(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-15
(54)【発明の名称】スカウトスキャン分析に基づくニューラルネットワーク間における切り替え
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20231208BHJP
A61B 5/055 20060101ALI20231208BHJP
G01T 1/161 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
A61B6/03 360E
A61B5/055 380
G01T1/161 A
G01T1/161 B
A61B5/055 390
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532492
(86)(22)【出願日】2021-11-22
(85)【翻訳文提出日】2023-05-29
(86)【国際出願番号】 EP2021082485
(87)【国際公開番号】W WO2022112165
(87)【国際公開日】2022-06-02
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ウエルケル クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン ケヴィン マーティン
(72)【発明者】
【氏名】グラス ミカエル
【テーマコード(参考)】
4C093
4C096
4C188
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093BA17
4C093CA06
4C093CA21
4C093DA04
4C093FF03
4C093FF16
4C093FF36
4C096AA18
4C096AB07
4C096AB41
4C096AC01
4C096AD14
4C096AD24
4C096DC05
4C096DC19
4C096DC36
4C188EE02
4C188FF04
4C188FF07
4C188KK32
4C188KK33
(57)【要約】
医療画像を処理するための方法が提供され、本方法は第1の画像、及び第1の画像と異なる第2の画像を受信することを有し、第2の画像が第1の画像と同じ対象物体のものである。本方法は、第1の画像において複数の解剖学的構造物を識別することと、第1の画像において識別された解剖学的構造物の位置に基づいて、第2の画像において複数の画像セグメントを規定することとを更に有する。本方法は次に、第2の画像において第1の画像セグメントに第1の解剖学的構造物に関連した処理ルーチンを適用し、第2の画像において第2の画像セグメントに第2の解剖学的構造物に関連した処理ルーチンを適用する。説明されている方法を実施するためのイメージングシステム、及び、医療画像を処理するためのプログラムを記憶した非一時的なコンピュータ可読媒体が更に提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画像を受信するステップと、
前記第1の画像と異なる第2の画像を受信するステップであって、前記第2の画像が、前記第1の画像と同じ対象物体を含む、受信するステップと、
前記第1の画像における複数の異なる解剖学的構造物を識別するステップと、
複数の画像セグメントのうちの第1の画像セグメントが前記複数の異なる解剖学的構造物のうちの第1の解剖学的構造物を含むように、及び、前記複数の画像セグメントのうちの第2の画像セグメントが前記複数の異なる解剖学的構造物のうちの第2の解剖学的構造物を含むように、前記第1の画像において識別された前記異なる解剖学的構造物の位置に基づいて、前記第2の画像において前記複数の画像セグメントを規定するステップと、
処理された第1の画像セグメントを取得するために、前記第1の画像セグメントに前記第1の解剖学的構造物に関連した第1の処理ルーチンを適用するステップと、
処理された第2の画像セグメントを取得するために、前記第2の画像セグメントに前記第2の解剖学的構造物に関連した第2の処理ルーチンを適用するステップと、
前記処理された第1の画像セグメントと前記処理された第2の画像セグメントとの両方を含む処理された第2の画像を出力するステップと、
を有する、医療画像を処理するための方法。
【請求項2】
前記第1の画像又は前記第2の画像が、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴イメージング(MRI)、陽電子放射断層撮影(PET)、単光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)、デジタルX線ラジオグラメトリー(DXR)を包含するX線イメージング、及び画像支援治療(IGT)イメージングにおける蛍光透視シーケンスのうちの少なくとも1つを含むイメージングモダリティから選択される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の画像が、前記第2の画像より低い放射線量を使用して獲得されたスカウトスキャンに対応した、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の画像における前記複数の異なる解剖学的構造物が、前記第2の画像を受信する前に識別される、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の画像における前記複数の異なる解剖学的構造物が、前記第2の画像を受信したときに識別される、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の画像セグメントが前記第2の解剖学的構造物を除外し、前記第2の画像セグメントが前記第1の解剖学的構造物を除外する、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の処理ルーチンが前記第1の解剖学的構造物に関連した第1の機械学習アルゴリズムであり、前記第2の処理ルーチンが前記第2の解剖学的構造物に関連した第2の機械学習アルゴリズムである、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の画像セグメントが前記第2の画像の上部の全幅を含むように、及び、前記第2の画像セグメントが前記第2の画像の下部の全幅を含むように、前記第1の画像セグメント及び前記第2の画像セグメントが線形にパースされる、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の解剖学的構造物又は前記第2の解剖学的構造物が、頭部、首、上半身、腹部、骨盤領域、下半身、及び脚から選択される、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
