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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-15
(54)【発明の名称】電池セル密閉容器
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/213 20210101AFI20231208BHJP
   H01M 50/271 20210101ALI20231208BHJP
   H01M 50/24 20210101ALI20231208BHJP
【FI】
H01M50/213
H01M50/271 S
H01M50/271 B
H01M50/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533751
(86)(22)【出願日】2022-07-14
(85)【翻訳文提出日】2023-06-01
(86)【国際出願番号】 KR2022010312
(87)【国際公開番号】W WO2023287231
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】10-2021-0092490
(32)【優先日】2021-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0067393
(32)【優先日】2022-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジェ-スン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン-ホン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジュ-ヨク・クウォン
(72)【発明者】
【氏名】ウン-ジン・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】デ-ス・キム
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA14
5H040AT01
5H040AY05
5H040AY10
5H040CC12
(57)【要約】
電池セルを移動させる過程で腐食または損傷を防止するための電池セル密閉容器を提供する。本発明による電池セル密閉容器は、複数の電池セルの下端が各々収容される複数の下端収容部を含む底面、及び前記底面から上方へ延びる側壁を備える第1トレイと、前記第1トレイを密閉すると共に、前記下端収容部に収容された各電池セルの上端が収容されるように複数の上端収容部を含む上面、及び前記上面から下方へ延びる側壁を備える第2トレイと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルの下端が各々収容される複数の下端収容部を含む底面と、前記底面から上方へ延びる側壁と、を備える第1トレイと、
前記第1トレイを密閉すると共に、前記下端収容部に収容された各電池セルの上端が収容されるように複数の上端収容部を含む上面と、前記上面から下方へ延びる側壁と、を備える第2トレイと、を含むことを特徴とする、電池セル密閉容器。
【請求項2】
前記第1トレイは、前記第1トレイの側壁のエッジに沿って外側へ形成されたフランジをさらに含み、
前記第2トレイは、前記第2トレイの側壁のエッジに沿って下向きに形成され、前記フランジを覆って嵌合する篏合部をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の電池セル密閉容器。
【請求項3】
前記フランジに少なくとも一つ以上の係止片が外側へ突出するように形成され、前記第2トレイの篏合部の内側面に対して締まりばめになることを特徴とする、請求項2に記載の電池セル密閉容器。
【請求項4】
前記第1トレイは、前記第1トレイの側壁のエッジに沿って上方へ凸状に形成された締結部をさらに含み、
前記第2トレイは、前記第1トレイの締結部が挟まれるように前記第2トレイの側壁のエッジに沿って下部において凹んで形成された締結溝をさらに含み、
前記第2トレイは、前記第2トレイの締結溝に挿入され、前記締結溝と締結部との間を密閉するためのパッキン部材をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の電池セル密閉容器。
【請求項5】
前記第2トレイの締結溝は、前記締結部に向かって開放された入口を含むように前記第2トレイにおいて底面を有する溝であり、前記溝の入口が前記溝の底面よりも狭く形成されるように前記溝の外側面が傾くように形成され、前記締結溝の内部に挿入されるパッキン部材が離脱しないように固定されたことを特徴とする、請求項4に記載の電池セル密閉容器。
