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特表2023-552351熱暴走時に酸素流入の遮断のための構造が適用されたバッテリーモジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-15
(54)【発明の名称】熱暴走時に酸素流入の遮断のための構造が適用されたバッテリーモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20231208BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20231208BHJP
   H01M 50/30 20210101ALI20231208BHJP
   H01M 50/548 20210101ALI20231208BHJP
   H01M 50/271 20210101ALI20231208BHJP
   H01M 50/278 20210101ALI20231208BHJP
【FI】
H01M50/204 401F
H01M50/211
H01M50/30
H01M50/548 301
H01M50/271 S
H01M50/278
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533753
(86)(22)【出願日】2022-08-25
(85)【翻訳文提出日】2023-06-01
(86)【国際出願番号】 KR2022012753
(87)【国際公開番号】W WO2023033458
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】10-2021-0115112
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】スン-ゴン・ホン
(72)【発明者】
【氏名】スン-ヒョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヨン-フ・オ
(72)【発明者】
【氏名】スン-ミン・オク
(72)【発明者】
【氏名】サン-ヒョン・ジョ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン-ボム・チョ
【テーマコード(参考)】
5H012
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H012AA03
5H012CC01
5H040AA37
5H040AS01
5H040AT04
5H040AT06
5H040AY05
5H040AY08
5H043AA04
5H043AA15
5H043BA19
5H043CA08
5H043CA22
5H043DA05
5H043JA03
5H043KA22
(57)【要約】
本発明によるバッテリーモジュールは、複数のバッテリーセルを備えるセルアセンブリと、前記セルアセンブリを収容できるように設けられ、少なくとも一方の側に開放部を備えたモジュールケースと、前記開放部を覆う酸素流入遮断カバーと、を含み、前記酸素流入遮断カバーは、それぞれベント孔を備え、互いに重なり合うように配置され、前記開放部を覆うように設けられるが、前記セルアセンブリにおいてガスが生じたときに、ガスが前記ベント孔を介して前記モジュールケースの外部に排出されるように構成された2枚以上の隔壁と、前記隔壁の間に位置し、熱が印加される場合に形状が歪んで前記ベント孔を閉塞するように構成された孔閉塞部材と、を含んでいてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリーセルを備えるセルアセンブリと、
前記セルアセンブリを収容できるように設けられ、少なくとも一方の側に開放部を備えたモジュールケースと、
前記開放部を覆う酸素流入遮断カバーと、
を含み、
前記酸素流入遮断カバーは、
それぞれベント孔を備え、互いに重なり合うように配置され、且つ、前記開放部を覆うように設けられる2枚以上の隔壁であって、前記セルアセンブリにおいてガスが生じたとき、ガスが前記ベント孔を介して前記モジュールケースの外部に排出されるように構成された2枚以上の前記隔壁と、
前記隔壁同士の間に位置する孔閉塞部材であって、熱が印加される場合に前記孔閉塞部材の形状が歪むことによって、前記ベント孔を閉塞する孔閉塞部材と、
を含む、バッテリーモジュール。
【請求項2】
前記孔閉塞部材は、プラスチック射出物であって、板状体の形状に構成された、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項3】
2枚以上の前記隔壁は、第1隔壁と第2隔壁とを含み、
前記第1隔壁と前記第2隔壁とは、前記孔閉塞部材を前記第1隔壁と前記第2隔壁との間に挟んで重なり合うように配置される、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項4】
前記孔閉塞部材は板状体の形状に設けられ、厚さ方向にガスが通過可能なガス通過孔を備え、