複数の命令を記憶するメモリと、
イメージングユニットと、
前記メモリに結合したプロセッサ回路とを備える、イメージングシステムであって、前記プロセッサ回路が、
第1の画像を取得することと、
前記第1の画像と異なる前記イメージングユニットから第2の画像を取得することであって、前記第2の画像が前記第1の画像と同じ対象物体を含む、取得することと、
前記第1の画像における複数の異なる解剖学的構造物を識別することと、
複数の画像セグメントのうちの第1の画像セグメントが前記複数の異なる解剖学的構造物のうちの第1の解剖学的構造物を含むように、及び、前記複数の画像セグメントのうちの第2の画像セグメントが前記複数の異なる解剖学的構造物のうちの第2の解剖学的構造物を含むように、前記第1の画像において識別された前記異なる解剖学的構造物の位置に基づいて、前記第2の画像において前記複数の画像セグメントを規定することと、
処理された第1の画像セグメントを取得するために、前記第1の画像セグメントに前記第1の解剖学的構造物に関連した第1の処理ルーチンを適用することと、
処理された第2の画像セグメントを取得するために、前記第2の画像セグメントに前記第2の解剖学的構造物に関連した第2の処理ルーチンを適用することと、
前記処理された第1の画像セグメントと前記処理された第2の画像セグメントとの両方を含む処理された第2の画像を出力することと、
をするために前記命令を実行する、イメージングシステム。
【請求項11】
前記イメージングユニットが、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴イメージング(MRI)、陽電子放射断層撮影(PET)、単光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)、デジタルX線ラジオグラメトリー(DXR)を包含するX線イメージング、及び画像支援治療(IGT)イメージングにおける蛍光透視シーケンスのうちの少なくとも1つを含むイメージングモダリティを実施する、
請求項10に記載のイメージングシステム。
【請求項12】
前記第1の画像が、前記第2の画像より低い放射線量を使用して獲得されたスカウトスキャンに対応した、
請求項10に記載のイメージングシステム。
【請求項13】
前記第1の画像における前記複数の異なる解剖学的構造物が、前記第2の画像を受信する前に識別される、
請求項10に記載のイメージングシステム。
【請求項14】
前記第1の画像における前記複数の異なる解剖学的構造物が、前記第2の画像を受信したときに識別される、
請求項10に記載のイメージングシステム。
【請求項15】
前記第1の画像セグメントが前記第2の解剖学的構造物を除外し、前記第2の画像セグメントが前記第1の解剖学的構造物を除外する、
請求項10に記載のイメージングシステム。
【請求項16】
前記第1の処理ルーチンが前記第1の解剖学的構造物に関連した第1の機械学習アルゴリズムであり、前記第2の処理ルーチンが前記第2の解剖学的構造物に関連した第2の機械学習アルゴリズムである、
請求項10に記載のイメージングシステム。
【請求項17】
前記第1の画像セグメントが前記第2の画像の上部の全幅を含むように、及び、前記第2の画像セグメントが前記第2の画像の下部の全幅を含むように、前記第1の画像セグメント及び前記第2の画像セグメントが線形にパースされる、
請求項10に記載のイメージングシステム。
【請求項18】
前記第1の解剖学的構造物又は前記第2の解剖学的構造物が、頭部、首、上半身、腹部、骨盤領域、下半身、及び脚から選択される、
請求項10に記載のイメージングシステム。
【請求項19】
第1の画像を取得することと、
前記第1の画像と異なる第2の画像を取得することであって、前記第2の画像が前記第1の画像と同じ対象物体を含む、取得することと、
前記第1の画像における複数の異なる解剖学的構造物を識別することと、
複数の画像セグメントのうちの第1の画像セグメントが前記複数の異なる解剖学的構造物のうちの第1の解剖学的構造物を含むように、及び、前記複数の画像セグメントのうちの第2の画像セグメントが前記複数の異なる解剖学的構造物のうちの第2の解剖学的構造物を含むように、前記第1の画像において識別された前記異なる解剖学的構造物の位置に基づいて、前記第2の画像において前記複数の画像セグメントを規定することと、
処理された第1の画像セグメントを取得するために、前記第1の画像セグメントに前記第1の解剖学的構造物に関連した第1の処理ルーチンを適用することと、
処理された第2の画像セグメントを取得するために、前記第2の画像セグメントに前記第2の解剖学的構造物に関連した第2の処理ルーチンを適用することと、
前記処理された第1の画像セグメントと前記処理された第2の画像セグメントとの両方を含む処理された第2の画像を出力することと、
をするための命令を含む医療画像を処理するためのプログラムを記憶した、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記命令が、前記第2の画像を受信する前に、又は前記第2の画像を受信している間に、前記第1の画像における前記複数の異なる解剖学的構造物を識別することを提供する、
請求項19に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示は概して、訓練されたニューラルネットワークを使用して医療画像などの画像を処理するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 従来、例えばコンピュータ断層撮影(CT)スキャンといった標準的なイメージングモダリティを通して画像を取得することは、このような画像に組み込まれた画像アーティファクト及びノイズをもたらす。したがって、画像は概して、ノイズ除去アルゴリズムを使用して処理される。このようなノイズ除去アルゴリズムは典型的には、特定の解剖学的構造物に関連しており、特定の画像特徴を促進するために設計され、及び、学習アルゴリズムの場合には特定の画像特徴を促進するために訓練される。