【請求項6】
前記第1トレイは、上部に開口部を有するほぼ直方体の箱形状であり、前記第1トレイの底面と側壁は一体となっており、
前記第2トレイは、下部に開口部を有するほぼ直方体の箱形状であり、前記第2トレイの上面と側壁は一体となっていることを特徴とする、請求項1に記載の電池セル密閉容器。
【請求項7】
前記第1トレイ及び前記第2トレイは各々4個の側壁を有しており、前記第1トレイの上に前記第2トレイを覆うと、前記第1トレイ及び前記第2トレイの側壁の4面が互いに接触して前記電池セル密閉容器の内部が密閉されることを特徴とする、請求項6に記載の電池セル密閉容器。
【請求項8】
前記第1トレイの側壁の高さは、前記第2トレイの側壁の高さよりも大きく形成されたことを特徴とする、請求項7に記載の電池セル密閉容器。
【請求項9】
前記第1トレイは、前記第1トレイの側壁と下端収容部との間を連結する一つ以上のノッチ溝をさらに含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の電池セル密閉容器。
【請求項10】
前記ノッチ溝は、前記第1トレイの側壁と下端収容部との間が開くことを防止することを特徴とする、請求項9に記載の電池セル密閉容器。
【請求項11】
前記第1トレイの側壁の内側面に除湿剤が収容される空間を提供する除湿剤収容部をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の電池セル密閉容器。
【請求項12】
前記除湿剤収容部は、前記第1トレイの側壁と前記下端収容部との間に含まれ、前記除湿剤収容部に収容される除湿剤が前記第1トレイの内側へ傾いて電池セルと接触することを防止するために、前記第1トレイの内部から上方へ突出して前記除湿剤の一面を支持する少なくとも一つ以上の突出部をさらに含むことを特徴とする、請求項11に記載の電池セル密閉容器。
【請求項13】
前記下端収容部に収容された電池セルの側面を支持するために前記下端収容部の縁部に沿って配列された支持体をさらに含むことを特徴とする、請求項12に記載の電池セル密閉容器。
【請求項14】
前記除湿剤収容部は、前記側壁と前記下端収容部との間に含まれ、前記除湿剤収容部に収容される除湿剤が前記第1トレイの内側へ傾いて電池セルと接触することを防止するために、前記第1トレイの内部から上方へ突出して前記除湿剤の一面を支持する少なくとも一つ以上の突出部を前記支持体の上部にさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載の電池セル密閉容器。
【請求項15】
前記第1トレイと前記第2トレイは、防錆剤を含まないポリプロピレンからなることを特徴とする、請求項11に記載の電池セル密閉容器。
【請求項16】
前記下端収容部に収容された電池セルの側面を支持するために前記下端収容部の縁部に沿って配列された支持体をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の電池セル密閉容器。
【請求項17】
前記第1トレイは、内側に複数の第1トレイ支持端が形成され、前記第1トレイの中心に対して非対称に配置されたことを特徴とする、請求項1に記載の電池セル密閉容器。
【請求項18】
前記第2トレイは、内側に複数の第2トレイ支持端が形成され、前記第2トレイの中心に対して非対称に配置されたことを特徴とする、請求項1に記載の電池セル密閉容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池セル密閉容器に関し、より詳しくは、電池セルを移動させる過程で腐食または損傷を防止するための電池セル密閉容器に関する。
【0002】
本出願は、2021年7月14日出願の韓国特許出願第10-2021-0092490号及び2022年6月2日出願の韓国特許出願第10-2022-0067393号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
通常、小型電子製品に使用される二次電池は、一つの電池セルが個別製品の形態で包装されて流通されているのに対して、ハイブリッド自動車と電気自動車に使用される大容量電池は、複数個の電池セルがパック単位で構成される。
【0004】
このような電池セルは、電池パックの形態に製造された後、車両製造メーカーに納品されるか、または個別の電池セルの形態で納品され、車両の製造メーカーまたは電池パック製造メーカーで電池パックの形態に製造が行われている。
【0005】
