(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-15
(54)【発明の名称】サセプタ粒子および担体を含むカプセル
(51)【国際特許分類】
A24B 15/28 20060101AFI20231208BHJP
A24B 15/16 20200101ALI20231208BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20231208BHJP
【FI】
A24B15/28
A24B15/16
A24F40/42
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023533264
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2023-05-31
(86)【国際出願番号】 EP2021086073
(87)【国際公開番号】W WO2022129272
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】バティスタ ルイ ヌーノ ロドリゲス アルヴェス
(72)【発明者】
【氏名】オリアナ バレリオ
【テーマコード(参考)】
4B043
4B162
【Fターム(参考)】
4B043BB08
4B043BB22
4B043BB28
4B043BC18
4B043BC20
4B043BC22
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4B043BC29
4B162AA03
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4B162AB24
4B162AC08
4B162AC13
4B162AC17
4B162AC50
(57)【要約】
本発明は、エアロゾル発生物品で使用するカプセルに関し、カプセルは、活性剤と、誘導加熱に伴い加熱可能であるように構成されたサセプタ粒子と、担体ゲルまたは担体液体のうちの一つまたは両方とを含み、サセプタ粒子は、担体ゲルまたは担体液体のうちの一方または両方の中に分散されていて、またサセプタ粒子は約10~70μmの粒子サイズを有する。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生物品で使用するカプセルであって、
活性剤と、
誘導加熱に伴い加熱可能であるように構成されたサセプタ粒子と、
担体ゲルまたは担体液体のうちの一方または両方と、を備え、
前記サセプタ粒子が、前記担体ゲルまたは前記担体液体のうちの前記一方または両方の中に分散されていて、かつ前記サセプタ粒子が約10~70μmの粒子サイズを有する、カプセル。
【請求項2】
前記担体ゲルまたは前記担体液体のうちの前記一方または両方が、
少なくとも一つの多価アルコールと、
多価アルコールの少なくとも一つのエステルと、
モノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の少なくとも一つの脂肪族エステルと、のうちの一つ以上を含む、請求項1に記載のカプセル。
【請求項3】
担体ゲルを含み、前記担体ゲルがゲル化剤を含む、請求項1~2のいずれかに記載のカプセル。
【請求項4】
前記サセプタ粒子が強磁性である、請求項1~3のいずれかに記載のカプセル。
【請求項5】
前記サセプタ粒子が、5~45重量パーセントの量で存在する、請求項1~4のいずれかに記載のカプセル。
【請求項6】
繊維をさらに備える、請求項1~5のいずれかに記載のカプセル。
【請求項7】
前記活性剤が風味剤、ニコチン、薬剤のうちの一つ以上を含む、請求項1~6のいずれかに記載のカプセル。
【請求項8】
担体液体を含み、前記担体液体および前記サセプタ粒子が、磁気粘性流体を形成する、請求項1~7のいずれかに記載のカプセル。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載のカプセルを備えるエアロゾル発生物品。
【請求項10】
保持材料を含有するカプセル部分を備え、前記カプセルが前記カプセル部分内で前記保持材料に隣接して位置する、請求項9に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項11】
前記カプセル部分が、前記カプセルの上流に位置する第一のフィルター要素と、前記カプセルの下流に位置する第二のフィルター要素とを備える、請求項9または請求項10に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項12】
前記カプセル部分がカプセルラッパーで巻かれていて、前記カプセルラッパーが通気性の材料を含む、請求項9~11のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項13】
エアロゾル発生システムであって、
-請求項9~12のいずれかに記載のエアロゾル発生物品と、
-エアロゾル発生装置であって、空洞(前記空洞が前記エアロゾル発生物品を受容するように構成されている)、および誘導発熱体を含むエアロゾル発生装置と、を備えるエアロゾル発生システム。
【請求項14】
請求項13に記載のエアロゾル発生システムを動作する方法であって、
-前記エアロゾル発生装置の前記空洞の中に前記エアロゾル発生物品を受容する前記方法工程と、
-前記誘導発熱体によって前記エアロゾル発生物品を加熱し、それによって前記活性剤を前記カプセルから放出する前記方法工程と、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生物品で使用するカプセルに関する。本発明は、カプセルを備えるエアロゾル発生物品にさらに関する。本発明はまた、エアロゾル発生物品を含むエアロゾル発生システム、およびエアロゾル発生システムを動作する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
