(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-15
(54)【発明の名称】βアドレナリンアゴニスト及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
C07D 205/04 20060101AFI20231208BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231208BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20231208BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20231208BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20231208BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20231208BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20231208BHJP
C07D 401/06 20060101ALI20231208BHJP
C07D 213/73 20060101ALI20231208BHJP
C07D 213/84 20060101ALI20231208BHJP
C07D 403/06 20060101ALI20231208BHJP
C07D 207/08 20060101ALI20231208BHJP
C07D 211/22 20060101ALI20231208BHJP
C07D 413/06 20060101ALI20231208BHJP
C07D 417/06 20060101ALI20231208BHJP
C07D 405/06 20060101ALI20231208BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20231208BHJP
A61K 31/4545 20060101ALI20231208BHJP
A61K 31/497 20060101ALI20231208BHJP
A61K 31/501 20060101ALI20231208BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20231208BHJP
A61K 31/40 20060101ALI20231208BHJP
A61K 31/4458 20060101ALI20231208BHJP
A61K 31/397 20060101ALI20231208BHJP
A61K 31/416 20060101ALI20231208BHJP
A61K 31/404 20060101ALI20231208BHJP
C07D 471/04 20060101ALI20231208BHJP
A61K 31/437 20060101ALI20231208BHJP
A61K 31/4184 20060101ALI20231208BHJP
A61K 31/4192 20060101ALI20231208BHJP
A61K 31/423 20060101ALI20231208BHJP
A61K 31/428 20060101ALI20231208BHJP
A61K 31/4709 20060101ALI20231208BHJP
A61K 31/538 20060101ALI20231208BHJP
A61K 31/55 20060101ALI20231208BHJP
C07D 239/42 20060101ALI20231208BHJP
A61K 31/505 20060101ALI20231208BHJP
C07D 213/30 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
C07D205/04
A61P43/00 111
A61P25/00
A61P25/28
A61P25/14
A61P25/16
A61P25/24
C07D401/06 CSP
C07D213/73
C07D213/84 Z
C07D403/06
C07D207/08
C07D211/22
C07D413/06
C07D417/06
C07D405/06
A61K31/4439
A61K31/4545
A61K31/497
A61K31/501
A61K31/506
A61K31/40
A61K31/4458
A61K31/397
A61K31/416
A61K31/404
C07D471/04 104Z
A61K31/437
A61K31/4184
A61K31/4192
A61K31/423
A61K31/428
A61K31/4709
A61K31/538
A61K31/55
C07D239/42 Z
A61K31/505
C07D213/30
C07D471/04 106Z
C07D471/04 112Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530171
(86)(22)【出願日】2021-11-18
(85)【翻訳文提出日】2023-05-30
(86)【国際出願番号】 US2021059957
(87)【国際公開番号】W WO2022109179
(87)【国際公開日】2022-05-27
(32)【優先日】2020-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520489318
【氏名又は名称】キュラセン セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】ユ チアシン
(72)【発明者】
【氏名】カーター デビッド スコット
(72)【発明者】
【氏名】フォード アンソニー ピー.
(72)【発明者】
【氏名】チェン ウェイ
【テーマコード(参考)】
4C055
4C063
4C065
4C086
【Fターム(参考)】
4C055BA03
4C055BA06
4C055BA16
4C055BA52
4C055BA59
4C055BB15
4C055BB17
4C055BB19
4C055CA01
4C055CA16
4C055CA39
4C055CB14
4C055CB15
4C055DA01
4C063AA01
4C063BB04
4C063CC06
4C063CC10
4C063CC12
4C063CC14
4C063CC19
4C063CC22
4C063CC28
4C063CC29
4C063CC34
4C063CC52
4C063CC54
4C063CC79
4C063DD02
4C063DD03
4C063DD06
4C063DD10
4C063EE01
4C065AA04
4C065BB04
4C065CC01
4C065DD02
4C065EE02
4C065HH04
4C065JJ01
4C065PP10
4C086AA01
4C086AA03
4C086BC02
4C086BC07
4C086BC17
4C086BC21
4C086BC28
4C086BC32
4C086BC37
4C086BC39
4C086BC41
4C086BC42
4C086BC48
4C086BC61
4C086BC70
4C086BC74
4C086CB05
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA56
4C086MA57
4C086MA58
4C086MA59
4C086MA60
4C086MA63
4C086MA66
4C086ZA02
4C086ZA12
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZC02
4C086ZC41
(57)【要約】
本開示は、化学化合物、及びアドレナリン受容体に関連する疾患の治療におけるそのような化合物の使用を対象とする。式(I)による化合物、又はその光学的に純粋な立体異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグが本明細書に開示される。式(II)による化合物、又はその光学的に純粋な立体異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグが本明細書に更に開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)による化合物:
又はその光学的に純粋な立体異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグであって、
式中、
環A
1が、4~8員ヘテロシクロアルキルを表し;
各R
1が独立して、1つ以上のハロによって置換されていてもよいC
1~6アルキルを表し、任意の2つのR
1基が同じ炭素に結合している場合は、3~6員環を一緒に形成してもよく、これは、ハロ、もう1つのハロによって置換されていてもよいC
1~6アルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-アルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-シクロアルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-アリール、非置換若しくは置換-(C=O)-ヘテロアリール、非置換若しくは置換アリール、非置換若しくは置換ヘテロアリール、非置換若しくは置換スルホニル、非置換若しくは置換アミド、非置換若しくは置換尿素、非置換若しくは置換エステル、又はCR
BR
Cから独立して選択される1つ以上の基によって置換されていてもよく;
各R
B及びR
Cが独立して、水素、非置換又は置換アリール、及び非置換又は置換ヘテロアリールからなる群から選択され;
mが、0~13を表し;
各R
2が独立して、水素、ハロゲン、R
A、-CN、-NO
2、-SF
5、-O
-、-OR’、-NR’
2、-SO
2R’、-C(O)R’、-C(O)NR’
2、-NR’C(O)R’、-NR’CO
2R’、又は-CO
2R’であり;
各R
Aが独立して、C
1~6脂肪族、フェニル、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和又は部分不飽和複素環式環、並びに独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員ヘテロアリール環から選択される置換されていてもよい基であり;
各R’が独立して、水素、又は、C
1~6脂肪族、フェニル、3~8員の飽和若しくは部分不飽和単環式炭素環式環、8~10員の二環式部分不飽和若しくは芳香族炭素環式環、独立して窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~8員の飽和若しくは部分不飽和単環式複素環式環、独立して窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員の単環式ヘテロ芳香族環、及び独立して窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1~5個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式部分不飽和若しくはヘテロ芳香族環から選択される置換されていてもよい基であり、あるいは、
同じ炭素又は窒素上の2つのR’基がそれらの介在原子と一緒になって、前記2つのR’基が結合している前記炭素又は窒素に加えて、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する、置換されていてもよい4~10員の飽和又は部分不飽和の炭素環式又は複素環式環を、形成していてもよく;
nが、0~4から選択される整数であり;
各A、B、及びXが独立して、窒素又は炭素である、
前記化合物、又はその光学的に純粋な立体異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグ。
【請求項2】
式(II)による化合物:
又はその光学的に純粋な立体異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグであって、
式中、
環A
1が、4~8員ヘテロシクロアルキルを表し;
各R
1が独立して、1つ以上のハロによって置換されていてもよいC
1~6アルキルを表し、任意の2つのR
1基が同じ炭素に結合している場合は、3~6員環を一緒に形成してもよく、これは、ハロ、もう1つのハロによって置換されていてもよいC
1~6アルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-アルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-シクロアルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-アリール、非置換若しくは置換-(C=O)-ヘテロアリール、非置換若しくは置換アリール、非置換若しくは置換ヘテロアリール、非置換若しくは置換スルホニル、非置換若しくは置換アミド、非置換若しくは置換尿素、非置換若しくは置換エステル、又はCR
BR
Cから独立して選択される1つ以上の基によって置換されていてもよく;
各R
B及びR
Cが独立して、水素、非置換又は置換アリール、及び非置換又は置換ヘテロアリールからなる群から選択され;
mが、0~13を表し;
各R
2が独立して、水素、ハロゲン、R
A、-CN、-NO
2、-SF
5、-O
-、-OR’、-NR’
2、-SO
2R’、-C(O)R’、-C(O)NR’
2、-NR’C(O)R’、-NR’CO
2R’、又は-CO
2R’であり;
各R
Aが独立して、C
1~6脂肪族、フェニル、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和又は部分不飽和複素環式環、並びに独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員ヘテロアリール環から選択される置換されていてもよい基であり;
各R’が独立して、水素、又は、C
1~6脂肪族、フェニル、3~8員の飽和若しくは部分不飽和単環式炭素環式環、8~10員の二環式部分不飽和若しくは芳香族炭素環式環、独立して窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~8員の飽和若しくは部分不飽和単環式複素環式環、独立して窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員の単環式ヘテロ芳香族環、及び独立して窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1~5個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式部分不飽和若しくはヘテロ芳香族環から選択される置換されていてもよい基であり、あるいは、
同じ炭素又は窒素上の2つのR’基がそれらの介在原子と一緒になって、前記2つのR’基が結合している前記炭素又は窒素に加えて、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する、置換されていてもよい4~10員の飽和又は部分不飽和の炭素環式又は複素環式環を、形成していてもよく;
n’が、0~3から選択される整数であり;
R
3a及びR
3bが、独立して、水素、R
A、-OR’、-C(O)R’、-C(O)NR’
2、又は-CO
2R’であり、あるいは、
R
3a及びR
3bがそれらの介在原子と一緒になって、R
3a及びR
3bが結合している前記窒素に加えて、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する、置換されていてもよい4~10員の飽和又は部分不飽和の炭素環式又は複素環式環を、形成していてもよく;
各A、B、及びXが独立して、窒素又は炭素である、
前記化合物、又はその光学的に純粋な立体異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグ。
【請求項3】
式(III)による化合物:
又はその光学的に純粋な立体異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグであって、
式中、
環A
1が、4~8員ヘテロシクロアルキルを表し;
各R
1が独立して、1つ以上のハロによって置換されていてもよいC
1~6アルキルを表し、任意の2つのR
1基が同じ炭素に結合している場合は、3~6員環を一緒に形成してもよく、これは、ハロ、もう1つのハロによって置換されていてもよいC
1~6アルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-アルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-シクロアルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-アリール、非置換若しくは置換-(C=O)-ヘテロアリール、非置換若しくは置換アリール、非置換若しくは置換ヘテロアリール、非置換若しくは置換スルホニル、非置換若しくは置換アミド、非置換若しくは置換尿素、非置換若しくは置換エステル、又はCR
BR
Cから独立して選択される1つ以上の基によって置換されていてもよく;
各R
B及びR
Cが独立して、水素、非置換又は置換アリール、及び非置換又は置換ヘテロアリールからなる群から選択され;
mが、適宜、0~13を表し;
Pが、N、O、又はCR
3であり;
Qが、N、O、又はCR
3であり;
Gが、NR
6又はOであり;
Zが、NR
5、O、S、又はCR
4R
5であり;
R
3が、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、非置換又は置換アミノ、非置換又は置換アルキル、及び非置換又は置換アルコキシからなる群から選択され;
各R
4及びR
5が、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、非置換又は置換アミノ、非置換又は置換アルキル、及び非置換又は置換アルコキシからなる群から選択され;
R
6が、H、非置換又は置換アルキル、非置換又は置換アルコキシ、非置換又は置換アルケニル、非置換又は置換アルキニル、非置換又は置換シクロアルキル、非置換又は置換アリール、及び非置換又は置換ヘテロアリールからなる群から選択される1つ以上であり;
