に対して接線方向である方向で延びて、旋回または回転吸入気流を生成する。
【0024】
気流要素は、穿孔要素を受容し、かつ穿孔要素が気流要素を通過することを可能にする開口を含んでもよい。
【0025】
吸入空気は、吸入器物品を受容する開放開口部を通して吸入器物品ホルダーに入り、吸入器物品の長さに沿ってハウジング空洞内に移動して、スリーブ閉鎖端の気流要素に至ることができる。あるいは、吸入空気は、ハウジング表面を通る空気入口を通して吸入器物品ホルダーに入ることができる。
【0026】
吸入器物品ホルダーは、空洞のハウジング内表面に固定され、かつ空洞のハウジング内表面から延在する穿孔要素を含む。穿孔要素は、固定された端部から穿孔要素長手方向軸に沿って先端まで延在する単一固体シャフトを含む。穿孔要素は、ハウジングの長手方向軸に沿ってスリーブ閉鎖端を通して、かつスリーブ空洞の中へと延びるように構成される。穿孔要素は、スリーブが第一の位置から第二の位置へと移動するのに伴い、受容された吸入器物品のカプセルに接触し、そして貫通する。スリーブを第二の位置から第一の位置へと移動することは、カプセルから穿孔要素を除去し、そしてカプセル内の開口を露出させ、これは吸入空気がカプセルを回転するにつれてカプセル内に含有される乾燥粒子をカプセルから放出することを可能にする。
【0027】
本明細書に記載の吸入器システムまたは吸入器物品ホルダー穿孔要素は、0.5~0.9mmの範囲の直径の単一切断面、および約25度~約35度の範囲の切断面角度を有する単一穿孔要素である。好ましくは、穿孔要素シャフトは、穿孔要素の自由端先端上に画定される単一切断面を有する固体シリンダーを画定する。穿孔要素はまた、穿孔要素の自由端先端上に画定される単一切断面を有する中空であってもよい。吸入器システムは、二つ未満の穿孔要素を有する。吸入器システムは、乾燥粉末粒子を含有するカプセル内に二つ未満の開口を形成する。
【0028】
本明細書に記載の吸入器システムまたは吸入器物品ホルダー穿孔要素は、直径0.5~0.9mmの単一切断面、および約25度~約35度の範囲の切断面角度を有する単一穿孔要素であり、単一穿孔要素は、吸入器物品ホルダーの長手方向軸からオフセットされるか、吸入器物品を受容する吸入器物品ホルダー可動スリーブからオフセットされるか、カプセルを含有するカプセル空洞からオフセットされるか、活性化されたカプセルから放出された乾燥粒子の吸入または消費中にカプセルが回転するときに、カプセルの長手方向軸もしくはカプセルの回転軸からオフセットされていてもよい。吸入器システムは、二つ未満の穿孔要素を有する。吸入器システムは、乾燥粉末粒子を含有するカプセル内に二つ未満の開口を形成する。
【0029】
本明細書に記載の吸入器システムまたは吸入器物品ホルダー穿孔要素は、吸入器装置のカプセル空洞内に含有されるカプセルの半球状エンドキャップにぶつかって穿孔する単一穿孔要素である。単一穿孔要素は、カプセルの半球状エンドキャップにぶつかって穿孔する。単一穿孔要素は、カプセル中心長手方向軸およびスリーブ中心長手方向軸およびカプセル空洞中心長手方向軸からオフセットされたカプセルの半球状エンドキャップにぶつかって穿孔し得る。単一穿孔要素は、カプセル中心長手方向軸ではなく、カプセルの半球状エンドキャップにぶつかって穿孔し得る。
【0030】
穿孔要素シャフトはシャフト直径を有する。シャフト直径は、約0.5mm~約0.9mmの範囲内である。好ましくは、シャフト直径は約0.6mm~約0.9mmの範囲である。好ましくは、シャフト直径は約0.7mm~約0.9mmの範囲である。好ましくは、シャフト直径は約0.75mm~約0.85mmの範囲である。好ましくは、シャフト直径は約0.8mmである。
【0031】
出願人は、約1mmを超えるシャフト直径を有する穿孔要素が、複数回の吸入中に活性化されたカプセルからの乾燥粒子の放出が不均一となることを発見した。例えば、最初の二回の吸入で乾燥粒子が多く放出され、四回~五回の吸入でカプセルは実質的に枯渇する。
【0032】
穿孔要素は、穿孔要素の長手方向軸と単一切断面との間で切断面角度を約25度~約35度の範囲で画定する単一切断面のみを有する。好ましくは、切断面角度は、約28度~約32度の範囲内である。好ましくは、切断面角度は、約30度である。これらの好ましい切断面角度は、本明細書に記載の吸入器システムでカプセルを活性化または穿孔するために、約5ニュートン以下の力を必要とすることが見出された。
【0033】
出願人は、約40度を超える切断面角度を有する穿孔要素が、約7ニュートン以上の穿孔または活性化力をもたらすことを発見した。消費者の報告によると、約7ニュートン以上の穿孔または活性化力は、吸入器物品ホルダーまたは吸入器システムに適用するのに不快なほど高い力である。
【0034】
出願人はまた、約20度未満の切断面角度を有する穿孔要素が堅牢でない穿孔要素をもたらすことも発見した。約20度未満の切断面角度を有する穿孔要素では、カプセル内に均一または反復可能な開口が形成されない場合がある。
【0035】
穿孔要素の切断面は、尖った楕円形状を画定し得る。尖った楕円形状の一点は、穿孔要素の先端を画定し得る。尖った楕円形状の対向する先端は、シャフト周縁との交差で切断面の終端を画定し得る。
【0036】
穿孔要素長手方向軸は、スリーブ長手方向軸またはカプセル空洞長手方向軸から、少なくとも一つの穿孔要素直径または少なくとも一つのシャフト直径、または少なくとも1.5個の穿孔要素直径または少なくとも1.5個のシャフト直径、または少なくとも2つの穿孔要素直径または少なくとも2つのシャフト直径、または1~2つの穿孔要素直径、または1~2つのシャフト直径の範囲内でオフセットされ得る。
【0037】