たばこなどのエアロゾル発生物品中のエアロゾル形成基体を加熱するが燃焼しないエアロゾル発生装置が知られている。こうした装置は、ユーザーによる吸入のためのエアロゾルを発生させるために十分な温度にエアロゾル形成基体を加熱する。これらのエアロゾル発生装置は通常、エアロゾル形成基体を受容するための領域を含む。これらの装置は典型的に、携帯型の手持ち式の装置であり、コンパクトであることが要求される。
【0003】
エアロゾル形成物品は通常、エアロゾル形成体と、たばこなどのさらなる基体材料とを含むエアロゾル形成基体を含有し、これはエアロゾルの形成のための揮発性化合物を含む。一部のエアロゾル形成物品はまた、追加の成分を含むカプセルも包含する。これらの追加の成分は、カプセルに収容されていない時に、使用前に分解または蒸発する場合がある不安定な成分である場合がある。これらのカプセルは通常、使用前にユーザーによって破断され、これは手間がかかり、ユーザー体験に悪影響を及ぼす。さらに、エアロゾル発生物品を曲げることによってカプセルを破断することは、エアロゾル発生物品を変形する場合があり、物品内部の空気管理にも悪影響を及ぼす場合がある。他のエアロゾル発生装置は、カプセルを破断するための複雑な機構を含み、多くの場合、ユーザーによる追加の行為を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザーがエアロゾル形成物品をエアロゾル発生装置の中に挿入することを除き、ユーザーの追加の行為をあまり必要とせずに、または全く必要とせずに、破断されることができるカプセルを提供することが望ましいことになる。エアロゾル形成物品をエアロゾル発生装置の中に挿入するために必要とされる力を超える追加の力の印加を必要とすることなく、追加的な成分を放出することができるカプセルを提供することが望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態によると、エアロゾル発生物品で使用するカプセルが提供されている。カプセルは活性剤を含んでもよい。カプセルはサセプタ粒子を含んでもよい。さらに、カプセルは、担体ゲルまたは担体液体のうちの一方または両方を含んでもよく、サセプタ粒子は、担体ゲルまたは担体液体のうちの一方または両方の中に分散されている。それ故に、カプセルは担体ゲルと担体液体の両方を含んでもよい。カプセルは担体ゲルのみを含んでもよく、またはカプセルは担体液体のみを含んでもよい。
【0006】
本発明の別の実施形態によると、エアロゾル発生物品で使用するカプセルが提供されている。カプセルは活性剤を含む。さらに、カプセルはサセプタ粒子を含む。カプセルはまた、担体ゲルまたは担体液体のうちの一方または両方を含む。サセプタ粒子は、担体ゲルまたは担体液体のうちの一方または両方の中に分散されている。従って、カプセルは、担体ゲルと担体液体の両方を含む。カプセルはまた、担体ゲルのみを含んでもよく、またはカプセルは担体液体のみを含んでもよい。
【0007】
カプセルはエアロゾル発生装置の中に受容されてもよい。エアロゾル発生装置は、発熱体、具体的には誘導コイルなどの誘導発熱体を含んでもよい。エアロゾル発生装置の中に受容されたカプセルの誘導加熱に伴い、サセプタ粒子は、誘導発熱体の交番磁場によって加熱されてもよい。これはカプセルも加熱してもよい。カプセルの加熱は、カプセル中に存在する任意の担体ゲルを少なくとも部分的に液化する場合がある。加熱はまた、カプセルの分解を少なくとも部分的に補助する場合がある。加熱はまた、担体液体の粘度を減少する場合がある。加熱に伴い、サセプタ粒子は、担体粒子が担体ゲル中に分散されている場合に、移動可能になる場合がある。加熱に伴い、担体液体中に分散したサセプタ粒子の移動も増大する場合がある。磁性でもあるサセプタ粒子は、誘導発熱体の交番磁場内で凝集する場合がある。サセプタ粒子は、磁場の配向に沿って整列するクラスターを形成してもよい。クラスターおよび凝集の形成は、交番磁場内の磁性サセプタ粒子の磁気粘性効果に起因する場合がある。これは、主に液化した担体ゲルまたは担体液体が活性剤とともに存在するチャネルを形成する場合がある。この磁気粘性効果は、交番磁場が印加された時に、サセプタ粒子を磁束の線に沿って整列させる場合がある。サセプタ粒子は、相互接続された凝集およびクラスターのネットワークを形成する場合がある。サセプタ粒子のクラスターおよび凝集の形成は、少なくとも活性剤を含むエアロゾルの形成を簡単にする場合がある。誘導加熱に起因するカプセルの加熱と、磁気粘性効果に起因する凝集およびクラスターの形成との組み合わせは、カプセルからの活性剤の放出を強化する場合がある。これは、いかなる圧力(具体的には機械的圧力)もカプセルに印加する必要なく、カプセルからの活性剤の放出を可能にする場合がある。
【0008】
概して、サセプタ粒子は、交番磁場によって貫通された時に熱を発生する能力を有する材料を含む、またはその材料で作製されている。交番磁場内に位置する時。サセプタ粒子が導電性である場合、典型的に渦電流が交番磁場によって誘発される。サセプタ粒子が磁性である場合、典型的に、加熱に寄与する別の効果は一般的に、ヒステリシス損失と呼ばれる。ヒステリシス損失は、主にサセプタ粒子内の磁区ブロックの移動により生じる。これは、これらの磁気的な向きが、交番する磁気誘導場と整列するためである。ヒステリシス損失に寄与する別の効果は、磁区がサセプタ粒子内で拡大または縮小する時である。一般的に、サセプタ粒子内でナノスケール以下で起こるこれらのすべての変化は、サセプタ粒子内で熱を生成するため、「ヒステリシス損失」と呼ばれる。よって、サセプタが磁性と導電性の両方である場合、ヒステリシス損失と渦電流の発生の両方はサセプタ粒子の加熱に寄与することになる。サセプタ粒子が磁性であるが導電性ではない場合、ヒステリシス損失は、交番磁場によって貫通された時にサセプタを加熱することになる唯一の手段になる。本発明によると、サセプタ粒子は磁性かつ導電性であってもよい。一つまたは幾つかの誘導コイルによって発生された交番磁場は、サセプタ粒子を加熱し、これは次いで、カプセルのその他の構成要素、担体ゲルまたは担体液体のうちの一方または両方、および活性剤に熱を伝達する。これはエアロゾルの形成を容易にする場合がある。熱伝達は主に、熱の伝導によってもよい。