【0003】
[0003] したがって、CTスキャンを処理するとき、再構成フィルタが、例えば鮮明さ又は軟組織コントラストといった特定の画像特徴を促進するために使用される。一例として、頭部画像を再構成するとき、システムは、脳組織における軟組織コントラストを促進するように設計されたフィルタを使用するとともに、異なるフィルタが体画像を再構成するために使用される。体画像を再構成するために使用されるフィルタは対照的に、より鮮明である。
【0004】
[0004] 再構成画像は概してノイズを含み、再構成処理の様々なアーティファクトを含み、アルゴリズムの中で特に様々なノイズ除去アルゴリズムが、画像品質を改善するために適用される。したがって、例えばCTスキャンを処理するための畳み込みニューラルネットワーク(CNN)といったノイズ除去のための学習アルゴリズムのコンテキストでは、異なるフィルタが、例えば鮮明さといった画像特徴を促進するために、又は異なる種類のノイズを抑制するために画像再構成中に使用されてきた。ノイズ除去は、再構成のために使用されるフィルタにより促進される画像特徴を維持する手法により行われなければならない。したがって、例えばCNNといった学習アルゴリズムが特定のタイプの解剖学的構造物及び特定の再構成フィルタのために訓練される。
【0005】
[0005] 概して限られたネットワーク容量及び結果として得られる実行時間に起因して、一例として低線量CT画像をノイズ除去するためにCNNを訓練するとき、従来技術は、異なる解剖学的領域及びこのような領域のために設計された再構成フィルタのために異なるネットワークを訓練する。フィルタが特定の解剖学的構造物における非常に特徴的な画像特徴を取得するように設計される場合、これは特に有益である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006] しかし、例えば頭頸部スキャンといった1回のスキャンが、複数の異なる解剖学的領域及び対応する解剖学的構造物をカバーする。このような画像が頭部フィルタを使用して再構成される場合、自然な選択は同じフィルタに基づいて訓練されたネットワークを使用することであるが、このようなネットワークは典型的には、頭部以外には訓練中に一切の解剖学的構造物を観測していない。特にフィルタが特定の解剖学的構造のために設計される場合、種々の解剖学的構造物を使用して1つのフィルタに基づいて1つのネットワークを訓練することは典型的には、他の領域において最適ではないパフォーマンスをもたらす。
【0007】
[0007] 更に、限られた利用可能なネットワーク容量及びそれがもたらす結果として得られる実行時間に起因して、同じフィルタを使用して再構成された種々の解剖学的構造物に基づいて1つのネットワークを訓練することは概して実行可能でない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0008] 複数の解剖学的構造物が1つの画像に現れ、別個の処理ルーチンがこのような解剖学的構造物の各々に適用される、医療画像を処理するためのシステム及び方法が説明されている。したがって、例えば、別個の機械学習方法が、複数のこのような解剖学的構造物を含む1つの画像の異なる部分を処理するために使用される。
【0009】
[0009] 1つの画像内に現れる異なる解剖学的構造物に別個の処理ルーチンを適用することに加えて、説明されているシステム及び方法は、このような画像においてどこでこのような処理技術間を切り替えるかを更に判定する。したがって、このような判定は、処理される一次医療画像から独立して利用可能なスカウトスキャンに基づいて行われる。したがって、複数の解剖学的構造物は、機械学習又は従来技術を使用して例えばスカウトスキャンといった予備的画像において規定される。次に、このような規定は、一次画像が同じ対象物体のものであるスカウトスキャンと異なる一次画像に適用される。
【0010】
[0010] したがって、医療画像を処理するための方法であって、方法が第1の画像を受信し、第1の画像と異なる第2の画像を受信し、第2の画像が第1の画像と同じ対象物体を含む、方法が提供される。本方法は次に、第1の画像において複数の異なる解剖学的構造物を識別し、次に、第1の画像において識別された異なる解剖学的構造物の位置に基づいて第2の画像において複数の画像セグメントを規定し、その結果、複数の画像セグメントのうちの第1の画像セグメントが複数の異なる解剖学的構造物のうちの第1の解剖学的構造物を含み、複数の画像セグメントのうちの第2の画像セグメントが、複数の異なる解剖学的構造物のうちの第2の解剖学的構造物を含む。
【0011】
[0011] 本方法は次に処理された第1の画像セグメントを取得するために、第1の画像セグメントに第1の解剖学的構造物に関連した第1の処理ルーチンを適用し、処理された第2の画像セグメントを取得するために、第2の画像セグメントに第2の解剖学的構造物に関連した第2の処理ルーチンを適用し、次に、処理された第1の画像セグメントと処理された第2の画像セグメントとの両方を含む処理された第2の画像を出力する。
【0012】
[0012] 幾つかの実施形態では、第1の画像又は第2の画像は、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴イメージング(MRI)、陽電子放射断層撮影(PET)、単光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)、デジタルX線ラジオグラメトリー(DXR)を包含するX線イメージング、又は、画像支援治療(IGT)イメージングにおける蛍光透視シーケンスを含むイメージングモダリティから選択される。
【0013】
[0013] 例えば、第2の画像は、CT画像、又は異なるイメージングモダリティに対する一次画像であり、第1の画像は、一次画像に対するスカウトスキャンである。したがって、第2の画像がCT画像である場合、スカウトスキャンは、第2の画像より低い放射線量を使用して獲得される。
【0014】
