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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-15
(54)【発明の名称】無線電力伝送システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/90 20160101AFI20231208BHJP
   H02J 50/20 20160101ALI20231208BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20231208BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20231208BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20231208BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20231208BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20231208BHJP
   B60L 53/12 20190101ALI20231208BHJP
【FI】
H02J50/90
H02J50/20
H02J50/12
H02J50/80
H02J50/40
B60M7/00 X
B60L5/00 B
B60L53/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023530667
(86)(22)【出願日】2021-11-19
(85)【翻訳文提出日】2023-06-02
(86)【国際出願番号】 IL2021051384
(87)【国際公開番号】W WO2022107147
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】63/116,147
(32)【優先日】2020-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523185947
【氏名又は名称】エルシボニー,アーサフ マノバ
【氏名又は名称原語表記】ELSSIBONY, Asaf Manova
【住所又は居所原語表記】17 Marc Chagal St., 6967226 Tel Aviv (IL)
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】エルシボニー,アーサフ マノバ
【テーマコード(参考)】
5H105
5H125
【Fターム(参考)】
5H105BA09
5H105BB05
5H105DD10
5H105EE15
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC27
5H125BC21
5H125DD02
5H125FF15
(57)【要約】
【課題】移動プラットフォーム(実質的に伝送および走行用)の無線給電充電システムの一部としての送信機と受信機の間で高い電磁(EM)結合と高い電力伝送効率を維持しながら、比較的広い領域と容積をカバーするように構成された近接場空間導体システムおよび方法を提供する。
【解決手段】連続信号導体、連続接地導体(両方とも同じ交流電源に接続されている)と、受信導体との間の一定かつ連続的なEM結合により、移動プラットフォームは、前記導体の配置の経路に沿って共振結合の間隔なしに実質的に一定の電流を受けることができる。
【選択図】図9B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)少なくとも1つの交流電力信号源と、
(ii)前記電力信号源から電気信号を受信するように構成され、経路に沿って延びるようにさらに構成された少なくとも1つの連続信号導体と、
(iii)前記電力信号源の接地と通信するように構成され、前記経路に沿って延びるようにさらに構成された少なくとも1つの連続接地導体と、
(iv)少なくとも1つの移動プラットフォームに取り付けられるように構成された少なくとも1つの受信導体と、を備え、
前記連続信号導体が前記連続接地導体から所定の距離に配置されるように構成されることで、指定された充電容積が形成され、前記連続信号導体および連続接地導体と前記少なくとも1つの受信導体との間の電磁結合を生成する前記充電容積内の共振が、導体間の重複や位置合わせを必要とせずに、前記充電容積内で所定の周波数で発生する、近接場電力システム。
【請求項2】
前記充電容積内の共振は、前記連続信号導体および連続接地導体と前記受信導体との間の一定かつ連続的なEM結合を示す、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの交流電力信号源は、信号を生成するように構成された送信機である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの交流電力信号源が前記受信導体と通信することによって、他の導体の機能がそれに応じて変更する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記経路に沿って前記連続信号導体と前記連続接地導体とを分離する指定距離は、前記充電容積の寸法を決定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの移動プラットフォームは、無線充電容積を形成する前記一定のEM結合によって前記受信導体を介して充電されるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの移動プラットフォームは、前記充電容積内で静止している、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの連続信号導体は、少なくとも2つの連続接地導体の間に位置するように構成され、前記導体は、前記経路に沿って所定の距離だけ離間するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの連続信号導体および前記少なくとも1つの連続接地導体は、地上に取り付けられるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの連続信号導体および前記少なくとも1つの連続接地導体は、地下に取り付けられるