(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-15
(54)【発明の名称】熱可塑性樹脂組成物およびそれを用いた成形品
(51)【国際特許分類】
C08L 25/12 20060101AFI20231208BHJP
C08L 55/02 20060101ALI20231208BHJP
C08L 35/06 20060101ALI20231208BHJP
C08L 77/00 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
C08L25/12
C08L55/02
C08L35/06
C08L77/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532543
(86)(22)【出願日】2021-11-24
(85)【翻訳文提出日】2023-05-29
(86)【国際出願番号】 KR2021017408
(87)【国際公開番号】W WO2022114778
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】10-2020-0165200
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520087103
【氏名又は名称】ロッテ ケミカル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ホン,サンヒュン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ハンナ
(72)【発明者】
【氏名】バン,キュンハ
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ボンジュン
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BC06W
4J002BH015
4J002BN15X
4J002CL00Y
4J002CL01Y
4J002CL03Y
4J002CL084
4J002FD016
4J002FD026
4J002FD046
4J002FD066
4J002FD096
4J002FD114
4J002FD136
4J002FD166
4J002FD176
4J002FD186
4J002FD206
4J002GN00
4J002GQ00
(57)【要約】
(A1)ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体20重量%~40重量%;(A2)芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体30重量%~75重量%;および(B)ポリアミド樹脂5重量%~40重量%;を含む基礎樹脂100重量部に対して、(C)結晶化温度(Tc)が145℃以下のポリエーテル-エステル-アミドブロック共重合体1重量部~15重量部;および(D)マレイン酸無水物-芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体0.5重量部~10重量部を含む熱可塑性樹脂組成物およびそれにより製造された成形品に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A1)ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体20重量%~40重量%;
(A2)芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体30重量%~75重量%;および
(B)ポリアミド樹脂5重量%~40重量%;
を含む基礎樹脂100重量部に対して、
(C)結晶化温度(Tc)が145℃以下のポリエーテル-エステル-アミドブロック共重合体1重量部~15重量部;および
(D)マレイン酸無水物-芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体0.5重量部~10重量部
を含む熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(A1)ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体は、ブタジエン系ゴム質重合体からなるコア、および芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物が前記コアにグラフト重合されて形成されたシェルを含むコア-シェル構造である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】
前記ブタジエン系ゴム質重合体は、平均粒径が0.2μm~1.0μmである、請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(A1)ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体は、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体である、請求項1~3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項5】
前記(A2)芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、100重量%を基準に芳香族ビニル化合物から由来する成分55重量%~80重量%、およびシアン化ビニル化合物から由来する成分20重量%~45重量%を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項6】