【0009】
担体ゲルまたは担体液体のうちの一方または両方は、
少なくとも一つの多価アルコールと、
多価アルコールの少なくとも一つのエステルと、
モノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の少なくとも一つの脂肪族エステルと、のうちの一つ以上を含んでもよい。これらの化合物は、サセプタ粒子の分散のための担体として機能する場合がある。これらの化合物はまた、エアロゾル形成体として機能する場合がある。カプセルの加熱に伴い、担体ゲルまたは担体液体の化合物は、カプセルを加熱する温度にて熱分解に対して実質的に耐性である場合がある高密度の安定したエアロゾルの形成を容易にする場合がある。
【0010】
担体ゲルまたは担体液体は、多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)を含んでもよい。特に好ましい化合物は、多価アルコールまたはその混合物(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)であってもよい。担体ゲルまたは担体液体は、プロピレングリコールを含んでもよい。エアロゾル形成体は、グリセリンとプロピレングリコールの両方を含んでもよい。好ましくは、担体ゲルまたは担体液体は、グリセロールを含んでもよい。
【0011】
少なくとも一つの多価アルコール、ポリ水素アルコールの少なくとも一つのエステル、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の少なくとも一つの脂肪族エステルは、カプセルの30重量パーセント~75重量パーセント、より好ましくは48重量パーセント~65重量パーセントの量で存在してもよい。これらの重量パーセント範囲は、これらの化合物がサセプタ粒子の分散のための担体ゲルとして、または担体液体として機能するために、特に適している場合がある。
【0012】
別途記載のない限り、カプセルの構成要素の「重量パーセント」という用語は、この構成要素の質量と、カプセルのすべての構成要素の総質量との比である。
【0013】
活性剤は、担体ゲルまたは担体液体中に溶解または分散されてもよい。これは、カプセルの加熱に伴う活性剤の放出を簡単にする場合がある。一つ以上の活性剤は、カプセル内の担体ゲルまたは担体液体中に均一に分散されてもよい。これは、カプセルの安定性を大幅に高める場合がある。カプセルへの電場の印加に伴い、任意の種類の凝集またはクラスターの形成のみが起こる場合がある。
【0014】
担体ゲルはゲル化剤を含んでもよい。ゲル化剤は、カプセルの担体ゲルを生成するために、担体液体のゲル化を容易にする場合がある。それ故に担体ゲルは、担体液体およびゲル化剤を含む場合がある。ゲル化剤は、多糖類またはタンパク質のうちの一方または両方であってもよい。ゲル化剤は、天然ガム、デンプン、ペクチン、アルギネート、カラギーナン、寒天、ゼラチンのうちの一つ以上を含んでもよい。ゲル化剤は、カプセルの4~8重量パーセントの量で、好ましくは5~7重量パーセントの量で存在してもよい。
【0015】
サセプタ粒子は強磁性であってもよい。強磁性サセプタ粒子は、特に簡単に凝集し、磁場においてクラスターを形成する場合がある。強磁性サセプタ粒子は、磁場内で強い磁気粘性効果を呈する場合がある。これは、サセプタ粒子のクラスターおよび凝集の形成を大幅に強化する場合がある。これはまた、カプセルの加熱に伴うエアロゾルの形成を強化する場合がある。強磁性サセプタ粒子は、金属または金属酸化物を含んでもよく、またはそれらから成ってもよい。強磁性サセプタ粒子は、鉄、コバルト、ニッケル、またはその酸化物のうちの一つ以上を含んでもよい。好ましくは、サセプタ粒子は、Fe2O3を含んでもよく、またはそれから成ってもよい。
【0016】
サセプタ粒子は、約10~70マイクロメートル、好ましくは約20マイクロメートル~50マイクロメートルの粒子サイズを有してもよい。これらの粒子サイズは、カプセルが加熱されている時に、磁場内でクラスターまたは凝集の形成を可能にする場合がある。
【0017】
サセプタ粒子は、カプセルの5~45重量パーセントの量で、好ましくは15~35重量パーセントの量で存在してもよい。これらの重量パーセント範囲は、ゲル担体または液体担体のうちのいずれか一つの中にサセプタ粒子を分配することを可能にする場合がある。これらの重量パーセント範囲はまた、交番磁場内でのサセプタ粒子の加熱に伴い、カプセル中のサセプタ粒子の凝集およびクラスターの形成を可能にする場合がある。
【0018】
カプセルは繊維をさらに含んでもよい。繊維は、カプセルの0.5重量パーセント~17重量パーセントの量で、より好ましくは0.75重量パーセント~11重量パーセントの量で存在してもよい。繊維は、カプセルの全体的な形状を安定化する場合がある。繊維は、セルロースとセルロース誘導体のうちの一方または両方を含んでもよい。
【0019】
カプセルは一つ以上の活性剤を含んでもよい。二つ以上の活性剤を使用することは、複数の活性剤を含むエアロゾルの形成につながる場合がある。一つ以上の活性剤は、酸素などの大気成分と反応しやすい場合がある。一つ以上の活性剤は、高度に揮発性であり、封じ込めを用いないと拡散する場合がある。これらの感受性が高い活性剤をカプセルに含有することは、カプセルが使用される前に活性剤のあらゆる劣化を防止する場合がある。
【0020】
一つ以上の活性剤は風味剤、ニコチン、薬剤のうちの一つ以上を含んでもよい。例えば、一つ以上の活性剤は、風味剤オイルを含んでもよい。一つ以上の活性剤は、ミントオイル、メントール、ニコチンオイル、コーヒー誘導体風味剤、カフェイン、ガラナ、タウリン、グルクロノラクトン、または他の風味剤のうちの一つ以上を含んでもよい。活性剤は、カプセルの0.5重量パーセント~3重量パーセントの量で、より好ましくは0.75重量パーセント~3重量パーセントの量で存在してもよい。カプセルは、医薬的に活性な成分を活性剤としてユーザーに運ぶために使用されてもよい。
