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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-15
(54)【発明の名称】歯科用印象材電動ディスペンサー
(51)【国際特許分類】
   A61C 9/00 20060101AFI20231208BHJP
【FI】
A61C9/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530965
(86)(22)【出願日】2021-06-16
(85)【翻訳文提出日】2023-05-22
(86)【国際出願番号】 KR2021007538
(87)【国際公開番号】W WO2022139084
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】10-2020-0180424
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523189532
【氏名又は名称】ユン ムンギュ
【氏名又は名称原語表記】YUN,Mun Gyu
(71)【出願人】
【識別番号】523189543
【氏名又は名称】ユン ソクフン
【氏名又は名称原語表記】YUN,Seok Hun
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】ユン ムンギュ
(72)【発明者】
【氏名】ユン ソクフン
(57)【要約】
歯科用印象材電動ディスペンサーは、長さ方向の長手方向装着部が形成された本体と;先端に、ミキシングチップ部と連通する押出口が相互に連通し第1充填室と第2充填室とが区画された印象材カートリッジが装着される、上部開放型のトレー部と;印象材カートリッジの先端に形成された一対の押出口に連通し、一対の押出口を通じて定量排出されるシリコンベースと硬化剤とを撹拌して排出する、ミキシングチップ部と;一対の加圧端を通じてトレー部に装着された印象材カートリッジの一対のピストンを同時に加圧する、押出ロッド部と;バッテリーセルに蓄電された起動電流が印加されて、電動により押出ロッド部が前方へ進出するようにする、電動押出部と;を含んで構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ方向の長手方向装着部が形成された本体と;
前記本体の長手方向装着部に長手方向に形成され、先端に、ミキシングチップ部と連通する押出口が相互に連通し第1充填室と第2充填室とが区画された印象材カートリッジが装着される、上部開放型のトレー部と;
前記トレー部の前方に組み立てられて印象材カートリッジの先端に形成された一対の押出口に連通し、一対の押出口を通じて定量排出されるシリコンベースと硬化剤とを撹拌して排出する、ミキシングチップ部と;
前記本体の長手方向装着部に進退構造で配置され、一対の加圧端を通じてトレー部に装着された印象材カートリッジの一対のピストンを同時に加圧する、押出ロッド部と;
前記本体に内設され、バッテリーセルに蓄電された起動電流が印加されて、電動により押出ロッド部が前方へ進出するようにする、電動押出部と;を含んで構成されたことを特徴とする歯科用印象材電動ディスペンサー。
【請求項2】
請求項1において、
前記電動押出部は、バッテリーセルから起動電流が印加されて回転する回転軸を有する押出モータと;該押出モータの回転軸と噛み合わされて前後方向に回転する作動ギアと;を含み、
前記押出ロッド部は、端部に加圧端が形成された一対の押出ロッドを含み、長手方向装着部に、進退路が形成された進退ガイドを配置し、
前記各押出ロッドは、進退ガイドに形成された進退路に沿って長さ方向に進退するように構成される一方、前記押出ロッドには、電動押出部の作動ギアと噛み合わされるラックギアが形成されたことを特徴とする歯科用印象材電動ディスペンサー。
【請求項3】
請求項2において、
前記電動押出部と前記押出ロッド部との間には、電動押出部の作動ギアと、該作動ギアとラックギアとの噛合状態を設定するクラッチ構造と、が形成されたことを特徴とする歯科用印象材電動ディスペンサー。
【請求項4】
請求項3において、
前記進退ガイドの進退路は、 押出ロッドの高さよりも相対的に高く作製され、前記進退路に進退構造で設置された押出ロッドは、進退路との高さ偏差により形成された上下遊隔によって上下昇降可能に構成され、