カプセルの半球状エンドキャップは、カプセルの中心長手方向軸で0%の半径、およびカプセルの半球状エンドキャップの外周で100%の半径を有する。単一のオフセット穿孔要素は、カプセル長手方向軸から離れたカプセル半径の25%~90%の範囲、またはカプセルの長手方向軸から離れたカプセル半径の33%~80%、またはカプセル長手方向軸から離れたカプセルの半径の50%~75%の範囲でカプセルの半球状エンドキャップを穿孔し得る。
【0038】
カプセルの半球状エンドキャップは、2.6mm~3.2mmの範囲または約3mmの外半径、または約5.4mm~約6.4mmの範囲または約6mmの直径を有し得る。穿孔要素は、カプセルの湾曲端部または半球状エンドキャップで、カプセル長手方向軸から少なくとも1mmの半径方向距離で、またはカプセル長手方向軸から約1mm~約2.5mmの範囲で、またはカプセル長手方向軸から約1.5mm~約2.2mmの範囲で、またはカプセル長手方向軸から約2mmの半径方向距離で、カプセルを穿孔し得る。
【0039】
穿孔要素先端は、単一のベベルまたは切断面のみを有する。この単一のベベルまたは切断面は、穿孔要素に対してカプセルを相対的に配向または整列させることなく、信頼性が高く反復可能な穿孔を実現するために、穿孔要素のオフセットに対して特に配向させることができる。
【0040】
穿孔要素の単一のベベルまたは切断面は、スリーブ長手方向軸に対向する平面を画定し得る。穿孔要素の単一のベベルまたは切断面は、カプセル長手方向軸に対向する平面を画定し得る。穿孔要素の単一のベベルまたは切断面は、平面に最も近いスリーブ内径面に面し得る平面を画定する。穿孔要素の単一のベベルは、カプセルの方を向いていてもよい。穿孔要素の単一のベベルは、カプセルとは反対を向いていてもよい。
【0041】
穿孔要素は、カプセル空洞内に延在するカプセル材料の単一のヒンジのみを画定する、カプセル内の単一の開口を形成する。カプセル材料の単一のヒンジは、カプセル長手方向軸から最も遠い単一の開口の周囲の点に位置し得る。
【0042】
穿孔要素は、カプセル空洞内に延在するカプセル材料の単一のヒンジのみを画定する、カプセル内の単一の開口を形成する。穿孔要素の面取りされた先端がカプセルを穿孔するときにヒンジが形成される。穿孔要素の面取りされた先端がカプセルに入ると、穿孔要素の面取りされた先端がカプセルを切断して開口部を形成する。次に、穿孔要素の面取りされた先端がカプセル内に入り続け、カプセルを切断し続ける。ヒンジは、ベベルの端部がカプセルに入ると形成される。次に、穿孔要素がカプセルから取り除かれると、ヒンジを有する開口がカプセル内に形成される。したがって、カプセルには穿孔要素の大きさに実質的に関係する開口が形成され、ヒンジは穿孔要素の先端の反対側の開口に形成される。穿孔要素の単一のベベルがカプセルの方を向いている場合、ヒンジは開口の内縁に形成され、内縁はカプセルの長手方向軸により近い。穿孔要素の単一のベベルがカプセルとは反対を向いている場合、ヒンジは開口の外縁に形成され、外縁はカプセルの長手方向軸から遠い。穿孔要素の面取りされた先端がカプセルの長手方向軸とは反対を向いている場合、カプセル材料の単一のヒンジは、カプセルの長手方向軸から最も遠い単一の開口の点に位置するように形成される。
【0043】
スリーブ閉鎖端は、スリーブ閉鎖端を実質的に形成するスリーブ底部要素をさらに含み得る。スリーブ底部要素は、固定され、かつ気流要素と接触してもよい。スリーブ底部要素は、気流要素から、スリーブ長手方向軸に沿ってある距離、かつハウジング空洞の閉鎖端に向かって、離れるように延びてもよい。スリーブ底部要素は、穿孔要素を含有する開口を有してもよく、また穿孔要素がスリーブ底部要素の開口を通過することを可能にする。
【0044】
吸入器物品ホルダーは、スリーブを穿孔要素から離れるように付勢するように構成されたばね部材をさらに含んでもよい。ばね部材は、スリーブを第二の位置から第一の位置へと離れるように付勢してもよい。ばね部材は、スリーブの第一の位置では弛緩した状態であってもよい。ばね部材は、第二の位置では圧縮された状態であってもよい。穿孔要素は、ばね部材内に配置されることが好ましい。
【0045】
スリーブは、スリーブ長手方向の長さに沿って延びる細長いスロットを含んでもよい。ハウジングは、ハウジング空洞の内表面から延びるピンをさらに含んでもよい。ピンは、第一の位置と第二の位置との間で移動する際にスリーブの整列を維持するように、細長いスロットと嵌合するように構成されてもよい。
【0046】
内側ハウジングは、ハウジング空洞内に含有されてもよい。内側ハウジングは、スリーブの少なくとも一部分をハウジング空洞の内表面から分離してもよい。内側ハウジングは、穿孔要素の固定端をハウジング空洞の内表面から分離してもよい。内側ハウジングは、ばね部材をハウジング空洞の内表面から分離してもよい。
【0047】
吸入可能な粉末は、様々な活性薬剤を含んでもよい。活性薬剤は、例えば、ニコチンまたはアナタビンまたはアナバシンなどのアルカロイドを含んでもよい。活性薬剤は、ニコチン塩などのアルカロイドの固体塩を含むことが好ましい。
【0048】
活性薬剤の量は、吸入可能な乾燥粉末の望ましい使用または意図される使用に基づいて選択されてもよい。例えば、活性薬剤の量は、乾燥粉末粒子の総重量の0.5重量%~10重量%であってもよい。乾燥粉末粒子は、0.5重量%以上、1重量%以上、2重量%以上、もしくは3重量%以上の活性薬剤、および12重量%以下、10重量%以下、9重量%以下、8重量%以下、もしくは7重量%以下の活性薬剤、または0.5重量%~10重量%、1重量%~8重量%、1.5重量%~6重量%、もしくは2重量%~5重量の活性薬剤を含んでもよい。
【0049】