各R
2が独立して、水素、ハロゲン、R
A、-CN、-NO
2、-SF
5、-O
-、-OR’、-NR’
2、-SO
2R’、-C(O)R’、-C(O)NR’
2、-NR’C(O)R’、-NR’CO
2R’、又は-CO
2R’であり;
各R
Aが独立して、C
1~6脂肪族、フェニル、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和又は部分不飽和複素環式環、並びに独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員ヘテロアリール環から選択される置換されていてもよい基であり;
各R’が独立して、水素、又は、C
1~6脂肪族、フェニル、3~8員の飽和若しくは部分不飽和単環式炭素環式環、8~10員の二環式部分不飽和若しくは芳香族炭素環式環、独立して窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~8員の飽和若しくは部分不飽和単環式複素環式環、独立して窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員の単環式ヘテロ芳香族環、及び独立して窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1~5個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式部分不飽和若しくはヘテロ芳香族環から選択される置換されていてもよい基であり、あるいは、
同じ炭素又は窒素上の2つのR’基がそれらの介在原子と一緒になって、前記2つのR’基が結合している前記炭素又は窒素に加えて、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する、置換されていてもよい4~10員の飽和又は部分不飽和の炭素環式又は複素環式環を、形成していてもよく;
n’が、0~3から選択される整数であり;
各A、B、及びXが独立して、窒素又は炭素である、
前記化合物、又はその光学的に純粋な立体異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグ。
【請求項4】
式(IV)による化合物:
又はその光学的に純粋な立体異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグであって、
式中、
環A
1が、4~8員ヘテロシクロアルキルを表し;
各R
1が独立して、1つ以上のハロによって置換されていてもよいC
1~6アルキルを表し、任意の2つのR
1基が同じ炭素に結合している場合は、3~6員環を一緒に形成してもよく、これは、ハロ、もう1つのハロによって置換されていてもよいC
1~6アルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-アルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-シクロアルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-アリール、非置換若しくは置換-(C=O)-ヘテロアリール、非置換若しくは置換アリール、非置換若しくは置換ヘテロアリール、非置換若しくは置換スルホニル、非置換若しくは置換アミド、非置換若しくは置換尿素、非置換若しくは置換エステル、又はCR
BR
Cから独立して選択される1つ以上の基によって置換されていてもよく;
各R
B及びR
Cが独立して、水素、非置換又は置換アリール、及び非置換又は置換ヘテロアリールからなる群から選択され;
mが、0~13を表し;
各R
2が独立して、水素、ハロゲン、R
A、-CN、-NO
2、-SF
5、-O
-、-OR’、-NR’
2、-SO
2R’、-C(O)R’、-C(O)NR’
2、-NR’C(O)R’、-NR’CO
2R’、又は-CO
2R’であり;
各R
Aが独立して、C
1~6脂肪族、フェニル、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和又は部分不飽和複素環式環、並びに独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員ヘテロアリール環から選択される置換されていてもよい基であり;
各R’が独立して、水素、又は、C
1~6脂肪族、フェニル、3~8員の飽和若しくは部分不飽和単環式炭素環式環、8~10員の二環式部分不飽和若しくは芳香族炭素環式環、独立して窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~8員の飽和若しくは部分不飽和単環式複素環式環、独立して窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員の単環式ヘテロ芳香族環、及び独立して窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1~5個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式部分不飽和若しくはヘテロ芳香族環から選択される置換されていてもよい基であり、あるいは、
同じ炭素又は窒素上の2つのR’基がそれらの介在原子と一緒になって、前記2つのR’基が結合している前記炭素又は窒素に加えて、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する、置換されていてもよい4~10員の飽和又は部分不飽和の炭素環式又は複素環式環を、形成していてもよく;
n’が、0~3から選択される整数であり;
環C
1が、ベンゾ、独立して窒素、酸素、又は硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を含む5~9員の単環式又は二環式ヘテロアリール、及び独立して窒素、酸素、又は硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~7員の飽和又は部分不飽和カルボシクリル又はヘテロシクリルから選択される縮合環であり;
各A、B、及びXが独立して、窒素又は炭素である、
前記化合物、又はその光学的に純粋な立体異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグ。
【請求項5】
式(V)による化合物:
又はその光学的に純粋な立体異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグであって、
式中、
環A
1が、4~8員ヘテロシクロアルキルを表し;
各R
1が独立して、1つ以上のハロによって置換されていてもよいC
1~6アルキルを表し、任意の2つのR
1基が同じ炭素に結合している場合は、3~6員環を一緒に形成してもよく、これは、ハロ、もう1つのハロによって置換されていてもよいC
1~6アルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-アルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-シクロアルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-アリール、非置換若しくは置換-(C=O)-ヘテロアリール、非置換若しくは置換アリール、非置換若しくは置換ヘテロアリール、非置換若しくは置換スルホニル、非置換若しくは置換アミド、非置換若しくは置換尿素、非置換若しくは置換エステル、又はCR
BR
Cから独立して選択される1つ以上の基によって置換されていてもよく;
各R
B及びR
Cが独立して、水素、非置換又は置換アリール、及び非置換又は置換ヘテロアリールからなる群から選択され;
mが、0~13を表し;
Rが、以下:
からなる群から選択される、
前記化合物、又はその光学的に純粋な立体異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグ。
【請求項6】
以下:
からなる群から選択される、化合物。
【請求項7】
アドレナリン受容体のアゴニスト、部分アゴニスト、又はアンタゴニストである、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
β1-アドレナリン受容体アゴニスト、β2-アドレナリン受容体アゴニスト、又は非選択的β1/β2-アドレナリン受容体アゴニストである、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
β1-アドレナリン受容体アゴニストである、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
β2-アドレナリン受容体アゴニストである、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
非選択的β1/β2-アドレナリンアゴニストである、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、薬学的組成物。
【請求項13】
疾患を有する対象を治療する方法であって、前記対象に、治療有効量の請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項14】
疾患を有する対象を治療する方法であって、前記対象に、治療有効量の請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物を投与し、それによって、前記対象を治療することを含む、方法。
【請求項15】
アドレナリン受容体と関連する疾患を有する対象を治療する方法であって、前記対象に、治療有効量の請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項16】
前記疾患が、神経変性疾患である、請求項13~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記疾患が、MCI(軽度認知機能障害)、aMCI(健忘型軽度認知機能障害)、血管性認知症、混合型認知症、FTD(前頭側頭型認知症、ピック病)、HD(ハンチントン病)、レット症候群、PSP(進行性核上性麻痺)、CBD(大脳皮質基底核変性症)、SCA(脊髄小脳失調症)、MSA(多系統萎縮症)、SDS(シャイ・ドレーガー症候群)、オリーブ橋小脳萎縮症、TBI(外傷性脳損傷)、CTE(慢性外傷性脳症)、脳卒中、WKS(ウェルニッケ・コルサコフ症候群、アルコール性認知症及びチアミン欠乏症)、正常圧水頭症、過眠症/ナルコレプシー、ASD(自閉症スペクトラム障害)、FXS(脆弱X症候群)、TSC(結節性硬化症)、プリオン関連疾患(CJDなど)、うつ病性障害、DLB(レビー小体型認知症)、PD(パーキンソン病)、PDD(パーキンソン病認知症)、ADHD(注意欠陥多動性障害)、アルツハイマー病(AD)、早期アルツハイマー病、及びダウン症候群(DS)からなる群から選択される1つ以上である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記対象が、ヒトである、請求項13~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記化合物が、前記対象に、経口、経腸、局所、吸入、経粘膜、静脈内、筋肉内、皮下、鼻腔内、硬膜外、脳内、脳室内、皮膚上、羊膜外、動脈内、関節内、心臓内、海綿体内、皮内、病巣内、眼内、骨内注入、腹腔内、くも膜下腔内、子宮内、膣内、膀胱内、硝子体内、経皮、血管周囲、頬側、膣、舌下、又は直腸経路を介して投与される、請求項13~18のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年11月19日に出願された米国仮特許出願第63/116,025号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本開示は、概して、化学化合物に関し、より具体的には、βアドレナリンアゴニスト、及びアドレナリン受容体に関連する疾患の治療における使用に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
PCT出願公開第2017/197324号(特許文献1)には、「治療有効量の主題の化合物を投与することを含む、アドレナリン受容体に関連する疾患又は病態について対象を治療するための[ア]ドレナリン受容体調節化合物及び方法」が開示されている。
【0004】
米国特許出願公開第2013/0096126号(特許文献2)には、「神経変性障害による学習、記憶、又はその両方の障害を有する哺乳類において、学習、記憶、又はその両方を増強する方法であって、β1アドレナリン受容体アゴニスト、部分的アゴニスト又は受容体リガンドである少なくとも1つの化合物又はその塩を、前述の哺乳類の学習、記憶、又はその両方を改善するのに有効な量で投与する工程を伴う方法」が開示されている。
【0005】
米国特許出願公開第2014/0235726号(特許文献3)には、「ダウン症候群患者の認知を改善する方法であって、1つ以上のβ2アドレナリン受容体アゴニストを、文脈学習試験により測定された患者の認知を改善するのに有効な量及び頻度で患者に投与することを伴う方法」が開示されている。
【0006】
米国特許出願公開第2016/0184241号(特許文献4)には、「ダウン症候群患者の認知を改善する方法であって、1つ以上のβ2-ADRアゴニスト又は薬理学的に許容される塩のいずれか、又はその両方を、測定された文脈学習試験として患者の認知を改善するのに有効な量及び頻度で患者に鼻腔内投与することを伴う方法」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】PCT出願公開第2017/197324号
【特許文献2】米国特許出願公開第2013/0096126号
【特許文献3】米国特許出願公開第2014/0235726号
【特許文献4】米国特許出願公開第2016/0184241号
【発明の概要】
【0008】
概要
本開示は、アドレナリン受容体を調節する化合物の同定、及びアドレナリン受容体と関連する疾患を治療するためにそれらを使用する方法に、少なくとも部分的に基づいている。式(I)による化合物、又はその光学的に純粋な立体異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグが本明細書に開示される。
【0009】
いくつかの実施形態では、環A1は、4~8員ヘテロシクロアルキルを表し;各R1は独立して、1つ以上のハロ、OH、又はCNによって置換されていてもよいC1~6アルキルを表し、任意の2つのR1基が同じ炭素に結合している場合は、3~6員環を一緒に形成してもよく、これは、ハロ、CN、OH、もう1つのハロによって置換されていてもよいC1~6アルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-アルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-シクロアルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-アリール、非置換若しくは置換-(C=O)-ヘテロアリール、非置換若しくは置換アリール、非置換若しくは置換ヘテロアリール、非置換若しくは置換スルホニル、非置換若しくは置換アミド、非置換若しくは置換尿素、非置換若しくは置換エステル、又はCRBRCから独立して選択される1つ以上の基によって置換されていてもよい。ある特定の実施形態では、各RB及びRCは独立して、水素、非置換又は置換アリール、及び非置換又は置換ヘテロアリールからなる群から選択され;mは、適宜、0~13を表す。
【0010】
いくつかの実施形態では、各R2は独立して、水素、ハロゲン、RA、-CN、OH、-NO2、-SF5、-O、-OR’、-NR’2、-SO2R’、-C(O)R’、-C(O)NR’2、-NR’C(O)R’、-NR’CO2R’、又は-CO2R’であり;各RAは独立して、C1~6脂肪族、フェニル、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和又は部分不飽和複素環式環、並びに独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員ヘテロアリール環から選択される置換されていてもよい基であり;各R’は独立して、水素、又は、C1~6脂肪族、フェニル、3~8員の飽和若しくは部分不飽和単環式炭素環式環、8~10員の二環式部分不飽和若しくは芳香族炭素環式環、独立して窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~8員の飽和若しくは部分不飽和単環式複素環式環、独立して窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員の単環式ヘテロ芳香族環、及び独立して窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1~5個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式部分不飽和若しくはヘテロ芳香族環から選択される置換されていてもよい基であり、あるいは、同じ炭素又は窒素上の2つのR’基はそれらの介在原子と一緒になって、2つのR’基が結合している炭素又は窒素に加えて、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する、置換されていてもよい4~10員の飽和又は部分不飽和の炭素環式又は複素環式環を、形成していてもよく;nは、0~4から選択される整数である。
【0011】
いくつかの実施形態では、各A、B、及びXは独立して、窒素又は炭素である。
【0012】
式(II)による化合物、又はその光学的に純粋な立体異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグが本明細書に更に開示される。
【0013】