前記長手方向装着部には、前記押出ロッドの加圧を通じて押出ロッドの昇降状態を設定して、押出ロッドのラックギアと前記押出ロッドの下部に配置された電動押出部の作動ギアとの間の噛合状態を設定する、加圧クラッチレバーが形成されたことを特徴とする歯科用印象材電動ディスペンサー。
【請求項5】
請求項1において、
前記本体を挙上支持し、本体に設置されたバッテリーセルへ電流を印加する充電端子が形成された、充電クレードルをさらに含んで構成されたことを特徴とする歯科用印象材電動ディスペンサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科用印象材電動ディスペンサーに関し、より詳細には、シリコンベースと硬化剤とが充填されたカートリッジを装着して、充填されたベースと硬化剤とを定量押し出しながら撹拌、混入して排出する歯科用印象材電動ディスペンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
歯科治療において歯牙の印象採得過程は、歯牙の欠損などがあった場合、口腔組織の複製物のための陰型を作製する過程であって、印象材を歯牙に固定されたトレーに注入し、一定の時間が経つと印象材が固まって(硬化して)、歯牙の形態を得る過程である。
【0003】
印象材は、歯牙印象用トレーに収容されたままで歯牙の形態通りに固まって(硬化して)、歯科患者の口腔の内部印象構造の陰型を提供する。このように提供された陰型を基に人工の歯牙または歯牙の一部分を作製するものである。
【0004】
具体的な印象採得過程は、固形化していない流動性を有する印象材(液状のシリコンベース及び硬化剤)を口腔内に入れ、患者が印象材を噛んで圧迫した状態を維持して印象材が固まるまで待った後、印象材が固まったらトレーを外すことで、歯牙の印象を完了するものである。
【0005】
シリコンベースと硬化剤との混合物である印象材は、液状シリコンベースと硬化剤とが混合されながら硬化が始まるので、カートリッジは、液状シリコンベースと硬化剤とが分離してそれぞれ貯蔵される一対のシリンダーからなっており、カートリッジに連結されるミキシングチップを介しながら混合され、前記混合された印象材は、オーラルチップを介して患者の口腔内の目的とする地点に注入される。
【0006】
しかし、印象の採得は、人工の歯牙または歯牙の一部分を作製する土台となるから、非常に高い精密度が要求され、このように精密な印象採得のためには、印象材の注入過程も非常に熟練した作業技術を要する。
【0007】
なお、前記歯科用印象材を構成するシリコンベースと硬化剤とは、シリコンベースが定量充填される第1押出シリンダーと、前記シリコンベースと定量混入されてシリコンベースの硬化を促す硬化剤が充填される第2押出シリンダーとを有する、印象材カートリッジの第1押出シリンダーと第2押出シリンダーとに分離して充填され、印象の過程でシリコンベースと硬化剤とを押し出し及び交互に口腔内へ吐出する。
【0008】
前記印象材カートリッジに収容された印象材を排出させるディスペンサーは、ユーザが手動で操作する手動方式と、駆動源の電動力により自動的に一定量が排出されるようにする自動方式とがある。
【0009】
そして、本発明に関連して自動方式のディスペンサーは、米国特許公開第2004/0182882号に開示されたところがある。
【0010】
これによれば、歯科において、歯牙の印象のために、ディスペンサーから印象材を排出して患者のいる所まで移動する過程で、既に印象材が硬化してしまい、使用できなくなる場合が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許公開第2004/0182882号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前記の問題点を解消するために創案された本発明の目的は、シリコンベースと硬化剤とが充填されたカートリッジを装着し、電動により充填されたシリコンベースと硬化剤とを同時に定量押し出し、押し出されるシリコンベースと硬化剤とを電動撹拌して、定量のシリコンベースと硬化剤とが均一に撹拌混入された定量の印象材を持続的に吐出供給する、歯科用印象材電動ディスペンサーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記の目的は、本発明で提供される下記の構成により達成される。