[0014] 幾つかの実施形態では、第1の画像における複数の異なる解剖学的構造物は、第2の画像を受信する前に識別され、したがって、第2の画像が受信されたとき、それらの識別情報が利用可能である。幾つかの実施形態では、第1の画像における複数の異なる解剖学的構造物は、第2の画像を受信したときに識別される。
【0015】
[0015] 幾つかの実施形態では、第1の画像セグメントが第2の解剖学的構造物を除外し、第2の画像セグメントが第1の解剖学的構造物を除外する。幾つかの実施形態では、第1の画像セグメント及び第2の画像セグメントは線形にパースされ、したがって、第1の画像セグメントが第2の画像の上部の全幅を含み、第2の画像セグメントが第2の画像の下部の全幅を含む。
【0016】
[0016] 第1の解剖学的構造物又は第2の解剖学的構造物は、頭部、首、上半身、腹部、骨盤領域、下半身、及び脚から選択される。
【0017】
[0017] 幾つかの実施形態では、第1の処理ルーチンは第1の解剖学的構造物に関連した第1の機械学習アルゴリズムであり、第2の処理ルーチンは第2の解剖学的構造物に関連した第2の機械学習アルゴリズムである。
【0018】
[0018] 複数の命令を記憶するメモリ、イメージングユニット、及び、メモリに結合した、及び画像を取得するために、及び上述の方法を実施するために命令を実行するように構成されたプロセッサ回路を備えるイメージングシステムが更に提供される。第2の画像は、このようなシステムにおいてイメージングユニットから受信される。
【0019】
[0019] 上述の方法を実施するための命令を含む医療画像を処理するためのプログラムを記憶した非一時的なコンピュータ可読媒体が更に提供される。このような方法は、例えば説明されるシステムのコンテキストにおいて実現される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】[0020] 本開示の1つの実施形態によるシステムの概略図である。
【
図2】[0021] 本開示の1つの実施形態によるイメージングデバイスを示す図である。
【
図3A】[0022]
図3A及び
図3Bは、2つの別個の処理ルーチンを使用して処理された同一の画像を示す図である。
【
図3B】
図3A及び
図3Bは、2つの別個の処理ルーチンを使用して処理された同一の画像を示す図である。
【
図4】[0023] 本開示に従って医療画像を処理するための方法を示すフローチャートである。
【
図5】[0024] 本開示による画像のパーシングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[0025] 本発明の原理による例示的な実施形態の説明は、記載された全説明の一部とみなされる添付図面を参照して読まれることを意図したものである。本明細書において開示されている本発明の実施形態の説明では、方向又は配向に対する全ての言及は説明の利便性を意図したものにすぎず、何らかの手法により本発明の範囲を限定することを意図したものではない。例えば「下側の」、「上側の」、「水平の」、「縦の」、「上方の」、「下方の」、「上に」、「下に」、「上部」、及び「底部」、並びにそれらの派生語(例えば「水平に」、「下向きに」、「上向き」など)といった相対的な用語は、そのように説明されている、又は説明されている図面に示されているときの配向を表すものとして解釈されなければならない。これらの相対的な用語は説明の便宜上のものであるにすぎず、そのように明示的に示されていない限り、装置が特定の配向において構成されること、又は動作させられることを必要としない。例えば「装着された」、「取り付けられた」、「接続された」、「結合された」、「相互接続された」、及び同様のものといった用語は、そうではないことが明記されていない限り、構造体が、直接的に、介在構造物を介して間接的に、及び、可動又は不動の両方の装着又は関係で互いに固定又は装着される関係を表す。更に、本発明の特徴及び利点が例示的な実施形態を参照することにより示される。したがって、本発明は単独で又は特徴の他の組み合わせにより存在する特徴の何らかの可能な非限定的な組み合わせを示すこのような例示的な実施形態に明示的に限定されてはならず、本発明の範囲は本明細書に添付される請求項により規定される。
【0022】
[0026] 本開示は現時点で想定されるように本発明を実施する1つ又は複数のベストモードを説明する。本説明は限定的な意味で理解されることを意図したものではなく、本発明の利点及び構成について当業者に助言するために添付図面を参照することにより単に例示を目的として提示される本発明の例を提供する。図面の様々な図において、同様の参照符号は類似の、又は同様の部分を指し示す。
【0023】
[0027] 開示されている実施形態が本明細書における革新的な教示の多くの有益な用途の例にすぎないことに留意することが重要である。概して、本出願の明細書における記述は、様々な請求項に記載された開示のうちの任意のものを限定するとは限らない。更に、幾つかの記述は幾つかの本発明の特徴に当てはまるが他には当てはまらない場合がある。概して、別段の記載のない限り、一般性を失わないように1つの要素が複数の要素とされてもよく、逆も同様である。
【0024】
[0028] 概して、1つの画像が1つのフィルタを使用して再構成され、したがって、フィルタは再構成される画像の対象物体に適するように選択される。したがって、頭部画像を再構成するとき、システムは、脳組織における軟組織コントラストを促進するように設計されたフィルタを使用する。しかし、体画像を再構成するとき、異なるフィルタ、及び場合によってはより鮮明なフィルタが使用される。
【0025】
[0029] したがって、例えば、コンピュータ断層撮影(CT)ベースの医療イメージングのコンテキストにおいて、例えば畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の形態をとる機械学習アルゴリズムといった異なるイメージプロセッサが画像を処理するために使用される。これらの画像プロセッサは、機械学習アルゴリズムの場合、再構成フィルタのコンテキストにおいて対応する異なる解剖学的領域及び構造物に基づいて訓練される。
【0026】
[0030] 例えば磁気共鳴イメージング(MRI)又は陽電子放射断層撮影(PET)といったCT以外の医療イメージングでは、このような再構成フィルタの使用以外の方法が、画像を作り変える、及び処理するために使用される。むしろ、スキャン又はデータ獲得の種類に応じて、及び特定のスキャンに対する所望の画像特徴に応じて、異なる再構成アルゴリズムが使用される。再構成アルゴリズムは次に、特定の画像特徴を取得するために調節される。例えば、共通の反復的なMRI又はPET再構成では、反復回数が注意深く選択され、正則化項が追加される。