いくつかの実施形態では、環A1は、4~8員ヘテロシクロアルキルを表し;各R1は独立して、1つ以上のハロによって置換されていてもよいC1~6アルキルを表し、任意の2つのR1基が同じ炭素に結合している場合は、3~6員環を一緒に形成してもよく、これは、ハロ、OH、CN、もう1つのハロによって置換されていてもよいC1~6アルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-アルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-シクロアルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-アリール、非置換若しくは置換-(C=O)-ヘテロアリール、非置換若しくは置換アリール、非置換若しくは置換ヘテロアリール、非置換若しくは置換スルホニル、非置換若しくは置換アミド、非置換若しくは置換尿素、非置換若しくは置換エステル、又はCRBRCから独立して選択される1つ以上の基によって置換されていてもよい。ある特定の実施形態では、各RB及びRCは独立して、水素、非置換又は置換アリール、及び非置換又は置換ヘテロアリールからなる群から選択され;mは、適宜、0~13を表す。
【0014】
いくつかの実施形態では、各R2は独立して、水素、ハロゲン、RA、-CN、-NO2、-SF5、-O-、-OR’、-NR’2、-SO2R’、-C(O)R’、-C(O)NR’2、-NR’C(O)R’、-NR’CO2R’、又は-CO2R’であり;各RAは独立して、C1~6脂肪族、フェニル、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和又は部分不飽和複素環式環、並びに独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員ヘテロアリール環から選択される置換されていてもよい基であり;各R’は独立して、水素、又は、C1~6脂肪族、フェニル、3~8員の飽和若しくは部分不飽和単環式炭素環式環、8~10員の二環式部分不飽和若しくは芳香族炭素環式環、独立して窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~8員の飽和若しくは部分不飽和単環式複素環式環、独立して窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員の単環式ヘテロ芳香族環、及び独立して窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1~5個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式部分不飽和若しくはヘテロ芳香族環から選択される置換されていてもよい基であり、あるいは、同じ炭素又は窒素上の2つのR’基はそれらの介在原子と一緒になって、2つのR’基が結合している炭素又は窒素に加えて、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する、置換されていてもよい4~10員の飽和又は部分不飽和の炭素環式又は複素環式環を、形成していてもよく;n’は、0~3から選択される整数であり;R3a及びR3bは独立して、水素、RA、-OR’、-C(O)R’、-C(O)NR’2、又は-CO2R’であり、あるいは、R3a及びR3bはそれらの介在原子と一緒になって、R3a及びR3bが結合している窒素に加えて、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する、置換されていてもよい4~10員の飽和又は部分不飽和の炭素環式又は複素環式環を、形成していてもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、各A、B、及びXは独立して、窒素又は炭素である。
【0016】
式(III)による化合物、又はその光学的に純粋な立体異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグが本明細書に更に開示される。
【0017】
いくつかの実施形態では、環A1は、4~8員ヘテロシクロアルキルを表し;各R1は独立して、1つ以上のハロによって置換されていてもよいC1~6アルキルを表し、任意の2つのR1基が同じ炭素に結合している場合は、3~6員環を一緒に形成してもよく、これは、ハロ、もう1つのハロによって置換されていてもよいC1~6アルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-アルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-シクロアルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-アリール、非置換若しくは置換-(C=O)-ヘテロアリール、非置換若しくは置換アリール、非置換若しくは置換ヘテロアリール、非置換若しくは置換スルホニル、非置換若しくは置換アミド、非置換若しくは置換尿素、非置換若しくは置換エステル、又はCRBRCから独立して選択される1つ以上の基によって置換されていてもよい。ある特定の実施形態では、各RB及びRCは独立して、水素、非置換又は置換アリール、及び非置換又は置換ヘテロアリールからなる群から選択され;mは、適宜、0~13を表す。
【0018】
いくつかの実施形態では、Pは、N、O、若しくはCR3であり;Qは、N、O、若しくはCR3であり;Gは、NR6若しくはOであり;かつ/又はZは、NR5、O、S、若しくはCR4R5である。いくつかの実施形態では、R3は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、非置換又は置換アミノ、非置換又は置換アルキル、及び非置換又は置換アルコキシからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、各R4及びR5は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、非置換又は置換アミノ、非置換又は置換アルキル、及び非置換又は置換アルコキシからなる群から選択される。
【0019】
いくつかの実施形態では、R6は、H、非置換又は置換アルキル、非置換又は置換アルコキシ、非置換又は置換アルケニル、非置換又は置換アルキニル、非置換又は置換シクロアルキル、非置換又は置換アリール、及び非置換又は置換ヘテロアリールからなる群から選択される1つ以上である。
【0020】
いくつかの実施形態では、各R2は独立して、水素、ハロゲン、RA、-CN、-NO2、-SF5、-O-、-OR’、-NR’2、-SO2R’、-C(O)R’、-C(O)NR’2、-NR’C(O)R’、-NR’CO2R’、又は-CO2R’であり;各RAは独立して、C1~6脂肪族、フェニル、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和又は部分不飽和複素環式環、並びに独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員ヘテロアリール環から選択される置換されていてもよい基であり;各R’は独立して、水素、又は、C1~6脂肪族、フェニル、3~8員の飽和若しくは部分不飽和単環式炭素環式環、8~10員の二環式部分不飽和若しくは芳香族炭素環式環、独立して窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~8員の飽和若しくは部分不飽和単環式複素環式環、独立して窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員の単環式ヘテロ芳香族環、及び独立して窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1~5個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式部分不飽和若しくはヘテロ芳香族環から選択される置換されていてもよい基であり、あるいは、同じ炭素又は窒素上の2つのR’基はそれらの介在原子と一緒になって、2つのR’基が結合している炭素又は窒素に加えて、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する、置換されていてもよい4~10員の飽和又は部分不飽和の炭素環式又は複素環式環を、形成していてもよく;n’は、0~3から選択される整数である。
【0021】
いくつかの実施形態では、各A、B、及びXは独立して、窒素又は炭素である。
【0022】
式(IV)による化合物、又はその光学的に純粋な立体異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグが本明細書に更に開示される。
【0023】
いくつかの実施形態では、環A1は、4~8員ヘテロシクロアルキルを表し;各R1は独立して、1つ以上のハロによって置換されていてもよいC1~6アルキルを表し、任意の2つのR1基が同じ炭素に結合している場合は、3~6員環を一緒に形成してもよく、これは、ハロ、もう1つのハロによって置換されていてもよいC1~6アルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-アルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-シクロアルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-アリール、非置換若しくは置換-(C=O)-ヘテロアリール、非置換若しくは置換アリール、非置換若しくは置換ヘテロアリール、非置換若しくは置換スルホニル、非置換若しくは置換アミド、非置換若しくは置換尿素、非置換若しくは置換エステル、又はCRBRCから独立して選択される1つ以上の基によって置換されていてもよい。ある特定の実施形態では、各RB及びRCは独立して、水素、非置換又は置換アリール、及び非置換又は置換ヘテロアリールからなる群から選択され;mは、適宜、0~13を表す。
【0024】
いくつかの実施形態では、環C1は、ベンゾ、独立して窒素、酸素、又は硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を含む5~9員の単環式又は二環式ヘテロアリール、及び独立して窒素、酸素、又は硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~7員の飽和又は部分不飽和カルボシクリル又はヘテロシクリルから選択される縮合環である。
【0025】
いくつかの実施形態では、各R2は独立して、水素、ハロゲン、RA、-CN、-NO2、-SF5、-O-、-OR’、-NR’2、-SO2R’、-C(O)R’、-C(O)NR’2、-NR’C(O)R’、-NR’CO2R’、又は-CO2R’であり;各RAは独立して、C1~6脂肪族、フェニル、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和又は部分不飽和複素環式環、並びに独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員ヘテロアリール環から選択される置換されていてもよい基であり;各R’は独立して、水素、又は、C1~6脂肪族、フェニル、3~8員の飽和若しくは部分不飽和単環式炭素環式環、8~10員の二環式部分不飽和若しくは芳香族炭素環式環、独立して窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~8員の飽和若しくは部分不飽和単環式複素環式環、独立して窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員の単環式ヘテロ芳香族環、及び独立して窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1~5個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式部分不飽和若しくはヘテロ芳香族環から選択される置換されていてもよい基であり、あるいは、同じ炭素又は窒素上の2つのR’基はそれらの介在原子と一緒になって、2つのR’基が結合している炭素又は窒素に加えて、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する、置換されていてもよい4~10員の飽和又は部分不飽和の炭素環式又は複素環式環を、形成していてもよく;n’は、0~3から選択される整数である。
【0026】
いくつかの実施形態では、各A、B、及びXは独立して、窒素又は炭素である。
【0027】
式(V)による化合物、又はその光学的に純粋な立体異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグが本明細書に更に開示される。
【0028】
いくつかの実施形態では、環A1は、4~8員ヘテロシクロアルキルを表し;各R1は独立して、1つ以上のハロによって置換されていてもよいC1~6アルキルを表し、任意の2つのR1基が同じ炭素に結合している場合は、3~6員環を一緒に形成してもよく、これは、ハロ、CN、OH、もう1つのハロによって置換されていてもよいC1~6アルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-アルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-シクロアルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-アリール、非置換若しくは置換-(C=O)-ヘテロアリール、非置換若しくは置換アリール、非置換若しくは置換ヘテロアリール、非置換若しくは置換スルホニル、非置換若しくは置換アミド、非置換若しくは置換尿素、非置換若しくは置換エステル、又はCRBRCから独立して選択される1つ以上の基によって置換されていてもよい。ある特定の実施形態では、各RB及びRCは独立して、水素、非置換又は置換アリール、及び非置換又は置換ヘテロアリールからなる群から選択され;mは、適宜、0~13を表す。
【0029】
いくつかの実施形態では、Rは、以下からなる群から選択される。
【0030】
以下からなる群から選択される化合物もまた本明細書に開示される。
【0031】
本明細書に開示される化合物、例えば、式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)、式(V)の構造を有する化合物、又は本明細書に記載される例示的な化合物と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む薬学的組成物もまた、本明細書に開示される。
【0032】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物は、アドレナリン受容体のアゴニスト、部分的アゴニスト、又はアンタゴニストである。
【0033】
いくつかの実施形態では、化合物は、β1-アドレナリン受容体アゴニスト、β2-アドレナリン受容体アゴニスト、又は非選択的β1/β2-アドレナリン受容体アゴニストである。
【0034】
いくつかの実施形態では、化合物は、β1-アドレナリン受容体アゴニストである。
【0035】
いくつかの実施形態では、化合物は、β2-アドレナリン受容体アゴニストである。
【0036】
いくつかの実施形態では、化合物は、非選択的β1/β2-アドレナリンアゴニストである。
【0037】
疾患を有する対象を治療する方法であって、対象に、治療有効量の本明細書に開示される化合物、例えば、式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)、式(V)の構造を有する化合物、又は本明細書に記載される例示的な化合物を投与することを含む方法が更に開示される。
【0038】
いくつかの実施形態では、疾患は、アドレナリン受容体と関連する疾患である。
【0039】
いくつかの実施形態では、疾患は、神経変性疾患である。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。
【0040】
いくつかの実施形態では、疾患は、心筋梗塞、脳卒中、虚血、アルツハイマー病、パーキンソン病、ゲーリッグ病(筋萎縮性側索硬化症)、ハンチントン病、多発性硬化症、老人性認知症、皮質下認知症、動脈硬化性認知症、エイズ関連認知症、他の認知症、脳血管炎、てんかん、トゥーレット症候群、ウィルソン病、ピック病、脳炎、脳脊髄炎、髄膜炎、プリオン病、小脳失調症、小脳変性症、脊髄小脳変性症候群、フリードリッヒ失調症、伸展性失調症、脊髄性多筋肥大症、進行性核上性陰茎症、ジストニア、筋肉萎縮症、振戦(tremor)、網膜色素変性症、線条体黒質変性症、ミトコンドリア脳筋症、及び神経セロイドリポフスチン症から選択される。いくつかの実施形態では、化合物は、対象に、経口、経腸、局所、吸入、経粘膜、静脈内、筋肉内、皮下、鼻腔内、硬膜外、脳内、脳室内、皮膚上、羊膜外、動脈内、関節内、心臓内、海綿体内、皮内、病巣内、眼内、骨内注入、腹腔内、くも膜下腔内、子宮内、膣内、膀胱内、硝子体内、経皮、血管周囲、頬側、膣、舌下、又は直腸経路を介して投与される。
【0041】
いくつかの実施形態では、疾患は、MCI(軽度認知機能障害)、aMCI(健忘型軽度認知機能障害)、血管性認知症、混合型認知症、FTD(前頭側頭型認知症、ピック病)、HD(ハンチントン病)、レット症候群、PSP(進行性核上性麻痺)、CBD(大脳皮質基底核変性症)、SCA(脊髄小脳失調症)、MSA(多系統萎縮症)、SDS(シャイ・ドレーガー症候群)、オリーブ橋小脳萎縮症、TBI(外傷性脳損傷)、CTE(慢性外傷性脳症)、脳卒中、WKS(ウェルニッケ・コルサコフ症候群、アルコール性認知症及びチアミン欠乏症)、正常圧水頭症、過眠症/ナルコレプシー、ASD(自閉症スペクトラム障害)、FXS(脆弱X症候群)、TSC(結節性硬化症)、プリオン関連疾患(CJDなど)、うつ病性障害、DLB(レビー小体型認知症)、PD(パーキンソン病)、PDD(パーキンソン病認知症)、ADHD(注意欠陥多動性障害)、アルツハイマー病(AD)、早期アルツハイマー病、及びダウン症候群(DS)からなる群より選択される1つ以上である神経変性疾患である。いくつかの実施形態では、疾患は、MCI、aMCI、血管性認知症、混合型認知症、FTD(前頭側頭型認知症、ピック病)、HD(ハンチントン病)、レット症候群、PSP(進行性核上性麻痺)、CBD(大脳皮質基底核変性症)、SCA(脊髄小脳失調症)、MSA(多系統萎縮症)、SDS(シャイ・ドレーガー症候群)、オリーブ橋小脳萎縮症、TBI(外傷性脳損傷)、CTE(慢性外傷性脳症)、脳卒中、WKS(ウェルニッケ・コルサコフ症候群、アルコール性認知症及びチアミン欠乏症)、正常圧水頭症、過眠症/ナルコレプシー、ASD(自閉症スペクトラム障害)、FXS(脆弱X症候群)、TSC(結節性硬化症)、プリオン関連疾患(CJDなど)、うつ病性障害、DLB(レビー小体型認知症)、PD(パーキンソン病)、PDD(パーキンソン病認知症)、及びADHD(注意欠陥多動性障害)からなる群から選択される1つ以上である神経変性疾患である。いくつかの実施形態では、対象は、アルツハイマー病(AD)を有さない。いくつかの実施形態では、対象は、ダウン症候群を有さない。