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの連続信号導体および前記少なくとも1つの連続接地導体は、垂直面に取り付けられるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの連続信号導体および前記少なくとも1つの連続接地導体は、移動体に取り付けられるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの連続信号導体および前記少なくとも1つの連続接地導体は、50~150ミクロンの厚さを有する導電性材料で作製されるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの連続信号導体および/または前記少なくとも1つの連続接地導体は、細長いシート状である、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの連続信号導体および/または前記少なくとも1つの連続接地導体は、円形の断面を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記受信導体は、移動プラットフォームに取り付けられ、前記受信導体は、動作中または前記経路に沿って移動する際に、前記少なくとも1つの連続信号導体および前記少なくとも1つの連続接地導体と連続的なEM結合を維持するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記受信導体は、移動プラットフォームに取り付けられ、前記経路と整列する必要がなく前記経路の近くを移動する際に、前記少なくとも1つの連続信号導体および前記少なくとも1つの連続接地導体と一定かつ連続的なEM結合を維持する、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記受信導体は、充電容積内に留まる限り、前記少なくとも1つの連続信号導体および前記少なくとも1つの連続接地導体と一定かつ連続的なEM結合を維持するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記一定かつ連続的なEM結合は、高さ制御手段によって、前記少なくとも1つの連続信号導体および前記少なくとも1つの連続接地導体と維持される、請求項16、17または18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記少なくとも1つの受信導体は、前記移動プラットフォームの任意の部分に取り付けられることができる、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記移動プラットフォームは、前記経路に沿って移動するように構成された自律走行車両である、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記自律走行車両は、動作環境内を移動するように構成された物流車両である、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記移動プラットフォームは、充電中に完全な動作性を維持するように構成された電気自動車両(EV)である、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
前記少なくとも1つの連続信号導体または前記少なくとも1つの連続接地導体のいずれかは、適応な共振およびEM結合能力を提供するために、それらの長さに沿って異なる寸法を有するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項25】
前記異なる寸法は、前記少なくとも1つの連続信号導体および/または前記少なくとも1つの連続接地導体の一部を形成する少なくとも1つの非平行部分である、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
連続信号導体および連続接地導体の複数の部分が、前記経路に沿って連続して配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項27】
EM共振は、受信導体を有する移動プラットフォームが指定された充電容積内に存在する場合にのみ生成可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項28】
複数のEM共振は、受信導体を有し、前記経路に沿って移動する少なくとも2つの移動プラットフォームのそれぞれに対して生成される、請求項1または27に記載のシステム。
【請求項29】
(i)少なくとも1つの送信機によって生成された交流電力信号を提供するステップと、
(ii)少なくとも1つの連続接地導体が前記送信機の接地と通信している間に、前記交流電力信号を少なくとも1つの連続信号導体に伝送するステップであって、両方の導体が、経路に沿って延び、互いに所定の距離をおいて配置されるように構成されることで、指定された充電容積が形成されるステップと、
(iii)少なくとも1つの移動プラットフォームに取り付けられるように構成された少なくとも1つの受信導体を提供するステップと、
(iv)導体間の重複や位置合わせを必要とせずに、前記充電容積内で所定の周波数で、前記少なくとも1つの連続信号導体および少なくとも1つの連続接地導体と前記受信導体との間で前記充電容積内の電磁(EM)共振を形成するステップと、
(v)前記連続信号導体および連続接地導体と前記受信導体との間で一定かつ連続的なEM結合を生成するステップと、を含む近接場電力システムの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線電力伝送(WPT)分野に関し、特に、移動プラットフォーム用の電磁(EM)近接場電力システムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気誘導、磁気共振、RF電力伝送、超音波電力伝送、および光電力伝送などのさまざまなエネルギー伝送を利用する無線充電システムおよび方法は、当技術分野で知られている。このシステムおよび方法は、通常、周知の、限られた、明確に定義されて限定された領域または容積内で効率的な電力伝送を維持するために、送信機と受信機との間の近接性および高度な位置合わせを必要とする。
【0003】
上記の既知のシステムおよび方法は、実質的に、固定プラットフォームへの無線充電および給電に適しており、陸、海、空または宇宙のいずれかで動作するように構成され、移動する能力またはあらゆる形式の輸送を提供する能力によって特徴付けられる車両などの移動プラットフォームへの給電または充電には特に適していない。