【0014】
本発明による歯科用印象材電動ディスペンサーは、
【0015】
長さ方向の長手方向装着部が形成された本体と;
【0016】
前記本体の長手方向装着部に長手方向に形成され、先端に、ミキシングチップ部と連通する押出口が相互に連通し第1充填室と第2充填室とが区画された印象材カートリッジが装着される、上部開放型のトレー部と;
【0017】
前記トレー部の前方に組み立てられて印象材カートリッジの先端に形成された一対の押出口に連通し、一対の押出口を通じて定量排出されるシリコンベースと硬化剤とを撹拌して排出する、ミキシングチップ部と;
【0018】
前記本体の長手方向装着部に進退構造で配置され、一対の加圧端を通じてトレー部に装着された印象材カートリッジの一対のピストンを同時に加圧する、押出ロッド部と;
【0019】
前記本体に内設され、バッテリーセルに蓄電された起動電流が印加されて、電動により押出ロッド部が前方へ進出するようにする、電動押出部と;を含んで構成されたことを特徴とする。
【0020】
好ましくは、前記電動押出部は、バッテリーセルから起動電流が印加されて回転する回転軸を有する押出モータと;該押出モータの回転軸と噛み合わされて前後方向に回転する作動ギアと;を含み、
【0021】
前記押出ロッド部は、端部に加圧端が形成された一対の押出ロッドを含み、長手方向装着部に進退路が形成された進退ガイドを配置し、前記各押出ロッドは、進退ガイドに形成された進退路に沿って長さ方向に進退するように構成される一方、前記押出ロッドには、電動押出部の作動ギアと噛み合わされるラックギアが形成される。
【0022】
より好ましくは、前記電動押出部と前記押出ロッド部との間には、電動押出部の作動ギアと、該作動ギアとラックギアとの噛合状態を設定するクラッチ構造と、が形成される。
【0023】
そして、前記進退ガイドの進退路は、押出ロッドの高さよりも相対的に高く作製され、前記進退路に進退構造で設置された押出ロッドは、進退路との高さ偏差により形成された上下遊隔によって上下昇降可能に構成され、
【0024】
前記長手方向装着部には、前記押出ロッドの加圧を通じて押出ロッドの昇降状態を設定して、押出ロッドのラックギアと前記押出ロッドの下部に配置された電動押出部の作動ギアとの間の噛合状態を設定する、加圧クラッチレバーが形成される。
【0025】
また、前記本体を挙上支持し、本体に設置されたバッテリーセルへ電流を印加する充電端子が形成された、充電クレードルをさらに含んで構成される。
【0026】
そして、前記ミキシングチップ部は、印象材カートリッジに形成された一対の押出口と連通する一対の引込みポートと;前記一対の引込みポートを通じて注入されるシリコンベースと硬化剤とを導いて合流させる合流路と;該合流路と連通し、合流されたシリコンベースと硬化剤とを混ぜ合わせて排出するミキシングスクリューユニットと;を含み、
【0027】
前記ミキシングスクリューユニットは、合流路と連通するミキシングシリンダーと;前記ミキシングシリンダー内に長さ方向に配置されて回転するミキシングスクリューと;を含み、
【0028】
前記本体には、スイッチの操作によりバッテリーセルに充電された起動電流が印加されて回転軸が一方向に回転するミキシングモータを含む、電動ミキシング部が付加され、
【0029】
前記ミキシングモータの回転軸の端部には、多角の嵌合端が形成され、前記ミキシングチップ部を構成するミキシングスクリューの端部には、ミキシングモータの回転軸に形成された多角の嵌合端を差し込んで嵌合される多角の嵌合ソケットが形成される。
【発明の効果】
【0030】
前述のように本発明では、シリコンベースと硬化剤とが充填されたカートリッジを装着して、電動により充填されたシリコンベースと硬化剤とを同時に定量押し出し、押し出されるシリコンベースと硬化剤とを電動撹拌して、定量のシリコンベースと硬化剤とが均一に撹拌混入された定量の印象材を持続的に吐出供給する、歯科用印象材電動ディスペンサーを提供している。
【0031】
したがって、本発明は、印象材カートリッジに充填されたシリコンベースと硬化剤との定量押出に伴う疲労度が減少し、かつ、定量押し出されたシリコンベースと硬化剤とが短時間のうちに均一に混ぜ合わされた、良質な印象材の形成が可能である。
【0032】