【0021】
カプセルは、C3~C6アルキルヒドロキシカルボン酸、好ましくは乳酸をさらに含んでもよい。C3~C6アルキルヒドロキシカルボン酸は、担体ゲルおよび担体液体のうちの一方または両方における活性剤の幾つかの構成成分(具体的にニコチン)の可溶性を増大させる場合がある。C3~C6アルキルヒドロキシカルボン酸は、ニコチンをプロトン化して、それによってその可溶性を増大させる場合がある。
【0022】
カプセルはシェルを備えてもよい。シェルは、活性剤、サセプタ粒子、および担体ゲルまたは担体液体のうちの一方または両方を封入してもよい。シェルは、加熱に伴い流体透過性になる材料を含んでもよい。これは、カプセルからの活性剤およびゲル担体または液体担体の放出を可能にする場合がある。シェルは、多糖類、具体的にはセルロースを含んでもよい。シェルは、活性剤および分配されたサセプタ粒子を含むゲル担体または液体担体のうちの一方または両方を封入する固体高分子材料を含んでもよい。
【0023】
カプセルは、グリセリン、ソルビトール、または類似のポリオールの添加によって可塑化された可撓性のゼラチンフィルムを含むシェルを備えてもよい。これらのカプセルは、「ソフトジェルカプセル」としても知られる。
【0024】
好ましくはカプセルは、担体ゲルを含んでもよい。カプセルが担体ゲルを含む場合、担体ゲルは、自己支持カプセルを提供するために十分に固体化していてもよい。この場合、カプセルは、担体ゲルまたは担体液体を活性剤およびサセプタ粒子と一緒に封入するために余分なシェルを包含する必要がない場合がある。自己支持担体ゲルは、より大量のゲル化剤を担体液体に添加することによって形成されてもよい。これは、担体液体のゲル化を誘発するために、カプセルの6~8重量%のゲル化剤を担体液体に添加することによって行われてもよい。
【0025】
一つ以上の破断しやすいカプセルは、約0.5重量キログラム~3.0重量キログラムの破裂強度、好ましくは約1.3~2.7重量キログラム、最も好ましくは約1.9~約2.5重量キログラムの破裂強度を有してもよい。
【0026】
カプセルは担体液体を含んでもよく、担体液体およびサセプタ粒子は、磁気粘性流体を形成してもよい。磁気粘性流体のサセプタ粒子は、交番磁場が印加された時に、カプセルの加熱に伴い特に簡単にクラスターを形成し、凝集する場合がある。
【0027】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載の通りのカプセルを含むエアロゾル発生物品を提供する場合がある。エアロゾル発生物品は、カプセルを含むカプセル部分を備えてもよい。カプセル部分は、本明細書に記載の通りの一つ以上のカプセルを含んでもよい。例えば、カプセル部分は、二つのカプセル、三つのカプセル、または少なくとも四つのカプセルを含んでもよい。カプセル部分は、保持材料を含んでもよく、当該カプセルは、保持材料に隣接して位置するか、または保持材料内に包埋されてもよい。中空管状部分は、カプセル部分の中に存在してもよい。中空管状部分は、保持材料を含んでもよい。カプセル部分中の中空管状部分は、カプセルを包囲してもよい。保持材料は、カプセルから放出されるのに伴い、活性剤、およびゲル担体と液体担体のうちの一方または両方を吸収してもよい。これは、エアロゾル発生物品の外へのカプセルの構成要素のあらゆる漏出を回避する場合がある。
【0028】
保持材料は繊維材料を含んでもよい。保持材料は、セルロースアセテート繊維、紙、多孔性ポリマー、木炭のうちの一つ以上を含んでもよい。セルロースアセテート繊維は、セルロースアセテートトウであってもよい。多孔性ポリマーは、フェニル-ホルムアルデヒド樹脂などの多孔性樹脂であってもよい。好ましくは、保持材料は、セルロースアセテートを含んでもよい。
【0029】
エアロゾル発生物品のカプセル部分は、カプセルの上流に位置してもよい第一のフィルター要素を含んでもよい。カプセル部分はまた、カプセルの下流に位置してもよい第二のフィルター要素も備えてもよい。
【0030】
本明細書で使用される「上流」および「下流」という用語は、エアロゾル発生物品またはエアロゾル発生装置の構成要素または構成要素の部分の相対的な位置を、その使用中に空気がエアロゾル発生物品またはエアロゾル発生装置を通して気流経路に沿って流れる方向に関して記述するために使用される。本発明によるエアロゾル発生物品は、使用時にエアロゾルが通って装置を出る近位端を備える。エアロゾル発生物品の近位端はまた、口側端または下流端と呼ばれてもよい。口側端は遠位端の下流である。口側端はマウスピースを備えてもよい。エアロゾル発生物品の遠位端はまた、上流端と呼ばれてもよい。エアロゾル発生物品の構成要素または構成要素の部分は、エアロゾル発生物品を通る気流経路に対して、これらの相対的な位置に基づいて、相互の上流または下流にあるものとして記述されてもよい。
【0031】
第一のフィルター要素および第二のフィルター要素は、上記の保持材料と同じ材料を含んでもよい。第一のフィルター要素および第二のフィルター要素は、エアロゾル発生物品の上流部または下流部への活性剤およびゲル担体または液体担体のあらゆる漏出を回避する場合がある。
【0032】
第一のフィルター要素は、非多孔性材料を含んでもよい。この非多孔性材料は、低密度のクローズドセルフォーム、例えば低密度で低圧縮性のケイ素化合物のセットフォームであってもよい。低密度のクローズドセルフォームは、ASTM-D-3574で決定される通り、97~192kg/m3の密度を有してもよい。第一のフィルター要素はまた、多孔性材料も含んでもよい。多孔性材料はセルロースアセテートトウを含んでもよい。多孔性材料はまた、例えばCERDIA(登録商標)の下で市販されている、木材パルプで作製されたアセトールに基づいて天然かつ持続可能な原材料から作製されたポリマーを含んでもよい。