前記第1隔壁のベント孔、前記ガス通過孔、及び前記第2隔壁のベント孔は、相互間に少なくとも一部分が一致する、請求項3に記載のバッテリーモジュール。
【請求項5】
前記ガス通過孔は、
前記第1隔壁のベント孔及び前記第2隔壁のベント孔の幅より狭幅に形成された、請求項4に記載のバッテリーモジュール。
【請求項6】
前記ガス通過孔の幅は、前記第1隔壁のベント孔に近づくにつれて次第に狭くなるように形成された、請求項5に記載のバッテリーモジュール。
【請求項7】
前記孔閉塞部材は、所定の温度において溶融可能なメッシュ網から構成された、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項8】
2枚以上の前記隔壁は、
3重に互いに向かい合うように配置された第1隔壁、第2隔壁及び第3隔壁を含み、
前記孔閉塞部材は、前記第1隔壁と前記第2隔壁との間に配置される第1孔閉塞部材と、前記第2隔壁と前記第3隔壁との間に配置される第2孔閉塞部材と、を含む、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項9】
前記第1隔壁のベント孔と前記第2隔壁のベント孔とは、互いに対してずれて位置し、前記第2隔壁のベント孔と前記第3隔壁のベント孔とは、互いに対してずれて位置し、
前記第1孔閉塞部材と前記第2孔閉塞部材は、多孔性構造からなる、請求項8に記載のバッテリーモジュール。
【請求項10】
前記セルアセンブリは、複数のパウチ型バッテリーセルが互いに積層された形状に構成された、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項11】
前記複数のパウチ型バッテリーセルは、電極リードが前記モジュールケースの前後方向に位置し、
前記モジュールケースは、前方及び後方のうちの少なくとも一方に前記開放部が配備される、請求項10に記載のバッテリーモジュール。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のバッテリーモジュールを複数含む、バッテリーパック。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項に記載のバッテリーモジュールを含む、エネルギー貯蔵システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年08月30日付け出願の韓国特許出願第10-2021-0115112号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、バッテリーに関し、より詳細には、火災の発生ないし拡散を効果的に防ぐことのできるバッテリーモジュールとこれを含むバッテリーパック及びエネルギー貯蔵システムなどに関する。
【背景技術】
【0003】
近年、ノートパソコン、ビデオカメラ、携帯電話などのような携帯用電子製品の需要が急激に伸び、ロボット、電気自動車などの商用化が本格化するにつれて、繰り返して充放電可能な高性能二次電池に対する研究が活発に行われている。
【0004】
現在、商用化されている二次電池としてはニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などが挙げられる。特に、リチウム二次電池は、ニッケル系列の二次電池に比べてメモリ効果が殆ど起きないため充放電が自在であり、自己放電率が非常に低くエネルギー密度が高いという長所から脚光を浴びている。
【0005】
二次電池は、単独で用いられたりもするが、一般的には、複数の二次電池が互いに電気的に直列及び/又は並列に接続された形態で構成された場合が多い。特に、複数の二次電池は、互いに電気的に接続された状態で1つのモジュールケースの内部に収納されて、1つのバッテリーモジュールを構成することができる。なお、バッテリーモジュールは、単独で用いられたり、または2以上が互いに電気的に直列及び/又は並列に接続されて、バッテリーパックなどのようにより上位レベルの装置を構成したりすることができる。
【0006】
最近、電力不足や環境にやさしいエネルギーなどがイシューとして取り上げられることに伴い、生産された電力を蓄えるためのエネルギー貯蔵システム(ESS:Energy Storage System)がさらに大きな注目を集めている。代表的に、かようなエネルギー貯蔵システムを用いると、スマートグリッドシステム(Smart Grid System)などのシステムが構築し易いので、特定の地域や都市などにおいて手軽に電力の需給を調節することができる。
【0007】
エネルギー貯蔵システムに用いられるバッテリーパックの場合、中小型バッテリーパックに比べて非常に大きな容量を必要とすることがある。したがって、バッテリーパックには、通常、複数のバッテリーモジュールが含まれ得る。なお、エネルギー密度を高めるために、複数のバッテリーモジュールは、非常に狭い空間に密集された形態で構成される場合が多い。
【0008】