【0004】
当技術分野で知られているいくつかの解決手段(米国特許第10298058号など)は、複数の電圧容量源を必要とする容量性WPTに限定される走行中電力伝送を対象としたWPTアーキテクチャを検討した。一方、他の特許(米国特許2016/0023557など)が提供する解決手段は、カバー範囲が限られており、走行体を識別して充電ユニットを操作するために複雑な検出装置が必要である。さらに、上記解決手段は、複数の充電パッドを使用することにより、パンクした不連続な充電を提供するが、物理的制約により、電界または磁界の放射が充電パッドの寸法の境界内にのみ制限されるため、厳密かつ完全な位置合わせが必要となる。
【0005】
したがって、信号導体および接地導体(送信要素)と受信導体(受信要素)との間(受信要素は信号導体および接地導体に対して移動可能である)の、高く、強く、安全で、均一かつ安定した電磁(EM)結合を維持しながら、位置合わせを必要とせず、広い領域および容積をカバーできる単一電源の連続的な無線給電充電システムおよび方法が必要である。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、移動無線給電充電システムの一部としての送信機と受信機の間で高い電磁(EM)結合と高い電力伝送効率を維持しながら、比較的広い領域と容積をカバーするように構成された新規な近接場空間導体システムおよび方法を提供する。本発明によれば、連続信号導体、連続接地導体(両方とも同じ交流電源に接続されている)、および受信導体間の一定かつ連続的なEM結合により、移動プラットフォームは、導体の配置経路に沿って共振結合の間隔なしに実質的に一定の電流を受けることができる。
【0007】
本発明のさらなる利点は、受信機と導体との間の関係により、共振結合の間隔なしに無中断で実質的に一定の電流を受ける移動プラットフォーム(地上または地下、水上または水中、空中、宇宙などで動作可能に構成されている自律型または制御可能な任意の走行体/車両であってもよい)を可能にすることである。この配置は、柔軟に構成することもでき、それにより、送信導体に対する移動プラットフォームの位置および近接性は、WPTシステムのコンポーネントとの厳密な位置合わせを必要としない。
【0008】
本発明のさらなる利点は、システムの性能を実質的に低下させることなく、同じ連続導体アセンブリを使用する同じWPTシステムによって同時に複数の移動プラットフォームに給電できることである。
【0009】
高いエネルギー伝送効率を達成するために、送信および受信アンテナまたはコイルの両方が同じ周波数で自己共振するように設計された上記の従来技術とは対照的に、本発明に係る無線電力伝送用の空間共振システムは、送信アンテナ(連続導体)と受信アンテナ(受信導体)の両方によって共振周波数が決定され発生する。
【0010】
本発明の一態様によれば、少なくとも1つの交流電力信号源と、電力信号源から電気信号を受信するように構成され、経路に沿って延びるようにさらに構成された少なくとも1つの連続信号導体と、電力信号源の接地と通信するように構成され、経路に沿って延びるようにさらに構成された少なくとも1つの連続接地導体と、少なくとも1つの移動プラットフォームに取り付けられるように構成された少なくとも1つの受信導体と、を備え、連続信号導体が連続接地導体から所定の距離に配置されるように構成されることで、指定された充電容積が形成され、共振が充電容積内で発生する、近接場電力システムを提供する。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、充電容積内の共振は、連続信号導体および連続接地導体と受信導体との間の一定かつ連続的なEM結合を示す。
【0012】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの交流電力信号源は、信号を生成するように構成された送信機である。
【0013】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの交流電力信号源が受信導体と通信することによって、他の導体の機能がそれに応じて変更する。
【0014】
いくつかの実施形態によれば、経路に沿って連続信号導体と連続接地導体とを分離する所定の距離が、充電容積の寸法を決定する。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの移動プラットフォームは、無線充電容積を形成する一定のEM結合によって受信導体を介して充電されるように構成されている。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの移動プラットフォームは、充電容積内で静止している。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの連続信号導体は、少なくとも2つの連続接地導体の間に位置するように構成され、導体は、経路に沿って所定の距離だけ離間するように構成されている。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの連続信号導体および少なくとも1つの連続接地導体は、地上に取り付けられるように構成されている。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの連続信号導体および少なくとも1つの連続接地導体は、地下に取り付けられるように構成されている。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの連続信号導体および少なくとも1つの連続接地導体は、垂直面に取り付けられるように構成されている。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの連続信号導体および少なくとも1つの連続接地導体は、移動体に取り付けられるように構成されている。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの連続信号導体および少なくとも1つの連続接地導体は、50~150ミクロンの厚さを有する導電性材料で作製されるように構成されている。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの連続信号導体および/または少なくとも1つの連続接地導体は、細長いシート状である。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの連続信号導体および/または少なくとも1つの連続接地導体は、円形の断面を有する。