【0033】
第二のフィルター要素はまた、セルロースアセテートトウも含んでもよい。
【0034】
本発明のさらなる一実施形態において、エアロゾル発生物品のカプセル部分は、カプセルラッパーで巻かれてもよく、カプセルラッパーは通気性の材料を含む。これは、空気がカプセルラッパーを通過してエアロゾル発生物品のカプセル部分の中に至ることを可能にする場合がある。これは、カプセルの活性剤を含むエアロゾルの形成をさらに簡単にする場合がある。
【0035】
エアロゾル発生物品は、中央長軸方向軸を備えてもよい。エアロゾル発生物品はまた、中央長軸方向軸に垂直に延びる横断軸を備えてもよい。通気性材料を含むカプセルラッパーは、横断軸に沿ってカプセル部分の中への気流を増加させる場合がある。
【0036】
通気性材料を含むカプセルラッパーは、9g/m2~28g/m2、好ましくは11g/m2~25g/m2、より好ましくは12g/m2~24g/m2の坪量を呈する場合がある。カプセルラッパーは、0.01~0.07ミリメートルの厚さを有してもよい。カプセルラッパーは、少なくとも350ミリメートル水柱の湿潤破裂強度を呈してもよい。カプセルラッパーは、80cm3/cm2・s~170cm3/cm2・s、好ましくは90cm3/cm2・s~160cm3/cm2・sの通気性を呈してもよい。縦方向(MD)における引張強さは、少なくとも0.052kn/mであってもよい。カプセルラッパーの幅方向(CM)における引張強さは、少なくとも0.012kn/mであってもよい。カプセルラッパーの粒子保持の濾過速度は、5S/8層以下であってもよい。具体的に、カプセルラッパーは、ティーバッグの製造用に使用されている、一般的に「ティーバッグ紙」と呼ばれる材料を含んでもよい。通気性カプセルラッパーは、フィルターペーパーを含んでもよい。
【0037】
エアロゾル発生物品は、エアロゾルの形成のためのエアロゾル形成材料を含むエアロゾル発生物品の唯一の部分として、上述の通りのカプセル部分のみを備えてもよい。具体的に、エアロゾル発生物品は、上述の通りの保持材料と一つ以上のカプセルとを含むカプセル部分のみを備えてもよい。エアロゾル発生物品は、上述の通り、カプセル部分に含まれた追加の第一のフィルター要素および第二のフィルター要素をさらに備えてもよい。このエアロゾル発生物品はまた、上述の通りのカプセルラッパーを含んでもよい。一つ以上のカプセルの一つ以上の活性剤はまた、エアロゾルを形成するためのニコチンおよび他の風味剤のうちの一方または両方を含んでもよい。
【0038】
カプセル部分のみを含むエアロゾル発生物品は、4~12ミリメートルの直径、好ましくは5~9ミリメートルの直径を有してもよい。エアロゾル発生物品の長さは、8ミリメートル~27ミリメートル、好ましくは10ミリメートル~19ミリメートルであってもよい。この長さは、第一のフィルター要素と第二のフィルター要素も含む一つ以上のカプセルを有する保持材料の長さを含んでもよい。第一のフィルター要素と第二のフィルター要素の両方の厚さは、3~7ミリメートル、好ましくは4~5ミリメートルであってもよい。中空管状部分を形成する保持材料を含有するエアロゾル発生物品の部分のみの長さは、7~19ミリメートル、好ましくは8~13ミリメートルであってもよい。
【0039】
エアロゾル発生物品は、基体部分を追加的に備えてもよい。基体部分は、エアロゾル形成基体を含んでもよい。従って、エアロゾル発生物品は、上述の通り、カプセル部分を備えてもよく、追加的に基体部分を備えてもよい。
【0040】
エアロゾル発生物品の一つの実施形態において、カプセル部分は基体部分に隣接してもよい。これは、基体部分とカプセル部分の両方からのエアロゾル含有構成成分の形成を簡単にする場合がある。
【0041】
基体部分のエアロゾル形成基体は、形成されたエアロゾル形成基体のプラグを備えてもよい。プラグは、エアロゾル形成基体を含有する、プレス加工または型成形された基体部分であってもよく、またはエアロゾル形成基体の周りに巻かれている紙などのラッパーを含む、予め包装された基体部分であってもよい。エアロゾル形成基体はまた、ゲルを含んでもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾルの一部を形成することができる揮発性エアロゾル形成体と一つ以上の活性剤のうちの一方または両方と一緒に、不揮発性担体材料を含んでもよい。不揮発性担体材料の例は、紙または綿であってもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体である。揮発性化合物はエアロゾル形成基体を加熱することによって放出されてもよい。エアロゾル形成基体は植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、たばこを含んでもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、均質化したたばこを含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ含有材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、均質化した植物由来材料を含んでもよい。
【0042】
エアロゾル形成基体は、少なくとも一つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体は、使用時に高密度の安定したエアロゾルの形成を容易にし、かつシステムの動作温度にて熱分解に対して実質的に抵抗性である任意の適切な周知の化合物または化合物の混合物である。適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、これには多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。エアロゾル形成体は、多価アルコールまたはその混合物(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)であってもよい。エアロゾル形成体はプロピレングリコールであってもよい。エアロゾル形成体は、グリセリンとプロピレングリコールの両方を含んでもよい。