ところが、このように複数のバッテリーモジュールが狭い空間に密集された状態で存在する場合、火災に脆弱であり得る。例えば、あるバッテリーモジュールにおいて熱暴走(thirmal runaway)といった状況が生じて、少なくとも1つのバッテリーセルから高温のガスが排出されるといった状況が生じることがある。さらに、このようなガスの排出の際に高温のスパークが噴出され得るが、スパークには、バッテリーセルの内部の電極から脱離された活物質や溶融されたアルミニウム粒子などが含まれている可能性がある。もし、このような高温のスパーク及び高温のガスが酸素と出会う場合、バッテリーパックの火災を起こす虞がある。
【0009】
特に、特定のバッテリーセルないしモジュールにおいて火災が起きる場合、これは、周りの他のバッテリーセルやバッテリーモジュール、他のバッテリーパックなどに拡散する虞がある。とりわけ、エネルギー貯蔵システムは、狭い空間に数多くのバッテリーが密集されているが故に、火災が起きる場合、鎮圧が決して容易ではない。さらに、エネルギー貯蔵システムの規模や役割を考慮するとき、バッテリーパックの内部の火災の発生は非常に深刻な財産及び人命の被害を生じさせる虞がある。そのため、特定のバッテリーセルやモジュールにおいて熱暴走の状況などが生じたとしても、火災にまで至らないようにすることが重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような問題を解決するために案出されたものであり、熱暴走などにより内部において高温のガスやスパークが生じたとしても、火災の発生を効果的に抑えられるように構成されたバッテリーモジュールとこれを含むバッテリーパック及びエネルギー貯蔵システムなどを提供することを目的とする。
【0011】
但し、本発明が解決しようとする技術的課題は、上述した課題に何ら制限されるものではなく、言及されていない他の課題は、下記に記載されている発明の説明から当業者にとって明らかに理解できる筈である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記技術的課題を達成するための本発明の一局面によるバッテリーモジュールは、複数のバッテリーセルを備えるセルアセンブリと、前記セルアセンブリを収容できるように設けられ、少なくとも一方の側に開放部を備えたモジュールケースと、前記開放部を覆う酸素流入遮断カバーと、を含み、前記酸素流入遮断カバーは、それぞれベント孔を備え、互いに重なり合うように配置され、且つ、前記開放部を覆うように設けられる2枚以上の隔壁であって、前記セルアセンブリにおいてガスが生じたとき、ガスが前記ベント孔を介して前記モジュールケースの外部に排出されるように構成された2枚以上の前記隔壁と、前記隔壁同士の間に位置する孔開閉部材であって、熱が印加される場合に前記孔開閉部材の形状が歪むことによって、前記ベント孔を閉塞するように構成された孔閉塞部材と、を含んでいてもよい。
【0013】
前記孔閉塞部材は、プラスチック射出物であって、板状体の形状に構成されてもよい。
【0014】
前記2枚以上の隔壁は、第1の隔壁と第2の隔壁とを含み、前記第1の隔壁と前記第2の隔壁とは、前記孔閉塞部材を間に挟んで重なり合うように配置されていてもよい。
【0015】
前記孔閉塞部材は板状体の形状に設けられ、厚さ方向にガスが通過可能なガス通過孔を備え、前記第1隔壁のベント孔、前記ガス通過孔、及び前記第2隔壁のベント孔は、相互間に少なくとも一部分が一致するように構成されてもよい。
【0016】
前記ガス通過孔は、前記第1隔壁のベント孔及び前記第2隔壁のベント孔の幅より狭幅に形成されてもよい。
【0017】
前記ガス通過孔の幅は、前記第1隔壁のベント孔に近づくにつれて次第に狭くなるように形成されてもよい。
【0018】
前記孔閉塞部材は、所定の温度において溶融可能なメッシュ網から構成されてもよい。
【0019】
前記2枚以上の隔壁は、3重に互いに向かい合うように配置された第1隔壁、第2隔壁及び第3隔壁を含み、前記孔閉塞部材は、前記第1隔壁と前記第2隔壁との間に配置される第1孔閉塞部材と、前記第2隔壁と前記第3隔壁との間に配置される第2孔閉塞部材と、を含んでいてもよい。
【0020】
前記第1隔壁のベント孔と前記第2隔壁のベント孔とは、互いに対してずれて位置し、前記第2隔壁のベント孔と前記第3隔壁のベント孔とは、互いに対してずれて位置し、前記第1孔閉塞部材と前記第2孔閉塞部材は、多孔性構造からなり得る。
【0021】
前記セルアセンブリは、複数のパウチ型バッテリーセルが互いに積層された形状に構成されてもよい。
【0022】
前記複数のパウチ型バッテリーセルは、電極リードが前記モジュールケースの前後方向に位置し、前記モジュールケースは、前方及び後方のうちの少なくとも一方に前記開放部が配備されていてもよい。
【0023】
また、上記技術的課題を達成するための本発明の他の局面によるバッテリーパックは、本発明によるバッテリーモジュールを含んでいてもよい。
【0024】
さらに、上記技術的課題を達成するための本発明のさらに他の局面によるエネルギー貯蔵システムは、本発明によるバッテリーモジュールを含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、バッテリーモジュールの火災の発生が効果的に防止可能になる。