前記(A2)芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、重量平均分子量が80,000g/mol~300,000g/molである、請求項1~5のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項7】
前記(A2)芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、スチレン-アクリロニトリル共重合体である、請求項1~6のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項8】
前記(B)ポリアミド樹脂は、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6I、ポリアミド6T、ポリアミド4T、ポリアミド410、ポリアミド510、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド10T、ポリアミド1212、ポリアミド12T、ポリアミドMXD6、またはこれらの組合せを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項9】
前記(C)ポリエーテル-エステル-アミドブロック共重合体は、炭素数6以上のアミノカルボン酸、ラクタム、またはジアミン-ジカルボン酸の塩;ポリアルキレングリコール;および炭素数4~20のジカルボン酸の反応混合物である、請求項1~8のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項10】
前記(D)マレイン酸無水物-芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、マレイン酸無水物-スチレン-アクリロニトリル共重合体である、請求項1~9のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項11】
核剤、カップリング剤、充填剤、可塑剤、滑剤、離型剤、抗菌剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、難燃剤、着色剤、衝撃補強剤から選ばれる少なくとも一つの添加剤をさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物から製造された成形品。
【請求項13】
前記成形品は、ASTM D256による1/4”厚試片のノッチアイゾット衝撃強度が15kgf・cm/cm以上である、請求項12に記載の成形品。
【請求項14】
前記成形品は、表面抵抗測定装置(製造社:SIMCO-ION社,装置名:Worksurface Tester ST-4)を使用して100mmx100mmx2mm試片に対して測定した表面抵抗が10
11.0Ω/sq以下である、請求項12または13に記載の成形品。
【請求項15】
前記成形品の塗装厚さが50μm以上である、請求項12~14のいずれかに記載の成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物およびそれを用いた成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)樹脂に代表されるスチレン系樹脂は、その優れた成形性、機械的特性、外観、2次加工性等によって多様な用途に広範囲に使用されている。
【0003】
スチレン系樹脂を用いて製造される成形品は、塗装/無塗装が要求される様々な製品に広範囲に適用することができ、例えば、自動車および/または電子機器の各種内/外装材等に適用され得る。
【0004】
このうち、各種内/外装材に美的効果を与えるための方案として、スチレン系樹脂を用いて製造された成形品に塗装作業を行う場合がある。塗装の方法は特に制限されないが、一般に広く用いられる塗装方式としては静電塗装を挙げることができる。この静電塗装は、成形品の表面に電気伝導性を付与した後に塗装を行う方法であり、大抵は、表面抵抗の高いプラスチック系列の成形品に静電塗装を適用するためには、成形品の表面に導電性プライマー(primer)等の前処理を施す必要がある。
【0005】
導電性プライマーの塗布は、工程数および工程時間を増加させるため、近年では、スチレン系樹脂に各種導電性物質(例えば、炭素ナノチューブ等)および/または導電性発現添加剤をさらに含ませることにより、成形品自体が一定レベル以上の電気伝導性を内在するようにさせる方法が提案されている。
【0006】
しかし、スチレン系樹脂に導電性物質および/または導電性発現添加剤を添加する場合、スチレン系樹脂の物性バランスが損傷されることにより、予期しなかった各種物性の低下が生じるおそれがある。
【0007】
これにより、優れた電気伝導性および諸般の物性バランスを保つことのできる熱可塑性樹脂組成物の開発が必要な実情にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電気伝導性および耐衝撃性が共に優れた熱可塑性樹脂組成物、およびそれにより製造された成形品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一具現例によると、(A1)ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体20重量%~40重量%;(A2)芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体30重量%~75重量%;および(B)ポリアミド樹脂5重量%~40重量%を含む基礎樹脂100重量部に対して、(C)結晶化温度(Tc)が145℃以下のポリエーテル-エステル-アミドブロック共重合体1重量部~15重量部;および(D)マレイン酸無水物-芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体0.5重量部~10重量部を含む熱可塑性樹脂組成物が提供される。