【0027】
[0031] しかし、例えば頭頸部スキャンといった1回のスキャンが異なる解剖学的領域をカバーする。したがって、1つの画像における別個の解剖学的領域を効果的に処理するためのシステム及び方法が提供される。
【0028】
[0032]
図1は、本開示の1つの実施形態によるシステム100の概略図である。示されるように、システム100は典型的には、処理デバイス110とイメージングデバイス120とを含む。
【0029】
[0033] 処理デバイス110は、受信された画像に処理ルーチンを適用する。処理デバイス110は、メモリ113とプロセッサ回路111とを含む。メモリ113は、複数の命令を記憶する。プロセッサ回路111はメモリ113に結合し、命令を実行するように構成される。メモリ113に記憶された命令は、例えば画像を処理するための様々な畳み込みニューラルネットワークといった、処理ルーチン及び複数の機械学習アルゴリズムに関連したデータを含む。
【0030】
[0034] 処理デバイス110は入力115と出力117とを更に含む。入力115は、イメージングデバイス120から例えば画像といった情報を受信する。出力117は、ユーザー又はユーザーインターフェースデバイスに情報を出力する。出力は、モニター又はディスプレイを含む。
【0031】
[0035] 幾つかの実施形態では、処理デバイス110はイメージングデバイス120に直接関連する。代替的な実施形態では、処理デバイス110はイメージングデバイス120から独立しており、したがって、処理デバイス110は入力115においてネットワーク又は他のインターフェースを介して処理のために画像を受信する。
【0032】
[0036] 幾つかの実施形態では、イメージングデバイス120は、画像データ処理デバイス、及び、物体(例えば患者)をスキャンするときにCT投影データを生成するためのスペクトルの、又は従来のCTスキャニングユニットを含む。
【0033】
[0037]
図2は、本開示の1つの実施形態による例示的なイメージングデバイスを示す。CTイメージングデバイスが示されており、以下の説明はCT画像のコンテキストにおけるものであるが、同様の方法が、他のイメージングデバイスのコンテキストに適用されること、及びこれらの方法が適用される画像が幅広い様々な手法により獲得されることが理解される。
【0034】
[0038] 本開示の実施形態によるイメージングデバイスでは、CTスキャニングユニットは、CT投影データを生成するために物体の複数のアキシャルスキャン及び/又は螺旋スキャンを実施するように適応される。本開示の実施形態によるイメージングデバイスでは、CTスキャニングユニットは、エネルギー分解光子カウント画像ディテクターを備える。CTスキャニングユニットは、投影データを獲得するときに物体を横断するための放射線を出射する放射源を含む。
【0035】
[0039] 更に、本開示の実施形態によるイメージングデバイスでは、CTスキャニングユニットは、一次スキャンと区別されるスカウトスキャンを実施し、以て、スカウトスキャン及び一次スキャンに関連した別個の画像を生成し、画像は異なるが同じ対象物体を含む。
【0036】
[0040]
図2に示される例では、例えばコンピュータ断層撮影(CT)スキャナといったCTスキャニングユニット200が、固定ガントリー202と、固定ガントリー202により回転可能に支持された回転ガントリー204とを含む。回転ガントリー204は、投影データを獲得するとき、物体に対する検査領域206の周囲において長軸の周りで回転する。CTスキャニングユニット200は、検査領域206内において患者を支持するための、及びイメージング工程中に検査領域に患者を通すように構成された支持体207を含む。
【0037】
[0041] CTスキャニングユニット200は、回転ガントリー204により支持された、及び回転ガントリー204とともに回転するように構成された、例えばX線管といった放射源208を含む。放射源208はアノードとカソードとを含む。アノードとカソードとの間に印加されたソース電圧は、カソードからアノードまで電子を加速する。電子の流れは、例えば検査領域206を横断するための放射線を生成するためにカソードからアノードまで電流の流れを提供する。
【0038】
[0042] CTスキャニングユニット200はディテクター210を備える。ディテクター210は、放射源208に対して検査領域206の反対側に角度をもつ弧を張る。ディテクター210は、例えば直接変換ディテクターピクセルといったピクセルの一次元アレイ又は二次元アレイを含む。ディテクター210は検査領域を横断する放射線を検出するように、及びそのエネルギーを示す信号を生成するように適応される。
【0039】
[0043] CTスキャニングユニット200は生成器211及び213を更に含む。生成器211は、ディテクター210からの信号に基づいて断層撮影投影データ209を生成する。生成器213は断層撮影投影データ209を受信し、断層撮影投影データ209に基づいて物体の生画像311を生成する。初期画像311は、スカウトスキャン又は一次スキャンであり、処理デバイス100の入力115に入力される。
【0040】
[0044]
図3A及び
図3Bは、異なる処理された画像をもたらす2つの別個の処理ルーチンを使用して処理された同一の画像を示す。生画像311は典型的には処理デバイス110の入力115において受信される。画像311は次に処理ルーチンに従って処理される。処理ルーチンは、例えば畳み込みニューラルネットワーク(CNN)といった機械学習アルゴリズムを実施するフィルタを使用した例えば画像311の再構成を含む。このような機械学習アルゴリズムは典型的には、このような機械学習アルゴリズムが最終的に適用されるものと同様のサンプル画像に基づいて訓練される。したがって、処理ルーチンは、特定の解剖学的領域又は対応する再構成フィルタに対して特有である。
【0041】