【0026】
特に、本発明の一局面によれば、バッテリーモジュール内に含まれている特定のバッテリーセルにおいて熱暴走現象などにより高温のガスやスパークが生じたとしても、火災にまで至らないようにすることができる。
【0027】
また、本発明の一実施構成によれば、バッテリーモジュールの外部にガスを排出しながらも、バッテリーモジュールの内部に酸素が流れ込むのを遮断することができる。したがって、燃焼の3要素の一つである酸素を排除することにより、バッテリーモジュールの内部において燃焼、すなわち、火災が起きることを源泉的に遮断することができる。
【0028】
さらに、本発明の一局面によれば、バッテリーモジュールの内部において火災が起きたとしても、さらなる酸素の流れ込みが遮断されて火災が拡散せず、速やかに鎮圧されるようにすることができる。
【0029】
これらに加えて、本発明は色々な他の効果を有することができ、これについては各実施構成の欄において説明したり、当業者が容易に類推可能な効果などについては当該説明を省略したりする。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの概略斜視図である。
図2図1のモジュールケースと酸素流入遮断カバーとを分離した分解斜視図である。
図3図2の酸素流入遮断カバーの分解斜視図である。
図4】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの内部においてガスが生じた場合、ガスの排出と酸素流入の遮断の効果を図式化して示す図である。
図5】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの内部においてガスが生じた場合、ガスの排出と酸素流入の遮断の効果を図式化して示す図である。
図6図4の変形例であって、主部を拡大して示す図である。
図7図6の孔閉塞部材の形状が熱により歪んだ例を示す図である。
図8図2に対応する図であって、酸素流入遮断カバーの変形例を示す図である。
図9】本発明の他の実施形態によるバッテリーモジュールの概略斜視図である。
図10図9の酸素流入遮断カバーの分解斜視図である。
図11】本発明の他の実施形態によるバッテリーモジュールの内部においてガスが生じた場合、ガスの排出と酸素流入の遮断の効果を図式化して示す図である。
図12】本発明の他の実施形態によるバッテリーモジュールの内部においてガスが生じた場合、ガスの排出と酸素流入の遮断の効果を図式化して示す図である。
図13】本発明の一実施形態によるバッテリーパックを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0032】
したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明の最も好ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0033】
図1は、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの概略斜視図であり、図2は、図1のモジュールケースと酸素流入遮断カバーとを分離した分解斜視図であり、図3は、図2の酸素流入遮断カバーの分解斜視図である。
【0034】
同図を参照すると、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュール10は、セルアセンブリ100と、モジュールケース200及び酸素流入遮断カバー300を含んでいてもよい。
【0035】
前記セルアセンブリ100は、複数のバッテリーセル110を備えていてもよい。前記バッテリーセル110は、電極組立体、電解液及び電池ケースを備えていてもよい。図2に示すように、セルアセンブリ100は、パウチ型バッテリーセル110から構成されてもよい。いうまでもなく、セルアセンブリ100が必ずしもパウチ型バッテリーセル110から構成されなければならないとは限らない。たとえば、セルアセンブリ100は、円筒型バッテリーセルや角型バッテリーセルから構成されてもよい。
【0036】
前記パウチ型バッテリーセル110は、互いに積層された形状にセルアセンブリ100を形成してもよい。例えば、図2に示すように、複数のパウチ型バッテリーセル110が上下方向(Z軸方向)に積層されてもよい。それぞれのパウチ型バッテリーセル110は、電極リードを備え、このような電極リードは、各バッテリーセル110の両端部に位置してもよく、一方の端部に位置してもよい。
【0037】
図2に示すバッテリーセル110は、両方向セルであって、電極リードがバッテリーセル110の長手方向(X軸方向)の両端に位置する。しかしながら、前記パウチ型バッテリーセル110は、電極リードがX軸方向の一方の端部、たとえば、+X軸方向の端部にのみ位置することに置き換えられる。本発明は、このようなバッテリーセル110の具体的な種類や形状により何ら制限されるものではなく、本発明の出願時点において公知となっている多種多様なバッテリーセル110が本発明のセルアセンブリ100に採用可能である。
【0038】