個別の電池セルは、移送中の接触による漏電や破損の問題点があることから、トレイに積載された後に二重の紙箱で包装されるか、または特許文献1に開示の「バッテリー包装ケース」のような専用包装ケースによって包装されて納品されている。
【0006】
しかし、既存の包装方法は密閉工程が行われないため、湿気及び海風によって腐食しやすいという問題点があった。
【0007】
例えば、既存のトレイは、積載された電池セルの上下部のみをカバー可能であるため、積載された電池セルの側面は開放されている構造を有するため、積載された電池セルの安全な保護のために内部の箱と外部の包装箱の二重の紙箱を適用する必要がある。非密閉構造のトレイと水分に弱い紙箱の包装によって、長期間の輸送及び保管時、電池セルの外部ケースの腐食などの問題が発生する恐れが大きいという短所がある。
【0008】
そこで、密閉が可能であり、再使用可能な専用の包装ケースによって包装する方案が考慮されているが、輸出時に回収が難しいという問題点から高価な専用包装ケースを使用するのには困難があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2014-0094898号「バッテリー包装ケース」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、湿気及び海風による腐食や、衝撃による破損を効果的に防止するための電池セル密閉容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を達成するための本発明による電池セル密閉容器は、複数の電池セルの下端が各々収容される複数の下端収容部を含む底面、及び前記底面から上方へ延びる側壁を備える第1トレイと、前記第1トレイを密閉すると共に、前記下端収容部に収容された各電池セルの上端が収容されるように複数の上端収容部を含む上面、及び前記上面から下方へ延びる側壁を備える第2トレイと、を含む。
【0012】
前記第1トレイは、前記第1トレイの側壁のエッジに沿って外側へ形成されたフランジをさらに含み、前記第2トレイは、前記第2トレイの側壁のエッジに沿って下向きに形成され、前記フランジを覆って嵌合する篏合部をさらに含み得る。ここで、前記フランジに少なくとも一つ以上の係止片が外側へ突出するように形成され、前記第2トレイの篏合部の内側面に対して締まりばめになり得る。
【0013】
前記第1トレイは、前記第1トレイの側壁のエッジに沿って上方へ凸状に形成された締結部をさらに含み、前記第2トレイは、前記第1トレイの締結部が挟まれるように前記第2トレイの側壁のエッジに沿って下部において凹んで形成された締結溝をさらに含み、前記第2トレイは、前記第2トレイの締結溝に挿入され、前記締結溝と締結部との間を密閉するためのパッキン部材をさらに含み得る。前記第2トレイの締結溝は、前記締結部に向かって開放された入口を含むように前記第2トレイにおいて底面を有する溝であり、前記溝の入口が前記溝の底面よりも狭く形成されるように前記溝の外側面が傾くように形成され、前記締結溝の内部に挿入されるパッキン部材が離脱しないように固定されたものであり得る。
【0014】
前記第1トレイは、上部に開口部を有するほぼ直方体の箱形状であり、前記第1トレイの底面と側壁は一体となっており、前記第2トレイは、下部に開口部を有するほぼ直方体の箱形状であり、前記第2トレイの上面と側壁は一体となっているものであり得る。
【0015】
前記第1トレイ及び前記第2トレイは各々4個の側壁を有しており、前記第1トレイの上に前記第2トレイを覆うと、前記第1トレイ及び前記第2トレイの側壁の4面が互いに接触して前記電池セル密閉容器の内部が密閉され得る。
【0016】
前記第1トレイの側壁の高さは、前記第2トレイの側壁の高さよりも大きく形成され得る。
【0017】
前記第1トレイは、前記第1トレイの側壁と下端収容部との間を連結する一つ以上のノッチ溝をさらに含み得る。
【0018】
前記ノッチ溝は、前記第1トレイの側壁と下端収容部との間が開くことを防止し得る。
【0019】
本発明による電池セル密閉容器は、前記第1トレイの側壁の内側面に除湿剤が収容される空間を提供する除湿剤収容部をさらに含み得る。
【0020】
前記除湿剤収容部は、前記第1トレイの側壁と前記下端収容部との間に含まれ、前記除湿剤収容部に収容される除湿剤が前記第1トレイの内側へ傾いて電池セルと接触することを防止するために、前記第1トレイの内部から上方へ突出して前記除湿剤の一面を支持する少なくとも一つ以上の突出部をさらに含み得る。
【0021】