【0025】
いくつかの実施形態によれば、受信導体は、移動プラットフォームに取り付けられ、受信導体は、動作中または経路に沿って移動する際に、少なくとも1つの連続信号導体および少なくとも1つの連続接地導体と連続的なEM結合を維持するように構成されている。
【0026】
いくつかの実施形態によれば、受信導体は、移動プラットフォームに取り付けられ、経路と整列する必要がなく経路の近くを移動する際に、少なくとも1つの連続信号導体および少なくとも1つの連続接地導体と一定かつ連続的なEM結合を維持する。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、受信導体は、充電容積内に留まる限り、少なくとも1つの連続信号導体および少なくとも1つの連続接地導体と一定かつ連続的なEM結合を維持するように構成されている。
【0028】
いくつかの実施形態によれば、一定かつ連続的なEM結合は、高さ制御手段によって、少なくとも1つの連続信号導体および少なくとも1つの連続接地導体と維持される。
【0029】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの受信導体は、移動プラットフォームの任意の部分に取り付けられることができる。
【0030】
いくつかの実施形態によれば、移動プラットフォームは、経路に沿って移動するように構成された自律走行車両である。
【0031】
いくつかの実施形態によれば、自律走行車両は、動作環境内を移動するように構成された物流車両である。
【0032】
いくつかの実施形態によれば、移動プラットフォームは、充電中に完全な動作性を維持するように構成された電気自動車両(EV)である。
【0033】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの連続信号導体または少なくとも1つの連続接地導体は、適応な共振およびEM結合能力を提供するために、それらの長さに沿って異なる寸法を有するように構成されている。
【0034】
いくつかの実施形態によれば、異なる寸法は、少なくとも1つの連続信号導体および/または少なくとも1つの連続接地導体の一部を形成する少なくとも1つの非平行部分である。
【0035】
いくつかの実施形態によれば、連続信号導体および連続接地導体の複数の部分は、経路に沿って連続して配置される。
【0036】
いくつかの実施形態によれば、EM共振は、受信導体を有する移動プラットフォームが指定された充電容積内に存在する場合にのみ生成可能である。
【0037】
いくつかの実施形態によれば、複数のEM共振は、受信導体を有し、経路に沿って移動する少なくとも2つの移動プラットフォームのそれぞれに対して生成される。
【0038】
第2の態様によれば、少なくとも1つの送信機によって生成された交流電力信号を提供するステップと、少なくとも1つの連続接地導体が送信機の接地と通信している間に、交流電力信号を少なくとも1つの連続信号導体に伝送するステップであって、両方の導体が、経路に沿って延び、互いに所定の距離をおいて配置されるように構成されるステップと、少なくとも1つの移動プラットフォームに取り付けられるように構成された少なくとも1つの受信導体を提供するステップと、少なくとも1つの連続信号導体および少なくとも1つの連続接地導体と受信導体との間で電磁(EM)共振を形成するステップと、連続信号導体および連続接地導体と受信導体との間で一定かつ連続的なEM結合を生成するステップと、を含む近接場電力システムの使用方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本発明のいくつかの実施形態は、添付の図面を参照して本明細書で説明される。この説明は、図面とともに、いくつかの実施形態がどのように実施され得るかを当業者に明らかにする。これらの図面は例示的な説明を目的とするものであり、本発明の基本的な理解に必要となる以上に詳細に実施形態の構造の詳細を示すことは意図しない。
図1A-1B】本発明のいくつかの実施形態による、WPTシステムの一部を形成する連続導体アセンブリの概略図である。
図2A-2H】本発明のいくつかの実施形態による、WPTシステムの一部を形成する連続導体アセンブリの様々な構成を導体の軸線に沿って見た概略図である。
図3A-3B】本発明のいくつかの実施形態による、WPTシステムの一部を形成する連続導体アセンブリの様々な構成の概略図である。
図4A-4B】本発明のいくつかの実施形態による、WPTシステムの一部を形成する連続導体アセンブリの様々な構成の概略図である。
図5】本発明のいくつかの実施形態による、WPTシステムの一部を形成する連続導体アセンブリの様々な構成の概略図である。
図6】本発明のいくつかの実施形態による、連続導体アセンブリの様々な構成の概略平面図であり、連続導体アセンブリを形成する連続導体間の考えられる様々な関係およびこれらの構成要素の識別を概略的に示す。
図7A-7B】本発明のいくつかの実施形態による、WPTシステムの一部を形成する受信導体を含む移動プラットフォームの概略図である。
図7C】本発明のいくつかの実施形態による、WPTシステムの一部を形成する受信導体の概略図である。
図8A-8B】本発明のいくつかの実施形態によるWPTシステムの概略図である。
図9A-9B】本発明のいくつかの実施形態によるWPTシステムの概略斜視図である。
図10-13】本発明のいくつかの実施形態による、EM場の断面高周波シミュレーションソフトウェア(HFSS)によるWPTシステムの様々なパラメータおよび関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が記載されている。しかしながら、本発明は、これらの具体的な詳細がなくても実施され得ることは、当業者には明らかであろう。他の場合には、本発明を不明瞭にしないために、周知の方法、手順、コンポーネント、モジュール、ユニット、および/または回路については詳細に説明していない。一実施形態に関して説明したいくつかの特徴または要素は、他の実施形態に関して説明した特徴または要素と組み合わせることができる。明確にするために、同一または類似の特徴または要素の説明は繰り返さないことがある。
【0041】