セルアセンブリ100は、バッテリーセル110の電極リード側がモジュールケース200の前方と後方、すなわち、両側の開放部210を向くようにモジュールケース200の内部に収容され、図面作成の便宜性のために図示はしないが、バッテリーセル110の電気的な接続のための手段としてのバスバー組立体(図示せず)がセルアセンブリ100の長手方向に沿った両端部に組み立てられてもよい。ここで、バスバー組立体は、電極リードが通過可能なスロットが形成されている絶縁板と、前記絶縁板の片面に取り付けられ、銅などの金属素材の棒状に配設されるバスバーと、から構成されてもよい。例えば、1つ以上のバッテリーセル110の電極リードをスロットを介して絶縁板の前側に引き出して特定のバスバーの片面に溶接し、他の1つ以上のバッテリーセル110の電極リードを他のスロットを介して絶縁板の前側に引き出し、前記特定のバスバーに溶接する方式によりバッテリーセル110を直列に及び/並列に接続してもよい。
【0039】
前記モジュールケース200は、内部に空き空間を備え、セルアセンブリ100を収容できるように構成されてもよい。なお、前記モジュールケース200は、(X軸方向に沿って)所定の長さに形成され、開放部210が長手方向に沿った前方と後方に配備されている概ね直方体の形状に構成されてもよい。
【0040】
以下、説明のしやすさのために、モジュールケース200において、前記セルアセンブリ100の上部と下部をそれぞれ覆う部分を上プレートと下プレートと称し、前記セルアセンブリ100の両方の側面部を覆う部分をサイドプレート(左プレートと右プレート)と称する。
【0041】
例えば、前記上プレートと前記サイドプレートは一体化されて断面がU字状であるUフレームとして形成され、前記下プレートは、前記Uフレームにボルト締めまたは溶接などの方式により結合できるように両側の周縁部のラインが上部方向に折り曲げられている板状に配設されてもよい。あるいは、その代替例として、前記モジュールケース200は、四角い管状であって、上プレート、下プレート、及びサイドプレートのすべてが一体化されて継ぎ目のない単一のフレーム(モノフレーム)状に配設されてもよい。
【0042】
かようなモジュールケース200は、開放部210を除いた4面が密閉された構造となっていて、セルアセンブリ100においてガスやスパークなどが生じたとき、モジュールケース200の開放部210側にガスやスパークが移動することができる。
【0043】
前記酸素流入遮断カバー300は、バッテリーセル110の熱暴走の状況下でモジュールケース200の内部にガスが生じた場合、前記ガスをモジュールケース200の外部に送り出すことにより、バッテリーモジュール10の内圧の増加による爆発を防ぎ、ガスの排出後にモジュールケース200の内部に酸素が流れ込むのを遮断して火災のリスクを最小限に抑えるための構成要素である。
【0044】
かような酸素流入遮断カバー300は、モジュールケース200の前方と後方、すなわち、モジュールケース200の両側の開放部210に一対として配備されてもよい。前記酸素流入遮断カバー300は、開放部210の全体を覆い、モジュールケース200の両端部に結合されるように構成されてもよい。酸素流入遮断カバーとモジュールケース200との組み合わせに際して、溶接、ボルト締め、フック締結、接着方式など様々な方式が採用可能であり、気密性の確保のためにOリング(O-ring)などのシール材が付加され得る。
【0045】
具体的に、前記酸素流入遮断カバー300は、図2及び図3に示すように、それぞれベント孔H1、H2を備え、互いに重なり合うように配置され、前記開放部210を覆うように設けられた第1隔壁310Aと第2隔壁310Bとの間、及び前記第1隔壁310Aと前記第2隔壁310Bとの間に位置し、熱が印加される場合に形状が歪んで前記ベント孔H1、H2を閉塞する孔閉塞部材320を含む。
【0046】
前記第1隔壁310Aと第2隔壁310Bは、機械的な剛性の高い金属素材または耐火性に優れた素材から設けられ、前記孔閉塞部材320は、熱により溶融可能な素材、例えば、プラスチック(ポリマー)素材から設けられてもよい。なお、前記孔閉塞部材320は、ガス通過孔321を備えていてもよい。
【0047】
前記第1隔壁310Aは、モジュールケース200の開放部210を覆うことができる板状に設けられて、バッテリーセル110の熱暴走の状況下でスパークや火炎(flare)の外部への流出を防ぐ役割を果たす。しかしながら、ガスは、前記第1隔壁310Aを通過できるように、前記第1隔壁は、高さ方向(Z軸方向)に沿って複数のベント孔H1を備える。
【0048】
前記第2隔壁310Bは、前記孔閉塞部材320を間に挟んで前記第1隔壁310Aと重なり合うように配置される構成要素であって、第1隔壁310Aと実質的に同様に設けられてもよい。第2隔壁310Bのベント孔H2は、第1隔壁310Aのベント孔H1と同じ形状に設けられ、第2隔壁310Bの高さ方向(Z軸方向)に複数で配備されてもよい。前記第1隔壁310Aと前記第2隔壁310Bを重ね合わせて配置しても、ガスがこれらを通過できるように、前記第1隔壁310Aのベント孔H1と前記第2隔壁310Bのベント孔H2は、バッテリーモジュール10の長手方向(X軸方向)に互いにマッチングされるように構成され得る。