[0045] したがって、処理ルーチンは、特定の解剖学的領域のために設計された再構成フィルタ、及び例えば頭部フィルタに基づいて訓練された頭部ネットワークといったその特定の解剖学的領域に基づいて訓練された対応するCNNの適用である。頭部フィルタは、脳組織における軟組織コントラストを促進するように特別に設計され、次に頭部画像を使用して訓練されるとともに、体フィルタは代替的に、より鮮明な結果を提供するように設計され、体画像に基づいて訓練されたCNNとペアにされる。
【0042】
[0046] しかし、使用時、イメージングシステム120を使用して取得されたスキャンは複数の解剖学的領域を含む。これを考慮すると、
図3Aは、頭部フィルタを使用して再構成された後に、その頭部フィルタを使用して頭部の解剖学的構造物に基づいて訓練されたネットワークを使用してノイズ除去された頭頸部スキャンにおいて獲得された画像を示す。対照的に、
図3Bは、体フィルタを使用して再構成された後、体の解剖学的構造物に基づいて訓練されたネットワークを使用してノイズ除去された、
図3Aに示されているものと同じ画像を示す。
【0043】
[0047] 各画像が対応するフィルタに基づいて訓練されたCNNを使用してノイズ除去されたという事実にもかかわらず、
図3Aに示されている結果として得られる処理された画像は非常にノイズが多く、
図3Bに示されているものより低い品質をもつ。これは、頭部ネットワークが典型的には訓練中に頭部の他には一切の解剖学的構造物を観測していないことに起因する。体ネットワーク及びフィルタが頭部領域スキャンに適用されるとき、同様の現象が見られる。
【0044】
[0048] したがって、複数の解剖学的構造物を含む画像が提供されるとき、既存のシステム及び方法は、幾つかの可能な処理ルーチンのうちのどれが適用されなければならないかを判定しなければならない。本開示によると、1つの画像内における別個の画像セグメントが別個の処理ルーチンを使用して処理される方法が提案される。したがって、このようなフィルタを使用して訓練された異なるCNNを使用した別個のフィルタが、対応する解剖学的構造物に関連した異なる画像セグメントに適用される。
【0045】
[0049] 本発明の1つの実施形態による方法は、処理される一次画像と同じ対象物体を含む例えばスカウトスキャンといった第1の画像を評価することにより、処理中にこのような異なる処理ルーチン間をどこで切り替えるのが最良であるかを更に判定する。
【0046】
[0050]
図4は、本開示に従って医療画像を処理するための方法を示すフローチャートである。示されるように、本方法は、画像の異なる部分に、異なる解剖学的構造物に基づいて訓練された別個のネットワークを適用することを有する。
【0047】
[0051] 本方法は、最初に、イメージングデバイス120から処理デバイス110の入力115において(400において)第1の画像を受信することを有する。第1の画像は、後の一次画像と同じイメージングデバイス120を使用して実施された例えばスカウトスキャンである。受信されたスカウトスキャンは例えば、後の一次画像を計画するために使用される計画画像であり、CTスキャンの場合、後の一次画像より低い放射線量を使用して取得される。画像は、イメージングデバイス120により直接出力された画像形式、及び、このような画像に関連した部分的に処理されたデータを含む幅広い様々な形式により受信されることが理解される。更に、(400において)受信される第1の画像、及び、以下で説明される任意の更なる画像は異なる形態をとり、異なるファイルタイプであってもよい。したがって、このようなデータが対応する第1の画像を生成するために完全に再構成され得るか否かにかかわらず、後述のように解剖学的構造物を識別するために処理され得る生データ形式により第1の画像が受信される。
【0048】
[0052] 本方法は次に(410において)第1の画像における複数の異なる解剖学的構造物を識別する。これらの解剖学的構造物は例えば他にもあるが、頭部、首、上半身、腹部、骨盤領域、下半身、及び脚である。第1の画像は2つのこのような解剖学的構造物を含み、又は第1の画像は例えば完全体スキャンのコンテキストにおいて幾つかのこのような構造物を含む。
【0049】
[0053] (400において)第1の画像を受信した後、本方法は(420において)第1の画像と異なる第2の画像を受信する。第2の画像は一次画像であり、第2の画像は第1の画像と異なるが、第2の画像は典型的には第1の画像と同じ対象物体を含む。したがって、400において取得された第1の画像が410において識別された複数の解剖学的構造物を含む場合、420において取得された第2の画像は典型的には同じ複数の解剖学的構造物を含む。
【0050】
[0054] 第1の画像又は第2の画像は、種々のイメージングモダリティを使用して取得される。このような画像は次に、例えば上述のイメージングデバイス120経由でコンピュータ断層撮影(CT)により取得され、又は、磁気共鳴イメージング(MRI)、陽電子放射断層撮影(PET)、単光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)、デジタルX線ラジオグラメトリー(DXR)を包含するX線イメージング、又は、画像支援治療(IGT)イメージングにおける蛍光透視シーケンスを使用して取得される。これらのイメージングモダリティのうちの任意のものを使用するとき、第1の画像と第2の画像との両方が同じイメージングモダリティを使用して取得され、又は、第1の画像が、第2の画像のものと異なるイメージングモダリティを使用して取得される。
【0051】
[0055] 例えば、第1の画像は、CTスキャンに対するスカウトスキャンであり、CTを使用して取得される。しかし、第1の画像は次に第2の画像より低い放射線量を使用して獲得され、次に、CTスキャンに対する計画画像として使用され、これが次に、より高い放射線量を使用して取得される。他の実施形態では、スカウトスキャンは異なるイメージングモダリティを使用して取得され、したがって、スカウトスキャンは、より高速であり、より簡単であり、より低侵襲性であり、又は、より低価格であり、又は、別様に更に利便性が高い。例えば、スカウトスキャンはX線工程を使用して取得され、その後に一次スキャンがCTを使用して取得される。同様に、CTスキャンがスカウトスキャンとして使用され、その後、一次画像としてPET又はSPECTが続く。幾つかのこのような実施形態において、CTスキャンは、画像における異なる解剖学的構造物を規定するためのこのようなCT画像の使用に加えてPET又はSPECT再構成を改善することに使用される。第1の画像又は第2の画像の各々が三次元画像であり、又は、第1の画像又は第2の画像は二次元画像である。更に、第1の画像は、第2の画像と比べて、より低い分解能で、又は、より低いコントラスト又は色濃度で取得される。