特に、本発明では、押出ロッド部と、前記該押出ロッド部へ電動により進出する電動押出部との間に、独特なクラッチ構造を形成して、前記シリコンベースと硬化剤とを押し出した押出ロッド部をより迅速に後退するように構成することで、素早い印象材カートリッジの交換によって、印象材を通じて口腔内に印象を採得するのにかかる時間が短縮されるという特異性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1a図1乃至図3は、本発明で好ましい実施例として提案している歯科用印象材電動ディスペンサーの全体構成を示す分解及び結合状態図である。
図1b図1乃至図3は、本発明で好ましい実施例として提案している歯科用印象材電動ディスペンサーの全体構成を示す分解及び結合状態図である。
図2図1乃至図3は、本発明で好ましい実施例として提案している歯科用印象材電動ディスペンサーの全体構成を示す分解及び結合状態図である。
図3図1乃至図3は、本発明で好ましい実施例として提案している歯科用印象材電動ディスペンサーの全体構成を示す分解及び結合状態図である。
図4図4乃至図5は、本発明で好ましい実施例として提案している歯科用印象材電動ディスペンサーの作用態様を示す断面構成図である。
図5図4乃至図5は、本発明で好ましい実施例として提案している歯科用印象材電動ディスペンサーの作用態様を示す断面構成図である。
図6図6は、本発明で好ましい実施例として提案している歯科用印象材電動ディスペンサーにおいて、押出ロッド部と電動押出部の細部構成を示すものである。
図7a図7は、本発明で好ましい実施例として提案している歯科用印象材電動ディスペンサーにおいて、クラッチ構造による押出ロッド部と電動押出部の細部構成を示すものである。
図7b図7は、本発明で好ましい実施例として提案している歯科用印象材電動ディスペンサーにおいて、クラッチ構造による押出ロッド部と電動押出部の細部構成を示すものである。
図8図8は、発明で好ましい実施例として提案している歯科用印象材電動ディスペンサーにおいて、ミキシングチップ部の細部構成及び組み立て状態を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付の図面を参照して、本発明で好ましい実施例として提案している歯科用印象材電動ディスペンサーを詳細に説明することにする。
【0035】
図1乃至図3は、本発明で好ましい実施例として提案している歯科用印象材電動ディスペンサーの全体構成を示す分解及び結合状態図であり、図4乃至図5は、本発明で好ましい実施例として提案している歯科用印象材電動ディスペンサーの作用態様を示す断面構成図であり、図6は、本発明で好ましい実施例として提案している歯科用印象材電動ディスペンサーにおいて、押出ロッド部と電動押出部の細部構成を示すものであり、図7は、本発明で好ましい実施例として提案している歯科用印象材電動ディスペンサーにおいて、クラッチ構造による押出ロッド部と電動押出部の細部構成を示すものであり、図8は、発明で好ましい実施例として提案している歯科用印象材電動ディスペンサーにおいて、ミキシングチップ部の細部構成及び組み立て状態を示すものである。
【0036】
本発明で好ましい実施例として提案している歯科用印象材電動ディスペンサー1は、シリコンベースL1と硬化剤L2とが分離して充填された印象材カートリッジ100を装着して、電動により印象材カートリッジ100に充填されたシリコンベースL1と硬化剤L2とを定量混入して排出されるようにする歯科専用装置である。
【0037】
前記歯科用印象材電動ディスペンサー1は、図1乃至図5に示されるように、長さ方向の長手方向装着部11が形成された本体10と;該本体10の長手方向装着部11に長手方向に形成され、先端に、ミキシングチップ部30と連通する押出口111が相互に連通し、第1充填室110と第2充填室120とが区画された印象材カートリッジ100が装着される、上部開放型のトレー部20と;該トレー部20の前方に組み立てられて印象材カートリッジ100の先端に形成された一対の押出口に連通し、一対の押出口を通じて定量排出されるシリコンベースL1と硬化剤L2とを撹拌して排出する、ミキシングチップ部30と;を含む。
【0038】
本実施例では、前記本体10を、長手方向装着部11の後半下部にユーザにより把持されるグリップアーム部12が傾斜して形成された、ガン型で構成して、ユーザが把持する際の便利性と共に作業のしやすさが確保されるようにする。
【0039】