乾燥粉末粒子は、0.5重量%以上、1重量%以上、2重量%以上、もしくは3重量%以上のニコチン、および12重量%以下、10重量%以下、9重量%以下、8重量%以下、もしくは7重量%以下のニコチン、または0.5重量%~10重量%、1重量%~8重量%、1.5重量%~6重量%、もしくは2重量%~5重量のニコチンを含んでもよい。
【0050】
活性剤の量は、用量ごとに選択されてもよい。吸入可能な粉末は、単一剤形または複数剤形で包装されてもよい。例えば、吸入可能な粉末は、用量当たり0.5mg以上、1mg以上、2mg以上、または5mg以上の活性剤を含んでもよい。吸入可能な粉末は、用量当たり500mg以下、200mg以下、100mg以下、50mg以下、20mg以下、または10mg以下の活性剤を含んでもよい。一部の実施形態では、吸入可能な粉末は、0.01~10mgのアナタビンもしくはニコチンもしくはアナバシン/用量、0.05~5mgのアナタビンもしくはニコチンもしくはアナバシン/用量、または0.1~1mgのアナタビンもしくはニコチンもしくはアナバシン/用量を含む。
【0051】
実施形態では、カプセルは、1~20用量を含有する。実施形態では、カプセルは、1~10用量を含有する。実施形態では、カプセルは、10~20用量を含有する。実施形態では、カプセルは1用量を含有する。実施形態では、カプセルは2用量を含有する。実施形態では、カプセルは3用量を含有する。実施形態では、カプセルは4用量を含有する。実施形態では、カプセルは5用量を含有する。実施形態では、カプセルは6用量を含有する。実施形態では、カプセルは7用量を含有する。実施形態では、カプセルは8用量を含有する。実施形態では、カプセルは9用量を含有する。実施形態では、カプセルは10用量を含有する。実施形態では、カプセルは11用量を含有する。実施形態では、カプセルは12用量を含有する。実施形態では、カプセルは13用量を含有する。実施形態では、カプセルは14用量を含有する。実施形態では、カプセルは15用量を含有する。実施形態では、カプセルは16用量を含有する。実施形態では、カプセルは17用量を含有する。実施形態では、カプセルは18用量を含有する。実施形態では、カプセルは19用量を含有する。実施形態では、カプセルは20用量を含有する。
【0052】
乾燥粉末粒子は、20μm以下、10μm以下、もしくは5μm以下、または0.1μm以上、0.2μm以上、もしくは0.5μm以上、または0.5μm~10μm、もしくは0.75μm~5μm、もしくは1μm~5μm、もしくは1μm~3μm、もしくは1.5μm~2.5μmの範囲の粒子サイズを有してもよい。所望の粒子サイズ範囲は、噴霧乾燥、粉砕、ふるい分け、またはそれらの組み合わせによって達成され得る。
【0053】
乾燥粉末粒子は、粒子の第二の集団とさらに混合されて、粉末系を形成してもよい。粒子の第二の集団は、乾燥粉末粒子とは異なる粒子サイズまたはより大きい粒子サイズを有することが好ましい。例えば、粒子の第二の集団は、約20マイクロメートル以上、または約50マイクロメートル以上、200マイクロメートル以下、150マイクロメートル以下、または50マイクロメートル~200マイクロメートル、または50マイクロメートル~150マイクロメートルの範囲の粒子サイズを有し得る。粒子の第二の集団は、選択的にユーザーの口または口腔の中に吸入送達するために任意の有用なサイズ分布を有してもよい。風味剤粒子のより大きい第二の集団は、ユーザーへの吸入気流への乾燥粉末粒子の送達を支援する場合がある。
【0054】
乾燥粉末粒子および粒子の第二の集団は、乾燥粉末粒子とともに消費された時にユーザーが粒子の第二の集団に気付くように、任意の有用な相対量で組み合わせられてもよい。乾燥粉末粒子および粒子の第二の集団は、粉末系の総重量の少なくとも約90重量%、または少なくとも約95重量%、または少なくとも約99重量%、または100重量%を形成することが好ましい。
【0055】
乾燥粉末粒子は、風味剤粒子の第二の集団とさらに混合されて、粉末系を形成してもよい。風味剤粒子の第二の集団は、乾燥粉末粒子とは異なる粒子サイズまたはより大きい粒子サイズを有することが好ましい。例えば、風味粒子は、約20マイクロメートル以上、または約50マイクロメートル以上、200マイクロメートル以下、150マイクロメートル以下、または50マイクロメートル~200マイクロメートル、または50マイクロメートル~150マイクロメートルの範囲の粒子サイズを有し得る。風味剤粒子の第二の集団は、選択的にユーザーの口または口腔の中に吸入送達するために任意の有用なサイズ分布を有してもよい。風味剤粒子のより大きい第二の集団は、ユーザーへの吸入気流への乾燥粉末粒子の送達を支援する場合がある。
【0056】
乾燥粉末粒子および風味剤粒子の第二の集団は、乾燥粉末粒子とともに消費された時にユーザーが風味剤粒子の第二の集団に気付くように、任意の有用な相対量で組み合わせられてもよい。乾燥粉末粒子および風味剤粒子の第二の集団は、粉末系の総重量の少なくとも約90重量%、または少なくとも約95重量%、または少なくとも約99重量%、または100重量%を形成することが好ましい。
【0057】
乾燥粉末粒子または粉末系は、適切な剤形で提供されてもよい。例えば、乾燥粉末粒子または粉末系は、カプセルで提供されてもよい。剤形(例えば、カプセル)は、適切な吸入器で使用するように構成され得る。例えば、カプセルは、カプセル空洞を有する吸入器装置で利用されてもよい。吸入器装置のカプセル空洞を通した気流管理は、吸入中および消費中にその中に包含されたカプセルを回転させる場合がある。カプセルは、乾燥粉末粒子または粉末系を含有してもよい。
【0058】
別段の記載がない限り、ここで用語「粒子サイズ」は、粒子または粒子セットの空気動力学的質量中央径(MMAD)を指すために使用される。このような値は、特徴づけられる粒子と同じ空気力学的挙動を有する、1gm/cm3の密度を有する球体の直径として定義される、空気力学的粒子径の分布に基づく。