【0010】
前記(A1)ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体は、ブタジエン系ゴム質重合体からなるコア、および芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物が前記コアにグラフト重合されて形成されたシェルを含むコア-シェル構造になり得る。
【0011】
前記ブタジエン系ゴム質重合体は、平均粒径が0.2μm~1.0μmになり得る。
【0012】
前記(A1)ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体は、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレングラフト共重合体になり得る。
【0013】
前記(A2)芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、100重量%を基準に芳香族ビニル化合物から由来する成分55重量%~80重量%、およびシアン化ビニル化合物から由来する成分20重量%~45重量%を含むことができる。
【0014】
前記(A2)芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、重量平均分子量が80,000g/mol~300,000g/molになり得る。
【0015】
前記(A2)芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、スチレン-アクリロニトリル共重合体になり得る。
【0016】
前記(B)ポリアミド樹脂は、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6I、ポリアミド6T、ポリアミド4T、ポリアミド410、ポリアミド510、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド10T、ポリアミド1212、ポリアミド12T、ポリアミドMXD6、またはこれらの組合せを含むことができる。
【0017】
前記(C)ポリエーテル-エステル-アミドブロック共重合体は、炭素数6以上のアミノカルボン酸、ラクタム、またはジアミン-ジカルボン酸の塩;ポリアルキレングリコール;および炭素数4~20のジカルボン酸の反応混合物になり得る。
【0018】
前記(D)マレイン酸無水物-芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、マレイン酸無水物-スチレン-アクリロニトリル共重合体になり得る。
【0019】
前記熱可塑性樹脂組成物は、核剤、カップリング剤、充填剤、可塑剤、滑剤、離型剤、抗菌剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、難燃剤、着色剤、衝撃補強剤から選ばれる少なくとも一つの添加剤をさらに含むことができる。
【0020】
別の一具現例によると、前述の熱可塑性樹脂組成物から製造された成形品が提供される。
【0021】
前記成形品は、ASTM D256による1/4”厚試片のノッチアイゾット衝撃強度が15kgf・cm/cm以上になり得る。
【0022】
前記成形品は、表面抵抗測定装置(製造社:SIMCO-ION社,装置名:Worksurface Tester ST-4)を使用して100mmx100mmx2mm試片に対して測定した表面抵抗が1011.0Ω/sq以下になり得る。
【0023】
前記成形品は、成形品の塗装厚さが50μm以上になり得る。
【発明の効果】
【0024】
電気伝導性および耐衝撃性が共に優れた熱可塑性樹脂組成物およびそれを用いた成形品を提供することができる。
【0025】
また、前記熱可塑性樹脂組成物とそれにより製造された成形品は、優れた電気伝導性および諸般の物性バランスを表すため、塗装、無塗装に使用する様々な製品の成形に広範囲に適用することができ、特に、静電塗装が必要な塗装用成形品に有用に適用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[発明の実施のための形態]
以下、本発明の具現例を詳しく説明する。但し、これは例として提示するものであり、これによって本発明が制限されるのではなく、本発明は添付の請求の範囲によって定義されるのみである。
【0027】
本発明において特に言及しない限り、平均粒径とは体積平均直径であり、動的光散乱(Dynamic light scattering)分析機器を用いて測定したZ-平均粒径を意味する。
【0028】
一具現例によると、(A1)ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体20重量%~40重量%;(A2)芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体30重量%~75重量%;および(B)ポリアミド樹脂5重量%~40重量%を含む基礎樹脂100重量部に対して、(C)結晶化温度(Tc)が145℃以下のポリエーテル-エステル-アミドブロック共重合体1重量部~15重量部;および(D)マレイン酸無水物-芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体0.5重量部~10重量部を含む熱可塑性樹脂組成物が提供される。