【0042】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、方法は、対象に、本明細書に開示される化合物及び末梢作用β遮断薬(PABRA)を投与することを含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、末梢作用β遮断薬(PABRA)は、本開示の化合物の投与前に対象に投与され、他の実施形態では、末梢作用β遮断薬(PABRA)は、本開示の化合物の投与と同時に対象に投与される。
【0044】
本明細書に提供される組成物及び方法のいくつかの実施形態では、1つ以上の末梢作用β遮断薬(PABRA)は、本開示の化合物の前に、又はそれと同時に、本開示の化合物による末梢β1及び/又はβ2アドレナリン受容体の活性化作用を阻害又は排除するために投与される。様々な実施形態では、治療されるヒトへの末梢の、心臓、代謝又は筋肉の任意の有害作用を排除する、又は少なくとも最小限に抑えるために、本開示の前述の組成物及び方法に従って末梢β1及び/又はβ2アドレナリン受容体を遮断することが好ましい。
【0045】
本明細書に提供される方法のいくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物に加えて、β1アンタゴニスト、β2アゴニスト、又は非選択的β1/β2アゴニストが患者に投与される。
【発明を実施するための形態】
【0046】
詳細な説明
本開示の実施形態の以下の詳細な説明では、開示された実施形態の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載されている。しかしながら、本開示の実施形態がこれらの特定の詳細なしに実施され得ることは、当業者には明白であろう。他の事例では、本開示の実施形態の態様を不必要に曖昧にしないように、周知の方法、手順、構成要素、及び回路は、詳細には記載されていない。
【0047】
本開示をよりよく説明し、本開示の実施において当業者を導くために、用語及び方法の以下の説明が提供される。単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」という用語は、文脈上別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を含む。同様に、「又は」という単語は、文脈が別途明確な記載のない限り、「及び」を含むことが意図される。「含む(comprises)」という用語は、「含む(includes)」を意味する。したがって、「A又はBを含む(comprising)」とは、追加の要素を除外することなく、「A、B、又はA及びBを含む(including)」ことを意味する。「約」という用語は、当業者によって理解されるであろう。「約」という用語が明示的に使用されるかどうかにかかわらず、本明細書で与えられる全ての量は、実際の所与の値を指し、それはまた、当業者に基づいて合理的に推測されるであろうかかる所与の値に対する近似を指すことを意味する。
【0048】
別段の記載のない限り、本明細書で明示的に定義されない置換基の命名法は、官能基の末端部分に続いて隣接官能基を結合点に向かって命名することによって成される。当業者であれば、上記の定義が許容されない置換パターン(例えば、5つの異なる基で置換されたメチル、五価炭素など)を含むことを意図していないことを認識するであろう。かかる許容されない置換パターンは、当業者によって容易に認識される。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参照によりそれらの全体が組み込まれる。矛盾する場合、用語の説明を含む本明細書が優先される。加えて、材料、方法、及び例は、例示されるだけであり、限定することを意図しない。
【0049】
アルキル基は、任意の炭素原子から水素原子を除去することによってアルカンから誘導される一価の基を指し、これには、1~12個の炭素原子の直鎖及び分岐鎖、並びに典型的には、1~約10個の炭素、又はいくつかの実施形態では、1~約6個の炭素原子、又は他の実施形態では、1、2、3、若しくは4個の炭素原子を有する直鎖及び分岐鎖が含まれる。直鎖アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、及びn-ヘキシル基が挙げられるが、これらに限定されない。分岐鎖アルキル基の例としては、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチル基が挙げられるが、これらに限定されない。アルキル基は、置換されても、又は非置換であってもよい。代表的な置換アルキル基は、これらに限定されないが、単置換、二置換、又は三置換などのように、単置換又は複数回置換されてもよい。かかる置換基としては、C2~C6-アルケニル、C2~C6-アルキニル、ハロ、I、Br、Cl、F、-OH、-COOH、スルフヒドリル、(C1~C6-アルキル)S-、C1~C6-アルキルスルフィニル、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、-NH2、=O、=S、=N-CN、=N-OH、-OCH2F、-OCHF2、-OCF3、-SCF3、-SO2-NH2、C1~C6-アルコキシ、-C(O)O-(C1~C6アルキル)、-O-C(O)-(C1~C6アルキル)、-C(O)-NH2、-C(O)-N(H)-C1~C6アルキル、-C(O)-N(C1~C6アルキル)2、-OC(O)-NH2、-C(O)-H、-C(O)-(C1~C6アルキル)、-C(S)-(C1~C6アルキル)、-NR70R72が挙げられ得、R70及びR72は各々独立して、H、C1~C6-アルキル、C2~C6-アルケニル、C2~C6-アルキニル、及びC(O)-C1~C6-アルキルから選択されるが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、特に明記されない限り、アルキルという用語は、環状基及び非環状基の両方を指す。
【0050】
「環状アルキル」又は「シクロアルキル」という用語は、環炭素原子から水素原子を除去することによってシクロアルカンから誘導される一価の基を指す。シクロアルキル基は、3~14個の炭素原子、あるいはいくつかの実施形態では、3~12個、又は3~10個、又は3~8個、又は3個、4個、5個、6個、若しくは7個の炭素原子を有する、単離、縮合、架橋、及びスピロ環系を含む単環又は複数環を有する飽和又は部分飽和非芳香族構造である。シクロアルキル基は、置換されても、又は非置換であってもよい。シクロアルキル基は、アルキルについて上述したものなどの基で置換され得る。代表的な置換シクロアルキル基は、これらに限定されないが、単置換、二置換、又は三置換などのように、単置換又は複数回置換されてもよい。単環式シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシル基が挙げられるが、これらに限定されない。多環式環系の例としては、二環性[4.4.0]デカン、二環性[2.2.1]ヘプタン、スピロ[2.2]ペンタンなどが挙げられるが、これらに限定されない。(シクロアルキル)オキシは、-O-シクロアルキルを指す。(シクロアルキル)チオは、-S-シクロアルキルを指す。この用語はまた、-S(O)-シクロアルキル、又は--S(O)2-シクロアルキルなどの硫黄の酸化形態を包含する。
【0051】
アルケニル基は、2つの炭素原子の間に1つ以上の二重結合を有する、上で定義される直鎖及び分岐鎖及びシクロアルキル基を指す。アルケニル基は、2~約12個の炭素原子、又はいくつかの実施形態では、1~約10個の炭素、又は他の実施形態では、1~約6個の炭素原子、又は他の実施形態では、1、2、3、若しくは4個の炭素原子を有し得る。アルケニル基は、置換されても、又は非置換であってもよい。アルケニル基は、アルキルについて上述したものなどの基で置換され得る。代表的な置換アルケニル基は、これらに限定されないが、単置換、二置換、又は三置換などのように、単置換又は複数回置換されてもよい。アルケニル基の例としては、とりわけ、ビニル、アリル、-CH=CH(CH3)、-CH=C(CH3)2、-C(CH3)=CH2、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、及びヘキサジエニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
アルキニル基は、2つの炭素原子の間に1つ以上の三重結合を有する、上で定義される直鎖及び分岐鎖及びシクロアルキル基を指す。アルキニル基は、2~約12個の炭素原子、又はいくつかの実施形態では、1~約10個の炭素、又は他の実施形態では、1~約6個の炭素原子、又は他の実施形態では、1、2、3、若しくは4個の炭素原子を有し得る。アルキニル基は、置換されても、又は非置換であってもよい。アルキニル基は、アルキルについて上述したものなどの基で置換され得る。代表的な置換アルキニル基は、限定されないが、単置換、二置換、又は三置換などのように、単置換又は複数回置換されてもよい。例示的なアルキニル基としては、とりわけ、エチニル、プロパルギル、及び-C≡C(CH3)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
アリール基は、別個の及び/又は縮合アリール基を含む複数の環化合物を含む、単環及び複数環化合物を含む環状芳香族炭化水素である。アリール基は、6~約18個の環炭素を含有してもよく、又はいくつかの実施形態では、6~14個の環炭素、又は他の実施形態では、更には6~10個の環炭素を含んでもよい。アリール基にはまた、5個以上の環員を含む芳香族環化合物であるヘテロアリール基が含まれ、これらの1個以上の環炭素原子は、N、O、及びSなどのヘテロ原子で置き換えられるが、これらに限定されない。アリール基は、置換されても、又は非置換であってもよい。アリール基は、アルキルについて上述したものなどの基で置換され得る。代表的な置換アリール基は、限定されないが、単置換、二置換、又は三置換などのように、単置換又は複数回置換されてもよい。アリール基としては、フェニル、ビフェニル、トリフェニル、ナフチル、アントリル、及びピレニル基が挙げられるが、これらに限定されない。アリールオキシは、-O-アリールを指す。アリールチオは、-S-アリールを指し、式中、アリールは、本明細書に定義されるとおりである。この用語はまた、--S(O)-アリール、又は-S(O)2-アリールなどの硫黄の酸化形態を包含する。ヘテロアリールオキシは、-O-ヘテロアリールを指す。ヘテロアリールチオは、-S-ヘテロアリールを指す。この用語はまた、-S(O)-ヘテロアリール、又は-S(O)2-ヘテロアリールなどの硫黄の酸化形態を包含する。
【0054】
好適なヘテロシクリル基は、少なくとも2つの異なる元素の原子をその環員として有する環式基を含み、その1つ以上は、N、O、又はSなどのヘテロ原子であるが、これらに限定されない。ヘテロシクリル基は、3~約20個の環員、又はいくつかの実施形態では、3~18個の環員、又は約3~15個、3~12個、3~10個、又は3~6個の環員を含み得る。ヘテロシクリル基における環系は、不飽和、部分飽和、及び/又は飽和であってもよい。ヘテロシクリル基は、置換されても、又は非置換であってもよい。ヘテロシクリル基は、アルキルについて上述したものなどの基で置換され得る。代表的な置換ヘテロシクリル基は、限定されないが、単置換、二置換、又は三置換などのように、単置換又は複数回置換されてもよい。例示的なヘテロシクリル基としては、ピロリジニル、テトラヒドロフリル、ジヒドロフリル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジル、モルホリニル、チオモルホリニル、チオキサニル、ピペラジニル、アゼチジニル、アジリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロフラニル、ジオキソリル、フラニル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピラゾリニル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、チアゾリニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、1,2,3,6-テトラヒドロピリジル、インドロリニル、2H-ピラニル、4H-ピラニル、ジオキソラニル、ジオキサニル、プリニル、キノリジニル、シンノリニル、フタラジニル、プテリジニル、及びベンゾチアゾリニル基が挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロシクリルオキシは、-O-ヘテロシクリルを指す。ヘテロシクリルチオは、-S-ヘテロシクリルを指す。この用語はまた、-S(O)-ヘテロシクリル、又は-S(O)2-ヘテロシクリルなどの硫黄の酸化形態を包含する。
【0055】
多環式又は多環式基は、2つ以上の炭素が2つの隣接する環に共通であり、環が「縮合環」である2つ以上の環を指し、環が1つの共通の炭素原子によって結合される場合、これらは「スピロ」環系である。非隣接原子を介して結合される環は、「架橋」環である。多環式基は、置換されても又は非置換であってもよい。多環式基は、アルキルについて上述したものなどの基で置換され得る。代表的な多環式基は、1回以上置換されてもよい。
【0056】
ハロゲン基には、F、Cl、Br、及びIが含まれ、ニトロ基は、-NO2を指し、シアノ基は、-CNを指し、イソシアノ基は、-N≡Cを指し、エポキシ基は、酸素原子が、本質的に環状エーテル構造である、炭素鎖又は環系の2つの隣接又は非隣接炭素原子に直接結合している構造を包含する。エポキシドは、3原子環を有する環状エーテルである。
【0057】
アルコキシ基は、上に定義される置換又は非置換アルキル基であり、酸素に単結合している。アルコキシ基は、置換されても又は非置換であってもよい。代表的な置換アルコキシ基は、1回以上置換されてもよい。アルコキシ基は、アルキルについて上述したものなどの基で置換され得る。例示的なアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、イソプロポキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、及びシクロヘキシルオキシ基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
チオールは、-SHを指す。チオカルボニルは、(=S)を指す。スルホニルは、-SO2-ハロゲン、-SO2-アルキル、-SO2-置換アルキル、-SO2-シクロアルキル、-SO2-置換シクロアルキル、-SO2-アリール、-SO2-置換アリール、-SO2-ヘテロアリール、-SO2-置換ヘテロアリール、-SO2-ヘテロシクリル、及び-SO2-置換ヘテロシクリルを指す。スルホニルアミノは、-NRaSO2-アルキル、-NRaSO2-置換アルキル、-NRaSO2-シクロアルキル、-NRaSO2-置換シクロアルキル、-NRaSO2-アリール、-NRaSO2-置換アリール、-NRaSO2-ヘテロアリール、-NRaSO2-置換ヘテロアリール、-NRaSO2-ヘテロシクリル、-NRaSO2-置換ヘテロシクリルを指し、式中、各Raは独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリルから選択される。
【0059】
カルボキシルは、-COOH又はその塩を指す。カルボキシエステルは、-C(O)O-アルキル、-C(O)O-置換アルキル、-C(O)O-アリール、-C(O)O-置換アリール、-C(O)β-シクロアルキル、-C(O)O-置換シクロアルキル、-C(O)O-ヘテロアリール、-C(O)O-置換ヘテロアリール、-C(O)O-ヘテロシクリル、及び-C(O)O-置換ヘテロシクリルを指す。(カルボキシエステル)アミノは、-NRa-C(O)O-アルキル、-NRa-C(O)O-置換アルキル、-NRa-C(O)O-アリール、-NRa-C(O)O-置換アリール、-NRa-C(O)β-シクロアルキル、--NRa-C(O)O-置換シクロアルキル、-NRa-C(O)O-ヘテロアリール、--NRa-C(O)O-置換ヘテロアリール、-NRa-C(O)O-ヘテロシクリル、及び-NRa-C(O)O-置換ヘテロシクリルを指し、式中、Raは、本明細書に列挙されるとおりである。(カルボキシエステル)オキシは、-O-C(O)O-アルキル、-O-C(O)O-置換アルキル、-O-C(O)O-アリール、-O-C(O)O-置換アリール、-O-C(O)O-シクロアルキル、-O-C(O)O-置換シクロアルキル、-O-C(O)O-ヘテロアリール、-O-C(O)O-置換ヘテロアリール、-O-C(O)O-ヘテロシクリル、及び-O-C(O)O-置換ヘテロシクリルを指す。オキソは、(=O)を指す。
【0060】
「アミン」及び「アミノ」という用語は、アンモニアの誘導体を指し、1つ以上の水素原子は、アルキル、アルケニル、アリール、及びヘテロシクリル基が挙げられるがこれらに限定されない置換基に置き換えられている。いくつかの実施形態では、置換アミノは、-NH-CO-Rを含み得る。カルバメート基は、-O(C=O)NR1R2を指し、式中、R1及びR2は独立して、水素、脂肪族基、アリール基、又はヘテロシクリル基である。
【0061】