【0059】
特に、粉体系とは一般的に、空気動力学的粒子径分布の単一の数値記述子として最も広く採用されている指標のひとつである、空気動力学的質量中央径(MMAD)のことを言及する。MMADは、粒子サンプルに対して統計的に導出された数値であり、一例として、5マイクロメートルのMMADは、総サンプル質量の50パーセントが、5マイクロメートル未満の空気動力学的粒子径を有する粒子中に存在すること、および総サンプル質量の残りの50パーセントが、5マイクロメートルよりも大きい空気動力学的粒子径を有する粒子中に存在することを意味する。本発明の文脈において、粉体系を記述する時、「粒子サイズ」という用語は、好ましくは、粉体系のMMADを指す。
【0060】
粉体系のMMADは、好ましくは、カスケードインパクターで測定される。カスケードインパクターは、エアロゾル粒子の空気動力学的サイズ分類を決定するための空中浮遊粒子のサンプリングおよび分離に広く使用されている装置である。実際には、カスケードインパクターは、粒子サイズ、密度および速度の関数である粒子慣性に基づいて、入ってくるサンプルを個別の分画に分離する。カスケードインパクターは、典型的には、一連のステージを含み、その各々は、特定のノズル配設および収集面を有するプレートを含む。ステージ数が増えるにつれノズルサイズと総ノズル面積の両方が減少するため、サンプルを含んだ空気は装置内を進むにつれて速度が速くなる。各ステージで、十分な慣性力を有する粒子は、主流の空気の流れから外れて捕集面に衝突する。したがって、任意の所与の流量において、各ステージは、カットオフ径、収集される粒子のサイズを画定する形態に関連付けられる。ステージ数が増えると、速度が増大してステージカットオフ径が減少する。したがって、所与のステージに関連付けられたカットオフ径は、試験に使用される気流量の関数である。使用中の性能を反映するため、ネブライザーは15L/分で定期的に試験され、乾燥粉末吸入器は最大100L/分の流量で試験され得る。
【0061】
本発明の文脈において、粉体系のMMADは、次世代インパクター(NGI)170(Copley Scientific AGから入手可能)を用いて測定されることが好ましい。NGIは、七つのステージとマイクロオリフィスコレクター(MOC)を有する高性能で高精度な粒子分類カスケードインパクターである。NGIの特徴および動作原理は、例えば、Marple et al.,Journal of Aerosol Medicine-Volume 16, Number 3(2003)に記載されている。測定は、摂氏20±3度、および35±5パーセントの相対湿度で実施されることがより好ましい。
【0062】
乾燥粉末製剤は、典型的には、約15重量パーセント以下の水分、好ましくは、約10重量パーセント以下の水分、なおより好ましくは、約6重量パーセント以下の水分を含有する。乾燥粉末製剤は、約5重量パーセント以下の水分、または約3重量パーセント以下の水分、または約1重量パーセント以下の水分を含有することが最も好ましい。
【0063】
パーセンテージとして報告された全ての値は、総重量に基づく重量パーセントであると推定される。
【0064】
本明細書で使用されている全ての科学的用語および技術的用語は、別途指定のない限り、当該技術分野で一般的に使用されている意味を有する。本明細書で提供されている定義は、本明細書において頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするためのものである。
【0065】
本明細書で使用される単数形(「一つの(a)」、「一つの(an)」、および「その(the)」)は、複数形の対象を有する実施形態を包含するが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。
【0066】
本明細書で使用される「または」は概して、「および/または」を含む意味で採用されているが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。「および/または」という用語は、列挙された要素の一つもしくは全て、または列挙された要素のうちの任意の二つ以上の組み合わせを意味する。
【0067】
本明細書で使用される「有する、持つ(have)」、「有している、持っている(having)」、「含む(include)」、「含む(including)」、「備える(comprise)」、「備える(comprising)」、またはこれに類するものは、その制約のない意味で使用され、概して「含むが、これに限定されない」を意味する。当然のことながら、「から本質的に成る」、「から成る」、およびこれに類するものは、「含む、備える」およびこれに類するものに包摂される。
【0068】
「好ましい」および「好ましくは」という語は特定の状況下で、特定の利点をもたらす場合がある本発明の実施形態を指す。しかしながら、同じ状況下または他の状況下で、他の実施形態もまた好ましいものである場合がある。その上、一つ以上の好ましい実施形態の列挙は、他の実施形態が有用ではないことを暗示するものではなく、また特許請求の範囲を含む本開示の範囲から他の実施形態を除外することを意図しない。
【0069】
ここで使用される「実質的に」という用語は、「著しく」と同じ意味を有し、関連する用語を少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約98%修正すると理解され得る。ここで使用される「実質的に~ではない」という用語は、「有意に~ではない」と同じ意味を有し、また「実質的に」と逆の意味を有し、すなわち関連する用語を10%以下、5%以下、または2%以下だけ修飾すると理解することができる。