また、本発明では、ガン型本体10を挙上支持し、ガン型本体10に内設されたバッテリーセル70へ電流を印加して充電する、充電クレードル80をさらに含む。
【0040】
特に、本実施例では、前記充電クレードル80には、ガン型本体10のグリップアーム部12に設置されたバッテリーセル70の充電端子に対応する充電端子を設けて、ユーザが充電クレードル80にガン型本体10を据え置きすれば、バッテリーセル70の自動充電が具現されるようにする。
【0041】
そして、前記トレー部20には、印象材カートリッジ100が取り付けられるカートリッジ装着スロット21と;該カートリッジ装着スロット21の前方に形成されて、ミキシングチップ部30を装着するミキシングチップ部装着スロット22と;が形成される。
【0042】
本発明では、電動によりトレー部20に装着された印象材カートリッジ100を定速で押し出して、印象材カートリッジ100に分離して充填されたシリコンベースL1と硬化剤L2とを定量押し出す電動押出構造と、定量押し出されるシリコンベースL1と硬化剤L2とを混ぜ合わせて混入排出する電動ミキシング構造を設け、グリップアーム部12を通じてガン型本体10を把持したユーザは、スイッチ71の操作によって、シリコンベースL1と硬化剤L2とが定量混入された印象材Lを押し出して、前記印象材を通じて印象を簡便に採得するようにする。
【0043】
前記電動押出構造は、前記本体10の長手方向装着部11に進退構造で配置され、一対の加圧端41aを通じてトレー部20に装着された印象材カートリッジ100のピストン112、122を同時に加圧する押出ロッド部40と;前記本体10に内設され、バッテリーセル70に蓄電された起動電流が印加されて、電動により押出ロッド部40を前方へ進出させる、電動押出部50と;を含む。
【0044】
前記押出ロッド部40は、端部に加圧端41aが形成された一対の押出ロッド41を含み、本実施例では、長手方向装着部11には、図6に示されるように、進退路13aが形成された進退ガイド13を配置して、前記押出ロッド部40を構成する各押出ロッド41は、進退ガイド13に形成された進退路13aに沿って長さ方向に進退するようにする。
【0045】
そして、前記電動押出部50は、バッテリーセル70から起動電流が印加されて回転する回転軸51aを有する、押出モータ51と;該押出モータ51の回転軸51aと噛み合わされて前後方向に回転する、作動ギア53と;を含む。
【0046】
本実施例では、前記電動押出部50を構成する押出モータ51を、ガン型本体10のグリップアーム部12に起立するように内設し、前記押出モータ51の回転軸51aと、長手方向装着部11に回動構造で配置される作動ギア53との間で、ウォームギア52が噛み合うようにする。
【0047】
そして、前記長手方向装着部11に進退構造で設置された押出ロッド部40は、電動押出部50の作動ギア53と噛み合わされるラックギア42が形成され、押出モータ51から提供される回転力を直進移送力に変換して、長手方向装着部11に沿って長さ方向に前進する。
【0048】
したがって、前記トレー部20に装着された印象材カートリッジ100の各ピストン112、122は、電動押出部50の回転力により長さ方向に前進する押出ロッド部40の加圧端41aにより同時に加圧されて前進しながら、第1充填室110と第2充填室120とに充填されたシリコンベースL1と硬化剤L2とを、先端に組み立てられたミキシングチップ部30へ定量押し出して排出する。
【0049】
而して、前記印象材カートリッジ100が装着されたガン型本体10のグリップアーム部12を把持したユーザが、グリップアーム部12の先端に形成されたスイッチ71を加圧すると、バッテリーセル70に蓄電された起動電流は、電動押出部50の押出モータ51へ印加され、前記押出モータ51の駆動により、押出ロッド部40は、長手方向装着部11に沿って長さ方向に前進しながら、加圧端41aを通じて印象材カートリッジ100のピストン122を一括して前進して、印象材カートリッジ100に充填されたシリコンベースL1と硬化剤L2とを定量押し出す。
【0050】
したがって、持続的に強い押出力が要求される押出過程では、電動によりシリコンベースL1と硬化剤L2との安定的な押出を図れる特異性を有する。
【0051】