アミノカルボニルは、-C(O)N(Rb)2を指し、式中、各Rbは独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリルから選択される。また、各Rbは、任意選択で、それに結合する窒素と一緒に結合して、ヘテロシクリル又は置換ヘテロシクリル基を形成してもよいが、但し、両方のRbが両方とも水素ではないことを条件とする。アミノカルボニルアルキルは、-アルキルC(O)N(Rb)2を指し、式中、各Rbは独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリルから選択される。また、各Rbは、任意選択で、それに結合する窒素と一緒に結合して、ヘテロシクリル又は置換ヘテロシクリル基を形成してもよいが、但し、両方のRbが両方とも水素ではないことを条件とする。アミノカルボニルアミノは、-NRaC(O)N(Rb)2を指し、式中、Ra及び各Rbは、本明細書で定義されるとおりである。アミノジカルボニルアミノは、-NRaC(O)C(O)N(Rb)2を指し、式中、Ra及び各Rbは、本明細書で定義されるとおりである。アミノカルボニルオキシは、-O-C(O)N(Rb)2を指し、式中、各Rbは独立して、本明細書で定義されるとおりである。アミノスルホニルは、-SO2N(Rb)2を指し、式中、各Rbは独立して、本明細書で定義されるとおりである。
【0062】
イミノは、-N=Rcを指し、式中、Rcは、水素、アミノカルボニルアルキルオキシ、置換アミノカルボニルアルキルオキシ、アミノカルボニルアルキルアミノ、及び置換アミノカルボニルアルキルアミノから選択され得る。
【0063】
本明細書に記載の化合物の薬学的に許容される塩には、例えば、非毒性の有機又は無機酸からの、化合物の従来の非毒性塩又は四級アンモニウム塩が含まれる。例えば、かかる従来の無毒性塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸に由来するもの、及び、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イソチオン酸などの有機酸から調製される塩、が挙げられる。他の場合では、記載される化合物は、1つ以上の酸性官能基を含んでもよく、したがって、薬学的に許容される塩基と薬学的に許容される塩を形成することができる。これらの塩は同様に、投与ビヒクル又は剤形製造プロセスにおいて、又はその遊離酸形態の精製化合物を、好適な塩基、例えば、薬学的に許容される金属カチオンの水酸化物、炭酸塩若しくは重炭酸塩、アンモニア、又は薬学的に許容される有機一級、二級若しくは三級アミンと別々に反応させることによって、その場で調製することができる。代表的なアルカリ又はアルカリ土類塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、及びアルミ塩などが挙げられる。塩基付加塩の形成に有用な代表的な有機アミンとしては、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンなどが挙げられる。
【0064】
「プロドラッグ」は、活性剤を放出するために体内での変換を必要とする活性剤の誘導体を指す。ある特定の実施形態では、変換反応は、酵素変換反応である。プロドラッグは、必ずしもそうではないが、薬理学的に不活性であるか又は活性が低いか又は活性剤に変換されるまでは活性が低いことが多い。「プロモエティー(promoiety)」は保護基の形態を指し、活性剤内の官能基をマスクするために使用されている場合には、活性剤をプロドラッグに変換する。いくつかの場合では、プロモエティーは、インビボで酵素的又は非酵素的手段によって切断される結合を介して薬物に結合する。主題の化合物の任意の好都合なプロドラッグ形態は、例えば、Rautioら(“Prodrugs:design and clinical applications”,Nature Reviews Drug Discovery 7,255-270(February 2008))によって記載された戦略及び方法に従って調製することができる。
【0065】
本明細書で使用される場合、「β1アゴニスト」という用語は、β1-アドレナリン受容体アゴニスト又はβ1-ADRアゴニストを意味するために使用される。特定の実施形態では、β1アゴニストという用語は、当然のことながら主にβ1アゴニストである化合物を含むが、β2-アドレナリン受容体などの他のアドレナリン受容体に対して何らかの末梢活性化作用を示す場合もある。本出願において、「β1-アドレナリン受容体アゴニスト」、「β1-ADRアゴニスト」、「β1ARアゴニスト」及び「β1アゴニスト」という用語は、互換的に使用されてもよい。ある特定の実施形態では、β1-ADRアゴニストという用語は、選択的アゴニストと部分的アゴニストとの両方、並びにバイアスをかけたアゴニストとバイアスをかけていないアゴニストとを明示的に含む。β1アドレナリンアゴニストの例としては、例えば、キサモテロール、ノルアドレナリン、イソプレナリン、ドーパミン、ピンドロール及びドブタミン、並びに上述のいずれかの薬理学的に許容される塩が挙げられる。β1-ADRの部分的アゴニスト及びリガンドは既知である。更に、Kolbらの方法論を用いるが、代わりにβ1-ADRに関して、当業者は、構造に基づく発見によって新しいリガンドを決定することができる。Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2009,106,6843-648を参照されたい。
【0066】
本明細書で使用される場合、β2アゴニストという用語は、β2-アドレナリン受容体アゴニスト又はβ2-ADRアゴニストを意味するために使用される。ある特定の実施形態では、β2アゴニストという用語は、当然のことながら主にβ2アゴニストである化合物を含むが、β1-アドレナリン受容体などの他のアドレナリン受容体に対して何らかの末梢活性化作用を示し得る。本出願において、「β2-アドレナリン受容体アゴニスト」、「β2-ADRアゴニスト」、「β2ARアゴニスト」及び「β2アゴニスト」という用語は、互換的に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、β2-ADRアゴニストという用語は、選択的アゴニストと部分的アゴニストとの両方を明示的に含む。本開示の様々な態様及び実施形態により使用され得るβ2アゴニストは、短時間作用型、長時間作用型、又は超長時間作用型であってもよい。使用され得る短時間作用型β2アゴニストの例は、サルブタモール、レボサルブタモール、テルブタリン、ピルブテロール、プロカテロール、メタプロテレノール、メシル酸ビトルテロール、オリトドリン、イソプレナリン、サルメファモール、フェノテロール、テルブタリン、アルブテロール、及びイソエタリンである。使用され得る長時間作用型β2アゴニストの例は、サルメテロール、バンブテロール、フォルモテロール、及びクレンブテロールである。超長時間作用β2アゴニストの例として、インダカテロール、ビランテロール、及びオロダテロールが挙げられる。
【0067】
本明細書で使用される場合、「末梢作用β遮断薬(PABRA)」という用語は、βアドレナリン受容体アンタゴニスト、又は単にβ1、β2若しくは非選択的β遮断薬を意味する。本明細書に開示される方法のある特定の実施形態において使用され得る選択的末梢作用β遮断薬(PABRA)の例としては、ナドロール、アテノロール、ソタロール、及びラベタロールが挙げられる。ある特定の実施形態では、本明細書の方法で使用することができるβ遮断薬は、アセブトロール、ベタキソロール、ビソプロロール、セリプロロール、エスモロール、メタプロロール、及びネビボロールからなる群から選択される1つ以上であり、他の実施形態では、方法は、アセブトロール、ベタキソロール、ビソプロロール、セリプロロール、エスモロール、メタプロロール、又はネビボロールをβ遮断薬として使用しない。
【0068】
式(I)による化合物、又はその光学的に純粋な立体異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグが本明細書に開示される。
【0069】
いくつかの実施形態では、環A1は、4~8員ヘテロシクロアルキルを表し;各R1は独立して、1つ以上のハロ、OH、又はCNによって置換されていてもよいC1~6アルキルを表し、任意の2つのR1基が同じ炭素に結合している場合は、3~6員環を一緒に形成してもよく、これは、ハロ、CN、OH、もう1つのハロによって置換されていてもよいC1~6アルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-アルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-シクロアルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-アリール、非置換若しくは置換-(C=O)-ヘテロアリール、非置換若しくは置換アリール、非置換若しくは置換ヘテロアリール、非置換若しくは置換スルホニル、非置換若しくは置換アミド、非置換若しくは置換尿素、非置換若しくは置換エステル、又はCRBRCから独立して選択される1つ以上の基によって置換されていてもよい。ある特定の実施形態では、各RB及びRCは独立して、水素、非置換又は置換アリール、及び非置換又は置換ヘテロアリールからなる群から選択され;mは、適宜、0~13を表す。
【0070】
いくつかの実施形態では、各R2は独立して、水素、ハロゲン、RA、-CN、OH、-NO2、-SF5、-O、-OR’、-NR’2、-SO2R’、-C(O)R’、-C(O)NR’2、-NR’C(O)R’、-NR’CO2R’、又は-CO2R’であり;各RAは独立して、C1~6脂肪族、フェニル、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和又は部分不飽和複素環式環、並びに独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員ヘテロアリール環から選択される置換されていてもよい基であり;各R’が独立して、水素、又は、C1~6脂肪族、フェニル、3~8員の飽和若しくは部分不飽和単環式炭素環式環、8~10員の二環式部分不飽和若しくは芳香族炭素環式環、独立して窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~8員の飽和若しくは部分不飽和単環式複素環式環、独立して窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員の単環式ヘテロ芳香族環、及び独立して窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1~5個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式部分不飽和若しくはヘテロ芳香族環から選択される置換されていてもよい基であり、あるいは、同じ炭素又は窒素上の2つのR’基はそれらの介在原子と一緒になって、2つのR’基が結合している炭素又は窒素に加えて、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する、置換されていてもよい4~10員の飽和又は部分不飽和の炭素環式又は複素環式環を、形成していてもよく;nは、0~4から選択される整数である。
【0071】
いくつかの実施形態では、各A、B、及びXは、独立して、窒素又は炭素である。
【0072】
式(II)による化合物、又はその光学的に純粋な立体異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグが本明細書に更に開示される。
【0073】
いくつかの実施形態では、環A1は、4~8員ヘテロシクロアルキルを表し;各R1は独立して、1つ以上のハロによって置換されていてもよいC1~6アルキルを表し、任意の2つのR1基が同じ炭素に結合している場合は、3~6員環を一緒に形成してもよく、これは、ハロ、OH、CN、もう1つのハロによって置換されていてもよいC1~6アルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-アルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-シクロアルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-アリール、非置換若しくは置換-(C=O)-ヘテロアリール、非置換若しくは置換アリール、非置換若しくは置換ヘテロアリール、非置換若しくは置換スルホニル、非置換若しくは置換アミド、非置換若しくは置換尿素、非置換若しくは置換エステル、又はCRBRCから独立して選択される1つ以上の基によって置換されていてもよい。ある特定の実施形態では、各RB及びRCは独立して、水素、非置換又は置換アリール、及び非置換又は置換ヘテロアリールからなる群から選択され;mは、適宜、0~13を表す。
【0074】
いくつかの実施形態では、各R2は独立して、水素、ハロゲン、RA、-CN、-NO2、-SF5、-O-、-OR’、-NR’2、-SO2R’、-C(O)R’、-C(O)NR’2、-NR’C(O)R’、-NR’CO2R’、又は-CO2R’であり;各RAは独立して、C1~6脂肪族、フェニル、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和又は部分不飽和複素環式環、並びに独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員ヘテロアリール環から選択される置換されていてもよい基であり;各R’は独立して、水素、又は、C1~6脂肪族、フェニル、3~8員の飽和若しくは部分不飽和単環式炭素環式環、8~10員の二環式部分不飽和若しくは芳香族炭素環式環、独立して窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~8員の飽和若しくは部分不飽和単環式複素環式環、独立して窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員の単環式ヘテロ芳香族環、及び独立して窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1~5個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式部分不飽和若しくはヘテロ芳香族環から選択される置換されていてもよい基であり、あるいは、同じ炭素又は窒素上の2つのR’基はそれらの介在原子と一緒になって、2つのR’基が結合している炭素又は窒素に加えて、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する、置換されていてもよい4~10員の飽和又は部分不飽和の炭素環式又は複素環式環を、形成していてもよく;n’は、0~3から選択される整数であり;R3a及びR3bは独立して、水素、RA、-OR’、-C(O)R’、-C(O)NR’2、又は-CO2R’であり、あるいは、R3a及びR3bはそれらの介在原子と一緒になって、R3a及びR3bが結合している窒素に加えて、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する、置換されていてもよい4~10員の飽和又は部分不飽和の炭素環式又は複素環式環を、形成していてもよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、各A、B、及びXは、独立して、窒素又は炭素である。
【0076】
式(III)による化合物、又はその光学的に純粋な立体異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグが本明細書に更に開示される。
【0077】
いくつかの実施形態では、環A1は、4~8員ヘテロシクロアルキルを表し;各R1は独立して、1つ以上のハロによって置換されていてもよいC1~6アルキルを表し、任意の2つのR1基が同じ炭素に結合している場合は、3~6員環を一緒に形成してもよく、これは、ハロ、もう1つのハロによって置換されていてもよいC1~6アルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-アルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-シクロアルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-アリール、非置換若しくは置換-(C=O)-ヘテロアリール、非置換若しくは置換アリール、非置換若しくは置換ヘテロアリール、非置換若しくは置換スルホニル、非置換若しくは置換アミド、非置換若しくは置換尿素、非置換若しくは置換エステル、又はCRBRCから独立して選択される1つ以上の基によって置換されていてもよい。ある特定の実施形態では、各RB及びRCは独立して、水素、非置換又は置換アリール、及び非置換又は置換ヘテロアリールからなる群から選択され;mは、適宜、0~13を表す。
【0078】
いくつかの実施形態では、Pは、N、O、若しくはCR3であり;Qは、N、O、若しくはCR3であり;Gは、NR6若しくはOであり;かつ/又はZは、NR5、O、S、若しくはCR4R5である。いくつかの実施形態では、R3は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、非置換又は置換アミノ、非置換又は置換アルキル、及び非置換又は置換アルコキシからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、各R4及びR5は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、非置換又は置換アミノ、非置換又は置換アルキル、及び非置換又は置換アルコキシからなる群から選択される。
【0079】
いくつかの実施形態では、R6は、H、非置換又は置換アルキル、非置換又は置換アルコキシ、非置換又は置換アルケニル、非置換又は置換アルキニル、非置換又は置換シクロアルキル、非置換又は置換アリール、及び非置換又は置換ヘテロアリールからなる群から選択される1つ以上である。
【0080】