【0049】
孔閉塞部材320は、プラスチック射出物であって、所定の厚さを有する板状体の形状に構成され、その一方の面は前記第1隔壁310Aに対面して接触し、その他方の面は前記第2隔壁310Bに対面して接触するように前記第1隔壁310Aと前記第2隔壁310Bとの間に位置してもよい。なお、前記孔閉塞部材320は、高さ方向(Z軸方向)に沿って配備された複数のガス通過孔321を備える。ガスは、前記複数のガス通過孔321を介して孔閉塞部材320を通過することができる。
【0050】
このようなガス通過孔321は、第1隔壁310Aのベント孔H1及び第2隔壁310Bのベント孔H2と互いに少なくとも一部分が一致する高さに配備される。すなわち、図2に示すように、第1隔壁310A、孔閉塞部材320、及び第2隔壁310Bがこの順に重なり合った状態で、第1隔壁310Aのベント孔H1、ガス通過孔321、及び第2隔壁310Bのベント孔H2は相互間に少なくとも一部分がマッチングされてもよい。したがって、モジュールケース200の内部においてガスが生じる場合、前記ガスは、第1隔壁310Aのベント孔H1、孔閉塞部材320のガス通過孔321、及び第2隔壁310Bのベント孔H2の順に通過して、バッテリーモジュール10の外部に排出されることが可能になる。
【0051】
一方、前記孔閉塞部材320は、プラスチック射出物からなるため、バッテリーセル110の熱暴走の状況により生成された熱が一定のレベル以上に前記孔閉塞部材320に伝えられたり、放出されるガスの熱が一定のレベル以上に前記孔閉塞部材320に伝えられたりする場合、孔閉塞部材320が溶け落ちて形状が歪むことがある。このような孔閉塞部材320の形状の歪みにより第1隔壁310Aのベント孔H1と第2隔壁310Bのベント孔H2が閉塞されることが可能になる。
【0052】
本発明のこのような構成によれば、バッテリーモジュール10の内部において熱暴走の状況などが生じてガスが放出された場合、放出されたガスは、ベント孔H1、H2とガス通過孔321を介してバッテリーモジュール10の外部に円滑に排出されることが可能になる。したがって、バッテリーモジュール10の内圧の増加による爆発を防ぐことができる。のみならず、ベントガスが排出されながら伝えられた熱により、孔閉塞部材320が溶け落ちて第1隔壁310Aのベント孔H1と第2隔壁310Bのベント孔H2が閉塞されることにより、ベントガスの排出後に前記ベント孔とガス通過孔321を介してバッテリーモジュール10の内部に酸素が流れ込むのが効果的に遮断されることが可能になる。
【0053】
これについては、図4及び図5に基づいてさらに詳しく説明する。
【0054】
図4及び図5は、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュール10の内部においてガスが生じた場合、ガスの排出と酸素流入の遮断の効果を図式化して示す図である。
【0055】
1つ以上のバッテリーセル110の熱暴走の状況下で、図4において符号Gにて示すように、前記バッテリーセル110からガスが噴出された場合、噴出されたガスは、モジュールケース200の開放部210に移動することができる。符号Gにて示すガスの場合、第1隔壁310Aのベント孔H1、孔閉塞部材320のガス通過孔321、及び第2隔壁310Bのベント孔H2の順に通過してバッテリーモジュール10の外部に排出されることができる。
【0056】
上記のように、ガスが排出されるとき、ガス通過孔321の周辺領域に熱が効果的に伝えられるように、前記孔閉塞部材320のガス通過孔321は、前記第1隔壁310Aのベント孔H1と前記第2隔壁310Bのベント孔H2の幅より狭幅に形成されてもよい。このような構成によれば、孔閉塞部材320のガス通過孔321の周りへの伝熱が効果的に行われて、当該部分の形状が歪みやすい。このため、図5に示すように、第1隔壁310Aのベント孔H1と第2隔壁310Bのベント孔H2が閉塞されてバッテリーモジュール10の外部から内部への酸素の流れ込みが遮断されることが可能になる。
【0057】
図6は、図4の変形例であって、主部を拡大して示す図であり、図7は、図6の孔閉塞部材320が熱により形状が歪んだ例を示す図である。
【0058】
図4の変形例として、ガス通過孔321は、第1隔壁310Aのベント孔H1に近づくにつれて上下方向の幅が次第に狭くなるように構成されてもよい。前記構成によれば、図6において符号Gにて示すガスの流れは経路上に障害がないものの、例えば、符号Gにて示すガスの流れの場合、ガス通過孔321の周りの部位に遮られてしまう。これにより、前記ガス通過孔321の周りの部位の温度がさらに早く高くなって、当該部位が効果的に溶融されることが可能になる。ところが、前記ガス通過孔321において右側方向にガスの排出圧力が働くため、溶融された部分が図6における右側方向、すなわち、第2隔壁310Bのベント孔H2の方向に偏ってしまうという現象が生じることがある。このような偏り現象がさらに激しくなる場合、溶融された部分がガスとともに第2隔壁310Bのベント孔H2の外に飛び散って、ベント孔が閉塞され難くなることがある。このため、本変形例においては、第1隔壁310Aのベント孔H1側に向かって進むにつれてガス通過孔321の幅が次第に狭くなるように形成して、その周りのプラスチック領域が溶融されるとき、ガス通過孔321の上側と下側とがより一層速やかに融着できるように構成しているのである。このように、ガス通過孔321の上側と下側とが融着された後には、溶融された部分の粘性が強くなって、第2隔壁310Bのベント孔H2の外に容易に飛び散らない。このため、本変形例によれば、ベント孔の閉塞がより一層効果的に行われることが可能になる。