そして、前記電動押出部50により、印象材カートリッジ100内のシリコンベースL1と硬化剤L2とが全て押し出されて消尽するならば、前記印象材カートリッジ100の第1充填室110と第2充填室120とに進入して、ピストン112を前方へ加圧した押出ロッド部40は、原位置に後退した後、使用済みの印象材カートリッジ100の交換が行われる。
【0052】
ところで、前記印象材は、その特性上、硬化剤が混入している関係から、短時間のうちに定量供給が求められ、遅延する場合では、先に押し出された印象材が硬化してしまい、必要とする印象を採得しにくいという限界性を有する。
【0053】
かかる限界性は、複数個の印象材カートリッジから印象材を押し出し、これにより印象を採得する場合がさらにそのようである。
【0054】
したがって、印象材の押出を終えた後、新しい印象材カートリッジに交換して装着し、交換された印象材を押し出すのにかかる時間が何よりも重要である。
【0055】
これを考慮して、本発明では、前記電動押出部50の駆動によって前進してシリコンベースL1と硬化剤L2とを押し出した押出ロッド部40を、より迅速に後退するように構成することにより、素早い印象材カートリッジ100の交換を通じて、印象材Lを介して口腔内に印象を採得するのにかかる時間が短縮されるようにする。
【0056】
これについて詳述すると、本実施例では、前記電動押出部50と、該電動押出部50から前進力が提供されて前進する押出ロッド部40との間に、これらの連結状態を設定する独特なクラッチ構造を設けて、前記電動押出部50を通じて電動により前進した押出ロッド部40は、手動操作を通じて短時間のうちに後退して元の位置に戻るようにすることで、押出ロッド部40が後退して元に戻るまでの時間が短縮されるようにする。
【0057】
このため、本実施例では、図4図6乃至図7に示されるように、前記進退ガイド13に形成された進退路13aは、押出ロッド41の高さよりも相対的に高く作製して、押出ロッド41は、進退路13aと押出ロッド41との間の高さ偏差により形成される上下遊隔によって、上下昇降可能に構成される。
【0058】
そして、前記長手方向装着部11には、上下遊隔に沿って上昇した押出ロッド部40を垂直に加圧して、上下離隔した電動押出部50の作動ギア53と押出ロッド部40のラックギア42とが相互に噛み合って連結されるようにする、加圧クラッチレバー44を形成する。
【0059】
好ましくは、前記加圧クラッチレバー44は、偏心加圧端44aが形成されたカム型のレバー体が回転軸44bを通じて上下旋回構造で配置された形態から構成される。
【0060】
より好ましくは、前記押出ロッド部40を構成する押出ロッド41の上部面には、強磁性シート41bを配置し、前記クラッチレバー44の偏心加圧端44aの加圧面44a-aには、転がり鋼球44dを配置し、加圧解除面44a-bには永久磁石44cを配置する。
【0061】
したがって、前記加圧クラッチレバー44が前記回転軸44bを中心に旋回起立すると、偏心加圧端44aによる押出ロッド41の加圧状態は解除され、前記加圧クラッチレバー44が回転軸44bを中心に水平に寝かせられると、偏心加圧端44aを通じて押出ロッド部40は加圧されて、押出ロッド部40と作動ギア53とが相互に噛み合わされる。
【0062】
このとき、図7aに示されるように、前記加圧クラッチレバー44が回転軸44bを中心に上向き旋回すると、偏心加圧端44aの加圧解除面44a-bに形成された永久磁石の磁気結合力により、強磁性シート41bが形成された押出ロッド41は上向き挙上して、作動ギア53との噛合状態が解除される。
【0063】
そして、図7bに示されるように、前記加圧クラッチレバー44が回転軸44bを中心に下向き旋回すると、偏心加圧端44aの加圧面44a-aに形成された転がり鋼球により、押出ロッド41は転がり摩擦状態に加圧されて、作動ギア53と安定した噛合状態を形成し、このとき、転がり鋼球44dによる転がり摩擦により、押出ロッド41の進出過程にて、加圧クラッチレバー44との摩擦発生が抑えられるので、押出ロッド41が円滑に進出される。
【0064】
而して、前記押出ロッド部40は、加圧クラッチレバー44の加圧が行われると、電動押出部50の作動ギア53と噛み合わされて、電動押出部50から提供される進出力により、印象材カートリッジ100に形成されたピストン112、122を同時に加圧して、印象材カートリッジ100に充填されたシリコンベースL1と硬化剤L2との定量押出が可能である。
【0065】