【0029】
以下、前記熱可塑性樹脂組成物に含まれる各成分について具体的に説明する。
【0030】
(A1)ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体
一具現例において、ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体は、熱可塑性樹脂組成物に優れた耐衝撃性を付与する。一具現例において、ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体は、ブタジエン系ゴム質重合体成分からなる中心部(コア,core)と、その中心部に芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物をグラフト重合反応させてシェル(shell)を形成したコア-シェル(core-shell)構造を有することができる。
【0031】
一具現例にかかるブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体は、ブタジエン系ゴム質重合体に芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物を含む単量体混合物を添加し、乳化重合、塊状重合等の通常の重合方法によってグラフト重合することにより製造できる。
【0032】
前記ブタジエン系ゴム質重合体は、ブタジエンゴム質重合体、ブタジエン-スチレンゴム質重合体、ブタジエン-アクリロニトリルゴム質重合体、ブタジエン-アクリレートゴム質重合体およびこれらの混合物からなる群から選ばれ得る。
【0033】
前記芳香族ビニル化合物は、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-t-ブチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレンおよびこれらの混合物からなる群から選ばれ得る。
【0034】
前記シアン化ビニル化合物は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリルおよびこれらの混合物からなる群から選ばれ得る。
【0035】
前記ブタジエン系ゴム質重合体は、平均粒径が0.2μm~1.0μmになり得る。例えば、前記ブタジエン系ゴム質重合体の平均粒径は、0.2μm以上、0.3μm以上、0.4μm以上、0.5μm以上、0.6μm以上、0.7μm以上、0.8μm以上または0.9μm以上、および1.0μm以下、0.9μm以下、0.8μm以下、0.7μm以下、0.6μm以下、0.5μm以下、0.4μm以下、または0.3μm以下になり得る。前記ブタジエン系ゴム質重合体の平均粒径が前記範囲を満たす場合、一具現例にかかる熱可塑性樹脂組成物およびそれにより製造された成形品は、優れた耐衝撃性および外観特性を表すことができる。
【0036】
前記ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体100重量%に対して、前記ブタジエン系ゴム質重合体は40重量%~70重量%、例えば、40重量%~65重量%、45重量%~65重量%、45重量%~60重量%、45重量%~55重量%、45重量%~50重量%で含まれ得る。一方、前記ブタジエン系ゴム質重合体成分からなるコアにグラフト重合される前記芳香族ビニル化合物と、前記シアン化ビニル化合物の重量比は1.5:1~4:1、例えば2:1~3:1になり得る。
【0037】
一具現例において、前記ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体は、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレングラフト共重合体になり得る。
【0038】
前記ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体は、基礎樹脂100重量%に対して20重量%~40重量%、例えば20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上、または35重量%以上、および40重量%以下、35重量%以下、30重量%以下、または25重量%で含まれ得る。前記重量範囲内で、それを含む熱可塑性の樹脂組成物およびそれにより製造された成形品が優れた電気伝導性および耐衝撃性を表すことができる。
【0039】
(A2)芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体
一具現例において、芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、熱可塑性樹脂組成物の流動性を向上させ、構成要素間の相溶性を一定レベルに保つことができる。
【0040】
一具現例において、前記芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、重量平均分子量が80,000g/mol~300,000g/mol、例えば80,000g/mol~200,000g/mol、例えば80,000g/mol~150,000g/molになり得、例えば、80,000g/mol以上、85,000g/mol以上、90,000g/mol以上、100,000g/mol以上、120,000g/mol以上、150,000g/mol以上、200,000g/mol以上、または250,000g/mol、および300,000g/mol以下、250,000g/mol以下、200,000g/mol以下、150,000g/mol以下、100,000g/mol以下になり得る。