【0070】
本発明は特許請求の範囲で定義される。しかしながら、以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供している。これらの実施例の特徴の任意の一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様の任意の一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【0071】
実施例1
ハウジング空洞を画定するハウジング、スリーブ長手方向軸に沿って延在し、ハウジング空洞内に位置付けられたスリーブ、スリーブ内に含有され、カプセル長手方向軸を有するカプセル、および固定端部から穿孔要素長手方向軸に沿って先端まで延在する単一のシャフトのみを備える穿孔要素を備える吸入器システム。穿孔要素長手方向軸は、スリーブ長手方向軸と平行である。穿孔要素は、0.5~0.9mmの範囲の穿孔要素直径を有する。単一穿孔要素先端は、単一切断面のみを有し、穿孔要素の長手方向軸と単一切断面との間の切断面角度を画定する。切断面角度は、約25度~約35度の範囲である。スリーブは、ハウジング空洞内で第一の位置と第二の位置との間で移動可能である。スリーブが第一の位置から第二の位置に移動したときに、単一の開口のみがカプセルに形成される。
実施例2
ハウジング空洞を画定するハウジングと、スリーブ長手方向軸に沿って延在し、ハウジング空洞内に位置付けられるスリーブと、を備える、吸入器システム。スリーブは、ハウジング空洞内で第一の位置と第二の位置との間で移動可能である。開放端から閉鎖端に延在し、吸入器物品を受容するための円筒状内腔を画定する、スリーブ。スリーブの開放端は、吸入器物品を受容するためのハウジングの開口部と整列する。カプセルは吸入器物品内に含有され、スリーブ内に受容される。カプセルは、カプセル長手方向軸を有する。穿孔要素は、固定された端部から穿孔要素長手方向軸に沿って先端まで延在する単一シャフトのみを備える。穿孔要素長手方向軸は、スリーブ長手方向軸と平行である。穿孔要素は、0.5mm~0.9mmの範囲の穿孔要素直径を有し、単一穿孔要素先端は、単一切断面のみを有し、穿孔要素長手方向軸と単一切断面との間の切断面角度を画定する。切断面角度は、約25度~約35度の範囲内である。スリーブが第一の位置から第二の位置に移動したときに、単一の開口のみがカプセルに形成される。
実施例3
穿孔要素直径が、0.7~0.9mmの範囲である、実施例1または2に記載の吸入器システム。
実施例4
切断面角度が、約28度~約32度の範囲内である、実施例1~3のいずれかに記載の吸入器システム。
実施例5
穿孔要素の直径が、約0.8mmである、実施例1~4のいずれかに記載の吸入器システム。
実施例6
切断面角度が、約30度である、実施例1~5のいずれかに記載の吸入器システム。
実施例7
穿孔要素切断面が、尖った楕円形を画定する、実施例1~6のいずれかに記載の吸入器システム。
実施例8
穿孔要素が、固定された端部から穿孔要素長手方向軸に沿って先端まで延在する単一の固体円筒形シャフトを含む、実施例1~7のいずれかに記載の吸入器システム。
実施例9
カプセルが、約5.2~6.4mmの範囲の直径を有する、実施例1~8のいずれかに記載の吸入器システム。
実施例10
穿孔要素が、カプセル空洞内に延在するカプセル材料の単一のヒンジのみを画定する、カプセル内の単一の開口を形成する、実施例1~9のいずれかに記載の吸入器システム。
実施例11
穿孔要素がカプセルを穿孔するために必要な力が、約5N以下である、実施例1~10のいずれかに記載の吸入器システム。
実施例12
穿孔要素長手方向軸が、スリーブ長手方向軸からオフセットされる、実施例1~11のいずれかに記載の吸入器システム。
実施例13
穿孔要素が、カプセル長手方向軸から離れたカプセル半径の25%~90%、またはカプセル長手方向軸から離れたカプセル半径の33%~80%、またはカプセル長手方向軸から離れたカプセル半径の50%~75%の範囲で、カプセル湾曲端部でカプセルを穿孔する、実施例1~12のいずれかに記載の吸入器システム。
実施例14
スリーブが開放端から閉鎖端に延在し、吸入器物品を受容するための円筒状内腔を画定し、スリーブの開放端が、吸入器物品を受容するためのハウジング開口部と整列し、スリーブ閉鎖端が、使用中にカプセルをカプセルの長手方向軸の周りに回転させる旋回気流を形成するように構成された気流要素を備える、実施例1~13のいずれかに記載の吸入器システム。
実施例15
カプセルが、遠位端からマウスピース端に、吸入器物品長手方向軸に沿って延在する吸入器物品内に含有され、スリーブが、吸入器物品の遠位端を受容し、旋回または回転吸入気流を吸入器物品の遠位端内に伝達するように構成される、実施例1~14のいずれかに記載の吸入器システム。
実施例16
ハウジング空洞が、カプセルを穿孔要素から離れるように付勢するばね部材を含む、実施例1~15のいずれかに記載の吸入器システム。
実施例17
カプセルが、ニコチンを含む薬学的に活性な粒子を含有し、薬学的に活性な粒子が、約5マイクロメートル以下、または約0.5マイクロメートル~約4マイクロメートルの範囲、または約1マイクロメートル~約3マイクロメートルの範囲の空気動力学的質量中央径を有する、実施例1~16のいずれかに記載の吸入器システム。
実施例18
カプセルが、約20マイクロメートル以上、または約50マイクロメートル以上、または約50~約200マイクロメートルの範囲、または約50~約150マイクロメートルの範囲の空気動力学的質量中央径を有する風味粒子をさらに含有する、実施例1~17のいずれかに記載の吸入器システム。
実施例19