そして、前記シリコンベースL1と硬化剤L2との定量押出を終えれば、ユーザは加圧クラッチレバー44を回転軸44bを中心に起立させ、加圧クラッチレバー44による押出ロッド部40の加圧を解除して、作動ギア53と押出ロッド部40との間の噛合状態を解除し、この状態で手動操作を通じて前進した押出ロッド部40を迅速に後退させることが可能であるので、結果的に印象材カートリッジ100の交換のための押出ロッド部40の後退を素早く行うことができる。
【0066】
なお、前記印象材カートリッジ100の押出口111、121から押し出されるシリコンベースL1と硬化剤L2とを混ぜ合わせるミキシングチップ部30は、印象材カートリッジ100に形成された一対の押出口111、121に連結される一対の引込みポート31と;該一対の引込みポート31から注入されるシリコンベースL1と硬化剤L2とを導いて合流させる合流路と;前記合流路と連通し、合流されたシリコンベースと硬化剤とを混ぜ合わせて排出するミキシングスクリューユニット33と;を含む。
【0067】
そして、前記ミキシングスクリューユニット33は、図8に示されるように、合流路32に連通するミキシングシリンダー33aと;該ミキシングシリンダー33a内に長さ方向に配置されて回転するミキシングスクリュー33bと;を含み、前記ミキシングスクリュー33bは、複数のミキシング羽根33b-aが配置された形態で構成される。
【0068】
本実施例では、前記ガン型本体10に、前記ミキシングスクリュー33bと連結されて、ミキシングスクリュー33bへ回転力を提供する電動ミキシング部60を付加形成し、前記電動押出部50を通じてミキシングスクリューユニット33へ押し出されるシリコンベースL1と硬化剤L2とは、電動により回転するミキシングスクリュー33bにより短時間のうちにより均一に撹拌して、シリコンベースL1と硬化剤L2とが均一に混ぜ合わされた形態で押し出されるようにする。
【0069】
前記電動ミキシング部60は、スイッチ71の操作により、バッテリーセル70に充電された起動電流が印加されて、回転軸61aが一方向に回転する、ミキシングモータ61を含む。
【0070】
本実施例では、前記回転軸61aの端部に多角の嵌合端を形成し、前記ミキシングチップ部30を構成するミキシングスクリュー33bの端部には、回転軸61aに形成された多角の嵌合端を差し込んで嵌合される多角の嵌合ソケット33b-bを形成する。
【0071】
したがって、前記ミキシングチップ部30は、電動ミキシング部60を構成するミキシングモータ61の回転軸61aが嵌合して組み立てられた状態で、トレー部20に装着される印象材カートリッジ100の押出口121と引込みポート31とをそれぞれ連通した状態に組み立てられる。
【0072】
その後、前記スイッチ71の操作により、バッテリーセル70に充電された起動電流が電動押出部50と電動ミキシング部60とに同時に供給されると、トレー部20に設置された印象材カートリッジ100の各ピストン112、122は、押出ロッド部40により一括して前方に進出して、充填されたシリコンベースL1と硬化剤L2とを押出口111、121を通じて定量押し出す。
【0073】
そして、前記定量押し出されたシリコンベースL1と硬化剤L2とは、ミキシングチップ部30の合流路32を通過しながら合流された後、ミキシングスクリューユニット33に沿って混ぜ合わせて排出される。
【0074】
このとき、前記ミキシングスクリューユニット33を構成するミキシングスクリュー33bは、電動ミキシング部60を構成するミキシングモータ61の駆動により一方向に回転し、結果的に前記ミキシングスクリューユニット33のミキシングシリンダー33aに沿って排出されるシリコンベースL1と硬化剤L2とは、短い距離を通過しながら均一な密度で混ぜ合わされて、良質な印象材を形成して排出される。
【産業上の利用可能性】
【0075】
定量のシリコンベースと硬化剤とが均一に撹拌混入された定量の印象材を、持続的に吐出供給する歯科用印象材電動ディスペンサーを提供することで、印象材カートリッジに充填されたシリコンベースと硬化剤との定量押出に伴う疲労度が減少し、また、定量押し出されたシリコンベースと硬化剤とが短時間のうちに均一に混ぜ合わされた良質な印象材の形成が可能である。
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図8
【国際調査報告】