【0041】
一具現例において、前記芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物を含む単量体混合物を乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合等の通常の重合方法によって製造することができる。
【0042】
前記芳香族ビニル化合物は、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-t-ブチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレンおよびこれらの混合物からなる群から選ばれ得る。
【0043】
前記シアン化ビニル化合物は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリルおよびこれらの混合物からなる群から選ばれ得る。
【0044】
前記芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、100重量%を基準に、前記芳香族ビニル化合物から由来する成分を55重量%~80重量%、例えば60重量%~75重量%、例えば55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上または75重量%以上、および80重量%以下、75重量%以下、70重量%以下、65重量%以下、または60重量%以下で含まれ得る。
【0045】
一具現例において、前記芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、スチレン-アクリロニトリル共重合体(SAN)になり得る。
【0046】
一具現例において、前記芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、基礎樹脂100重量%に対して、30重量%~75重量%、例えば、30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上、45重量%以上、50重量%以上、55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上または70重量%以上、および75重量%以下、70重量%以下、65重量%以下、60重量%以下、55重量%以下、50重量%以下、45重量%以下、40重量%以下、または35重量%以下になり得る。前記重量範囲内で、それを含む熱可塑性樹脂組成物およびそれにより製造された成形品が優れた成形性および機械的物性を表すことができる。
【0047】
(B)ポリアミド樹脂
一具現例において、ポリアミド樹脂は、熱可塑性樹脂組成物が優れた電気伝導性を具現できるようにする。
【0048】
一具現例において、前記ポリアミド樹脂としては、当該技術分野で知られている多様なポリアミド樹脂、例えば、芳香族ポリアミド樹脂、脂肪族ポリアミド樹脂、またはこれらの混合物を使用することができ、特に制限されるのではない。
【0049】
前記芳香族ポリアミド樹脂は、主鎖に芳香族基を含むポリアミドとして、全芳香族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、またはこれらの混合物になり得る。
【0050】
前記全芳香族ポリアミドは、芳香族ジアミンと芳香族ジカルボン酸の重合体を意味し、前記半芳香族ポリアミドは、アミド結合間に最低でも一つの芳香族単位と最低でも一つの非芳香族単位を一緒に含むことを意味する。例えば、前記半芳香族ポリアミドは、芳香族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸の重合体であるか、或いは脂肪族ジアミンと芳香族ジカルボン酸の重合体になり得る。
【0051】
前記脂肪族ポリアミドは、脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸の重合体を意味する。
【0052】
前記芳香族ジアミンの例としては、p-キシレンジアミン、m-キシレンジアミン等を挙げることができるが、これに限定されるのではない。また、これらは単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0053】
前記芳香族ジカルボン酸の例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、(1,3-フェニレンジオキシ)ジアセチック酸等を挙げることができるが、これに限定されるのではない。また、これらは単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0054】
前記脂肪族ジアミンの例としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、ピペラジン等を挙げることができるが、これに限定されるのではない。また、これらは単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0055】
前記脂肪族ジカルボン酸の例としては、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸等を挙げることができるが、これに限定されるのではない。また、これらは単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0056】