本発明の実施形態はこの点に関して限定されないが、例えば、「制御」、「処理」、「演算」、「計算」、「決定」、「確立」、「分析」、「チェック」、「設定」、「受信」などの用語を利用する議論は、コンピュータのレジスタおよび/またはメモリ内の物理量(例えば、電子的)として表されるデータを、コンピュータのレジスタおよび/またはメモリ内の物理量として同様に表される他のデータ、または操作および/またはプロセスを実行するための命令を格納し得る他の情報非一時的記憶媒体に操作および/または変換する、コントローラ、コンピュータ、コンピューティングプラットフォーム、コンピューティングシステム、クラウドコンピューティングシステ、または他の電子コンピューティングデバイスの操作(複数可)および/またはプロセス(複数可)を指すことができる。
【0042】
明示的に述べない限り、本明細書に記載される方法の実施形態は、特定の順序または配列に制約されない。さらに、記載された方法の実施形態またはその要素のいくつかは、同時に、同じ時点で、または同時に存在し得るか、または実行され得る。
【0043】
本明細書で使用される「コントローラ」という用語は、中央処理装置 (CPU) またはマイクロプロセッサを備え、複数の入出力 (I/O) ポートを備えることができる任意のコンピューティングプラットフォームまたはコンポーネントを指す。 例えば、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、タブレット、携帯電話、コントローラチップ、SoC、クラウドコンピューティングシステムなどの汎用コンピュータである。
【0044】
本明細書で使用される語「充電容積」という用語は、2つの導体間のEM共振の潜在的な範囲を指す。例えば、充電容積は、EM共振が送信導体と受信導体との間にEM結合を引き起こす可能性がある潜在的な範囲であり得る。
【0045】
本明細書で使用される「連続信号導体」という用語は、送信機の出力と通信し、連続的で実質的に中断のない交流電力信号を受信するように構成された導体を指す。
【0046】
本明細書で使用される「連続接地導体」という用語は、送信機の接地と通信するように構成された導体を指す。
【0047】
図1Aおよび1Bは、WPTシステム30(図8および図9に示す)の一部を形成する連続導体アセンブリ10を概略的に示す。図示されるように、少なくとも1つの連続信号導体101は、電磁場を放射するように構成され、経路Pに沿って散在するようにさらに構成されている。いくつかの実施形態によれば、連続信号導体101は、信号導体101の長さに沿った任意の位置に配置され得る送信機104に接続されるように構成される。
【0048】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの連続接地導体102は、連続信号導体101に近接して配置され、送信機104の接地にも接続されるように構成される。いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの連続接地導体102は、連続信号導体101と平行に配置されるように構成される。
【0049】
いくつかの実施形態によれば、連続信号導体101および連続接地導体102は、交流電力信号を生成する送信機104に接続されるように構成され、さらに、連続信号導体101および連続接地導体102と受信導体(図8および図9に示す)との間で、指定された共振を生成して一定かつ連続的なEM結合を生成するように構成される。
【0050】
いくつかの実施形態によれば、上記機能により、移動プラットフォームは、導体アセンブリ10と受信導体(図8および図9に示す)との間の非結合状態を引き起こす可能性がある共振変化の間隔を設けることなく、実質的に一定の無線電力伝送を受信することができる。いくつかの実施形態によれば、連続信号導体101および連続接地導体102と送信機104との接続は、任意の形態の放射通信であってもよい。
【0051】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも2つの連続接地導体102Aおよび102Bは、連続信号導体101に近接して配置されるように構成され、さらに、連続信号導体101、少なくとも2つの連続接地導体102Aおよび102Bと受信導体(図7に示す)との間で、指定された共振を生成して一定かつ連続的なEM結合を生成するように構成され、これにより、移動プラットフォームは、導体アセンブリ10と受信導体との間の非結合状態を引き起こす可能性がある共振変化の間隔を設けることなく、一定の電流を受けることができる。
【0052】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの連続接地導体102は、連続信号導体101と平行に配置されるように構成される。いくつかの実施形態によれば、連続接地導体102Aおよび102Bは、連続導体アセンブリ10によって形成される電気回路に同じ基準レベルを提供するために、導電性接続106によって接続されてもよい。いくつかの実施形態によれば、基準点は電気接地手段によって得られる。
【0053】
いくつかの実施形態によれば、連続導体アセンブリ10は、WPTシステム30のカバーされる容積を画定するように構成され、また、所定の周波数に対して、指定容積内の任意の点でWPTシステム30の受信導体と同じ共振および結合性能を維持するように構成される。
【0054】
図2A~2Hは、WPTシステム30の一部を形成する連続導体アセンブリ10の様々な構成を概略的に示す。図示されるように、連続信号導体101、および/または連続接地導体102、および/または少なくとも2つの連続した接地導体102Aおよび102Bは、様々な寸法、断面、高さ、および形態を有し得る。例えば、導体は、好ましくは50~150ミクロンの厚さの薄いシートの形態であってもよい。他の例では、導体は円形の断面などを有してもよい。
【0055】
いくつかの実施形態によれば、WPTシステム30の一部を形成する連続導体アセンブリ10の様々な構成に対して共振が発生し得る、潜在的な指定された充電容積の生成は、導体アセンブリ10を形成する様々な導体のEM場の潜在的分布を表す。潜在的なEM場分布は、導体アセンブリ10の形成に関して潜在的な充電容積の寸法を設定する。
【0056】
いくつかの実施形態によれば、連続導体アセンブリ10の様々な構成および形状は、連続導体アセンブリ10の間で生成されるEM共振の充電容積に影響を及ぼし、その結果、連続導体アセンブリ10と受信導体との間で生成されるEM結合に影響を与える。いくつかの実施形態によれば、連続導体アセンブリ10の構成、配置、高さおよび形状は、最適化されたEM結合を達成し、その結果として最適化された無線電力伝送を達成するために最適化され得る。いくつかの実施形態によれば、指定された充電容積は、導体アセンブリ10の形成寸法を超えてもよい。