前記下端収容部に収容された電池セルの側面を支持するために前記下端収容部の縁部に沿って配列された支持体をさらに含み得る。ここで、前記除湿剤収容部は、前記側壁と前記下端収容部との間に含まれ、前記除湿剤収容部に収容される除湿剤が前記第1トレイの内側へ傾いて電池セルと接触することを防止するために、前記第1トレイの内部から上方へ突出して前記除湿剤の一面を支持する少なくとも一つ以上の突出部を前記支持体の上部にさらに含み得る。
【0022】
前記第1トレイと前記第2トレイは、防錆剤を含まないPP(ポリプロピレン)からなり得る。
【0023】
前記第1トレイは、内側に複数の第1トレイ支持端が形成され、前記第1トレイの中心に対して非対称に配置され得る。
【0024】
前記第2トレイは、内側に複数の第2トレイ支持端が形成され、前記第2トレイの中心に対して非対称に配置され得る。
【発明の効果】
【0025】
本発明による電池セル密閉容器は完全な密閉構造を有し、基本的な電池セルの安全性を確保できるように耐久性が高い。
【0026】
本発明による電池セル密閉容器は、例えば、既存に使用されていたトレイ及び二重の紙箱に代替可能であり、包装材及び工程上の損失(loss)改善効果も奏する。
【0027】
本発明による電池セル密閉容器は、ノッチ溝によって第1トレイの側壁と下端収容部との間が開くことを防止し、構造的安定性を提供することができる。さらに、このようなノッチ溝は、第1トレイの側壁の強度を改善する効果も奏する。
【0028】
本発明による電池セル密閉容器は、下端収容部の縁部に沿って配列された支持体をさらに含むように構成されることで、第1トレイの構造的剛性を増加させることができる。これによって、第1トレイを含む電池セル密閉容器は、構造的強度が増加する。
【0029】
本発明による電池セル密閉容器によれば、電池セルが収容された第1トレイを第2トレイが密閉するように覆い、第1トレイの内部には除湿剤が収容されて湿気及び海風による腐食を効果的に防止し、電池セルの下端と上端が収容された状態で固定されることで、衝撃による破損を効果的に防止可能である。
【0030】
本発明の電池セル密閉容器は、積載された電池セルの上部及び下部のみならず、側面も保護できるように四方が密閉した構造を有し、内部に積載された電池セルの移動及び保管時、外部の特性低下要因に起因し得る特性低下を最小化することができる。
【0031】
また、内部の箱と外部の包装箱の二重の紙箱を使用する場合と比較して内部の箱を使用しなくてもよく、防錆剤が含有されていない低価の素材が使用可能になるので、包装工程の単純化と包装費用の節減に寄与する効果が相当である。
【0032】
本発明の電池セル密閉容器は、第1トレイ支持端及び第2トレイ支持端を含むことで、第1トレイ同士及び第2トレイ同士を積層するに際し、トレイ同士が挟まることを防止することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の一実施例による電池セル密閉容器を示した斜視図である。
図2】本発明の一実施例による電池セル密閉容器を示した図である。
図3】本発明の一実施例による電池セル密閉容器の第1トレイを示した図である。
図4】本発明の一実施例による電池セル密閉容器の第1トレイを複数積層する例を示した図である。
図5】本発明の一実施例による電池セル密閉容器の第2トレイを複数積層する例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本明細書に開示されている本発明の概念による実施例によって特定した構造的または機能的説明は、本発明の概念による実施例を説明する目的でのみ例示したものであって、本発明の概念による実施例は多様な形態として実施可能であり、本明細書に説明された実施例に限定されない。
【0035】
本発明の概念による実施例は、多様な変更を加えることができ、様々な形態を有することができるので、特定の実施例が図面に示され、本明細書で詳細に説明される。しかしながら、これは、本発明の概念による実施例を特定の開示形態に限定しようとすることではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物または代替物を含む。
【0036】
以下、本発明の望ましい実施例を添付図面を参照して説明する。
【0037】
図1は、本発明の一実施例による電池セル密閉容器を示した斜視図であり、図2は、本発明の一実施例による電池セル密閉容器を示した図である。図2には、図1のA-A’断面(Y軸方向)に対応する断面図と部分拡大断面図を示した。
【0038】
図1及び図2に示したように、本発明の一実施例による電池セル密閉容器100は、第1トレイ1及び第2トレイ2を含んで構成される。
【0039】