ハウジング空洞を画定するハウジング、スリーブ長手方向軸に沿って延在し、ハウジング空洞内に位置付けられたスリーブ、スリーブ内に含有され、カプセル長手方向軸を有するカプセル、および固定端部から穿孔要素長手方向軸に沿って先端まで延在する単一のシャフトのみを備える穿孔要素を含む、吸入器システム。穿孔要素長手方向軸は、スリーブ長手方向軸と平行であってそれからオフセットしている。穿孔要素は、0.5~0.9mmの範囲の穿孔要素直径を有する。単一穿孔要素先端は、単一切断面のみを有し、穿孔要素の長手方向軸と単一切断面との間の切断面角度を画定する。切断面角度は、約25度~約35度の範囲である。スリーブは、ハウジング空洞内で第一の位置と第二の位置との間で移動可能である。スリーブが第一の位置から第二の位置に移動したときに、単一の開口のみがカプセルに形成される。
実施例20
穿孔要素長手方向軸が、少なくとも一つの穿孔要素直径、または少なくとも1.5の穿孔要素直径、または少なくとも2つの穿孔要素直径、または1~2つの穿孔要素直径の範囲で、スリーブ長手方向軸からオフセットされる、実施例19に記載の吸入器システム。
実施例21
吸入器システムが、二つ未満の穿孔要素を有する、実施例1~20のいずれかに記載の吸入器システム。
実施例22
穿孔要素の単一のベベルまたは切断面が、スリーブ長手方向軸に対向する平面を画定する、実施例1~21のいずれかに記載の吸入器システム。
実施例23
穿孔要素の単一のベベルまたは切断面が、カプセル長手方向軸に対向する平面を画定する、実施例1~22のいずれかに記載の吸入器システム。
実施例24
穿孔要素の単一のベベルまたは切断面が、平面に最も近いスリーブ内径面に面する平面を画定する、実施例1~23のいずれかに記載の吸入器システム。
実施例25
穿孔要素が、カプセル長手方向軸から離れたカプセル半径の25%~80%の範囲、またはカプセルの長手方向軸から離れたカプセル半径の33%~75%、またはカプセル長手方向軸から離れたカプセルの半径の50%~75%の範囲で、カプセル湾曲端部でカプセルを穿孔する、実施例19~24のいずれかに記載の吸入器システム。
実施例26
穿孔要素が、カプセル空洞内に延在するカプセル材料の単一のヒンジのみを画定する、カプセル内の単一の開口を形成する、実施例19~25のいずれかに記載の吸入器システム。
実施例27
カプセル材料の単一のヒンジが、カプセル長手方向軸から最も遠い単一の開口の周囲の点に位置する、実施例19~26のいずれかに記載の吸入器システム。
実施例28
穿孔要素が、固定された端部から穿孔要素長手方向軸に沿って先端まで延在する単一の固体シャフトを備える、実施例19~27のいずれかに記載の吸入器システム。
実施例29
カプセルが、2.6mm~3.2mmの範囲の半径を有し、穿孔要素が、カプセル長手方向軸から少なくとも1mm、またはカプセル長手方向軸から約1mm~約2mmの範囲の半径方向距離で、カプセル湾曲端部でカプセルを穿孔する、実施例19~28のいずれかに記載の吸入器システム。
実施例30
スリーブが開放端から閉鎖端に延在し、吸入器物品を受容するための円筒状内腔を画定し、スリーブの開放端が、吸入器物品を受容するためのハウジング開口部と整列し、スリーブ閉鎖端が、使用中にカプセルをカプセルの長手方向軸の周りに回転させる旋回気流を形成するように構成された気流要素を備える、実施例19~29のいずれかに記載の吸入器システム。
実施例31
カプセルが吸入器物品内に含有され、吸入器物品が、遠位端からマウスピース端に、吸入器物品長手方向軸に沿って延在し、スリーブが、吸入器物品の遠位端を受容するように構成される、実施例19~30のいずれかに記載の吸入器システム。
実施例32
吸入器物品長手方向軸が、穿孔要素長手方向軸からオフセットされる、実施例31に記載の吸入器システム。
実施例33
カプセルがニコチンを含む薬学的に活性な粒子を含有し、薬学的に活性な粒子が、約5マイクロメートル以下、または約0.5マイクロメートル~約4マイクロメートルの範囲、または約1マイクロメートル~約3マイクロメートルの範囲の空気動力学的質量中央径を有する、実施例19~32のいずれかに記載の吸入器システム。
実施例34
カプセルが、約20マイクロメートル以上、または約50マイクロメートル以上、または約50~約200マイクロメートルの範囲、または約50~約150マイクロメートルの範囲の空気動力学的質量中央径を有する風味粒子をさらに含有する、実施例33に記載の吸入器システム。
【図面の簡単な説明】
【0072】
ここで、以下の図を参照しながら実施例をさらに説明する。
【0073】
【
図1】
図1は、例示的吸入器システムの概略断面図である。
【
図2】
図2は、例示的吸入器物品ホルダーの透視分解図である。
【
図3A】
図3Aは、吸入器物品が吸入器物品ホルダー内に受容され、また第二の位置においてカプセルを穿孔する、例示的吸入器システムの概略断面図である。
【
図3B】
図3Bは、第一の位置において穿孔要素がカプセルから引き出された、
図3Aの例示的吸入器システムの概略断面図である。
【
図4】
図4は、吸入器システムを通る吸入気流経路を例示する
図3Bの別の概略断面図である。
【
図5】
図5は、例示的吸入器物品ホルダーのスリーブの中への正面立面図である。
【
図6A】
図6Aは、穿孔要素を有する例示的気流要素の透視図である。
【
図6B】
図6Bは、気流要素の中心線の周りの六つの代替的な穿孔要素のオフセット位置を示す、気流要素の透視図である。
【
図7】
図7は、カプセルエンドキャップを含有する例示的穿孔要素の概略断面図である。
【
図8】
図8は、カプセルおよび穿孔要素を有する例示的カプセル空洞の概略断面図である。
【
図9A】
図9Aは、本明細書に記載の穿孔要素によって穿孔された後の例示的カプセルエンドキャップの正面立面図である。
【
図9B】