【0043】
カプセル部分は、エアロゾル発生物品内の基体部分の下流に位置してもよい。カプセル部分は、エアロゾル発生物品の中の基体部分に隣接して位置してもよい。これは、カプセルの加熱に伴い放出された任意の活性剤を、基体部分のエアロゾル形成基体から形成されたエアロゾルの中に組み込むことを容易にする場合がある。カプセル中の活性剤は特に、エアロゾルを吸入する時に風味およびユーザーの知覚を変化させるために風味剤を含んでもよい。
【0044】
エアロゾル発生物品はロッドとして形作られてもよい。こうしたロッド状の物品は、エアロゾル発生装置の空洞によって簡単に受容されてもよい。エアロゾル発生物品のカプセル部分と基体部分のうちの一方または両方は、ロッドとして形作られてもよい。カプセル部分と基体部分の両方は、ロッドとして形作られていることが好ましい。
【0045】
一つ以上の破断しやすいカプセル中に含有された一つ以上の活性剤は、固体であってもよく、または液体であってもよい。一つ以上の活性剤は、ゲルを含んでもよい。一つ以上の活性剤は、揮発性であってもよい。一つ以上の破断しやすいカプセル中に揮発性の活性剤を含有することは、エアロゾル発生物品が使用される前に、揮発性の活性剤が蒸発しないことを確実にする場合がある。
【0046】
別の方法として、エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体と、エアロゾル形成基体の中に包埋された一つ以上のカプセルとを含んでもよい。従って、エアロゾル形成物品は、一つの組み合わせられた基体/カプセル部分を含んでもよい。エアロゾル形成基体を加熱する時、カプセルの一つ以上の活性剤が放出されてもよい。次いで、一つ以上の活性剤は、エアロゾル形成基体の構成要素とともにエアロゾルを形成してもよい。
【0047】
エアロゾル発生物品は、中空管状物品部分を備えてもよい。中空管状物品部分は、管状の空のコア構造を有してもよい。中空管状物品部分は、例えば中空アセテート管(HAT)、微細中空アセテート管(FHAT)、または中央の厚紙管の周りに巻かれたトウのプラグ、または厚紙から形成された管であってもよく、それらのすべての構造はフィルター要素の製造から知られている。中空管状物品部分は、エアロゾル発生物品のカプセル部分の下流に位置してもよい。中空管状物品部分は、エアロゾル発生物品の基体部分およびカプセル部分から発生したエアロゾルを冷却するように機能する場合がある。
【0048】
望ましい場合、または必要とされる場合、例えばエアロゾル発生物品の十分に高い引き出し抵抗を達成するために、追加のフィルター部分がエアロゾル発生物品に含まれてもよい。好ましくは、こうした追加のフィルター部分は、基体部分およびカプセル部分の下流に含まれてもよい。中空管状物品部分もエアロゾル発生物品に含まれている場合、フィルター部分は中空管状物品部分の下流に位置してもよい。こうした追加のフィルター部分は、例えばセルロースアセテートなどの濾過材料を含むことが好ましい。
【0049】
本発明はまた、空洞および発熱体を含んでもよいエアロゾル発生装置を含んでもよいエアロゾル発生システムを提供する。エアロゾル発生システムはまた、本明細書に記載の通りのエアロゾル発生物品を備えてもよい。エアロゾル発生装置の発熱体は、交番磁場を発生するために構成された誘導発熱体を備えてもよい。
【0050】
空洞および発熱体を含むエアロゾル発生装置を備える、エアロゾル発生システムも提供されている。エアロゾル発生システムはまた、本明細書に記載の通りのエアロゾル発生物品を備える。エアロゾル発生装置の空洞は、当該エアロゾル発生物品を受容するように構成されている。エアロゾル発生装置の発熱体は、交番磁場を発生するために構成された誘導発熱体を備える。
【0051】
エアロゾル発生物品のカプセル部分の中に位置する一つ以上のカプセルに含まれた活性剤は、エアロゾル発生装置の空洞の中に受容されたエアロゾル発生物品を加熱する時に放出されてもよい。発熱体を用いたエアロゾル発生物品の加熱に伴い、エアロゾルは、エアロゾル形成基体および一つ以上の活性剤から形成されてもよい。
【0052】
発熱体は誘導発熱体であってもよい。誘導加熱のために、発熱体は誘導コイルを備えることが好ましい。交番磁場を発生するために、交流電流が誘導コイルに供給されてもよい。交流電流は高周波数を有してもよい。本明細書で使用される「高周波振動電流」という用語は、500キロヘルツ~30メガヘルツの周波数を有する振動電流を意味する。高周波振動電流は、約1メガヘルツ~約30メガヘルツの周波数を有してもよく、約1メガヘルツ~約10メガヘルツの周波数を有することが好ましく、約5メガヘルツ~約8メガヘルツの周波数を有することがより好ましい。
【0053】
発熱体は、エアロゾル発生物品を摂氏220度~摂氏400度、好ましくは摂氏250度~摂氏290度の範囲の温度に加熱するように構成されてもよい。
【0054】
エアロゾル発生装置の空洞は、加熱チャンバーとして構成されてもよい。空洞は円筒形状を有してもよい。空洞は中空円筒形状を有してもよい。空洞は、空洞の中に受容されるエアロゾル発生物品の形状に対応する形状を有してもよい。空洞は円形断面を有してもよい。空洞は楕円形または長方形の断面を有してもよい。空洞は、エアロゾル発生物品の外径に対応する内径を有してもよい。
【0055】
気流チャネルは、空洞を通って延びてもよい。周囲空気は、気流チャネルを通して、エアロゾル発生装置の中に、および空洞の中に、およびユーザーに向かって引き出されてもよい。空洞の下流で、マウスピースが配設されてもよく、またはユーザーがエアロゾル発生物品を直接吸ってもよい。気流チャネルはマウスピースを通って延びてもよい。
【0056】