いくつかの実施形態では、各R2は独立して、水素、ハロゲン、RA、-CN、-NO2、-SF5、-O-、-OR’、-NR’2、-SO2R’、-C(O)R’、-C(O)NR’2、-NR’C(O)R’、-NR’CO2R’、又は-CO2R’であり;各RAは独立して、C1~6脂肪族、フェニル、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和又は部分不飽和複素環式環、並びに独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員ヘテロアリール環から選択される置換されていてもよい基であり;各R’は独立して、水素、又は、C1~6脂肪族、フェニル、3~8員の飽和若しくは部分不飽和単環式炭素環式環、8~10員の二環式部分不飽和若しくは芳香族炭素環式環、独立して窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~8員の飽和若しくは部分不飽和単環式複素環式環、独立して窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員の単環式ヘテロ芳香族環、及び独立して窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1~5個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式部分不飽和若しくはヘテロ芳香族環から選択される置換されていてもよい基であり、あるいは、同じ炭素又は窒素上の2つのR’基はそれらの介在原子と一緒になって、2つのR’基が結合している炭素又は窒素に加えて、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する、置換されていてもよい4~10員の飽和又は部分不飽和の炭素環式又は複素環式環を、形成していてもよく;n’は、0~3から選択される整数である。
【0081】
いくつかの実施形態では、各A、B、及びXは、独立して、窒素又は炭素である。
【0082】
式(IV)による化合物、又はその光学的に純粋な立体異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグが本明細書に更に開示される。
【0083】
いくつかの実施形態では、環A1は、4~8員ヘテロシクロアルキルを表し;各R1は独立して、1つ以上のハロによって置換されていてもよいC1~6アルキルを表し、任意の2つのR1基が同じ炭素に結合している場合は、3~6員環を一緒に形成してもよく、これは、ハロ、もう1つのハロによって置換されていてもよいC1~6アルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-アルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-シクロアルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-アリール、非置換若しくは置換-(C=O)-ヘテロアリール、非置換若しくは置換アリール、非置換若しくは置換ヘテロアリール、非置換若しくは置換スルホニル、非置換若しくは置換アミド、非置換若しくは置換尿素、非置換若しくは置換エステル、又はCRBRCから独立して選択される1つ以上の基によって置換されていてもよい。ある特定の実施形態では、各RB及びRCは独立して、水素、非置換又は置換アリール、及び非置換又は置換ヘテロアリールからなる群から選択され;mは、適宜、0~13を表す。
【0084】
いくつかの実施形態では、環C1は、ベンゾ、独立して窒素、酸素、又は硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を含む5~9員の単環式又は二環式ヘテロアリール、及び独立して窒素、酸素、又は硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~7員の飽和又は部分不飽和カルボシクリル又はヘテロシクリルから選択される縮合環である。
【0085】
いくつかの実施形態では、各R2は独立して、水素、ハロゲン、RA、-CN、-NO2、-SF5、-O-、-OR’、-NR’2、-SO2R’、-C(O)R’、-C(O)NR’2、-NR’C(O)R’、-NR’CO2R’、又は-CO2R’であり;各RAは独立して、C1~6脂肪族、フェニル、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和又は部分不飽和複素環式環、並びに独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員ヘテロアリール環から選択される置換されていてもよい基であり;各R’は独立して、水素、又は、C1~6脂肪族、フェニル、3~8員の飽和若しくは部分不飽和単環式炭素環式環、8~10員の二環式部分不飽和若しくは芳香族炭素環式環、独立して窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~8員の飽和若しくは部分不飽和単環式複素環式環、独立して窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員の単環式ヘテロ芳香族環、及び独立して窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される1~5個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式部分不飽和若しくはヘテロ芳香族環から選択される置換されていてもよい基であり、あるいは、同じ炭素又は窒素上の2つのR’基はそれらの介在原子と一緒になって、2つのR’基が結合している炭素又は窒素に加えて、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を有する、置換されていてもよい4~10員の飽和又は部分不飽和の炭素環式又は複素環式環を、形成していてもよく;n’は、0~3から選択される整数である。
【0086】
いくつかの実施形態では、各A、B、及びXは、独立して、窒素又は炭素である。
【0087】
式(V)による化合物、又はその光学的に純粋な立体異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくはプロドラッグが本明細書に更に開示される。
【0088】
いくつかの実施形態では、環A1は、4~8員ヘテロシクロアルキルを表し;各R1は独立して、1つ以上のハロによって置換されていてもよいC1~6アルキルを表し、任意の2つのR1基が同じ炭素に結合している場合は、3~6員環を一緒に形成してもよく、これは、ハロ、CN、OH、もう1つのハロによって置換されていてもよいC1~6アルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-アルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-シクロアルキル、非置換若しくは置換-(C=O)-アリール、非置換若しくは置換-(C=O)-ヘテロアリール、非置換若しくは置換アリール、非置換若しくは置換ヘテロアリール、非置換若しくは置換スルホニル、非置換若しくは置換アミド、非置換若しくは置換尿素、非置換若しくは置換エステル、又はCRBRCから独立して選択される1つ以上の基によって置換されていてもよい。ある特定の実施形態では、各RB及びRCは独立して、水素、非置換又は置換アリール、及び非置換又は置換ヘテロアリールからなる群から選択され;mは、適宜、0~13を表す。
【0089】
いくつかの実施形態では、Rは、以下からなる群から選択される。
【0090】
以下からなる群から選択される化合物もまた本明細書に開示される。
【0091】
本明細書に開示される化合物、例えば、式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)、式(V)の構造を有する化合物、又は本明細書に記載される例示的な化合物と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む薬学的組成物もまた、本明細書に開示される。
【0092】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物は、アドレナリン受容体のアゴニスト、部分的アゴニスト、又はアンタゴニストである。
【0093】
いくつかの実施形態では、化合物は、β1-アドレナリン受容体アゴニスト、β2-アドレナリン受容体アゴニスト、又は非選択的β1/β2-アドレナリン受容体アゴニストである。
【0094】
いくつかの実施形態では、化合物は、β1-アドレナリン受容体アゴニストである。
【0095】
いくつかの実施形態では、化合物は、β2-アドレナリン受容体アゴニストである。
【0096】
いくつかの実施形態では、化合物は、非選択的β1/β2-アドレナリンアゴニストである。
【0097】
疾患を有する対象を治療する方法であって、対象に、治療有効量の本明細書に開示される化合物、例えば、式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)、式(V)の構造を有する化合物、又は本明細書に記載される例示的な化合物を投与することを含む、方法が更に開示される。
【0098】
いくつかの実施形態では、疾患は、アドレナリン受容体と関連する疾患である。
【0099】
いくつかの実施形態では、疾患は、神経変性疾患である。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。
【0100】
いくつかの実施形態では、疾患は、心筋梗塞、脳卒中、虚血、アルツハイマー病、パーキンソン病、ゲーリッグ病(筋萎縮性側索硬化症)、ハンチントン病、多発性硬化症、老人性認知症、皮質下認知症、動脈硬化性認知症、エイズ関連認知症、他の認知症、脳血管炎、てんかん、トゥーレット症候群、ウィルソン病、ピック病、脳炎、脳脊髄炎、髄膜炎、プリオン病、小脳失調症、小脳変性症、脊髄小脳変性症候群、フリードリッヒ失調症、伸展性失調症、脊髄性多筋肥大症、進行性核上性陰茎症、ジストニア、筋肉萎縮症、振戦(tremor)、網膜色素変性症、線条体黒質変性症、ミトコンドリア脳筋症、及び神経セロイドリポフスチン症から選択される。いくつかの実施形態では、化合物は、対象に、経口、経腸、局所、吸入、経粘膜、静脈内、筋肉内、皮下、鼻腔内、硬膜外、脳内、脳室内、皮膚上、羊膜外、動脈内、関節内、心臓内、海綿体内、皮内、病巣内、眼内、骨内注入、腹腔内、くも膜下腔内、子宮内、膣内、膀胱内、硝子体内、経皮、血管周囲、頬側、膣、舌下、又は直腸経路を介して投与される。
【0101】
いくつかの実施形態では、疾患は、MCI(軽度認知機能障害)、aMCI(健忘型軽度認知機能障害)、血管性認知症、混合型認知症、FTD(前頭側頭型認知症、ピック病)、HD(ハンチントン病)、レット症候群、PSP(進行性核上性麻痺)、CBD(大脳皮質基底核変性症)、SCA(脊髄小脳失調症)、MSA(多系統萎縮症)、SDS(シャイ・ドレーガー症候群)、オリーブ橋小脳萎縮症、TBI(外傷性脳損傷)、CTE(慢性外傷性脳症)、脳卒中、WKS(ウェルニッケ・コルサコフ症候群、アルコール性認知症及びチアミン欠乏症)、正常圧水頭症、過眠症/ナルコレプシー、ASD(自閉症スペクトラム障害)、FXS(脆弱X症候群)、TSC(結節性硬化症)、プリオン関連疾患(CJDなど)、うつ病性障害、DLB(レビー小体型認知症)、PD(パーキンソン病)、PDD(パーキンソン病認知症)、ADHD(注意欠陥多動性障害)、アルツハイマー病(AD)、早期アルツハイマー病、及びダウン症候群(DS)からなる群より選択される1つ以上である神経変性疾患である。いくつかの実施形態では、疾患は、MCI、aMCI、血管性認知症、混合型認知症、FTD(前頭側頭型認知症、ピック病)、HD(ハンチントン病)、レット症候群、PSP(進行性核上性麻痺)、CBD(大脳皮質基底核変性症)、SCA(脊髄小脳失調症)、MSA(多系統萎縮症)、SDS(シャイ・ドレーガー症候群)、オリーブ橋小脳萎縮症、TBI(外傷性脳損傷)、CTE(慢性外傷性脳症)、脳卒中、WKS(ウェルニッケ・コルサコフ症候群、アルコール性認知症及びチアミン欠乏症)、正常圧水頭症、過眠症/ナルコレプシー、ASD(自閉症スペクトラム障害)、FXS(脆弱X症候群)、TSC(結節性硬化症)、プリオン関連疾患(CJDなど)、うつ病性障害、DLB(レビー小体型認知症)、PD(パーキンソン病)、PDD(パーキンソン病認知症)、及びADHD(注意欠陥多動性障害)からなる群から選択される1つ以上である神経変性疾患である。いくつかの実施形態では、対象は、アルツハイマー病(AD)を有さない。いくつかの実施形態では、対象は、ダウン症候群を有さない。
【0102】
「治療」という用語は、本明細書では、「治療方法」という用語と互換的に使用され、1)診断された病理学的状態、疾患又は障害の、治癒、遅延、症状の軽減、及び/又は進行の停止、並びに2)予防的/予防的措置の両方を指す。治療を必要とする者は、既に特定の医学的疾患又は障害を有する個体、並びに最終的に障害を獲得し得る者(すなわち、リスクにある又は予防措置を必要とする者)を含み得る。
【0103】
本明細書で使用される「対象」という用語は、本発明の方法が実施される任意の個体又は患者を指す。一般に、対象はヒトであり、当業者に理解されるであろうが、対象は動物であってもよい。
【0104】
「治療有効量」、「有効用量」、「治療有効用量」、「有効量」などという用語は、主題の化合物を投与することによって求められている組織、系、動物、又はヒトにおける生物学的又は医学的応答を誘発する、当該化合物の量を指す。一般に、応答は、患者の症状の改善又は所望の生物学的転帰のいずれかである。いくつかの実施形態では、かかる量は、アドレナリン受容体を調節するのに十分であるべきである。
【0105】
いくつかの実施形態では、有効量のアドレナリン受容体調節化合物は、約50ng/ml~50pg/ml(例えば、約50ng/ml~40pg/ml、約30ng/ml~20pg/ml、約50ng/ml~10μg/ml、約50ng/ml~1μg/ml、約50ng/ml~800ng/ml、約50ng/ml~700ng/ml、約50ng/ml~600ng/ml、約50ng/ml~500ng/ml、約50ng/ml~400ng/ml、約60ng/ml~400ng/ml、約70ng/ml~300ng/ml、約60ng/ml~100ng/ml、約65ng/ml~85ng/ml、約70ng/ml~90ng/ml、約200ng/ml~900ng/ml、約200ng/ml~800ng/ml、約200ng/ml~700ng/ml、約200ng/ml~600ng/ml、約200ng/ml~500ng/ml、約200ng/ml~400ng/ml、又は約200ng/ml~約ng/ml)の範囲の量である。
【0106】
いくつかの実施形態では、有効量のアドレナリン受容体調節化合物は、約10pg~100mg、例えば、約10pg~50pg、約50pg~150pg、約150pg~250pg、約250pg~500pg、約500pg~750pg、約750pg~1ng、約1ng~10ng、約10ng~50ng、約50ng~150ng、約150ng~250ng、約250ng~500ng、約500ng~750ng、約750ng~1mg、約1pg~10pg、約10pg~50pg、約50pg~150pg、約150pg~250pg、約250pg~500pg、約500pg~750pg、約750pg~1mg、約1mg~50mg、約1mg~100mg、又は約50mg~100mgの範囲の量である。この量は、単回用量の量であり得るか、又は1日の総量であり得る。1日の総量は、約10pg~100mgの範囲であり得るか、又は約100mg~500mgの範囲であり得るか、又は約500mg~1000mgの範囲であり得る。
【0107】
本明細書に開示される化合物、例えば、式(I)の構造を有する化合物、又は本明細書に記載される例示的な化合物と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む薬学的組成物もまた、本明細書に開示される。
【0108】
「薬学的に許容される担体」という用語は、本開示の化合物とともに患者に投与されてもよく、その薬理学的活性を破壊しない非毒性の担体を指す。これらの組成物に使用されてもよい薬学的に許容される担体としては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えばリン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩、又は電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコール及び羊毛脂が含まれるが、これらに限定されない。
【0109】
活性成分として本明細書に記載される化合物を含む薬学的組成物において、これらの組成物を投与する方法は、追加の薬剤又は療法剤を対象に投与する工程を更に含んでもよい。かかる療法としては、貧血療法、糖尿病療法、高血圧療法、コレステロール療法、神経薬理学的薬物、心血管機能を調節する薬物、炎症、免疫機能、血液細胞の産生を調節する薬物、ホルモン及びアンタゴニスト、胃腸機能に影響を与える薬物、微生物疾患の化学療法、並びに/又は腫瘍性疾患の化学療法が含まれるが、これらに限定されない。他の薬理療法には、任意の薬物クラスに見出される任意の他の薬物又は生物製剤が含まれ得る。例えば、他の薬物クラスは、アレルギー/風邪/ENT療法、鎮痛剤、麻酔剤、抗炎症剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、喘息/肺療法、心血管療法、皮膚科療法、内分泌/代謝療法、胃腸療法、がん療法、免疫療法、神経療法、眼科療法、精神科療法、又はリウマチ療法を含むことができる。本明細書に記載される化合物とともに投与され得る薬剤又は療法の他の例としては、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、リポキシゲナーゼ阻害剤、サイトカインアンタゴニスト、免疫抑制剤、サイトカイン、増殖因子、免疫調節剤、プロスタグランジン、又は抗血管過剰増殖化合物が挙げられる。
【0110】
本明細書で使用される「治療有効量」という用語は、研究者、獣医師、医師、又は他の臨床医によって求められている、組織、系、動物、個体、又はヒトにおける生物学的又は薬学的応答を誘発する、活性化合物又は医薬の量を指し、以下のうちの1つ以上を含む:(1)疾患を予防すること、例えば、疾患、状態、又は障害にかかりやすい可能性があるが、その疾患の病理又は症候学をまだ経験していないか、又は示していない個体の疾患、状態、又は障害を予防すること、(2)その疾患を阻害すること、例えば、その疾患、状態、又は障害の病理又は症候学を経験しているか、又は表示している個体の疾患、状態、又は障害を阻害すること(すなわち、病理及び/又は症候学の更なる発達を停止すること)、並びに(3)その疾患を改善すること、例えば、その疾患、状態、又は障害の病理又は症候学を経験しているか、又は表示している個体の疾患、状態、又は障害を改善すること(すなわち、その病理、及び/又は症候学を反転させること)。