一具現例において、前記ポリアミド樹脂は、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6I、ポリアミド6T、ポリアミド4T、ポリアミド410、ポリアミド510、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド10T、ポリアミド1212、ポリアミド12T、ポリアミドMXD6、またはこれらの組合せを含むことができる。
【0057】
一具現例において、前記ポリアミド樹脂は、少なくともポリアミド6を含むことができる。
【0058】
一具現例において、前記ポリアミド樹脂は、基礎樹脂100重量%に対して、5重量%~40重量%、例えば5重量%~35重量%、例えば5重量%~30重量%、例えば5重量%~25重量%、例えば5重量%~20重量%で含まれ得る。
【0059】
前記ポリアミド樹脂の含量が前述の範囲を満たす場合、これを含む熱可塑性樹脂組成物およびそれにより製造された成形品は、優れた機械的物性および電気伝導性を表すことができる。
【0060】
(C)ポリエーテル-エステル-アミドブロック共重合体
一具現例において、ポリエーテル-エステル-アミドブロック共重合体は、熱可塑性樹脂組成物、およびそれにより製造された成形品に所定の電気伝導性が表れるようにすることができる。
【0061】
また、前記ポリエーテル-エステル-アミドブロック共重合体は、熱可塑性樹脂組成物およびそれにより製造された成形品が優れた物性バランスを保ちつつ、前述の電気伝導性を表すようにすることができる。
【0062】
前記ポリエーテル-エステル-アミドブロック共重合体は、時差走査熱量計(DSC)で測定した結晶化温度(Tc)が145℃以下になり得る。例えば、前記ポリエーテル-エステル-アミドブロック共重合体は、結晶化温度が145℃以下、140℃以下、135℃以下、130℃以下、または125℃以下になり得る。前記結晶化温度範囲で、熱可塑性樹脂組成物およびそれにより製造された成形品の電気伝導性に優れる。
【0063】
一具現例において、ポリエーテル-エステル-アミドブロック共重合体として、例えば、炭素数6以上のアミノカルボン酸、ラクタムまたはジアミン-ジカルボン酸の塩;ポリアルキレングリコール;および炭素数4~20のジカルボン酸の反応混合物を使用することができる。
【0064】
一具現例において、前記の炭素数6以上のアミノカルボン酸、ラクタム、またはジアミン-ジカルボン酸の塩としては、ω-アミノカプロン酸、ω-アミノエナント酸、ω-アミノカプリル酸、ω-アミノペラルゴン酸、ω-アミノカプリン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸等のようなアミノカルボン酸類;ε-カプロラクタム、エナントラクタム、カプリルラクタム、ラウロラクタム等のようなラクタム類;およびヘキサメチレンジアミン-アジピン酸の塩、ヘキサメチレンジアミン-イソフタル酸の塩等のようなジアミン-ジカルボン酸塩等を例示することができる。例えば、12-アミノドデカン酸、ε-カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン-アジピン酸の塩等が使用できる。
【0065】
一具現例において、前記ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールのブロックまたはランダム共重合体、エチレングリコールとテトラヒドロフランの共重合体等を例示することができる。例えば、ポリエチレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体等を使用できる。
【0066】
一具現例において、前記の炭素数4~20のジカルボン酸としては、テレフタル酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、セバシン酸、アジピン酸、ドデカン二酸等を例示することができる。
【0067】
一具現例において、前記の炭素数6以上のアミノカルボン酸、ラクタム、またはジアミン-ジカルボン酸の塩と前記ポリアルキレングリコールの結合は、エステル結合になり得、前記の炭素数6以上のアミノカルボン酸、ラクタム、またはジアミン-ジカルボン酸塩と前記の炭素数4~20のジカルボン酸の結合は、アミド結合になり得、前記ポリアルキレングリコールと前記の炭素数4~20のジカルボン酸の結合はエステル結合になり得る。
【0068】
一具現例において、前記ポリエーテル-エステル-アミドブロック共重合体は、公知の合成方法によって製造することができ、例えば、日本特許公報昭56-045419および日本特許公開昭55-133424に開示されている合成方法に従って製造することができる。
【0069】
一具現例において、前記ポリエーテル-エステル-アミドブロック共重合体は、ポリエーテルエステルブロックを10重量%~95重量%含むことができる。前記範囲で、熱可塑性樹脂組成物およびそれにより製造された成形品の電気伝導性および耐熱性等に優れ得る。
【0070】
一具現例において、前記ポリエーテル-エステル-アミドブロック共重合体は、前記基礎樹脂100重量部に対して、1重量部~15重量部、例えば、1重量部以上、5重量部以上、または10重量部以上、および15重量部以下、10重量部以下、または5重量部以下で含まれ得る。前記ポリエーテル-エステル-アミドブロック共重合体の含量が前述の範囲を満たす場合、熱可塑性樹脂組成物およびそれにより製造された成形品は優れた耐水信頼性を保ちつつ、同時に優れた電気伝導性を表すことができる。
【0071】
(D)マレイン酸無水物-芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体