第1トレイ1は、複数の電池セル(図示せず、例えば、円筒型電池セル)の下端が各々収容される複数の下端収容部11を含んでいる。第2トレイ2は、第1トレイ1を密閉すると共に、下端収容部11に収容された各電池セルの上端が収容されるように複数の上端収容部21を含んでいる。第1トレイ1の中に電池セルを(図1のZ方向に沿って)立てて入れて下端収容部11に電池セルの下端を収容し、その上部に第2トレイ2を覆うと、電池セルの上端が上端収容部21に収容される。このように下端収容部11と上端収容部21は、電池セルが立てられて個別的に積載される取付溝を構成するようになり、下端収容部11と上端収容部21との間で電池セルは安全に収容された状態が維持可能である。電池セルを直立状態で収容できるように、第1トレイ1の上部に第2トレイ2を覆うとき、第1トレイ1の下端収容部11と第2トレイ2の上端収容部21がZ軸方向に沿って互いに整列される位置に形成されるべきである。
【0040】
前記第1トレイ1及び第2トレイ2は、製造単価を低めるとともに、厚さに比べて高い構造的剛性を有するようにプラスチックシートを真空成形して製造することが望ましい。このようなプラスチックシートは、基本的な電池セルの安全性を確保できるように耐久性が高く、真空成形は、前記取付溝の役割を果たす下端収容部11及び上端収容部21を形成するのに適合した成形方法である。
【0041】
図示したように、第1トレイ1は、上部(図1のZ方向)に開口部を有するほぼ直方体の箱形状であって、下端収容部11が含まれる底面が短辺(Y軸方向に沿って置かれる)と長辺(X軸方向に沿って置かれる)を有するほぼ長方形であり、その底面から上方(図1のZ方向)へ延びる側壁を含む。勿論、底面の形状は長方形の他にも、正方形、円形またはその他の多角形でもよい。但し、電池セル密閉容器100を紙箱に入れて運ぶ場合を考慮すれば、紙箱の中に効率的に収容されるように電池セル密閉容器100も直方体の箱形状であることが望ましいので、 第1トレイ1も直方体の箱形状、その底面も長方形であることが望ましい。
【0042】
前記底面と側壁は一体となり得る。特に、前記第1トレイ1は、側壁と下端収容部11との間が開くことを防止し、構造的な安定性を提供するために、少なくとも一つ以上のノッチ溝1aが長く溝の形態で側壁と下端収容部11との間を連結するように成形されることが望ましい。ノッチ溝1aは、第1トレイ1の側壁から底面側へ形成され、その個数は適切に調節可能である。例えば、図示したように底面の短辺には一つ、長辺には二つを形成することで合計6個が形成され得る。通常、真空成形によってほぼ直方体の箱形状の製品を成形して取り出す場合には、側壁が外側へ開く現象が発生するようになる。本発明では、このような現象を抑制するために第1トレイ1にノッチ溝1aを形成することで第1トレイ1の下端収容部11と側壁との間が開くことを防止することができる。さらに、ノッチ溝1aは、側壁の強度を改善する効果も奏する。
【0043】
図示したように、第2トレイ2は、下部(図1のZ方向の反対方向)に開口部を有するほぼ直方体の箱形状であって、上端収容部21を含む上面が短辺(Y軸方向に沿って置かれる)と長辺(X軸方向に沿って置かれる)を有するほぼ長方形であり、その上面から下方(Z方向の反対方向)へ延びる側壁を含み得る。前記上面と側壁は一体となり得る。第2トレイ2は、第1トレイ1の上部を覆うに際し、なるべく隙間なく整合するように第1トレイ1の形状に倣うように形成する。
【0044】
電池セル密閉容器100の用途は電池セルの保管であるため、外部の湿気及び外部の汚染因子が最大限に流入しない構造とすることが望ましい。本発明の実施例において、第1トレイ1は、4個の側壁を有しており、第2トレイ2も4個の側壁を有しており、第1トレイ1の上方から第2トレイ2を覆う場合、第2トレイ2と第1トレイ1は各側壁の4面が接触することで電池セル密閉容器100の内部は密閉構造を有するようになる。
【0045】
また、内部の湿気を除去し、湿気が一部でも外部から流入する場合に備え、前記第1トレイ1は、側壁の内側面に除湿剤4が収容される空間を提供する除湿剤収容部13をさらに含むことで、内部に収容された電池セルが湿気によって腐食することを防止するように構成することが望ましい。言い換えれば、前記第1トレイ1の側壁と前記下端収容部11との間に前記除湿剤収容部13が含まれ得る。
【0046】
この際、前記除湿剤収容部13に収容される除湿剤4が第1トレイ1の内側へ傾いて電池セルと接触することを防止するために、少なくとも一つ以上の突出部13bが第1トレイ1の内部から上方へ突出して除湿剤4の一面を支持するように構成されることが望ましい。言い換えれば、前記除湿剤収容部13に収容される除湿剤4が前記第1トレイ1の内側へ傾いて電池セルと接触することを防止するために、前記第1トレイ1の内部から上方へ突出して前記除湿剤4の一面を支持する少なくとも一つ以上の突出部13bをさらに含むことが望ましい。