【0059】
一方、ガス通過孔321を備えたプラスチック射出物タイプの孔閉塞部材320の代案として、図8に示すように、所定の温度において溶融可能な素材からなるメッシュ網製の孔閉塞部材320Aが採用されてもよい。メッシュ網の場合、前述したプラスチック射出物タイプの孔閉塞部材320に比べて通風性がさらに良いため、ガスの排出がより一層円滑に行われることができ、粒子状のスパークや異物の流入または流出をより一層上手く遮断することができるという効果がある。
【0060】
以上のように、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュール10の構成とその構成の作用によれば、特定のバッテリーセル110の熱暴走の状況下で生じたガスをバッテリーモジュール10の外部に排出することができて、バッテリーモジュール10の爆発を防ぐことができ、かつ、ガスの排出後に酸素の流れ込みを遮断して火災の拡散を防ぐことができる。すなわち、バッテリーモジュール10は、熱暴走の状況下でバッテリーモジュール10の内部にスパークのような熱源や可燃物が存在することがあるが、上記のように、燃焼の3要素の一つである酸素の流れ込みが遮断されれば、バッテリーモジュール10の内部の火災の拡散が防止ないし顕著に遅延可能である。
【0061】
図9は、本発明の他の実施形態によるバッテリーモジュール10Aの概略斜視図であり、図10は、図9の酸素流入遮断カバー400の分解斜視図である。
【0062】
次いで、同図に基づいて、本発明の他の実施形態について説明する。
【0063】
前述した実施形態と同じ部材番号は同じ部材を示し、同じ部材についての重複する説明は省略し、前述した実施形態との相違点に重点をおいて説明する。
【0064】
本発明の他の実施形態によるバッテリーモジュール10Aは、前述した実施形態の構成と比べるとき、3重に重なり合うように配置される3枚の隔壁410A、410B、410Cと、前記3枚の隔壁410A、410B、410Cの間に配置される2つの孔閉塞部材420、430と、を含む。なお、前記2つの孔閉塞部材420、430は、多孔性構造に形成される。
【0065】
具体的に、図10を参照すると、本発明の酸素流入遮断カバー400は、3重に互いに向かい合うように配置された第1隔壁410A、第2隔壁410B及び第3隔壁410Cを含む。また、前記酸素流入遮断カバー400は、前記第1隔壁410Aと前記第2隔壁410Bとの間に配置される第1孔閉塞部材420と、前記第2隔壁410Bと前記第3隔壁410Cとの間に配置される第2孔閉塞部材430と、を含む。
【0066】
前記第1隔壁410Aのベント孔J1、J2は、両側の側部に1本ずつ縦方向(Z軸方向)に長尺状に延びた形状に設けられ、前記第2隔壁410Bのベント孔(K1は、前記第1隔壁410Aのベント孔J1、J2とずれて位置するように中央部に縦方向(Z軸方向)に長尺状に延びた形状に設けられ、前記第3隔壁410Cのベント孔Q1、Q2は、前記第2隔壁410Bのベント孔K1とずれて位置するように両側の側部に1本ずつ縦方向(Z軸方向)に長尺状に延びた形状に設けられてもよい。
【0067】
前記第1孔閉塞部材420と前記第2孔閉塞部材430は、プラスチック樹脂のように熱溶融される材質であり、多孔性構造に、かつ、所定の体積を有する形態に、例えば、多孔性スポンジまたは多孔性フォームやウェブ(web)の形態に実現可能である。これらの第1孔閉塞部材420と第2孔閉塞部材430は、厚さ方向(X軸方向)のみならず、横方向(Y軸方向)と縦方向(Z軸方向)にも通風性を有する。
【0068】
上記のような酸素流入遮断カバー400の構成によれば、バッテリーモジュール10Aの内部の熱暴走の状況下でスパークや火炎(Flare)などは外部に排出されないように防ぎつつ、ガスは外部に円滑に排出されるようにすることができる。なお、前述した実施形態のように、第1孔閉塞部材420と第2孔閉塞部材430が熱により歪むように構成されていて、ガスの排出後に酸素がバッテリーモジュール10Aの内部に流れこむのを遮断することができる。
【0069】
これについて、図11図12に基づいて捕捉説明する。
【0070】
図11及び図12は、本発明の他の実施形態によるバッテリーモジュール10の内部においてガスが生じた場合、ガスの排出と酸素流入の遮断の効果を図式化して示す図である。
【0071】