【0052】
[0056] 更に、幾つかの実施形態では、(410における)第1の画像における複数の異なる解剖学的構造物の識別は、イメージングユニット120からの(420における)第2の画像の受信の前に行われる。このような実施形態において、本方法は次に、第2の画像を受信する前に解剖学的構造物が規定されるようにし、対応する第2の画像のより効率的な処理を可能にする。同様に、幾つかの実施形態では、第1の画像における複数の異なる解剖学的構造物が、(420において)第2の画像を受信したときに識別される。これらのアプローチは、第2の画像を受信する前に、又は第2の画像を受信している間に第1の画像において異なる解剖学的構造物を識別することに関連した全ての処理を完了することによりシステムの処理効率を改善するために、説明されている方法をシステム100が実施することを可能にする。したがって、第2の画像が部分的に、又は完全に受信された後、第2の画像は、第1の画像から取得された識別情報に基づいてすぐに処理される。
【0053】
[0057] 幾つかの実施形態では、第1の画像の処理は、第2の画像の処理を始める前に完了される必要はない。したがって、解剖学的構造物が第1の画像において識別され、第2の画像の対応する部分が受信された後、第2の画像の関連部分が以下のステップに従って処理される。
【0054】
[0058] 本方法は次に(430において)第1の画像において識別された異なる解剖学的構造物の位置に基づいて第2の画像において複数の画像セグメントを規定する。したがって、第1の画像が、例えば頭部といった第1の解剖学的構造物、及び、例えば首といった第2の解剖学的構造物を(410において)含むように特定された場合、本方法は第1の解剖学的構造物を含む第1の画像セグメントと第2の解剖学的構造物を含む第2の画像セグメントとを規定する。
【0055】
[0059] (420における)第2の画像の受信の前に解剖学的構造物が(410において)規定される実施形態では、第2の画像の受信の直後に画像セグメントが(430において)規定される。幾つかの実施形態では、画像が(420において)イメージングデバイス120により取得されたとき、画像が処理ユニット110において受信されたとき、第2の画像の全体を受信する前に、又は第2の画像の全体を受信している間に、このような解剖学的構造物が識別され、対応する画像セグメントが規定される。例えば、完全体スキャンがスカウトスキャンの後に実施される場合、スキャンされる第1の解剖学的構造物に対応した画像セグメントが、第2の画像を生成するスキャンを完了する前に後述のように入手され、及び処理される。
【0056】
[0060] (430において)複数の画像セグメントが規定された後、異なる処理ルーチンが各画像セグメントに適用される。したがって、第1の処理ルーチンが第1の画像セグメントに(440において)適用され、第1の処理ルーチンは第1の画像セグメントに含まれる第1の解剖学的構造物に関連している。
【0057】
[0061] 別に、第2の処理ルーチンが第2の画像セグメントに(450において)適用され、第2の処理ルーチンは第2の画像セグメントに含まれる第2の解剖学的構造物に関連している。第1の解剖学的構造物と第2の解剖学的構造物とは異なる解剖学的構造物であり、各々に適用される処理ルーチンは互いに異なる。
【0058】
[0062] 上述のように、示される実施形態は(430における)複数の画像セグメントの初期規定と、その後の(440,450における)処理ルーチンの適用とについて説明しているが、幾つかの実施形態では、複数の画像セグメントのうちの1つが完全な第2の画像を受信する前に規定される。このようなシナリオでは、第1の画像セグメントが(430において)規定され、完全な第2の画像を受信する前に処理が(440において)始まる。
【0059】
[0063] 説明されている処理ルーチンは概して、第2の画像の品質又は明確さを改善するように設計されたソフトウェアルーチンである。このようなルーチンは例えばノイズ除去ルーチンであり、又は、使用されるイメージングモダリティのアーティファクトを別様に除去する。処理ルーチンは機械学習アルゴリズムであり、このようなアルゴリズムの各々が対応する解剖学的構造物に基づいて訓練される。したがって、440において適用される第1の処理ルーチンは、例えば第1の解剖学的構造物に基づいて訓練されたCNNといった第1の機械学習アルゴリズムである。次に、450において適用される第2の処理ルーチンは、例えば第2の解剖学的構造物に基づいて訓練されたCNNといった第2の機械学習アルゴリズムである。
【0060】
[0064] 処理ルーチンは、対応する解剖学的構造物のために設計された適切なフィルタを使用した関連する画像セグメントの再構成を更に含む。したがって、第1の解剖学的構造物が患者の頭部である場合、440において適用される第1の処理ルーチンは、頭部フィルタを使用した対応する第1の画像セグメントの再構成、及び、それに続く、頭部フィルタに基づいて訓練された対応する頭部CNNを使用したノイズ除去である。同様に、第2の解剖学的構造物が患者の首又は胴である場合、450において適用される第2の処理ルーチンは、体フィルタを使用した対応する第2の画像セグメントの再構成、及び、それに続く、同じ体フィルタに基づいて訓練された首又は胴に関連したCNNを使用したノイズ除去である。
【0061】
[0065] 幾つかの実施形態では、同じ再構成フィルタが複数の画像セグメントに対して使用されるが、対応する解剖学的構造物に基づいて訓練された異なるCNNが異なる画像セグメントに適用される。CNNが説明されているが、様々な機械学習アルゴリズムを含む代替的なアルゴリズムアーキテクチャが、同様に使用されてもよいことが理解される。
【0062】
[0066] 規定された第1の画像セグメント及び第2の画像セグメントが(それぞれ440及び450において)処理された後、処理された第2の画像が(460において)出力される。処理された第2の画像は処理された第1の画像セグメントと処理された第2の画像セグメントとを含む。第1の画像セグメント及び第2の画像セグメントが処理目的で別個の画像にパースされた場合、それらは典型的にはそれを出力する前に1つの画像に再結合される。