【0047】
また、第2トレイ2を外した後、第1トレイ1の中に電池セルを直立状態に維持させるためには、なるべく第1トレイ1の下端収容部11のZ軸方向の大きさが第2トレイ2の上端収容部21のZ軸方向の大きさよりも大きいことが望ましく、上述したような除湿剤収容部13の適切かつ十分な空間を設けるには、第1トレイ1の側壁の高さが高いほど有利であるので、第1トレイ1の側壁の高さは第2トレイ2の側壁の高さよりも高く形成され得る。
【0048】
従来のトレイやバッテリー包装ケースは、本発明で提案するような除湿剤収容部13を備えない。従来のトレイやバッテリー包装ケースにおいて電池セルの腐食を抑制するためには、トレイやバッテリー包装ケース材質として防錆剤が含有された高価なPPなどを使用する必要があった。本発明のように除湿剤収容部13を別に設けて第1トレイ1の内部に除湿剤4を収容するようにすれば、第1トレイ1や第2トレイ2の材質として高価なPPなどを使用しなくてもよく、例えば、防錆剤が含有されていない低価のPPなどが使用可能になるので、包装費用の節減効果が優秀である。また、突出部13bを設けて除湿剤4の一面を支持するようにすることで、除湿剤4が内側へ傾くことがあっても突出部13bによってそれ以上に傾かないようにして電池セルに接触できないようにする構造を有するため、使用上の安全性が確保される。
【0049】
電池セル密閉容器100は、電池セルの保管用途であることから、外部衝撃を最大限に電池セル密閉容器100が吸収するようにすることが望ましい。本発明では、外部衝撃を電池セル密閉容器100が吸収しながらも、電池セル密閉容器100それ自体としても構造的強度が確保可能な構成も提案する。
【0050】
図3は、本発明の一実施例による電池セル密閉容器の第1トレイを示した図である。図3には、第1トレイの内部を示す図と、部分拡大上面図を示した。
【0051】
図2または図3に示したように、下端収容部11に収容された電池セルの側面を支持するために所定の高さを有するよう、下端収容部11の縁部に沿って配列された支持体12をさらに含むように構成することが望ましい。
【0052】
特に、前記支持体12は、電池セルの側面を支持すると共に、第1トレイ1の構造的剛性を増加させるリブ(rib)の機能を共に行う。これによって、前記支持体12を含む第1トレイ1を含む電池セル密閉容器100は、構造的強度が増加する。この際、前記除湿剤収容部13に収容される除湿剤4の一面を支持する前記突出部13bは、前記支持体12の上部に形成され得る。
【0053】
また、前記第1トレイ1の側壁のエッジに沿って上方へ凸状の締結部15が形成され、前記第1トレイ1の締結部15が嵌められるように第2トレイ2の側壁のエッジに沿って下部において凹んだ締結溝23が形成され得る。
【0054】
また、図2の部分拡大断面図に詳しく示したように、前記第2トレイ2の締結溝23に挿入されるパッキン部材3をさらに含むことで、締結溝23に締結部15が挿入されるとき、締結溝23と締結部15との間を完全に密閉するように構成され得る。このように、第2トレイ2の外側部にパッキン部材3を組み立てた構成を有し、このような第2トレイ2を第1トレイ1に覆うと、パッキン部材3が第1トレイ1の側壁と接触して密閉特性を高めることができるので、本発明による電池セル密閉容器は、完全な密閉構造を有し得る。これによって、外部の湿気及び外部の汚染因子が最大限に流入しない構造になる。通常、真空成形品にはパッキンを取り付けないが、本発明では、密閉特性を確保するためにパッキン部材3を取り付けることに特徴があるといえる。
【0055】
この際、前記第2トレイ2の締結溝23は、前記締結部15に向かって(Z軸の反対方向に沿って)開放された入口を含むように前記第2トレイ2において底面を有する溝であり、前記溝の外側面が傾くように、特に、外側面の下端が内側へ傾くように形成され(即ち、締結溝23においてY軸方向に沿う断面がZ軸の反対方向へ進むほど細くなるように形成され)、それにより前記溝の入口が前記溝の底面よりも狭く形成され、前記締結溝23の内部に挿入されるパッキン部材3が離脱しないように固定されることが望ましい。
【0056】
また、前記第1トレイ1は、第1トレイ1と第2トレイ2との密閉力及び締結力を高めるために、第1トレイ1の側壁のエッジに沿って外側へフランジ14が形成され、図2の部分拡大断面図に詳しく示したように、前記第2トレイ2の側壁のエッジに沿って下向きに(Z軸の反対方向へ)篏合部22が形成され、フランジ14を覆って篏合するように構成され得る。