【0111】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物は、アドレナリン受容体調節化合物(例えば、アドレナリン受容体のアゴニスト、部分アゴニスト、又はアンタゴニスト)であってもよい。本開示のアドレナリン受容体調節化合物は、いくつかの実施形態では、インビトロ又はインビボで標的アドレナリン受容体の活性を調節するのに有用であり得る。本発明の方法の態様は、試料を有効量のアドレナリン受容体調節化合物(例えば、本明細書に記載されるような)と接触させて、所望の活性が存在するかどうかを判定することを含む。
【0112】
アドレナリン受容体(ADR)は、全身にわたって広く発現され、認知、ストレス関連行動、炎症、及び平滑筋収縮/拡張、心筋収縮、気道反応性、及び認知を含む複数の生理学的プロセスの制御において重要な役割を果たすGタンパク質結合受容体(GPCR)である。アドレナリン受容体は、ノルアドレナリン(NA)及びアドレナリンの、中枢及び末梢作用を媒介する。α-アドレナリン受容体及びβ-アドレナリン受容体を含むADRの複数のサブタイプが存在する。各サブタイプは、異なるパターンで発現され、異なる生理学的プロセスに関与する。したがって、1つのサブタイプを選択的に標的とするリガンドは、異なるADRサブタイプの役割を識別するための研究ツールとして、並びに、NA及びアドレナリン系の機能障害に関連する複数の疾患の治療剤としての両方で有用性が高い。
【0113】
β-アドレナリン受容体は、更に、β1-アドレナリン受容体(β1-ADR)、β2-アドレナリン受容体(β2-ADR)、及びβ3-アドレナリン受容体(β3-ADR)の3つのサブタイプを含む。これらのサブタイプは、異なるパターンで発現され、異なる生理学的プロセスに関与するため、1つのサブタイプを選択的に標的とすることができるリガンドは、複数の疾患の治療的可能性を有する。しかしながら、サブタイプ選択的リガンドの発見は、これらのサブタイプによって共有される高いレベルの配列相同性のために困難である。β-アドレナリン受容体に対する既存のアゴニストの多くはまた、不良の血液脳関門(BBB)透過性を示す。しかしながら、ほとんどの中枢神経系(CNS)適応症のための有効な療法には、多くの場合、良好な薬物BBB透過性が必要とされる。
【0114】
Gタンパク質結合受容体のクラスとして、アドレナリン受容体は、Gタンパク質及びβアレスチン依存性経路を介してシグナルを伝達する。Gタンパク質又はβ-アレスチンシグナル伝達は、異なる生理学的応答を媒介することができる。最近、アゴニストは、シグナル伝達経路の偏った活性化を示すことができることが明らかになった。受容体を活性化し、経路依存的な様式で応答を生成するリガンドの能力は、「シグナル伝達バイアス」又は「機能的選択性」と呼ばれてきた。Gタンパク質及びβ-アレスチンが異なる生理学的プロセスを媒介するため、バイアス型アゴニストは、低減された副作用を伴う改善された治療的選択性を提供することができる。したがって、本開示は、改善された血液脳関門(BBB)透過性を有するβ-アドレナリン受容体サブタイプ選択的アゴニストを対象とする。
【0115】
アドレナリン受容体調節化合物は、標的アドレナリン受容体のアゴニストであり得る。いくつかの場合では、アドレナリン受容体調節化合物の有効量は、対照、例えば、既知の受容体活性レベルを示す対照細胞と比較して、細胞内のアドレナリン受容体に関連する活性を10%以上、例えば20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、100%以上、200%、又は更にはそれより多く活性化するのに十分な量である。
【0116】
アドレナリン受容体調節化合物は、標的アドレナリン受容体の部分アゴニストであり得る。いくつかの場合では、アドレナリン受容体調節化合物の有効量は、例えば、主題の化合物が、対照、例えば、完全に活性化された受容体に対して、受容体の10%以上の活性化、例えば、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、又は90%以上の活性化を達成する、細胞内のアドレナリン受容体の部分的アゴニズムを達成するのに十分な量である。部分的アゴニズムは、100%活性化対照として既知の完全アゴニストを使用した細胞ベースのアッセイなどの任意の好都合な方法を使用して評価することができ、受容体の相対的な最大活性化は、完全アゴニストに対して測定することができる。
【0117】
アドレナリン受容体調節化合物は、標的アドレナリン受容体のアンタゴニストであり得る。いくつかの場合では、アドレナリン受容体調節化合物の有効量は、対照、例えば、目的の化合物と接触させていない試料に対して、試料中の標的アドレナリン受容体の活性を10%以上、例えば20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、又は更にはそれより多く阻害又は減少させるのに十分な量である。
【0118】
方法のいくつかの実施形態では、標的アドレナリン受容体は、β1-アドレナリン受容体である。方法のいくつかの実施形態では、標的アドレナリン受容体は、β2-アドレナリン受容体である。方法のいくつかの実施形態では、標的アドレナリン受容体は、β3-アドレナリン受容体である。いくつかの実施形態では、化合物は、β1-アドレナリン受容体及びβ2-アドレナリン受容体の両方のアゴニストである。特定の場合では、化合物は、β1-アドレナリン受容体よりもβ2-アドレナリン受容体に対して選択的である。
【0119】
標的アドレナリン受容体は、細胞における細胞内シグナル又は経路の媒介を担うものであり得る。いくつかの実施形態では、試料は、細胞を含み、アドレナリン受容体を調節することは、細胞の生理学的プロセスを調節する。任意の好都合な生理学的プロセスは、本発明の方法を使用して、細胞における調節について標的化され得る。いくつかの実施形態では、生理学的プロセスは、心機能に関与するプロセスであり、ある特定の事例では、生理学的プロセスは、認知機能に関与するプロセスである。ある特定の事例では、生理学的プロセスは、炎症性経路又は病態に関与するプロセスである。本発明の方法は、細胞内のシグナル伝達分子、例えばcAMPの細胞内濃度の媒介を提供することができる。本発明の方法は、標的アドレナリン受容体の部分的又は完全な遮断を提供して、試料中のcAMPの調節(例えば、活性化)をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、方法は、細胞のβ-アレスチン経路を調節しない。いくつかの場合では、細胞は炎症性細胞であり、細胞の機能が調節される。本発明の方法は、細胞における炎症性経路の阻害を提供することができる。いくつかの場合では、TNF-αは細胞内で阻害され、例えば、TNF-αの濃度又は産生は、本発明の方法を実施することによって低減される。方法のある特定の実施形態では、細胞は、ニューロンである。いくつかの実施形態では、アドレナリン受容体の調節は、神経新生を増強する。
【0120】
本開示の化合物は、心筋梗塞、脳卒中、虚血、アルツハイマー病、パーキンソン病、ゲーリッグ病(筋萎縮性側索硬化症)、ハンチントン病、多発性硬化症、老人性認知症、皮質下認知症、動脈硬化性認知症、エイズ関連認知症、他の認知症、脳血管炎、てんかん、トゥーレット症候群、ウィルソン病、ピック病、脳炎、脳脊髄炎、髄膜炎、プリオン病、小脳失調症、小脳変性症、脊髄小脳変性症候群、フリードリッヒ失調症、伸展性失調症、脊髄性多筋肥大症、進行性核上性陰茎症、ジストニア、筋肉萎縮症、振戦(tremor)、網膜色素変性症、線条体黒質変性症、ミトコンドリア脳筋症、神経セロイドリポフスチン症、皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症(CADASIL)、及び糖尿病性網膜症が挙げられるがこれらに限定されない本明細書に記載の疾患を制御、予防、治療するための従来の様式で用いられてもよい。かかる治療方法、それらの投薬量レベル、及び必要条件は、利用可能な方法及び技術から当業者によって選択され得る。
【0121】
本明細書中で使用される場合、「併用」、「併用された」、及び関連する用語は、本開示による治療剤の同時又は逐次投与を示す。例えば、記載される化合物は、別の治療剤と同時に、又は別々の単位剤形で逐次的に、又は単一の単位剤形で一緒に投与され得る。したがって、本開示は、記載される化合物、追加の治療剤、及び薬学的に許容される担体、アジュバント、又はビヒクルを含む単一の単位剤形を提供する。2つ以上の薬剤は、患者又は個体が両方の薬剤に同時に曝露される場合、典型的には、「併用して」投与されるとみなされる。多くの実施形態では、2つ以上の薬剤は、患者又は個体が、特定の標的組織又は試料(例えば、脳内、血清内など)中の薬剤の治療上適切なレベルを同時に示す場合に、「併用して」投与されるとみなされる。
【0122】
本開示の化合物が他の薬剤との併用療法で投与される場合、それらは、患者に逐次的に又は同時に投与され得る。代替的に、本開示による薬学的組成物又は予防組成物は、イベルメクチン、又は本明細書に記載される任意の他の化合物、及び別の治療剤又は予防剤の組み合わせを含む。特定の疾患又は病態を治療するために通常投与される追加の治療剤は、「治療されている疾患又は病態に適切な薬剤」と称され得る。
【0123】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、治療有効量の1つ以上の追加の活性剤を投与することを含む。併用療法とは、単一の疾患又は状態を治療するために、アドレナリン受容体調節化合物を別の治療剤と併用して使用することができることを意味する。特定の実施形態では、本開示の化合物は、別の治療剤の投与と同時に投与され、別の治療剤は、本開示の化合物を含む組成物の構成成分として、又は異なる組成物の構成成分として投与され得る。
【0124】
主題の化合物は、様々な治療用途において、他の治療剤と併用して投与され得る。併用療法のための目的の治療用途としては、標的アドレナリン受容体の活性が疾患進行における原因又は複合因子である用途が挙げられる。したがって、主題の化合物は、対象における標的アドレナリン受容体の阻害が所望される併用療法での使用を見出す。主題の化合物を含む併用療法によって治療され得る疾患病態の例としては、心臓の病態又は疾患、神経変性又は神経発達疾患、呼吸障害、喘息、記憶障害、うつ病、炎症性疾患、脳卒中、虚血性脳又は組織の傷害、及びがんが含まれるが、これらに限定されない。本発明のアドレナリン受容体調節化合物と共同で使用することができる目的の薬剤には、抗うつ薬、抗精神病薬、β遮断薬、血管収縮剤、低血圧剤、緩和剤、化学療法剤、アルツハイマー病で使用される薬剤、及び抗炎症剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0125】
本発明のアドレナリン受容体調節化合物は、心臓性ショック、高血圧症、うっ血性心不全、冠状動脈性心疾患、不整脈、心筋梗塞、又は虚血性心疾患などの心臓病態の治療に有用な任意の薬剤とともに使用することができる。本発明のアドレナリン受容体調節化合物と共同で使用することができる目的の薬剤としては、デノパミン、ドブタミン、キサモテロール、アセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、ピンドロール、エスモロール、メトプロロール、ネビボロール、ボルチオキセチン、カーベジロール、ラベタロール、フェントラミン、プラゾシン、シラゾリン、メトキサミン、シネフリン、エチレフリン、メタラミノール、ミドリン、及びクマリンが含まれるが、これらに限定されない。
【0126】
本発明のアドレナリン受容体調節化合物は、アルツハイマー病、記憶障害、認知障害、抑うつ症、脳卒中及び虚血性脳又は組織損傷、ダウン症候群又は自閉症などの神経変性疾患又は神経発達疾患の治療に有用な任意の薬剤とともに使用することができる。本発明のアドレナリン受容体調節化合物と共同で使用することができる目的の薬剤には、アセプロマジンが含まれるが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、本発明のアドレナリン受容体調節化合物は、コリンエステラーゼ阻害剤又はNMDA受容体調節剤と併用して、神経変性疾患又は神経発達疾患などの疾患の治療に使用することができる。目的の薬剤としては、ドネペジル、アリセプト、ガランタミン、ラザダイン、メマンティン、ナメンダ、リバスチグミン、エクセロン、タクリン、及びコグネックスが含まれるが、これらに限定されない。本発明のアドレナリン受容体調節化合物と共同で使用することができる他の目的の薬剤としては、4-NEMD、7-Me-マルサニジン、アグマチン、アプラクロニジン、ブリモニジン、カンナビゲロール、クロニジン、デトミジン、デキクスメデトミジン、ファドルミジン、グアナベンズ、グアンファシン、ロフェキシジン、マルサニジン、メデトミジン、メタンフェタミン、ミバゼロール、リルメニジン、ロミフィジン、タリペキソール、チアメニジン、チザニジン、トロニジン、キシラジン、キシロメタゾリン、アリピプラゾール、アセナピン、アチパメゾール、シラゾリン、クロザピン、エファロキサン、イダゾキサン、ルラシドン、メルペロン、ミアンリン、ミルタザピン、ナピタン、オランザピン、パリペリドン、フェノキシベンザミン、フェントラミン、ピリベジル、ラウオルシン、リスペリドン、ロチゴニン、クエチアピン、ノルクエチアピン、セチプチリン、トラゾリン、ヨヒンビン、ジプラシドン、及びゾテピンが含まれるが、これらに限定されない。本発明のアドレナリン受容体調節化合物と共同で使用され得る他の目的の薬剤としては、ビトルテロール、フェノテロール、ヘキソプレナリン、イソプレナリン又はイソプロテレノール、レボサルブタモール又はレバルブテロール、オルシプレナリン又はメタプロテレノール、ピルブテロール、プロカテロール、サルブタモール又はアルブテロール、テルブタリン、バンブテロール、クレンブテロール、フォルモテロール、サルメテロール、カルモテロール、インダカテロール、ミルベテロール、オロダテロール、ビランテロール、フェノテロール、ヘキソプレナリン、イソクスプリン、リトドリン、サルブタモール又はアルブテロール、テルブタリン、ジルペテロール、ICI-118,551、及びブトキサミンが含まれるが、これらに限定されない。
【0127】
本開示の組成物及び方法で利用される化合物は、選択的生物学的特性を増強するために適切な官能基を付加することによっても修飾され得る。かかる修飾は、当該技術分野で既知であり、所与の生体系(例えば、血液、リンパ系、又は中枢神経系)への生物学的浸透を高め、経口利用可能性を高め、注射による投与を可能にする溶解度を高め、代謝を変え、及び/又は排泄速度を変えるものが含まれる。
【0128】
好ましい実施形態によれば、本開示の組成物は、対象又は患者、例えば、哺乳動物、好ましくはヒトへの薬学的投与のために製剤化される。かかる薬学的組成物は、対象における本明細書に記載される疾患のいずれかを改善、治療又は予防するために使用される。
【0129】
本開示の薬剤は、活性治療剤、すなわち、様々な他の薬学的に許容される構成成分を含む薬学的組成物として投与されることが多い。Remington’s Pharmaceutical Science(15th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1980)を参照されたい。好ましい形態は、意図される投与様式及び治療的用途に依存する。組成物はまた、所望の製剤に応じて、薬学的に許容される非毒性担体又は希釈剤を含み得、これらは、動物又はヒト投与のための薬学的組成物を製剤化するために一般的に使用されるビヒクルとして定義される。希釈剤は、併用の生物学的活性に影響を与えないように選択される。かかる希釈剤の例は、蒸留水、生理学的リン酸緩衝生理食塩水、リンガー液、デキストロース溶液、及びハンク溶液である。加えて、薬学的組成物又は製剤は、他の担体、アジュバント、又は非毒性、非治療的、非免疫原性安定剤なども含み得る。
【0130】
いくつかの実施形態では、本開示は、脳卒中、虚血、アルツハイマー病、強直性脊椎炎、関節炎、変形性関節炎、関節リウマチ、乾癬性関節炎、喘息アテローム性動脈硬化症、クローン病、大腸炎、皮膚炎憩室炎、線維筋痛症、肝炎、過敏性腸症候群、全身性紅斑性ループス、腎炎、潰瘍性大腸炎、及びパーキンソン病が挙げられるがこれらに限定されない本明細書に記載の疾患を治療するのに使用するために、1つ以上の薬学的に許容される担体(添加剤)及び/又は希釈剤とともに製剤化される、記載の化合物のうちの1つ以上の治療有効量を含む薬学的に許容される組成物を提供する。記載される化合物を単独で投与することが可能であるが、本明細書に記載される医薬製剤(組成物)として記載される化合物を投与することが好ましい。記載される化合物は、他の医薬との類似性により、ヒト又は獣医学で使用するための任意の好都合な方式で投与するために製剤化され得る。
【0131】
詳細に記載されるように、本開示の薬学的組成物は、以下:経口投与、例えば、ドレンチ(水性又は非水性の、溶液又は懸濁液)、錠剤、例えば、頬側の、舌下の、及び全身の吸収のためのもの、ボーラス、粉末剤、顆粒剤、舌に適用するためのペースト;非経口投与、例えば、滅菌溶液若しくは懸濁液、又は持続放出製剤としての、皮下、筋肉内、静脈内、又は硬膜外注射によるもの;局所適用、例えば、皮膚、肺、若しくは口腔に適用される、クリーム、軟膏、又は制御放出パッチ若しくはスプレーとして;膣内又は直腸内、例えば、ペッサリー、クリーム又はフォームとして;舌下;眼内;経皮的;又は経鼻、肺、及び他の粘膜表面への投与、に適合されたものが含まれる、固形形態又は液体形態での投与のために特別に製剤化されてもよい。
【0132】
湿潤剤、乳化剤、及びラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、並びに、着色剤、放出剤(release agents)、コーティング剤、甘味料、香味料及び芳香剤、保存剤及び抗酸化剤もまた、組成物中に存在し得る。
【0133】
薬学的に許容される抗酸化剤の例としては、水溶性抗酸化剤、例えばアスコルビン酸、塩酸システイン、硫酸水素ナトリウム、メタ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど、油溶性抗酸化剤、例えばパルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α-トコフェロールなど、金属キレート剤、例えばクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などが挙げられる。
【0134】