【0057】
図3Aおよび3Bは、WPTシステム30の一部を形成する連続導体アセンブリ10の様々な構成を概略的に示す。図示されるように、連続信号導体101および/または連続接地導体102は、略経路Pに沿って配置されるように構成されてもよい。しかしながら、いくつかの実施形態によれば、導体の設置/配置は、様々な制約または懸念事項に適応可能である。例えば、経路に沿った特定の点(複数可)における導体の設置/配置は、経路Pに対して、ずれているかまたは垂直であることが可能である。いくつかの実施形態によれば、配置の柔軟性により、導体を湾曲した道路または風の強い道路などの様々な地形に配置することが可能になる。
【0058】
いくつかの実施形態によれば、配置の柔軟性により、導体アセンブリ10と受信導体との間の連続的な共振および結合能力を維持することがさらに可能になる。いくつかの実施形態によれば、配置の柔軟性により、経路Pに沿ったWPTシステム30の指定容積内の特定の点または領域における結合および共振性能が変化し得る。
【0059】
図4Aおよび4Bは、WPTシステム30の一部を形成する連続導体アセンブリ10の様々な構成を概略的に示す。図示されるように、連続信号導体101、および/または連続接地導体102、および/または少なくとも2つの連続接地導体102Aおよび102Bは、略経路Pに沿って配置されるように構成されてもよい。しかしながら、いくつかの実施形態によれば、導体の幅および形状は、様々な制約または懸念事項に従って変化可能である。例えば、導体は、それらの軸線に沿って広くなってもよく、または狭くなってもよい。いくつかの実施形態によれば、変化する幅は、WPTシステム30の指定容積内の大きな連続した領域にわたる結合および共振性能に影響を及ぼし得る。
【0060】
図5は、WPTシステム30の一部を形成する連続導体アセンブリ10の様々な構成を概略的に示す。図示されるように、連続信号導体101および/または連続接地導体102の複数の部分は、経路Pに沿って連続して配置されてもよい。例えば、導体は、経路Pに沿って連続した1つのユニットとして接続され動作するように構成された複数の部分で配置されてもよい。いくつかの実施形態によれば、各部分は、経路Pに沿って各部分に交流電力信号を個別に提供するように構成された別個の送信機104を備えることができる。いくつかの実施形態によれば、連続した部分は、様々必要および制約に従って一列になってもよく互いに異なっていてもよい。
【0061】
図6は、連続導体アセンブリ10を形成する導体間の考えられる様々な関係およびこれらの構成要素の識別を概略的に示す。
・Wf-連続信号導体101の幅、
・Lf-連続信号導体101の長さ、
・Tf-連続信号導体101の厚さ、
・Wg1-連続接地導体102Aの幅、
・Lg1-連続接地導体102Aの長さ、
・Tg1-連続接地導体102Aの厚さ、
・Wg2-連続接地導体102Bの幅、
・Lg2-連続接地導体102Bの長さ、
・Tg2-連続接地導体102Bの厚さ、
・D1.1、D1.N-連続信号導体101と連続接地導体102Aとの間の距離、
・D2.1、D2.N-連続信号導体101と連続接地導体102Bとの間の距離、
・Hrel1.1、Hrel1.N-連続信号導体101と連続接地導体102Aとの間の相対高さ、
・Hrel2.1、Hrel2.N-連続信号導体101と連続接地導体102Bとの間の相対高さ、
・Z1.1~Z1.N-集中コンポーネント、スタブ、異なる媒体(材料)などを使用することによって達成され得る、連続信号導体101と連続接地導体102Aとの間のインピーダンス、
・Z2.1~Z2.N-集中コンポーネント、スタブ、異なる媒体(材料)などを使用することによって達成され得る、連続信号導体101と連続接地導体102Bとの間のインピーダンス。
【0062】
いくつかの実施形態によれば、連続導体アセンブリ10を形成する様々な導体間の関係は、WPTシステム30の動作を決定する、指定された充電容積の境界と、必要な周波数と、一定の空間的な電磁共振性能を設定および定義することができる。(上記関係およびその効果のさらなる例は、図10~13で広く開示され記載されている)。
【0063】
図7Aおよび7Bは、WPTシステム30の一部を形成する受信導体20および移動プラットフォーム108を概略的に示す。図示されるように、受信導体20は、移動プラットフォーム108に取り付けられるように構成されてもよい。いくつかの実施形態によれば、移動プラットフォーム108は、経路P(図示せず)に沿って移動するように構成された、地上/地下、水上/水中、空中、宇宙などのいずれかの媒体内であらゆる種類の輸送または移動に使用される任意の走行体および/または車両であってよい。
【0064】
いくつかの実施形態によれば、受信導体20は、導体アセンブリ10に対して相補的なサブシステムとして機能するように構成され、それにより、受信導体20および導体アセンブリ10は、連続空間共振器を形成するように配置され、ここで、受信導体20は、導体アセンブリ10によって指定された容積内に位置する。いくつかの実施形態によれば、受信導体20は、移動プラットフォーム108の任意の面に取り付けられてもよく、例えば、受信導体20は、移動プラットフォーム108の後面、前面、腹側面または背側面などに取り付けられてもよい。いくつかの実施形態によれば、この取り付けにより、図6に示されたパラメータの値の一部に影響を与える可能性がある。いくつかの実施形態によれば、送信機104は、アセンブリ10と通信できる一方で、代わりに受信導体20と通信することによってシステムの同様の動作が得られることを理解されたい。
【0065】
いくつかの実施形態によれば、受信導体20は、受信電力を移動プラットフォーム108(図示せず)の様々な用途に利用可能なDC電力に整流するための受信ユニットにさらに接続されてもよい。いくつかの実施形態によれば、一定の受信および整流されたEM電力は、移動プラットフォーム108のパワーバンクを充電するように構成されてもよい。例えば、一定の受信および整流されたEM電力は、移動プラットフォーム108に推進力および制御を提供するように設計されたリチウムイオン電池などの電池を充電するように構成されてもよい。
【0066】
いくつかの実施形態によれば、一定の受信および整流されたEM電力は、バッテリを使用する必要なく、移動プラットフォーム108を直接推進および制御するように構成されてもよい。