一具現例において、マレイン酸無水物-芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、熱可塑性樹脂組成物およびそれにより製造される成形品の物性バランスを適正レベルに保つことができる。具体的には、前記マレイン酸無水物-芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、前記(C)ポリエーテル-エステル-アミドブロック共重合体の添加によって低下し得る諸般の物性(例えば、耐衝撃性、耐熱性等)の維持に優れ得る。
【0072】
一具現例において、前記マレイン酸無水物-芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、マレイン酸無水物、芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物を含む単量体混合物を、乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合等の通常の重合方法によって製造することができる。
【0073】
前記芳香族ビニル化合物は、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-t-ブチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレンおよびこれらの混合物からなる群から選ばれ得る。
【0074】
前記シアン化ビニル化合物は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリルおよびこれらの混合物からなる群から選ばれ得る。
【0075】
前記マレイン酸無水物-芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体の共重合形態は特に制限されるのではなく、マレイン酸無水物から由来する成分、芳香族ビニル化合物から由来する成分、シアン化ビニル化合物から由来する成分が、交互共重合、ランダム共重合、またはブロック共重合を成している場合もあり、マレイン酸無水物から由来する成分が、芳香族ビニル化合物から由来する成分とシアン化ビニル化合物から由来する成分が共重合されている主鎖にグラフト共重合されている場合もある。
【0076】
一具現例において、前記マレイン酸無水物-芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、マレイン酸無水物-スチレン-アクリロニトリル共重合体になり得る。
【0077】
前記マレイン酸無水物-芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、100重量%を基準にマレイン酸無水物から由来する成分0.5重量%~30重量%、芳香族ビニル化合物から由来する成分50重量%~90重量%、シアン化ビニル化合物から由来する成分5重量%~40重量%を含み得る。前記範囲を満たす場合、熱可塑性樹脂組成物およびそれにより製造された成形品が優れた耐衝撃性および/または耐熱性を表すことができる。
【0078】
一具現例において、前記マレイン酸無水物-芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体は、基礎樹脂100重量部に対して0.5重量部~10重量部、例えば0.5重量部~9重量部、例えば0.5重量部~8重量部、例えば1重量部~8重量部、例えば1重量部~7重量部、例えば1重量部~6重量部、例えば1重量部~5重量部含むことができる。
【0079】
マレイン酸無水物-芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体の含量が前述の範囲を満たす場合、熱可塑性樹脂組成物およびそれにより製造された成形品が優れた物性バランスを保ちつつ、同時に優れた電気伝導性を表すことができる。
【0080】
(E)添加剤
一具現例にかかる熱可塑性樹脂組成物は、前記成分(A1)~(D)以外にも、電気伝導性と諸般の物性バランスを共に優秀に保つ条件下で、各物性間のバランスを合わせるために、或いは前記熱可塑性樹脂組成物の最終用途によって必要な1種以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0081】
具体的には、前記添加剤としては、核剤、カップリング剤、充填剤、可塑剤、滑剤、離型剤、抗菌剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、難燃剤、着色剤、衝撃補強剤等が使用でき、これらは単独で、或いは2種以上の組合せで使用することができる。
【0082】
これら添加剤は、熱可塑性樹脂組成物の物性を阻害しない範囲内で適切に含むことができ、具体的には、基礎樹脂100重量部に対して20重量部以下で含まれ得るが、これに制限されるのではない。
【0083】
本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂組成物を製造する公知の方法によって製造され得る。
【0084】
例えば、本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物は、本発明の構成成分とその他の添加剤を同時に混合した後、押出器内で溶融混練してペレット(pellet)形態に製造することができる。
【0085】
本発明の一具現例にかかる成形品は、上述の熱可塑性樹脂組成物から製造することができる。
【0086】
一具現例において、前記成形品は、ASTM D256による1/4”厚試片のノッチアイゾット衝撃強度が15kgf・cm/cm以上になり得る。例えば、前記成形品のノッチアイゾット衝撃強度は、15kgf・cm/cm以上、16kgf・cm/cm以上、17kgf・cm/cm以上、18kgf・cm/cm以上、19kgf・cm/cm以上、または20kgf・cm/cm以上になり得る。