図9Bは、本明細書に記載の穿孔要素によって穿孔された後の別の例示的カプセルエンドキャップの正面立面図である。
【0074】
概略図は必ずしも実寸に比例しておらず、また図示の目的で提示されていて、限定するものではない。図面は本開示に記載の一つ以上の態様を図示する。しかしながら、当然のことながら、図面に描写されていないその他の態様も本開示の範囲および趣旨の中に収まる。
【発明を実施するための形態】
【0075】
図1は、例示的吸入器システム10の概略断面図である。
図2は、例示的吸入器物品ホルダー30の透視分解図である。
図3Aは、吸入器物品20が吸入器物品ホルダー30内に受容され、第二の位置または圧縮位置においてカプセル25(吸入器物品20内に含有された)を穿孔する、例示的吸入器システム10の概略断面図である。
図3Bは、第一の位置または弛緩位置において穿孔要素50がカプセル25から引っ込められた、
図3Aの例示的吸入器システム10の概略断面図である。
図4は、吸入器システム10を通る吸入気流150経路(矢印)を例示する
図3Bの別の概略断面図である。
【0076】
吸入器物品ホルダー30は、別個の消耗品吸入器物品20を受容し、かつ消費中に吸入器物品20の中へ、吸入器物品20を通して旋回吸入気流を誘発するように構成される。吸入器物品ホルダー30および吸入器物品20は、吸入器システム10を形成する。吸入器物品20は、消費者による使用中、吸入器物品ホルダー30内に留まる。吸入器物品ホルダー30は、受容された吸入器物品20に入る旋回吸入気流を誘発するように構成される。
【0077】
例示的吸入器物品20は、マウスピース端21から遠位端23へと延びる本体22を含む。カプセル空洞24が本体22内に画定される。カプセル25は、カプセル空洞24内に含有される。上述の乾燥粉末粒子は、カプセル25内に含有され得る。カプセル25は、カプセル25の本体を通して開口部を形成するように貫通されてもよく、また吸入空気は、吸入器物品20を通って流れて、貫通したカプセル25から、吸入気流の中へ、マウスピース端21の外へ、結晶性乾燥粉末粒子を放出し得る。
【0078】
吸入器物品ホルダー30は、ハウジング内表面34および外表面35によって画定されるハウジング空洞を画定する、ハウジング32を含む。スリーブ40は、ハウジング空洞内に位置付けられる。スリーブ40は、吸入器物品20を受容するように配設され、またスリーブ40は、ハウジング空洞内で、ハウジング空洞の長手方向軸に沿って、第一の位置と第二の位置との間で移動可能である。
【0079】
穿孔要素50は、
図3Aに例示するようにスリーブ40が第二の位置にある時に、スリーブ40内に受容された吸入器物品20内のカプセル25を貫通するように配設される。
【0080】
穿孔要素50は、ハウジング32の長手方向軸に沿って、スリーブ40の中へと延びるように構成され得る。吸入器物品ホルダー30は、スリーブ40および任意の受容された吸入器物品20を穿孔要素50から離れるように付勢するように構成されたばね部材60を含み得る。
【0081】
スリーブ40は、開放端42から閉鎖端44(または制限端)へと延び、そしてスリーブ40の長手方向軸に沿ってスリーブ空洞45または円筒状内腔45を画定する。スリーブ開放端42は、単一のハウジング開口部36と整列する。
【0082】
スリーブ閉鎖端44は、穿孔要素が閉鎖端44を通過し、そしてスリーブ内腔45の中へと延びることを可能にするように、気流要素46および開口を含む。気流要素46は、スリーブ40の周りの環状空間からスリーブ円筒状内腔45の中への気流連通を提供する、一つ以上の吸入空気吸込み口47を含む。この気流要素46は、回転または旋回吸入気流を、スリーブ円筒状内腔45の中へと、かつ吸入器物品カプセル空洞24の中へと直接誘発するように構成される。この旋回または回転吸入気流は、吸入器物品20の中へと伝達されてカプセル25を回転させ、そしてカプセル25内に含有される乾燥粉末を放出してもよい。
【0083】
スリーブ40の気流要素46は、スリーブ空洞45と流体連通する中央通路を有する管状要素を含む。気流要素46は、吸入空気150が中央通路の中へと入ることを可能にする少なくとも一つの空気吸込み口47を有する。少なくとも一つの空気吸込み口47は、中央通路に対して接線方向である方向で延びて、旋回または回転吸入気流を生成する。
【0084】
スリーブ40は、スリーブ空洞45の中へと約5mm延びてもよく、また約5.5mmの外径および約4mmの内径を有してもよい管状要素を含む。受容された吸入器物品20の開放遠位端23は、気流要素46の管状要素との締まり嵌めを提供するために、約5.5mmの内径を有してもよい。
【0085】
スリーブ閉鎖端44は、スリーブ40の閉鎖端を実質的に形成するスリーブ底部要素48をさらに含んでもよい。スリーブ底部要素48は、固定され、かつ気流要素46と接触してもよい。スリーブ底部要素48は、気流要素46から、スリーブ長手方向軸に沿ってある距離、かつハウジング空洞の閉鎖端に向かって、離れるように延びてもよい。スリーブ底部要素48は、穿孔要素50を含有する開口を有してもよく、また穿孔要素50がスリーブ底部要素48の開口を通過することを可能にする。
【0086】
内側ハウジング70は、ハウジング空洞内に含有されてもよい。内側ハウジング70は、スリーブ40の少なくとも一部分をハウジング空洞の内表面から分離してもよい。内側ハウジング70は、穿孔要素50の固定端をハウジング空洞の内表面から分離してもよい。内側ハウジング70は、ばね部材60をハウジング空洞の内表面から分離してもよい。
【0087】
環状カバー38は、内側ハウジング70およびスリーブ40をハウジング空洞の中へと固定してもよい。環状カバー38は、吸入器物品20を受容するために単一のハウジング開口部36を画定する。環状カバー38は、ピン要素39を用いてハウジング32に固定されてもよい。