【0067】
いくつかの実施形態によれば、移動プラットフォーム108は、経路Pに沿って移動している間に完全に動作できるように構成され、例えば、移動プラットフォーム108は、乗客や貨物などを運ぶように構成された電気自動車両であってもよい。
【0068】
図7Cは、WPTシステム30の一部を形成する受信導体20の可能な構成を概略的に示す。図示されるように、受信導体20は、様々な形状および大きさで形成されてもよく、または様々な内部/外部導体を含んでもよく、例えば、受信導体20は、強化されたEM結合能力を提供するように構成された梯子状の導体として形成されてもよい。いくつかの実施形態によれば、受信導体20は薄型導体として形成されてもよい。
【0069】
図8Aおよび8Bは、WPTシステム30を概略的に示す。図示されるように、受信導体20は、連続導体アセンブリ10に沿って移動するように構成された移動プラットフォーム108に取り付けられるように構成されてもよい。いくつかの実施形態によれば、移動プラットフォーム108は、乗客/荷物を運ぶかまたは特定のタスクを実行するように設計された自律型ロボットなどの走行体であってもよい。いくつかの実施形態によれば、受信導体20と結合された移動プラットフォーム108は、所定の充電容積内で移動/位置するように設計される。
【0070】
いくつかの実施形態によれば、高いEM結合を表すEM場分布400は、受信導体20を備える車両108が指定された充電容積に進入するときに発生し、導体アセンブリ10によって生成された電磁場は、空間共振状態の発生により、受信導体20によって受信される。いくつかの実施形態によれば、距離D3は、移動プラットフォーム108の高さから得られる。
【0071】
図9Aおよび9Bは、WPTシステム30を概略的に示す。図示されるように、受信導体20は、連続導体アセンブリ10に沿って移動するように構成された移動プラットフォーム110に取り付けられるように構成されてもよい。いくつかの実施形態によれば、移動プラットフォーム110は、乗客または貨物を運ぶように設計された車両であってもよい。いくつかの実施形態によれば、受信導体20と結合された移動プラットフォーム110は、所定の充電容積の範囲内で移動/位置するように設計される。いくつかの実施形態によれば、EM結合400は、受信導体20を備える車両110が指定された充電容積に進入するときに発生する。
【0072】
いくつかの実施形態によれば、距離D4は、移動プラットフォーム110の高さから得られる。いくつかの実施形態によれば、受信導体20と結合された移動プラットフォーム110は、高いEM結合を示す最適化されたEM場分布400を達成するために、適応高さ能力を有し得る。
【0073】
図10A~10Eは、高いEM結合を示すEM場分布400、断面高周波シミュレーションソフトウェアによるWPTシステム30の様々なパラメータおよび関係を概略的に示す。図示されるように、受信導体20(図示せず)が取り付けられた移動プラットフォーム108/110は、経路Pに沿って配置された導体アセンブリ10に沿って前進し(X軸に沿った移動として)、空間共振および連続的なEM結合を維持しながら、指定された充電容積内で複数の位置でサンプリングされる。いくつかの実施形態によれば、空間共振の発生は、一定かつ連続的な高いEM結合状態および高い電力伝送効率をもたらし、指定された充電容積内の受信導体20の位置に従って、高いEM結合を示す変化したEM場分布400によって観察されることができる。
【0074】
いくつかの実施形態によれば、図10Aでは、受信導体20が取り付けられた移動プラットフォーム108/110は、被測定導体アセンブリ10の始点から0mmの位置にあり、図10Bでは、受信導体20が取り付けられた移動プラットフォーム108/110は、被測定導体アセンブリ10の始点から1000mmの位置にあり、図10Cでは、受信導体20が取り付けられた移動プラットフォーム108/110は、被測定導体アセンブリ10の始点から2000mmの位置にあり、図10Dでは、受信導体20が取り付けられた移動プラットフォーム108/110は、被測定導体アセンブリ10の始点から3000mmの位置にあり、図10Eでは、受信導体20が取り付けられた移動プラットフォーム108/110は、被測定導体アセンブリ10の始点から4000mmの位置にある。図示されるように、高いEM結合と高い電力伝送効率は、パスPに沿ったどの位置でも一定かつ連続している。
【0075】
図10F~10Hは、高いEM結合を示すEM場分布400、断面高周波シミュレーションソフトウェアによるWPTシステムの様々なパラメータおよび関係を概略的に示す。図示されるように、受信導体20(図示せず)が取り付けられた移動プラットフォーム108/110は、導体アセンブリ10の中心線と整列することなく(Y軸に沿った移動として表される)、空間共振および連続的なEM結合を維持しながら、指定された充電容積内で複数の位置でサンプリングされる。
【0076】
いくつかの実施形態によれば、図10Fは、受信導体20が取り付けられ、導体アセンブリ10の中心線(すなわち、Y軸距離=0mm)に配置された移動プラットフォーム108/110を示す。いくつかの実施形態によれば、図10Gは、受信導体20が取り付けられ、導体アセンブリ10の中心線の左側(すなわち、Y軸距離=250mm)に配置された移動プラットフォーム108/110を示す。いくつかの実施形態によれば、図10Hは、受信導体20が取り付けられ、導体アセンブリ10の中心線の右側(すなわち、Y軸距離=-250mm)に配置された移動プラットフォーム108/110を示す。
【0077】
いくつかの実施形態によれば、受信導体20が取り付けられた移動プラットフォーム108/110は、導体アセンブリ10によって生成される指定容積内に配置されるように構成され、WPTシステム30は、指定された周波数で共振を開始するように構成されており、これにより、導体アセンブリ10から放射されて受信導体20によって受信されるEM場400が出現し、高いEM結合が生じる。この受信導体20を備えたWPTシステム30の配置により、システム20によって定められる放射の拡散の抑制および制御に寄与することが理解される。
【0078】
図10A図10Hからわかるように、WPTシステム30は、導体アセンブリ10に対する受信導体20の位置に関係なく、十分かつ連続的なEM共振および結合を維持することを可能にする。いくつかの実施形態によれば、図面から分かるように、導体アセンブリ10から現れるEM場400は、主に受信導体20によって分散され受信される。