【0087】
一具現例において、前記成形品は、表面抵抗測定装置(製造社:SIMCO-ION社,装置名:Worksurface Tester ST-4)を使用して100mmx100mmx2mmの試片に対して測定した表面抵抗が1011Ω/sq以下、例えば1010.9Ω/sq以下、例えば1010.8Ω/sq以下、例えば1010.7Ω/sq以下になり得る。
【0088】
一具現例において、前記成形品の塗装厚さは50μm以上になり得る。例えば、前記成形品の塗装厚さは、50μm以上、51μm以上、52μm以上、53μm以上、54μm以上、または55μm以上になり得る。
【0089】
このように、前記熱可塑性樹脂組成物は、優れた耐衝撃性、および電気伝導性を有するため、塗装または無塗装に使用する様々な製品に広範囲に適用することができ、特に、静電塗装が必要な塗装用成形品に有利に適用することができる。
【0090】
以下、本発明を実施例および比較例によってより詳しく説明するが、下記の実施例および比較例は説明の目的のためのものであり、本発明を制限しようとするものではない。
【0091】
実施例1および2、並びに比較例1~3
実施例1および2、並びに比較例1~3の熱可塑性樹脂組成物は、下記表1に記載の成分含量比に従って製造した。
【0092】
表1において、(A1)、(A2)、(B)は、基礎樹脂に含まれるものであり、基礎樹脂の総重量を基準に重量%で表し、(C1)~(C4)、および(D)は、基礎樹脂に添加されるものであり、基礎樹脂100重量部に対する重量部で表した。
【0093】
表1に記載の成分を乾式混合し、二軸押出器(L/D=44,f=45mm)の供給部に定量的に連続投入した後、溶融/混練した。次いで、前記のペレット化された熱可塑性樹脂組成物を約80℃で約4時間乾燥した後、シリンダー温度約240℃、金型温度約60℃の120トン射出成形機を使用して物性評価用試片をそれぞれ製造した。
【0094】
【0095】
前記表1に記載の各構成に対する説明は次の通りである。
【0096】
(A1)ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体
ブタジエンゴム質重合体からなるコア(平均粒径:約0.25μm)約58重量%にアクリロニトリルとスチレン(アクリロニトリル:スチレン重量比=約2.5:約7.5)が前記コアにグラフト重合されて形成されたシェルを含むアクリロニトリル-ブタジエン-スチレングラフト共重合体(ロッテケミカル社)
(A2)芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体
アクリロニトリル約28重量%およびスチレン約72重量%を含む単量体混合物から共重合された重量平均分子量が約110,000g/molのスチレン-アクリロニトリル共重合体(ロッテケミカル社)
(B)ポリアミド樹脂
融点(Tm)が約223℃で、相対粘度が約2.3のポリアミド6樹脂(ケイピーケムテック社,EN-300)
(C)ポリエーテル-エステル-アミドブロック共重合体
(C1)融点(Tm)が約197℃で、結晶化温度(Tc)が約126℃のポリアミド6-ポリエチレンオキシドブロック共重合体(Sanyo社)
(C2)融点(Tm)が約202℃で、結晶化温度(Tc)が約138℃のポリアミド6-ポリエチレンオキシドブロック共重合体(Sanyo社)
(C3)融点(Tm)が約196℃で、結晶化温度(Tc)が約150℃のポリアミド6-ポリエチレンオキシドブロック共重合体(Sanyo社)
(C4)融点(Tm)が約219℃で、結晶化温度(Tc)が約184℃のポリアミド6-ポリエチレンオキシドブロック共重合体(Sanyo社)
(D)マレイン酸無水物-芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体
マレイン酸無水物-スチレン-アクリロニトリル共重合体(Fine Blend Polymer社,SAM-010)
実験例
実験結果を下記表2に示した。
【0097】
(1)表面抵抗(単位:Ω/sq):表面抵抗測定装置(製造社:SIMCO-ION社,装置名:Worksurface Tester ST-4)を使用して100mmx100mmx2mm試片に対して表面抵抗を測定した。
【0098】
(2)耐衝撃性(単位:kgf・cm/cm):ASTM D256に従って1/4”厚試片に対するノッチアイゾット衝撃強度を測定した。
【0099】
(3)塗装厚さ(単位:μm):100mmx100mmx2mm試片にKCC社の2液型静電塗装用塗料を用いて塗装を行った後、マイクロメータを使用して塗装部位と未塗装部位の厚さを比較し塗装厚さを測定した。
【0100】
【0101】
前記表1および2から、実施例1および2のように、ブタジエン系ゴム変性芳香族ビニル-シアン化ビニルグラフト共重合体、芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリエーテル-エステル-アミドブロック共重合体、およびマレイン酸無水物-芳香族ビニル-シアン化ビニル共重合体を最適な含量で使用することにより、比較例に比べて優れた電気伝導性および耐衝撃性を表し、且つ静電塗装効率に優れた熱可塑性樹脂組成物およびそれを用いた成形品を提供できることを確認することができた。
【0102】
以上で、本発明を上の記載に従い好ましい実施例によって説明したが、本発明はこれに限定されるのではなく、次に記載する特許請求の範囲の概念と範囲から外れない限り、多様な修正および変形が可能だということを、本発明の属する技術分野に従事する者は容易に理解すると考える。
【国際調査報告】