装置、物品、システム、基体、またはその他に関連して、本発明に関して本明細書で使用される「喫煙」という用語は、エアロゾル形成基体が完全にまたは少なくとも部分的に燃焼される従来の喫煙を指すものではない。本発明のエアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体の燃焼温度を下回る温度に、ただし吸入可能なエアロゾルを形成するためにエアロゾル形成基体の一つ以上の揮発性化合物が放出される温度以上にエアロゾル形成基体を加熱するように配設されている。
【0057】
エアロゾル発生装置は電気回路を備えてもよい。電気回路はマイクロプロセッサを備えてもよく、これはプログラマブルマイクロプロセッサであってもよい。マイクロプロセッサはコントローラの一部であってもよい。電気回路はさらなる電子構成要素を備えてもよい。電気回路は、発熱体への、具体的に誘導コイルへの電力の供給を調節するように構成されてもよい。電力はエアロゾル発生装置の起動に続いて発熱体に連続的に供給されてもよく、または断続的(例えば毎回の吸煙ごと)に供給されてもよい。電力は、電流パルスの形態で発熱体に供給されてもよい。電気回路は発熱体の電気抵抗をモニターするように構成されてもよく、また好ましくは発熱体の電気抵抗に応じて、発熱体への電力の供給を制御するように構成されてもよい。
【0058】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生装置の主本体内に電源(典型的には電池)を備えてもよい。電源は、上記の周波数で動作するために構成されてもよい。これは、交番磁場を発生するための交流電流を提供してもよい。一つの実施形態において、電源はリチウムイオン電池である。別の方法として、電源はニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、またはリチウム系電池(例えば、リチウムコバルト電池、リン酸鉄リチウム電池、チタン酸リチウム電池、またはリチウムポリマー電池)であってもよい。代替として、電源は、コンデンサなどの別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要とする場合があり、また一回以上の使用体験のために十分なエネルギーの貯蔵を可能にする容量を有してもよい。例えば、電源は約6分間、または6分の倍数の時間にわたってエアロゾルを連続的に発生するのに十分な容量を有してもよい。別の実施例において、電源は所定の吸煙回数、または発熱体の不連続的な起動を提供するために十分な容量を有してもよい。
【0059】
電源と電気回路のうちの一方または両方は、交流電流を誘導発熱体に提供するために構成されてもよい。交流電流は、サセプタ粒子において交番磁場を誘発して、サセプタ粒子の加熱につながる。交番磁場はまた、サセプタ粒子において磁気粘性効果を誘起する場合がある。これは凝集およびクラスターの形成につながる場合があり、これはカプセルからの一つ以上の活性剤の放出を簡単にする場合がある。
【0060】
また、サセプタ粒子を加熱するために、まず誘導発熱体に交流電流を印加することも可能であってもよい。これは、カプセル中に存在する任意の担体ゲルを液化する場合がある。さらに、カプセル中に存在する担体液体の粘度も、加熱に伴い低減される場合がある。第二の工程において、一定の磁場をカプセルに印加するように、直流電流を誘導発熱体に印加してもよい。こうした一定の磁場は、磁気粘性効果、従ってカプセルの中の凝集のクラスタリングおよび形成を増大させる場合がある。
【0061】
本発明の一つの実施形態はまた、エアロゾル発生システムを動作させる方法を提供してもよく、システムは本明細書に記載の通りのものである。本方法は、
-エアロゾル発生装置の空洞の中にエアロゾル発生物品を受容する方法工程と、
-誘導発熱体によってエアロゾル発生物品を加熱し、それによって一つ以上の活性剤をカプセルから放出する方法工程と、を含んでもよい。
【0062】
方法は、エアロゾル発生物品を採用してもよく、これは本明細書に記載のカプセルセクションとは別に、上述の通りの基体セクションを備えてもよい。次いで、誘導発熱体によってエアロゾル発生物品を加熱することは、基体部分からのエアロゾル形成基体の構成成分を含む、かつエアロゾル発生物品のカプセル部分からの一つ以上の活性剤を含むエアロゾルの形成につながる場合がある。
【0063】
以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供している。これらの実施例の特徴のうちのいずれか一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様のうちのいずれか一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【0064】
実施例A:エアロゾル発生物品で使用するカプセルであって、
活性剤と、
サセプタ粒子と、
担体ゲルまたは担体液体のうちの一方または両方と、を備え、
サセプタ粒子が、担体ゲルまたは担体液体のうちの一方または両方の中に分散されている、カプセル。
実施例B:担体ゲルまたは担体液体のうちの一方または両方が、
少なくとも一つの多価アルコールと、
多価アルコールの少なくとも一つのエステルと、
モノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の少なくとも一つの脂肪族エステルと、のうちの一つ以上を含む、実施例Aに記載のカプセル。
実施例C:担体ゲルを含み、担体ゲルがゲル化剤を含む、実施例A~Bのいずれかに記載のカプセル。
実施例D:サセプタ粒子が強磁性である、実施例A~Cのいずれかに記載のカプセル。
実施例E:サセプタ粒子が金属または金属酸化物を含む、実施例A~Dのいずれかに記載のカプセル。
実施例F:サセプタ粒子が約10μm~70μmの粒子サイズを有する、実施例A~Eのいずれかに記載のカプセル。
実施例G:サセプタ粒子が、5~45重量パーセントの量で存在する、実施例A~Fのいずれかに記載のカプセル。