【0057】
また、図3を参照すると、前記フランジ14には、少なくとも一つ以上の係止片16が外側へ突出するように形成され、前記第2トレイ2の篏合部22の内側面へより強く締まりばめになるように構成され得る。
【0058】
第2トレイ篏合部22とフランジ14との篏合または締まりばめは、第2トレイ2の第1トレイ1への結合時、電池セル密閉容器100の密閉及び電池セルの固定が可能でありながらも、第2トレイ2を第1トレイ1から分離しやすいという長所があり、別のロック装置は不要である。最終的に電池セル密閉容器100を紙箱に包装するに際し、紙箱の外部を結束するテープの力で第2トレイ2と第1トレイ1とのロッキングと類似な効果を達成することもできる。
【0059】
以上で説明したように、本発明の電池セル密閉容器は、積載された電池セルの上部及び下部だけでなく側面も保護できるように四方が密閉された構造を有し、内部に積載された電池セルの移動及び保管時、外部の特性低下要因に起因する特性低下を最小化することができるという効果を奏する。
【0060】
また、内部の箱と外部の包装箱の二重の紙箱を使用する場合と比較して内部の箱を使用しなくてもよく、防錆剤が含有されていない低価な素材を使用可能であるため、包装工程の単純化と包装費用の節減に寄与する効果が大きい。
【0061】
図4は、本発明の一実施例による電池セル密閉容器の第1トレイをZ軸方向に沿って複数個積層する場合を示した図であり、図5は、本発明の一実施例による電池セル密閉容器の第2トレイをZ軸方向に沿って複数個積層する場合を示した図である。
【0062】
前記第1トレイ1は、図4に示したように、側壁の内側に複数の第1トレイ支持端17が形成され得る。このような第1トレイ支持端17は、前記第1トレイ1の中心に対して非対称に配置され得る。図示した例において前記第1トレイ1の側壁は4個であり、前記第1トレイ1の中心に対して向かい合う二つの側壁、例えば、X方向を基準にして左・右側の側壁となる短辺に第1トレイ支持端17が形成され、前記第1トレイ1の中心に対して非対称に配置され得る。このような第1トレイ1の上部に、左右が異なる方向へ積層される他の第1トレイ1を積層したとき、第1トレイ支持端17が他の第1トレイ1の下部17aを支持することで、積層される第1トレイ1が挟まれることを防止することができる。
【0063】
複数の第1トレイ1を積層して保管可能であるため、保管空間を効率的に管理可能であり、保管時、第1トレイ1同士が挟まることがないので、いずれかの第1トレイ1を取り出して電池セルを収納する場合、容易かつ迅速に他の第1トレイ1から分離可能であり、作業の効率性が増大する。
【0064】
また、図5に示したように、前記第2トレイ2の内側に複数の第2トレイ支持端27が形成され、前記第2トレイ2の中心に対して非対称に配置され得る。図示したように、前記第2トレイ1の側壁は4個であり、前記第2トレイ2の中心に対向する二つの側壁、例えば、X方向を基準にして左・右側の側壁に非対称に配置され得る。このような第2トレイ2の上部に、左・右が異なる方向へ積層される他の第2トレイ2を積層したとき、他の第2トレイ2に形成された第2トレイ支持端27が第2トレイ2の上部に支持されることで、積層される第2トレイ2が挟まることを防止できる。
【0065】
複数の第2トレイ2を積層して保管可能であるので、保管空間を効率的に管理可能であり、保管時に第2トレイ2同士が挟まれていないので、いずれかの一つの第2トレイ2を取り出して電池セルが収納された第1トレイ1の上部に第2トレイ2を覆う作業を行うに際し、容易かつ迅速に他の第2トレイ2から分離可能であるので、作業の効率性が増大する。
【0066】
以上、本発明は添付された図面を参照して望ましい実施例を中心にして記述されたが、当業者であれば、このような記載から本発明の範疇から外れることなく多様な変形が可能であることは自明である。したがって、本発明の範疇はこのような多様な変形例を含むように記述された特許請求の範囲によって解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0067】
1 第1トレイ
1a ノッチ溝
2 第2トレイ
3 パッキン部材
4 除湿剤
11 下端収容部
12 支持体
13 除湿剤収容部
13b 突出部
14 フランジ
15 締結部
16 係止片
17 第1トレイ支持端
17a 下部
21 上端収容部
22 第2トレイ篏合部
23 締結溝
27 第2トレイ支持端
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】