【0088】
図4は、吸入器システム10を通る吸入気流150経路を例示する。吸入気流150は、受容された吸入器物品20および環状カバー38の外表面に沿って吸入器物品ホルダー30に入る。一旦ハウジング空洞の内側に入ると、吸入空気150は、スリーブ40の長さに沿ってスリーブ40の閉鎖端44へと進む。次いで、吸入空気150は、気流要素46の空気吸込み口47に入り、そしてスリーブ内腔45内で旋回または回転する吸入空気150を形成する。次いで、この旋回または回転する吸入空気は、吸入器物品20の遠位端23へと、かつカプセル空洞24の中へと直接的に伝えられる。旋回吸入気流はカプセル25を回転または撹拌し、そして乾燥粉末粒子は吸入気流内に巻き込まれる。次いで、巻き込まれた吸入気流は、マウスピース端21を経由して吸入器物品から流出し、ユーザー100へと流れる。
図4では、吸入気流150の経路が矢印を用いて例示される。
【0089】
図5は、例示的吸入器物品ホルダーのスリーブ40の中への正面立面図である。
図6Aは、穿孔要素50を有する例示的気流要素46の透視図である。
図6Bは、気流要素46の中心線の周りの六つの代替的な穿孔要素50のオフセット位置を示す、気流要素46の透視図である。
【0090】
単一切断面またはベベル54は、気流要素46の中心線からオフセットまたは離間し、気流要素46の中心線と対向または反対を向く。
図6Bは、気流要素46の中心線に関する実線の実施形態および五つの幻線の代替的穿孔要素50のオフセット位置を示す。各代替的位置は、単一切断面またはベベル54は、気流要素46の中心線からオフセットまたは離間し、気流要素46の中心線と対向または反対を向くことを示している。
【0091】
スリーブ40の中心長手方向軸LCLは、X軸とY軸の交差に位置する。気流要素46は、スリーブ40の閉鎖端を画定する。内側ハウジング70は、スリーブ40に固定される。穿孔要素50は、気流要素46を貫通し、中心長手方向軸LCLから距離ROだけオフセットされる。気流要素46の中心長手方向軸LCLは、スリーブ40の中心長手方向軸LCLと整列し、それと一致する。穿孔要素の切断端は、先端52で終端する単一切断面またはベベル54によって画定される。
【0092】
図7は、カプセルエンドキャップ26を含有する例示的穿孔要素50の概略断面図である。
図8は、カプセル25および穿孔要素50を有する吸入器物品20の例示的カプセル空洞24の概略断面図である。
【0093】
切断面またはベベル54の配向の配向は
図7に示される。切断場所は、スリーブ40の中心長手方向軸L
CLに対向する。カプセル空洞24の中心長手方向軸L
CLは、スリーブ40の中心長手方向軸L
CLと整列し、それと一致する。先端52は、まず、カプセルの半球状エンドキャップ26を貫通して開放開口部を形成し、穿孔要素シャフトの全周がカプセル25に入るまで、カプセルの半球状エンドキャップ26を切断し続ける。開口を形成する周囲の部分は、中心長手方向軸L
CLに最も近い位置にある。開口の一部分を形成するカプセル材料のヒンジは、中心長手方向軸L
CLに最も近い周囲の部分に対向する。
【0094】
穿孔要素50は、中心長手方向軸LCLと平行であり、かつそれから距離ROだけオフセットされる。カプセル半球状エンドキャップ26は、カプセル25の周囲で半径RCを有する。穿孔要素50は、上述のように、中心長手方向軸LCLよりも円周半径RCに近い点で、カプセル半球状エンドキャップ26と接触し得る。
【0095】
図9Aは、本明細書に記載の穿孔要素によって穿孔された後の、開口29を有する例示的カプセル25エンドキャップの正面立面図である。
図9Bは、本明細書に記載の穿孔要素によって穿孔された後の、開口29を有する別の例示的カプセル25エンドキャップの正面立面図である。
【0096】
図10は、例示的穿孔要素50先端52の透視図である。穿孔要素50は、固定された端部から穿孔要素長手方向軸に沿って先端52まで延在する単一シャフトのみを有する。穿孔要素は、0.5mm~0.9mmの範囲の穿孔要素直径Dを有し、単一穿孔要素先端52は、単一切断面54のみを有し、穿孔要素長手方向軸と単一切断面54との間の切断面角度θを画定する。切断面角度θは、約25度~約35度の範囲内である。
【0097】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的において、別途示されていない限り、量(amounts)、量(quantities)、割合などを表す全ての数字は、全ての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。また、全ての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつそれらの任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合も列挙されていない場合もある。従って、この文脈において、数字AはA±2%として理解される。この文脈内で、数字Aは、数字Aが修正する特性の測定値に対する一般的な標準誤差内にある数値を含むと考えられてもよい。数字Aは、添付の特許請求の範囲で使用される通りの一部の場合において、Aが逸脱する量が特許請求する本発明の基本的かつ新規の特性(複数可)に実質的に影響を及ぼさないという条件で、上記に列挙された割合だけ逸脱してもよい。また、全ての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつそれらの任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合も列挙されていない場合もある。
【国際調査報告】