実施例H:繊維をさらに備える、実施例A~Gのいずれかに記載のカプセル。
実施例I:C3~C6アルキルヒドロキシカルボン酸をさらに含む、実施例A~Hのいずれかに記載のカプセル。
実施例J:活性剤が風味剤、ニコチン、薬剤のうちの一つ以上を含む、実施例A~Iのいずれかに記載のカプセル。
実施例K:シェルを含み、シェルが活性剤、サセプタ粒子、および担体ゲルまたは担体液体のうちの一方または両方を封入する、実施例A~Jのいずれかに記載のカプセル。
実施例L:担体液体を含み、担体液体およびサセプタ粒子が磁気粘性流体を形成する、実施例A~Kのいずれかに記載のカプセル。
実施例M:実施例A~Lのいずれかに記載のカプセルを備えるエアロゾル発生物品。
実施例N:保持材料を含有するカプセル部分を備え、当該カプセルがカプセル部分内で保持材料に隣接して位置する、実施例Mに記載のエアロゾル発生物品。
実施例O:保持材料がフィルター材料を含む、実施例Nに記載のエアロゾル発生物品。
実施例P:カプセル部分が、カプセルの上流に位置する第一のフィルター要素と、カプセルの下流に位置する第二のフィルター要素とを備える、実施例M~Oのいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
実施例Q:カプセル部分がカプセルラッパーで巻かれていて、カプセルラッパーが通気性の材料を含む、実施例M~Pのいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
実施例R:エアロゾル形成基体をさらに含む、実施例M~Qのいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
実施例S:エアロゾル発生システムであって、
-実施例M~Rのいずれかに記載のエアロゾル発生物品と、
-エアロゾル発生装置であって、空洞(空洞がエアロゾル発生物品を受容するように構成されている)、および誘導発熱体を含むエアロゾル発生装置と、を備えるエアロゾル発生システム。
実施例T:実施例Sに記載のエアロゾル発生システムを動作する方法であって、
-エアロゾル発生装置の空洞の中にエアロゾル発生物品を受容する方法工程と、
-誘導発熱体によってエアロゾル発生物品を加熱し、それによって活性剤をカプセルから放出する方法工程と、を含む、方法。
【0065】
一つの実施形態に関して説明される特徴は、本発明の他の実施形態にも等しく適用されてもよい。
【0066】
例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図1A】
図1Aは、磁場が印加されていないカプセルの一部の断面図を示す。
【
図1B】
図1Bは、磁場が印加されているカプセルの一部の断面図を示す。
【
図3】
図3は、本発明の一つの実施形態による、カプセル部分の中への気流の異なる方向を示す。
【発明を実施するための形態】
【0068】
以下において、同じ要素は、すべての図を通して、同じ参照符号で記されている。
【0069】
図1Aは、カプセル10の一部の断面図を描写する。シェル16はゲル担体または液体担体14を封入し、またサセプタ粒子12はゲル担体または液体担体中に分散されている。磁場がない場合、サセプタ粒子はゲル担体または液体担体内に均一に分散されている。一つ以上の活性剤(図には示されていない活性剤)は、ゲル担体または液体担体のいずれかの中で溶解されている。
【0070】
図1Aは、交番磁場20がカプセルに印加された後の、
図1Aに示すカプセル10の一部の断面図を示す。磁力線20は、液化したゲル担体または液体担体のいずれかの中の磁力線20に沿ったサセプタ粒子12のクラスター12Aの形成につながる。追加的に、カプセル10のシェルは、シェルの分断領域16Aによって示される通り、交番磁場におけるサセプタ粒子の加熱後に流体に対して透過性となる。サセプタ粒子のクラスターの間にチャネルが形成されていて、これもまた、液体担体またはゲル担体中に溶解した一つ以上の活性剤の放出を簡単にする。それ故に、カプセルに交番磁場を印加することは一方で、渦電流またはヒステリシス損失の誘起に起因してサセプタ粒子の加熱につながり、もう一方でサセプタ粒子のクラスターまたは凝集の形成を可能にする。両方の効果は、カプセルを破断するためにいかなる機械的圧力を印加する必要なく、カプセルからの一つ以上の活性剤の放出を大幅に簡単にする。
【0071】
図2Aは、カプセル部分28の分解組立図を描写する。保持材料の中空管状部分22内に包埋されるカプセル10が示されている。保持材料は、カプセルの加熱時にカプセルから放出された任意の液体担体材料または任意の液化したゲル担体材料、および任意の活性剤を吸収することになっている。中空管状部分22の上流に第一のフィルター要素24が存在し、下流に第二のフィルター要素26が存在する。これらのフィルター要素はまた、任意の液化したゲル担体または液体担体および活性剤を吸収する。
【0072】
図2Bは、
図2Aに示す通り、保持材料の中空管状部分22によって包囲されたカプセル10を含むカプセル部分28の組み立てられた要素を示す。完全なカプセル部分は、好ましくは通気性材料を含むカプセルラッパー30に巻かれている。こうしたカプセル部分28は、カプセルを含むエアロゾル発生物品の唯一の部分であってもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体を含む基体部分など、追加の部分がエアロゾル発生物品の中に存在してもよい。
【0073】
図3は、カプセル部分28を通る異なる気流経路を描写する。空気は、カプセル部分28を、参照符号34によって示されている上流から貫通することができ、またカプセル部分の下流でカプセル部分28を出ることができる(参照符号32で示されている)。カプセルラッパーが通気性材料を含む場合、追加の側方気流36、38が可能であり、これは少なくともカプセルの活性剤を含むエアロゾルの形成を簡単にする。
【国際調査報告】