本開示に従って使用するための製剤には、経口、経鼻、局所(頬側及び舌下を含む)、直腸、膣及び/又は非経口投与に好適な製剤が含まれる。製剤は、単位剤形で好都合に提示されてもよく、薬学の分野で周知の任意の方法によって調製されてもよい。単回剤形を製造するために担体材料と組み合わせることができる有効成分の量は、治療される宿主、及び特定の投与様式に応じて変化する。単回剤形を製造するために担体材料と組み合わせることができる有効成分の量は、一般に、治療効果を生じる化合物の量になる。一般に、この量は、有効成分の約1%~約99%の範囲であろう。いくつかの実施形態では、この量は、約5%~約70%、約10%~約50%、又は約20%~約40%の範囲であろう。
【0135】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の製剤は、シクロデキストリン、リポソーム、ミセル形成剤、例えば、胆汁酸、及びポリマー担体、例えば、ポリエステル及びポリ無水物からなる群から選択される賦形剤と、本開示の化合物と、を含む。ある特定の実施形態では、前述の製剤は、本開示の記載される化合物を経口的に生体利用可能にする。
【0136】
記載される化合物を含む製剤又は組成物を調製する方法は、本開示の化合物を、担体及び任意選択で1つ以上の副成分と会合させる工程を含む。一般に、製剤は、本開示の化合物を液体担体、又は微細化した固形担体、又はその両方と均一かつ密接に会合させ、次いで必要に応じて生成物を成形することにより調製され得る。
【0137】
薬学的組成物は、例えば、無菌の注射可能な水性又は油性懸濁液として、無菌注射用調製物の形態であり得る。この懸濁液は、好適な分散剤又は湿潤剤(例えば、Tween80など)及び懸濁化剤を使用して、当該技術分野で既知の技術に従って製剤化され得る。無菌注射用調製物はまた、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液などの、非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の、滅菌注射可能溶液又は懸濁液であり得る。用いられ得る許容されるビヒクル及び溶媒の中には、マンニトール、水、リンガー溶液、及び等張塩化ナトリウム溶液がある。加えて、滅菌固定油は、溶媒又は懸濁媒体として従来用いられている。この目的のために、合成モノグリセリド又はジグリセリドを含む任意の平滑固定油が、用いられ得る。オレイン酸及びそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は、特にそれらのポリオキシエチル化バージョンにおいて、オリーブ油又はヒマシ油などの天然の薬学的に許容される油と同様に、注射剤の調製に有用である。これらの油溶液又は懸濁液はまた、例えばスイス薬局方(Pharmacopeia Helvetica)に記載されるものなどの長鎖アルコール希釈剤又は分散剤、あるいは同様のアルコールを含んでもよい。製剤化の目的のために、製薬上許容できる固形物、液体、又は他の剤形の製造に一般的に使用される、Tweens、Spans、及び他の乳化剤又は生物学的利用能向上剤などの他の一般的に使用される界面活性剤もまた使用され得る。
【0138】
いくつかの場合では、薬物の効果を延長させるために、皮下注射又は筋肉内注射からの薬物の吸収を遅らせることが望ましい場合がある。これは、難水溶性である結晶性又は非晶質の液体懸濁液を使用することにより達成され得る。次いで、薬物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、溶解速度は、ひいては、結晶のサイズ及び結晶形に依存し得る。代替的に、非経口投与された薬物形態の遅延吸収は、薬物を油性ビヒクルに溶解又は懸濁することによって達成される。
【0139】
注射可能なデポー形態は、ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中で、記載される化合物のマイクロカプセルマトリックスを形成することにより作製される。ポリマーに対する薬物の比率、及び用いられる特定のポリマーの性質に応じて、薬物放出の速度は制御され得る。他の生分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)が含まれる。デポー注射用製剤は、また、身体組織と適合可能であるリポソーム又はマイクロエマルジョン中に薬物を捕捉することによって調製される。
【0140】
本開示の薬学的組成物は、カプセル、錠剤、並びに水性懸濁液及び溶液が挙げられるがこれらに限定されない任意の経口的に許容される剤形で経口投与され得る。経口使用のための錠剤の場合、一般的に使用される担体としては、ラクトース及びコーンスターチが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤もまた、典型的に添加される。カプセル形態での経口投与の場合、有用な希釈剤には、ラクトース及び乾燥コーンスターチが含まれる。水性懸濁液及び溶液、並びにプロピレングリコールを経口投与する場合には、有効成分を乳化剤及び懸濁剤と組み合わせる。必要に応じて、特定の甘味剤及び/又は香味剤及び/又は着色剤を添加してもよい。
【0141】
経口投与に好適な本明細書に記載の製剤は、各々が、所定量の本開示の化合物を有効成分として含有する、カプセル、カシェ剤、丸薬、錠剤、ロゼンジ剤(フレーバーベース、通常スクロース及びアカシア若しくはトラガカントを使用して)、粉末剤、顆粒剤、又は水性若しくは非水性液体中の溶液若しくは懸濁液として、又は水中油型若しくは油中水型液体エマルジョンとして、又はエリキシル剤若しくはシロップ剤として、又はパスティル剤(ゼラチン及びグリセリン、若しくはスクロース及びアカシア剤などの不活性塩基を使用して)として、及び/又は口腔洗浄剤などの形態であってもよい。本明細書に記載される化合物はまた、ボーラス、舐剤(electuary)、又はペーストとして投与されてもよい。
【0142】
経口投与用の固形剤形(カプセル、錠剤、丸薬、糖衣錠、粉末剤、顆粒剤など)では、有効成分を、クエン酸ナトリウム若しくはリン酸二カルシウム、並びに/又は以下のいずれかなどの、1つ以上の薬学的に許容される担体と混合する:充填剤若しくは増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及び/若しくはケイ酸;結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、及び/若しくはアカシアなど;湿潤剤、例えば、グリセロール;崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ若しくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある特定のケイ酸塩、及び炭酸ナトリウム;溶液遅延剤、例えば、パラフィン;吸収促進剤、例えば、四級アンモニウム化合物;湿潤剤、例えば、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセロール、及び非イオン性界面活性剤など;吸収剤、例えば、カオリン及びベントナイト粘土;滑沢剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、及びこれらの混合物;並びに、着色剤。カプセル、錠剤、及び丸剤の場合、薬学的組成物は、緩衝剤も含み得る。類似したタイプの固形組成物はまた、ラクトース又は乳糖、並びに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用して、ソフトシェル及びハードシェルゼラチンカプセルにおける充填剤として用いられ得る。
【0143】
錠剤は、任意選択で1つ以上の副成分とともに、圧縮又は成形することにより作製することができる。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、グリコール酸ナトリウムデンプン又は架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤、又は分散剤を使用して調製され得る。成形錠剤は、粉末化合物の混合物を不活性液体希釈剤で湿らせる好適な機械で作製することができる。固形担体が使用される場合、調製物は、錠剤形態であり得るか、粉末若しくはペレット形態でハードゼラチンカプセル中に置かれ得るか、又はトローチ若しくはロゼンジの形態であり得る。固形担体の量は、例えば、約25~800mg、好ましくは、約25mg~400mgで変化するであろう。液体担体が使用される場合、調製物は、例えば、シロップ、乳剤、ソフトゼラチンカプセル、アンプル又は非水液体懸濁液などの無菌注射用液の形態であり得る。組成物がカプセルの形態である場合、任意の通常の封入は、例えば前述の担体をハードゼラチンカプセルシェルで使用することに好適である。
【0144】
錠剤及び他の固形剤形、例えば、糖衣錠、カプセル、丸薬及び顆粒剤は、任意選択で、腸溶性コーティング及び製薬技術分野で周知の他のコーティングなどのコーティング及びシェルでスコアリング又は調製され得る。それらは代替的又は追加的に、例えば、所望の放出プロファイルを提供するための様々な割合のヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、リポソーム及び/又はミクロスフェアを使用して、その中の有効成分の徐放又は制御放出を提供するように製剤化することができる。それらは、迅速な放出、例えば、凍結乾燥のために製剤化され得る。それらは、例えば、細菌留置フィルターを通す濾過により、又は使用直前に無菌水若しくはいくらかの他の無菌注射用媒体中に溶解することができる無菌固形組成物の形態の滅菌剤を組み込むことにより、滅菌され得る。これらの組成物はまた、任意選択で不透明化剤(opacifying agent)を含有していてもよく、任意選択で、遅延様式で、胃腸管のある特定の部分で、有効成分のみを又はそれを優先的に放出する組成物であってもよい。使用され得る埋め込み組成物の例には、ポリマー物質及びワックスが含まれる。有効成分は、適切な場合、上記の賦形剤のうちの1つ以上を含むマイクロカプセル化形態であってもよい。
【0145】
本開示の化合物の経口投与用の液体剤形としては、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ剤及びエリキシル剤が挙げられる。有効成分に加えて、液体剤形は、例えば、水又は他の溶媒などの当該技術分野において一般的に使用される不活性希釈剤、可溶化剤及び乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、及びソルビタンの脂肪酸エステル、並びにこれらの混合物を含み得る。
【0146】
不活性希釈剤の他に、経口組成物は、湿潤剤、乳化剤及び懸濁化剤、甘味剤、香味剤、着色剤、芳香剤及び保存剤などのアジュバントも含むことができる。
【0147】
懸濁液は、活性化合物に加えて、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天及びトラガカント、及びそれらの混合物などの懸濁化剤を含んでもよい。
【0148】
本開示の薬学的組成物はまた、直腸投与のための坐剤の形態で投与されてもよい。これらの組成物は、本開示の化合物を、室温では固体であるが、直腸温度では液体である、好適な非刺激性賦形剤と混合することによって調製することができ、したがって、活性成分を放出するために、直腸内で融解する。かかる材料として、カカオバター、蜜蝋、及びポリエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0149】
本開示の薬学的組成物の局所投与は、所望の治療が局所適用によって容易にアクセス可能な領域又は臓器を含む場合に特に有用である。皮膚に局所的に適用するために、薬学的組成物は担体に懸濁又は溶解した活性成分を含有する好適な軟膏として製剤化されるべきである。本開示の化合物の局所投与のための担体としては、鉱油、液体石油、白色石油、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス、及び水が挙げられるが、これらに限定されない。代替的に、薬学的組成物は担体中に懸濁又は溶解した活性化合物を含有する好適なローション又はクリームとして製剤化することができる。好適な担体としては、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、及び水が挙げられるが、これらに限定されない。本開示の薬学的組成物は、直腸坐剤製剤によって、又は好適な浣腸製剤中で、下部腸管に局所的に適用されてもよい。局所投与される経皮パッチも、本開示に含まれる。
【0150】
本開示の薬学的組成物は、鼻エアロゾル又は吸入によって投与され得る。かかる組成物は、医薬製剤の分野において周知の技術に従い調製され、ベンジルアルコール若しくは他の好適な防腐剤、生物学的利用能を増強するための吸収促進剤、フルオロカーボン、及び/又は当該技術分野において既知の他の可溶化剤若しくは分散剤を用いて、生理食塩水中の溶液として調製され得る。
【0151】
眼科用のために、薬学的組成物は、等張、pH調整滅菌生理食塩水中の微粒子化懸濁液として、又は好ましくは、等張、pH調整無菌生理食塩水中の溶液として、塩化ベンジルアルコニウムなどの防腐剤有り又は無しで、製剤化され得る。代替的に、眼科的使用のために、薬学的組成物は、ワセリンなどの軟膏に製剤化され得る。
【0152】
経皮パッチは、身体への本開示の化合物の制御された送達を提供するという追加の利点を有する。化合物を適切な媒体に溶解又は分散させることは、かかる剤形を作製することができる。吸収促進剤を使用して、皮膚を横切る化合物の流動を増加させることもできる。速度制御膜を提供すること、又は化合物をポリマーマトリックス若しくはゲルに分散させることのいずれかによって、かかる流動の速度を制御することができる。
【0153】
本開示の薬学的組成物に用いられ得る好適な水性及び非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、及びそれらの好適な混合物、オリーブ油などの植物油、並びにオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルなどが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用、分散液の場合は必要な粒径の維持、及び界面活性剤の使用により維持することができる。
【0154】
かかる組成物は、保存剤、湿潤剤、乳化剤、及び分散剤などのアジュバントを含んでもよい。ある特定の実施形態では、1つ以上の抗細菌剤及び/又は抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などを含んでいることが望ましい場合がある。糖類、塩化ナトリウムなどの等張剤を組成物に含めることが代替的又は追加的に望ましい場合がある。加えて、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどの吸収を遅らせる薬剤を含めることにより、注射用医薬形態の長期吸収がもたらされ得る。
【0155】
ある特定の実施形態では、記載される化合物又は医薬調製物は、経口投与される。他の実施形態では、記載される化合物又は医薬調製物は、静脈内に投与される。代替的な投与経路には、舌下投与、筋肉内投与、及び経皮投与が含まれる。
【0156】
本明細書に記載の化合物が、医薬として、ヒト及び動物に投与されるとき、それらは、それ自体で、又は例えば0.1%~99.5%(より好ましくは0.5%~90%)の有効成分を薬学的に許容される担体と組み合わせて含有する薬学的組成物として、与えられ得る。
【0157】
本明細書に記載の調製物は、経口的に、非経口的に、局所的に、又は直腸的に与えられ得る。これらはもちろん、関連する投与経路に好適な形態で与えられる。例えば、それらは、錠剤又はカプセルの形態で、注射、吸入、点眼薬、軟膏、坐剤などによって(注射、注入又は吸入による投与、ローション又は軟膏による局所投与、及び坐剤による直腸投与)投与される。経口投与が好ましい。
【0158】
かかる化合物は、例えば、スプレーによって、経口、経鼻で、粉末剤、軟膏、又はドロップによって、直腸、膣内、非経口、嚢内、及び局所でを含み、頬側及び舌下でを含む、任意の好適な投与経路によって、治療のためにヒト及び他の動物に投与されてもよい。
【0159】
選択された投与経路に関係なく、好適な水和形態で使用され得る本明細書に記載の化合物、及び/又は本開示の薬学的組成物は、当業者に既知の従来の方法によって薬学的に許容される剤形に製剤化される。
【0160】
本開示の薬学的組成物中の有効成分の実際の投与量レベルは、患者に対し毒性を有さずに、特定の患者、組成物、及び投与様式に対する所望の治療応答を達成するのに有効である、ある量の有効成分を得るように変化し得る。
【0161】
開示されるアドレナリン受容体調節化合物を含むキットも提供される。本開示のシステムは、例えば、医療従事者によって、患者などの対象への投与のために集められた活性剤の集合体を含む。かかるシステムは、本明細書に開示されるアドレナリン受容体調節化合物及び1つ以上の追加の活性剤を含み得る。1回以上の用量のアドレナリン受容体調節化合物、及び任意選択で1回以上の用量の1つ以上の追加の活性剤を含み得る、アドレナリン受容体調節化合物を含むキットが提供される。好都合には、製剤は、単位剤形で提供され得る。かかるキットにおいて、製剤、例えば単位用量を含む容器に加えて、本明細書に開示されるような方法における本発明の製剤の使用を説明する情報添付文書、例えば、細胞増殖性疾患病態を治療するために本発明の単位用量を使用するための説明書がある。これらの説明書は、様々な形態で本発明のシステム及びキットに存在してもよく、これらの形態のうちの1つ以上は、キット内に存在してもよい。これらの説明書が存在し得る1つの形態は、好適な媒体又は基材、例えば、情報が印刷される1枚又は複数枚の紙、キットのパッケージ、添付文書などに印刷された情報として存在し得る。別の手段は、情報が記録されたコンピュータ可読媒体、例えば、ディスケット、CDなどである。更に、存在し得る別の手段は、インターネットを介して、取り出されたサイトで情報にアクセスするために使用され得るウェブサイトアドレスである。任意の好都合な手段がキットに存在し得る。
【0162】
当業者であれば、ルーチン実験のみを使用して、本明細書に記載される特定の組成物及び手順に対する多数の等価物を認識するか、又は確認することができるであろう。かかる等価物は、本開示の範囲内であると考えられ、以下の特許請求の範囲によってカバーされる。
【国際調査報告】