【0079】
図11A~11Dは、高いEM結合を示すEM場分布400、断面高周波シミュレーションソフトウェアによるWPTシステム30の様々なパラメータおよび関係を概略的に示す。
【0080】
いくつかの実施形態によれば、図11Aは、受信導体20が存在しない導体アセンブリ10を示す。図示されるように、指定容積内に受信導体20が存在しないため、導体アセンブリ10は共振しない。
【0081】
いくつかの実施形態によれば、図11Bは、導体アセンブリ10の上方約35mmの高さにある受信導体20を示す。いくつかの実施形態によれば、この高さは、動作ロボット型移動プラットフォームの地面からのおおよその高さである。
【0082】
いくつかの実施形態によれば、図11Cは、導体アセンブリ10の上方約100mmの高さにある受信導体20を示す。いくつかの実施形態によれば、この高さは、自律フォークリフト型移動プラットフォームの地面からのおおよその高さである。
【0083】
いくつかの実施形態によれば、図11Dは、導体アセンブリ10の上方約200mmの高さにある受信導体20を示す。いくつかの実施形態によれば、この高さは、電気自動車両の地面からのおおよその高さである。
【0084】
図11A図11Dに示されるように、WPTシステム30は、導体アセンブリ10に対する受信導体20の高さ(Z軸)に関係なく、十分かつ連続的なEM共振および結合を維持することを可能にする。いくつかの実施形態によれば、図面から分かるように、導体アセンブリ10から現れるEM場400は、主に受信導体20によって分散され受信される。
【0085】
図12A~12Dは、高いEM結合を示すEM場分布400、断面高周波シミュレーションソフトウェアによるWPTシステム30の様々なパラメータおよび関係を概略的に示す。図示されるように、EM結合は、導体アセンブリ10と、経路Pに沿って移動する受信導体20が取り付けられた各移動プラットフォーム108/110との間で、各受信導体20が導体アセンブリ10と同じ周波数で共振している際に生成される。いくつかの実施形態によれば、複数の移動プラットフォーム108/110は、経路Pに沿って移動すると同時に導体アセンブリ10に結合されてもよい。いくつかの実施形態によれば、複数の移動プラットフォーム108/110は、同じ周波数で導体アセンブリ10に均等に結合され、これは、導体アセンブリ10から伝送される総電磁電力が移動プラットフォーム108/110間で均等に分割されるが、指定容積内に位置する追加の移動プラットフォーム108/110の数に関係なく、各移動プラットフォーム108/110間の電力伝達効率が依然として高いことを意味する。
【0086】
図13Aおよび13Bは、高いEM結合を示すEM場分布400、断面高周波シミュレーションソフトウェアによるWPTシステム30の様々なパラメータおよび関係を概略的に示す。図示されるように、図13Aは、導体アセンブリ10と、好ましくは移動プラットフォームに取り付けられた受信導体20との結合のシミュレーション結果を示す。いくつかの実施形態によれば、導体アセンブリ10と受信導体20との間のZ軸上の距離は300mmである。その結果、導体アセンブリ10と受信導体20との間のZ軸上の距離が300mmであることを示す図13Bで生じる強い結合と比較して、結合の減少が生じる。いくつかの実施形態によれば、図13Bは、200mmに近い幅(Wf)を有する導体アセンブリ10を示し、よって充電容積の寸法が拡大され、より高い結合状態が維持され、図13Aに示される導体アセンブリ10の幅(Wf)は50mmに近いため、結合が低くなる。その結果、受信導体20の位置は、図13Aに示される充電容積の寸法を超えている。
【0087】
いくつかの実施形態によれば、導体アセンブリ10のシミュレーション設定値は次のとおりである。
連続信号導体101:Lf(長さ)=4500mm、Wf(幅)=50mm、Tf(厚さ)=0.1mm、材質=銅。
連続接地導体102:Lg1(長さ)=4500mm、Wg1(幅)=50mm、Tg1(厚さ)=0.1mm、材質=銅。距離D1は170mm、Hrel1(連続信号導体101と連続接地導体102との間の相対高さ)は0mmである。
【0088】
いくつかの実施形態によれば、受信導体20のシミュレーション設定値は次のとおりである。
メインポールの長さ=500mm、幅(サイドポールの長さ)=350mm、厚さ=10mm、材質=銅。
いくつかの実施形態によれば、シミュレートされたWPTシステム30は、13.56MHzの周波数で共振するように構成される(すべてのシミュレーション結果は同じ周波数である)。
【0089】
いくつかの実施形態によれば、導体アセンブリ10および受信導体20の有無は、リターンロスに影響を与える可能性がある。換言すれば、導体アセンブリ10は、指定された充電容積内に受信ユニット20が存在する場合にのみ、システム30の所望の共振周波数で共振し、その逆も同様である。
【0090】
いくつかの実施形態によれば、導体アセンブリ10は、道路、小道、歩道、倉庫、通路、屋内および屋外の床などの上方、内部、または下方で組み立てられるように構成されてもよい。
【0091】
いくつかの実施形態によれば、導体アセンブリ10は、任意の輸送媒体などで、壁などの垂直面、保管棚、内部または外部構造に組み立てられるように構成されてもよい。
【0092】
いくつかの実施形態によれば、導体アセンブリ10は、経路Pに沿って異なるインピーダンスレベルを有してもよい。
【0093】
いくつかの実施形態によれば、WPTシステム30は非放射システムであり、導体アセンブリ10と受信導体20との間の強いEM結合により、最小限の放射が周囲に放射されることを意味する。
【0094】
特定の実施形態を参照して本発明を説明してきたが、この説明は限定的な意味で解釈されることを意図したものではない。開示された実施形態の様々な修正、および本発明の代替実施形態は、本発明の説明を参照すれば当業者には明らかとなるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の範囲内に含まれるそのような変更を網羅するものと考えられる。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8A-8B】
図9A-9B】
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図10G
図10H
図11A
図11B
図11C
図11D
図12A
図12B
図12C
図12D
図13A
図13B
【国際調査報告】