【0063】
[0067] 示される実施形態では、本方法は、(410において)第1の画像において複数の解剖学的構造物を識別する。これは、例えば解剖学的構造物を識別するための機械学習アルゴリズムの適用といった処理ルーチンを使用することによるものである。解剖学的構造物は、例えばこのような構造物に関連した画像における標識を識別することにより識別される。代替的に、このような解剖学的構造物は、対応する画像セグメントへの画像のパーシングの前に手動で識別される。このような手動識別は、技術者が、一次スキャンを取得する前に、一次スキャンを取得している間に、又は一次スキャンを取得した後にユーザーインターフェースにおいてスカウトスキャンにおいて構造物を識別することによるものである。
【0064】
[0068] 幾つかの実施形態では、解剖学的構造物の識別は、処理されているものと同じ画像において行われる。このような実施形態では、第1の画像にいて解剖学的構造物を識別した後に第2の画像を処理するのではなく、解剖学的構造物及び対応する画像セグメントが識別される画像において第1の分析が実施された後、画像セグメントが異なる形態により処理される第2の分析が続く。
【0065】
[0069]
図5は、本開示による画像のパーシング500を示す。示されるように、画像500は、スキャンされる患者の頭部510、首520、及び上部胴体530を含む。典型的には、本方法は次に、頭部510、首520、及び上部胴体530の各々に関連した別個の解剖学的構造物を識別し、次に、例えば頭部510といった第1の解剖学的構造物に関連した第1の画像セグメント540、及び例えば上部胴体530といった第2の解剖学的構造物に関連した第2の画像セグメント550を規定する。
【0066】
[0070] 2つの画像セグメント540、550が示されているが、第3の別個の画像セグメントが首520を包むように同様に規定される。代替的に、示される実施形態では、第2の画像セグメント550は、首520と上部胴体530との両方を含むように、及び、両方に適した1つの処理ルーチンを使用して両方を処理するように規定される。
【0067】
[0071] 本発明の1つの実施形態による方法の理解を簡単にするために、
図5がスカウトスキャンの例として提供されることに留意されたい。画像セグメント540、550が示されるスカウトスキャン画像500に示されているが、使用中に、このような画像セグメントが、スカウトスキャンの受信後に受信された一次画像において規定されることが理解される。
【0068】
[0072] 示されるように、第1の画像セグメント540及び第2の画像セグメント550は線形にパースされ、したがって、第1の画像セグメント540は画像500の上部の全幅を含み、第2の画像セグメント550は画像の下部の全幅を含む。
【0069】
[0073] 更に、示されるように、第1の画像セグメント540は、第2の解剖学的構造物、すなわち上部胴体530を除外するように規定され、第2の画像セグメント550は、第1の解剖学的構造物、すなわち頭部510を除外するように規定される。このアプローチは、画像の1つの部分が第1の処理ルーチンと第2の処理ルーチンとを使用して別々に処理されることを防ぐ。
【0070】
[0074] 代替的に、画像の一部が第1の画像セグメント540と第2の画像セグメント550との両方の一部として規定される。このような一実施形態では、第1の処理ルーチン及び第2の処理ルーチンの結果は、(460において)処理された第2の画像を出力する前に融合される。このような融合は、例えば、結果として得られる重なる画像セグメントを平均化することによるものである。
【0071】
[0075] 本明細書において説明されている方法が主にCTスキャン画像のコンテキストにおいて説明されているが、様々な医療イメージング技術を含む様々なイメージング技術が想定され、幅広い様々なイメージング技術を使用して生成された画像が効果的にノイズ除去され得、又は本明細書において説明されている方法を使用して別様に処理され得ることが理解される。
【0072】
[0076] 本開示による方法は、コンピュータにより実現される方法としてコンピュータにおいて、若しくは、特別なハードウェアにおいて、又は、両方の組み合わせとして実現されてもよい。本開示による方法のための実行可能コードは、コンピュータプログラムプロダクトに格納されてもよい。コンピュータプログラムプロダクトの例は、メモリデバイス、光ストレージデバイス、集積回路、サーバー、オンラインソフトウェアなどを包含する。好ましくは、コンピュータプログラムプロダクトは、プログラムプロダクトがコンピュータにおいて実行されたときに本開示による方法を実施するためのコンピュータ可読媒体に記憶された非一時的プログラムコードを含む。実施形態において、コンピュータプログラムは、コンピュータプログラムがコンピュータにおいて実行されたときに本開示による方法のステップの全てを実施するように適応されたコンピュータプログラムコードを含む。コンピュータプログラムは、コンピュータ可読媒体において具現化される。
【0073】
[0077] 本開示は幾つかの説明されている実施形態に関連してある長さで、及びある詳細さで説明されているが、本開示がこのような詳細事項又は実施形態のいずれか又は特定の実施形態のいずれかに限定されなければならないことは意図していないが、本開示は、従来技術を考慮して添付の請求項のできる限り最も広い解釈を提供し、ひいては本開示の意図する範囲を効果的に包含するために、添付の請求項を参酌して解釈されるものである。
【0074】
[0078] 本明細書に記載されている全ての例及び条件の表現は、本開示の原理、及び当技術分野を発展させるように発明者が寄与する概念を理解することにおいて読み手を補助するための教育目的を意図したものであり、このような明示的に記載されている例及び条件に限定されないと解釈される。更に、本開示の原理、態様、及び実施形態、並びにそれらの特定の例を記載した本明細書における全ての記述は、それらの構造的に同等なものと機能的に同等なものとの両方を包含することを意図したものである。更に、このような同等なものは現在知られている同等なものと、将来的に開発される同等なもの、すなわち構造にかかわらず同じ機能を実施する開発される任意の要素との両方を含むことが意図されている。
【国際調査報告】