バッテリーセル110からガスとスパークなどが噴出された場合、図11にFにて示されたスパークは、第1隔壁410Aにより遮断されるか、あるいは、第1隔壁410Aのベント孔J1、J2を通過したとしても、第2隔壁410Bに遮られて遮断されることができる。さらに、スパークは粒子状のものがほとんどであるため、多孔性構造の第1孔閉塞部材420内に流れ込み難い。なお、本実施形態は、3重隔壁からなるため、スパークないし火炎が外部に流出されるためには、複雑な経路を経ることを余儀なくされる。したがって、実質的にスパークないし火炎は、外部に流出されることが非常に困難である。
【0072】
しかしながら、図11において符号Gにて示すガスの場合、第1隔壁410Aのベント孔J1、J2を通過して多孔性構造の第1孔閉塞部材420に至り、さらには第2隔壁410Bのベント孔K1を通過して多孔性構造の第2孔閉塞部材430に至り、最終的には第3隔壁410Cのベント孔Q1、Q2を通過してバッテリーモジュール10Aの外部に排出されることができる。
【0073】
ガスの排出後に、前記ガスが排出される過程において熱が前記第1孔閉塞部材420と前記第2孔閉塞部材430に伝えられる。これにより、前記第1孔閉塞部材420と前記第2孔閉塞部材430のうちの少なくともどちらか一方は、形状が歪むことができる。すなわち、第1孔閉塞部材420または第2孔閉塞部材430が溶け落ちて多孔性構造が崩れたり、第1隔壁410Aのベント孔J1、J2、前記第2隔壁410Bのベント孔K1、前記第3隔壁410Cのベント孔Q1、Q2が閉塞されたりすることができる。このとき、図12において符号Oにて示すように、酸素がバッテリーモジュール10Aの内部に流れ込むことが遮断されることが可能になる。
【0074】
以上述べたように、本発明の他の実施形態によるバッテリーモジュール10Aの場合、前述した実施形態と比べたとき、3重の隔壁410A、410B、410Cからなっており、前記各隔壁のベント孔が交互に位置していて、スパークと火炎などは通過できないようにし、ガスのみが外部に排出されるようにすることができる。なお、ガスの排出後には、前記ガスの排出過程において熱により孔閉塞部材が歪んで前記ベント孔が閉塞できるように構成されていて、バッテリーモジュール10Aの内部に酸素が流れ込まないようにすることができる。その結果、バッテリーモジュール10Aの内部とバッテリーモジュール10の外部における火災の拡散のリスクを大幅に低めることができる。
【0075】
一方、本発明によるバッテリーパック1は、上述した本発明によるバッテリーモジュールを複数含んでいてもよい。また、本発明によるバッテリーパック1は、このようなバッテリーモジュールに加えて、他の様々な構成要素、たとえば、バッテリー管理システム(BMS:Battery Management System)やバスバー、パックケース20、リレー、電流センサーなどといったように、本発明の出願時点において公知となっているバッテリーパック1の構成要素などをさらに含んでいてもよい。
【0076】
本発明によるエネルギー貯蔵システムは、本発明によるバッテリーモジュールを1つ以上含んでいてもよい。特に、エネルギー貯蔵システムは、大きなエネルギー容量を有するために、本発明によるバッテリーモジュールが互いに電気的に接続された形態で複数含まれるようにすることができる。あるいは、本発明によるバッテリーモジュールは、複数が1つのバッテリーパック1を構成し、このようなバッテリーパックが複数含まれた形態でエネルギー貯蔵システムが構成されてもよい。この他にも、本発明によるエネルギー貯蔵システムは、本発明の出願時点において公知となっているエネルギー貯蔵システムの多種多様な構成要素をさらに含んでいてもよい。さらに、このようなエネルギー貯蔵システムは、スマートグリッドシステムや電気充電ステーションなど多種多様な場所や装置に使用可能である。
【0077】
以上、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で様々な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【0078】
一方、本明細書においては、上、下、左、右などの方向指示語が用いられたが、これらの用語は説明のしやすさのために用いられたものに過ぎず、対象となる物事の位置や観測者の位置などに応じて異なってくる可能性があるということは本発明の当業者にとって自明である。
【符号の説明】
【0079】
符号 名称
1 バッテリーパック
10 バッテリーモジュール
10A バッテリーモジュール
20 パックケース
100 セルアセンブリ
110 バッテリーセル(パウチ型バッテリーセル)
200 モジュールケース
210 開放部
300 酸素流入遮断カバー
310A 第1隔壁
310B 第2隔壁
320 孔閉塞部材
320A 孔閉塞部材
321 ガス通過孔
400 酸素流入遮断カバー
410A 第1隔壁
410B 第2隔壁
410C 第3隔壁
420 第1孔閉塞部材
430 第2孔閉塞部材
H1 ベント孔
H2 ベント孔
J1 ベント孔
J2 ベント孔
K1 ベント孔
Q1 ベント孔
Q2 ベント孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】